造血を促進する分子
本発明は、EPO模倣ペプチド、ならびに多価および/または超価ペプチドの生成のための特別な合成方法に関する。本発明のある態様によると、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも長さ10アミノ酸のペプチドが提供される。したがって、ペプチドは、EPO模倣特性を示す。本発明のEPO模倣ペプチドは、EPO模倣ペプチドの、一般に10位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリスロポイエチン受容体のための結合分子としてのペプチド、その調製方法、これらのペプチドを含有する医薬品、および選択された指示における、好ましくは種々の形態の貧血および脳卒中の治療のための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルモン、エリスロポイエチン(EPO)は、165個のアミノ酸によって構成され、4つの糖化部位を有する糖タンパク質である。4つの複雑な炭水化物側鎖は、約35kDの全体の分子量の40パーセントを構成する。EPOは腎臓で形成され、そこから脾臓および骨髄に移動し、そこで赤血球の生成を刺激する。慢性腎疾患において、減少したEPO生成は、赤血球減少貧血を生じる。遺伝子工学によって調製した組換えEPOを用いて、貧血を効果的に治療することができる。EPOは、透析患者の生活の質を向上させる。腎性貧血だけでなく、早産新生児における貧血、炎症および腫瘍関連貧血もまた、組換えEPOによって改善することができる。EPOによって、腫瘍患者において、よりうまく高投与量化学療法を行うことができる。同様に、EPOは、放射線療法の範囲内で投与される場合、癌患者の回復を向上する。
【0003】
EPOを用いた治療において、タンパク質が体内で比較的迅速に分解されるので、必要とされる投与計画が頻繁または継続的な静脈内または皮下適用に基づく点に問題がある。したがって、組換えEPO由来分子の発展は、安定性、およびしたがって生物学的半減期を増大させるために、例えばさらなる糖化またはペグ化によって、糖タンパク質を選択的に修飾することに向かっている。
【0004】
組換えEPOでの治療に関連する別の重要な問題は、治療の間に患者が組換えEPOに対する抗体を発生する危険性である。これは、組換えEPOが内在性EPOと完全に同一ではないためである。一旦抗体形成が誘導されると、これは内在性エリスロポイエチンの活性の障害にもなる抗体につながることがある。これはしばしば、治療に必要な組換えEPOの投与量を増大させる。特に、かかる抗体が内在性EPOの障害になる場合、この効果は、治療誘導性自己免疫疾患と解釈することができる。これは、例えば数ヶ月または数年のEPO治療後に腎臓移植を受ける透析患者の場合に、特に望まれていない。このとき抗体は、移植によって生成される内在性EPOの活性の障害となることがあり、したがって移植された器官の赤血球形成活性の障害となることがある。現在、生物学的半減期を増大させるために組換えEPO中で導入された修飾がこの問題を悪化させるか改善させるかは、未決問題である。一般に、広範囲な修飾およびより長い半減期が、この問題のある特性を悪化させると予想される。
【0005】
代替的戦略は、エリスロポイエチンと配列相同性または構造的関係を共有しないアミノ酸からの合成ペプチドの調製である。エリスロポイエチンより有意に小さい、EPOの配列と関連のないペプチドが、アゴニストとして作用することができることが示された(非特許文献1)。同じ著者が、かかるペプチドがトランケートされて、依然として活性のある長さ10アミノ酸の最小のペプチドになることができることを示した。
【0006】
EPOの活性を模倣する合成ペプチドは、特許文献1の対象である。これは、好ましくは、一般に10および17位と呼ばれる、一方が必須と考えられる位置で2つのプロリンを含む、10〜40アミノ酸の明確なコンセンサスの模倣ペプチドを開示している。
【0007】
したがって、現在までのところ、EPO受容体のすべての小ペプチドベースのアゴニストは、非常に活性のあるエリスロポイエチン模倣ペプチドEMP1中の位置を参照して通常10および17位と番号付けられる定義された位置に、少なくとも1つのプロリン、しばしば2つのプロリン残基を含む構造を有してきた(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
【0008】
【化10】
これらのプロリンは、ペプチドの効果に不可欠であると考えられている。17位のプロリンに関しては、これは受容体との相互作用によって実証されているが、10位のプロリンは分子の正しい折りたたみに必要であると考えられた(非特許文献2、非特許文献3も参照のこと)。プロリンの特異的立体化学的特性によって支持される、正しい折りたたみは、通常、生物学的活性の、必要な前提条件である。一般に、プロリンは、(この場合のように)しばしばヘアピン構造およびβターンの形成に関係する、構造形成アミノ酸である。この特性のために、とりわけ、これは、プロリン含有ペプチド/タンパク質を破壊するポストプロリン特異的エンドペプチダーゼの頻繁な攻撃の点である。多数の内在性ペプチドホルモン(アンギオテンシンIおよびII、ウロテンシン、チレオリベリン、他の分泌刺激因子等)が、かかる「シングルヒット」ポストプロリン切断によって不活性化される。したがって、プロリン含有EPO模倣ペプチドの半減期は、これらの頻繁で活性のある酵素の活性によって短縮される。
【0009】
そのようなペプチドは化学的に生成することができ、定義された質および同一性で生成物を制御および生じるのがより一層難しい組換え生成を必要としない。かかる小さいサイズのペプチドの化学的生成はまた、生産コストの見地からも競合的であることができる。さらに、化学的生成によって、生物学的半減期を増大させる公知の能力を有することができる糖化、ペグ化、または任意の他の定義された修飾等の、定義された分子変化の導入を可能にする。しかしながら、これまで、既存のEPO模倣ペプチドを用いたいかなる療法も認可されていない。
【特許文献1】国際公開第96/40749号パンフレット
【非特許文献1】Whighton NC,Frrell FX,Chang R,Kashyap AK,Barbone FP,Mulcahy LS,Johnson DL,Barrett RW,Jolliffe LK,Dower WJ(1996)Small Peptides as Potent Mimetics of the Protein Hormone Erythropoietin.Science 273:458−463
【非特許文献2】Johnson,D.L.,F.X.Farrell,et al.(1997).「Amino−terminal dimerization of an erythropoietin mimetic peptide results in increased erythropotietic activity.」Chemistry and Biology 4:939−950
【非特許文献3】Whighton NC,Balasubramanian P,Barbone FP,Kashyap AK,Frrell FX,Jolliffe L,Barrett RW,Dower WJ(1997)Increased potency of an erythropoietin peptide mimetic through covalend dimerization.Nature Biotechnology 15:1261−1265
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、少なくとも天然のEPOの生物学的活性の必須の部分を示す、代替的合成ペプチドを提供すること、およびしたがって、特に貧血または脳卒中の治療のための、効率的な治療戦略の代替的手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によると、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも長さ10アミノ酸のペプチドが提供される。したがって、ペプチドは、EPO模倣特性を示す。本発明のEPO模倣ペプチドは、EPO模倣ペプチドの、一般に10位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸を含む(番号付けに関しては、例えばEMP1の祖先配列について記載しているJohnsonら、1997年を参照されたい)。
【0012】
前記10位のプロリンは、ある折りたたみ構造に特徴的なアミノ酸モチーフ、すなわちβターンモチーフ中に位置する(Johnson、1997年を参照されたい)。前記βターン構造は、受容体結合のときに生じる。したがって、本発明のEPO模倣ペプチドは、10位でβターンモチーフ中にプロリンを含まないが、正に荷電したアミノ酸を含む。例は、K、R、H、または例えばホモアルギニン等の、それぞれの非天然アミノ酸である。
【0013】
さらに、以下のアミノ酸の配列を含むペプチドが提供される。
【0014】
【化11】
配列中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、
X6はC、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
X7はR、H、L、WもしくはYもしくはSであり、
X8はM、F、I、ホモセリンメチルエーテル(hsm)もしくはノルイソロイシンであり、
X9はG、もしくはGの保存的交換であり、
X10はプロリンの非保存的交換であるか、
またはX9およびX10は単一のアミノ酸によって置換され、
X11は任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12はTもしくはAであり、
X13はW、1−nal、2−nal、AもしくはFであり、
X14はD、E、I、LもしくはVであり、
X15はC、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
ただしX6もしくはX15のいずれかはCもしくはhocである。
【0015】
記載されるペプチドコンセンサスの長さは、好ましくは10〜40または50または60アミノ酸の間である。上述の、長さ60アミノ酸のペプチドは、技術的には適しているものの、ペプチドの長さが増大すると、通常合成がより複雑になり、したがって高価になるので、必ずしも好ましくはない。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくとも10、15、18または20アミノ酸の長さを示す。勿論、これらは、より長い配列に、それぞれ埋め込まれることができ、含まれることができる。記載されるペプチド配列は、EPO受容体の結合ドメインと認められ得る。EPO模倣ペプチドとして、それらは、EPO受容体に結合することができる。
【0016】
一方の、または(いくつかの実施形態によると)両方のプロリンまでも、他の天然または非天然アミノ酸によって置換され得るが、本発明のペプチドがEPO模倣活性をまさに示すことは、非常に驚くべきことであった。実際、本発明のペプチドは、プロリン含有ペプチドのそれに匹敵する活性を有する。しかしながら、プロリン残基を置換するアミノ酸が保存的交換を表さず、それよりも非保存的交換を表すことは、注目すべきことである。好ましくは、K、RおよびH等の塩基性アミノ酸等の、正に荷電したアミノ酸、および特にKが置換に用いられる。置換に用いられる非保存的アミノ酸はまた、非天然アミノ酸であることができ、好ましくは、正に荷電した側鎖を有するものである。言及したアミノ酸の、それぞれの類似物もまた、含まれる。非天然アミノ酸の、適した例は、ホモアルギニンである。ある実施形態によると、ペプチドは、天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に荷電したアミノ酸を10位に有する。したがって、この実施形態によると、プロリン10は、K、H、または例えばホモアルギニン等の非天然の正に荷電したアミノ酸から選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドが10位にリシンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。上述のように、17位のプロリンもまた、非保存的アミノ酸によって置換されることができる。これに関して、前記非保存的アミノ酸がK、R、Hまたはホモアルギニン等のそれぞれの非天然アミノ酸等の正に荷電した側鎖を有するものであることも好ましい。この実施形態の副実施形態によると、ペプチドは、天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に荷電したアミノ酸を17位に有する。したがって、この実施形態によると、プロリン17は、K、H、またはホモアルギニン等の非天然の正に荷電したアミノ酸から選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドが17位にリシンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。
【0017】
さらに、配列は、N末端および/またはC末端アセチル化およびアミド化を有することができる。いくつかのアミノ酸はまた、リン酸化されることができる。
【0018】
本発明によると、エリスロポイエチン受容体に結合し、以下のアミノ酸の配列を含むペプチドもまた提供される。
【0019】
【化12】
配列中、各アミノ酸は標準的文字省略形によって示され、
X6はCであり、
X7はR、H、LまたはWであり、
X8はM、FまたはIであり、
X9はG、またはGの保存的交換であり、
X10はプロリンの非保存的交換であり、
X11は任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12はTであり、
X13はWであり、
X14はD、E、I、LまたはVであり、
X15はCである。
【0020】
さらに、X7はセリンであることができ、X8はhsmまたはノルイソロイシンであることができ、X13はまた、1−nal、2−nal、AまたはFであることができる。ペプチドコンセンサスの長さは、好ましくは10〜40または50または60アミノ酸の間である。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくとも10、15、18または20個のアミノ酸を含む。
【0021】
本発明のペプチドは、L−アミノ酸または立体異性的D−アミノ酸の他に、例えばα,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸または乳酸等の非天然/非保存的アミノ酸、例えば1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、ホモセリン−メチルエーテル、β−アラニン、3−ピリジルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、O−ホスホセリン、N−メチルグリシン(サルコシン)、ホモアルギニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、ノル−リシン、5−アミノレブリン酸またはアミノ吉草酸を含むことができる。具体的には末端の位置での、N−メチルグリシン(MeG)およびN−アセチルグリシン(AcG)の使用が特に好ましい。定義されたペプチドのretro、inverso型、およびretro/inverso型ペプチドであるペプチド、ならびに完全にD−アミノ酸からなるペプチドもまた、本発明の範囲内である。
【0022】
本発明はまた、ペプチドの誘導体、例えばメチオニンの酸化生成物、脱アミド化されたグルタミン、アルギニンおよびC末端アミドにも関する。
【0023】
本発明のある実施形態によると、ペプチドは、アミノ酸残基X9およびX10を置換する単一のアミノ酸を有する。この実施形態において、1つの非天然アミノ酸、例えば5−アミノレブリン酸またはアミ吉草酸によって、両方の残基もまた置換されることができる。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明によるペプチドは、コンセンサス配列
【0025】
【化13】
を含み、
配列中、X6〜X15は上記の意味を有し、
X4はYであり、
X5は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである。
【0026】
本発明のペプチドは伸長されることができ、コンセンサス配列
【0027】
【化14】
を含むことができ、
配列中、X4〜X15は上記の意味を有し、
X3は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVであり、
X16は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはT、より好ましくはK、R、SまたはTであり、
X17は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、G、P、R、K、Y、または正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸、より好ましくはKまたはHarであり、
X18は任意のアミノ酸から独立して選択される。
【0028】
本発明のさらなる実施形態において、ペプチドは、C、E、Aもしくはhoc、好ましくはCとしてのX6、および/またはR、HもしくはYもしくはSとしてのX7、および/またはFもしくはMとしてのX8、および/またはGもしくはA、好ましくはGとしてのX9、および/またはKもしくはHarとしてのX10、および/またはV、L、I、M、E、A、TもしくはノルイソロイシンとしてのX11、および/またはTとしてのX12、および/またはWとしてのX13、および/またはDもしくはVとしてのX14、および/またはCもしくはhoc、好ましくはCとしてのX15、および/またはP、YもしくはA、または塩基性の天然もしくは非天然アミノ酸としてのX17を含む。しかしながら、X17がK、または例えばホモアルギニン等の正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸であることもまた好ましい。
【0029】
図19は、EPO模倣活性を示す、さらなる新規の適したペプチド配列を開示する。さらなるペプチドは、以下の配列を示す:
【0030】
【化15−1】
5−アミノレブリン酸(5−Als)は、
【0031】
【化15−2】
である。
【0032】
ホルモンエリスロポイエチンの受容体への結合能を有し、アゴニスト活性を示し、ペプチドがプロリンを示さないことを特徴とするペプチドもまた開示される。上述のように、これらのペプチドは、好ましくは、一般に10および17位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、異なる天然アミノ酸または5−アミノレブリン酸を含む。これらは、好ましくは17位のリシンを示す。それぞれのペプチドをコードする核酸もまた開示される。
【0033】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内で、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を行うことができ、置換は非極性側鎖を有するアミノ酸、極性側鎖を有する天然または非天然の、荷電していないD−またはL−アミノ酸、芳香族側鎖を有するアミノ酸、天然または非天然の正に荷電したD−またはL−アミノ酸、天然または非天然の負に荷電したD−またはL−アミノ酸内、ならびにより小さいサイズおよび分子量の任意のアミノ酸内で起こり、ここで元のアミノ酸の分子量は、元のアミノ酸の分子量のおよそ±25%より大きく外れるべきではなく、アゴニスト効果を伴うホルモンエリスロポイエチンの受容体への結合能は維持される。好ましくは、わずか1、2または3個のアミノ酸が置換される。10および17位にプロリンが導入されない配列変化が好ましい。
【0034】
本明細書中に記載されるペプチド配列は、EPO受容体への結合ドメインを構成する、適した単量体ペプチド単位として使用することができる。これらは、EPO受容体に結合するので、そのモノマー形態で使用することができる。本明細書中に記載されるように、EPO受容体の二量体化を誘導する能力およびしたがって生物学的活性が単量体結合単位の二量体化によって促進されることが示されたので、これらは、好ましくは二量体として使用される。
【0035】
したがって、多くの異なるペプチドが本発明の範囲内であることは明らかである。しかしながら、配列
【0036】
【化15−3】
は、ある欠点を有し、したがって本発明によると好ましくないことがわかっている。
【0037】
記載される個々のペプチド配列の始まり(N末端)および終わり(C末端)で、5個までのアミノ酸が除去および/または付加され得る。ペプチド機能が保存される限りサイズは直接的に関連しないことは、自明である。さらに、単量体としての活性を包むのに短すぎるかもしれない個々のペプチド配列は、通常、二量体化のときにアゴニストとして機能することに留意されたい。したがって、かかるペプチドは、好ましくは、それらの二量体形で用いられる。したがって、それぞれの、トランケートされた、およびまたは伸長された実施形態もまた、本発明の精神に含まれる。
【0038】
本発明において、大文字としての一文字表記の省略形は、標準的ポリペプチド命名法のものであり、非天然アミノ酸の付加によって伸長される。
【0039】
【化16】
【0040】
【化17】
上述のように、本発明はまた、単一のアミノ酸の保存的交換による、ペプチドおよび定義されたペプチドコンセンサスの修飾を含む。かかる交換は、結合する分子の構造および機能を変化させるが、ほとんどの場合、変化はわずかでしかない。保存的交換では、あるアミノ酸が、同様の特性を有するグループ内の別のアミノ酸によって置換される。
【0041】
対応するグループの例は、
− 非極性側鎖を有するアミノ酸:A、G、V、L、I、P、F、W、M
− 極性側鎖を有する、荷電していないアミノ酸:S、T、G、C、Y、N、Q
− 芳香族側鎖を有するアミノ酸:F、Y、W
− 正に荷電したアミノ酸:K、R、H
− 負に荷電したアミノ酸:D、E
− 同様のサイズまたは分子量のアミノ酸であって、置換するアミノ酸の分子量が元のアミノ酸の分子量から最大±25%(または±20%、±15%、±10%)外れる、アミノ酸。
【0042】
グループが、例えば正に荷電した側鎖を示すグループの場合はホモアルギニン等の、それぞれの側鎖プロフィールを有する非天然アミノ酸も含むことは、自明である。プロリン10の場合、例えば非天然アミノ酸等の置換する分子は、側鎖の特性によって特徴付けられる上記のグループの1つに明確に割り振ることができず、通常、本発明によるプロリンの非保存的置換として認められるべきである。これらの通常でないアミノ酸を類別するために、分子量による分類補助が役立つかもしれない。
【0043】
より具体的には、Wrightonら(米国特許第5773569号および関連する特許)は、ファージディスプレイ技術を用いて、どのアミノ酸が活性を維持しながら置換されることができるかを詳細に調べた。彼らはまた、可能性のあるトランケーション、すなわち所定のEPO模倣ペプチドの最小の長さに関するデータを調査および公開した。しかしながら、中央のGly残基の近くのプロリンが、活性のあるペプチドを得るために唯一の可能性のあるものと思われた。
【0044】
本発明のある実施形態によると、下記の配列番号2、4〜9からなる群より選択されるペプチドが提供される。配列番号2の場合のように、10位のKおよび17位のKを有するペプチドが特に好ましい。
【0045】
【化18】
ある実施形態によると、ペプチド二量体または多量体は、上記の配列番号2および4〜9またはそれらの修飾による単量体に基づいて形成される。本明細書中に記載されるペプチドは、例えば単一のアミノ酸の保存的交換によっても修飾されることができ、好ましくは、1、2または3個より多くないアミノ酸が交換される。
【0046】
好ましくは、これらのペプチドは、N末端のAcGおよびC末端のMeGに関して修飾される。
【0047】
上記で概略を述べたように、本発明の記載されるペプチドは、エリスロポイエチン受容体の結合部位を認識する単量体結合ドメインと考えることができる。しかしながら、Wrightonら(Wrighton、1997年)によって指摘されたように、受容体をホモ二量体化させてシグナルトランスダクションを誘導するためには、これらの結合ドメインの2つが一般に必要とされる。したがって、1つの単一の分子中のこれらの結合ドメインの2つの組合せが活性を相当に増大させ、1つの単一の結合ドメインを有するペプチドが同じ活性の定性的パターンを示すがともに結合した結合ドメインの2つがかなり低いED50(50%有効量、活性の尺度)を示す結果につながったことは、非常に驚くべきようなことではなかった。2つの結合ドメインを含むペプチドは、本明細書中の文脈内で、二価または二量体ペプチドであるとして特定され、特に好ましい。
【0048】
2つの単量体結合ドメインを組み合わせるための、ある周知の技術的解決法は、二量体化である。このアプローチに従うすべての解決法は、これまでのところ、
a)結合ドメインがまず一価または単量体ペプチドとして別々に合成され、これが工程bの調製において、例えば反応基の結合によって修飾されることができ、
b)第2の反応工程において、2つの(ほとんどの場合同一な)結合ドメインが別々の二量体化反応において連結され、これが通常2つの二量体化ドメインの間に挟まれるリンカー分子を含むことができること
によって特徴付けられる。
【0049】
かかる二量体は、二価ペプチドの例であり、本質的に単量体と同じ生物学的機能を示す。通常これらは、EPO模倣ペプチドの場合、促進された生物学的活性を示す。
【0050】
本発明の教示に従って適用することもできる、単量体の二量体化またはオリゴマー化するいくつかの技術が、当業者に公知である。単量体は、例えばリンカーへの共有結合によって、二量体化することができる。リンカーは、本発明のポリペプチド単位の間の共有結合を生じる連結分子である。ポリペプチド単位は、EPO受容体への結合が向上するように、リンカーを介して組み合わせることができる(Johnsonら、1997年、Wrightonら、1997年)。これはさらに、Wrightonら(Wrighton、1997年)によって記載されているタンパク質担体分子との非共有相互作用による単量体ビオチン化ペプチドの多量体化を参照する。ビオチン/スロレプトアビジン系、すなわちペプチドのC末端をビオチン化して、続いてビオチン化ペプチドをストレプトアビジンとともにインキュベートすることを使用することも可能である。あるいは、ジケトピペラジン構造を形成することによって二量体化を達成することもまた公知である。この当業者に公知の方法は、例えばCavelierら(Peptides:The wave of the Future中、Michal LablおよびRichard A.Houghten(編)、American Peptide Society、2001年)に詳細に記載されている。二量体化および非共有多量体化に関するこれらの文献の開示は、参照によって本明細書中に援用される。従来技術から公知の、ペプチド二量体を得る別の代替的方法は、N末端アミノ基と反応することによって最終的な二量体ペプチドを形成する、後のリンカー部分の反応性前駆体として、二官能性活性化ジカルボン酸誘導体を使用することである(Johnsonら、1997年)。単量体もまた、リンカーへの共有結合によって二量体化することができる。好ましくは、リンカーは、NH−R−NHを含み、Rは、別の分子部分への結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基等の官能基で置換された低級アルキレンである。リンカーは、リシン残基またはリシンアミドを含有することができる。同様に、PEGもリンカーとして使用することができる。リンカーは、2つのカルボン酸を含み、任意の1つまたは複数の原子が1つまたは複数のPEG分子に結合することのできるアミン等の官能基で置換された分子であることができる。連結部分を用いた、ペプチドのオリゴマー化および二量体化の可能性のある工程の詳細な説明はまた、国際公開第2004/101606号に挙げられている。
【0051】
二量体化/多量体化に関するこれらの文献の開示は、参照によって本明細書中に援用される。
【0052】
ペプチド単量体または二量体は、少なくとも1つのスペーサー部分をさらに含むことができる。好ましくは、かかるスペーサーは、単量体または二量体のリンカーを水溶性ポリマー部分、または例えばPEGであることができる保護基に連結する。PEGは、少なくとも3kD、好ましくは20〜60kDの間の、好ましい分子量を有する。スペーサーは、−NH−結合またはCOOH基で終わるC1〜12部分であることができ、1つまたは複数の利用可能な炭素原子が、低級アルキル置換基で必要に応じて置換され得る。特に好ましいスペーサーは、国際公開第2004/100997号に開示されている。すべての文献、国際公開第2004/100997号および国際公開第2004/101606号は、参照によって本明細書中に援用される。ペプチドのPEG修飾は、国際公開第2004/101600号に開示されており、これも参照によって本明細書中に援用される。
【0053】
機能的に十分であり、したがって本発明の教示に従って使用可能であるが、二量体分子の合成の従来技術のアプローチは、いくつかの欠点を有することがある。
【0054】
ある可能性のある欠点は、連結される単量体がまず別々に合成されなければならない点にあると認められた。二量体化、それぞれの多量体化反応の間の単量体ペプチドの推計学的な組合せのために、このアプローチでヘテロ二量体二価/多価ペプチドを(選択的および意図的に)得ることは、特に難しい。少なくとも、これは特別で意図的なヘテロ二量体の収量の大きな損失につながる。2つ以上のわずかに異なる単量体結合ドメインを含む二価または多価ペプチドは、そのヘテロ二量体の性質のために、最終的な二価ペプチド中の相互作用を安定させることができる2つのドメインの間の特別な相互作用を導入することができるので、非常に望ましい。しかしながら、従来技術の「推定学的な二量体化反応」に関連する収量の高い損失のために、これは通常、経済的に魅力的なアプローチではない。
【0055】
したがって、二量体化に従来技術のアプローチを適用することは、技術的には適しているが、記載されたように異種結合ドメインを有するこれらのペプチドを提供するのに、いくつかの経済的欠点を有する。しかしながら、本発明はまた、異種結合ドメインをも含み得る、高度に活性のある多価または二価ペプチドを得るための、かなりより効率の高い戦略を有利に教示する。
【0056】
この戦略の中心的概念は、二量体化または多量体化の前の別々の反応における多価または二価ペプチドの一部を形成する単量体ペプチドの合成を断つが、1つの工程で単一のペプチドとして、例えば1つの単一の固相反応において、最終的な二価または多価ペプチドを合成する。したがって、別々の二量体化または多量体化工程は、もはや必要ではない。この態様は、大きな利点、すなわち最終的なペプチド単位中の各配列位置に対する完全で独立した制御を提供する。この方法は、各配列位置に対する独立した制御のために、ペプチド単位中に少なくとも2つの異なる受容体特異的結合ドメインを容易に含むことを可能にする。
【0057】
この実施形態によると、結合ドメインの間の最終的なペプチドの配列(「リンカー領域」である)は、アミノ酸のみで構成され、したがって、1つの単一で連続した二価または多価EPO模倣ペプチドにつながる。本発明の好ましい実施形態において、リンカーは、高い構造的柔軟性を可能にする天然または非天然アミノ酸で構成される。これに関して、連結するアミノ酸として、ねじれに関する高い柔軟性が知られているグリシン残基を使用することが有利であることができる。しかしながら、同様にアラニンまたはβ−アラニン等の他のアミノ酸、またはそれらの混合物もまた用いることができる。使用されるアミノ酸の数または選択は、それぞれの立体的事実に依存する。本発明のこの実施形態は、生物活性構造のゆがみを避けるために、分子モデリングによって、適したリンカーの、あつらえの設計を可能にする。3〜5個のアミノ酸で構成されるリンカーが特に好ましい。
【0058】
最終的な二価または多価ペプチドの機能的ドメイン(または単量体単位)の間のリンカーがペプチドの別個の部分であるか、または完全もしくは部分的に、単量体機能的ドメインの一部であるアミノ酸で構成されることができるかのいずれかであることができることは、注目に値する。例えば、アミノ酸1および2および19および20位のグリシン残基が、リンカーの一部を形成することができる。例としては、配列11〜14が挙げられる。したがって、アミノ酸がリンカー単位ならびに単量体サブユニットの一部を形成することができるので、用語「リンカー」は、構造的よりもむしろ機能的に定義される。
【0059】
上述のように、二価/多価ペプチドの合成の間に、最終的なペプチド内の各配列位置が制御され、したがって正確に決定することができるので、リンカーを含む、ペプチドまたはその特定の領域もしくはドメインを特別にまたは目的に合わせて作製することが可能である。これは、好ましくない分子内相互作用による最終的な二価ペプチドの生物活性構造のゆがみを避けることを可能にするので、特に有利である。ゆがみの危険性は、合成の前に分子モデリングによって評価され得る。これは特に、単量体ドメインの間のリンカーの設計に適用される。
【0060】
本発明の連続した二価/多価ペプチドは、対応する単量体ペプチドよりもかなり高い活性を示し、したがって、効率の増大が二価ペプチド概念に関連するという、他の二量体ペプチドから知られている観察を確かにする。
【0061】
単量体および二量体ペプチドに関して、連続した二価/多価ペプチドは、例えばアセチル化もしくはアミド化によって修飾することができるか、またはC末端もしくはN末端の位置で伸長することができる。PEG、デンプンまたはデキストラン等の可溶性部分の結合を含む、上述の単量体ペプチド(単量体)の従来技術の修飾もまた、本発明の多価または二価ペプチドに適用される。
【0062】
すべての可能性のある修飾もまた、リンカーの修飾に適用される。具体的には、例えばPEG、デンプンまたはデキストラン等の可溶性ポリマー部分をリンカーに結合させることが有利であることができる。
【0063】
本発明の最終的な多価または二価ペプチドの合成はまた、2回の、それに続く独立した、結合ドメインのそれぞれの内のジスルフィド結合または他の分子内結合の形成を有利に含むことができる。それによって、ペプチドはまた環化され得る。
【0064】
本発明の二価構造は、有利に、本明細書中に報告されるペプチド単量体に基づいて形成される。
【0065】
EPO受容体の二量体化のために適切なペプチド単位のいくつかの例を、次に挙げる。結合ドメイン上方の棒は、任意選択である好ましい分子内ジスルフィド架橋を象徴する。
【0066】
【化19】
【0067】
【化20】
これらの二価構造中のリンカーは、分子モデリングによって、生物活性構造のゆがみを避けるように特別に作製する(図1)。
【0068】
配列番号12
リンカー配列は、グリシン残基1つ分短縮することができる。この配列はまた、同時に結合ドメインの一部を形成するグリシン残基によって構成されるリンカーの例である(配列番号2参照)。
【0069】
【化21】
結合ドメインはまた、単量体単位として使用され得る(配列番号13)。
【0070】
【化22】
【0071】
【化23】
この配列は、2つのわずかに異なる(異種の)結合ドメインを含む、本発明の連続した二価ペプチドを提供する。かかる二価ペプチドは、従来技術の二量体化アプローチ(上記参照)では、経済的に入手できない。これらの結合ドメインもまた、単量体
【0072】
【化24】
として適用することができる。
【0073】
さらなる例は、
【0074】
【化25】
である。
【0075】
さらなる実施形態によると、ペプチドは、さらなるアミノ酸、好ましくは、例えば以下の配列等の中に、N末端のシステイン等の反応性側鎖を有するアミノ酸を必要に応じて有する。
【0076】
【化26】
さらなるペプチドの例は、以下のアミノ酸配列を示す。
【0077】
【化27】
第1の配列は、X7位にセリンを示す。この配列が二量体に組み込まれると、水酸基の導入を介して新しい水素架橋が生じることがわかった。したがって、生物活性構造が安定化されるので、X7位のセリンの使用は、二量体に特に有利である。
【0078】
非天然アミノ酸ホモアルギニンを示す第2の配列は、獣医学的目的のための医薬組成物での使用に特に適している。10および/または17位に、例えばホモアルギニン等の、長い正に荷電した側鎖を有するアミノ酸を有するペプチド配列が、例えばマウス/イヌ受容体等のEPO受容体に対する強力な結合能を示すことが、一般にわかっている。したがって、これらは獣医学的製品での使用に特に適しているが、これらの使用は、それに限定されない。
【0079】
反応性側鎖は、例えばさらなる修飾のための、連結する結びつきとして機能することができる。ペプチドはさらに、第1および第2ならびに/または第3および第4のシステインの間の分子内ジスルフィド架橋を必要に応じて含む。
【0080】
配列番号2、4〜9および12、13および15、15aによって例示されるような単量体ペプチドが、本発明の連続した二価ペプチドに有利に組み合わされることに気づくのは重要である。しかしながら、同様にこれらの単量体の二量体化の従来技術の方法も適用することができる。本発明の範囲に入る単量体ペプチドに適用されるこれらの従来技術のアプローチの例としては、以下のものが挙げられる(が、これに限定されない)。
【0081】
1.前記単量体ペプチドの一方のC末端がもう一方のペプチドのC末端に共有結合する、C末端からC末端への連結を介した二量体化。単量体の間のリンカー/スペーサーは、ジケトピペラジン単位を含むことができる。好ましいGly−Glyジケトピペラジン骨格は、C末端グリシン単量体を活性化することによって達成することができる。この原理はまた、C末端二量体化を形成するための使用であり得る。
【0082】
以下の式および例は、分子モデリングによって最適化された、4つの特製の例を表す。
【0083】
(a)配列番号2に基づく二量体(二量体構造を図2に示す):
【0084】
【化28】
(b)グリシン1つ分短縮されたリンカーを有する、配列番号2に基づく二量体。構造を図3に示す。
【0085】
【化29】
(c)グリシンがβ−アラニンによって置換された、配列番号2に基づく二量体(図4)。単量体(配列番号16)もまた、EPO模倣ペプチドとして適用可能である。
【0086】
【化30】
(d)代替的グリシンがβ−アラニンによって置換された、配列番号2に基づく二量体(図5)。単量体(配列番号17)もまた、EPO模倣ペプチドとして適用される。
【0087】
【化31】
。
【0088】
2.前記単量体ペプチドの一方のN末端がもう一方のペプチドのN末端に共有結合し、それによってスペーサー単位が、好ましくはジカルボン酸ビルディングブロックを含んでいる、N末端からN末端への連結を介した二量体化。
【0089】
(a)ある実施形態において、N末端でグリシン残基1つ分伸長された、配列番号2に基づいて得られる二量体(配列番号18)は、リンカー/スペーサーとしてヘキサンジオイル単位を含む(図6):
【0090】
【化32】
(b)代替的な実施形態において、二量体化は、リンカー/スペーサーとしてオクタンジオイル単位を用いることによって達成することができる(図7):
【0091】
【化33】
。
【0092】
3.2つのペプチド単量体を連結する適したスペーサー分子を含むことによって、前記単量体ペプチドの一方のアミノ酸側鎖がもう一方のペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合する、側鎖を介した二量体化。これは、
(a)アミド結合を介した連結
【0093】
【化34】
(b)またはジスルフィド架橋を介した連結
【0094】
【化35】
を含むことができる。
【0095】
Xは、それぞれの連結する結合の形成に関与するそれぞれのアミノ酸のバックボーンの中心を象徴する。
【0096】
上述のそれぞれの集合方法はまた、多量体の調製に用いることができる。
【0097】
それぞれの異種または同種の二価または多価ペプチドを形成するために、本明細書中に記載される、結合ドメイン、それぞれのペプチドのすべてが、単独または二価/多価ペプチドの一部としてのいずれかで、単量体形で使用することができるおよび/または1つまたは複数の他の同一もしくは異なるペプチドドメインのいずれかと組み合わせることができることが指摘される。
【0098】
ペプチドは、例えばアセチル化もしくはアミド化によって修飾することができるか、またはC末端もしくはN末端の位置で伸長することができる。例えばポリマーの結合部位の調製のための、2つの末端の一方での1つまたは複数のアミノ酸での伸長は、しばしば、連続したペプチドとして最良に製造され得るヘテロ二量体二価ペプチド単位につながる。
【0099】
本発明の化合物は、ヒトおよび/または獣医学的医薬組成物の調製に、有利に使用され得る。EPO模倣剤として、これらは、エリスロポイエチンと基本的に同じ定性的活性パターンを示す。したがって、これらは一般に、エリスロポイエチンと同じ兆候に適している。
【0100】
エリスロポイエチンは、サイトカインスーパーファミリーの1つである。序文に記載された刺激効果の他に、エリスロポイエチンが幹細胞を刺激することもわかっている。したがって、本明細書中に記載されるEPO模倣剤は、幹細胞関連効果によって引き起こされるすべての兆候に適している。非限定的例は、神経系に関連する疾患の予防および/または治療である。例は、例えばパーキンソン症候群、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ゴーシェ病、テイ−サックス病、ニューロパシー、末端神経損傷、脳腫瘍、脳損傷、脊髄損傷または脳卒中性損傷等の、神経学的損傷、疾患または障害である。本発明のEPO模倣ペプチドはまた、心不全を患う、または患う危険性のある患者の予防的および/または治療的処置にも使用可能である。例は、心筋梗塞、冠状動脈疾患、心筋炎、化学療法治療、アルコール症、心筋症、高血圧症、僧帽弁閉鎖不全症または大動脈狭窄症を含む心臓弁膜症、ならびに甲状腺の障害、慢性および/または急性冠症候群である。
【0101】
さらに、EPO模倣剤は、内皮前駆細胞の生理学的動員、増殖および分化の刺激、脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の治療、ならびにかかる疾患の治療のための医薬組成物および前記ペプチドおよび内皮前駆細胞の刺激に適した他の作用物質を含む医薬組成物の製造に用いることができる。かかる疾患の例は、高コレステロール血症、真性糖尿病、内皮媒介性慢性炎症疾患、細網内皮症を含む内皮症、アテローム性動脈硬化症、冠状心疾患、心筋虚血、狭心症、加齢性心臓血管疾患、レーノー病、妊娠性高血圧症、慢性もしくは急性腎不全、心不全、創傷治癒および続発疾患である。
【0102】
さらに、本発明のペプチドは、血液脳関門を横切って作用物質を送達するための適した担体であり、それぞれの目的および/または血液脳関門を通過することのできるそれぞれの治療的複合剤の製造に用いることができる。
【0103】
本明細書中に記載されるペプチドは、エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられる障害の治療、および特に任意の型の貧血または脳卒中の治療に特に適している。ペプチドはまた、哺乳動物におけるヘマトクリットの増大および/または維持に適している。かかる医薬組成物は、意図する投与手順に組成物を採用するために、薬学的に許容され得る担体を必要に応じて含むことができる。適した送達方法ならびに担体および添加物は、例えば、国際公開第2004/101611号および国際公開第2004/100997号に記載されている。
【0104】
上記で概略を述べたように、二量体またはさらには多量体への単量体ペプチドの二量体化は、通常、それぞれの単量体ペプチドと比較して、EPO模倣アゴニスト活性を向上させる。しかしながら、活性をさらに促進することが望ましい。例えば、二量体EPO模倣ペプチドであっても、細胞の機構の活性化に関して、EPOよりも能力が低い。
【0105】
従来技術において、ペプチドの活性を増大させるために、例えばより能力の高い候補を同定するためのアミノ酸配列の変化によって、いくつかのアプローチがなされた。しかしながら、これまでのところ、生物学的活性を向上させるために、ペプチド、特にEPO模倣ペプチドの活性をさらに増大させることが、依然として望ましい。
【0106】
本発明のさらなる実施形態は、この問題の解決法を提供する。ここでは、標的分子に結合し、
i)各ペプチド単位が、標的への結合能を有する少なくとも2つのドメインを含む、少なくとも2つのペプチド単位、
ii)少なくとも1つのポリマー担体単位
を含む化合物が提供され、ここで前記ペプチド単位は、前記ポリマー担体単位に結合する。
【0107】
驚くべきことに、ポリマー支持体上の2つ以上の本発明の二価または多価ペプチドの組合せが、付加的なだけでなく過剰付加的にもそれらの結合受容体に対する二価(またはさらには多価)ペプチドの効率を大いに増大させることがわかっている。したがって、相乗効果が観察される。
【0108】
用語「二価」は、本発明の目的のために使用される場合、標的への、本明細書中では具体的にはEPO受容体への結合能を有する2つのドメインを含むペプチドとして定義される。これは、用語「二量体」と交換可能に使用される。したがって、「多価」または「多量体」EPO模倣ペプチドは、EPO受容体へのいくつかの個々の結合ドメインを有する。用語「ペプチド」および「ペプチド単位」がサイズに関するいかなる制限も組み込まず、オリゴおよびポリペプチドならびにタンパク質を組み込むことは、自明である。
【0109】
ポリマー担体単位に結合された、2つ以上の二価または多価ペプチド単位を含む化合物は、この実施形態の文脈において、「超価(supravalent)」と呼ばれる。これらの超価分子は、技術の現状で公知の二量体または多量体分子とは大いに異なる。技術の現状は単に、二量体を生じるために単量体EPO模倣ペプチドを組み合わせるだけである。対照的に、超価分子は、すでに(少なくとも)二価のペプチド単位をポリマー担体単位に連結させ、それによって超価分子を生じることによって生じる(例を図13〜15に挙げる)。それによって、ペプチドの全体的活性および効率が大いに促進され、したがってEC50用量が減少する。
【0110】
これまでのところ、超価分子の、技術の現状で公知の分子と比較して大きな能力の理由は、完全には理解されていない。これは、技術の現状で公知の二量体分子が単に、二量体1つあたり1つの標的、それぞれの受容体結合単位を提供するだけであるためかもしれない。したがって、1つの受容体複合体だけが、二量体化合物の結合のときに生じ、それによって1つのシグナルトランスダクション過程だけが誘導される。例えば、2つの単量体EPO模倣ペプチドがPEGを介して連結されてペプチド二量体を形成し、それによって、シグナルトランスダクションに必要な受容体単量体の二量体化を容易にする(Johnsonら、1997年)。対照的に、本発明の超価化合物は、いくつかの、すでに二価または多価の、それぞれの受容体結合単位を含む。これによって、化合物1分子あたりに、細胞表面にいくつかの受容体複合体が生じることが可能になり、それによっていくつかのシグナルトランスダクションが誘導され、それによってペプチド単位の活性が過剰付加的に高まる。超価化合物の結合は、細胞表面での受容体複合体の密集を生じ得る。
【0111】
この実施形態で用いられるEPO模倣ペプチド単位は、同種または異種のいずれかであることができ、同一または異なるペプチド単位のいずれかが用いられることを意味する。同種または異種でもあり得るペプチド単位の結合ドメイン(上述のような単量体ペプチド)も同様である。担体単位に結合する二価または多価ペプチド単位は、同じ受容体標的に結合する。
【0112】
しかしながら、これらは勿論、依然としてそれらのアミノ酸配列は異なることができる。二価または多価ペプチド単位の単量体結合ドメインは、直鎖状または環状のいずれかであることができる。環状分子は、例えば分子内システイン架橋の形成によって生じることができる(上記参照)。
【0113】
ポリマー担体単位は、少なくとも1つの天然または非天然の、分枝、直鎖状または樹状ポリマーを含む。ポリマー担体単位は、好ましくは水および体液に可溶性であり、好ましくは薬学的に許容され得るポリマーである。水溶性ポリマー部分としては、例えば、PEG、PEGホモポリマー、mPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体(ここで前記ホモポリマーおよび共重合体は、置換されていないか、または一方の末端で、例えばアシル基で置換されている)を含む、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリグリセリンもしくはポリシアリン酸、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含む、セルロースおよびセルロース誘導体、デンプン(例えば、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、特にヒドロキシエチルデンプン(HES)およびデキストリンならびにそれらの誘導体)、硫酸デキストラン、架橋デキストリンおよびカルボキシメチルデキストリンを含むデキストランおよびデキストラン誘導体、ヘパリンおよびヘパリンの断片、ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル、ポリビニルピロリドン、a,b−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパラギン酸アミド、ならびにポリオキシエチル化ポリオルが挙げられるが、これらに限定されない。勿論、他の生物学的に不活性な水溶液ポリマーもまた用いられ得る。適切な担体単位の、単純だがやはり好ましい例は、例えばポリエチレングリコール(ビス−マレイミド、ビス−カルボキシ、ビス−アミノ等)の、ホモ二官能性ポリマーである。
【0114】
ポリマー担体単位は、本発明に関連して適した異なるポリマーの異なる性質のために、広範な分子量を有することができる。したがって、サイズ制限はない。しかしながら、分子量が少なくとも3kD、好ましくは少なくとも10kDおよびおよそ約20〜500kD、より好ましくは約30〜150または約60もしくは80kDであることが好ましい。担体単位のサイズは、選択されるポリマーに依存し、したがって異なり得る。例えば、特にヒドロキシエチルデンプン等のデンプンを使用する場合、分子量は、かなりより高くあることができる。この場合、平均分子量は、約100〜4,000kDまたはさらに高くにそろえることができる。担体単位のサイズは、好ましくは、各ペプチド単位がそれらのそれぞれの受容体分子に結合するために最適にそろえられるよう選択される。これを容易にするために、本発明のある実施形態は、分枝単位を含む担体単位を使用する。この実施形態によると、ポリマー、例えばPEGが分枝単位に結合され、したがって、多数のペプチド単位の組込みを可能にする、大きな担体分子が生じる。適切な分枝単位の例は、グリセロールまたはポリグリセロールである。同様に、樹状分枝単位も、例えば参照によって本明細書中に援用されるHaag、2000年に教示されているように、使用され得る。
【0115】
好ましくは、単量体を組み合わせること(頭−頭、頭−尾、または尾−尾のいずれか)によってペプチド単位が生じた後、ポリマー担体単位がペプチド単位に連結される。ポリマー担体単位は、共有または非共有(例えば配位)結合を介してペプチド単位に連結される。しかしながら、共有結合の使用が好ましい。結合は、例えば、例えばリシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシン等のペプチド単位の反応性アミノ酸またはN末端のアミノ基およびC末端のカルボン酸を介して起こることができる。
【0116】
ポリマー担体単位が適切な結合基を有さない場合、ペプチド単位上の少なくとも1つの反応基と反応することができるためにポリマーを適切に修飾するために、いくつかの結合物質を用いることができる。ポリマーを修飾するのに用いることができる、適した化学基は、例えば以下のものである。
【0117】
タンパク質のアミノ基と反応するアシル化基、例えば酸無水物基、N−アシルイミダゾール基、アジド基、N−カルボキシ無水物基、ジケテン基、ピロ炭酸ジアルキル基、イミドエステル基およびカルボジイミド−活性化カルボキシル基。上記の基のすべては、タンパク質/ペプチドのアミノ基と反応して、アシルまたは類似した結合を含む共有結合を形成することが知られている。
【0118】
ペプチドのアミノ基と反応する還元剤とともに、ハロ−カルボキシル基、マレイミド基、活性化ビニル基、エチレンイミン基、ハロゲン化アリール基、臭化2−ヒドロキシ5−ニトロ−ベンジル基等のペプチド単位のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、ならびに脂肪族アルデヒドおよびケトン基、
ジアゾカルボン酸基等の、タンパク質のカルボキシル基、ならびにカルボジイミドおよびアミン基とともに反応するエステルおよびアミド形成基、
5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)基およびアルキルメルカプタン基(ヨウ素等の酸化剤の存在下でタンパク質のスルフヒドリル基と反応する)等の、タンパク質のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、
シクロヘキサンジオン基等のジカルボニル基、およびペプチドのグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基、
ペプチドのフェノール基と反応するジアゾ基、
ペプチドのアミノ基と反応する、多糖との臭化シアンの反応からの反応基。
【0119】
したがって、要約すると、本発明の化合物は、(必要に応じて)まずポリマーを化学的に修飾して、ペプチド単位上の利用可能な、または導入された化学基と反応することができる少なくとも1つの化学基を有するポリマーを生成すること、および次いで(必要に応じて)修飾されたポリマーとペプチド単位とをともに反応させて、(必要であれば)修飾されたポリマーの化学基を利用して、共有結合した複合体を形成することによって製造され得る。
【0120】
結合がペプチドの遊離SH−基(例えばシステイン基)を介して起こる場合、ポリマー中のマレイミド基の使用が好ましい。
【0121】
定義された分子を生じるために、ペプチド単位をポリマー担体単位に結合させるための、標的化されたアプローチを用いることが好ましい。適切なアミノ酸が所望の結合部位に存在しない場合、適切なアミノ酸を二量体EPO模倣ペプチド単位に組み込むことができる。部位特異的ポリマー結合のために、いくつかの異なるポリエチレングリコール分子の集団を含む不均一な混合物につながるペプチド全体の制御されていない結合反応を避けるために、独特の反応基、例えばペプチド単位の末端の特定のアミノ酸が好ましい。
【0122】
ポリマー担体単位、例えばPEGまたはHESへのペプチド単位の結合は、主に当業者に公知の反応を用いて行われる。例えば、当業者にとって利用可能な、多くのPEGおよびHES結合方法がある(例えば、国際公開第2004/100997号、さらなる参考文献を挙げると、すべて参照によって本明細書中に援用される、Robertsら、2002年、米国特許第4064118号、EP1398322、EP1398327、EP1398328、国際公開第2004/024761号参照)。
【0123】
本明細書中に記載される超価の概念が、公知のPEG化またはHES化の概念と異なることを理解するのは重要である。技術の現状で、例えばPEG化は、ペプチド二量体を生成するため、または薬物動態学的パラメータを向上させるためのいずれかに用いられるだけである。しかしながら、上記で概略を述べたように、例えばポリマー担体単位としてのPEGへの2つ以上の少なくとも二価のペプチド単位の結合もまた、効率を大いに促進する(したがってEC50用量を減少させる)。したがって、本発明の概念は、技術の現状で公知のPEG化の概念の場合のように薬物動態学的パラメータだけでなく、薬力学的パラメータに対しても強力な効果を有する。しかしながら、勿論、ポリマー担体単位としての、例えばPEGの組込みもまた、薬物動態学に関する公知の利点を有する。
【0124】
PEG化は通常、ペプチドの生物薬剤学的特性を向上させるために取りかかられる。PEG複合の後の、タンパク質分子の最も関連性のある変化は、サイズ拡大、タンパク質表面および糖化機能マスキング、電荷修飾ならびにエピトープ遮蔽である。具体的には、サイズ拡大は、受動的促進浸透および保持機構によって、腎臓限外ろ過を減速させ、透過性組織への蓄積を促進する。タンパク質遮蔽は、排泄の重要な経路であるタンパク質分解および免疫系認識を減少させる。タンパク質の物理化学的および生物学的特性に対するPEG化の特定の効果は、タンパク質およびポリマーの特性ならびに採用されるPEG化戦略によって、厳密に決定される。
【0125】
しかしながら、超価分子の支持体単位としてのPEGまたは他の非生分解性ポリマーの使用は、新しい問題につながり得る。
【0126】
インビボ適用の間に、臨床環境における投与間隔は、薬物の効果の喪失によって引き起こされる。通法の投与および投与間隔は、投与間隔の間に効果が失われないように適合させられる。非生分解性の大きなポリマー単位(例えばPEG部分)に結合されたペプチドは支持体分子よりも速く分解されて体によって排泄され得るために、担体単位の蓄積の危険性が生じることがある。かかる蓄積の危険性は、薬物の効果半減期が薬物自体またはその構成要素/代謝産物の排泄半減期よりも短いので、常に生じる。したがって、ペプチドは通常非常に大きなPEG部分(約20〜40kD)でPEG化されるために遅い腎排出を示すので、担体分子の蓄積は避けられるべきである。ペプチド部分自体は、酵素的分解を受け、ペプチドを非活性化するには、部分的切断でも十分なことがある。
【0127】
この問題に対する解決法を見つけるために、本発明のある実施形態は、少なくとも2つのサブユニットで構成されるポリマー担体単位の使用を教示する。ポリマーサブユニットは、生分解性共有リンカー構造を介して連結される。この実施形態によると、大きな担体分子の分子量(例えば40kD)は、生分解性リンカーを介して連結された、いくつかの小さな、または中間のサイズのサブユニット(例えば、5〜10kDの分子量を有する各サブユニット)によって生じる。モジュラーサブユニットの分子量は大きな量になり、それによって、担体分子の所望の分子量を生じる。しかしながら、生分解性リンカー構造は体内で分解されることがあり、それによって、より小さい担体サブユニット(例えば5〜10kD)を放出する。小さい担体サブユニットは、全体的分子量(例えば40kD)を有するポリマー分子よりも良い腎クリアランスを示す。図16に例を挙げる。
【0128】
リンカー構造は、公知の分解特性および体液中の分解の期間に従って選択される。分解可能な構造は、例えば、加水分解によって切断することができるアミド/ペプチド結合またはエステルとして、カルボン酸誘導体等の切断可能な基を含むことができる(例えば、参照によって本明細書中に援用される、Roberts、2002年参照)。PEGスクシンイミジルエステルもまた、PEGバックボーン中の種々のエステル結合で合成されて、生理学的pHで分解速度を制御することができる(参照によって本明細書中に援用される、Zhao、1997年)。ベンジルウレタンのジスルフィドのような他の分解可能な構造は、細胞のエンドソーム区画中等の穏やかな還元性環境下で切断することができ(Zalipsky、1999年)、したがって、同様に適している。適切なリンカーの他の選択の基準は、速い(しばしば酵素的な)分解または遅い(しばしば非酵素的分解)分解に関する選択である。体液中のこれらの2つの機構の組合せもまた実行可能である。この高度に有利な概念が、本明細書中で記載または参照された特定のペプチド単位に限定されず、同じ蓄積の問題が生じるPEG分子等の大きなポリマー単位に結合された他の医薬分子にも適用されることは、明らかである。
【0129】
ある実施形態によると、ヒドロキシアルキルデンプンおよび好ましくはHESが、ポリマー担体単位として使用される。HESは、いくつかの重要な利点を有する。まず、HESは生分解性である。さらに、HESの生分解性は、エチル基の割合を介して制御することができ、したがって影響を受けることができる。30〜50%のエチル基が、本発明の目的のために十分適している。生分解性のために、PEGとの複合における上述のような蓄積問題は、通常起こらない。さらに、HESは、例えば代用血漿の形態で、医療に長年使用されている。したがって、その無害さは立証されている。
【0130】
さらに、HESの加水分解産物の誘導体は、ガスクロマトグラフィーによって検出可能である。HES−ペプチド複合体は、ペプチド単位が安定なままの条件下で加水分解することができる。これは、分解産物の定量およびモニタリングを可能にし、活性のあるペプチドの評価および正規化を可能にする。
【0131】
さらなる実施形態によると、第1の型のポリマー担体単位が使用され、ペプチド単位を負荷される。この第1の担体は、例えばHESのように、好ましくは容易に生分解される。しかしながら、第1の担体のすべての結合箇所がペプチド単位で占められるわけではなく、例えば約20〜50%のみが占められる。使用されるポリマーのサイズに依存して、数百のペプチド単位を担体分子に結合することができる。第1の担体の残りの結合箇所は、異なる担体、例えば第1の担体よりも低い分子量を有する小さいPEG単位で占められる。この実施形態は、第1の担体のために超価組成物が生じるが、これは好ましくは3〜5または10kDのPEG単位によって構成される第2の担体の存在のために非常に耐久性がある、という利点を有する。しかしながら、第1の担体(例えばHES)およびペプチド単位が生分解性であり、第2の担体、例えばPEGが体から容易に除かれるのに十分な程小さいので、全体的な実体は非常に分解性が高い。
【0132】
ペプチド単位の結合ドメインを構成する単量体は、ホモ二量体エリスロポイエチン受容体を認識する。ホモ二量体受容体であるという後者の特性は、EPO受容体を多くの他のサイトカイン受容体から区別する。上述のような、少なくとも2つのEPO模倣単量体結合ドメインを含むペプチド単位は、EPO受容体に結合し、好ましくはそれらの標的を二価、それぞれ多量体化および/またはそれを安定化することができ、したがって、それによって複合体を誘導するシグナルトランスダクションを生じる。
【0133】
本発明はまた、ペプチド単位がそれぞれの担体単位に連結される、それぞれの化合物生成方法を含む。本発明はさらに、ペプチド単位がそれぞれのポリマー担体単位に連結される、それぞれの化合物生成方法を含む。本発明の化合物は、ヒトおよび/または獣医医薬組成物の調製に有利に使用することができる。これらは、エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられる障害の治療、および特に任意の型の貧血および脳卒中の治療に特に適している。これらはまた、上述のすべての指示に使用可能である。かかる医薬組成物はまた、組成物を意図される投与手順に採用するために、薬学的に許容され得る担体を必要に応じて含むことができる。適した送達方法ならびに担体および添加物は、例えば、参照によって本明細書中に援用される、国際公開第2004/100997号および国際公開第2004/101611号に記載されている。
【実施例】
【0134】
超価分子の概念を、実施例によって説明する。図13は、本発明の単純な超価分子の例を示す。2つの連続した二価EPO模倣ペプチドが、マレイミド基を有する二官能性PEG部分によってN末端で連結されている。PEG担体単位の反応性結合部位として、システインを選択した。
【0135】
しかしながら、超価分子は、2つより多い連続した二価または多価ペプチド単位を含むことができる。図14は、分枝単位として中央のグリセロール単位を有し、3つの連続した二価ペプチドを含む担体単位に基づいた例を挙げる。ここでも、結合にシステインを用いた。図20は、ポリマー担体単位としてHESを用いた例を示す。HESを、ペプチド単位のSH基と反応するマレイミド基を有するように修飾した。実施例によると、すべての結合部位はペプチド単位に結合している。しかしながら、小さいPEG単位(例えば3〜10kD)もまた、結合部位の少なくとも一部を占めることができた。
【0136】
上記で説明したように、超価概念はまた、樹状および/またはポリマー担体単位がより多数の連続した二価ペプチドに連結した、多価樹状ポリマーにも拡張することができる。例えば、樹状分枝単位は、ポリグリセロールに基づき得る(参照によって本明細書中に援用される、Haag、2000年を参照されたい)。
【0137】
6つの連続した二価ペプチドを含む樹状分枝単位を有する担体単位に基づく超価分子の例を、図15に示す。
【0138】
超価分子の他の例は、例えば過ヨウ素酸を用いて酸化されて多数のアルデヒド官能基を含む、デンプンまたはデキストランを有する担体単位を含む。第2の工程において、多くの二価ペプチドを担体単位に結合させ、ともに最終的な分子を形成させる。数百(例えば50〜1000、好ましくは150〜800、より好ましくは250〜700)ものペプチド単位を、例えばHESである担体分子に結合させることができることに留意されたい。
【0139】
図16は、単純な生分解性超価分子の概念を示す。2つの連続した二価EPO模倣ペプチドが、中間の切断位置を有する生分解性リンカーを介して連結された2つの二価PEG部分によってN末端で連結している。リンカーは、サブユニット中の大きなPEG単位の分解を可能にし、それによって腎クリアランスを容易にする。
【0140】
I.単量体のペプチド合成
手作業の合成
PL−Rink−アミド−樹脂(置換速度0.4mmol/g)または0.4mmolの規模の前処置されたWang−樹脂を用いたDiscoverマイクロ波システム(CEM)の使用によって合成を行う。Fmoc基の除去を、30mlのピペラジン/DMF(1:3)の添加および3×30秒間の100Wの照射によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰のアミノ酸の添加および5×30秒間の50Wの照射によって達成する。すべての照射サイクルの間に、氷浴の助けを借りて溶液を手作業で冷却する。脱保護および結合の後、30mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、1.268mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を30mlのDMFで6回洗浄し、30mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過する。沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0141】
自動化合成
PL−Rink−アミド−樹脂(置換速度0.4mmol/g)または0.25mmolの規模の前処置されたWang−樹脂を用いたOdysseyマイクロ波システム(CEM)の使用によって、合成を行う。Fmoc基の除去を、10mlのピペラジン/DMF(1:3)の添加および10×10秒間の100Wの照射によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰のアミノ酸の添加および5×30秒間の50Wの照射によって達成する。すべての照射サイクルの間に、反応混合物に窒素の泡を吹き込むことによって溶液を冷却する。脱保護および結合の後、10mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、0.793mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を10mlのDMFで6回洗浄し、10mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過し、沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させ、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0142】
精製
Nebula−LCMS−システム(Gilson)を使用して、すべてのペプチドを精製した。すべてのペプチドの粗原料を、アセトニトリル/水(1/1)中に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製した。流速は20ml/分、LCMS分割比は1/1000であった。
【0143】
II.分子内ジスルフィド架橋の形成
K3[(FeCN6)での環化
溶液1:10mgのペプチドを0.1%TFA/アセトニトリルに溶解させ、0.5mg/mlの濃度に達するまで水で希釈する。およそ8のpHに達するまで、固形重炭酸アンモニウムを加える。
【0144】
溶液2:第2のバイアル中、10mlの0.1%TFA/アセトニトリルを、10mlの水で希釈する。8のpHに達するまで固体重炭酸アンモニウムを加え、K3[(FeCN6)]の0.1M溶液を1滴加える。
【0145】
溶液1および2を、3時間にわたってアセトニトリル/水(1/1、pH=8)の混合物に滴下する。混合物を室温で一晩インキュベートし、LCMSによって混合物を濃縮および精製する。
【0146】
CLEAR−OX(商標)樹脂での環化
100mlのアセトニトリル/水(1/1、0.1%TFA)に、8のpHに達するまで固形重炭酸アンモニウムを添加する。30分間アルゴンの泡を吹き込むことによって、この溶液から脱気する。ここで100mgのCLEAR−OX(商標)樹脂を加える。10分後、10mgのペプチドを固体として加える。2時間のインキュベーション後、LCMSによって溶液をろ過、濃縮および精製する。
【0147】
環状ペプチドの精製
Nebula−LCMSシステム(Gilson)を使用して、すべてのペプチドを精製した。すべてのペプチドの粗原料を、アセトニトリル/水(1/1)またはDMSO中に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18またはC8 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製した。流速は20ml/分、LCMS分割比は1/1000であった。
【0148】
III.単量体でのインビトロアッセイ
BrdU組込みによる、TF−1細胞での増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF−1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、RPMI培地、20%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミン、0.5ng/mlインターロイキン3を補充)を洗浄(5分間1500rpmで遠心分離し、IL3のないRPMI培地に500,000細胞/mlで再懸濁)し、アッセイの開始前にIL−3なしで24時間前培養する。翌日、細胞を、通常試験する薬剤あたり、少なくとも6つの濃度および1つの濃度あたり少なくとも10,000細胞/ウェルを含む4ウェルを用いて、24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、陽性対照作用物質としての組換えEPOおよび陰性対照作用物質としてのサイトカインの添加のないウェルを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照を所望の濃度まで培地中に前もって希釈し、細胞に加え、標準的培養条件下(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和した大気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この3日間の培養期間の間のウェル中の作用物質の終濃度をいう。この培養期間の終わりに、FdUを8ng/ml培地の終濃度まで添加し、培養を6時間続ける。次いで、BrdU(ブロモデオキシウリジン)およびdCd(2−デオキシシチジン)をそれらの終濃度(10ng/ml BrdU、8ng/ml dCD、培地中の終濃度)まで添加し、培養をさらに2時間続ける。
【0149】
このインキュベーションおよび培養期間の終わりに、1.5%BSAを含有するリン酸緩衝生理食塩水で細胞を1回洗浄し、最小量の液体中に再懸濁する。この懸濁液から、細胞を70%エタノール中に−20℃で滴下する。ここから、細胞を氷上で10分間インキュベートし、次いで直接解析するか、または解析の前に4℃で保存することができる。
【0150】
解析の前に、遠心分離によって細胞をペレット化し、上清を廃棄し、細胞を最小量の残った液体に再懸濁する。次いで細胞を0.5mlの2M HCl/0.5%triton X−100中に懸濁および10分間インキュベートする。次いでそれらを再びペレット化し、最小量の残った液体に再懸濁し、直後の細胞の再ペレット化の前に、0.5mlの0.1N Na2B4O7、pH8.5で希釈する。最後に、細胞を40μlのリン酸緩衝生理食塩水(1.5%BSA)に再懸濁し、それぞれ20μlの細胞懸濁液を含む2つの反応チューブに分割する。2μlの抗BrdU−FITC(DAKO、クローンBu20a)を一方のチューブに添加し、2μlの対照mlgG1−FITC(Sigma)を第2のチューブに添加して、室温で30分間のインキュベーション期間を開始する。次いで、0.4mlのリン酸緩衝生理食塩水および10μg/mlのヨウ化プロピジウム(終濃度)を添加する。フローサイトメーターにおける解析は、4C細胞またはより高い倍数性を有する細胞の分画およびBrdU陽性細胞の分画をいい、したがって、細胞周期の関連性のある段階の細胞の分画を決定する。
【0151】
MTTによる、TF−1細胞での増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF−1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、RPMI培地、20%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミン、0.5ng/mlインターロイキン3を補充)を洗浄(5分間1500rpmで遠心分離し、IL3のないRPMI完全培地に500,000細胞/mlで再懸濁)し、アッセイの開始前にIL−3なしで24時間前培養する。翌日、細胞を、通常試験する作用物質あたり、少なくとも6つの濃度および1つの濃度あたり少なくとも10,000細胞/ウェルを含む4ウェルを用いて、24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、陽性対照作用物質としての組換えEPOおよび陰性対照作用物質としてのサイトカインの添加のないウェルを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照を所望の濃度まで培地中に前もって希釈し、細胞に加え、標準的培養条件下(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和した大気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この4日間の培養期間の間のウェル中の作用物質の終濃度をいう。
【0152】
4日目、解析の開始前に、既知の数のTF−1細胞の希釈系列を、いくつかのウェル中で調製する(100μlの培地中0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェル)。これらのウェルを、試験ウェルと同じように処理し、細胞数を決定することができる検量線を後に提供する。これらの参照ウェルを構成して、MTT増殖キット(プロメガ、CellTiter 96水性非放射活性細胞増殖アッセイ)からのMTSおよびPMSを37℃の水浴中で解凍し、100μlのPMS溶液を2mlのMTS溶液に添加する。この混合物の20μlをアッセイプレートの各ウェルに加え、37℃で3〜4時間インキュベートする。ELISA読み取り装置におけるE492の測定の前に、25μlの、水中10%ドデシル硫酸ナトリウムを各ウェルに加える。
【0153】
プログラムGraphPadを用いた用量応答関係の計算に基づく図17および18に示すようなグラフでの評価を用いて、MTTアッセイのデータに基づいて以下のEC50値を決定した。
【0154】
以下の表は、いくつかの例示的ペプチドのEC50値を示す。
【0155】
【化36】
。
【0156】
IV.二価EPO模倣ペプチドの合成
直鎖状の配列番号11(AGEM11)の自動化合成
0.25mmolの規模のRink−アミド−樹脂(置換速度0.19mmol/g)を用いたLibertyマイクロ波システム(CEM)の使用によって合成を行う。Fmoc基の除去を、10mlのピペラジン/DMF(1:3)および10×10秒間の50Wの照射の二重処理によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の4倍過剰のアミノ酸および5×30秒間の50Wの照射の二重処理によって達成する。すべての照射サイクルの間に、反応混合物に窒素を吹き込むことによって溶液を手作業で冷却する。脱保護および結合の後、10mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。二重結合サイクルの後、すべての未処理アミノ基を、10倍過剰のN−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(0.2M DMF溶液)および3×30秒間の50Wの照射での処理によってブロックする。最後のアミノ酸の脱保護の後、0.793mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を10mlのDMFで6回洗浄し、10mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過し、沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0157】
したがって、直鎖状AGEM11、Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mmおよび使用したグラジエントの精製概略図を、50分で5%〜50%アセトニトリル(0.1%TFA)まで、図8および9に示す。
【0158】
AGEM11の環化
【0159】
【化37】
30mgの直鎖状ペプチドを60mlの溶液Aに溶解する。この溶液および60mlのDMSOを、60mlの溶液Aに滴下する(添加の合計時間は3時間)。48時間後、蒸発によって溶媒を除去し、残った残渣を30mlのDMSO/水(1/1)に溶解する。30mlの酢酸および17mgのヨウ素(DMSO/水(1/1)に溶解)を添加し、溶液を90分間室温で混合する。その後、20mgのアスコルビン酸を添加し、蒸発によって溶媒を除去する。この粗混合物をアセトニトリル/水(2/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0160】
溶液A:0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水(1/1)。重炭酸アンモニウムの添加によってpHを8.0に調節する。
【0161】
環状AGEM11の精製パラメータを図10および11に示す(概略図:環状AGEM11の精製、Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm、50分で5%〜35%アセトニトリル(0.1%TFA)のグラジエント)。
【0162】
V.EPO活性を決定するインビトロ増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、20%ウシ胎仔血清(FCS)および0.5ng/ml IL3を含むRPMI中で増殖)を計数し、アッセイを行うのに必要な細胞の数を遠心分離(5分間1500rpm)し、5%FCSを含み、IL−3のないRPMIに300000細胞/mlで再懸濁した。このIL−3のない(飢餓)培地中で、細胞を48時間前培養した。アッセイを開始する前に、細胞を再度計数した。
【0163】
アッセイを開始する直前に、ペプチドおよびEPOのストック溶液を調製した。ペプチドを計量し、1mM、467μMまたは200μMの濃度まで、5%FCSを含むRPMIに溶解した。EPOストック溶液は、10nMまたは20nMであった。これらのストック溶液の292μlを、96ウェル培養プレートの1つのウェルにピペットで移し、試験する各物質について1つのプレートを採取した。5%FCSを含む200μlのRPMIを、各プレートの17個の他のウェルにピペットで移した。92μlのストック溶液を、200μlの培地を含むウェルにピペットで移した。内容物を混合し、このウェルからの92μlを隣から隣へと移していった。このようにして、各連続したウェルにおいて濃度がその前のウェル中の濃度の1:√10であるように、各物質の希釈系列(18の希釈物)を調製した。各ウェルから、3×50μlを3つの空のウェルに移した。このようにして、物質の各濃度を4つ一組で測定した。各プレートのウェルの一番上および一番下の列は空のままであったことに留意されたい。
【0164】
前処理した(飢餓)細胞を遠心分離(5分間1500rpm)し、5%FCSを含むRPMIに1mlあたり200000細胞の濃度で再懸濁した。50μlの細胞懸濁液(10000個の細胞を含む)を各ウェルに加えた。細胞の添加のためにウェル中の物質の終濃度が元の希釈範囲の半分であったことに留意されたい。プレートを5%CO2中、37℃で72時間インキュベートした。
【0165】
評価を開始する前に、ウェル中への既知の量の希釈範囲のTF−1細胞を調製した。0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェルを4つ一組でピペットで移した(100μlのRPMI+5%FCS中)。
【0166】
1ウェルあたりの生細胞の数を測定するために、既製のMTT試薬(Promega、CellTiter 96水性一溶液細胞増殖アッセイ)を、37℃水浴中で解凍した。1ウェルあたり20μlのMTT試薬を加え、プレートを5%CO2中37℃で、さらに1〜2時間インキュベートした。25μlの10%SDS溶液を加え、プレートをELISA読み取り装置(Genios、Tecan)において測定した。スプレッドシート(Excel)中でデータを処理し、Graphpadにプロットした。
【0167】
図12にデータを要約する。
【0168】
ED50(nM)
EPO 0.0158
BB49(単量体、配列番号2) 4113
AGEM11(二価) 36.73。
【0169】
VI.拡張されたペプチドアッセイ
拡張されたアッセイにおいて、およそ200個のペプチド配列を、それらのEPO模倣活性に関して試験した。
【0170】
LIPS−Varioシンセサイザーシステムで、ペプチドアミドとしてペプチドを合成した。特別なMTP合成プレート中で合成を行い、規模は1ペプチドあたり2μmolであった。合成は、活性化試薬としてHOBTを用いた標準的なFmocプロトコルに従った。4回の結合として結合工程を行った。各結合工程は25分を要し、1工程あたりの過剰なアミノ酸は2.8であった。90%TFA、5%TIPS、2.5%H2Oおよび2.5%DDTを含有する切断溶液で、ペプチドの切断および脱保護を行った。樹脂に結合した完成ペプチドを含む合成プレートを、96ディープウェルプレートの上部で保存した。50μlの切断溶液を各ウェルに加え、10分間切断を行い、この手順を3回繰り返した。切断したペプチドを、ディープウェルプレートへの重力流によって、200μlの切断溶液で溶出した。さらに2.5時間、ディープウェルプレート内で側鎖官能基の脱保護を行った。その後、氷冷エーテル/ヘキサンでペプチドを沈殿させ、遠心分離した。ペプチドを中性の水溶液に溶解させ、環化を4℃で一晩インキュベートした。ペプチドを凍結乾燥した。
【0171】
図19は、合成および試験したペプチド単量体に関する概観を示す。
【0172】
インビトロ増殖アッセイにおいて、ペプチドを、それらのEPO模倣活性に関して試験した。下記のVに記載するようにアッセイを行った。各アッセイ日に、38個の試験ペプチド、1つの参照例、およびEPOのインビトロ活性を並行して測定するために、40個のマイクロタイタープレートを調製した。EPOストック溶液は20nMであった。
【0173】
図19に結果を示す。結果からわかるように、本発明のコンセンサスを満たさない、試験したペプチドは、EPO模倣活性を示さなかった。
【0174】
VII.ペプチドHES−複合体の合成
原理反応概略図を図21に示す。
【0175】
記載される方法の狙いは、本実施例のHESに従った、穏やかな水性反応条件下でチオール基と選択的に反応する、デンプンの誘導体の生成である。この選択性は、マレイミド基で到達される。
【0176】
HESを、まずアミノ基で官能化し、その後それぞれのマレイミド誘導体に転換する。限外ろ過膜を介して、反応バッチから低分子量反応物を除いた。生成物、中間体生成物ならびに抽出物はすべて多分散系である。
【0177】
アミノ−HES(AHES)の合成
ダイアフィルトレーションおよびそれに続く凍結乾燥を介して、ヒドロキシエチルデンプン(Voluven(登録商標))を得た。平均分子量は、40%の置換グレードの、およそ130kDaであった。
【0178】
参照によって本明細書中に援用される、Jacob Piehlerの論文、「Modifizierung von Oberflachen fur die thermodynamische und kinetische Charakterisierung biomolekularer Erkennung mit optischen Transducern」、1997年のアミノデキストランに関して記載されている合成に従って、合成を行った。Floorら(1989年)に記載されているように、過ヨウ素酸ナトリウムでの、ジオールの水酸基のアルデヒドへの部分的な選択的酸化によって、HESを不活性化した。アンモニア存在下で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)での還元的アミノ化を介してアルデヒド基をアミノ基に転換した(YalpaniおよびBrooks、1995年)。
【0179】
過ヨウ素酸塩開始:過ヨウ素酸塩の使用量は、グルコースビルディングブロックの20%の数を示す(180g/molのグルコースビルディングブロック塊を適用、DS=0,4)。限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0180】
MH4Cl/Na[BH3CN](過剰)での還元的アミノ化
生成物の沈殿およびダイアフィルトレーションを介した作製
解析
定性的:ニンヒドリン反応(Kaiser試験)
定量的:アミノデキストランと比較して2,4,6−ニトロベンゾールスルホン酸(TNBS)を用いる
得られた置換グレードは、約2.8%であった。これは、およそ6400g/molの1つのアミノ基を有する1つのビルディングブロックのモル質量を生じる。
【0181】
マレイミドプロピオニル−アミノ−ヒドロキシエチルデンプン(「MalPA−HES」)の合成
合成
3−マレイミドプロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MalPA−OSu)を過剰に用い(10倍)(50mMリン酸バッファー、pH7、20%DMF、一晩)、限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0182】
解析
アミノ基の反応をニンヒドリンおよびTNBSで実証した。
【0183】
導入されたマレイミド基の数を、グルタチオン(GSH)の反応、およびエルマン試薬(DNTB)での、700MHz−1H−NMR分光学を介した過度のチオール基の検出よって示した。
【0184】
得られた置換グレードは約2%であり、マレイミドビルディングブロックあたり8500g/molに相当する(180g/molのグルコースビルディングブロック塊、DS=0,4)。
【0185】
ペプチド−ヒドロキシエチルデンプン−複合体(Pep−AHES)
合成
遊離(Pep−IA)またはビオチン化(Pep−IB)N末端のいずれかを有するシステイン含有ペプチドを用いた。Pep−IA/Bの4:1混合物を一晩過剰に(およそ6当量)リン酸バッファー、50mM、pH6.5/DMF 80:20中のMalPA−HESで転換し、限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0186】
解析
UV吸収を280nmで測定し、マレイミド基の残りの内容物をGSH/DNTBで測定した。
【0187】
ペプチド収量はほとんど定量的であった。検出可能な遊離マレイミド基は、ほとんどまったくなかった。
【0188】
VIII.抗体交差反応性アッセイ
本願の序文に記載したように、患者は時々、rhuEPOに対する抗体を発生させる。これは、序文に記載した深刻な結果につながる。
【0189】
本発明のペプチドの特性をさらに調査するために、ペプチドが実際に抗EPO抗体と交差反応するかどうかを解析した。
【0190】
抗EPO抗体を含有する、ウサギおよびヒト血清を試験に使用した。EPOまたは以下のEPO模倣ペプチドのいずれかで、これらの血清を前処理した。
【0191】
【化38】
異なる濃度のエリスロポイエチンおよびEPO模倣ペプチドを解析で使用した。血清中に存在する抗EPO抗体を吸着させるための試験物質での血清の前処理の後、血清を放射活性標識エリスロポイエチンで処理した。前吸着工程の後に血清中に残っている抗体はエリスロポイエチンによって結合し、再度免疫沈降する。この試験に用いたプロトコルは、参照によって本明細書中に援用される、Taceyら、2003年に記載されている。
【0192】
EPOまたは本発明のEPO模倣ペプチドのいずれかを用いて行った、抗EPO抗体含有血清での前吸着の結果を、図22に開示する。
【0193】
血清をEPO模倣ペプチドで前処理すると、血清はその後、放射活性標識エリスロポイエチンに接触させると陽性を示した。したがって、抗EPO抗体は、前処理にもかかわらず血清中で検出された。これは、EPO模倣ペプチドが前処理の間に抗EPO抗体に結合できなかったことを意味する。結合活性なしで、抗EPO抗体はEPO模倣ペプチドとともに血清から排除されず、したがって、血清中に残る。抗EPO抗体はEPO模倣ペプチドを認識できず、したがって、EPO模倣ペプチドに結合できなかった。
【0194】
組換えヒトEPO(rhuEPO)を対照として使用した。血清をエリスロポイエチンで前処理すると、エリスロポイエチンでの前処理によって抗体はすでに結合および排除されていたので、ほとんどの場合、それに続く放射活性標識エリスロポイエチンを取り込むアッセイにおいて、検出可能な抗体はなかった。
【0195】
図22に示す絶対値は、IPで使用した全計数の%cpmを表す。%cpm値が0.9より大きいと、血清は陽性と評価される。100%cpmは、全体の使用した計数(放射活性トレーサ)の量、現在のところ放射活性標識EPOを表す。
【0196】
アッセイから、本発明のEPO模倣ペプチドは有利に抗EPO抗体に対する交差反応性を示さないことが示される。したがって、本明細書中に記載されるEPO模倣ペプチドは、rhuEPOに対する抗体を発生させた患者においても治療効果を示す。さらに、EPO模倣ペプチドに対する抗体はエリスロポイエチンに結合しないと予想される。したがって、本発明のEPO模倣ペプチドはまた、好ましくは、それらが抗EPO抗体との有意な交差反応性を示さない点で特徴付けられる。
【0197】
(参考文献)
【0198】
【化39】
。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【図3】図3である。
【図4】図4である。
【図5】図5である。
【図6】図6である。
【図7】図7である。
【図8】図8である。
【図9】図9である。
【図10】図10である。
【図11】図11である。
【図12】図12である。
【図13】図13である。
【図14】図14である。
【図15】図15である。
【図16】図16である。
【図17】図17である。
【図18】図18である。
【図19−1】図19である。
【図19−2】図19である。
【図19−3】図19である。
【図19−4】図19である。
【図19−5】図19である。
【図20】図20である。
【図21】図21である。
【図22】図22である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリスロポイエチン受容体のための結合分子としてのペプチド、その調製方法、これらのペプチドを含有する医薬品、および選択された指示における、好ましくは種々の形態の貧血および脳卒中の治療のための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルモン、エリスロポイエチン(EPO)は、165個のアミノ酸によって構成され、4つの糖化部位を有する糖タンパク質である。4つの複雑な炭水化物側鎖は、約35kDの全体の分子量の40パーセントを構成する。EPOは腎臓で形成され、そこから脾臓および骨髄に移動し、そこで赤血球の生成を刺激する。慢性腎疾患において、減少したEPO生成は、赤血球減少貧血を生じる。遺伝子工学によって調製した組換えEPOを用いて、貧血を効果的に治療することができる。EPOは、透析患者の生活の質を向上させる。腎性貧血だけでなく、早産新生児における貧血、炎症および腫瘍関連貧血もまた、組換えEPOによって改善することができる。EPOによって、腫瘍患者において、よりうまく高投与量化学療法を行うことができる。同様に、EPOは、放射線療法の範囲内で投与される場合、癌患者の回復を向上する。
【0003】
EPOを用いた治療において、タンパク質が体内で比較的迅速に分解されるので、必要とされる投与計画が頻繁または継続的な静脈内または皮下適用に基づく点に問題がある。したがって、組換えEPO由来分子の発展は、安定性、およびしたがって生物学的半減期を増大させるために、例えばさらなる糖化またはペグ化によって、糖タンパク質を選択的に修飾することに向かっている。
【0004】
組換えEPOでの治療に関連する別の重要な問題は、治療の間に患者が組換えEPOに対する抗体を発生する危険性である。これは、組換えEPOが内在性EPOと完全に同一ではないためである。一旦抗体形成が誘導されると、これは内在性エリスロポイエチンの活性の障害にもなる抗体につながることがある。これはしばしば、治療に必要な組換えEPOの投与量を増大させる。特に、かかる抗体が内在性EPOの障害になる場合、この効果は、治療誘導性自己免疫疾患と解釈することができる。これは、例えば数ヶ月または数年のEPO治療後に腎臓移植を受ける透析患者の場合に、特に望まれていない。このとき抗体は、移植によって生成される内在性EPOの活性の障害となることがあり、したがって移植された器官の赤血球形成活性の障害となることがある。現在、生物学的半減期を増大させるために組換えEPO中で導入された修飾がこの問題を悪化させるか改善させるかは、未決問題である。一般に、広範囲な修飾およびより長い半減期が、この問題のある特性を悪化させると予想される。
【0005】
代替的戦略は、エリスロポイエチンと配列相同性または構造的関係を共有しないアミノ酸からの合成ペプチドの調製である。エリスロポイエチンより有意に小さい、EPOの配列と関連のないペプチドが、アゴニストとして作用することができることが示された(非特許文献1)。同じ著者が、かかるペプチドがトランケートされて、依然として活性のある長さ10アミノ酸の最小のペプチドになることができることを示した。
【0006】
EPOの活性を模倣する合成ペプチドは、特許文献1の対象である。これは、好ましくは、一般に10および17位と呼ばれる、一方が必須と考えられる位置で2つのプロリンを含む、10〜40アミノ酸の明確なコンセンサスの模倣ペプチドを開示している。
【0007】
したがって、現在までのところ、EPO受容体のすべての小ペプチドベースのアゴニストは、非常に活性のあるエリスロポイエチン模倣ペプチドEMP1中の位置を参照して通常10および17位と番号付けられる定義された位置に、少なくとも1つのプロリン、しばしば2つのプロリン残基を含む構造を有してきた(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
【0008】
【化10】
これらのプロリンは、ペプチドの効果に不可欠であると考えられている。17位のプロリンに関しては、これは受容体との相互作用によって実証されているが、10位のプロリンは分子の正しい折りたたみに必要であると考えられた(非特許文献2、非特許文献3も参照のこと)。プロリンの特異的立体化学的特性によって支持される、正しい折りたたみは、通常、生物学的活性の、必要な前提条件である。一般に、プロリンは、(この場合のように)しばしばヘアピン構造およびβターンの形成に関係する、構造形成アミノ酸である。この特性のために、とりわけ、これは、プロリン含有ペプチド/タンパク質を破壊するポストプロリン特異的エンドペプチダーゼの頻繁な攻撃の点である。多数の内在性ペプチドホルモン(アンギオテンシンIおよびII、ウロテンシン、チレオリベリン、他の分泌刺激因子等)が、かかる「シングルヒット」ポストプロリン切断によって不活性化される。したがって、プロリン含有EPO模倣ペプチドの半減期は、これらの頻繁で活性のある酵素の活性によって短縮される。
【0009】
そのようなペプチドは化学的に生成することができ、定義された質および同一性で生成物を制御および生じるのがより一層難しい組換え生成を必要としない。かかる小さいサイズのペプチドの化学的生成はまた、生産コストの見地からも競合的であることができる。さらに、化学的生成によって、生物学的半減期を増大させる公知の能力を有することができる糖化、ペグ化、または任意の他の定義された修飾等の、定義された分子変化の導入を可能にする。しかしながら、これまで、既存のEPO模倣ペプチドを用いたいかなる療法も認可されていない。
【特許文献1】国際公開第96/40749号パンフレット
【非特許文献1】Whighton NC,Frrell FX,Chang R,Kashyap AK,Barbone FP,Mulcahy LS,Johnson DL,Barrett RW,Jolliffe LK,Dower WJ(1996)Small Peptides as Potent Mimetics of the Protein Hormone Erythropoietin.Science 273:458−463
【非特許文献2】Johnson,D.L.,F.X.Farrell,et al.(1997).「Amino−terminal dimerization of an erythropoietin mimetic peptide results in increased erythropotietic activity.」Chemistry and Biology 4:939−950
【非特許文献3】Whighton NC,Balasubramanian P,Barbone FP,Kashyap AK,Frrell FX,Jolliffe L,Barrett RW,Dower WJ(1997)Increased potency of an erythropoietin peptide mimetic through covalend dimerization.Nature Biotechnology 15:1261−1265
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、少なくとも天然のEPOの生物学的活性の必須の部分を示す、代替的合成ペプチドを提供すること、およびしたがって、特に貧血または脳卒中の治療のための、効率的な治療戦略の代替的手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によると、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも長さ10アミノ酸のペプチドが提供される。したがって、ペプチドは、EPO模倣特性を示す。本発明のEPO模倣ペプチドは、EPO模倣ペプチドの、一般に10位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸を含む(番号付けに関しては、例えばEMP1の祖先配列について記載しているJohnsonら、1997年を参照されたい)。
【0012】
前記10位のプロリンは、ある折りたたみ構造に特徴的なアミノ酸モチーフ、すなわちβターンモチーフ中に位置する(Johnson、1997年を参照されたい)。前記βターン構造は、受容体結合のときに生じる。したがって、本発明のEPO模倣ペプチドは、10位でβターンモチーフ中にプロリンを含まないが、正に荷電したアミノ酸を含む。例は、K、R、H、または例えばホモアルギニン等の、それぞれの非天然アミノ酸である。
【0013】
さらに、以下のアミノ酸の配列を含むペプチドが提供される。
【0014】
【化11】
配列中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、
X6はC、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
X7はR、H、L、WもしくはYもしくはSであり、
X8はM、F、I、ホモセリンメチルエーテル(hsm)もしくはノルイソロイシンであり、
X9はG、もしくはGの保存的交換であり、
X10はプロリンの非保存的交換であるか、
またはX9およびX10は単一のアミノ酸によって置換され、
X11は任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12はTもしくはAであり、
X13はW、1−nal、2−nal、AもしくはFであり、
X14はD、E、I、LもしくはVであり、
X15はC、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
ただしX6もしくはX15のいずれかはCもしくはhocである。
【0015】
記載されるペプチドコンセンサスの長さは、好ましくは10〜40または50または60アミノ酸の間である。上述の、長さ60アミノ酸のペプチドは、技術的には適しているものの、ペプチドの長さが増大すると、通常合成がより複雑になり、したがって高価になるので、必ずしも好ましくはない。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくとも10、15、18または20アミノ酸の長さを示す。勿論、これらは、より長い配列に、それぞれ埋め込まれることができ、含まれることができる。記載されるペプチド配列は、EPO受容体の結合ドメインと認められ得る。EPO模倣ペプチドとして、それらは、EPO受容体に結合することができる。
【0016】
一方の、または(いくつかの実施形態によると)両方のプロリンまでも、他の天然または非天然アミノ酸によって置換され得るが、本発明のペプチドがEPO模倣活性をまさに示すことは、非常に驚くべきことであった。実際、本発明のペプチドは、プロリン含有ペプチドのそれに匹敵する活性を有する。しかしながら、プロリン残基を置換するアミノ酸が保存的交換を表さず、それよりも非保存的交換を表すことは、注目すべきことである。好ましくは、K、RおよびH等の塩基性アミノ酸等の、正に荷電したアミノ酸、および特にKが置換に用いられる。置換に用いられる非保存的アミノ酸はまた、非天然アミノ酸であることができ、好ましくは、正に荷電した側鎖を有するものである。言及したアミノ酸の、それぞれの類似物もまた、含まれる。非天然アミノ酸の、適した例は、ホモアルギニンである。ある実施形態によると、ペプチドは、天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に荷電したアミノ酸を10位に有する。したがって、この実施形態によると、プロリン10は、K、H、または例えばホモアルギニン等の非天然の正に荷電したアミノ酸から選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドが10位にリシンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。上述のように、17位のプロリンもまた、非保存的アミノ酸によって置換されることができる。これに関して、前記非保存的アミノ酸がK、R、Hまたはホモアルギニン等のそれぞれの非天然アミノ酸等の正に荷電した側鎖を有するものであることも好ましい。この実施形態の副実施形態によると、ペプチドは、天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に荷電したアミノ酸を17位に有する。したがって、この実施形態によると、プロリン17は、K、H、またはホモアルギニン等の非天然の正に荷電したアミノ酸から選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドが17位にリシンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。
【0017】
さらに、配列は、N末端および/またはC末端アセチル化およびアミド化を有することができる。いくつかのアミノ酸はまた、リン酸化されることができる。
【0018】
本発明によると、エリスロポイエチン受容体に結合し、以下のアミノ酸の配列を含むペプチドもまた提供される。
【0019】
【化12】
配列中、各アミノ酸は標準的文字省略形によって示され、
X6はCであり、
X7はR、H、LまたはWであり、
X8はM、FまたはIであり、
X9はG、またはGの保存的交換であり、
X10はプロリンの非保存的交換であり、
X11は任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12はTであり、
X13はWであり、
X14はD、E、I、LまたはVであり、
X15はCである。
【0020】
さらに、X7はセリンであることができ、X8はhsmまたはノルイソロイシンであることができ、X13はまた、1−nal、2−nal、AまたはFであることができる。ペプチドコンセンサスの長さは、好ましくは10〜40または50または60アミノ酸の間である。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくとも10、15、18または20個のアミノ酸を含む。
【0021】
本発明のペプチドは、L−アミノ酸または立体異性的D−アミノ酸の他に、例えばα,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸または乳酸等の非天然/非保存的アミノ酸、例えば1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、ホモセリン−メチルエーテル、β−アラニン、3−ピリジルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、O−ホスホセリン、N−メチルグリシン(サルコシン)、ホモアルギニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、ノル−リシン、5−アミノレブリン酸またはアミノ吉草酸を含むことができる。具体的には末端の位置での、N−メチルグリシン(MeG)およびN−アセチルグリシン(AcG)の使用が特に好ましい。定義されたペプチドのretro、inverso型、およびretro/inverso型ペプチドであるペプチド、ならびに完全にD−アミノ酸からなるペプチドもまた、本発明の範囲内である。
【0022】
本発明はまた、ペプチドの誘導体、例えばメチオニンの酸化生成物、脱アミド化されたグルタミン、アルギニンおよびC末端アミドにも関する。
【0023】
本発明のある実施形態によると、ペプチドは、アミノ酸残基X9およびX10を置換する単一のアミノ酸を有する。この実施形態において、1つの非天然アミノ酸、例えば5−アミノレブリン酸またはアミ吉草酸によって、両方の残基もまた置換されることができる。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明によるペプチドは、コンセンサス配列
【0025】
【化13】
を含み、
配列中、X6〜X15は上記の意味を有し、
X4はYであり、
X5は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである。
【0026】
本発明のペプチドは伸長されることができ、コンセンサス配列
【0027】
【化14】
を含むことができ、
配列中、X4〜X15は上記の意味を有し、
X3は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVであり、
X16は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはT、より好ましくはK、R、SまたはTであり、
X17は任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、G、P、R、K、Y、または正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸、より好ましくはKまたはHarであり、
X18は任意のアミノ酸から独立して選択される。
【0028】
本発明のさらなる実施形態において、ペプチドは、C、E、Aもしくはhoc、好ましくはCとしてのX6、および/またはR、HもしくはYもしくはSとしてのX7、および/またはFもしくはMとしてのX8、および/またはGもしくはA、好ましくはGとしてのX9、および/またはKもしくはHarとしてのX10、および/またはV、L、I、M、E、A、TもしくはノルイソロイシンとしてのX11、および/またはTとしてのX12、および/またはWとしてのX13、および/またはDもしくはVとしてのX14、および/またはCもしくはhoc、好ましくはCとしてのX15、および/またはP、YもしくはA、または塩基性の天然もしくは非天然アミノ酸としてのX17を含む。しかしながら、X17がK、または例えばホモアルギニン等の正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸であることもまた好ましい。
【0029】
図19は、EPO模倣活性を示す、さらなる新規の適したペプチド配列を開示する。さらなるペプチドは、以下の配列を示す:
【0030】
【化15−1】
5−アミノレブリン酸(5−Als)は、
【0031】
【化15−2】
である。
【0032】
ホルモンエリスロポイエチンの受容体への結合能を有し、アゴニスト活性を示し、ペプチドがプロリンを示さないことを特徴とするペプチドもまた開示される。上述のように、これらのペプチドは、好ましくは、一般に10および17位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、異なる天然アミノ酸または5−アミノレブリン酸を含む。これらは、好ましくは17位のリシンを示す。それぞれのペプチドをコードする核酸もまた開示される。
【0033】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内で、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を行うことができ、置換は非極性側鎖を有するアミノ酸、極性側鎖を有する天然または非天然の、荷電していないD−またはL−アミノ酸、芳香族側鎖を有するアミノ酸、天然または非天然の正に荷電したD−またはL−アミノ酸、天然または非天然の負に荷電したD−またはL−アミノ酸内、ならびにより小さいサイズおよび分子量の任意のアミノ酸内で起こり、ここで元のアミノ酸の分子量は、元のアミノ酸の分子量のおよそ±25%より大きく外れるべきではなく、アゴニスト効果を伴うホルモンエリスロポイエチンの受容体への結合能は維持される。好ましくは、わずか1、2または3個のアミノ酸が置換される。10および17位にプロリンが導入されない配列変化が好ましい。
【0034】
本明細書中に記載されるペプチド配列は、EPO受容体への結合ドメインを構成する、適した単量体ペプチド単位として使用することができる。これらは、EPO受容体に結合するので、そのモノマー形態で使用することができる。本明細書中に記載されるように、EPO受容体の二量体化を誘導する能力およびしたがって生物学的活性が単量体結合単位の二量体化によって促進されることが示されたので、これらは、好ましくは二量体として使用される。
【0035】
したがって、多くの異なるペプチドが本発明の範囲内であることは明らかである。しかしながら、配列
【0036】
【化15−3】
は、ある欠点を有し、したがって本発明によると好ましくないことがわかっている。
【0037】
記載される個々のペプチド配列の始まり(N末端)および終わり(C末端)で、5個までのアミノ酸が除去および/または付加され得る。ペプチド機能が保存される限りサイズは直接的に関連しないことは、自明である。さらに、単量体としての活性を包むのに短すぎるかもしれない個々のペプチド配列は、通常、二量体化のときにアゴニストとして機能することに留意されたい。したがって、かかるペプチドは、好ましくは、それらの二量体形で用いられる。したがって、それぞれの、トランケートされた、およびまたは伸長された実施形態もまた、本発明の精神に含まれる。
【0038】
本発明において、大文字としての一文字表記の省略形は、標準的ポリペプチド命名法のものであり、非天然アミノ酸の付加によって伸長される。
【0039】
【化16】
【0040】
【化17】
上述のように、本発明はまた、単一のアミノ酸の保存的交換による、ペプチドおよび定義されたペプチドコンセンサスの修飾を含む。かかる交換は、結合する分子の構造および機能を変化させるが、ほとんどの場合、変化はわずかでしかない。保存的交換では、あるアミノ酸が、同様の特性を有するグループ内の別のアミノ酸によって置換される。
【0041】
対応するグループの例は、
− 非極性側鎖を有するアミノ酸:A、G、V、L、I、P、F、W、M
− 極性側鎖を有する、荷電していないアミノ酸:S、T、G、C、Y、N、Q
− 芳香族側鎖を有するアミノ酸:F、Y、W
− 正に荷電したアミノ酸:K、R、H
− 負に荷電したアミノ酸:D、E
− 同様のサイズまたは分子量のアミノ酸であって、置換するアミノ酸の分子量が元のアミノ酸の分子量から最大±25%(または±20%、±15%、±10%)外れる、アミノ酸。
【0042】
グループが、例えば正に荷電した側鎖を示すグループの場合はホモアルギニン等の、それぞれの側鎖プロフィールを有する非天然アミノ酸も含むことは、自明である。プロリン10の場合、例えば非天然アミノ酸等の置換する分子は、側鎖の特性によって特徴付けられる上記のグループの1つに明確に割り振ることができず、通常、本発明によるプロリンの非保存的置換として認められるべきである。これらの通常でないアミノ酸を類別するために、分子量による分類補助が役立つかもしれない。
【0043】
より具体的には、Wrightonら(米国特許第5773569号および関連する特許)は、ファージディスプレイ技術を用いて、どのアミノ酸が活性を維持しながら置換されることができるかを詳細に調べた。彼らはまた、可能性のあるトランケーション、すなわち所定のEPO模倣ペプチドの最小の長さに関するデータを調査および公開した。しかしながら、中央のGly残基の近くのプロリンが、活性のあるペプチドを得るために唯一の可能性のあるものと思われた。
【0044】
本発明のある実施形態によると、下記の配列番号2、4〜9からなる群より選択されるペプチドが提供される。配列番号2の場合のように、10位のKおよび17位のKを有するペプチドが特に好ましい。
【0045】
【化18】
ある実施形態によると、ペプチド二量体または多量体は、上記の配列番号2および4〜9またはそれらの修飾による単量体に基づいて形成される。本明細書中に記載されるペプチドは、例えば単一のアミノ酸の保存的交換によっても修飾されることができ、好ましくは、1、2または3個より多くないアミノ酸が交換される。
【0046】
好ましくは、これらのペプチドは、N末端のAcGおよびC末端のMeGに関して修飾される。
【0047】
上記で概略を述べたように、本発明の記載されるペプチドは、エリスロポイエチン受容体の結合部位を認識する単量体結合ドメインと考えることができる。しかしながら、Wrightonら(Wrighton、1997年)によって指摘されたように、受容体をホモ二量体化させてシグナルトランスダクションを誘導するためには、これらの結合ドメインの2つが一般に必要とされる。したがって、1つの単一の分子中のこれらの結合ドメインの2つの組合せが活性を相当に増大させ、1つの単一の結合ドメインを有するペプチドが同じ活性の定性的パターンを示すがともに結合した結合ドメインの2つがかなり低いED50(50%有効量、活性の尺度)を示す結果につながったことは、非常に驚くべきようなことではなかった。2つの結合ドメインを含むペプチドは、本明細書中の文脈内で、二価または二量体ペプチドであるとして特定され、特に好ましい。
【0048】
2つの単量体結合ドメインを組み合わせるための、ある周知の技術的解決法は、二量体化である。このアプローチに従うすべての解決法は、これまでのところ、
a)結合ドメインがまず一価または単量体ペプチドとして別々に合成され、これが工程bの調製において、例えば反応基の結合によって修飾されることができ、
b)第2の反応工程において、2つの(ほとんどの場合同一な)結合ドメインが別々の二量体化反応において連結され、これが通常2つの二量体化ドメインの間に挟まれるリンカー分子を含むことができること
によって特徴付けられる。
【0049】
かかる二量体は、二価ペプチドの例であり、本質的に単量体と同じ生物学的機能を示す。通常これらは、EPO模倣ペプチドの場合、促進された生物学的活性を示す。
【0050】
本発明の教示に従って適用することもできる、単量体の二量体化またはオリゴマー化するいくつかの技術が、当業者に公知である。単量体は、例えばリンカーへの共有結合によって、二量体化することができる。リンカーは、本発明のポリペプチド単位の間の共有結合を生じる連結分子である。ポリペプチド単位は、EPO受容体への結合が向上するように、リンカーを介して組み合わせることができる(Johnsonら、1997年、Wrightonら、1997年)。これはさらに、Wrightonら(Wrighton、1997年)によって記載されているタンパク質担体分子との非共有相互作用による単量体ビオチン化ペプチドの多量体化を参照する。ビオチン/スロレプトアビジン系、すなわちペプチドのC末端をビオチン化して、続いてビオチン化ペプチドをストレプトアビジンとともにインキュベートすることを使用することも可能である。あるいは、ジケトピペラジン構造を形成することによって二量体化を達成することもまた公知である。この当業者に公知の方法は、例えばCavelierら(Peptides:The wave of the Future中、Michal LablおよびRichard A.Houghten(編)、American Peptide Society、2001年)に詳細に記載されている。二量体化および非共有多量体化に関するこれらの文献の開示は、参照によって本明細書中に援用される。従来技術から公知の、ペプチド二量体を得る別の代替的方法は、N末端アミノ基と反応することによって最終的な二量体ペプチドを形成する、後のリンカー部分の反応性前駆体として、二官能性活性化ジカルボン酸誘導体を使用することである(Johnsonら、1997年)。単量体もまた、リンカーへの共有結合によって二量体化することができる。好ましくは、リンカーは、NH−R−NHを含み、Rは、別の分子部分への結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基等の官能基で置換された低級アルキレンである。リンカーは、リシン残基またはリシンアミドを含有することができる。同様に、PEGもリンカーとして使用することができる。リンカーは、2つのカルボン酸を含み、任意の1つまたは複数の原子が1つまたは複数のPEG分子に結合することのできるアミン等の官能基で置換された分子であることができる。連結部分を用いた、ペプチドのオリゴマー化および二量体化の可能性のある工程の詳細な説明はまた、国際公開第2004/101606号に挙げられている。
【0051】
二量体化/多量体化に関するこれらの文献の開示は、参照によって本明細書中に援用される。
【0052】
ペプチド単量体または二量体は、少なくとも1つのスペーサー部分をさらに含むことができる。好ましくは、かかるスペーサーは、単量体または二量体のリンカーを水溶性ポリマー部分、または例えばPEGであることができる保護基に連結する。PEGは、少なくとも3kD、好ましくは20〜60kDの間の、好ましい分子量を有する。スペーサーは、−NH−結合またはCOOH基で終わるC1〜12部分であることができ、1つまたは複数の利用可能な炭素原子が、低級アルキル置換基で必要に応じて置換され得る。特に好ましいスペーサーは、国際公開第2004/100997号に開示されている。すべての文献、国際公開第2004/100997号および国際公開第2004/101606号は、参照によって本明細書中に援用される。ペプチドのPEG修飾は、国際公開第2004/101600号に開示されており、これも参照によって本明細書中に援用される。
【0053】
機能的に十分であり、したがって本発明の教示に従って使用可能であるが、二量体分子の合成の従来技術のアプローチは、いくつかの欠点を有することがある。
【0054】
ある可能性のある欠点は、連結される単量体がまず別々に合成されなければならない点にあると認められた。二量体化、それぞれの多量体化反応の間の単量体ペプチドの推計学的な組合せのために、このアプローチでヘテロ二量体二価/多価ペプチドを(選択的および意図的に)得ることは、特に難しい。少なくとも、これは特別で意図的なヘテロ二量体の収量の大きな損失につながる。2つ以上のわずかに異なる単量体結合ドメインを含む二価または多価ペプチドは、そのヘテロ二量体の性質のために、最終的な二価ペプチド中の相互作用を安定させることができる2つのドメインの間の特別な相互作用を導入することができるので、非常に望ましい。しかしながら、従来技術の「推定学的な二量体化反応」に関連する収量の高い損失のために、これは通常、経済的に魅力的なアプローチではない。
【0055】
したがって、二量体化に従来技術のアプローチを適用することは、技術的には適しているが、記載されたように異種結合ドメインを有するこれらのペプチドを提供するのに、いくつかの経済的欠点を有する。しかしながら、本発明はまた、異種結合ドメインをも含み得る、高度に活性のある多価または二価ペプチドを得るための、かなりより効率の高い戦略を有利に教示する。
【0056】
この戦略の中心的概念は、二量体化または多量体化の前の別々の反応における多価または二価ペプチドの一部を形成する単量体ペプチドの合成を断つが、1つの工程で単一のペプチドとして、例えば1つの単一の固相反応において、最終的な二価または多価ペプチドを合成する。したがって、別々の二量体化または多量体化工程は、もはや必要ではない。この態様は、大きな利点、すなわち最終的なペプチド単位中の各配列位置に対する完全で独立した制御を提供する。この方法は、各配列位置に対する独立した制御のために、ペプチド単位中に少なくとも2つの異なる受容体特異的結合ドメインを容易に含むことを可能にする。
【0057】
この実施形態によると、結合ドメインの間の最終的なペプチドの配列(「リンカー領域」である)は、アミノ酸のみで構成され、したがって、1つの単一で連続した二価または多価EPO模倣ペプチドにつながる。本発明の好ましい実施形態において、リンカーは、高い構造的柔軟性を可能にする天然または非天然アミノ酸で構成される。これに関して、連結するアミノ酸として、ねじれに関する高い柔軟性が知られているグリシン残基を使用することが有利であることができる。しかしながら、同様にアラニンまたはβ−アラニン等の他のアミノ酸、またはそれらの混合物もまた用いることができる。使用されるアミノ酸の数または選択は、それぞれの立体的事実に依存する。本発明のこの実施形態は、生物活性構造のゆがみを避けるために、分子モデリングによって、適したリンカーの、あつらえの設計を可能にする。3〜5個のアミノ酸で構成されるリンカーが特に好ましい。
【0058】
最終的な二価または多価ペプチドの機能的ドメイン(または単量体単位)の間のリンカーがペプチドの別個の部分であるか、または完全もしくは部分的に、単量体機能的ドメインの一部であるアミノ酸で構成されることができるかのいずれかであることができることは、注目に値する。例えば、アミノ酸1および2および19および20位のグリシン残基が、リンカーの一部を形成することができる。例としては、配列11〜14が挙げられる。したがって、アミノ酸がリンカー単位ならびに単量体サブユニットの一部を形成することができるので、用語「リンカー」は、構造的よりもむしろ機能的に定義される。
【0059】
上述のように、二価/多価ペプチドの合成の間に、最終的なペプチド内の各配列位置が制御され、したがって正確に決定することができるので、リンカーを含む、ペプチドまたはその特定の領域もしくはドメインを特別にまたは目的に合わせて作製することが可能である。これは、好ましくない分子内相互作用による最終的な二価ペプチドの生物活性構造のゆがみを避けることを可能にするので、特に有利である。ゆがみの危険性は、合成の前に分子モデリングによって評価され得る。これは特に、単量体ドメインの間のリンカーの設計に適用される。
【0060】
本発明の連続した二価/多価ペプチドは、対応する単量体ペプチドよりもかなり高い活性を示し、したがって、効率の増大が二価ペプチド概念に関連するという、他の二量体ペプチドから知られている観察を確かにする。
【0061】
単量体および二量体ペプチドに関して、連続した二価/多価ペプチドは、例えばアセチル化もしくはアミド化によって修飾することができるか、またはC末端もしくはN末端の位置で伸長することができる。PEG、デンプンまたはデキストラン等の可溶性部分の結合を含む、上述の単量体ペプチド(単量体)の従来技術の修飾もまた、本発明の多価または二価ペプチドに適用される。
【0062】
すべての可能性のある修飾もまた、リンカーの修飾に適用される。具体的には、例えばPEG、デンプンまたはデキストラン等の可溶性ポリマー部分をリンカーに結合させることが有利であることができる。
【0063】
本発明の最終的な多価または二価ペプチドの合成はまた、2回の、それに続く独立した、結合ドメインのそれぞれの内のジスルフィド結合または他の分子内結合の形成を有利に含むことができる。それによって、ペプチドはまた環化され得る。
【0064】
本発明の二価構造は、有利に、本明細書中に報告されるペプチド単量体に基づいて形成される。
【0065】
EPO受容体の二量体化のために適切なペプチド単位のいくつかの例を、次に挙げる。結合ドメイン上方の棒は、任意選択である好ましい分子内ジスルフィド架橋を象徴する。
【0066】
【化19】
【0067】
【化20】
これらの二価構造中のリンカーは、分子モデリングによって、生物活性構造のゆがみを避けるように特別に作製する(図1)。
【0068】
配列番号12
リンカー配列は、グリシン残基1つ分短縮することができる。この配列はまた、同時に結合ドメインの一部を形成するグリシン残基によって構成されるリンカーの例である(配列番号2参照)。
【0069】
【化21】
結合ドメインはまた、単量体単位として使用され得る(配列番号13)。
【0070】
【化22】
【0071】
【化23】
この配列は、2つのわずかに異なる(異種の)結合ドメインを含む、本発明の連続した二価ペプチドを提供する。かかる二価ペプチドは、従来技術の二量体化アプローチ(上記参照)では、経済的に入手できない。これらの結合ドメインもまた、単量体
【0072】
【化24】
として適用することができる。
【0073】
さらなる例は、
【0074】
【化25】
である。
【0075】
さらなる実施形態によると、ペプチドは、さらなるアミノ酸、好ましくは、例えば以下の配列等の中に、N末端のシステイン等の反応性側鎖を有するアミノ酸を必要に応じて有する。
【0076】
【化26】
さらなるペプチドの例は、以下のアミノ酸配列を示す。
【0077】
【化27】
第1の配列は、X7位にセリンを示す。この配列が二量体に組み込まれると、水酸基の導入を介して新しい水素架橋が生じることがわかった。したがって、生物活性構造が安定化されるので、X7位のセリンの使用は、二量体に特に有利である。
【0078】
非天然アミノ酸ホモアルギニンを示す第2の配列は、獣医学的目的のための医薬組成物での使用に特に適している。10および/または17位に、例えばホモアルギニン等の、長い正に荷電した側鎖を有するアミノ酸を有するペプチド配列が、例えばマウス/イヌ受容体等のEPO受容体に対する強力な結合能を示すことが、一般にわかっている。したがって、これらは獣医学的製品での使用に特に適しているが、これらの使用は、それに限定されない。
【0079】
反応性側鎖は、例えばさらなる修飾のための、連結する結びつきとして機能することができる。ペプチドはさらに、第1および第2ならびに/または第3および第4のシステインの間の分子内ジスルフィド架橋を必要に応じて含む。
【0080】
配列番号2、4〜9および12、13および15、15aによって例示されるような単量体ペプチドが、本発明の連続した二価ペプチドに有利に組み合わされることに気づくのは重要である。しかしながら、同様にこれらの単量体の二量体化の従来技術の方法も適用することができる。本発明の範囲に入る単量体ペプチドに適用されるこれらの従来技術のアプローチの例としては、以下のものが挙げられる(が、これに限定されない)。
【0081】
1.前記単量体ペプチドの一方のC末端がもう一方のペプチドのC末端に共有結合する、C末端からC末端への連結を介した二量体化。単量体の間のリンカー/スペーサーは、ジケトピペラジン単位を含むことができる。好ましいGly−Glyジケトピペラジン骨格は、C末端グリシン単量体を活性化することによって達成することができる。この原理はまた、C末端二量体化を形成するための使用であり得る。
【0082】
以下の式および例は、分子モデリングによって最適化された、4つの特製の例を表す。
【0083】
(a)配列番号2に基づく二量体(二量体構造を図2に示す):
【0084】
【化28】
(b)グリシン1つ分短縮されたリンカーを有する、配列番号2に基づく二量体。構造を図3に示す。
【0085】
【化29】
(c)グリシンがβ−アラニンによって置換された、配列番号2に基づく二量体(図4)。単量体(配列番号16)もまた、EPO模倣ペプチドとして適用可能である。
【0086】
【化30】
(d)代替的グリシンがβ−アラニンによって置換された、配列番号2に基づく二量体(図5)。単量体(配列番号17)もまた、EPO模倣ペプチドとして適用される。
【0087】
【化31】
。
【0088】
2.前記単量体ペプチドの一方のN末端がもう一方のペプチドのN末端に共有結合し、それによってスペーサー単位が、好ましくはジカルボン酸ビルディングブロックを含んでいる、N末端からN末端への連結を介した二量体化。
【0089】
(a)ある実施形態において、N末端でグリシン残基1つ分伸長された、配列番号2に基づいて得られる二量体(配列番号18)は、リンカー/スペーサーとしてヘキサンジオイル単位を含む(図6):
【0090】
【化32】
(b)代替的な実施形態において、二量体化は、リンカー/スペーサーとしてオクタンジオイル単位を用いることによって達成することができる(図7):
【0091】
【化33】
。
【0092】
3.2つのペプチド単量体を連結する適したスペーサー分子を含むことによって、前記単量体ペプチドの一方のアミノ酸側鎖がもう一方のペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合する、側鎖を介した二量体化。これは、
(a)アミド結合を介した連結
【0093】
【化34】
(b)またはジスルフィド架橋を介した連結
【0094】
【化35】
を含むことができる。
【0095】
Xは、それぞれの連結する結合の形成に関与するそれぞれのアミノ酸のバックボーンの中心を象徴する。
【0096】
上述のそれぞれの集合方法はまた、多量体の調製に用いることができる。
【0097】
それぞれの異種または同種の二価または多価ペプチドを形成するために、本明細書中に記載される、結合ドメイン、それぞれのペプチドのすべてが、単独または二価/多価ペプチドの一部としてのいずれかで、単量体形で使用することができるおよび/または1つまたは複数の他の同一もしくは異なるペプチドドメインのいずれかと組み合わせることができることが指摘される。
【0098】
ペプチドは、例えばアセチル化もしくはアミド化によって修飾することができるか、またはC末端もしくはN末端の位置で伸長することができる。例えばポリマーの結合部位の調製のための、2つの末端の一方での1つまたは複数のアミノ酸での伸長は、しばしば、連続したペプチドとして最良に製造され得るヘテロ二量体二価ペプチド単位につながる。
【0099】
本発明の化合物は、ヒトおよび/または獣医学的医薬組成物の調製に、有利に使用され得る。EPO模倣剤として、これらは、エリスロポイエチンと基本的に同じ定性的活性パターンを示す。したがって、これらは一般に、エリスロポイエチンと同じ兆候に適している。
【0100】
エリスロポイエチンは、サイトカインスーパーファミリーの1つである。序文に記載された刺激効果の他に、エリスロポイエチンが幹細胞を刺激することもわかっている。したがって、本明細書中に記載されるEPO模倣剤は、幹細胞関連効果によって引き起こされるすべての兆候に適している。非限定的例は、神経系に関連する疾患の予防および/または治療である。例は、例えばパーキンソン症候群、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ゴーシェ病、テイ−サックス病、ニューロパシー、末端神経損傷、脳腫瘍、脳損傷、脊髄損傷または脳卒中性損傷等の、神経学的損傷、疾患または障害である。本発明のEPO模倣ペプチドはまた、心不全を患う、または患う危険性のある患者の予防的および/または治療的処置にも使用可能である。例は、心筋梗塞、冠状動脈疾患、心筋炎、化学療法治療、アルコール症、心筋症、高血圧症、僧帽弁閉鎖不全症または大動脈狭窄症を含む心臓弁膜症、ならびに甲状腺の障害、慢性および/または急性冠症候群である。
【0101】
さらに、EPO模倣剤は、内皮前駆細胞の生理学的動員、増殖および分化の刺激、脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の治療、ならびにかかる疾患の治療のための医薬組成物および前記ペプチドおよび内皮前駆細胞の刺激に適した他の作用物質を含む医薬組成物の製造に用いることができる。かかる疾患の例は、高コレステロール血症、真性糖尿病、内皮媒介性慢性炎症疾患、細網内皮症を含む内皮症、アテローム性動脈硬化症、冠状心疾患、心筋虚血、狭心症、加齢性心臓血管疾患、レーノー病、妊娠性高血圧症、慢性もしくは急性腎不全、心不全、創傷治癒および続発疾患である。
【0102】
さらに、本発明のペプチドは、血液脳関門を横切って作用物質を送達するための適した担体であり、それぞれの目的および/または血液脳関門を通過することのできるそれぞれの治療的複合剤の製造に用いることができる。
【0103】
本明細書中に記載されるペプチドは、エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられる障害の治療、および特に任意の型の貧血または脳卒中の治療に特に適している。ペプチドはまた、哺乳動物におけるヘマトクリットの増大および/または維持に適している。かかる医薬組成物は、意図する投与手順に組成物を採用するために、薬学的に許容され得る担体を必要に応じて含むことができる。適した送達方法ならびに担体および添加物は、例えば、国際公開第2004/101611号および国際公開第2004/100997号に記載されている。
【0104】
上記で概略を述べたように、二量体またはさらには多量体への単量体ペプチドの二量体化は、通常、それぞれの単量体ペプチドと比較して、EPO模倣アゴニスト活性を向上させる。しかしながら、活性をさらに促進することが望ましい。例えば、二量体EPO模倣ペプチドであっても、細胞の機構の活性化に関して、EPOよりも能力が低い。
【0105】
従来技術において、ペプチドの活性を増大させるために、例えばより能力の高い候補を同定するためのアミノ酸配列の変化によって、いくつかのアプローチがなされた。しかしながら、これまでのところ、生物学的活性を向上させるために、ペプチド、特にEPO模倣ペプチドの活性をさらに増大させることが、依然として望ましい。
【0106】
本発明のさらなる実施形態は、この問題の解決法を提供する。ここでは、標的分子に結合し、
i)各ペプチド単位が、標的への結合能を有する少なくとも2つのドメインを含む、少なくとも2つのペプチド単位、
ii)少なくとも1つのポリマー担体単位
を含む化合物が提供され、ここで前記ペプチド単位は、前記ポリマー担体単位に結合する。
【0107】
驚くべきことに、ポリマー支持体上の2つ以上の本発明の二価または多価ペプチドの組合せが、付加的なだけでなく過剰付加的にもそれらの結合受容体に対する二価(またはさらには多価)ペプチドの効率を大いに増大させることがわかっている。したがって、相乗効果が観察される。
【0108】
用語「二価」は、本発明の目的のために使用される場合、標的への、本明細書中では具体的にはEPO受容体への結合能を有する2つのドメインを含むペプチドとして定義される。これは、用語「二量体」と交換可能に使用される。したがって、「多価」または「多量体」EPO模倣ペプチドは、EPO受容体へのいくつかの個々の結合ドメインを有する。用語「ペプチド」および「ペプチド単位」がサイズに関するいかなる制限も組み込まず、オリゴおよびポリペプチドならびにタンパク質を組み込むことは、自明である。
【0109】
ポリマー担体単位に結合された、2つ以上の二価または多価ペプチド単位を含む化合物は、この実施形態の文脈において、「超価(supravalent)」と呼ばれる。これらの超価分子は、技術の現状で公知の二量体または多量体分子とは大いに異なる。技術の現状は単に、二量体を生じるために単量体EPO模倣ペプチドを組み合わせるだけである。対照的に、超価分子は、すでに(少なくとも)二価のペプチド単位をポリマー担体単位に連結させ、それによって超価分子を生じることによって生じる(例を図13〜15に挙げる)。それによって、ペプチドの全体的活性および効率が大いに促進され、したがってEC50用量が減少する。
【0110】
これまでのところ、超価分子の、技術の現状で公知の分子と比較して大きな能力の理由は、完全には理解されていない。これは、技術の現状で公知の二量体分子が単に、二量体1つあたり1つの標的、それぞれの受容体結合単位を提供するだけであるためかもしれない。したがって、1つの受容体複合体だけが、二量体化合物の結合のときに生じ、それによって1つのシグナルトランスダクション過程だけが誘導される。例えば、2つの単量体EPO模倣ペプチドがPEGを介して連結されてペプチド二量体を形成し、それによって、シグナルトランスダクションに必要な受容体単量体の二量体化を容易にする(Johnsonら、1997年)。対照的に、本発明の超価化合物は、いくつかの、すでに二価または多価の、それぞれの受容体結合単位を含む。これによって、化合物1分子あたりに、細胞表面にいくつかの受容体複合体が生じることが可能になり、それによっていくつかのシグナルトランスダクションが誘導され、それによってペプチド単位の活性が過剰付加的に高まる。超価化合物の結合は、細胞表面での受容体複合体の密集を生じ得る。
【0111】
この実施形態で用いられるEPO模倣ペプチド単位は、同種または異種のいずれかであることができ、同一または異なるペプチド単位のいずれかが用いられることを意味する。同種または異種でもあり得るペプチド単位の結合ドメイン(上述のような単量体ペプチド)も同様である。担体単位に結合する二価または多価ペプチド単位は、同じ受容体標的に結合する。
【0112】
しかしながら、これらは勿論、依然としてそれらのアミノ酸配列は異なることができる。二価または多価ペプチド単位の単量体結合ドメインは、直鎖状または環状のいずれかであることができる。環状分子は、例えば分子内システイン架橋の形成によって生じることができる(上記参照)。
【0113】
ポリマー担体単位は、少なくとも1つの天然または非天然の、分枝、直鎖状または樹状ポリマーを含む。ポリマー担体単位は、好ましくは水および体液に可溶性であり、好ましくは薬学的に許容され得るポリマーである。水溶性ポリマー部分としては、例えば、PEG、PEGホモポリマー、mPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体(ここで前記ホモポリマーおよび共重合体は、置換されていないか、または一方の末端で、例えばアシル基で置換されている)を含む、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリグリセリンもしくはポリシアリン酸、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含む、セルロースおよびセルロース誘導体、デンプン(例えば、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、特にヒドロキシエチルデンプン(HES)およびデキストリンならびにそれらの誘導体)、硫酸デキストラン、架橋デキストリンおよびカルボキシメチルデキストリンを含むデキストランおよびデキストラン誘導体、ヘパリンおよびヘパリンの断片、ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル、ポリビニルピロリドン、a,b−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパラギン酸アミド、ならびにポリオキシエチル化ポリオルが挙げられるが、これらに限定されない。勿論、他の生物学的に不活性な水溶液ポリマーもまた用いられ得る。適切な担体単位の、単純だがやはり好ましい例は、例えばポリエチレングリコール(ビス−マレイミド、ビス−カルボキシ、ビス−アミノ等)の、ホモ二官能性ポリマーである。
【0114】
ポリマー担体単位は、本発明に関連して適した異なるポリマーの異なる性質のために、広範な分子量を有することができる。したがって、サイズ制限はない。しかしながら、分子量が少なくとも3kD、好ましくは少なくとも10kDおよびおよそ約20〜500kD、より好ましくは約30〜150または約60もしくは80kDであることが好ましい。担体単位のサイズは、選択されるポリマーに依存し、したがって異なり得る。例えば、特にヒドロキシエチルデンプン等のデンプンを使用する場合、分子量は、かなりより高くあることができる。この場合、平均分子量は、約100〜4,000kDまたはさらに高くにそろえることができる。担体単位のサイズは、好ましくは、各ペプチド単位がそれらのそれぞれの受容体分子に結合するために最適にそろえられるよう選択される。これを容易にするために、本発明のある実施形態は、分枝単位を含む担体単位を使用する。この実施形態によると、ポリマー、例えばPEGが分枝単位に結合され、したがって、多数のペプチド単位の組込みを可能にする、大きな担体分子が生じる。適切な分枝単位の例は、グリセロールまたはポリグリセロールである。同様に、樹状分枝単位も、例えば参照によって本明細書中に援用されるHaag、2000年に教示されているように、使用され得る。
【0115】
好ましくは、単量体を組み合わせること(頭−頭、頭−尾、または尾−尾のいずれか)によってペプチド単位が生じた後、ポリマー担体単位がペプチド単位に連結される。ポリマー担体単位は、共有または非共有(例えば配位)結合を介してペプチド単位に連結される。しかしながら、共有結合の使用が好ましい。結合は、例えば、例えばリシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシン等のペプチド単位の反応性アミノ酸またはN末端のアミノ基およびC末端のカルボン酸を介して起こることができる。
【0116】
ポリマー担体単位が適切な結合基を有さない場合、ペプチド単位上の少なくとも1つの反応基と反応することができるためにポリマーを適切に修飾するために、いくつかの結合物質を用いることができる。ポリマーを修飾するのに用いることができる、適した化学基は、例えば以下のものである。
【0117】
タンパク質のアミノ基と反応するアシル化基、例えば酸無水物基、N−アシルイミダゾール基、アジド基、N−カルボキシ無水物基、ジケテン基、ピロ炭酸ジアルキル基、イミドエステル基およびカルボジイミド−活性化カルボキシル基。上記の基のすべては、タンパク質/ペプチドのアミノ基と反応して、アシルまたは類似した結合を含む共有結合を形成することが知られている。
【0118】
ペプチドのアミノ基と反応する還元剤とともに、ハロ−カルボキシル基、マレイミド基、活性化ビニル基、エチレンイミン基、ハロゲン化アリール基、臭化2−ヒドロキシ5−ニトロ−ベンジル基等のペプチド単位のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、ならびに脂肪族アルデヒドおよびケトン基、
ジアゾカルボン酸基等の、タンパク質のカルボキシル基、ならびにカルボジイミドおよびアミン基とともに反応するエステルおよびアミド形成基、
5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)基およびアルキルメルカプタン基(ヨウ素等の酸化剤の存在下でタンパク質のスルフヒドリル基と反応する)等の、タンパク質のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、
シクロヘキサンジオン基等のジカルボニル基、およびペプチドのグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基、
ペプチドのフェノール基と反応するジアゾ基、
ペプチドのアミノ基と反応する、多糖との臭化シアンの反応からの反応基。
【0119】
したがって、要約すると、本発明の化合物は、(必要に応じて)まずポリマーを化学的に修飾して、ペプチド単位上の利用可能な、または導入された化学基と反応することができる少なくとも1つの化学基を有するポリマーを生成すること、および次いで(必要に応じて)修飾されたポリマーとペプチド単位とをともに反応させて、(必要であれば)修飾されたポリマーの化学基を利用して、共有結合した複合体を形成することによって製造され得る。
【0120】
結合がペプチドの遊離SH−基(例えばシステイン基)を介して起こる場合、ポリマー中のマレイミド基の使用が好ましい。
【0121】
定義された分子を生じるために、ペプチド単位をポリマー担体単位に結合させるための、標的化されたアプローチを用いることが好ましい。適切なアミノ酸が所望の結合部位に存在しない場合、適切なアミノ酸を二量体EPO模倣ペプチド単位に組み込むことができる。部位特異的ポリマー結合のために、いくつかの異なるポリエチレングリコール分子の集団を含む不均一な混合物につながるペプチド全体の制御されていない結合反応を避けるために、独特の反応基、例えばペプチド単位の末端の特定のアミノ酸が好ましい。
【0122】
ポリマー担体単位、例えばPEGまたはHESへのペプチド単位の結合は、主に当業者に公知の反応を用いて行われる。例えば、当業者にとって利用可能な、多くのPEGおよびHES結合方法がある(例えば、国際公開第2004/100997号、さらなる参考文献を挙げると、すべて参照によって本明細書中に援用される、Robertsら、2002年、米国特許第4064118号、EP1398322、EP1398327、EP1398328、国際公開第2004/024761号参照)。
【0123】
本明細書中に記載される超価の概念が、公知のPEG化またはHES化の概念と異なることを理解するのは重要である。技術の現状で、例えばPEG化は、ペプチド二量体を生成するため、または薬物動態学的パラメータを向上させるためのいずれかに用いられるだけである。しかしながら、上記で概略を述べたように、例えばポリマー担体単位としてのPEGへの2つ以上の少なくとも二価のペプチド単位の結合もまた、効率を大いに促進する(したがってEC50用量を減少させる)。したがって、本発明の概念は、技術の現状で公知のPEG化の概念の場合のように薬物動態学的パラメータだけでなく、薬力学的パラメータに対しても強力な効果を有する。しかしながら、勿論、ポリマー担体単位としての、例えばPEGの組込みもまた、薬物動態学に関する公知の利点を有する。
【0124】
PEG化は通常、ペプチドの生物薬剤学的特性を向上させるために取りかかられる。PEG複合の後の、タンパク質分子の最も関連性のある変化は、サイズ拡大、タンパク質表面および糖化機能マスキング、電荷修飾ならびにエピトープ遮蔽である。具体的には、サイズ拡大は、受動的促進浸透および保持機構によって、腎臓限外ろ過を減速させ、透過性組織への蓄積を促進する。タンパク質遮蔽は、排泄の重要な経路であるタンパク質分解および免疫系認識を減少させる。タンパク質の物理化学的および生物学的特性に対するPEG化の特定の効果は、タンパク質およびポリマーの特性ならびに採用されるPEG化戦略によって、厳密に決定される。
【0125】
しかしながら、超価分子の支持体単位としてのPEGまたは他の非生分解性ポリマーの使用は、新しい問題につながり得る。
【0126】
インビボ適用の間に、臨床環境における投与間隔は、薬物の効果の喪失によって引き起こされる。通法の投与および投与間隔は、投与間隔の間に効果が失われないように適合させられる。非生分解性の大きなポリマー単位(例えばPEG部分)に結合されたペプチドは支持体分子よりも速く分解されて体によって排泄され得るために、担体単位の蓄積の危険性が生じることがある。かかる蓄積の危険性は、薬物の効果半減期が薬物自体またはその構成要素/代謝産物の排泄半減期よりも短いので、常に生じる。したがって、ペプチドは通常非常に大きなPEG部分(約20〜40kD)でPEG化されるために遅い腎排出を示すので、担体分子の蓄積は避けられるべきである。ペプチド部分自体は、酵素的分解を受け、ペプチドを非活性化するには、部分的切断でも十分なことがある。
【0127】
この問題に対する解決法を見つけるために、本発明のある実施形態は、少なくとも2つのサブユニットで構成されるポリマー担体単位の使用を教示する。ポリマーサブユニットは、生分解性共有リンカー構造を介して連結される。この実施形態によると、大きな担体分子の分子量(例えば40kD)は、生分解性リンカーを介して連結された、いくつかの小さな、または中間のサイズのサブユニット(例えば、5〜10kDの分子量を有する各サブユニット)によって生じる。モジュラーサブユニットの分子量は大きな量になり、それによって、担体分子の所望の分子量を生じる。しかしながら、生分解性リンカー構造は体内で分解されることがあり、それによって、より小さい担体サブユニット(例えば5〜10kD)を放出する。小さい担体サブユニットは、全体的分子量(例えば40kD)を有するポリマー分子よりも良い腎クリアランスを示す。図16に例を挙げる。
【0128】
リンカー構造は、公知の分解特性および体液中の分解の期間に従って選択される。分解可能な構造は、例えば、加水分解によって切断することができるアミド/ペプチド結合またはエステルとして、カルボン酸誘導体等の切断可能な基を含むことができる(例えば、参照によって本明細書中に援用される、Roberts、2002年参照)。PEGスクシンイミジルエステルもまた、PEGバックボーン中の種々のエステル結合で合成されて、生理学的pHで分解速度を制御することができる(参照によって本明細書中に援用される、Zhao、1997年)。ベンジルウレタンのジスルフィドのような他の分解可能な構造は、細胞のエンドソーム区画中等の穏やかな還元性環境下で切断することができ(Zalipsky、1999年)、したがって、同様に適している。適切なリンカーの他の選択の基準は、速い(しばしば酵素的な)分解または遅い(しばしば非酵素的分解)分解に関する選択である。体液中のこれらの2つの機構の組合せもまた実行可能である。この高度に有利な概念が、本明細書中で記載または参照された特定のペプチド単位に限定されず、同じ蓄積の問題が生じるPEG分子等の大きなポリマー単位に結合された他の医薬分子にも適用されることは、明らかである。
【0129】
ある実施形態によると、ヒドロキシアルキルデンプンおよび好ましくはHESが、ポリマー担体単位として使用される。HESは、いくつかの重要な利点を有する。まず、HESは生分解性である。さらに、HESの生分解性は、エチル基の割合を介して制御することができ、したがって影響を受けることができる。30〜50%のエチル基が、本発明の目的のために十分適している。生分解性のために、PEGとの複合における上述のような蓄積問題は、通常起こらない。さらに、HESは、例えば代用血漿の形態で、医療に長年使用されている。したがって、その無害さは立証されている。
【0130】
さらに、HESの加水分解産物の誘導体は、ガスクロマトグラフィーによって検出可能である。HES−ペプチド複合体は、ペプチド単位が安定なままの条件下で加水分解することができる。これは、分解産物の定量およびモニタリングを可能にし、活性のあるペプチドの評価および正規化を可能にする。
【0131】
さらなる実施形態によると、第1の型のポリマー担体単位が使用され、ペプチド単位を負荷される。この第1の担体は、例えばHESのように、好ましくは容易に生分解される。しかしながら、第1の担体のすべての結合箇所がペプチド単位で占められるわけではなく、例えば約20〜50%のみが占められる。使用されるポリマーのサイズに依存して、数百のペプチド単位を担体分子に結合することができる。第1の担体の残りの結合箇所は、異なる担体、例えば第1の担体よりも低い分子量を有する小さいPEG単位で占められる。この実施形態は、第1の担体のために超価組成物が生じるが、これは好ましくは3〜5または10kDのPEG単位によって構成される第2の担体の存在のために非常に耐久性がある、という利点を有する。しかしながら、第1の担体(例えばHES)およびペプチド単位が生分解性であり、第2の担体、例えばPEGが体から容易に除かれるのに十分な程小さいので、全体的な実体は非常に分解性が高い。
【0132】
ペプチド単位の結合ドメインを構成する単量体は、ホモ二量体エリスロポイエチン受容体を認識する。ホモ二量体受容体であるという後者の特性は、EPO受容体を多くの他のサイトカイン受容体から区別する。上述のような、少なくとも2つのEPO模倣単量体結合ドメインを含むペプチド単位は、EPO受容体に結合し、好ましくはそれらの標的を二価、それぞれ多量体化および/またはそれを安定化することができ、したがって、それによって複合体を誘導するシグナルトランスダクションを生じる。
【0133】
本発明はまた、ペプチド単位がそれぞれの担体単位に連結される、それぞれの化合物生成方法を含む。本発明はさらに、ペプチド単位がそれぞれのポリマー担体単位に連結される、それぞれの化合物生成方法を含む。本発明の化合物は、ヒトおよび/または獣医医薬組成物の調製に有利に使用することができる。これらは、エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられる障害の治療、および特に任意の型の貧血および脳卒中の治療に特に適している。これらはまた、上述のすべての指示に使用可能である。かかる医薬組成物はまた、組成物を意図される投与手順に採用するために、薬学的に許容され得る担体を必要に応じて含むことができる。適した送達方法ならびに担体および添加物は、例えば、参照によって本明細書中に援用される、国際公開第2004/100997号および国際公開第2004/101611号に記載されている。
【実施例】
【0134】
超価分子の概念を、実施例によって説明する。図13は、本発明の単純な超価分子の例を示す。2つの連続した二価EPO模倣ペプチドが、マレイミド基を有する二官能性PEG部分によってN末端で連結されている。PEG担体単位の反応性結合部位として、システインを選択した。
【0135】
しかしながら、超価分子は、2つより多い連続した二価または多価ペプチド単位を含むことができる。図14は、分枝単位として中央のグリセロール単位を有し、3つの連続した二価ペプチドを含む担体単位に基づいた例を挙げる。ここでも、結合にシステインを用いた。図20は、ポリマー担体単位としてHESを用いた例を示す。HESを、ペプチド単位のSH基と反応するマレイミド基を有するように修飾した。実施例によると、すべての結合部位はペプチド単位に結合している。しかしながら、小さいPEG単位(例えば3〜10kD)もまた、結合部位の少なくとも一部を占めることができた。
【0136】
上記で説明したように、超価概念はまた、樹状および/またはポリマー担体単位がより多数の連続した二価ペプチドに連結した、多価樹状ポリマーにも拡張することができる。例えば、樹状分枝単位は、ポリグリセロールに基づき得る(参照によって本明細書中に援用される、Haag、2000年を参照されたい)。
【0137】
6つの連続した二価ペプチドを含む樹状分枝単位を有する担体単位に基づく超価分子の例を、図15に示す。
【0138】
超価分子の他の例は、例えば過ヨウ素酸を用いて酸化されて多数のアルデヒド官能基を含む、デンプンまたはデキストランを有する担体単位を含む。第2の工程において、多くの二価ペプチドを担体単位に結合させ、ともに最終的な分子を形成させる。数百(例えば50〜1000、好ましくは150〜800、より好ましくは250〜700)ものペプチド単位を、例えばHESである担体分子に結合させることができることに留意されたい。
【0139】
図16は、単純な生分解性超価分子の概念を示す。2つの連続した二価EPO模倣ペプチドが、中間の切断位置を有する生分解性リンカーを介して連結された2つの二価PEG部分によってN末端で連結している。リンカーは、サブユニット中の大きなPEG単位の分解を可能にし、それによって腎クリアランスを容易にする。
【0140】
I.単量体のペプチド合成
手作業の合成
PL−Rink−アミド−樹脂(置換速度0.4mmol/g)または0.4mmolの規模の前処置されたWang−樹脂を用いたDiscoverマイクロ波システム(CEM)の使用によって合成を行う。Fmoc基の除去を、30mlのピペラジン/DMF(1:3)の添加および3×30秒間の100Wの照射によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰のアミノ酸の添加および5×30秒間の50Wの照射によって達成する。すべての照射サイクルの間に、氷浴の助けを借りて溶液を手作業で冷却する。脱保護および結合の後、30mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、1.268mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を30mlのDMFで6回洗浄し、30mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過する。沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0141】
自動化合成
PL−Rink−アミド−樹脂(置換速度0.4mmol/g)または0.25mmolの規模の前処置されたWang−樹脂を用いたOdysseyマイクロ波システム(CEM)の使用によって、合成を行う。Fmoc基の除去を、10mlのピペラジン/DMF(1:3)の添加および10×10秒間の100Wの照射によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰のアミノ酸の添加および5×30秒間の50Wの照射によって達成する。すべての照射サイクルの間に、反応混合物に窒素の泡を吹き込むことによって溶液を冷却する。脱保護および結合の後、10mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、0.793mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を10mlのDMFで6回洗浄し、10mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過し、沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させ、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0142】
精製
Nebula−LCMS−システム(Gilson)を使用して、すべてのペプチドを精製した。すべてのペプチドの粗原料を、アセトニトリル/水(1/1)中に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製した。流速は20ml/分、LCMS分割比は1/1000であった。
【0143】
II.分子内ジスルフィド架橋の形成
K3[(FeCN6)での環化
溶液1:10mgのペプチドを0.1%TFA/アセトニトリルに溶解させ、0.5mg/mlの濃度に達するまで水で希釈する。およそ8のpHに達するまで、固形重炭酸アンモニウムを加える。
【0144】
溶液2:第2のバイアル中、10mlの0.1%TFA/アセトニトリルを、10mlの水で希釈する。8のpHに達するまで固体重炭酸アンモニウムを加え、K3[(FeCN6)]の0.1M溶液を1滴加える。
【0145】
溶液1および2を、3時間にわたってアセトニトリル/水(1/1、pH=8)の混合物に滴下する。混合物を室温で一晩インキュベートし、LCMSによって混合物を濃縮および精製する。
【0146】
CLEAR−OX(商標)樹脂での環化
100mlのアセトニトリル/水(1/1、0.1%TFA)に、8のpHに達するまで固形重炭酸アンモニウムを添加する。30分間アルゴンの泡を吹き込むことによって、この溶液から脱気する。ここで100mgのCLEAR−OX(商標)樹脂を加える。10分後、10mgのペプチドを固体として加える。2時間のインキュベーション後、LCMSによって溶液をろ過、濃縮および精製する。
【0147】
環状ペプチドの精製
Nebula−LCMSシステム(Gilson)を使用して、すべてのペプチドを精製した。すべてのペプチドの粗原料を、アセトニトリル/水(1/1)またはDMSO中に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18またはC8 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製した。流速は20ml/分、LCMS分割比は1/1000であった。
【0148】
III.単量体でのインビトロアッセイ
BrdU組込みによる、TF−1細胞での増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF−1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、RPMI培地、20%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミン、0.5ng/mlインターロイキン3を補充)を洗浄(5分間1500rpmで遠心分離し、IL3のないRPMI培地に500,000細胞/mlで再懸濁)し、アッセイの開始前にIL−3なしで24時間前培養する。翌日、細胞を、通常試験する薬剤あたり、少なくとも6つの濃度および1つの濃度あたり少なくとも10,000細胞/ウェルを含む4ウェルを用いて、24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、陽性対照作用物質としての組換えEPOおよび陰性対照作用物質としてのサイトカインの添加のないウェルを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照を所望の濃度まで培地中に前もって希釈し、細胞に加え、標準的培養条件下(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和した大気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この3日間の培養期間の間のウェル中の作用物質の終濃度をいう。この培養期間の終わりに、FdUを8ng/ml培地の終濃度まで添加し、培養を6時間続ける。次いで、BrdU(ブロモデオキシウリジン)およびdCd(2−デオキシシチジン)をそれらの終濃度(10ng/ml BrdU、8ng/ml dCD、培地中の終濃度)まで添加し、培養をさらに2時間続ける。
【0149】
このインキュベーションおよび培養期間の終わりに、1.5%BSAを含有するリン酸緩衝生理食塩水で細胞を1回洗浄し、最小量の液体中に再懸濁する。この懸濁液から、細胞を70%エタノール中に−20℃で滴下する。ここから、細胞を氷上で10分間インキュベートし、次いで直接解析するか、または解析の前に4℃で保存することができる。
【0150】
解析の前に、遠心分離によって細胞をペレット化し、上清を廃棄し、細胞を最小量の残った液体に再懸濁する。次いで細胞を0.5mlの2M HCl/0.5%triton X−100中に懸濁および10分間インキュベートする。次いでそれらを再びペレット化し、最小量の残った液体に再懸濁し、直後の細胞の再ペレット化の前に、0.5mlの0.1N Na2B4O7、pH8.5で希釈する。最後に、細胞を40μlのリン酸緩衝生理食塩水(1.5%BSA)に再懸濁し、それぞれ20μlの細胞懸濁液を含む2つの反応チューブに分割する。2μlの抗BrdU−FITC(DAKO、クローンBu20a)を一方のチューブに添加し、2μlの対照mlgG1−FITC(Sigma)を第2のチューブに添加して、室温で30分間のインキュベーション期間を開始する。次いで、0.4mlのリン酸緩衝生理食塩水および10μg/mlのヨウ化プロピジウム(終濃度)を添加する。フローサイトメーターにおける解析は、4C細胞またはより高い倍数性を有する細胞の分画およびBrdU陽性細胞の分画をいい、したがって、細胞周期の関連性のある段階の細胞の分画を決定する。
【0151】
MTTによる、TF−1細胞での増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF−1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、RPMI培地、20%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミン、0.5ng/mlインターロイキン3を補充)を洗浄(5分間1500rpmで遠心分離し、IL3のないRPMI完全培地に500,000細胞/mlで再懸濁)し、アッセイの開始前にIL−3なしで24時間前培養する。翌日、細胞を、通常試験する作用物質あたり、少なくとも6つの濃度および1つの濃度あたり少なくとも10,000細胞/ウェルを含む4ウェルを用いて、24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、陽性対照作用物質としての組換えEPOおよび陰性対照作用物質としてのサイトカインの添加のないウェルを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照を所望の濃度まで培地中に前もって希釈し、細胞に加え、標準的培養条件下(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和した大気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この4日間の培養期間の間のウェル中の作用物質の終濃度をいう。
【0152】
4日目、解析の開始前に、既知の数のTF−1細胞の希釈系列を、いくつかのウェル中で調製する(100μlの培地中0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェル)。これらのウェルを、試験ウェルと同じように処理し、細胞数を決定することができる検量線を後に提供する。これらの参照ウェルを構成して、MTT増殖キット(プロメガ、CellTiter 96水性非放射活性細胞増殖アッセイ)からのMTSおよびPMSを37℃の水浴中で解凍し、100μlのPMS溶液を2mlのMTS溶液に添加する。この混合物の20μlをアッセイプレートの各ウェルに加え、37℃で3〜4時間インキュベートする。ELISA読み取り装置におけるE492の測定の前に、25μlの、水中10%ドデシル硫酸ナトリウムを各ウェルに加える。
【0153】
プログラムGraphPadを用いた用量応答関係の計算に基づく図17および18に示すようなグラフでの評価を用いて、MTTアッセイのデータに基づいて以下のEC50値を決定した。
【0154】
以下の表は、いくつかの例示的ペプチドのEC50値を示す。
【0155】
【化36】
。
【0156】
IV.二価EPO模倣ペプチドの合成
直鎖状の配列番号11(AGEM11)の自動化合成
0.25mmolの規模のRink−アミド−樹脂(置換速度0.19mmol/g)を用いたLibertyマイクロ波システム(CEM)の使用によって合成を行う。Fmoc基の除去を、10mlのピペラジン/DMF(1:3)および10×10秒間の50Wの照射の二重処理によって達成する。アミノ酸の結合を、結合添加物としてのDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の4倍過剰のアミノ酸および5×30秒間の50Wの照射の二重処理によって達成する。すべての照射サイクルの間に、反応混合物に窒素を吹き込むことによって溶液を手作業で冷却する。脱保護および結合の後、10mlのDMFで樹脂を6回洗浄する。二重結合サイクルの後、すべての未処理アミノ基を、10倍過剰のN−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(0.2M DMF溶液)および3×30秒間の50Wの照射での処理によってブロックする。最後のアミノ酸の脱保護の後、0.793mlのキャッピング溶液(100mlのDMSO中4.73mlの無水酢酸および8.73mlのDIEA)との5分間のインキュベーションによって、いくつかのペプチドをアセチル化する。次いで樹脂を10mlのDMFで6回洗浄し、10mlのDCMで6回洗浄してから、切断する。粗ペプチドの切断を、不活性な大気下で、5mlのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)で120分間の処理によって達成する。この溶液を40mlの冷たいエーテル中にろ過し、沈殿をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0157】
したがって、直鎖状AGEM11、Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mmおよび使用したグラジエントの精製概略図を、50分で5%〜50%アセトニトリル(0.1%TFA)まで、図8および9に示す。
【0158】
AGEM11の環化
【0159】
【化37】
30mgの直鎖状ペプチドを60mlの溶液Aに溶解する。この溶液および60mlのDMSOを、60mlの溶液Aに滴下する(添加の合計時間は3時間)。48時間後、蒸発によって溶媒を除去し、残った残渣を30mlのDMSO/水(1/1)に溶解する。30mlの酢酸および17mgのヨウ素(DMSO/水(1/1)に溶解)を添加し、溶液を90分間室温で混合する。その後、20mgのアスコルビン酸を添加し、蒸発によって溶媒を除去する。この粗混合物をアセトニトリル/水(2/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)によってペプチドを精製する。
【0160】
溶液A:0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水(1/1)。重炭酸アンモニウムの添加によってpHを8.0に調節する。
【0161】
環状AGEM11の精製パラメータを図10および11に示す(概略図:環状AGEM11の精製、Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm、50分で5%〜35%アセトニトリル(0.1%TFA)のグラジエント)。
【0162】
V.EPO活性を決定するインビトロ増殖アッセイ
対数増殖期にあるTF1細胞(約2×105〜1×106細胞/ml、20%ウシ胎仔血清(FCS)および0.5ng/ml IL3を含むRPMI中で増殖)を計数し、アッセイを行うのに必要な細胞の数を遠心分離(5分間1500rpm)し、5%FCSを含み、IL−3のないRPMIに300000細胞/mlで再懸濁した。このIL−3のない(飢餓)培地中で、細胞を48時間前培養した。アッセイを開始する前に、細胞を再度計数した。
【0163】
アッセイを開始する直前に、ペプチドおよびEPOのストック溶液を調製した。ペプチドを計量し、1mM、467μMまたは200μMの濃度まで、5%FCSを含むRPMIに溶解した。EPOストック溶液は、10nMまたは20nMであった。これらのストック溶液の292μlを、96ウェル培養プレートの1つのウェルにピペットで移し、試験する各物質について1つのプレートを採取した。5%FCSを含む200μlのRPMIを、各プレートの17個の他のウェルにピペットで移した。92μlのストック溶液を、200μlの培地を含むウェルにピペットで移した。内容物を混合し、このウェルからの92μlを隣から隣へと移していった。このようにして、各連続したウェルにおいて濃度がその前のウェル中の濃度の1:√10であるように、各物質の希釈系列(18の希釈物)を調製した。各ウェルから、3×50μlを3つの空のウェルに移した。このようにして、物質の各濃度を4つ一組で測定した。各プレートのウェルの一番上および一番下の列は空のままであったことに留意されたい。
【0164】
前処理した(飢餓)細胞を遠心分離(5分間1500rpm)し、5%FCSを含むRPMIに1mlあたり200000細胞の濃度で再懸濁した。50μlの細胞懸濁液(10000個の細胞を含む)を各ウェルに加えた。細胞の添加のためにウェル中の物質の終濃度が元の希釈範囲の半分であったことに留意されたい。プレートを5%CO2中、37℃で72時間インキュベートした。
【0165】
評価を開始する前に、ウェル中への既知の量の希釈範囲のTF−1細胞を調製した。0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェルを4つ一組でピペットで移した(100μlのRPMI+5%FCS中)。
【0166】
1ウェルあたりの生細胞の数を測定するために、既製のMTT試薬(Promega、CellTiter 96水性一溶液細胞増殖アッセイ)を、37℃水浴中で解凍した。1ウェルあたり20μlのMTT試薬を加え、プレートを5%CO2中37℃で、さらに1〜2時間インキュベートした。25μlの10%SDS溶液を加え、プレートをELISA読み取り装置(Genios、Tecan)において測定した。スプレッドシート(Excel)中でデータを処理し、Graphpadにプロットした。
【0167】
図12にデータを要約する。
【0168】
ED50(nM)
EPO 0.0158
BB49(単量体、配列番号2) 4113
AGEM11(二価) 36.73。
【0169】
VI.拡張されたペプチドアッセイ
拡張されたアッセイにおいて、およそ200個のペプチド配列を、それらのEPO模倣活性に関して試験した。
【0170】
LIPS−Varioシンセサイザーシステムで、ペプチドアミドとしてペプチドを合成した。特別なMTP合成プレート中で合成を行い、規模は1ペプチドあたり2μmolであった。合成は、活性化試薬としてHOBTを用いた標準的なFmocプロトコルに従った。4回の結合として結合工程を行った。各結合工程は25分を要し、1工程あたりの過剰なアミノ酸は2.8であった。90%TFA、5%TIPS、2.5%H2Oおよび2.5%DDTを含有する切断溶液で、ペプチドの切断および脱保護を行った。樹脂に結合した完成ペプチドを含む合成プレートを、96ディープウェルプレートの上部で保存した。50μlの切断溶液を各ウェルに加え、10分間切断を行い、この手順を3回繰り返した。切断したペプチドを、ディープウェルプレートへの重力流によって、200μlの切断溶液で溶出した。さらに2.5時間、ディープウェルプレート内で側鎖官能基の脱保護を行った。その後、氷冷エーテル/ヘキサンでペプチドを沈殿させ、遠心分離した。ペプチドを中性の水溶液に溶解させ、環化を4℃で一晩インキュベートした。ペプチドを凍結乾燥した。
【0171】
図19は、合成および試験したペプチド単量体に関する概観を示す。
【0172】
インビトロ増殖アッセイにおいて、ペプチドを、それらのEPO模倣活性に関して試験した。下記のVに記載するようにアッセイを行った。各アッセイ日に、38個の試験ペプチド、1つの参照例、およびEPOのインビトロ活性を並行して測定するために、40個のマイクロタイタープレートを調製した。EPOストック溶液は20nMであった。
【0173】
図19に結果を示す。結果からわかるように、本発明のコンセンサスを満たさない、試験したペプチドは、EPO模倣活性を示さなかった。
【0174】
VII.ペプチドHES−複合体の合成
原理反応概略図を図21に示す。
【0175】
記載される方法の狙いは、本実施例のHESに従った、穏やかな水性反応条件下でチオール基と選択的に反応する、デンプンの誘導体の生成である。この選択性は、マレイミド基で到達される。
【0176】
HESを、まずアミノ基で官能化し、その後それぞれのマレイミド誘導体に転換する。限外ろ過膜を介して、反応バッチから低分子量反応物を除いた。生成物、中間体生成物ならびに抽出物はすべて多分散系である。
【0177】
アミノ−HES(AHES)の合成
ダイアフィルトレーションおよびそれに続く凍結乾燥を介して、ヒドロキシエチルデンプン(Voluven(登録商標))を得た。平均分子量は、40%の置換グレードの、およそ130kDaであった。
【0178】
参照によって本明細書中に援用される、Jacob Piehlerの論文、「Modifizierung von Oberflachen fur die thermodynamische und kinetische Charakterisierung biomolekularer Erkennung mit optischen Transducern」、1997年のアミノデキストランに関して記載されている合成に従って、合成を行った。Floorら(1989年)に記載されているように、過ヨウ素酸ナトリウムでの、ジオールの水酸基のアルデヒドへの部分的な選択的酸化によって、HESを不活性化した。アンモニア存在下で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)での還元的アミノ化を介してアルデヒド基をアミノ基に転換した(YalpaniおよびBrooks、1995年)。
【0179】
過ヨウ素酸塩開始:過ヨウ素酸塩の使用量は、グルコースビルディングブロックの20%の数を示す(180g/molのグルコースビルディングブロック塊を適用、DS=0,4)。限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0180】
MH4Cl/Na[BH3CN](過剰)での還元的アミノ化
生成物の沈殿およびダイアフィルトレーションを介した作製
解析
定性的:ニンヒドリン反応(Kaiser試験)
定量的:アミノデキストランと比較して2,4,6−ニトロベンゾールスルホン酸(TNBS)を用いる
得られた置換グレードは、約2.8%であった。これは、およそ6400g/molの1つのアミノ基を有する1つのビルディングブロックのモル質量を生じる。
【0181】
マレイミドプロピオニル−アミノ−ヒドロキシエチルデンプン(「MalPA−HES」)の合成
合成
3−マレイミドプロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MalPA−OSu)を過剰に用い(10倍)(50mMリン酸バッファー、pH7、20%DMF、一晩)、限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0182】
解析
アミノ基の反応をニンヒドリンおよびTNBSで実証した。
【0183】
導入されたマレイミド基の数を、グルタチオン(GSH)の反応、およびエルマン試薬(DNTB)での、700MHz−1H−NMR分光学を介した過度のチオール基の検出よって示した。
【0184】
得られた置換グレードは約2%であり、マレイミドビルディングブロックあたり8500g/molに相当する(180g/molのグルコースビルディングブロック塊、DS=0,4)。
【0185】
ペプチド−ヒドロキシエチルデンプン−複合体(Pep−AHES)
合成
遊離(Pep−IA)またはビオチン化(Pep−IB)N末端のいずれかを有するシステイン含有ペプチドを用いた。Pep−IA/Bの4:1混合物を一晩過剰に(およそ6当量)リン酸バッファー、50mM、pH6.5/DMF 80:20中のMalPA−HESで転換し、限外ろ過および凍結乾燥によって後処理を行った。
【0186】
解析
UV吸収を280nmで測定し、マレイミド基の残りの内容物をGSH/DNTBで測定した。
【0187】
ペプチド収量はほとんど定量的であった。検出可能な遊離マレイミド基は、ほとんどまったくなかった。
【0188】
VIII.抗体交差反応性アッセイ
本願の序文に記載したように、患者は時々、rhuEPOに対する抗体を発生させる。これは、序文に記載した深刻な結果につながる。
【0189】
本発明のペプチドの特性をさらに調査するために、ペプチドが実際に抗EPO抗体と交差反応するかどうかを解析した。
【0190】
抗EPO抗体を含有する、ウサギおよびヒト血清を試験に使用した。EPOまたは以下のEPO模倣ペプチドのいずれかで、これらの血清を前処理した。
【0191】
【化38】
異なる濃度のエリスロポイエチンおよびEPO模倣ペプチドを解析で使用した。血清中に存在する抗EPO抗体を吸着させるための試験物質での血清の前処理の後、血清を放射活性標識エリスロポイエチンで処理した。前吸着工程の後に血清中に残っている抗体はエリスロポイエチンによって結合し、再度免疫沈降する。この試験に用いたプロトコルは、参照によって本明細書中に援用される、Taceyら、2003年に記載されている。
【0192】
EPOまたは本発明のEPO模倣ペプチドのいずれかを用いて行った、抗EPO抗体含有血清での前吸着の結果を、図22に開示する。
【0193】
血清をEPO模倣ペプチドで前処理すると、血清はその後、放射活性標識エリスロポイエチンに接触させると陽性を示した。したがって、抗EPO抗体は、前処理にもかかわらず血清中で検出された。これは、EPO模倣ペプチドが前処理の間に抗EPO抗体に結合できなかったことを意味する。結合活性なしで、抗EPO抗体はEPO模倣ペプチドとともに血清から排除されず、したがって、血清中に残る。抗EPO抗体はEPO模倣ペプチドを認識できず、したがって、EPO模倣ペプチドに結合できなかった。
【0194】
組換えヒトEPO(rhuEPO)を対照として使用した。血清をエリスロポイエチンで前処理すると、エリスロポイエチンでの前処理によって抗体はすでに結合および排除されていたので、ほとんどの場合、それに続く放射活性標識エリスロポイエチンを取り込むアッセイにおいて、検出可能な抗体はなかった。
【0195】
図22に示す絶対値は、IPで使用した全計数の%cpmを表す。%cpm値が0.9より大きいと、血清は陽性と評価される。100%cpmは、全体の使用した計数(放射活性トレーサ)の量、現在のところ放射活性標識EPOを表す。
【0196】
アッセイから、本発明のEPO模倣ペプチドは有利に抗EPO抗体に対する交差反応性を示さないことが示される。したがって、本明細書中に記載されるEPO模倣ペプチドは、rhuEPOに対する抗体を発生させた患者においても治療効果を示す。さらに、EPO模倣ペプチドに対する抗体はエリスロポイエチンに結合しないと予想される。したがって、本発明のEPO模倣ペプチドはまた、好ましくは、それらが抗EPO抗体との有意な交差反応性を示さない点で特徴付けられる。
【0197】
(参考文献)
【0198】
【化39】
。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【図3】図3である。
【図4】図4である。
【図5】図5である。
【図6】図6である。
【図7】図7である。
【図8】図8である。
【図9】図9である。
【図10】図10である。
【図11】図11である。
【図12】図12である。
【図13】図13である。
【図14】図14である。
【図15】図15である。
【図16】図16である。
【図17】図17である。
【図18】図18である。
【図19−1】図19である。
【図19−2】図19である。
【図19−3】図19である。
【図19−4】図19である。
【図19−5】図19である。
【図20】図20である。
【図21】図21である。
【図22】図22である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、長さが少なくとも10アミノ酸のペプチドであって、EPO模倣ペプチドがEPO模倣ペプチドの10位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
【請求項2】
前記EPO模倣ペプチドが折りたたみ構造に特徴的なアミノ酸モチーフ(β−ターンモチーフ)を有し、前記ペプチドが10位でβ−ターンモチーフにプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸、好ましくはKを含むことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
9位および10位が5−アミノレブリン酸(5−Als)
【化1】
で占められていることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
17位に、正に荷電したアミノ酸、好ましくはKまたはHarを有することを特徴とする、請求項1〜3の一項に記載のペプチド。
【請求項5】
特にEPO受容体に結合することができ、以下のアミノ酸の配列:
【化2】
を含み、
配列中、各アミノ酸が天然または非天然アミノ酸から選択され、
X6がC、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
X7がR、H、L、WもしくはYもしくはSであり、
X8がM、F、I、ホモセリンメチルエーテルもしくはノルイソロイシンであり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であるか、
またはX9およびX10が単一のアミノ酸によって置換されており、
X11が任意のアミノ酸から選択され、
X12がTもしくはAであり、
X13がW、1−nal、2−nal、AもしくはFであり、
X14がD、E、I、LもしくはVであり、
X15がC、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
ただしX6もしくはX15のいずれかがCもしくはhocである、
ペプチド。
【請求項6】
以下のアミノ酸の配列:
【化3】
を特徴とし、
配列中、各アミノ酸が標準的文字省略形によって示され、
X6がCであり、
X7がR、H、LもしくはWであり、
X8がM、FもしくはIであり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であり、
X11が任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12がTであり、
X13がWであり、
X14がD、E、I、LもしくはVであり、
X15がCであるか、
またはX9およびX10が単一のアミノ酸によって置換されているか、
あるいは以下のアミノ酸配列:
【化4】
を特徴とし、
配列中、X6がCであり、
X7がR、H、LもしくはWであり、
X8がM、F、Iもしくはhsm(ホモセリンメチルエーテル)であり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であり、
X11が任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12がTであり、
X13がWであり、
X14がD、E、I、LもしくはV、1−nal(1−ナフチルアラニン)もしくは2−nal(2−ナフチルアラニン)であり、
X15がCである、
請求項5に記載のペプチド。
【請求項7】
X10が正に荷電した側鎖を有するアミノ酸、好ましくはR、Kもしくはそれぞれの非天然アミノ酸、好ましくはHarであるか、またはX9およびX10が単一のアミノ酸、好ましくは5−アミノレブリン酸(Als)もしくはアミノ吉草酸によって置換されていることを特徴とする、請求項5または6の一項に記載のペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7の一項に記載のペプチドであって、
以下のアミノ酸配列:
【化5】
を含み、
配列中、X6〜X15が請求項1〜7に記載される意味を有し、
X4がYであり、
X5が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである、
ペプチド。
【請求項9】
請求項8に記載のペプチドであって、
以下のアミノ酸配列
【化6】
を含み、
配列中、X4〜X15が請求項8に記載の意味を有し、
X3が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVであり、
X16が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTであり、
X17が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、G、P、R、K、Y、または正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸、好ましくはホモアルギニンであり、
X18が任意のアミノ酸から独立して選択される、
ペプチド。
【請求項10】
X6がC、E、Aもしくはhoc、好ましくはCであり、そして/またはX7がR、S、HもしくはYであり、そして/またはX8がFもしくはMであり、そして/またはX9がGもしくはA、好ましくはGであり、そして/またはX10がKもしくはHarであり、そして/またはX11がV、L、I、M、E、A、Tもしくはノルイソロイシンであり、そして/またはX12がTであり、そして/またはX13がWであり、そして/またはX14がDもしくはVであり、そして/またはX15がCもしくはhoc、好ましくはCであり、そして/またはX17がP、Y、AもしくはKもしくはHarである、請求項1〜9の一項に記載のペプチド。
【請求項11】
【化7−1】
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、5−アミノレブリン酸(Als)は、
【化7−2】
である、請求項1または5に記載のペプチド。
【請求項12】
【化8】
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
配列中、Xが1−ナフチルアラニンであり、Uが2−ナフチルアラニンである、請求項1〜11の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項13】
単一のアミノ酸の保存的交換によって修飾され、好ましくは1、2または3つより多くないアミノ酸が交換されることを特徴とする、請求項1〜12の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項14】
抗EPO抗体と交差反応しないことを特徴とする、請求項1〜13の一項に記載のペプチド。
【請求項15】
前記ペプチドが修飾され、前記修飾が好ましくはN末端および/またはC末端アセチル化(Ac)および/またはアミド化(Am)、好ましくは分子内ジスルフィド架橋を介した分子内環化、および/またはリン酸化からなる群より選択され、N−メチルグリシン(meG)としてのC末端グリシンの修飾およびN−アセチルグリシン(AcG)としてのN末端グリシンの修飾が特に好ましく、そして/または前記ペプチドがポリマー部分に結合され、前記部分が好ましくはポリエチレングリコール、デキストランおよびデンプンからなる群より選択される、請求項1〜14の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項16】
請求項1〜15の少なくとも一項に記載のペプチドであって、請求項1〜15で定義されたペプチド配列の単量体、二量体または多量体のいずれかを形成する、ペプチド。
【請求項17】
前記二量体または多量体が、分枝または非分枝構造を有するホモマーまたはヘテロマーのいずれかであり、前記単量体ペプチド単位が互いにN末端からN末端、C末端からC末端、またはN末端からC末端へ連結される、請求項16に記載のペプチド。
【請求項18】
リンカーおよび/またはスペーサー単位を含む、請求項15または17の一項に記載のペプチド。
【請求項19】
受容体に対する結合能を有する少なくとも2つのドメインを含み、前記ドメインが請求項1〜14および55で定義されるアミノ酸配列を含む、連続したペプチド鎖を有する合成ペプチド。
【請求項20】
少なくとも2つの異種結合ドメインを含む、請求項19に記載の合成ペプチド。
【請求項21】
天然または非天然アミノ酸残基の連結部分(リンカー)を含む、請求項19または20に記載の合成ペプチド。
【請求項22】
連結部分が3〜5個のグリシンおよび/もしくはアラニン残基またはそれらの誘導体を含む、請求項19〜21の一項に記載の合成ペプチド。
【請求項23】
前記リンカーが、結合ドメインの一部を形成するアミノ酸によって提供される、請求項19〜22の一項に記載の合成ペプチド。
【請求項24】
【化9】
または請求項1〜14で定義されるペプチド配列の1つから選択されるペプチド配列を含み、さらなるアミノ酸、好ましくはN末端のシステインのような反応性側鎖を必要に応じて有するアミノ酸を有し、それぞれの配列中に存在する場合、第1のシステインと第2のシステインとの間の分子内ジスルフィド架橋、および/または第3のシステインと第4のシステインとの間の分子内ジスルフィド架橋を必要に応じて含む、請求項19に記載の合成ペプチド。
【請求項25】
少なくとも、以下:
a.第1のペプチド
b.第2のペプチドならびに
c.好ましくは前記第1および第2のペプチドを連結する連結部分(リンカー)
を含み、
前記ペプチドの少なくとも1つが、請求項1〜14、24または55の一項で定義されるアミノ酸配列を含むペプチド単位を含む、
ペプチド二量体または多量体。
【請求項26】
前記第1のペプチドのC末端が前記第2のペプチドのN末端に共有結合しているか、または前記ペプチドのC末端が前記第2のペプチドのC末端に共有結合しているか、または前記第1のペプチドのN末端が前記第2のペプチドのN末端に共有結合している、請求項25に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項27】
前記リンカーが天然および/または非天然アミノ酸、好ましくはグリシン、アラニン、またはそれらの誘導体の配列を含む、請求項25または26に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項28】
前記リンカー/スペーサー単位がジケトピペラジン単位を含む、請求項25〜27に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項29】
前記リンカーが二価ジアシルビルディングブロック、好ましくは脂肪族ジカルボン酸由来のジアシルビルディングブロックである、請求項26に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項30】
前記第1のペプチドのアミノ酸側鎖が前記第2のペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合している、請求項25に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項31】
前記ペプチドに共有結合した水溶性ポリマー、好ましくはポリエチレングリコール、デキストランまたはデンプンからなる群より選択される水溶性ポリマーをさらに含む、請求項1〜30のいずれかに記載のペプチド。
【請求項32】
前記水溶性部分がPEG、好ましくは少なくとも10kD、最も好ましくは20と60KDとの間の分子量を有するPEGである、請求項31に記載のペプチド。
【請求項33】
(i)各ペプチド単位が標的への結合能を有する少なくとも2つのドメインを含み、前記結合ドメインが請求項1〜14または55のいずれか一項で定義されるアミノ酸配列を含む、少なくとも2つのペプチド単位;
(ii)少なくとも1つのポリマー担体単位
を含み、
前記ペプチド単位が前記ポリマー担体単位に結合されている、標的分子に結合する化合物。
【請求項34】
前記担体単位が少なくとも1つの天然または合成の分枝、樹状または直鎖状のポリマーであるか、またはこれを含み、好ましくはポリグリセリン、ポリシアリン酸、デキストラン、デンプンまたはポリエチレングリコールからなる群より選択されるか、または他の生物学的に不活性な水溶性ポリマーに由来する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記担体単位が分枝単位を含む、請求項33または34に記載の化合物。
【請求項36】
前記分枝単位がグリセロールまたはポリグリセロールを含む、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
前記担体分子が少なくとも5kD、好ましくは20〜200または4000kDの分子量を有し、そしてポリエチレングリコールのようなより小さい担体が使用される場合は20〜80kDの分子量を有する、請求項33〜36の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項38】
前記担体単位が少なくとも2つのポリマーサブユニットを含み、前記ポリマーサブユニットが少なくとも1つの生分解性共有リンカー構造を介して互いに連結されている、請求項33〜37の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項39】
第1の生分解性担体単位を含み、ペプチド単位および第2のポリマー担体単位が前記第1のポリマー担体単位に結合している、請求項33〜38の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項40】
前記第2の担体単位が前記第1の担体単位よりも低い分子量を有し、好ましくはHESのようなヒドロキシアルキルデンプンである前記第1の担体単位のおよそ20〜50%の結合部位が、好ましくは分子量約3〜10kDのポリエチレングリコールである前記第2の担体単位で占められている、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
修飾されたポリマー担体単位が使用される、請求項33〜40の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項42】
前記ペプチド単位が共有結合を介して前記ポリマー担体単位に結合しており、前記ペプチド単位の反応性アミノ酸、N末端アミノ基および/またはC末端カルボン酸を介して結合が起こり、前記反応性アミノ酸が好ましくはリシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニンおよびチロシンからなる群より選択され、
ポリマーが適切な反応性結合基を有さない場合はポリマー担体単位の修飾に結合物質が使用され、
前記結合物質は好ましくはペプチド単位のアミノ基と反応するアシル化基、ペプチド単位のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基からなる群より選択され、最も好ましくはマレイミド基、ペプチド単位のカルボキシル基と反応するエステルおよびアミド形成基、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)基およびアルキルメルカプタン基、シクロヘキサンジオン基のようなジカルボニル基のようなペプチド単位のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、およびペプチド単位のグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基;ペプチドのフェノール基と反応するジアゾ基;ペプチド単位のアミノ基と反応する、ポリマーと臭化シアンとの反応に由来する反応基からなる群より選択される、
請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
前記反応性アミノ酸がシステインであり、結合基がマレイミドである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
前記ペプチド単位の前記結合ドメインがリンカー構造を介して内部で連結される、請求項33〜43の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項45】
リンカーが連続したペプチドリンカーである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
医薬組成物の調製のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項47】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための医薬組成物の調製のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項48】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項49】
請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載の化合物、および必要に応じて薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項50】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
(i)各ペプチド単位が受容体に対する結合能を有する少なくとも2つのドメインを含む、少なくとも2つのペプチド単位を生じること、
(ii)少なくとも1つのポリマー担体単位を生じること、
(iii)前記ペプチド単位を前記ポリマー担体単位に結合させること
を含む、請求項33〜45の少なくとも一項に記載の化合物を生成する方法。
【請求項52】
前記ペプチド単位が連続したペプチド鎖として合成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ペプチド単位上の利用可能な化学基と反応することができ、次いでポリマー担体単位の化学基を利用して反応性ポリマー担体単位とペプチド単位をともに反応させて共有結合したその複合体を形成することができる少なくとも1つの化学基を有するポリマー担体単位が使用される、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1〜14および16のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項55】
請求項1〜14の少なくとも一項に記載のペプチドのinverso型および/またはretro/inverso型ペプチド、または完全にD−アミノ酸からなるそれぞれのペプチドであることを特徴とするペプチド。
【請求項1】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、長さが少なくとも10アミノ酸のペプチドであって、EPO模倣ペプチドがEPO模倣ペプチドの10位と呼ばれる位置にプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
【請求項2】
前記EPO模倣ペプチドが折りたたみ構造に特徴的なアミノ酸モチーフ(β−ターンモチーフ)を有し、前記ペプチドが10位でβ−ターンモチーフにプロリンを含まず、正に荷電したアミノ酸、好ましくはKを含むことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
9位および10位が5−アミノレブリン酸(5−Als)
【化1】
で占められていることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
17位に、正に荷電したアミノ酸、好ましくはKまたはHarを有することを特徴とする、請求項1〜3の一項に記載のペプチド。
【請求項5】
特にEPO受容体に結合することができ、以下のアミノ酸の配列:
【化2】
を含み、
配列中、各アミノ酸が天然または非天然アミノ酸から選択され、
X6がC、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
X7がR、H、L、WもしくはYもしくはSであり、
X8がM、F、I、ホモセリンメチルエーテルもしくはノルイソロイシンであり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であるか、
またはX9およびX10が単一のアミノ酸によって置換されており、
X11が任意のアミノ酸から選択され、
X12がTもしくはAであり、
X13がW、1−nal、2−nal、AもしくはFであり、
X14がD、E、I、LもしくはVであり、
X15がC、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸もしくはホモシステイン(hoc)であり、
ただしX6もしくはX15のいずれかがCもしくはhocである、
ペプチド。
【請求項6】
以下のアミノ酸の配列:
【化3】
を特徴とし、
配列中、各アミノ酸が標準的文字省略形によって示され、
X6がCであり、
X7がR、H、LもしくはWであり、
X8がM、FもしくはIであり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であり、
X11が任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12がTであり、
X13がWであり、
X14がD、E、I、LもしくはVであり、
X15がCであるか、
またはX9およびX10が単一のアミノ酸によって置換されているか、
あるいは以下のアミノ酸配列:
【化4】
を特徴とし、
配列中、X6がCであり、
X7がR、H、LもしくはWであり、
X8がM、F、Iもしくはhsm(ホモセリンメチルエーテル)であり、
X9がG、もしくはGの保存的交換であり、
X10がプロリンの非保存的交換であり、
X11が任意のアミノ酸から独立して選択され、
X12がTであり、
X13がWであり、
X14がD、E、I、LもしくはV、1−nal(1−ナフチルアラニン)もしくは2−nal(2−ナフチルアラニン)であり、
X15がCである、
請求項5に記載のペプチド。
【請求項7】
X10が正に荷電した側鎖を有するアミノ酸、好ましくはR、Kもしくはそれぞれの非天然アミノ酸、好ましくはHarであるか、またはX9およびX10が単一のアミノ酸、好ましくは5−アミノレブリン酸(Als)もしくはアミノ吉草酸によって置換されていることを特徴とする、請求項5または6の一項に記載のペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7の一項に記載のペプチドであって、
以下のアミノ酸配列:
【化5】
を含み、
配列中、X6〜X15が請求項1〜7に記載される意味を有し、
X4がYであり、
X5が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである、
ペプチド。
【請求項9】
請求項8に記載のペプチドであって、
以下のアミノ酸配列
【化6】
を含み、
配列中、X4〜X15が請求項8に記載の意味を有し、
X3が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVであり、
X16が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTであり、
X17が任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはA、G、P、R、K、Y、または正に荷電した側鎖を有する非天然アミノ酸、好ましくはホモアルギニンであり、
X18が任意のアミノ酸から独立して選択される、
ペプチド。
【請求項10】
X6がC、E、Aもしくはhoc、好ましくはCであり、そして/またはX7がR、S、HもしくはYであり、そして/またはX8がFもしくはMであり、そして/またはX9がGもしくはA、好ましくはGであり、そして/またはX10がKもしくはHarであり、そして/またはX11がV、L、I、M、E、A、Tもしくはノルイソロイシンであり、そして/またはX12がTであり、そして/またはX13がWであり、そして/またはX14がDもしくはVであり、そして/またはX15がCもしくはhoc、好ましくはCであり、そして/またはX17がP、Y、AもしくはKもしくはHarである、請求項1〜9の一項に記載のペプチド。
【請求項11】
【化7−1】
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、5−アミノレブリン酸(Als)は、
【化7−2】
である、請求項1または5に記載のペプチド。
【請求項12】
【化8】
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
配列中、Xが1−ナフチルアラニンであり、Uが2−ナフチルアラニンである、請求項1〜11の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項13】
単一のアミノ酸の保存的交換によって修飾され、好ましくは1、2または3つより多くないアミノ酸が交換されることを特徴とする、請求項1〜12の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項14】
抗EPO抗体と交差反応しないことを特徴とする、請求項1〜13の一項に記載のペプチド。
【請求項15】
前記ペプチドが修飾され、前記修飾が好ましくはN末端および/またはC末端アセチル化(Ac)および/またはアミド化(Am)、好ましくは分子内ジスルフィド架橋を介した分子内環化、および/またはリン酸化からなる群より選択され、N−メチルグリシン(meG)としてのC末端グリシンの修飾およびN−アセチルグリシン(AcG)としてのN末端グリシンの修飾が特に好ましく、そして/または前記ペプチドがポリマー部分に結合され、前記部分が好ましくはポリエチレングリコール、デキストランおよびデンプンからなる群より選択される、請求項1〜14の少なくとも一項に記載のペプチド。
【請求項16】
請求項1〜15の少なくとも一項に記載のペプチドであって、請求項1〜15で定義されたペプチド配列の単量体、二量体または多量体のいずれかを形成する、ペプチド。
【請求項17】
前記二量体または多量体が、分枝または非分枝構造を有するホモマーまたはヘテロマーのいずれかであり、前記単量体ペプチド単位が互いにN末端からN末端、C末端からC末端、またはN末端からC末端へ連結される、請求項16に記載のペプチド。
【請求項18】
リンカーおよび/またはスペーサー単位を含む、請求項15または17の一項に記載のペプチド。
【請求項19】
受容体に対する結合能を有する少なくとも2つのドメインを含み、前記ドメインが請求項1〜14および55で定義されるアミノ酸配列を含む、連続したペプチド鎖を有する合成ペプチド。
【請求項20】
少なくとも2つの異種結合ドメインを含む、請求項19に記載の合成ペプチド。
【請求項21】
天然または非天然アミノ酸残基の連結部分(リンカー)を含む、請求項19または20に記載の合成ペプチド。
【請求項22】
連結部分が3〜5個のグリシンおよび/もしくはアラニン残基またはそれらの誘導体を含む、請求項19〜21の一項に記載の合成ペプチド。
【請求項23】
前記リンカーが、結合ドメインの一部を形成するアミノ酸によって提供される、請求項19〜22の一項に記載の合成ペプチド。
【請求項24】
【化9】
または請求項1〜14で定義されるペプチド配列の1つから選択されるペプチド配列を含み、さらなるアミノ酸、好ましくはN末端のシステインのような反応性側鎖を必要に応じて有するアミノ酸を有し、それぞれの配列中に存在する場合、第1のシステインと第2のシステインとの間の分子内ジスルフィド架橋、および/または第3のシステインと第4のシステインとの間の分子内ジスルフィド架橋を必要に応じて含む、請求項19に記載の合成ペプチド。
【請求項25】
少なくとも、以下:
a.第1のペプチド
b.第2のペプチドならびに
c.好ましくは前記第1および第2のペプチドを連結する連結部分(リンカー)
を含み、
前記ペプチドの少なくとも1つが、請求項1〜14、24または55の一項で定義されるアミノ酸配列を含むペプチド単位を含む、
ペプチド二量体または多量体。
【請求項26】
前記第1のペプチドのC末端が前記第2のペプチドのN末端に共有結合しているか、または前記ペプチドのC末端が前記第2のペプチドのC末端に共有結合しているか、または前記第1のペプチドのN末端が前記第2のペプチドのN末端に共有結合している、請求項25に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項27】
前記リンカーが天然および/または非天然アミノ酸、好ましくはグリシン、アラニン、またはそれらの誘導体の配列を含む、請求項25または26に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項28】
前記リンカー/スペーサー単位がジケトピペラジン単位を含む、請求項25〜27に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項29】
前記リンカーが二価ジアシルビルディングブロック、好ましくは脂肪族ジカルボン酸由来のジアシルビルディングブロックである、請求項26に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項30】
前記第1のペプチドのアミノ酸側鎖が前記第2のペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合している、請求項25に記載のペプチド二量体または多量体。
【請求項31】
前記ペプチドに共有結合した水溶性ポリマー、好ましくはポリエチレングリコール、デキストランまたはデンプンからなる群より選択される水溶性ポリマーをさらに含む、請求項1〜30のいずれかに記載のペプチド。
【請求項32】
前記水溶性部分がPEG、好ましくは少なくとも10kD、最も好ましくは20と60KDとの間の分子量を有するPEGである、請求項31に記載のペプチド。
【請求項33】
(i)各ペプチド単位が標的への結合能を有する少なくとも2つのドメインを含み、前記結合ドメインが請求項1〜14または55のいずれか一項で定義されるアミノ酸配列を含む、少なくとも2つのペプチド単位;
(ii)少なくとも1つのポリマー担体単位
を含み、
前記ペプチド単位が前記ポリマー担体単位に結合されている、標的分子に結合する化合物。
【請求項34】
前記担体単位が少なくとも1つの天然または合成の分枝、樹状または直鎖状のポリマーであるか、またはこれを含み、好ましくはポリグリセリン、ポリシアリン酸、デキストラン、デンプンまたはポリエチレングリコールからなる群より選択されるか、または他の生物学的に不活性な水溶性ポリマーに由来する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記担体単位が分枝単位を含む、請求項33または34に記載の化合物。
【請求項36】
前記分枝単位がグリセロールまたはポリグリセロールを含む、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
前記担体分子が少なくとも5kD、好ましくは20〜200または4000kDの分子量を有し、そしてポリエチレングリコールのようなより小さい担体が使用される場合は20〜80kDの分子量を有する、請求項33〜36の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項38】
前記担体単位が少なくとも2つのポリマーサブユニットを含み、前記ポリマーサブユニットが少なくとも1つの生分解性共有リンカー構造を介して互いに連結されている、請求項33〜37の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項39】
第1の生分解性担体単位を含み、ペプチド単位および第2のポリマー担体単位が前記第1のポリマー担体単位に結合している、請求項33〜38の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項40】
前記第2の担体単位が前記第1の担体単位よりも低い分子量を有し、好ましくはHESのようなヒドロキシアルキルデンプンである前記第1の担体単位のおよそ20〜50%の結合部位が、好ましくは分子量約3〜10kDのポリエチレングリコールである前記第2の担体単位で占められている、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
修飾されたポリマー担体単位が使用される、請求項33〜40の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項42】
前記ペプチド単位が共有結合を介して前記ポリマー担体単位に結合しており、前記ペプチド単位の反応性アミノ酸、N末端アミノ基および/またはC末端カルボン酸を介して結合が起こり、前記反応性アミノ酸が好ましくはリシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニンおよびチロシンからなる群より選択され、
ポリマーが適切な反応性結合基を有さない場合はポリマー担体単位の修飾に結合物質が使用され、
前記結合物質は好ましくはペプチド単位のアミノ基と反応するアシル化基、ペプチド単位のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基からなる群より選択され、最も好ましくはマレイミド基、ペプチド単位のカルボキシル基と反応するエステルおよびアミド形成基、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)基およびアルキルメルカプタン基、シクロヘキサンジオン基のようなジカルボニル基のようなペプチド単位のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、およびペプチド単位のグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基;ペプチドのフェノール基と反応するジアゾ基;ペプチド単位のアミノ基と反応する、ポリマーと臭化シアンとの反応に由来する反応基からなる群より選択される、
請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
前記反応性アミノ酸がシステインであり、結合基がマレイミドである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
前記ペプチド単位の前記結合ドメインがリンカー構造を介して内部で連結される、請求項33〜43の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項45】
リンカーが連続したペプチドリンカーである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
医薬組成物の調製のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項47】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための医薬組成物の調製のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項48】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための、請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載のペプチドおよび/または化合物の使用。
【請求項49】
請求項1〜45または55の少なくとも一項に記載の化合物、および必要に応じて薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項50】
エリスロポイエチンの欠乏または少ないもしくは不完全な赤血球集団によって特徴付けられるか、またはエリスロポイエチンの投与によって治療可能な障害の予防または治療のため、および特に任意の型の貧血もしくは脳卒中の治療のための、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
(i)各ペプチド単位が受容体に対する結合能を有する少なくとも2つのドメインを含む、少なくとも2つのペプチド単位を生じること、
(ii)少なくとも1つのポリマー担体単位を生じること、
(iii)前記ペプチド単位を前記ポリマー担体単位に結合させること
を含む、請求項33〜45の少なくとも一項に記載の化合物を生成する方法。
【請求項52】
前記ペプチド単位が連続したペプチド鎖として合成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ペプチド単位上の利用可能な化学基と反応することができ、次いでポリマー担体単位の化学基を利用して反応性ポリマー担体単位とペプチド単位をともに反応させて共有結合したその複合体を形成することができる少なくとも1つの化学基を有するポリマー担体単位が使用される、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1〜14および16のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項55】
請求項1〜14の少なくとも一項に記載のペプチドのinverso型および/またはretro/inverso型ペプチド、または完全にD−アミノ酸からなるそれぞれのペプチドであることを特徴とするペプチド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19−1】
【図19−2】
【図19−3】
【図19−4】
【図19−5】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19−1】
【図19−2】
【図19−3】
【図19−4】
【図19−5】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−519589(P2008−519589A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540582(P2007−540582)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012075
【国際公開番号】WO2006/050959
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507151180)アプラゲン ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012075
【国際公開番号】WO2006/050959
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507151180)アプラゲン ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】
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