説明

造影製剤組成物

【課題】単位体積当たりのヨウ素濃度が高く、依然として管理可能な粘度及び妥当な浸透圧を維持している造影剤組成物を提供する。
【解決手段】 1種以上の単量体非イオン性トリヨウ素化アリール化合物と1種以上の二量体非イオン性トリヨウ素化アリール化合物とからなる含ヨウ素コントラスト増強化合物を含む造影製剤組成物。二量体化合物の2つのトリヨウ素化アリール基を連結する架橋は、1以上の窒素架橋原子がホルミル官能基で置換されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントラスト増強化合物が含ヨウ素化合物である造影製剤組成物に関する。より詳細には、含ヨウ素化合物は、1個のトリヨウ素化フェニル基を含む化合物と2つの連結トリヨウ素化フェニル基を含む化合物である。含ヨウ素化合物は非イオン性化合物であり、担体液中に分子の形態で存在する。
【0002】
本発明はまた、かかる診断組成物の画像診断、特にX線撮像における造影剤としての使用及びかかる化合物を含有する造影製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
すべての画像診断は体内の様々な構造からの信号レベルの差に基づく。例えばX線撮像では、ある身体構造を画像として視覚化するため、その構造によるX線の減衰と周囲の組織での減衰とが異なっていなければならない。身体構造と周囲の信号の差はコントラストと呼ばれ、身体構造とその周囲とのコントラストが大きいほど画像の質が高く、診断を行う医師に有用であるので、画像診断でのコントラストを高める手段に関して多大な検討がなされてきた。さらに、コントラストが大きいほど、その撮像法で視認できる身体構造が細かくなり、換言すれば、コントラストの増強によって空間解像度を高めることができる。
【0004】
診断のための画像の質は、その撮像法の固有ノイズレベルによって大きく左右されるので、コントラストレベルとノイズレベルの比が画像診断のための有効な診断品質係数を表すことが分かる。
【0005】
かかる診断品質係数を向上させることは、古くからのしかも今もって重要な目標である。X線、磁気共鳴画像(MRI)及び超音波のような技術において、診断品質係数を向上させる一つの方法は、造影製剤として処方されたコントラスト増強剤を撮像すべき身体領域に導入することである。
【0006】
例えばX線造影剤の初期の例は、造影剤が分配された身体領域でのX線減衰を強める不溶性無機バリウム塩であった。過去50年間で、X線造影剤の分野では可溶性含ヨウ素化合物が主流となりつつある。ヨウ素化造影剤を含む市販の造影製剤は、通常、ジアトリゾ酸(例えば、Gastrografen(商標)という商品名で市販)のようなイオン性単量体、イオキサグレート(例えば、Hexabrix(商標)という商品名で市販)のようなイオン性二量体、イオヘキソール(例えば、Omnipaque(商標)という商品名で市販)、イオパミドール(例えば、Isovue(商標)という商品名で市販)、イオメプロール(例えば、Iomeron(商標)という商品名で市販)のような非イオン性単量体、及び非イオン性二量体のイオジキサノール(Visipaque(商標)という商品名で市販)に分類される。
【0007】
上記に挙げたような広く使用されている市販の非イオン性X線造影剤は安全であると考えられている。ヨウ素化造影剤を含む造影製剤は米国では毎年二千万件を超えるX線検査に使用されているが、副作用の数は許容範囲内であると考えられている。しかし、コントラスト増強X線検査には総量で最大約200mlもの造影製剤を投与する必要があるため、改良造影製剤を提供することが絶えず求められている。
【0008】
造影製剤の有用性は、その毒性、診断面での有効性、造影製剤が投与された患者での副作用、並びに製造・保存及び投与の容易さによって大きく支配される。造影製剤は直接的な治療効果を達成するためではなく、診断目的で用いられるので、細胞又は身体の各種の生物学的機構にできるだけ影響を与えない造影製剤を提供することが一般に望まれる。毒性が低く、臨床副作用が少ないからである。造影製剤の毒性及び生物学的副作用は、製剤の成分(例えば溶媒又は担体、並びに造影剤自体及びその成分、例えばイオン性造影剤のイオンなど)及びその代謝物に起因する。
【0009】
造影製剤の毒性の主な寄与因子は、造影剤の化学毒性、造影製剤の浸透圧、及び造影製剤のイオン組成又はその欠乏であると確認されている。ヨウ素化造影剤の望ましい特性は、化合物自体の毒性(化学毒性)が低いこと、化合物が溶解した造影製剤の粘度が低いこと、造影製剤の浸透圧が低いこと、及びヨウ素含有量(投与用の造影製剤1ml当たりのヨウ素mg数として測定されることが多い)が高いことである。ヨウ素化造影剤は、さらに、製剤媒体(通常は水性媒体)に完全に溶解し、かつ保存中に溶解状態を保つものでなければならない。
【0010】
市販品、特に非イオン性化合物の浸透圧は、二量体及び非イオン性単量体を含む大半の製剤については許容範囲内にあるが、依然として改善の余地がある。例えば冠動脈造影では、ボーラス投与量の造影製剤を循環系に注入することで、深刻な副作用が起きている。この方法では、血液ではなく造影製剤が循環系に短時間流れ、造影製剤と置換された血液とでの化学的及び生理化学的性状の差によって、不整脈、QT延長、心筋収縮力の低下のような望ましくない副作用を起こしかねない。かかる副作用は特にイオン性造影剤で認められ、注入された造影製剤の高張性に浸透圧毒性作用が付随している。体液と等張又は体液よりもわずかに低張の造影製剤が特に望ましい。低浸透圧の造影製剤は腎毒性が低く、これは特に望ましい。浸透圧は、造影製剤の単位体積当たりの粒子数の関数である。ハイリスク患者と考えられる患者の数は増加する傾向にある。患者全体のためのインビボX線診断薬の改良の必要性を満たすため、造影剤起因性腎症(CIN)の点でも、特性の改良されたX線造影剤組成物を見出すことが絶えず求められている。
【0011】
造影製剤の注入量をできるだけ低く保つため、ml当たりのヨウ素濃度の高い造影製剤であって、その浸透圧が依然として低いレベル、好ましくは等張以下の造影製剤を処方することが大いに望まれる。非イオン性単量体造影剤、特にイオジキサノール(欧州特許出願公開第108638号)のような非イオン性ビス(トリヨードフェニル)二量体の開発によって、浸透圧毒性が低減し、低張液でコントラスト増強に有効なヨウ素濃度を達成できる造影製剤がもたらされ、さらに、造影製剤Visipaque(商標)を所望の浸透圧に維持しつつ、血漿イオンの配合によってイオンの不均衡を補正することもできる(国際公開第90/01194号及び同第91/13636号)。
【0012】
高ヨウ素濃度の市販X線造影製剤は、室温で約15〜約60mPasの比較的高い粘度を有する。一般に、等しいヨウ素濃度では、コントラスト増強剤が二量体である造影製剤は、コントラスト増強剤が上記二量体の対応単量体である造影製剤よりも高い粘度を有する。このような高い粘度は造影製剤の投与に際して問題となりかねず、内径の比較的大きな針又は高い注入圧が必要とされ、特に小児X線撮影並びに血管造影のように急速ボーラス投与が必要とされるX線撮影技術で顕著である。
【0013】
国際公開第94/14478号(Dibra S.p.A/Bracco S.p.A.)では、少なくともトリヨード置換された芳香族核を有する非イオン性で水溶性のヨウ素化芳香族化合物と、各々が少なくともトリヨード置換された2個以上の芳香族核を種々連結してなる化合物との混合物の注射用水溶液が提案されている。
【0014】
国際公開第2005/087272号(Mallinckrodt Inc)では、ヨウ素化造影剤の混合物、特に二量体ヨウ素化造影剤イオスミンを含むものが提案されている。
【0015】
非イオン性二量体造影剤化合物と非イオン性単量体造影剤化合物とを共に含むX線造影剤組成物で上市されたものは存在しない。
【0016】
そこで、ヨウ素濃度が高く、同時に、腎毒性、浸透圧、粘度、溶解度、注入量/ヨウ素濃度及び減衰/放射線量、さらにはかかるヨウ素化合物で知られているか或いは見出されている副作用の1以上の特性において、市販の可溶性含ヨウ素化合物に比して改善された特性を有する造影製剤組成物を開発することが依然として望まれている。かかる組成物は、乾燥形態及び/又は溶液中での保存に際して安定であるべきであり、製造の容易さと経済性は追加の望ましい特性である。特に、単位体積当たりのヨウ素濃度が高く、依然として管理可能な粘度及び妥当な浸透圧を維持している造影剤組成物を開発することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0675738号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上述の基準の1以上、特に浸透圧及び粘度、中でも粘度に関して、公知の製剤よりも特性の改善された造影製剤組成物を提供する。本造影製剤組成物は、含ヨウ素コントラスト増強化合物を含んでおり、含ヨウ素化合物は以下で定義する式(I)の1個のトリヨウ素化フェニル基を含む化合物及び式(II)の2つの連結トリヨウ素化フェニル基を含む化合物である。式(I)及び(II)の化合物は非イオン性造影剤であり、担体液中に分子の形態で存在する。非イオン性ヨウ素化単量体化合物と非イオン性ヨウ素化二量体化合物とを含む造影製剤組成物の提供によって、浸透圧及び粘度を妥当なレベルに維持したまま、ヨウ素濃度が320mgI/ml超でそのまま使用できる形態のX線造影製剤組成物を含む造影剤組成物を提供することができる。今回、式(I)の単量体化合物と(II)の二量体化合物の混合物は、同じmgI/ml濃度の単量体及び二量体化合物の各溶液から予測されるものよりも低い粘度を有することが判明した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の新規組成物、それらのX線造影剤としての使用、処方及び製造については、特許請求の範囲及び以下の明細書で説明する。本発明の組成物は、単量体化合物と二量体化合物の混合物を含む。
【0020】
トリヨウ素化フェニル基が1個しかないコントラスト増強化合物(「単量体化合物」という。)は、次の一般式(I)の化合物及びその塩又は光学活性異性体を含む。
【0021】
【化1】

式中、R1、R2及びR3は各々同一又は異なるもので、式(I)の化合物のR1、R2及びR3基の少なくとも1つが親水性基であることを条件として、水素原子又は非イオン性親水性基を表す。
【0022】
2つのトリヨウ素化フェニル基が連結したコントラスト増強化合物(「非イオン性二量体化合物」という。)は、次の式(II)の合成化合物及びその塩又は光学活性異性体である。
【0023】
【化2】

式中、
XはC3〜C8直鎖又は枝分れアルキレン基であって適宜1又は2つのCH2基が酸素原子、イオウ原子又はNR4基で置き換えられていてもよく、アルキレン基は6個以下の−OR4基で適宜置換されていてもよく、
4は水素原子又はC1〜C4直鎖若しくは枝分れアルキル基を表し、
6は水素原子又はアシル官能基を表し、
各Rは独立に同一又は異なるもので、トリヨウ素化フェニル基、好ましくは、2つのR5基でさらに置換された2,4,6−トリヨウ素化フェニル基を表し、各R5基は同一又は異なるもので、式(II)の化合物の1以上のR5基が親水性基であることを条件として、水素原子又は非イオン性親水性基を表す。
【0024】
式(I)において、非イオン性親水性基R1、R2及びR3は、水溶性を高めるために従来から使用されている非イオン性基のいずれであってもよい。そこで、R1、R2及びR3置換基は同一でも異なるものでもよいが、好ましくはすべてがエステル、アミド及びアミン基を含む非イオン性親水性基を表し、適宜、直鎖又は枝分れ鎖C1-10アルキル基、好ましくはC1-5アルキル基でさらに置換されていてもよく、該アルキル基は1以上のCH2又はCH基が酸素又は窒素原子で適宜置き換えられていてもよい。R1、R2及びR3置換基は、オキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換イオウ及びリン原子から選択される1以上の基をさらに含んでいてもよい。直鎖又は枝分れ鎖アルキル基の各々は、好ましくは1〜6個のヒドロキシ基、さらに好ましくは1〜3個のヒドロキシ基を含む。したがって、さらに好ましい態様では、R1、R2及びR3置換基は同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC15アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル及び炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド及びカルバモイル結合を介してヨウ素化フェニル基に結合している。
【0025】
以下に示す式のR1、R2及びR3基が特に好ましい。
−CONH2
−CONHCH3
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CH2−OCH3
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOCH3−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OCH3
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2
−CON−(CH2−CH2−OH)2
−CON−(CH2−CHOH−CH2−OH)2
−CONH−OCH3
−CON(CH2−CHOH−CH2−OH)(CH2−CH2−OH)、
−CONH−C(CH2−OH)2CH3
−CONH−C(CH2−OH)3
−CONH−CH(CH2−OH)(CHOH−CH2−OH)、
−NH(COCH3)、
−N(COCH3)C13アルキル、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、C1-4アルキル、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH3)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−NH(CO−CH2OCH3)、及び
−N(COCH2OH)2
【0026】
さらに一段と好ましくは、R1、R2及びR3基の2つが同一であって、
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2、及び
−CON−(CH2−CH2−OH)2の1以上の基であり、R1、R2及びR3の3番目の基が、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、C1-4アルキル、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH3)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、又は
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキルである。
【0027】
特に好ましいのは、国際公開第97/00240号に記載された単量体化合物、特に実施例2の化合物BP257、さらに市販の化合物であるイオパミドール、イオメプロール、イオベルソール、イオプロミド、イオベルソール、イオビトリドール、イオペントール及びイオヘキソールである。最も好ましいのは、イオパミドール及びイオヘキソールである。
【0028】
上述の化合物は、文献に記載された公知の合成法で製造することができ、例えば、米国特許第4352788号、同第4364921号、同第4001323号、同第4341756号、同第4250113号、同第5035877号及び同第5043152号並びに国際公開第97/00240号を参照されたい。
【0029】
式(II)において、Xは、好ましくは、1〜6個の−OR4基で適宜置換されたC3〜C8アルキレン鎖である。さらに好ましくは、Xは、1以上の−OR4基、好ましくは、架橋窒素原子に隣接していない位置に1以上のヒドロキシル基を有する直鎖C3〜C5アルキレン鎖である。さらに好ましくは、アルキレン鎖は1〜3個のヒドロキシル基で置換され、さらに一段と好ましくは、アルキレン鎖は1、2又は3個のヒドロキシル基で置換された直鎖プロピレン、ブチレン又はペンチレン鎖である。特に好ましい基Xは、2−ヒドロキシプロピレン、2,3−ジヒドロキシブチレン、2,4−ジヒドロキシペンチレン及び2,3,4−トリヒドロキシペンチレンから選択され、特にXは2−ヒドロキシプロピレンである。
【0030】
4は、好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0031】
置換基R6は、好ましくは、水素原子又は脂肪族有機酸残基、特にホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基及びバレリル基のようなC1〜C5有機酸残基である。ヒドロキシル化及びメトキシル化アシル基も想定される。特に好ましい実施形態では、式(II)の化合物における基R6は、水素原子、ホルミル基又はアセチル基であり、最も好ましくはホルミル基である。
【0032】
各ヨウ素化R基は同一でも異なるものでもよいが、好ましくは、好ましくは2,4,6−トリヨウ素化フェニル基であってフェニル基の残りの3位及び5位がさらに2つのR5基でさらに置換されたものである。
【0033】
非イオン性親水性基R5は、水溶性を高めるために従来から使用されている非イオン性基のいずれであってもよい。そこで、R5置換基は同一でも異なるものでもよいが、好ましくはすべてがエステル、アミド及びアミン基を含む非イオン性親水性基であり、適宜、直鎖又は枝分れ鎖C1-10アルキル基、好ましくはC1-5アルキル基でさらに置換されていてもよく、該アルキル基は1以上のCH2又はCH基が酸素又は窒素原子で適宜置き換えられていてもよい。R5置換基は、オキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換イオウ及びリン原子から選択される1以上の基をさらに含んでいてもよい。直鎖又は枝分れ鎖アルキル基の各々は、好ましくは1〜6個のヒドロキシ基、さらに好ましくは1〜3個のヒドロキシ基を含む。したがって、さらに好ましい態様では、R5置換基は同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC15アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル及び炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド又はカルバモイル結合、好ましくはアミド結合を介してヨウ素化フェニル基に結合している。
【0034】
以下に示す式のR5基が特に好ましい。
−CONH2
−CONHCH3
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CH2−OCH3
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOCH3−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OCH3
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2
−CON−(CH2−CH2−OH)2
−CON−(CH2−CHOH−CH2−OH)2
−CONH−OCH3
−CON(CH2−CHOH−CH2−OH)(CH2−CH2−OH)、
−CONH−C(CH2−OH)2CH3
−CONH−C(CH2−OH)3
−CONH−CH(CH2−OH)(CHOH−CH2−OH)、
−NH(COCH3)、
−N(COCH3)C13アルキル、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、及び
−N(COCH2OH)2
【0035】
さらに一段と好ましくは、R5基は同一又は異なるものであって、式−CONH−CH2−CH2−OH、−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、−CONH−CH−(CH2−OH)2及び−CON−(CH2−CH2−OH)2の1以上の基である。さらに一段と好ましくは、2つのR基が同一であり、各RのR2基は同一又は異なるもので、−CONH−CH2−CH2−OH、−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、−CON−(CH2−CH2−OH)2及び−CONH−CH−(CH2−OH)2である。特に好ましい実施形態では、2つのR基が同一であって、すべてのR5基が式−CONH−CH2−CHOH−CH2−OHである。
【0036】
したがって、本発明の組成物の好ましい非イオン性二量体化合物としては、以下の式(IIa〜c)の化合物が挙げられる。
【0037】
【化3】

式(IIa〜c)において、各R基は上記の意味を有し、さらに好ましくは、2つのヨードフェニル基Rが同一であり、R5基はすべて非イオン性親水性基であり、好ましくは、R5基はアミド結合でヨウ素化フェニル基に結合している。Xは、好ましくは炭素原子数3〜5の直鎖アルキレン基であって、窒素官能基に隣接しない位置に1〜3つのヒドロキシル置換基を有する。
【0038】
式(IIa)の化合物が特に好ましく、特にモノヒドロキシル化アルキレン架橋X、特にモノヒドロキシル化プロピレン架橋を有する化合物である。本発明における好ましい例として、以下に示す式(IIIa)〜(IIIu)の化合物が挙げられる。
【0039】
【化4】

【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

最も好ましいのは、上記の式(IIIa)の化合物である。
【0046】
したがって、特に本発明は、含ヨウ素コントラスト増強化合物の混合物を含む造影製剤組成物であって、1種以上の化合物が式(I)(単量体化合物という。)の化合物及びその塩又は光学活性異性体であり、1種以上の化合物が式(II)の化合物(二量体化合物という。)及びその塩又は光学活性異性体である、造影製剤組成物を提供する。
【0047】
【化11】

式中、R1、R2及びR3は各々上記の意味を有する。
【0048】
【化12】

式中、X、R及びR6は各々上記の意味を有する。
【0049】
かかる組成物は、有用な造影製剤組成物を与える。
【0050】
特に、式(I)の単量体化合物が、化合物BP257、イオパミドール、イオメプロール、イオベルソール、イオプロミド、イオビトリドール、イオペントール及びイオヘキソールの1種以上、さらに好ましくはイオパミドール及びイオヘキソールから選択されるものであり、二量体化合物が上記の式III(a)〜III(u)の化合物の1種以上から選択されるもの、さらに好ましくは式III(a)の化合物である組成物は、有用な造影製剤組成物を与える。
【0051】
組成物は、式(I)の単量体化合物を、全ヨウ素含有量の1〜40重量%の量で含むべきである。同様に、組成物は、式(II)の二量体化合物を全ヨウ素含有量の60〜99重量%の量で含むべきである。
【0052】
さらに好ましくは、組成物中の単量体化合物の量は、全ヨウ素含有量の5〜35重量%、さらに一段と好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは約20重量%である。
【0053】
さらに好ましくは、組成物中の二量体化合物の量は、全ヨウ素含有量の95〜65重量%、さらに一段と好ましくは90〜70重量%、特に好ましくは約80重量%である。
【0054】
単量体化合物及び二量体化合物の好ましい量は、最適粘度及び/又は最適浸透圧及び/又は最適ヨウ素含有量の組成物を与える量の最適化に基づいて決定され、好ましくは、単量体化合物と二量体化合物の相対量は、約350mgI/mlの量で粘度をできるだけ低くし、妥当な浸透圧(例えば、等浸透圧又は以下で説明する通り塩を添加できるように低浸透圧)を有する好ましい組合せに基づいて決定される。
【0055】
一般に、そのまま使用できる形態の組成物では、組成物のヨウ素含有量は、好ましくは320mgI/ml以上、さらに好ましくは335mgI/ml以上、さらに一段と好ましくは350mgI/ml以上である。
【0056】
注射又は点滴で投与される造影製剤組成物では、室温(20℃)での溶液の粘度の望ましい上限は約40mPasであるが、最大50〜60mPas、さらには60mPasを超える粘度も許容できる。
【0057】
組成物は、好ましくは20℃で40mPas未満、さらに好ましくは20℃で30mPas未満、例えば20℃で25〜30mPasの粘度を有する。
【0058】
血管造影法などにおいてボーラス注射で投与される造影製剤では、浸透圧毒性作用を考慮しなければならず、好ましくは浸透圧は1Osm/kgH2O未満、好ましくは850mOsm/kgH2O未満、さらに好ましくは約300mOsm/kgH2Oとすべきである。
【0059】
本発明の組成物は、かかる粘度、浸透圧及びヨウ素濃度の目標を満足することができる。実際、低張液で有効なヨウ素濃度を達成することができる。したがって、ボーラス注射後の不均衡作用に起因する毒性寄与を低減するため、血漿陽イオンの添加によって溶液の張度を補うのが望ましいこともある。かかる陽イオンは、望ましくは国際公開第90/01194号及び同第91/13636号で示唆された範囲で配合し得る。特に、すべてのヨウ素濃度で血液と等張な造影製剤を与えるためナトリウム及びカルシウムイオンの添加が望ましい。血漿陽イオンは、生理学的に許容される対イオン(例えば、塩素イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸水素イオンなど)との塩の形態で与えることができるが、血漿陰イオンを使用するのが好ましい。
【0060】
本発明の組成物は、診断用途、特にX線診断用の組成物である。本組成物は、上記の式(I)の1種以上の化合物及び式(II)の1種以上の化合物を含んでおり、通常、生理学的に許容される1種以上の担体又は賦形剤と共に(例えば血漿イオン又は溶存酸素を適宜添加した注射用水溶液中に)処方化される。
【0061】
本発明の造影剤組成物は そのまま使用できる濃度のものでも、投与前に希釈される濃縮物であってもよい。
【0062】
式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む造影製剤組成物は、注射又は点滴(例えば、血管内投与)によって投与できる。別法として造影製剤組成物は経口投与することもできる。経口投与用には、造影製剤はカプセル、錠剤又は液剤の形態を取り得る。
【0063】
そこで、本発明には、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む診断用組成物のX線造影検査における使用、並びにX線造影剤として使用される診断用組成物の製造のための式(I)の化合物及び式(II)の化合物の使用も包含される。
【0064】
式(I)及び式(II)の組成物をヒト又は動物の身体に投与し、身体を診断装置で検査し、検査データをコンパイルすることを含む診断方法も提供する。本診断法において、身体に組成物を予め投与しておいてもよい。
【0065】
さらに、撮像、特にX線撮像方法も提供するが、当該方法は、式(I)及び式(II)の組成物の化合物をヒト又は動物の身体に投与し、身体を診断装置で検査し、検査データをコンパイルし、適宜データを解析することを含む。本撮像法において、身体には式(I)の化合物を予め投与しておいてもよい。
【0066】
一般式(I)の化合物は、当技術分野で公知又は市販の原料から多段階法で合成することができるし、或いは市販の原料から容易に製造できる。イオジキサノールの製造のための公知の合成法を式(I)の化合物の製造に適合化させてもよい。
【0067】
調製
式(I)の化合物は、文献公知のトリヨウ素化単量体非イオン性化合物の一般的調製法を利用して、例えば、米国特許第4352788号、同第4364921号、同第4001323号、同第4341756号、同第4250113号、同第5035877号、同第5043152号及び特許出願の国際公開第97/00240号に記載された合成法に従って調製することができる。
【0068】
式(II)及び(III)の化合物は、以下の一般法で調製することができる。
【0069】
以下の式(IVa)及び必要に応じて式(IVb)の化合物を、式(V)の反応性リンカー基と反応させ、必要に応じて保護基を除去する。
【0070】
【化13】

式中、Y及びY’は、容易に脱離させることのできる原子又は基であり、Xは、上記の意味を有するか或いはそのヒドロキシル保護誘導体、又は置換基Y及びY’の一方若しくは両方が−O−で置き換えられている対応エポキシドである。基Y及びY’は、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素又はヨウ素)、又は硫酸ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、例えばトシルオキシ又はメシルオキシのようなアルキル−又はアリール−スルホニルオキシ基からなる群から選択し得る。
【0071】
式(V)の好適な化合物の例は、式(Va)、(Vb)、(Vc)及び(Vd)の化合物である。
【0072】
【化14】

さらに、炭素原子数3の架橋をもたらす式(V)の化合物は、Bjorsvik,H−R.and Priebe,H.、Acta Chem.Scand.49(1995)446−456、“Multivariate data analysis of molecular descriptors estimated by using semi−empirical quantum chemistry methods.Principal properties for synthetic screening of 2−chloromethyl−oxirane and analogues bis−alkylating C3 moieties”に記載されている。
【0073】
式(V)の好適な化合物は、エピクロロヒドリン、ブタジエンジエポキシド、1,4−ペンタジエンジエポキシド、ジ(オキシラン−2−イル)メタノール、或いは1,4−ジクロロ−ブタン−2,3−ジオール又は1,5−ジクロロペンタン−2,4−ジオールのような塩基性条件下でエポキシド又はジエポキシドを形成できる任意の前駆体である。
【0074】
R基及びX基に存在するヒドロキシル基は、所望によっては、ヒドロキシルが保護された形態であってもよい。好適な保護基としては、アセチルのようなアシル基、或いは隣接ヒドロキシル基が存在する場合には、環状ケタール又はアセタール基が挙げられる。
【0075】
式(IVa)の化合物と式(V)の化合物との反応、場合によっては式(IVa)の化合物と式(IVb)の化合物と式(V)の化合物との反応は、酸結合剤、例えば、好ましくは水性又はアルコール媒体又はその混液(例えば、水及び/又はアルカノール又はグリコール)中の有機又は無機塩基の存在下で実施され、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド又は水酸化ナトリウム及びカリウムのようなアルカリ金属水酸化物を塩基として使用できる。
【0076】
保護基は、標準法、例えば加水分解によって除去できる。式(IVa)及び(IVb)の化合物は、遊離アミノ基を有する対応化合物のホルミル化によって調製できる。この反応では、置換基Rのヒドロキシル基をアシル化によって保護してもよい。
【0077】
式(I)の化合物は、適当な方法、例えば分取クロマトグラフィー又は再結晶によって精製できる。
【0078】
中間体の調製(市販品として入手できない場合)
式(IVa)及び(IVb)の化合物の前駆体である、遊離アミノ基を有するトリ−ヨウ素化フェニル基は、市販されているか、或いは例えば国際公開第95/35122号及び同第98/52911号に記載又は引用された手順で合成することができる。例えば、5−アミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸は、例えばAldrich社から市販されており、5−アミノ−2,4,6−トリヨード−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−イソフタルアミドは、例えば富士化学工業(株)から市販されている。
【0079】
式(IVa)及び(IVb)の化合物の(市販品として又は文献に記載された)入手可能な前駆体の例としては、以下のものが挙げられる。
【0080】
【化15】

式(IVa)及び(IVb)の化合物は、遊離アミノ基を有する対応化合物のアシル化によって調製することができる。この反応では、置換基Rのヒドロキシル基をアシル化によって保護してもよい。
【0081】
アシル化は適当な方法で実施すればよく、例えば、混合無水物のような活性化ギ酸(文献記載の様々な方法で調製できる。)の使用によって実施できる。
【0082】
混合無水物の簡便な調製方法は、温度調節下で過剰のギ酸にカルボン酸無水物を添加することである。カルボン酸塩化物をギ酸塩の溶液に添加することによって、混合無水物を調製することもできる。ホルミル混合無水物は、アセチル、イソブチリル、ピバロイル、ベンゾイルなどを含んでいてもよい。
【0083】
本実施には、酢酸−ギ酸混合無水物が用いられる。予め調製して冷却しておいた過剰の酢酸−ギ酸混合無水物に5−アミノ−単量体を添加して混合物を一晩撹拌する。混合物を真空下で濃縮し、実験の欄(手順B)に記載した通りアルキル化段階に直接使用してもよいし、或い実験の欄(手順A)に記載した通りアルキル化の前にO−アシル化基を加水分解してもよい。加水分解は、実験の欄で例示したような塩基性水性媒体中で簡便に実施できるし、或いは例えば国際公開第1997/000240号に記載されているように、アルコーリシスによって実施することもできる。
【0084】
5−アミノ単量体をギ酸に溶解してから、カルボン酸無水物を添加することも可能であるが、不要なアシル化を低減するため、混合無水物を別途調製し、これを上記の5−アミノ単量体と混合するのが好ましい。
【0085】
さらに具体的には、上記の式(IIIa)の化合物は、以下の手順1又は手順2のいずれかによって調製される。
【0086】
手順1
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)
【0087】
【化16】

1a)N,N’−ビス−(2,3−ジヒドロキシ−プロピル)−5−ホルミルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタルアミド
滴下漏斗、撹拌子、温度計及びガス入口を備えた乾燥1000mlフラスコに、ギ酸(300ml)を仕込んだ。酸を窒素気流下の氷浴で冷却し、無水酢酸(144.8g、1.418mol)を温度が2.5℃を超えないような速度で滴下した。滴下完了後、氷浴を取り外して、温度を10℃にさせた。混合物を再び氷で冷却し、5−アミノ−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨード−イソフタルアミド(100g、141.8mmol)を5分かけて添加し、室温に保ちながら混合物を一晩撹拌した。
【0088】
混合物を蒸発乾固し、メタノール(300ml)と水(300ml)を加えた。2M水酸化カリウムを、すべての物質が溶解して、安定してpH12.5となるまで加えた。メタノールを減圧除去した。混合物を4M HClで中和すると、ゆっくりとした沈殿が始まった。300mlの水を添加して生成物を一晩沈殿させた。
【0089】
濾過器で沈殿を回収し、少量の水で水洗し、乾燥して湿潤ケークとし、さらに真空乾燥して、84.8g(81.5%)のN,N’−ビス−(2,3−ジヒドロキシ−プロピル)−5−ホルミルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタルアミドを得た。
【0090】
1H−NMR 500MHz(溶媒:D2O,ref.H2O=4.8ppm,25℃):8.35及び8.05ppm(2s,1H)、3.94ppm(m,2H)、3.67ppm(m,2H)、3.55ppm(m,2H)、3.45ppm(m,2H)、3.34ppm(m,2H)。
【0091】
LC−MS(カラムAgilent Zorbax SB−Aq 3.5μm 3.0×100mm、溶媒:A=水/0.1%ギ酸及びB=アセトニトリル/0.1%ギ酸;勾配0〜30%B20分間;流速0.3ml/分、UV検出波長214及び254nm、ESI−MS)は、5.5分を中心とする2つのピークを示し、m/z(M+H+)733.828、m/z(M+NH4+)750.855、m/z(M+Na+)755.817で、上記の構造に対応していた。
【0092】
1b)5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)
磁気撹拌子を備えた50ml丸底フラスコ内の水(6.9ml)及びメタノール(3.4ml)に水酸化カリウム(1.07g)を溶解した。撹拌した溶液に、ホウ酸(0.41g、6.6mmol)及びN,N’−ビス−(2,3−ジヒドロキシ−プロピル)−5−ホルミルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタルアミド(7.0g、9.56mmol)を加えた。
【0093】
溶液にエピクロロヒドリン(260μl、3.32mmol)を加え、フラスコにpH電極を取り付けて、4M水酸化カリウムを4時間滴下してpHをpH12.7に維持した。この時点で、混合物を一晩撹拌した。pHを4M塩酸でpH4に調整し、メタノールを減圧除去した。残った水溶液を水(75ml)で希釈して、イオン交換体(AMB200C及びIRA67)で処理して伝導率をゼロにした。イオン交換体を濾過によって除去し、水洗し、水性濾液を一緒にして凍結乾燥した。粗生成物を、分取HPLC(カラムPhenomenex Luna C18 10μm 溶媒:A=水及びB=アセトニトリル;勾配0.5〜20%B60分間)で精製した。凍結乾燥後に、3.80gの5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)(収率74.8%)を得た。
【0094】
1H−NMR 500MHz(溶媒:D2O,ref.H2O=4.8ppm,25℃):8.34及び8.08ppm(m,2H)、2.80〜4.80ppm(m 26H)。
【0095】
LC−MS TOF;1522.68 m/z(M+H+)、1544.66 m/z(M+Na+)。
【0096】
手順2
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)
【0097】
【化17】

2a)1−ホルミルアミノ−3,5−ビス(2,3−ビス(ホルミルオキシ)プロパン−1−イルカルバモイル)−2,4,6−トリヨード−ベンゼン
クライオスタット上の乾燥5000mlジャケット付反応器に滴下漏斗、機械式撹拌機、温度計及びガス入口を取り付け、ギ酸(4L)を仕込んだ。酸を、窒素気流下のクライオスタットで冷却した。無水酢酸(1.98L、21.0mol)を、温度が12.0℃を超えないような速度で滴下した。7.5時間後に滴下が完了し、混合物を3.8℃に冷却し、5−アミノ−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨード−イソフタルアミド(1.481kg、2.1mol)を20分かけて加え、室温に保ちながら混合物を一晩撹拌した。
【0098】
反応混合物を40℃で減圧蒸発させて湿潤塊とし、これを40℃の真空オーブンでさらに乾燥して、1754g(98.8%)の1−ホルミルアミノ−3,5−ビス(2,3−ビス(ホルミルオキシ)プロパン−1−イルカルバモイル)−2,4,6−トリヨード−ベンゼンを得た。この生成物は、精製せずに次の段階に使用した。
【0099】
得られた生成物は、微量のO−アセチルエステルを含有しているが、この生成物は精製せずに次の段階に直接使用するので、これは無視することができる。
【0100】
2b)5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)
クライオスタット上の1000mlジャケット付反応器に、内部pH電極、温度計及び撹拌機を取り付けた。反応器を10℃に冷却し、水(77ml)、メタノール(154ml)及びホウ酸(49.7g、803.5mmol)を仕込んだ。水酸化カリウム(9M)のゆっくりと添加し始め、T=0の時点で、細かく砕いた1−ホルミルアミノ−3,5−ビス(2,3−ビス(ホルミルオキシ)プロパン−1−イルカルバモイル)−2,4,6−トリヨード−ベンゼン(341.5g、401.8mmol)を反応器に添加した。水酸化カリウムの添加速度は、pH11.6〜11.7の範囲内にpHが保たれ、温度が10℃±1に維持されるように調節した。T=105分の時点で、出発物質が大部分溶解し、エピクロロヒドリン(16.07ml、204.9mmol)を60分間にわたり5回に分けて添加した。水酸化カリウム(9M)の連続添加によってpHをpH11.6〜11.7の範囲内に保った。
【0101】
T=465分の時点でpHは11.7であり、pH調整せずに混合物を10℃で一晩撹拌した。翌日、水酸化カリウム(9M)の連続添加によってpHをpH11.6〜11.7の範囲内に維持した。その日の終わりに、1℃/hから20℃の温度勾配を開始し、混合物を一晩撹拌した。翌日、反応混合物を水(500ml)で希釈し、反応器から取り出して、酸性イオン交換体AMB200C(1841ml、3093.6mmol)で処理した。そのときのpHはpH1.38であった。5分後、塩基性イオン交換体IRA67(2946ml、3093.6mmol)を添加したところ、pHは徐々にpH5.67となった。4時間後、イオン交換体を濾過して除去し、水(4×2リットル)で水洗した。
【0102】
HPLC分析(UV254nm)の結果、生成物は90.4%の純度で存在していた。
【0103】
水性濾液を一つにまとめて、40℃で真空下で1.5リットルまで減らした。
【0104】
粗生成物を、分取HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2) 10μm 溶媒:A=水及びB=アセトニトリル;勾配0.5〜20%B60分間)で精製した。凍結乾燥後、222.8gの5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)(収率72.9%)を得た。
【0105】
LC−MS TOF 1522.68 m/z(M+H+)、1544.66 m/z(M+Na+)。
【0106】
1H−NMR 500MHz(溶媒:D2O,ref. H2O=4.8ppm,25℃):8.34及び8.08ppm(m,2H)、2.80〜4.80ppm(m,25H)。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ヨウ素含有量350mgI/mlの、化合物(IIIa)とイオパミドールの各種混合物の粘度を示す図。
【実施例】
【0108】
実施例1
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)(IIIa)とイオパミドールの組成物の調製
50mlのフラスコに、ヨウ素3.511gに相当するイオパミドール(7.167g)を加えた。質量は1.7%の水分量について補正した。
【0109】
ヨウ素14.295gに相当する5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)(28.579g)(水分量3.0%について補正した質量)を、2回に分けてフラスコに加えた。水をフラスコに少量ずつ添加し、内容物を、時々撹拌及び加熱して溶解した。透明溶液が得られたら、水を加えて(合計32.851g)、体積を50mlとした。
【0110】
透明溶液を、Millipore Sterivex 0.22μmフィルターで濾過した。
【0111】
得られたヨウ素濃度は356mgI/mlであった。粘度は20℃で28.7mPasであって。浸透圧は295mOsm/kgであった。
【0112】
実施例2
化合物(IIIa)とイオパミドールの様々な比率の組成物及びそれらの粘度
a)10mMトリス及びEDTA(0.1mg/ml)を含有する(IIIa)の350mgI/ml溶液の調製
容量99.655mlの目盛り付きフラスコに、71.174gの(IIIa)(水分量2.03%)、153mgのTrizmaプリセット結晶(pH7.3)及び10mgのEDTA二ナトリウム二水和物を添加した後、67.330gのMilli−Q水を加えた。混合物を、間欠的な振盪、温和な加熱及び超音波処理によって透明溶液とした。
【0113】
pH=6.95の透明溶液を、Millipore Sterivex 0.22μmフィルターで濾過した。
【0114】
b)10mMトリス及びEDTA(0.1mg/ml)を含有するイオパミドールの350mgI/ml溶液の調製
容量99.655mlの目盛り付きフラスコに、72.429gのイオパミドール(水分量1.7%)、157mgのTrizmaプリセット結晶(pH7.3)及び10mgのEDTA二ナトリウム二水和物を添加した後、66.309gのMilli−Q水を加えた。混合物を、間欠的な振盪、温和な加熱及び超音波処理によって透明溶液とした。
【0115】
pH=6.85の透明溶液を、Millipore Sterivex 0.22μmフィルターで濾過した。
【0116】
c)上記a)及びb)で得た2種類の溶液を表1に記載した様々な割合で混合した。十分に混合した後、従来のU字管落下時間技術を用いて粘度を20℃で決定した。
【0117】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
含ヨウ素コントラスト増強化合物を含む造影製剤組成物であって、1種以上の化合物が以下の式(I)の化合物及びその塩又は光学活性異性体であり、1種以上の化合物が以下の式(II)の化合物及びその塩又は光学活性異性体である、造影製剤組成物。
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は各々同一又は異なるもので、式(I)の化合物のR1、R2及びR3基の少なくとも1つが親水性基であることを条件として、水素原子又は非イオン性親水性基を表す。)
【化2】

(式中、
XはC3〜C8直鎖又は枝分れアルキレン基であって適宜1又は2つのCH2基が酸素原子、イオウ原子又はNR4基で置き換えられていてもよく、アルキレン基は6個以下の−OR4基で適宜置換されていてもよく、
4は水素又はC1〜C4直鎖若しくは枝分れアルキル基を表し、
6は水素原子又はアシル官能基を表し、
各Rは独立に同一又は異なるもので、トリヨウ素化フェニル基、好ましくは、2つのR5基でさらに置換された2,4,6−トリヨウ素化フェニル基を表し、各R5基は同一又は異なるもので、式(II)の化合物の1以上のR5基が親水性基であることを条件として、水素原子又は非イオン性親水性基を表す。)
【請求項2】
式(I)において、非イオン性親水性基R1、R2及びR3が同一又は異なるもので、エステル、アミド及びアミン基を含む非イオン性親水性基であって、直鎖又は枝分れC1-10アルキル基、好ましくはC1-5アルキル基でさらに置換されていてもよく、該アルキル基は1以上のCH2又はCH基が酸素又は窒素原子で置き換えられていてもよく、オキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換イオウ及びリン原子から選択される1以上の基を適宜含んでいてもよく、直鎖又は枝分れアルキル基は各々、1〜6個のヒドロキシ基、好ましくは1〜3個のヒドロキシ基を適宜含んでいてもよい、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
1、R2及びR3基が同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC15アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル及び炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド又はカルバモイル結合を介して式(I)のヨウ素化フェニル基に結合している、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
式(I)のR1、R2及びR3基が、以下の式の基から選択される、請求項3記載の組成物。
−CONH2
−CONHCH3
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CH2−OCH3
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOCH3−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OCH3
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2
−CON−(CH2−CH2−OH)2
−CON−(CH2−CHOH−CH2−OH)2
−CONH−OCH3
−CON(CH2−CHOH−CH2−OH)(CH2−CH2−OH)、
−CONH−C(CH2−OH)2CH3
−CONH−C(CH2−OH)3
−CONH−CH(CH2−OH)(CHOH−CH2−OH)、
−NH(COCH3)、
−N(COCH3)C13アルキル、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、C1-4アルキル、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH3)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−NH(CO−CH2OCH3)、及び
−N(COCH2OH)2
【請求項5】
式(I)のR1、R2及びR4基の2つが同一であって、
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2、及び
−CON−(CH2−CH2−OH)2
から選択される基を表し、R1、R2及びR3のうちの3番目の基が、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、C1-4アルキル、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH3)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル
から選択される基を表す、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、イオパミドール、イオメプロール、イオベルソール、イオプロミド、イオビトリドール、イオペントール及びイオヘキソールから選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
式(I)の化合物が、イオパミドール及びイオヘキソールから選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
式(II)の化合物において、Xが1〜6個の−OR4基で適宜置換されたC3〜C8アルキレン鎖を表す、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
式(II)のR4基が水素原子又はメチル基を表す、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
Xが、架橋窒素原子に隣接していない位置で1以上のヒドロキシル基で置換された直鎖C3〜C5のアルキレン鎖を表す、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
3〜C5アルキレン鎖が、1、2又は3個のヒドロキシル基で置換された直鎖プロピレン、ブチレン又はペンチレン鎖である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
Xが、2−ヒドロキシプロピレン、2,3−ジヒドロキシブチレン、2,4−ジヒドロキシペンチレン又は2,3,4−トリヒドロキシペンチレンリンカーを含む、請求項10又は請求項11記載の組成物。
【請求項13】
式(II)のR6基が水素原子又は脂肪族有機酸残基を表す、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
6が、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基及びバレリル基から選択されるC1〜C5有機酸基、好ましくはホルミル基を表す、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
式(II)のトリヨウ素化フェニル基Rの各々が、フェニル基の残りの3及び5位が2つの基R5でさらに置換された2,4,6−トリヨウ素化フェニル基を表し、各R5は同一又は異なるもので、エステル、アミド及びアミン基を含む非イオン性親水性基であって、直鎖又は枝分れC1-10アルキル基でさらに置換されていてもよく、該アルキル基の1以上のCH2又はCH基は酸素又は窒素原子で置き換えられていてもよく、オキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換イオウ及びリン原子から選択される1以上の基を適宜含んでいてもよく、1〜3個のヒドロキシ基でちかんされた直鎖又は枝分れアルキル基でさらに置換されていてもよい、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
各R5が同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC15アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル又は炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド又はカルバモイル結合を介してヨウ素化フェニル基に結合している、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
各R5が同一又は異なるもので、以下の式の基から選択される、請求項15又は請求項16記載の組成物。
−CONH2
−CONHCH3
−CONH−CH2−CH2−OH、
−CONH−CH2−CH2−OCH3
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOCH3−CH2−OH、
−CONH−CH2−CHOH−CH2−OCH3
−CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、
−CONH−CH−(CH2−OH)2
−CON−(CH2−CH2−OH)2
−CON−(CH2−CHOH−CH2−OH)2
−CONH−OCH3
−CON(CH2−CHOH−CH2−OH)(CH2−CH2−OH)、
−CONH−C(CH2−OH)2CH3
−CONH−C(CH2−OH)3
−CONH−CH(CH2−OH)(CHOH−CH2−OH)、
−NH(COCH3)、
−N(COCH3)C13アルキル、
−N(COCH3)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(COCH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CH2OH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、
−N(CO−CH−(CH2OH)2)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1-4アルキル、及び
−N(COCH2OH)2
【請求項18】
式(II)の2つのR基が同一であり、各RのR2基が同一又は異なるもので、−CONH−CH2−CH2−OH、−CONH−CH2−CHOH−CH2−OH、CON(CH3)CH2−CHOH−CH2OH、−CONH−CH−(CH2−OH)2又は−CON−(CH2−CH2−OH)2を表す、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
式(II)の化合物が、以下の式(IIa)、(IIb)及び(IIc)から選択される、請求項1乃至請求項18のいずれか1項記載の組成物。
R−N(CHO)−X−N(CHO)−R (IIa)
R−N(CHO)−X−N(CO(CH3))−R (IIb)
R−N(CHO)−X−NH−R (IIc)
式中、R及びXは、請求項1乃至請求項18で定義した通りである。
【請求項20】
式(II)の化合物が、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3,4−トリヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨード−N1,N3−ジメチルイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨード−N1,N3−ジメチルイソフタルアミド)、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨード−N1,N3−ジメチルイソフタルアミド)、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5,5’−(2,4−ジヒドロキシペンタン−1,5−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N3−(2−ヒドロキシエチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)、
5−(N−(3−(N−(3,5−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモイル)−2,4,6−トリヨードフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシプロピル)ホルムアミド)−N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド、及び
5−(3−(N−(3,5−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモイル)−2,4,6−トリヨードフェニル)ホルムアミド)−2−ヒドロキシプロピルアミノ)−N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
からなる群から選択される、請求項1乃至請求項19記載の組成物。
【請求項21】
1以上のイオパミドール又はイオヘキソールと、請求項20記載の化合物の1種以上とを含む、請求項1乃至請求項20のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
イオパミドール又はイオヘキソールと、5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)とを含む、請求項1乃至請求項21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
全ヨウ素含有量の1〜40重量%が式(I)の1種以上の単量体造影剤で与えられ、全ヨウ素含有量の60〜99重量%が式(II)の1種以上の二量体造影剤で与えられる、請求項1乃至請求項22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
全ヨウ素含有量の約20重量%がイオパミドールで与えられ、全ヨウ素含有量の約80重量%が5,5’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(ホルミルアザンジイル)ビス(N1,N3−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド)で与えられる、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
320mgI/ml以上のヨウ素含有量を有する、請求項1乃至請求項24のいずれか1項記載の組成物。
【請求項26】
20℃で40mPas未満の粘度を有する、請求項1乃至請求項25のいずれか1項記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−514622(P2012−514622A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544864(P2011−544864)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050118
【国際公開番号】WO2010/079201
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】