説明

通電処理装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置

【課題】帯状の被通電処理材料の通電部に擦り傷や引っ掻き傷を発生させることなくほぼ均一に通電処理することができる通電処理装置を提供する。
【解決手段】通電処理装置48Aは、感光ウエブ18の導電性金属部に接触しながら給電を行うカソード給電ローラ50Aと、カソード給電ローラ50Aよりも感光ウエブ18の搬送方向下流側に、めっき液61で満たされためっき槽60Aとを備えている。カソード給電ローラ50Aの表面は放電加工されており、表面粗さRyは、5μm以上、30μm未満が好ましく、10〜25μmがより好ましい。感光ウエブ18を挟んでカソード給電ローラ50Aと対向する位置には、感光ウエブ18の導電性金属部をカソード給電ローラ50Aに押圧する弾性ローラ52Aが、カソード給電ローラ50Aに対してほぼ水平方向に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の被通電処理材料の通電部に給電する通電処理装置、及びこの通電処理装置を備えためっき被膜付きフィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺フィルムを搬送しながら連続的にめっき被膜を形成する方法は、特開平7−22473号公報(特許文献1)や特開2004−263215号公報(特許文献2)、特開2004−18949号公報(特許文献3)、特開2004−18948号公報(特許文献4)等に記載されている様に、フィルムの導電面または金属フィルムを陰極ローラに接触させるか、フィルム導電面を液膜を介して陰極ローラに接触させて、その前または後に陽極を投入しためっき浴を配し、該めっき浴にてめっき被膜を形成する方法が知られている。この様な方法でフィルムに連続的にめっき被膜を形成すれば、陰極−陽極を配置したユニットを繰り返し通すことで、容易にフィルム上に厚膜化した所望厚みのめっき被膜を形成することが可能である。
【0003】
しかしながら、PDP(プラズマディスプレイパネル)に多く使用される透明支持体上に導電性金属部と可視光透過性部をパターニングして形成される透光性導電性膜の導電性金属部がハロゲン化銀写真感光材料を現像処理してなる現像銀であって、メッシュパターンが1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成る場合は、導電性を有するといっても、表面電気抵抗が50Ω/□〜500Ω/□程度である上、導電性部がフィルム面上を均一に覆っているわけではない。このため、特許文献1に記載の陰極ローラとフィルムを直接接触させる方法では接触が不安定になりやすく、給電が不安定であった。
【0004】
近年、上記のような問題点を解決するために、特許文献2に記載のように導電性を有する長尺フィルムを電解めっきするときに、給電ローラ部に接触するフィルムの片面からフィルム幅方向に球体状またはローラ状物を、一個または数個で該フィルム面を押圧ながら搬送する方法及び装置が開発された。しかしながら、この方法では帯状フィルムの幅方向全面が均一に押圧されるわけでないので接触抵抗に差異が生じ、均一な給電状態を維持することは困難で給電が不安定となり、めっき膜厚の不均一やめっき表面粗度にムラが発生した。
【0005】
以上の様な状況から、ハロゲン化銀写真感光材料を現像処理してなる現像銀を用いて透明支持体上に導電性金属部と可視光透過性部をパターニングして形成される透光性導電性膜をめっき処理する場合は、いきなり電気めっきを施す事が難しいため、フィルムの表面抵抗を1〜30Ω/□程度になるようまず無電解銅めっきを施した後に特許文献1に記載の方法、もしくは特許文献2〜4に記載されている方法によって銅めっきを施していた。しかしながら、このような無電解銅めっきを用いる方法では工程が長くなるうえ、製造時の薬品経時が短く多量の薬品を消費するため、製品コストの上昇を招いていた。
【0006】
また、給電ローラの回転速度と帯状フィルムの搬送速度に極わずかな差異があっても、スリップによりめっき面にスリ傷欠陥が発生したり、フィルムに皺が発生する問題があった。この課題を解消するために、特開2006−307338号公報(特許文献5)において、ローラ表面の有効面において、最大粗さRmaxを30μm以上とし、ローラ表面の有効面全体に粒径0.03 mm以上、1.5mm以下の粒子を吹き付けて凹凸を形成し、P40以上、P600以下の研磨布紙で表面を研磨した後、研磨をすることが開示されている。ここで、Rmaxは、JIS B 0601−1994 に規定される表面粗さのRyに相当する。
【0007】
しかしながら、メッシュ状または格子状の導電層にめっきを施す際に、給電ローラのローラ表面の有効面において、最大粗さRmax が30μm以上であると、被めっき基材に均一に給電出来ずめっきムラが発生しやすく、また、ローラ表面の凹凸形成に粒径0.03 mm以上、1.5mm以下の粒子を吹き付ける方法では、再現性の良い表面の凹凸形成は困難であり、更に、P40以上、P600以下の研磨布紙で表面を研磨することも再現性の良い表面状態を得ることは困難なことがわかった。また、研磨布紙で表面を研磨後、バフ研磨を施すことは、バフ研磨粉がローラ素材の表面内部に食い込み、ローラ材質と異なる材質が表面を覆い、めっきムラが発生する場合があった。
【0008】
また、給電ローラのスリップ発生なく帯状フィルムの搬送を行うために、特開2006−144121号公報(特許文献6)の図11に、長尺状の被めっき基材に接触して給電するめっき装置用給電ローラとして、並列に配列された2個以上、好ましくは3個以上の、少なくとも両側にローラ部分を有する圧力ローラと、この圧力ローラ両側のローラ部分上の外側端部領域のそれぞれに接触して圧力ローラの回転と共に回転するように巻着されたループ状のエンドレスベルトとからなり、該エンドレスベルトが、その内周側のゴムを含むクッション層と、該クッション層上に設けられた外周側の金属導電層とからなり、そして該外周側の金属電導層が、給電バーからの給電によりフィルム長尺状の被めっき基材の両側端部に接触して印加することができる給電ローラが開示されている。
【0009】
しかしながら、フィルム状導電体からなるめっき基材の通過速度と同期するように、めっき基材両面に回転ローラを少なくとも4個以上設置することは、精密な駆動系が必要となり装置コストが高くなると共に、装置の維持管理の負荷が大きくなる。また、フィルム状基材の搬送張力の変化に対する圧力ローラの圧力調整が困難で実用的でない。
【0010】
上記課題及び給電ローラ(カソード給電電極)とフィルム長尺状の被めっき基材との速度差によるスリップで生じためっき基材接触面の擦り傷を解消するために、特開2005−248269号公報(特許文献7)に、カソード給電電極をローラでなく、極薄板状片からなる導電性弾性体を搬送フィルム長尺状被めっき基材に弾性接触させて給電することが開示されている。しかしながら、搬送されているメッシュ状または格子状の導電層にめっきを施すフィルム長尺状被めっき基材に、固定されている物体が弾性体といえども接触していると、擦り傷及び掻き傷が発生し、安定しためっき被膜の製造を行うことは困難である。
【特許文献1】特開平7−22473号公報
【特許文献2】特開2004−263215号公報
【特許文献3】特開2004−18949号公報
【特許文献4】特開2004−18948号公報
【特許文献5】特開2006−307338号公報
【特許文献6】特開2006−144121号公報
【特許文献7】特開2005−248269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、帯状の被通電処理材料の通電部に擦り傷や引っ掻き傷を発生させることなく安定的に給電することができる通電処理装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、支持フィルム上に通電部が形成された帯状の被通電処理材料に接触して給電する給電ロールと、前記給電ロールより前記被通電処理材料の搬送方向下流側に前記通電部を電解液内で通電処理する通電処理槽と、を備える通電処理装置であって、前記給電ロールは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであることを特徴としている。ここで、Ryは、JIS B 0601−1994 に規定される表面粗さである。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、帯状の被通電処理材料に接触する給電ロールによって通電部に給電し、給電ロールより被通電処理材料の搬送方向下流側に配置された通電処理槽によって通電部を電解液内で通電処理する。給電ローラは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであるため、帯状の被通電処理材料に接触させて給電するときに、被通電処理材料とのスリップの発生が抑制され、通電部に擦り傷や引っ掻き傷が発生することが抑制される。また、給電ローラの表面が粗すぎないため、給電ローラの表面と被通電処理材料とを安定して接触させることができ、ほぼ均一な通電処理を行うことが可能となる。これに対して、表面粗さRyが5μmより小さいと、給電ローラの表面が滑りやすく、スリップにより通電部に擦り傷や引っ掻き傷が発生しやすい。また、表面粗さRyが30μm以上であると、給電ローラの表面が粗いため、給電ローラの表面と被通電処理材料との接触を安定させることができず、通電処理が不安定になる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、支持フィルム上に通電部が形成された帯状の被通電処理材料に接触して給電する給電ロールを備える通電処理装置であって、前記給電ロールは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、帯状の被通電処理材料に接触する給電ロールによって通電部に給電する。給電ローラは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであるため、帯状の被通電処理材料に接触させて給電するときに、被通電処理材料とのスリップの発生が抑制され、通電部に擦り傷や引っ掻き傷が発生することが抑制される。また、給電ローラの表面が粗すぎないため、給電ローラの表面と被通電処理材料とを安定して接触させることができ、安定的に通電部に給電することが可能となる。この結果、給電ロールより被通電処理材料の搬送方向下流側に電解めっき槽や電気還元処理槽が配置されている場合には、通電部を電解液内で均一に処理することができる。これに対して、表面粗さRyが5μmより小さいと、給電ローラの表面が滑りやすく、スリップにより通電部に擦り傷や引っ掻き傷が発生しやすい。また、表面粗さRyが30μm以上であると、給電ローラの表面が粗いため、給電ローラの表面と被通電処理材料との接触を安定させることができず、通電部への電気の供給量が不安定となり、通電部での処理が不均一となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の通電処理装置において、前記給電ロールは、表面が放電加工されたものであることを特徴としている。請求項3に記載の発明によれば、給電ローラは、表面が放電加工されたものであるため、給電ローラの表面に鋭いエッジ状の突起物や凹凸部端面のコーナーエッジが発生しにくく、所望の表面粗さに設定することができる。このため、給電ローラの表面が滑りやすいことによる被通電処理材料とのスリップの発生が抑制され、通電部に擦り傷や引っ掻き傷が発生することがより一層抑制される。また、給電ローラが粗すぎないため、給電ローラの表面と被通電処理材料とをより安定して接触させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の通電処理装置において、前記被通電処理材料が支持フィルム上に導電性金属部が形成された導電フィルムであることを特徴としている。請求項4に記載の発明によれば、被通電処理材料が支持フィルム上に導電性金属部が形成された導電フィルムであるので、導電フィルムの擦り傷や引っ掻き傷の発生が抑制されると共に、ほぼ均一な通電処理を行うことが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の通電処理装置において、前記被通電処理材料が銀塩感光フィルムに露光して現像し金属銀部が形成されたものであることを特徴としている。請求項5に記載の発明によれば、被通電処理材料が銀塩感光フィルムに露光して現像し金属銀部が形成されたものであるので、金属銀部の擦り傷や引っ掻き傷の発生が抑制されると共に、ほぼ均一な通電処理を行うことが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項3、請求項4、又は請求項5に記載の通電処理装置において、前記通電処理が、前記通電部に電解めっき浴よりめっき被膜を形成する電解めっき、又は前記通電部の酸化物を還元する電気還元処理であることを特徴としている。請求項6に記載の発明によれば、通電処理が、通電部に電解めっき浴よりめっき被膜を形成する電解めっきであるとき、通電部の擦り傷や引っ掻き傷が発生することが抑制されると共に、ほぼ均一でムラのないめっき被膜を形成することができる。また、通電処理が、通電部の酸化物を還元する電気還元処理であるとき、通電部の擦り傷や引っ掻き傷が発生することが抑制されると共に、ほぼ均一でムラのない電気還元処理を行うことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1、請求項3、請求項4、請求項5、又は請求項6に記載の通電処理装置において、前記給電ローラの下部に前記通電処理槽が配置され、前記給電ローラと水平方向に対向し、かつ前記通電部を前記給電ローラに押圧する弾性ローラを有することを特徴としている。請求項7に記載の発明によれば、給電ローラの下部に通電処理槽が配置されており、被通電処理材料が給電ローラから下方側へ搬送されると共に、給電ローラと水平方向に対向する弾性ローラによって、被通電処理材料の通電部が給電ローラに押圧される。これにより、給電ローラと弾性ローラとに挟持部から通電処理槽の電解液の液面までの距離、すなわち被通電処理材料が給電ローラから剥離された位置から通電処理槽の電解液の液面までの距離を短く設定することが可能となる。高電気抵抗の通電部は、電流が流れにくいが、給電ローラから剥離された位置から通電処理槽の電解液の液面までの距離を短くすることで、後段の処理を安定化することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通電処理装置において、前記弾性ローラと前記給電ローラとが0.2〜0.6MPaで接していることを特徴としている。請求項8に記載の発明によれば、弾性ローラと給電ローラとが0.2〜0.6MPaで接しているので、被通電処理材料の通電部を給電ローラにより安定して接触させることができる。このため、より均一な通電処理を行うことが可能となる。
【0022】
請求項9に記載の発明に係るめっき被膜付きフィルムの製造装置は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の通電処理装置を備えることを特徴としている。請求項9に記載の発明によれば、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の通電処理装置を備えているので、被通電処理材料の通電部の擦り傷や引っ掻き傷が発生することが抑制されると共に、ほぼ均一でムラのないめっき被膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、長尺帯状の被通電処理材料の通電部の擦り傷や引っ掻き傷の発生を抑制することができると共に、ほぼ均一で安定した通電処理を行うことができる。したがって、帯状の被通電処理材料の通電部に電解めっき浴によりめっき被膜を形成するときに、ほぼ均一でムラのないめっき被膜を形成することができる。また、帯状の被通電処理材料の通電部の酸化物を還元するときに、ほぼ均一でムラのない電気還元処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る通電処理装置が搭載されためっき被膜付きフィルムの製造装置10を示す概略構成図である。このめっき被膜付きフィルムの製造装置10は、図1に示すように、露光装置12、現像装置14、電解めっき装置16、後処理装置17及び巻取装置19から構成されている。
【0026】
まず、露光装置12について説明する。露光装置12は、被めっき素材として、銀塩含有層が設けられた帯状の長尺幅広フィルムからなる感光ウエブ18を搬送しながら、所望の細線状パターン(例えば、格子状、ハニカム状などのパターン)露光を行う装置である。このパターン露光により、感光ウエブ18の銀塩含有層の露光部にはパターン化された細線状の金属銀部が形成される。
【0027】
露光装置12には、感光ウエブ18の搬送路に沿って複数の搬送ローラ対20が設けられており、これらの搬送ローラ対20は、駆動ローラとニップローラとから構成される。露光装置12には、搬送方向の最上流部に供給部21が設けられている。供給部21には、ローラ状に巻かれた長尺幅広の感光ウエブ18を収納するマガジン22がセットされる。感光ウエブ18には、感光ウエブ18を引き出して下流側に向けて搬送するための引出ローラ22Aが設けられている。
【0028】
そして、供給部21からの感光ウエブ18の搬送方向下流側は、露光ユニット24が設けられている。この露光ユニット24により、感光ウエブ18に露光が行われる。露光ユニット24は、フォトマスクを利用した連続面露光ユニットであってもよく、レーザービームによる走査露光ユニットあってもよい。この走査露光ユニットとしては、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく適用することができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等を用いた走査露光方式も適用することができる。
【0029】
なお、露光装置12は、上記構成に限られず、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の露光装置を適用することができる。
【0030】
次に、現像装置14について説明する。現像装置14は、露光装置12の搬送方向の下流側に配置され、所望の細線状パターン露光が施された感光ウエブ18を現像・定着・洗浄を行う装置である。
【0031】
現像装置14には、搬送方向の上流側から順に、現像槽26、漂白定着槽28、及び水洗槽30が設けられており、水洗槽30は、第1水洗槽30A、第2水洗槽30B、第3水洗槽30C、及び第4水洗槽30Dからなる。現像槽26には、例えば、現像液26Lが所定量貯蔵され、漂白定着槽28には、漂白定着液28Lが所定量貯蔵され、第1水洗槽30A〜第4水洗槽30Dには、洗浄液30Lが所定量貯蔵されている。各処理槽26〜30内のローラとガイドによって感光ウエブ18が各処理槽26〜30の液内を搬送されることで、現像・定着・洗浄の各処理が行われるようになっている。また、現像槽26の最上流側には、駆動ローラ32Aと従動ローラ32Bとを備えた搬入ローラ対32が配置されており、この搬入ローラ対32は、露光装置12から搬出される感光ウエブ18を現像液26L内に案内している。
【0032】
ここで、現像・定着・洗浄の各処理は、銀塩写真フィルム、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理技術を適用することができる。現像液26L、漂白定着液28L、洗浄液30Lもこれらに準じて適宜適用することができる。例えば、現像液26Lとしては、特に限定しないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液、また、D−85などのリス現像液を用いることができる。なお、定着処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる。
【0033】
なお、現像装置14では、各処理槽26〜30の液内を通過した感光ウエブ18は、乾燥させずに現像装置14から排出されるようになっている。
【0034】
次に、電解めっき装置16について説明する。電解めっき装置16は、露光・現像を施され、細線メッシュ状の金属銀部(導電性金属部)が形成された感光ウエブ18に対し、電解めっき処理を施し、当該金属銀部に導電性微粒子を担持させめっき(導電性金属部)を形成する装置である。電解めっき装置16には、感光ウエブ18の搬送方向上流側に、水洗槽30を通過した後の感光ウエブ18の水分を除去する水分除去装置40Aが配設されている。水分除去装置40Aには、感光ウエブ18の両側にエアーナイフ装置42、44が配置されており、感光ウエブ18の両側からエアーナイフを吹き付けることで、感光ウエブ18に付着した水分を除去する。
【0035】
水分除去装置40Aよりも感光ウエブ18の搬送方向下流側には、通電処理装置48Aが配設されている。通電処理装置48Aは、感光ウエブ18の金属銀部に接触しながら給電を行うカソード給電ローラ50Aと、カソード給電ローラ50Aよりも感光ウエブ18の搬送方向下流側に、めっき液61で満たされためっき槽60Aと、を備えている。
【0036】
図2に示すように、水分除去装置40Aを通過した感光ウエブ18は、感光ウエブ18の金属銀部に接触するカソード給電ローラ50Aに搬送される。感光ウエブ18を挟んでカソード給電ローラ50Aと対向する位置には、感光ウエブ18の金属銀部をカソード給電ローラ50Aに押圧する弾性ローラ52Aが、カソード給電ローラ50Aに対してほぼ水平方向に配設されている。この弾性ローラ52Aは、回転可能に支持されたシャフト150と、表面の弾性体層152とを備えている。弾性体層152としてウレタンゴムなどが用いられる。弾性ローラ52Aを構成するシャフト150の両端部には、シャフト150の回転を阻害しないように押圧装置54が配設されている。押圧装置54には、筐体154の内部にバネ材156が配設されており、バネ材156がシャフト150に当接する当接部材158をシャフト150側に押圧している。また、バネ材156の背面側には、筐体154に設けられた調整ねじ160が当接しており、この調整ねじ160の螺合位置を調整することで、感光ウエブ18をカソード給電ローラ50Aに押圧する押圧力が調整されるようになっている。
【0037】
カソード給電ローラ50Aより感光ウエブ18の搬送方向下流側には、めっき液61で満たされためっき槽60Aが配置されている。めっき槽60Aのめっき液61中には液中ローラ62Aが設けられており、液中ローラ62Aの周面に感光ウエブ18が巻き掛けられている。また、カソード給電ローラ50Aとめっき槽60Aのめっき液61との間には、めっき槽60Aの上端部から隔壁63が延設されている。この工程では、カソード給電ローラ50Aに接触させた感光ウエブ18の金属銀部をめっき槽60Aのめっき液61中で液中ローラ62Aにより搬送する。銅ボールを積層充填したケース64Aをアノード電極にして、カソード電極をカソード給電ローラ50Aとして、直流電源66により給電し、感光ウエブ18の金属銀部上にめっき被膜(例えば、銅からなるめっき被膜)を形成する。本実施形態では、直流電源66により、カソード給電ローラ50Aからアノード電極であるケース64Aへ給電し、感光ウエブ18に、0.2〜10A/dm2の電流密度となるようにしてめっき被膜を形成する。
【0038】
カソード給電ローラ50Aは、材質をSUS316、SUS316J1、SUS317、若しくはSUS317Lとしたもの、又はこれらの材質表面に銅材を被覆したものを用いている。また、カソード給電ローラ50Aは、表面が放電加工されている。カソード給電ローラ50Aの表面粗さRyは、5μm以上、30μm未満が好ましく、8〜27μmがより好ましく、10〜20μmが更に好ましい。また、カソード給電ローラ50Aの表面粗さRaは、0.5〜5μmが好ましく、1〜2.5μmがより好ましい。ここで、Ry、Raは、JIS B 0601−1994 に規定される表面粗さである。表面粗さRy、Raの測定は、ミツトヨ製SJ−400で行った。
【0039】
ここで、放電加工とは、被加工物である金属と加工工具である電極とを絶縁する加工液を介して電気エネルギーを加え、そのときに発生する火花エネルギーによって被加工物の表面層を微細に除去していく加工法である。放電加工には、型彫放電加工とワイヤーカット放電加工の2種類の方法があり、一般の機械加工では切削できない超硬材、難削材でも精密加工から曲面加工、球体加工まで加工が可能である。型彫放電加工では、0.03mm幅のスリットのような微細加工や斜め方向への形状加工などが可能である。また、ワイヤーカット放電加工では、十数ミクロンの箔の切断やねじれ形状加工などが可能である。
【0040】
放電加工機としては、例えば、牧野フライス製の型式EDNC207W、型式EDNC157W、型式EDNC156W、又は三菱電機製の型式M85Kなどの大型形彫放電加工機、牧野フライス製の型式EDNC106W、三菱電機製の型式EX30、M65J、又は型式M55Jなどの中型形彫放電加工機、牧野フライス製の型式EDGE2、三菱電機製の型式EA12V、ソディック製の型式AQ35L、三菱電機製の型式M35J、又は型式M25Kなどの小型形彫放電加工機、三菱電機製の型式FA30V Z600、型式FX30、又は型式DWC400HAなどの大型ワイヤーカット加工機、三菱電機製の型式FA20P、牧野フライス製の型式U53、三菱電機製の型式CX20、又は型式DWC110SAなどの中型ワイヤーカット加工機、三菱電機製の型式FX10、牧野フライス製の型式V77GRAPHITE、又は型式V56GRAPHITEなどの小型ワイヤーカット加工機などが使用可能である。カソード給電ローラ50Aの粗面化の際には、放電加工機の電流、電圧を調整して所望の表面粗さに加工した。
【0041】
放電加工によるカソード給電ローラ50Aの表面粗さの加工精度の再現性は、特開2006−307338号公報(特許文献5)において示された機械的な加工方法より優れている。
【0042】
カソード給電ローラ50Aの表面状態を、キーエンス社製レーザーマイクロスコープ型式 VK−9510にて観察したところ、図3に示すように、表面金属が溶融したような凹凸状態で、鋭いエッジ状の突起物や凹凸部端面のコーナーエッジが見られなかった。このため、特開2006−307338号公報(特許文献5)において示された丸め処理が不要となり、丸め処置にて発生する微金属粉や研磨材粉による給電ムラに起因しためっきムラが発生する懸念がなくなる。
【0043】
カソード給電ローラ50Aは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に設定されているため、感光ウエブ18に接触させて給電を行うときに、感光ウエブ18とのスリップの発生が抑制され、感光ウエブ18表面の金属銀部の擦り傷や引っ掻き傷の発生が抑制される。また、カソード給電ローラ50Aの表面と感光ウエブ18とを安定して接触させることができ、ほぼ均一でめっきムラの無いめっき被膜を形成することができる。これに対して、表面粗さRyが5μmより小さいと、カソード給電ローラ50Aの表面が滑りやすく、スリップにより感光ウエブ18表面の金属銀部に擦り傷や引っ掻き傷が発生しやすい。また、表面粗さRyが30μm以上であると、カソード給電ローラ50Aの表面の凹凸により、カソード給電ローラ50Aの表面と感光ウエブ18との接触を安定させることができず、通電が不安定になり、めっきムラが発生しやすい。
【0044】
また、弾性ローラ52Aの弾性体層152は、硬度が10〜70度、肉厚が約5mmの導電性ゴムからなる。弾性体層152の硬度は、高分子計器株式会社製 ASKER C型で測定した。
【0045】
カソード給電ローラ50Aと弾性ローラ52Aとのニップ部からめっき槽60Aのめっき液61の液面までの距離、すなわち、感光ウエブ18がカソード給電ローラ50Aから剥離された位置からめっき槽60Aのめっき液61の液面との距離は、できるだけ短く設定することが好ましい。感光ウエブ18の金属銀部は細線状であり電流が流れにくいが、カソード給電ローラ50Aから剥離された位置からめっき槽60Aのめっき液61の液面までの距離を短くすることで、めっき処理をより安定化することができる。また、カソード給電ローラ50Aと感光ウエブ18との接触面積を増やし電流を流れ易くするために、カソード給電ローラ50Aの直前にテンションロールを設けてもよい。
【0046】
また、弾性ローラ52Aのバネ材156の背面側に取り付けられた調整ねじ160の螺合位置を調整することで、感光ウエブ18をカソード給電ローラ50Aに押圧する圧力を所定の値に設定することができる。カソード給電ローラ50Aと弾性ローラ52Aとのニップ部の圧力は、0.2〜0.6MPaが好ましく、0.3〜0.5MPaがより好ましい。この圧力は、ツーシートタイプの極超低圧用の富士プレスケール(富士フイルム株式会社製)を用いて測定した。この富士プレスケールは、2種類のフィルムから構成されており、一方のフィルムには支持体に発色剤(マイクロカプセル)が塗布され、他方のフィルムには顕色剤が塗布されており、発色剤層のマイクロカプセルがニップ部の圧力によって破壊され、その中の発色剤が顕色剤に吸着され、化学反応で赤く発色するものである。
【0047】
弾性ローラ52Aをカソード給電ローラ50A側に押圧することで、感光ウエブ18とカソード給電ローラ50Aとをほぼ均一に接触させることができる。カソード給電ローラ50Aと弾性ローラ52Aとのニップ部の圧力が0.2MPaより小さいと、感光ウエブ18とカソード給電ローラ50Aとをほぼ均一に接触させることが困難となる。また、ニップ部の圧力が0.6MPaより大きいと、カソード給電ローラ50Aと弾性ローラ52Aとの間の感光ウエブ18の搬送抵抗が大きくなり、感光ウエブ18を安定して搬送させることが困難となる。
【0048】
なお、特開2006−307338号公報(特許文献5)において用いられたシリコーンゴムローラ使用時の、ニップ面からのシワの発生は、押圧力が大きく、また、記載はないがゴムの硬度が大きかったこと、さらに、給電ローラの表面がスリップしやすいためと推定される。
【0049】
ここで、電解めっき処理として、例えば、プリント配線板などで用いられている電解めっき技術を適用することができ、電解めっきは電解銅めっきであることが好ましい。本実施形態では、めっき液61として、電解銅めっき液が適用されている。電解銅めっき浴としては、硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、ホウフッ化銅浴等が挙げられる。電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、めっき液の安定性、導電性を高め、均一電着性の増加を図る硫酸、アノードの溶解促進及び添加剤の補助効果作用の塩素、浴の安定化やめっき緻密性を向上させるための添加剤としてポリエチレンオキサイド、ビピリジン等が挙げられる。
【0050】
なお、図1に示すように、めっき槽60Aの下部には循環パイプ67が連結されており、循環パイプ67にポンプ68とフィルター69と複数の開閉弁65が配設されている。めっき槽60A内のめっき液61は、ポンプ68により循環パイプ67に供給され、フィルター69を通すことでめっき液61中の異物が除去され、めっき槽60A内に戻されるようになっている。
【0051】
図1に示すように、めっき槽60Aより感光ウエブ18の搬送方向下流側には、感光ウエブ18を案内する支持ローラ58が配設され、さらにその搬送方向下流側に、洗浄液71で満たされた洗浄槽70Aが配設されている。めっき槽60Aを通過した感光ウエブ18は、めっき液の液切れを液絞りローラ、ブレード、またはエアーナイフ等で行った後、洗浄槽70Aに搬送される。洗浄槽70A内には液中ローラ72Aが配置され、液中ローラ72Aに感光ウエブ18が巻き掛けられている。
【0052】
また、洗浄槽70Aの内部には、液中ローラ72Aに巻き掛けられた感光ウエブ18の搬送方向上流側と搬送方向下流側に、感光ウエブ18の表裏に対向して複数の長尺パイプ86、87が幅方向にほぼ平行に配設されている。長尺パイプ86、87には、感光ウエブ18と対向する位置に複数のノズル(図示省略)が形成されており、感光ウエブ18の表裏に洗浄液を噴出するようになっている。洗浄槽70Aの底部には、洗浄液71を流す流出パイプ88が接続されており、流出パイプ88は2本の供給パイプ90に分岐されている。2本の供給パイプ90はそれぞれ分岐して、感光ウエブ18の表裏に対向する長尺パイプ86、87に接続されている。流出パイプ88には、循環ポンプ92が配設されており、供給パイプ90にはそれぞれ開閉弁94が設けられている。循環ポンプ92が駆動されると、洗浄槽70A内の洗浄液71が流出パイプ88を通って供給パイプ90に導入され、複数の長尺パイプ86、87に供給される。そして、複数の長尺パイプ86、87から感光ウエブ18の表裏に洗浄液が噴出されるようになっている。
【0053】
本例では、洗浄液71として、純水が用いられているが、これに限定されず、感光ウエブ18を洗浄できる液体であれば他の液体を用いることもできる。
【0054】
洗浄槽70Aより感光ウエブ18の搬送方向下流側には、洗浄槽70Aの洗浄液71の液面から感光ウエブ18が搬出される位置に、感光ウエブ18の表裏に圧接される1対の液絞りローラ202を備えている。また、液絞りローラ202より感光ウエブ18の搬送方向下流側の空中に、感光ウエブ18の表裏に圧接される1対の液絞りローラ230を備えている。液絞りローラ202が感光ウエブ18を挟持した状態で従動回転することで、感光ウエブ18に付着した洗浄液の液切れが行われる。また、液絞りローラ230が感光ウエブ18の移動に伴って従動回転することで、感光ウエブ18に付着した洗浄液が更に液切れされる。
【0055】
液絞りローラ230より感光ウエブ18の搬送方向下流側には、感光ウエブ18の表裏に乾燥温風を噴出して感光ウエブ18を乾燥させる温風乾燥装置240Aが設けられている。温風乾燥装置240Aには、箱状のフード242内に、感光ウエブ18をガイドする3本の搬送ガイドローラ246が千鳥状に配置されており、3本の搬送ガイドローラ246に感光ウエブ18が巻き掛けられている。3本の搬送ガイドローラ246の搬送方向上流側と搬送方向下流側には、感光ウエブ18の表裏に対向する位置に乾燥温風を噴出する温風噴出器248、250が配設されている。温風乾燥装置240Aのフード242内で温風噴出器248と温風噴出器250により、感光ウエブ18の表裏に乾燥温風が噴出されることで、感光ウエブ18が十分に乾燥される。
【0056】
図1では図示を省略するが、電解めっき装置16では、カソード給電ローラ50A、めっき槽60Aを備えた通電処理装置48A、洗浄槽70Aと、温風乾燥装置240Aとを備えたユニットが複数配置されており、上記のような工程が複数回繰り返されることで、感光ウエブ18に所定の厚さの銅めっきが形成される。
【0057】
さらに、感光ウエブ18の銅めっき表面を黒色化するために、電解ニッケルめっきを行う。すなわち、感光ウエブ18の搬送方向下流側には、ニッケルめっきを施すためのカソード給電ローラ50B、めっき槽60Bを備えた通電処理装置48Bと、洗浄槽70Bと、温風乾燥装置240Aとを備えたユニットが複数配置されており、上記と同様の工程が複数回繰り返されることで、感光ウエブ18に所定の厚さのニッケルめっきが形成される。
【0058】
次いで、図1に示すように、めっきが施された感光ウエブ18は、フィルム張力を検出できるローラ125を介して、めっき液を除去する洗浄液115(水)の入った水洗部114、めっき被膜を保護する防錆処理液117の入った防錆処理部116を経て、過剰な防錆処理液を除去する洗浄液119(水)の入った水洗部118に搬送される。さらに、めっきが施された感光ウエブ18は、水分を除去する乾燥炉をもつ乾燥工程部120を経て、速度調整部121を経て、バランスローラ部122を経て、張力調整された後、アキュムレータ123を通してローラ状フィルム124Aとする。このようにして、感光ウエブ18の細線状金属銀部にめっきが形成される。このような工程により、めっき被膜付きフィルムを得ることができる。
【0059】
実質的なフィルム搬送張力は、5N/m以上200N/m以下とすることが好ましい。実際に張力を5N/m未満にすると、フィルムが蛇行し始め、搬送経路の制御がうまくいかなかった。また200N/mを超えると、フィルムの形成されるめっき被膜金属が内部歪みを持つために、製品にカールが発生するなどの問題があった。
【0060】
なお、電解めっき装置16のめっき槽の数は、所望のめっき膜厚(導電性金属部の厚み)に応じて複数セット増設してもよい。この数に応じて、所望のめっき膜厚(導電性金属部の厚み)を容易に得ることができる。
【0061】
ここで、電解めっき装置16に設けられたカソード給電ローラ50Aの表面粗さについて説明する。表1には、カソード給電ローラ50Aの表面粗さRa、Ryを変えたときの感光ウエブ18の擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)についての評価結果が示されている。
【0062】
表1に示すように、実施例1〜5として、放電加工によって表面粗さRa、Ryを変えた4タイプのカソード給電ローラ50Aと、放電加工によらずバフ研磨したカソード給電ローラを用意し、それぞれについて感光ウエブ18の擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)を評価した。
【0063】
また、表1には、実施例1〜4のカソード給電ローラ50A表面の実測記録チャートが示されている。この実測記録チャートは、カソード給電ローラ50Aの表面状態をミツトヨ社製SJ−400測定装置によって測定したものである。
【0064】
また、図4には、実施例1〜4の表面粗さRyに設定したときのカソード給電ローラ50Aの表面状態の写真が示されている。
【0065】
表1では、感光ウエブ18の擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)を目視により観察し、擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)、又はこれらの総合評価が、極めて良好である場合を◎、良好である場合を○、擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が認められた場合を△、擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が多く認められた場合×、として評価した。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示すように、実施例2のカソード給電ローラ50Aでは擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が共に極めて良好で、総合評価が最も良好であった。実施例1のカソード給電ローラ50Aでは擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が共にほぼ良好で、総合評価も良好であった。また、実施例3のカソード給電ローラ50Aでは引っ掻き(剥がれ)が認められるものの擦り傷、めっきムラは共にほぼ良好で、総合評価も良好であった。これに対して、実施例4のカソード給電ローラ50Aでは擦り傷は良好であるが、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が認められ、総合評価は良くなかった。一方、バフ研磨したカソード給電ローラでは、擦り傷、めっきムラ、引っ掻き(剥がれ)が認められ、総合評価は良くなかった。
【0068】
表1の結果から、カソード給電ローラ50Aの表面粗さRyは、5μm以上、30μm未満が良好であることがわかる。
【0069】
次に、感光ウエブ18について説明する。被めっき素材としての感光ウエブ18は、例えば、光透過性支持体上に銀塩(例えばハロゲン化銀)が含有した銀塩含有層を設けた、感光材料からなる長尺幅広フレキシブル基材である。また、銀塩含有層上には保護層が設けられていてもよく、この保護層とは例えばゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために銀塩含有層上に形成される。保護層の厚みは0.02〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.3〜3μmである。
【0070】
これらの銀塩含有層や保護層の組成などは、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に適用されるハロゲン化銀乳剤層(銀塩含有層)や保護層を適宜適用することができる。
【0071】
特に、感光ウエブ18(感光材料)としては、銀塩写真フィルム(銀塩感光材料)が好ましく、白黒銀塩写真フィルム(白黒銀塩感光材料)が最もよい。また、銀塩含有層に適用する銀塩としては、特にハロゲン化銀が最も好適である。
【0072】
一方、光透過性支持体としては、単層のプラスチックフィルムや、これを2層以上組み合わせた多層フィルムを適用することができる。プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
【0073】
これらの中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、支持体としてのプラスチックフィルムは、銀塩写真フィルム(銀塩感光材料)に通常適用されるポリエチレンテレフタレートフィルムやセルロールトリアセテートフィルム、また、その他、ポリイミドフィルムであることが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが最も好ましい。
【0074】
また、ディスプレイ用の電磁波遮蔽材では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合における光透過性支持体の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。
【0075】
感光ウエブ18の幅は、例えば、50cm以上とし、厚みは50〜200μmとすることがよい。
【0076】
また、感光ウエブ18には、露光・現像後、その露光部に金属銀部が形成されるが、この金属銀部に含まれる金属銀の質量が、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、その後の電解めっき処理で高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0077】
露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与するために、上述の電解めっき装置16によって、金属銀部に導電性金属粒子を担持させる電解めっき処理を行う。すなわち、めっき被膜付きフィルムの製造装置10では、被めっき素材として、銀塩含有層が設けられた感光ウエブ18を用い、これの銀塩含有層に露光・現像を行って被めっき部として所望の細線状金属銀部を形成する。この細線状金属銀部は、銀塩含有層に露光・現像して形成されるため、非常に細い細線でパターン化された細線状金属銀部となる。このような感光ウエブ18に対し、電解めっき処理を施すと、細線状金属銀部上に導電性粒子が担持され、これがめっき層となる。このため、得られる電磁波遮蔽材料は、非常に細い細線でパターン化された細線状金属部と大面積の光透過部とを有することとなる。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態に係る通電処理装置が搭載されためっき被膜付きフィルムの製造装置について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0079】
図5に示すように、めっき被膜付きフィルムの製造装置は、先述の露光装置12及び現像装置14(図1参照)の後に、通電処理装置300と、無電解めっき装置316とを備えている。また、通電処理装置300と、無電解めっき装置316の後に、電解めっき装置を設け、電解めっき処理を行ってもよい。
【0080】
通電処理装置300は、露光・現像を施され、細線状の金属銀部が形成された感光ウエブ18に対し、通電処理を施し、当該金属銀部を還元処理することにより活性化するものである。具体的には、通電処理装置300は、感光ウエブ18の金属銀部に接触しながら給電を行うカソード給電ローラ302と、カソード給電ローラ302よりも感光ウエブ18の搬送方向下流側に、電解液305で満たされた通電処理槽304と、を備えている。感光ウエブ18を挟んでカソード給電ローラ302と対向する位置には、感光ウエブ18の金属銀部をカソード給電ローラ302に押圧する弾性ローラ52が、カソード給電ローラ302に対してほぼ水平方向に配設されている。
【0081】
電解液305として、めっき物質を含まない電解液が用いられている。めっき物質を含まないとは、実質的にめっき反応が生じない液を意味し、好ましくは1A/dmの電流を60秒間通電した際に電解液から電極上に析出する物質が10mg/dm以下であり、更に好ましくは1mg/dm以下である。
【0082】
電解液305において含有することが好ましい電解質は、アルカリ金属塩、4級アルキルアンモニウム塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩などであり、好ましくは硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム,ホウ酸、過塩素酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウムなどである。
【0083】
溶媒としては水系、非水系有機溶媒いずれでも良いが、水が最も優れている。非水系有機溶媒では、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0084】
カソード給電ローラ302は、材質をSUS316、SUS316J1、SUS317、若しくはSUS317Lとしたもの、又はこれらの材質表面に銅材を被覆したものを用いている。また、カソード給電ローラ302は、表面が放電加工されている。カソード給電ローラ302の表面粗さRyは5μm以上、30μm未満が好ましく、10〜25μm未満がより好ましい。また、表面粗さRaは0.5〜5μmが好ましく、1〜2.5μmがより好ましい。
【0085】
通電処理装置300では、カソード給電ローラ302に接触させた感光ウエブ18の金属銀部を通電処理槽304の電解液305中で液中ローラ62により搬送する。通電処理槽304内の電解液305中には、アノード電極306が配設されており、カソード電極をカソード給電ローラ302として、直流電源308により給電する。これによって、感光ウエブ18の金属銀部を還元するための通電処理が行われる。すなわち、この通電処理により、感光ウエブ18の金属銀部に形成された酸化物が除去され(例えばAgS、AgOが還元されてAgとなり)、金属銀部が活性化される。この通電処理により、後の工程の無電解めっきでのめっき速度を促進させることができる。
【0086】
このような通電処理において、活性化の通電時間が短すぎると無電解活性が得られず、長すぎると返って失活するため、通電時間は0.1秒〜360秒が好ましく、0.5秒〜120秒が更に好ましく、最も好ましくは1秒〜60秒である。
【0087】
めっき装置316は、細線状の金属銀部が形成された感光ウエブ18に対し、めっき処理を施し、当該金属銀部に導電性微粒子を担持させめっき(導電性金属部)を形成する装置である。具体的に、めっき装置316は、めっき液335が満たされためっき浴槽334と、このめっき浴槽334内に配置された複数(本実施形態では2本)の支持ローラ336と、を備え、めっき浴槽334内に感光ウエブ18を水平搬送する方式の装置である。また、めっき装置316には、めっき浴槽334への入液前及び入液後の感光ウエブ18を支持・搬送する複数の搬送支持ローラ338、340が配設されている。
【0088】
ここで、めっき処理として、公知の無電解めっき技術を適用することができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解めっき技術を適用することができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。具体的には、めっき液335としては、無電解銅めっき液を適用することが好ましい。無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTA、TIPAやトリエタノールアミン等、その他浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン、チオ尿素系化合物等が挙げられる。また、めっき液には、めっき液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることもできる。
【0089】
めっき浴槽334内の支持ローラ336、336の間で水平搬送される感光ウエブ18の下部には、感光ウエブ18の搬送路に沿って、感光ウエブ18に微細気泡気液混合流体を噴出させる複数の噴出部材342が設けられている。この微細気泡気液混合流体(微細気泡含有のめっき液)はめっき液335と空気との混合流体であり、この微細気泡気液混合流体を噴出部材342へ供給するための気液混合供給装置344が配設されている。
【0090】
気液混合供給装置344は、めっき浴槽334と仕切板334Aで仕切られた供給部346の底部と複数の噴出部材342とを連結するパイプ348を備えており、パイプ348に循環ポンプ350、フィルター352が配設されている。また、気液混合供給装置344は、めっき浴槽334の上部に気泡分離槽354を備えており、めっき浴槽334の底部を気泡分離槽354を介して供給部346と連結するパイプ356、357を備えている。パイプ356には循環ポンプ358、気液混合器360が配設されている。
【0091】
気液混合器360(ベンチュリー管)は、図6に示すように、流通管362内部にベンチュリーノズル366が配設され、ベンチュリーノズル366配設部よりも下流側にエアー供給管368が接続され、さらに、その下流側には複数の釘状突起370が配設されている。エアー供給管368には、バルブ372が設けられている。
【0092】
気液混合器360では、流通管362に流入してきためっき液335はベンチュリーノズル366を通過することで流速が速まると共にその前後で流通管362内の液圧が変化、即ちベンチュリーノズル366を通過前よりも通過後の流通管362内の圧力が低下する。ベンチュリーノズル366通過後の流通管362内の圧力が低下するため、エアー供給管368をバルブ372により開放するのみで空気はめっき液335に吸引され、めっき液にエアー(空気)が混合され、さらに、釘状突起370が設けられた流通管362内を気液混合流体が通過することで、微細気泡気液混合流体となる。
【0093】
ここで、微細気泡気液混合流体における空気(エアー)とめっき液335との混合比率(空気:めっき液)は、1:0.2〜1:2が好ましく、より好ましくは1:0.5〜1:1.5である。
【0094】
そして、図5に示すように、気液混合器360を通過した微細気泡気液混合流体がパイプ356を通って気泡分離槽354に供給される。パイプ356は気泡分離槽354の底部に連結されており、気泡分離槽354内には液面から出ない位置に堰板354Aが配設されている。堰板354Aを挟んで気泡分離槽354の底部に連結されたパイプ357が、上方から供給部346内に挿入されている。微細気泡気液混合流体がパイプ356を通って気泡分離槽354に底部から供給されることで、微細気泡気液混合流体に含まれる気泡が液面に浮き上がる。これによって、微細気泡気液混合流体から気泡が分離され、気泡が分離された微細気泡気液混合流体が堰板354Aを越えて気泡分離槽354の底部に連結されたパイプ357を通って供給部346に供給される。
【0095】
供給部346に供給された微細気泡気液混合流体は、供給部346の底部に連結されたパイプ348を通ってフィルター352を通過し、複数の噴出部材342に供給される。そして、複数の噴出部材342から感光ウエブ18に微細気泡気液混合流体が噴出される。感光ウエブ18がめっき浴槽334のめっき液335中を搬送される際に感光ウエブ18の金属銀部にめっき処理が施される。また、微細気泡混合液体を噴出することで、めっき浴槽334内のめっき液335が攪拌混合され、液の均一化が図れる。
【0096】
無電解めっき時間は、15秒〜10分が好ましく、30秒〜8分がより好ましく、1〜7分がさらに好ましい。10分より長いと、高アルカリ浴に長時間浸漬されることによるゼラチン膜の変質が原因と思われる光透過性部の透明性の著しい劣化が見られる。また、30秒より短いと激しい厚みむらが生じてしまう。めっき温度は、10〜40℃が好ましく、15〜40℃がより好ましく、18〜35℃がさらに好ましい。
【0097】
めっき処理を施された感光ウエブ18は、めっき液335への入浴後に付着しためっき液335がエアーナイフ(図示省略)により除去され、図示しない洗浄槽に搬入され洗浄後防錆処理等が施され乾燥して巻取られる。このようにして、電磁波遮蔽材料を得ることができる。なお、めっき速度は、緩やかな条件で行うことができるし、5μm/hr以上の高速めっきも可能である。
【0098】
このようにして、感光ウエブ18の細線状金属銀部にめっき(導電性金属部)が形成される。ここで、導電性金属部は、導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はめっき処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0099】
以上説明した本実施形態に係る光透過性電磁波遮蔽材料の製造装置では、被めっき素材として、ハロゲン化銀含有層が設けられた光透過性感光ウエブ18を用い、該ハロゲン化銀含有層に露光・現像を行って被めっき部として所望の細線メッシュ状金属銀部を形成させる。この細線メッシュ状金属銀部は、ハロゲン化銀含有層に露光・現像して形成されるため、非常に細い細線でパターン化された細線状金属銀部となる。このような光透過性感光ウエブ18に対し、めっき処理を施すと、細線メッシュ状金属銀部上に導電性粒子が担持され、これが導電性金属部となる。このため、得られる電磁波遮蔽材料は、非常に細い細線でパターン化された細線状金属部と大面積の光透過部とを有することとなる。
【0100】
なお、本実施形態では、光透過性電磁波遮蔽材料を製造する装置及び製造方法について説明したが、これに限られず、例えば、その他工業品などの微細な導電性金属部からなる細線状パターンを有する光透過性導電性材料の製造装置及び製造方法としても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1実施形態における通電処理装置を備えためっき被膜付きフィルムの製造装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す製造装置で用いられる通電処理装置を示す概略構成図である。
【図3】通電処理装置に用いられるカソード給電ローラの表面状態をレーザーマイクロスコープで観察した写真である。
【図4】実施例1〜4におけるカソード給電ローラの表面状態を示す写真である。
【図5】本発明の第2実施形態における通電処理装置を備えためっき被膜付きフィルムの製造装置を示す概略構成図である。
【図6】図5に示す製造装置で用いられる気液混合器を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10 めっき被膜付きフィルムの製造装置
16 電解めっき装置
18 感光ウエブ(帯状の被通電処理材料)
48A 通電処理装置
50A カソード給電ローラ(給電ローラ)
50B カソード給電ローラ(給電ローラ)
52A 弾性ローラ
60A めっき槽(通電処理槽)
60B めっき槽(通電処理槽)
61 めっき液
300 通電処理装置
302 カソード給電ローラ(給電ローラ)
304 通電処理槽
305 電解液
316 めっき装置
334A めっき液
334 めっき浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルム上に通電部が形成された帯状の被通電処理材料に接触して給電する給電ロールと、前記給電ロールより前記被通電処理材料の搬送方向下流側に前記通電部を電解液内で通電処理する通電処理槽と、を備える通電処理装置であって、
前記給電ロールは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであることを特徴とする通電処理装置。
【請求項2】
支持フィルム上に通電部が形成された帯状の被通電処理材料に接触して給電する給電ロールを備える通電処理装置であって、
前記給電ロールは、表面粗さRyが5μm以上、30μm未満に加工されたものであることを特徴とする通電処理装置。
【請求項3】
前記給電ロールは、表面が放電加工されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通電処理装置。
【請求項4】
前記被通電処理材料が支持フィルム上に導電性金属部が形成された導電フィルムであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の通電処理装置。
【請求項5】
前記被通電処理材料が銀塩感光フィルムに露光して現像し金属銀部が形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の通電処理装置。
【請求項6】
前記通電処理が、前記通電部に電解めっき浴よりめっき被膜を形成する電解めっき、又は前記通電部の酸化物を還元する電気還元処理であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、又は請求項5に記載の通電処理装置。
【請求項7】
前記給電ローラの下部に前記通電処理槽が配置され、
前記給電ローラと水平方向に対向し、かつ前記通電部を前記給電ローラに押圧する弾性ローラを有することを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5、又は請求項6に記載の通電処理装置。
【請求項8】
前記弾性ローラと前記給電ローラとが0.2〜0.6MPaで接していることを特徴とする請求項7に記載の通電処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の通電処理装置を備えることを特徴とするめっき被膜付きフィルムの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−248337(P2008−248337A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92893(P2007−92893)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】