説明

連結基を有する官能化ポリマー

官能化ポリマーは、エラストマー、少なくとも一つのヘテロ原子を含む末端官能基、及びエラストマーと官能基の間に介在するユニットを含む;中間ユニットは、その陰イオンの形態において2級アミノラジカルイオンよりも塩基性が弱い末端部分を含む。また、官能化ポリマーの製造方法及び微粒子充填剤と共に使用して例えばタイヤトレッド組成物を製造する方法についても開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填剤と相互作用可能な官能化ポリマーの製造及び利用に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッド、パワーベルト等は、一種以上のエラストマー、並びに、例えば、微粒子状のカーボンブラック及びシリカ等の一種以上の補強材を含む組成物からしばしば製造される。このトピックの一般的な議論に関しては、バンダービルトゴムハンドブック、第13版、1990年、p.603−4(非特許文献1)を参照されたい。
【0003】
安全性及び耐久性を考慮すると、タイヤトレッドには、優れたトラクション及び摩耗耐久性をもたらすことが求められる;しかしながら、自動車の燃費効率への関心からタイヤの転がり抵抗を最小化することが議論されており、転がり抵抗の最小化は、タイヤが動いている間のヒステリシス及び発熱を減ずることと関連がある。これら検討事項は、大部分が競合し、また多少矛盾している:路上でのトレッドのトラクションを改善するようにデザインされたタイヤトレッド組成物は、通常転がり抵抗の増大をもたらし、逆もまた同様である。
【0004】
一般的に、充填剤(類)、エラストマー(類)、及び添加剤類は、これら性能の基準にあったバランスを提供するために選択される。こうした組成物中において、エラストマー材料全体に渡って補強性充填剤成分の良好な分散を確保することは、加工性を向上させ、更に例えば配合物のムーニー粘度、弾性係数、tanδ等の物理的特性を改善するように働く。かかる組成物から得た物品は、減少したヒステリシスロス、減少した転がり抵抗、及び湿潤路面上、雪上及び氷上での良好なトラクション等の望ましい性質を示しうる。
【0005】
エラストマーとの相互作用を増加させることは、それらの分散性を改善するための一法である。このタイプの取り組みの例としては、選択的反応促進剤存在下での高温混合、複合材料の表面酸化、表面グラフト化、及び、例えばアミン、スズ化合物などによるポリマーの末端への化学修飾が挙げられる。
【0006】
かかる組成物中で使用されるエラストマーは、しばしばアニオン重合で製造されるため、特定の官能基、特にアミンを結合させることは困難である。これは、リビングポリマーが、例えば水酸基、チオール基、並びに特に一級及び二級のアミン基中に存在しているような活性水素原子によって終結されるためである。この望ましくない終結は、非アミン含N化合物を結合させた後にアミンに変換する、すなわち間接的な結合スキームを可能にする反応スキームを用いることによって回避できる。
【0007】
継続的なヒステリシスの減少及びアミン官能基をリビングポリマーに付着させるための直接的な機構の提供の両方が大いに望まれている。
【0008】
【非特許文献1】バンダービルトゴムハンドブック(The Vanderbilt Rubber Handbook)、第13版、1990年、p.603−4
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様においては、少なくとも一つのヘテロ原子を含む末端官能基を有するエラストマーを含む官能化ポリマーを提供する。エラストマーと官能基の間には、そのアニオン型において二級アミノラジカルイオンよりも塩基性が低い末端部分を含むユニットが存在する。
【0010】
他の実施態様においては、官能化ポリマーの製造方法を提供する。そのアニオン型において、そのリビング末端に二級アミンラジカルイオンよりも塩基性が低い末端部分を含むユニットを有するポリマーは、少なくとも一つのヘテロ原子を含む化合物、すなわち官能化ポリマーを構成する反応の生成物と反応することが可能である。
【0011】
更にもう一つの他の実施態様においては、少なくとも一種の補強性充填剤及び上記のタイプの官能化ポリマーを含む組成物を提供する。
【0012】
更なる態様においては、前記組成物を加硫することを含むタイヤトレッド等の加硫物の製造方法を提供する。
【0013】
また更なる態様においては、アミン官能化ポリマーを提供するために、一級または二級アミン基を含む化合物をポリマーに直接結合させる方法を提供する。かかる方法は、ヘテロ原子上にアニオン性の電荷を有する拡張したリビングポリマーを形成するために、リビングポリマーがヘテロ原子を含む環状化合物と反応することが可能な反応媒体を準備すること;該反応媒体中に、アミノ窒素と結合した活性水素原子を含むアミンを導入すること;及びアミン官能化ポリマーを提供するために、アミン官能基を拡張ユニットに化学的に結合すること、を含む。
【0014】
本発明の他の態様は、以下の記載から当業者には明白であろう。本発明の記載の理解を助けるために、ある種の定義を以下に与える。反対の意図を明白に示す場合を除いて、これら定義をこの全体に適用する。
“ポリマー”は一種以上のモノマーの重合生成物を意味し、ホモ−、コ−、ター−、テトラ−ポリマーなどが含まれる。
“ポリエン”は複数の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味し、ジエン、トリエンなどが含まれる。
“マー”又は“マーユニット”は、単一の反応体分子に由来するポリマーの一部分を意味する(例えばエチレンマーユニットは一般式−CH−CH−を有する)。
“ホモポリマー”は基本的に単一タイプの繰り返しマーユニットからなるポリマーを意味する。
“コポリマー”は、二種の反応物質(一般的に複数のモノマー)に由来するマーユニットを含むポリマーを意味し、ランダム、ブロック、セグメント化、グラフト等のコポリマーが含まれる。
“インターポリマー”は、少なくとも二種の反応物質(一般的には複数のモノマー)に由来するマーユニットを含むポリマーを意味し、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー等が含まれる。
“高分子”は、オリゴマー又はポリマーを意味する。
“終端”は、高分子の構成鎖の末端を意味する;
“終端部分”は、終端に位置する分子の一部を意味する;
“ラジカル”又は“残基”は、他分子との反応後のままである分子の一部を意味する。
“化学的に結合された”とは、共有結合性又はイオン性の結合を介した結合を意味する。
“二級アミノラジカルイオン”とは、一般式RN−(式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルケニル基などの炭化水素を含む鎖であり、但し、R及びRの一方又は両方は重合体であってもよい)を有する陰イオンを意味する。
“ヘテロ原子”は、炭素原子又は水素原子以外の原子を意味する。及び、
“ヒステリシス”は、エラストマー化合物から製造された物品の変形に適用したエネルギーと、物品が当初の非変形状態に戻る際に放出されるエネルギーとの間の差を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
官能化ポリマーは、少なくとも一つのヘテロ原子を含む末端官能基を有するポリマー鎖並びに、エラストマー及び官能基の間に介在し、そのアニオン型において二級アミノラジカルイオンよりも塩基性が低い末端部分を含むユニットを含む。かかる官能化ポリマーは一般式E−A−Gで表すことができ、式中、Eはエラストマー、Gは少なくとも一つのヘテロ原子を含む末端官能基、またAはちょうど上記のような末端部分を含むユニットである。化学技術の当業者は相対的な塩基性(通常pKbと示される)について熟知しており、従って、それらの原子が上記の末端部分のタイプの中に存在しうることを知っている。この塩基性の要求を満たすことが可能なアニオンを形成することができる2つの比較的よく見られるヘテロ原子はO及びSである。
【0016】
重合鎖はエラストマー性であることが好ましい。従って、不飽和性を有するマーユニットを含むことが可能であり、ポリエン、特にジエン及びトリエン(例えばミルセン)由来のマーユニットであることが可能である。好ましいポリエンとしては、C−C12ジエンが挙げられる。特に限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等の共役ジエンが特に好ましい。ちょうどポリエン由来マーユニットを含むホモ−及びコポリマーは、エラストマーの一つの好ましいタイプを構成する。
【0017】
また、ポリマー鎖としては、ビニル芳香族化合物、特に例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びビニルナフタレン等のC8-C20ビニル芳香族化合物由来のマーユニットを挙げることができる。一種以上のポリエンと連結させて使用した場合、ビニル芳香族由来のマーは、ポリマー鎖の1から約50重量%、好ましくは約10から約45重量%、更に好ましくは約20から約35重量%を構成できる。ポリエン(類)及びビニル芳香族化合物(類)のインターポリマーは、エラストマーの別の好ましいタイプを構成する。特に、かかるインターポリマーをタイヤトレッド等の用途に使用した場合、生成するインターポリマーが実質ランダムであること、すなわち、構成モノマーの各タイプ由来のマーユニットがブロックを形成せず、その代わりに、非繰り返しの、基本的に同時の、概ねランダムな様式で組み込まれていることが好ましい。
【0018】
特に好ましいエラストマーとしては、ポリ(ブタジエン)、(ポリ)イソプレン(天然又は合成のいずれか)、並びにSBRとしても周知である、例えばコポリ(スチレン/ブタジエン)等のブタジエン及びスチレンのインターポリマーが挙げられる。
【0019】
ポリエンは一を超える方法でポリマー鎖に組み込むことができる。特にタイヤトレッドの用途には、ポリエンのマーユニットがポリマー中に組み込まれる様式(すなわち、ポリマーの1,2−ミクロ構造)を制御することが望ましい可能性がある。ポリマー鎖は、全ポリエン含有量に対して1,2−ミクロ構造を全体で約10から約80%有することが好ましく、約25から65%有することが更に好ましい。
【0020】
ポリマーの数平均分子量(M)は、失活させたサンプルが約2から約150のゴムムーニー粘度(ML/100℃)を示すような分子量であることが好ましい。
【0021】
前記ポリマーは乳化重合又は溶液重合によって製造することができ、後者はランダム性、ミクロ構造等の性質に関してより幅広い制御が可能である。溶液重合は20世紀中葉の頃から行われてきており、参考のために特定の態様をここに提供するが、その一般的な態様は当業者に周知である。
【0022】
一般に、溶液重合は開始剤を必要とする。典型的な開始剤としては、オルガノリチウム化合物、特にアルキルリチウム化合物が挙げられる。オルガノリチウム開始剤としては、N-リチオ−ヘキサメチレンイミン;n-ブチルリチウム;トリブチルスズリチウム;ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム等のジアルキルアミノリチウム化合物;ジエチルアミノプロピルリチウム等のジアルキルアミノアルキルリチウム化合物;並びにC−C12、好ましくはC−Cアルキル基を含むトリアルキルスタニルリチウム化合物が好適に挙げられる。
【0023】
また、多官能性開始剤、すなわち一を超えるリビング末端を有するポリマーを形成することが可能な開始剤も使用できる。多官能性開始剤の例としては、特に限定されないが、1,4−ジリチオブタン、1,10−ジリチオデカン、1,20−ジリチオエイコサン、1,4−ジリチオベンゼン、1,4−ジリチオナフタレン、1,10−ジリチオアントラセン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,3,5−トリリチオペンタン、1,5,15−トリリチオエイコサン、1,3,5−トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8−テトラリチオデカン、1,5,10,20−テトラリチオエイコサン、1,2,4,6−テトラリチオシクロヘキサン、及び4,4’−ジリチオビフェニルが挙げられる。
【0024】
また、オルガノリチウム開始剤に加えて、ポリマー鎖に組み込まれ、それによって鎖の開始末端に官能基を提供する、いわゆる官能化開始剤も有用である。かかる材料の例としては、オルガノリチウム化合物の反応生成物及び、例えば任意にジイソプロペニルベンゼン等の化合物と予備反応させた含N有機化合物(例えば、置換アルジミン、ケチミン、二級アミン)が挙げられる。これら材料の更に詳細な記載は、例えば、米国特許第5,153,159号、及び第5,567,815号中に見出すことができる。
【0025】
典型的な溶液重合溶媒としては、種々のC−C12環式及び非環式アルケン、及びそれらのアルキル化誘導体、ある種の液体芳香族化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。重合を失活し得る溶媒は避ける。
【0026】
上記のように、ポリマーのマーユニットをランダムに組み込むことができる。溶液重合において、ランダム性及びビニル結合含量(すなわち1,2−ミクロ構造)は、重合成分中で重合調整剤、通常は極性化合物を使用することにより増加させることができる。例えば所望のビニル結合含有量、使用する非ポリエンモノマーのレベル、反応温度、及び使用する特定の重合調整剤の性質等に応じて、使用した開始剤の当量に対して90以下又はこれを超える当量の重合調整剤を使用できる。重合調整剤として有用な化合物としては、O又はNのへテロ原子を有し且つ非結合共有電子対を有する有機化合物が挙げられる。例としては、モノ−及びオリゴ−アルキレングリコールのジアルキルエーテル;クラウンエーテル;テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン;THF;THFオリゴマー;2,2’−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、ジ−ピペリジルエタン、ヘキサメチルリン酸アミド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等の直鎖及び環状のオキソラニルアルカンが挙げられる。直鎖及び環状のオキソラニル重合調整剤の詳細については、米国特許第4,429,091号中に見出すことができ、これら材料の製造及び利用に関する教唆をここに引用して援用する。
【0027】
当業者は、一般に溶液重合において使用する重合調整剤のタイプを理解するであろうが、読者の便宜のために代表的な解説を提供する。この解説を、例えばセミバッチプロセス又は連続プロセスに拡大適用することは当業者の能力の範囲内であろうが、以下はバッチプロセスに基づいている。
【0028】
通常、重合はモノマー及び溶媒の混合物を反応容器に投入し、その後(もし使用するのならば)重合調整剤及び開始剤を添加することによって開始し、これらはしばしば溶液又は混合物の一部として加えられる;或いは、モノマー及び重合調整剤は開始剤に加えることができる。通常、手順は無水で嫌気的な条件の下で実行する。反応物は約150℃以下の温度に加熱でき、また撹拌できる。所望の程度の転換が達成された後、(もし使用していたら)熱源を取り外すことができる。もし反応容器を単に重合のためにのみ取っておくのであれば、反応混合物を官能化及び/又は失活のための次の重合容器に移すことができる。
【0029】
官能化ポリマーを製造するために、失活前にポリマーに官能基を設ける。本発明においては、この官能化の前に、中間ユニットとしてここで言及してきたものを導入する。
【0030】
多く化合物群を、中間ユニットを準備するために使用できる。それぞれ、そのアニオン型において、二級アミノラジカルイオンよりも塩基性の低い末端部分をもたらす。二級アミノラジカルイオンはそれ自身カルバニオンよりも塩基性が低い。しかしながら、二級アミノラジカルイオン及びカルバニオンの両方は、含アミン化合物中に存在する活性水素によって終結されるのに十分塩基性である。
【0031】
二級アミノラジカルイオンよりも塩基性が低いイオンの例としては、特に限定されないが、−O-及び−S-が挙げられる。O及びSを含む化合物は豊富であるため便利であり、それ故、当業者に選択できる広範な有用材料を提供する。
【0032】
ポリマー鎖にこのタイプの末端部分を供給するための便法としては、含ヘテロ原子環状化合物を、リビングポリマーを含む系に導入することが挙げられる。リビングポリマーを準備するために使用される条件は、一般に環構造を開環し生成したラジカルをポリマーに結合するために適している。中間ユニットを構成する該ラジカルは、そのアニオン型において、二級アミノラジカルイオンよりも塩基性が低い末端部分を有する。
【0033】
ヘテロ原子を含む環状化合物の例としては、特に限定されないが、環状シロキサン、エポキシド、及びそれぞれの含S類似体が挙げられる。シロキサンとしては、6以下、好ましくは3から4の繰り返しポリシロキサンユニットを供給しうるものが好ましい。また、少なくともいくつかの、好ましくは全てのSi原子がC−C置換基で、好ましくはC−Cアルキル基で置換されていることが好ましい。利用性及びコストのため、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンが特に好ましい。
【0034】
エポキシド及びエピスルフィドについては、市販の材料を幅広く利用できる。かかる材料の例としては、ブチレンオキシド等の各種アルキレンオキシド及びアルキレンスルフィド、シクロヘキセンオキシド、1,2−エポキシブタン、エチレンオキシド、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の各種シクロアルケンオキシド及びシクロアルケンスルフィドが挙げられる。一般に溶液重合中に直面する温度において液体のままであるように沸点が十分に高い材料が好ましい。エポキシド又はエピスルフィドの使用により生じた中間ユニットは、脂肪族又は環状でもよい。このタイプの材料は、炭素−炭素結合によりポリマー鎖と結合する中間ユニットを生成できる。
【0035】
典型的な反応条件は以下の例中に見出すことができるが、中間ユニットを結合させるために特に例外的な反応条件及び手順は必要ないと思われる。かかる結合のための反応温度は、一般に約45℃から約80℃、好ましくは約50℃から約72℃の範囲である。
【0036】
一般に、中間ユニットを準備するために使用する化合物(類)は、平均でリビングポリマーに対して2倍以下の中間ユニット、好ましくはリビングポリマーに対して1倍以下の中間ユニットを供給するための量で加えられる。1倍を超える中間ユニットをそれ自体に挿入する場合は、開始系において合成中の修正が必要になるかもしれない。反対に、使用する仲介物形成化合物の量を下方に調整することにより、多数のポリマー鎖を同じポリマーユニット中に結合できる。一実施態様において、中間ユニットを準備するために使用する化合物の量は、中間ユニットの官能基に対するモル比が約1:1から約1:6であり、他の実施態様においてこの比は約1:3である。
【0037】
中間ユニットは、一般に全高分子の比較的少ない割合を構成している。一般に、その分子量は約400g/mol以下、好ましくは360g/mol以下、更に好ましくは約340g/mol以下、また更に好ましくは約320g/mol以下である。
【0038】
上記のように、生成した中間ユニットの末端部分は、そのアニオン型において二級アミノラジカルイオンよりも塩基性が低い。このことにより、生成するアニオンは、カーボンブラック等の微粒子の充填剤と反応又は相互作用(例えば、結合、相互作用など)可能な反応基及び官能部分を有する化合物と反応できる。かかる部分の例は、別の状況では(拡張)リビングポリマーを終結させる傾向にあるヘテロ原子に結合した活性水素原子を有するヘテロ原子含有基である。
【0039】
官能化ポリマーを形成するために、上記仲介物で変性されたリビングポリマーは、上記したタイプの化合物と反応できる。かかる化合物の例としては、特に限定されないが、
メチルトリメトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシ−シリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール(TEOSI)、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、n−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びC1533NSiO(シグマ−アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリからS340として入手できる)等のアルコキシシラン;
SiCl、SnCl、アセチルクロライド、p−トルオイルクロライド、CHS(O)Cl、p−トルオイルスルフォニルクロライド、3−クロロプロピルアミン、3−(2−ブロモエチル)インドール、n−メチル−3−ブロモプロピルアミン、1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、(CHSiCl及び(CHSiCl等の含ハロゲン化合物、
無水酢酸、4−メチル無水安息香酸、メチル無水コハク酸、4−メチルフェニル−無水コハク酸、及び2−ドデセン−1−イル無水コハク酸等の無水物、
ホルムアミド、DMF、2−シアノピリミジン、1,3−プロパンジアミン、及び1,4−ジアミノシクロヘキサン等の含窒素化合物、
並びにスルトン(例えば1,4−ブタンスルトン)等の含O−及び含S−化合物が挙げられる。
【0040】
失活は、一般にポリマーと活性水素を含む化合物(例えばアルコール)を約30℃から150℃の温度で約120分以下撹拌することによって実行する。溶媒はドラム乾燥、押出乾燥、真空乾燥など等の従来の技術を用いて除去することができ、水、アルコール又は蒸気の熱脱溶媒などによる凝固を組み合わせても良い;もし凝固させるのならオーブン乾燥が望ましい。
【0041】
官能化ポリマーはトレッドストック配合物に利用でき、或いは、天然ゴム及び/又は、例えば一以上のポリ(イソプレン)、SBR、ポリ(ブタジエン)、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、エチレン/ビニル酢酸インターポリマー(EVA)、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム等の非官能化合成ゴムを含む、従来から使用されている如何なるトレッドストックゴムとも混合できる。官能化ポリマー(類)を従来のゴム(類)と混合する場合、その量は全ゴム成分の約5から約99重量%で変えることができ、全ゴムのその他は従来のゴム(類)が構成する。最小量は、減少させるヒステリシスの所望の程度に大きく依存する。
【0042】
非晶質シリカ(SiO)を充填剤として利用できる。シリカは水中において微粒子の球状粒子として沈殿させることによる化学反応によって製造されるため、一般に湿式プロセス含水シリカとして分類される。これらの一次粒子は、強く会合して凝集体となっており、該凝集体は、次に、より弱く組み合わさって集合体となっている。“高分散性シリカ”は、エラストマーマトリクス中で脱塊化及び分散するための十分な能力自体を有するシリカであり、これは薄切片の電子顕微鏡検査によって観察できる。
【0043】
表面積は異なるシリカの補強性能の確かな尺度を提供する;ブルナウアー、エメット及びテラー(“BET”)法(ジャーナルオブザアメリカケミカルソサエティー、第60巻、p.309以下参照に記載されている)は表面積を測定する方法として認められている方法である。450m/g未満、約32から約400m/g、約100から約250m/g、及び約150から約220m/gのBET表面積が好ましい。
【0044】
シリカ充填剤のpHは、一般に約5から約7又はこれをわずかに超えており、約5.5から約6.8が好ましい。
【0045】
使用できる市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233及びHi−Sil(商標)190(PPGインダストリーズ社、ピッツバーグ、ペンシルバニア)が挙げられる。他の市販シリカの供給業者としてはデグッサ社(パーシパニー、ニュージャージー)、ローディアシリカシステムズ社(クランベリー、ニュージャージー)及びJ.M.ヒューバー社(エディソン、ニュージャージー)が挙げられる。
【0046】
シリカは、ポリマー100重量部につき約1から約100重量部の量で使用可能であり、約5から約80重量部が好ましい。有効な上限範囲は、一般にこのタイプの充填剤によって与えられる高粘性によって制限される。
【0047】
他の有用な充填剤としては、特に限定されないが、ファーネスブラック、チャネルブラック及びランプブラックを含むカーボンブラックの全ての形態が挙げられる。更に具体的には、カーボンブラックの例として、超耐摩耗性ファーネスブラック、高摩耗性ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微粒子ファーネスブラック、中級の超耐摩耗性ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、媒体処理チャネルブラック、硬化処理チャネルブラック、伝導性チャネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられ、これらの二以上の混合物を使用できる。少なくとも20m/g、好ましくは約35から200m/g又はそれを超える表面積(EMSA)を有するカーボンブラックが好ましい。表面積の値はセリトリメチル-アンモニウムブロマイド(CTAB)法を用いてASTM D−1765により測定できる。カーボンブラックはペレット化した形状又はペレット化していない凝集した塊でもよいが、ある種のミキサーを使用するためにはペレット化していないカーボンブラックが好適である。
【0048】
カーボンブラックの量は約50重量部以下にでき、約5から約40重量部が一般的である。カーボンブラックをシリカと共に使用する場合、シリカの量は約1重量部まで減少させることができる。シリカの量が減少するのに従い、より少ない量の加工助剤、更にもし必要であればシランを使用できる。
【0049】
エラストマー状の配合物は、一般的に約25%の体積分率で調合され、該体積分率は加えた充填剤(類)の総体積をエラストマーストックの総体積で割った値であり;従って、補強性充填剤、即ちシリカとカーボンブラックの一般的な(総)量は、約30から100phrである。特定の好ましい実施態様において、本発明の官能化ポリマーを含む組成物は、主な充填剤(すなわち充填剤の主成分はカーボンブラック)として、又は唯一の充填剤としてカーボンブラックを含みうる。
【0050】
シリカを補強充填剤として使用する場合、シラン等のカップリング剤の付加は、エラストマー(類)中での良好な混合及び相互作用を確保するために通例である。シランの量は、一般にエラストマー配合物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づいて約4から20重量%の間の範囲で加える。
【0051】
カップリング剤は一般式Z−T−Xで表すことが可能であり、式中、Zはシリカ充填剤表面上の基(例えば表面シラノール基)と物理的に及び/又は化学的に結合できる官能基を表し、Tは炭化水素基の結合を表し、またXはエラストマーと(例えばSを含む結合を介して)結合できる官能基を表す。こうしたカップリング剤としては、オルガノシラン、特に多硫化アルコキシシラン(例えば、米国特許第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197などを見ること)又は上記のX及びZの官能基を有するポリオルガノシランが挙げられる。一つの好ましいカップリング剤はビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドである。
【0052】
加工助剤の添加により、使用するシランの量を減らすことができる。加工助剤として使用される糖の脂肪酸エステルの説明としては、米国特許第6,525,118号を参照されたい。加工助剤として有用な追加の充填剤としては、特に限定されないが、クレー(水和アルミニウムシリケート)、タルク(水和マグネシウムシリケート)、及び雲母等の鉱物系充填剤、及び尿素及び硫酸ナトリウム等の非鉱物系充填剤が挙げられる。以下に示すように、更に他の変形物も有用であるが、好ましい雲母には主としてアルミナ、シリカ及び炭酸カリウムが含まれる。付加的なシリカは約40重量部以下の量、好ましくは約20重量部以下の量で使用できる。
【0053】
更に、他の従来のゴム添加物もまた加えることができる。例えば、これらとしては可塑化剤、酸化防止剤、加硫剤など等が挙げられる。
【0054】
例えばバンバリーミキサー又はブラベンダーミキサー等の標準的設備を用いて成分の全てを混合できる。
【0055】
従来、補強されたゴム配合物は、約0.2から約5重量部の一種以上の、例えば硫黄又は過酸化物系の硬化系等の周知の加硫剤によって硬化させる。望ましい加硫剤の一般的な説明については、例えばカーク-オスマー著、化学技術百科事典、第3版(ウィリーインターサイエンス、ニューヨーク、1982)、第20巻、p.365−468等の様々な専門書中で見ることができる。
【0056】
以下の非限定的な説明用の例は、本発明を実施するために有用な詳細な条件及び材料を読者に提供するものである。
【実施例】
【0057】
全ての例のために、Nを正にパージした下で抽出したセプタムライナー及び穿孔したクラウンキャップで前もって密封した乾燥ガラス容器、ブタジエン(-21重量%のヘキサン溶液)、スチレン(33重量%のヘキサン溶液)、ヘキサン、n−ブチルリチウム(1.7M ヘキサン溶液)、オリゴマー状のオキソラニルプロパン(1.6Mのヘキサン溶液、CaH下で貯蔵)、及びBHTヘキサン溶液を用いた。
【0058】
市販の試薬及び出発材料としては以下のものが挙げられ、これらの全ては、特に言及がなければ更に精製することなく使用した。
・アクロス(ACROS)社(ジール(Geel)、ベルギー)製:メチルトリメトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(使用前にCaH上で前もって乾燥させた環状シロキサンを具える)、
・シグマ-アルドリッチ社製:SiCl及びSNCl
・ゲレスト(Gelest)社(モリスビル、ペンシルバンニア)製、TEOSI、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン及びN−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン。
【0059】
例中の試験データは、表1a及び1b中に示す配合に従い製造した充填組成物で行った。これらにおいて、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブリル)−p−フェニルジアミンは酸化防止剤として働き、またベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド、N,N’−ジフェニルグアニジン、及びジ(フェニルチオ)アセトアミドは硬化促進剤として働く。
【0060】
【表1a】

【0061】
【表1b】

【0062】
“50℃のディナスタットtanδ”に相当するデータは、以下の条件を用いてディナスタット(商標)質量分析計(ディナスティックインストルメンツ社;アルバニー、ニューヨーク)によって行った試験から得た:1Hz、静止質量2kg及び動的荷重1.25kg、シリンダー型(直径9.5mm×高さ16mm)の加硫ゴムサンプル、50℃。
【0063】
“結合したゴム量”に相当するデータは、JJ.ブレナン(JJ. Brennan)等著、ゴムの化学と技術、第40巻、1967年、p.817に記載されている方法を用いて測定した。
【0064】
(例1−3:標準的な開始剤(n−BuLi))
例1−3のために、標準的なオルガノリチウム開始剤を用いてポリマーバッチを調製した。3つのサンプルを取り出し、別々の化合物と反応させた。
【0065】
でパージした撹拌機を具える反応器に1.47kgのヘキサン、0.41kgのスチレンのヘキサン溶液、及び2.60kgのブタジエンのヘキサン溶液を加えた。反応器に3.68mLのn−ブチルリチウム溶液を、その後1.18mLのOOPs溶液を投入した。反応ジャケットを50℃に加熱し、22分後、バッチ温度は〜66℃でピークを打った。更に10分後、ポリマーセメントを反応器から取り出し、別の乾燥させたガラス容器内に保存した。
【0066】
この容器を50℃の槽内に30分間置いた。容器の2つ(サンプル1及び2)に、それぞれN,N−TMS−アミノプロピルトリエトキシシラン及びヘキサメチルシクロトリシロキサン(1Mのヘキサン溶液)を加え、残りの一つには失活剤としてイソプロパノールを加えた。それぞれBHTを含むイソプロパノール中で凝固させドラム乾燥した。
【0067】
(例4−5:官能化開始剤(DAPDT))
例4−5のために、官能化開始剤を用いてポリマーバッチを調製した。このバッチから取り出した2つのサンプルを別々に終結させた。
【0068】
でパージした撹拌機を具える反応器に、1.47kgのヘキサン、0.41kgのスチレンのヘキサン溶液、及び2.60kgのブタジエンのヘキサン溶液を加えた。1.48gの2−(4−ジメチルアミノ)フェニル−1,3−ジトビアン(ditbiane)のTHF溶液10mL、1mLのトリエチルアミン、及び3.68mLのn−ブチルリチウム溶液の混合物を反応器に投入した。1.04mLのOOPs溶液を付加する前に内容物を24℃で5分間撹拌した。反応ジャケットを50℃に加熱し、〜18分後、バッチ温度は〜71℃でピークを打った。更に10分後、ポリマーセメントのサンプルを反応器から取り出し、別の乾燥させたガラス容器内に保存した。
【0069】
50℃の槽内で30分間さらなる処理を行った。サンプル5はイソプロパノールで失活させたが、サンプル4はヘキサメチルシクロシラン(1.0Mのヘキサン溶液)と反応させた。例1−3については、上記のようにそれぞれ凝固させドラム乾燥した。
【0070】
例1−5で調製したサンプルは、表1bの配合を用いる補強充填剤を含む加硫可能なエラストマー配合物を調製するために使用した。
【0071】
これら配合物の物理試験の結果を以下の表2に示す。このデータから、ヘキサメチルシクロトリシロキサン由来の中間ユニットを有する補強SBRポリマー(例2及び4)は、使用した開始剤のタイプにかかわらず、コントロールのポリマー(それぞれ例3及び5)に較べてtanδが30%を超えて減少するのがわかる(50℃での歪走査のデータ参照)。TMSで保護したアミノプロピルトリエトキシシランと反応させたポリマー(例1)は、そのベースポリマー(例3)に較べてtanδがわずかな減少を示す。
【0072】
【表2】

【0073】
(例6−24:ヘキサメチルシクロトリシロキサン中間ユニットで官能化したポリマー)
基本的に例1−5に記載したのと同じ方法を用いて、撹拌機を具えるNでパージした反応器にヘキサン、スチレン、及びブタジエンを投入し、その後続けて少量のn−ブチルリチウム及びOOPsを投入した。反応ジャケットを50℃に加熱し、20〜30分後、バッチ温度はジャケットの温度を10〜15℃超えた温度でピークを打った。更に10分後、ポリマーセメントのサンプルを反応器から取り出し、別の乾燥させたガラス容器内に保存した。
【0074】
50℃の槽内で〜30分間、サンプル6、12、及び18をイソプロパノールで失活させ、一方、その他(7−11、13−17、及び19−23)はヘキサメチルシクロトリシロキサンと反応させ中間ユニットを準備した。これらの3つ(7、13、及び19)をイソプロパノールで失活させ、一方、その他は以下の材料と反応させ、その後イソプロパノールで失活させた:
8)メチルトリメトキシシロキサン
9,20)3−アミノプロピルトリエトキシシラン
10)TEOSI
11)S340
14,21)3−アミノプロピルトリエトキシシラン
15,23)[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン
16)2−ドデセン−1−イル 無水コハク酸
17)1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
22)N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、及び
24)ベンゾスルフィミド(すなわちサッカリン)。
【0075】
各サンプルを凝固させ、ドラム乾燥し、また例1−5と同様に十分に混合することにより、以下の表3(例6−11)、表4(例12−17)、及び表5(例18−24)中に示すような性質を有するポリマー及び加硫可能な組成物を生じた。2つのデータポイントを含む列については、上は表1aによる配合物、また下は表1bによる配合物である。
【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
(例25−30:オクタメチルシクロテトラシロキサン中間ユニットを有する官能化ポリマー)
実質的部分においては、例6−24に関して記載した方法を繰り返した。サンプル26−29はBuLiで開始させたSBRを(例6−24中のヘキサメチルトリシロキサンの代わりに)オクタメチルシクロテトラシロキサンと反応させることを含んでいたが、サンプル25はイソプロパノールで失活させた。
【0080】
サンプル27−29はそれぞれ3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、及び1,4−ブタンスルトンと反応させたが、サンプル26はイソプロパノールで失活させた。サンプル30は、DAPDTで開始したSBRをオクタメチルシクロテトラシロキサンと反応させ、その後3−アミノプロピルトリエトキシシランと反応させることを含む。全ての官能化サンプルをイソプロパノールで失活させた。
【0081】
実質的に前記と同様に、各ポリマーサンプルを処理及び混合した。生成した充填化合物の物理的性質を以下の表6に示す。
【0082】
【表6】

【0083】
(例31−36:シクロヘキセンオキシド中間ユニットで官能化したポリマー)
実質的部分において、例6−24に関して記載した方法を繰り返した。サンプル32−36はBuLiで開始したSBRにシクロへキセンオキシドを反応させることを含むが、サンプル31はイソプロパノールで失活させた。
【0084】
サンプル33−36は
33)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
34)[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン
35)2−ドデセン−1−イル 無水コハク酸、及び
36)1,4−ブタンスルトン
と反応させた(反応後、サンプル33−36はイソプロパノールで失活させた)が、サンプル32はイソプロパノールで失活させた。
【0085】
各ポリマーサンプルは、実質的に前記と同様に処理及び混合した。生成した充填化合物の物理的性質を以下の表7に示す。
【0086】
【表7】

【0087】
(例37−42:シクロへキセンスルフィド中間ユニットで官能化したポリマー)
実質的部分において、例6−24に関して記載した方法を繰り返した。サンプル38−42はBuLiで開始させたSBRにシクロへキセンスルフィドを反応させることを含むが、サンプル37はイソプロパノールで失活させた。
【0088】
サンプル39−42は
39)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
40)2−ドデセン−1−イル 無水コハク酸
41)1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、及び
42)1,4−ブタンスルトン
と反応させた(反応後、サンプル39−42はイソプロパノールで失活させた)が、サンプル38はイソプロパノールで失活させた。
【0089】
各ポリマーサンプルは、実質的に前記と同様に処理及び混合した。生成した充填化合物の物理的性質を以下の表8に示す。
【0090】
【表8】

【0091】
(例43−48:ブチレンオキシド中間ユニットで官能化したポリマー)
実質的部分において、例6−24に関して記載した方法を繰り返した。サンプル44−48はBuLiで開始させたSBRにブチレンオキシドを反応させることを含むが、サンプル43はイソプロパノールで失活させた。
【0092】
サンプル45−48は
45)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
46)[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
47)2−ドデセン−1−イル 無水コハク酸、及び
48)1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
と反応させたが、サンプル44はイソプロパノールで失活させた。
【0093】
各ポリマーサンプルは、実質的に前記と同様に処理及び混合した。生成した充填化合物の物理的性質を以下の表9に示す。
【0094】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反応媒体中で、リビングポリマーと環構造中に少なくとも一つのシロキサンユニットを含む環状化合物とを反応させて、仲介物で官能化されたリビングポリマーを形成する工程と、
b)前記反応媒体に、アミノ窒素原子に活性水素原子が結合しているアミンを導入して、該アミンを前記仲介物で官能化されたリビングポリマーに化学的に結合させる工程とを含み、
それによりアミンで官能化されたポリマーを形成する、アミン官能化ポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記環状化合物が、環構造中に少なくとも3つのシロキサンユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環状化合物の環構造が、ケイ素原子及び酸素原子からなることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記環状化合物のケイ素原子の少なくとも一つが、C−C置換基を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記環状化合物のケイ素原子のそれぞれが、C−Cアルキル基を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記環状化合物が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
更に、アニオン溶液重合によって前記リビングポリマーを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーは、実質的に一種以上のビニル芳香族化合物及び一種以上のポリエンから誘導されるマーユニットを含むランダムインターポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エラストマーと、少なくとも二種の異なるヘテロ原子を含む末端官能基と、前記エラストマー及び前記官能基の間に介在する少なくとも三つのシロキサンユニットとを含んでなる官能化ポリマー。
【請求項10】
前記各シロキサンユニット中のケイ素原子が、それぞれC−Cアルキル基で置換されていることを特徴とする請求項9に記載の官能化ポリマー。
【請求項11】
前記官能基が、一級又は二級のアミノ基を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の官能化ポリマー。
【請求項12】
前記官能基が、シロキサン官能基を含むことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の官能化ポリマー。
【請求項13】
前記官能基が、ハロゲン原子を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の官能化ポリマー。
【請求項14】
前記官能基が、スルトンであることを特徴とする請求項9又は10に記載の官能化ポリマー。
【請求項15】
前記シロキサンユニットが、ポリシロキサンに由来することを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の官能化ポリマー。
【請求項16】
前記ポリシロキサンが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする請求項15に記載の官能化ポリマー。
【請求項17】
前記エラストマーは、実質的に一種以上のビニル芳香族化合物及び一種以上のポリエンから誘導されるマーユニットを含むランダムインターポリマーであることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載の官能化ポリマー。
【請求項18】
前記エラストマーが、スチレン及びブタジエンのインターポリマーであることを特徴とする請求項17に記載の官能化ポリマー。
【請求項19】
前記インターポリマーがスチレン由来のマーユニットを20から35重量%含むことを特徴とする請求項18に記載の官能化ポリマー。
【請求項20】
前記インターポリマーは、1,2−ミクロ構造が25から65%であることを特徴とする請求項18又は19のいずれかに記載の官能化ポリマー。

【公表番号】特表2008−518086(P2008−518086A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539009(P2007−539009)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/038017
【国際公開番号】WO2006/047328
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】