説明

造血前駆細胞の増殖

本発明は、STRO-1bright細胞に富む細胞集団の存在下で造血前駆細胞を培養することを含む、必要とする被験体に造血前駆細胞を移植する方法に関する。本発明の方法は血液疾患の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、STRO-1bright細胞に富む細胞集団の存在下で造血前駆細胞を培養することを含む、必要とする被験体に造血前駆細胞を移植する方法に関する。本発明の方法は血液疾患の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
10年以上にわたって、臍帯血(CB)は、HLA適合骨髄ドナーがいない患者の同種移植術のための造血前駆細胞の代替源として臨床的に研究されている。骨髄と比べてCBではT細胞が少なく、及び/又はあまり発達していないことは、CB移植が、同種移植背景において罹患率(morbidity)と死亡率(mortality)の主原因である移植片対宿主病(GVHD)をあまり引き起こさない可能性を許容する。他の潜在的な利点としては、生きたドナーから骨髄又は末梢血前駆細胞(PBPC)を回収することに比べ、胎盤を処分する前に胎盤静脈からCBを回収することの利便性及び容易性を考慮すると、利用できる同種移植片の数、ひいては移植可能な患者の数を著しく増加できることが挙げられる。造血前駆細胞のこの新たな供給源により、CBバンクは、マイノリティーであるアフリカ系アメリカ人及びヒスパニック集団の型(ナショナル骨髄ドナープログラム登録(National Marrow Donor Program Registry)では不十分である)などのヒト白血球抗原(HLA)型を有するユニットの収集を目標とすることができるようになる。
【0003】
1988年に行われた最初のCB移植から、全世界で5,000人を越える患者が、様々な悪性及び良性疾患に対して血縁又は非血縁のCB移植を受けている。HLA適合ドナーが利用できない場合、成人が次第にCB移植を受けるようになっているが、CBレシピエントの大部分は子供である。これまでに報告された無進行生存率は、同種骨髄移植後に得られた結果と同程度である(Barker JNら, (2001))。さらに、骨髄又はPBPC同種移植片のレシピエントにおいて許容されるより、ドナー・レシピエント間のHLAの差異がかなり大きいCB移植片を使用するにもかかわらず、骨髄移植に付随する場合よりGVHDは低下しているように思われる多くの報告がある。CBの主な欠点は細胞用量が低いことであり、その結果、骨髄移植と比べると、生着するのに時間がかかり、生着の不成功率が高い(Kernan NAら. (1993))。Kurtzberg (Kurtzberg J., (1996))、Gluckman (Gluckmanら, (1997))、Rubinstein (Rubinstein P., (1998))、Rizzieri (Rizzieri DAら, (2001))、及びLaughlin (Laughlin MJら, (2001))が発表したCB移植の研究では、≧0.5x109/Lの絶対好中球数(ANC)までの平均時間は22〜34日に及んだ。輸血非依存的血小板数≧20x109/Lまでの平均時間は、56〜100日超まで様々であり、生着不成功率は12〜18%であった。しかし、これらの一連において、成人患者(>18歳及び/又は>45Kg)の生着不成功率はかなり高く、10〜62%に及んだ。CB前駆細胞のex vivo増殖から最も恩恵を受け得るのは、これらの体の大きい成人患者である。
【0004】
上記研究から、注入した未操作CBの総有核細胞(TNC)用量及び生着までの時間には、閾値効果があると思われる。Gluckmanの研究では、生着及び生存は、≧3.7x107 TNC/Kgを受容した患者において優れていた。この大量の細胞用量は体重45kgを超える患者にとって一般に利用可能ではない。成人患者について、≧1.0x107 TNC/Kgのレシピエントは、より低い細胞用量のレシピエントよりも好ましい生着を有していた。Kurtzbergらは、非血縁CB移植背景において、注入したCB有核細胞数と好中球生着までの時間との間の直線的な相関を報告した(p<0.002)。これらのデータは、より多くのCB細胞の投与が、より速い好中球生着をもたらす可能性があることを示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Barker, J.N.ら, Blood, 2001. 97(10): p. 2957-61.
【非特許文献2】Kernan, N.A.ら, N. Engl. J. Med., 1993. 328(9): p. 593-602.
【非特許文献3】Kurtzberg, J.ら, N. Engl. J. Med., 1996. 335(3): p. 157-66.
【非特許文献4】Gluckman, E.ら, N. Engl. J. Med., 1997. 337(6): p. 373-81.
【非特許文献5】Rubinstein, P.ら, N. Engl. J. Med., 1998. 339(22): p. 1565-77.
【非特許文献6】Rizzieri, D.A.ら, Blood, 2001. 98(11 (1)): p. 185a.
【非特許文献7】Laughlin, M.J.ら, N. Engl. J. Med., 2001. 344(24): p. 1815-22.
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はその子孫と共培養することによって、造血前駆細胞(HPC)を増殖させる方法を開発した。増殖HPCは必要な被験体、例えば血液疾患を有する個体への移植に使用することができる。
【0007】
従って、本発明は、必要とする被験体に造血前駆細胞を移植する方法であって、
STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はそれに由来する上清若しくは子孫の存在下で造血前駆細胞を培養するステップであって、該STRO-1bright細胞は、造血前駆細胞を増殖させるために、線維芽細胞コロニー形成単位(colony forming unit-fibroblast、CFU-F)を生じさせる能力を有する間葉系前駆細胞を含む間葉系前駆細胞(MPC)である前記ステップ、並びに
被験体に増殖造血前駆細胞を投与するステップ
を含む、前記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】MPCと共培養した増殖臍帯血を患者に移植する、本発明の方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態において、STRO-1bright細胞に富む細胞集団は同種細胞である。
【0010】
別の実施形態において、STRO-1brightに富む細胞は、培養開始後約4日までに臍帯血共培養のために>70%コンフルエンシーまで増殖させる。
【0011】
別の実施形態において、共培養の開始時に、STRO-1brightに富む細胞と造血前駆細胞との比率は約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9又は約1:10である。
【0012】
STRO-1brightに富む細胞は、いずれの適切な組織源に由来してもよい。適切な組織源の例としては、骨髄、血液、歯髄細胞、脂肪組織、皮膚、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、リンパ節、胸腺、骨、靭帯、腱、骨格筋、真皮及び骨膜が挙げられる。
【0013】
別の実施形態において、造血前駆細胞は臍帯血に由来する。造血前駆細胞は、増殖前に臍帯血から単離しても又はしなくてもよい。従って、一実施形態において、本方法は、未操作の臍帯血細胞を、STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はその子孫と共培養することを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態において、増殖造血前駆細胞はCFU-GM細胞を含む。増殖造血前駆細胞は、被験体の体重1kgあたり少なくとも1 x 104個のCFU-GM細胞を含んでよい。
【0015】
本発明の別の実施形態において、増殖造血前駆細胞の投与後、被験体で造血再構成が起こる。例えば、造血再構成は、増殖造血前駆細胞の投与から30日以内、より好ましくは25日以内、より好ましくは20日以内、より好ましくは15日以内、及びより好ましくは10日以内に被験体で起こり得る。
【0016】
さらに別の実施形態において、造血再構成は、逆に作用する免疫応答(adverse immune response)の非存在下で起こる。この実施形態では、増殖造血前駆細胞の投与は、著しい移植片拒絶を引き起こさない。
【0017】
造血再構成は、多くの適切な測定法のいずれか1つによって決定してよい。例えば、造血再構成は、好中球生着、血小板生着、リンホイド(lymphoid)生着、エリスロイド(erythroid)生着及び/又は巨核球生着によって決定してよい。
【0018】
本発明の方法は、特定の造血系細胞への造血前駆細胞の分化を増進する1種以上の因子を被験体に投与することをさらに含んでよい。分化を増進する因子は、増殖造血前駆細胞と同時に投与してよく、又は増殖造血前駆細胞の投与後に別個に投与してもよい。
【0019】
分化の結果生じる造血系細胞は、例えばB細胞、T細胞、樹状細胞、単球、好中球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、赤血球、好酸球、巨核球、血小板、骨髄細胞、脾臓細胞、真皮細胞又は間質細胞であってよい。
【0020】
分化を増進する因子は、例えば幹細胞因子(SCF)、GM-SCF、M-CSF、G-CSF、MGDF、EPO、FLT3-リガンド、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-11、TNFα又はトロンボポエチンであってよい。
【0021】
増殖造血前駆細胞の移植は、共培養したMPC若しくはその子孫とともに、及び/又は共培養したMPC若しくはその子孫に由来する上清若しくは1種以上の可溶性因子とともに行ってよい。
【0022】
一実施形態において、本発明の方法に従って増殖させた造血前駆細胞の投与は、ex vivo増殖を行っていない造血前駆細胞の投与と比べると、移植片対宿主病のリスクの低下をもたらす。別の実施形態において、本発明の方法に従って増殖させた造血前駆細胞の投与は、本発明の方法以外の方法によって増殖させた造血前駆細胞の投与と比べると、移植片対宿主病のリスクの低下をもたらす。
【0023】
本発明の方法を様々な血液疾患の治療において使用してよいことは理解されるであろう。
【0024】
例えば、本発明の方法は、血小板の数及び/又は機能の疾患、例えば血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、あるいはウイルス感染、薬物乱用又は悪性腫瘍に関連する疾患の治療において使用してよい。
【0025】
別の例では、本発明の方法は、赤血球の数及び/又は機能の疾患、例えば貧血症の治療において使用してよい。治療し得る貧血症の例としては、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、失血性貧血、クーリー貧血(Cooley's anaemia)、ダイアモンド・ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan anaemia)、ファンコニー貧血(Fanconi anaemia)、葉酸塩(葉酸)欠乏性貧血、溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、鎌状赤血球貧血、サラセミア又は真性赤血球増加症が挙げられる。
【0026】
別の例では、本発明の方法は、リンパ球の数及び/又は機能の疾患、例えばT細胞又はB細胞の欠損によって引き起こされる疾患の治療において使用してよい。リンパ球の数及び/又は機能の疾患の例としては、AIDS、白血病、リンパ腫、ホジキンリンパ腫(Hodgkins lumphoma)、慢性感染症、例えば粟粒結核(military tuberculosis)、ウイルス感染、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、あるいは遺伝性疾患、例えば無ガンマグロブリン血症、ディジョージ異常(DiGeorge anomaly)、ウィスコット・アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)、又は血管拡張性失調症がある。
【0027】
別の例では、本発明の方法は、放射線療法又は化学療法又は悪性置換の結果である場合がある多系列骨髄不全の疾患の治療において使用してよい。例えば、疾患は、骨髄線維症、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin's lymphoma、NHL)、ホジキン病(Hodgkin's Disease、HD)、多発性骨髄腫(MM)、又は骨に広がった二次性悪性腫瘍であり得る。
【0028】
本発明は広範な動物に適用できる。例えば、被験体は哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ又はヒツジであってよい。一実施形態において、被験体はヒトである。
【0029】
本明細書にわたって、「含む」という語が、記載した要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むことを意味するが、他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外することを意味しないことは理解されるであろう。
【0030】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、間葉系前駆細胞(MPC)との共培養による、臍帯血に由来するHPCのex vivo増殖法を提供する。そのような増殖HPCは、造血器悪性腫瘍などの状態の治療において、及び骨髄の再生を促進する同種細胞治療において有用である。
【0031】
本明細書で使用する場合、「増殖する」又は「増殖」という用語は、細胞の増殖の過程を意味する。増殖を経る細胞は、細胞複製能を維持する。
【0032】
従って、本発明は、必要とする被験体に造血前駆細胞を移植する方法であって、
STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はそれに由来する上清若しくは子孫の存在下で造血前駆細胞を培養するステップであって、該STRO-1bright細胞は、造血前駆細胞を増殖させるために、線維芽細胞コロニー形成単位(CFU-F)を生じさせる能力を有する間葉系前駆細胞を含む間葉系前駆細胞(MPC)である前記ステップ、並びに
被験体に増殖造血前駆細胞を投与するステップ
を含む、前記方法を提供する。
【0033】
「上清」という用語は、適切な培地、好ましくは液体培地中で間葉系前駆細胞及び/又はその子孫細胞のex vivo培養後に生成される1種以上の可溶性因子を含む、非細胞性物質を指す。典型的には、上清は、適切な条件及び時間のもと培地中で細胞を培養し、その後、遠心などの工程によって細胞性物質を除去することによって生成する。上清は、投与前にさらなる精製ステップを受けても又は受けなくてもよい。好ましい実施形態において、上清は、105個未満、より好ましくは104個未満、より好ましくは103個未満の生細胞を含み、及びさらにより好ましくは生細胞を全く含まない。
【0034】
「1種以上の可溶性因子」という用語は、培養中に、MPC及び/又はその子孫細胞によって分泌される分子、典型的にはタンパク質を指す。
【0035】
本発明の一実施形態において、STRO-1bright細胞に富む細胞集団は同種細胞である。同種細胞は、被験体と近いHLA適合性を有する個体から得てよい。本発明の利点は、造血前駆細胞のex vivo増殖における「在庫(off-the-shelf)」使用のために、同種細胞を大量に商業的に製造し得ることである。
【0036】
「在庫」源は、血縁由来のSTRO-1bright細胞に対して重要な潜在的利点を提供する。第一に、細胞は、時間のかかる処理の必要なく、又は培養中の汚染の可能性なく、即時使用のために利用可能にすることができる。若く、健康なボランティアから得たマスター細胞バンクの開発は、疾患に関連した幹細胞機能の低下を回避する方法を提供し、臍帯血共培養のためのSTRO-1bright細胞の最適な供給源を提供する。最後に、選択及び単離方法の標準化は非常に再現性のよい製品を提供する。
【0037】
本発明の方法のさらなる利点は、臍帯血細胞との共培養に用いる十分な数のSTRO-1brightに富む細胞が、骨髄ドナーから新たにMPCを生成する以前の方法より、かなり速く得ることができる点である。これにより、移植前に不安定な寛解にある患者をより早く治療することが可能となり、ひいては再発の可能性を低下させることが可能となる。
【0038】
造血前駆細胞はいずれの適切な供給源に由来してもよく、その一つが臍帯血である。増殖前に造血前駆細胞を単離する必要はない。従って、本発明の方法は、臍帯血を、STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はそれに由来する上清若しくは子孫と共培養することを含んでよい。この実施形態の利点は、増殖前に臍帯血からCD34+又はCD133+細胞を単離する必要性を除去することであり、従って造血前駆細胞の操作及び損失を最小限に抑える。
【0039】
生着は、分化因子、例えば幹細胞因子(SCF)、GM-SCF、M-CSF、G-CSF、MGDF、EPO、FLT3-リガンド、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-11、TNFα又はトロンボポエチンの共投与によって促進することができる。分化因子の投与は、HPCの投与時に及び/又はHPCの投与後定期的に行ってよい。
【0040】
分化の結果生じる造血系細胞は、例えばB細胞、T細胞、樹状細胞、単球、好中球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、赤血球、好酸球、巨核球、血小板、骨髄細胞、脾臓細胞、真皮細胞又は間質細胞であってよい。
【0041】
従って、本発明の方法は、増殖HPCの注入後、造血再構成を促進する1種以上の分化因子の任意の使用にも拡張する。
【0042】
STRO-1bright細胞に富む細胞
一実施形態において、本発明の方法は、造血前駆細胞をSTRO-1bright細胞に富む細胞集団と共培養することを含み、ここで該STRO-1bright細胞は、線維芽細胞コロニー形成単位(CFU-F)を生じさせる能力を有する間葉系前駆細胞を含む間葉系前駆細胞(MPC)である。
【0043】
MPCは、数多くの多能性細胞コロニーを形成する能力を有する非造血前駆細胞である。成人MPCの富化は、国際公開第01/04268号に詳細に記載され、その全内容は参照により援用される。「MPC」という用語は、本発明において、国際公開第2006/032092号に定義される、多能性増殖MPC子孫(Multipotential Expanded MPC progeny、MEMP)を含むことも理解される。
【0044】
間葉系前駆細胞(MPC)は、骨髄、血液、歯髄細胞、脂肪組織、皮膚、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、リンパ節、胸腺、骨、靭帯、腱、骨格筋、真皮及び骨膜に見られる細胞であり、中胚葉、内胚葉及び外胚葉などの様々な生殖細胞系に分化する能力を有する。従って、MPCは、限定されるものではないが、脂肪組織、骨組織、軟骨組織、弾性組織、筋肉組織、及び線維性結合組織をはじめとする多数の細胞種に分化する能力を有する。これらの細胞が入る具体的な系統確定(lineage-commitment)及び分化経路は、機械的影響及び/又は内因的生物活性因子、例えば増殖因子、サイトカイン、及び/又は宿主組織が確立する局所微小環境条件からの様々な影響に左右される。間葉系前駆細胞は、分裂して、幹細胞であるか又は前駆細胞(いずれ不可逆的に分化して表現型のある細胞をもたらす)である娘細胞をもたらす非造血前駆細胞である。
【0045】
一実施形態において、本発明において使用するSTRO-1+細胞は、TNAP+、STRO-3+(TNSAP)、VCAM-1+、THY-1+、STRO-2+、CD45+、CD146+、3G5+又はそれらの組み合わせでもある。例えば、STRO-1bright細胞はさらに、VCAM-1+、THY-1+、STRO-2+、STRO-3+(TNSAP)及び/又はCD146+の1つ以上であってよい。
【0046】
一実施形態において、間葉系前駆細胞は、国際公開第2004/85630号に定義されるように、血管周囲の間葉系前駆細胞である。
【0047】
マーカーが細胞表面に存在する程度に応じて、そのマーカーを低発現(lo若しくは暗い(dim))又は高発現(明るい(bright)、bri)する場合に、細胞は所定のマーカーについて「陽性」であり、ここでそれらの用語は、蛍光強度又は細胞の色選別工程に使用する他の色に関するものである。lo(又は暗い又はぼんやりした(dull))とbriの違いは、選別される特定の細胞集団に使用するマーカーにおいて理解されるであろう。
【0048】
「bright」という用語は、本明細書で使用する場合、検出可能に標識すると比較的強いシグナルを生じる細胞表面のマーカーを指す。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、「bright」細胞は標的マーカー抗原をより多く発現することが提唱される。例えば、STRO-1bri細胞は、FITC結合STRO-1抗体で標識し、FACS解析によって決定する場合、明るくない(non-bright)細胞(STRO-1dull/dim)より強い蛍光シグナルを生じる。別の例では、STRO-1bright細胞は、アイソタイプ適合陰性対照と比べて、STRO-1表面発現の2ログ高い(2 log magnitude higher)発現を有する。比べると、STRO-1dim及び/又はSTRO-1intermediate細胞は、アイソタイプ適合陰性対照に対し、STRO-1表面発現の2ログ高い発現より低い発現を有し、典型的には約1ログ高い又はそれ未満の発現を有する。
【0049】
本発明において使用する細胞集団は、好ましくは、STRO-1dim及び/又はSTRO-1intermediate細胞と比べて、STRO-1+細胞に富む。
【0050】
本明細書で使用する場合、「TNAP」という用語は、組織非特異的アルカリホスファターゼの全アイソフォームを含むことが意図される。例えば、その用語は、肝臓アイソフォーム(LAP)、骨アイソフォーム(BAP)及び腎臓アイソフォーム(KAP)を含む。好ましい実施形態において、TNAPはBAPである。特に好ましい実施形態において、本明細書で用いる場合、TNAPは、ブダペスト条約の条項下、寄託アクセッション番号PTA-7282で2005年12月19日にATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されるSTRO-3抗体に結合することができる分子を指す。
【0051】
MPCの有意な割合が、少なくとも2つの異なる生殖細胞系に分化する能力を有することが好ましい。多能性細胞が拘束される(committed)可能性がある系統の非限定的な例としては、骨前駆細胞;胆管上皮細胞及び肝細胞への分化多能性を有する、肝細胞前駆細胞;オリゴデンドロサイト及びアストロサイトへと発達するグリア細胞前駆体を生じることができる、神経限定細胞(neural restricted cell);ニューロンへと発達する、ニューロン前駆細胞;心筋及び心筋細胞の前駆体、グルコース応答性インスリン分泌性膵臓β細胞株が挙げられる。他の系統としては、限定されるものではないが、象牙芽細胞、象牙質産生細胞及び軟骨細胞(chondrocyte)、並びに次の前駆細胞:網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、皮膚細胞、例えばケラチノサイト、樹状細胞、毛嚢細胞、腎管上皮細胞、平滑及び骨格筋細胞、精巣始原細胞、血管内皮細胞、腱細胞、靭帯細胞、軟骨細胞(cartilage)、脂肪細胞、線維芽細胞、脊髄間質細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、周皮細胞、血管細胞、上皮細胞、グリア細胞、神経細胞、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトが挙げられる。
【0052】
別の実施形態において、MPCは、培養により、造血細胞を生じる能力がない。
【0053】
本発明は、新たに単離したMPCのin vitro培養から生成されるMPC及び/又はその子孫細胞(後者を増殖細胞とも称する)から得られる上清又は可溶性因子の使用にも関する。本発明の増殖細胞は、培養条件(培養培地中の刺激因子の数及び/又は種類を含む)、継代数などに応じて多種多様な表現型を有してよい。一部の実施形態において、子孫細胞は、親集団から約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10継代後に得られる。しかし、子孫細胞を、親集団からのいずれの回数の継代後に得てもよい。
【0054】
子孫細胞は、任意の適切な培地での培養によって得てよい。「培地」という用語は、細胞培養に関して用いる場合、細胞を包囲する環境の成分を含む。好ましくは、本発明の共培養法で使用する培地は液体培地である。
【0055】
好ましくは、培養培地には、HPCの増殖を補助する1種以上の増殖因子又はサイトカインを添加する。好ましくは、サイトカインは初期に作用するサイトカイン、例えば、限定されるものではないが、組換えmetHu幹細胞因子(SCF)、flt-3リガンド(FLT3)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、腫瘍壊死因子-α及びトロンボポエチンである。
【0056】
後期に作用するサイトカインも使用することができる。これらとしては、例えば顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン(EPO)、LIF及びマクロファージ増殖因子(M-CSF)が挙げられる。
【0057】
多能性増殖MPC子孫(MEMP)は国際公開第2006/032092号に定義されている。子孫を得ることができるMPCの富化集団を調製する方法は、国際公開第01/04268号及び同第2004/085630号に記載されている。in vitroにおいて、MPCが絶対的に純粋な調製物として存在することはめったになく、一般に、組織特異的分化確定細胞(tissue specific committed cell、TSCC)である他の細胞と共に存在する。国際公開第01/04268号は、約90%までの純度レベルで骨髄からのそのような細胞を回収することに言及している。子孫が得られるMPCを含む集団は、組織源から直接回収しても、マスター細胞バンクから得てもよく、あるいはex vivoですでに増殖させた集団であってもよい。
【0058】
例えば、子孫は、実質的に精製されたMPCの回収未増殖集団(それらが存在する集団の全細胞の少なくとも約0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80又は95%を含む)から得てよい。このレベルは、例えば、TNAP、STRO-1bright、3G5+、VCAM-1、THY-1、CD146及びSTRO-2からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーについて陽性である細胞について選択することによって達成し得る。
【0059】
MPC出発集団は、国際公開第01/04268号又は同第2004/085630号に記載されている任意の1種以上の組織、すなわち、骨髄、歯髄細胞、脂肪組織及び皮膚から、又はおそらくより広く、脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靭帯、骨髄、腱及び骨格筋から得てよい。
【0060】
MEMPは、マーカーSTRO-1briについて陽性であり、マーカーアルカリホスファターゼ(ALP)について陰性である点で、新たに回収されたMPCと区別することができる。本発明の好ましい実施形態において、細胞の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%が表現型STRO-1bri、ALP-を有する。さらに好ましい実施形態において、MEMPは、マーカーKi67、CD44及び/又はCD49c/CD29、VLA-3、α3β1の1つ以上について陽性である。さらに好ましい実施形態において、MEMPはTERT活性を示さず、及び/又はマーカーCD18について陰性である。
【0061】
適切なMPC集団を得たら、MEMPを得るための任意の適切な方法によって培養し、又は増殖させてよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、MPCは、若い健康なボランティアの骨髄から富化させたMPCに由来するマスター細胞バンクから得る。そのような供給源に由来するMPCの使用は、MPCドナーとなることができる適切な血縁者が利用できない被験者にとって特に有利である。さらに、他の被験体、特に急性白血病を有する被験者は、移植前に不安定な寛解にあり、MPCを生成させ、その後共培養するのにかかる長期間の間に再発するリスクが高い。「在庫」源は、時間のかかる処理の必要なく、又は培養中の混入の可能性なく、細胞が即時使用のために利用できるため、血縁由来のMPCに対して主要な潜在的利点を提供する。マスター細胞バンクの開発は、疾患に関連した幹細胞機能の低下を回避する方法を提供し、臍帯血共培養のためのMPCの最適な供給源を提供する。
【0063】
本出願人は、「間葉系前駆細胞」又はレバスコア(RevascorTM)と称される、慢性虚血性心臓血管疾患の治療のための在庫利用できるex vivoで増殖させた同種MPC製品を開発した。骨髄細胞を健康なヒトドナーの後腸骨稜から回収する。単核細胞を、STRO-3(TNSAP)モノクローナル抗体(Simmons PJら, (1991))を用いて間質の富化について免疫的に選択し、その後増殖させ、細胞バンクを作製するために凍結保存する。間葉系前駆細胞について濃縮させた免疫的に選択される骨髄単核細胞の増殖は、所定の純度、間葉系前駆細胞特異的マーカーの発現、及び潜在的な生物学的活性を有する製品をもたらす。さらに、本出願人及び他の人達の研究は、様々な前臨床及び臨床同種背景において、同種MPCの免疫学的耐性を確かめている。
【0064】
本出願人の市販のMPC源は、HLA-II(DR)を発現しないため、非免疫原性であり、本発明において使用するための理想的なMPC源を提供する。
【0065】
臍帯血
臍帯血の放血は、例えば、限定するものではないが、流出(draining)、重力によって誘導される流出(efflux)、マッサージ、押し出し(squeezing)、ポンピングなどによって達成することができる。好ましい実施形態において、臍帯血の放血は、抗凝固剤を含んでも又は含まなくてもよいシリンジの使用によって達成する。
【0066】
本発明の方法で使用する臍帯血は、商業的供給源、例えばLifeBank USA(Cedar Knolls, NJ)、ViaCord(Boston MA)、Cord Blood Registry(San Bruno, CA)及びCryocell(Clearwater, FL)から得ることができる。
【0067】
臍帯血細胞の回収方法は当技術分野で公知である。そのような方法の例は、例えば米国特許第5,916,202号、題名「Umbilical cord blood collection」及び米国特許第7,147,626号、題名「Cord blood and placenta collection kit」をはじめとする特許文献にも記載されている。
【0068】
一実施形態において、臍帯血は、4、5又は6/6HLAクラスI(血清学的)及びII(分子的)抗原の被験体と適合する。別の実施形態において、被験体あたり少なくとも2つの臍帯血ユニットを使用する。臍帯血ユニットは、使用前に低温で凍結してよく、又は臍帯血から回収してすぐに使用してもよい。
【0069】
培養前に、臍帯血細胞をCD34+前駆細胞について富化してよく、又はマーカーCD133の発現に基づく前駆細胞について富化してもよい。
【0070】
一実施形態において、臍帯血細胞は、MPCへの添加前に操作されていない。
【0071】
別の実施形態において、臍帯血細胞は、あらかじめ確立されているMPC又はMEMPのコンフルエントな単層に添加する。
【0072】
別の実施形態において、臍帯血ユニットは、適切なex vivo増殖培地中で約14日間共培養する。共培養に使用する増殖培地は、ウシ胎児血清、グルタミン及び適切な増殖因子を含んでよい。
【0073】
本発明の一実施形態において、被験体を治療するために使用する増殖HPCの数は、≧1.0 x 107 TNC/kg〜≧4.0 x 107 TNC/kgの範囲である。
【0074】
共培養条件
本発明の一実施形態において、造血前駆細胞、又は未操作の臍帯血細胞は、確立された接着性MPC細胞培養に添加する。MPCは、コンフルエンスになるまで培養し、再播種し、共培養のため臍帯血細胞が添加される供給層をもたらすように再培養してよい。
【0075】
本発明の実施形態の1つの利点は、単一の凍結保存バイアル(凍結保存時に≧1.5 x 107細胞/mlを含有する)からMPCを開始した後、約4日以内に、十分な数の共培養のためのコンフルエントな接着性同種MPCを得ることができることである。本発明において十分な数のMPCとは、12本のT-150cm2組織培養フラスコ(被験体あたり)中に>70%のコンフルエンシーに達するほど十分な細胞が存在する場合である。これは、典型的には約4週間かかる、骨髄ドナーから新たにMPCを生成させる以前の方法よりかなり速い。
【0076】
本発明の一実施形態において、臍帯血細胞は、ウシ胎児血清、グルタミン、G-CSF、SCF、FLT3-リガンド及びトロンボポエチンを含むex vivo増殖培地中でMPCと共培養する。
【0077】
細胞は約14日間共培養してよい。
【0078】
被験体へのHPCの投与
本発明の方法において、ex vivoで増殖させたHPC(共培養されるMPC又はMEMPをさらに含んでも又は含まなくてもよい)は、血液系腫瘍(haematological malignancy)を有する被験体に移植する。好ましい実施形態において、被験体はヒトである。
【0079】
細胞の投与方法としては、限定されるものではないが、全身性静脈注射がある。細胞調製物は、任意の簡便な方法、例えば点滴又はボーラス注入によって投与することができ、且つ他の生物学的活性剤とともに投与することができる。
【0080】
一部の実施形態において、HPCの移植片拒絶及び/又は移植片対宿主病を低下させるためのレジメンは、特に同種MPCも被験体に供給される場合に行ってよい。そのようなレジメンは当技術分野で公知である。例えばSlavin Sら, J Clin Immunol. 2002 22:64を参照のこと。典型的なGVHD予防剤としては、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenalate mofetil、MMF)及びタクロリムスが挙げられる。
【0081】
HPCを、培養培地上清とともに、又は培養培地から単離される、共培養されるMPCに由来する1種以上の因子とともに供給することができ、製薬上許容される担体中で投与することができることは理解されるであろう。従って、本発明の細胞集団は、製薬上許容される担体又は希釈剤中で、例えば無菌生理食塩水及び水性緩衝液中で投与することができる。そのような担体及び希釈剤の使用は当技術分野で周知である。
【0082】
一実施形態において、増殖HPCは、共培養のMPC又はMEMPのみとともに供給される。別の実施形態において、HPCはMPC又はMEMPを伴わずに供給される。間葉細胞と造血細胞の分離方法は、当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、クロマトグラフィーによるアフィニティー分離(間葉細胞及び造血細胞上に存在するマーカーによって)、バッチ分離及び/又はフローサイトメトリー(FACS)がある。
【0083】
MPC、MEMP又はそれらに由来する上清は、HPCの投与の前、同時、又は後に投与することができる。
【0084】
造血再構成
本発明の一実施形態において、造血再構成は、増殖造血前駆細胞の投与後に被験体において起こる。例えば、造血再構成は、増殖造血前駆細胞の投与後30日以内、より好ましくは25日以内、より好ましくは20日以内、より好ましくは15日以内、及びより好ましくは10日以内に起こり得る。
【0085】
造血再構成は、多くの適切な測定法の任意の1つによって決定してよい。例えば、造血再構成は、以下の1つ以上が生じた場合に起こったとみなされる:好中球生着、血小板生着、リンホイド生着、白血球生着、赤血球生着、エリスロイド生着及び/又は巨核球生着。
【0086】
好中球生着
好中球生着は、3日間連続の0.5 x 109/L以上の持続的絶対好中球数(ANC)と定義する。
【0087】
血小板生着
血小板生着は、3日間連続して支持されていない血小板数が50 x 109/Lを超えた最初と定義する。
【0088】
白血球生着
白血球生着は、3日間連続して絶対多形核細胞(PMN)が50 x 109/Lを超えた最初と定義する。
【0089】
赤血球(RBC)生着
赤血球(RBC)生着は、HbFの測定を用いて、及び血液塗抹標本のF細胞を観察して記録し得る。例えば、赤血球生着は、HbFが約3.6%であり、且つF細胞が約7〜8%である場合に起こっている可能性がある。
【実施例1】
【0090】
本発明を、以下の非限定的な実施例への言及により詳細に記載する。
【0091】
「在庫」同種MPCと自己MSCの比較
骨髄から新たに生成させたMSCと共培養した臍帯血(CB)を、本出願人らの「在庫」MPC(Robinsonら, 2007)と共培養した臍帯血と比較した。
【0092】
MSCは以下のように骨髄から新たに生成させる。約80〜100mlの骨髄を無菌ヘパリン含有シリンジ内に吸入し、MSC生成のためMDACC細胞治療研究所(MDACC Cell Therapy Laboratory)へ搬送する。骨髄単核細胞を、フィコール・ハイパック(ficoll-hypaque)を用いて単離し、フラスコ1本あたり50mlのMSC増殖培地(ゲンタマイシン、グルタミン(2mM)及び20%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone)を含有するα改変MEM(αMEM)を含む)とともに2本のT175フラスコ内に入れる。
【0093】
細胞を2〜3日間、37℃、5%CO2で培養する。この間、非接着性細胞は除去され、残った接着細胞は細胞コンフルエンスが70%以上に達するまで続けて培養し(7〜10日)、その後細胞をトリプシン処理して、6本のT175フラスコにMSC増殖培地(フラスコ1本あたり50mlの培地)で置換する。細胞をさらに1週間、37℃、5%CO2で培養する。14日目(+/-5日)に、70%以上のコンフルエンスを有するMSCの6本のフラスコを再び12本のフラスコに分け、上記のように3週目の間MSC増殖培地で培養する。このとき>70%コンフルエントであるMSC単層は、化学療法-14日目に開始すべきCB増殖の準備ができている。MSCが-14日目以前に準備できたら、MSC単層を、使用の準備ができるまで、MSC培養培地で週一度培地交換して維持する。
【0094】
2本の凍結した臍帯血ユニットを溶解し、洗浄して、増殖因子SCF、FLT3-リガンド、G-CSF及びTPOの存在下で14日間、各供給源(MSC又はMPC)に由来する接着性単層と共培養した。表1に示すように、同種MPCは、同種MSCより、臍帯血CD34前駆細胞を増殖させるのに優れている。
【表1】

【実施例2】
【0095】
臍帯血共培養のための「在庫」MPCの十分な数の生成までの時間
凍結したヒト間葉系前駆細胞(ロット番号25126787、>1.5 x 107細胞/ml)を含有する1本のバイアルを溶解して、2.03 x 106細胞を、抗生物質(ペニシリン及びストレプトマイシン)、グルタミン及び10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を添加した360mlのαMEM培地中に回復させた。その後、細胞懸濁液を12本のT-150cm2組織培養フラスコに分配した(1本のT-150cm2組織培養フラスコあたり約1.7 x 106細胞)。倒立型位相差顕微鏡を用いて、培養をモニターした。培養開始4〜5日後、MPCは>70%コンフルエントであり、臍帯血単核細胞(MNC)共培養増殖に使用可能であった。従って、培養したMPCは培養開始4日後までには十分にコンフルエントである可能性が高い。このことは、在庫MPCの単一のバイアルが、培養3〜5日後に、臍帯血共培養のための十分な細胞数を生成させるのに十分であることを示唆する。これは、骨髄吸入物から共培養のためのコンフルエントなMPCの十分な数を達成するのに必要な、約4週間の増殖培養からの有意な短縮を表す。
【実施例3】
【0096】
臍帯血移植プロトコール
3.1 二重臍帯血移植
高用量又は骨髄非破壊的治療後に注入するCB細胞数を増加しようとする試みの中で、研究者らは、異なるHLA型の2つのユニットを組み合わせ、同種造血支持体(allogenic hematopoietic support)としてそれらを注入した。これらの研究は、2つの免疫学的に異なるCBユニットの移植が交差性免疫学的拒絶反応に関して安全であるという原則を支持する。移植片の失敗は観察されなかったが、患者の大部分では単一のCBユニットのみが生着した。現在の試験において、本発明者らは2つのCBユニットを使用し、そのうち一方は、CB移植レシピエントにおいて生着までの時間を、この背景において典型的に報告されている20〜30日未満に短縮させるためex vivoで増殖させる。
【0097】
3.2 ex vivo増殖のための増殖因子
CB細胞は、このセクションに記載する非常に低い濃度の増殖因子とともに培養する(全身的に使用されるマイクログラム濃度に対してナノグラム濃度)。さらに、増殖細胞は、患者への注入前に十分に洗浄する。従って、それらが全身的副作用を引き起こすことは考えにくい。
【0098】
好適な増殖因子を以下に記載する。
【0099】
1. フィルグラスチム(Filgrastim)[顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)]
治療上の分類:組換え増殖因子
作用機序:G-CSFは、増殖、分化、及びある終末細胞機能的活性を刺激するために造血細胞に作用するヒト顆粒球刺激因子である。
【0100】
保存及び安定性:G-CSFは、2〜8℃に保存すべきである。注入前にフィルグラスチムは室温にさせてよいが、24時間を越えて室温に放置したバイアルは廃棄すべきである。バイアルを振ってはいけない。バイアルは投与前に沈殿又は変色について検査すべきである。沈殿又は変色が観察されたら、バイアルを使用してはいけない。
【0101】
投与方法:SC注入-IV点滴
不適合性:明確な不適合性は知られていない。しかし、好中球の放出を促進し得る薬物は、注意して使用すべきである。
【0102】
利用可能性: 300mcg(1mlバイアル)及び480mcg(1.6mlバイアル)のフィルグラスチムを含有する単一用量、保存料無添加のバイアルで市販されている。
【0103】
副作用:軽度から中程度の骨痛が骨髄抑制療法を受けた患者で起こり得る。一般的な皮膚発疹、脱毛症、発熱、血小板減少症、骨粗しょう症、吐き気、嘔吐、下痢、粘膜炎、食欲不振、血管の炎症、及び/又は不整脈が起こり得る。高用量のフィルグラスチムで脾腫が生じ得る。
【0104】
2. 組換えmetHu幹細胞因子(SCF)
治療上の分類:組換え増殖因子
作用機序:SCFは、増殖、分化、及びある終末細胞機能的活性を刺激するために造血細胞に作用するヒト顆粒球刺激因子である。
【0105】
薬学的データ:組換えメチオニルヒト幹細胞因子(r-metHuSCF)は、組換えDNA技術によって大腸菌で産生される組換えヒトタンパク質である。165個のアミノ酸の非グリコシル化タンパク質は、2つの分子内ジスルフィド結合を含有し、分子量36,000を有する非共有結合ダイマーとして存在し、そして、その発現に起因するN末端(残基番号[-1])のメチオニン部分の存在によって、また組換えタンパク質はグリコシル化されないという事実によって天然のタンパク質と異なる。r-metHuSCFを発現する細胞を、培養液中で所定の且つ制御された条件下で増殖させる。細胞を回収し、ペーストを得て、そこからr-metHuSCFを抽出し、一連の独自の工程及びクロマトグラフィーステップによって精製する。結果として得られる精製r-metHuSCFは、滅菌ろ過及び充填を経る前に水性緩衝液中で製剤化する。臨床で使用するためのr-metHuSCFの放出のための基準は厳格である。これらとしては、USPウサギピロゲン(pyrogen)試験、リムルス変形細胞アッセイ(limulus amebocyte assay)、無菌性試験、及び一般的安全性試験を通過することが挙げられる(連邦規制基準、21章、610.11項)。核酸含量は1.7 pg/mgタンパク質を超えない。最終製品は、微粒子を含まない透明で無色の無菌タンパク質溶液である;r-metHuSCFは純度95%以上である。精製した調製物の生物学的活性は、放射受容体結合アッセイ及び増殖アッセイによって評価する。
【0106】
保存及び安定性:組換えmetHuSCFは2〜8℃で保存しなければならない。濃度1.5mg/mlのr-metHuSCFの安定性は、これらの条件下に保存する場合、12ヵ月間であることが実証されている。安定性試験は進行中である。この範囲を上回るか又は下回る過度な温度へこの物質をさらすことは避けるべきである。r-metHuSCFを凍結させてはいけない。そして輸送中又は保存中に内容物が凍結したら使用してはいけない。
【0107】
副作用:知られていないが、注入部位の併発、例えばじんましん及び紅斑。
【0108】
3. トロンボポエチン(TPO)
治療上の分類:組換え増殖因子
作用機序:TPOは、増殖、分化、及びある終末細胞機能的活性を刺激するために造血細胞及び特に巨核球前駆細胞に作用するヒト顆粒球刺激因子である。
【0109】
保存及び安定性:TPOは2〜8℃で保存すべきである。バイアルを振ってはいけない。バイアルは投与前に沈殿又は変色について検査すべきである。沈殿又は変色が観察されたら、バイアルを使用してはいけない。
【0110】
公知の副作用:血小板増加症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、血栓性静脈炎。
【0111】
4. FLT3-リガンド(FLT3)
治療上の分類:組換え増殖因子
作用機序:FLT3は、造血細胞に作用するヒト顆粒球刺激因子である。
【0112】
保存及び安定性:FLT3は2〜8℃で保存すべきである。バイアルは投与前に沈殿又は変色について検査すべきである。沈殿又は変色が観察されたら、バイアルを使用してはいけない。
【0113】
公知の副作用:血小板増加症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、血栓性静脈炎。
【0114】
3.3 在庫MPCの投与
Angioblast社のレバスコアTMMPCをCB共培養のために使用する。Angioblast社のレバスコアTMMPCの単一凍結バイアルは、3〜4本のT-300cm2培養フラスコに播種するのに十分な細胞を供給する。溶解からの回復後、及び10%ウシ胎児血清を添加したαMEM培地(MPC培養培地)中で2〜3日培養後、接着細胞をトリプシン処理により回収し、全体を12本のT-150cm2培養フラスコに移す。利用可能な培養表面上に70%を超えるコンフルエンスを達成するほど十分増殖するまで、細胞をさらに5〜6日間、12本のT-150cm2培養フラスコ中、MPC培養培地で培養する。この時点で、T-150cm2培養フラスコを、臍帯血共培養増殖プロトコールに使用するために解放する。こうして生成した培養フラスコは週一度の培地交換によって必要になるまで>70%コンフルエンスで維持することができる。生成された、>70%コンフルエンスでMPCを含有する12本のT-150cm2培養フラスコのうち10本に、10%の溶解、洗浄した臍帯血ユニットを与える。共培養は、ウシ胎児血清が添加され、血縁由来MSCについて上述したようにSCF、FLT3-L、TPO及びG-CSF各100ng/mlを含有する培養培地中で行う。
【0115】
患者は水分補給のため-9日目に病院に入院し、指定された前処置レジメンを-8〜-2日目に受ける。0日目に、未操作のCBユニットを注入し、その後、増殖CBユニットを注入する。0日目(培養14日目)に、両培養物由来の細胞を回収し注入のために洗浄する。
【実施例4】
【0116】
臨床試験結果
14人の患者に、進行中の試験においてMPCに誘導された増殖臍帯血を移植した。患者の平均年齢は40歳であった。移植の現在の結果を以下の表2に示す。
【0117】
好中球生着までの平均時間は17日であった(歴史的対照の34日と比較)。血小板生着までの平均時間は38日であった(歴史的対照の128日と比較)。どの患者もグレードIII/IVのGVHDを有していなかった(歴史的対照の40%と比較)。
【0118】
表3は、現在のMPCに誘導された増殖臍帯血移植の結果が、別の臍帯血増殖法より優れていることを示す。
【表2】

【表3】

【0119】
本明細書に含まれる記録、作用、物質、装置、品物などの議論は、本発明について状況を提供することだけを目的とする。本出願の各請求項の優先日前に存在したという理由で、これらのいずれか又は全てが、先行技術基礎の一部を形成すること、あるいは本発明に関連する分野の通常の一般知識であったことを認めるものとみなすべきではない。
【0120】
当業者であれば、広く記載された本発明の範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態に示すように、本発明に多くの変形及び/又は改変がなされる可能性があることを理解するであろう。従って、本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと考えるべきである。
【0121】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする被験体に造血前駆細胞を移植する方法であって、
STRO-1bright細胞に富む細胞集団又はそれに由来する上清若しくは子孫の存在下で造血前駆細胞を培養するステップであって、該STRO-1bright細胞は、造血前駆細胞を増殖させるために、線維芽細胞コロニー形成単位(CFU-F)を生じさせる能力を有する間葉系前駆細胞を含む間葉系前駆細胞(MPC)である前記ステップ、並びに
被験体に増殖造血前駆細胞を投与するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
STRO-1bright細胞に富む細胞集団が同種細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増殖造血前駆細胞がCFU-GM細胞を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
増殖造血前駆細胞が、被験体の体重1kgあたり1 x 104個のCFU-GM細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
増殖造血前駆細胞の投与後、被験体において造血再構成が起こる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
増殖造血前駆細胞の投与から10〜30日以内に、被験体において造血再構成が起こる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
造血再構成が逆に作用する免疫応答の非存在下で起こる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
造血再構成を、好中球生着、血小板生着、リンホイド生着、エリスロイド生着及び/又は巨核球生着によって決定する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
造血前駆細胞の特定の造血系細胞への分化を増進する因子を被験体に投与することをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
分化を増進する因子を増殖造血前駆細胞と同時に投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分化を増進する因子を増殖造血前駆細胞の投与後に別個に投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
造血系細胞が、B細胞、T細胞、樹状細胞、単球、好中球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、赤血球、好酸球、巨核球、血小板、骨髄細胞、脾臓細胞、真皮細胞又は間質細胞である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
分化を増進する因子が、幹細胞因子(SCF)、GM-SCF、M-CSF、G-CSF、MGDF、EPO、FLT3-リガンド、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-11、TNFα又はトロンボポエチンである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
増殖造血前駆細胞の移植を、共培養したMPC又はその子孫とともに行う、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
増殖造血前駆細胞の移植を、共培養したMPC又はその子孫に由来する上清又は1種以上の可溶性因子とともに行う、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
増殖造血前駆細胞の投与が、ex vivo増殖を行っていない造血前駆細胞の投与と比べて、移植片対宿主病のリスクを低下させるものである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
被験体が血液疾患を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
血液疾患が血小板の数及び/又は機能の疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
血液疾患が、血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、あるいはウイルス感染、薬物乱用又は悪性腫瘍に関連する疾患である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
血液疾患が赤血球の数及び/又は機能の疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
血液疾患が貧血症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
貧血症が、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、失血性貧血、クーリー貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、ファンコニー貧血、葉酸塩(葉酸)欠乏性貧血、溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、鎌状赤血球貧血、サラセミア又は真性赤血球増加症である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
血液疾患がリンパ球の数及び/又は機能の疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
疾患がT細胞又はB細胞の欠損に起因する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
疾患が、AIDS、白血病、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性感染症、例えば粟粒結核、ウイルス感染、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、あるいは遺伝性障害、例えば無ガンマグロブリン血症、ディジョージ異常、ウィスコット・アルドリッチ症候群、又は血管拡張性失調症である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
血液疾患が多系列骨髄不全の疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
血液疾患が放射線療法又は化学療法の結果である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
血液疾患が悪性置換の結果である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
血液疾患が、骨髄線維症、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、多発性骨髄腫(MM)、又は骨に広がった二次性悪性腫瘍である、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−501968(P2012−501968A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524142(P2011−524142)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001145
【国際公開番号】WO2010/025506
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511002548)アンジオブラスト システムズ,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】