説明

通電用クリップを用いた給放電試験装置

【課題】通電用クリップを用いて多数個の電子部品の試験を、同時に、かつ、自動的に行うことができるような給放電用試験装置を提供すること。
【解決手段】電子部品の電極を突出させてセットする電子部品トレイと、電子部品の電極に臨ませて設けた通電用クリップと、この通電用クリップの1対の接触端子間が開閉するようにクリップ体間に進退するためのクサビ体を可動するクサビ体用シリンダと、通電用クリップとクサビ体とを一体に電子部品の電極側に進退する通電用クリップ用シリンダとを具備し、通電用クリップ用シリンダは、通電用クリップとクサビ体を進退する上シリンダと、上シリンダの退動の動作を一時的にわずかなストロークで停止させるための下シリンダとからなり、通電用クリップの1対の接触端子により電子部品の電極を圧接摺動せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品(例えばカード式二次電池や電気二重層コンデンサ等)の+、−の電極に接続して、その電子部品の充放電を行ったり、+、−の電極からの信号検出により、その電子部品の試験を行ったりするための通電用クリップを用いた給放電試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図9及び図10に示すように、カード型二次電池等の電子部品20の一般的な電極21は、電子部品20の一端から+電極22と−電極23が突出してなるもので、+電極22にはアルミニウム、−電極23にはニッケルを用い、ともに形状は長方形、厚さは約80μm程度である。
【0003】
従来、このような電子部品20の+電極22及び−電極23からの給放電や信号の検出は、図9に示すような接触ピン24を用いる方法や、図10に示すようなわに口クリップ26による方法が用いられていた。
このうち、図9に示すような接触ピン24による方法では、絶縁ボード25に複数個植設した接触ピン24を+電極22及び−電極23に押圧することにより信号検出を行っており、電子部品20の給放電量や電子部品21から検出される電流量等の使用目的に応じて、使用する接触ピン24の数量やピン径の大きさを選択していた。
又、図10に示すような、わに口クリップ26で前記電子部品20の+電極22及び−電極23を挟むことにより給放電を行う方法又は信号を検出する方法では、前記わに口クリップ26の鋸歯状をなすクリップ部28で、+電極22及び−電極23を挟んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−5320号公報
【特許文献2】特開平3−98273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9に示すような、前記複数個の接触ピン24を電極21に押圧接触して電子部品20の給放電及び信号検出を行う場合、接触ピン24の先端部29は突起状をなしているので、特に、薄板状の電極21は、裏面に平板な部材を介在したとしても、電極21の表面に傷や凹凸などが生じてしまう。このため、前記接触ピン24による試験後は、電子部品の組立てや、他部品との接続といった加工が困難になるという問題があった。
一方、図10に示すように、わに口クリップ26で前記電極21を挟んで接続する場合には、給放電用のわに口クリップ26と信号検出用のわに口クリップ26を少なくとも2個必要とした。又、わに口クリップ26のクリップ部28は鋸歯状をなしているので、電極21の表面には、接触ピン24を用いたときよりも多くの傷や凹凸などが生じてしまう。このため、前記わに口クリップ26による試験後においても、電子部品20の加工が困難になるという問題があった。
【0006】
又、前記接触ピン24においては、前記電極21と接触するのは突起状の先端部29のみであり、前記わに口クリップ26においては、前記電極21と接触するのはクリップ部28の突端部分のみであった。すなわち、電極21と、接触ピン24又はわに口クリップ26とは、いずれも点接触により接触していた。このため、電子部品の大電流には対応できず、かつ、接触抵抗が大きくなって、正しい給放電及び信号検出は行えないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、通電用クリップを用いて多数個の電子部品の試験を、同時に、かつ、自動的に行うことができるような給放電用試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被試験体としての電子部品20の電極21を突出させてセットする電子部品トレイ30と、この電子部品トレイ30にセットされた電子部品20の電極21に臨ませて設けた通電用クリップ1と、この通電用クリップ1の1対の接触端子18間が開閉するようにこの通電用クリップ1の1対のクリップ体2間に進退するためのクサビ体34を可動するクサビ体用シリンダ48と、通電用クリップ1とクサビ体34とを一体に電子部品20の電極21側に進退する通電用クリップ用シリンダ49とを具備し、前記通電用クリップ用シリンダ49は、通電用クリップ1とクサビ体34を進退する上シリンダ51と、この上シリンダ51の退動の動作を一時的にわずかなストロークで停止させるための下シリンダ52とからなり、通電用クリップ1の1対の接触端子18により電子部品20の電極21を圧接摺動せしめるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上述のように構成したので、電圧の給放電、信号検出等を行うときに、通電用クリップで電極に傷をつけることがない。
【0010】
又、本発明は、前記通電用クリップを複数個用いて、自動の電子部品用試験装置を形成した。
従って、通電用クリップ1個では対応できない大容量の電流量を有する電子部品や、複数個の電子部品の試験を、自動的に行うことができる試験装置を提供することができる。
更に、本発明における自動装置においては、接触端子と電極を当接させるために、ストロークの異なる2個のシリンダを用い、ストロークの差分だけ接触端子が電極上を摺動するように形成した。従って、接触端子と電極との接触面がより多くなり、より大容量の電流に対応可能となる試験装置を提供することができる。
【0011】
本発明は、常開タイプの通電用クリップを用いることにより、接触端子の間に電極を挟む場合は、リード線接触端子間にクサビ体等を圧入するという1種類の操作だけで接触端子が閉じ、電極を挟むことができる。
従って、操作の省略が可能となり、試験に要する手間や時間を大幅に削減することができ、試験回数を増加することも可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による通電用クリップの一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】図1における組立後の斜視図である。
【図3】本発明による常閉タイプの通電用クリップの縦断面図である。
【図4】本発明による常開タイプの通電用クリップの縦断面図である。
【図5】本発明による通電用クリップを用いた手動型給放電試験装置の一実施例を示す分解斜視図である。
【図6】図5における動作説明のための一部断面した正面図である。
【図7】図5における要部の分解斜視図である。
【図8】本発明による通電用クリップを用いた自動型給放電試験装置の一実施例を示す分解斜視図である。
【図9】従来の接触ピンを用いた場合の斜視図である。
【図10】従来のわに口クリップを用いた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による通電用クリップを用いた給放電試験装置は、固定ケースと、この固定ケースの上部にセットされ、被試験体としての複数個の電子部品の電極を所定間隔で下向きに突出させてセットするための電子部品トレイと、前記固定ケースの内部に上下動自在に設けられた通電用グリップ支持ケースと、この通電用グリップ支持ケースに上下動自在に設けられたクサビ体取付け枠と、前記複数個の電子部品の電極に臨ませて前記通電用グリップ支持ケースに設けた複数個の通電用クリップと、前記通電用グリップ支持ケースと前記クサビ体取付け枠の間に設けられ、前記通電用クリップの1対の接触端子間が開閉するようにこの通電用クリップの1対のクリップ体間に進退するためのクサビ体を可動するクサビ体用シリンダと、前記固定ケース3通電用グリップ支持ケースの間に設けられ、前記通電用クリップとクサビ体とを一体に電子部品の電極側に進退する通電用クリップ用シリンダとを具備し、前記通電用クリップ用シリンダは、通電用クリップとクサビ体を進退する上シリンダと、この上シリンダの退動の動作を一時的にわずかなストロークで停止させるための下シリンダとからなり、通電用クリップの1対の接触端子により電子部品の電極を圧接摺動せしめるようにしたことを特徴とする。
【実施例】
【0014】
本発明の給放電用試験装置に用いられる通電用クリップを図1〜図4に基づき説明する。
通電用クリップ1は、2個のクリップ体2,2と、このクリップ体2,2の成型時にクリップ体2と一体に埋設した2個の電極材5,5と、シャフト7と、トーションばね13からなり、トーションばね13の組み込み方向の違いにより、図3に示す常閉タイプの通電用クリップ1aと、図4に示す常開タイプの通電用クリップ1bとがある。以下、それぞれのタイプごとに説明する。
【0015】
常閉タイプの通電用クリップ1a
図1、図2及び図3において、電極材5は、細板長方形状の導電体からなり、長手側を前記クリップ材2長さとほぼ同じ長さとし、短手側をクリップ体2の幅より狭くする。そして、長手側の一端部をリード線接続端子17とし、他方端部は半円状に折曲して接触端子18とする。尚、図示例では前記電極材5のリード線接続端子17を板状とし、かつ、小さな孔をあけて半田付けタイプとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、リード線接続端子17は、U字溝状に折曲した圧着タイプであってもよい。
【0016】
前記2個のクリップ体2は、絶縁性部材を、左右同一形状の選択ばさみ状に形成したもので、具体的な形状は以下のとおりとする。
クリップ体2の成型加工時に、前記電極材5をクリップ体2の中央部に埋設し、電極材5の両端のリード線接触端子17と接触端子18を電極材5から突出させるように一体成型する。
更に詳しくは、前記クリップ材2の上部には、電極材5のリード線接触端子17を保護したり、短絡を防いだりするために、2個の突出部3,3を形成し、この突出部3,3の間に凹部4を形成する。
この凹部4の中央部には、前記電極材5の一端部を、クリップ体2の一端から突出させてリード線接続端子17とする。又、電極材5の多端部から半円状の端部を突出させ、クリップ体2の内側の半円部11に巻付けるようにして接触端子18とする。
【0017】
前記2個のクリップ材2の中央部には、それぞれシャフト7を挿通して軸受けとするため、2個のシャフト受突起8,8を、間隔12をあけて形成する。これらのシャフト受突起8,8のうち、一方のシャフト受突起8はクリップ材2の一方の側縁と同一面に設け、他方のシャフト受突起8はクリップ材2他方の側縁との間にシャフト受突起8の幅と同程度の切欠きを設け、シャフト係合部9とする。更に、シャフト受突起8,8の中央には、相互に一直線状となるシャフト穴10,10を形成する。
【0018】
前記トーションばね13は、金属性の線からなる。形状は、中心角約60度のV字形とし、中央部のみを数回巻いてコイル部14とし、それ以外の両部分は直線とする。又、コイル部14の直径はシャフト7の直径よりやや大きくする。
【0019】
シャフト7は、絶縁棒や金属棒からなり、直径がシャフト穴10よりやや小さめとする。又、このシャフト7は挿入時の抜け止めとして、一端部にシャフト穴10よりやや大きめの抜け止め頭部15を形成し、他端部に、挿入できるが抜け出ることがない抜け止め突起16を形成する。
【0020】
上記のとおり形成されたクリップ材2、電極材5、トーションばね13及びシャフト7を、以下のように組立てる。
【0021】
(1)電極材5を埋設した、同形の2個のクリップ材2,2を組合せるには、まず、前記クリップ材2は、互いにシャフト受突起8,8同士を向き合わせ、一方の2個のシャフト受突起8,8を他方のシャフト受突起8,8の間隔12とシャフト受係号部9に待合させる。このとき、2個のクリップ体2,2のシャフト穴10同士の位置を合せる。又、ここで、クリップ材2,2のシャフト受突起8,8間に生じる間隔12の一部がコイル収納部19となる。
【0022】
(2)前記コイル収納部19に前記トーションばね13のコイル部14を嵌込む。このとき、図3に示すように、トーションばね13の先端部をリード線接続端子17側に向けることにより常閉タイプの通電用クリップ1aとなる。
【0023】
(3)組合せた前記クリップ体2,2のシャフト穴10,10と前記トーションばね13に、シャフト7を挿入する。シャフト7は、前記シャフト穴10及び前記コイル部14を、抜け止め頭部15に係止するまで挿通させる。すると、抜け止め突起16が前記シャフト受突起8の外部に表出して抜け止めとなる。
【0024】
上記の常閉タイプの通電用クリップ1aは、トーションばね13によりクリップ材2,2の接触端子18同士を閉じ、電子部品20の電極21に接続される。
又、クリップ体2,2間を指6でつまんで、接触端子18と反対側、すなわちリード線接続端子17側を内側に押圧すると、リード線接続端子17,17が、組込んだトーションばね13の力に抗して、反対側の接触端子18,18が開いた状態となる。
給放電と信号検出を同時に行うときは、2個の常閉タイプの通電用クリップ1a,1aを同一の電子部品20に接続し、それぞれの常閉タイプの通電用クリップ1a,1aの一方の電極材5が給放電用として作用し、他方の電極材5が信号検出用として作用する。
【0025】
常開タイプの通電用クリップ1b
前記クリップ材2、前記電極材5、前記トーションばね13及び前記シャフト7の材質及び形状は、前記常閉タイプの通電用クリップ1aと同様である。
しかし、常開タイプの通電用クリップ1bにおいては、前記コイル収納部19に前記コイル部14を組込むときに、前記トーションばね13の先端部を、前記常閉タイプの場合と逆方向、すなわち、前記リード線接続端子17側に向ける。
【0026】
上記の方法により作成した常開タイプの通電用クリップ1bは、通常は、前記クリップ体2,2の前記接触端子18側が接触せずに開いた状態となっている。そこで、反対側のリード線接続端子17側の突出部3,3間にクサビ体34の先端を差込んでおく。その状態で、接触端子18,18間に電子部品20の電極21を挿入し、クサビ体34をトーションばね13に抗して圧入することにより突出部3,3間を開くと、前記接触端子18,18が閉じ、接触端子18が電子部品20の電極21に接触した状態となる。この常開タイプの通電用クリップ1bの給放電と信号検出の作用も、常閉タイプの通電用クリップ1aと同様である。
【0027】
次に、本発明による通電用クリップ1を用いた、手動操作により給放電の試験を行う試験装置と自動的に給放電の試験を行う試験装置の実施例を図5〜図8に基づき説明する。尚、これらの試験装置には、上記常開タイプの通電用クリップ1bを用いる。
【0028】
第1実施例(手動操作による試験装置)
第1実施例の試験装置は、手動操作により電子部品の試験を行うためのもので、図5ないし図7に示すように、下方部に通電用クリップ支持ケース31をセットし、その上部に試験用の電子部品20を収納した電子部品トレイ30をセットする。前記通電用クリップ支持ケース31は、下部の固定ケース32に進退自在に設けられている。
【0029】
各部の詳細な構成を以下に説明する。
前記試験用の電子部品20は、例えば図9又は図10に示すように、薄型の長方形で、一辺部にごく薄い1対の板状の電極21(+電極22及び−電極23)が突出している。
前記電子部品トレイ30は、直方体の内側に浅めの凹部27を有する。この電子部品トレイ30の凹部27には複数個の電子部品挿入口36を等間隔でかつ複数列に形成する。この電子部品挿入口36は、電子部品20の電極21を下向きにして収納できる形状をなし、電子部品挿入口36の下部にある電極挿入口37は、前記電極21を挿入でき、挿入した電極21の先端が前記電子部品トレイ30の下底から少なくとも10mm程度突出する形状とする。
【0030】
前記通電用クリップ支持ケース31の内部には、浅めのクサビ体取付け枠33を遊嵌する。このクサビ体取付け枠33は、直方箱体とし、上面を開口し、底板には、クサビ体支持ガイド棒38を支持するためのクサビガイド穴41を等間隔に形成する。
【0031】
前記通電用クリップ支持ケース31は、図7に示すように、直方箱体とし、上面を開口し、底面に底板よりやや幅の狭い長穴44を形成してなる通電用支持ケース本体部42と、その上端から外方へ張り出して形成した2個の押下げ鍔部43,43とからなる。
【0032】
前記固定ケース32は、固定ケース本体部45と、電源や検出器を接続するためのコネクタ接続部46とからなる。
固定ケース本体部45は直方箱体とし、上面を開口する。そして、内部に前記通電用クリップ支持ケース本体部31を遊嵌するために、通電用クリップ支持ケース本体部31より一回り大きくする。又、底面には、前記クサビ体ガイド棒38のクサビガイド孔41とコネクタ取付け孔61を設け、底面の両端部に前記クサビ体ガイド棒38を植立する。そして、このクサビ体取付けガイド棒38が遊嵌するように、固定ケース本体部45の底面と前記通電用クリップ支持ケース31の押下げ鍔部43の底面下側との間に、コイル状の押上げばね35を介在する。
前記コネクタ接続部46の上面には、複数個のコネクタ62を取付けるためのコネクタ接続口47を等間隔に数列形成する。
【0033】
前記通電クリップ支持ケース31の通電クリップ支持ケース本体部42には、常開タイプの通電用クリップ1bが、2個を1対として1本のシャフト7を共有として収納されるものであり、そのシャフト7部分が前記通電用クリップ支持ケース本体部42の両側板の軸孔63に軸架されて、多数組を一定間隔に取付けられている。そして、この常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18は、通電用クリップ支持ケース31の上面開口部から一部突出し、リード線接続端子17側が下向きになるように配置されている。
前記クサビ体34は絶縁性物質からなり、先端部から基端部にかけて両側で順次広くなるような傾斜を有する台形状とする。又、1個のクサビ体34で、2個を1対とする通電用クリップ1bの突出部3,3間に圧入可能とする。又、クサビ体34の底面中央部にはクサビ体ガイド棒38を一体に形成する。このクサビ体支持ガイド棒38は円柱形で、前記クサビ体取付け枠33の丸孔64と通電用クリップ支持ケース本体部42の長孔44を貫通し、更に固定ケース本体部45のクサビガイド孔41を貫通し、下端部の抜け止め突起39により係止している。前記固定ケース本体部45の底板の上面と押下げ鍔部43の下面との間には、コイルばね40を介在する。
【0034】
前記実施例ではクサビ体34の幅を広く形成し、1個のクサビ体34で2個を1対とする通電用クリップ1bに圧入可能としたが、本発明はこれに限るものではなく、1個のクサビ体34で1個の通電用クリップ1bに圧入可能としてもよい。
【0035】
次に、前述のとおり組立てられた手動試験装置による試験方法を説明する。
試験に先立ち、電子部品トレイ30を通電用支持クリップ31の上に載せ、電子部品20を前記電子部品トレイ30の電子部品挿入口36に1個ずつ配置し、電極21の先端を電子部品トレイ30の電極挿入口37の下端部から表出させる。
すると、電極21は、図6の左半部に示すように、抜け止め突起16の接触端子18,18間に挿入される。
【0036】
この状態で、電子部品トレイ30を押下げると、通電用クリップ支持ケース31は、常開タイプの通電用クリップ1bとともに下方に移動するがばね35は充分大きな抗力を有するので、クサビ体取付け枠33及びクサビ体34は移動しない。このため、前記突出部3,3間にクサビ体34が圧入されて、トーションばね13に抗して突出部3,3側が開くので、反対側の接触端子18,18間が閉じ、図6の右半部のように、接触端子18,18によって電極21が挟着されて電気的に接続される。
尚、前記常開タイプの通電用クリップ1bは、突出部3,3間にクサビ体34が食込み、接触端子18,18間が密着すると、クサビ体34もクサビ体取付け枠33とともに下降する。クサビ体34が突出部3,3間に食込んだ分だけ、ばね35で吸収される。
【0037】
試験装置のコネクタ62に接続された外部電源や検出器等は、リード線54、コネクタ53、常開タイプの通電用クリップ1bのリード線接続端子17、接触端子18を経て、電子部品20の電極21に接続され、電子部品の給放電や信号検出等を行う。
ここで、電子部品トレイ30による下方への押圧を除くと、再び図6の左半部のような元の状態に戻る。
【0038】
第2実施例(自動試験装置)
第2実施例の試験装置は、電子部品トレイ30を固定にしておき、常開タイプの通電用クリップ1bの上下と、この常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18,18の開閉を自動的に行い、電子部品20の試験を行うためのもので、自動的に可動する機構以外の主な構成は前記第1実施例とほぼ同一である。すなわち、図8に示すように、固定ケース32の上部に電子部品トレイ30をセットする。又、固定ケース32の内部には通電用クリップ支持ケース31を上下動自在に設け、この通電用クリップ支持ケース31には、更に、クサビ体取付け枠33を上下動自在に設ける。
又、前記第1実施例と同様に、前記電子部品トレイ30の内側に複数個の電子部品20を収納する。
特に、この第2実施例では、クサビ体34及び常開タイプの通電用クリップ1bを移動するための手段として、通電用クリップ支持ケース31と固定ケース32の間に、上下の2個のシリンダ51、52からなる上下動用の通電用クリップ用シリンダ49を設ける。又、常開タイプの通電用クリップ1bを開閉するためにクサビ体用シリンダ48を設置する。
【0039】
各部の詳細な構成について以下に説明する。
電子部品20を収納する電子部品トレイ30、クサビ体34、クサビ体取付け枠33,常開タイプの通電用クリップ1b、通電用クリップ支持ケース31及び固定ケース32の形状は、第1実施例とほぼ同様である。
【0040】
前記クサビ体用シリンダ48の内部には、ピストン55及びロッド56が収納されて、油圧又は空気圧によりシリンダ48が上下動する。このクサビ体用シリンダ48のロッド56の上端部は、通電用クリップ支持ケース31の上端部に連結され、クサビ体用シリンダ48は、クサビ体取付け枠33に固着されている。このため、クサビ体用シリンダ48が上下動することによりクサビ体34も上下動し、常開タイプの通電用クリップ1bの開閉動作を行う。
前記通電用クリップ用シリンダ49は、2個のシリンダ(上シリンダ51と下シリンダ52)を縦方向に直結させてなる。
すなわち、下シリンダ52の上板と上シリンダ51の底板との間を貫通孔で連通し、この貫通孔に、下シリンダ52のピストン55に連結されたロッド56を挿通させ、上シリンダ51のピストン55の下面に臨ませられている。又、上シリンダ51のストロークS1が下シリンダ52のストロークS2よりやや長く(例えば1mm)設定されている。
上シリンダ51のピストン55に連結されたロッド56は、上板を貫通して上方に伸び、上端が、通電用クリップ支持ケース31に固着された取付け部材57を貫通し、ロッド56の頭部58が係止している。
又、取付け部材57とロッド56の途中のばね支持部59との間には、前記ばね35と同一な目的を有するばね60が介在されている。
【0041】
次に、自動試験装置による試験方法を説明する。
電子部品20を電子部品トレイ30の内側に配置する。
尚、この第2実施例では、電子部品トレイ30の底板の下面から、常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18の上端部までの間隔が、通電用クリップ用シリンダ49における上シリンダのストロークS1よりも、やや大きめ(例えば1mm)の空間をもって配置されている。
【0042】
ここで、まず、通電用クリップ用シリンダ49の上シリンダ51と下シリンダ52に実線方向に油圧、空気圧等を加えて同時に上昇させ、通電用クリップ支持ケース31に組込まれた常開タイプの通電用クリップ1bとクサビ体34とを一体にS1(20mm)上昇させる。すると、常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18,18は、これらの間の隙間で、電子部品20の電極21を挟み込む位置まで上昇する。
このとき、上シリンダ51のピストン55の下面と下シリンダ52のロッド56の上端間に、S1−S2=1mmの隙間が生じる。
【0043】
この状態でクサビ用シリンダ48に実線方向に圧を加えると、ピストン55は固定であるから、シリンダ48が上昇する。これに伴い、クサビ体34も上昇する。
この上昇により、クサビ体34の上部が常開タイプの通電用クリップ1bの突出部3,3間に圧入され、反対側の線接触端子18,18が閉じ、その間に位置する電極21と挟着して、電気的に接続する。
【0044】
上記のように圧接した状態で、前記下シリンダ52には実線方向に圧を加えて上昇させたまま、前記上シリンダ51のみに点線方向に圧を加えて下降させる。
すると、上シリンダ51は、下シリンダ52とのストロークの差、すなわち1mmだけ下降し、それに伴って常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18,18及びクサビ体34も、挟着状態を保ったまま1mm下降する。このため、接触端子18,18は、電極21の表面を1mm圧接摺動することとなる。
【0045】
上記の結果、常開タイプの通電用クリップ1bの接触端子18,18を、電極21の両面に、より確実に接続することができる。従って、給放電や信号検出等の試験は、上記のような、圧接摺動による確実な電気的接続状態で行われる。
【0046】
試験終了後は、まず、クサビ用シリンダ48に点線方向の圧を加えて下降させる。これに伴い、常開タイプの通電用クリップ1bは、突出部3,3間に圧入されていたクサビ体34が下降して接触端子18,18間が開くので、電極21から離反する。
その後、通電用クリップ用シリンダ49の上シリンダ51及び下シリンダ52にも点線方向に圧を加えて下降させ、通電用クリップ支持ケース31を元に戻す。
【符号の説明】
【0047】
1…通電用クリップ、1a…常閉タイプの通電用クリップ、1b…常開タイプの通電用クリップ、2…クリップ体、3…突出部、4…凹部、5…電極材、6…指、7…シャフト、8…シャフト受突起、9…シャフト受係合部、10…シャフト孔、11…半円部、12…間隔、13…トーションばね、14…コイル部、15…抜け止め頭部、16…抜け止め突起、17…リード線接続端子、18…接触端子、19…コイル収納部、20…電子部品、21…電極、22…+極、23…−極、24…接触ピン、25…絶縁ボード、26…わに口クリップ、27…凹部、28…クリップ部、29…先端部(接触ピン)、30…電子部品トレイ、31…通電用クリップ支持ケース、32…固定ケース、33…クサビ体取付け枠、34…クサビ体、35…ばね、36…電子部品挿入口、37…電極挿入口、38…クサビ体ガイド棒、39…抜け止め突起、40…ばね、41…クサビガイド孔、42…通電用クリップ支持ケース本体部、43…押下げ鍔部、44…長孔、45…固定ケース本体部、46…コネクタ接続部、47…コネクタ接続口、48…クサビ体用シリンダ、49…通電用クリップ用シリンダ、51…上シリンダ、52…下シリンダ、53…コネクタ、54…リード線、55…ピストン、56…ロッド、57…取付け部材、58…頭部、59…ばね支持部、60…ばね、61…コネクタ取付け孔、62…コネクタ、63…軸孔、64…丸孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体としての電子部品の電極を突出させてセットする電子部品トレイと、この電子部品トレイにセットされた電子部品の電極に臨ませて設けた通電用クリップと、この通電用クリップの1対の接触端子間が開閉するようにこの通電用クリップの1対のクリップ体間に進退するためのクサビ体を可動するクサビ体用シリンダと、通電用クリップ1とクサビ体とを一体に電子部品の電極側に進退する通電用クリップ用シリンダとを具備し、前記通電用クリップ用シリンダは、通電用クリップとクサビ体を進退する上シリンダと、この上シリンダの退動の動作を一時的にわずかなストロークで停止させるための下シリンダとからなり、通電用クリップの1対の接触端子により電子部品の電極を圧接摺動せしめるようにしたことを特徴とする通電用クリップを用いた給放電試験装置。
【請求項2】
固定ケースと、この固定ケースの上部にセットされ、被試験体としての複数個の電子部品の電極を所定間隔で下向きに突出させてセットするための電子部品トレイと、前記固定ケースの内部に上下動自在に設けられた通電用グリップ支持ケースと、この通電用グリップ支持ケースに上下動自在に設けられたクサビ体取付け枠と、前記複数個の電子部品の電極に臨ませて前記通電用グリップ支持ケースに設けた複数個の通電用クリップと、前記通電用グリップ支持ケースと前記クサビ体取付け枠の間に設けられ、前記通電用クリップの1対の接触端子間が開閉するようにこの通電用クリップの1対のクリップ体間に進退するためのクサビ体を可動するクサビ体用シリンダと、前記固定ケース3通電用グリップ支持ケースの間に設けられ、前記通電用クリップとクサビ体とを一体に電子部品の電極側に進退する通電用クリップ用シリンダとを具備し、前記通電用クリップ用シリンダは、通電用クリップとクサビ体を進退する上シリンダと、この上シリンダの退動の動作を一時的にわずかなストロークで停止させるための下シリンダとからなり、通電用クリップの1対の接触端子により電子部品の電極を圧接摺動せしめるようにしたことを特徴とする通電用クリップを用いた給放電試験装置。
【請求項3】
通電用クリップは、2個の絶縁性部材からなるクリップ体にそれぞれ電極材を一体成型し、この電極材の一端部をクリップ体の一端から露出してリード線接続端子となし、この電極材の他端部を、クリップ体の他端で互いに向い合わせて露出して接触端子となし、前記2個のクリップ体のほぼ中央のそれぞれのシャフト受突起を互いに噛合し、かつ、シャフトを挿通するとともに、このシャフトにトーションばねを介装し、このトーションばねは、互いに向い合う接触端子が常時開く方向に付勢して設けて、リード線接触端子側に設けたクリップ体の突出部間にクサビ体を進退自在に介在し、常開タイプとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の通電用クリップを用いた給放電試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−145419(P2010−145419A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28541(P2010−28541)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願2000−364651(P2000−364651)の分割
【原出願日】平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願人】(000138543)株式会社ユタカ電機製作所 (18)
【Fターム(参考)】