説明

造影剤

本発明は、タングステン又はタングステンと他の金属元素との混合物からなるコアをコントラスト増強剤として含み、前記コアがコーティングされている粒子に、かかる粒子を含む医薬品に、また、具体的には画像診断、特にX線撮像における造影剤としてのかかる医薬品の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属元素タングステン又はタングステンと他の金属元素との混合物の被覆コアを含む粒子並びにかかる粒子をコントラスト増強剤として含む医薬品に関する。本発明は、画像診断、特にX線撮像における造影剤としてのかかる医薬品の使用、並びに金属元素タングステン又はタングステンと他の金属元素との混合物の被覆コアを含む造影媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
すべての画像診断は体内の様々な構造からの信号レベルの差に基づく。例えばX線撮像では、ある身体構造を画像として視覚化するため、その構造によるX線の減衰と周囲の組織での減衰と異なっていなければならない。身体構造と周囲の信号の差はコントラストと呼ばれ、身体構造とその周囲とのコントラストが大きいほど画像の質が高く、診断を行う医者に有用であるので、画像診断でのコントラストを高める手段に多大な検討がなされてきた。さらに、コントラストが大きいほど、その撮像操作で小さな身体構造を視認できるようになり、換言すれば、コントラストの強調によって空間解像度が高まる。
【0003】
診断のための画像の質は、所与の空間解像度では、その撮像法の固有ノイズレベルによって大きく左右されるので、コントラストレベルとノイズレベルの比が画像診断のための有効な診断品質計数を表すことが分かる。
【0004】
かかる診断品質計数を向上させることは、古くからのしかも今もって重要な目標である。X線、磁気共鳴画像(MRI)及び超音波のような技術において、診断品質計数を向上させる一つの方法は撮像すべき身体領域にコントラスト増強剤つまり造影剤を導入することである。
【0005】
例えばX線では、初期の造影剤の例は、造影剤が分配された身体領域のX線の減衰を強める不溶性無機バリウム塩であった。最近、X線造影剤の分野では、例えばAmersham Health AS社からOmnipaque及びVisipaqueという商品名で市販されているような可溶性含ヨウ素化合物が主流となりつつある。
【0006】
重金属をコントラスト強調元素として含むX線造影剤に関する研究の大半は、アミノポリカルボン酸(APCA)重金属イオンキレートに集中している。多くの体内部位の効果的な撮像には、その体内部位に比較的高濃度の金属イオンを局在化させる必要があるという認識に立って、2以上の独立したキレート部を有する物質であるポリキラントがこの目的の達成に使用できるかもしれないと示唆されている。その後の研究は、錯化部分自体が2以上のコントラスト強調原子を含む錯体である多核錯体の使用に集中している(Yu,S.B.and Watson,A.D.,Chem.Rev.1999,2353−2377参照)。例えば、X線又は超音波用の錯体は2以上の重金属原子を含み、MRI用の錯体は2以上の常磁性金属原子を含む。
【0007】
Yu,S.B.and Watson,A.D.,Chem.Rev.1999,2353−2377では、金属系X線造影媒体の使用が検討されている。タングステン粉末を血管過剰増生腫瘍の治療及び術前塞栓術に用いられる塞栓剤中のX線造影剤として使用することが記載されている。ただし、重金属錯体の一般的な血管内使用は安全性への懸念及び用量の要件によって制限される可能性が高いと記載されている。
【0008】
ナノ結晶タングステン粉末が自然発火性で、空気中で自然発火することが周知である。タングステンナノ粒子は、その反応性のため、X線造影剤のような医薬品としての用途は見いだされていなかった。
【0009】
例えば米国特許第5728590号には、重金属元素の金、銀、白金及びパラジウムの金属複合化合物が、X線造影剤のような造影剤としての用途と併せて、提案されている。さらに、米国特許第6203778号には、金属態の銅、ニッケル、パラジウム、金及び銀の無機コアを有機コーティングしてなる粒子をX線撮像法に使用し得ると記載されている。
【0010】
国際公開第03/07961号には、特に、X線コントラスト増強用の金属ナノ粒子の使用が記載されている。この特許出願では、抗体に共有結合した粒子を始めとして、ナノメートル領域の金粒子に焦点が当てられている。生理学的許容性を高めるため金粒子はチオグルコースで被覆され、グルタチオンのような他のコーティング剤も試みられているが許容性に劣っていた。白金、パラジウム、タリウム、ビスマス、オスミウム、イリジウム、銀、タングステン、鉛、タンタル及びウランも代替となり得る金属であると記載されている。
【0011】
国際公開第03/07961号に記載されたナノ粒子の金コアは、実質的に不活性な表面をもち、チオグルコースによるコーティングの目的は、表面を不動態化することではない。
【0012】
金粒子のチオグルコースによるコーティングは交換可能であり、金粒子表面とコーティングとの結合は比較的弱い。このために、これらの被覆金粒子は、コーティングのリガンドが、組織にある基(例えば、タンパク質のスルフヒドリル基)と交換するために、体内で長い半減期を有する傾向があるであろう。その結果として、コーティングされていない金粒子が血流に留まるであろう(例えば、Hostetler,M.J.;Templeton,A.C.;Murray,R.W;“Dynamics of Place−Exchange Reactions on Monolayer−Protected Gold Cluster Molecules”Langmuir,1999,15,3782−3789参照)。体内での長い半減期は、高い毒性に繋がり得るので望ましくなく、長い半減期は一般に、X線での究明において利点ではない。
【0013】
上で概略が示されたように、造影剤としての使用について、金属酸化状態(0)の元素のコアを始めとして様々な金属が従来技術で知られている。被覆ナノ粒子は、X線造影剤として使用されると提案されている。金、銀、パラジウム及び白金のような実質的に不活性な金属のナノ粒子は、医薬品として使用するのに好ましい。しかし、金、ガドリニウム、エルビウム及び他の希土類元素のような多くの不活性金属は高価であり、商業的な造影剤としての用途で存続できる見込みは少ない。他のもの、例えばウランは放射能をもっているので、X線造影剤には適さない。鉛、水銀及びタリウムのような金属は毒性のために、インビボでの使用には望ましくない。ビスマス、バリウム及びタングステンは、この特定の用途にとって可能性のある候補であるが、ビスマスと特にバリウムのX線減衰性は比較的低い。タングステン粉末の形態のタングステンは自然発火性であり、そのために、医薬品としては使用し得ない。
【0014】
市販の可溶性の含ヨウ素化合物は、非常に安全であると考えられており、米国では年間2千万件を超えるほどX線検査に使用されているが、新規造影剤の開発が依然として求められている。
【特許文献1】米国特許第5728590号明細書
【特許文献2】米国特許第6203778号明細書
【特許文献3】国際公開第03/07961号パンフレット
【非特許文献1】Yu,S.B.and Watson,A.D.,Chem.Rev.1999,2353−2377
【非特許文献2】Hostetler,M.J.;Templeton,A.C.;Murray,R.W;“Dynamics of Place−Exchange Reactions on Monolayer−Protected Gold Cluster Molecules”Langmuir,1999,15,3782−3789
【非特許文献3】Kobayashi,H.;Brechbiel,M.W.Molecular Imaging 2,1(2003)
【非特許文献4】“The viscosity of a concentrated suspension of spherical particles”Mooney,M.J.Colloid.Sci.vol.6,page 162,(1951)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
かかる造影剤は、理想的には、次の性質:腎毒性、粘性、注入容積及び減衰/被曝線量の1以上において可溶性含ヨウ素化合物を凌ぐ改良された性質を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
今回、金属元素タングステンと適宜他の金属元素とのコアをポリマー層又はモノマー層のようなコーティング層で被覆してなる粒子が、医薬品、特に造影剤として、驚くべき好ましい性質を有することが判明した。
【発明の効果】
【0017】
コーティング層はタングステン粒子のコアの反応性表面を不動態化し、好ましい性質を有する安全なナノ粒子を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
粒子及びナノ粒子という用語は、粒子がナノメートルの粒径である場合、同義に用いられており、コア及びタングステンコアも本明細書で同義に用いられており、医薬品という表現には、医薬品の活性成分をなす粒子/ナノ粒子も包含される。さらなる実施形態は特許請求の範囲において記載され、本明細書において概略が示される。
【0019】
本発明の化合物はコアとコーティング層とを備える粒子である。粒子の直径は、ナノメートルの領域にあり、このためにナノ粒子と呼ばれる。粒子は約1.5nm〜20nmを超え、さらに好ましくは1.5〜15nmであるが、腎臓により排出されると好ましいことが多い。このように、粒径は、好ましくは、腎臓にとっての閾値である約6〜7nm未満(Kobayashi,H.;Brechbiel,M.W.Molecular Imaging 2,1(2003))であるべきであり、好ましくは、粒径は1.5nm〜7nm、さらに好ましくは2〜6nmであるべきである。
【0020】
粒子のコアは金属の形態のタングステン又はタングステンと他の適当な金属元素との混合物を含む。好ましくは、タングステン含有量は、20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100%、さらに一段と好ましくは85〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。約100%のタングステンのコアが一般に好ましい。
【0021】
タングステンコアに他の金属元素を導入することにより、コアの性質を改善すること、例えば、安定性、単分散性、金属コアの合成及び/又は形成速度を改善することができる。好ましくは、単一の元素又は元素の混合物として、5〜15重量%のレニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル又はモリブデンは添加可能であり、最も好ましいのはレニウムとイリジウムである。これらの元素の全てはタングステンと混和性があり、少量のレニウム及び/又はイリジウムは、金属コアの低温塑性を向上させる。
【0022】
粒子に減衰性を付与する金属コアは、ナノ粒子の好ましい全体の大きさを考慮に入れた上で、減衰性に関しては十分な大きさのものであることが重要である。こうして、コアは、減衰性を望ましいものとするために、可能な限り最適量の金属原子を含んでいなければならない。コアが約100重量%の金属タングステンからなる場合、コアは15〜5000個、好ましくは100〜3000個、さらに好ましくは200〜2500個のタングステン原子を含んでいるべきである。タングステン原子が体心立方結晶に充填されていると仮定すると、合計15原子のタングステン原子からなる1つのコアは、約0.6nmの直径のコアとなり、100個のタングステンでは1.5nmの直径となり、1500個のタングステン原子では約4.2nmの直径になり、一方、5nmのコアの粒径では約2500個のタングステン原子が含まれ、5000個のタングステン原子を含むコアでは約6.5nmの直径になるであろう。
【0023】
タングステン含有コアには、多かれ少なかれ反応性があるので、金属コアは、反応性表面を不動態化するためにコーティングしなければならない。コーティングの性質によって、コアが反応する(例えば、空気暴露時の発火、インビボ用の製剤時の反応、体内環境での反応)ことがないように、金属コアは保護されるべきである。好ましくは、コーティングは、粒子が投与された身体から粒子が排出されるまで、コアのタングステン表面が反応性にならない程度に、その性質を保つべきである。コーティングはまた、生体内で適切な半減期をもつナノ粒子を与えるべきである。ナノ粒子がターゲティング部分を含む場合、粒子の半減期は長くなり得るが、半減期は毒性を考慮に入れて許容できるものであることが必要である。したがって、コーティングは、粒子が凝集体を、特にインビボで形成する傾向が少ないようなものであることが重要である。同時に、コーティングは、粒子が十分小さく、好ましくは、腎臓にとっての閾値(6〜7nm)より小さい径の粒子であるように比較的薄くなければならない(但し、より大きな粒子もまた本発明の目的にとって有用である)。さらに、金属コアとコーティングとの結合は、金属コアとコーティングの分裂を避けるために、十分強固でなければならない。
【0024】
ナノ粒子の水への溶解性は、医薬品が非経口投与のために、例えば、静脈又は動脈への注入のために製剤される場合には、大きくなければならない。
【0025】
さらに、製剤された医薬品の粘度は、医薬品が容易に投与し得るように十分低くあるべきである。粘度は非経口投与の医薬品では重要な要素である。身体の外部空隙を通じて投与される医薬品では、粘度の重要性は低い。造影剤であるlapamidolの350mgヨウ素/mlの水溶液では、体積分率は0.26であり、粘度は37℃で7.6mPasである。本発明によるナノ粒子で、同じ体積分率φ=0.26を用い得ると仮定し、溶媒(37℃の水)の粘度η=0.653 10−3Pasであるとすると、かかる溶液の37℃での粘度ηは、次の通りである(“The viscosity of a concentrated suspension of spherical particles”Mooney,M.J.Colloid.Sci.vol.6,page 162,(1951)参照)。
【0026】
【数1】

この粘度は、かかる高粒子濃度では非常に小さく、剛体球の溶液であるという仮定によっている。この粘度は、ヨウ素化X線造影剤の粘度に比べても低い。
【0027】
金属タングステンは比較的大きなX線減衰値、低い毒性をもち、許容できる価格で入手可能である。
【0028】
製剤された医薬品の容量オスモル濃度は、製品の毒性に影響を及ぼす、さらなる重要な因子である。溶液の容量オスモル濃度は、単位量の溶媒(通常は水)に溶けた粒子の数により決まる。大きな容量オスモル濃度の製剤は、特に静脈内及び動脈内注射により生じる、一層重大な悪影響を及ぼす傾向がある。大きな容量オスモル濃度の製剤は、半透膜を横切る水の輸送を引き起こし、望ましくない生理学的効果を生じる。このように、製剤は、理想的には、本質的に等浸透圧であるが、僅かに、過浸透圧又は低浸透圧の製剤は許容される。
【0029】
特定の形態のコーティングが、医薬品として(特に、X線造影剤のような医療での撮像における造影剤として)使用し得るコアとコーティングとを備えるナノ粒子を与えるというような前記の性質を満たすことが見出された。
【0030】
第1の実施形態では、荷電コーティングによって覆われた金属コアを備えるナノ粒子が提供される。「荷電」とは、負又は正に荷電した基を有する化学的存在を意味する。荷電コーティングは、ナノ粒子1個当たり50個までの電荷、好ましくはナノ粒子1個当たり40個までの電荷、さらに一段と好ましくはナノ粒子当たり25以下の電荷を有する。各ナノ粒子は、粒子1個当たり、4個未満の電荷、好ましくは8個未満の電荷を含むべきではない。電荷の数は、金属コアの粒径に、またコーティング後のナノ粒子の粒径に依存するであろう。負又は正の電荷で荷電基を有するコーティングは、溶液中で互いに反発する粒子を与えるので、ナノ粒子のクラスター形成は実質的に、或いは部分的に避けられるであろう。被覆粒子によるクラスター形成が防止されることにより、粒子の溶解性が向上する。さらに、粒子製剤の粘度は好ましい範囲に保たれるであろう。
【0031】
他方、荷電粒子の製剤は、中和対イオンを含むので、容量オスモル濃度を上昇させるであろう。しかし、ナノ粒子が多数のタングステン原子を含むので、タングステン原子に関して12Mである溶液を達成することが可能であり、これらの溶液では、遊離の粒子(対イオンを含む)の数に関しては、通常たった60mMにすぎないであろう。各電荷は1個の対イオンを一緒にもち込むので、また、等浸透圧製剤は0.5Mまでの遊離粒子(対イオンを含む)を用いて製剤し得るので、粒子1個が受け入れる電荷数に対する大きな制限が生じる。
【0032】
荷電基は、化合物が使用される環境のpHでイオンの形態でなければならない。最も重要なのは、荷電基が、生理学的pH(特に、血液のpHで)で荷電した形態でなければならないことである。医薬品が非経口投与(例えば、消化管、膀胱及び子宮のような身体の外部導管及び空隙を通しての投与)を意図したものである場合には、コーティングは、目標器官の特定のpHで荷電した形態をとるべきである。
【0033】
コーティング材料は正又は負に荷電基を含み得る。負電荷を示す陰イオン基は、当業者に知られている様々な基であり得る。特に重要なのは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及び酸性複素環式基(例えば、テトラゾール又は5−ヒドロキシイソオキサゾール)のような酸性基である。同様に、陽イオン基は、本発明の目的に適っており、様々な基が利用可能である。塩基性アミノ基、アミジン基及びグアニジン基は、第四級アンモニウム基又はホスホニウム基と同様、用いられ得る。
【0034】
コーティング層は、ポリマー材料又はモノマー材料を含み得る。好ましくは、モノマー材料のコーティングは、所定分率以上の親水性分子を含む、非金属材料の親水性層を備え、好ましくは、各々の分子が少なくとも1つの親水性基を有するべきである。コーティングは、同時に、コアの表面(例えば、タングステンコアの表面)を不動態化するのに十分なだけ密に、それを覆っているべきである。不動態化は、金属に配位する基とコア表面の間で電子移動があるコア表面で起こる。金属に配位する基の例は、下の式、A−L−MにおけるA基である。好ましい態様では、コーティングは、コーティングの厚さがたった1個の分子にすぎないことを意味する単分子層コーティングである。モノマーのコーティングは、コーティング層を薄く、またよく限定された性質を有するようにできるという利点を有する。ナノ粒子の有効性は、ナノ粒子のタングステンコアが粒子の可能な最大の分率をなすということ依存する。同時に、粒子全体の直径は、小さく、最も好ましくは、約6〜7nm未満(非経口用途での腎臓排出の閾値である)であるべきである。配向した単分子層はまた、可溶性基として機能する親水性基と荷電基とが配置し得る、よく画定された分子の末端(分子のもう1つの末端は金属に面して結合している)が外側に存在するので、溶解性と毒性についての制御を向上させる。
【0035】
本発明の好ましい態様では、単分子層コーティングは、一般式、A−L−Mにより形成され、式中、Aは、好ましくは表1から選択される1種以上の金属配位基であり、Lは、不在か、若しくは存在し、存在する場合には、好ましくは表2から選択される1種以上の連結基であり、Mは、好ましくは表3から選択される1種以上の荷電基若しくは親水性基である。好ましくは、連結基は、直鎖として、枝分れして、若しくは1以上の環として配置構成された、表2からの任意の数のフラグメントを含む。枝分れは、A基側に向かっていて、多座配位コーティングを生成しても、或いは、M基に向かって枝分れして、高度の親水性を生じてもよい。両方向への枝分れもまた選択肢である。表2からの連結フラグメントは、フェニル環、或いは、芳香族若しくは非芳香族の複素環式基に結合していてもよい。nは、正の整数で、好ましくは1〜10、或いは、さらに好ましくは1〜4である。oは0又は正の整数で、好ましくは1〜10、或いは、さらに好ましくは1〜2である。pは、正の整数で、好ましくは1〜10、或いは、さらに好ましくは1〜4である。A基の破線は、タングステン元素への結合、H原子への結合、L基への結合、別のA基への結合又は、oがゼロである場合にはM基への結合を示す。L基の破線は、A基への結合、H原子への結合、別のL基への結合又はM基への結合を示す。M基の破線は、L基への結合、H原子への結合、別のM基への結合又は、oがゼロである場合にはA基への結合を示す。
【0036】
【化1】

【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

R基は、独立に、H及びC〜Cアルキル基(適宜、1以上の−OH基により置換されている)から選択される(複数の)基であり、C〜Cアルキル基の1個又は複数のC原子はエーテル基に置き替わっていてもよい。
【0039】
ポリマー材料のコーティングは、ナノ粒子1個当たり最低数の荷電基を含み、親水性である、医薬品としての使用に適するポリマー材料の層を含む。コーティングは、タングステン表面を不動態化するのに十分なだけ密に、それを覆っているべきである。表面のポリマー層は、金属コア表面に共有結合していても、或いは、非共有結合力により吸着し保持されていてもよい。モノマーのコーティングについて上で記載されたように、コーティング層はできるだけ薄く、同時にタングステンコア表面の必要な不動態化を達成することが好ましい。ポリマーは、天然又は合成ホモポリマー或いはコポリマーであり得る。多数のポリマーが本発明の目的に利用可能であり、当業者は、従来技術で知られている適切なポリマーを選択できるであろう。有用なポリマーの種類には、ポリエーテル(例えば、PEGであり、適宜枝分れしている)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール及びそれらの極性誘導体、ポリエステル、ポリカルボネート、ポリアミド(脂肪族及び芳香族ポリアミドとポリペプチドが含まれる)、炭水化物類(例えば、デンプン及びセスロース)、ポリシアノアクリレート及びポリシアノメタクリレートが含まれるが、但し、ポリマーは最低限の荷電基を含み、また、最も好ましくは親水性でもある。アクリル酸モノマーからなるポリマーが特に好ましい。制御された適切な数の荷電基を有する層を得るためには、コポリマーもまた好ましく、この場合、コポリマーは2種以上のモノマー又はブロックを含み得る。モノマーの1種以上がポリマーのコーティングに荷電基をもたせるであろう。電荷は水への溶解性を増大させ、粒子が凝集する危険を低下させるが、粒子の容量オスモル濃度もまた増大させる。こうして、電荷を帯びた基の数は最低限に保たれるべきである。製造では、中性モノマーと荷電モノマーを20:1未満、好ましくは10:1〜10:1.5のモル比で混合して、2〜6nmの直径のナノ粒子に対して、適切な数の電荷を有するポリマーを得る。可能性として、この比をさらに大きくてもよいであろう。モノマーFを使用すると架橋ポリマーが形成する。
【0040】
ポリマーのコーティングを形成するのに使用される適切なモノマーの例は次の通りである:
【0041】
【化4】

一般に、ポリマーで被覆されたナノ粒子は、タングステン(0)源、例えば、タングステンヘキサカルボニル、W(CO)を、1種以上のモノマーの存在下で、脱水され脱酸素された高沸点溶媒中で熱分解することにより製造される。モノマーの熱重合が起こり、分解により形成したタングステン粒子をポリマーのコーティングで覆う。モノマーがシリルエーテルで保護された極性基(−OH、−COOH)を含む場合、この保護基は水溶液中で開裂されて親水性ポリマーで被覆された粒子を得る。
【0042】
通常、無水溶媒を使用すべきである。吸湿性溶媒(ジグライム、トリグライム)は、アルミナを通して流しモレキュラーシーブ上で保管されるべきである。全ての溶媒は、反応に使用される前に、アルゴンの泡の流れを25〜30分間、溶媒に通して、脱酸素されるべきである。このプロセスでの溶媒の選択は、満たされるべきいくつかの規準があるために、重要である。1つは、出発材料を溶かし、同時に、ポリマーで被覆された最終の粒子を溶液中に保持できる能力である。ポリエーテルであるジグライム及びトリグライムは、ここで特に有用である。特にトリグライムの高い沸点により、最後の一酸化炭素分子が粒子を脱離するレベルまで温度を上げることが可能になるであろう。他の有用な溶媒は、ジフェニルエーテルと他の不活性な高沸点芳香族化合物であろう。また、トリオクチルホスフィンオキシド(及び他のアルキルアナローグ)、トリオクチルホスフィン(及び他のアルキルアナローグ)、高沸点アミド及びエステルも有用であろう。
【0043】
他の重要なプロセスパラメータは、W(CO)が反応混合物から昇華する傾向を制御する能力である。これは、冷却器又は容器の壁面から固体のタングステンヘキサカルボニルを常に洗い戻すように、僅かな分率の低沸点溶媒を混合しておくことにより達成し得る。シクロオクタン及びn−へプタンを5〜15体積%の割合で使用するのがよい選択であろう。
【0044】
粒子の精製には、ペンタン又は他の低沸点アルカンの添加による析出が簡便であろう。低沸点溶媒は粒子を乾燥しようとする際に有利である。
【0045】
製造と精製の手順は、具体的な実施例でさらに説明される。
【0046】
第2の実施形態では、コアが荷電基を含まない親水性層で被覆される。好ましくは、このコーティングはモノマー材料のコーティング層であるべきであり、所定分率以上の親水性分子を含む、非金属分子の親水性層を含むべきであり、好ましくは、各々の分子が上述のように少なくとも1つの親水性基を有するべきである。
【0047】
表面コーティングは、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、脂質、炭水化物、核酸、医薬品又は医薬品フラグメント、或いは、調べられようとする身体の特定の器官若しくは構造に医薬品を向かわせることができる他の分子のようなターゲティング部分を含み得る。ターゲットになる器官又は構造の例は、肝臓及び脾臓の内部網様系(endoreticular system)、血流クロットの構成成分、アテローム斑の構成成分、腫瘍マーカー及びマクロファージである。
【0048】
造影媒体は、非経口的に、例えば、静脈内に、動脈内に、或いは、皮下に投与されることが多い。造影媒体は、経口的にも、或いは、外部導管を通して、例えば、消化管、膀胱又は子宮にも投与し得る。適切な担体は当技術分野で周知であり、例えば投与経路に応じて変わるであろう。担体の選択は当業者の能力に範囲内にある。通常、水性担体が、医薬品、例えば造影媒体を生成する造影剤を溶解又は懸濁させるのに使用される。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、塩水、グリシン、ヒアルロン酸などが使用し得る。
【0049】
約1.0〜約4.5gのタングステン/mlの溶液、より特定すると、1.5〜約3.0gのタングステン/mlの水、最も特定すると、約2.2gのタングステン/mlの水である、本発明のナノ粒子を含む溶液を製剤することが可能であろう。これは、約12Mのタングステン含有量に相当する。典型的なナノ粒子製剤は、好ましくは、コアに200〜2500個のタングステン原子を含む。
【0050】
医薬品として使用するためには、タングステン含有ナノ粒子は滅菌しなければならず、これは、従来技術で周知の方法で実施し得る。粒子は無菌の溶液又は分散液として、或いは代わりに、乾燥された形態、例えば凍結乾燥された形態で提供し得る。
【0051】
本発明は、これから非限定的実施例によりさらに例示される。
【実施例】
【0052】
実施例1〜5では、モノマー層で被覆されたタングステンコアの製造が記載され、一方、実施例6〜10では、荷電ポリマーによるタングステンコアのコーティングが記載される。全ての温度は℃である。
【0053】
実施例で使用したモノマーであるA〜Gは以下の通りである:
【0054】
【化5】

ポリマーで被覆された粒子の分析は、主にNMR(13C、H)、IR、及び蛍光X線分析(XFS)により実施した。1つの場合に、TEM顕微鏡写真を撮った。
【0055】
全般に、ブロードなH NMRピークと2重結合部分の共鳴の欠如とが、完全な重合を示唆していた。13C NMRスペクトルは、ポリマーの脂肪族部分による共鳴に加えて、いくつかの密に並んだ(3ppm以内)カルボニル基の共鳴を示した。残留金属カルボニルによる共鳴はNMRにより全く検出されなかった。
【0056】
IRスペクトルは、ポリマーのカルボニル基による強い吸収と、様々な強度で、残留金属カルボニルを示した。
【0057】
粒子のタングステン含有量を蛍光X線分析により求めた。
【0058】
粒子の劣化実験を、脱酸素したトリス−グリシン緩衝液中で、UV−可視分光法(300〜800nm)により実施した。
【0059】
トリス−グリシン緩衝液(pH7.5)で実施した電気泳動実験は、モノマーA及びDを含む粒子の負電荷を示した。
【0060】
拡散光散乱(DLS)を用いる、Malvern−Zetasizer装置を用いて、1つの製剤の粒径を求めた。
【0061】
水への溶解性を、トリス−グリシン緩衝液(0.1M、pH7.5)に粒子を溶かし、その溶液を凍結乾燥することにより求めた。この場合、得られた粉末の凡その溶解性を求めた。
【0062】
実施例1
有機溶媒中での還元によるタングステンナノ粒子の製造
反応を不活性気体の下で実施する。タングステン化合物(例えば、WCl)と、反応性部位を保護基により保護したコーティング剤とを水に相溶しない非プロトン性有機溶媒に溶かし、可溶性還元剤を加える。反応が終了した後、水と有機溶媒を加え、相分離させる。有機層を水で洗い、蒸発させて容積を減らす。大過剰のエタノール/水を加え、固体を析出させる。固体を濾別して、溶解、析出の手順を再び繰り返す。粒子を真空で乾燥する。
【0063】
適当な方法で保護基を外す。必要であれば、透析、サイズ排除クロマトグラフィー、又は何らかの他の適切な方法により、溶液を脱塩する。通常、最終生成物を凍結乾燥により得る。
【0064】
実施例2
水中での還元によるタングステンナノ粒子の製造
水溶性タングステン化合物、例えば、タングステン酸ナトリウムと、コーティング剤分子とを不活性気体の下で脱酸素した水に溶かす。pHを望みの値に調節する。次に、この溶液を、脱ガス水に還元剤を溶かした溶液(激しく攪拌されている)に加える。還元が終了した後、溶液を減容し、透析により脱塩し、次いで、凍結乾燥して最終生成物を得る。
【0065】
実施例3
逆ミセル中での還元によるタングステンナノ粒子の製造
水溶性タングステン化合物、例えば、タングステン酸ナトリウムの水溶液(望みのpHに調節されている)を水性相として導入し、大きな分率の界面活性剤を添加することにより、有機溶媒中の逆ミセルとする。還元剤水溶液の同様の逆ミセルもまた製造する。タングステン含有液体を還元剤に加える。コーティング剤分子を加える。平衡に達した後、水を加えてエマルジョンを壊す。水性相を捕集し、有機相をさらに2回水で洗う。捕集した水性相を減容し、透析により脱塩する。次いで、水溶液を凍結乾燥して最終生成物を得る。
【0066】
実施例4
タングステン(0)錯体の分解によるタングステンナノ粒子の製造
熱に不安定なW(0)錯体、例えば、W(CO)を、反応性部位を保護基により保護したコーティング剤分子、例えばヘキシルアクリレートの存在の下で、不活性高沸点溶媒、例えばシクロオクタン中で分解する。反応終了後に、エタノールのような極性溶媒を加える。黒色粉末を濾別し、洗う。
【0067】
保護基を、例えば加水分解又は他の適切な方法により外す。溶液を減容し、脱塩する。次に、水溶液を凍結乾燥して最終生成物を得る。
【0068】
実施例5
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アクリレートで被覆されたタングステンナノ粒子の合成
空気のない条件の下で反応を実施する。タングステンヘキサカルボニルとN,N−ビス(2−ジメチル−tert−ブチルシリルオキシエチル)アクリレートとをシクロオクタンに溶かし、12時間加熱還流した。ほとんどの溶媒を真空で除去し、黒色残留物をメタノールで3回洗う。
【0069】
保護基を、10%のギ酸水溶液中での加水分解により外す。液体を蒸発させ、残留物を水に溶かし、再び乾燥させる。生成物は、黒色粉末として形成し、コーティング層は、分子、HC=C−CO−N(CH−CHOH)を含んでいる。
【0070】
実施例6
モノマーB及びCを含むポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造
磁気攪拌子及び冷却器を備えた丸底フラスコに、以下を入れた:タングステンヘキサカルボニル W(CO)(500mg、1.4mmol)、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート(C)(390mg、3.0mmol)、及びトリメチルシリルで保護された2−カルボキシエチルアクリレート(B)(120mg、0.55mmol)。冷却器にはセプタムを付け、数回の真空/アルゴンのサイクルを用いてフラスコ及び冷却器を脱気した。セプタムを通して注射器で、脱気したジグライム(30ml)及びヘプタン(2ml)を加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気の下で加熱還流した。3時間後に、反応混合物(この時点で、少量の黒色析出物がある黒色溶液であった)を、室温まで冷却し、脱気したペンタン(60ml)に注ぎ、遠心機にかけた。沈殿物をペンタンで洗い、真空で乾燥した。
【0071】
収量:430mgの黒灰色粉末。蛍光X線分析は、タングステン含有量が約60%であることを示した。
【0072】
コメント:へプタンは、タングステンヘキサカルボニルの冷却器への昇華付着を防ぐために必要である。トリメチルシリル保護基は、水溶液中で自動的に開裂して、好ましいカルボキシレートGを生じる。
【0073】
粒子は、共重合したCとBの薄いコーティングで被覆された結晶性タングステンコアを有する。粒子は4〜5nmである。
【0074】
実施例7
モノマーB及びDを含むポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
タングステンヘキサカルボニル(440mg、1.2mmol)、モノマーB(970mg、5.0mmol)及びモノマーD(300mg、1.1mmol)を、冷却器と磁気攪拌子を備えたガラスフラスコに入れた。フラスコと冷却器に真空/アルゴンのサイクル数回繰り返し、アルゴン雰囲気にした。冷却器の先端のセプタムを通して注射器でシクロオクタン(30ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、18時間加熱還流した。最初の数時間の間に、溶液はゆっくりと暗色になり、最終的に黒くなった(濃いコーヒーのように)。反応終了後、溶液を室温まで冷却し、ペンタン(50ml)に注いだ。得られたスラリーを遠心機にかけ、沈殿物をペンタンで洗い、真空で乾燥した。
【0075】
収量:400mgの暗色粉末
分析
H NMR:ブロードな共鳴が、4.3、4.1、3.8、3.5、2.8、2.7〜2.2、1.8〜1.2、0.8、0.1(ppm)に現れた。
IR:1939w、1852w、1731vs、1560m
XFS:57%W
水への溶解性:>500mg/ml
実施例8
モノマーA及びCを含むポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
実施例7の手順に従って、タングステンヘキサカルボニル(500mg、1.4mmol)、モノマーA(120mg、0.55mmol)及びモノマーC(390mg、3.0mmol)をガラスフラスコに入れた。冷却器を通してジグライム(30ml)及びヘプタン(2ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、次に、3時間加熱還流した。収量:410mgの暗色粉末。
【0076】
分析
H NMR:ブロードな共鳴が、4.1、3.5、3.2、2.5〜2.2、1.9〜1.3(ppm)に現れた。
IR:1995w、1894w、1727vs、1540s
XFS:55%W
TEM:3〜4nmの粒径の粒子コアを示す顕微鏡写真を得た。
劣化実験:全スペクトル(300〜800nm)に渡る吸収の指数関数的減少。最大で、吸収は4.3時間で22%減少した(350nmで)。
電気泳動実験:粒子の動きは負電荷を示した。
【0077】
実施例9
モノマーEを含むポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
実施例7の手順に従って、タングステンヘキサカルボニル(2.3g、6.5mmol)及びモノマーE(7.6g、32mmol)をガラスフラスコに入れた。冷却器を通してシクロオクタン(100ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、次に、60時間加熱還流した。
【0078】
分析:
粒径を、動的光散乱により求めた。5.8〜7.8nmの粒径の粒子が、全粒子容積の99%を占めていた。
【0079】
実施例10
モノマーA、C及びFを含むポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
タングステンヘキサカルボニル(1.0g、2.8mmol)、トリグライム(45ml)及びヘプタン(3ml)を冷却器と磁気攪拌子を備えたガラスフラスコに入れた。フラスコと冷却器に真空/アルゴンのサイクル数回繰り返し、アルゴン雰囲気にした。溶解するまでスラリーを加熱攪拌した。次に、溶液を160℃まで加熱し、その後、モノマーC(1.8g、14mmol)、モノマーA(280mg、1.3mmol)及びモノマーF(280mg、1.4mmol)の混合物を、セプタムを通して注射器で加えた。溶液を165〜170℃で3時間攪拌した。反応終了後、溶液を室温まで冷却し、ペンタン(50ml)に注いだ。得られたスラリーを遠心機にかけ、沈殿物をペンタンで洗い、真空で乾燥した。収量:800mgの暗色粉末。
【0080】
分析:
H NMR:ブロードな共鳴が、4.2、3.5、3.3、2.3、2.0〜1.4(ppm)に現れた。
IR:1921w、1825w、1727vs、1534m
XFS:47%W

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属元素タングステンと適宜他の金属元素とのコアをコーティング層で被覆してなる粒子。
【請求項2】
直径が1.5〜20nmである、請求項1記載の粒子。
【請求項3】
直径が1.5〜15nmである、請求項1又は請求項2記載の粒子。
【請求項4】
直径が1.5〜7nmである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の粒子。
【請求項5】
直径が2〜6nmである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の粒子。
【請求項6】
当該粒子のコアが、金属タングステン20〜100重量%のタングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の粒子。
【請求項7】
当該粒子のコアが、金属タングステン50〜100重量%のタングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の粒子。
【請求項8】
当該粒子のコアが、金属タングステン85〜100重量%のタングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の粒子。
【請求項9】
当該粒子のコアが、金属タングステン95〜100重量%のタングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の粒子。
【請求項10】
当該粒子のコアが、金属タングステン約100重量%のタングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の粒子。
【請求項11】
当該粒子のコアが、金属タングステンと、金属形態のレニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル又はモリブデン元素の1種以上とを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の粒子。
【請求項12】
前記コーティング層が荷電コーティング層を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の粒子。
【請求項13】
前記荷電コーティング層が、当該粒子の投与される環境のpHで正味正電荷又は正味負電荷を与える、請求項12記載の粒子。
【請求項14】
前記荷電コーティング層が、当該粒子の投与される環境のpHで負電荷を与える、請求項12又は請求項13記載の粒子。
【請求項15】
前記荷電コーティング層が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び酸性複素環式基のような酸性基の正味負電荷を与える、請求項12乃至請求項14のいずれか1項記載の粒子。
【請求項16】
前記荷電コーティング層が、塩基性アミノ基、アミジン基、グアニジン基、第四級アンモニウム基及びホスホニウム基の正味正電荷を与える、請求項12又は請求項13記載の粒子。
【請求項17】
前記荷電コーティング層が粒子当たり50以下の電荷を有する、請求項12乃至請求項16のいずれか1項記載の粒子。
【請求項18】
前記荷電コーティング層が粒子当たり40以下の電荷を有する、請求項12乃至請求項17のいずれか1項記載の粒子。
【請求項19】
前記荷電コーティング層が粒子当たり25以下の電荷を有する、請求項12乃至請求項18のいずれか1項記載の医薬品。
【請求項20】
前記荷電コーティング層が粒子当たり8以上の電荷を有する、請求項12乃至請求項19のいずれか1項記載の粒子。
【請求項21】
前記荷電コーティング層が粒子当たり4以上の電荷を有する、請求項12乃至請求項20のいずれか1項記載の粒子。
【請求項22】
前記層が荷電基を有するポリマー層を含む、請求項12乃至請求項21のいずれか1項記載の粒子。
【請求項23】
前記ポリマー層が親水性ポリマーを含む、請求項22記載の粒子。
【請求項24】
前記ポリマーがホモポリマーを含む、請求項22又は請求項23記載の粒子。
【請求項25】
前記ポリマーがコポリマーを含む、請求項22乃至請求項24のいずれか1項記載の粒子。
【請求項26】
前記ポリマーがアクリル酸モノマーから形成される、請求項22乃至請求項25のいずれか1項記載の粒子。
【請求項27】
前記ポリマーが、荷電基を有する1種以上のモノマーから形成される、請求項22乃至請求項26のいずれか1項記載の粒子。
【請求項28】
前記ポリマーが1種以上の中性モノマーから形成される、請求項22乃至請求項27のいずれか1項記載の粒子。
【請求項29】
中性モノマーと荷電モノマーとのモル比が20:1未満である、請求項22乃至請求項28のいずれか1項記載の粒子。
【請求項30】
中性モノマーと荷電モノマーとのモル比が10:1〜10:1.5である、請求項29記載の粒子。
【請求項31】
前記層がモノマー層を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の粒子。
【請求項32】
前記モノマー層が親水性モノマー層を含む、請求項31記載の粒子。
【請求項33】
前記親水性層が所定分率以上の親水性分子を含む、請求項32記載の粒子。
【請求項34】
前記親水性層が、各々1以上の親水性基を有する分子を含む、請求項31又は請求項32記載の粒子。
【請求項35】
前記コアが単分子層コーティングで被覆されている、請求項1乃至請求項11、請求項31、請求項32のいずれか1項記載の粒子。
【請求項36】
前記単分子層コーティングが、式A−L−M(式中、Aは1以上のタングステン配位基であり、Lは存在しないか或いは1以上の連結基であり、Mは1以上の親水性基であり、n及びpは正の整数であり、oは0又は正の整数である。)の化合物を含む、請求項35記載の粒子。
【請求項37】
前記モノマー層が荷電コーティング層を含む、請求項31乃至請求項36のいずれか1項記載の粒子。
【請求項38】
前記荷電コーティング層が請求項13乃至請求項21のいずれか1項記載の荷電基を有する、請求項37記載の粒子。
【請求項39】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子を適宜薬学的に許容される溶媒又は賦形剤と共に含んでなる医薬品。
【請求項40】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子を適宜溶媒又は賦形剤と共に含んでなる診断薬。
【請求項41】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子を適宜溶媒又は賦形剤と共に含んでなるX線造影剤。
【請求項42】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子のインビボ造影剤としての使用。
【請求項43】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子のX線造影剤としての使用。
【請求項44】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子をヒト又は動物の身体に投与し、身体を診断装置で検査し、検査データを集積することを含む診断方法。
【請求項45】
請求項1乃至請求項38のいずれか1項記載の粒子をヒト又は動物の身体に投与し、身体を画像装置で撮像し、検査データを集積し、適宜データを解析することを含む、撮像、特にX線撮像方法。
【請求項46】
1種以上のモノマーの存在下、脱水・脱酸素した高沸点溶媒中でタングステン(0)源を分解し、もってモノマーの熱重合を生起せしめることを含む、請求項1乃至請求項30のいずれか1項記載の粒子の製造方法。
【請求項47】
前記タングステン(0)源がタングステンヘキサカルボニル(W(CO))である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記溶媒が、ジグライム、トリグライム、ジフェニルエーテル、トリアルキルホスフィンオキシド又はトリアルキルホスフィンを含む、請求項46又は請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記溶媒が、トリオクチルホスフィンオキシド又はトリオクチルホスフィンを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
脱水・脱酸素した高沸点溶媒が、所定分率の低沸点溶媒をさらに含む、請求項46乃至請求項49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
所定分率の低沸点溶媒が、5〜15体積%のシクロオクタン及び/又はn−ヘプタンからなる、請求項50記載の方法。
【請求項52】
生成した粒子の低沸点アルカン、特にペンタンからの精製をさらに含む、請求項46乃至請求項51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
1種以上のモノマーがシリルエーテルで保護された極性基を含み、該保護基が水溶液中で開裂して、親水性ポリマーで被覆された粒子を与える、請求項46乃至請求項52のいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−512322(P2007−512322A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541067(P2006−541067)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000364
【国際公開番号】WO2005/051435
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】