説明

連結デバイス

【課題】エチレン製造炉のような環境においてセラミックチューブと金属チューブの連結のために特に適する新規な連結デバイスを提供する。
【解決手段】第一収縮リング(42)によって収縮フィットされた第一部分(22)を含むデバイスであって、該第一収縮リングは、それ自体が、該第一収縮リングの熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を示す第二収縮リング(44)によって収縮フィットされているところのデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にエチレンの製造のために意図される、炉、ボイラー、過熱器、蒸気発生器、化学反応器および熱交換器から選択される設備に特に関する。特に、本発明は、セラミック(特に炭化ケイ素)から作られたチューブと金属チューブとの端と端をつなぐ連結を、上記2つのチューブ間の直接の接触を伴ってまたは伴わないで、提供するまたは改善するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンの製造は従来、エタンまたはナフサから出発する蒸気クラッキング操作の結果として生じる。このために、図1の概略的に表わされるエチレン製造装置5は、従来、その中をチューブ12の束が通り、少なくとも1のバーナー13によって加熱される部屋11を含む炉10を含む。
【0003】
断面が円形であるチューブ12は、外径が50〜250mmであり、壁厚が5〜25mmである。これらのチューブは、ピン状に曲げられ、炉の上記部屋内で数メートルの長さである。チューブは、鉄、ニッケルおよびクロムの合金で作られている。
【0004】
エチレンを製造するために、供給手段14が炭化水素および蒸気の反応性混合物Mをチューブ12の上流端に供給し、部屋11では1000℃より高い温度が維持される。この混合物の流速は、反応性混合物Mが750℃より高い温度に達することができ、かつ反応してエチレンの製造をもたらすことができるように調整される。
【0005】
エチレンの製造は、チューブ12の内部表面にコークスの沈着をもたらし、これは、生産性の低下をもたらす。
【0006】
特に、チューブを形成する合金のニッケルは、コークスの生産を触媒することが発見されている。従って、研究者らは、金属チューブを、ニッケルを含まないチューブ、特にセラミックチューブで置き換えることを考えている。セラミックチューブは、プラントの残りの部分、特に、反応性混合物を導入しまたは反応生成物を排出するために使用される金属チューブに連結することができなければならない。従って、適する連結デバイス、特に、炉の運転停止から生じる典型的には700℃より大きい振幅を有する熱サイクルに耐えることができるデバイスを見出すための研究が行われている。
【0007】
特に、セラミックチューブおよび金属チューブは、非常に異なる熱膨張係数を示し、典型的にはそれぞれ約4・10−6−1および約18・10−6−1である。目標とされる用途では、試験された連結は、漏れ止め性の低下をもたらし、さらにはチューブの分離をすらもたらす。
【0008】
例えば、フランス特許2645941は、金属支持体とセラミック管状要素との間の連結デバイスを記載しており、上記デバイスでは、カラー(collar)が支持体に取り付けられかつ機能的間隔を伴ってセラミックチューブを取り囲んでいる。漏れ止め性は、製造装置の運転により生じるコークスシールによって得られる。しかし、この機能的間隔は、製造装置の運転開始時に、炭化水素の漏れをもたらす。
【0009】
さらに、上記連結は、特に環境温度で、機械的に信頼できない。従って、エチレン製造炉のような環境には適さない。さらに、脱炭は蒸気によって行うことができないが、それは必ず機械的磨耗から生じるに違いにない。最後に、フランス特許2645941に記載された連結デバイスは、コークスを生じるプラントにおいてのみ適用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、それらに限定されないが、エチレン製造炉のような環境においてセラミックチューブと金属チューブの連結のために特に適する新規な連結デバイスのための要求がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、少なくとも特に、この要求に応えることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の局面
本発明の第一の局面によれば、この目的は、第一収縮リングによって収縮フィットされた(shrink fitted)第一部分を含むデバイスによって達成される。上記第一収縮リングは、それ自体が、少なくとも20℃〜1000℃の間において上記第一収縮リングの熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を示す第二収縮リングによって収縮フィットされている。
【発明の効果】
【0013】
環境温度で、上記2つの収縮リングは、信頼できる機械的連結および良好な漏れ止め性を提供する。温度の上昇中に、第二収縮リングが、第一収縮リングよりも少なく膨張する。したがって、第一収縮リング上に圧縮力を及ぼし、それは、第一収縮リングが第一部分から離されるのを防ぎ、あるいは、第一部分と第一収縮リングとの間の漏れ止め性の低下を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、エチレン製造装置を模式的に示す。
【図2】図2は、連結の前後における収縮リングと収縮フィットされた部分の横断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様に従うデバイスを、縦に2等分する平面で切断した透視図を示す。
【図4】図4は、図3において示されたデバイスにおける接合のためのプロセスの種々の段階の一つを示す。
【図5】図5は、図3において示されたデバイスにおける接合のためのプロセスの種々の段階の一つを示す。
【図6】図6は、図3において示されたデバイスにおける接合のためのプロセスの種々の段階の一つを示す。
【図7】図7は、本発明に従うデバイスの別の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
説明の継続においてより詳細にみられるように、第一部分がセラミックチューブであるとき、金属チューブを第一収縮リングに取り付けることによって、セラミックチューブと金属チューブとの間に、特に機械的に信頼できる連結を得ることが可能になる。この連結は、特に目的の用途のために、環境温度においてだけでなく、数百度の温度範囲、典型的には700℃より高い、800℃より高い、さらには900℃より高くさえある温度範囲、にわたっても、十分な漏れ止め性を有利に有し得る。
【0016】
本発明に従うデバイスはまた、下記の任意的な特徴の1以上をも含み得る。
第一部分が、20〜1000℃の間で、10・10−6−1未満の、8・10−6−1未満の、6・10−6−1未満の、またはさらには5・10−6−1未満すらの熱膨張係数を示す材料から作られる。
【0017】
第一部分が、150GPaより大きい弾性率(MOE)を示す材料から作られる。
【0018】
第一部分が、1400℃に達する、さらには1500℃にすら達する温度に耐えることができるセラミック、カーバイド、ナイトライドまたはオキシド物質から作られる。
【0019】
第一部分が、セラミックまたはビトロセラミック(vitroceramic)物質を含む。この物質は特に、炭化ケイ素、アルミナ、ムライト、窒化ケイ素、ジルコニア、董青石、チタン酸アルミニウムおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0020】
第一部分の材料中の炭化ケイ素の量が、80重量%より多く、好ましくは90重量%より多い。好ましくは、上記物質が、炭化ケイ素で構成される。炭化ケイ素は、標的の用途において特に役立つ特性を示す。特に、それは、コークスの形成を制限することを可能にし、また高い熱伝導性を示し、それは、炉から、チューブの中を移動する反応性混合物への熱の効率的な移動を可能にする。エネルギー効率はしたがって、対応する金属チューブによって得られるものよりも良好である。最後に、炭化ケイ素は、その最高運転温度が2000℃より上であり、非常に高い温度ですらその機械的特性を保持する。従って、有利には、炉内の温度を高めることができるようになり、同時に、チューブの中を移動する反応物の混合物の流速を高めることができるようになる。従って、炉の生産力をかなり高めることができる。
【0021】
第一部分の材料が、5%未満の、好ましくは2%未満の、さらには1%未満すらの総多孔度を示す。それによって、第一部分の浸透性が有利に低下される。
【0022】
第一収縮リングが金属を含む。好ましくは、第一収縮リングが1以上の金属で構成される。1の実施態様では、それが第一鉄金属を含む。
【0023】
第一収縮リングが、20℃〜1000℃の間で、25・10−6−1未満の、20・10−6−1未満のおよび/または10・10−6−1超の、または15・10−6−1超の熱膨張係数を示す材料から作られる。
【0024】
第一収縮リングが、1200℃より高い融点を示す材料から作られる。したがって、有利には、第一収縮リングは、第一部分にフィットされるためにおよび/またはその使用中に非常に高い温度に加熱され得る。
【0025】
第一収縮リングの材料が、コバルトに基づく合金、例えばステライト、オーステナイト鋼、フェライト鋼またはチタンに基づく合金から選択される。1の実施態様では、第一収縮リングが、銅を含まないおよび/またはスズを含まない。
【0026】
第一収縮リングが、1つの物質のみで構成される。
【0027】
第一収縮リングが、カラー(collar)またはスリーブの形状を示し、その半径方向の熱膨張が妨害されない。特に、第一収縮リングは、その半径方向の膨張を外に向かって妨害するであろう部分には挿入されない。それによって、第一収縮リングのフィッティングが簡略化される。
【0028】
20〜1000℃の温度で測定される、第一収縮リングの材料の熱膨張係数の、第一部分の材料の熱膨張係数に対する比が、2.5より大きく、3より大きく、4より大きく、および/または6未満であり、さらには5未満ですらある。
【0029】
第二収縮リングが、20℃〜1000℃の間で、15・10−6−1未満の、さらには10・10−6−1未満すらの、および/または4・10−6−1より大きく、さらには6・10−6−1より大きくすらある熱膨張係数を示す材料で作られる。第二収縮リングの材料は、特に、20℃〜1000℃の間で8・10−6−1の熱膨張係数を示し得る。
【0030】
第二収縮リングが、1200℃より大きい融点を示す材料で作られる。したがって、有利には、第二収縮リングが、第一収縮リングにフィットされるために、非常に高い温度に加熱され得、これは、特にぴったりした結合を得ることを可能にする。
【0031】
20℃〜1000℃の間で、第一収縮リングの材料の熱膨張係数の、第二収縮リングの材料の熱膨張係数に対する比が、1.2より大きく、1.5より大きく、1.8より大きく、および/または3.5未満であり、3未満であり、さらには2.5未満ですらある。
【0032】
第二収縮リングが、110GPa未満の、好ましくは100GPa未満の20℃での弾性率(ヤング率)を示す材料で作られる。第二収縮リングの材料は、特に、20℃で90GPaの弾性率(ヤング率)を示し得る。
【0033】
第二収縮リングの材料は、80%より多い、好ましくは85%より多い、および/または95%未満の、好ましくは93%未満の、ニオブおよび/またはDilver P1の含量(重量)を示す。有利には、ニオブの存在は、デバイスがエチレンの製造のために使用されるときに特に非常に適する熱膨張挙動を得ることを可能にする。Dilver P1は、本発明に従うデバイスが、使用中に600℃より高い温度に付されないときに有利に使用され得る。このような温度条件下では、ニオブは好ましくは、Dilver P1によって完全に置き換えられる。ニオブおよび/またはDilver P1の量に対する上記変更はまた、熱膨張係数を、標的とする用途に正確に調整することを可能にする。
【0034】
第二収縮リングの材料が、5%より多い、好ましくは8%より多い、および/または15%未満の、好ましくは12%未満の金属形状でのハフニウムの含量(重量)を示す。有利には、ハフニウムの存在は、高温での機械的強度を改善する。
【0035】
第二収縮リングの材料が、0.5%より多い、好ましくは0.8%より多い、および/または1.5%未満の、好ましくは1.2%未満の金属形状でのチタンの含量(重量)を示す。有利には、チタンの存在は、延性および酸化耐性を改善する。
【0036】
第二収縮リングの材料が、ニオブおよび/またはDilver P1、ハフニウム及びチタンで構成され、2重量%未満、好ましくは1重量%未満である残部が不純物である。
【0037】
第二収縮リングが、1つの物質のみで構成される。
【0038】
第二収縮リングが、カラーまたはスリーブの形状を示し、その半径方向の熱膨張が妨害されない。特に、第二収縮リングは、その半径方向の膨張を外に向かって妨害するであろう部分には挿入されない。それによって、第二収縮リングのフィッティングが簡略化される。
【0039】
第一収縮リングおよび/または第二収縮リングが、40mmより長くおよび/または150mm未満である長さにわたって伸びる。
【0040】
第一収縮リングが、1mmより大きい、好ましくは3mmより大きい、より好ましくは3.5mmより大きい、および/または5mm未満の厚さ、好ましくは実質的に一定の厚さを示し、および/または第二収縮リングは、3mmより大きい、好ましくは5mmより大きい、好ましくは8mmより大きい、および/または15mm未満の、好ましくは13mm未満の厚さ、好ましくは実質的に一定の厚さを示す。これらの長さおよび厚さは、連結の良好な漏れ止め性を確実にするために最適であることが分かった。
【0041】
第二部分が第一収縮リングに取付けられる。
【0042】
第二部分が、20℃〜1000℃の間で、25・10−6−1未満のまたは20・10−6−1未満のおよび/または10・10−6−1超のまたは15・10−6−1超の熱膨張係数を示す材料から作られる。本発明に従うデバイスは、特に、非常に異なる熱膨張係数を示す第一および第二部分を連結するために完全に適する。
【0043】
第二部分の材料が金属製である。特に、この材料は、コバルトに基づく合金、例えばステライト、オーステナイト鋼、フェライト鋼、さらには第一鉄鋼すらから、またはチタンに基づく合金から選択され得る。
【0044】
第二部分が、第一収縮リングと実質的に同一の熱膨張係数および/または化学組成を示す材料で作られる。
【0045】
第二部分が、第一収縮リングに溶接されまたはろう付けされる。溶接またはろう付けの使用は、有利には、高温ですら、信頼できる取付けを可能にする。特に、第二部分と第一収縮リングの材料が組成において類似している、さらには同一ですらあるときによく適する。
【0046】
第一収縮リングおよび/または第二収縮リングの穴が、円形の断面を有する円筒状である。言い換えると、第一部分は、第一収縮リングがフィットされるところの円筒状部分を外側に示し、および/または第一収縮リングは第二収縮リングがフィットされるところの円筒状部分を外側に示す。第一および第二収縮リングは特に、カラーの一般的な形状を示す。
【0047】
第一部分および/または第二部分の内側が、中実(solid)、中空または部分的に中実である。中空の内部の体積(volume)は任意の形状であり得る。
【0048】
第一部分および/または、適切であるならば、第二部分が、チューブおよび中実の棒(solidbar)から選択される。
【0049】
上記チューブおよび/または棒が、1mより長い、好ましくは3mmより長い長さを示す。
【0050】
連結デバイスの上流および/または下流の上記チューブ又は上記棒の最も大きい横方向の外側の寸法(すなわち、円形の断面の場合には外径)が、10mmより大きく、好ましくは20mmより大きく、30mmより大きく、40mmより大きく、および/または150mm未満、100mm未満、75mm未満である。
【0051】
連結デバイスの上流または下流および/または連結デバイス中の上記チューブの横方向の断面において、内部表面の輪郭が、上記チューブの外部表面の輪郭と形状において同一または異なる。例えば、内部表面が、溝または凹凸を示しあるいは多角形、例えば四角形、であり得、外部表面が円形であり得る。
【0052】
第一収縮リングの横方向の断面において、第一収縮リングの内部表面の輪郭が、その外部表面の輪郭と形状において同一または異なる。
【0053】
第三部分が上記第二部分に取り付けられる。
【0054】
デバイスが、ネジもボルトも有しない。これは、これらの部品が、それらのネジ山におけるコークスの体積の影響下で壊れやすいからである。
【0055】
第一部分がセラミックチューブまたは中実のセラミック棒であり、および/または、適切であるならば、第二部分が金属チューブまたは中実の金属棒である。
【0056】
1実施態様では、第一および第二の部分が、軸方向に配列された第一および第二のチューブである。好ましくは、それらの端同士が取り付けられ、好ましくは互いに接することなく取り付けられる。
【0057】
1実施態様では、第一収縮リングが、第一部分から突き出ている、すなわち、第一部分がチューブまたは棒である場合には、第一収縮リングがフィットされるところの第一部分の軸方向端を超えて延在しており、第二収縮リングは、第一部分から突き出ておらず、さらには、第一部分と端と端が合うように(flush)フィットされさえする。
【0058】
1実施態様では、上記第一および第二のチューブが、同じ内径を示す。
【0059】
好ましくは、上記第一および第二のチューブが、軸方向に互いに5mm未満だけ、3mm未満だけ、または1mm未満だけ離れている。
【0060】
第一および/または第二部分が、好ましくはその横方向の平面に延在する第一収縮リングの軸方向端を超えて、10cmより長い、50cmより長い、さらには1mより長くすらある長さにわたって延在している、チューブである。
【0061】
第一部分が、セラミックチューブ、好ましくは実質的に縦軸に沿って延びるセラミックチューブであり、第二部分が金属チューブである。セラミックチューブは、特に、1mより長い、5mより長い、さらには8mより長くすらある長さを示す。金属チューブは、特に、直線軸および上記セラミックチューブの伸長と同軸の位置を示す。別の形態では、金属チューブが曲がっており、さらにはU形ですらある。1実施態様では、Uの2つの分岐が、各場合に本発明に従う連結デバイスによって、セラミックチューブに連結している。
【0062】
第一および第二部分は、任意の構造(conformation)を有し得る。しかし、連結デバイスの部分では、第二部分の寸法は、第二部分が、第一部分の外側に取り付けられた第一収縮リングに取り付けられるのを可能にしなければならない。
【0063】
第一および第二部分が、連結デバイスの部分を包含する全長にわたって、実質的に一定の外径および壁厚を示すチューブである1実施態様では、この要件が、第二部分と第一部分との間の遷移における通過断面の低下をもたらす。
【0064】
これが、好ましくは第一および第二部分が、その全長にわたって一定の外径を示す(ただし、第二部分に関しては連結デバイスの部分を除く)チューブ(または棒)であることの理由である。この実施態様、例えば図3に示される実施態様では、第二部分が、例えば円筒状スカートの形状の、広げられた軸方向端を示すチューブであり、その寸法が、第一収縮リングへの取り付けのために使用され得るために調整される。
【0065】
広げられた軸方向端は、チューブの残りと一体化し得る。しかし、そのような構造を示す第二部分の実際的な製造は、問題を有し得る。したがって、1実施態様では、上記広げられた軸方向端が、(その全長にわたって一定の直径を有する)慣用のチューブに、接合部の形状で取り付けられる。例えば、そのようなチューブの内径よりも大きい内径を示すスカートが、チューブの一方の端に溶接され得る。
【0066】
有利には、通過断面が、係る軸の位置が何であっても(連結デバイスの上流、下流または連結デバイス中)、一定に保持され得る。
【0067】
接合部の使用は、第二部分が、中実の棒であるときに特に有効である。
【0068】
上記特徴および下記で述べる本発明の他の局面の特徴が、有利には、最適な連結を得るために、一つの同じデバイスにおいて一緒に組み入れられるが、場合によっては、これらの特徴から生じる利点が、種々のデバイスにおいて、他の利点とは別個に利用され得る。
【0069】
本発明はまた、第一熱膨張係数を示す材料で作られた第一部分および上記第一熱膨張係数より大きい第二熱膨張係数を示す材料で作られた第二部分を連結するための方法に関する。上記方法は、下記段階:
1) 第一収縮リングを第一部分に収縮フィットさせること、
2) 第二収縮リングを第一収縮リングに収縮フィットさせること、ここで上記第二収縮リングは、第一収縮リングの熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を示す材料で作られている、
3) 段階1)または2)とは独立して、好ましくは段階2)の後に、第二部分を第一収縮リングに取り付けること
を含む。
【0070】
好ましくは、第一部分、第二部分、第一収縮リングおよび第二収縮リングが、段階3)の結果、本発明の局面のいずれか1つに従う本発明に従うデバイスが得られるように選択される。
【0071】
本発明はさらに、収縮リングを、温度において特定の変動、例えば200℃より大きい、400℃より大きい、700℃より大きい、さらには900℃より大きくさえある幅を有する変動を示す環境に適応させるための方法に関する。上記方法は、上記収縮リングの組成を変える、特にニオブおよび/またはDilver P1の含量を変えることから成る。
【0072】
収縮リングは、特に、本発明の局面のいずれか一つに従う第二収縮リングの1以上の特徴、ありうる任意的なもの、を示すことができる。収縮リングの材料は、特に、80%より多い、好ましくは85%より多い、および/または95%未満の、好ましくは93%未満のニオブおよび/またはDilver P1の含量(重量)を示すことができる。
【0073】
本発明の第二の局面
第一収縮リングの第一部分へのフィッティングは、慣用的には、高い温度に加熱された第一収縮リングと第一部分の対応する円筒状部分を軸方向に配列し、次いで、第一収縮リングを第一部分に収縮フィットさせるために第一収縮リングを第一部分に関して軸方向に動かすことから成る。
【0074】
第一部分および第一収縮リングの軸方向の配列は、十分正確でなければならず、第一部分および第一収縮リングは、最も小さいありうる許容値を有する寸法が与えられなければならない。
【0075】
上記フィッティング中の第一収縮リングおよび第一部分の物理的近接は、熱衝撃の出現を与え得る。特に、小さい間隔は、急激な熱移動を与え得る。第一収縮リングと第一部分の間が接触している場合には特にそうであり、また、第一部分が、例えば炭化ケイ素から作られていることから、高い熱伝導度を示すときには特にそうである。
【0076】
これらの熱移動は、第一部分を損ない得る。さらに、それらは、第一部分の膨張および第一収縮リングの収縮をもたらし得、その結果、第一収縮リングが、所望の最終的な位置に到達することができる前に位置的に固定される。
【0077】
したがって、少なくとも部分的にこの問題を解決することを可能にする収縮フィッティング法への要求が存在する。
【0078】
本発明の1つの目的は、この要求を少なくとも部分的に満たすことである。
【0079】
本発明の第二の局面によれば、この目的は、第一部分および/または第一収縮リングを、第一部分の材料よりも小さい熱伝導度を示す物質で作られたコーティングで被覆することにより達成される。
【0080】
このコーティングは従って、第一部分と第一収縮リングの間の熱交換を制限し、したがって熱衝撃および中間的位置での固定の危険、特にフィッティング中の接触の場合の上記危険を少なくする。
【0081】
好ましくは、コーティング材料が、10W.m.℃未満の熱伝導度を示し、好ましくは、第一部分の材料の熱伝導度の上記コーティング材料の熱伝導度に対する比が10より大きい。
【0082】
コーティング材料は、好ましくは、耐火物質である。特に、コーティング材料が、ジルコニア、ドープされたジルコニア、菫青石、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウムまたはこれらの物質の混合物から選択され得る。80重量%より多いジルコニアを含むコーティングが特に効果的であることが分かった。
【0083】
コーティング材料はまた、金属で作られ得る。
【0084】
第一部分および/または第一収縮リングは、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および/または第一収縮リングであってもよく、そうでなくてもよい。
【0085】
本発明の第3、第4および第5局面
本発明者らは、第一収縮リングが第一部分にフィットされるとき、第一収縮リングから第一部分の方へ物質が移動し得ることを見出した。特に、第一収縮リングからのニッケルが、第一部分の炭化ケイ素の方へ移動し得、その結果、第一部分に応力の部分を生じ、それが、温度変化中に破損を生じ得ることを見出した。
【0086】
従って、第一部分にフィットされた第一収縮リングを含み、かつ改善された機械的強度を示すデバイスのための要求が存在する。
【0087】
さらに、第一部分が、ケイ素化合物に基づく物質(すなわち、50重量%より多い上記ケイ素化合物を含む)から作られるとき、特に第一部分が炭化ケイ素から作られるとき、セラミック酸化物からなるコーティングを第一部分の表面に付着させることが困難であり得る。
【0088】
この付着は、第一部分の材料が5%未満の総多孔度を示す時に特に問題を有する。
【0089】
従って、ケイ素化合物に基づく基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによって被覆する方法であって、信頼できかつ耐久性のあるやり方で上記コーティングを取り付けることを可能にする方法のための要求が存在する。
【0090】
本発明の目的は、上記問題を少なくとも部分的に解決するための技術的解決法を提供することである。
【0091】
本発明の第3の局面によれば、この目的は、ケイ素化合物に基づく基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによって被覆する方法によって達成され、上記方法は、下記の連続する段階:
a1)上記基体に、好ましくは環境温度で、上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記少なくとも1のセラミック酸化物で構成された粒子を施与すること、
b1)上記少なくとも1のセラミック酸化物から成るコーティングおよび上記基体と上記コーティングとの間の遷移部でのシリカを含む遷移層を形成するように、上記少なくとも1のセラミック酸化物を上記基体のケイ素と反応させるために適切な条件下で上記基体を熱処理すること、
c1)任意的に、上記コーティングの外表面で、コンプライアント(compliant)物質の層を施与すること、上記コンプライアント物質は、下記に述べる本発明の第11局面に従う、
d1)任意的に、第一収縮リングが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、上記コーティングを覆うように上記収縮リングをフィットさせること
を含む。
【0092】
あるいは、本発明の第4の局面によれば、この目的は、ケイ素化合物に基づく基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによって被覆する方法によって達成され、上記方法が、下記の連続する段階:
a2)上記基体の少なくとも表面で、上記表面上にシリカを形成するように、例えば酸化雰囲気下での熱処理によって、上記ケイ素化合物を酸化すること、
b2)上記基体に、好ましくは環境温度で、上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記少なくとも1のセラミック酸化物で構成された粒子を施与すること、
c2)上記基体を、上記少なくとも1のセラミック酸化物から成るコーティングおよび上記基体と上記コーティングとの間の遷移部でのシリカを含む遷移層を形成するように、上記少なくとも1のセラミック酸化物を上記シリカと反応させるために適切な条件下で上記基体を熱処理すること、
d2)任意的に、上記コーティングの外表面で、コンプライアント物質の層を施与すること、上記コンプライアント物質は、下記に述べる本発明の第11局面に従う、
e2)任意的に、第一収縮リングが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、上記コーティングを覆うように上記収縮リングをフィットさせること
を含む。
【0093】
あるいは、本発明の第5の局面によれば、この目的は、特にケイ素化合物に基づく、例えばSiC、窒化ケイ素SiまたはSiAlONに基づく基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによって被覆する方法によって達成され、上記方法が、下記の連続する段階:
a3)上記基体の表面でケイ素の層を、好ましくはプラズマ噴霧によって、沈着させること、
b3)上記ケイ素の層に、好ましくは環境温度で、上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記少なくとも1のセラミック酸化物で構成された粒子を施与すること、
c3)任意的に、上記少なくとも1のセラミック酸化物から成るコーティングおよび上記基体と上記コーティングとの間の遷移部でのシリカを含む遷移層を形成するように、上記少なくとも1のセラミック酸化物を上記基体のケイ素と反応させるために上記基体を熱処理すること、
d3)任意的に、上記コーティングの外表面で、コンプライアント物質の層を施与すること、上記コンプライアント物質は、下記に述べる本発明の第11局面に従う、
e3)任意的に、第一収縮リングが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、上記コーティングを覆うように上記収縮リングをフィットさせること
を含む。
【0094】
段階c3)は、段階b1)のように行われ得る。しかし、この方法では、有利には、段階b3)において粒子の施与が熱噴霧によって行われるならば、熱処理が不要である。上記方法は、それによって、有利に簡略化される。
【0095】
ケイ素化合物に基づく基体を被覆するための本発明に従う方法が何であっても、コーティングのおよび基体のケイ素化合物の性質は制限されない。特に、コーティングおよび/または基体は、本発明の第6の局面において規定されたコーティングのおよび基体の1以上の特徴を含み得る。
【0096】
上記方法はまた、下記の任意的な特徴の1以上を示し得る。
【0097】
ケイ素化合物が非酸化物化合物である。これは、上記方法が、この種のケイ素化合物に特によく適するからである。
【0098】
段階a1)またはb2)において、上記少なくとも1のセラミック酸化物の粒子が、噴霧、塗布または浸漬によって施与される。このために、スリップ(slip)が用意され、基体に施与される。好ましくは、スリップがシリカを含まず、好ましくはケイ素化合物を含まない。
【0099】
段階b1)またはc2)またはc3)において、基体が、1000〜1400℃の温度で、好ましくは1時間より長い時間、焼成に付される。
【0100】
段階b1)またはc2)またはc3)が、インシチューに、すなわちコーティングされた基体がその操作位置に設置された後に行われる。有利には、上記方法がそれによって簡略化され、それによってコストが低減される。例えば、基体が、本発明に従う連結デバイスの第一部分であるとき、この段階が、上記デバイスの最終的な取り付け後に、例えばエチレン製造炉内または熱交換器内に位置された2つのチューブの間に介在させた後に、行われ得る。したがって、焼成が、連結デバイスの最初の使用の結果から生じる。
【0101】
本発明はまた、本発明の第3、4および5の局面のいずれか1つに従う方法に従うコーティングされた基体を含む部分に関する。
【0102】
本発明の第6局面
第6局面によれば、本発明はまた、ケイ素化合物に基づく物質で作られた基体および少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティング材料からなるコーティング、上記基体とコーティングとの間に延在する、シリカを含む遷移層を含む「コーティングされた部分」に関する。
【0103】
このコーティングされた部分は、下記の任意的な特徴の1以上を示し得る。
遷移層が、0.1μmより大きくおよび/または20μm未満である厚さを示す。
【0104】
遷移層の厚さが、10μm未満、好ましくは8μm未満、好ましくは6μm未満である。
【0105】
遷移層が、基体に連続的に付着したシリカ層から成る。
【0106】
コーティングの厚さが300μm未満、好ましくは250μm未満である。
【0107】
コーティングの厚さが、好ましくは実質的に一定であり、10μmより大きく、好ましくは30μmより大きい。
【0108】
コーティング材料が、基体よりも小さい熱伝導度および/または小さい放射率および/または大きい熱拡散率を示す。
【0109】
基体の材料の熱伝導度のコーティング材料の熱伝導度に対する比が、10より大きくおよび/または150未満である。
【0110】
コーティング材料が、10W.m.℃より小さい熱伝導度を示し、好ましくはそれが耐火物質である。
【0111】
ケイ素化合物が非酸化物化合物である。
【0112】
コーティング材料が50重量%より多い、好ましくは80重量%より多い、好ましくは90重量%より多い、より好ましくは実質的に100重量%の上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む。
【0113】
コーティング材料が、所望により、特にマグネシアまたは酸化イットリウムで、ドープされていてもよいジルコニア;菫青石;アルミナ;ムライト;アルミナ/マグネシアスピネル;チタン酸アルミニウム;酸化イットリウム;酸化マグネシウム;酸化ハフニウム;およびこれらの物質の混合物によって形成される群から選択される。有利には、上記コーティングされた部分が、そのとき、付着およびひっ掻きに対する耐性の良好な特性を示し、腐食に十分耐え、そして温度による小さい滲出を示す。
【0114】
コーティング材料が、80%より多いジルコニアを含む。コーティング材料は、特に、ジルコニアまたはドープされたジルコニアであり得る。好ましくは、コーティング材料が、5%未満の、1%未満の、0.1%未満の、およびゼロですらあるケイ素金属合金化合物、特にシリカを含む。
【0115】
コーティングが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、本発明の第11の局面に従うコンプライアント物質からなる層および/または第一収縮リング、特に本発明の第一局面に従って記載されたもの、で覆われている。有利には、上記コーティングは、拡散に対するバリヤとして効果的に作用し、熱衝撃に対する耐性を改善する。
【0116】
好ましくは、コーティングが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、本発明の第11の局面に従うコンプライアント物質で作られた層で覆われ、上記層自体は、第一収縮リング、特に本発明の第一局面に従って記載されたもので覆われる。
【0117】
基体がセラミック物質を含む。
【0118】
基体中の炭化ケイ素の量(重量)が、80%より多く、好ましくは90%より多い。好ましくは、基体の材料が、炭化ケイ素で構成されている。
【0119】
上記基体が、5%未満の、2%未満の、さらには1%未満ですらある総多孔度を示す。
【0120】
コーティングされた部分が、特にセラミック部分の焼成のための、焼成支持体として作用することが意図される部分である。特に、上記コーティングが、焼成支持体の平らな表面に施与され得る。
【0121】
コーティングされた部分が、本発明の第3、4および5の局面のいずれか1つに従う方法に従って製造される。
【0122】
基体および上記少なくとも1のセラミック酸化物が、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの「第一部分」を製造するように選択される。したがって、本発明の第6の局面に従うコーティングされた部分がまた、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの「第一部分」の特徴、ありうる任意的なもの、の1以上を含み得る。
【0123】
本発明はまた、焼成支持体の、収縮フィットされた部分のまたは収縮リングの形状での本発明に従うコーティングされた部分に関する。
【0124】
上記で説明したように、これは、コーティングが、特に、第一収縮リングのフィッティング中の第一収縮リングによる熱の過度に急速な移動を防ぐために第一部分を覆うために使用され得るからである。
【0125】
本発明者らはまた、第一収縮リングが、本発明に従うコーティングされた部分に取り付けられるとき、上記コーティングが、第一部分の材料と第一収縮リングの材料との間の化学反応を非常に効果的に制限することを見出した。したがって、上記コーティングは、第一部分と第一収縮リングとの間の材料の拡散を制限するバリヤとして作用する。この結果が、熱サイクルにおける改善された耐性である。
【0126】
特にこれらの熱移動および/またはこれらの化学反応を制限するために、下記の任意的な特徴が好ましいが、それらに制限されない。
第一収縮リングがそれ自体、第二収縮リングによって収縮フィットされる。
【0127】
コーティングが少なくとも部分的に、第一部分のおよび/または第一収縮リングのおよび/または適切ならば第二収縮リングの円筒状の表面、特に円形の横断面を伴う、を覆う。
【0128】
コーティングが上記円筒状表面を取り巻く。
【0129】
コーティングが、上記第一収縮リングおよび上記第一部分の間の、および/または適切ならば上記第二収縮リングおよび上記第一収縮リングの間の接触領域の少なくとも一部、好ましくは全てを規定する。
【0130】
コーティングが、上記接触領域の少なくとも50%にわたって、好ましくは少なくとも80%にわたって、より好ましくは実質的に100%にわたって位置される。
【0131】
好ましくは、コーティングが第一部分のまたは第一収縮リングの端から延在し、それによって、上記フィッティング中に、第一部分が、第一収縮リング中に入り込む。
【0132】
第二部分が第一収縮リングに取り付けられる。
【0133】
第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングがそれぞれ、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングであってもなくてもよい。したがって、本発明の第6局面に従うデバイスはまた、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの1以上の特徴、ありうる任意的なもの、を含むことができる。
【0134】
一般に、本発明は、上述したコーティングされた部分および上記コーティングされた部分にフィットされた収縮リングを含むアッセンブリに関し、上記コーティングされた部分は、ケイ素化合物に基づく材料から作られた基体および少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティング材料で作られたコーティングおよび上記基体と上記コーティングとの間に延在する、シリカを含む遷移層を含み、上記コーティングは、上記収縮リングと上記コーティングされた部分との間の接触領域の少なくとも一部を規定する。
【0135】
本発明はまた、第一部分と、上記第一部分にフィットされた第一収縮リングとの間の上記で定義されたコーティングの、「抗拡散バリヤ」としての、すなわち上記第一部分と上記第一収縮リングとの間の物質の移動を制限するための用途に関する。
【0136】
本発明の第7局面
したがって、第7局面によれば、本発明はまた、第一部分、特にセラミック物質で作られたもの、が第一収縮リングによって収縮フィットされる方法に関し、上記方法では、第一収縮リングを第一部分にフィットさせる前に、第一部分よりも小さい熱伝導度および/または大きい熱拡散率を示す材料で作られたコーティングが、第一部分および/または第一収縮リングに施与される。
【0137】
上記コーティングは好ましくは、第一収縮リングが上記フィッティングを可能にするために加熱されるときに第一部分に施与される。
【0138】
上記コーティングは好ましくは、本発明に従う基体をコーティングする方法に従って施与される。
【0139】
好ましくは、この方法が、第一部分が本発明に従うコーティングされた部分であるために調整される。
【0140】
本発明の第8局面
また、本発明者らは試験中に、セラミックチューブを金属チューブに、本発明の第一局面にしたがって記載したように、1以上の収縮リングによって連結することがセラミックチューブに破損を招き得ることを見出した。
【0141】
したがって、セラミック物質で作られた部分が第一収縮リングによって収縮フィットされるとき、上記部分への損傷を制限することを可能にする解決のための要求が存在する。
【0142】
本発明の目的は、この要求を満たすことである。
【0143】
本発明の第8局面によれば、この目的は、第一収縮リングによって収縮フィットされた、セラミック物質で作られた第一部分を含むデバイスによって達成される。ここで、上記デバイスでは、それらによって第一収縮リングが第一部分にフィットされているところの上記第一部分の円筒状部分および上記第一収縮リングの軸方向端の端(edge)が、1つの同一の横断面に属する。
【0144】
言い換えると、第一収縮リングが、第一部分の円筒状部分の端まで延在しており、上記端に第一収縮リングが、そこから軸方向に突き出ることなくフィットされている。明確にするために、上記第一収縮リングは、第一部分に「端と端が合うように(flush)」フィットされていると言える。
【0145】
2つのチューブまたは2つの棒の端同士の連結の場合には、この種のフィッティングは新規であり、これらのチューブまたは棒を互いにしっかり取り付けるための研究は自然に、少なくとも第一収縮リングがこれら2つのチューブまたは棒にオーバーラップするようにフィットされることを促す。しかし、本発明者らは、「端と端が合うように(flush)」フィットさせることが、第一収縮リングをフィットさせる間、第一部分への損傷を非常に有意に制限することを見出した。
【0146】
2つの端は、それらの軸方向のオフセットが1mm未満であるとき、「1つの同一の横断面に属する」と言う。好ましくは、本発明によれば、このオフセットが、0.8mm未満、好ましくは0.5mm未満、より好ましくは0.3mm未満、さらに好ましくは0.1mm未満である。上記端の一方または両方が横断面内に含まれない場合には、対象の1つの端の先(point)が何であっても、他の端からの距離が1mm未満、好ましくは0.8mm未満、好ましくは0.5mm未満、より好ましくは0.3mm未満、さらに好ましくは0.1mm未満であるとき、上記2つの端は「1つの同じ横断面に属する」と考えられる。
【0147】
用語「横断面」は、第一収縮リングの軸に垂直な面を記載する。
【0148】
本発明の第8局面に従うデバイスは、任意的に、下記特徴の1以上を含み得る。
【0149】
第二部分が第一収縮リングに、好ましくは溶接されてまたはろう付けされて、取り付けられる。
【0150】
第一収縮リングがそれ自体、好ましくは、第二収縮リングによって収縮フィットされる。
【0151】
第二収縮リングが第一収縮リングに端と端が合うように(flush)フィットされる。言い換えると、第一収縮リングの、第二収縮リングの、および第一部分の軸方向端の端が1つの同じ横断面に属する。
【0152】
第二部分が、好ましくは第一収縮リングと相互作用して、その中に第二収縮リングが収容されるところのチャンバー、好ましくは漏れないチャンバー、を規定するように第一収縮リングに取り付けられる。
【0153】
第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングはそれぞれ、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングであってもなくてもよい。本発明の第8の局面に従うデバイスは、したがって、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの特徴、ありうる任意的なもの、の1以上を含み得る。
【0154】
本発明の第9局面
本発明の第一局面に従うデバイスの1実施態様では、第二部分が、溶接またはろう付けによって第一収縮リングに取り付けられる。これは、この種の連結が有利に機械的に耐性で耐久性があるからである。しかし、本発明者らは、第一部分がセラミック物質で作られているとき、第二部分の取り付け中に破損するかもしれないことを見出した。
【0155】
したがって、この破損の危険を制限することを可能にする解決法のための要求が存在する。
【0156】
本発明の目的はこの要求を満たすことである。
【0157】
本発明の第9局面によれば、この目的は、第一収縮リングによって収縮フィットされた、セラミック物質で作られた第一部分および上記第一収縮リングに例えば加熱法によって取り付けられた第二部分を含むデバイスによって達成される。ここで、第一収縮リングと第二部分との間の接合領域は、上記第一部分から少なくとも1mm離れた任意の場所にある。例えば、図3の実施態様では、少なくとも0.8mm、さらには少なくとも1mmすらのこの分離が、セラミックチューブの外表面と、金属チューブを第一収縮リングに結合することを可能にする溶接ビードとの間の半径方向の分離δに対応する。
【0158】
説明の続きにおいてより詳細に分かるように、接合領域の分離は、第二部分を第一収縮リングに取り付ける間の第一部分との相互作用を制限する。特に、第二部分が第一収縮リングに溶接またはろう付けされるとき、この分離が、第一部分内での熱勾配を低下させる。
【0159】
本発明の第9局面に従うデバイスはまた、任意的に、下記特徴の1以上を含み得る。
【0160】
接合領域が、第一部分に対して直角に延在する。特に、第一部分がチューブであるとき、上記分離が、横断面に含まれかつ上記チューブの軸を通る直線にそって測定される、半径方向の分離である。
【0161】
上記分離が、特に半径方向であるとき、0.8mmより大きく、1mmより大きく、好ましくは3mmより大きく、5mmより大きく、より好ましくは410mmより大きく、あるいは15mmより大きくすらある。
【0162】
第二部分が、第一収縮リングに溶接またはろう付けされる。
【0163】
第一収縮リングが、第二部分が取り付けられるところの端に、連続または不連続の、好ましくは連続のフランジを示す。
【0164】
フランジが連続であり、かつ第一収縮リングを取り囲む。
【0165】
フランジが、上記第一収縮リングの軸方向端に付与されている。
【0166】
フランジが、第一収縮リングがそれによって第一部分にフィットされている(すなわち軸方向に導入されている)ところの第一収縮リングの軸方向端に位置している。
【0167】
第一収縮リングがそれ自体、第二収縮リングによって収縮フィットされている。
【0168】
特に有利な実施態様では、第一収縮リングが、第一部分に端と端が合うように(flush)取り付けられないで、そこから軸方向に突き出ており、第二部分が、第一収縮リングの突き出ている部分に、好ましくはそれによって第一部分上に滑り込まれている(slipped)端と反対の、第一収縮リングの端に、取り付けられている。
【0169】
有利には、この実施態様は、フランジの付与を必要としない。これは、第一収縮リングの製造を簡略化する。さらに、それは、最小の空間要件を可能にする。
【0170】
しかし、好ましくは、任意的な第二収縮リングが、第一部分に端と端が合うように(flush)フィットされている。すなわち、第二収縮リングが、それがフィットされているところの第一部分の円筒状部分の端まで延在している。
【0171】
第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングはそれぞれ、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングであってもなくてもよい。本発明の第9局面に従うデバイスは、したがって、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの特徴、ありうる任意的なもの、の1以上を含み得る。
【0172】
本発明の第10局面
本発明者らはまた、本発明の第1局面に従うデバイスの寿命を長くすることを追求した。
【0173】
本発明の第10局面によれば、本発明者らは、第一収縮リングによって収縮フィットされた、セラミック物質で作られた第一部分を含むデバイスを発見した。ここで、第一収縮リングの少なくとも一部分、好ましくは少なくとも第一部分と接触した第一収縮リングの部分、さらには第一収縮リングの全てすらが、遮蔽物によって被覆することによって保護されている。
【0174】
好ましくは、第一収縮リングがそれ自体、第二収縮リングによって収縮フィットされており、第二収縮リングの少なくとも一部、好ましくは少なくとも第一収縮リングと接触した第二収縮リングの部分、さらには第二収縮リングの全てすらが、遮蔽物によって被覆することによって保護されている。
【0175】
説明の続きにおいてさらに詳細に分かるように、収縮リングを少なくとも部分的に被覆する保護遮蔽物の取り付けは、それに対する損傷、特に機械的攻撃による損傷を制限することを可能にし、従ってデバイスの寿命を増加させる。
【0176】
本発明の第10局面に従うデバイスはまた、任意的に、下記特徴の1以上を含み得る。
【0177】
遮蔽物が、第一収縮リングおよび/または第二収縮リングを取り囲む。
【0178】
遮蔽物が、第一部分と接触した第一収縮リングの部分と接触していない。
【0179】
遮蔽物が、第二収縮リングと接触していない。
【0180】
遮蔽物、好ましくは第一収縮リングと相互作用する遮蔽物が、チャンバー、好ましくは環状チャンバーの範囲を定める。
【0181】
第二収縮リングが、上記チャンバー内に収容されている。
【0182】
チャンバーが気密性を有する。
【0183】
チャンバーが、任意の断面を示し得る。それは、第一収縮リングが取り付けられている第一部分の部分の周囲の全部または一部に及び得る。
【0184】
チャンバーが、冷却液または凍結液または熱交換液または熱絶縁液または化学的に絶縁する液体、および/または測定手段、特に圧力および/または温度を測定する手段、および/または検出手段および/または環境を分析する手段を含む。
【0185】
第二部分が第一収縮リングに、好ましくは上記遮蔽物を介して、好ましくは溶接されて、取り付けられている。
【0186】
遮蔽物が第二部分の一部を形成し、好ましくは第二部分と一体化している。
【0187】
遮蔽物、さらには第二部分すらが、第一収縮リングのフランジに、好ましくはフランジの自由端に、好ましくは溶接されて、取り付けられており、上記フランジは好ましくは第一収縮リングと一体化している。
【0188】
フランジが、それによって第一収縮リングが第一部分にフィットしているところの第一収縮リングの端に位置している。適切ならば、フランジが好ましくは、第一収縮リングがそれによって第一部分にフィットしているところの第一部分の円筒状部分の軸方向端と、第二収縮リングに関して、向かい合う第一収縮リングの側に位置している。
【0189】
第二収縮リングが、フランジと、第一収縮リングがそれによって第一部分にフィットしているところの第一部分の軸方向端の端との間に軸方向に位置している。
【0190】
第一部分の材料中の炭化ケイ素の重量が80%より多い。
【0191】
第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングはそれぞれ、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および/または第二部分および/または第一収縮リングおよび/または第二収縮リングであってもなくてもよい。本発明の第10局面に従うデバイスは、したがって、また、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの特徴、ありうる任意的なもの、の1以上を含み得る。
【0192】
本発明の第11局面
洗浄操作中、エチレン製造装置のチューブ内の圧力は、かなり増加され得、典型的には数バールに達し得る。熱サイクル中、収縮リングによる連結の漏れ止め性はまた、900℃より高い、さらには1000℃より高くすらある温度で、反応性混合物の圧力、典型的には2.5バールより大きい圧力の挑戦を受け得る。
【0193】
本発明者らは、したがって、そのようなストレスに付された2つの部分の間の、特に非常に異なる熱膨張係数を示す2つの部分の間の連結の漏れ止め性を改善するために追加の解決法を探した。
【0194】
本発明の第11局面によれば、本発明者らは従って、好ましくは第一部材よりも大きい熱膨張係数を示す第二部材に接合された第一部材を含むデバイスを発見した。ここで、上記接合は、銀、金およびパラジウムからの少なくとも2つの物質を含む合金で構成されたコンプライアント物質を介して行われる。本発明者らは、上記コンプライアント物質が、温度における大きい変化に付される環境に非常によく耐え、一方、接合された部材の良好な密着性(cohesion)および接合の漏れ止め性を付与することを見出した。
【0195】
本発明の第11局面に従うデバイスはまた、任意的に、下記特徴の1以上を含む。
【0196】
合金が、銀および/または金、ならびにパラジウムを含み、さらにはそれらから構成される。
【0197】
合金が0.5重量%より多いパラジウム、さらには3重量%より多くすらあるパラジウムを含む。
【0198】
合金が50重量%未満のパラジウムを含む。
【0199】
合金が30重量%未満のパラジウムを含む。
【0200】
合金が5%未満のガラス原料を含む。
【0201】
2つの部材の間のコンプライアント物質の厚さが、1mm未満および/または5μm超、好ましくは10μm超である。
【0202】
第二部材が第一部材の収縮リングである。
【0203】
第二部材がそれ自体、第三部材によって収縮フィットされる。
【0204】
第三部材の材料が、80%より多いニオブおよび/またはDilver P1の含量(重量)を示す。
【0205】
第三部材の第二部材への接合が、上記コンプライアント物質からなる層を介して行われる。
【0206】
20〜1000℃で、第二部材の材料が、第一部材の材料よりも大きい熱膨張係数を示し、適切ならば、第三部材が、第二部材よりも小さい熱膨張係数を示す。
【0207】
第一部材の材料中の炭化ケイ素の重量が80%より多い。
【0208】
第四部材が第二部材に取り付けられる。
【0209】
第一部材が、耐火物質で作られたコーティングで被覆される。
【0210】
耐火物質が、好ましくはジルコニア、ドープされたジルコニア、菫青石、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウムまたはこれらの物質の混合物から選択される。
【0211】
第一部材が、第一部材の材料よりも小さい熱伝導度を示す材料で作られたコーティングで被覆される。
【0212】
コーティングが、本発明の第2局面にしたがって記載されたものに従う。
【0213】
本発明はまた、第一部材と第二部材を、第一部材の第一表面と第二部材の第二表面の間に置かれたコンプライアント物質を介して接合するための方法に関し、上記方法において、
a)第一表面および第二表面の少なくとも一方が、上述したコンプライアント物質の前駆体によって被覆される、
b)第一表面が、5MPaより大きい圧力で第二表面に対して押圧される、および
c)好ましくは段階b)と同時に、接触した上記第一および第二表面が150℃より高い温度に加熱される。
【0214】
好ましくは、段階a)において、第一表面および第二表面の両方が、コンプライアント物質前駆体で被覆される。好ましくは、段階b)において、第一部材が第二部材によって収縮フィットされることにより圧力が及ぼされる。
【0215】
コンプライアント物質前駆体は特に、銀および/または金とパラジウムから形成される粉末の懸濁物であり得る。
【0216】
第一部材および第二部材がそれぞれ、特に、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの第一部分および第一収縮リング、または第一収縮リングおよび第二収縮リングであり得る。第一部分および2つの収縮リングの存在下で、コンプライアント物質前駆体は特に、コンプライアント物質が第一部分と第一収縮リングの間および第一収縮リングと第二収縮リングの間に延在するように位置され得る。第三部材はまた、第二収縮リングであり得る。本発明の第11局面に従うデバイスはまた、本発明の1以上の他の局面に従うデバイスの特徴、ありうる任意的なもの、の1以上を含み得る。
【0217】
本発明はまた、エチレンの製造のために特に意図される、炉、ボイラー、過熱器、蒸気発生器、化学反応器および熱交換器から選択される1つの項目の設備に関する。上記項目の設備は、本発明の上記局面の任意の一つに従うデバイスを含む。特に、上記項目の設備は、ケイ素化合物に基づく物質から成る、特に炭化ケイ素から成る少なくとも1のチューブを含み得、その両端の少なくとも一方によって金属チューブに取り付けられる。
【0218】
ケイ素化合物に基づく物質から成るチューブおよび金属チューブがそれぞれ、本発明の上記局面の任意の一つに従うデバイスの第一部分および第二部分を構成するおよび/または
ケイ素化合物に基づく物質から成るチューブが本発明の第6局面に従うコーティングされた部分を構成するおよび/または
ケイ素化合物に基づく物質から成るチューブまたはケイ素化合物に基づく物質から成るチューブにフィットされた第一収縮リングが、本発明の第11局面に従うデバイスの第一部材を構成するおよび/または
ケイ素化合物に基づく物質から成るチューブ、ケイ素化合物に基づく物質から成るチューブにフィットされた第一収縮リング、第一収縮リングにフィットされた第二収縮リングおよび金属チューブがそれぞれ、本発明の第11局面に従うデバイスの第一部材、第二部材、第三部材および第四部材を構成する。
【0219】
本発明の第12局面
本発明者らはまた、特にエチレン製造炉のような環境において、本発明に従う連結デバイスのセラミックチューブと金属チューブとの連結の質を改善することを追求した。すなわち、本発明者らは、特に有利な調整を見出した。
【0220】
EDが、セラミックチューブ、任意的に、セラミックチューブの材料よりも小さい熱伝導度を示す材料から成るコーティング(本発明の第2局面に従う)および、任意的に、セラミックチューブと第一収縮リングの間のコンプライアント物質から成る層(本発明の第11局面に従う)によって形成されたアッセンブリの外径を示し、
ED42が第一収縮リングの外径を示し、
ID42が第一収縮リングの内径を示し、
ID42が第二収縮リングの内径を示し、
Δが100*(ED−ID42)/ED比を示し、
Δが100*(ED42−ID44)/ED42比を示し、
測定の全てが20℃で行われるとき、
Δおよび/またはΔ、好ましくはΔおよびΔは、0.00以上および/または0.25未満であり、さらには0.20以下ですらある。
好ましくは、Δが0.05以上である。
【0221】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面からより明らかになるであろう。
図1は、エチレン製造装置を模式的に示す。
図2は、連結の前後における収縮リングと収縮フィットされた部分の横断面図を示す。
図3は、本発明の好ましい実施態様に従うデバイスを、縦に2等分する平面で切断した透視図を示す。
図4〜6は、図3において示されたデバイスの互いの接合のために使用されるプロセスの種々の段階を示す。
図7は、本発明に従うデバイスの別の形態を示す。
種々の図において、同一の参照記号は、同一または類似の部材を示すために使用される。
【0222】
図1は、説明の序文で記載された。収縮フィッティング(shrink fitting)は、外側部分を内側部分に軸方向に取り付けるための方法であり、これは、これら2つの部分の間の膨張挙動の違いを使用する。外側部分は、慣用的に、「収縮リング」と呼ばれる。内側部分は「収縮フィットされた」と呼ばれる。
【0223】
特に、収縮リングは、内側部分よりも大きい熱膨張係数を示す材料から成る。図2に示されるように、収縮リングFは、内部表面によって範囲を定められるオリフィスOを示し、それらの寸法は、収縮リングを内側部分Pに手で、または慣用的にプレス機を使用してすら、フィットさせることを困難にし、さらには不可能にすらする。収縮リングFが円形横断面を有する円筒状であるとき、その内径IDは、接合される構成要素の使用のために予想される温度の範囲において、内側部分Pの外径ODより小さい。すなわち、この範囲において、収縮リングのフィッティングは不可能である。このために、収縮リングFは、内側部分Pよりも高い温度にされなければならない。この温度の違いは、収縮リングFを加熱するおよび/または内側部分Pを、例えば液体窒素またはドライアイスを用いて、冷却することによって得られ得る。温度の違いは、収縮リングFのオリフィスOの寸法を内側部分上に導入させることを可能にするように決定されなければならない。
【0224】
収縮リングFがいったん内側部分P上に導入されると、その組み合わせは、同じ温度、例えば最初の環境温度にもたらされ、それは、収縮リングFが内側部分を押圧することをもたらし、収縮リングFと内側部分Pの間に密着(cohesion)を付与する。しかし、この密着は、接合された構成要素の周りの温度が上がると、問題を生じ得る。これは、そのとき、収縮リングが内側部分よりも急激に膨張するからである。温度の増加は、このように、漏れ止め性の低下をもたらし、さらには部品の意図しない分離をすらもたらす。
【0225】
特に、エチレン製造装置の炉の温度における変動条件下では、金属チューブを収縮フィッティングによってセラミックチューブに接合することは不十分であることを本発明者らは見出した。これは、これらのチューブの材料の熱膨張係数が、1000℃より大きい振幅を有する温度範囲にわたって信頼できる連結を付与することを収縮フィッティングによって可能にするには違い過ぎるからである。
【0226】
米国特許第4,624,484号は、セラミック部分を収縮リングによって接合することを可能にする連結デバイスを記載している。収縮リングをフィットさせる前に、非鉄金属が、セラミック部分と接触されることが意図される収縮リングの内部表面に施与される。フィットさせた後、この層は、セラミックチューブと収縮リングとの間の膨張の相違を埋め合わせるように変形する。そのような層、あるいは一般的にコーティングは、収縮リングでない。
【0227】
本発明者らはその後、セラミックチューブと金属チューブとの間の連結を、徐々に増加する熱膨張係数を示すいくつかの中間収縮リングによって付与することを考えた。セラミックチューブよりもわずかに大きい熱膨張係数を示す第一収縮リングがこのセラミックチューブにフィットされ、第一収縮リングよりもわずかに大きい熱膨張係数を示す第二収縮リングがこの第一収縮リングにフィットされ、金属チューブと同様の熱膨張係数を示す収縮リングが得られるまで、この種のフィッティングが再現される。その後、この最後の収縮リングに金属チューブが取り付けられた。しかし、エチレン製造装置の炉の温度における変動条件下では、この技術的解決法は、セラミックチューブに高いストレスをかけ、またその破壊をもたらし得ることが試験によって示された。
【0228】
本発明者らはその後、全く異なる設計の連結デバイスを発明し、製造した。
【0229】
1実施態様では、この連結デバイスは、セラミックチューブにフィットされた第一収縮リングおよび第一収縮リングにフィットされた第二収縮リングを含み、第二収縮リングが第一収縮リングよりも小さい熱膨張係数を示す。温度の増加の場合には、第二収縮リングが、第一収縮リングの膨張に対抗し、したがって、漏れ止め性における低下または第一収縮リングからの分離を防ぐ。さらに、この種の接合は、エチレン製造炉の条件下で特に信頼できることが分かった。
【0230】
図3は、本発明の好ましい非制限的実施態様に従う連結デバイスによる連結の例を示す。
【0231】
明確性のために、図3に示されるチューブは、垂直軸Xに沿って位置されているとみなされる。暗黙の制限なしに、用語「頂部」「底部」「上方」および「下方」は、部材または部材部分をこの軸に関するそれらの位置に応じて記載するために使用される。
【0232】
図3は、セラミックチューブ22の下方部分20を示し、軸Xが連結デバイス30によって金属チューブ26の上方部分24に共軸的に連結している。
【0233】
セラミックチューブ22および金属チューブ26は、連結デバイスのところを除いて、同一の環状横断面を示す。チューブ22および26の外径は、好ましくは、50mmより大きくおよび/または100mm未満である。チューブ22および26の内径は、好ましくは、40mmより大きくおよび/または50mm未満である。
【0234】
セラミックチューブ22は、非酸化物物質、好ましくは炭化ケイ素から成り、そして、好ましくは1%未満の多孔度を示し、この穴は閉じられている。セラミックチューブ22の下方部分20は、熱絶縁性コーティング32、例えばジルコニアから成るコーティングで被覆されている。コーティング32は、下記に記載される第一収縮リングのための支持体として作用することが意図される環状表面に沿って延在している。それは、約30μmの厚さを示す。
【0235】
写真が、セラミックチューブ22の炭化ケイ素とコーティング32のジルコニアとの間の界面での、約5μmの実質的に一定の厚さを有する遷移層の存在を示す。遷移層は、セラミックチューブ32に連続的に付着したシリカ層で構成されている。
【0236】
その上方部分24を除いて、金属チューブ26は、エチレンの製造のために使用される炉の従来の上流または下流に使用されるチューブと同様のチューブである。
【0237】
金属チューブ26の上方部分24は壁34を含み、その厚さは、最大が横断面Pにおいて達成されるまで徐々に広くなる。図3の非制限的実施態様において、この面では、金属チューブ26が平らな環状表面36を示し、その上に、セラミックチューブ22の下方端38および/または上述の第一収縮リングの下方端がある。円筒状の周囲のスカート40は、軸Xとともに円形の断面を有し、環状表面36の周囲から上方に延在している。
【0238】
連結デバイス30は、第一収縮リング42および第二収縮リング44を含む。
【0239】
第一収縮リング42は、20〜1000℃で、25.10−6−1未満かつ10.10−6−1超の熱膨張係数を示す材料で構成され、好ましくは金属チューブ26と同じ材料、例えばHP40鋼またはFeNiCr合金、で構成される。金属チューブ26および第一収縮リング42を製造するための同じ材料の使用は、有利には、それらの互いに対する溶接を容易にする。
【0240】
第一収縮リング42は、約60mmの総長L42および実質的に一定の壁厚e42、好ましくは1〜5mm、好ましくは約2mm、を示す。第二収縮リングの第一収縮リングに対する作用および第一収縮リングのセラミックチューブ22に対する作用は、そのとき、20〜900℃の温度における増加の場合に最適である。
【0241】
1実施態様では、第一収縮リング42が、3mmより大きい、さらには3.5mmより大きく、さらには4mmに実質的に等しくすらある実質的に一定の壁厚e42を示す。これは、本発明者らが、第一収縮リングの厚さが環境温度で連結の漏れ止め性の質を変え、最良の結果が、約4mmの厚さe42の場合に得られることを見出したからである。
第一収縮リング42は、円形断面および約50mmの長さL46の円筒状スリーブ46の形状を示し、それはフランジ48によって上方に延在している。
【0242】
円筒状スリーブ46は、その全長にわたって、セラミックチューブと第一収縮リングとの間の漏れ止め性を改善するコンプライアント物質の層50を介して、セラミックチューブ22のコーティング32と接触している。層50は、約30μmの実質的に一定の厚さを示す。
【0243】
コンプライアント物質は、一方では、銀および/または金を、他方ではパラジウムを含む。本発明者らは、そのような物質が特に信頼できることを発見した。特に、この物質は、非常に良好な耐火性および非常に高い融点を示し、これは、エチレン製造装置の炉において遭遇するストレスに耐えられるようにする。
【0244】
例えば、コンプライアント物質が、約30%のパラジウムを含み、残りが銀である。
【0245】
円筒状スリーブ46は、第一収縮リング42の下方端52を規定する。円筒状スリーブ46の下方端52は、セラミックチューブ22の下方端38と共平面であり、環状表面36と接触していてもよい。これは、本発明者らが、この構成が、セラミックチューブ22の破損の危険を制限することを発見したからである。
【0246】
フランジ48は、第一収縮リングの壁が、軸Xに対して実質的に垂直に延在するまで徐々に開くことの結果である。この徐々に開くことは、第一収縮リング42のフィッティング中にセラミックチューブの破損の危険を制限し、セラミックチューブ22の第一収縮リング22への導入を容易にする。フランジ48は、第一収縮リング42の円形の「上方端」56を規定する。
【0247】
周囲のスカート40の上方端58は、溶接ビード60によってフランジ48の上方端56に取り付けられる。セラミックチューブ22の外部表面61と溶接ビード60の間の半径方向の分離δは、例えば、約5mmである。
【0248】
環状表面36、周囲のスカート40および第一収縮リング42は従って、チャンバー62を規定する。溶接ビード60は好ましくは連続であり、その結果、チャンバー62は実施的に漏れ止め性を有する。任意的に、チャンバー62はまた、セラミックチューブ22および金属チューブ26の内部体積から分離される。
【0249】
チャンバー62の内部体積は、数十cm、好ましくは20cmより大きく、50cmより大きく、および/または好ましくは100cm未満であり、80cm未満であり、好ましくは70cm未満である。有利には、コークスの任意的な蓄積がしたがって制限される。
【0250】
第二収縮リング44は、第一収縮リングよりも小さい熱膨張係数を示す材料で構成される。第一収縮リングと第二収縮リングの間の熱膨張係数の相違は、用途に応じて決定される。連結デバイスが、エチレン製造装置の炉のチャンバー内で、またはそのようなチャンバーのすぐ上流または下流で遭遇するような温度の変化に付されることが意図されるときには、第二収縮リングが特に、70%より多いニオブおよび/またはDilver P1を含む合金で作られ得る。そのようなニオブおよび/またはDilver P1合金は、有利には、低い熱膨張係数、低いヤング率(弾性率)、および良好な耐熱性および高温での腐食耐性を示し、後者はコーティングの存在によってさらに改善されることが可能である。例えば、第二収縮リングの材料が、89%のニオブ、10%のハフニウムおよび1%のチタンを含む。腐食耐性は、第二収縮リングを保護コーティング、または「コーティング32」タイプの「コーティング」でコーティングすることによってさらに改善され得る。第二収縮リング44は、円形断面の円筒状スリーブの形状を示し、コンプライアント物質の層63、例えばセラミックチューブと第一収縮リングとの間に延在するものと同一のもの、を介して収縮フィットさせることによって第一収縮リングにフィットされる。
【0251】
第二収縮リング44の長さL44は、第一収縮リング42の円筒状スリーブ46のものと実質的に同一である。厚さe44は、3〜15mm、好ましくは5〜13mmである。第一収縮リングに対する第二収縮リングの作用はそのとき、温度の増加の場合に最適である。
【0252】
さらに、第二収縮リング44は、チャンバー62内に収容される。有利には、第二収縮リング44は従って、外の世界から保護される。周囲のスカート40は従って、第二収縮リング44のための保護遮蔽物として作用するが、第一収縮リング42のためにも作用する。
【0253】
第二収縮リング44の下方端64が、セラミックチューブ22の下方端38および第一収縮リング42の下方端52と実質的に共平面である。これは、この構成が、第二収縮リングのフィッティングの間、セラミックチューブの破壊の危険を制限するのに最適であることが分かったからである。
【0254】
第二収縮リング26の上方端65は、内側の方へおよび外側の方へ傾斜している。
【0255】
図3に示したような連結デバイスは、下記方法で製造され得る。
【0256】
セラミックチューブ22の下方部分が最初に、絶縁コーティング32で被覆される。しかし、セラミック酸化物からなるコーティングの、非酸化物物質から成るチューブへの付着は困難であり、非酸化物物質が多孔性でない、またはほんのわずかに多孔性であるときには特にそうである。
【0257】
特に、上記セラミック酸化物の非常に細かい粒子をプラズマトーチによって直接噴霧するための慣用的な方法は、非酸化物セラミックで作られた第一部分上に噴霧する場合には効果がないことが分かった。
【0258】
しかし、本発明者らは、ケイ素化合物に基づく基体を少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによってコーティングするためのいくつかの新規な方法を発見した。特に、本発明者らは、ケイ素化合物に基づく基体を少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによってコーティングするための方法を発見した。上記方法は、下記の連続する段階
a1)上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記酸化物から成る粒子を上記基体に、好ましくは環境温度で、施与すること、
b1)上記少なくとも1のセラミック酸化物をシリカを形成するように基体のケイ素と反応させるために適切な条件下で上記基体を熱処理すること、
を含む。
【0259】
好ましくは、上記少なくとも1のセラミック酸化物の粒子が、中間層なしに、基体に直接施与される。特に、ケイ素のまたはシリカの中間層が、段階a1)の前の基体上に位置しない。段階b1)中に形成される遷移層の厚さは、そのとき、有利には非常に小さく、典型的には10μm未満、さらには8μm未満ですらあり、さらには6μm未満である。
【0260】
好ましい実施態様では、本発明に従う方法が、段階a1)の前にシリカを形成することを可能にする段階を含まない。
【0261】
段階a1)では、粒子を施与するために、あらゆる慣用的な方法が使用され得る。特に、上記セラミック酸化物は、噴霧、塗布または浸漬によって施与され得る。このために、スリップ(slip)が用意され、基体に施与される。スリップは慣用的に、溶媒、好ましくは水、有機分散剤および上記粒子を含む。
【0262】
好ましくは、上記スリップは、シリカを含まず、好ましくはケイ素化合物を含まない。したがって、シリカは、焼成の後、遷移層にのみ存在し、シリカがないコーティングは、外の世界に曝される。シリカの不存在は、コーティングの透過性を変化させ得るが、示された実施態様では、この変化は、実際的に影響がなく、コーティング自体は、コンプライアント物質から成る層および/または第一収縮リングで被覆される。さらに、それによって上記製造法が簡略化される。
【0263】
施与は環境温度で、例えば戸外で行われ得る。粒子の量は、所望のコーティング厚さに従って調整される。
【0264】
好ましくは、上記方法が、段階a1)とb1)との間に何らの段階も含まない。
【0265】
段階b1)では、基体が好ましくは1000〜1400℃の温度で、好ましくは1時間より長い時間、例えば空気下で、焼成に付される。
【0266】
驚くべきことに、上記熱処理は基体中に遷移層の形成をもたらす。遷移層中では、ケイ素化合物の一部が反応して基体の材料中にシリカ層を形成している。理論的に説明できることなしに、本発明者らは、シリカ層が、セラミック酸化物の付着の質をかなり改善することを見出した。
【0267】
好ましい実施態様では、本発明に従う方法は、段階a1)およびb1)のみを含む。すなわち、遷移層のシリカは、段階b1)の実行から排他的に生じる。上記方法はそのとき、行うのが特に容易である。
【0268】
本発明者らはまた、この方法の代替形態を開発した。
【0269】
特に、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによって、ケイ素化合物に基づく基体をコーティングする方法を発見した。この方法は、下記の連続する段階
a2)少なくとも上記基体の表面でケイ素化合物を、例えば酸化雰囲気下での熱処理によって、シリカを形成するように酸化すること、
b2)上記基体に、好ましくは環境温度で、上記少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記酸化物から成る、粒子を施与すること、
c2)上記基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を上記シリカと反応させるのに適する条件下で熱処理すること
を含む。
【0270】
段階a2)において、酸化的熱処理は、例えば、基体の表面を1250℃の温度で3時間、例えば空気下で、例えば雰囲気圧力で、加熱することにより行われ得る。
【0271】
1実施態様では、基体の一部のみが、特にその表面のみがまたはその表面のコーティングを受けることが意図される部分のみが加熱される。例えば、セラミックチューブの場合には、チューブの全てを炉に導入することがいつも必要というわけではない。
【0272】
好ましくは、基体の表面層のみが酸化される。より好ましくは、基体が20μm未満の深さにわたってのみ酸化される。
【0273】
段階b2)では、上記少なくとも1のセラミック酸化物の粒子が段階a1)と同様に施与され得る。
【0274】
段階c2)では、基体が好ましくは、1000〜1400℃の温度で、好ましくは1時間より長い時間、例えば空気下で、焼成に付される。
【0275】
本発明者らはまた、ケイ素化合物に基づく基体を、少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティングによってコーティングする方法を発明した。この方法は、下記の連続する段階、
a3)基体の表面で、好ましくはプラズマ噴霧によって、ケイ素層を沈着させること、
b3)上記ケイ素層に、好ましくは環境温度で、少なくとも1のセラミック酸化物を含む、好ましくは上記酸化物から成る粒子を施与すること、
c3)任意的に、上記少なくとも1のセラミック酸化物を、シリカを形成するように基体のケイ素と反応させるために上記基体を熱処理すること、
を含む。
【0276】
段階a3)では、慣用のプラズマトーチが用いられ得る。
【0277】
段階b3)では、上記少なくとも1のセラミック酸化物の粒子が、段階a1)と同様に施与され得る。
【0278】
段階c3)は、段階b1)と同様に行われ得る。しかし、この方法では、段階b3)において粒子の施与が熱噴霧によって行われるならば、有利には、熱処理が不要である。それによって上記方法は有利に簡略化される。
【0279】
直上に記載した3つの方法の1つに従うことにより、セラミックチューブ22の下方部分によって形成された基体にジルコニアのコーティング32を付着させることができる。
【0280】
第一収縮リング42を第一部分に取り付ける前に、コンプライアント物質前駆体の層が、セラミックチューブ22の下方部分20の外部表面におよび/または第一収縮リング42の下方部分20と接触させることが意図される内部表面に施与される。
【0281】
コンプライアント物質前駆体は、有機溶媒中の懸濁物の形態で調製され得る。この懸濁物は次いで、例えば噴霧、塗布または浸漬によって施与される。次いで、溶媒が、例えば乾燥によって除去される。
【0282】
懸濁物の粉末の粒子サイズ分布および溶媒の量および性質は、所望される表面の性質およびコンプライアント物質の厚さに従って調整される。
【0283】
その後、第一収縮リング42のセラミックチューブ22の下方部分20へのフィッティングが、好ましくは第一収縮リングを加熱によって膨張させ、次いで、セラミックチューブ22にわたって、フランジ48を備えたその軸方向端によって軸方向に導入することにより、行われる。
【0284】
好ましくは、第一収縮リングが、セラミックチューブ22の下方部分20に、「端と端が合うように(flush)」フィットされる。言い換えると、その下方端52が、セラミックチューブの下方端38と1つの同じ横断面に配列されるところの位置で固定される。本発明者らは、この配列が有利には、セラミックチューブの破損の危険を有利に制限することを見出した。
【0285】
上記で説明したように、炭化ケイ素は、熱的に非常に伝導性であり、第一収縮リング42とセラミックチューブ22との間の任意の接触が、コーティング32の不存在下では、第一収縮リングの突然の収縮を生じ、その結果、所望の最終的な位置に達することができる前に、軸方向にロックされることになる。
【0286】
コーティング32の存在は、特に接触の場合に、第一収縮リング42とセラミックチューブ22の間の熱交換を制限する。これは、第一収縮リング42のセラミックチューブ22上への導入中に、絶縁コーティングが有利に熱バリヤを形成し、それが、高温での第一収縮リング42と熱的に伝導性のセラミックチューブ22との間の熱の移動を制限するからである。
【0287】
用語「距離」Jは、第一収縮リング42の内径とセラミックチューブ22の外径との差を意味する。第一収縮リング42のセラミックチューブ22上への導入の時点で、距離Jは正であり、第一収縮リングのセラミックチューブ22への収縮フィッティングによるフィッティングを可能にする。上記コーティングの存在によって、距離Jが有利にかなり低下され得、および/または第一収縮リングの温度が、時期尚早に軸方向にロックする危険なしに低下され得る。
【0288】
環境温度に戻ることは、セラミックチューブよりも大きい第一収縮リングの収縮を生じ、それは、距離Jの除去およびその後のセラミックチューブ22に対する第一収縮リングの圧力をもたらす(図4)。有利には、この圧縮はまた、コンプライアント物質の有効性に寄与する。第二収縮リング44を第一収縮リング42に取り付ける前に、コンプライアント物質前駆体の層がまた、第一収縮リング42の外部表面におよび/または第二収縮リング44の内部表面に、少なくとも、収縮フィッティング後にこれらの表面の接触することが意図される領域にわたって、施与される。
【0289】
第二収縮リング44は次いで、慣用の収縮フィッティングによって第一収縮リング42にフィットされ得る(図5)。第二収縮リング44の上方端65の内側の方へ傾斜した形状は、第一収縮リングへの収縮フィッティングを容易にする。
【0290】
第一収縮リングのセラミックチューブ22へのフィッティングに関して、収縮フィッティング操作の間に必要な距離を制限するために、熱バリヤを形成するコーティングがまた、第一収縮リングの外部表面に施与され得る。好ましくは、第二収縮リングが、第一収縮リングに「端と端が合うように(flush)」フィットされる。言い換えると、その下方端64が、第一収縮リングの下方端52と1つの同じ横断面Pに配列されるところの位置で固定される。本発明者らは、この位置が、セラミックチューブの破損の危険を有利に制限することを見出した。
【0291】
第二収縮リング44の上方端65の外側の方に傾斜した形状も、セラミックチューブ22にかけられるストレスを有利に制限する。
【0292】
セラミックチューブ22は次いで、それが環状表面36に対して隣接するまで、金属チューブ26に共軸的により接近するようにされる。第一収縮リング42および第二収縮リング44がセラミックチューブ22の下方端38と端と端が合うように(flush)フィットされるとき、環状表面36上の支持が、第一収縮リング42の下方端52および/または第二収縮リングの下方端64を介して達成されることも可能である。
【0293】
この隣接する位置では、図6に示されるように、周囲のスカート40の上方端58がフランジ48の上方端56と向かい合う。これらの端はそのとき、溶接またはろう付けによって合体される。
【0294】
溶接ビード60の製造は、慣用的に、約1500℃の温度を包含する。有利には、フランジ48の上方端56と周囲のスカート40の上方端58との間の接合領域(溶接ビード60)は、セラミックチューブ22の外側表面61から離れている。有利には、セラミックチューブを破壊し得る熱的攻撃がそれによって制限される。
【0295】
この位置において、第一収縮リング42および金属チューブ26が、チャンバー62の範囲を定める。第二収縮リングがチャンバー62内に位置される。こうして、有利には、それが攻撃、特に物理的攻撃から保護される。
【0296】
好ましくは、溶接ビード60が実質的に連続しており、その結果、チャンバー62が漏れ止め性を有し、従ってまた、第二収縮リングを化学的攻撃から保護する。
【0297】
セラミックチューブ22はそのとき、金属チューブ26に確実に取り付けられる。
【0298】
図7は、第一収縮リング42が、セラミックチューブ22の軸方向端を超えて突き出たスリーブの形状を有するところの別の形態に従う本発明のデバイスを表す。金属チューブが、セラミックチューブから離れて、溶接ビード60によって、第一収縮リング42の自由端に取り付けられる。第二収縮リング44は、セラミックチューブ22に端と端が合うように(flush)取り付けられる。
【0299】
図7に示される実施態様の別の形態が可能である。例えば、金属チューブ26が、第一収縮リング42と端同士で溶接され得、第一収縮リングと金属チューブが端に沿って接触する。第一収縮リング42の内径および/または外径は一定であり得、または軸Xに沿って変わり得る。金属チューブ26はまた、第一収縮リング42の外部表面に取り付けられ得る。
【実施例】
【0300】
図3に示したタイプの連結デバイスを用いて試験が行われた。
EDが、セラミックチューブ22、コーティング32およびコンプライアント物質の層50によって形成されたアッセンブリの外径を示し、
ED42が第一収縮リング42の外径を示し、
ID42が第一収縮リング42の内径を示し、
ID42が第二収縮リング44の内径を示し、
Δが100*(ED−ID42)/ED比を示し、
Δが100*(ED42−ID44)/ED42比を示し、
測定の全てが20℃で行われるとき、
ΔおよびΔの下記値の組み合わせは、特に信頼性のあるフィッティングをもたらした。
【0301】
【表1】

【0302】
またセラミックチューブの表面でのコーティング32およびコーティング32と第一収縮リング42の間に置かれたコンプライアント物質からなる層50の利点を測定するために、実施例6のデバイスを用いて試験が行われた。
【0303】
コンプライアント物質はAg/Pd合金で作られた。得られた結果を下記表2にまとめる
【0304】
【表2】

【0305】
これらの結果は、コーティング32および層50が、漏れ止め性に対する効果を有するだけでなく、熱サイクルに対する耐性に対する効果をも有することを示す。
【0306】
もちろん、本発明は、記載され、表された実施態様に制限されない。
【0307】
特に、収縮フィッティングは、収縮フィットされた部分が、横断面において、円形の外側輪郭を示すことを要求しない。1実施態様では、第一部分および/または第一収縮リングが円形の輪郭を示さない。有利には、第一収縮リングおよび/または第二収縮リングの、それぞれ第一収縮リングおよび/または第二収縮リングの軸の周りでの任意の回転が防止される。第一部分および/または第一収縮リングは特に、横断面において、楕円形の輪郭または、複数の先端、好ましくは軸の周りに等しい角度で分布した複数の先端、を示す輪郭、例えば星形、を示し得る。
【符号の説明】
【0308】
5 エチレン製造装置
10 炉
12 チューブ
13 バーナー
14 供給手段
22 セラミックチューブ
26 金属チューブ
32 コーティング
36 金属チューブの環状表面
38 セラミックチューブの下方端
40 スカート
42 第一収縮リング
44 第二収縮リング
46 スリーブ
48 フランジ
50 コンプライアント物質の層
52 第一収縮リングの下方端
60 溶接ビード
64 第二収縮リングの下方端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一収縮リング(42)によって収縮フィットされた第一部分(22)を含むデバイスであって、該第一収縮リングは、それ自体が、該第一収縮リングの熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を示す第二収縮リング(44)によって収縮フィットされているところのデバイス。
【請求項2】
第一部分が、20〜1000℃において10・10−6−1未満の熱膨張係数を示す材料で作られている、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
第一部分が、150GPaより大きい弾性率を示す材料で作られている、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
第一部分がセラミック物質またはビトロセラミック物質を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項5】
第一部分の材料中の炭化ケイ素の量が80重量%より多い、請求項1〜4のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項6】
第一部分の材料が、5%未満の総多孔度を示す、請求項1〜5のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項7】
第一収縮リングが、20〜1000℃において25・10−6−1未満かつ10・10−6−1超の熱膨張係数を示す材料で作られている、請求項1〜6のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項8】
第一部分の材料の熱膨張係数に対する第一収縮リングの材料の熱膨張係数の比が、20〜1000℃の温度で、2.5より大きい、請求項1〜7のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項9】
第二収縮リングが、20〜1000℃において4・10−6−1より大きい熱膨張係数を示す材料で作られている、請求項1〜8のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項10】
第二収縮リングの材料の熱膨張係数に対する第一収縮リングの材料の熱膨張係数の比が、20〜1000℃において、1.2より大きい、請求項1〜9のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項11】
第二収縮リングの材料が、80重量%より多いニオブ含量を示す、請求項1〜10のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項12】
第二収縮リングの材料が、5重量%より多いハフニウム含量を示す、請求項1〜11のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項13】
第二収縮リングの材料が、0.5重量%より多いチタン含量を示す、請求項1〜12のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項14】
第一収縮リングが、1mm超かつ5mm未満の厚さを示し、および/または第二バンドが5mm超かつ13mm未満の厚さを示す、請求項1〜13のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項15】
10・10−6−1より大きい熱膨張係数を示す第二部分(26)が第一収縮リングに取り付けられている、請求項1〜14のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項16】
第二部分が、第一収縮リングと実質的に同一である熱膨張係数および/または化学組成を示す材料で作られている、請求項1〜15のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項17】
第一部分および/または、適切であるならば第二部分が、チューブおよび中実の棒から選択される、請求項1〜16のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項18】
第一部分がセラミックチューブであり、適切であるならば第二部分が金属チューブである、請求項1〜17のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも1のセラミック酸化物を含むコーティング材料で作られたコーティング(32)が、第一収縮リングと第一部分との間の接触領域の少なくとも一部を規定する、請求項1〜18のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項20】
コーティング材料の熱伝導度に対する第一部分(22)の材料の熱伝導度の比が10より大きい、請求項1〜19のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項21】
コーティング材料が、任意的にドープされたジルコニア、菫青石、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウムおよびこれらの物質の混合物によって形成される群から選択される少なくとも1のセラミック酸化物を50%より多く含む、請求項19または20記載のデバイス。
【請求項22】
第一部分とコーティングとの間に、シリカを含む遷移層が延在している、請求項19〜21のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項23】
第一バンドがそれに対してフィットされているところの第一部分の円筒状部分の軸方向端の端(38)、第一バンドの軸方向端の端(52)および第二バンドの軸方向端の端(64)が、1つの同じ横断面(P)に属している、請求項1〜22のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項24】
第二部分(26)が第一収縮リングに取り付けられており、第一収縮リングと第二部分との間の接合領域が、第一部分から少なくとも1mm離れている任意の点にある、請求項1〜23のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項25】
第二部分が第一収縮リングのフランジ(48)に溶接されかつ、第一収縮リングと相互作用して、第二収縮リングがその中に収容されるところのチャンバー(62)を規定するように形作られている、請求項1〜24のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項26】
該チャンバーが気密である、請求項1〜25のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項27】
銀および/または金ならびに少なくとも0.5%のパラジウムを含む合金で構成されたコンプライアント物質の層(50)が、第一収縮リングと第二収縮リングとの間および/または第一部分と第一収縮リングとの間に延在している、請求項1〜26のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項28】
第一収縮リングが、1mm超かつ5mm未満の厚さを示し、第二収縮リングが3mm超かつ15mm未満の厚さを示す、請求項1〜27のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項29】
第二収縮リングが5mm超かつ13mm未満の厚さを示す、請求項1〜28のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項30】
第一収縮リングおよび/または第二収縮リングが40mm超かつ150mm未満の長さにわたって延在している、請求項1〜29のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項31】
第一収縮リングおよび第二収縮リングがカラーの一般的形状を示す、請求項1〜30のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項32】
その両端の少なくとも一方によって金属チューブに取り付けられた、炭化ケイ素で作られた少なくとも1のチューブを含み、炭化ケイ素で作られた該チューブおよび金属チューブがそれぞれ、請求項1〜31のいずれか1項記載のデバイスの第一部分および第二部分を構成する、炉、ボイラー、過熱器、蒸気発生器、化学反応器および熱交換器から選択される設備。
【請求項33】
請求項32記載の設備を蒸気クラッキング装置において使用する方法。
【請求項34】
請求項32記載の設備を、廃棄物を回収するための装置、特に家庭ごみ焼却炉、において使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−518758(P2012−518758A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550696(P2011−550696)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050809
【国際公開番号】WO2010/097763
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511104875)
【Fターム(参考)】