説明

連結具

【課題】 主に複数の板を重ねてそれらの板が離れないように連結するための連結具であって、連結状態を解くことが非常に困難である連結具の提供を課題とする。
【解決手段】 雄部材と雌部材とから成り、雄部材は、少なくとも一対の対向する嵌合突出部を有し、その対向する嵌合突出部は弾性的に互いに接近及び離反可能となるように形成され且つ係止突部が形成されており、雌部材は、前記嵌合突出部を嵌合するための嵌合部を有し、且つ該嵌合部の入口から前記嵌合突出部を嵌合したときに前記係止突部が係止する係止部を有し、さらに雌部材は、嵌合時に雄部材の対向する嵌合突出部が互いに弾性的に接近することを阻止する補強部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に薄い複数の板を重ね合わせて連結するための連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
連結するための連結具であって雄部材と雌部材とから成り、雌部材の筒状胴部を軸線方向に沿ったスリットを介して複数の拡開脚部に分割して、雄部材の軸部を雌部材の胴部内に挿入することにより、胴部の各拡開脚部を外方に拡開して、雄部材の鍔部と各拡開脚部間で二以上の板状部材を挟持する連結具は存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−155738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、主に複数の板を重ねてそれらの板が離れないように連結するための連結具であって、連結状態を解くことが非常に困難である連結具の提供を課題とする。
【0004】
例えば本発明は包丁の陳列用包装箱に使用される。その理由は次の通りである。近年、刃物を使った凶悪犯罪が増加し社会問題となっている。包丁などの刃物はその目的通り使用すれば問題ないが、包丁自体は十分な殺傷能力を持っている。包丁の陳列用包装箱はその開口を閉じるフラップの折り曲げ片を包装箱の中に挿入して開口を閉じ、挿入された折り曲げ片を簡単な係止構造で係止した構造となっている。したがって、量販店で包装箱入り包丁を購入した粗暴な人間が、何らかのきっかけで包装箱からすぐに包丁を取り出して凶器に使用することが十分に考えられる。また、凶悪犯が包丁を持たずに店に入って、店内に陳列されている包丁の包装箱から包丁を簡単に取り出して凶器に使用する虞もある。この場合、包装箱を開くことが困難であれば凶悪事件を未然に防止することができる。このような場合に、フラップの折り曲げ片を包装箱の壁板に重ね合わせて連結具で連結し、その連結状態が容易に解けなければ安全である。
【0005】
前記特許文献1の連結具は、胴部の各拡開脚部を外方に拡開して、雄部材の鍔部と各拡開脚部間で二以上の板状部材を確実に挟持するものである。この連結具の雄部材と雌部材の嵌合は、それぞれの頭部が同じ側にあって重なる構造である。したがって、頭部と反対側の端部が両部材ともに同じ側に突き出る構造である。これに対して本発明が意図する構造は、雄部材と雌部材を嵌合したときに2つの頭部が同じ側になく、嵌合状態の両端に存在する構造である。特許文献1の連結具は、パネルの表面に2つの頭部が露出するように取り付け、連結具の端部はパネルの中に覗くようにして使用するものである。通常、例えば自動車の車体パネルの中に手を入れることはできない。したがって、パネルの中に覗いている連結具の端部を意図的に破壊される虞がなく確実に板を連結することができる。
【0006】
ところが、例えば前述したような包丁の陳列用包装箱の開口を連結具で連結して閉じたときに、連結具の両端が露出するのである。したがって、引用文献1のように雌雄両部材の頭部が同じ側にあって、雌雄両部材の端部が他の側にあるときは拡開脚片を広げるなどして、嵌合している雌雄両部材の端部を容易に破壊することができるのである。このような連結具で包丁の陳列用包装箱の開口を閉じると、容易に開口を開いて包丁を取り出すことできるのである。これでは、安全性に優れた陳列用包装箱を提供することができない。そこで、本発明はこのような包丁の陳列用包装箱の場合に、あるいはこれ以外の場合においても、複数の板を重ねて連結し、その連結状態を解くことが非常に困難である連結具を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、特許文献1の連結具で陳列用包装箱の開口を閉じた場合は雌雄両部材の端部が突き出る。このために、陳列用包装箱を手で持ったときに指などがその突出した端部に当たって痛みを感じる等の不快感を生じさせる虞がある。そこで、本発明は雌雄両部材を嵌合して複数の板を連結したときに、連結部の端部が突き出ることがなく、手などが連結具に触れたときに痛みなどの不快感を生じさせることのない連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1は、雄部材と雌部材とから成り、雄部材は、少なくとも一対の対向する嵌合突出部を有し、その対向する嵌合突出部は弾性的に互いに接近及び離反可能となるように形成され且つ係止突部が形成されており、雌部材は、前記嵌合突出部を嵌合するための嵌合部を有し、且つ該嵌合部の入口から前記嵌合突出部を嵌合したときに前記係止突部が係止する係止部を有し、さらに雌部材は、嵌合時に雄部材の対向する嵌合突出部が互いに弾性的に接近することを阻止する補強部を有する構成である。
【0009】
請求項2は、補強部が対向する嵌合突出部の接近を阻止する補強状態にあるときに、その補強部が補強状態から外れることを阻止するための阻止手段が補強部と雄部材との間に介在している要素が請求項1に付加された構成である。
【0010】
請求項3は、補強部が補強状態にあるときに、補強部は実質的にその全部が対向する嵌合突出部の間隙に収まる要素が請求項1又は請求項2に付加された構成である。
【0011】
請求項4は、嵌合突出部を嵌合部に嵌合し補強部を移動させたときに、その移動した位置で補強部が、対向する嵌合突出部の接近を阻止する要素が請求項1乃至請求項3に付加された構成である。
【0012】
請求項5は、補強部が易切断部を有する結合部を介して雌部材に結合され、補強状態とするために補強部を移動させる際に、その移動させる力によって前記易切断部が切断され補強部が移動する要素が請求項4に付加された構成である。
【0013】
請求項6は、一対の対向する嵌合突出部から長さ方向に間隔を置いて他の一対の対向する嵌合突出部が設けられ、それぞれ一対の嵌合突出部の長さ方向の長さは等しく、且つ一方の一対の嵌合突出部の長さは他方の一対の嵌合突出部の長さよりも長い要素が請求項1乃至請求項5に付加された構成である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1は、雄部材が少なくとも一対の対向する嵌合突出部を有し、その対向する嵌合突出部は弾性的に互いに接近及び離反可能となるように形成され且つ係止突部が形成されており、雌部材が前記嵌合突出部を嵌合するための嵌合部を有し、且つ該嵌合部の入口から前記嵌合突出部を嵌合したときに前記係止突部が係止する係止部を有し、さらに雌部材は、嵌合時に雄部材の対向する嵌合突出部が互いに弾性的に接近することを阻止する補強部を有する構成である。雌雄両部材の嵌合を外すためには、雄部材の対向する嵌合突出部を接近させれば係止状態が解除して嵌合が外れる。請求項1は、この両嵌合突出部の接近を阻止する補強部を有しているので嵌合突出部を接近させることができず、雌雄両部材の嵌合を外すことができない。したがって、複数の板を重ねて連結したときにその連結状態を解くことを非常に困難とすることができる。
【0015】
前述したように補強部材によって対向する嵌合突出部の接近を阻止し、複数の板を重ねて連結したときにその連結状態を解くことを非常に困難とすることができる。補強部は例えば嵌合突出部などから圧力がかかっているので容易に取り除くことはできないから安定度は高い。しかし、仮にドライバーなどの道具を使って補強部を取り除くことができれば、連結状態を解くことができる。これでは補強部の効果が万全とは言えない。請求項2は、補強部が対向する嵌合突出部の接近を阻止する補強状態にあるときに、その補強部が補強状態から外れることを阻止するための阻止手段が補強部と雄部材との間に介在している。したがって、特に補強部が補強状態から外れることを目的とした阻止手段を設けることによって、補強部を補強状態から外すことが困難となり、複数の板を重ねて連結したときにその連結状態を解くことを非常に困難とすることができる。
【0016】
請求項3は、補強部が補強状態にあるときに、補強部は実質的にその全部が対向する嵌合突出部の間隙に収まる構成である。本発明は、雄部材の嵌合突出部が雌部材の嵌合部から突出しない構成とすることができる。そのような構成としたときに、補強部が実質的に嵌合突出部の間隙に収まる構成とすれば、雌雄両部材を嵌合したときに嵌合突出部が連結具から突出することがない。したがって、手で持ったときに連結具が指などに当たっても痛みを感じることがなく不快感を生じさせない。
【0017】
請求項4は、嵌合突出部を嵌合部に嵌合し補強部を移動させたときに、その移動した位置で補強部が、対向する嵌合突出部の接近を阻止する構成である。すなわち、嵌合突出部を嵌合部に嵌合した時点では補強部が補強作用をしておらず、補強状態にない。仮に嵌合突出部を嵌合させるときに同時に補強部が補強状態となる構成にすると、雄部材の係止突部が雌部材の係止部に係止する際に、補強部の作用によって円滑に係止状態とすることが阻害される。したがって、係止状態とするために大きな力を必要とする。請求項4は、嵌合突出部を嵌合部に嵌合した時点、すなわち、係止突部が係止部に係止する時点では補強部材が作用しておらず、嵌合が完了したときに補強部を移動させて補強作用を発揮させる構成である。したがって、雄部材の係止突部が雌部材の係止部に円滑に係止し、雌雄両部材の嵌合を円滑に行うことができる。
【0018】
請求項5は、補強部が易切断部を有する結合部を介して雌部材に結合され、補強状態とするために補強部を移動させる際に、その移動させる力によって前記易切断部が切断され補強部が移動する構成である。したがって、補強状態にある補強部は雌部材との結合部である易切断部が切断されて独立した部材となるから、補強状態にあるときに元の状態に復帰させる力が加わらない。これにより、補強部が補強状態から外れることを確実に防止することができる。また、結合部によって補強部が位置決めされているので、位置決めされたその補強部を押圧するだけで適切な補強状態を得ることができる。
【0019】
請求項6は、一対の対向する嵌合突出部から長さ方向に間隔を置いて他の一対の対向する嵌合突出部が設けられ、それぞれ一対の嵌合突出部の長さ方向の長さは等しく、且つ一方の一対の嵌合突出部の長さは他方の一対の嵌合突出部の長さよりも長くなるように形成されている。これは連結具の取り付け方向を単一に確定するための構成である。すなわち、この構成は二対の対抗する嵌合突出部を有しているので、連結されるべき複数の板には嵌合突出部の挿入孔が2つ設けられている。挿入孔の長さを、嵌合突出部の長い方の長さに合わせて同じ長さにすると、その挿入孔には長い方の嵌合突出部も挿入可能で、短い方の嵌合突出部も挿入可能である。したがって、このような構成では連結具の取り付け方向を単一に確定できない。これに対して、一方の挿入孔の長さは嵌合突出部の長い方の長さに合わせ、他方の挿入孔の長さは嵌合突出部の短い方の長さに合わせれば、連結具は逆方向に取り付けることができないから連結具の方向を単一に確定することができる。これは、例えば連結具の表面に文字を記入したときに、文字を逆さにして連結具を取り付けることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明を実施するための最良の形態について説明する。雌部材1は熱可塑性樹脂で一体に形成されている。図1に示すように、雌部材1は、細長い矩形の板状に形成されている。雌部材1の長さは約58mmであり、幅は約9mmであり、厚みは約3mmである。雌部材1の両端寄りに長さ方向に延びる矩形の貫通孔2,3が形成されている。貫通孔2,3のサイズは同一で、長さが約15.4mmで、幅が約5.8mmである。図5に示すように貫通孔2,3の上側には長さ方向に延びる補強部4,5が設けられている。補強部4の両端と貫通孔2の両端との間に薄肉部6,6が介在して補強部4は雌部材1に結合され,補強部5の両端と貫通孔3の両端との間に薄肉部7,7が介在して補強部5は雌部材1に結合している。薄肉部6,6と薄肉部7,7の強度は、補強部4,5を貫通孔2,3の中に押し入れようと力を加えたときに容易に切断するだけの弱い強度である。図5に示すように、薄肉部6,6は貫通孔2の内面の上端と補強部4の下端の間に延びている。この構成により補強部4は貫通孔2の上側に位置する。同様に、薄肉部7,7は貫通孔3の内面の上端と補強部5の下端の間に延びている。この構成により補強部5は貫通孔3の上側に位置する。
【0021】
図4に示すように、貫通孔2の内面に係止部8,8が設けられている。図5に示すように他方の貫通孔3の内面にも同様の係止部15が設けられている。また、図4に示すように補強部4の先端はテーパーしており、張り出し部14,14が設けられている。補強部4,5のサイズは同一で、長さが約13.8mmであり、最大幅すなわち図4に示す上下方向の最大距離は約2.5mmであり、張り出し部14よりも左側の部分の上下幅は約2mmである。厚みすなわち図4における水平方向の長さは約2.8mmである。
【0022】
雄部材9は雌部材1と同じ熱可塑性樹脂で一体に形成されている。図2に示すように、雄部材9も雌部材1と同様に細長い矩形の板状に形成されている。雄部材9の一方の端部寄りには、対向する嵌合突出部10,10が一体に設けられている。この嵌合突出部10,10は他方の嵌合突出部12,12よりも長い。雄部材9の長さと幅は雌部材1と同じであり、嵌合突出部10,10,12,12を除いた板状の部分の厚みは約2mmである。この嵌合突出部10,10の高さは約3.6mmであり、長さは約15mmである。嵌合突出部10,10の上端には外向きの係止突部11,11と内向きの膨出部41,41が設けられている。雄部材9の他方の端部寄りには、対向する他方の嵌合突出部12,12が一体に設けられている。この嵌合突出部12,12の高さは約3.6mmであって一方の嵌合突出部10,10と等しいが、長さは約10mmであって一方の嵌合突出部10,10の長さよりも短くなるように形成されている。嵌合突出部12,12の上端にも外向きの係止突部13,13と内向きの膨出部42,42が設けられている。図7に示すように雄部材1の表面には「底面をハサミで切り取ってください」の文字が記入されている。これは、本発明の連結具が分解不可能に構成されているので、本発明が陳列用包装箱の開口を閉鎖したときは、中身の商品を取り出すときは連結具を分解せずハサミで開口を閉鎖しているフラップなどを切断すべきことを示唆している。
【0023】
次に本発明の使用方法を、図14に示す陳列用の包装箱16を例にとって説明する。この包装箱16は包丁を包装して量販店の売り場の陳列用フックに吊り下げて陳列される。包装箱16を吊り下げるときは、陳列用フックを吊り下げ孔17に通して吊り下げる。吊り下げられた包装箱16の上側の開口と下側の開口を閉鎖するために本発明の連結具が使用される。図面では省略してあるが、この包装箱16の中に台紙にセットされた包丁が包装される。包丁が外から見えるように包装箱16は透明な合成樹脂の薄板で形成されている。
【0024】
図9及び図10は包装箱16の上側の開口18の構造を示したものである。開口18の周囲には、正面フラップ19と、背面フラップ20と、一対のサイドフラップ21,21が設けられている。正面フラップ19は正面壁板35と一体に形成されていて、正面壁板35から上方に延びている。正面フラップ19に折り曲げ線22を設けることにより折り曲げ片23が形成されている。この折り曲げ片23にはこの図において左寄りに矩形の長孔24が設けられ、右寄りにその長孔24よりも短い短孔25が設けられている。さらに、折り曲げ線22の中央にスリット26が形成されている。
【0025】
背面フラップ20は背面壁板36と一体に形成されていて、背面壁板36から上方に延びている。背面フラップ20に折り曲げ線27を設けることにより折り曲げ片28が設けられている。背面フラップ20には左寄りに長孔29と右寄りに短孔30が設けられている。折り曲げ片28にも左寄りに長孔31と右寄りに短孔32が設けられている。折り曲げ片28の長辺33の中央に差込片34が設けられている。
【0026】
開口18を閉じるときは、まずサイドフラップ21,21を内側に折り曲げる。次に、正面フラップ19を折り曲げ線37で開口18側に折り曲げ、折り曲げ片23を折り曲げ線22で反対側に折り曲げ、正面フラップ19で開口18を閉じる。このとき、折り曲げ片23は背面フラップ20に全面的に接触している。次いで、折り曲げ片28を折り曲げ線27で折り曲げ、背面フラップ20と折り曲げ片28とで折り曲げ片23を挟み込む。そのときに、折り曲げ片28の差込片34をスリット26に差し込むことにより、折り曲げ片28を仮止めすることができる。図10はその折り曲げ片28を仮止めした状態を示す。このとき、長孔24,29,31はすべて整合して挿通長孔38を形成し、短孔25,30,32もすべて整合して挿通短孔39を形成する。このように挿通長孔38及び挿通短孔39は3枚の板材を貫通している。3枚の板材を重ねたことによりこの部分の強度が増し、連結具で開口を閉じて重量の大きな包丁を吊り下げても挿通長孔38や挿通短孔39が破損することがない。また、図10から明らかなように、背面フラップ20は折り曲げ線27で折り曲げられていてその部分では背面フラップ20と折り曲げ片28は一体につながっている。したがって、連結具を取り付けたときに、ナイフで折り曲げ線28を切断しない限りその折曲げ部分から背面フラップ20と折り曲げ片28を引き離すことができず、閉鎖状態を解除することは非常に困難である。
【0027】
折り曲げ片28を仮止めした後に、この部分に連結具である雌雄両部材1,9を取り付ける。まず、挿通長孔38と挿通短孔39の正面側から雄部材1の嵌合突出部10,10,12,12を挿入する。雄部材1の一方の嵌合突出部10,10は他方の嵌合突出部12,12よりも長く形成されており、挿通長孔38の長さ一杯に挿入し得る長さである。挿通短孔39の長さは一方の嵌合突出部10,10の長さよりも短いから、嵌合突出部10,10は挿通短孔39に挿入することができない。したがって、一方の長い嵌合突出部10,10は挿通長孔38に挿入し、他方の短い嵌合突出部12,12は挿通短孔39に挿入する。これにより、取り付けられるべき雄部材1の両端のいずれが左側でいずれが右側であるか限定されるので、天地についても一つに限定され上下逆さになることがない。その限定された取り付け状態で雄部材1の表面に「底面をハサミで切り取ってください」の文字が表われるように文字を表示すれば、文字が逆さになるように雄部材1が取り付けられることはない。
【0028】
次に、背面フラップ20の背面側から雌部材9を取り付ける。挿通長孔38と挿通短孔39から嵌合突出部10,10と嵌合突出部12,12が背面側に突出しているので、それらの嵌合突出部を雌部材1の貫通孔2,3に挿入する。その際、嵌合突出部は貫通孔2,3の補強部4,5の設けられていない側の開口40から挿入する。貫通孔2,3の長さは同一でいずれも長い方の嵌合突出部10,10の長さに合わせてあるので、貫通孔2,3に嵌合突出部10,10と嵌合突出部12,12のいずれを挿入しても差し支えない。貫通孔2に嵌合突出部10,10を挿入したときに、嵌合突出部10,10の係止突部11,11が貫通孔2の係止部8に係止し、雄部材1と雌部材9が結合される。また、それと同時に貫通孔3に嵌合突出部12,12が挿入され、嵌合突出部12,12の係止突部13,13が貫通孔3の係止部15に係止し、雄部材1と雌部材9が結合される。
【0029】
このように嵌合突出部10,10を貫通孔2に挿入した後に、図11に示すように補強部4を両嵌合突出部10,10の間に押し込む。補強部4は実質的にその全体が嵌合突出部10,10の間に収まるので、補強部4が雌部材9から突き出ない。実質的というのは、物理的にわずかにはみ出すことがあるとしても使用上そのはみ出すことによる影響を受けないということである。補強部4を押し込むと、嵌合突出部10,10の張り出し部14,14が膨出部41,41を乗り越えて押し込まれるので、この張り出し部14,14と膨出部41,41が協働して押し込んだ後の補強部4が抜けることを阻止する。さらに、図11において補強部4の張り出し部14,14は係止突部8,8よりも左側にある。したがって、補強部4が抜ける方向、すなわち右側に移動しようとしても、張り出し部14,14と係止部8,8とで嵌合突出部10,10を挟圧するので、非常に大きな力を加えなければ補強部4は移動しない。したがって、雄部材1と雌部材9が結合されたときに、補強部4が雌部材9から浮き上がることを効果的に防止できる。
【0030】
図12及び図13は包装箱16の下側の開口43の構造を示したものである。開口43の周囲には、正面フラップ44と、背面フラップ45と、一対のサイドフラップ46,46が設けられている。正面フラップ44は正面壁板35と一体に形成されていて、正面壁板35から下方に延びている。正面フラップ44に折り曲げ線47を設けることにより折り曲げ片48が形成されている。この折り曲げ片48にはこの図において左寄りに矩形の長孔49が設けられ、右寄りにその長孔49よりも短い短孔50が設けられている。
【0031】
背面フラップ45は背面壁板36と一体に形成されていて、背面壁板36から下方延長方向にまっすぐ延びている。したがって、背面フラップ45に折り曲げ線は存在しない。背面フラップ45には左寄りに長孔51と右寄りに短孔52が設けられている。
【0032】
開口43を閉じるときは、まずサイドフラップ46,46を内側に折り曲げる。次に、正面フラップ44を折り曲げ線47で開口43側に折り曲げ、折り曲げ片48を折り曲げ線47で反対側に折り曲げ、正面フラップ44で開口43を閉じる。このとき、折り曲げ片48は背面フラップ45に全面的に接触している。このとき、長孔49,51は整合して挿通長孔53を形成し、短孔50,52も整合して挿通短孔54を形成する。したがって、この場合、連結具で連結するのは折り曲げ片48と背面フラップ45の2枚の板材である。
【0033】
挿通長孔53と挿通短孔54に雄部材1の嵌合突出部10,10,12,12を挿入して雄部材1と雌部材9を結合する方法は、前述した上側の開口18を閉じる方法と同じである。連結具を取り付けると図14に示すように雄部材1に記載した「底面をハサミで切り取ってください」の文字が、包装箱の16の上側と下側に表われる。したがって、包装箱16から包丁を取り出そうとするときは、この文字に従って下側に連結されている折り曲げ片48と背面フラップ45を折り曲げ線47に沿ってハサミで切断する。この部分で重なっている板材は2枚であるが3枚にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】雌部材の斜視図
【図2】雄部材の斜視図
【図3】雌部材の平面図
【図4】図3におけるA−A拡大断面図
【図5】図3におけるB−B断面図
【図6】雄部材の平面図
【図7】雄部材の底面図
【図8】雄部材の側面図
【図9】包装箱の上側の開口部分の斜視図
【図10】包装箱の上側の開口を仮止めした状態の斜視図
【図11】板材を連結具で連結した状態を示す断面図
【図12】包装箱の下側の開口部分の斜視図
【図13】包装箱の下側の開口を連結具で閉じる前の斜視図
【図14】連結具を取り付けた包装箱の正面図
【符号の説明】
【0035】
1 雌部材
2 貫通孔
3 貫通孔
4 補強部
5 補強部
6 薄肉部
7 薄肉部
8 係止部
9 雄部材
10 嵌合突出部
11 係止突部
12 嵌合突出部
13 係止突部
14 張り出し部
15 係止部
16 包装箱
17 吊り下げ孔
18 開口
19 正面フラップ
20 背面フラップ
21 サイドフラップ
22 折り曲げ線
23 折り曲げ片
24 長孔
25 短孔
26 スリット
27 折り曲げ線
28 折り曲げ片
29 長孔
30 短孔
31 長孔
32 短孔
33 長辺
34 差込片
35 正面壁板
36 背面壁板
37 折り曲げ線
38 挿通長孔
39 挿通短孔
40 開口
41 膨出部
42 膨出部
43 開口
44 正面フラップ
45 背面フラップ
46 サイドラップ
47 折り曲げ線
48 折り曲げ片
49 長孔
50 短孔
51 長孔
52 短孔
53 挿通長孔
54 挿通短孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄部材と雌部材とから成り、雄部材は、少なくとも一対の対向する嵌合突出部を有し、その対向する嵌合突出部は弾性的に互いに接近及び離反可能となるように形成され且つ係止突部が形成されており、雌部材は、前記嵌合突出部を嵌合するための嵌合部を有し、且つ該嵌合部の入口から前記嵌合突出部を嵌合したときに前記係止突部が係止する係止部を有し、さらに雌部材は、嵌合時に雄部材の対向する嵌合突出部が互いに弾性的に接近することを阻止する補強部を有することを特徴とする連結具。
【請求項2】
補強部が対向する嵌合突出部の接近を阻止する補強状態にあるときに、その補強部が補強状態から外れることを阻止するための阻止手段が補強部と雄部材との間に介在している請求項1記載の連結具。
【請求項3】
補強部が補強状態にあるときに、補強部は実質的にその全部が対向する嵌合突出部の間隙に収まる請求項1又は請求項2記載の連結具。
【請求項4】
嵌合突出部を嵌合部に嵌合し補強部を移動させたときに、その移動した位置で補強部が、対向する嵌合突出部の接近を阻止する請求項1乃至請求項3記載の連結具。
【請求項5】
補強部は易切断部を有する結合部を介して雌部材に結合され、補強状態とするために補強部を移動させる際に、その移動させる力によって前記易切断部が切断され補強部が移動する請求項4記載の連結具。
【請求項6】
一対の対向する嵌合突出部から長さ方向に間隔を置いて他の一対の対向する嵌合突出部が設けられ、それぞれ一対の嵌合突出部の長さ方向の長さは等しく、且つ一方の一対の嵌合突出部の長さは他方の一対の嵌合突出部の長さよりも長い請求項1乃至請求項5記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−315534(P2007−315534A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147166(P2006−147166)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】