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連結固定用部材、およびその製造方法
説明

連結固定用部材、およびその製造方法

【課題】軽量で、強度や耐候性に優れる連結固定用部材を提供する。
【解決手段】本発明の連結固定用部材は、コイル状構造体である連結固定用部材であって、該コイル状構造体は低融点重合体と高融点重合体とによって構成され、低融点重合体からなる熱融着成分の溶融により、高融点重合体からなる繊維形成成分が相互に固着一体化されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結固定用部材、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟弱な地盤、または勾配が急な盛土を安定的に強化させたり、建造物や空港滑走路などの地盤を安定化させたりするために地面にネットやジオグリットなどを敷設すること(敷網)がおこなわれている。そして、敷網に際し、ネットやジオグリットを連結させる方法として、従来から種々の方法が検討されている。
【0003】
このような方法としては、例えば、作業現場において、ネットやジオグリットを地面に敷設し、隣接し合うネットやジオグリッドの端部の目孔にロープなどを通し、該ロープなどを締め付けて連結する方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、ロープなどを用いて連結する方法は、手作業によりおこなわれるため、煩雑で非能率的である。しかも、連結作業を均一におこなうことが困難であり、品質にばらつきがあるという問題がある。
【0005】
上記のような問題を解決するため、特許文献1においては、縁部に沿って多数の目孔を設けたシート材を敷設し、この目孔を介して、該シート材の縁部どうしを連結固定用部材により連結している。そして、この連結固定用部材は、目孔に挿通されるための脚部と該脚部どうしを連結させた連結板を備えた本体部材と、前記脚部を目孔に挿通した状態で、該脚部の挿出端に固着手段を介して固着される抜止部材とからなるものである。
【0006】
また、特許文献2には、シート材の端部を連結させるための連結固定用部材として連結ピンを用いることが記載されている。
【0007】
特許文献1や2の場合に記載された連結固定用部材には、金属製品や合成樹脂製品が用いられている。金属製品は、高い強度を有するものの、重くて硬いため用途が限定されるという問題がある。また、錆が発生した金属製品は、その表面から内部へ向かって腐食が進行するため、金属が本来有している強度が低下するという問題がある。
【0008】
一方、合成樹脂製品は、軽量であり、錆に起因する問題が発生しないため、耐候性にも優れるものである。しかしながら、強度が低いため、連結させる対象物であるシート類やネット類など(連結対象物)を連結させた場合には、連結部がはずれやすくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−213509号公報
【特許文献2】実用新案登録第3091540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、上記のような問題点を解決し、軽量で、強度や耐候性に優れる連結固定用部材を提供することを目的とする。さらに、このような連結固定用部材を、安価で容易に製造しうる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0012】
すなわち本発明は、以下の内容を要旨とするものである。
(1)コイル状構造体である連結固定用部材であって、該コイル状構造体は低融点重合体と高融点重合体とによって構成され、低融点重合体からなる熱融着成分の溶融により、高融点重合体からなる繊維形成成分が相互に固着一体化されてなることを特徴とする連結固定用部材。
(2)(1)の連結固定用部材を製造する方法であって、低融点重合体と高融点重合体によって構成される繊維集合体をコイル状にした後、熱処理をほどこして低融点重合体を溶融させ、高融点重合体は溶融させずに繊維形態を維持させ、低融点重合体からなる熱融着成分により、高融点重合体からなる繊維形成成分を相互に固着一体化させることを特徴とする連結固定用部材の製造方法。
(3)繊維集合体として、熱融着成分である低融点重合体と繊維形成成分である高融点重合体とを複合してなる複合繊維を集束させて得られた集合体を用いることを特徴とする(2)の連結固定用部材の製造方法。
(4)繊維集合体として、低融点重合体からなる熱融着繊維と、高融点重合体からなる繊維とを集束させて得られた集合体を用いることを特徴とする(2)の連結固定用部材の製造方法。
(5)繊維集合体を構成する繊維が、連続繊維であることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかの連結固定用部材の製造方法。
(6)連結される複数の対象物が、(1)の連結固定用部材により連結または固定されてなることを特徴とする連結構造物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軽量で、強度や耐候性に優れ、しかも煩雑な作業を必要とせずシート類やネット類などを容易に連結しうる連結固定用部材を提供することができる。さらに、本発明によれば、このような連結固定用部材を安価で容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の連結固定用部材を示す概略図である。
【図2】本発明の連結固定用部材を用いて、連結対象物を連結させた連結構造物を示す概略図である。
【図3】本発明の連結固定用部材を用いて、連結対象物を連結させた連結構造物の別の態様を示す概略図である。
【図4】本発明の連結固定用部材を、連結対象物の孔に回転させながら挿通させていく工程を示す図である。
【図5】本発明の連結固定用部材に対して、別の本発明の連結固定用部材を連結させた態様を示す概略図である。
【図6】本発明の連結固定用部材を連結対象物に予め挿通させておき、この連結固定用部材に対して、別の本発明の連結固定用部材を回転させながら挿通させて連結させることにより得られた連結構造物を示す概略図である。
【図7】本発明の連結固定用部材を連結対象物に予め挿通させておき、この連結固定用部材に対して、別の本発明の連結対象物に挿通された連結固定用部材を回転させながら挿通させて連結させることにより得られた連結構造物を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の連結固定用部材は、図1に示すようなコイル状構造体であり、高融点重合体からなる繊維形成成分が、低融点重合体からなる熱融着成分の溶融により相互に固着一体化されてなるものである。つまり、溶融によりらせん状の形態に固定された低融点重合体を母体とし、この母体中に高融点重合体からなる繊維形成成分が存在する。なお、コイル状構造体の表面の一部に高融点重合体が露出していてもよい。
【0016】
本発明においては、連結固定用部材を得るためには、複数本の繊維が集束した繊維集合体を用いる。繊維集合体は、高融点成分および低融点成分により構成される。本発明において、連結固定用部材を得るために繊維集合体を用いる理由は以下の通りである。つまり、複数の繊維を単に集束させただけの繊維集合体は、融通性があり非常に柔軟である。そのため、多様な巻き径や巻きピッチを有するコイル形状とすることができる。そして、このような繊維集合体をコイル状にした後、熱処理に付することで低融点重合体のみを溶融させて、高融点重合体は繊維形態を維持し、低融点重合体からなる熱融着成分の溶融により、高融点重合体からなる繊維形成成分が相互に固着一体化され、コイル状構造体である本発明の連結固定用部材となる。したがって、連結固定用部材の強度を向上させるために、繊維集合体自体の太さを太くした場合であっても、コイル状とする際に所望される柔軟性が損なわれないため、様々なサイズやピッチのコイル状構造体を有する連結固定用部材を、簡易な工程で容易に得ることができる。さらに、金属を主成分とするものではないため、軽量で、耐候性に優れる連結固定用部材を得ることができる。
【0017】
本発明において、熱融着成分とは、熱処理に付されて溶融固化する成分であり、低い融点を有する重合体(低融点重合体)である。一方、繊維形成成分とは、繊維形態を維持した成分であり、前記低融点重合体より高い融点を有する重合体(高融点重合体)である。本発明においては、繊維集合体が、低融点重合体のみからなる繊維と、高融点重合体のみからなる繊維を集束させてなるものであってもよい。または、繊維集合体が、熱融着成分である低融点重合体と、高融点重合体とを複合してなる複合繊維を集束させてなるものであってもよい。または、繊維集合体が、熱融着成分である低融点重合体と高融点重合体とを複合してなる複合繊維と、高融点重合体のみからなる繊維とを集束させてなるものであってもよい。
【0018】
繊維集合体が、低融点重合体からなる繊維と、高融点重合体からなる繊維を集束させて得られた構成を有するものである場合、繊維集合体が後に熱処理に付されることにより、低融点重合体からなる繊維が溶融した後に冷却により固化され、高融点重合体からなる繊維を相互に固着一体化させることができる。そして、高融点重合体からなる繊維は溶融固化した低融点重合体中に存在し、繊維形態を維持した繊維形成成分として連結固定用部材のコイル状構造体の強度、特に曲げ強度を向上させることができる。
【0019】
繊維集合体が、低融点重合体および高融点重合体が複合された複合繊維を集束させてなるものである場合、複合繊維としては、鞘部に低融点重合体が配され、芯部に高融点重合体が配された芯鞘型複合繊維や、低融点重合体と高融点重合体とが半々に配されたサイドバイサイド型複合繊維などが挙げられる。
【0020】
上記の複合繊維における低融点重合体は、繊維集合体が後に熱処理に付されることにより溶融した後に、冷却により固化されて、高融点重合体からなる繊維形成成分を相互に固着一体化させる役割を担うものである。一方、高融点重合体は、熱処理に付されても溶融されることなく繊維形態を維持し、溶融固化した低融点重合体の母体中に存在し、連結固定用部材のコイル状構造体の強度、特に曲げ強度を向上させることができる。
【0021】
繊維集合体が、低融点重合体のみから構成されるものであると、熱処理の際に、低融点重合体が溶融流動してしまい、コイル状構造体を保持することができない。また、繊維集合体が、繊維形成成分である高融点重合体のみから構成されたものであると、該繊維形成成分が固着一体化されず、コイル状構造体が得られない。繊維集合体における、低融点重合体と高融点重合体との混合比率は、質量比で、(低融点重合体)/(高融点重合体)=30/70〜70/30であることが好ましい。
【0022】
低融点重合体としては、溶融紡糸による製糸性を有するものであればよく、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリブチラール系重合体、ポリアクリル系重合体、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン重合体が挙げられる。
【0023】
低融点重合体の融点は、繊維形成成分である高融点重合体の融点より、20℃以上低いことが好ましい。このような温度とすることにより、熱処理に付されても高融点重合体の物性は影響を受けず、コイル形態を良好に保持させることができるという利点がある。なお、低融点重合体の融点は、加工性や各種物性等を考慮すると、80〜160℃の範囲内であることが好ましい。なお、低融点重合体が明確な融点を有さないときは、該低融点重合体の軟化点を融点とみなす。
【0024】
低融点重合体と高融点重合体の好ましい組み合わせは、両者の相容性や熱接着性を考慮すると、低融点ポリエステルと高融点ポリエステル、低融点ポリプロピレンと高融点ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレン、低融点ナイロンと高融点ナイロン、などが挙げられる。
【0025】
なお、上記の複合繊維としては、具体的には、融点が240℃以上の高融点ポリエステルが芯部に配され、融点が110〜200℃の低融点の共重合ポリエステルが鞘部に配された芯鞘型複合繊維や、融点180℃以上の高融点ポリアミドが芯部に配され、融点80〜150℃の低融点ポリアミドが鞘部に配された芯鞘型複合繊維が好適に用いられる。
【0026】
繊維集合体を構成する低融点重合体(熱融着成分)と高融点重合体(繊維形成成分)とは、同系の重合体であることが好ましい。その理由は、低融点重合体と高融点重合体とにおける熱接着性が良好であるため、繊維形成成分同士がより強固に固着一体化されることができ、より剛直なコイル状構造体を得ることが可能となるからである。したがって、繊維集合体においては、繊維形成成分として、熱融着成分と熱接着性に優れる成分を選択することが肝要である。加えて、両者が同系の重合体であると、リサイクルの観点においても好ましいという利点がある。
【0027】
繊維形成成分としては、繊度や力学特性を調整しやすい観点から、熱可塑性重合体を主成分とするものであることが好ましい。用途や目的に応じて、2種以上の熱可塑性重合体を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
このような熱可塑性重合体としては、ポリアミド系重合体、芳香族ポリエステル系重合体、脂肪族ポリエステル系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリウレタン系重合体などが挙げられる。なかでも、耐磨耗性の観点からは、ポリアミド系重合体が好ましい。また、寸法安定性の観点からは、ポリエステル系重合体が好ましい。また、得られる連結固定用部材を、使用後に自然界で分解させることが要求される用途に用いる場合には、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体が好ましい。また、密度が低く軽量である観点からは、ポリオレフィン系重合体が好ましい。
【0029】
繊維集合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記の低融点重合体からなる繊維、高融点重合体からなる繊維、または低融点重合体と高融点重合体とからなる複合繊維以外の繊維(例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、金属繊維、ガラス繊維)などが含有されていてもよい。
【0030】
繊維集合体は、繊維が集束してなるものである。その形態は、特に限定されないが、例えば、複数本の繊維を引き揃えた糸、複数本の繊維を撚り合わせた撚糸、紡績糸、引き揃えた糸や撚糸等を合わせた合撚糸、また、これらの糸を用いて製紐した組紐、または、合撚により得られたロープなどが挙げられる。
【0031】
繊維集合体を構成する単繊維の繊度は、繊維集合体がコイル状に形成される際に必要とされる柔軟性の観点から、例えば、3〜20デシテックス程度がよい。また、繊維集合体の総繊度は、繊維集合体がコイル状に形成される際に必要とされる柔軟性の観点から、例えば、500〜500万デシテックス程度であればよい。
【0032】
繊維集合体のフィラメント数は、特に限定されないが、通常、25〜数百万フィラメントであればよい。
【0033】
繊維集合体を構成する繊維の形態は、短繊維であっても、連続繊維であってもよいが、連続繊維であることが好ましい。連続繊維は毛羽がないため、得られる連結固定用部材の表面に毛羽が立たないという利点がある。また、得られる連結固定用部材の曲げ強度が向上する。
【0034】
繊維集合体を構成する繊維の断面形状は、丸断面、異形断面、中空断面等のいずれであってもよい。また、繊維集合体に含有される繊維には、仮撚加工やタスラン加工などの加工が施されていてもよい。
【0035】
繊維集合体の断面形状は、特に限定されず、丸断面、異形断面、中空断面等のいずれであってもよい。
【0036】
繊維集合体を構成する繊維には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、難燃剤、着色剤、顔料、滑剤、耐候剤、酸化防止剤、耐熱剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0037】
本発明の連結固定用部材の製造方法について、以下に述べる。
上述のような繊維集合体を、所定のコイル形状となるようにらせん状に巻いた後、低融点重合体が溶融し、かつ高融点重合体が溶融しない温度で熱処理をほどこし、次いで、冷却させて固化する。それにより、繊維集合体中の繊維形成成分(高融点成分)が、冷却固化した熱融着成分(低融点重合体)により相互に固着一体化されてコイル状構造体となり、コイル形状を呈した本発明の連結固定用部材を得ることができる。
【0038】
繊維集合体をコイル形状に巻くにあたっては、所定の賦形軸を用いればよい。本発明においては、繊維集合体を用いているため、該繊維集合体を構成する繊維間に融通性がある。そのため、該繊維集合体は、柔軟性に優れるものとなり、どのような形状にも対応が可能となる。よって、用途に応じた所望の連結固定用部材を得るために、賦形軸の直径、コイルのピッチ、賦形軸の断面形状などを適宜調整することが可能であり、様々なサイズの連結固定用部材を得ることができる。その結果、所望の強度を良好に発現させ、用途に応じたサイズやピッチを有する連結固定用部材を、容易に得ることができる。
【0039】
コイル形状に巻かれた繊維集合体に熱処理をほどこすための加熱の方法は、特に限定されないが、アイロン、熱風溶接機、熱風乾燥機、テンターマシーンなど周知の手段を用いることができる。また、熱処理温度については、熱処理時間などに応じて適宜設定すればよく、低融点重合体の融点以上の温度であって、高融点重合体の融点を超えない温度に設定する。
【0040】
次いで、熱処理後に冷却することにより、溶融した低融点重合体が固化して一体化し、繊維集合体は、剛直なコイル状構造体となる。この熱処理により、コイル形状を呈した連結固定用部材が得られる。なお、冷却の手段としては、空冷、水冷などの周知の手段を用いることができる。
【0041】
本発明の連結固定用部材を使用する際に、連結される対象物としては、シート類またはネット類などが挙げられる。より具体的には、軟弱な地盤や勾配が急な盛土の安定強化や、建造物や空港滑走路の地盤安定化のために地盤に敷設されるジオグリッド、建築現場や建設現場などで使用される各種のシート類やネット類、海洋や河川での浚渫工事や埋立工事において発生する汚濁を物理的に拡散防止し、周辺への濁りの影響を与えないようにする汚濁防止膜、または魚類・貝類などを捕獲、養殖するために用いられる漁網などが挙げられる。
【0042】
本発明の連結固定用部材を用いて、シート類やネット類などの連結対象物を連結させて得られた連結構造物の態様を、図2および図3を用いて、以下に説明する。
【0043】
図2においては、連結固定用部材1を挿入するための孔として、ネット類の連結対象物2の網目や目合いをそのまま利用して連結構造物を得ている。図3においては、連結固定用部材1を挿入するための孔として、孔あきベルト3などの部材に設けられた孔4を利用して連結構造物を得ている。
【0044】
本発明の連結固定用部材を用いて、シート類やネット類(連結対象物)などを連結させるためには、該シート類やネット類が、連結固定用部材が挿入されるための孔を複数有していることが必要である。そして、このような孔に、図4に示されるように、本発明の連結固定用部材を、連結固定用部材の回転方向5へ回転させながら挿通させていくことで、容易に対象物どうしを連結することができる。なお、このような、孔の周辺の構造としては、連結または固定に要求される強度を満足するような構造であることが好ましい。
【0045】
図2の連結構造物を得るための連結に際しては、連結対象物2の端部の網目や目合いどうしが重ね合わされるように、該連結対象物2の端部を重ね、連結固定用部材1を、重ね合わされた連結対象物2の端における孔(網目や目合い)へ挿入する。そして、連結固定用部材1を、連結固定用部材の回転方向へ回転させていくと、自動的に隣に配される孔へ挿入されていく。つまり、連結固定用部材1を単に回転させるだけで、該連結固定用部材1が次々に隣に配される孔に挿入させることができる。それにより、連結対象物2の連結または固定を容易におこなうことができ、図2に示されたような連結構造物を得ることができる。
【0046】
図3においては、複数の孔4を有する孔あきベルト3が、連結対象物2であるシート類の端部に縫製され、接合されている。そして、孔あきベルト3が接合された連結対象物2を2枚準備し、この孔4どうしが隣接するように端部を並べておく。連結固定用部材1を、孔あきベルト3に設けられた孔4へ挿入し、連結固定用部材1を回転させていくと、該連結固定部材1が自動的に隣に配される孔へ挿入され、連結対象物2の連結を容易におこなうことができる。上記の孔あきベルト以外にも、連結対象物2の端部にハトメなどの孔を任意に設けたりする手法などを採用してもよい。
【0047】
また、支柱などに対して対象物を連結または固定する場合には、支柱に予め孔を設けておき、該支柱に設けられた孔と、連結対象物の端部に設けられた孔とに、連結固定用部材を挿入し、該連結固定用部材を回転させていくことにより、支柱と連結対象物を連結させることができる。
【0048】
なお、本発明の連結固定用部材を用いる際に、連結固定用部材が長すぎる場合には、挿入途中で、連結固定用部材の回転に対する抵抗が大きくなり、連続して孔へ挿入していくことが困難となる場合がある。そのような場合には、比較的短い連結固定用部材を、複数個使用して、連結させることが好ましい。
【0049】
次に、本発明の連結固定用部材どうしを、連結または固定することについて、図5を用いて述べる。
本発明の連結固定用部材はコイル状の構造体である。図5に示すように、連結対象物や支柱などの孔を利用する際と同様に、1本の連結固定用部材1に対して別の連結固定用部材6を回転させながら挿通させることによって、連結固定用部材どうしを容易に連結させることができる。連結固定用部材どうしを連結させる場合には、それらを連結させる方向は、用途に応じて適宜設定することができ、互いに垂直な方向であってもよいし、互いに平行な方向であってもよい。
【0050】
また、別の態様として、図6に示すように、連結対象物2に予め連結固定用部材1を挿入しておき、この連結固定用部材1に対して、別の連結固定用部材6を回転させながら挿通させていき、両者を連結または固定させて連結構造物とすることもできる。また、連結対象物2に予め連結固定用部材1を挿入しておき、この部材1に対して、別の連結対象物7に挿入された別の連結固定用部材6を回転させながら挿通させていき、連結または固定させて連結構造物とすることも可能である。
【実施例】
【0051】
次に、実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
(ロープAの作製)
芯部にポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)が配され、鞘部にε−カプロラクトンを12モル%共重合した共重合ポリエステル(融点:161℃)が配され、かつ芯部と鞘部の質量比が、(芯部)/(鞘部)=2.7/1である複合繊維を準備した。この複合繊維からなるマルチフィラメント糸(1100dtex/96f)を6本まとめて、Z−250T/Mで、下撚りで合撚し合撚糸を得、さらに、得られた合撚糸を11本まとめて、S−120T/Mで上撚りで合撚し、さらに、これを3本まとめて、Z−120T/Mで合撚し、直径6mmφの撚糸ロープAを得た。
【0053】
(実施例1)
金属製軸(ステンレス製、直径:11mm)に対して、ロープAをピッチ25mmで巻いていきコイル形状とし、さらに乾熱オーブンを用いて180℃×10分の熱処理をほどこした。次いで、30分間空冷した後に軸から取り外し、図1に示すごときコイル状構造体である実施例1の連結固定用部材(直径:11mm、長さ:1m)を得た。
【0054】
ジオグリッド(目合い:20mm×20mm、巾:2m、長さ:1m)2枚準備し、これらのジオグリッドを、目合いが重なるように重ね合わせた。そして、上述のようにして得られた連結固定用部材を、ジオグリッドの端部の目合いに回転させながら挿通させていき、ジオグリッドの連結をおこない、図2にて示されるような連結構造物を得た。
【0055】
(実施例2)
金属製軸(ステンレス製、直径:30mm)に対して、ロープAをピッチ50mmで巻いた状態で、乾熱オーブンを用いて180℃×10分の熱処理を施した。30分間空冷した後に軸から取り外し、実施例2の連結固定用部材(直径:30mm、長さ:1m)を得た。
【0056】
ポリエステル製布帛(組織:平織り、巾:1m、長さ:1m)に、50mmピッチの孔あきベルト(巾:100cm)を縫製した。このようなポリエステル製布帛を2枚準備し、それぞれの孔が隣り合うように並べて配置させた。そして、孔あきベルトの孔に、上記で得られた連結固定用部材を回転させながら挿入し、ポリエステル製布帛の連結をおこない、図3にて示されるような連結構造物を得た。
【0057】
(実施例3)
金属製軸(ステンレス製、直径:30mm)に対して、ロープAをピッチ25mmで巻いていきコイル形状とし、さらに、乾熱オーブンを用いて180℃×10分の熱処理をほどこした。次いで、30分間空冷した後に軸から取り外し、実施例3の連結固定用部材(直径:30mm、長さ:1m)を得た。
【0058】
ジオグリッド(目合い:20mm×20mm、巾:2m、長さ:1m)の端部の目合いに、上記で得られた連結固定用部材を回転させながら挿入し、連結固定用部材が挿入されたジオグリッドを得た。次いで、この連結固定用部材が挿入されたジオグリッドを2つ準備し、これらの連結固定用部材どうしを、回転させながら挿通させていくことで通連結固定させ、図7に示されるような連結構造物を得た。
【0059】
実施例1〜3においては、軽量で、耐候性や強度に優れる連結固定用部材を、簡易な工程で製造することができた。さらに、これらの連結固定用部材を回転させながら挿通することにより、ジオグリッド、布帛などを容易に連結させることができた。
【符号の説明】
【0060】
1:連結固定用部材
2:連結対象物
3:孔あきベルト
4:孔
5:連結固定用部材の回転方向
6:連結固定用部材
7:連結対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状構造体である連結固定用部材であって、該コイル状構造体は低融点重合体と高融点重合体とによって構成され、低融点重合体からなる熱融着成分の溶融により、高融点重合体からなる繊維形成成分が相互に固着一体化されてなることを特徴とする連結固定用部材。
【請求項2】
請求項1記載の連結固定用部材を製造する方法であって、低融点重合体と高融点重合体によって構成される繊維集合体をコイル状にした後、熱処理をほどこして低融点重合体を溶融させ、高融点重合体は溶融させずに繊維形態を維持させ、低融点重合体からなる熱融着成分により、高融点重合体からなる繊維形成成分を相互に固着一体化させることを特徴とする連結固定用部材の製造方法。
【請求項3】
繊維集合体として、熱融着成分である低融点重合体と繊維形成成分である高融点重合体とを複合してなる複合繊維を集束させて得られた集合体を用いることを特徴とする請求項2に記載の連結固定用部材の製造方法。
【請求項4】
繊維集合体として、低融点重合体からなる熱融着繊維と、高融点重合体からなる繊維とを集束させて得られた集合体を用いることを特徴とする請求項2に記載の連結固定用部材の製造方法。
【請求項5】
繊維集合体を構成する繊維が、連続繊維であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の連結固定用部材の製造方法。
【請求項6】
連結される複数の対象物が、請求項1記載の連結固定用部材により連結または固定されてなることを特徴とする連結構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−23786(P2013−23786A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160391(P2011−160391)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】