説明

連結具

【課題】 コルゲート管同士を容易に連結でき、かつ、何種類ものコルゲート管に対して活用可能な連結具を提供する。
【解決手段】 連結具20は、基部30と、複数の挟部32とを備える。この連結具20において、挟部32がコルゲート管の端部を挟む。挟部32は基部30からそれぞれ突出するように設けられる。これにより、コルゲート管の端部を挟部32が挟むとコルゲート管同士を連結できることとなる。コルゲート管の端部を挟部32が挟むことによりコルゲート管同士を連結できるので、コルゲート管同士を連結するための作業が容易となる。さらに、コルゲート管の端部を挟部32が挟むことによりコルゲート管同士を連結するので、外径および内径ならびに形状といったコルゲート管の要素がコルゲート管の連結に与える影響は少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲート管同士を容易に連結でき、かつ、何種類ものコルゲート管に対して活用可能な連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には分岐部用プロテクタが開示されている。この分岐部用プロテクタは、分岐点近くまでそれぞれコルゲート管で被覆されたワイヤハーネスの分岐部に用いる。この分岐部用プロテクタは、形状記憶樹脂シートを備える。この形状記憶樹脂シートは、ワイヤハーネスの分岐部における幹線側ワイヤハーネスの外周を一方のコルゲート管から他方のコルゲート管にわたって包囲する。さらに、この形状記憶樹脂シートは、加熱によりコルゲート管の周方向に収縮する。この形状記憶樹脂シートの収縮方向両端部には係止部が設けられる。係止部は、形状記憶樹脂シートの両端部同士を相互に連結する構造となっている。その形状記憶樹脂シートの両端部に切欠凹部を形成している。切欠凹部は、両端部同士が連結された状態で分岐側ワイヤハーネスのコルゲート管の貫通孔となる。特許文献1に示された発明によれば、いかなる口径のコルゲート管にも簡単に適応でき、しかも製作種類が少なくて済む、分岐部用プロテクタを提供できる。
【0003】
特許文献2にはワイヤハーネス用コルゲート管構造が開示されている。この構造は分岐部分に関する構造である。この構造は、拡大分岐部分に保護シートを巻付けてそれが有する粘着層により拡大接続部分の外周を包み込み貼着したことを特徴とする。拡大分岐部分とは、管継手とその近傍の可撓性管とを含む部分のことである。特許文献2に示された発明によれば、拡大分岐部分の連結状態が強く固定される。連結状態が強く固定されるので、そこに続くコルゲート管が曲がった状態でそのコルゲート管を配設しても、管接手による連結が外れるおそれが極めて少ない。そのおそれが極めて少ないので、充分な保護機能を奏することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−261317号公報
【特許文献2】特開平7−241015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、装着作業に手間がかかるという問題点がある。この問題点が生じるのは、形状記憶樹脂シートを装着した上でその形状記憶樹脂シートを加熱しなければならないためである。
【0006】
特許文献2に開示された発明にも、装着作業に手間がかかるという問題点がある。特許文献2においてこの問題点が生じるのは、コルゲート管に管継手をまず接続した上で保護シートを巻付ける必要があるためである。また、特許文献2に開示された発明には、コルゲート管のサイズに応じて多種類の管継手を製作する必要があるという問題点もある。
【0007】
本発明の目的は、コルゲート管同士を容易に連結でき、かつ、何種類ものコルゲート管に対して活用可能な連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、連結具20,22は、互いに交互に連なる山部102と谷部104とを有しているコルゲート管100同士を配線110が貫通できるよう連結するものである。連結具20,22は、基部30と、複数の挟部32とを備える。挟部32は基部30からそれぞれ突出するように設けられる。挟部32は、コルゲート管100の端部を挟む。
【0009】
上述した連結具20において、挟部32がコルゲート管100の端部を挟む。連結具20は複数の挟部32を備える。挟部32は基部30からそれぞれ突出するように設けられる。これにより、コルゲート管100同士を連結できる。つまり、コルゲート管100の端部を挟部32が挟むことによりコルゲート管100同士を連結できるので、コルゲート管100同士を連結するための作業が容易となる。
【0010】
コルゲート管100の端部を挟部32が挟むことによりコルゲート管100同士を連結するので、外径および内径ならびに形状といったコルゲート管100の要素がコルゲート管100の連結に与える影響は少ない。その結果、本発明にかかる連結具20,22は何種類ものコルゲート管100に対して活用できる。
【0011】
また、上述した挟部32が互いに対向する複数の柱状部材40,42を有することが望ましい。
【0012】
互いに対向する複数の柱状部材40,42により、コルゲート管100の端部を内周側と外周側とから挟むことができる。互いに対向する部材によりコルゲート管100の端部を内周側と外周側とから挟む場合において、互いに対向する複数の柱状部材40,42を用いると、例えば湾曲した部材によってコルゲート管100の端部を内周側と外周側とから挟む場合に比べて、挟部32がコルゲート管100の内部を大きく占める可能性は低くなる。その可能性が低くなるので、配線110に遮られてコルゲート管100同士の接続が困難になる可能性も低くなる。コルゲート管100同士の接続が困難になる可能性が低くなるので、例えば湾曲した部材によってコルゲート管100の端部を内周側と外周側とから挟む場合に比べて、コルゲート管100同士を容易に連結できる。
【0013】
もしくは、上述した複数の柱状部材40,42のいずれかが突起50,60を有することが望ましい。この突起50,60は他の柱状部材40,42と対向する。
【0014】
柱状部材40が他の柱状部材42と対向する突起50を有することにより、挟部32がコルゲート管100の端部を挟んだとき、その突起50はコルゲート管100の端部を他の柱状部材42へ押さえつけることがある。柱状部材42が他の柱状部材40と対向する突起60を有することにより、挟部32がコルゲート管100の端部を挟んだとき、その突起60はコルゲート管100の端部の谷部104と噛合うことがある。コルゲート管100の端部を他の柱状部材42へ押さえつけた場合も、コルゲート管100の端部の谷部104と突起60とが噛合った場合も、挟部32がしっかりとコルゲート管100を挟むこととなる。
【0015】
もしくは、上述した複数の柱状部材のいずれか42が平面62を有することが望ましい。この平面62は他の柱状部材40と対向する。
【0016】
柱状部材42の平面62がコルゲート管100の山部102または谷部104に接触すると、摩擦力が生じる。摩擦力が生じるので、コルゲート管100の端部が挟部32から抜けることが抑えられる。しかも、山部102と谷部104とが互いに交互に連なっているので、柱状部材42の平面62がコルゲート管100の山部102または谷部104に接触すると、複数の箇所で摩擦力が生じる可能性がある。複数の箇所で摩擦力が生じると1箇所で摩擦力が生じる場合よりもコルゲート管100の端部が挟部32から抜けることはよく抑えられる。
【0017】
また、上述した基部30が貫通路44を有することが望ましい。基部30が貫通路44を有すると、その貫通路44に結束部材を通してからその結束部材で配線110を結束することができる。
【0018】
もしくは、上述した連結具22が引掛部34をさらに備えることが望ましい。引掛部34は孔を有する板のその孔を貫通してその孔の縁に引っ掛かる。連結具22が引掛部34を備えることにより、連結具22を板に取付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コルゲート管同士を容易に連結でき、かつ、何種類ものコルゲート管に対して活用可能な連結具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例にかかる連結具の斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる連結具を用いて2本のコルゲート管を接続したときのそれらの断面図である。
【図3】本発明の変形例にかかる連結具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
[連結具の構成]
図1は、本実施例にかかる連結具20の斜視図である。図1を参照しつつ、本実施例にかかる連結具20の構成を説明する。
【0023】
本実施形態にかかる連結具20は基部30と挟部32とを備える。基部30の主な役割は挟部32の基礎となることである。挟部32は基部30から突出する。本実施形態の場合、挟部32は2つ設けられている。挟部32はコルゲート管100の端部をその内周側と外周側とから挟む。
【0024】
基部30には貫通路44と移動制限部46とが設けられている。貫通路44を周知の結束バンド120が貫通する。移動制限部46は、貫通路44の内周面に設けられている。移動制限部46により、結束バンド120の自由な移動が制限される。
【0025】
挟部32は、押付用柱状部材40と静止用柱状部材42とを有する。押付用柱状部材40と静止用柱状部材42とは互いに対向している。押付用柱状部材40は押付突起50を有する。押付突起50は静止用柱状部材42に対向している。静止用柱状部材42は噛合突起60と摩擦面62と脚部64とを有する。噛合突起60は押付用柱状部材40に対向している。摩擦面62は押付用柱状部材40に対向する平面である。脚部64は静止用柱状部材42の一端から突出する。脚部64は、2本のコルゲート管100,100を連結している連結具20を図示しない平板上に連結具20を置いたとき、コルゲート管100,100と連結具20全体とを支える。
【0026】
[連結具の使用方法]
図2は、本実施形態にかかる連結具20を用いて2本のコルゲート管100,100を接続したときのそれらの断面図である。図2を参照しつつ、本実施形態にかかる連結具20の使用方法を説明する。
【0027】
まず、作業者は、周知の結束バンド120に連結具20の基部30の貫通路44を貫通させる。貫通路44を結束バンド120が貫通したら、作業者は、2本のコルゲート管100,100を貫通するワイヤハーネスのうちコルゲート管100,100の間にあたる箇所の外周にその連結具20を接触させる。言うまでもないことであるが、ワイヤハーネスとは配線110の束のことである。ワイヤハーネスの外周にその連結具20を接触させたら、作業者は、上述した結束バンド120でそのワイヤハーネスを結束する。このとき、基部30の移動制限部46が結束バンド120の動きを抑える。その結果、ワイヤハーネスへ連結具20がしっかりと縛り付けられることになる。
【0028】
ワイヤハーネスが結束されたら、作業者は、ワイヤハーネスが貫通するコルゲート管100,100のうち一方の端部に連結具20の挟部32の一方を差込む。このとき、その挟部32の押付用柱状部材40はそのコルゲート管100の内周に進入する。進入の結果、押付用柱状部材40の押付突起50はコルゲート管100の谷部104の内周面を押さえつける。その挟部32の静止用柱状部材42はそのコルゲート管100の外周面を進む。外周面を進んだ結果、コルゲート管100の谷部104に静止用柱状部材42の噛合突起60が噛合う。コルゲート管100の山部102の外周面に静止用柱状部材42の摩擦面62が接触する。これにより、挟部32がコルゲート管100の端部を挟んでいることとなる。
【0029】
挟部32のうち一方がコルゲート管100のうち一方の端部を挟んだら、作業者は、ワイヤハーネスが貫通するコルゲート管100,100のうち他方の端部に連結具20の挟部32の他方を差込む。そのための具体的な手順は上述したものと同様である。これが完了することにより、本実施形態にかかる連結具20を用いたコルゲート管100,100の接続が完了する。
【0030】
[本実施例にかかる連結具の効果]
以上のようにして、本実施形態にかかる連結具20によれば、コルゲート管100の端部に挟部32を差込むという簡単な操作によって、2本のコルゲート管100,100を連結することができる。1種類の連結具20によってサイズが異なる何種類ものコルゲート管100,100同士を接続することができる。互いにサイズが違うコルゲート管を接続することも容易である。
【0031】
[変形例の説明]
今回開示された実施例はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施例に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0032】
たとえば、図3は、変形例にかかる連結具22の斜視図である。この連結具22は、引掛部34を備える。引掛部34は孔を有する板(図示せず)のその孔を貫通してその孔の縁に引っ掛かる。連結具22が引掛部34を備えることにより、連結具22を板に取付けることができる。引掛部34の構成そのものは周知なのでここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0033】
また、連結具20,22が備える挟部32の数は限定されない。すなわち、連結具20,22は3つ以上の挟部32を備えていてもよい。また、基部30の貫通路44は設けられていなくともよい。また、脚部64はなくともよい。また、挟部32が有する柱状部材40,42の本数は2本に限らない。挟部はある空間を取囲んで互いに対向するよう配置される3本以上の柱状部材を有していてもよい。さらに、挟部32は柱状部材に代えて湾曲した部材を有していても良い。
【0034】
また、柱状部材が有する突起の役割は上述したものと入れ替わっていてもよい。すなわち、コルゲート管100の内周側に進入する柱状部材に噛合突起60が設けられてもよい。コルゲート管100の外周側を進む柱状部材に押付突起50が設けられてもよい。挟部32が有する柱状部材の双方に同一の役割を持つ突起が設けられてもよい。すなわち、挟部32が有する柱状部材の双方が押付突起50を有していてもよいし、挟部32が有する柱状部材の双方が噛合突起60を有していてもよい。
【符号の説明】
【0035】
20,22…連結具、
30…基部、
32…挟部、
34…引掛部、
40…押付用柱状部材、
42…静止用柱状部材、
44…貫通路、
46…移動制限部、
50…押付突起、
60…噛合突起、
62…摩擦面、
64…脚部、
100…コルゲート管、
102…山部、
104…谷部、
110…配線、
120…結束バンド、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交互に連なる山部と谷部とを有しているコルゲート管同士を配線が貫通できるよう連結する連結具であって、
前記連結具が、
基部と、
前記基部からそれぞれ突出するように設けられて前記コルゲート管の端部を挟む複数の挟部とを備えることを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記挟部が互いに対向する複数の柱状部材を有することを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記複数の柱状部材のいずれかが他の前記柱状部材と対向する突起を有することを特徴とする、請求項2に記載の連結具。
【請求項4】
前記複数の柱状部材のいずれかが他の前記柱状部材と対向する平面を有することを特徴とする、請求項2に記載の連結具。
【請求項5】
前記基部が貫通路を有することを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項6】
前記連結具が、孔を有する板の前記孔を貫通して前記孔の縁に引っ掛る引掛部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253863(P2012−253863A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123070(P2011−123070)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108524)ヘラマンタイトン株式会社 (57)
【Fターム(参考)】