説明

速度検知装置及び速度検知装置を備えた速度検知報知システム

【課題】 大型で高価な指向性の高いアンテナを使用することなく、高精度な速度検知装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る速度検知装置は、移動体の移動経路の上方に配置し、上方から真下よりも進行方向の後方側に位置する移動体に向けて送信波を送信する送信手段と、移動体からの反射波を受信する受信手段と、該受信手段からの受信信号に基づいて速度を算出する速度算出手段を有する制御手段とからなるドップラー方式の速度検知装置において、前記制御手段は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを前記速度算出手段に送る手段であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行している車両等の移動体の移動速度をドップラー効果を利用して測定する速度検知装置及びこの速度検知装置を備えた速度検知報知システム並びに速度検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行している車両等の移動体の移動速度を測定する速度検知装置にあっては、送信波を移動経路に送信して、その送信波と移動体の通過により生じる反射波を受信し、その受信した反射波の周波数変化を検出することで、速度検知装置と対象物との間に生じるドップラー効果を利用して速度算出するものが公知である(例えば、特許文献1参照)。具体的には、速度検知装置は、移動体の移動経路の上方又は側方に配置し、上方から真下又は側方から真横よりも進行方向の後方側に位置する移動体に向けて送信波を送信する送信部と、移動体からの反射波を受信する受信部と、その受信部からの受信信号に基づいて速度を算出する速度算出部を有する制御部とで構成される。例えば、図3で示すように、速度検知装置の送信部より送信される送信波は、道路の移動経路の所定高さ上方に配置され、移動体の進行方向後方側で、かつ地面とのなす角度θ°傾けられて送信される。送信波は、波の中心軸と地面とのなす角度α°(すなわちアンテナ角度)に対してθ°拡散するので、地面に到達する送信波は、地面とのなす角度α−θ°からα+θ°の範囲をもち進行方向側が長辺の楕円形状の領域をもつこととなる。この電波領域に移動体が進入すると、その移動体により送信波が反射され反射波となり、その反射波が受信部で検波される。そして、受信部は反射波に基づいた受信信号を速度算出部に送り、速度算出部はその受信信号に基づいて速度を算出する。
【0003】
また、速度検知装置を用いた速度検知報知システムとしては、速度検知装置とその検知結果に基づいて所定の報知を行う報知装置とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。例えば、道路を走行中の車両が速度検知装置の検知領域に進入した際にその車速が速度検知装置に予め設定されている速度の閾値以上の速度であった場合に、音響、音声、光の点灯・点滅表示、文字や画像の表示などにより運転者に対して速度超過の警告を報知するものがある。
【特許文献1】特開2004−271298
【特許文献2】特開2005−182256
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の速度検知報知システムに用いられる速度検知装置にあっては、いずれの場合でも、送信部より送信される送信波は、一般的に波の中心軸(ビーム軸とも言う)に対して所定角度の幅を持って拡散するので、その拡散角度の分だけ移動体に到達した時点で電波の領域が発信時よりも大きく広がってしまうことになる。そして、前述のようにドップラー効果を利用するために、波の中心軸が移動体に対して斜めに送信されることになることから、移動体と波とのなす角度も、移動体の移動に伴って変化することになる。このように移動体の位置によって角度が変化するにもかかわらず、傾斜姿勢に設置された送信部から送信される送信波の中心軸と移動体とのなす単一の角度から求めた補正値を予め設定し、その補正値に基づいて移動体の速度を算出するようにしている。このため、送信波の中心軸付近で反射した反射波を受信した場合には、前記設定された補正値にて正確な移動体の速度を算出することができるものの、送信波の中心軸から外れた位置、特に速度検出開始時と速度検出終了時での角度変化が大きいため、前記中心軸で設定された補正値では大きな算出誤差が出てしまい、たとえ移動体の移動速度が等速であっても移動体の移動方向における位置によっては、実際の速度とは大きく異なる速度を検出してしまうという不都合があった。例えば、図3に示すように、移動体が送信波の電波領域を通過する際に、地点Pでの反射波と地点Qでの反射波では、たとえ移動体が等速であっても周波数が異なる。しかしながら、速度算出の際に行う角度の補正には、地点Pでの反射波も地点Qでの反射波も同じ係数、通常はアンテナ角度αに基づく係数を与えるだけである。すなわち、地点Pでの送信波及び反射波の地面となす角度はα−θであるが、角度補正にはα−θ°に基づく係数ではなく、予め設定されたアンテナ角度のα°に基づく係数が与えられる。地点Qについても、他の送信波の電波領域内の地点についても同様である。従って、送信部のアンテナ角度αから離れれば離れるほどその地点での反射波は大きく異なる周波数を持つが、角度補正には常に一定の係数が与えられるので、角度補正後の算出値に大きなばらつきが生じることとなり、速度検知装置の精度が低くなってしまうという問題があった。また、検知精度の低下の原因である送信波の拡散を防止するために指向性の高いアンテナを速度検知装置に採用すると、地面に送信される送信波の拡散は防止され速度検知装置の検知精度が高くなるが、装置全体が非常に大型になってしまい、またコスト面での負担も大きくなるといった問題があった。又、前記補正値を移動体の位置に合わせて変更することができる構成にする場合も、大きな能力のある制御装置に代える等の改良が必要になり、実施し難いものであった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ、大型で高価な指向性の高いアンテナを使用することなく、精度良く速度検出が行える高精度な速度検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る速度検知装置は、移動体の移動経路の上方に配置し、上方から真下よりも進行方向の後方側に位置する移動体に向けて送信波を送信する送信手段と、移動体からの反射波を受信する受信手段と、該受信手段からの受信信号に基づいて速度を算出する速度算出手段を有する制御手段とからなるドップラー方式の速度検知装置において、前記制御手段は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを前記速度算出手段に送る手段であることを特徴とする。
【0007】
該構成の速度検知装置にあっては、移動体が送信波の電波領域を通過することで生成される反射波を受信手段が受信する際に、前記制御手段は、受信した反射波の一部の信号のみを前記速度算出手段に送るので、速度算出しない反射波の信号は速度算出部に送らず、演算する信号の数が少なくなるので、速度算出手段の回路規模が小さくなり、回路の消費電力も小さくてよい。また、前記制御手段は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを前記速度算出手段に送るので、制御手段が速度算出部に送る信号は、移動体が送信波の電波領域内の特定の領域、つまり送信波の中心軸を中心として設定された範囲のみを通過した際に生じる反射波の信号のみとなり、速度算出部は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち反射波の周波数のばらつきが少ない信号を算出することとなる。従って、速度算出部の算出値のばらつきも少なくなるので、速度検知装置の検知精度が高くなる。
【0008】
また、上記の特徴は、速度検知装置が、移動体の移動経路の側方に配置し、側方から真横よりも進行方向の後方側に位置する移動体に向けて送信波を送信する送信手段を備える場合においても同様であり、本発明に係る速度検知装置は、移動体の移動経路の側方に配置し、側方から真横よりも進行方向の後方側に位置する移動体に向けて送信波を送信する送信手段と、移動体からの反射波を受信する受信手段と、該受信手段からの受信信号に基づいて速度を算出する速度算出手段を有する制御手段とからなるドップラー方式の速度検知装置において、前記制御手段は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを前記速度算出手段に送る手段であってもよい。
【0009】
特に、前記受信手段にて受信した反射波をパルス変換する変換手段と、その変換手段にて変換されたパルスをカウントするパルス数計測手段とを備えていることが好ましい。時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波が受信開始からの第何番目かを特定するために、反射波をパルス変換する変換手段と、その変換手段にて変換されたパルスをカウントするパルス数計測手段とを備えることで、シンプルな構成のパルス数計測手段に入力されるパルス波が反射波の受信開始から第何番目であるかを特定することができる。従って、反射波が受信開始から第何番目であるかを特定するための複雑な演算を行う必要がなく、シンプルな回路構成のパルス数計測手段で反射波の特定が可能となり、装置がコンパクトな回路で構成することができる。
【0010】
特に、前記速度算出手段は、処理手段より送られてきた反射波の信号を処理すべく、起動されることが好ましい。前記速度算出手段は、処理手段より送られてきた反射波の信号を処理すべく、起動されるので、反射波の信号が送られて来ない場合の速度算出部は休止状態にあり、速度算出部の電力消費を減らすことができる。
【0011】
更に、前記速度算出手段は、受信信手段によって受信されパルス変換された反射波の所定波長あたりの時間を検出することによって移動体の速度を算出することが好ましい。受信手段により反射波が検出され、速度算出手段により受信手段によりパルス変換されたパルス波の所定波長あたりの時間が検出されることによって移動体の速度が算出される。このように反射波を用いて速度算出するので、複数の周波数の電磁波を発生させるための回路が必要なく、単一の周波数の電波を用いて速度の算出が可能となり、速度検知装置の回路がよりシンプルな構成となる。
【0012】
更に、前記移動体の上方に配置した送信手段から送信される送信波は、送信手段の真下よりも進行方向の後方側に向けて送信され、地面とのなす角度を30°に設定することが好ましい。移動体が後方より送信波の速度検知を行う領域に進入してきた際に、送信波は地面とのなす角度を30°に設定されているので、反射波は確実にドップラー効果を受けることができる。従って、送信波と反射波とのドップラー効果による違いが顕著に現れ、速度算出された値の精度が上がる。
【0013】
また更に、前記パルス計測手段で計測されたパルスのうちの、前記残りの範囲で受信した反射波の信号に対応する特定のパルスのみを取り出すことが好ましい。受信した反射波の信号のうち前記残りの範囲で受信した信号に対応するパルスのみを取り出すので、シンプルな回路構成の前記パルス計測手段で計測されたパルスにより反射波の信号を特定することができることとなり、速度検知装置の回路がより一層シンプルな構成となる。
【0014】
また、本発明に係る速度検知報知システムは、速度検知装置と、速度検知装置により検知した値に基づき報知する報知手段とを備えることを特徴とする。速度検知報知システムは、本発明に係る速度検知装置により検知した値に基づき報知するので、検知精度が高くなり、より詳細な値まで検知できるようになる。従って、報知手段からの報知は、信頼性の高いものとなり、また、検知された値よりその値に応じた豊富な種類の報知が可能となる。
【0015】
また更に、本発明に係る速度検知方法は、移動体に斜めから送信波を送信すべく、進行方向の後方でかつ下方に向けて送信波を送信して、移動体からの反射波を受信した際に、時間経過とともに移動体から反射される反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の反射波までの複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを速度算出することを特徴とする。
【0016】
該方法の速度検知方法にあっては、移動体が反射波の電波領域を通過することで生成される反射波を受信手段が受信する際に、前記処理手段は、受信した反射波の一部の信号のみを前記速度算出手段に送るので、速度算出しない反射波の信号は速度算出部に送らず、演算する信号の数が少なくなり、速度算出が僅かな時間で可能となる。また、移動体が送信波の電波領域を通過する際に生じる反射波を移動体のどの位置で反射したかを特定するために、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを速度算出するので、速度算出する信号は、移動体が送信波の電波領域内の特定の領域を通過した際に生じる反射波の信号のみとなり、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波の周波数のうちばらつきが少ない信号が速度算出される。従って、速度算出する算出値のばらつきも少なくなるので、速度検知装置の検知精度が高くなる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明に係る速度検知装置にあっては、処理手段は、時間経過とともに移動体から反射されてくる反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを前記速度算出手段に送る手段であるので、大型で高価な指向性の高いアンテナを使用することなく、精度良く速度検出が行える高精度な速度検知装置を提供するという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る速度検知方法にあっては、時間経過とともに移動体から反射される反射波のうち、受信開始の反射波からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波と、受信終了の反射波からこれよりも手前側で受信した第2番目までの複数の反射波を除く、残りの範囲で受信した反射波の信号のみを速度算出するので、アンテナの指向性を高くしなくても、速度検出の検知精度が高くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る速度検知装置の一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
本実施形態における速度検知装置は、ドップラー方式により移動体9の速度を検知するものであり、道路を走行する車両等の速度を検知するために利用される。速度検知装置1は、図1のブロック図に示すように、送信波f及び反射波Sであるマイクロ波(周波数3G〜30GHz、波長1〜10cmの範囲内の電波)を送受信する送受信アンテナ2と、送信波fを生成する送信部3と、反射波Sを検波して反射波Sの信号cを制御部5へ送る受信部4と、受信部4より送られた信号cとマイクロ波の送受信とを制御する制御部5とからなる。以下、具体的に説明する。
【0021】
送信部3は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部31とそのマイクロ波を増幅する増幅部32とからなる。マイクロ波発生部31は、制御部5からの信号を受けてマイクロ波の信号を発生して増幅器32へ出力する。出力されたマイクロ波の信号は、増幅部32により増幅され、送受信アンテナ2より送信波fとして送信される。なお、本実施形態の送受信アンテナ2は、車両等の移動体9の移動経路から上方5m付近に設置され、アンテナ角度は、真下ではなくて移動体9の進行方向の後方側に向けられ、道路に対して30°下方に傾けられている。つまり、移動体9は、移動経路(移動方向)の前方で且つ上方の送受信アンテナ2から送信波fを受けることとなる。
【0022】
送信部3は、増幅器32を備えているので、マイクロ波発生部31からの信号が微弱な電界強度であっても、その微弱な信号を増幅して移動体9に確実に到達する電界強度の電波を生成できる。
【0023】
受信部4は、送受信アンテナ2で受信した反射波Sを増幅する増幅部41と増幅した反射波Sを検波しパルス変換する変換部42とからなる。増幅部41は、送受信アンテナ2より送信された送信波fが移動体9に当たりそのときに生じた反射波Sを送受信アンテナ2で受け、その受信した反射波Sを増幅して変換部42へ出力する。変換部42は波形作成部42aとパルス計測部42bとからなり、波形作成部42aは、増幅部41より入力された反射波Sの信号を検波して図5(a)に示す反射波Sの波形を作成する。さらに、パルス計測部42bは、波形作成部42aにより作成された反射波Sの波形を図5(b)に示す矩形のパルス波の信号cに波形を整形する。
【0024】
受信部4は、増幅部41を備えているので、単純な回路の増幅部41を利用するだけで、送受信アンテナ2で受信された移動体9からの反射波Sが微弱な電界強度であっても、その微弱な信号を波形作成部42aで確実に検波できる電界強度にまで増幅することができる。
【0025】
制御部5は、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit、以下「CPU」とする)で構成され、パルス数計測手段としてのカウンタ51とカウンタ51から送られる信号cを速度算出する速度算出部52とを備える。また、制御部5は、上述した送信部3のマイクロ波発生部31を起動するための信号を出力する調整部53を備える。カウンタ51は、パルス計測部42bで整形された矩形のパルス信号cのパルス数をカウントするものである。即ち、パルス計測部42bからのパルス信号cが入力されるとその波長の数をカウントしていくものであり、最初にパルス信号が入力されるとカウント値は「1」となり、以後カウンタ51が初期化されるまで継続的にパルス信号cが1波長分入力されるごとに1回カウントしていく。このカウンタ51は、所定の下限値と上限値とが予め設定されている。カウンタ51は、入力されるパルス信号cがカウンタ51の下限と上限の間の値の場合にのみ、そのパルス信号cを速度算出部52へ出力する。速度算出部52は、カウンタ51からの矩形のパルス信号cを受けると、その信号cに基づいて速度算出を行う。なお、カウンタ51からの矩形のパルス信号cを受けない場合には速度算出部52は休止状態にあり、制御部5の演算負荷を軽減し、また省電力となるようにしている。
【0026】
次に、本実施形態における速度検知装置の動作例のフローチャートを図2に示す。
【0027】
まず、速度検知装置1が起動される(START)と制御部5の信号に基づいて送信部2が送受信アンテナ2より送信波としてのマイクロ波が移動体9の移動経路に送信される(ステップ201)。速度検知を開始する際には、マイクロ波の送信と共にカウンタ51の値が一旦初期化され、カウント値「0」となる(ステップ202)。送信波fが移動体9の移動経路に送信されている状態で移動体9が送信波fの送信領域を通過すると、送信波fが移動体9に当たり反射波Sが生成され、その反射波Sを送受信アンテナ2が受信する(ステップ203)。受信した反射波Sは受信部4の増幅部41で増幅され、その増幅した反射波の信号は、波形作成部42aで検波され反射波Sの波形を作成してパルス計測部42bに出力される。さらに、パルス計測部42bは、波形形成部42aにより出力された波形に基づいて矩形のパルス信号cを整形する(ステップ204)。
【0028】
矩形のパルス信号cは、パルス計測部42bから制御部5のカウンタ51へ送られ、カウンタ51によりパルス数、すなわちパルス信号cの波長の数がカウントされる(ステップ205)。カウンタ51には予め下限値Nと上限値Kとが定められており、カウンタ51のカウント値(即ち、カウンタ51に入力されるパルスの合計数)が下限値N未満であれば次の動作には移らず再度ステップ205のパルス数のカウントに戻り、カウンタ51のカウント値が下限値N以上であれば次の動作へ移る(ステップ206)。次に、ステップ206でカウンタ51のカウント値が下限値N以上であればその値がカウンタ51に予め定められた上限値K未満であるかを判断する。上限値K未満であれば、カウンタ51は、パルス信号cのカウントを継続しながらパルス信号cを速度算出部52へ送る(ステップ207)。速度算出部52は、矩形のパルス波形信号cを受けて、その信号cの所定波長辺りの時間を検出することで車両の速度を算出する。そして、カウンタ51は、カウンタ51に入力されるパルス信号cのカウント値が上限設定値K以上になるまで速度算出部52へパルス信号cを送り続ける。その信号cを受けて速度算出部52はカウンタ51からパルス信号cを受けている間は速度算出を継続する(ステップ208)。カウンタ51は、カウント値が上限値K以上になると速度算出部52へパルス信号cを送ることを止め、それにより速度算出部52も算出を休止する(ステップ209)。このステップ201からステップ209までの動作で1体の移動体9が送信波の電波領域を通過した際の速度算出が完了する。さらに続けて進行方向の後方の移動体9、例えば後続車両の速度検知が必要な場合は、カウンタ51aのカウンタ値を初期化してステップ202からの動作が再度繰り返される(ステップ210)。また、速度検知を行う必要がない場合は速度検知装置1を停止させる(END)。
【0029】
前記ステップ203で受ける反射波Sの周波数は、たとえ移動体9が等速であっても移動体9の位置によって異なる。この反射波Sの周波数の違いが従来からある速度検知装置1の検知精度の低下の原因の1つになっている。本実施形態の速度検知装置は、この反射波Sの周波数のばらつきを抑えることで反射波Sの周波数による違いを軽減させて検知精度を向上させる。
まず、ステップ203で受ける反射波Sについて図3を用いて説明する。
【0030】
図3は、本実施形態の速度検知装置1が道路の移動経路の上方に設置され、送信アンテナ2と地面とのなす角度が設定角度α°として斜め下方(後下がり傾斜方向)、つまり移動体9の進行方向の後方に向けてマイクロ波を送信している様子を側面から表している。送信波fであるマイクロ波は、その中心軸Aと地面とのなす角度α°、すなわちアンテナ角度α°に設定されて送受信アンテナ2より送信されるが、電波の拡散作用によりアンテナ角度α°に対して±θ°分だけ広がりながら空気中を伝播する場合を示している。この電波の拡散により送信波の領域が形成され、その領域に走行車両が進入した際に車両で反射されたマイクロ波は反射波S(図5参照)として送受信アンテナ2で受信される。この反射波Sは、たとえ車両が等速で送信波fの送信領域を走行していても反射波Sが生成される車両の位置によって異なる周波数となり、この反射波Sの周波数の違いが速度算出値のばらつきを生じさせる。
【0031】
次に、速度算出値のばらつきの原因をより詳しく説明すると、送受信アンテナ2で反射波Sを受信する際に、反射波Sは移動体9の進行方向に対して角度γ(図示しない)をもって入射される。従って、速度検知装置1は、移動体9の見かけの速度を観測することとなるために速度算出部52で角度補正を行っている。移動体の速度と見かけの速度との関係は次式になる。
【0032】
V=v/cosγ………式1
【0033】
ここで、Vは移動体9が移動経路を通過する速度、vは速度検知装置1で観測される見かけの速度、γは送受信アンテナ2で受ける反射波Sの入射角、cosγは角度補正係数である。
【0034】
上記式1より移動体9が移動経路を通過する速度Vは、送受信アンテナ2で受信する反射波Sの入射角γに依存することになる。通常、速度検知装置の速度算出において入射角γは固定値とされ、常に定数が与えられる。しがしながら、実際の速度検知装置1の送信波fは拡散によって電波領域をもち、その領域は図3で示すように送受信アンテナ2のアンテナ角度α°に対して±θ°の角度で広がっている。さらに、車両の位置により反射波Sの入射角γは異なるが、式1にあるように入射角γは定数で計算される。例えば、移動体9が図3に示す地点Pを通過した際に生じる反射波Sの入射角はα−θ°であり、地点Qを通過した際に生じる反射波Sの入射角はα+θ°である。しかしながら、速度算出部52でなされる角度補正は、常に送受信アンテナ2のアンテナ角度であるα°よりcosαで計算されることになり、移動体9のアンテナ角度であるα°を外れた各位置では速度算出部52で算出される値がばらつく(cosαによる計算誤差を含む)こととなる。
【0035】
本実施形態においては、速度検知装置の検知精度を上げるために、前記ステップ205から前記ステップ208の動作により反射波Sの送受信アンテナ2への入射角γのばらつきを抑えている。以下、図4を用いて説明する。
【0036】
図4に示すように、送信波fは、送受信アンテナ2のアンテナ角度αで送信され±θ°拡散する。車両が送信波fの電波領域に進入して電波領域から外れるまでの間、反射波Sの送受信アンテナ2への入射角α°が±θ°の角度範囲でばらつきをもつ。本実施形態の速度検知装置1は、送受信アンテナ2への入射角α±θ°の全ての範囲の反射波Sを速度算出するのではなく、アンテナ角度α°の反射波Sを含むその前後の一部の反射波S、中心軸Aに対して特定角度範囲、例えばアンテナ角度α°に対して−3〜+3度の範囲に限定して速度算出することで算出値のばらつきを抑えている。つまり、送受信アンテナ2が受ける入射角α−θ°から入射角α+θ°までの全ての反射波Sに対して速度算出を行うのではなく、入射角α°を含み式1の角度補正係数cosαの値が影響し難い特定範囲内で車両が通過した際に生成された反射波Sのみを速度算出する。従って、速度算出部52は、アンテナ角度α付近の反射波Sのみを速度算出するので、角度補正係数cosαの値によるばらつき(変動)が小さくなり、速度算出した値もばらつき(変動)の小さい値となり、速度検知装置1の検知精度が高くなる。
【0037】
なお、反射波Sは、アンテナ角度α°での送信波fの反射波Sのみに限定して速度算出してもよい。しかしながら、実際の使用状態において、車両等の移動体9の車幅、車高等によっても反射するタイミングが異なるし、また、雨天やその他の道路状態によっても反射するタイミングは異なる。従って、反射波Sの限定にはある程度の範囲を設けておいたほうが、使用状態による偏った値を算出することがない。本実施形態では送受信アンテナ2は地上より5mの高さで、アンテナ角度は進行方向後方に向けて地面に対して30°傾けている。この送信波fは角度範囲30°±10°で拡散していくので、角度補正係数cosαの値が影響し難い反射波Sの送受信アンテナ2への入射角が27°から32°の範囲内にある場合にのみ速度算出を行う。前記速度算出した全ての値を平均化した値を速度値としてもよいし、又、速度算出した全ての値のうちの選択した特定の値のみを平均化してもよいし、平均化しないで速度算出した全ての値のうちの選択した1つの値を速度値としてもよい。
【0038】
さらに、上記した反射波Sの入射角による限定には、図1の制御部5に備えられているカウンタ51を用いカウンタ51に入力されるパルスをカウントする。そのカウントは、受信部4のパルス計測部42bからパルス信号cが入力される図2のステップ205及びステップ206で行われる。以下、ステップ205及び206の動作について詳しく説明する。
【0039】
まず、反射波Sは、図5(a)で示すように、送受信アンテナ2からの送信波fであるマイクロ波の波長の4分の1波長で、腹Shと節Sfとが繰り返される定在波である。つまり腹Shと節Sfとが2回ずつ繰り返されると1波長となる。この反射波Sは、移動体9が停止しておれば振幅は得られず、移動体9が移動しておれば腹Shと節Sfとが繰り返される振幅が得られる。この反射波Sの波長λは、波動が伝播する距離を表しているので、この波長λが伝播する時間を測定すれば、移動体9の速度を測定することができる。本実施形態の速度検知装置1では、送受信アンテナ2で受信して受信部4に反射波Sの信号が入力された際に、受信部4のパルス計測部42bで反射波Sは図5(b)に示す矩形のパルス波形信号cに変換される。カウンタ51は、このパルス波形の2回分の立ち上がりをカウント数「1」としてパルス波形の数をカウントしていく。
【0040】
上述したように、反射波Sの波長である波長λは、移動体9が進んだ距離である。従って、カウント51でのカウント値より送信波fの電波領域内を移動体9が進んだ距離が換算される。つまり、送信波fの電波領域内を移動体9が進んだ距離をパルス波形の波長λで除すことでその位置までのカウンタ51でカウントされた値が算出される。例えば、図4に示すように、移動体9が送信波fの電波領域地点Aから地点Dまでの範囲を通過する場合について説明する。地点Aから地点Dは、送受信アンテナ2より送信される送信波fの拡散する領域であり、地面となす角度はα±θ°である。速度算出が行われる領域はα−θ1°からα+θ2°であり、地点Bから地点Dまでの範囲である。移動体9が送信波fの送信領域に進入した際に、地点Aから地点Bまでは受信部4で受信はされるが速度算出は行われない。言い換えると、カウンタ51でカウントしているが、パルス信号cは速度算出部52へ入力されない。地点Bでのカウント値は、地点Aから地点Bまでの距離L1を反射波Sのパルス波形信号cの波長λで除した値Xである。このXをカウンタ51のカウント値の下限として、その値X未満のときは速度算出を行わない。そして、移動体9が地点Bを通過して地点Cに至るまでの間は、反射波Sより速度算出が行われる。地点Cに至るまでのカウント値は、地点Aから地点Cまでの距離L2を反射波Sのパルス波形信号cの波長λで除した値Yである。従って、カウンタ51のカウント値がX以上からY未満までの範囲にあるとき、カウンタ51に入力されたパルス波形の信号cを速度算出部52へ出力し、速度算出部52により速度算出が行われる。さらに、移動体9が地点C以降を通過する際には、カウンタ51のカウンタ値は上限値Yを超えているので、カウンタ51へ入力されたパルス波形信号cは、速度算出部52へは出力されず、速度算出は行われない。結果として、速度算出には、移動体9が地点Bから地点Cまでを通過したときの速度、つまり反射波Sの送受信アンテナ2への入射角がα−θ1°からα+θ2°の範囲のときの速度のみを算出することができ、速度算出時に角度の違いによるばらつき(変動)が小さい値を算出できる。また、カウンタ51の設定値を変えるだけで算出範囲の指定が行われるので、簡単な操作でその道路状況に応じた算出範囲を指定でき、また、速度検知装置1の設置後のカウンタ51の設置値の変更も簡単に行うことができる。
【0041】
図6は、速度検知装置1を用いてその検知した値に基づき報知する報知部7を備えた速度検知報知システムの一実施形態を表す図であり、道路を通行する車両8に対して速度検知装置1により速度検知を行い、検知結果を通信ケーブルを介して操作部6に送り、操作部6に予め設定された速度閾値を超えた場合に報知部7の速度超過判定処理装置71へ無線通信によりその信号を送信し、速度超過判定処理装置71はその値に基づき通信ケーブルを介して情報板72を制御し、情報板72の表示を行う。前記速度検知装置1は速度検知を行う車線の中央で高さ5mの地点に設置され、速度検知装置1のアンテナ角度は後方から来る車両に対して地面となす角度30°傾けられている。操作部6及び速度超過判定処理装置71は、速度検知報知システムを設置後にも作業者がメンテナンスを容易に行えるように道路脇の地上1.5m付近に設置される。情報板72は、道路脇に設置されている。なお、情報板72は車両8の運転者が情報板72の情報が認識しやすい箇所であればどこでもよい。
【0042】
前記操作部6は、速度検知された値と予め設定された閾値とを比較して、速度検知された値が閾値以上であればその値を速度超過判定装置71に出力するだけでなく、速度検知装置1のカウンタ51の上限値と下限値の設定を変更したり、速度検知された値と比較する閾値を変更するためのものである。また、速度超過判定処理装置71は、入力された信号に基づいて情報板72に警告情報を表示させ運転者へ警告をするものである。例えば、制限速度が時速50kmの道路の場合、操作部6の閾値は時速40kmに設定されており、速度検知装置1の検知領域に時速45kmの車両8が進入すると、速度検知装置1で車両8の速度検知が45kmの値を算出しその値を操作部6が受けて操作部6の閾値時速40kmと比較する。車両8の車速が時速40km以上であるため、その検知結果を速度超過判定処理装置71へ出力する。速度超過判定装置71は、第一の閾値時速40kmと第二の時速50kmが定められており、車両8の速度が時速40kmから時速50kmの範囲であれば情報板72に「速度注意」と文字表示をさせ、車両8の速度が時速50km以上であれば情報板72に「速度超過」と文字表示させて車両8の運転者に警告する。なお、表示板72は、文字を用いて車両8の運転者に報知するだけでなく、音響、音声、光の点灯・点滅表示、画像の表示などにより様々な報知手段を用いることが可能である。
【0043】
このように本実施形態の速度検知装置1を用いた速度検知報知システムにおいては、速度検知する部分とカウンタ51の設定や速度検出値に対する閾値の設定する操作部6は、速度検知装置1とは別の道路脇の作業者が操作可能な位置に配置されているので、速度検知報知システムの設置後も速度超過判定装置71へ送る速度検出値の閾値を簡単に変更できる。また、速度検知装置1のカウンタ51の設定も操作部6で行うことができるので、速度検知報知システムの設置後も作業者は操作部の設定を変えるだけで道路状況に応じて設定値の変更を簡単に行うことができる。また、速度検知装置1と操作部6が一体ではないので、道路上方に設置する際に小型の速度検知装置1だけを設置すればよく、操作部6は別体として道路脇に設ければよい。さらに、速度超過判定装置71と表示板72も一体ではなく、速度超過判定装置71が表示板72とは別の道路脇の作業者が操作可能な位置に配置されているので、速度検知報知システムの設置後も簡単に設定変更が可能である。
【0044】
なお、上記実施形態では、速度検知装置1は一車線の道路を走行する車両8の速度検知に用いたが、速度検知に限らず車両8の存在を検知する装置としても利用可能である。例えば、本線道路と側線道路とが合流する合流地点の側線道路側にその検知装置を設置して、本線を走行する車両8へ側線道路を走行する車両8があることを報知する報知システムがある。側線道路に車両8が進入すると検知装置が車両8の存在を検知して、本線道路を進行する車両に注意を促すものである。
【0045】
なお、上記実施形態では、速度検知装置1は移動経路の5m上方に設置され、送信波fは道路の進行方向の後方側に向けて送信され、中心軸Aと地面となす角度30°に設定されたが、速度検知装置1は道路脇に設置され、送信波fは道路の進行方向の後方側に向けて送信され、道路脇より進行方向となす角度30°に設定してもよい。何れにしても送信波fと移動体による反射波Sとのドップラー効果が顕著に現れ、且つ移動体の進行の妨げにならないように設置されればよい。また、中心軸Aと地面となす角度(アンテナ角度)を30°に設定したが、30°に限らず30度から45度の範囲であればよい。何れにしても中心軸Aと地面となす角度はドップラー効果により移動体の速度検出が精度よく検出される角度であればよい。
【0046】
また更に、上記実施形態の速度検知装置1は、中心軸Aと地面となす角度が30°に設定され送信波fの電波領域内で受けた反射波Sの入射角が27°から32°の範囲内の反射波のみを速度算出したが、反射波Sの入射角の範囲の限定は、速度検知装置の速度検出の精度の設定した範囲によるものであり、中心軸Aと地面となす角度に対して−3°〜+2°に限らない。何れにしても、速度算出における角度補正を行う際に角度補正係数の影響を受け難い範囲であればよい。
【0047】
また、受信部4で受けた反射波Sはパルス変換され、カウンタ51によりそのパルスをカウントしたが、カウンタ51を備えずに制御部のCPUの中でカウントするようなソフトを組んでもよい。但し、カウンタ51としてCPUとは別個のハードとして設けるほうが、処理速度が上がり確実な速度検知が可能となる。
【0048】
またさらに、受信部4から送られたパルス信号cのパルス数がカウンタ51に設定されている下限値と上限値との間であれば、カウンタ51は、パルス信号cを随時、速度算出部52に送っているが、カウンタ51は、一旦全てのパルス信号cを取り込み、そこからカウント値の下限値未満と上限値以上とのパルス信号cを削除して、残りの信号を速度算出部52へ送ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る速度検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る速度検知装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】送受信アンテナから送信される送信波fの電波領域を示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る速度検知装置の反射波Sの算出領域を示す側面図である。
【図5】(a)反射波Sの状態を示す波形図である。(b)反射波Sをパルス変換したパルス波形の状態を示す波形図である。
【図6】本実施形態に係る速度検知装置を備えた速度検知報知システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・速度検知装置、2・・・送受信アンテナ、3・・・送信部、4・・・受信部、5・・・制御部、6・・・操作部、7・・・報知部、8・・・車両、9・・・移動体、31・・・マイクロ波発生部、32・・・増幅部、41・・・増幅部、42・・・変換部、51・・・カウンタ、52・・・速度算出部、53・・・調整部、71・・・速度超過判定装置、72・・・情報板、42a・・・波形作成部、42b・・・パルス計測部、c・・・パルス信号、f・・・送信波、A・・・中心軸(アンテナ角度)、S・・・反射波、X,Y・・・カウント値、L1,L2・・・距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(8,9)の移動経路の上方に配置し、上方から真下よりも進行方向の後方側に位置する移動体(8,9)に向けて送信波(f)を送信する送信手段(3)と、移動体(8,9)からの反射波(f)を受信する受信手段(4)と、該受信手段(4)からの受信信号(c)に基づいて速度を算出する速度算出手段(52)を有する制御手段(5)とからなるドップラー方式の速度検知装置において、
前記制御手段(5)は、時間経過とともに移動体(8,9)から反射されてくる反射波(S)のうち、受信開始の反射波(S)からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波(S)と、受信終了の反射波(S)からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波(S)を除く、残りの範囲で受信した反射波(S)の信号(c)のみを前記速度算出手段(52)に送る手段であることを特徴とする速度検知装置。
【請求項2】
移動体(8,9)の移動経路の側方に配置し、側方から真横よりも進行方向の後方側に位置する移動体(8,9)に向けて送信波(f)を送信する送信手段(3)と、移動体(8,9)からの反射波(f)を受信する受信手段(4)と、該受信手段(4)からの受信信号(c)に基づいて速度を算出する速度算出手段(52)を有する制御手段(5)とからなるドップラー方式の速度検知装置において、
前記制御手段(5)は、時間経過とともに移動体(8,9)から反射されてくる反射波(S)のうち、受信開始の反射波(S)からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波(S)と、受信終了の反射波(S)からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波(S)を除く、残りの範囲で受信した反射波(S)の信号(c)のみを前記速度算出手段(52)に送る手段であることを特徴とする速度検知装置。
【請求項3】
前記受信手段(4)にて受信した反射波(S)をパルス変換する変換手段(42)と、その変換手段(42)にて変換されたパルスをカウントするパルス数計測手段(51)とを備えている請求項1又は2記載の速度検知装置。
【請求項4】
前記速度算出手段(52)は、パルス数計測手段(51)より送られてきた反射波(S)の信号(c)を処理すべく、起動されることを特徴とする請求項3記載の速度検知装置。
【請求項5】
前記速度算出手段(52)は、受信手段(4)にて受信してパルス変換された反射波(S)の所定波長あたりの時間を検出することによって移動体(8,9)の速度を算出することを特徴とする請求項3又は4記載の速度検知装置。
【請求項6】
前記移動体(9)の上方に配置した送信手段(3)から送信される送信波(f)は、送信手段(3)の真下よりも進行方向の後方側に向けて送信され、地面とのなす角度を30°に設定したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の速度検知装置。
【請求項7】
前記パルス計測手段(51)で計測されたパルスのうちの、前記残りの範囲で受信した反射波(S)の信号(c)に対応する特定のパルスのみを取り出すことを特徴とする請求項3記載の速度検知装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の速度検知装置と、速度検知装置により検知した値に基づき報知する報知手段(7)とを備えた速度検知報知システム。
【請求項9】
移動体(8,9)に斜めから送信波(f)を送信して、移動体(8,9)からの反射波(S)を受信した際に、時間経過とともに移動体(8,9)から反射される反射波(S)のうち、受信開始の反射波(S)からこれよりも後に受信する第1の特定番目の複数の反射波(S)と、受信終了の反射波(S)からこれよりも手前側で受信した第2の特定番目までの複数の反射波(S)を除く、残りの範囲で受信した反射波(S)の信号(c)のみを速度算出することを特徴とする速度検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−234460(P2008−234460A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75247(P2007−75247)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】