連結ピン構造
【課題】構造が簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、コストも低くできる、連結ピン構造を提供する。
【解決手段】一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造(2)であって、ピン(10)の差込端と反対の端に形成した円板部(10b)と、この円板部(10b)を、ピン(10)に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持する保持部材(12)と、一端がこの保持部材(12)に他端が一方の部材に取付けられピン(10)をピン孔(6a、8a)に抜き差しする流体圧シリンダ(16)を備えている。
【解決手段】一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造(2)であって、ピン(10)の差込端と反対の端に形成した円板部(10b)と、この円板部(10b)を、ピン(10)に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持する保持部材(12)と、一端がこの保持部材(12)に他端が一方の部材に取付けられピン(10)をピン孔(6a、8a)に抜き差しする流体圧シリンダ(16)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンをピン孔に抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、周知のトーイングトラクタは、ピンをピン孔に抜き差しして被牽引物を着脱自在に連結する連結ピン構造を備えている(例えば、特許文献1参照)。この連結ピン構造の代表例は、ピンをピン孔に、リンク部材を介して油圧シリンダによって抜き差ししている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−16109号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の連結ピン構造には、次のとおりの解決すべき課題がある。
【0005】
すなわち、ピンの抜き差しにおいて、ピンや、油圧シリンダに無理な力が作用し損傷しないように、またピンの抜き差しが容易にできるように、ピンと油圧シリンダの間には複数のリンク部材が備えられている。したがって、連結ピン構造が複雑になり、設置のスペースが大きくなり、またコストも高くなる。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、構造が簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、コストも低くできる連結ピン構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記技術的課題を解決する連結ピン構造として、一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造であって、該ピンの差込端と反対の端に形成した円板部と、この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダとを備えていることを特徴とする連結ピン構造が提供される。
【0008】
好適には、保持部材は、円板部に隣接し半径方向の遊びを有して該ピンに嵌合した孔付きの下円板と、この下円板の外縁に一体に連結され下円板とともに円板部を軸線方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダの一端が取付けられる上円板と、を備えている。また、円板部は、上円板に対向し接離自在に当接するピンの軸線を中心に形成した半球状凸部を備えている。さらに、該ピンのピン孔への抜き差しを案内するピン孔に直列に一方の部材に取付けられた筒状のガイド部材を備えている。
【0009】
そして、一方の部材は、トーイングトラクタのけん引ブラケットであり、他方の部材は、トーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、流体圧シリンダは、トーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従って構成された連結ピン構造は、ピンの差込端とは反対の端に形成した円板部と、この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダを備えている。
【0011】
したがって、ピンの抜き差しを、保持部材を介してピンとシリンダの間に複数のリンク部材を用いずに行うので、連結ピン構造を、簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、かつコストの低いものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従って構成された連結ピン構造の、一部断面表示した側面図。
【図2】図1の連結ピン構造の要部の拡大断面図。
【図3】図2のA−A矢印方向に見た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された連結ピン構造について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0014】
図1を参照して説明する。全体を番号2で示す連結ピン構造は、一方の部材としてのトーイングトラク4のけん引ブラケット6に形成された上下一対のピン孔6a、6aと、他方の部材としてのトーイングトラクタ4によりけん引される、一対のピン孔6a、6aの間に位置したけん引ブラケット8のピン孔8aに、鉛直方向上方から真直のピン10を抜き差しして、一方の部材6に他方の部材8を着脱自在に連結するものである。
【0015】
この連結ピン構造2は、ピン10の差込端10aとは反対の端に形成した円板部10bと、この円板部10aを、ピン10に軸線X方向および軸線Xに直交する方向の遊びを許容して保持する保持部材12と、一端がこの保持部材12に他端がトーイングトラクタ4のブラケット14に取付けられ、ピン10をピン孔6a、8aに抜き差しする流体圧シリンダである空気圧シリンダ16を備えている。
【0016】
図1とともに図2、主として図2を参照して説明する。保持部材12は、円板部10bに隣接し半径方向の遊びを有してピン10に嵌合した孔付きの下円板12aと、この下円板12aに一体に平行に連結し円板部10bを下円板12aとともに軸線X方向の遊びを許容して挟み空気圧シリンダ16の一端であるロッド端16aが取付けられる上円板12bを備えている。
【0017】
ピン10は、本体が直径d1の真直丸軸に形成され、差込端10aには先端に向けて細くなったテーパ部が形成され、反対端に円板部10bが軸径d1よりも大径に形成され、円板部10bとの連結首部には、下円板12aが嵌合する径d2、幅wの環状溝10cが形成されている。環状溝10cの幅wは、下円板12aと上円板12bの間における円板部10bの軸線X方向の動きを邪魔しないように、下円板12aの厚さよりも大きく形成されている。
【0018】
円板部10bには、上円板12bに対向する側に上円板12bに接離自在に当接するピン10の軸線Xを中心に形成した半径Rの半球状凸部10dが形成されている。
【0019】
ピン10のピン孔6a、8aへの抜き差しを案内する筒状のガイド部材18が、一方の部材であるけん引ブラケット6の上にピン孔6aに直列に取付けられている。ガイド部材18は、内径がピン孔6aよりも大径に形成され、筒長さはピン10の抜き差しいずれにおいてもピン10の一部が筒内にあるように形成されている。
【0020】
空気圧シリンダ16の他端側であるシリンダ本体16bは、トーイングトラクタ4のブラケット14にピン16cにより揺動自在に取付けられている。空気圧シリンダ16の他端側のロッド16aは、先端の雄ねじが上円板12bのねじ孔12fに、先端が平板面と同一になるように、螺合されロックナット16dによって固定されている。
【0021】
空気圧シリンダ16は、トーイングトラクタ4のエアブレーキ用空気圧源(図示していない)の圧力空気によって作動される。
【0022】
図1、図2とともに図3、主として図3を参照して説明する。下円板12aは、環状溝10cの溝径d2に遊びを有して嵌合する内径の孔12cを有し、外縁部には上円板12bと一体に連結するための複数の(実施例は6個)ねじ孔dを有し、環状溝10cと嵌合させるために一対の半円板に分割されている。
【0023】
上円板12bは、下円板12aと同じ外径に形成され、外縁部には下円板12aの複数のねじ孔12dに対応した複数のボルト孔12eが形成されている。上円板12bの中心軸線X上には空気圧シリンダ16のロッド16aの雄ねじが螺合するねじ孔12fが形成されている。
【0024】
上円板12bと下円板12aは、上円板12b側からボルト孔12eそれぞれにボルト12gを通し、上円板12bと下円板12aの間に挟んだ間隔を規定するスペーサ12hを通して、下円板12aのねじ孔12dに通され、一体に連結される。
【0025】
かくして、保持部材12は、ピン10の円板部10bを、ピン10に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持している。すなわち、軸線X方向の遊びは、下円板12aに座した円板部10bの半球状凸部10dが上円板12b(より正確にはロッド16aの先端)に当接するまでの隙間で、軸線X直交方向の遊びは、下円板12aの孔12cと環状溝10cとの隙間で規定されている。なお、上円板12bとスペーサ12hの間に上円板12bと同じ大きさの円板を挟み、半球状凸部10dをこの円板に当接させるようにしてもよい。
【0026】
上述したとおりの連結ピン構造2の作用効果について説明する。
【0027】
本発明に従って構成された連結ピン構造2は、ピン10の差込端10aとは反対の端に形成した円板部10bと、この円板部10bを、ピン10に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持する保持部材12と、一端がこの保持部材12に他端が一方の部材4に取付けられピン10をピン孔6a、8aに抜き差しする流体圧シリンダ16を備えている。
【0028】
したがって、ピン10の抜き差しを、保持部材12を介して、ピン10とシリンダ16の間に複数のリンク部材を用いずに行うので、連結ピン構造を、簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、かつコストの低いものにすることができる。
【0029】
保持部材12は、円板部10bに隣接し半径方向の遊びを有してピン10に嵌合した孔12c付きの下円板12aと、この下円板12aの外縁に一体に連結され下円板12aとともに円板部10bを軸線X方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダ16の一端が取付けられる上円板12bを備えている。
【0030】
したがって、保持部材12は、簡単で、設置スペースの小さい構造で、ピン10を保持することができる。
【0031】
また、ピン10のピン孔6a、8aへの抜き差しを案内するピン孔6aに直列に一方の部材6に取付けられた筒状のガイド部材18を備えている。
【0032】
したがって、けん引ブラケット6と被けん引ブラケット8をピン10により連結する際には、シリンダ16によってピン10をガイド部材18の中で移動を繰り返えすことにより、ピン10を被けん引ブラケット8のピン孔8aに容易に挿通させることができる。
【0033】
また、円板部10bは、上円板12bに対向し接離自在に当接するピン10の軸線Xを中心に形成した半球状凸部10dを備えている。
【0034】
したがって、シリンダ16のロッド16aを固定した上円板12bとピン10の当接は点接触となり、ピン10にシリンダ16と同一軸線でない動きがあっても、ロッド16aに曲げ応力の発生するのを回避でき、ロッド16aの折損を防止することができ、品質の向上が図れ、連結ピン構造2の信頼性を高めることができる。
【0035】
すなわち、例えばピン10をピン孔6a、8aにシリンダ16の力で差し込む場合(図2に矢印Zで示す)ピン10は円板部10bの半球状凸部10dが点接触で押込まれるので、ピン10がガイド部材18内で移動しシリンダ16との中心がずれても、シリンダ16のロッド16aに曲げ応力が発生しない。また、例えば連結が完了した状態で、けん引ブラケット6と被けん引ブラケット8の相対動きによって、ピン10にガイド部材18の中で動きがあっても、シリンダ16のロッド16aに曲げ応力は発生せず、ロッド16aの折損が防止される。
【0036】
さらに、一方の部材6はトーイングトラクタのけん引ブラケットであり、他方の部材8はトーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、流体圧シリンダ16はトーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである。
【0037】
したがって、トーイングトラクタに装備されるエアブレーキの空気圧源を連結ピン構造2のピン10の操作用に、動力源を新規に設けることなく有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0038】
2:連結ピン構造
6:けん引ブラケット(一方の部材)
6a:ピン孔
8:被けん引ブラケット(他方の部材)
10:ピン
10b:円板部
10d:半球状凸部
12:保持部材
12a:下円板
12b:上円板
16:空気圧シリンダ(流体圧シリンダ)
18:ガイド部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンをピン孔に抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、周知のトーイングトラクタは、ピンをピン孔に抜き差しして被牽引物を着脱自在に連結する連結ピン構造を備えている(例えば、特許文献1参照)。この連結ピン構造の代表例は、ピンをピン孔に、リンク部材を介して油圧シリンダによって抜き差ししている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−16109号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の連結ピン構造には、次のとおりの解決すべき課題がある。
【0005】
すなわち、ピンの抜き差しにおいて、ピンや、油圧シリンダに無理な力が作用し損傷しないように、またピンの抜き差しが容易にできるように、ピンと油圧シリンダの間には複数のリンク部材が備えられている。したがって、連結ピン構造が複雑になり、設置のスペースが大きくなり、またコストも高くなる。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、構造が簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、コストも低くできる連結ピン構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記技術的課題を解決する連結ピン構造として、一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造であって、該ピンの差込端と反対の端に形成した円板部と、この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダとを備えていることを特徴とする連結ピン構造が提供される。
【0008】
好適には、保持部材は、円板部に隣接し半径方向の遊びを有して該ピンに嵌合した孔付きの下円板と、この下円板の外縁に一体に連結され下円板とともに円板部を軸線方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダの一端が取付けられる上円板と、を備えている。また、円板部は、上円板に対向し接離自在に当接するピンの軸線を中心に形成した半球状凸部を備えている。さらに、該ピンのピン孔への抜き差しを案内するピン孔に直列に一方の部材に取付けられた筒状のガイド部材を備えている。
【0009】
そして、一方の部材は、トーイングトラクタのけん引ブラケットであり、他方の部材は、トーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、流体圧シリンダは、トーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従って構成された連結ピン構造は、ピンの差込端とは反対の端に形成した円板部と、この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダを備えている。
【0011】
したがって、ピンの抜き差しを、保持部材を介してピンとシリンダの間に複数のリンク部材を用いずに行うので、連結ピン構造を、簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、かつコストの低いものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従って構成された連結ピン構造の、一部断面表示した側面図。
【図2】図1の連結ピン構造の要部の拡大断面図。
【図3】図2のA−A矢印方向に見た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された連結ピン構造について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0014】
図1を参照して説明する。全体を番号2で示す連結ピン構造は、一方の部材としてのトーイングトラク4のけん引ブラケット6に形成された上下一対のピン孔6a、6aと、他方の部材としてのトーイングトラクタ4によりけん引される、一対のピン孔6a、6aの間に位置したけん引ブラケット8のピン孔8aに、鉛直方向上方から真直のピン10を抜き差しして、一方の部材6に他方の部材8を着脱自在に連結するものである。
【0015】
この連結ピン構造2は、ピン10の差込端10aとは反対の端に形成した円板部10bと、この円板部10aを、ピン10に軸線X方向および軸線Xに直交する方向の遊びを許容して保持する保持部材12と、一端がこの保持部材12に他端がトーイングトラクタ4のブラケット14に取付けられ、ピン10をピン孔6a、8aに抜き差しする流体圧シリンダである空気圧シリンダ16を備えている。
【0016】
図1とともに図2、主として図2を参照して説明する。保持部材12は、円板部10bに隣接し半径方向の遊びを有してピン10に嵌合した孔付きの下円板12aと、この下円板12aに一体に平行に連結し円板部10bを下円板12aとともに軸線X方向の遊びを許容して挟み空気圧シリンダ16の一端であるロッド端16aが取付けられる上円板12bを備えている。
【0017】
ピン10は、本体が直径d1の真直丸軸に形成され、差込端10aには先端に向けて細くなったテーパ部が形成され、反対端に円板部10bが軸径d1よりも大径に形成され、円板部10bとの連結首部には、下円板12aが嵌合する径d2、幅wの環状溝10cが形成されている。環状溝10cの幅wは、下円板12aと上円板12bの間における円板部10bの軸線X方向の動きを邪魔しないように、下円板12aの厚さよりも大きく形成されている。
【0018】
円板部10bには、上円板12bに対向する側に上円板12bに接離自在に当接するピン10の軸線Xを中心に形成した半径Rの半球状凸部10dが形成されている。
【0019】
ピン10のピン孔6a、8aへの抜き差しを案内する筒状のガイド部材18が、一方の部材であるけん引ブラケット6の上にピン孔6aに直列に取付けられている。ガイド部材18は、内径がピン孔6aよりも大径に形成され、筒長さはピン10の抜き差しいずれにおいてもピン10の一部が筒内にあるように形成されている。
【0020】
空気圧シリンダ16の他端側であるシリンダ本体16bは、トーイングトラクタ4のブラケット14にピン16cにより揺動自在に取付けられている。空気圧シリンダ16の他端側のロッド16aは、先端の雄ねじが上円板12bのねじ孔12fに、先端が平板面と同一になるように、螺合されロックナット16dによって固定されている。
【0021】
空気圧シリンダ16は、トーイングトラクタ4のエアブレーキ用空気圧源(図示していない)の圧力空気によって作動される。
【0022】
図1、図2とともに図3、主として図3を参照して説明する。下円板12aは、環状溝10cの溝径d2に遊びを有して嵌合する内径の孔12cを有し、外縁部には上円板12bと一体に連結するための複数の(実施例は6個)ねじ孔dを有し、環状溝10cと嵌合させるために一対の半円板に分割されている。
【0023】
上円板12bは、下円板12aと同じ外径に形成され、外縁部には下円板12aの複数のねじ孔12dに対応した複数のボルト孔12eが形成されている。上円板12bの中心軸線X上には空気圧シリンダ16のロッド16aの雄ねじが螺合するねじ孔12fが形成されている。
【0024】
上円板12bと下円板12aは、上円板12b側からボルト孔12eそれぞれにボルト12gを通し、上円板12bと下円板12aの間に挟んだ間隔を規定するスペーサ12hを通して、下円板12aのねじ孔12dに通され、一体に連結される。
【0025】
かくして、保持部材12は、ピン10の円板部10bを、ピン10に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持している。すなわち、軸線X方向の遊びは、下円板12aに座した円板部10bの半球状凸部10dが上円板12b(より正確にはロッド16aの先端)に当接するまでの隙間で、軸線X直交方向の遊びは、下円板12aの孔12cと環状溝10cとの隙間で規定されている。なお、上円板12bとスペーサ12hの間に上円板12bと同じ大きさの円板を挟み、半球状凸部10dをこの円板に当接させるようにしてもよい。
【0026】
上述したとおりの連結ピン構造2の作用効果について説明する。
【0027】
本発明に従って構成された連結ピン構造2は、ピン10の差込端10aとは反対の端に形成した円板部10bと、この円板部10bを、ピン10に軸線X方向および軸線X直交方向の遊びを許容して保持する保持部材12と、一端がこの保持部材12に他端が一方の部材4に取付けられピン10をピン孔6a、8aに抜き差しする流体圧シリンダ16を備えている。
【0028】
したがって、ピン10の抜き差しを、保持部材12を介して、ピン10とシリンダ16の間に複数のリンク部材を用いずに行うので、連結ピン構造を、簡単で、設置スペースが小さく、ピンの抜き差しが容易で、かつコストの低いものにすることができる。
【0029】
保持部材12は、円板部10bに隣接し半径方向の遊びを有してピン10に嵌合した孔12c付きの下円板12aと、この下円板12aの外縁に一体に連結され下円板12aとともに円板部10bを軸線X方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダ16の一端が取付けられる上円板12bを備えている。
【0030】
したがって、保持部材12は、簡単で、設置スペースの小さい構造で、ピン10を保持することができる。
【0031】
また、ピン10のピン孔6a、8aへの抜き差しを案内するピン孔6aに直列に一方の部材6に取付けられた筒状のガイド部材18を備えている。
【0032】
したがって、けん引ブラケット6と被けん引ブラケット8をピン10により連結する際には、シリンダ16によってピン10をガイド部材18の中で移動を繰り返えすことにより、ピン10を被けん引ブラケット8のピン孔8aに容易に挿通させることができる。
【0033】
また、円板部10bは、上円板12bに対向し接離自在に当接するピン10の軸線Xを中心に形成した半球状凸部10dを備えている。
【0034】
したがって、シリンダ16のロッド16aを固定した上円板12bとピン10の当接は点接触となり、ピン10にシリンダ16と同一軸線でない動きがあっても、ロッド16aに曲げ応力の発生するのを回避でき、ロッド16aの折損を防止することができ、品質の向上が図れ、連結ピン構造2の信頼性を高めることができる。
【0035】
すなわち、例えばピン10をピン孔6a、8aにシリンダ16の力で差し込む場合(図2に矢印Zで示す)ピン10は円板部10bの半球状凸部10dが点接触で押込まれるので、ピン10がガイド部材18内で移動しシリンダ16との中心がずれても、シリンダ16のロッド16aに曲げ応力が発生しない。また、例えば連結が完了した状態で、けん引ブラケット6と被けん引ブラケット8の相対動きによって、ピン10にガイド部材18の中で動きがあっても、シリンダ16のロッド16aに曲げ応力は発生せず、ロッド16aの折損が防止される。
【0036】
さらに、一方の部材6はトーイングトラクタのけん引ブラケットであり、他方の部材8はトーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、流体圧シリンダ16はトーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである。
【0037】
したがって、トーイングトラクタに装備されるエアブレーキの空気圧源を連結ピン構造2のピン10の操作用に、動力源を新規に設けることなく有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0038】
2:連結ピン構造
6:けん引ブラケット(一方の部材)
6a:ピン孔
8:被けん引ブラケット(他方の部材)
10:ピン
10b:円板部
10d:半球状凸部
12:保持部材
12a:下円板
12b:上円板
16:空気圧シリンダ(流体圧シリンダ)
18:ガイド部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造であって、
該ピンの差込端と反対の端に形成した円板部と、
この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、
一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダと、を備えている、
ことを特徴とする連結ピン構造。
【請求項2】
保持部材が、
円板部に隣接し半径方向の遊びを有して該ピンに嵌合した孔付きの下円板と、
この下円板の外縁に一体に連結され下円板とともに円板部を軸線方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダの一端が取付けられる上円板と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載の連結ピン構造。
【請求項3】
円板部が、
上円板に対向し接離自在に当接するピンの軸線を中心に形成した半球状凸部を備えている、
ことを特徴とする請求項2記載の連結ピン構造。
【請求項4】
該ピンのピン孔への抜き差しを案内するピン孔に直列に一方の部材に取付けられた筒状のガイド部材を備えている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の連結ピン構造。
【請求項5】
一方の部材が、トーイングトラクタのけん引ブラケットであり、
他方の部材が、トーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、
流体圧シリンダが、トーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の連結ピン構造。
【請求項1】
一方の部材と他方の部材のピン孔に鉛直方向上方から真直のピンを抜き差しして一方の部材に他方の部材を着脱自在に連結する連結ピン構造であって、
該ピンの差込端と反対の端に形成した円板部と、
この円板部を、ピンに軸線方向および軸線直交方向の遊びを許容して保持する保持部材と、
一端がこの保持部材に他端が一方の部材に取付けられピンをピン孔に抜き差しする流体圧シリンダと、を備えている、
ことを特徴とする連結ピン構造。
【請求項2】
保持部材が、
円板部に隣接し半径方向の遊びを有して該ピンに嵌合した孔付きの下円板と、
この下円板の外縁に一体に連結され下円板とともに円板部を軸線方向の遊びを許容して平行に挟み流体圧シリンダの一端が取付けられる上円板と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載の連結ピン構造。
【請求項3】
円板部が、
上円板に対向し接離自在に当接するピンの軸線を中心に形成した半球状凸部を備えている、
ことを特徴とする請求項2記載の連結ピン構造。
【請求項4】
該ピンのピン孔への抜き差しを案内するピン孔に直列に一方の部材に取付けられた筒状のガイド部材を備えている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の連結ピン構造。
【請求項5】
一方の部材が、トーイングトラクタのけん引ブラケットであり、
他方の部材が、トーイングトラクタによりけん引される、被けん引ブラケットであり、
流体圧シリンダが、トーイングトラクタの空気圧源の圧力空気により作動する空気圧シリンダである、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の連結ピン構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−57647(P2012−57647A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198707(P2010−198707)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
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