説明

連結構造とそれを備える浴槽用手摺り

【課題】取り扱いが簡単な連結構造と、それを備える浴槽用手摺りを提供する。
【解決手段】浴槽用手摺りの連結構造10は、手摺り部収容部114と支柱220と、手摺り部収容部114と支柱220とを連結する固定ピン301とを備える。固定ピン301のカバー310は手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221を覆い、挿入ピン320はカバー310から突出し、孔115と孔221に挿入される。腕330は、カバー310に接続され、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びる。手摺り部収容部114は、脱落防止リブ340を着脱可能に係止する仮係止部116と本係止部117と係止用延長部118とを含む。仮係止部116は、本係止部117よりも孔115に近い位置に配置され、仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、孔221の深さD以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には連結構造に関し、特定的には、2つの部材を連結する連結構造に関する。また、それを備える浴槽用手摺りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の側壁に着脱可能に取り付けられる浴槽用手摺りがある。このような浴槽用手摺りには、手摺りの握りの高さを調節することができるものがある。
【0003】
例えば、特開2000−41881号公報(特許文献1)には、浴槽の側壁に取り付けて使用される浴槽用手摺装置が記載されている。この浴槽用手摺装置では、略U字型に折曲形成された手摺本体の手摺片が、浴槽の開口端面から出没自在に可動し得るように、浴槽側壁に固着された支持部によって支持されている。
【0004】
この浴槽用手摺装置の手摺片には通孔が形成され、支持部には複数の貫通孔が形成されている。通孔と貫通孔には挿通ピンが挿通されて、手摺片と支持部とを固定する。挿通ピンはピン本体とピンホルダーとを有し、ピン本体が支持片の貫通孔および脚片の通孔に挿通され、ピンホルダーが支持部の支持片に保持される。このようにすることにより、挿通ピンが誤って抜去されることを防止する。また、挿通ピンを手摺片と支持部から外すことにより、手摺片と支持部との固定を解除することができる。
【0005】
固定を解除された手摺片は、浴槽の開口端面から突出するように引き出され、開口端面からの手摺片の高さを調節される。そして、支持片の複数の貫通孔のうちから適宜選択された貫通孔と通孔にピン本体を挿通することによって、高さを調節された状態で、手摺片が支持片に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−41881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の浴槽用手摺装置では、手摺片の高さを調節するときには、挿通ピンを完全に手摺部と支持部とから取り外さなければならない。そのため、手摺片の高さを調節するときに挿通ピンを紛失しやすい。また、筒状の手摺片や支持部の周囲は曲面で形成されているので、ピン本体を通孔と貫通孔に挿通するときにピンホルダーを曲面に沿って変形させなければならない。そのため、手摺片を支持部に固定するときに、大きな力が必要である。
【0008】
このように、従来の浴槽用手摺装置は、手摺片の高さを調節するときに挿通ピンを紛失しないように気を付ける必要があり、また、手摺片を支持部に固定することが容易でなく、簡単に取り扱えるものではない。
【0009】
そこで、この発明の目的は、取り扱いが簡単な連結構造と、それを備える浴槽用手摺りを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の1つの局面に従った連結構造は、第1部材と、第1部材と連結される第2部材と、第1部材と第2部材とを連結する連結部とを備える。
【0011】
第1部材と第2部材にはそれぞれ係合穴が形成されている。連結部は、被覆部と、挿入部と、腕部と、連結部側係止部とを含む。被覆部は、係合穴を覆う。挿入部は、被覆部から突出するように形成されて第1部材と第2部材との係合穴に挿入される。腕部は、被覆部に接続されて挿入部の延びる方向に沿って延びる。連結部側係止部は、腕部に形成されて第1部材上に係止される。第1部材は、連結部側係止部を着脱可能に係止する第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部と、第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部との間に形成される平面部とを含む。第1部材側仮係止部は、第1部材側本係止部と比較して係合穴に近い位置に配置されている。第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さ以上である。
【0012】
以上のように構成された連結構造では、第1部材と第2部材は次のようにして連結される。まず、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴とを合わせる。次に、連結部の被覆部が係合穴を覆うようにして、被覆部から突出する挿入部を第1部材の係合穴と第2部材の係合穴に挿入する。連結部の被覆部からは腕部が延びている。腕部は、挿入部の延びる方向に沿って延びており、腕部には連結部側係止部が形成されている。挿入部を第1部材と第2部材の外部から、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の内部に挿入することによって、腕部の連結部側係止部は、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の外部において、挿入部が挿入される向きに移動される。
【0013】
第1部材の第1部材側仮係止部は、第1部材側本係止部よりも係合穴に近い位置に配置されている。第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の外部において、挿入部が挿入される向きに移動される連結部側係止部は、まず、第1部材側仮係止部の位置に到達する。連結部側係止部は、第1部材側仮係止部に係止され得るが、さらに挿入部を係合穴の内部に向かって挿入することによって、連結部側係止部は、第1部材側仮係止部から第1部材側本係止部に向かって移動される。第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部との間には平面部が形成されている。そのため、第1部材側仮係止部から第1部材側本係止部に向かって連結部側係止部が移動されるとき、第1部材側本係止部と第1部材側仮係止部との間が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、連結部側係止部が形成されている腕部を大きく変形させる必要がない。
【0014】
さらに挿入部が係合穴の内部に向かって挿入されるとともに平面部上を移動された連結部側係止部は、第1部材側本係止部の位置に到達する。連結部側係止部は第1部材側本係止部に係止される。
【0015】
挿入部の長さは、適宜設計される。例えば、連結部側係止部が第1部材側本係止部に係止されるときに、挿入部において被覆部と反対側の端部が第2部材の係合穴に完全に挿入されるように、挿入部の長さを設計することができる。
【0016】
次に、第1部材と第2部材との連結を解除する場合の操作について説明する。挿入部が係合穴から抜き出される方向に連結部が移動されることによって、まず、連結部側係止部が第1部材側本係止部から外れる。連結部側係止部は第1部材側本係止部から第1部材側仮係止部との間に形成される平面部上を移動する。そのため、第1部材側本係止部から第1部材側仮係止部に向かって連結部側係止部が移動されるとき、第1部材側本係止部と第1部材側仮係止部との間が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、連結部側係止部が形成されている腕部を大きく変形させる必要がない。
【0017】
第1部材側仮係止部において第1部材の係合穴側の端部と第1部材側本係止部において第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さ以上である。したがって、例えば、挿入部の長さが上述のように設計されている場合には、挿入部が第2部材の係合穴に完全に挿入された状態では連結部側係止部が第1部材側本係止部に係止され、連結部側係止部が第1部材側仮係止部にあるときには、挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態にあるようにすることができる。挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態では、第1部材と第2部材とは連結されていない。
【0018】
連結部がさらに移動されると、連結部側係止部が第1部材側仮係止部に係止される位置に到達する。例えば、挿入部の長さが上述のように設計されている場合には、連結部側係止部が第1部材側仮係止部に係止されているときには、挿入部は第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態にある。
【0019】
以上のように、挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出したとき、すなわち、第1部材と第2部材とが連結されていない状態で、連結部の連結部側係止部が第1部材側仮係止部に係止されている。このようにすることにより、第1部材と第2部材との連結を解除して第1部材と第2部材との位置関係を調節するときに、連結部を第1部材からも第2部材からも外して紛失することがなくなる。
【0020】
また、第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部との間に平面部が形成されていることによって、連結部側係止部が第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部との間を移動するときに腕部の変形を従来よりも少なくすることができる。
【0021】
このようにすることにより、取り扱いが簡単な連結構造を提供することができる。
【0022】
この発明の1つの局面に従った連結構造においては、連結部側係止部は凸部であり、第1部材側仮係止部は、第1部材の外側表面に形成される凹部であることが好ましい。凹部の深さは、第1部材の係合穴に近い側で深く、第1部材の係合穴から遠い側で浅いことが好ましい。
【0023】
このようにすることにより、連結部側係止部を第1部材側仮係止部から第1部材側本係止部に移動させるとき、すなわち、挿入部を係合穴の内部に向かって挿入するとき、第1部材側仮係止部による連結部側係止部の係止が外れやすくなる。
【0024】
この発明の1つの局面に従った連結構造においては、第1部材は相対的に内径の大きい筒であり、第2部材は相対的に内径の小さい筒であることが好ましい。第2部材は第1部材の内部でスライド可能に第1部材の内部に収容されていることが好ましい。第2部材は、第2部材の係合穴と対向する位置に副係合穴が形成されていることが好ましい。挿入部は、係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さに形成されていることが好ましい。第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さと、第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、第2部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上であることが好ましい。
【0025】
このようにすることにより、挿入部の長さを、第2部材の係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さにし、第2部材の係合穴と副係合穴に挿入部を挿入して、第1部材と第2部材とをより強固に連結することができる。また、第2部材と第1部材との連結が解除された状態で、連結部を第1部材上に係止させることができる。
【0026】
この発明の1つの局面に従った連結構造においては、第1部材は、第1部材の係合穴と対向する位置に副係合穴が形成されていることが好ましい。第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さと、第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、第2部材の副係合穴の深さと、第2部材の副係合穴から第1部材の副係合穴までの距離と、第1部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上であることが好ましい。
【0027】
このようにすることにより、挿入部の長さを、第1部材の係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さにし、第1部材の係合穴と副係合穴と、第2部材の係合穴と副係合穴とに挿入部を挿入して、第1部材と第2部材とをより強固に連結することができる。また、第2部材と第1部材との連結が解除された状態で、連結部を第1部材上に係止させることができる。
【0028】
この発明の別の局面に従った連結構造は、第1部材と、第1部材と連結される第2部材と、第1部材と第2部材とを連結する連結部とを備える。
【0029】
第1部材と第2部材にはそれぞれ係合穴が形成されている。連結部は、被覆部と、挿入部と、腕部と、連結部側仮係止部と連結部側本係止部とを含む。被覆部は、係合穴を覆う。挿入部は、被覆部から突出するように形成されて第1部材と第2部材との係合穴に挿入される。腕部は、被覆部に接続されて挿入部の延びる方向に沿って延びる。連結部側仮係止部と連結部側本係止部とは、腕部に形成されて第1部材上に係止される。第1部材は、連結部側仮係止部と連結部側本係止部とを着脱可能に係止する第1部材側係止部と、第1部材側係止部に隣接して形成される平面部とを含む。平面部は、第1部材側係止部よりも、第1部材の係合穴から遠い位置に形成されている。連結部側本係止部は、連結部側仮係止部と比較して、被覆部に近い位置に配置されている。連結部側本係止部において被覆部側の端部と連結部側仮係止部において被覆部側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さ以上である。
【0030】
以上のように構成された連結構造では、第1部材と第2部材は次のようにして連結される。まず、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴とを合わせる。次に、連結部の被覆部が係合穴を覆うようにして、被覆部から突出する挿入部を第1部材の係合穴と第2部材の係合穴に挿入する。連結部の被覆部からは腕部が延びている。腕部は、挿入部の延びる方向に沿って延びており、腕部には連結部側仮係止部と連結部側本係止部とが形成されている。挿入部を第1部材と第2部材の外部から、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の内部に挿入することによって、腕部の連結部側仮係止部と連結部側本係止部とは、第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の外部において、挿入部が挿入される向きに移動される。
【0031】
連結部の連結部側本係止部は、連結部側仮係止部よりも被覆部に近い位置に配置されている。第1部材の係合穴と第2部材の係合穴の外部において、連結部が挿入部が挿入される向きに移動されると、まず、連結部側仮係止部が第1部材側係止部の位置に到達する。連結部側仮係止部は、第1部材側係止部に係止され得るが、さらに挿入部を係合穴の内部に向かって挿入することによって、連結部側仮係止部は、第1部材側係止部から平面部に向かって移動される。平面部は、第1部材側係止部と隣接して、第1部材側係止部よりも第1部材の係合穴から遠い位置に形成されている。そのため、連結部側仮係止部が、第1部材側係止部を通りすぎて、第1部材の係合穴から遠ざかる方向に移動されるとき、第1部材において第1部材側係止部に隣接する部分が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、連結部側本係止部と連結部側仮係止部とが形成されている腕部を大きく変形させる必要がない。
【0032】
さらに挿入部が係合穴の内部に向かって挿入されると、次に、連結部側本係止部が第1部材側係止部の位置に到達する。連結部側本係止部は第1部材側係止部に係止される。
【0033】
挿入部の長さは、適宜設計される。例えば、連結部側本係止部が第1部材側係止部に係止されるときに、挿入部において被覆部と反対側の端部が第2部材の係合穴に完全に挿入されるように、挿入部の長さを設計することができる。
【0034】
次に、第1部材と第2部材との連結を解除する場合の操作について説明する。挿入部が係合穴から抜き出される方向に連結部が移動されることによって、まず、連結部側本係止部が第1部材側係止部から外れる。一方、連結部側仮係止部は平面部上を移動する。そのため、第1部材側係止部よりも第1部材の係合穴から遠い位置において第1部材側係止部に隣接する部分が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、連結部側仮係止部と連結部側本係止部とが形成されている腕部を大きく変形させる必要がない。
【0035】
連結部側仮係止部において被覆部側の端部と連結部側本係止部において被覆部側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さ以上である。したがって、例えば、挿入部の長さが上述のように設計されている場合には、挿入部が第2部材の係合穴に完全に挿入された状態では連結部側本係止部が第1部材側係止部に係止され、連結部側仮係止部が第1部材側係止部に係止されているときには、挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態にあるようにすることができる。挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態では、第1部材と第2部材とは連結されていない。
【0036】
連結部がさらに移動されると、連結部側仮係止部が第1部材側係止部に係止される位置に到達する。例えば、挿入部の長さが上述のように設計されている場合には、連結部側仮係止部が第1部材側仮係止部に係止されているときには、挿入部は第2部材の係合穴から完全に抜け出した状態にある。
【0037】
以上のように、挿入部が第2部材の係合穴から完全に抜け出したとき、すなわち、第1部材と第2部材とが連結されていない状態で、連結部の連結部側仮係止部が第1部材側係止部に係止されている。このようにすることにより、第1部材と第2部材との連結を解除して第1部材と第2部材との位置関係を調節するときに、連結部を第1部材からも第2部材からも外して紛失することがなくなる。
【0038】
また、第1部材側係止部と隣接して、第1部材側係止部よりも第1部材の係合穴から遠い位置に平面部が形成されていることによって、連結部側仮係止部が第1部材側係止部に係止される位置から連結部側本係止部が第1部材側係止部に係止される位置まで連結部を移動するときに、腕部の変形を従来よりも少なくすることができる。また、連結部側本係止部が第1部材側係止部に係止される位置から連結部側仮係止部が第1部材側係止部に係止される位置まで連結部を移動するときに、腕部の変形を従来よりも少なくすることができる。
【0039】
このようにすることにより、取り扱いが簡単な連結構造を提供することができる。
【0040】
この発明の別の局面に従った連結構造においては、第1部材は相対的に内径の大きい筒であり、第2部材は相対的に内径の小さい筒であることが好ましい。第2部材は第1部材の内部でスライド可能に第1部材の内部に収容されていることが好ましい。第2部材は、第2部材の係合穴と対向する位置に副係合穴が形成されていることが好ましい。挿入部は、係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さに形成されていることが好ましい。連結部側本係止部において被覆部側の端部と連結部側仮係止部において被覆部側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さと、第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、第2部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上であることが好ましい。
【0041】
このようにすることにより、挿入部の長さを、第2部材の係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さにし、第2部材の係合穴と副係合穴に挿入部を挿入して、第1部材と第2部材とをより強固に連結することができる。また、第2部材と第1部材との連結が解除された状態で、連結部を第1部材上に係止させることができる。
【0042】
この発明の別の局面に従った連結構造においては、第1部材は、第1部材の係合穴と対向する位置に副係合穴が形成されていることが好ましい。連結部側本係止部において被覆部側の端部と連結部側仮係止部において被覆部側の端部との間の距離は、第2部材の係合穴の深さと、第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、第2部材の副係合穴の深さと、第2部材の副係合穴から第1部材の副係合穴までの距離と、第1部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上であることが好ましい。
【0043】
このようにすることにより、挿入部の長さを、第1部材の係合穴と副係合穴との両方を貫通する長さにし、第1部材の係合穴と副係合穴と、第2部材の係合穴と副係合穴とに挿入部を挿入して、第1部材と第2部材とをより強固に連結することができる。また、第2部材と第1部材との連結が解除された状態で、連結部を第1部材上に係止させることができる。
【0044】
この発明に従った連結構造においては、係合穴は、第2部材に複数形成されていることが好ましい。
【0045】
このようにすることにより、第2部材において挿入部が挿入される係合穴を選択することによって、第1部材と第2部材との位置関係を調節することができる。
【0046】
この発明に従った浴槽用手摺りは、手摺り部と、本体部と、上記のいずれかの連結構造とを備えることが好ましい。手摺り部は把手部を含む。本体部は浴槽の側壁に配置されて手摺り部を支持する。第1部材は本体部に配置されていることが好ましい。第2部材は手摺り部に配置されて把手部に固着されていることが好ましい。
【0047】
このようにすることにより、把手部の高さを容易に、かつ、安全に調節することが可能な浴槽用手摺りを提供することができる。
【0048】
この発明に従った浴槽用手摺りは、手摺り部を本体部に固定する固定部を備えることが好ましい。
【0049】
このようにすることにより、手摺り部のガタツキを防止することができる。
【0050】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、固定部は、手摺り部と本体部の上表面との間に配置されることが好ましい。
【0051】
このようにすることにより、手摺り部のガタツキをより効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、この発明によれば、取り扱いが簡単な連結構造と、それを備える浴槽用手摺りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の浴槽用手摺りの全体を示す斜視図である。
【図2】浴槽用手摺りのカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す浴槽用手摺りをIII−III線で示す方向から見た断面図である。
【図4】図3に示す浴槽用手摺りの固定ピンが仮係止状態にあるときの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の浴槽用手摺りの固定ピンとその周辺を示す断面図である。
【図6】図5に示す浴槽用手摺りの固定ピンが仮係止状態にあるときの断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の浴槽用手摺りの固定ピンとその周辺を示す断面図である。
【図8】図7に示す浴槽用手摺りの連結構造を拡大して示す断面図である。
【図9】図7に示す浴槽用手摺りの固定ピンが仮係止状態にあるときの断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の浴槽用手摺りの固定ピンとその周辺を示す断面図である。
【図11】図10に示す浴槽用手摺りの連結構造を拡大して示す断面図である。
【図12】図10に示す浴槽用手摺りの固定ピンが仮係止状態にあるときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0055】
(第1実施形態)
図1と図2に示すように、本発明の一つの実施形態の浴槽用手摺り1は、主に、手摺り部200と、本体部として本体100とを備える。
【0056】
手摺り部200は、把手部として上部グリップ210と、第2部材として2本の支柱220とから構成されている。支柱220は、略鉛直方向に延びるように本体100に支持されている。支柱220には、軸に沿って複数の孔221が形成されている。上部グリップ210は2本の支柱220の上端に掛け渡されるようにして支柱220に固着されている。孔221は係合穴の一例である。
【0057】
本体100は、浴槽壁の外側に配置される外側本体部110と浴槽壁の内側に配置される内側本体部120とを含む。外側本体部110には第1の押圧板111が取り付けられ、内側本体部120には第2の押圧板121が取り付けられている。外側本体部110は筒状の第1部材として手摺り部収容部114を含む。手摺り部収容部114には、手摺り部200の支柱220の一部が抜き差し可能に収容される。
【0058】
外側本体部110と内側本体部120とは、第1の押圧板111と第2の押圧板121とが浴槽壁(図示しない)を挟んで対向するように配置される。内側本体部120は、外側本体部110上でスライドして第1の押圧板111と第2の押圧板121との間隔を調整することができるように、浴槽壁の上端部に配置される部分において外側本体部110に嵌合されている。
【0059】
本体100において浴槽の外側に配置される側面はハンドルノブ隠しカバー131によって覆われている。ハンドルノブ隠しカバー131は着脱可能に外側本体部110のフレーム支持部112に取り付けられている。内側本体部120において浴槽の内側に配置される側面には、側部グリップ122が取り付けられている。
【0060】
本体100の上面と上部グリップ210との間において、2本の支柱220は、それぞれ固定部として固定ナット400によって外側本体部110に固定されている。なお、固定部はナットの他、Cリングやその他の部材によって形成されていてもよい。
【0061】
図2に示すように、ハンドルノブ隠しカバー131がフレーム支持部112から取り外されると、外側本体部110に取り付けられたハンドルノブ113と、第1部材として手摺り部収容部114と固定ピン301とが露出する。手摺り部収容部114は、外側本体部110の水平方向の両端に1つずつ配置されている。手摺り部収容部114は略鉛直方向に延びる筒状に形成されている。手摺り部収容部114には、支柱220の軸に沿って、上下方向の複数の位置に孔221が形成された支柱220が収容されている。支柱220は、軸に沿ってスライド可能に手摺り部収容部114に収容されている。ハンドルノブ113は、外側本体部110の中央において、ボルト軸によって第1の押圧板111に連結されている。固定ピン301は、連結部の一例である。
【0062】
図3に示すように、連結構造10は手摺り部収容部114と支柱220と固定ピン301とを備える。手摺り部収容部114の筒状の空洞の内部に支柱220が収容されている。手摺り部収容部114には係合穴として孔115が形成されている。手摺り部収容部114の外側表面上には、固定ピン301が嵌められている。
【0063】
固定ピン301は、全体としてC字形状に形成されており、被覆部としてカバー310と、挿入部として挿入ピン320と、腕部として一対の腕330と、連結部側係止部として一対の脱落防止リブ340と、一対の滑り防止リブ350とを含む。カバー310は、孔115を覆う。挿入ピン320は、カバー310から突出するように形成されており、手摺り部収容部114の孔115と支柱220と孔221とに挿入される。一対の腕330は、カバー310に接続されて、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びている。脱落防止リブ340は、一対の腕330のそれぞれの端部に形成されている。脱落防止リブ340は、挿入ピン320側に突出する突起である。滑り防止リブ350はカバー310の両脇において、カバー310よりも腕330の先端側に形成されている。滑り防止リブ350は、挿入ピン320の反対側に向かって突出する突起である。滑り防止リブ350は、カバー310と脱落防止リブ340との間に形成されていることが好ましい。なお、この実施形態においては、カバー310と腕330とは一体に成形されている。カバー310と腕330とは、例えば、別個の部材によって形成され、互いに固着されていてもよい。
【0064】
手摺り部収容部114には、孔115が形成されている。手摺り部収容部114は、第1部材側仮係止部として一対の仮係止部116と、第1部材側本係止部として一対の本係止部117と、仮係止部116と本係止部117との間に形成される平面部として一対の係止用延長部118とを含む。仮係止部116と本係止部117は、手摺り部収容部114の外側表面上に形成された凹部である。仮係止部116は、本係止部117と比較して孔115に近い位置に形成されている。仮係止部116の凹部の深さは、本係止部117から遠い側で深く、本係止部117に近い側で浅い。支柱220には、深さDの孔221が軸に沿って複数、形成されている。仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、支柱220の孔221の深さD以上である。なお、一対の係止用延長部118は、この実施形態においては平行に形成されている。しかし、一対の係止用延長部118は、それぞれ平面によって形成され、凹凸面や曲面によって形成されていなければ、互いに平行に形成されていなくてもよい。また、この実施形態においては、一対の係止用延長部118は、それぞれ、挿入ピン320の延びる方向と平行に形成されている。しかし、一対の係止用延長部118は、それぞれ、挿入ピン320の延びる方向と平行に形成されていなくてもよい。すなわち、一方の係止用延長部118は他方の係止用延長部118に対して傾斜していてもよいし、係止用延長部118は挿入ピン320の延びる方向に対して傾斜していてもよい。
【0065】
図3に示す状態においては、脱落防止リブ340は、手摺り部収容部114上の本係止部117に係止されている。挿入ピン320の端部は、支柱220の孔221に完全に挿入されている。この状態では、手摺り部収容部114と支柱220が固定ピン301によって連結されている。
【0066】
以上のように構成される浴槽用手摺り1の使用方法について説明する。
【0067】
浴槽壁に浴槽用手摺り1を取り付けるときには、まず、外側本体部110と内側本体部120とが組み合され、第1の押圧板111と第2の押圧板121との間隔が浴槽壁の厚みよりも広くされた状態で、本体100が浴槽の側壁に配置される。このとき、ハンドルノブ隠しカバー131は取り外しておく。外側本体部110は、第1の押圧板111が浴槽の外側の浴槽壁面(浴槽壁の外側面)に対向するように配置される。内側本体部120は、第2の押圧板121が浴槽の内側の浴槽壁面(浴槽壁の内側面)に対向するように配置される。
【0068】
次に、使用者が内側本体部120の側部グリップ122を保持して、内側本体部120を、浴槽壁面に直交する方向に沿ってスライドさせる。このようにして、第1の押圧板111が浴槽壁の外側面に接触し、第2の押圧板121が浴槽壁の内側面に接触するように、外側本体部110と内側本体部120との位置を調整する。
【0069】
外側本体部110と内側本体部120との位置を調整した後、使用者は、必要があれば、ハンドルノブ113を回して、第1の押圧板111と第2の押圧板121とが浴槽壁に完全に接触するように、微調整することができる。このようにすることにより、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁に強固に固定することができる。
【0070】
このようにして本体100を浴槽の側壁に固定した後、上部グリップ210の高さを調節する。使用者は、まず、固定ナット400を緩める。また、固定ピン301の腕330を持って、図3に矢印Pで示す方向に引き抜く。使用者がカバー310の両脇の滑り防止リブ350に指を掛けて、固定ピン301を引き抜く方向に力を掛けると、てこの原理により腕330の先端が広がる。腕330の先端を広げるようにすることによって、脱落防止リブ340と本係止部117との係合を容易に外すことができる。使用者が固定ピン301をこのように引き抜くと、まず、脱落防止リブ340が本係止部117から外れる。
【0071】
使用者がさらに固定ピン301を引き抜くと、脱落防止リブ340は、係止用延長部118上を本係止部117から仮係止部116に向かって移動する。
【0072】
図4に示すように、脱落防止リブ340が仮係止部116に到達すると、脱落防止リブ340は仮係止部116によって係止される。このとき、挿入ピン320は支柱220の孔221からは完全に抜き出されている。一方、挿入ピン320は、手摺り部収容部114の孔115には挿入されたままである。すなわち、固定ピン301によって手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていないが、固定ピン301が手摺り部収容部114上に係止されている仮係止状態にある。
【0073】
使用者は、仮係止状態のときに、上部グリップ210を握り、上部グリップ210の高さを調節する。手摺り部収容部114と支柱220とは連結されていないので、使用者は支柱220を手摺り部収容部114の内部でスライドさせることができる。
【0074】
上部グリップ210の高さが調節されたら、使用者は、手摺り部収容部114の孔115と合わせる支柱の孔221を選択し、選択された支柱220の孔221に挿入ピン320が挿入されるよう、固定ピン301を支柱220側へ押す。このとき、脱落防止リブ340が仮係止部116から外れる。使用者が固定ピン301をさらに押すと、脱落防止リブ340は係止用延長部118上を仮係止部116から本係止部117に向かって移動し、本係止部117に係止される。このとき、挿入ピン320は手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221に挿入されて、本係止状態になる。
【0075】
最後に、ハンドルノブ隠しカバー131が、ハンドルノブ113を覆うように外側本体部110に取り付けられ、固定ナット400が締められる。
【0076】
以上のように、浴槽用手摺り1の連結構造10は、手摺り部収容部114と、手摺り部収容部114と連結される支柱220と、手摺り部収容部114と支柱220とを連結する固定ピン301とを備える。
【0077】
手摺り部収容部114には孔115が形成され、支柱220には孔221が形成されている。固定ピン301は、カバー310と、挿入ピン320と、腕330と、脱落防止リブ340とを含む。カバー310は、孔115と孔221を覆う。挿入ピン320は、カバー310から突出するように形成されて手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221に挿入される。腕330は、カバー310に接続され、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びる。脱落防止リブ340は、腕330に形成されて手摺り部収容部114上に係止される。手摺り部収容部114は、脱落防止リブ340を着脱可能に係止する仮係止部116と本係止部117と、仮係止部116と本係止部117との間に形成される係止用延長部118とを含む。仮係止部116は、本係止部117と比較して孔115に近い位置に配置されている。仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、支柱220の孔221の深さD以上である。
【0078】
以上のように構成された連結構造10では、手摺り部収容部114と支柱220は次のようにして連結される。まず、手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221とを合わせる。次に、固定ピン301のカバー310が孔115と孔221とを覆うようにして、カバー310から突出する挿入ピン320を手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221に挿入する。固定ピン301のカバー310からは腕330が延びている。腕330は、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びており、腕330には脱落防止リブ340が形成されている。挿入ピン320を手摺り部収容部114と支柱220の外部から、手摺り部収容部114の孔221と支柱220の孔221の内部に挿入することによって、腕330の脱落防止リブ340は、手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221の外部において、挿入ピン320が挿入される向きに移動される。
【0079】
手摺り部収容部114の仮係止部116は、本係止部117よりも孔115に近い位置に配置されている。手摺り部収容部114の孔115と支柱220の孔221の外部において、挿入ピン320が挿入される向きに移動される脱落防止リブ340は、まず、仮係止部116の位置に到達する。脱落防止リブ340は、仮係止部116に係止され得るが、さらに挿入ピン320を孔115と孔221の内部に向かって挿入することによって、脱落防止リブ340は、仮係止部116から本係止部117に向かって移動される。仮係止部116と本係止部117との間には係止用延長部118が形成されている。そのため、仮係止部116から本係止部117に向かって脱落防止リブ340が移動されるとき、本係止部117と仮係止部116との間が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、脱落防止リブ340が形成されている腕330を大きく変形させる必要がない。
【0080】
さらに挿入ピン320が孔115と孔221の内部に向かって挿入されるとともに係止用延長部118上を移動された脱落防止リブ340は、本係止部117の位置に到達する。脱落防止リブ340は本係止部117に係止される。
【0081】
挿入ピン320の長さは、適宜設計される。例えば、脱落防止リブ340が本係止部117に係止されるときに、挿入ピン320においてカバー310と反対側の端部が支柱220の孔221に完全に挿入されるように、挿入ピン320の長さを設計することができる。
【0082】
次に、手摺り部収容部114と支柱220との連結を解除する場合の操作について説明する。挿入ピン320が孔221から抜き出される方向に固定ピン301が移動されることによって、まず、脱落防止リブ340が本係止部117から外れる。脱落防止リブ340は本係止部117から仮係止部116との間に形成される係止用延長部118上を移動する。本係止部117と仮係止部116との間に係止用延長部118が形成されることによって、本係止部117と仮係止部116との間が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、脱落防止リブ340が形成されている腕330を大きく変形させる必要がない。
【0083】
仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離は、支柱220の孔221の深さD以上である。したがって、例えば、挿入ピン320の長さが上述のように設計されている場合には、挿入ピン320が支柱220の孔221に完全に挿入された状態では脱落防止リブ340が本係止部117に係止され、脱落防止リブ340が仮係止部116にあるときには、挿入ピン320が支柱220の孔221から完全に抜け出した状態にあるようにすることができる。挿入ピン320が支柱220の孔221から完全に抜け出した状態では、手摺り部収容部114と支柱220とは連結されていない。
【0084】
固定ピン301がさらに移動されると、脱落防止リブ340が仮係止部116に係止される位置に到達する。例えば、挿入ピン320の長さが上述のように設計されている場合には、脱落防止リブ340が仮係止部116に係止されているときには、挿入ピン320は支柱220の孔221から完全に抜け出した状態にある。
【0085】
以上のように、挿入ピン320が支柱220の孔221から完全に抜け出したとき、すなわち、手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていない状態で、固定ピン301の脱落防止リブ340が仮係止部116に係止されていることによって、手摺り部収容部114と支柱220との連結を解除して手摺り部収容部114と支柱220との位置関係を調節するときに、固定ピン301を手摺り部収容部114からも支柱220からも外して紛失することがなくなる。
【0086】
また、仮係止部116と本係止部117との間に係止用延長部118が形成されていることによって、脱落防止リブ340が仮係止部116と本係止部117との間を移動するときに腕330の変形を従来よりも少なくすることができる。
【0087】
このようにすることにより、取り扱いが簡単な連結構造10を備える浴槽用手摺り1を提供することができる。
【0088】
また、浴槽用手摺り1の連結構造10においては、孔221は、支柱220に複数形成されている。
【0089】
このようにすることにより、支柱220において挿入ピン320が挿入される孔221を選択することによって、手摺り部収容部114と支柱220との位置関係を調節することができる。
【0090】
また、浴槽用手摺り1の連結構造10においては、脱落防止リブ340は凸部であり、仮係止部116は、手摺り部収容部114の外側表面に形成される凹部である。凹部の深さは、孔115に近い側で深く、孔115から遠い側で浅い。
【0091】
このようにすることにより、脱落防止リブ340を仮係止部116から本係止部117に移動させるとき、すなわち、挿入ピン320を孔221の内部に向かって挿入するとき、仮係止部116による脱落防止リブ340の係止が外れやすくなる。
【0092】
また、浴槽用手摺り1は、手摺り部200と、本体100と、上記の連結構造10とを備える。手摺り部200は上部グリップ210を含む。本体100は浴槽の側壁に配置されて手摺り部200を支持する。手摺り部収容部114は本体100に配置されている。支柱220は手摺り部200に配置されて上部グリップ210に固着されている。
【0093】
このようにすることにより、上部グリップ210の高さを容易に、かつ、安全に調節することが可能な浴槽用手摺り1を提供することができる。
【0094】
また、浴槽用手摺り1は、支柱220を本体100に固定する固定ナット400を備える。
【0095】
このようにすることにより、支柱220のガタツキを防止することができる。
【0096】
また、浴槽用手摺り1においては、固定ナット400は、手摺り部200と本体100の上表面との間に配置される。
【0097】
このようにすることにより、支柱220のガタツキをより効果的に防止することができる。
【0098】
なお、第1実施形態においては、連結構造10は浴槽用手摺り1に用いられているが、連結構造10は、2つ以上の筒状の部材が連結されて長さを調節できる杖や、2つ以上の部材が連結されて座面の高さを調節できる椅子などにおいて、2つ以上の部材を連結するために用いられてもよい。
【0099】
(第2実施形態)
第2実施形態の浴槽用手摺りは、第1実施形態の浴槽用手摺りとほぼ同様の構成を備える。
【0100】
図5は、第2実施形態の浴槽用手摺りの断面図であり、図3に示す第1実施形態の浴槽用手摺りの断面図と同じ高さの断面を示すものである。第2実施形態の浴槽用手摺りは、第1実施形態の浴槽用手摺りと同様、主に、手摺り部200(図2)と、本体部として本体100(図2)と、連結構造20とを備える。手摺り部200は、把手部として上部グリップ210と、第2部材として2本の支柱220とから構成されている。
【0101】
図5に示すように、第2実施形態の浴槽用手摺りの連結構造20が第1実施形態の浴槽用手摺りの連結構造10(図3)と異なる点としては、支柱220には、軸に沿って複数の主孔221aと副孔221bが形成されている。主孔221aと副孔221bとは支柱220の径の両端に形成されて、互いに対向している。主孔221aは係合穴の一例であり、副孔221bは副係合穴の一例である。主孔221aは深さD、副孔221bは深さD、主孔221aから副孔221bまでの距離、すなわち、支柱220の内径は径Dの大きさに形成されている。
【0102】
手摺り部収容部114において、仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、支柱220の主孔221aの深さDと副孔221bの深さDと支柱220の径Dとの合計の大きさ以上に形成されている。
【0103】
固定ピン302の挿入ピン320の長さは、固定ピン302が手摺り部収容部114に取り付けられたとき、支柱220の主孔221aと副孔221bの両方に完全に挿入される長さに形成されている。腕330は、第1実施形態の腕330と比較して長く、固定ピン302は全体としてU字形状に形成されている。なお、腕330の長さは適宜設計されればよい。固定ピン302のその他の構成は、第1実施形態の固定ピン301と同様である。
【0104】
図5に示す状態においては、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bの両方に完全に挿入されている。この状態では、手摺り部収容部114と支柱220が固定ピン302によって連結されて本係止状態にある。
【0105】
図6に示すように、使用者が第1実施形態と同様にして固定ピン302を引き抜くと、脱落防止リブ340は、係止用延長部118上を本係止部117から仮係止部116に向かって移動する。
【0106】
脱落防止リブ340が仮係止部116に到達すると、脱落防止リブ340は仮係止部116によって係止される。このとき、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bからは完全に抜き出されている。一方、挿入ピン320は、手摺り部収容部114の孔115には挿入されたままである。すなわち、固定ピン302によって手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていないが、固定ピン302が手摺り部収容部114上に係止されている仮係止状態にある。
【0107】
以上のように、浴槽用手摺りの連結構造20は、手摺り部収容部114と、手摺り部収容部114と連結される支柱220と、手摺り部収容部114と支柱220とを連結する固定ピン302とを備える。
【0108】
手摺り部収容部114には孔115が形成され、支柱220には主孔221aが形成されている。固定ピン302は、カバー310と、挿入ピン320と、腕330と、脱落防止リブ340とを含む。カバー310は、孔115と主孔221aを覆う。挿入ピン320は、カバー310から突出するように形成されて手摺り部収容部114の孔115と支柱220の主孔221aとに挿入される。腕330は、カバー310に接続され、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びる。脱落防止リブ340は、腕330に形成されて手摺り部収容部114上に係止される。手摺り部収容部114は、脱落防止リブ340を着脱可能に係止する仮係止部116と本係止部117と、仮係止部116と本係止部117との間に形成される係止用延長部118とを含む。仮係止部116は、本係止部117と比較して孔115に近い位置に配置されている。仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、支柱220の主孔221aの深さD以上である。
【0109】
このようにすることにより、取り扱いが簡単な連結構造20を備える浴槽用手摺りを提供することができる。
【0110】
また、浴槽用手摺りの連結構造20においては、手摺り部収容部114は相対的に内径の大きい筒であり、支柱220は相対的に内径の小さい筒である。支柱220は手摺り部収容部114の内部でスライド可能に手摺り部収容部114の内部に収容されている。支柱220は、主孔221aと対向する位置に副孔221bが形成されている。挿入ピン320は、主孔221aと副孔221bとの両方を貫通する長さに形成されている。仮係止部116の孔115側の端部と本係止部117の孔115側の端部との間の距離Dは、支柱220の主孔221aの深さDと、支柱220の主孔221aから副孔221bまでの距離Dと、支柱220の副孔221bの深さDとの合計の長さ以上である。
【0111】
このようにすることにより、挿入ピン320の長さを、支柱220の主孔221aと副孔221bとの両方を貫通する長さにし、支柱220の主孔221aと副孔221bに挿入ピン320を挿入して、手摺り部収容部114と支柱220とをより強固に連結することができる。また、支柱220と手摺り部収容部114との連結が解除された状態で、固定ピン302を手摺り部収容部114上に係止させることができる。
【0112】
第2実施形態の浴槽用手摺りのその他の構成と効果は、第1実施形態の浴槽用手摺り1と同様である。
【0113】
(第3実施形態)
第3実施形態の浴槽用手摺りは、第1実施形態の浴槽用手摺りとほぼ同様の構成を備える。
【0114】
図7は、第3実施形態の浴槽用手摺りの断面図であり、図3に示す第1実施形態の浴槽用手摺りの断面図と同じ高さの断面を示すものである。第3実施形態の浴槽用手摺りは、第1実施形態の浴槽用手摺りと同様、主に、手摺り部200(図2)と、本体部として本体100(図2)と、連結構造30とを備える。手摺り部200は、把手部として上部グリップ210と、第2部材として2本の支柱220とから構成されている。
【0115】
図7と図8とに示すように、第3実施形態の浴槽用手摺りの連結構造30が第1実施形態の浴槽用手摺りの連結構造10(図3)と異なる点としては、支柱220には、軸に沿って複数の主孔221aと副孔221bが形成されている。主孔221aと副孔221bとは支柱220の径の両端に形成されて、互いに対向している。主孔221aは係合穴の一例であり、副孔221bは副係合穴の一例である。主孔221aは深さD、副孔221bは深さD、主孔221aから副孔221bまでの距離、すなわち、支柱220の内径は径Dの大きさに形成されている。
【0116】
また、第3実施形態の浴槽用手摺りにおいては、手摺り部収容部114に主孔115aと副孔115bとが形成されている。主孔115aと副孔115bとは手摺り部収容部114の筒状の内径の両端に形成されて、互いに対向している。この実施形態においては、副孔115bは、手摺り部収容部114の内壁面上に形成された凹部であり、手摺り部収容部114の壁面を貫通していない。主孔115aは係合穴の一例であり、副孔115bは副係合穴の一例である。副孔115bは深さD11の大きさに形成されている。この実施形態の手摺りにおいては、支柱220の副孔221bと手摺り部収容部114の副孔115bとの間には、距離D10の隙間が形成されている。
【0117】
手摺り部収容部114において、仮係止部116の主孔115a側の端部と本係止部117の主孔115a側の端部との間の距離D12は、支柱220の主孔221aの深さDと副孔221bの深さDと支柱220の径Dと、支柱220の副孔221bから手摺り部収容部114の副孔115bまでの距離D10と、副孔115bの深さD11との合計の大きさであるように形成されている。
【0118】
固定ピン303の挿入ピン320の長さは、固定ピン303が手摺り部収容部114に取り付けられたとき、支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bとのすべてに完全に挿入される長さに形成されている。腕330は、第1実施形態の腕330と比較して長く、固定ピン303は全体としてU字形状に形成されている。なお、腕330の長さは適宜設計されればよい。固定ピン303のその他の構成は、第1実施形態の固定ピン301と同様である。
【0119】
図7に示す状態においては、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bとのすべてに完全に挿入されている。この状態では、手摺り部収容部114と支柱220が固定ピン303によって連結されて本係止状態にある。
【0120】
図9に示すように、使用者が第1実施形態と同様にして固定ピン303を引き抜くと、脱落防止リブ340は、係止用延長部118上を本係止部117から仮係止部116に向かって移動する。
【0121】
脱落防止リブ340が仮係止部116に到達すると、脱落防止リブ340は仮係止部116によって係止される。このとき、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の副孔115bとからは完全に抜き出されている。一方、挿入ピン320は、手摺り部収容部114の主孔115aには挿入されたままである。すなわち、固定ピン303によって手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていないが、固定ピン303が手摺り部収容部114上に係止されている仮係止状態にある。
【0122】
以上のように、浴槽用手摺りの連結構造30は、手摺り部収容部114と、手摺り部収容部114と連結される支柱220と、手摺り部収容部114と支柱220とを連結する固定ピン303とを備える。
【0123】
手摺り部収容部114には主孔115aが形成され、支柱220には主孔221aが形成されている。固定ピン303は、カバー310と、挿入ピン320と、腕330と、脱落防止リブ340とを含む。カバー310は、主孔115aを覆う。挿入ピン320は、カバー310から突出するように形成されて手摺り部収容部114と支柱220との主孔115aと主孔221aとに挿入される。腕330は、カバー310に接続され、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びる。脱落防止リブ340は、腕330に形成されて手摺り部収容部114上に係止される。手摺り部収容部114は、脱落防止リブ340を着脱可能に係止する仮係止部116と本係止部117と、仮係止部116と本係止部117との間に形成される係止用延長部118とを含む。仮係止部116は、本係止部117と比較して主孔115aに近い位置に配置されている。仮係止部116の主孔115a側の端部と本係止部117の主孔115a側の端部との間の距離D12は、支柱220の主孔221aの深さD以上である。
【0124】
このようにすることにより、取り扱いが簡単な連結構造30を備える浴槽用手摺りを提供することができる。
【0125】
また、浴槽用手摺りの連結構造30においては、手摺り部収容部114は、主孔115aと対向する位置に副孔115bが形成されている。仮係止部116の主孔115a側の端部と本係止部117の主孔115a側の端部との間の距離は、支柱220の主孔115aの深さDと、支柱220の主孔221aから副孔221bまでの距離Dと、支柱220の副孔221bの深さDと、支柱220の副孔221bから手摺り部収容部114の副孔115bまでの距離D10と、手摺り部収容部114の副孔115bの深さD11との合計の長さ以上である。
【0126】
このようにすることにより、挿入ピン320の長さを、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bとの両方を貫通する長さにし、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bと、支柱220の主孔221aと副孔221bとに挿入ピン320を挿入して、手摺り部収容部114と支柱220とをより強固に連結することができる。また、支柱220と手摺り部収容部114との連結が解除された状態で、固定ピン303を手摺り部収容部114上に係止させることができる。
【0127】
第3実施形態の浴槽用手摺りのその他の構成と効果は、第1実施形態の浴槽用手摺り1と同様である。
【0128】
(第4実施形態)
第4実施形態の浴槽用手摺りは、第3実施形態の浴槽用手摺りとほぼ同様の構成を備える。
【0129】
図10は、第4実施形態の浴槽用手摺りの断面図であり、図3に示す第1実施形態の浴槽用手摺りの断面図と同じ高さの断面を示すものである。第4実施形態の浴槽用手摺りは、第1実施形態の浴槽用手摺りと同様、主に、手摺り部200(図2)と、本体部として本体100(図2)と、連結構造40とを備える。手摺り部200は、把手部として上部グリップ210と、第2部材として2本の支柱220とから構成されている。
【0130】
図10と図11とに示すように、第4実施形態の浴槽用手摺りの連結構造40が第1実施形態の浴槽用手摺りの連結構造10(図3)と異なる点としては、第3実施形態と同様、支柱220には、軸に沿って複数の主孔221aと副孔221bが形成されている。主孔221aと副孔221bとは支柱220の径の両端に形成されて、互いに対向している。主孔221aは係合穴の一例であり、副孔221bは副係合穴の一例である。主孔221aは深さD、副孔221bは深さD、主孔221aから副孔221bまでの距離、すなわち、支柱220の内径は径Dの大きさに形成されている。
【0131】
また、第4実施形態の浴槽用手摺りにおいては、第3実施形態と同様に、手摺り部収容部114に主孔115aと副孔115bとが形成されている。主孔115aと副孔115bとは手摺り部収容部114の筒状の内径の両端に形成されて、互いに対向している。この実施形態においては、副孔115bは、手摺り部収容部114の内壁面上に形成された凹部であり、手摺り部収容部114の壁面を貫通していない。主孔115aは係合穴の一例であり、副孔115bは副係合穴の一例である。副孔115bは深さD11の大きさに形成されている。この実施形態の手摺りにおいては、支柱220の副孔221bと手摺り部収容部114の副孔115bとの間には、距離D10の隙間が形成されている。
【0132】
第4実施形態の浴槽用手摺りの連結構造40が第3実施形態の連結構造30と異なる点としては、手摺り部収容部114には、第1部材側係止部として一対の係止部119と、平面部として一対の係止用延長部118aとが形成されている。係止部119は、係止用延長部118aに対して突出している凸部として、手摺り部収容部114の外周面上に形成されている。
【0133】
固定ピン304の挿入ピン320の長さは、固定ピン304が手摺り部収容部114に取り付けられたとき、支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bとのすべてに完全に挿入される長さに形成されている。腕330は、第1実施形態の腕330と比較して長く、固定ピン304は全体としてU字形状に形成されている。なお、腕330の長さは適宜設計されればよい。
【0134】
また、固定ピン304の一対の腕330には、それぞれ、連結部側本係止部として本係止リブ341と連結部側仮係止部として仮係止リブ342と、滑り防止リブ350とが形成されている。本係止リブ341のカバー310側の端部と、仮係止リブ342のカバー310側の端部との間の距離D13は、支柱220の主孔221aの深さDと副孔221bの深さDと支柱220の径Dと、支柱220の副孔221bから手摺り部収容部114の副孔115bまでの距離D10と、副孔115bの深さD11との合計の大きさであるように形成されている。なお、この実施形態においては、カバー310と腕330とは一体に成形されている。カバー310と腕330とは、例えば、別個の部材によって形成され、互いに固着されていてもよい。滑り防止リブ350は、カバー310の両脇において、カバー310よりも腕330の先端側に形成されている。滑り防止リブ350は、挿入ピン320の反対側に向かって突出する突起である。滑り防止リブ350は、カバー310と仮係止リブ342との間に形成されていることが好ましく、カバー310と本係止リブ341との間に形成されていることがより好ましい。
【0135】
図10に示す状態においては、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の主孔115aと副孔115bとのすべてに完全に挿入されている。この状態では、手摺り部収容部114と支柱220が固定ピン304によって連結されて本係止状態にある。
【0136】
図12に示すように、使用者が第1実施形態と同様にして固定ピン304を引き抜くと、仮係止リブ342は、係止用延長部118a上を係止部119に向かって移動する。
【0137】
仮係止リブ342が係止部119に到達すると、仮係止リブ342は係止部119によって係止される。このとき、挿入ピン320は支柱220の主孔221aと副孔221bと、手摺り部収容部114の副孔115bとからは完全に抜き出されている。一方、挿入ピン320は、手摺り部収容部114の主孔115aには挿入されたままである。すなわち、固定ピン304によって手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていないが、固定ピン304が手摺り部収容部114上に係止されている仮係止状態にある。
【0138】
以上のように、第4実施形態の浴槽用手摺りの連結構造40は、手摺り部収容部114と、手摺り部収容部114と連結される支柱220と、手摺り部収容部114と支柱220とを連結する固定ピン304とを備える。
【0139】
手摺り部収容部114と支柱220にはそれぞれ主孔115a、主孔221aが形成されている。固定ピン304は、カバー310と、挿入ピン320と、腕330と、仮係止リブ342と本係止リブ341とを含む。カバー310は、主孔115aと主孔221aとを覆う。挿入ピン320は、カバー310から突出するように形成されて手摺り部収容部114の主孔115aと支柱220の主孔221aに挿入される。腕330は、カバー310に接続されて挿入ピン320の延びる方向に沿って延びる。仮係止リブ342と本係止リブ341とは、腕330に形成されて手摺り部収容部114上に係止される。手摺り部収容部114は、仮係止リブ342と本係止リブ341とを着脱可能に係止する係止部119と、係止部119に隣接して形成される係止用延長部118aとを含む。係止用延長部118aは、係止部119よりも、主孔115aから遠い位置に形成されている。本係止リブ341は、仮係止リブ342と比較して、カバー310に近い位置に配置されている。本係止リブ341においてカバー310側の端部と仮係止リブ342においてカバー310側の端部との間の距離は、主孔221aの深さD以上である。
【0140】
以上のように構成された連結構造40では、手摺り部収容部114と支柱220は次のようにして連結される。まず、主孔115aと主孔221aとを合わせる。次に、固定ピン304のカバー310が主孔115aと主孔221aとを覆うようにして、カバー310から突出する挿入ピン320を主孔115aと主孔221aに挿入する。固定ピン304のカバー310からは腕330が延びている。腕330は、挿入ピン320の延びる方向に沿って延びており、腕330には仮係止リブ342と本係止リブ341とが形成されている。挿入ピン320を手摺り部収容部114と支柱220の外部から、主孔115aと主孔221aの内部に挿入することによって、腕330の仮係止リブ342と本係止リブ341とは、主孔115aと主孔221aの外部において、挿入ピン320が挿入される向きに移動される。
【0141】
固定ピン304の本係止リブ341は、仮係止リブ342よりもカバー310に近い位置に配置されている。主孔115aと主孔221aの外部において、固定ピン304が挿入ピン320が挿入される向きに移動されると、まず、仮係止リブ342が係止部119の位置に到達する。仮係止リブ342は、係止部119に係止され得るが、さらに挿入ピン320を主孔115aと主孔221aとの内部に向かって挿入することによって、仮係止リブ342は、係止部119から係止用延長部118aに向かって移動される。係止用延長部118aは、係止部119と隣接して、係止部119よりも主孔115aから遠い位置に形成されている。そのため、係止部119を通りすぎて、主孔115aから遠ざかる方向に仮係止リブ342が移動されるとき、手摺り部収容部114において係止部119に隣接する部分が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、本係止リブ341と仮係止リブ342とが形成されている腕330を大きく変形させる必要がない。
【0142】
さらに挿入ピン320が主孔115aと主孔221aとの内部に向かって挿入されると、次に、本係止リブ341が係止部119の位置に到達する。本係止リブ341は係止部119に係止される。
【0143】
挿入ピン320の長さは、適宜設計される。例えば、本係止リブ341が係止部119に係止されるときに、挿入ピン320においてカバー310と反対側の端部が主孔221aに完全に挿入されるように、挿入ピン320の長さを設計することができる。
【0144】
次に、手摺り部収容部114と支柱220との連結を解除する場合の操作について説明する。挿入ピン320が主孔115aと主孔221aとから抜き出される方向に固定ピン304が移動されることによって、まず、本係止リブ341が係止部119から外れる。一方、仮係止リブ342は係止用延長部118a上を移動する。そのため、係止部119よりも手摺り部収容部114の主孔115aから遠い位置において係止部119に隣接する部分が曲面や凹凸面で形成されている場合と比較して、仮係止リブ342と本係止リブ341とが形成されている腕330を大きく変形させる必要がない。
【0145】
仮係止リブ342においてカバー310側の端部と本係止リブ341においてカバー310側の端部との間の距離は、主孔221aの深さ以上である。したがって、例えば、挿入ピン320の長さが上述のように設計されている場合には、挿入ピン320が主孔221aに完全に挿入された状態では本係止リブ341が係止部119に係止され、仮係止リブ342が係止部119に係止されているときには、挿入ピン320が主孔221aから完全に抜け出した状態にあるようにすることができる。挿入ピン320が主孔221aから完全に抜け出した状態では、手摺り部収容部114と支柱220とは連結されていない。
【0146】
固定ピン304がさらに移動されると、仮係止リブ342が係止部119に係止される位置に到達する。例えば、挿入ピン320の長さが上述のように設計されている場合には、仮係止リブ342が係止部119に係止されているときには、挿入ピン320は主孔221aから完全に抜け出した状態にある。
【0147】
以上のように、挿入ピン320が主孔221aから完全に抜け出したとき、すなわち、手摺り部収容部114と支柱220とが連結されていない状態で、固定ピン304の仮係止リブ342が係止部119に係止されている。このようにすることにより、手摺り部収容部114と支柱220との連結を解除して手摺り部収容部114と支柱220との位置関係を調節するときに、固定ピン304を手摺り部収容部114からも支柱220からも外して紛失することがなくなる。
【0148】
また、係止部119と隣接して、係止部119よりも主孔115aから遠い位置に係止用延長部118aが形成されていることによって、仮係止リブ342が係止部119に係止される位置から本係止リブ341が係止部119に係止される位置まで固定ピン304を移動するときに、腕330の変形を従来よりも少なくすることができる。また、本係止リブ341が係止部119に係止される位置から仮係止リブ342が係止部119に係止される位置まで固定ピン304を移動するときに、腕330の変形を従来よりも少なくすることができる。
【0149】
また、第4実施形態の浴槽用手摺りの連結構造40においては、手摺り部収容部114は相対的に内径の大きい筒であり、支柱220は相対的に内径の小さい筒である。支柱220は手摺り部収容部114の内部でスライド可能に手摺り部収容部114の内部に収容されている。支柱220は、主孔221aと対向する位置に副孔221bが形成されている。挿入ピン320は、主孔221aと副孔221bとの両方を貫通する長さに形成されている。本係止リブ341においてカバー310側の端部と仮係止リブ342においてカバー310側の端部との間の距離D13は、主孔221aの深さDと、主孔221aから副孔221bまでの距離Dと、副孔221bの深さDとの合計の長さ以上である。
【0150】
このようにすることにより、挿入ピン320の長さを、主孔221aと副孔との両方を貫通する長さにし、主孔221aと副孔に挿入ピン320を挿入して、手摺り部収容部114と支柱220とをより強固に連結することができる。また、支柱220と手摺り部収容部114との連結が解除された状態で、固定ピン304を手摺り部収容部114上に係止させることができる。
【0151】
また、第4実施形態の浴槽用手摺りの連結構造40においては、手摺り部収容部114は、主孔115aと対向する位置に副孔115bが形成されている。本係止リブ341においてカバー310側の端部と仮係止リブ342においてカバー310側の端部との間の距離D13は、主孔221aの深さDと、主孔221aから副孔221bまでの距離Dと、副孔221bの深さDと、副孔221bから副孔115bまでの距離D10と、副孔115bの深さD11との合計の長さ以上である。
【0152】
このようにすることにより、挿入ピン320の長さを、主孔115aと副孔115bとの両方を貫通する長さにし、主孔115aと副孔115bと、主孔221aと副孔221bとに挿入ピン320を挿入して、手摺り部収容部114と支柱220とをより強固に連結することができる。また、支柱220と手摺り部収容部114との連結が解除された状態で、固定ピン304を手摺り部収容部114上に係止させることができる。
【0153】
第4実施形態の浴槽用手摺りのその他の構成と効果は、第3実施形態の浴槽用手摺りと同様である。
【0154】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
【符号の説明】
【0155】
1:浴槽用手摺り、10,20,30,40:連結構造、100:本体、114:手摺り部収容部、115:孔、115a:主孔、115b:副孔、116:仮係止部、117:本係止部、118,118a:係止用延長部、119:係止部、200:手摺り部、210:上部グリップ、220:支柱、221:孔、221a:主孔、221b:副孔、301,302,303,304:固定ピン、310:カバー、320:挿入ピン、330:腕、340:脱落防止リブ、341:本係止リブ、342:仮係止リブ、400:固定ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材と連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結する連結部とを備え、
前記第1部材と前記第2部材にはそれぞれ係合穴が形成され、
前記連結部は、前記係合穴を覆う被覆部と、前記被覆部から突出するように形成されて前記第1部材と前記第2部材との係合穴に挿入される挿入部と、前記被覆部に接続されて前記挿入部の延びる方向に沿って延びる腕部と、前記腕部に形成されて前記第1部材上に係止される連結部側係止部とを含み、
前記第1部材は、前記連結部側係止部を着脱可能に係止する第1部材側仮係止部と第1部材側本係止部と、前記第1部材側仮係止部と前記第1部材側本係止部との間に形成される平面部とを含み、
前記第1部材側仮係止部は、前記第1部材側本係止部と比較して、前記第1部材の係合穴に近い位置に配置され、
前記第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と前記第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さ以上である、連結構造。
【請求項2】
前記連結部側係止部は凸部であり、
前記第1部材側仮係止部は、前記第1部材の外側表面に形成される凹部であり、
前記凹部の深さは、前記第1部材の係合穴に近い側で深く、前記第1部材の係合穴から遠い側で浅い、請求項1に記載の連結構造。
【請求項3】
前記第1部材は相対的に内径の大きい筒であり、
前記第2部材は相対的に内径の小さい筒であり、
前記第2部材は前記第1部材の内部でスライド可能に前記第1部材の内部に収容され、
前記第2部材は、前記第2部材の係合穴に対向する位置に副係合穴が形成され、
前記第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と前記第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さと、前記第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、前記第2部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上である、請求項1または請求項2に記載の連結構造。
【請求項4】
前記第1部材は、前記第1部材の係合穴に対向する位置に副係合穴が形成され、
前記第1部材側仮係止部において前記第1部材の係合穴側の端部と前記第1部材側本係止部において前記第1部材の係合穴側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さと、前記第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、前記第2部材の副係合穴の深さと、前記第2部材の副係合穴から前記第1部材の副係合穴までの距離と、前記第1部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上である、請求項3に記載の連結構造。
【請求項5】
第1部材と、
前記第1部材と連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結する連結部とを備え、
前記第1部材と前記第2部材にはそれぞれ係合穴が形成され、
前記連結部は、前記係合穴を覆う被覆部と、前記被覆部から突出するように形成されて前記第1部材と前記第2部材との係合穴に挿入される挿入部と、前記被覆部に接続されて前記挿入部の延びる方向に沿って延びる腕部と、前記腕部に形成されて前記第1部材上に係止される連結部側仮係止部と連結部側本係止部とを含み、
前記第1部材は、前記連結部側仮係止部と前記連結部側本係止部とを着脱可能に係止する第1部材側係止部と、前記第1部材側係止部に隣接して、前記第1部材側係止部よりも前記係合穴から遠い位置に形成される平面部とを含み、
前記連結部側本係止部は、前記連結部側仮係止部と比較して、前記被覆部に近い位置に配置され、
前記連結部側本係止部において前記被覆部側の端部と前記連結部側仮係止部において前記被覆部側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さ以上である、連結構造。
【請求項6】
前記第1部材は相対的に内径の大きい筒であり、
前記第2部材は相対的に内径の小さい筒であり、
前記第2部材は前記第1部材の内部でスライド可能に前記第1部材の内部に収容され、
前記第2部材は、前記第2部材の係合穴に対向する位置に副係合穴が形成され、
前記連結部側本係止部において前記被覆部側の端部と前記連結部側仮係止部において前記被覆部側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さと、前記第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、前記第2部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上である、請求項5に記載の連結構造。
【請求項7】
前記第1部材は、前記第1部材の係合穴に対向する位置に副係合穴が形成され、
前記連結部側本係止部において前記被覆部側の端部と前記連結部側仮係止部において前記被覆部側の端部との間の距離は、前記第2部材の係合穴の深さと、前記第2部材の係合穴から副係合穴までの距離と、前記第2部材の副係合穴の深さと、前記第2部材の副係合穴から前記第1部材の副係合穴までの距離と、前記第1部材の副係合穴の深さとの合計の長さ以上である、請求項6に記載の連結構造。
【請求項8】
前記係合穴は、前記第2部材に複数形成されている、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項9】
把手部を含む手摺り部と、
浴槽の側壁に配置されて前記手摺り部を支持する本体部と、
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の連結構造を備え、
前記第1部材は前記本体部に配置され、
前記第2部材は前記手摺り部に配置されて前記把手部に固着されている、浴槽用手摺り。
【請求項10】
前記手摺り部を前記本体部に固定する固定部を備える、請求項9に記載の浴槽用手摺り。
【請求項11】
前記固定部は、前記手摺り部と前記本体部の上表面との間に配置される、請求項10に記載の浴槽用手摺り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−17628(P2013−17628A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152996(P2011−152996)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】