説明

連結用ロープ又は吊り下げ用ロープ

【課題】 連結用ロープを自然石やコンクリートブロックに穿たれた孔に挿入し、孔に硬化性樹脂を充填して取り付けたときに、孔から引き抜かれにくい連結ロープを提供する。
【解決手段】 この連結用ロープは、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されてなるストランドを、3本引き揃えて加撚した撚りロープよりなる。この連結用ロープは両末端部位にアンカー部1を持つので、アンカー効果によって、孔から引き抜かれにくくなっている。アンカー部1は、撚りロープの末端を解撚して3本のストランドA,B及びCを得た後、ストランドAはストランドBのループで、ストランド束Bはストランド束Cのループで、ストランド束Cはストランド束Aのループで、各々、解撚開始点3に締めつけられ、ストランドA,B及びCの各々の端末は、未解撚部4のストランド間に挿入されて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の根固め工や護岸工等に、自然石、擬石又はコンクリートブロック等(以下、「石材」という。)を用いる際、これらを連結するための連結用ロープ又はこれらを吊り下げて移動させるための吊り下げ用ロープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川や海岸の根固め工や護岸工等において、石材を川床や地盤に敷設することが行われている。この際、石材を一個づつ敷設すると、水流や波によって押し流されてしまうので、複数の石材を連結して敷設することが行われている。
【0003】
石材の連結具としては、従来より、金属製アンカーが用いられているが、金属製故に錆びて脆くなり、長期に亙って使用できないということがあった。このため、合成繊維製ロープを連結具として用いることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
この合成繊維製ロープは、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されてなるストランドを、3本引き揃えて加撚した撚りロープよりなるものであり、この芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分による融着及び固化によって高剛性化されたものである(特許文献1の段落0037)。
【0005】
この合成繊維製ロープは、以下のようにして連結具として用いられている。すなわち、二つの石材に孔を穿ち、一方の石材の孔に合成繊維製ロープの一方の末端部位を挿入し、他方の石材の孔に当該合成繊維性ロープの他方の末端部位を挿入した後、硬化性樹脂を各孔に充填し硬化を完了させて、二つの石材を合成繊維製ロープで連結するというものである。
【0006】
【特許文献1】特開2010−43447号公報(特許請求の範囲及び段落0037)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された合成繊維製ロープは錆びにくく、長期に亙って使用できるものである。しかるに、合成繊維製ロープの末端部位は、ストランドが引き揃えられて加撚されているだけで比較的平滑なため、石材の孔に挿入して硬化性樹脂で固めても、引き抜かれやすいということがあった。そこで、本発明は、石材の孔に挿入される末端部位に球根のような膨らみを設け、固めた硬化性樹脂に対するアンカー効果を増大させ、孔から合成繊維製ロープが引き抜かれにくいようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されてなるストランドを、少なくとも3本以上引き揃えて加撚した撚りロープよりなり、該芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分による融着及び固化によって高剛性化された連結ロープにおいて、前記連結ロープは、両末端部位にアンカー部を持ち、該アンカー部は、前記撚りロープの末端の所定長を解撚して、未解撚部と、解撚開始点から3本のストランド束A,B及びCに分離した解撚部とを形成し、該ストランド束Aは該ストランド束Bで形成されたループで、該ストランド束Bは該ストランド束Cで形成されたループで、該ストランド束Cは該ストランド束Aで形成されたループで、各々、解撚開始点に締めつけられており、該ストランド束A,B及びCの各々の端末は、該未解撚部のストランド間に挿入されてなることを特徴とする連結用ロープに関するものである。
【0009】
また、本発明は連結用ロープだけではなく、吊り下げ用ロープに関するものである。すなわち、ロープの一方の末端部位に連結用ロープのアンカー部を持ち、他方の末端部位に環部を持ち、該環部は、撚りロープの他方末端の所定長を解撚して、未解撚部と解撚開始点から3本のストランド束a,b及びcに分離した解撚部とを形成すると共に、該未解撚部で環を形成し、該環が形成されていない未解撚部のストランド間に、該ストランド束a,b及びcの各々の端末が挿入されてなることを特徴とする吊り下げ用ロープに関するものである。
【0010】
また、本発明は、上記した連結用ロープを用いて、二つの石材を連結する方法に関し、一方のアンカー部を石材に穿たれた孔に挿入し、他方のアンカー部を他の石材に穿たれた孔に挿入した後、硬化性接着剤を各孔内に充填し硬化させることを特徴とする連結ロープによる石材の連結方法に関するものである。
【0011】
また、本発明は、上記した吊り下げ用ロープを石材に取り付ける方法に関し、アンカー部を石材に穿たれた孔に挿入した後、硬化性接着剤を該孔内に充填し硬化させることを特徴とする吊り下げ用ロープの石材への取付方法に関するものである。吊り下げ用ロープが取り付けられた石材は、吊り下げ用ロープの環部をフック等で引っ掛けることにより、クレーン等によって移動させうるのである。
【0012】
また、本発明は、連結用ロープの一方のアンカー部が石材に埋入された状態で固着されていることを特徴とする連結用ロープ付き石材に関するものである。かかる連結用ロープ付き石材は、石材に孔を穿ち、この孔に連結用ロープのアンカー部を挿入した後、硬化性接着剤を孔内に充填し効果させることにより得られる。また、石材が擬石又はコンクリートブロックである場合は、擬石原料又はコンクリート原料を型枠内に充填した後、連結用ロープの一方のアンカー部を該擬石原料又は該コンクリート原料内に差し入れ、次いで、該擬石原料又は該コンクリート原料を凝固させて得ることもできる。後者の方法で得られた連結用ロープ付き擬石又はコンクリートブロックは、硬化性樹脂が用いられていない。
【0013】
また、本発明は、吊り下げ用ロープのアンカー部が石材に埋入された状態で固着されていることを特徴とする吊り下げ用ロープ付き石材に関するものである。かかる吊り下げようロープ付き石材は、石材に孔を穿ち、この孔に吊り下げ用ロープのアンカー部を挿入した後、硬化性接着剤を孔内に充填し効果させることにより得られる。また、石材が擬石又はコンクリートブロックである場合は、擬石原料又はコンクリート原料を型枠内に充填した後、吊り下げ用ロープのアンカー部を該擬石原料又は該コンクリート原料内に差し入れ、次いで、該擬石原料又は該コンクリート原料を凝固させて得ることもできる。後者の方法で得られた吊り下げ用ロープ付き擬石又はコンクリートブロックは、硬化性樹脂が用いられていない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る連結用ロープ又は吊り下げ用ロープに設けられたアンカー部は、撚りロープの末端部位を解撚して得られた少なくとも3本のストランド束A,B及びCを、それぞれのストランド束が他のストランド束のループで解撚開始点において締めつけ、さらに、各ストランド束A,B及びCの端末を、未解撚部のストランド間に挿入した構成となっている。すなわち、ストランド束A,B及びCが均等に絡んで、ロープの末端部位を均等に膨出させている。したがって、アンカー部は、未解撚部に比べてその径が大きくなって、球根のような形状となっている。よって、このアンカー部を石材の孔に挿入して、硬化性樹脂を孔に充填して硬化させると、アンカー効果によって、連結用ロープ又は吊り下げ用ロープが孔から引き抜かれにくいという効果を奏する。
【0015】
また、硬化性樹脂を用いることなく得られた連結用ロープ付き又は吊り下げ用ロープ付き擬石又はコンクリートブロックの場合も、アンカー部が擬石又はコンクリートブロック内部に埋入されており、アンカー部が球根のような形状となっているので、連結用ロープ又は吊り下げ用ロープが引き抜かれにくいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の一例に係る連結用ロープの平面図である。
【図2】図2は本発明の一例に係る吊り下げ用ロープの平面図である。
【図3】図3は本発明の一例に係る連結用ロープ又は吊り下げ用ロープのアンカー部を形成する一つの方法を模式的に図示したものである。
【図4】図4は本発明の他の例に係る連結用ロープ又は吊り下げ用ロープのアンカー部を形成する他の方法を模式的に図示したものである。
【図5】図5は本発明の吊り下げ用ロープの環部を形成する一つの方法を模式的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る連結用ロープ又は吊り下げ用ロープは、撚りロープで形成されたものである。撚りロープとは、ストランドを少なくとも3本以上引き揃えて加撚したものであり、本発明では一般的に3本撚りロープが用いられる。本発明においては、ストランド中に、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されている。一般にストランドは複数本のフィラメントからなるものであり、複数本のフィラメントがいずれも芯鞘型熱融着フィラメントであってもよいし、芯鞘型熱融着フィラメントと共に単相フィラメント等が混合含有されていてもよい。芯鞘型熱融着フィラメントとしては、たとえば、鞘成分が低融点ポリエステルで芯成分が高融点ポリエステルで構成されたフィラメントが採用される。このフィラメントに熱を与えると、芯成分は溶融又は軟化しないけれども、鞘成分が溶融又は軟化して、ストランド中のフィラメント相互間又はストランド間が熱融着されるのである。そして、この熱融着後に鞘成分が固化することにより、撚りロープは、フィラメント及びストランドが動きにくくなり、高剛性化するのである。なお、熱を与えるのは、後述するアンカー部1及び環部2が形成された後である。
【0018】
本発明に係る連結用ロープは、撚りロープの両末端部位にアンカー部1,1を持っている。また、本発明に係る吊り下げ用ロープの一方の末端部位にアンカー部1を持っている。各アンカー部1は、撚りロープの末端の所定長を解撚して作成されるものである。具体的に作成手順の一例を示すと、図3のとおりである。すなわち、撚りロープの末端の所定長を解撚して、3本のストランド束A,B及びCに分離した解撚部を形成する(図3の(1))。撚りロープが3本撚りロープの場合は、ストランド束A,B及びCは、各々1本のストランドよりなる。撚りロープが4本撚りロープの場合は、ストランド束Aは2本のストランドよりなり、ストランド束B及びCは1本のストランドよりなるものとすればよい。解撚は解撚開始点3から行えばよく、解撚したストランド束A,B及びCの長さは、各々、2〜6cm程度でよい。なお、解撚されない箇所は、未解撚部4となっており、当初の撚りロープの形態をそのまま保っている。また、解撚時に未解撚部4が解撚しないように、解撚開始点3の周囲を糸等で縛っておくのが好ましい。
【0019】
次に、ストランド束Aをストランド束Bの裏側でループ形状とする(図3の(2))。そして、ストランド束Bをループ状のストランド束Aの裏側に回してループ形状としながら、ストランド束Bの端末をストランド束Cの表側に位置させる(図3の(3))。次いで、ストランド束Cをループ形状にしながら、ストランド束Cの端末をストランド束Aで形成されたループの中に通す(図3の(4))。そして、ストランド束A,B及びCの端末を、未解撚部4の方向に締めつける(図3の(5))。以上の手順で、ストランド束Aはストランド束Bで形成されたループで、ストランド束Bはストランド束Cで形成されたループで、ストランド束Cはストランド束Aで形成されたループで、各々、均等に解撚開始点3に締めつけられ、団子状となる。その後、ストランド束A,B及びCの端末を、未解撚部4の撚られたストランド相互間の間に順次挿入する。以上のようにして、アンカー部1を得ることができる。
【0020】
また、図4に示す手順でもアンカー部1を得ることができる。まず、図3の場合と同様に、撚りロープを解撚して、ストランド束A,B及びCを形成する(図4の(1))。ストランド束Aをストランド束Cの表側から裏側に回してループ形状とすると共に、ストランド束Cの解撚開始点3近傍を弛ませてループ形状とする(図4の(2))。次いで、ストランド束Bでループを形成し、このループにストランド束Aの端末を通す(図4の(3))。その後、ストランド束Bの端末を、ストランド束Cのループに通す(図4の(4))。以上の手順で、ストランド束Aはストランド束Bで形成されたループで、ストランド束Bはストランド束Cで形成されたループで、ストランド束Cはストランド束Aで形成されたループで、各々、均等に解撚開始点3に締めつけられ、団子状となる。その後、ストランド束A,B及びCの端末を、未解撚部4の撚られたストランド相互間の間に順次挿入する。以上のようにして、アンカー部1を得ることができる。
【0021】
また、本発明に係る吊り下げ用ロープは、その他方の末端部位には環部2を持っている。環部2は、図5に示すような手順で作成することができる。まず、アンカー部1の場合と同様に、撚りロープの末端の所定長を解撚して、3本のストランド束a,b及びcに分離した解撚部を形成すると共に、未解撚部4を曲げてループ状にする(図5の(1))。そして、解撚開始点3を未解撚部4に当接させて閉ループとした状態で、ストランド束a,b及びcを未解撚部4のストランド間に順次挿入する(図5の(2))。これにより、環部2を得ることができる。
なお、アンカー部1及び環部2を作成した連結用ロープ及び吊り下げ用ロープは、その後、芯鞘型熱融着フィラメントに熱を与えて、鞘成分を溶融又は軟化させ、その後冷却して固化し、高剛性化することは前記したとおりである。
【0022】
本発明に係る連結用ロープは、以下のようにして用いることができる。まず、石材に孔を穿つ。孔の形状は任意であるが、一般的に円柱形で、内径2〜5cmで深さが5〜15cm程度である。そして、連結用ロープの場合は、一方のアンカー部1を石材の孔に挿入し、他方のアンカー部1を他の石材の孔に挿入する。そして、それぞれの石材の孔に硬化性接着剤を充填し硬化させれば、二つの石材を連結させることができる。硬化性樹脂としては従来公知のものが用いられる。たとえば、硬化剤と樹脂とからなる2液タイプの常温硬化性樹脂が好適に用いられる。また、大気中の湿気によって硬化する1液タイプの湿気硬化性樹脂も用いられる。なお、樹脂としては、変成アクリル樹脂やエポキシ樹脂等が用いられる。
【0023】
本発明に係る吊り下げ用ロープの場合も、連結用ロープと同様に、アンカー部1を石材の孔に挿入し、硬化性樹脂をその孔に充填し硬化させればよい。吊り下げ用ロープを石材に取り付けておくと、環部2をクレーン等のフックに引っ掛けて、石材を自由に任意の場所に搬送することができる。
【0024】
吊り下げ用ロープの場合は、これを二つ以上組み合わせて、連結用ロープとすることもできる。すなわち、2本の吊り下げ用ロープの環部2同士を繋げれば、両端にアンカー部1,1を持つ連結用ロープとなる。また、2本の吊り下げ用ロープの環部2,2を、一つのリングに繋げれば、両端にアンカー部1,1を持つ連結用ロープとなる。このような環部2同士又は環部2とリングとは、単に2本を繋げるのではなく、3本以上を繋げてもよい。3本以上繋げると、3個以上のアンカー部1,1,1・・・を持つ連結用ロープを得ることができる。なお、環部2同士を繋げたり、環部2とリングを繋げるのは、環部2を作成しながら繋げるのであり、繋げた後に芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分に熱を与えて、高剛性化する。
【0025】
さらに、本発明では、予め石材に連結用ロープ又は吊り下げ用ロープを固着しておいてもよい。具体的には、石材に孔を穿ち、連結用ロープ又は吊り下げ用ロープのアンカー部1をこの孔に差し入れた後、硬化性樹脂を孔に充填し硬化させれば、アンカー部1が石材に埋入し固着している連結用ロープ付き又は吊り下げ用ロープ付き石材を得ることができる。また、石材が擬石又はコンクリートブロックである場合は、以下のような方法で、連結用ロープ付き又は吊り下げ用ロープ付き石材を得ることができる。まず、石粒や接着剤等からなる擬石原料又は砂利やセメント等からなるコンクリート原料を準備する。そして、型枠内に擬石原料又はコンクリート原料を充填した後、この擬石原料又はコンクリート原料の中に、連結用ロープ又は吊り下げ用ロープのアンカー部1を差し入れる。その後、擬石原料又はコンクリート原料を凝固させれば、連結用ロープ又は吊り下げ用ロープのアンカー部1が擬石又はコンクリートに埋入された状態で固着されている連結用ロープ又は吊り下げ用ロープを得ることができる。
【実施例】
【0026】
実施例1
芯成分が融点260℃のポリエステル系重合体で、鞘成分が融点160℃の共重合ポリエステル系重合体である芯鞘型熱融着フィラメント96本よりなる1100dtexのマルチフィラメントを準備した。このマルチフィラメント6本を引き揃えて、Z方向に撚数250T/Mで撚って第一合撚糸を得た。この第一合撚糸3本を引き揃えて、S方向に撚数120T/Mで撚って第二合撚糸を得た。この第二合撚糸6本を引き揃えて、S方向に撚数60T/Mで撚って第三合撚糸を得た。そして、第三合撚糸の周囲を、予め準備した第二合撚糸12本で被覆するようにして引き揃え、S方向に撚数60T/Mで撚って、1本のストランドを得た。このストランド3本を引き揃えて、Z方向に25T/Mで加撚して、ロープ径が14mmの撚りロープを得た。
【0027】
この撚りロープを1mの長さに切断し、その両末端45mmを解撚して、3本のストランドA,B及びCに分離した。そして、図3に示した方法でアンカー部1,1を作成した後、180℃で5分間熱処理し、次いで冷却した。この熱処理及び冷却によって、芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分が溶融した後に固化し、撚りロープを形成している芯鞘型熱融着フィラメント同士が強固に接着し、全体が高剛性化した連結ロープが得られた。
【0028】
実施例2
融点260℃のポリエステル系重合体よりなるポリエステルフィラメント140本よりなる1670dtexのマルチフィラメントを準備した。このマルチフィラメント4本を引き揃えて、Z方向に撚数250T/Mで撚って第一合撚糸を得た。この第一合撚糸3本を引き揃えて、S方向に撚数120T/Mで撚って第二合撚糸を得た。この第二合撚糸6本を引き揃えて、S方向に撚数60T/Mで撚って第三合撚糸を得た。そして、この第三合撚糸の周囲を、実施例1で使用した第二合撚糸12本で被覆するようにして引き揃え、S方向に撚数60T/Mで撚って、1本のストランドを得た。このストランド3本を引き揃えて、Z方向に25T/Mで加撚して、ロープ径が14mmの撚りロープを得た。その後は、実施例1と同一の方法により、連結用ロープを得た。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る連結用ロープ又は吊り下げ用ロープは、石材同士を連結したり、石材を運搬移動させるのに用いられる。したがって、河川や海岸の根固め工や護岸工等の石材を扱う用途に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0030】
1 アンカー部
2 環部
3 解撚開始点
4 未解撚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されてなるストランドを、少なくとも3本以上引き揃えて加撚した撚りロープよりなり、該芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分による融着及び固化によって高剛性化された連結ロープにおいて、
前記連結ロープは、両末端部位にアンカー部を持ち、該アンカー部は、前記撚りロープの末端の所定長を解撚して、未解撚部と、解撚開始点から3本のストランド束A,B及びCに分離した解撚部とを形成し、該ストランド束Aは該ストランド束Bで形成されたループで、該ストランド束Bは該ストランド束Cで形成されたループで、該ストランド束Cは該ストランド束Aで形成されたループで、各々、解撚開始点に締めつけられており、該ストランド束A,B及びCの各々の端末は、該未解撚部のストランド間に挿入されてなることを特徴とする連結用ロープ。
【請求項2】
鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型熱融着フィラメントが含有されてなるストランドを、少なくとも3本以上引き揃えて加撚した撚りロープよりなり、該芯鞘型熱融着フィラメントの鞘成分による融着及び固化によって高剛性化された連結ロープにおいて、
前記連結ロープは、一方の末端部位にアンカー部を持ち、該アンカー部は、前記撚りロープの末端の所定長を解撚して、未解撚部と、解撚開始点から3本のストランド束A,B及びCに分離した解撚部とを形成し、該ストランド束Aは該ストランド束Bで形成されたループで、該ストランド束Bは該ストランド束Cで形成されたループで、該ストランド束Cは該ストランド束Aで形成されたループで、各々、解撚開始点に締めつけられており、該ストランド束A,B及びCの各々の端末は、該未解撚部のストランド間に挿入されてなり、
他方の末端部位に環部を持ち、該環部は、撚りロープの他方末端の所定長を解撚して、未解撚部と解撚開始点から3本のストランド束a,b及びcに分離した解撚部とを形成すると共に、該未解撚部で環を形成し、該環が形成されていない未解撚部のストランド間に、該ストランド束a,b及びcの各々の端末が挿入されてなることを特徴とする吊り下げ用ロープ。
【請求項3】
請求項2記載の吊り下げ用ロープの2本を環部同士繋げて、両末端部位をアンカー部とした連結用ロープ。
【請求項4】
請求項2記載の吊り下げ用ロープの2本を一つのリングに繋げて、両末端部位をアンカー部とした連結用ロープ。
【請求項5】
請求項1、3又は4記載の連結用ロープの一方のアンカー部を石材に穿たれた孔に挿入し、該連結用ロープの他方のアンカー部を他の石材に穿たれた孔に挿入した後、硬化性接着剤を各孔内に充填し硬化させることを特徴とする連結ロープによる石材の連結方法。
【請求項6】
請求項2記載の吊り下げ用ロープのアンカー部を石材に穿たれた孔に挿入した後、硬化性接着剤を該孔内に充填し硬化させることを特徴とする吊り下げ用ロープの石材への取付方法。
【請求項7】
請求項1、3又は4記載の連結用ロープの一方のアンカー部が石材に埋入された状態で固着されていることを特徴とする連結用ロープ付き石材。
【請求項8】
石材が、自然石、擬石又はコンクリートブロックである請求項7記載の連結用ロープ付き石材。
【請求項9】
擬石原料又はコンクリート原料を型枠内に充填した後、請求項1,3又は4記載の連結用ロープの一方のアンカー部を該擬石原料又は該コンクリート原料内に差し入れ、次いで、該擬石原料又は該コンクリート原料を凝固させて擬石又はコンクリートブロックを得ることを特徴とする連結用ロープ付き石材の製造方法。
【請求項10】
請求項2記載の吊り下げ用ロープのアンカー部が石材に埋入された状態で固着されていることを特徴とする吊り下げ用ロープ付き石材。
【請求項11】
石材が、自然石、擬石又はコンクリートブロックである請求項10記載の吊り下げ用ロープ付き石材。
【請求項12】
擬石原料又はコンクリート原料を型枠内に充填した後、請求項2記載の吊り下げ用ロープのアンカー部を該擬石原料又は該コンクリート原料内に差し入れ、次いで、該擬石原料又は該コンクリート原料を凝固させて擬石又はコンクリートブロックを得ることを特徴とする吊り下げ用ロープ付き石材の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−127006(P2012−127006A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276566(P2010−276566)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(000226356)日建工学株式会社 (24)
【出願人】(599099928)石田製綱株式会社 (2)
【出願人】(592197315)ユニチカトレーディング株式会社 (84)
【Fターム(参考)】