説明

連結柱状体の分離方法及び柱状体

【課題】連結状態の柱状体同士を、キー部材を移動操作して連結解除できるようにする。
【解決手段】外嵌用管部2と内嵌用柱部3とを互いに嵌合させた状態で、内向き周溝5と外向き周溝6とに亘って装着するキー部材7を備え、内向き周溝5又は外向き周溝6の入り口から奥に引退した状態にキー部材7を収容可能に形成し、キー部材7を、内向き周溝5又は外向き周溝6の奥に収容した状態から、内向き周溝5と外向き周溝6間に亘る状態に移動操作する操作ボルトAを設け、内向き周溝5と外嵌用管部2の外方とを連通自在にする挿通部を設けておいて、挿通部を介して内向き周溝5内に洗浄水を注入し、その洗浄水により内向き周溝5内又は外向き周溝6内に侵入した固形物を洗い出し、操作ボルトAを操作してキー部材7を内向き周溝5の奥に引退させた後に、隣接する柱状体同士を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端部に、外嵌用管部と内嵌用柱部とを振り分けて設け、前記外嵌用管部の内周側には内向き周溝を形成してあると共に、前記内嵌用柱部の外周側には外向き周溝を形成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを異なる柱状体同士の間で嵌合連結可能に構成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させた状態で、前記内向き周溝と前記外向き周溝とに亘って装着するキー部材を備え、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の入り口から奥に引退した状態に前記キー部材を収容可能に形成し、前記キー部材を、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の奥に収容した状態から、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態に移動操作する操作ボルトを設けると共に、その操作ボルトを前記外嵌用管部の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部を、前記外嵌用管部に設けてある複数の柱状体を、隣接するもの同士の前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させて、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態にキー部材を装着して連結柱状体を形成した後において、前記連結柱状体における複数の前記柱状体同士を分離する連結柱状体の分離方法及びその柱状体に関する。
【背景技術】
【0002】
上記柱状体においては、柱状体同士の溶接による連結工法に比べて、短時間で連結作業が行えると共に、熟練した溶接工などが不要で施工性が良いという利点がある。
そこで、従来の上記柱状体においては、操作ボルトの螺合操作自在なメネジ孔を、外嵌用管部に設けてボルト装着部に形成してあるだけであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3336430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の柱状体を複数本連結して連結柱状体を形成し、例えば杭などとして地中に立て込む作業を行う際に、修正などのために地中に立て込んだ連結柱状体を引き抜いて、その連結柱状体における柱状体同士の連結部を解除しようとする場合、施工地がベントナイト等の泥水やソイルセメントなどの使用環境下では、内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に泥や砂が侵入して付着し、そのためにボルト装着部での操作ボルトによるキー部材の移動操作ができなくなり、外嵌用管部と内嵌用柱部との嵌合連結状態を解除できない場合があるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、柱状体同士の連結部に、例え泥水や砂が侵入する使用環境であっても、再度キー部材を移動操作して柱状体同士を連結解除できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における第1の連結柱状体の分離方法の特徴構成は、両端部に、外嵌用管部と内嵌用柱部とを振り分けて設け、前記外嵌用管部の内周側には内向き周溝を形成してあると共に、前記内嵌用柱部の外周側には外向き周溝を形成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを異なる柱状体同士の間で嵌合連結可能に構成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させた状態で、前記内向き周溝と前記外向き周溝とに亘って装着するキー部材を備え、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の入り口から奥に引退した状態に前記キー部材を収容可能に形成し、前記キー部材を、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の奥に収容した状態から、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態に移動操作する操作ボルトを設けると共に、その操作ボルトを前記外嵌用管部の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部を、前記外嵌用管部に設けてある複数の柱状体を、隣接するもの同士の前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させて、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態にキー部材を装着して連結柱状体を形成した後において、前記連結柱状体における複数の前記柱状体同士を分離する連結柱状体の分離方法であって、前記柱状体に前記内向き周溝と外嵌用管部の外方とを連通自在にする挿通部を設けておいて、複数の前記柱状体同士を互いに嵌合連結した状態で、前記挿通部を介して前記内向き周溝内に洗浄水を注入し、その洗浄水により前記内向き周溝内又は前記外向き周溝内に侵入した固形物を洗い出し、前記ボルト装着部において前記操作ボルトを操作して前記キー部材を前記内向き周溝の奥に引退させた後に、隣接する前記柱状体同士を引き離して分離するところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、挿通部を介して洗浄水を注入して内向き周溝又は外向き周溝内に侵入した固形物を洗い出すことにより、労力をあまり要することなく、キー部材の操作ボルトによる移動操作がスムーズにできるようになり、前記キー部材を前記内向き周溝の奥に再び引退させて、連結柱状体における隣接する前記柱状体同士を引き離して分離することができる。
従って、連結柱状体の使用によって、柱状体同士の嵌合連結部に、たとえ泥や砂などが侵入しても、キー部材を良好に移動操作して柱状体同士を楽に分離できる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記連結柱状体は、複数の前記柱状体同士を連結した後に地中に埋め込むものであり、前記柱状体同士を分離する際には、前記連結柱状体を引き抜いて前記柱状体同士の嵌合連結部を地上に出してから、前記挿通部を介して前記内向き周溝内に洗浄水を注入して洗浄した後に、隣接する前記柱状体同士を引き離して分離するものであるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、一旦複数の柱状体同士を嵌合連結して連結柱状体を形成した後において、その連結柱状体を土中に立て込んだ後においても、土中から連結柱状体を引き抜いて柱状体同士を分離し、再度連結操作を行いながら土中への立て込み施工の修正などが簡単にできるようになった。
【0010】
本発明の第3の柱状体の特徴構成は、両端部に、外嵌用管部と内嵌用柱部とを振り分けて設け、前記外嵌用管部の内周側には内向き周溝を形成してあると共に、前記内嵌用柱部の外周側には外向き周溝を形成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを異なる柱状体同士の間で嵌合連結可能に構成し、前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させた状態で、前記内向き周溝と前記外向き周溝とに亘って装着するキー部材を備え、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の入り口から奥に引退した状態に前記キー部材を収容可能に形成し、前記キー部材を、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の奥に収容した状態から、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態に移動操作する操作ボルトを設けると共に、その操作ボルトを前記外嵌用管部の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部を、前記外嵌用管部に設けてある柱状体であって、前記ボルト装着部に取り付ける前記操作ボルトに、前記内向き周溝と外嵌用管部の外方とを連通自在にする挿通部を設けてあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、柱状体同士の外嵌用管部と内嵌用柱部とが嵌合した状態で、キー部材が内向き周溝と外向き周溝とに亘る位置に装着されていても、キー部材を移動操作する操作ボルトに、前記内向き周溝と外嵌用管部の外方とを連通自在にする挿通部を設けてあるために、その挿通部を介して洗浄水を侵入させれば、内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に付着している泥や砂等を、洗い出すことが出来る。
従って、簡単にキー部材を移動操作して柱状体同士を分離できる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記操作ボルトを、ボルト本体とそのボルト本体の頭部に螺合するナットとから構成し、前記ナットを内嵌する貫通孔を前記外嵌用管部に形成し、前記貫通孔に対して前記ナットを脱着可能に保持し、前記貫通孔及び前記ボルト本体から前記ナットを取り外すことにより前記挿通部を形成可能にしてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、前記貫通孔及び前記ボルト本体から前記ナットを取り外すことにより前記挿通部を形成可能にしてあるために、ナットを取り外して前記挿通部から洗浄水を侵入させれば、内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に付着している泥や砂等を、洗い出すことが出来る。
従って、柱状体同士の連結時には、ナットの存在により挿通部からキー部材周辺部への泥水などの固形物含有物の侵入を防止できながら、ナットの取り外しにより形成される挿通部を介して、洗浄水を内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に侵入させて、洗浄することができる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記ナットの外周部にオネジ部を形成し、前記オネジ部が螺合するメネジ部を前記貫通孔に形成してあるところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、外周部にオネジ部を形成したナットは、貫通孔のメネジ部に対する着脱固定が、簡単で確実に行える。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記ナットを前記貫通孔に対して軸心方向に摺動自在に内嵌し、前記ナットを前記貫通孔に内嵌した状態で回り止め可能にする回り止め機構を設けると共に、前記ナットを前記貫通孔から抜け止め阻止するストッパーを前記貫通孔に着脱自在に設けてあるところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、ストッパーを外せば貫通孔からナットを簡単に取り出すことができる。しかも、貫通孔内では、内嵌したナットは、回り止め機構により回り止めした状態で保持されるために、貫通孔内でのナットが共回りすることなく、操作ボルトを回動操作してキー部材の移動操作が確実に行える。
【0018】
本発明の第7の特徴構成は、前記ナットを前記貫通孔に内嵌した状態で、前記外嵌用管部の外方から前記キー部材を臨む挿通部を、前記ナットと前記貫通孔との間に形成するように前記ナットを成形してある
【0019】
本発明の第7の特徴構成によれば、ナットを貫通孔から取り外さなくとも、ナットと貫通孔との間に形成された挿通部を通して、内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に洗浄水を侵入させて付着した泥や砂などを洗い出すことができ、柱状体同士の分離のためのキー部材の移動操作がより簡単に行えるようになる。
【0020】
本発明の第8の特徴構成は、前記操作ボルトの頭部を内嵌する貫通孔を、前記外嵌用管部に設け、前記操作ボルトの頭部にオネジ部を設けると共に、前記オネジ部が螺合するメネジ部を前記貫通孔に設け、前記操作ボルトの頭部に前記挿通部を形成してあるところにある。
【0021】
本発明の第8の特徴構成によれば、操作ボルトをボルト装着部に取り付けるだけで、キー部材の引退操作を行えながら、柱状体同士の連結を解除する際には、操作ボルトの頭部に形成してある挿通部を介して洗浄水を内向き周溝や外向き周溝とキー部材との間の隙間に侵入させれば、付着した泥や砂などを簡単に洗い出すことができ、少ない手間で、操作ボルトによるキー部材の移動操作ができ、柱状体同士の連結を解除できる。
【0022】
本発明の第9の特徴構成は、前記挿通部を介して前記内向き周溝内に侵入させた洗浄水の排出路を、前記外嵌用管部又は前記内嵌用柱部の少なくとも一方に形成してあるところにある。
【0023】
本発明の第9の特徴構成によれば、挿通部を介して内向き周溝に侵入させる洗浄水は、排出路から排出されるために、洗浄水がスムーズに流れ、その洗浄水の流れに伴って、内向き周溝や外向き周溝内に侵入した泥や砂などの固形物が流出され、キー部材の移動操作を良好にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】柱状体における外嵌用管部と内嵌用柱部の縦断面図を示し、(a)は両者の連結前、(b)は両者の嵌合連結後の状態を示す。
【図2】要部の分解斜視図である。
【図3】(a)〜(f)は、ボルト装着部における連結操作用の縦断作用説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、ボルト装着部における洗浄時の縦断作用説明図である。
【図5】(d)〜(f)は、ボルト装着部における柱状体同士の分離操作時の縦断作用説明図である。
【図6】別実施形態の要部分解斜視図である。
【図7】(a)は別実施形態のナットの斜視図で、(b)は別実施形態のナット装着時の斜視図である。
【図8】ボルト装着時の柱状体における別実施形態の要部縦断面図である。
【図9】ボルト装着時の柱状体における別実施形態の要部縦断面図である。
【図10】別実施形態の操作ボルトの斜視図である。
【図11】別実施形態の操作ボルトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜図1(b)に示すように、鋼管で形成された柱状体本体部1の両端部に、同様に鋼管で形成された継手として外嵌用管部2と内嵌用柱部3とを振り分けて溶接して、全体として柱状体4を構成してあり、この柱状体4同士を複数連結することで、連結柱状体を形成して、複数の柱状体4から成る連結柱状体が、土留壁形成用の鋼管矢板や、建造物支持用の鋼管支持杭として使用されている。
【0026】
前記外嵌用管部2の内周側には内向き周溝5を、軸心方向に複数形成してあると共に、内嵌用柱部3の外周側には外向き周溝6を、軸心方向に複数形成し、外嵌用管部2と内嵌用柱部3とを異なる柱状体4同士の間で嵌合連結可能に構成し、外嵌用管部2と内嵌用柱部3とを互いに嵌合させた状態で、内向き周溝5と外向き周溝6とに亘って装着する鋼製の円弧状キー部材7を、複数備えて、内向き周溝5の入り口から奥に引退した状態にキー部材7を収容可能に形成し、
キー部材7を、内向き周溝5の奥に収容した状態から、内向き周溝5と外向き周溝6間に亘る状態に移動操作する操作ボルトAを設けると共に、その操作ボルトAを外嵌用管部2の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部9を、外嵌用管部2の周方向の複数箇所に設けてある。
【0027】
図2に示すように、前記ボルト装着部9に取り付ける操作ボルトAは、ボルト本体8と、ボルト本体8の頭部に螺合するナット10とから構成し、そのナット10を内嵌する貫通孔11を外嵌用管部2に形成し、貫通孔11に対してナット10を脱着可能に保持すべく、ナット10の外周部にオネジ部12を形成し、オネジ部12が螺合するメネジ部13を貫通孔11に形成してあり、更にナット10を貫通孔11に内嵌した状態で回り止めすると共に、ナット10を貫通孔11から抜け止め阻止するC字形のストッパー14を、貫通孔11の内側の溝26に着脱自在に係止するように設けてある。つまり、貫通孔11からナット10を外せば、貫通孔11とボルト本体8との間の隙間に、内向き周溝5と外嵌用管部2の外方とを連通自在にする洗浄水注入用の挿通部が形成される。
【0028】
尚、ストッパー14は、図8に示すように、設けない場合であっても良い。また、図9に示すように、ストッパー14とナット10及びボルト本体8との間に押え板27を介在させても良い。
【0029】
前記ボルト本体8には、その両端部に、右ネジ式の第1オネジ部15と左ネジ式の第2オネジ部16とを設けて互いに逆ネジを構成してあり、第1オネジ部15の端部に6角レンチにより回動操作可能な操作部17を設けてある。
第1オネジ部15には、ナット10のメネジ部19が螺合し、第2オネジ部16は、キー部材7に形成したメネジ部18に螺合する。従って、ナット10に螺合させたボルト本体8を右回りに回動操作すると、ボルト本体8が外向き周溝6側に近接移動するとともに、キー部材7がボルト本体8に対して更に外向き周溝6側に進入移動する。
【0030】
(キー部材7の柱状体4に対する装着手順を説明する。)(図3(a)〜図3(f))
1. 外嵌用管部2に形成した内向き周溝5内に、入口から奥に引退した状態にキー部材7を収納する(図3(a))。
2. キー部材7に形成したメネジ部18に、貫通孔11を通してボルト本体8の第2オネジ部16を螺合させる(図3(a)→(b))。
3. ナット10のオネジ部12を貫通孔11のメネジ部13に螺合させながら、ナット10のメネジ部19を第1オネジ部15に同時に螺合させて、貫通孔11内に形成した段部20に当たるまでナット10を装着する。尚、ナット10の端面部には、回動操作用の十字溝21を形成してある(図3(c))。
4. 外嵌用管部2を内嵌用柱部3に嵌合させる(図3(d))。
5. ボルト本体8を右回りに回動操作して、キー部材7を外向き周溝6と内向き周溝5とに亘る位置に移動させる(図3(e))。
6. ナット10の抜け止めに、ストッパー14を貫通孔11内に係止させておく(図3(f))。
【0031】
(外嵌用管部2と内嵌用柱部3との連結状態を解除する手順を説明する。)(図4(a)〜図4(c)及び図5(d)〜(f))
1. ストッパー14を貫通孔11内から外して取り出す(図4(a))。
2. ナット10を逆回転させて、貫通孔11のメネジ部13から取り出す(図4(b))。
3. 貫通孔11に給水管接続用のニップル22を取り付けて、給水管を介してボルト本体8と貫通孔11との隙間から洗浄水を流入させ、キー部材7と内向き周溝5内に溜まった泥や砂を洗い出す(図4(c))。
4. ナット10を段部20まで螺入する(図5(d))。
5. ボルト本体8を逆回転させて、キー部材7を内向き周溝5の奥まで引退させる(図5(e))。
6. 外嵌用管部2を内嵌用柱部3から分離させる(図5(f))。
【0032】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0033】
〈1〉 キー部材7は、外向き周溝6の奥に引退させて収納する構造であっても良い。この場合には、外嵌用管部2と内嵌用柱部3との連結時には、ボルト本体8により内向き周溝5と外向き周溝6に亘る位置に、外嵌用管部2の外方から引戻す必要がある。
〈2〉 ナット10の外周部には、図6に示すように、オネジ部12を設けてないものでも良く、この場合、ボルト本体8の回動操作時の回り止め機構を設けると共に、ナット10が貫通孔11から抜け止め阻止するストッパー14を設けてあれば良い。つまり、ナット10の上端面部に、工具係止可能かもしくは取り出しボルトが螺合可能なメネジ23を形成した係止穴24を設け、係止穴24に工具又はボルトを係止させてナット10の回り止めを、行いながらボルト本体8を回動操作したり、ストッパー14を取り外してナット10を貫通孔11から取り出すときに使用する。
〈3〉 図7に示すように、前記ナット10を貫通孔11に内嵌した状態で、外嵌用管部2の外方からキー部材7を臨む挿通部25を、前記ナット10と前記貫通孔11との間に形成するように前記ナット10を成形してあっても良い。つまり、貫通孔11に形成するメネジ部13に螺合可能なオネジ部12を、ナット10の外周部の互いに対向する周部にのみ設け、そのオネジ部12以外の外周部分に、前記挿通部25を形成する特殊なナット10を形成することで、その挿通部25を通してキー部材7と内向き周溝5又は、外向き周溝6との間に洗浄水を供給することができる。
〈4〉 前記操作ボルトAは、ボルト本体8とナット10とで構成する以外に、図10に示すように、ボルト本体8のみから構成しても良く、この場合には、貫通孔11にメネジ部13を形成すると共に、そのメネジ部13に螺合する第1オネジ部15をボルト本体8の頭部の一部に形成して、貫通孔11内でボルト本体8との間に挿通部25が形成される形状にボルト本体8を構成してある。
〈5〉 また、上記と同様に、ボルト本体8に挿通部25を形成するに、図11に示すように、貫通孔11にメネジ部13を形成すると共に、そのメネジ部13に螺合する第1オネジ部15をボルト本体8の頭部に形成すると共に、そのボルト本体8の頭部に挿通孔28を複数形成して、その挿通孔28で前記挿通部25を構成してあっても良い。なお、挿通孔28には、通常時には栓をしておいて、洗浄時に栓を抜き取って、それらの挿通孔28から洗浄水を注入する。
〈6〉 前記挿通部25を介して内向き周溝5内に侵入させた洗浄水の排出路を、外嵌用管部2又は内嵌用柱部3の少なくとも一方に形成してあっても良い(図示せず)。
〈7〉 前記内嵌用柱部3は、鋼管以外に、中実の鋼製棒状体で形成してあっても良い。
【0034】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
2 外嵌用管部
3 内嵌用柱部
5 内向き周溝
6 外向き周溝
7 キー部材
8 ボルト本体
9 ボルト装着部
10 ナット
11 貫通孔
12 オネジ部
13 メネジ部
14 ストッパー
25 挿通部
A 操作ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に、外嵌用管部と内嵌用柱部とを振り分けて設け、
前記外嵌用管部の内周側には内向き周溝を形成してあると共に、前記内嵌用柱部の外周側には外向き周溝を形成し、
前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを異なる柱状体同士の間で嵌合連結可能に構成し、
前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させた状態で、前記内向き周溝と前記外向き周溝とに亘って装着するキー部材を備え、
前記内向き周溝又は前記外向き周溝の入り口から奥に引退した状態に前記キー部材を収容可能に形成し、
前記キー部材を、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の奥に収容した状態から、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態に移動操作する操作ボルトを設けると共に、その操作ボルトを前記外嵌用管部の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部を、前記外嵌用管部に設けてある複数の柱状体を、隣接するもの同士の前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させて、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態にキー部材を装着して連結柱状体を形成した後において、前記連結柱状体における複数の前記柱状体同士を分離する連結柱状体の分離方法であって、
前記柱状体に前記内向き周溝と外嵌用管部の外方とを連通自在にする挿通部を設けておいて、
複数の前記柱状体同士を互いに嵌合連結した状態で、
前記挿通部を介して前記内向き周溝内に洗浄水を注入し、その洗浄水により前記内向き周溝内又は前記外向き周溝内に侵入した固形物を洗い出し、
前記ボルト装着部において前記操作ボルトを操作して前記キー部材を前記内向き周溝の奥に引退させた後に、隣接する前記柱状体同士を引き離して分離する連結柱状体の分離方法。
【請求項2】
前記連結柱状体は、複数の前記柱状体同士を連結した後に地中に埋め込むものであり、前記柱状体同士を分離する際には、前記連結柱状体を引き抜いて前記柱状体同士の嵌合連結部を地上に出してから、前記挿通部を介して前記内向き周溝内に洗浄水を注入して洗浄した後に、隣接する前記柱状体同士を引き離して分離するものである請求項1に記載の連結柱状体の分離方法。
【請求項3】
両端部に、外嵌用管部と内嵌用柱部とを振り分けて設け、
前記外嵌用管部の内周側には内向き周溝を形成してあると共に、前記内嵌用柱部の外周側には外向き周溝を形成し、
前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを異なる柱状体同士の間で嵌合連結可能に構成し、
前記外嵌用管部と前記内嵌用柱部とを互いに嵌合させた状態で、前記内向き周溝と前記外向き周溝とに亘って装着するキー部材を備え、
前記内向き周溝又は前記外向き周溝の入り口から奥に引退した状態に前記キー部材を収容可能に形成し、
前記キー部材を、前記内向き周溝又は前記外向き周溝の奥に収容した状態から、前記内向き周溝と前記外向き周溝間に亘る状態に移動操作する操作ボルトを設けると共に、その操作ボルトを前記外嵌用管部の外側から操作可能に取り付けるボルト装着部を、前記外嵌用管部に設けてある柱状体であって、
前記ボルト装着部に取り付ける前記操作ボルトに、前記内向き周溝と外嵌用管部の外方とを連通自在にする挿通部を設けてある柱状体。
【請求項4】
前記操作ボルトを、ボルト本体とそのボルト本体の頭部に螺合するナットとから構成し、
前記ナットを内嵌する貫通孔を前記外嵌用管部に形成し、
前記貫通孔に対して前記ナットを脱着可能に保持し、
前記貫通孔及び前記ボルト本体から前記ナットを取り外すことにより前記挿通部を形成可能にしてある請求項3に記載の柱状体。
【請求項5】
前記ナットの外周部にオネジ部を形成し、前記オネジ部が螺合するメネジ部を前記貫通孔に形成してある請求項4に記載の柱状体。
【請求項6】
前記ナットを前記貫通孔に対して軸心方向に摺動自在に内嵌し、前記ナットを前記貫通孔に内嵌した状態で回り止め可能にする回り止め機構を設けると共に、
前記ナットを前記貫通孔から抜け止め阻止するストッパーを前記貫通孔に着脱自在に設けてある請求項4に記載の柱状体。
【請求項7】
前記ナットを前記貫通孔に内嵌した状態で、前記外嵌用管部の外方から前記キー部材を臨む挿通部を、前記ナットと前記貫通孔との間に形成するように前記ナットを成形してある請求項4〜6のいずれか1項に記載の柱状体。
【請求項8】
前記操作ボルトの頭部を内嵌する貫通孔を、前記外嵌用管部に設け、前記操作ボルトの頭部にオネジ部を設けると共に、前記オネジ部が螺合するメネジ部を前記貫通孔に設け、前記操作ボルトの頭部に前記挿通部を形成してある請求項3に記載の柱状体。
【請求項9】
前記挿通部を介して前記内向き周溝内に侵入させた洗浄水の排出路を、前記外嵌用管部又は前記内嵌用柱部の少なくとも一方に形成してある請求項3〜8のいずれか1項に記載の柱状体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−46952(P2012−46952A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189798(P2010−189798)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】