説明

連立小便器制御システム及び連立洗面器制御システム

【課題】洗浄または吐水を共通の制御手段で制御するとともに、不具合の箇所を特定することに優れた連立小便器制御システム及び連立洗面器制御システムの提供。
【解決手段】複数の小便器または洗面器11a,12a,13aのうち同一の小便器または洗面器11a,12a,13aに対応して設けられたセンサ11b,12b,13bと洗浄手段または吐水手段11c,12c,13cとの組み合わせで、制御手段10による洗浄手段または吐水手段11c,12c,13cの集中制御を行うモードと、複数の小便器または洗面器11a,12a,13aのうち互いに異なる小便器または洗面器11a,12a,13aに対応して設けられたセンサ11b,12b,13bと洗浄手段または吐水手段11c,12c,13cとの組み合わせを少なくとも含む組み合わせで制御手段10による制御を行うモードとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の小便器を備えた連立小便器制御システム及び複数の洗面器を備えた連立洗面器制御システムに関し、特に、洗浄または吐水を共通の制御手段で制御する連立小便器制御システム及び連立洗面器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、公共施設など大勢の人が集まる場所等に、複数の小便器や複数の洗面器を備えたトイレ等が備えられている。小便器及び洗面器にあって、人を検知するセンサと、このセンサによって人が検知されたときなどに水を流すように制御される弁とが備えられ、自動的に吐水、止水が行われる小便器自動洗浄装置、或いは自動水栓といわれる機能を有するものが広く知られている。
そして、従来の小便器、洗面器においては、これらがトイレ等において複数備えられている場合でも、各小便器、各洗面器のそれぞれに1つ、かかるセンサの検知に基づいてかかる弁を制御するコントローラが備えられている。
【0003】
これらのことは、小便器に関しては、たとえば〔特許文献1〕、〔特許文献2〕において開示されている。
なお、かかるコントローラには、電源が一体とされることが多く、これらが一体でもコントローラと呼ばれる。電源としては、AC電源、電池、水力発電によるものがある。コントローラとセンサとが1つのケースに入っているものはセンサ・コントローラと呼ばれる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−323572号公報
【特許文献2】特開2001−317114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、複数の小便器や複数の洗面器に関して、各小便器または各洗面器に備えられた弁を、共通のコントローラによって集中制御するシステムは、技術的に大きな問題は無いものの、一般的には採用されていない。そのようなシステムの例としては、たとえば、小便器が3台並んだトイレであれば、従来においては3セットのセンサ、弁、コントローラが必要となるところであるが、コントローラを各セットに使用するのは無駄と考えて、各セットに共通のコントローラを設けることが考えられる。
【0006】
しかし、そのようなシステムを構成する場合には、コントローラの共通化によってコントローラがひとつで済みコスト削減がなされるものの、次のような問題がある。すなわち、上記の例のように3セットの集中制御が可能なコントローラは、1セットのみの制御が可能なコントローラに比較して、センサや弁との接続コネクタ数、制御するマイコン等の処理能力アップ、電源容量アップなど、何らかのコストアップ要因を持つ。このような3セットの集中制御が可能なコントローラを設けた場合にあっては、小便器を1台または2台しか設置しない場合には、無駄が生じてしまう。かといって、種々の設置台数に応じて設計されたコントローラを品揃えすることも無駄である。よって、初期投資や在庫管理などを考慮して、総合的にコストパフォーマンスに優れた方法を選ぶ必要がある。
【0007】
この点、〔特許文献1〕記載の発明は、電源を共通化し、電池消耗や発電の量が機器毎にばらつく事に起因する問題を解決しようとするものであり、また、〔特許文献2〕記載の発明は、センサが電波発信を行う方式など他のセンサと干渉の恐れがある方式の場合、各センサの送信タイミングを共通の電波発信コントローラで制御することでそのような干渉を防止しようとするものである。
【0008】
このように、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕記載の発明は、小便器等の単独の設置では問題にならないが、これらを複数台設置すると浮上する問題に着目している。そして、電源や電波発信コントローラなどを共通化して、電源やセンサ送信など制御機能の一部であるが、集中制御する手法により、複数台設置の問題を解決しようとするものである。つまり、複数台設置することで生じる不都合を解決しているに過ぎない。
【0009】
一方、小便器等を複数台設置し、コントローラを共通化するならば、複数台設置特有の課題解決は勿論だが、小便器等を複数台設置することを積極的に利用して、新たな価値を生じしめるように活用することも考慮すべきである。
【0010】
そこで本発明は、次の点に着目した。すなわち、トイレには、小便器や洗面台など、同一製品が複数台配置されることが多いが、仮にどれかに動作の不具合が発生した場合、その機器は使用不能となる。複数台設置であれば、その台数に比例して、トイレ内に1台以上の不具合が発生する確率は高くなる(複数台設置により個々の機器が不具合を起こしやすくなる訳ではない)。複数台あるのなら、故障していないものを使えば良いという訳ではない。
【0011】
例えば駅など不特定の利用者が多い小便器の場合、「故障中」「使用禁止」などの明確な表示をしない限り、不具合のある小便器にも用足しをされる。また、「使用禁止」の表示があっても使用されないとは限らず、便器や配管の汚れ、悪臭などにつながる可能性が高い。
【0012】
また、不具合が発生した場合、メンテナンス担当者がどれが問題なのか現場から情報を得て修理を完了するまで、台数が多いがゆえに情報の整理や対応に苦労することが多い。つまり、設置台数が多いと、1台が不具合を起こしたとしても、どの台が不具合を起こしたのか、また不具合を起こした台を特定してもセンサ、弁などのどの部分に不具合が生じているのか、他の台に問題はないのか、などを確認するのに手間がかかってしまう。
本発明は、これらの点に着目したものである。
【0013】
ここに、本発明は、複数の小便器を備えた連立小便器制御システム及び複数の洗面器を備えた連立洗面器制御システムに関し、特に、洗浄または吐水を共通の制御手段で制御するとともに、不具合の箇所を特定することに優れた連立小便器制御システム及び連立洗面器制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数の小便器と、前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられ使用者を検出する人体検出センサと、前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられた洗浄手段と、前記人体検出センサの出力に応じて前記洗浄手段を集中制御する制御手段とを有する連立小便器制御システムにおいて、前記複数の小便器のうち同一の小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う第1のモードと、前記複数の小便器のうち互いに異なる小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う第2のモードとを有し、前記制御手段により、所定の条件で第1のモードから第2のモードへの切り替えを行うことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の連立小便器制御システムにおいて、前記人体検出センサの異常を検出するセンサ異常検出手段を有し、第2のモードは、前記所定の条件が、前記センサ異常検出手段により前記人体検出センサの異常が検出されたことであるセンサ異常モードを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の連立小便器制御システムにおいて、前記制御手段は、前記センサ異常モードにおいて、正常な前記人体検出センサによる使用者の検出に基づき、この検出に対して所定の割合の頻度で、異常が検出された前記人体検出センサに対応する前記小便器に対応して設けられた前記洗浄手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の連立小便器制御システムにおいて、前記洗浄手段の異常を検出する洗浄異常検出手段と、前記複数の小便器に共通の排水路とを有し、第2のモードは、前記所定の条件が、前記洗浄異常検出手段により前記洗浄手段の異常が検出されたことである洗浄異常モードを含み、前記制御手段は、前記洗浄異常モードにおいて、前記排水路における排水方向おいて異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器よりも上流側に前記小便器があるときであって、この小便器に対応する前記洗浄手段が正常であるときに、この洗浄手段と、前記異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器に対応して設けられた前記人体検出センサとの組み合わせで制御することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、複数の洗面器と、前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられ、使用者の手を検出する手検出センサと、前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられた吐水手段と、前記手検出センサの出力に応じて前記吐水手段を制御する制御手段とを有する連立洗面器制御システムにおいて、前記複数の洗面器のうち同一の洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う基本モードと、前記複数の洗面器のうち互いに異なる洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う保守モードとを有し、前記制御手段により、所定の条件で前記基本モードから前記保守モードへの切り替えを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる連立小便器制御システムは、複数の小便器と、前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられ使用者を検出する人体検出センサと、前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられた洗浄手段と、前記人体検出センサの出力に応じて前記洗浄手段を集中制御する制御手段とを有する連立小便器制御システムにおいて、前記複数の小便器のうち同一の小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う第1のモードと、前記複数の小便器のうち互いに異なる小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う第2のモードとを有し、前記制御手段により、所定の条件で第1のモードから第2のモードへの切り替えを行う。
【0020】
連立小便器は、機器が複数備えられているために何れかひとつでも故障する確率は高く、にもかかわらずどの部分が故障したか特定することが困難であるが、人体検出センサと洗浄手段を共通の制御手段で制御するとともに、第2のモードを備え、共通化した制御手段を積極的に活用することにより、人体検出センサ、洗浄手段のうちのどれが故障したか、また制御手段が故障しているのか、給水管が詰まっているのか、など、不具合の箇所を特定することに優れ、保守点検やメンテナンス性に優れた連立小便器制御システムが提供される。
【0021】
また、前記人体検出センサの異常を検出するセンサ異常検出手段を有し、第2のモードは、前記所定の条件が、前記センサ異常検出手段により前記人体検出センサの異常が検出されたことであるセンサ異常モードを含む。
【0022】
したがって、人体検出センサが使用者を検出し続けるなどの誤検出等を条件として第2のモードに移行し、人体検出センサと洗浄手段との本来のペアと異なるペアで水を流すことができる連立小便器制御システムを提供することができる。
【0023】
また、前記制御手段は、前記センサ異常モードにおいて、正常な前記人体検出センサによる使用者の検出に基づき、この検出に対して所定の割合の頻度で、異常が検出された前記人体検出センサに対応する前記小便器に対応して設けられた前記洗浄手段を制御する。
【0024】
したがって、人体検出センサが使用者を検出し続けるなどの誤検出等を条件として第2のモードに移行し、人体検出センサと洗浄手段との本来のペアと異なるペアで、故障した人体検出センサに対応する小便器等の適切な箇所に適切なタイミングで水を流すことができ、尿石の固着、悪臭の防止を行うことができ、経時的なメンテナンス性に特に優れた連立小便器制御システムを提供することができる。
【0025】
また、前記洗浄手段の異常を検出する洗浄異常検出手段と、前記複数の小便器に共通の排水路とを有し、第2のモードは、前記所定の条件が、前記洗浄異常検出手段により前記洗浄手段の異常が検出されたことである洗浄異常モードを含み、前記制御手段は、前記洗浄異常モードにおいて、前記排水路における排水方向おいて異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器よりも上流側に前記小便器があるときであって、この小便器に対応する前記洗浄手段が正常であるときに、この洗浄手段と、前記異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器に対応して設けられた前記人体検出センサとの組み合わせで制御する。
【0026】
したがって、洗浄手段への通電電流波形等の異常等を条件として第2のモードに移行し、人体検出センサと洗浄手段との本来のペアと異なるペアで、故障した洗浄手段に対応する小便器の下流側の排水路等の適切な箇所に水を流すことができ、尿石の固着、悪臭の防止を行うことができ、経時的なメンテナンス性に特に優れた連立小便器制御システムを提供することができる。
【0027】
また、本発明にかかる連立小便器制御システムは、複数の洗面器と、前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられ、使用者の手を検出する手検出センサと、前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられた吐水手段と、前記手検出センサの出力に応じて前記吐水手段を制御する制御手段とを有する連立洗面器制御システムにおいて、前記複数の洗面器のうち同一の洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う基本モードと、前記複数の洗面器のうち互いに異なる洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う保守モードとを有し、前記制御手段により、所定の条件で前記基本モードから前記保守モードへの切り替えを行う。
【0028】
連立洗面器は、機器が複数備えられているために何れかひとつでも故障する確率は高く、にもかかわらずどの部分が故障したか特定することが困難であるが、手検出センサと吐水手段を共通の制御手段で制御するとともに、第2のモードを備え、共通化した制御手段を積極的に活用することにより、手検出センサ、吐水手段のうちのどれが故障したか、また制御手段が故障しているのか、など、不具合の箇所を特定することに優れ、保守点検やメンテナンス性に優れた連立小便器制御システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
〔連立小便器制御システム〕について
図1に本発明を適用した連立小便器制御システムを示す。
連立小便器制御システム100は、たとえば公共施設などの男子便所に配設されるものである。
【0030】
連立小便器制御システム100は、複数(本例では3つ)の小便器11a、12a、13aと、小便器11a、12a、13aのそれぞれに対応して設けられ使用者を検出する人体検出センサ11b、12b、13bと、小便器11a、12a、13aのそれぞれに対応して設けられた洗浄手段11c、12c、13cと、人体検出センサ11b、12b、13bの出力に応じて洗浄手段11c、12c、13cを集中制御する制御手段としてのコントローラ10と、小便器11a、12a、13aに共通の排水路14と、各小便器11a、12a、13aと排水路14とを連結する連結管11d、12d、13dとを有している。
【0031】
人体検出センサ11b、12b、13bは、反射型センサであって、それぞれ、人が小便器11a、12a、13aの前側に位置することを検出することで、小便器11a、12a、13aの使用者を検出する。本例では、人体検出センサ11b、12b、13bはそれぞれ、小便器11a、12a、13aに内蔵される形で一体で設けられているが、小便器11a、12a、13aそれぞれの使用者を検出できるのであれば、必ずしも一体で設ける必要はない(人体検出センサは小便器が固定される壁などに収納設置してもよい)。コントローラ10によって、人体検出センサ11b、12b、13bがそれぞれ使用者を検出しているか否か、常時監視される。
【0032】
洗浄手段11c、12c、13cはそれぞれ、小便器11a、12a、13aに洗浄のための水を導く導水管11e、12e、13eと、導水管11e、12e、13eによって導かれた水を小便器11a、12a、13aに流すか否かの切り替えを行う弁11f、12f、13fとを有している。
【0033】
本例では、弁11f、12f、13fはそれぞれ、小便器11a、12a、13aに内蔵される形で一体で設けられているが、導水管11e、12e、13eによって導かれた水を小便器11a、12a、13aに流すか否かを切り替えできるのであれば、小便器11a、12a、13aと別体で設けてもよい(弁は小便器が固定される壁などに収納設置してもよい)。弁11f、12f、13fは電磁弁であり、コントローラ10によって開閉を制御される。なお、弁11f、12f、13fの駆動回路はコントローラ10に内蔵されているが、弁11f、12f、13fと一体とするなど、小便器11a、12a、13a側に配設してもよい。
【0034】
コントローラ10は、図示を省略するが、CPU、メモリ、電源、人体検出センサ11b、12b、13bからの信号が入力される入力ポート、弁11f、12f、13fへの信号を出力する出力ポートを有している。
メモリには、本実施例の各動作を行うためのプログラムが記録されているとともに、本実施例の各動作、制御を行うための各種データが記録されるようになっている。
電源には、AC電源、電池、水力発電などの周知のものが採用されている。
【0035】
連立小便器制御システム100は、小便器11a、12a、13aのうち同一の小便器に対応して設けられた、人体検出センサ11b、12b、13bのうちの1つの人体検出センサと、弁11f、12f、13fのうちの1つの弁との組み合わせでコントローラ10による制御を行う第1のモードと、小便器11a、12a、13aのうち互いに異なる小便器に対応して設けられた、人体検出センサ11b、12b、13bのうちの1つの人体検出センサと、弁11f、12f、13fのうちの1つの弁との組み合わせを少なくとも含み組み合わせでコントローラ10による制御を行う第2のモードとを有している。第1のモードと第2のモードとの切り替えは、所定の条件で、コントローラ10によって行われる。
【0036】
第1のモードは、連立小便器制御システム100が、人体検出センサや弁に異常がなく、点検や修理の際の保守モードでもなく、正常な状態で小便器として通常使用される場合のモードである。図2に示すように、第1のモードでは、たとえば、人体検出センサ11bによって使用者が検出された場合には、コントローラ10により、人体検出センサ11bが設けられた小便器11aに設けられた弁11fを制御し、小便器11aに水を流す。なお、図2以下においては、人体検出センサを「センサ」と図示し、弁を「電磁弁」と図示している。
【0037】
このように、第1のモードでは、人体検出センサ11bと弁11f、人体検出センサ12bと弁12f、人体検出センサ13bと弁13fのように、同一の小便器に対応して設けられた人体検出センサと弁との本来の組み合わせすなわちペアで水栓を制御する。
水を流すタイミング、すなわち弁11fの開閉の切り替えのタイミングは、人体検出センサ11bが使用者を検出し始めたとき(このタイミングの洗浄は、一般に「前洗浄」と呼ばれる)、人体検出センサ11bが使用者を連続して所定時間以上検出した後、検出しなくなったとき(このタイミングの洗浄は、一般に「本洗浄」と呼ばれる)などとすることができる。
【0038】
第2のモードは、第1のモードでないときのモードであって、連立小便器制御システム100が、人体検出センサ11b、12b、13b、弁11f、12f、13fの故障などによって不正常な状態で使用される場合などのモードである。
連立小便器制御システム100は、第2のモードとして、センサ異常モードと、洗浄異常モードと、保守モードとを有している。以下それぞれのモードについて説明する。
【0039】
・センサ異常モードについて
センサ異常モードは、人体検出センサ11b、12b、13bの異常が検出されたことを、上述した所定の条件とするものである。人体検出センサ11b、12b、13bの異常の検出は、コントローラ10によって行われる。よって、コントローラ10はセンサ異常検出手段として機能するものである。
【0040】
コントローラ10は、人体検出センサ11b、12b、13bが使用者を感知し続けること、具体的には使用者を検出した旨の信号を所定時間以上出力し続けることによって、人体検出センサ11b、12b、13bの異常を検出する。
かかる所定時間は、小便器11a、12a、13aの通常の使用時間を十分に上回る時間、たとえば10分とする。
【0041】
異常の検出は、他の人体検出センサによって所定回数以上使用者の検出が行われているにもかかわらず特定の人体検出センサでは使用者が検出されない場合に行ってもよい。かかる所定回数は、たとえば100回など、極端に検出頻度に差が出た場合などである。
異常の検出はまた、人体検出センサがコントローラ10と通信して動作する構成、言い換えるとコントローラ10と信号を送受信して動作する構成であれば、コントローラ10が通信の反応がないと判断することを条件にして行うことができる。その他の方法によって異常を検出してもよい。
【0042】
センサ異常モードでは、本来のペアと異なる人体検出センサ11b、12b、13bと弁11f、12f、13fとの組み合わせで水栓の制御を行う。たとえば、図3に示すように、人体検出センサ12bの異常が検出され、故障していると判断された場合には、破線矢印で示すごとく、他の人体検出センサ11bによる使用者の検出に基づいて、水栓を制御する。
【0043】
このように、センサ異常モードでは、異常が検出されていない正常な人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ11b)による使用者の検出に基づき、異常が検出された人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ12b)に対応する小便器(図3に示した例では小便器12a)に対応して設けられた弁(図3に示した例では弁12f)を制御する。
【0044】
かかる制御の頻度は、正常な人体検出センサによる使用者の検出に対して所定の割合とされる。たとえば、正常な人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ11b)によって使用者が5回検出されたときに、異常が検出された人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ12b)と本来のペアの弁(図3に示した例では弁12f)を制御して、便器洗浄を行う。これは、同じトイレ内の小便器であれば、その使用頻度にある程度の相関があると考えられるが、正常な人体検出センサによって使用者が検出されたからといって、異常が検出された人体検出センサに対応する小便器が使用されたとは限らないからである。かかる所定の割合は、小便器を清潔に保つこと、配水管、排水路内に尿石が固着することを防止することなどの条件を満たす範囲で決定される。もちろん、前記「所定の割合」を高くすれば、防臭、防汚の効果は高まるが、無駄な洗浄水を消費してしまう可能性も高まる。よって、小便器の設置状況、使用状況に応じて調整(例:使用頻度が高く、洗浄の時間間隔が短いトイレでは所定の割合を低くする)しても良い。なお、異常が検出された人体検出センサ以外の正常な人体検出センサに関しては、これと本来のペアの弁との組み合わせで制御を行う。よって、本来のペアとは異なる組み合わせを含む組み合わせとなっている。
【0045】
また、異常が検出された人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ12b)と本来のペアの弁(図3に示した例では弁12f)を制御するのに用いる、正常な人体検出センサ(図3に示した例では人体検出センサ11b)は、適宜選択されるものであり、たとえば、図3で示した場合と異なり、人体検出センサ13bを用いてもよい。正常な人体検出センサが複数あるときにはそのうちの1つをランダムに選択して用いるようにしてもよい。複数の正常な人体検出センサを用いてもよい。例えば、図3の状態であれば、人体検出センサ11bと13bを交互に選択することにより、その間に挟まれた小便器12aに対して最適な洗浄タイミングとなることが期待できる。また、人体検出センサ11bと13bが人体を検出する時間間隔の平均値を算出し、その平均値で周期的に弁12fを制御し、便器洗浄する方法も可能である。
【0046】
・洗浄異常モードについて
洗浄異常モードは、弁11f、12f、13fの異常が検出されたことを、上述した所定の条件とするものである。弁11f、12f、13fの異常の検出は、コントローラ10によって行われる。よって、コントローラ10は洗浄異常検出手段として機能するものである。
【0047】
コントローラ10は、弁11f、12f、13fを作動すべく通電した際の電流波形を観測し、その波形の特徴(電磁弁のプランジャが作動すると、電磁弁のコイルに逆起電力が発生し、電流波形にボトムと呼ばれる変曲点が検出される。ボトムが発生するまでの通電時間や、その時の電流値も判断材料となる。)によりプランジャが作動したことが確認できれば、弁11f、12f、13fは正常であると判断し、かかる検出、確認ができなければ、弁11f、12f、13fの異常を検出する。
【0048】
異常の検出は、コントローラ10と通信して動作する構成、言い換えるとコントローラ10と信号を送受信して動作する構成であれば、コントローラ10が通信の反応がないと判断することを条件にして行うことができる。水の流れを検知する流量センサを連結管11d、12d、13d等に配設して弁11f、12f、13fの駆動時に水流があるか否かを検知するなど、その他の方法によって異常を検出してもよい。
【0049】
洗浄異常モードでは、本来のペアと異なる人体検出センサ11b、12b、13bと弁11f、12f、13fとの組み合わせで水栓の制御を行う。たとえば、図4に示すように、弁12fの異常が検出され、故障していると判断された場合には、弁12fのペアである人体検出センサ12bによる使用者の検出に基づき、破線矢印で示すごとく、他の弁11fを駆動する態様で、水栓を制御する。
【0050】
洗浄異常モードでは、排水路14における排水方向(図1において矢印Aで示す)において故障した弁(図4に示した例では弁12f)の上流側の弁(図4に示した例では弁11f)を制御して水を流すようになっている。具体的には、異常が検出された弁(図4に示した例では弁12f)に対応する小便器(図4に示した例では小便器12a)よりも、排水路14における排水方向(図1において矢印Aで示す)において上流側に小便器があるとき(図4に示した例では小便器11a)であって、この小便器に対応する弁(図4に示した例では弁11f)が正常であるときに、この弁(図4に示した例では弁11f)と、異常が検出された弁(図4に示した例では弁12f)に対応する小便器(図4に示した例では小便器12a)に対応して設けられた人体検出センサ(図4に示した例では人体検出センサ12b)との組み合わせで制御が行われる。
【0051】
このような制御を行うのは、排水方向において故障した弁の上流側の弁を制御して水を流すことで、排水方向において故障した弁の下流側の排水路に尿石が固着することを防止すること等のためである。したがって、かかる制御の頻度は、人体検出センサによる使用者の検出と同一としてもよいし、これより少なくしてもよい。頻度は、排水路内に尿石が固着することを防止することなどの条件を満たす範囲で決定される。この頻度と防臭・防汚の効果、無駄水の量との関係は前述のセンサ故障モードの「所定の割合」と同様である。なお、異常が検出された弁以外の正常な弁に関しては、これと本来のペアの人体検出センサとの組み合わせで制御を行う。よって、本来のペアとは異なる組み合わせを含む組み合わせとなっている。
【0052】
また、異常が検出された弁の代わりに用いる、この弁よりも排水方向の上流側に位置する正常な弁は、適宜選択されるものであり、たとえば、弁13fが故障した場合には、弁12fを用いてもよいし、弁11fを用いてもよい。正常な人体検出センサが複数あるときにはそのうちの1つをランダムに選択して用いるようにしてもよい。複数の正常な人体検出センサを用いてもよい。排水方向の上流側に正常な弁がないときには下流側の正常な弁を駆動するようにしてもよい。排水方向の上流側の弁を制御する方が防汚の目的には望ましいが、下流側の弁を作動させても、一定の効果は期待できる。
【0053】
・保守モードについて
保守モードは、連立小便器制御システム100の管理者、点検者等(以下「管理者等」)によって、連立小便器制御システム100のいずれかの構成要素を用いて保守モードとする旨の入力がされたことを、上述した所定の条件とするものである。保守モードの設定は、コントローラ10によって行われる。よって、コントローラ10は保守入力検出手段として機能するものである。
【0054】
保守モードは、管理者等が、連立小便器制御システム100の故障等の通報等を受けて、その故障等の箇所、たとえばどの人体検出センサ、どの弁が故障しているかを特定し修理等する場合、また、連立小便器制御システム100を定期的に点検し人体検出センサ、弁等が故障していないかどうかをチェックする場合等に用いられる。
【0055】
コントローラ10は、管理者等が、所定の治具(いたずら防止のため、光リモコンや磁石など、専用治具を用いる仕様が多い)を用いて人体検出センサ11b、12b、13bに保守モードとすべき旨の所定の入力を行うことによって、保守モードに移行すべきことを検出する。このような入力は、小便器11a、12a、13aなどに設けられたディップスイッチ等を用いて行ってもよい。
【0056】
保守モードでは、第1のモードにおける本来のペアと異なる人体検出センサ11b、12b、13bと弁11f、12f、13fとの組み合わせを少なくとも含む組み合わせで水栓の制御を行う。
たとえば、図5に示す例では、本来のペアと異なる組み合わせを3組としており、人体検出センサ11bによる検出に基づいて弁12fを制御し、人体検出センサ12bによる検出に基づいて弁13fを制御し、人体検出センサ13bによる検出に基づいて弁11fを制御する。
【0057】
したがって、故障箇所を特定するには、第1のモードにおいてどの小便器に水が流れないかを、各人体検出センサ11b、12b、13bに手をかざすなどして確認した後、上述のごとき入力操作により保守モードに移行させ、再度各人体検出センサ11b、12b、13bに手をかざすなどしてどの小便器に水が流れないかを確認する。
【0058】
たとえば、第1のモードにおいて小便器12aのみに水が流れない場合であって、弁12fが故障している場合について説明する。第1のモードにおいて小便器12aに水が流れないことを確認した後、保守モードに移行して人体検出センサ12bを作動させるべく手をかざすなどする。このとき小便器13aに水が流れれば人体検出センサ12bは正常であり、弁12fが故障していることが分かる。人体検出センサ11bを作動させるべく手をかざすなどして小便器12aに水が流れないことを確認して弁12fが故障していることを確認することもできる。
【0059】
またたとえば、第1のモードにおいて小便器12aのみに水が流れない場合であって、人体検出センサ12bが故障している場合について説明する。第1のモードにおいて小便器12aに水が流れないことを確認した後、保守モードに移行して人体検出センサ12bを作動させるべく手をかざすなどする。このとき小便器13aに水が流れなければ人体検出センサ12bは故障である。弁12fを作動させるべく人体検出センサ11bに手をかざすなどし、小便器12aに水が流れるときには弁12fが正常であることが分かり、小便器12aに水が流れないときには弁12fも故障していることが分かる。
なお、第1のモードで小便器に水を流すタイミングは、人体検知センサが使用者を連続して所定時間以上検出した後、検出しなくなったとき(前述の「本洗浄」)であるが、この保守モードにおいては、「人体検知センサが感知すると所定時間水を流す」など、保守作業に都合の良い条件としてもよい。
【0060】
第1のモードにおける本来のペアと異なる人体検出センサ11b、12b、13bと弁11f、12f、13fとの組み合わせを少なくとも含む組み合わせとしては、図6に示すものも挙げられる。この例では、本来のペアと異なる組み合わせを2組としており、人体検出センサ12bによる検出に基づいてすべての弁11f、12f、13fを制御する。
【0061】
故障箇所を特定するには、上述の例と同様に第1のモードにおいてどの小便器に水が流れないかを確認した後、保守モードに移行させ、再度どの小便器に水が流れないかを確認する。
【0062】
たとえば、第1のモードにおいて小便器12aのみに水が流れない場合について説明する。第1のモードにおいて小便器12aに水が流れないことを確認した後、保守モードに移行して人体検出センサ12bを作動させるべく手をかざすなどする。このときすべての小便器11a、12a、13aに水が流れなければ人体検出センサ12bが故障していることが分かる。また小便器11a、13aに水が流れれば人体検出センサ12bは正常であり、弁12fが故障していることが分かる。人体検出センサを作動させるために移動する必要がないという利点がある。
【0063】
第1のモードにおける本来のペアと異なる人体検出センサ11b、12b、13bと弁11f、12f、13fとの組み合わせを少なくとも含む組み合わせとしては、図7に示すものも挙げられる。この例では、本来のペアと異なる組み合わせを2組としており、人体検出センサ11b、12b、13bによる検出に基づいて同一の弁12fを制御する。
【0064】
故障箇所を特定するには、上述の例と同様に第1のモードにおいてどの小便器に水が流れないかを確認した後、保守モードに移行させ、再度どの小便器に水が流れないかを確認する。
【0065】
たとえば、第1のモードにおいて小便器12aのみに水が流れない場合について説明する。第1のモードにおいて小便器12aに水が流れないことを確認した後、保守モードに移行して人体検出センサ11b、12b、13bを時間をずらして作動させるべく順番に手をかざすなどする。このとき小便器12aに水が流れなければ弁12fが故障していることが分かる。人体検出センサ11bまたは13bを作動させる動作をしたときに小便器12aに水が流れれば人体検出センサ12bが故障していることが分かる。水が流れるかどうかを見るために移動する必要がないという利点がある。
【0066】
故障箇所の特定は、上述のように第1のモードから保守モードへの切り替え前後で水が流れるか否かの差異を見ることで行うことができるが、保守モードにおいて、人体検出センサと弁との組み合わせを、例えば図5、図6、図7のいずれかに切り替えることができるように構成すれば、そのような切り替えの前後で水が流れるか否かの差異を見ることで故障箇所の特定を行うことができる。
【0067】
複数個所が壊れている場合であっても、複数の組み合わせで差異を見ることによって故障箇所が特定される。
さらには、モードを切り替える入力をし、差異を見る等してもすべての小便器に水が流れない場合には、導水管11e、12e、13eに水を流す元となっている配管の詰まり、断水、コントローラ10の故障、電力不足、停電などの故障原因が推認され、周りが停電していないかの確認など、種々の状況に応じてそれらのうちのどれが実際の故障原因かが特定される。
【0068】
〔連立洗面器制御システム〕について
本発明を適用した連立洗面器制御システムは、上述の連立小便器制御システムを、公共施設のトイレ等に配設される連立洗面器制御システムに置き換えたものであり、上述の連立小便器制御システムの第2のモードのうちの保守モードのみを備えたものである。
【0069】
具体的には、本発明を適用した連立洗面器制御システムは、上述の連立小便器制御システムにおける小便器に対応する洗面器と、人体検出センサに対応し使用者の手を検出する手検出センサと、洗浄手段に対応する吐水手段と、制御手段に対応し吐水手段を制御する制御手段としてのコントローラと、第1のモードに対応する基本モードと、第2のモードのうちの保守モードに対応する保守モードとを有している。
【0070】
したがって、この連立洗面器制御システムを、上述の連立小便器制御システムを説明するために各図に示した例を用いて、これらの図を参照して説明すれば次のとおりである。
連立洗面器制御システム100は、複数(本例では3つ)の洗面器11a、12a、13aと、洗面器11a、12a、13aのそれぞれに対応して設けられ使用者を検出する手検出センサ11b、12b、13bと、洗面器11a、12a、13aのそれぞれに対応して設けられた吐水手段11c、12c、13cと、手検出センサ11b、12b、13bの出力に応じて吐水手段11c、12c、13cを制御する制御手段としてのコントローラ10と、洗面器11a、12a、13aに共通の排水路14と、各洗面器11a、12a、13aと排水路14とを連結する連結管11d、12d、13dとを有している。
【0071】
手検出センサ11b、12b、13bは、反射型センサであって、それぞれ、人が手を洗うために差し出した手を検出することで、洗面器11a、12a、13aの使用者の手を検出する。コントローラ10によって、手検出センサ11b、12b、13bがそれぞれ使用者の手を検出しているか否か、常時監視される。
【0072】
吐水手段11c、12c、13cはそれぞれ、洗面器11a、12a、13aに洗浄のための水を導く導水管11e、12e、13eと、導水管11e、12e、13eによって導かれた水を洗面器11a、12a、13aに流すか否かの切り替えを行う弁11f、12f、13fと、弁11f、12f、13fを経た水を吐水する図示しない蛇口とを有している。
【0073】
弁11f、12f、13fは電磁弁であり、コントローラ10によって開閉を制御される。なお、弁11f、12f、13fの駆動回路はコントローラ10に内蔵されているが、弁11f、12f、13fと一体とするなど、洗面器11a、12a、13a側に配設してもよい。
【0074】
コントローラ10は、図示を省略するが、CPU、メモリ、電源、手検出センサ11b、12b、13bからの信号が入力される入力ポート、弁11f、12f、13fへの信号を出力する出力ポートを有している。
メモリには、本実施例の各動作を行うためのプログラムが記録されているとともに、本実施例の各動作、制御を行うための各種データが記録されるようになっている。
電源には、AC電源、電池、水力発電などの周知のものが採用されている。
【0075】
連立洗面器制御システム100は、洗面器11a、12a、13aのうち同一の洗面器に対応して設けられた、手検出センサ11b、12b、13bのうちの1つの手検出センサと、弁11f、12f、13fのうちの1つの弁との組み合わせでコントローラ10による制御を行う基本モードと、洗面器11a、12a、13aのうち互いに異なる洗面器に対応して設けられた、手検出センサ11b、12b、13bのうちの1つの手検出センサと、弁11f、12f、13fのうちの1つの弁との組み合わせを少なくとも含み組み合わせでコントローラ10による制御を行う保守モードとを有している。基本モードと保守モードとの切り替えは、所定の条件(前述の連立小便器制御システム同様、光リモコン、磁石などの専用治具やディップスイッチなどによる)で、コントローラ10によって行われる。
【0076】
基本モードは、連立洗面器制御システム100が正常な状態で使用される場合のモードである。基本モードでは、たとえば、手検出センサ11bによって使用者の手が検出された場合には、コントローラ10により、手検出センサ11bが設けられた洗面器11aに設けられた弁11fを制御し、洗面器11aに水を流す。
【0077】
このように、基本モードでは、手検出センサ11bと弁11f、手検出センサ12bと弁12f、手検出センサ13bと弁13fのように、同一の洗面器に対応して設けられた手検出センサと弁との本来の組み合わせすなわちペアで水栓を制御する。
水を流すタイミング、すなわち弁11fの開閉の切り替えのタイミングは、手検出センサ11bが使用者の手を検出している間、吐水する仕様が最も多い。手を検出して一定時間の吐水をするものや、手の検出のたびに、吐水/止水を切り替えるものもある。
【0078】
保守モードは、基本モードでないときのモードであって、連立洗面器制御システム100の管理者、点検者等(以下「管理者等」)によって、連立洗面器制御システム100のいずれかの構成要素を用いて保守モードとする旨の入力がされたことを、上述した所定の条件とするものである。保守モードの設定は、コントローラ10によって行われる。よって、コントローラ10は保守入力検出手段として機能するものである。
【0079】
保守モードは、管理者等が、連立洗面器制御システム100の故障等の通報等を受けて、その故障等の箇所、たとえばどの手検出センサ、どの弁が故障しているかを特定し修理等する場合、また、連立洗面器制御システム100を定期的に点検し手検出センサ、弁等が故障していないかどうかをチェックする場合等に用いられる。
【0080】
以下、管理者等が保守モードとすべき旨の所定の入力を行うことによって、コントローラ10によって保守モードに移行すること、保守モードにおいて故障箇所を特定するための操作、動作等は、上述した連立小便器制御システムの例と同様であるので説明を省略する。
【0081】
このように、連立洗面器制御システムにおいては、連立小便器制御システムにおけるセンサ異常モード、洗浄異常モードに対応するモードを有していない。これは、連立小便器制御システムにおいては、使用者による使用時に必ずしも水が流れることを要さず(小便器の場合、便器が直ちに洗浄されなくても、使用者は困らない)、小便器や排水路等を洗浄できるのであれば水が流れるタイミングは比較的緩やかでよいのに対し、連立洗面器制御システムにおいては、使用者が手洗いをするのに手を差し出したそのときに水が流れなければ用をなさないからである。ただし、連立洗面器制御システムにおいても、洗面器や排水路等の洗浄のために、或いは機器の異常を早く使用者に知らせるという意味で、連立小便器制御システムにおけるセンサ異常モード、洗浄異常モードに対応するモードを備えていてもよい。
【0082】
以上本発明を説明したが、本発明にかかる連立小便器制御システム、連立洗面器制御システムを構成する小便器、人体検出センサ、洗浄手段、手検出センサ、吐水手段、制御手段、排水路等については前述した形態の各要素に限らず任意に変更可能である。
小便器の数は、複数であれば3つに限らず、2つであっても、4つ以上であってもよく、この数に対応して、人体検出センサ、洗浄手段、連結管が同数設けられる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用した連立小便器制御システム(連立洗面器制御システム)の構成の概略図である。
【図2】第1のモード、基本モードにおける制御態様を示す概念図である。
【図3】センサ異常モード、洗浄異常モードにおける制御態様を示す概念図である。
【図4】センサ異常モード、洗浄異常モードにおける別の制御態様を示す概念図である。
【図5】保守モードにおける制御態様を示す概念図である。
【図6】保守モードにおける別の制御態様を示す概念図である。
【図7】保守モードにおけるまた別の制御態様を示す概念図である。
【符号の説明】
【0084】
100 制御手段、センサ異常検出手段、洗浄異常検出手段
11a、12a、13a 小便器(洗面器)
11b、12b、13b 人体検出センサ(手検出センサ)
11c、12c、13c 洗浄手段(吐水手段)
14 排水路
100 連立小便器制御システム(連立洗面器制御システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小便器と、
前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられ使用者を検出する人体検出センサと、
前記複数の小便器のそれぞれに対応して設けられた洗浄手段と、
前記人体検出センサの出力に応じて前記洗浄手段を集中制御する制御手段とを有する連立小便器制御システムにおいて、
前記複数の小便器のうち同一の小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う第1のモードと、
前記複数の小便器のうち互いに異なる小便器に対応して設けられた前記人体検出センサと前記洗浄手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う第2のモードとを有し、
前記制御手段により、所定の条件で第1のモードから第2のモードへの切り替えを行うことを特徴とする連立小便器制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の連立小便器制御システムにおいて、
前記人体検出センサの異常を検出するセンサ異常検出手段を有し、
第2のモードは、前記所定の条件が、前記センサ異常検出手段により前記人体検出センサの異常が検出されたことであるセンサ異常モードを含むことを特徴とする連立小便器制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の連立小便器制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記センサ異常モードにおいて、正常な前記人体検出センサによる使用者の検出に基づき、この検出に対して所定の割合の頻度で、異常が検出された前記人体検出センサに対応する前記小便器に対応して設けられた前記洗浄手段を制御することを特徴とする連立小便器制御システム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の連立小便器制御システムにおいて、
前記洗浄手段の異常を検出する洗浄異常検出手段と、
前記複数の小便器に共通の排水路とを有し、
第2のモードは、前記所定の条件が、前記洗浄異常検出手段により前記洗浄手段の異常が検出されたことである洗浄異常モードを含み、
前記制御手段は、前記洗浄異常モードにおいて、前記排水路における排水方向おいて異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器よりも上流側に前記小便器があるときであって、この小便器に対応する前記洗浄手段が正常であるときに、この洗浄手段と、前記異常が検出された前記洗浄手段に対応する前記小便器に対応して設けられた前記人体検出センサとの組み合わせで制御することを特徴とする連立小便器制御システム。
【請求項5】
複数の洗面器と、
前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられ、使用者の手を検出する手検出センサと、
前記複数の洗面器のそれぞれに対応して設けられた吐水手段と、
前記手検出センサの出力に応じて前記吐水手段を制御する制御手段とを有する連立洗面器制御システムにおいて、
前記複数の洗面器のうち同一の洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせで前記制御手段による制御を行う基本モードと、
前記複数の洗面器のうち互いに異なる洗面器に対応して設けられた前記手検出センサと前記吐水手段との組み合わせを少なくとも含む組み合わせで前記制御手段による制御を行う保守モードとを有し、
前記制御手段により、所定の条件で前記基本モードから前記保守モードへの切り替えを行うことを特徴とする連立洗面器制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−113352(P2007−113352A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308461(P2005−308461)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】