説明

通過情報処理装置

【課題】走行区間の判定後に、通行料金算出のため通過情報を変更することができる通過情報処理装置を提供する。
【解決手段】通過情報処理装置は、有料道路の拠点に設けられ、通過した車両のETC情報を検出し、このETC情報と、前記車両が前記拠点を通過した日時と、通過した拠点を特定する情報とを通過情報として中央装置へ送信する拠点装置を備えた道路情報処理システムにおいて、この中央装置は通過情報保存手段と突合マスタ情報保存手段と突合手段とを備える。通過情報保存手段は、拠点装置から受信した通過情報を保存する。突合マスタ情報保存手段は通過した拠点に応じて通行料金の割引対象となる走行経路を保存する。突合手段は突合マスタ情報を参照して通過情報の走行経路が割引対象となるか判定し、割引対象となる場合には、通過情報に割引対象であることを示す情報を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、有料道路の通行料金を算出するためのETCシステムの通過情報
を処理する通過情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通機関の利用にあたり、ポストペイ(後払い)方式で料金を課金されることが
ある。鉄道では、ICカードの使用によりポストペイ方式で乗車できる。
【0003】
また、有料道路では、ETC(Electronic Toll Collectio
n)システムによって、ICカードを車載器に挿入しておくと、通行料金の課金をポスト
ペイ方式にできる。
【0004】
ポストペイ方式では、ETC装置を搭載した車両(以下、ETC車両と呼ぶ)が入口を
通過した時点でICカードに入口情報を書き込み、出口を通過する時点で利用区間に応じ
た通行料金を算出し、一定の期間ごとにクレジットカード会社等の決済事業者へ情報を送
信することで、利用者の銀行口座から通行料金を徴収することが可能となっている。
【0005】
なお、利用者の通過経路に応じて通行料金を割引くには、最終出口に通行料金の引去り
施設が必要となる。例えば、入口で均一料金を支払う有料道路など、出口に至る手前の地
点でまず一定の料金を課金するが、その地点では最終出口が不明だからである。
【0006】
また、有料道路を乗り継いで何回か通行料金が課金される場合、いずれかの区間で割引
くには、料金所や駅などでの支払いではなく、事後処理で精算する必要がある。
【0007】
事後処理では、ETC車両が入口を通過したという情報と、出口を通過したという双方
の情報からETC車両の走行区間を判定して通行料金を精算する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−338318公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際には、ETC車両が最終出口(有料道路を乗り継いで最後に出た出口)を出た後で
、走行区間や車種など通過情報の変更が必要になる場合がある。
【0010】
例えば、誤った車種判定に基づいて課金されたり、料金所に設けられたETCゲートと
ICカードとの通信に失敗したり、通信回線の障害により受信が遅れた場合などである。
【0011】
このように、入口と出口の組合せや計算された通行料金が走行区間の判定後に変わると
、利用者の申告に基づき手作業で通行料金を計算して修正しなければならないという問題
があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、走行区間の判定後に、さらに通行料金算出のため通
過情報を変更できる通過情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の通過情報処理装置は、有料道路の拠点に設けられ、通過した車両のETC車
載器に挿入されたICカードのカード番号を含むETC情報を検出し、このETC情報と
、前記車両が前記拠点を通過した日時と、通過した拠点を特定する情報とを通過情報とし
て中央装置へ送信する拠点装置を備えた道路情報処理システムにおいて、この中央装置は
、通過情報保存手段と突合マスタ情報保存手段と突合手段とを備える。
【0014】
通過情報保存手段は、拠点装置から受信した通過情報を保存する。
【0015】
突合マスタ情報保存手段は通過した拠点に応じて通行料金の割引対象となる走行経路を
突合マスタ情報として保存する。
【0016】
突合手段は突合マスタ情報を参照して通過情報の走行経路が割引対象となるか判定し、
割引対象となる場合には、通過情報に割引対象であることを示す情報を付加する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の通過情報処理装置1の全体構成を示す図。
【図2】出口に設置されたフリーフロー装置4を示す図。
【図3】ETC情報21、入口情報22、出口情報23、通過情報31の例を示す図。
【図4】路線の例を示す図。
【図5】突合マスタ情報32の例を示す図。
【図6】全体処理を示すフローチャート。
【図7】突合処理を示すフローチャート。
【図8】置き換え処理を示すフローチャート。
【図9】通過情報31の例を示す図。
【図10】通過情報の受信と突合処理のタイミングを示す図。
【図11】突合済みの通過情報が、再突合される具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
(1)システム構成
本実施例の通過情報処理装置1の構成を示すブロック図を図1に示す。同図に示すよう
に通過情報処理装置1は、各拠点2に設けられた料金所装置3やフリーフロー装置4と、
インターネット等のネットワーク5を介して接続された中央装置6とで構成されている。
【0020】
拠点2は、有料道路のインターチェンジやジャンクションといった通行料金を設定する
区間の起点や終点となる場所である。
【0021】
インターチェンジの料金所に設けられた料金所装置3は、ETC車両がETCゲートを
通過した際にETC車両から受信したETC車両のETC情報21を拠点2の入口情報2
2や出口情報23とともにネットワーク5を介して中央装置6に送信するコンピュータで
ある。
【0022】
フリーフロー装置4は、図2に示すように有料道路上に設置されたアンテナであって、
ETC車両が通過した際にETC車両から受信したETC車両のETC情報21を拠点2
の入口情報22や出口情報23とともにネットワーク5を介して中央装置6に送信する。
【0023】
中央装置6は、拠点2に設けられた料金所装置3やフリーフロー装置4(以下、これら
を拠点装置と呼ぶ)ネットワークを介して接続された通信部7、制御部8、データベース
9で構成されたコンピュータである。通信部7は、拠点装置や外部システムのデータ処理
装置(クレジットカード会社11)との間で後述する各種データを送受信する通信装置で
ある。制御部8は、アプリケーションプログラムで実現され、中央装置6の各部を制御す
る。データベース9は、受信したETC情報21、入口情報22、出口情報23を対応付
けて通過情報31として保存するデータベースである。なお入口情報22を含んだETC
情報21と出口情報23と対応付けて通過情報31として保存する場合もある。
【0024】
データベース9は、通過情報31の他に、予め設定された突合マスタ情報32や通行料金
表も保存している。なお、有料道路の入口、出口、本線料金所を以降、ICと称する。
【0025】
ETC情報21は、車両に搭載された車載器に挿入されるICカードに登録されている
情報で、少なくとも図3(a)に示すように車種(ア)、カード番号(イ)で構成されて
いる。ETC車両が有料道路へ進入の際に拠点装置を通過すると図3(b)に示す有料道
路の利用日付(ウ)、IC番号(エ)、入口時刻(オ)で構成される入口情報22をET
C車両が受信し、車種(ア)、カード番号(イ)、入口IC番号(カ)と対応付けて図3
(c)に示すようにICカードに保存する。
【0026】
図3(c)に示すETC情報21において、車種(ア)は、普通車、大型車、特大車な
どETC車両の種類を示す区分である。
【0027】
カード番号(イ)は、ETC車両が使用しているICカードのETCカード番号である

【0028】
利用日付(ウ)は、ETC車両が有料道路を利用した日付である。
【0029】
IC番号(エ)は、ETC車両が通過したICを一意に識別するための番号である。な
お、料金所の無い入口と出口にもIC番号は付与されている。
【0030】
入口時刻(オ)は、ETC車両が有料道路の入口を通過した時刻である。
【0031】
入口IC番号(カ)は、ETC車両が通過した有料道路の入口のIC番号である。
【0032】
出口情報23は、図3(d)に示すように利用日付(ウ)、IC番号(エ)、出口時刻
(キ)で構成される。
【0033】
出口時刻(キ)は、ETC車両が有料道路の出口を通過した時刻である。
【0034】
出口IC番号(ク)は、ETC車両が通過した有料道路の出口のIC番号である。
【0035】
通過情報31は、入口から出口へ至る走行について表したもので、図3(e)に示すよ
うに、車種(ア)、カード番号(イ)利用日付(ウ)、IC番号(エ)、入口時刻(オ)
、入口IC番号(カ)、出口時刻(キ)、出口IC番号(ク)、走行順(ケ)、受信時刻
(コ)、通行料金(サ)、突合フラグ(シ)で構成される。
【0036】
通過情報31は、ETC車両が有料道路を退出の際に拠点装置がETC情報21を受信
し、出口情報23を対応つけて、拠点装置が中央装置6へ送信する。
【0037】
走行順(ケ)は、中央装置6が受信した通過情報31に走行した順にカード番号ごとに
付けられる連続した番号である。例えば、ある日に有料道路の対距離料金区間を走行し、
均一料金区間を走行すると、対距離料金区間の走行が第1走行で、均一料金区間の走行が
第2走行となる。このように有料道路の料金体系や、有料道路事業者が異なる拠点2から
は別の走行となる。
【0038】
受信時刻(コ)は、中央装置6が通過情報31を受信した時刻である。
【0039】
通行料金(サ)は、データベース9に保存された有料道路の通行料金表に基づいて算出
された課金額である。
【0040】
突合フラグ(シ)は、この通過情報31が突合済みかどうか、を示すフラグである。1
は突合済みを示し、0は未突合を示す。
【0041】
対距離料金区間に設けられた拠点装置では、上記のようにETC情報21がETC車両
との間で送受信される。一方、均一料金区間に設けられた拠点装置では、ETC車両が有
料道路へ進入の際に拠点装置を通過すると、拠点装置が図3(a)に示す車種(ア)、カ
ード番号(イ)をETC車両から受信する。中央装置6は図3(f)に示す入口情報22
と対応つけた図3(g)に示すETC情報21を拠点装置から受信し、通過情報31とし
て中央装置6がデータベース9に保存する。さらに、ETC車両が有料道路を退出の際に
拠点装置が図3(a)に示す車種(ア)、カード番号(イ)を受信する。図3(i)に示
す出口情報23を対応つけた図3(j)に示すETC情報21を中央装置6が拠点装置か
ら受信する。中央装置6では受信したETC情報21に走行順(ケ)、受信時刻(コ)、
通行料金(サ)、突合フラグ(シ)を対応付けて通過情報31としてデータベース9に保
存する。
【0042】
図3(k)にデータベース9に保存されたカード番号(イ)が同じ3つの通過情報31
の例を示す。
【0043】
走行順(ケ)が「第1走行」の通過情報31(M111)は、1234−5678−9
012−3456のETCカード番号を使用した普通車が3月10日に、IC番号001
のICから12:00に進入し、IC番号010のICから13:00に退出して、この
走行により課金される通行料金が¥1,000となっていることを示している。
【0044】
走行順(ケ)が「第2走行」の通過情報31(M112)は、同じETCカード番号の
普通車が3月10日に、IC番号010のICから13:00に進入し、この走行により
課金される通行料金が¥500となっていることを示している。通過情報31(M113
)は、同じETCカード番号の普通車が3月10日に、IC番号011のICから14:
00に退出して、この走行により課金される通行料金が¥0となっていることを示してい
る。
【0045】
図5に示す突合マスタ情報32は、ETC車両が図4に示す対距離料金区間(A地点(
IC番号001)からB地点(IC番号010))のいずれかの入口から有料道路に入り
、矢印方向に走行し、かつ、B地点で均一料金区間(B地点とD地点(IC番号012)
との間)方向に分岐して走行し、均一料金区間のいずれかの出口より有料道路を出た場合
に割引対象となる走行経路を示す情報である。突合マスタ情報32には、ある特定の入口
からETC車両が有料道路に入った場合に、出口として想定されるあらゆる出口を出た場
合の割引対象となる走行経路が登録されている。どの突合マスタ情報32を使用して突合
するかは、通過情報31の走行順(ケ)、入口IC番号(カ)、出口IC番号(ク)から
判断する。
【0046】
本実施例では図4に示すようにIC番号001から010までが対距離料金制で、IC
番号010以降は均一料金制とする。対距離料金制は、走行距離に応じた料金設定に基づ
き出口で課金する。均一料金制は、走行距離によらず一定の料金設定で、入口か本線料金
所で課金する。つまり、A地点からC地点まで走行した場合、IC番号010の本線料金
所では、既に走行した区間の対距離料金と、以降の均一料金が同時に課金される。IC番
号011以降の出口には、フリーフロー装置4が設けられている。
【0047】
図5に示すように突合マスタ情報32は、各行がひとつの走行を表し、走行順(ケ)、
変換フラグ(ス)、仮想出口IC番号(セ)、入口IC番号(カ)、出口IC番号(ク)
の情報で構成される。
【0048】
走行順(ケ)は、有料道路への入出を繰り返した場合、何番目にあたるかを示し、順に
第1走行、第2走行のようにつけられる。
【0049】
変換フラグ(ス)は、どの走行順(ケ)の通過情報31を変換するか表したものである

【0050】
仮想出口IC番号(セ)は、条件を満たす場合に通過情報31の出口IC番号(ク)と
置換える、割引の対象であることを示す仮想のIC番号である。なお、仮想入口IC番号
を設定しても良い。
【0051】
図5に示す突合マスタ情報32では、第1走行に、入口IC番号(カ)001から00
9、出口IC番号(ク)010が設定されている。これはIC番号001から009のい
ずれかのICから有料道路に入り、IC番号010のICから出たことを意味する。また
、第2走行に、入口IC番号(カ)010と、出口IC番号(ク)011が設定されてい
る。これも同様に、IC番号010のICから入り、IC番号011のICから出たこと
を意味する。つまり、「入口IC番号(カ)001乃至009から入ってIC番号010
のICを通過し、出口IC番号(ク)011で出た」場合に割引を適用する。
【0052】
図5で仮想出口IC番号(セ)は「入口IC番号(カ)001乃至009から入って第
1走行の出口でかつ第2走行の入口に該当するIC番号010のICを通過し、第2走行
の出口に該当する出口IC番号(ク)011から出た」場合に置き換えのためのマスター
データとして091が登録されている。この置き換えにより以降の処理では通過情報31
を参照するだけで、割引の対象であることが判別できる。
【0053】
図3(k)の通過情報31(M111)と図5の突合マスタ情報32(M21)を走行
順に比較すると入口IC番号(カ)と、出口IC番号(ク)が一致する。さらに、通過情
報31(M112とM113)と突合マスタ情報32(M22)を走行順に比較すると入
口IC番号(カ)と、出口IC番号(ク)が一致する。よって、通過情報31が突合マス
タ情報32に合致するので、割引を適用できると中央装置6が判定する。
【0054】
まず、拠点装置で通過情報31がどのように収集されるかを説明する。図3(a)に示
すようにETC情報21は車種(ア)が「普通」、カード番号(イ)が「1234−56
78−9012−3456」であることを示している。
【0055】
有料道路の対距離料金区間の入口料金所をETC車両が通過すると、拠点装置はETC
車両へ入口情報22を送信する。図3(b)は入口情報22の利用日付(ウ)が「3月1
0日」、IC番号(エ)が「001」、入口時刻(オ)が「12:00」であることを示
している。
【0056】
ETC車両は、入口情報22をETC情報21に加えて保持する。図3(c)はETC
情報21の入口IC番号(カ)が、入口情報22のIC番号(エ)「001」に基づいて
、「001」となっていることを示している。
【0057】
有料道路の対距離料金区間の出口料金所をETC車両が通過すると、拠点装置はETC
車両からETC情報21を受信する。
【0058】
拠点装置は、拠点装置が受信したETC情報21に出口情報23を付加し、通過情報3
1として中央装置6に出力する。中央装置6は、受信した通過情報31を受信時刻と対応
づけてデータベース9に保存する。図3(d)は出口情報23の利用日付(ウ)が「3月
10日」、IC番号(エ)が「010」、出口時刻(キ)が「13:00」であることを
示している。図3(e)は通過情報31の出口IC番号(ク)が、出口情報23のIC番
号(エ)「010」に基づいて、「010」となっていることを示している。その日の初
めての有料道路の走行なので、走行順(ケ)が「第1走行」となっていることを示してい
る。
【0059】
有料道路の均一料金区間の入口料金所をETC車両が通過すると、拠点装置はETC車
両からETC情報21を受信する。図3(f)は入口情報22の利用日付(ウ)が「3月
10日」、IC番号(エ)が「010」、入口時刻(オ)が「13:00」であることを
示している。
【0060】
拠点装置は、拠点装置が受信したETC情報21に入口情報22を付加し、通過情報3
1として中央装置6に出力する。中央装置6は、受信した通過情報31を受信時刻と対応
づけて図3(h)に示すようにデータベース9に保存する。図3(g)はETC情報21
の入口IC番号(カ)が、入口情報22のIC番号(エ)「010」に基づいて、「01
0」となっていることを示している。
【0061】
有料道路の均一料金区間の出口料金所をETC車両が通過すると、拠点装置はETC車
両からETC情報21を受信する。図3(i)は出口情報23の利用日付(ウ)が「3月
10日」、IC番号(エ)が「011」、出口時刻(オ)が「14:00」であることを
示している。
【0062】
拠点装置は、拠点装置が受信したETC情報21に出口情報23を付加し、通過情報3
1として中央装置6に出力する。中央装置6は、受信した通過情報31を受信時刻と対応
づけて図3(k)に示すようにデータベース9に保存する。
【0063】
(2)処理
本実施形態の通過情報処理装置1の全体処理を示すフローチャートを図6に示す。中央
装置6の制御部8は通信部7を介し拠点装置から通過情報31を受信したか判定する(S
601)。制御部8は通過情報31を受信すると(S601がYES)、データベース9
に保存する(S602)。
【0064】
次に、制御部8は、S601の後、一定時間が経過したか判定する(S603)。一定
時間は任意の待ち時間で、ここでは10分とする。経過していなければ前回の処理から1
0分経過するまで待機する(S604)。経過したら、時系列に並べ替えた通過情報31
と突合マスタ情報32を対比して、割引条件に合うものがあるか突き合わせる突合処理を
する(S605)。
【0065】
突合処理のフローチャートを図7に示す。図5に示す突合マスタ情報32と、図3(k
)に示す通過情報31を用いて説明する。
【0066】
制御部8は、データベース9から突合フラグ(シ)が0(未突合)の通過情報31を1
件抽出する(S701)。なければ全体処置へ戻る。
【0067】
例えば、図3(k)に示すM111を抽出し(S701がYES)、下記条件(1)の
全てを満たす通過情報31がデータベース9にあるか判定する(S702)。
【0068】
条件(1)
・抽出した通過情報31とカード番号(イ)が同一である。
【0069】
・突合フラグ(シ)が1である。
【0070】
・突合の成立条件が、時系列で前後となる通過情報31との組み合わせによる。
【0071】
例えば、図3(k)でM112、M113は条件(1)を満たさないので、突合フラグ
(シ)が「0」で条件(1)の全てを満たす通過情報31がデータベース9になくS70
2がNoなので、S707の置き換え処理をする。
【0072】
置き換え処理(S707)のフローチャートを図8に示す。まず、通過情報31と突合
マスタ情報32で第1走行の入口IC番号(カ)と出口IC番号(ク)が一致するか判定
する(S801)。一致しない場合は、突合処理を終了する。
【0073】
一致した場合、第2走行があるか判定する(S802)。あればS803へ進み、第2
走行の入口IC番号(カ)と出口IC番号(ク)について、第1走行と同様に通過情報3
1と突合マスタ情報32が一致するか判定する(S801)。
【0074】
S802で以降の走行が突合マスタ情報32に無ければ、検索中の通過情報31群は条
件に合致したことになる。そこで変換フラグ(ス)に基づき置き換える。例えば第1走行
に設定されていれば、第1走行の通過情報31を置き換える(S804)。
【0075】
制御部8は、通過情報31が突合条件を満たしている場合、変換フラグ(ス)を参照し
、例えば出口IC番号(ク)を、割引の対象であることを示す仮想出口IC番号(タ)に
置換える。このように、突合マスタ情報32に設定した情報に基づいて通過情報31を事
後的に変更できる。
【0076】
本例の場合、図5に示す突合マスタ情報32で置き換えの対象を示す変換フラグ(ス)
が第1走行なので、第1走行である図3(k)(M111)を仮想出口IC番号091に
置き換える。
【0077】
置き換え後は、第1走行(M111)の通過情報31のうち、出口IC番号が仮想出口
IC番号に置き換えられ、図3(l)(M131)のようになる。また、突合済みかどう
かを示す突合フラグ(シ)が突合済みを意味する1となる(S805)。
【0078】
なお、第2走行までを例示したが、第3走行、第4走行を定義しても構わない。また、
通過情報のIC番号を仮想IC番号に置き換えた後で、例えば料金再計算処理して、さら
に通行料金を割引後の料金に書き換えても構わない。
【0079】
一方、条件(1)の全てを満たす通過情報31がデータベース9にある場合の処理につ
いて説明する例えば、図3(k)に示す通過情報31の処理途中の一部分を図11に示す
。図11(a)に示すように突合マスタ情報32に基づいて、通過情報31のM401と
M403が突合状態となっている。
【0080】
例えば、図11(b)に示すようにM402を抽出すると(S701)、時系列で前後
となる通過情報31のM401とM403を参照し、条件(1)に合うか判定する(S7
02)。条件(1)に合う場合は(S702がYES)、
これら突合済の通過情報31のM401とM403の間に、抽出した通過情報31のM4
02が入るかを判定する(S703)。
【0081】
条件(1)に合う場合は(S703がYES)、以降の通過情報31を突合前の状態に
戻す(S704)。つまり、通過情報31のIC番号が仮想IC番号に置き換えられてい
た場合は元に戻し、突合フラグ(シ)を0にする。
【0082】
S701で抽出した通過情報31に対し、以下の条件(2)に合う出口時刻(キ)が一
番近い通過情報31を1件抽出する(S705)。なければ全体処理へ戻る。例えばS7
01でM402を抽出したら、M401を抽出する。
【0083】
条件(2)
・カード番号(イ)が同一である。
【0084】
・利用日付(ウ)、入口時刻(オ)、出口時刻(キ)が、抽出したデータよりも前であ
る。
【0085】
さらに以下の条件(3)に合う出口時刻(キ)が一番近い通過情報31を1件抽出する
(S706)。なければ全体処理へ戻る。例えばS701でM402を抽出したら、M4
03を抽出する。
【0086】
条件(3)
・カード番号(イ)が同一である。
【0087】
・利用日付(ウ)、入口時刻(オ)、出口時刻(キ)が、抽出したデータよりも後であ
る。
【0088】
M401の出口時刻(キ)以降の通過情報31を突合前の状態へ戻し(S704)、改
めてS705以降を処理して、図11(c)に示すようにM401とM402が突合状態
になる。
【0089】
つまりこれらS702〜S706の処理で、最初にS701で抽出した通過情報31に
対して、時系列で直前と直後の通過情報31を抽出する。例えば、S701でM402を
抽出したら、直前の通過情報31はM401で、直後の通過情報31はM403である。
【0090】
なお、ここで前後各1件抽出するのは、例示した突合マスタ情報32の定義が第2走行
までだからで、第3走行を定義している場合は抽出した通過情報31の前後各2件の合計
5件、第4走行を定義している場合は各3件の合計7件を取得する必要がある。
【0091】
これら3件の通過情報31を、利用日付(ウ)、入口時刻(オ)、出口時刻(キ)で昇
順にソートする。そして先頭から突合マスタ情報32と合うか判定し、合う場合は置き換
え処理(S707)する。
【0092】
このように料金所からの通過情報31をどのような順序で受信しても、再突合によって
通過情報31を変更できる。
【0093】
ETC車両が各拠点を通過して走行していくには時間がかるので、拠点装置からの通過
情報31は順番に中央装置6に送信される。つまり中央装置6は、例えば図4に示すA地
点からB地点までの通過情報31を受信した後、B地点からC地点までの通過情報31を
受信し、この時点で初めて突合マスタ情報32に設定された条件に合うことになる。この
ため制御部8は、後から受信した通過情報31を含めるため一定時間ごとに反復して突合
処理する。
【0094】
また、この反復した突合処理により、利用区間を人手で修正した場合や、通信回線の障
害等のため中央装置6で受信する走行順が前後した通過情報31も、条件に合致すれば割
引できる。
【0095】
通過情報31を通信部7で受信すると、中央装置6はデータベース9に順に保存する。
【0096】
例えば、図3(k)の通過情報31は、14時30分なら正しく突合処理できるが、1
3時30分に処理すると、通過情報31(M113)が揃っていないため、割引対象外と
なる。
【0097】
図9(a)のように、通信回線の障害によって通過情報31をM322、M323、M3
21のように走行順ではなく、M321を受信した後でM322、M323を受信した場
合も同様である。また、図9(b)のように、ETCの障害で通過情報31(M333)
を受信できなかった場合、追加作成する必要があるが、作成前には割引対象外となる。
【0098】
また、突合処理後に、再度、突合処理が必要となるケースの例を示す。図10は、通過
情報31の受信と突合処理のタイミングを示す図である。
【0099】
ケース1:突合条件に合い、通過情報31が変換された後に、以前に生成された通過情
報を受信した場合。図10(a)は、第1走行と第3走行の通過情報31を受信後に突合
処理が行われ、通過情報31が変換された後に、通信障害等で遅れて届いた第2走行の通
過情報31を受信した場合の例である。
【0100】
ケース2:ある時点では突合条件に合わなかったが、それ以降に通過情報31を受信し
たため、合うようになった場合。図10(b)は、第1走行の通過情報31を受信後に突
合処理が行われ、その後で通信障害等で遅れて届いた第2走行の通過情報31を受信した
場合の例である。
【0101】
ケース3:データベースに登録された通過情報31が事後に修正された場合。
【0102】
図10(c)は、第1走行と第2走行の通過情報31を受信後に突合処理が行われ、その
後、走行区間を修正した第2走行の通過情報31を受信した場合の例である。
【0103】
ケース1では、連続していない走行が突合されてしまうため、一度成立した突合関係を
解除し、再度突合させなくてはならない。ケース2と3では、一度突合処理されているが
、再度、突合処理しなければ正しい情報を取得できない。
【0104】
定周期の突合処理では、ある時点では一走行分の通過情報301しかなく突合できなく
ても、次の周期では第2の通過情報31を受信して突合できる場合がある。また、既に突
合状態となった後に回線障害などで以前の通過情報31を受信した場合や、通過情報31
を修正した場合も、突合し直せる。
【0105】
なお、突合処理は、未突合の通過情報31に対して処理するが、突合対象とはならない
通過情報31も毎回対象となるため、通過情報31を受信してから一定時間が経過したも
のは再突合の必要がない確定した情報として扱っても良い。
【0106】
本実施形態によれば、最終出口に料金の精算施設が無くても、通過情報31で割引でき
る。通過情報31を受信する装置としては、ETC車載器との通信用に道路上に設置され
たアンテナ等が挙げられる。
【0107】
本実施形態によれば、幾つかの通過情報により複数の支払いをする場合、任意の支払い
に割引を適用できる。また、通過情報(通行区間、料金等)が変更された後でも、割引に
該当する通行の組み合わせを探せるため、従来手作業だった修正の手間が軽減される。
【0108】
さらに、通過情報が遅れて届いても再突合で正しく処理できるので、全ての通過情報が
揃う前でも処理でき、利用者に迅速な通過情報を提示(例えばインターネットを通じた履
歴の表示や利用証明書の発行等)できる。通過情報は順次処理されるため、最終的に正し
い割引情報を利用者に提示できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したも
のであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その
他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の
省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や
要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる

【符号の説明】
【0110】
1・・・通過情報処理装置
2・・・拠点
3a〜n・・・料金所装置
4a〜n・・・フリーフロー装置
5・・・ネットワーク
6・・・中央装置
7・・・通信部
8・・・制御部
9・・・データベース
11・・・クレジット会社
21・・・ETC情報
22・・・入口情報
23・・・出口情報
31・・・通過情報
32・・・突合マスタ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の拠点に設けられ、通過した車両のETC車載器に挿入されたICカードのカ
ード番号を含むETC情報を検出し、このETC情報と、前記車両が前記拠点を通過した
日時と、通過した拠点を特定する情報とを通過情報として中央装置へ送信する拠点装置を
備えた道路情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、前記拠点装置から受信した前記通過情報を保存する通過情報保存手段
と、
通過した前記拠点に応じて通行料金の割引対象となる走行経路を突合マスタ情報として
保存する突合マスタ情報保存手段と、
前記突合マスタ情報を参照して前記通過情報の走行経路が割引対象となるか判定し、割
引対象となる場合には、前記通過情報に割引対象であることを示す情報を付加する突合処
理を行う突合手段と、
を備えたことを特徴とする通過情報処理装置。
【請求項2】
前記突合手段は、前記突合マスタ情報を参照して前記通過情報の走行経路が割引対象と
なる場合には、前記通過情報の拠点の出口番号を割引対象であることを示す仮想出口番号
に置き換える
ことを特徴とする請求項1に記載の通過情報処理装置。
【請求項3】
有料道路の拠点に設けられ、通過した車両のETC車載器に挿入されたICカードのカ
ード番号を含むETC情報を検出し、このETC情報と、前記車両が前記拠点を通過した
日時と、通過した拠点を特定する情報とを通過情報としてコンピュータへ送信する拠点装
置を備えた道路情報処理システムにおいて、
前記コンピュータに、前記拠点装置から受信した前記通過情報を保存する機能と、
通過した前記拠点に応じて通行料金の割引対象となる走行経路を突合マスタ情報として保
存する機能と、
前記突合マスタ情報を参照して前記通過情報の走行経路が割引対象となるか判定し、割引
対処となる場合には前記通過情報に割引対象であることを示す情報を付加する機能と、
を実現させる為の通過情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−73285(P2013−73285A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210000(P2011−210000)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】