説明

通電表示装置

【課題】比較的広い領域で点滅し、視認性がよく、作業者による誤認識を防止することが可能な通電表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の通電表示装置200は、無機EL材料を含む蛍光層からなり、短冊形状でフレキシブルである通電表示部230と、前記通電表示部を駆動する電位を入力する磁性材料からなる2つの端子部240と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受変電盤や分電盤などの電気機器に接続される配電線の導通状態を可視化する通電表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの大電力を消費する建築物内においては、高圧線から引き込んだ高圧電流を変圧して建築物内の各所に供給するために、受変電盤や分電盤等の配電盤が設けられている。このような受変電盤や分電盤などの電気機器の保守作業に従事する作業者による感電事故を防止するために従来より、当該電気機器に接続される配電線の通電状態を可視化しようとする提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1(特開平5−207618号公報)には、配電盤の筐体内部に収容された被覆配電線の通電状態を表示するための装置であって、前記被覆配電線の通電時に誘導電流を発生する起電部と、前記起電部にて発生する誘導電流によって前記被覆配電線が通電状態である旨を表示する表示部と、を備えることを特徴とする配電盤の通電状態表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−207618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の通電状態表示装置においては、一般的に表示部としてLEDなどが用いられており、このような表示部によれば、比較的面積の狭い領域がピンポイントで点灯するような表示形態となるために、点灯状態を確認する上で視認性が悪く、問題であった。通電状態表示装置における視認性が悪いと、実際には通電しているにも関わらず、作業者が通電していないものと認識して作業を行い、感電事故を起こしてしまうこともあり、問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、無機EL材料を含む蛍光層からなり、短冊形状でフレキシブルである通電表示部と、前記通電表示部を駆動する電位を入力する磁性材料からなる2つの端子部と、を有することを特徴とする通電表示装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の通電表示装置によれば、無機EL材料を含む蛍光層からなる通電表示部230が比較的広い領域で点滅(点灯)するような表示形態となるために、視認性がよいものとなり、作業者による誤認識を防止することができ、感電事故を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置の概略の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置を導電線に取り付ける様子を示す図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置の回路部の概略の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置の通電表示部の断面構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置の使用例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置の概略の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置200の通電表示部230の断面構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置200の使用例を示す図である。
【図9】本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の概略の構成を示す図である。
【図10】従来から電気設備に用いられている銅バーを示す図である。
【図11】本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の通電表示部330の断面構成を示す図である。
【図12】本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本発明の第1実施の形態に係
る通電表示装置の概略の構成を示す図である。図1において、100は通電表示装置、101は本体ケース、102は固定側ケース、103は可動側ケース、104は回動支点、105は操作レバー、106は第1コア、107は第2コア、108は検電線、110は回路部、120はリード線、130は通電表示部、Cは導電線(ケーブル)をそれぞれ示している。
【0009】
本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置100は、導電線Cに例えば交流で660
0Vの高電圧が導通しているが否かを検知して、検知した場合には通電表示部130において点滅表示を行うように構成されるものである。
【0010】
通電表示装置100の本体ケース101に延在するようにして、第1コア106が収容されてなる固定側ケース102が設けられている。また、第1コア106と当接して環状コアを形成する第2コア107は可動側ケース103に収容されている。この可動側ケース103は、操作レバー105による操作に伴い、回動支点104を中心として回動することによって、固定側ケース102と可動側ケース103とが関す環状構造が開口させることができ、これにより図2に示すように導電線Cを取り付けることができるようになっている。図2は本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置100を導電線Cに取り付け
る様子を示す図である。図2に示すようにして、通電表示装置100を導電線Cに取り付けた後には、再び固定側ケース102と可動側ケース103とで環状構造に戻して、第1コア106と第2コア107とを当接させて環状コアの状態とする。
【0011】
導電線Cに交流電流が導通されると、第1コア106と第2コア107とで形成された環状コア内に変動磁界が誘起される。第1コア106には検電線108が巻回されており、コア内の変動磁界は検電線108に電流を誘起させることとなる。検電線108によって誘起された電流は、本体ケース101内の回路部110で検出される。
【0012】
図3は本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置100の回路部110の概略の構成
を示す図である。図3において、111は検出回路、112は電源部、113は降圧回路、114は信号増幅回路、115はオン/オフスイッチ回路、116は表示部駆動インバーター回路をそれぞれ示している。
【0013】
検出回路111は検電線108によって誘起された電流を検出したとき、所定の電気信号に変換してこれを信号増幅回路114に入力する。
【0014】
電源部112としては例えば単4電池3本が直列接続された4.5Vのものを用いてい
る。降圧回路113は、この4.5Vを3Vに降圧し、信号増幅回路114の電源としている。
【0015】
信号増幅回路114は検出回路111からの入力があったときには、オン/オフスイッチ回路115が作動するレベルに変換する。また、オン/オフスイッチ回路115は後段のインバーター回路をオン/オフさせるためのスイッチング動作を行う。このようなオン/オフスイッチ回路115のスイッチング動作によって通電表示部130の表示が点滅する。表示部駆動インバーター回路116は、通電表示部130として用いている無機EL(Electroluminescence)表示素子の表示動作に最適な周波数帯の駆動電流を生成する。
【0016】
以上のような回路部110からの出力は、リード線120を通じて通電表示部130に供給される。通電表示部130の略全面は無機EL材料を含む無機EL表示素子から構成されており、通電表示部130に駆動電流が供給されると、通電表示部130の片面側の略全面が発光するようになっている。また、この通電表示部130は、図示するように短冊形状であり、無機EL表示素子が封止(パウチ)されたものであり、ある程度フレキシブルに形を変えることが可能に構成されている。例えば、この短冊形状の通電表示部130は、通電線Cに巻き付けることなどができるようになっている。
【0017】
次に、このような通電表示部130の構造について説明する。図4は本発明の第1実施
の形態に係る通電表示装置100の通電表示部130の断面構成を示す図である。図4において、131は背面電極、132は誘導電気層、133は蛍光体層、134は透明電極層、135は封止部材をそれぞれ示している。図4は図1のA−A’断面を模式的に示している。
【0018】
背面電極131としては適当な薄膜金属材料が用いられ、この背面電極131上に誘導電気層132が塗布などによって形成される。誘導電気層132としてはチタン酸バリウムが用いられる。この誘導電気層132上にはさらに、蛍光体層133が塗布により形成される。蛍光体層133は硫化亜鉛などの無機EL発光材料、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体をメチルケトンの溶剤に溶かしたフッ素樹脂バインダに分散して形成したものである。蛍光体層133の溶剤を乾燥させた後には、透明電極層134としてITO(インジウム−錫酸化物など)が塗布される。また、以上の構成を封止する封止部材135としては、蛍光体層133からの発光を取り出すことが可能な透明ポリマー材料などが用いられる
次に、以上のように構成される通電表示装置100の使用形態について説明する。図5は本発明の第1実施の形態に係る通電表示装置100の使用例を示す図である。図5にお
いては、R、S、Tの三相高圧ケーブルのうちRにのみ、本実施形態に係る通電表示装置100を装着した例を示しているが、本実施形態に係る通電表示装置100は任意のケーブルに適用することが可能である。ケーブルCに装着する場合には、通電表示装置100の固定側ケース102及び可動側ケース103によってケーブルCをクランプさせ、そして、通電表示部130の発光面が表側となるようにして、通電表示部130を図示のごとくケーブルCに巻き付けるようにする。このように通電表示装置100をケーブルCセットした状態で、ケーブルCに電流が流れると、検出回路111で当該電流が検出されて、通電表示部130が点滅するようになる。
【0019】
なお、通電表示部130はフレキシブルな短冊状の部材であるので、電表示部130をケーブルCに巻き付けることなく、その他の形態で装着するようにしてもよい。
【0020】
以上のような本発明の通電表示装置100によれば、無機EL材料を含む蛍光層からな
る通電表示部130がケーブルCに巻き付けられるようにして用いられ、この通電表示部130が比較的広い領域で点滅するような表示形態となるために、視認性がよいものとなり、作業者による誤認識を防止することができ、感電事故を防止することが可能となる。
【0021】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置200の概略の構成を示す図である。図6において、200は通電表示装置、220はリード線、230は通電表示部、240は磁性端子部をそれぞれ示している。第2実施の形態に係る通電表示装置200は、略全面が発光する通電表示部230と、この通電表示部230に、リード線220を介して、電位を入力する磁性端子部240とを有している。この第2実施の形態に係る通電表示装置200は、数100V〜400V程度の比較的低い電圧の電気設備に適用されることが想定されており、通電表示部230に印加される電圧は直接的に、ブレーカーなどの電気設備の端子からとるようにする。磁性端子部240は、導電性を有する磁性材料から構成されており、着磁が施されており、電気設備の端子部のビスなどに吸着して固定され得るようになっている。
【0022】
通電表示部230の略全面は無機EL材料を含む無機EL表示素子から構成されており、通電表示部230に駆動電流が供給されると、通電表示部230の片面側の略全面が発光するようになっている。また、この通電表示部230は、図示するように短冊形状であり、無機EL表示素子が封止(パウチ)されたものであり、ある程度フレキシブルに形を変えることが可能に構成されている。例えば、この短冊形状の通電表示部230は、通電線Cに巻き付けることなどができるようになっている。
【0023】
次に、このような通電表示部230の構造について説明する。図7は本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置200の通電表示部230の断面構成を示す図である。図7において、231は背面電極、232は誘導電気層、233は蛍光体層、234は透明電極層、235は封止部材をそれぞれ示している。図7は図6のA−A’断面を模式的に示している。
【0024】
背面電極231としては適当な薄膜金属材料が用いられ、この背面電極231上に誘導電気層232が塗布などによって形成される。誘導電気層232としてはチタン酸バリウムが用いられる。この誘導電気層232上にはさらに、蛍光体層233が塗布により形成される。蛍光体層233は硫化亜鉛などの無機EL発光材料、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体をメチルケトンの溶剤に溶かしたフッ素樹脂バインダに分散して形成したものである。蛍光体層233の溶剤を乾燥させた後には、透明電極層234としてITO(インジウム−錫酸化物など)が塗布される。また、以上の構成を封止する封止部材235としては、蛍光体層233からの発光を取り出すことが可能な透明ポリマー材料などが用いられる
次に、以上のように構成される通電表示装置200の使用形態について説明する。図8は本発明の第2実施の形態に係る通電表示装置200の使用例を示す図である。図8においては、比較的電圧が低い三相のケーブルのうち1本にのみ、本実施形態に係る通電表示装置200を装着した例を示しているが、本実施形態に係る通電表示装置200は任意のケーブルに適用することが可能である。また、Tはブレーカーなどの電気設備の端子部を示しており、本実施形態に係る通電表示装置200は、2つの磁性端子部240を利用して、任意の異なる2つの端子部にこれら磁性端子部240を磁力によって装着する。本実施形態に係る通電表示装置200は、このように磁性端子部240によって、電気設備の端子部簡便に取り付けることができるので、作業上の大きな手間となることがない。
【0025】
また、通電表示部230をケーブルCに装着する場合には、通電表示部230の発光面が表側となるようにして、通電表示部230を図示のごとくケーブルCに巻き付けるようにする。このように通電表示装置200をケーブルCセットした状態で、2つの端子部に
電位差が発生すると、通電表示部230が点灯するようになる。
【0026】
なお、通電表示部230はフレキシブルな短冊状の部材であるので、通電表示部230をケーブルCに巻き付けることなく、その他の形態で装着するようにしてもよい。
【0027】
以上のような本発明の通電表示装置200によれば、無機EL材料を含む蛍光層からなる通電表示部230がケーブルCに巻き付けられるようにして用いられ、この通電表示部230が比較的広い領域で点灯するような表示形態となるために、視認性がよいものとなり、作業者による誤認識を防止することができ、感電事故を防止することが可能となる。
【0028】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図9は本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の概略の構成を示す図である。図10は従来から電気設備に用いられている銅バー301を示す図である。
【0029】
第3実施の形態に係る通電表示装置300は従来より用いられている銅バー301に誘電電気層を設け、さらにこの誘電電気層上に無機EL材料を含む蛍光層を設けて、銅バー301自体を通電表示部330として発光させるように構成したものである。
【0030】
次に、このような通電表示部330の構造について説明する。図11は本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の通電表示部330の断面構成を示す図である。図11において、301は銅バー、302は誘導電気層、303は蛍光体層、304は透明電極層、305は保護層をそれぞれ示している。図11は図9のA−A’断面を模式的に示している。
【0031】
無垢の銅バー301上には、チタン酸バリウムを含む誘導電気層302が塗布などによって10〜50ミクロン程度の厚さで形成される。所定の乾燥工程を経て、次に、この誘導電気層302上にはさらに、蛍光体層303が5〜40ミクロンの厚さで塗布により形成される。蛍光体層303は硫化亜鉛などの無機EL発光材料、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体をメチルケトンの溶剤に溶かしたフッ素樹脂バインダに分散して形成したものである。蛍光体層303を塗膜し、蛍光体層303の溶剤を乾燥させた後には、透明電極層304としてITO(インジウム−錫酸化物など)が5〜10ミクロンの厚さで塗布される。透明電極層304形成後には、保護層305を設けるようにするが、この保護層305としては、蛍光体層303からの発光を取り出すことが可能な透明ポリマー材料などを用いることができる。
【0032】
次に、以上のように構成される通電表示装置300の使用形態について説明する。図12は本発明の第3実施の形態に係る通電表示装置300の使用例を示す図である。図12は、比較的電圧が低い三相交流電流が3本の銅バーに流れている場合を想定しているものであり、そのうちの最も右に位置する銅バーを通電表示装置300として利用する場合を例示しているが、本発明では、図12中のどの銅バーも通電表示装置300としてさせることができる。
【0033】
図12に示す例では最も右に位置する銅バーの保護層305を除去して、透明電極層304を露出させて、この透明電極層30と中央の銅バー部分とを短絡させるようにしている。このように一の通電表示装置300の透明電極層304と、これと異なる通電表示装置300の銅バー301とを短絡させた状態で、2つの通電表示装置300(銅バー301)に電位差が発生すると、一の通電表示装置300の通電表示部330全体が点灯するようになる。
【0034】
以上のような本発明の通電表示装置300によれば、無機EL材料を含む蛍光層からな
る通電表示部330が銅バー301略全面に設けられ、この通電表示部330が比較的広い領域で点灯するような表示形態となるために、視認性がよいものとなり、作業者による誤認識を防止することができ、感電事故を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
100・・・通電表示装置、101・・・本体ケース、102・・・固定側ケース、103・・・可動側ケース、104・・・回動支点、105・・・操作レバー、106・・・第1コア、107・・・第2コア、108・・・検電線、110・・・回路部、111・・・検出回路、112・・・電源部、113・・・降圧回路、114・・・信号増幅回路、115・・・オン/オフスイッチ回路、116・・・表示部駆動インバーター回路、120・・・リード線、130・・・通電表示部、131・・・背面電極、132・・・誘導電気層、133・・・蛍光体層、134・・・透明電極層、135・・・封止部材、200・・・通電表示装置、220・・・リード線、230・・・通電表示部、240・・・磁性端子部、300・・・通電表示装置、301・・・銅バー、302・・・誘導電気層、303・・・蛍光体層、304・・・透明電極層、305・・・保護層、330・・・通電表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機EL材料を含む蛍光層からなり、短冊形状でフレキシブルである通電表示部と、
前記通電表示部を駆動する電位を入力する磁性材料からなる2つの端子部と、を有することを特徴とする通電表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−227090(P2011−227090A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130245(P2011−130245)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2009−112581(P2009−112581)の分割
【原出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(591048830)日本電設工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】