説明

通路開閉装置

【課題】利用者の利便性を向上した通路開閉装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動改札機30は、少なくとも通路の一側方に配置された自動改札機本体35と、通路を開閉するドア34と、ドア34を開閉駆動する図4に図示するドア駆動ユニット16と、自動改札機本体35の異なる位置に配置された2つのアンテナ9a、9bと、何れか一つのアンテナ9がICカード27と電磁結合した時に記録情報を読み書きするリーダライタ本体10a、10bと、を備えたリーダライタ10と、何れか一つのアンテナ9がICカード27と電磁結合することにより読取られた記録情報を演算処理し、この演算結果に基づいて通行の許否を判定してドア駆動ユニット16を制御する制御部11と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路開閉装置に関し、特に、ICカード等の非接触情報記録媒体に記録された情報に基づいて通路を開閉する装置において、通過時における利用者の操作性を改善した通路開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば駅舎への入場、又は駅舎からの退場は、自動改札機により無人で処理されることが一般的になっている。そのため、自動改札機には、利用者の進入の可否、進入方向、及び滞留時間等を検知する多数のセンサを備え、各センサの信号に基づいて自動改札機本体の扉の開閉やエラー処理の制御をリアルタイムに処理している。
しかしながら、これらの制御は大人の健常者を対象としているため、例えば、車椅子を利用する利用者が自動改札機を通過する際は、通路を通過する時間が大人の健常者より遅くなる傾向があるため、ICカードの情報が正規のものであってもタイムオーバーによりエラーとして処理され、一旦開放した扉が閉止されてしまう場合があった。そのため、車椅子を利用する利用者は自動改札機を通過できず、駅員がいる改札口にわざわざ戻らなければならないことがあった。また、ICカード読取部の位置が、車椅子を利用する利用者、又は子供にとっては高いため、ICカードの記録情報を読取らせる操作がしにくいといった問題がある。
従来技術として特許文献1には、乗車券に記録されているデータから所有者の種別を判定して、判定結果に基づいて本体ドアの閉速度を調整する自動改札機について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−280685公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、予め所有者の種別データを記録した乗車券で通過する場合は、その種別データに応じて本体ドアの閉速度を遅くすることができるが、乗車券を通常の券売機から購入した場合は、種別データが記録されないため、本体ドアの閉速度が調整されず、自動改札機を通過する際に危険が伴うといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、通路開閉装置本体の異なる位置に2つのアンテナを配置し、アンテナ毎に予め規定された判定所要時間で通行許否の判定を行い、且つアンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度により扉を制御することにより、利用者の利便性を向上した通路開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、非接触情報記録媒体を保有した通行対象が通路を通行することの許否を該非接触情報記録媒体の記録情報に基づいて判定し、該通路を開閉制御する通路開閉装置であって、少なくとも前記通路の一側方に配置された通路開閉装置本体と、前記通路を開閉する開閉部材と、該開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、前記通路開閉装置本体の異なる位置に配置された複数のアンテナと、何れか一つの前記アンテナが前記非接触情報記録媒体と電磁結合した時に前記記録情報を読み書きするリーダライタ本体と、を備えたリーダライタと、何れか一つの前記アンテナが前記非接触情報記録媒体と電磁結合することにより読取られた前記記録情報を演算処理し、該演算結果に基づいて前記通行の許否を判定して前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記非接触情報記録媒体と電磁結合する前記アンテナ毎に予め規定された判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つ前記アンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度により前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする。
本発明は、非接触情報記録媒体に記録された記録情報に基づいて自動改札機等の通路開閉装置を通行することの許否を判定するものであり、特に、本発明の大きな特徴は、通路開閉装置本体の異なる位置に複数のアンテナを配置し、非接触情報記録媒体と電磁結合するアンテナ毎に予め規定された判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つアンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度により開閉駆動手段を制御する点にある。これにより、通路を通過する際の姿勢等の身体的条件が一定でない種々の利用者にとって最も操作し易いアンテナを選択することができると共に、その利用者に最適な判定所要時間で判定が行われ、且つ開閉駆動手段の開閉速度も最適な速度となり通過時の危険を回避することができる。
【0006】
請求項2は、前記複数のアンテナは、前記通路開閉装置本体の異なる高さ位置に、異なる仰角で夫々配置された第1のアンテナ、及び第2のアンテナであり、前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナよりも低い位置に配置され、且つ第1のアンテナの仰角は前記第2のアンテナの仰角よりも大きく設定されていることを特徴とする。
利用者の中には、健常な大人よりも低い姿勢で通路を通過する車椅子を利用した利用者、又は子供が含まれる。これらの利用者に対しては、第1のアンテナの位置を第2のアンテナと比較して低く設定することが重要である。また、特に車椅子を利用する利用者の場合、静止状態で第1のアンテナに非接触情報記録媒体を近接するため、その仰角を第2のアンテナの仰角より大きく設定することが操作性を向上させるうえで好ましい。これにより、車椅子を利用する利用者、又は子供が最適な位置と角度でアンテナに非接触情報記録媒体を近接することができ、操作性を向上させることができる。
【0007】
請求項3は、前記非接触情報記録媒体が前記第1のアンテナを介して前記リーダライタ本体により読取られた場合、前記制御手段は、前記判定所要時間を前記第2のアンテナが読取られた場合よりも長くし、且つ、前記開閉駆動手段の開閉速度を前記第2のアンテナが読み取られた場合よりも遅くすることを特徴とする。
通路開閉装置本体には、利用者の進入の可否、進入方向、及び滞留時間等を検知するために多数のセンサが設置され、制御手段は各センサの信号に基づいて通路開閉装置本体の扉の開閉やエラー処理の制御を行っている。ここで、車椅子を利用する利用者の場合、第1のアンテナに非接触情報記録媒体を近接してから通路を通過するまで、健常者に比べて時間を多く要する。即ち、健常者と同じ制御ソフトで制御した場合、滞留時間をオーバーしてエラーになる可能性がある。そこで本発明では、非接触情報記録媒体が第1のアンテナを介してリーダライタ本体により読取られた場合、利用者が車椅子を利用する利用者等、移動速度が遅い者であると見做して、制御手段は、判定所要時間を第2のアンテナが読取られた場合よりも長くし、且つ、開閉駆動手段の開閉速度を第2のアンテナが読み取られた場合よりも遅くするように制御する。これにより、移動速度が遅い者であっても、エラーの確率を低下させて同じ通路開閉装置を利用することができる。
【0008】
請求項4は、前記非接触情報記録媒体が前記第2のアンテナを介して前記リーダライタ本体により読取られた場合、前記制御手段は、前記判定所要時間を前記第1のアンテナが読取られた場合よりも短くし、且つ、前記開閉駆動手段の開閉速度を前記第1のアンテナが読み取られた場合よりも速くすることを特徴とする。
利用者が大人の健常者である場合、第2のアンテナに非接触情報記録媒体を近接してから通路を通過するまで、車椅子を利用する利用者、又は子供等の移動速度が遅い者に比べて時間が少なくて済む。即ち、直前の利用者が移動速度が遅い者である場合、開閉駆動手段の開閉速度が遅く設定されているため、そのままの設定では通路開閉装置本体内で滞留が発生してしまう。そこで本発明では、非接触情報記録媒体が第2のアンテナを介してリーダライタ本体により読取られた場合、利用者が大人の健常者であると見做して、制御手段は、判定所要時間を第1のアンテナが読取られた場合よりも短く、且つ、開閉駆動手段の開閉速度を第1のアンテナが読み取られた場合よりも速くするように制御する。これにより、直前の利用者が移動速度が遅い者であっても、滞留なく同じ通路開閉装置を利用することができる。
【0009】
請求項5は、前記第2のアンテナの読取領域を、前記第1のアンテナの読取領域より広く構成したことを特徴とする。
第2のアンテナは大人の健常者が利用するため、移動しながら非接触情報記録媒体を第2のアンテナに近接する場合が多い。このような場合、第2のアンテナと非接触情報記録媒体が電磁結合する時間が短くなって読取エラーを発生する確率が高くなる。そこで本発明では、第2のアンテナの読取領域を、第1のアンテナの読取領域より広く構成して、アンテナと非接触情報記録媒体との電磁結合の時間が長くなるようにする。これにより、移動しながら非接触情報記録媒体を第2のアンテナに近接しても、読取エラーの確率を低くすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通路開閉装置本体の異なる位置に複数のアンテナを配置し、制御手段が非接触情報記録媒体と電磁結合するアンテナ毎に予め規定された判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つアンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度により開閉駆動手段を制御するので、通路を通過する際の姿勢等の身体的条件が一定でない種々の利用者にとって最も操作し易いアンテナを選択することができると共に、そのときに最適な判定所要時間で判定が行われ、且つ開閉駆動手段の開閉速度も最適な速度となり通過時の危険を回避することができる。
また、第1のアンテナの位置を第2のアンテナと比較して低く設定し、その仰角を第2のアンテナの仰角より大きく設定するので、車椅子を利用する利用者、又は子供等が最適な位置と角度でアンテナに非接触情報記録媒体を近接することができ、操作性を向上させることができる。
【0011】
また、非接触情報記録媒体が第1のアンテナを介してリーダライタ本体により読取られた場合、判定所要時間を第2のアンテナが読取られた場合よりも長くし、且つ、開閉駆動手段の開閉速度を第2のアンテナが読み取られた場合よりも遅くするように制御するので、利用者が移動速度が遅い者であっても、エラーの確率を低下させて同じ通路開閉装置を利用することができる。
また、非接触情報記録媒体が第2のアンテナを介してリーダライタ本体により読取られた場合、判定所要時間を第1のアンテナが読取られた場合よりも短く、且つ、開閉駆動手段の開閉速度を第1のアンテナが読み取られた場合よりも速くするように制御するので、直前の利用者が移動速度が遅い者であっても、滞留なく同じ通路開閉装置を利用することができる。
また、第2のアンテナの読取領域を、第1のアンテナの読取領域より広く構成して、アンテナと非接触情報記録媒体との電磁結合の時間が長くなるようにするので、移動しながら非接触情報記録媒体を第2のアンテナに近接しても、読取エラーの確率を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係る自動改札機の全体構成を示す図であり、(b)はアンテナ部の外観を示す図である。
【図4】制御部内部の機能構成とその周辺の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の自動改札機の制御動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ10は、リーダライタ10との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御する制御部11によって制御される。リーダライタ10は、外部の制御部11とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ10全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカード(RFタグ)との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
【0014】
図2は、一般的なICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード(RFタグ)27は、リーダライタ10からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード(RFタグ)27の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0015】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ10は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード(RFタグ)27に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード(RFタグ)27がリーダライタ10に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICカード27内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ10がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード(RFタグ)27が規格に合致したICカード(RFタグ)であると認識する。それにより、以後リーダライタ10とICカード(RFタグ)27の間でポーリングが行われる。
【0016】
図3(a)は本発明の実施形態に係る自動改札機の全体構成を示す図であり、図3(b)はアンテナ部の外観を示す図である。
本発明の自動改札機(通路開閉装置)30は、ICカード(非接触情報記録媒体)27を保有した利用者(通行対象)31、32[図では利用者31が大人の健常者(一般利用者と呼ぶ)を表し、利用者32が車椅子を利用する利用者(車椅子利用者と呼ぶ)を表している]が通路を通行することの許否をICカード27の記録情報に基づいて判定し、通路を開閉制御する自動改札機(通路開閉装置)30であって、少なくとも通路の一側方(一般的には進行方向右側)に配置された自動改札機本体(通路開閉装置本体)35と、通路を開閉するドア(開閉部材)34と、ドア34を開閉駆動する図4に図示するドア駆動ユニット(開閉駆動手段)16と、自動改札機本体35の異なる位置に配置された2つのアンテナ9a、9bと、何れか一つのアンテナ9がICカード27と電磁結合した時に記録情報を読み書きするリーダライタ本体10a、10bと、を備えたリーダライタ10と、何れか一つのアンテナ9がICカード27と電磁結合することにより読取られた記録情報を演算処理し、この演算結果に基づいて通行の許否を判定してドア駆動ユニット16を制御する制御部(制御手段)11と、を備えて構成されている。
【0017】
本実施形態に係る自動改札機30は、ICカード27に記録された記録情報に基づいて自動改札機30を通行することの許否を判定するものであり、特に、本実施形態の大きな特徴は、自動改札機本体35の異なる位置(進行方向に向かって縦列位置)に複数のアンテナ9a、9bを配置し、制御部11がICカード27と電磁結合するアンテナ毎に予め規定された判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つアンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度によりドア駆動ユニット16を制御する点にある。例えば、車椅子33を利用する車椅子利用者32は、アンテナ9aにICカード27を近接し、一般利用者31はアンテナ9bにICカード27を近接して自動改札機30を通過することにより、利用者にとって最も操作し易いアンテナを選択することができると共に、そのときに最適な判定所要時間で判定が行われ、且つドア駆動ユニット16の開閉速度も最適な速度となり通過時の危険を回避することができる。
【0018】
また、2つのアンテナは、自動改札機本体35の異なる高さ位置に、異なる仰角で夫々配置されたアンテナ9a(第1のアンテナ)、及びアンテナ9b(第2のアンテナ)であり、アンテナ9aは、アンテナ9bよりも低い位置に配置され、且つアンテナ9aの仰角はアンテナ9bの仰角よりも大きく設定されている。即ち、車椅子利用者32は、平均的に目の高さが120cm位であり、車椅子に乗りながらアンテナ9aを見る場合、仰角が大きいほうが視認し易い。また、大人の一般利用者31は、平均的に目の高さが165cm位であり、立った状態でアンテナ9bを見る場合、仰角が小さい方が視認し易い。このように、利用者の中には、車椅子を利用する利用者、又は子供が含まれる。これらの利用者に対しては、アンテナ9aの位置をアンテナ9bと比較して低く設定することが重要である。また、特に車椅子利用者32の場合、静止状態でアンテナ9aにICカード27を近接させるため、その仰角をアンテナ9bの仰角より大きく設定する方が操作性が良くなる。これにより、利用者毎に最適な位置と角度でアンテナを使用することができるので操作性を向上させることができる。
【0019】
また、図3(b)に示すとおり、アンテナ9bの読取領域Bを、アンテナ9aの読取領域Aより広く構成した。即ち、アンテナ9bは大人の一般利用者31が利用するため、移動しながらICカード27をアンテナ9bに近接する場合が多い。このような場合、アンテナ9bとICカード27が電磁結合する時間が短くなって読取エラーを発生する確率が高くなる。そこで本実施形態では、アンテナ9bの読取領域Bを、アンテナ9aの読取領域Aより広く構成して(進行方向に長くなるように構成)、アンテナ9bとICカード27との電磁結合の時間が長くなるように構成する。これにより、移動しながらICカード27をアンテナ9bに近接した場合であっても、読取エラーの確率を低くすることができる。
【0020】
以上が本発明の自動改札機の構成に係る部分の説明であるが、以下、本発明の判定所要時間の制御とドア駆動ユニット16の開閉速度制御に係る部分について説明する。図4は制御部内部の機能構成とその周辺の構成を示すブロック図である。同じ構成要素には図3と同じ参照番号を付して説明する。
制御部11は、制御部11の全体を制御するCPU12と、CPU12の動作過程で発生するデータの蓄積及びプログラムのロードを行うRAM13と、CPU12が動作するためのプログラム等を蓄積するROM14と、自動改札機本体35に備えられた周辺回路の情報を集約してCPU12に伝達し、CPU12からの指令信号を各周辺回路に伝達するI/Oユニット15と、ドア34を開閉駆動するドア駆動ユニット16と、自動改札機30の状態を利用者に報知する表示部(図示せず)に情報を転送する表示画面駆動ユニット17と、自動改札機本体35に備えられ、利用者の進入の可否、進行方向、及び滞留状態等を検知する複数のセンサからのデータを受信するセンサユニット18と、を備えて構成されている。また、I/Oユニット15には、図3(a)で説明したリーダライタ本体10a、10bが接続され、アンテナ9a、9bと電磁結合したICカード27に記録された記録情報をCPU12に伝達する。
【0021】
自動改札機30が動作中は、リーダライタ本体10a、10bは、アンテナ9a、9bを介して常に電波を放射している。例えば、アンテナ9aにICカード27が近接されると、図2で説明したとおりリーダライタ本体10aとICカード27との間でポーリングが開始され、ICカード27に記録されている記録情報がリーダライタ10aにより復調されて、I/Oユニット15を介してCPU12に伝達される。CPU12はROM14に蓄積されているプログラムに従って記録情報を解析して、自動改札機30を通過して良いか否かの許否判断を行う。また、CPU12が、読取った記録情報がアンテナ9aにより読取られた情報であると判断すると、アンテナ9aに対して規定した判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つアンテナ9aに対して規定した開閉速度によりドア駆動ユニット16を制御する(詳細は後述する)。
【0022】
図5は本発明の自動改札機の制御動作を説明するフローチャートである。
自動改札機30が動作中は、リーダライタ本体10a、10bは、アンテナ9a、9bを介して常に電波を放射している。従って、アンテナ9a、9bの何れかのアンテナにICカード27が近接されると(S1でY)、リーダライタ10とICカード27との間でポーリングが開始され、ICカード27に記録されている記録情報がリーダライタ10により復調されて、I/Oユニット15を介してCPU12に伝達される。CPU12はROM14に蓄積されているプログラムに従って記録情報を解析して(S2)、自動改札機30を通過して良いか否かの許否判断を行う(S3)。許否判断の結果、料金が不足していたり、正規のICカードでないと判断されると(S3でN)、図示しない表示画面にその旨を表示して、アラームを報知してドア34を閉止する(S9)。
【0023】
一方、ステップS3で入場が許可されると(S3でY)、次にアンテナ9a,9bの何れのアンテナとICカード27が電磁結合したかを判断する(S4)。ここでCPU12が、読取られた記録情報がアンテナ9aにより読取られた情報であると判断すると(S4でY)、判定所要時間をアンテナ9bが読取られた時より長くして(S5)、且つドア駆動ユニット16の開閉速度をアンテナ9bが読み取られた場合よりも遅くする(S6)。一方、ステップS4で、CPU12が、読取られた記録情報がアンテナ9bにより読取られた情報であると判断すると(S4でN)、判定所要時間をアンテナ9aが読取られた時より短くして(S7)、且つドア駆動ユニット16の開閉速度をアンテナ9aが読み取られた場合よりも速くする(S8)。この一連の動作を各ICカード毎に行う。
【0024】
自動改札機本体35には、利用者の進入の可否、進入方向、及び滞留時間等を検知するために多数のセンサが設置され、制御部11は各センサの信号に基づいて自動改札機本体35のドア34の開閉やエラー処理の制御を行っている。ここで、車椅子利用者32の場合、アンテナ9aにICカード27を近接してから通路を通過するまで、一般利用者31に比べて時間を多く要する。即ち、一般利用者31と同じ制御ソフトで制御した場合、滞留時間をオーバーしてエラーになる可能性がある。そこで本実施形態では、ICカード27がアンテナ9aを介してリーダライタ本体10aにより読取られた場合、利用者が車椅子利用者32、又は子供であると見做して、制御部11は、判定所要時間をアンテナ9bが読取られた場合よりも長くし、且つ、ドア駆動ユニット16の開閉速度をアンテナ9bが読み取られた場合よりも遅くするように制御する。これにより、利用者が車椅子利用者32、又は子供であっても、エラーの確率を低下させて同じ自動改札機30を利用することができる。
【0025】
また、利用者が大人の一般利用者31の場合、アンテナ9bにICカード27を近接してから通路を通過するまで、車椅子利用者32、又は子供に比べて時間が少なくて済む。即ち、直前の利用者が車椅子利用者32、又は子供の場合、ドア駆動ユニット16の開閉速度が遅く設定されているため、そのままの設定では自動改札機本体35内で滞留が発生してしまう。そこで本実施形態では、ICカード27がアンテナ9bを介してリーダライタ本体10bにより読取られた場合、利用者が一般利用者31であると見做して、制御部11は、判定所要時間をアンテナ9aが読取られた場合よりも短く、且つ、ドア駆動ユニット16の開閉速度をアンテナ9aが読み取られた場合よりも速くするように制御する。これにより、直前の利用者が車椅子利用者32、又は子供であっても、滞留なく同じ自動改札機30を利用することができる。
【0026】
以上の説明では、駅舎の自動改札機を例に説明したが、空港施設、又は他の施設の出入口に設けられた自動改札機に適用することも可能である。また、アンテナを2つ設置した場合について説明したが、この数に限定する必要はなく、多くても構わない。また、ICカードを非接触タイプの場合について説明したが、接触タイプでも良く、或いは、磁気カード等を使用しても構わない。尚、磁気カードを使用した場合は、自動改札機の出口の同じ高さ位置に磁気カード回収口を設けるように構成する。
【符号の説明】
【0027】
1 送受信装置、2 制御装置、3 メモリ装置、4 変調器、5 入力装置、6 表示装置、7 電力増幅器、8 検波復調器、9 アンテナ、10 リーダライタ、10a,10b リーダライタ本体、11 制御部、12 CPU、13 RAM、14 ROM,15 I/Oユニット、16 ドア駆動ユニット、17 表示画面駆動ユニット、18 センサユニット、20 アンテナ、21 送受信回路、22 電力生成回路、23 メモリ装置、24 変調器、25 検波器、26 制御回路、27 ICカード、30 自動改札機、31 一般利用者、32 車椅子利用者、33 車椅子、34 ドア、35 自動改札機本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触情報記録媒体を保有した通行対象が通路を通行することの許否を該非接触情報記録媒体の記録情報に基づいて判定し、該通路を開閉制御する通路開閉装置であって、
少なくとも前記通路の一側方に配置された通路開閉装置本体と、
前記通路を開閉する開閉部材と、
該開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
前記通路開閉装置本体の異なる位置に配置された複数のアンテナと、何れか一つの前記アンテナが前記非接触情報記録媒体と電磁結合した時に前記記録情報を読み書きするリーダライタ本体と、を備えたリーダライタと、
何れか一つの前記アンテナが前記非接触情報記録媒体と電磁結合することにより読取られた前記記録情報を演算処理し、該演算結果に基づいて前記通行の許否を判定して前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記非接触情報記録媒体と電磁結合する前記アンテナ毎に予め規定された判定所要時間を用いて通行許否の判定を行い、且つ前記アンテナ毎に対応して予め規定された開閉速度により前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする通路開閉装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナは、前記通路開閉装置本体の異なる高さ位置に、異なる仰角で夫々配置された第1のアンテナ、及び第2のアンテナであり、前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナよりも低い位置に配置され、且つ第1のアンテナの仰角は前記第2のアンテナの仰角よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の通路開閉装置。
【請求項3】
前記非接触情報記録媒体が前記第1のアンテナを介して前記リーダライタ本体により読取られた場合、前記制御手段は、前記判定所要時間を前記第2のアンテナが読取られた場合よりも長くし、且つ、前記開閉駆動手段の開閉速度を前記第2のアンテナが読み取られた場合よりも遅くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の通路開閉装置。
【請求項4】
前記非接触情報記録媒体が前記第2のアンテナを介して前記リーダライタ本体により読取られた場合、前記制御手段は、前記判定所要時間を前記第1のアンテナが読取られた場合よりも短くし、且つ、前記開閉駆動手段の開閉速度を前記第1のアンテナが読み取られた場合よりも速くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の通路開閉装置。
【請求項5】
前記第2のアンテナの読取領域を、前記第1のアンテナの読取領域より広く構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の通路開閉装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−248075(P2012−248075A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120477(P2011−120477)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】