説明

連結組立体

第1部品を第2部品に結合するための連結組立体であって、第1部品に接続するためのシャフトと、第2部品に接続するための設置プレートを含むブラケットとを具備する連結組立体が提供される。ブラケットは、設置プレートから延在するブラケットアームと、該ブラケットアーム上に貫通孔を有する頭部とを有する。シャフトは貫通孔内に受容される。設定装置は、前記シャフトの軸線方向において頭部に対するシャフトの位置を設定するために頭部とシャフトとの間で作用する。組立体は一つ以上の球状の軸受面を更に含み、一つ以上の球状の軸受面は、二つの直交方向において、頭部に対する中心点回りのシャフトの傾きに適応すべく設定装置の自己整列を可能とする。また、一つ以上の連結組立体によって第2部品に結合された第1部品を具備する継手も提供される。さらに、一つ以上の連結組立体を使用して継手を形成する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を互いに結合するための連結組立体に関する。本発明は、連結組立体を使用して形成された継手と、斯かる継手を形成する方法とにも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空機の翼は、前スパー及び後スパーを備えた翼ボックスを具備する。上方翼カバー及び下方翼カバーが、翼ボックスの上方境界及び下方境界を形成すべく、スパーに取り付けられてスパー間に延在する。パネル又はDノーズ(D-nose)カバーのような前縁構造体及び後縁構造体が典型的には継目板(butt-strap)で上方カバー及び下方カバーに取り付けられる。図1及び図2は従来の継目板の構成を示す。
【0003】
上方翼カバー1が、継目板3、一対のボルト4、5、及びナット9、10で、固定された前縁構造体2に取り付けられる。継目板3は上方水平部7及び下方水平部6を具備し、上方水平部7及び下方水平部6は鉛直部8によって結合される。下方水平部6はカバー1の内面と係合し、一方、上方水平部7は、固定された前縁構造体2の内面と係合する。
【0004】
滑らかな空気力学的表面を得るために、構造体2の外面及びカバー1の外面は厳密な公差範囲内において互いに整列されなければならない。整列の基準が満たされることを確実にするために、図1において示されるように、詰め物(packer)11が構造体2の内面と継目板の上方水平部7との間に加えられることができる。代替的に、図2において示されるように、詰め物11はカバー1の内面と継目板の下方水平部6との間に加えられてもよい。しかしながら、継目板3が典型的には翼の全翼幅に亘って様々なストリップ(strip)において収められるので、この処理は困難であり且つ時間がかかる場合がある。また、組立中、カバー1に適合するように構造体2の鋳肌を手作業できれいにする必要がある場合もある。このことは処理に更に複雑さを加える。加えて、荷重のみが構造体2からカバー1を介してスパー(図示せず)内に伝えられうる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1態様では、第1部品を第2部品に結合するための連結組立体であって、
第1部品に接続するためのシャフトと、
ブラケットであって、第2部品に接続するための設置プレートと、設置プレートから延在するブラケットアームと、ブラケットアーム上に貫通孔を有する頭部とを含み、シャフトが貫通孔内に受容される、ブラケットと、
シャフトの軸線方向において、頭部に対するシャフトの位置を設定するために、頭部とシャフトとの間で作用するように使用可能な設定装置とを具備し、
一つ以上の球状の軸受面であって、二つの直交方向において、頭部に対する中心点回りのシャフトの傾きに適応すべく設定装置の自己整列(self-alignment)を可能とする、一つ以上の球状の軸受面を含む、連結組立体が提供される。
【0006】
本発明の第2態様では、第1態様に係る一つ以上の連結組立体によって第2部品に結合された第1部品を具備する、継手が提供される。
【0007】
本発明の第3態様では、第2態様に係る継手を形成する方法であって、
シャフトを第1部品に接続することと、
ブラケットの設置プレートを第2部品に接続することと、
ブラケットの頭部の貫通孔内にシャフトを挿入することと、
シャフトの軸線方向において、頭部に対するシャフトの位置を調整して設定することと
を含み、
一つ以上の球状の軸受面が、二つの直交方向において、頭部に対する中心点回りのシャフトの傾きに適応すべく設定装置の自己整列を可能とする、方法が提供される。
【0008】
連結組立体は、第1部品又は第2部品における厚み公差が、設定手段によって、頭部に対するシャフトの軸線方向の位置を調整して所望の位置に設定することによって適応されることができる点において有利である。連結組立体は、第1部品の接続面と第2部品の接続部品との間の傾斜度が球状の軸受面によって適応されることができる点においても有利である。連結組立体は、多様な別々の部品を結合するのに共通化されることができ、このため、特注の継目板、関連する詰め物等と比較して必要な部品の数が減少せしめられる。
【0009】
球状の軸受面は多様な形態をとることもできる。例えば、球状の凹部が貫通孔の一方の端部又は両方の端部における貫通孔の周囲の周りにおいてブラケットの頭部内に形成されることができ且つ球状の軸受面を有する。代替的に、球状のワッシャーが貫通孔の一方の端部又は両方の端部における貫通孔の外周の周りにおいて頭部上に受容されてもよく且つ球状の軸受面を有する。好ましい実施形態では、頭部は、貫通孔の一方の端部の周りに形成された凹部を有し、且つ、貫通孔の他方の端部の周りにおいて球状ワッシャーを受容する。更なる代替例では、球状軸受が、貫通孔内に受容されて軸受クリップによって所定の位置に保持され、且つ、球状の軸受面とシャフトを受容する内部の貫通孔とを有する。
【0010】
設定装置は多様な形態をとることができる。例えば、設定装置は、シャフト上に螺入される一つ以上のナットである。好ましい実施形態では、組立体は球状ナット及び球状ワッシャーを含み、球状ナットは貫通孔の一方の端部の周りに形成された球状凹部と係合し、球状ワッシャーは前記貫通孔の他方の端部の周りに受容される。球状凹部が貫通孔の両方の端部の周りに形成される場合、対応する一対の球状ナットが使用されてもよい。球状ワッシャーが貫通孔の両方の端部の周りに受容される場合、対応する一対の球状ナットが使用されてもよい。球状軸受が頭部内に捕捉される場合、標準的な(球状ではない)一対のナットが設定装置として使用されることができ、設定装置は球状軸受の内部の貫通孔の周りにおいて球状軸受の平らな面と係合する。螺合されるナットの代替として、設定装置は、カラー(collar)及びピンを具備してもよく、ピンは、シャフトの軸線に対してほぼ垂直に、カラーと、シャフト内に形成された穴とを通して配置される。シャフト内の穴は、頭部に対して所望の位置にシャフトを調整した後、ピン止め(pinning)の前にドリルで開けられることができる。この代替例では、シャフトは、ネジ切りされる必要がないであろう。
【0011】
好ましくは、ブラケットの設置プレートは、第2部品に接続するための各締結具を受容するための一つ以上の固定孔を有する。締結具は、例えば、ブラケットの設置プレート及び第2部品を通して繋止されるボルトである。設置プレートは、ブラケットが接続されるべき第2部品の局部形状に応じて、実質的に任意の形態をとることができる。例えば、ブラケットがパネル上に接続されるべき場合、設置プレートは平面にされてもよい。ブラケットがコーナー内に又はコーナーの周りに接続されるべき場合、設置プレートはL字形状にされてもよい。ブラケットが、丸い面に接続されるべき場合、設置プレートは、局部形状に適合すべく適切に湾曲せしめられてもよい。
【0012】
シャフトはボルトのシャフトであってもよく、ボルトは頭部を有し、頭部は、シャフトを第1部品に接続するのに使用されることができる。代替的に、シャフトは、第1部品に接続するための第2設置プレートと一体形成されてもよい。シャフトは第1部品に直接接続されてもよく、又は中間部品が使用されてもよい。例えば、ボルトの頭部又は設置プレートは設置ストリップ(mounting strip)に固定されてもよく、設置ストリップは順に第1部品に固定される。
【0013】
連結組立体は、継手を生成する多様な用途において使用されることができる。好ましい実施形態では、連結組立体は、従来の継目板の代わりに、航空機の翼の後縁パネルを翼カバーに結合するのに使用される。パネルの空気力学的表面とカバーの空気力学的表面とは、当接し、且つ、空気力学的な公差要求を満たすべくほぼ同じ高さの面に位置すべきである。典型的には、これら部品の製造の厚み公差は当接部品の空気力学的な公差よりも大きい。連結組立体を使用すると、空気力学的な公差要求を満たすべく、頭部に対するシャフトの軸線方向の位置が調整されて設定されることができる。翼に亘って翼の荷重が変化するので、一般的には、翼カバーは、翼幅方向において、傾斜部を生成するように変化する厚みを有する。連結組立体を使用すると、シャフトは、カバーの接続面とパネルの接続面との間のこの傾斜度を「取り除く(wash out)」べく頭部に対して傾くことができる。このため、連結組立体は、厳しい空気力学的な公差要求を満たすように翼パネルとカバーとを効果的に結合するのに使用されることができる。
【0014】
連結組立体は、他の航空機部品、最も典型的には、航空機の空気力学的表面を形成する面を有する部品を結合するのにも使用されることができる。例には、固定された前縁パネルと、垂直尾翼のカバー、水平尾翼のカバー、又は翼のカバーとの間の継手、後縁パネルと、垂直尾翼のカバー又は水平尾翼のカバーとの間の継手、翼カバーと翼端との間の継手、及び脚格納部における継手が含まれる。連結組立体は、航空機ではない部品を結合するのに使用されてもよく、例えば、パネルを建造物に結合するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来の継目板の構成を示す。
【図2】図2は、従来の継目板の構成を示す。
【図3】図3は、第1実施形態に係る連結組立体を含む継手を示す。
【図4】図4は、図3の継手の分解図を示す。
【図5】図5は、平面図において、図3の継手を示す。
【図6】図6は、図5の切断面A−Aを示す。
【図7】図7は、連結組立体によって適応された傾斜度を示す。
【図8a】図8aは、第1実施形態に係るブラケットの頭部の下面を示す。
【図8b】図8bは、第1実施形態に係るブラケットの頭部の上面を示す。
【図9a】図9aは、第2実施形態に係るブラケットの頭部の下面を示す。
【図9b】図9bは、第2実施形態に係るブラケットの頭部の上面を示す。
【図10a】図10aは、第3実施形態に係るブラケットの頭部の下面を示す。
【図10b】図10bは、第3実施形態に係るブラケットの頭部の上面を示す。
【図11a】図11aは、下から見られた、第4実施形態のブラケットを示す。
【図11b】図11bは、上方からの図を示す。
【図11c】図11cは、分解図を示す。
【図11d】図11dは、平面図である。
【図11e】図11eは、B−B上の断面図である。
【図11f】図11fは、B−B上の切断面である。
【図12a】図12aは、上方から見られた、第1実施形態のブラケットを示す。
【図12b】図12bは、下からの図を示す。
【図13a】図13aは、上方から見られた、第5実施形態のブラケットを示す。
【図13b】図13bは、下からの図を示す。
【図14a】図14aは、上方から見られた、第6実施形態のブラケットを示す。
【図14b】図14bは、下からの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態が、以下、添付の図面を参照して記述される。
図3は、航空機の翼の後縁20の一部を示す。下方翼カバー21がリブ22に取り付けられ、リブ22及び下方翼カバー21は後スパー(図示せず)に接続される。後縁パネル23もリブ22に取り付けられる。滑らかな空気力学的表面を得るために、パネル23の外面及びカバー21の外面は厳密な公差範囲内において互いに整列されなければならない。従来の継目板の代わりに、連結組立体24が、パネル23をカバー21に結合するのに使用される。
【0017】
図4において最もよく示されるように、連結組立体24は、ブラケット25、ボルト26、シール部材27、L字状スティフナー28、ワッシャー29、ロックナット30、球状ナット31、球状ワッシャー32、及び球状ナット33を含む。
【0018】
ブラケット25は、設置プレート25aと、設置プレート25aから延在するブラケットアーム25bと、ブラケットアーム25b上に貫通孔25dを有する頭部25cとを含む。設置プレート25aは四つの固定孔25eを有する。設置プレート25aは締結具(図示せず)の使用を介して下方翼カバー21に固定され、締結具は設置孔25eを貫通する。ブラケット25が下方翼カバー21の局所的な平面上に設置されるので、設置プレート25aは平面である。ブラケットアーム25bは設置プレート25aから延在し且つ支持リブ25fによって支持される。シャフト26が頭部25cの貫通孔25d内に受容されることができるように、頭部25cが設置プレート25aから張り出すことは有利である。
【0019】
L字状スティフナー28は一連の締結孔28aを有し、締結具32が、締結孔28aを通してL字状スティフナー28をパネル23に締結するように配置される。二つの斯かる締結具32が単に例示の目的で図5において所定の位置において示されるが、締結具32は各固定孔28aにおいて提供されるであろう。L字状スティフナー28は、ボルト26の皿頭26bを受容すべく皿穴28bも含む。したがって、L字状スティフナー28は、ボルト26のシャフト26aをパネル23に接続するように働く。L字状スティフナー28は、システムリンク(system link)として使用される突起(lug)28cも含む。突起28cはL字状スティフナー28の長さに沿ってほぼ中心に配置される。L字状スティフナー28は、各端部において、コーナーブラケット33に締結される接続突起28dも含む。ブラケット33の他方の端部はリブ22に締結される。
【0020】
シール部材27は、シール部材の一方の縁に沿って延在する圧縮可能な「P字状」フランジを含む。シール部材27はL字状スティフナー28とパネル23との間に配置され、締結具32は、シール部材27を所定の位置に繋止すべくシール部材27を貫通する。P字状フランジ27aはカバー21とパネル23との間のギャップをシールする。
【0021】
パネル23は以下のようにカバー21に結合される。パネル23が、パネル23と、シール部材27と、L字状スティフナー28と、(L字状スティフナー28及びシール部材27をパネル23に締結する)締結具32と、(L字状スティフナー28を通して配置された)ボルト26と、ワッシャー29と、ボルト26のシャフト26a上において所定の位置に繋止されたロックナット30とを具備するサブ組立体として供給される。ブラケット25、球状ワッシャー32及び球状ナット31、33が、遊離した物品(loose item)として供給される。航空機の翼のサブ組立体が、下方翼カバー21に締結された複数のリブ22を含む。
【0022】
パネルのサブ組立体が提供されてリブ22に対して定置される。球状の治具ナット(tooling nut)(図示せず)が名目上の位置に向かってボルト26のシャフト26a上に螺合され、ブラケット25がカバー21の内面上に定置される。パネル23の外面が空気力学的な段差の公差(aerodynamic step tolerance)の範囲内においてカバー21の外面に整列される。ブラケット25がカバー21の内面上に定置された状態で、球状の治具ナットが、孔25dの周りにおいて頭部25cの下面に形成された凹部25g(図10a、図10b参照)内に座位するように調整される。凹部25gは、治具ナットの球面に適合すべく球状である。
【0023】
このとき、ブラケット25がカバー21の内面に対して正確に定置された状態で、固定孔25eが連結ブラケット25からカバー21内に転写される。パイロット孔がカバー21の内面からカバー21を通してドリルで開けられ、その後、完全なサイズの孔がカバー21の外面からドリルで開けられる。パネルのサブ組立体とブラケット25とが取り外される。カバー21内の固定孔が、カバー21の外面に皿穴を形成し、その後、形成された孔をリーマ加工し且つバリ取りすることによって完成される。その後、ブラケット25が、皿頭の締結具を使用してカバー21上において所定の位置に繋止される。治具ナットが、ボルト26から取り外されて、シャフト26aに対する正確に同一の位置において球状の生産用ロックナット31に置き換えられる。その後、パネルのサブ組立体が、シャフト26aがブラケット25内の貫通孔25dを貫通した状態でリブ22に対して再び定置される。球状ワッシャー32がブラケットの頭部25cの平らな上面25h上に定置され、第2の球状ロックナット33がシャフト26a上に締め付けられる。
【0024】
連結ブラケット25がリブ22間に定置され、離間された複数の連結ブラケット25が、近接したリブ22間に据え付けられる。
【0025】
翼に亘って翼幅方向の荷重が変化するので、カバー21の厚みも翼に亘って変化する。したがって、カバー21の内面は翼幅に亘って特定の点において傾斜領域21aを含む。典型的な傾斜部21aは1.67°(1:40)の傾斜を有する。リブ22間にブラケット25を定置するために、ブラケット25は傾斜面21a上に据え付けられる必要がある場合がある。このことはナット31及び33並びにワッシャー32の球状の軸受面について可能であるだろう。これら球状の軸受面は、シャフト26aの外径と貫通孔25dの内径との間の隙間と共に、傾斜面21aに適応するように作用する。
【0026】
図7において最もよく示されるように、シャフト26aはパネル23の外面に対して垂直な軸線を維持し、一方、ブラケット25は傾斜面21aに対して直角に向けられる。球状ナット31及び33はシャフト26aの軸線に必然的に整列され、一方、ブラケットの頭部25cの上面及び下面は傾斜面21aに整列される。したがって、シャフト26の軸線は貫通孔25dの軸線に整列することなく、傾斜度は、頭部25cの上面上におけるワッシャー32及びナット33の球状の軸受面と、頭部25cの下面上における凹部25g及びナット31の球状の軸受面とによって取り除かれる。
【0027】
これら球状の軸受面は、傾斜面21aに適応するだけでなく、翼弦方向におけるカバー21の局所面とパネル23の局所面との間の角度差にも適応する。したがって、球状の軸受面は、二つの直交方向において、頭部25cに対する中心点回りのシャフト26aの傾きに適応する。これら二つの直交方向の各々において取り除かれうる傾斜の度合は典型的には3°〜6°までである。カバー21の外面とパネル23の外面との間に必要とされる、厳しい空気力学的な段差の公差を得るために、詰め物をすること(packing)とシムを入れること(shimming)とが必要とされない。このことは、詰め物をすることとシムを入れることとが必要とされる従来の継目板と対照を成す。この段差の公差は翼の下面について典型的には±0.8mmである。
【0028】
ロックナット31及び33は、初期調整可能な設定装置として作用し、且つ、シャフトの軸線方向において頭部に対するシャフトの位置を設定するために頭部25cとシャフト26aとの間で作用する。球状の軸受面は、頭部25cに対するシャフト26aの傾きに適応すべく、ロックナット31及び33の自己整列を可能とする。したがって、連結組立体は所望の空気力学的な段差の公差を得ることができ、局部形状は、あらゆる特注部品を必要とすることなく、翼の後縁の全翼幅に亘って使用されうる標準的な部品の組を使用して適応されることができる。このことによって、別個の特注部品及び/又は著しく詰め物をすることとシムを入れることとが必要とされる従来技術の継目板を超えた明確な利点が提供される。したがって、連結組立体は、部品総数及び最終的な組立時間を減少させることによって著しい節約を提供する。
【0029】
点検中、下方後縁パネル23は、L字状スティフナー28をパネル32に取り付ける締結具32を取り外すことによって検査のために取り外されることができる。空気力学的な段差の公差がパネル23の再取付の際に確実なものとされるように、L字状スティフナー28がパネル32と共に決して取り外されることがないことに留意されたい。
【0030】
カバー21及びパネル23は、積層された炭素繊維強化プラスチック積層体の複合材構造体の各々である。しかしながら、他の複合材又は金属材料が使用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。複合材カバー及び複合材パネルが使用される場合、複合材の翼構造体においてライトニングパス(lightening path)を生成することが必要である。従来の継目板は、典型的には金属材料の継目板であり、ライトニングパスの一部を形成する。連結組立体は、従来の継目板の代替品として、ライトニングパスを形成する部分の機能も行わなければならない。この目的のために、L字状スティフナー28及びコーナーブラケット33は金属部品である。代替的に、所要の場合、追加の金属部品がライトニングパスを形成するのに使用されてもよい。
【0031】
上述された第1実施形態では、ブラケット25は、頭部25cの上面25hと協働する球状ワッシャー32及び球状ナット33と、頭部の下面内に形成された球状凹部25gと協働する球状ナット31とを有する。しかしながら、球状の軸受面は多数の異なる形態をとることができる。
【0032】
第2実施形態では、連結組立体は、ブラケットの頭部125cが球状の凹面25gの代わりに平らな下面125gを有するということにおいてのみ第1実施形態と異なる。図9aは頭部の下面を描写し、図9bは頭部の上面を描写する。この第2実施形態では、球状ワッシャー32と同様の第2球状ワッシャーが頭部の下面125gと球状ナット31との間に配置される。頭部の上面125hは頭部の上面25hと同様である。
【0033】
第3実施形態では、連結組立体は、頭部の平らな上面25hが球状の凹面225hによって置き換えられるということを除いて第1実施形態のものと等しい。球状の凹面225gは凹面25gと同様に頭部の下面上に形成される。図10aは第3実施形態におけるブラケットの頭部の下面を示し、図10bは第3実施形態におけるブラケットの頭部の上面を示す。
【0034】
上述された第1実施形態〜第3実施形態では、球状の軸受面は様々な球状ナット及び球状ワッシャーにおいて形成され、一方、第4実施形態では、ブラケットの頭部325cは、拡大された貫通孔325dを有し、拡大された貫通孔325dは、軸受クリップ(bearing clip)325lによって所定の位置に保持された球状軸受325kを受容する。球状軸受325kは内部に貫通孔325mを有し、内部の貫通孔325mはボルト26のシャフト26aを受容する。図11a〜図11eは第4実施形態のブラケットを詳細に示す。球状軸受325kは、ブラケットの頭部325cに対して、二つの直交方向において中心点回りに回転可能である。これら二つの方向における回転角の度合は第1実施形態〜第3実施形態についてのものと同様に3°〜6°までである。球状軸受325kの内部の貫通孔325mは、シャフト26aのネジ部と隙間嵌めを提供するように寸法が決められる。この態様では、球状軸受の貫通孔325mの軸線はシャフト26aの軸線に整列される。第1実施形態〜第3実施形態では、貫通孔25dの軸線がシャフト26aの軸線に必ずしも整列されないことがあることに留意されたい。
【0035】
図12a及び図12bは第1実施形態のブラケット25を示す。第1実施形態のブラケット25の設置プレート25aは、概して平面であり、且つ、下方翼カバー21の内面の局所的な表面形状に適合するように形成される。しかしながら、本発明に係る連結組立体の原理が、航空機の下方翼カバーを航空機の下方後縁パネルに接続すること以外の目的のために用いられうることが理解されるであろう。
【0036】
第5実施形態では、図13a及び13bにおいて示されるように、連結組立体はコーナーブラケット425を含む。コーナーブラケット425は、設置プレート425aが平面上よりもむしろコーナー内に繋止されるのに適するということを除いて第1実施形態のブラケット25と同様である。ブラケットアーム425bが、設置プレート425aからブラケットの頭部425cを支持するように形成される。第5実施形態に係る連結組立体のブラケットは、例えば、翼スパーと翼カバーとの間の接合面に設置されて、翼スパー/カバーと翼パネルとの間の連結のために使用されることができる。
【0037】
第6実施形態では、図14において示されるように、連結組立体は、頭部525c内に形成された貫通孔の軸線とほぼ平行な面に固定するための設置プレート525aを有するブラケット525を含む。ブラケットアーム525bが設置プレート525aとブラケットの頭部525cとの間に延在する。第6実施形態に係る連結組立体は、例えば、ブラケット525が航空機の翼スパー又はリブのようなほぼ鉛直な面に接続されるべき場合に使用されて、翼スパー又はリブを翼パネルに連結するために使用されることができる。
【0038】
様々な他のブラケットの形態が、本発明の範囲内において予想され、且つ、他の航空機部品を結合するのに使用されることができる。例には、固定された前縁パネルと、垂直尾翼のカバー、水平尾翼のカバー、又は翼のカバーとの間の継手、後縁パネルと、垂直尾翼のカバー又は水平尾翼のカバーとの間の継手、翼カバーと翼端との間の継手、及び脚格納部における継手が含まれる。連結組立体は、航空機ではない部品を結合するのに使用されてもよい。
【0039】
上述された第1実施形態〜第6実施形態では、シャフトはボルトのシャフトであり、ボルトは頭部を有し、頭部は、シャフトをパネル23に接続するのに使用されることができる。代替的に、シャフトは、パネル23に接続するための第2設置プレート(図示せず)と一体形成されてもよい。第2設置プレートは、第2設置プレートをカバー23に接続するための締結具を受容するための固定孔を有することができる。
【0040】
上述された各実施形態では、ロックナットが、シャフトの軸線方向において、頭部に対するシャフトの位置を設定するのに使用される。しかしながら、螺合されるロックナットの代替として、頭部とシャフトとの間で作用するように使用可能な別の設定装置、例えば、カラー及びピンが用いられてもよく、ピンは、シャフトの軸線に対してほぼ垂直に、カラーと、シャフト内に形成された穴とを通して配置される。シャフト内の穴は、頭部に対して所望の位置にシャフトを調整した後、ピン止めの前にドリルで開けられることができる。この代替例では、シャフトはネジ切りされる必要がないであろう。
【0041】
本発明が、一つ以上の好ましい実施形態に関して上述されたが、添付の特許請求の範囲において定義されるような発明の範囲を逸脱することなく種々の変更または修正がなされうることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品を第2部品に結合するための連結組立体であって、
第1部品に接続するためのシャフトと、
ブラケットであって、第2部品に接続するための設置プレートと、該設置プレートから延在するブラケットアームと、該ブラケットアーム上に貫通孔を有する頭部とを含み、前記シャフトが前記貫通孔内に受容される、ブラケットと、
前記シャフトの軸線方向において、前記頭部に対する前記シャフトの位置を設定するために、前記頭部と前記シャフトとの間で作用するように使用可能な設定装置とを具備し、
一つ以上の球状の軸受面であって、二つの直交方向において、前記頭部に対する中心点回りの前記シャフトの傾きに適応すべく前記設定装置の自己整列を可能とする、一つ以上の球状の軸受面を含む、連結組立体。
【請求項2】
球状凹部が、前記貫通孔の一方の端部又は両方の端部における該貫通孔の周囲の周りにおいて前記頭部内に形成され且つ前記球状の軸受面を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
球状ワッシャーが前記貫通孔の一方の端部又は両方の端部における該貫通孔の外周の周りにおいて前記頭部上に受容され且つ前記球状の軸受面を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記頭部が、前記貫通孔の一方の端部の周りにおいて形成された前記凹部を有し、且つ、前記貫通孔の他方の端部の周りにおいて前記球状ワッシャーを受容する、請求項2及び3に記載の組立体。
【請求項5】
球状軸受が、前記貫通孔内に受容されて軸受クリップによって所定の位置に保持され、且つ、前記球状の軸受面と、前記シャフトを受容する内部の貫通孔とを有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記設定装置が、前記シャフト上に螺入される一つ以上のナットである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記設置プレートが、前記第2部品に接続するための各締結具を受容するための一つ以上の固定孔を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項8】
前記設置プレートが平面又はL字状である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記シャフトが、前記第1部品に接続するための頭部を有するボルトのシャフトである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項10】
前記シャフトが、前記第1部品に接続するための第2設置プレートと一体形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の一つ以上の組立体によって第2部品に結合された第1部品を具備する、継手。
【請求項12】
前記第1部品及び第2部品が当該継手に亘って同じ高さの面を有する、請求項11に記載の継手。
【請求項13】
前記第1部品及び第2部品が航空機部品である、請求項11又は12に記載の継手。
【請求項14】
前記第1部品及び第2部品が、前記航空機の空気力学的表面を形成する面を有する、請求項13に記載の継手。
【請求項15】
前記第1部品が翼の後縁パネルであり、前記第2部品が翼カバーである、請求項13又は14に記載の継手。
【請求項16】
前記第1部品及び/又は第2部品が傾斜面を有し、前記連結組立体が前記傾斜面に接続される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の継手。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか1項に記載の継手を形成する方法において、
前記シャフトを前記第1部品に接続することと、
前記ブラケットの設置プレートを前記第2部品に接続することと、
前記ブラケットの頭部の貫通孔内に前記シャフトを挿入することと、
該シャフトの軸線方向において、前記頭部に対する前記シャフトの位置を調整して設定することと
を含み、
前記一つ以上の球状の軸受面が、二つの直交方向において、前記頭部に対する中心点回りの前記シャフトの傾きに適応すべく前記設定装置の自己整列を可能とする、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図11c】
image rotate

【図11d】
image rotate

【図11e】
image rotate

【図11f】
image rotate

【図12a】
image rotate

【図12b】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−522689(P2012−522689A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504080(P2012−504080)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050552
【国際公開番号】WO2010/116168
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
【Fターム(参考)】