説明

通風筒

【課題】船舶内外の換気に用いられる通風筒において、安全にハンドルを操作してコーミングの上端開口を閉じることができるようにする。
【解決手段】甲板開口21を囲んで突出するコーミング11と、前記コーミング11の上端開口111に被せられるカサ12とから構成される通風筒1において、シャフト13は、コーミング11に対して支持されて甲板開口21より下方からコーミング11の上端開口111を超えて延ばし、コーミング11の上端開口111から上方に雄ねじ部132を形成し、ハンドル14は、シャフト13の下端から甲板開口21の間に設け、蓋15は、シャフト13の雄ねじ部132に螺合する雌ねじ部151を設け、カサ12に設けた昇降ガイド122に対して昇降方向に移動自在でシャフト13の自転方向に係合するガイド係合部152を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶内外の換気に用いられる通風筒に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶内外の換気に用いられる通風筒は、甲板や独立した閉鎖区画(モジュール)の天井等(以下、甲板で代表する)に設けられた開口(以下、甲板開口と呼ぶ)を囲んで突出するコーミング(筒体)と、前記コーミングの上端開口に被せられるカサとからなる構成が多い。この通風筒は、マッシュルーム通風筒と呼ばれる(以下、本発明における通風筒は、マッシュルーム通風筒を意味する)。コーミングは、甲板開口に海水が浸入しないように、カサはコーミングの上端開口から海水が浸入しないようにする。このため、通風筒は、カサの下面開口がコーミングの上端開口より下方に位置し、外部からコーミングの上端開口が視認できない。コーミングは、強制換気のために送風ファンを内蔵することもある(後掲特許文献1・第1図、特許文献3・第1図参照)。
【0003】
通風筒は、常態としてコーミングの上端開口を開放しているが、万一の海水の流入を防止するため、上端開口を開閉する蓋が設けられる(特許文献1〜特許文献3)。例えば特許文献1は、カサ(ボンネット4)の上面を貫通して下方に突出するシャフト(軸7)の上端にハンドル(9)を、下端に蓋(カバー6)を設けた通風筒を開示する(特許文献1・第2図参照)。シャフトは、カサの上面を貫通する部分に設けた雄ねじ部を、前記カサの上面に設けた雌ねじ部(ねじ孔8)に螺合させている。これにより、ハンドル(9)を廻すと雌ねじ部に対して相対的に雄ねじ部が螺合位置を変えるので、シャフトをカサの上面に対して昇降させ、シャフトに連れて昇降する蓋がコーミングの上端開口に上方から接近離反し、開閉する。特許文献2及び特許文献3も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03-068200号公報
【特許文献2】実全昭61-114234号公報
【特許文献3】実全昭59-156898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通風筒の蓋は、例えば海が大きく荒れ、カサの下面開口からコーミングの上端開口に海水が回り込むような事態に際して、前記上端開口を閉じる。これは、通風筒の蓋によりコーミングの上端開口を閉じるため、海が大きく荒れた環境にある甲板に作業員が上がり、船舶外でカサの上部に設けられたハンドルを操作する必要のあることを意味する。通風筒のハンドルを操作する機会は滅多にないが、海が大きく荒れた環境にある甲板に作業員が上がってハンドルを操作することは、大変危険である。そこで、安全にハンドルを操作してコーミングの上端開口を閉じることのできる通風筒を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検討の結果、甲板開口を囲んで突出するコーミングと、前記コーミングの上端開口に被せられるカサとから構成される通風筒において、シャフトは、コーミングに対して支持されて甲板開口より下方からコーミングの上端開口を超えて延ばし、コーミングの上端開口から上方に雄ねじ部を形成し、ハンドルは、シャフトの下端から甲板開口の間に設け、蓋は、シャフトの雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を設け、カサに設けた昇降ガイドに対して昇降方向に移動自在でシャフトの自転方向に係合するガイド係合部を設けた通風筒を開発した。本発明に言う「甲板」は、甲板や独立した閉鎖区画(モジュール)の天井等、船舶内外を画する上面を指し、甲板開口は前記上面に設けられた開口を意味する。
【0007】
本発明の通風筒は、コーミングに対して支持されるシャフトが、甲板開口より下方からコーミングの上端開口を超えて延び、下端から甲板開口の間にハンドルを設けることにより、船舶内からハンドルを操作できるようにする。蓋は、シャフトのコーミングの上端開口から上方に形成した雄ねじ部に雌ねじ部を螺合させ、カサに設けた昇降ガイドにガイド係合部を昇降方向に移動自在かつシャフトの回転方向に係合させることにより、シャフトの自転に連れ回りすることなく、シャフトの自転に伴う雄ねじ部の回転に従って雌ねじ部を上下方向に移動させて、コーミングの上端開口に対して上方から接近離反させる。
【0008】
シャフトは、コーミング内部に架設した支持梁に支持させる。カサに設ける昇降ガイドは、上下方向に延びる棒又は板であり、最低限1つ設ければよいが、姿勢の安定した蓋の昇降を図るには、断面円形の蓋に対して周方向等間隔で複数設けることが望ましい。また、板である昇降ガイドは、断面円形の蓋に対して半径方向に面を平行に揃えるとよい。シャフトに形成する雄ねじ部は、雌ねじ部の移動範囲、すなわち蓋の昇降範囲を決定することから、コーミングの上端開口に蓋を密着させるため、蓋が塞いだ状態で前記上端開口より下方に延びていることが望ましい。これから、雄ねじ部を「コーミングの上端開口から上方に形成した」とは、コーミングの上端開口より少しに雄ねじ部が延びて形成されている場合を含む。
【0009】
上述のように、蓋は、雌ねじ部をシャフトの雄ねじ部に螺合させ、ガイド係合部を昇降ガイドに係合させることにより、自転するシャフトに対する連れ回りを防止しながら、自転するシャフトに対して昇降する。すなわち、シャフト自体は昇降せず、蓋のみが昇降するが、蓋が停止した状態でハンドルを廻し始めると、蓋が位置固定され、逆にシャフトが昇降しようとする。そこで、こうしたハンドルの廻し始めにおけるシャフトの昇降を防止し、すぐに蓋が昇降を開始するように、シャフトは、カサに設けた軸受け部に上端を下方から当接させて上昇を防止し、また外径を大きくするカラーを外嵌させ、コーミングに設けた支持梁に前記カラーを上方から係合させて下降を防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の通風筒は、蓋をコーミングの上端開口に対して接近離反させるシャフトを自転させるハンドルを船舶内に設けたので、海が大きく荒れた場合でも、安心して船舶内からハンドルを操作できるようにする。これにより、作業員の安全性を大きく高めることができる。また、カサ及びコーミングの内部に完全に収納できるシャフトは、カサに設けた軸受け部に上端を下方から当接させ、コーミングに設けた支持梁に外嵌したカラーを上方から係合させることにより、ハンドルを回し始める段階でのシャフトの昇降を防止して、直ちに蓋を昇降させるようにし、確実かつ円滑に蓋を開閉できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した通風筒の一例を表す縦断面図である。
【図2】本例の通風筒の平面図である。
【図3】本例の通風筒の図1中A−A断面図である。
【図4】本例の通風筒の図1中B−B断面図である。
【図5】コーミングの上端開口を開いた状態で、ハンドルを右に回し始めた段階の図1相当断面図である。
【図6】ハンドルを右に回して蓋を下降させ、コーミングの上端開口を閉じた段階の図1相当断面図である。
【図7】コーミングの上端開口を閉じた状態で、ハンドルを左に回し始めた段階の図1相当断面図である。
【図8】ハンドルを左に回して蓋を上昇させ、コーミングの上端開口を開いた段階の図1相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明を適用した通風筒1は、図1〜図4に見られるように、外観上は従来同種の通風筒に対して船舶外にハンドルがないことを除いてほとんど変わらず、甲板2に設けられた甲板開口21を囲んで突出するコーミング11と、前記コーミング11の上端開口111に被せられるカサ23とから構成される。本発明の通風筒1は、例えば海が大きく荒れた際に前記上端開口111を閉じることのできる蓋15をカサ12の中に設けているが、前記蓋15を昇降させるために自転するシャフト13がコーミング11内に収納され、前記シャフト13下端に設けたハンドル14が船舶内(図1中甲板2下方)で操作できる点に特徴を有する
【0013】
コーミング11は、上端開口111及び下端開口を有する金属製の円筒で、前記下端開口の周縁に溶接した取付フランジと側面との間に8枚のコーミング補強フランジ115を周方向等間隔に固着している。本例のコーミング11は、甲板開口21を囲んで直接甲板2に固定するのではなく、前記甲板開口21に固着された環状の取付ベース22に対して前記取付フランジを接面させ、ボルトにより固定している。取付ベース22は、周面と甲板2との間に8枚のベース補強フランジ23を周方向等間隔に固着して、甲板2に対する取付強度を高め、同時に甲板開口21周辺の剛性低下を防止している。また、コーミング11を取付ベース22に対してボルト止めすることで、通風筒1単位で着脱し、必要に応じて容易に交換できるようにしている。
【0014】
本発明の通風筒1は、コーミング11に対してシャフト13を支持する。本例のコーミング11は、中段から少し下がった高さで、側面内側から半径方向内向きに4本の支持梁112を突出させ、前記支持梁112が交差する中心に貫通部113を設けている。貫通部113は、内蔵するベアリングを介装してシャフト13を支持させ、前記シャフト13の上下動及び自転を許容する。しかし、シャフト13(正確には後述する上シャフト131)は、前記貫通部113のベアリングより外径の大きなカラー133を外嵌しており、前記カラー133を貫通部113の上端面に係合させているので、落下せずに支持される。このほか、本例のコーミング11は、小動物の侵入を防止する防護ネット114を上段開口111から少し下がった位置に張っている。
【0015】
カサ12は、外径がコーミング11より大きい平面視円形である金属製の円盤を上面とし、前記上面の周縁から金属製の周面を降ろして構成され、コーミング11の側面と前記周面との間に環状の下面開口121を形成している。カサ12は、周面内側から半径内向きに8枚の金属製の板材からなる昇降ガイド122を周方向等間隔に設けている。各昇降ガイド122は、コーミング11の上端開口111から少し下がった高さで、側面外側から半径方向外向きに突出させた8枚の支持フランジに連結させている。これにより、コーミング11に対するカサ12の高さ方向及び周方向の位置関係が特定され、コーミング11の上端開口111よりカサ12の下面開口121が必ず下方に位置するようになり、常態でのコーミング11への海水の流入が防止される。
【0016】
カサ12の上面は、中心にシャフト13(正確には後述する上シャフト131)の上端を当接させる軸受け部123を設け、前記軸受け部123と各昇降ガイド122とを結ぶ位置関係で8枚の補強リブを取り付け、剛性強化を図っている。軸受け部123は、内蔵するベアリングを介装してシャフト13を支持させ、前記シャフト13の上下動及び自転を許容する。しかし、軸受け部123の上端面は、肉厚の金属板である押さえ板124を、カサ12の上面にボルト止めして塞いでいる。これにより、シャフト13(正確には後述する上シャフト131)は、前記押さえ板124に上端を当接させて、上昇が防止される。押さえ板124は、必要により取り外し、例えば軸受け部123のベアリングにグリスを補充するメンテナンスドアの働きも有している。
【0017】
本例のシャフト13は、甲板開口21より下方からコーミング11の上端開口111を超えて延びる1本の棒体ではなく、上シャフト131及び下シャフト135の分割構成である。本発明の通風筒1では、シャフト13が1本の棒体又は分割構成のいずれでも構わないが、通風筒1の組み立ての関係から、シャフト13を分割構成にすることが望ましい。また、例えばコーミング11が蛇行した場合、シャフト13を分割構成とし、分割された各シャフトを自在継ぎ手で連結すれば、前記蛇行したコーミング11内部にシャフト13を収めることもできる。
【0018】
上シャフト131は、上端からコーミング11の上端開口111より少し下がった位置までの範囲に雄ねじ部132を形成した金属製の棒体又はパイプで、カサ12に設けた軸受け部123に差し込む部分より少し下に環状のストッパ134を取り付けている。ストッパ134は、前記雄ねじ部132に雌ねじ部151を螺合させて上昇する蓋15に上方から係合し、前記蓋15の上昇限度を設定する。上シャフト131は、既述したように、下方にカラー133を外嵌し、コーミング11の支持梁112に設けた貫通部113に前記カラー133を係合させて、コーミング11に対して支持される。カラー133は、自由状態で上シャフト131に遊嵌した後、コーミング11の支持梁112に設けられた貫通部113に支持される高さで、平面内で直交するピンを差し込んで上シャフト131に対して位置固定される。
【0019】
下シャフト135は、上端に連結継ぎ手136を設けた金属製の棒体又はパイプで、下端にハンドル14を設けている。連結継ぎ手136は、下シャフト131の上端から突出するように外嵌したパイプであり、溶接により下シャフト131に位置固定で取付けている。上シャフト131及び下シャフト135は、連結継ぎ手136に差し込んだ上シャフト131の下端を前記連結継ぎ手136に対して平面内で直交するピンを差し込むことにより、連結される。シャフト13を分割構成にする理由は、通風筒1の組み立てを容易にする点にあるが、下シャフト135を上シャフト131と無関係に長さを決定できることから、下シャフト135のみを交換することにより、下シャフト135を除く部分を同じ通風筒1の構成にしながら、船舶内における甲板開口21の高さに対応できるようになる。
【0020】
ハンドル14は、シャフト13の下端から甲板開口21(甲板2が薄い場合、船舶外に覗く甲板開口21と船舶内に覗く甲板開口21とを同一にみなしても問題ないが、甲板2が厚い場合、ここに言う「甲板開口21」は船舶内から覗く天井面に開口されたものを意味する。)の間に設け、作業員が船舶内から操作できれば、必ずしもシャフト13の下端に設けなくてもよい。ハンドル14は、通常ほとんど操作されないことから、基本的には不要物なので、シャフト13の下方への突出を最低限とし、前記シャフト13の下端にハンドル14を設けることが望ましい。この場合、ハンドル14の位置が高くなりすぎた場合、船舶内では設置及び撤去自在な台に作業員が乗り、ハンドル14を操作させる。
【0021】
蓋15は、外径がコーミング11の上端開口111より大きな金属製の円盤で、中心に雌ねじ部151を設けている。雌ねじ部は、雄ねじ部132を螺合する雌ねじを刻んだ孔を開口した金属製のブロックである。本例の蓋15は、上端開口111に対して単純に上方から被さるのではなく、周縁に形成した下向きに突出する環状の主フランジと前記主フランジより内周で下向きに突出する環状の副フランジとの間に嵌め込んだシールリング153を、前記上端開口111を囲むコーミング11の上端周縁に上方から押し当てて、水密性を確保できるようにしている。このため、コーミング11の上端周縁にシールリング153が周方向均等に押し当てられるように、雌ねじ部から副フランジに延びる放射状の補強リブを設け、蓋15の剛性を高めている。
【0022】
蓋15は、周縁から半径方向外向きに突出するガイド係合部152を、カサ12に設けた昇降ガイド122に対して昇降方向に移動自在としながらシャフト13の自転方向に係合させて、シャフト13に連れ回りさせない。ガイド係合部152は、平面視長方形の板材で、外周側から半径方向内向きに昇降ガイド122より広幅なスリットを形成し、前記スリットに昇降ガイド122の縁部を差し込ませている(図3参照)。これにより、蓋15は、ハンドル14の操作により高さ方向が位置固定でシャフト13が自転すると、ガイド係合部152を昇降ガイド122に係合させ、雄ねじ部132に対する雌ねじ部151の螺合位置を変化させて昇降する。
【0023】
ガイド係合部152は、蓋15の連れ回り防止部材として働かせる場合、最低1つ設ければよいが、蓋15の昇降案内部材として働かせる場合、複数設けることが望ましく、更に複数が周方向均等間隔に配置されるとより望ましい。このように、連れ回り防止部材及び昇降案内部材として働かせる本例のガイド係合部152は、2つあり、点対称な位置関係に配置している。このほか、複数設けたガイド係合部152は、それぞれに昇降ガイド122を係合させることから、必然的に昇降ガイド122を設けたカサ12に対して蓋15の位置関係を特定する位置決め部材ともなり、通風筒1の組み立てを助ける働きを有する。
【0024】
本例の通風筒1は、次のように蓋15を昇降させて、コーミング11の上端開口111を開閉する。通風筒1は、図1に見られるように、常態として蓋15を上昇させ、コーミング11の上端開口111を開放している。この状態からハンドル14を右回りに回転させ始めると、図5に見られるように、直ちに蓋15が下降を開始するのではなく、まずシャフト13が上昇しようとする(図5中破線矢印参照)。これは、シャフト13の自転に対して連れ回りが防止された蓋15が停止した状態にあると、シャフト13の自転は、まず雌ねじ部151に雄ねじ部132を捩じ込むように働くことによる。
【0025】
しかし、本例の通風筒1は、シャフト13の上端を押さえ板124に下方から当接させ、仮にシャフト13が上昇しようとしても上昇できないようにしている。これにより、シャフト13の上昇が防止され、高さ方向に位置固定で自転するシャフト13に対して相対的に蓋15が下降する。そして、図6に見られるように、蓋15の周縁下面側に保持されたシールリング153をコーミング11の上端周縁に上方から圧接して、十分な気密性を確保して、蓋15は上端開口111を閉じる。蓋15が上端開口111を閉じたか否かについて、従来同様、特に判別手段を設けていないが、ハンドル14を廻すトルクの上昇を作業員が感得することにより、容易に判断できる。
【0026】
蓋15を上昇させて上端開口111を開く手順は、基本的に上述した蓋15を下降させる手順の逆である。これから、蓋15により上端開口111を上方から塞いだ状態からハンドル14を左回りに回転させ始めると、上述同様、図7に見られるように、直ちに蓋15が上昇を開始するのではなく、まずシャフト13が下降しようとする(図7中破線矢印参照)。これは、シャフト13の自転に対して連れ回りが防止された蓋15が停止した状態にあると、シャフト13の自転は、まず雌ねじ部151から雄ねじ部132を捩じ戻すように働くことによる。
【0027】
しかし、本例の通風筒1は、シャフト13に外嵌したカラー133をコーミング11の支持梁112に設けた貫通部113に上方から係合当接させ、仮にシャフト13が下降しようとしても下降できないようにしている。これにより、シャフト13の下降が防止され、高さ方向に位置固定で自転するシャフト13に対して相対的に蓋15が上昇する。そして、図8に見られるように、蓋15のシールリング153がコーミング11の上端周縁から離れて、蓋15は上端開口111を開く。蓋15は、ある程度上端開口111から離れればいくら上昇してもよい。本例の通風筒1は、シャフト13に設けたストッパ134に当接するまでの範囲で上昇を許すようにしている(図8は、ストッパ134の手前で蓋15の上昇を停止させた図示になっている)。
【0028】
ここで、ハンドル14を廻し続けると、ストッパ134を超えて蓋15が上昇をし続け、やがてカサ12の上面内側の補強リブに押し付けられて初めて上昇を止め、更にハンドル14を廻し続けると今度はシャフト13が上昇を始めかねない。シャフト13の上端を下方から当接させる押さえ板124は、こうした異常事態に生ずるシャフト13の上昇を確実に防止する働きを有している。シャフト13をカサ12の上面に貫通させ、上端を別体の押さえ板12に当接させた構造は、こうした異常事態に際してシャフト13の上昇を防止するためである。このため、押さえ板124は、カサ12を構成する板材よりも厚く、構造強度の高い金属板を用いている。
【符号の説明】
【0029】
1 通風筒
11 コーミング
111 上端開口
12 カサ
121 下面開口
122 昇降ガイド
13 シャフト
131 上シャフト
132 雄ねじ部
133 カラー
135 下シャフト
14 ハンドル
15 蓋
151 雌ねじ部
2 甲板
21 甲板開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲板に設けられた開口を囲んで突出するコーミングと、前記コーミングの上端開口に被せられるカサとから構成される通風筒において、
シャフトは、コーミングに対して支持されて甲板に設けられた開口より下方からコーミングの上端開口を超えて延ばし、コーミングの上端開口から上方に雄ねじ部を形成し、
ハンドルは、シャフトの下端から甲板に設けられた開口の間に設け、
蓋は、シャフトの雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を設け、カサに設けた昇降ガイドに対して昇降方向に移動自在でシャフトの自転方向に係合するガイド係合部を設けたことを特徴とする通風筒。
【請求項2】
シャフトは、カサに設けた軸受け部に上端を下方から当接させた請求項1記載の通風筒。
【請求項3】
シャフトは、外径を大きくするカラーを外嵌させ、コーミングに設けた支持梁に前記カラーを上方から係合させた請求項1又は2いずれか記載の通風筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20697(P2012−20697A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161372(P2010−161372)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(395008333)株式会社大晃産業 (12)