通過タイム計測装置、システムおよび方法
【課題】
従来、競走馬等の移動体のタイム計測ではバーコードなどが用いられていたため、天候等における精度の検出精度の低下や並走する移動体の検出が困難であるなどの問題があった。
【解決手段】
上記課題を解決するために、個体識別情報と座標情報を個別に入手しタイムスタンプによる紐付けを行うことにより、並走する移動体の高精度なタイム計測を可能とする。
従来、競走馬等の移動体のタイム計測ではバーコードなどが用いられていたため、天候等における精度の検出精度の低下や並走する移動体の検出が困難であるなどの問題があった。
【解決手段】
上記課題を解決するために、個体識別情報と座標情報を個別に入手しタイムスタンプによる紐付けを行うことにより、並走する移動体の高精度なタイム計測を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体の計測地点の通過タイムを計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、競馬などのタイムを競う競技ではタイム計測を計測機器を使い自動で行っていることが多い。
【0003】
例えば、競走馬はレースの前の調教の際にタイムを計る。調教で得たタイムは公式に発表され新聞などに掲載される。現在、坂路調教は自動計測を行っている。自動化は、競走馬には個体識別を示すバーコードを背負わせ、ゲートを通過した瞬間に読みとる仕組みを採用している。競走馬単位の通過タイムを測定することが出来る。また最近では屋根付のコースを作り天候に関係なく調教を行っている。
【0004】
また、特許文献1のようにゲート又はゲート近くに設置された磁界源と、被測定体に設置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したときに通過時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器と用意し、これにより、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時する技術もある。
【0005】
他にも、特許文献2のように全地球測位システム(GPS)を使って競走馬の位置情報データを収集する仕組みと、通過地点に設置された光学センサで少なくとも1頭の通過を検知する方法がある。通過タイムは、光学センサが検知した時刻を採用し、他の馬は、光学センサで検知した少なくとも1頭を基準にGPSの位置情報から相対関係から補正計算し通過タイムを解析するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3219829号公報
【特許文献2】特開2003−296493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のバーコードでの固体識別では霧などの天候の影響で検出精度が下がる場合があった。
【0008】
また、磁界による通過検出では、各被測定体に搭載された記録器に記録されるため、離れてタイムを監視している人やシステムはリアルタイムに通過を知ることが出来ない。磁界の通過、及び磁束の角度から通過を検知するため、コースを一方通行でしか計測できない。同じコースを双方向で使う場合は、磁界源を2つ用意するか、被測定体に切替機能が必要となる。さらに、被測定体に搭載するタイマや記録器は常に電力を消費続けるものであり、電池の残量によっては記録器を回収したときにデータが消失している可能性がある。
【0009】
また、GPSを使っての位置を特定では、屋外の調教コースのみに限られてしまい覆馬場や屋根付コースには適しない。また、屋外であっても両サイドに柵を要したコースでは、人工衛星の位置関係により検知率が落ちてしまう。競走馬は併せて走る調教も行うため、位置検知の精度の低下と併せて走る左右の競走馬の関係が入れ替わって情報をあげてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、第1のエリア内の前記移動体の座標情報を取得する第1のセンサと、第2のエリア内の移動体の固体識別機器から個体識別情報を取得する第2のセンサと、前記座標情報と前記個体識別情報を送信する伝送部と、前記座標情報と前記個体識別情報を受信し、それぞれのタイムスタンプに基づいて両者を関連付けるサーバ装置を有する移動体計測システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、天候に左右されにくい高精度な計測システムを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】システム概要の一例
【図2】別のシステム概要の一例
【図3】計測ゲートの上面図の一例
【図4】計測ゲートの正面図の一例
【図5】移動体に計測タグを設置した場合の一例
【図6】移動体を計測した場合のイメージ図の一例
【図7】計測システムの詳細な機能ブロック図の一例
【図8a】データベースのテーブル一例
【図8b】データベースのテーブル一例
【図8c】データベースのテーブル一例
【図9】計測システムの処理のシーケンスの一例
【図10】計測システムの処理のシーケンスの別の一例
【図11】計測情報の紐付けイメージ1の一例
【図12】計測情報の紐付けイメージ2の一例
【図13】計測情報の紐付けイメージ3の一例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本実施例は主に競走馬の計測装置としてのシステムを例示するが、実際には用途は競走馬に限られない。複数の移動体のタイムを計測するような状況であれば利用可能である。例えば、マラソンや競輪、カーレースなどが考えられる。
【0014】
図1に本実施例に係わる計測システムの概要を示す。
【0015】
図1では競走馬の走るコース101に計測ゲート102を均等に配置している。計測ゲート102による計測データは伝送装置103に送信され、無線通信装置104を介してサーバ装置105に送信される。尚、無線通信装置104とサーバ装置105の間に他のネットワーク装置、例えば、スイッチやルータを置いてもかまわない。また、図1では馬の通過タイムの計測を想定した内容になっているが、馬に限らず人や車等の他の移動体に適用してもよい。
【0016】
図2に本実施例に係わる計測システムの別の例を示す。図1との違いは各計測ゲート102の伝送装置103を無線通信装置104により無線でリング状に通信してサーバ装置105とデータをやり取りする部分である。この構成にすることにより下記の効果が得られる。
【0017】
1つ目は、図1では各計測ゲート102とサーバ装置105は1対1で接続されているが、図2は迂回ルートを持つことで計測システム全体の冗長化が可能となる。
【0018】
2つ目は、計測結果の誤差を抑制することが可能である。ミリ秒単位で通過タイムを計測するような場合通信時間による遅延でも誤差が生じえる。一つのコース上に並ぶ各計測ゲート102が持つ時刻情報は同期されていなければなければならない。そこで、無線通信装置104間の通信にかかる遅延を予め計測しておきサーバ装置106に設定しておく。次に取得データの誤差を、予め計測した遅延で修正することが可能となる。
【0019】
図3に計測ゲート102を上面から見た図の例を示す。
【0020】
計測ゲート102は左右にアンテナポール300を設置し、アンテナポール300の間、競走馬の通過するルートの上方にアンテナを設置した状態となっている。アンテナポール300は200メートル間隔でコースの左右に設置されている。
【0021】
すなわち、計測ゲート102はコース上に200メートル間隔で設置されていることになる。これは競馬でいうハロン棒の位置にあわせたものとなっている。他の競技や移動体に合わせる場合は必ずしも200メートル間隔である必要はない。
【0022】
左右アンテナポール300には後述するアンテナ等のデータを送受信するための伝送装置103と無線通信装置104が設置されている。図3では伝送装置103と無線通信装置104が左右のアンテナポール300に分かれて付いているが同じアンテナポール300についていてもよいし、どちらのアンテナポール300についていてもよい。
【0023】
伝送装置103は内部に送受信するデータを転送するスイッチングハブや電源などが入っている。無線通信装置104は伝送装置103が無線によって他の装置と通信する場合に使用する機器である。無線通信装置104を使用することによりケーブルを多地点に引くことなく通信が可能となる。
【0024】
左右アンテナポール300にはそれぞれ競走馬305の進行方向からみて左上に左上レーザセンサ301、右上に右上レーザセンサ302が設置されている。これは移動体等の座標を計測でき、ミリ秒単位で計測が可能である。本実施例では、計測ゲート102の通過点とみなす点線エリア402の前後一定距離の座標を入手するように設定しておく。
【0025】
また、左右アンテナポール300の間にループ上にしてLFアンテナ303を設置する。これは競走馬305に取り付ける固体識別タグ401に電波を照射するものである。尚、必ずしもループ上である必要はない。
【0026】
RFアンテナ304は固体識別タグ401から個体識別情報を入手するためのアンテナである。図示されていないが左右アンテナポール300から棒などで固定されている。
【0027】
固体識別タグ401は競走馬305に取り付けるものであり、LFアンテナ303から電波の照射を受けて、個体識別情報を発信するものである。発信した個体識別情報はRFアンテナ304により受信される。
【0028】
本システムでは、レーザセンサ301,302により競走馬305の座標情報を入手し、LFアンテナ、RFアンテナ、固体識別タグで個体識別情報を入手する。これら座標情報と個体識別情報は個別にサーバ装置105に送信される。
【0029】
図4に計測ゲート102の正面から見た図の例を示す。図3の計測ゲート102を競走馬305の進入する側から見た図である。
【0030】
本図の例では、伝送装置103は保守しやすいようにアンテナポール300横の低い場所に設置されている。尚、伝送装置103はアンテナポール300と離れていてもよい。
【0031】
無線通信装置104はなるべく障害物がなく通信しやすいようにアンテナポール300の上の方に設置されている。特に問題が無いのであれば低い場所に設置しても良い。
【0032】
レーザセンサ301、302はアンテナポール300の上の方から競走馬305の走るコースを見下ろす形で設置されている。レーザセンサ301,302は非常に弱いレーザであるが、可能な限り騎手や競走馬の視野角の外に配置することにより目などに照射することを抑制する。
【0033】
LFアンテナ303はコース上面にループ上に配置され、コース全体にむらなく電波を照射する。LFアンテナ303を設置する際は、ループアンテナに塩化ビニル管などをつけて保護してもよい。保護と同時に落下した際に落下したことが分かるように太い管として目立つようにするためである。これにより細い紐状の線がコースに落ちていたため落馬事故を招くという事態を回避できる。
【0034】
RFアンテナは左右のアンテナポール300に取り付けるだけでもよいが、図のようにコース上面にむらなく配置することにより競走馬305が複数並走するような場合でも固体識別情報の取りこぼしを抑制することができる。図示していないがRFアンテナは左右のポールに設置される棒などによって固定されている。
【0035】
また、図示していないが各アンテナやレーザセンサと伝送装置103はケーブルで接続されており、各アンテナやレーザセンサで取得された情報は伝送装置103に送られる。伝送装置103は無線通信装置104とケーブルで接続されている。これらのケーブルを無線に置き換えても良い。
【0036】
図4からわかるように本システムでは正確な計測と騎手、競走馬305の安全に最大限配慮した構成となっている。また、コースを掘り返したりする必要がなく、全てアンテナポール300の周りに取り付けるだけで実現できるので既存の設備を最大限に利用し設置コストの抑制を図ることができる。
【0037】
図5に競走馬305に固体識別タグ401を取り付けた例を示す。必ずしも図の位置につける必要はないが、現行のバーコード装着用パーツなどを流用するように設計することで併設期間の運用及び本番切換時の移行が容易となる。現行の装備を特に流用する必要がないのであればどこにつけてもよい。
【0038】
図6に計測のイメージを示す。レーザセンサ301,302はレーザセンサ検出エリア601内の移動物体の座標を検出できる。言い換えれば、レーザセンサ検出エリア601内の移動物体の軌跡を追うことが可能である。ここでの座標情報とは検出エリア601内での座標のことである。
【0039】
エリア602はLFアンテナ303の電波の出力範囲を示し、そのエリア内で固体識別タグ401が反応して、個体識別情報をRFアンテナ304に返す。エリア602の範囲はLFアンテナ303の設置する高さで範囲を変更できる。高い位置に設置するほどエリア602の範囲は広くなる。
【0040】
サーバ装置105ではレーザセンサ301、302で取得した座標情報とRFアンテナ304で受信した個体識別情報をタイムスタンプに基づき紐付けることにより複数の競走馬が並走した場合でも個別に通過タイムを計測できる。
【0041】
図7に図1の構成の場合の計測システムの詳細な構成図を示す。図の例では計測ゲート102の設備は200メートル地点ごとに設置されており、それぞれがサーバ装置105と通信している。図2の場合だとこれがリング状になる。
【0042】
左上レーザセンサ301と右上レーザセンサ302は伝送装置103内のSW−HUB702(スイッチングハブ)に接続されており、計測対象の座標情報を送信する。
【0043】
LFアンテナ303とRFアンテナ304は送受信ユニット701を介してSW−HUB702に接続されている。送受信ユニット701は取得した座標情報にタイムスタンプを付加する。また、固体識別タグ401に対し発信する周波数の情報をLFアンテナ303に送信する。尚、タイムスタンプの付加はサーバ装置105の固体識別受信部705で行っても良い。RFアンテナ304は計測対象の個体識別情報を送信する。座標情報と個体識別情報は、無線通信装置104を介して、個別にサーバ装置105に送信される。
【0044】
サーバ装置105では無線通信装置104を介して情報を送受信する送受信部703と、受信した座標を処理する軌跡演算部704と、受信した個体識別情報を処理する固体識別受信部705と、計測対象が所定の位置(本実施例だと計測ゲート102)を通過したかを判定する通過判定部706を有する。軌跡演算部704では座標情報にタイムスタンプを付加する。尚、遅延の影響を考えて伝送装置103内外に座標情報にタイムスタンプを付加するタイムスタンプ取得部、または装置を設けても良い。
【0045】
また、判定に利用する情報と判定結果を格納するデータベース707と、他のシステムにデータベース707の情報を送信したり、設定を受け取ったりする際に利用する送受信部708を有する。
【0046】
尚、サーバ装置は一般的なコンピューターを用いて、軌跡演算部704と、固体識別受信部705と、通過判定部706をメモリ上のプログラムとしてプロセッサに実行させる構成とすることも可能である。データベース707はHDDなどの記憶媒体に記憶する。送受信部703,708は一般的なネットワークインタフェースを利用することも可能である。
【0047】
図8a〜図8cにデータベース707に格納される情報の一例を示す。
【0048】
図8aは座標情報テーブル800aである。伝送装置103から受信した座標情報を格納する。座標801aと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報802aと、通過年月日803aと、通過時刻秒804aを格納する。
【0049】
尚、図6のレーザセンサ検知エリア601内に移動体がいる間は常に座標情報は連続して上がってくるので同一の移動体のものであることを示す識別子をレコードに追加しても良い。複数の移動体が同時にレーザセンサ検知エリア601内に進入する可能性があるためである(詳しくは図9を用いて説明する)。また、通過年月日803aと、通過時刻秒804aを一つにしてもよい。通過時刻秒804aはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日803aをなくしてもよい。
【0050】
図8bは個体識別情報テーブル800bである。伝送装置103から受信した個体識別情報を取得する。移動体を一意に識別する個体識別情報801bと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報802bと、通過年月日803bと、通過時刻秒804bを格納する。尚、通過年月日803bと、通過時刻秒804bを一つにしてもよい。通過時刻秒804bはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日803bをなくしてもよい。
【0051】
図8cは計測結果テーブル800cである。伝送装置103から得た座標情報と個体識別情報を紐付けた結果を格納する。個体識別情報801cと、座標802cと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報803cと、通過年月日804cと、通過時刻秒805cを格納する。尚、通過年月日804cと、通過時刻秒805cを一つにしてもよい。通過時刻秒805cはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日804bをなくしてもよい。
【0052】
図9にシステム全体のシーケンスを示す。計測ゲート102の送受信ユニット701は常にLFアンテナに周波数Fを送信する(S901)。この周波数はLFアンテナから照射され続け、検知範囲にタグは入ると反応する仕組みである。
【0053】
次に、図6のように移動体がレーザセンサ検知エリア601に進入すると、移動体がレーザセンサ検知エリア601を出て行くまで左右レーザセンサはそれぞれ軌跡演算部に座標情報を送り続ける(S902,S903)。(詳しくはSW−HUB702,無線通信装置104、送受信部703も介している)
軌跡演算部704は左右レーザセンサから得た情報から軌跡データを作成し、タイムスタンプを付加する(S904)。例えば、移動体A,B,Cが併走しているとき、左右レーザセンサが同じ場所を測定していて見えない移動体が有る場合がある。左レーザーからは、A、Bがみえて、Cは、A、Bの影で見えないとする。すると、左からは(Xa,Ya)と(Xb、Yb)の2つの座標が上がってくる。右レーザーからは、B、Cがみえて、Aは、BCの影で見えないとする。すると、右からは(Xb,Yb)と(Xc,Yc)の2つの座標が上がってくる。
レーザーセンサからは、見えた物体の座標のみ上がる。識別は未だ分からない。このとき、軌跡演算部704では2つの情報を合わせて重複する座標を整理し、エリア内に3つの移動体がいるとわかる。また、それぞれの座標情報にタイムスタンプを付加する。
【0054】
また、連続してレーザセンサが計測した座標情報で座標が最も近いもの同士を同一の移動体の軌跡とする。例えば、移動体A,B、Cをミリ秒単位で座標を計測し、明らかに近い座標同士をつなげていくと3つの移動軌跡が手に入る。これらの距離の近い座標をまとめたものを固体識別はできないが未確認の移動体A,B,Cの軌跡情報とする。尚、必ずしもまとめかたは上記の方法に限られない。順次上がってくる座標をどれの座標かという関連を1まとまりに関連付ければよい。距離だけでなく座標間のベクトル、角度等も併せて関連付けても良い。移動体がクロスする場合などに、いきなりそれぞれが鋭角に進行方向を曲げることは考えにくいので、前後の座標を繋げたときに進行方向に対して一定以上角度が曲がる場合は関連無しと判断するなどができる。当然、これは計測する移動体の種類による。急激に移動するものに対してはより妥当な関連付けを行う。
【0055】
上記軌跡情報をデータベース707の座標情報テーブル800aに格納する(S905)。このとき各レコードでどの移動体の軌跡情報かを示す識別子を追加してもよい。
【0056】
次に通過判定部706は座標情報テーブル800aを参照し軌跡情報を入手する(S906)。
【0057】
上記S902−S906までとは独立して、移動体がRFアンテナ304の検知範囲であるエリア602に進入した場合、移動体に取り付けられた固体識別タグ401が周波数Fを受信し(S907)、RFアンテナ304は固体識別タグ401から個体識別情報を受信する(S908)。
【0058】
次に、RFアンテナ304は個体識別情報を送受信ユニット701に送信する(S909)。次に、送受信ユニット701は個体識別情報にタイムスタンプを付加して固体識別受信部705に送信する(S910)。固体識別受信部705は固体識別情報を個体識別情報テーブル800bに格納する(S911)。
【0059】
次に、通過判定部706は個体識別情報テーブル800bを参照し個体識別情報を取得する(S912)。通過判定部706はS906とS912で取得した軌跡情報と個体識別情報のタイムスタンプを比較して紐付けを行う(S913)。詳細は図11−13を用いて後述する。
【0060】
通過判定部706は紐付けた結果を計測結果テーブル800cに格納する(S914)。そして、他システムからの要求を受けて、もしくは定期的に他システムに対して計測結果を送信する(S915,S916)。
【0061】
尚、通過判定部706がデータベース707を参照するタイミングや、RFアンテナ304やレーザセンサ301,302が情報を送る順番は必ずしもこのシーケンスの順である必要はない。
【0062】
図10に別のシーケンスを示す。図9と基本的な流れは同じであるが、S1005,S1010の流れが異なる。図10の例では、軌跡演算部704はデータベース707ではなく通過判定部706に直接軌跡情報を渡している(S1005)。また、固体識別受信部705も直接通過判定部706に固体識別情報を渡している(S1010)。
【0063】
こうすることで、通過判定部706は軌跡情報などを渡されたことをトリガーとして処理を始めることができる。また、テーブル800a、800bが不要であればデータベース707の記憶容量を節約できる。
【0064】
また、この方法以外にも、軌跡情報と個体識別情報のいずれか片方をデータベース707に記憶して、網片方のみを直接通過判定部706に渡してトリガーとしてもよい。
【0065】
次に、図11にS913の紐付け処理の例1を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬Aが先にエリア602に侵入した場合である。この場合、馬Bより先に馬Aの固体識別情報がサーバ装置105に上がってくる。
【0066】
また、図9のS904で馬A,Bの2つの軌跡情報が入手できる。よって、通過判定部706は軌跡情報の内、先にエリア602に侵入している軌跡情報と馬Aの個体識別情報を紐付け、後にエリア602に侵入している軌跡情報と馬Bの個体識別情報を紐付ける。
【0067】
次に、図12にS914の紐付け処理の例2を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬A、Bが同時にエリア602に侵入した場合である。この場合、同じタイムスタンプで馬A,Bの固体識別情報がサーバ装置105に上がってくるため、図11で説明した紐付けはできない。
【0068】
そこで、先にどちらがエリア602を出たか(先にRFアンテナ304で検知できなくなったほう)で紐付けを行う。
【0069】
図12の例だと馬Aが先にエリア602を出ているので、先にエリア602を出ている軌跡情報と紐付ける。馬Bが後にエリア602を出ているので、後にエリア602を出ている軌跡情報と紐付ける。
【0070】
次に、図13にS914の紐付け処理の例3を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬A、Bが同時にエリア602に侵入して同時に出た場合である。この場合、図11,12の方法では軌跡情報と固体識別情報の紐付けはできない。しかし、通過タイムを計測するのであるから、どう紐付けてもよい。例えば、個体識別情報で番号の小さいほうから順に上がってきた軌跡情報に紐付けるなどすればよい。
【0071】
以上の実施例で説明した態様によれば、従来課題であった、天候による検出制度の低下の抑制を解決できる。また、レーザセンサを利用するのでGPSのように障害物に影響されることもなく、並走した移動体を単純な方式で容易に識別可能となる。また、レース用トラックなどでの向きも関係なく、高精度な計測が可能となる。また、RFアンテナ304は個体識別情報を検知するのでセンサともいえる。
【符号の説明】
【0072】
101:コース
102:計測ゲート
103:伝送装置
104:無線通信装置
105:サーバ装置
300:アンテナポール
301:左上レーザセンサ
302:右上レーザセンサ
303:LFアンテナ
304:RFアンテナ
305:競走馬
401:固体識別タグ
402:通過線
701:送受信ユニット
702:SW−HUB
703:送受信部
704:軌跡演算部
705:固体識別受信部
706:通過判定部
707:データベース
708:送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体の計測地点の通過タイムを計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、競馬などのタイムを競う競技ではタイム計測を計測機器を使い自動で行っていることが多い。
【0003】
例えば、競走馬はレースの前の調教の際にタイムを計る。調教で得たタイムは公式に発表され新聞などに掲載される。現在、坂路調教は自動計測を行っている。自動化は、競走馬には個体識別を示すバーコードを背負わせ、ゲートを通過した瞬間に読みとる仕組みを採用している。競走馬単位の通過タイムを測定することが出来る。また最近では屋根付のコースを作り天候に関係なく調教を行っている。
【0004】
また、特許文献1のようにゲート又はゲート近くに設置された磁界源と、被測定体に設置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したときに通過時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器と用意し、これにより、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時する技術もある。
【0005】
他にも、特許文献2のように全地球測位システム(GPS)を使って競走馬の位置情報データを収集する仕組みと、通過地点に設置された光学センサで少なくとも1頭の通過を検知する方法がある。通過タイムは、光学センサが検知した時刻を採用し、他の馬は、光学センサで検知した少なくとも1頭を基準にGPSの位置情報から相対関係から補正計算し通過タイムを解析するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3219829号公報
【特許文献2】特開2003−296493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のバーコードでの固体識別では霧などの天候の影響で検出精度が下がる場合があった。
【0008】
また、磁界による通過検出では、各被測定体に搭載された記録器に記録されるため、離れてタイムを監視している人やシステムはリアルタイムに通過を知ることが出来ない。磁界の通過、及び磁束の角度から通過を検知するため、コースを一方通行でしか計測できない。同じコースを双方向で使う場合は、磁界源を2つ用意するか、被測定体に切替機能が必要となる。さらに、被測定体に搭載するタイマや記録器は常に電力を消費続けるものであり、電池の残量によっては記録器を回収したときにデータが消失している可能性がある。
【0009】
また、GPSを使っての位置を特定では、屋外の調教コースのみに限られてしまい覆馬場や屋根付コースには適しない。また、屋外であっても両サイドに柵を要したコースでは、人工衛星の位置関係により検知率が落ちてしまう。競走馬は併せて走る調教も行うため、位置検知の精度の低下と併せて走る左右の競走馬の関係が入れ替わって情報をあげてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、第1のエリア内の前記移動体の座標情報を取得する第1のセンサと、第2のエリア内の移動体の固体識別機器から個体識別情報を取得する第2のセンサと、前記座標情報と前記個体識別情報を送信する伝送部と、前記座標情報と前記個体識別情報を受信し、それぞれのタイムスタンプに基づいて両者を関連付けるサーバ装置を有する移動体計測システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、天候に左右されにくい高精度な計測システムを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】システム概要の一例
【図2】別のシステム概要の一例
【図3】計測ゲートの上面図の一例
【図4】計測ゲートの正面図の一例
【図5】移動体に計測タグを設置した場合の一例
【図6】移動体を計測した場合のイメージ図の一例
【図7】計測システムの詳細な機能ブロック図の一例
【図8a】データベースのテーブル一例
【図8b】データベースのテーブル一例
【図8c】データベースのテーブル一例
【図9】計測システムの処理のシーケンスの一例
【図10】計測システムの処理のシーケンスの別の一例
【図11】計測情報の紐付けイメージ1の一例
【図12】計測情報の紐付けイメージ2の一例
【図13】計測情報の紐付けイメージ3の一例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本実施例は主に競走馬の計測装置としてのシステムを例示するが、実際には用途は競走馬に限られない。複数の移動体のタイムを計測するような状況であれば利用可能である。例えば、マラソンや競輪、カーレースなどが考えられる。
【0014】
図1に本実施例に係わる計測システムの概要を示す。
【0015】
図1では競走馬の走るコース101に計測ゲート102を均等に配置している。計測ゲート102による計測データは伝送装置103に送信され、無線通信装置104を介してサーバ装置105に送信される。尚、無線通信装置104とサーバ装置105の間に他のネットワーク装置、例えば、スイッチやルータを置いてもかまわない。また、図1では馬の通過タイムの計測を想定した内容になっているが、馬に限らず人や車等の他の移動体に適用してもよい。
【0016】
図2に本実施例に係わる計測システムの別の例を示す。図1との違いは各計測ゲート102の伝送装置103を無線通信装置104により無線でリング状に通信してサーバ装置105とデータをやり取りする部分である。この構成にすることにより下記の効果が得られる。
【0017】
1つ目は、図1では各計測ゲート102とサーバ装置105は1対1で接続されているが、図2は迂回ルートを持つことで計測システム全体の冗長化が可能となる。
【0018】
2つ目は、計測結果の誤差を抑制することが可能である。ミリ秒単位で通過タイムを計測するような場合通信時間による遅延でも誤差が生じえる。一つのコース上に並ぶ各計測ゲート102が持つ時刻情報は同期されていなければなければならない。そこで、無線通信装置104間の通信にかかる遅延を予め計測しておきサーバ装置106に設定しておく。次に取得データの誤差を、予め計測した遅延で修正することが可能となる。
【0019】
図3に計測ゲート102を上面から見た図の例を示す。
【0020】
計測ゲート102は左右にアンテナポール300を設置し、アンテナポール300の間、競走馬の通過するルートの上方にアンテナを設置した状態となっている。アンテナポール300は200メートル間隔でコースの左右に設置されている。
【0021】
すなわち、計測ゲート102はコース上に200メートル間隔で設置されていることになる。これは競馬でいうハロン棒の位置にあわせたものとなっている。他の競技や移動体に合わせる場合は必ずしも200メートル間隔である必要はない。
【0022】
左右アンテナポール300には後述するアンテナ等のデータを送受信するための伝送装置103と無線通信装置104が設置されている。図3では伝送装置103と無線通信装置104が左右のアンテナポール300に分かれて付いているが同じアンテナポール300についていてもよいし、どちらのアンテナポール300についていてもよい。
【0023】
伝送装置103は内部に送受信するデータを転送するスイッチングハブや電源などが入っている。無線通信装置104は伝送装置103が無線によって他の装置と通信する場合に使用する機器である。無線通信装置104を使用することによりケーブルを多地点に引くことなく通信が可能となる。
【0024】
左右アンテナポール300にはそれぞれ競走馬305の進行方向からみて左上に左上レーザセンサ301、右上に右上レーザセンサ302が設置されている。これは移動体等の座標を計測でき、ミリ秒単位で計測が可能である。本実施例では、計測ゲート102の通過点とみなす点線エリア402の前後一定距離の座標を入手するように設定しておく。
【0025】
また、左右アンテナポール300の間にループ上にしてLFアンテナ303を設置する。これは競走馬305に取り付ける固体識別タグ401に電波を照射するものである。尚、必ずしもループ上である必要はない。
【0026】
RFアンテナ304は固体識別タグ401から個体識別情報を入手するためのアンテナである。図示されていないが左右アンテナポール300から棒などで固定されている。
【0027】
固体識別タグ401は競走馬305に取り付けるものであり、LFアンテナ303から電波の照射を受けて、個体識別情報を発信するものである。発信した個体識別情報はRFアンテナ304により受信される。
【0028】
本システムでは、レーザセンサ301,302により競走馬305の座標情報を入手し、LFアンテナ、RFアンテナ、固体識別タグで個体識別情報を入手する。これら座標情報と個体識別情報は個別にサーバ装置105に送信される。
【0029】
図4に計測ゲート102の正面から見た図の例を示す。図3の計測ゲート102を競走馬305の進入する側から見た図である。
【0030】
本図の例では、伝送装置103は保守しやすいようにアンテナポール300横の低い場所に設置されている。尚、伝送装置103はアンテナポール300と離れていてもよい。
【0031】
無線通信装置104はなるべく障害物がなく通信しやすいようにアンテナポール300の上の方に設置されている。特に問題が無いのであれば低い場所に設置しても良い。
【0032】
レーザセンサ301、302はアンテナポール300の上の方から競走馬305の走るコースを見下ろす形で設置されている。レーザセンサ301,302は非常に弱いレーザであるが、可能な限り騎手や競走馬の視野角の外に配置することにより目などに照射することを抑制する。
【0033】
LFアンテナ303はコース上面にループ上に配置され、コース全体にむらなく電波を照射する。LFアンテナ303を設置する際は、ループアンテナに塩化ビニル管などをつけて保護してもよい。保護と同時に落下した際に落下したことが分かるように太い管として目立つようにするためである。これにより細い紐状の線がコースに落ちていたため落馬事故を招くという事態を回避できる。
【0034】
RFアンテナは左右のアンテナポール300に取り付けるだけでもよいが、図のようにコース上面にむらなく配置することにより競走馬305が複数並走するような場合でも固体識別情報の取りこぼしを抑制することができる。図示していないがRFアンテナは左右のポールに設置される棒などによって固定されている。
【0035】
また、図示していないが各アンテナやレーザセンサと伝送装置103はケーブルで接続されており、各アンテナやレーザセンサで取得された情報は伝送装置103に送られる。伝送装置103は無線通信装置104とケーブルで接続されている。これらのケーブルを無線に置き換えても良い。
【0036】
図4からわかるように本システムでは正確な計測と騎手、競走馬305の安全に最大限配慮した構成となっている。また、コースを掘り返したりする必要がなく、全てアンテナポール300の周りに取り付けるだけで実現できるので既存の設備を最大限に利用し設置コストの抑制を図ることができる。
【0037】
図5に競走馬305に固体識別タグ401を取り付けた例を示す。必ずしも図の位置につける必要はないが、現行のバーコード装着用パーツなどを流用するように設計することで併設期間の運用及び本番切換時の移行が容易となる。現行の装備を特に流用する必要がないのであればどこにつけてもよい。
【0038】
図6に計測のイメージを示す。レーザセンサ301,302はレーザセンサ検出エリア601内の移動物体の座標を検出できる。言い換えれば、レーザセンサ検出エリア601内の移動物体の軌跡を追うことが可能である。ここでの座標情報とは検出エリア601内での座標のことである。
【0039】
エリア602はLFアンテナ303の電波の出力範囲を示し、そのエリア内で固体識別タグ401が反応して、個体識別情報をRFアンテナ304に返す。エリア602の範囲はLFアンテナ303の設置する高さで範囲を変更できる。高い位置に設置するほどエリア602の範囲は広くなる。
【0040】
サーバ装置105ではレーザセンサ301、302で取得した座標情報とRFアンテナ304で受信した個体識別情報をタイムスタンプに基づき紐付けることにより複数の競走馬が並走した場合でも個別に通過タイムを計測できる。
【0041】
図7に図1の構成の場合の計測システムの詳細な構成図を示す。図の例では計測ゲート102の設備は200メートル地点ごとに設置されており、それぞれがサーバ装置105と通信している。図2の場合だとこれがリング状になる。
【0042】
左上レーザセンサ301と右上レーザセンサ302は伝送装置103内のSW−HUB702(スイッチングハブ)に接続されており、計測対象の座標情報を送信する。
【0043】
LFアンテナ303とRFアンテナ304は送受信ユニット701を介してSW−HUB702に接続されている。送受信ユニット701は取得した座標情報にタイムスタンプを付加する。また、固体識別タグ401に対し発信する周波数の情報をLFアンテナ303に送信する。尚、タイムスタンプの付加はサーバ装置105の固体識別受信部705で行っても良い。RFアンテナ304は計測対象の個体識別情報を送信する。座標情報と個体識別情報は、無線通信装置104を介して、個別にサーバ装置105に送信される。
【0044】
サーバ装置105では無線通信装置104を介して情報を送受信する送受信部703と、受信した座標を処理する軌跡演算部704と、受信した個体識別情報を処理する固体識別受信部705と、計測対象が所定の位置(本実施例だと計測ゲート102)を通過したかを判定する通過判定部706を有する。軌跡演算部704では座標情報にタイムスタンプを付加する。尚、遅延の影響を考えて伝送装置103内外に座標情報にタイムスタンプを付加するタイムスタンプ取得部、または装置を設けても良い。
【0045】
また、判定に利用する情報と判定結果を格納するデータベース707と、他のシステムにデータベース707の情報を送信したり、設定を受け取ったりする際に利用する送受信部708を有する。
【0046】
尚、サーバ装置は一般的なコンピューターを用いて、軌跡演算部704と、固体識別受信部705と、通過判定部706をメモリ上のプログラムとしてプロセッサに実行させる構成とすることも可能である。データベース707はHDDなどの記憶媒体に記憶する。送受信部703,708は一般的なネットワークインタフェースを利用することも可能である。
【0047】
図8a〜図8cにデータベース707に格納される情報の一例を示す。
【0048】
図8aは座標情報テーブル800aである。伝送装置103から受信した座標情報を格納する。座標801aと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報802aと、通過年月日803aと、通過時刻秒804aを格納する。
【0049】
尚、図6のレーザセンサ検知エリア601内に移動体がいる間は常に座標情報は連続して上がってくるので同一の移動体のものであることを示す識別子をレコードに追加しても良い。複数の移動体が同時にレーザセンサ検知エリア601内に進入する可能性があるためである(詳しくは図9を用いて説明する)。また、通過年月日803aと、通過時刻秒804aを一つにしてもよい。通過時刻秒804aはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日803aをなくしてもよい。
【0050】
図8bは個体識別情報テーブル800bである。伝送装置103から受信した個体識別情報を取得する。移動体を一意に識別する個体識別情報801bと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報802bと、通過年月日803bと、通過時刻秒804bを格納する。尚、通過年月日803bと、通過時刻秒804bを一つにしてもよい。通過時刻秒804bはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日803bをなくしてもよい。
【0051】
図8cは計測結果テーブル800cである。伝送装置103から得た座標情報と個体識別情報を紐付けた結果を格納する。個体識別情報801cと、座標802cと、どの観測ゲート102の情報かを示す通過地点情報803cと、通過年月日804cと、通過時刻秒805cを格納する。尚、通過年月日804cと、通過時刻秒805cを一つにしてもよい。通過時刻秒805cはミリ秒単位で時刻を取得するが、計測する移動体により時刻単位は変えても良い。また、年月日が必要なければ、通過年月日804bをなくしてもよい。
【0052】
図9にシステム全体のシーケンスを示す。計測ゲート102の送受信ユニット701は常にLFアンテナに周波数Fを送信する(S901)。この周波数はLFアンテナから照射され続け、検知範囲にタグは入ると反応する仕組みである。
【0053】
次に、図6のように移動体がレーザセンサ検知エリア601に進入すると、移動体がレーザセンサ検知エリア601を出て行くまで左右レーザセンサはそれぞれ軌跡演算部に座標情報を送り続ける(S902,S903)。(詳しくはSW−HUB702,無線通信装置104、送受信部703も介している)
軌跡演算部704は左右レーザセンサから得た情報から軌跡データを作成し、タイムスタンプを付加する(S904)。例えば、移動体A,B,Cが併走しているとき、左右レーザセンサが同じ場所を測定していて見えない移動体が有る場合がある。左レーザーからは、A、Bがみえて、Cは、A、Bの影で見えないとする。すると、左からは(Xa,Ya)と(Xb、Yb)の2つの座標が上がってくる。右レーザーからは、B、Cがみえて、Aは、BCの影で見えないとする。すると、右からは(Xb,Yb)と(Xc,Yc)の2つの座標が上がってくる。
レーザーセンサからは、見えた物体の座標のみ上がる。識別は未だ分からない。このとき、軌跡演算部704では2つの情報を合わせて重複する座標を整理し、エリア内に3つの移動体がいるとわかる。また、それぞれの座標情報にタイムスタンプを付加する。
【0054】
また、連続してレーザセンサが計測した座標情報で座標が最も近いもの同士を同一の移動体の軌跡とする。例えば、移動体A,B、Cをミリ秒単位で座標を計測し、明らかに近い座標同士をつなげていくと3つの移動軌跡が手に入る。これらの距離の近い座標をまとめたものを固体識別はできないが未確認の移動体A,B,Cの軌跡情報とする。尚、必ずしもまとめかたは上記の方法に限られない。順次上がってくる座標をどれの座標かという関連を1まとまりに関連付ければよい。距離だけでなく座標間のベクトル、角度等も併せて関連付けても良い。移動体がクロスする場合などに、いきなりそれぞれが鋭角に進行方向を曲げることは考えにくいので、前後の座標を繋げたときに進行方向に対して一定以上角度が曲がる場合は関連無しと判断するなどができる。当然、これは計測する移動体の種類による。急激に移動するものに対してはより妥当な関連付けを行う。
【0055】
上記軌跡情報をデータベース707の座標情報テーブル800aに格納する(S905)。このとき各レコードでどの移動体の軌跡情報かを示す識別子を追加してもよい。
【0056】
次に通過判定部706は座標情報テーブル800aを参照し軌跡情報を入手する(S906)。
【0057】
上記S902−S906までとは独立して、移動体がRFアンテナ304の検知範囲であるエリア602に進入した場合、移動体に取り付けられた固体識別タグ401が周波数Fを受信し(S907)、RFアンテナ304は固体識別タグ401から個体識別情報を受信する(S908)。
【0058】
次に、RFアンテナ304は個体識別情報を送受信ユニット701に送信する(S909)。次に、送受信ユニット701は個体識別情報にタイムスタンプを付加して固体識別受信部705に送信する(S910)。固体識別受信部705は固体識別情報を個体識別情報テーブル800bに格納する(S911)。
【0059】
次に、通過判定部706は個体識別情報テーブル800bを参照し個体識別情報を取得する(S912)。通過判定部706はS906とS912で取得した軌跡情報と個体識別情報のタイムスタンプを比較して紐付けを行う(S913)。詳細は図11−13を用いて後述する。
【0060】
通過判定部706は紐付けた結果を計測結果テーブル800cに格納する(S914)。そして、他システムからの要求を受けて、もしくは定期的に他システムに対して計測結果を送信する(S915,S916)。
【0061】
尚、通過判定部706がデータベース707を参照するタイミングや、RFアンテナ304やレーザセンサ301,302が情報を送る順番は必ずしもこのシーケンスの順である必要はない。
【0062】
図10に別のシーケンスを示す。図9と基本的な流れは同じであるが、S1005,S1010の流れが異なる。図10の例では、軌跡演算部704はデータベース707ではなく通過判定部706に直接軌跡情報を渡している(S1005)。また、固体識別受信部705も直接通過判定部706に固体識別情報を渡している(S1010)。
【0063】
こうすることで、通過判定部706は軌跡情報などを渡されたことをトリガーとして処理を始めることができる。また、テーブル800a、800bが不要であればデータベース707の記憶容量を節約できる。
【0064】
また、この方法以外にも、軌跡情報と個体識別情報のいずれか片方をデータベース707に記憶して、網片方のみを直接通過判定部706に渡してトリガーとしてもよい。
【0065】
次に、図11にS913の紐付け処理の例1を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬Aが先にエリア602に侵入した場合である。この場合、馬Bより先に馬Aの固体識別情報がサーバ装置105に上がってくる。
【0066】
また、図9のS904で馬A,Bの2つの軌跡情報が入手できる。よって、通過判定部706は軌跡情報の内、先にエリア602に侵入している軌跡情報と馬Aの個体識別情報を紐付け、後にエリア602に侵入している軌跡情報と馬Bの個体識別情報を紐付ける。
【0067】
次に、図12にS914の紐付け処理の例2を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬A、Bが同時にエリア602に侵入した場合である。この場合、同じタイムスタンプで馬A,Bの固体識別情報がサーバ装置105に上がってくるため、図11で説明した紐付けはできない。
【0068】
そこで、先にどちらがエリア602を出たか(先にRFアンテナ304で検知できなくなったほう)で紐付けを行う。
【0069】
図12の例だと馬Aが先にエリア602を出ているので、先にエリア602を出ている軌跡情報と紐付ける。馬Bが後にエリア602を出ているので、後にエリア602を出ている軌跡情報と紐付ける。
【0070】
次に、図13にS914の紐付け処理の例3を示す。これは移動体(馬)A,Bが並走していて、馬A、Bが同時にエリア602に侵入して同時に出た場合である。この場合、図11,12の方法では軌跡情報と固体識別情報の紐付けはできない。しかし、通過タイムを計測するのであるから、どう紐付けてもよい。例えば、個体識別情報で番号の小さいほうから順に上がってきた軌跡情報に紐付けるなどすればよい。
【0071】
以上の実施例で説明した態様によれば、従来課題であった、天候による検出制度の低下の抑制を解決できる。また、レーザセンサを利用するのでGPSのように障害物に影響されることもなく、並走した移動体を単純な方式で容易に識別可能となる。また、レース用トラックなどでの向きも関係なく、高精度な計測が可能となる。また、RFアンテナ304は個体識別情報を検知するのでセンサともいえる。
【符号の説明】
【0072】
101:コース
102:計測ゲート
103:伝送装置
104:無線通信装置
105:サーバ装置
300:アンテナポール
301:左上レーザセンサ
302:右上レーザセンサ
303:LFアンテナ
304:RFアンテナ
305:競走馬
401:固体識別タグ
402:通過線
701:送受信ユニット
702:SW−HUB
703:送受信部
704:軌跡演算部
705:固体識別受信部
706:通過判定部
707:データベース
708:送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエリア内の前記移動体の座標情報を取得する第1のセンサと、
第2のエリア内の移動体の固体識別機器から個体識別情報を取得する第2のセンサと、
前記座標情報と前記個体識別情報を送信する伝送部と、
前記座標情報と前記個体識別情報を受信し、それぞれのタイムスタンプに基づいて両者を関連付けるサーバ装置を有する移動体計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第1のセンサは、前記移動体が前記第1のエリア内にいる間、定期的に前記移動体の前記座標情報を取得し、
前記サーバ装置は、受信した前記座標情報を関連付けた軌跡情報単位で、前記固体識別情報と関連付けることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項3】
請求項2記載の移動体計測システムであって、
前記軌跡情報は、複数の前記座標情報と、前記タイムスタンプを含んでいることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項4】
請求項3記載の移動体計測システムであって、
前記移動体が複数存在し、複数の前記個体識別情報を受信した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報の内で前記第2のエリア内に早く進入しているものから順に、前記タイムスタンプの時刻が早い前記個体識別情報と関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項5】
請求項3記載の移動体システムであって、
前記第2のセンサは、前記移動体が前記第2のエリア内にいる間、定期的に前記移動体の前記固体識別情報を前記サーバ装置に送信し、
前記移動体が複数存在し、複数の前記移動体の前記第2のエリア進入時の前記個体識別情報を同じタイムスタンプで取得した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報の内で前記第2のエリア内から早く退出しているものから順に、早く受信できなくなった前記個体識別情報と順次関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項6】
請求項5記載の移動体システムであって、
前記移動体が複数存在し、複数の前記移動体の前記第2のエリア進入時および退出時の前記個体識別情報を同じタイムスタンプで取得した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報と前記個体識別情報を予め定めた方法により順次関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項7】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記移動体計測システムは複数台が移動体の走行路に沿って等間隔に設置されており、
各前記移動体計測システムの前記伝送部は前記サーバ装置も含めリング状に通信し、
それぞれの前記移動体計測システムから前記サーバ装置までの通信による遅延時間を基に前記座標情報と前記個体識別情報の前記タイムスタンプを修正することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項8】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第1のセンサはレーザセンサであって、
前記走行路の左右にあるポールに設置され、前記移動体を上方から検知することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項9】
請求項8記載の移動体計測システムであって、
前記サーバ装置は、前記左右にあるポールに設置された前記レーザセンサからの情報で重複する前記座標情報を統合することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項10】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第2のセンサを前記走行路の左右にあるポールの間に複数配置することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項11】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記固体識別機器は固体識別用タグであり、当該固体識別用タグに電波を発信する発信アンテナを有し、
前記発信アンテナは保護膜で覆われており可視性を高めていることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項12】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記サーバ装置との通信は無線通信装置を介することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項1】
第1のエリア内の前記移動体の座標情報を取得する第1のセンサと、
第2のエリア内の移動体の固体識別機器から個体識別情報を取得する第2のセンサと、
前記座標情報と前記個体識別情報を送信する伝送部と、
前記座標情報と前記個体識別情報を受信し、それぞれのタイムスタンプに基づいて両者を関連付けるサーバ装置を有する移動体計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第1のセンサは、前記移動体が前記第1のエリア内にいる間、定期的に前記移動体の前記座標情報を取得し、
前記サーバ装置は、受信した前記座標情報を関連付けた軌跡情報単位で、前記固体識別情報と関連付けることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項3】
請求項2記載の移動体計測システムであって、
前記軌跡情報は、複数の前記座標情報と、前記タイムスタンプを含んでいることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項4】
請求項3記載の移動体計測システムであって、
前記移動体が複数存在し、複数の前記個体識別情報を受信した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報の内で前記第2のエリア内に早く進入しているものから順に、前記タイムスタンプの時刻が早い前記個体識別情報と関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項5】
請求項3記載の移動体システムであって、
前記第2のセンサは、前記移動体が前記第2のエリア内にいる間、定期的に前記移動体の前記固体識別情報を前記サーバ装置に送信し、
前記移動体が複数存在し、複数の前記移動体の前記第2のエリア進入時の前記個体識別情報を同じタイムスタンプで取得した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報の内で前記第2のエリア内から早く退出しているものから順に、早く受信できなくなった前記個体識別情報と順次関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項6】
請求項5記載の移動体システムであって、
前記移動体が複数存在し、複数の前記移動体の前記第2のエリア進入時および退出時の前記個体識別情報を同じタイムスタンプで取得した場合、
前記サーバ装置は、前記軌跡情報と前記個体識別情報を予め定めた方法により順次関連付けていくことを特徴とする移動体計測システム。
【請求項7】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記移動体計測システムは複数台が移動体の走行路に沿って等間隔に設置されており、
各前記移動体計測システムの前記伝送部は前記サーバ装置も含めリング状に通信し、
それぞれの前記移動体計測システムから前記サーバ装置までの通信による遅延時間を基に前記座標情報と前記個体識別情報の前記タイムスタンプを修正することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項8】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第1のセンサはレーザセンサであって、
前記走行路の左右にあるポールに設置され、前記移動体を上方から検知することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項9】
請求項8記載の移動体計測システムであって、
前記サーバ装置は、前記左右にあるポールに設置された前記レーザセンサからの情報で重複する前記座標情報を統合することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項10】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記第2のセンサを前記走行路の左右にあるポールの間に複数配置することを特徴とする移動体計測システム。
【請求項11】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記固体識別機器は固体識別用タグであり、当該固体識別用タグに電波を発信する発信アンテナを有し、
前記発信アンテナは保護膜で覆われており可視性を高めていることを特徴とする移動体計測システム。
【請求項12】
請求項1記載の移動体計測システムであって、
前記サーバ装置との通信は無線通信装置を介することを特徴とする移動体計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−128540(P2012−128540A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277577(P2010−277577)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【特許番号】特許第4797116号(P4797116)
【特許公報発行日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【特許番号】特許第4797116号(P4797116)
【特許公報発行日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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