説明

連結部の構造及び連結部の組み立て方法

【課題】 相対的に回動可能に連結される一方の部材と他方の部材との連結作業を容易にし、作業効率を高める。
【解決手段】 二つの部材2、11を相対的に回動自在に連結する連結部の構造であって、何れか一方の部材2の連結部3に設けられて、何れか一方の部材2の軸線方向に移動可能な移動部材25と、移動部材25と何れか一方の部材2との間に設けられて、移動部材25を何れか一方の部材2の軸線方向に付勢し、移動部材25が何れか他方の部材11の連結部12に当接した状態に保持するとともに、二つの部材2、11を所定の範囲を超えて回動させたときに、何れか一方の部材2に所定の範囲内方向への分力を付与する付勢部材20と、何れか一方の部材2の連結部3に着脱自在に設けられるとともに、移動部材25を何れか他方の部材11から離間した位置に固定するストッパー部材35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部の構造及び連結部の組み立て方法に関し、特に、二つの部材(例えば、メガネフレームのテンプルとヨロイ)を相対的に回動可能に連結する連結部の構造及び連結部の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二つの部材を相対的に回動可能に連結する連結部の構造の一例として、特許文献1には、メガネフレームのテンプルとヨロイとを相対的に回動可能に連結する連結部の構造が開示されている。
【0003】
すなわち、この連結部の構造は、メガネフレームのテンプルとヨロイの連結部間に設けられて、両者を相対的に回動可能に連結する蝶番と、テンプルの連結部に軸線方向に移動可能に設けられる移動部材と、テンプルの連結部に設けられて移動部材をテンプルの軸線方向に付勢する付勢部材(圧縮ばね)とを備えている。
【0004】
このような構成の連結部の構造を備えたメガネフレームにあっては、テンプルをヨロイに対して相対的に回動させることにより、テンプルをレンズの裏面側で所定の範囲内(0度〜90度の範囲内)で閉じたり開いたりすることができる。
【0005】
また、テンプルを最大(90度)以上に開くことにより、移動部材がヨロイで押圧されて軸線方向に移動して圧縮ばねが圧縮され、圧縮ばねの軸線方向への付勢力の分力が両テンプルを閉じる方向への力として作用し、この力によってメガネフレームを顔の所定の位置に安定して保持することができる。
【特許文献1】特開平11−2784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成の連結部の構造にあっては、組み立ての際に、テンプルに移動部材と圧縮ばねとを取り付け、圧縮部材の付勢力に抗して移動部材をテンプルの軸線方向に移動させ、その位置に移動部材を手等によって固定し、この状態でテンプルの連結部とヨロイの連結部とを合わせて、それらの間にねじを挿通させて締め付けなければならない。このため、両連結部間の連結作用に非常に手間がかかり、組み立ての作業効率が非常に悪くなる。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、組み立てが容易で作業効率を大幅に高めることができる連結部の構造及び連結部の組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、二つの部材を相対的に回動自在に連結する連結部の構造であって、前記何れか一方の部材の連結部に設けられて、該何れか一方の部材の軸線方向に移動可能な移動部材と、該移動部材と前記何れか一方の部材との間に設けられて、該移動部材を前記何れか一方の部材の軸線方向に付勢し、該移動部材が前記何れか他方の部材の連結部に当接した状態に保持するとともに、前記二つの部材を所定の範囲を超えて回動させたときに、前記何れか一方の部材に所定の範囲内方向への分力を付与する付勢部材と、前記何れか一方の部材の連結部に着脱自在に設けられるとともに、前記移動部材を前記何れか他方の部材から離間した位置に固定するストッパー部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明による連結部の構造によれば、何れか一方の部材の連結部にストッパー部材を取り付けて移動部材を固定し、この状態で両部材の連結部間を連結することにより、付勢部材による付勢力が移動部材に作用していない状態で両部材の連結部間を連結することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の連結部の構造であって、前記何れか一方の部材の連結部には、前記ストッパー部材を挿通させる挿通孔が設けられ、前記移動部材には前記挿通孔を挿通させたストッパー部材を係合させる係合孔が設けられ、前記挿通孔と前記係合孔との間に前記ストッパー部材を取り付けることにより、前記移動部材が前記他方の部材から離間した位置に固定されることを特徴とする。
【0011】
本発明による連結部の構造によれば、何れか一方の部材の連結部の挿通孔と移動部材の係合孔との間にストッパー部材を取り付けることにより、移動部材が他方の部材から離間した位置に固定され、移動部材に付勢部材の付勢力が作用していない状態で両部材の連結部間を連結することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の連結部の構造であって、前記何れか一方の部材の連結部には、前記移動部材を軸線方向に移動可能に案内する案内溝が設けられ、該案内溝の底部に前記挿通孔が設けられ、該案内溝内に位置する前記移動部材の部分に前記係合孔が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明による連結部の構造によれば、何れか一方の部材の連結部の案内溝の挿通孔と移動部材の係合孔との間にストッパー部材を取り付けることにより、移動部材が他方の部材から離間した位置に固定され、移動部材に付勢部材の付勢力が作用していない状態で両部材の連結部間を連結することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、二つの部材を相対的に回動自在に連結する連結部の組み立て方法であって、前記何れか一方の部材の連結部に設けられて、該何れか一方の部材の軸線方向に移動可能な移動部材と、該移動部材と前記何れか一方の部材との間に設けられて、該移動部材を前記何れか一方の部材の軸線方向に付勢し、該移動部材が前記何れか他方の部材の連結部に当接した状態に保持するとともに、前記二つの部材を所定の範囲を超えて回動させたときに、前記何れか一方の部材に所定の範囲内方向への分力を付与する付勢部材と、前記何れか一方の部材の連結部に着脱自在に設けられるとともに、前記移動部材を前記何れか他方の部材から離間した位置に固定するストッパー部材とを備え、前記何れか一方の部材の連結部に前記移動部材と前記付勢部材とを取り付けるとともに、前記移動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して軸線方向に移動させ、この状態で前記ストッパー部材を前記何れか一方の部材の連結部に取り付けて、前記移動部材を前記テンプルの連結部の所定の位置に固定し、この後に、前記両部材の連結部間を相対的に回動自在に連結し、前記ストッパー部材を前記何れか一方の部材の連結部から取り外し、前記移動部材を前記付勢部材により軸線方向に付勢可能な状態とすることを特徴とする。
【0015】
本発明による連結部の組み立て方法によれば、何れか一方の部材の連結部に移動部材と付勢部材とを取り付け、移動部材を付勢部材の付勢力に抗して軸線方向に移動させ、この状態でストッパー部材を何れか一方の部材の連結部に取り付け、移動部材をテンプルの連結部の所定の位置に固定する。そして、この後に、両部材の連結部間を相対的に回動自在に連結し、ストッパー部材を何れか一方の部材の連結部から取り外すことにより、移動部材が付勢部材により軸線方向に付勢された状態とすることができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の連結部の組み立て方法であって、前記何れか一方の部材の連結部には、前記ストッパー部材を挿通させる挿通孔が設けられ、前記移動部材には前記挿通孔を挿通させたストッパー部材を係合させる係合孔が設けられ、前記挿通孔と前記係合孔との間に前記ストッパー部材を取り付けることにより、前記移動部材が前記他方の部材から離間した位置に固定されることを特徴とする。
【0017】
本発明による連結部の組み立て方法によれば、何れか一方の部材の連結部の挿通孔と移動部材の係合孔との間にストッパー部材を取り付けることにより、移動部材が他方の部材から離間した位置に固定され、移動部材に付勢部材の付勢力が作用していない状態で両部材の連結部間を連結することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の連結部の組み立て方法であって、前記何れか一方の部材の連結部には、前記移動部材を軸線方向に移動可能に案内する案内溝が設けられ、該案内溝の底部に前記挿通孔が設けられ、該案内溝内に位置する前記移動部材の部分に前記係合孔が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明による連結部の組み立て方法によれば、何れか一方の部材の連結部の案内溝の挿通孔と移動部材の係合孔との間にストッパー部材を取り付けることにより、移動部材が他方の部材から離間した位置に固定され、移動部材に付勢部材の付勢力が作用していない状態で両部材の連結部間を連結することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の連結部の構造及び連結部の組み立て方法によれば、何れか一方の部材の連結部にストッパー部材を取り付けることにより、付勢部材による付勢力が移動部材に作用していない状態とすることができ、この状態で両部材の連結部間を連結することができる。従って、両部材の連結部間の連結作業を容易にすることができ、組み立ての作業効率を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図9には、本発明による連結部の構造及び連結部の組み立て方法の一実施の形態が示されていて、この連結部の構造及び連結部の組み立て方法は、一方の部材と他方の部材とを相対的に回動可能に連結するのに有効なものであって、本実施の形態においては、図1に示すように、一方の部材をメガネフレーム1のテンプル2とし、他方の部材をヨロイ11とし、テンプル2とヨロイ11との連結部3、12に適用している。
【0022】
メガネフレーム1は、図1に示すように、例えば、一対の環状のリム16と、両リム16、16の内縁部間を連結するブリッジ(図示せず)と、各リム16の外縁部に設けられるヨロイ11と、ヨロイ11に相対的に回動自在に連結されるテンプル2と、各リム16の内縁部に設けられるノーズパッド(図示せず)とから構成されている。なお、図1においては、メガネフレーム1に向かって右半部のみを示している。
【0023】
テンプル2は、棒状をなすものであって、長手方向の一端部に連結部3が設けられ、この連結部3と後述するヨロイ11の連結部12とをねじ18を介して連結することで、テンプル2がヨロイ11に相対的に回動可能に連結される。テンプル2の長手方向の他端部は所定の角度で屈曲され、その屈曲された部分に樹脂製のモダン(図示せず)が装着されている。
【0024】
テンプル2の連結部3には、図2に示すように、一側が開口する所定の長さの案内溝4が設けられ、この案内溝4によって移動部材25がテンプル2の軸線方向に移動可能に案内されている。案内溝4は、開口部が内部よりも幅狭に形成される略T形状の溝であって、開口部縁部に内方に突出する係止突起5、5が設けられ、この係止突起5、5を移動部材25に係止させることで、移動部材25が案内溝4から脱落するのが防止される。
【0025】
案内溝4は、先端側が深く、後端側が浅い2段溝に形成され、先端側の深い部分に付勢部材である圧縮ばね20が装着される。案内溝4の先端側の深い部分の底部には、底部を貫通してテンプル2の表面側に開口する挿通孔6が設けられ、この挿通孔6内をテンプル2の表面側からストッパー部材であるストッパーピン35(図3参照)が挿通可能に構成されている。
【0026】
移動部材25は、図2に示すように、表面に模様等が付される長方形板状の飾り板26と、飾り板26の裏面側に一体に設けられる3つの案内突起27、30、31とから構成されている。3つの案内突起27、30、31は、飾り板26の裏面の一端側に設けられる所定の高さ、幅の第1案内突起27と、他端側に設けられる第1案内突起27よりも低く第1案内突起27と同一幅の第2案内突起30と、第1案内突起27と第2案内突起30との間に設けられる、第1案内突起27及び第2案内突起30よりも低く第1案内突起27及び第2案内突起30よりも小幅の第3案内突起31とから構成され、第1案内突起27の先端面29及び飾り板26の先端面33がヨロイ11の連結部12の駒部13の周面及び先端面15にそれぞれ当接可能に構成されている。
【0027】
第1案内突起27及び第2案内突起30の根元部(飾り板との境界部)には、第3案内突起31の高さと略同一深さの係止溝32が設けられ、この係止溝32内に案内溝4の係止突起5、5を係止させることにより、移動部材25が案内溝4から脱落するのが防止されている。
【0028】
第1案内突起27の中央部には、所定の深さの係合孔28が設けられ、この係合孔28内にテンプル2の挿通孔6内を挿通させたストッパーピン35の先端部の小径部36が係合可能に構成されている。第1案内突起27の先端面29は、後述するヨロイ11の駒部13の周面と合致するアール面に形成され、この第1案内突起27の先端面29がヨロイ11の駒部13の周面に当接可能に構成されている。
【0029】
テンプル2の連結部3の案内溝4よりも先端側の部分には、上下に所定の間隔をおいて一対の略円板状の駒部7、9が一体に設けられ、この一対の駒部7、9間にヨロイ11の駒部13が回動可能に挿入される。上側の駒部7の中心部には、ねじ挿通用の孔8が貫通した状態で設けられ、下側の駒部9の中心部にはねじ孔10が貫通した状態で設けられ、この上側の駒部7のねじ挿通用の孔8と後述するヨロイ11の駒部13のねじ挿通用の孔14と下側の駒部9のねじ孔10との間にねじ18を挿通させて締め付けることにより、テンプル2の両駒部7、9とヨロイ11の駒部13とが相対的に回動可能に連結される。
【0030】
ストッパーピン35は、図3に示すように、丸棒状をなすものであって、先端側の小径部36と、小径部36に連続して設けられる後端側の大径部37と、小径部36と大径部37との境界部及び大径部37の端部にそれぞれ設けられるリブ部38とから構成され、小径部36をテンプル2の挿通孔6を挿通させて移動部材25の係合孔28内に係合させることにより、ストッパーピン35がテンプル2の連結部3と移動部材25との間に取り付けられる。
【0031】
ヨロイ11は、図1及び図6に示すように、一端部がメガネフレーム1のリム16の外縁部に一体に連結される略L形状、略C形状等をなすものであって、他端部に前述したテンプル2の連結部3を相対的に連結するための連結部12が一体に設けられている。
【0032】
連結部12の他端部の先端側には、略円板状の駒部13が一体に設けられ、この駒部13がテンプル2の一対の駒部7、9間に回動可能に挿入される。駒部13の中心部には、ねじ挿通用の孔14が貫通した状態で設けられる。ヨロイ11の駒部13をテンプル2の一対の駒部7、9間に挿入し、この状態で上方からテンプル2の上側の駒部7のねじ挿通用の孔8、ヨロイ11の駒部13のねじ挿通用の孔14、テンプル2の下側の駒部9のねじ孔10にねじ18を挿通させて締め付けることにより、テンプル2の駒部7、9とヨロイ11の駒部13とがねじ18を介して相対的に回動可能に連結される。ヨロイ11の駒部13の周面には、移動部材25の第1案内突起27の先端面29が当接可能に構成されている。連結部12の駒部13よりも外側の部分には、駒部13よりも奥側に入り込んだ先端面15が設けられ、この先端面15に移動部材25の飾り板26の先端面33が当接可能に構成されている。ヨロイ11とテンプル2とを所定の範囲を超えて相対的に回動させたときに、ヨロイ11の連結部12の先端面15で移動部材25の先端面33が押圧されることにより、移動部材25が圧縮ばね20の付勢力に抗してテンプル2の軸線方向に移動する。
【0033】
そして、上記のような構成のテンプル2とヨロイ11とを相対的に回動自在に連結するには、まず、図2に示すように、移動部材25の裏面側の第1案内突起27と第2案内突起30との間の第3案内突起31の上部に圧縮ばね20を配置し、この状態で移動部材25と圧縮ばね20とをテンプル2の連結部3の案内溝4内に連結部3の先端側から挿入する。
【0034】
次に、図3〜図5に示すように、テンプル2の連結部3の挿通孔6内にストッパーピン35の小径部36を挿入し、この状態で移動部材25を図中矢印方向に押し込み、圧縮ばね20を第1案内突起27と案内溝4の底部の深い部分と浅い部分との境界部との間で圧縮し、移動部材25の係合孔28をテンプル2の挿通孔6の位置に合わせ、ストッパーピン35の小径部36を移動部材25の結合孔28内に係合させる。
【0035】
このようにして、ストッパーピン35の小径部36をテンプル2の連結部3の挿通孔6と移動部材25の係合孔28との間に取り付けることにより、移動部材25を案内溝4内に押し込んだ状態に固定することができ、圧縮ばね20による付勢力が移動部材25に作用していない状態とすることができる。
【0036】
そして、図6及び図7に示すように、ヨロイ11の連結部12の駒部13をテンプル2の連結部3の一対の駒部7、9間に挿入し、テンプル2の上側の駒部7のねじ挿通用の孔8、ヨロイ11の駒部13のねじ挿通用の孔14、及びテンプル2の下側の駒部9のねじ孔10内にねじ18を挿入して締め付けることで、ヨロイ11の連結部12とテンプル2の連結部3とを相対的に回動自在に連結する。
【0037】
この場合、ヨロイ11の駒部13の周面とテンプル2側の移動部材25の第1案内突起27の先端面29との間、及びヨロイ11の連結部12の先端面15と移動部材25の飾り板26の先端面33との間にはそれぞれ所定の隙間が形成され、両者間に圧縮ばね20による付勢力が作用していない状態となっているので、両連結部3、12の連結作業を容易に行うことができる。
【0038】
なお、必要に応じて、ヨロイ11の駒部13とテンプル2の駒部7、9との間にワッシャ(図示せず)を介在させてもよい。
【0039】
そして、ヨロイ11の連結部12とテンプル2の連結部3とを連結した後に、図8に示すように、ストッパーピン35を移動部材25の係合孔28、及びテンプル2の挿通孔6から取り外すことにより、移動部材25に圧縮ばね20の付勢力が作用して移動部材25がヨロイ11の方向に付勢され、移動部材25の第1案内突起27の先端面29がヨロイ11の駒部13の周面に当接し、飾り板26の先端面33が連結部12の先端面15に当接する。
【0040】
このようにして、ヨロイ11の連結部12とテンプル2の連結部3とを連結することにより、メガネフレーム1のレンズの裏面側において、テンプル2が0度(全閉状態)〜90度(全開状態)の範囲内を回動可能となり、この範囲内でテンプル2をレンズの裏面側で閉じたり、装着状態に開いたりすることができる。
【0041】
そして、図9に示すように、テンプル2を90度(全開状態)以上に開くことにより、移動部材25の飾り板26の先端面33がヨロイ11の連結部12の先端面15によって押圧されて圧縮ばね20が圧縮され、この圧縮ばね20の圧縮力の分力がテンプル2を閉じる方向へ押し戻す力として作用し、この押し戻す力によってメガネフレーム1を顔の所定の位置に安定して保持することができる。
【0042】
上記のように構成した本実施の形態による連結部の構造及び連結部の組み立て方法にあっては、テンプル2の連結部3とヨロイ11の連結部12とをねじ18を介して相対的に回動可能に連結する際に、テンプル2側の移動部材25を圧縮ばね20による付勢力が作用していない状態に固定し、この状態で両連結部3、12間を連結することができるので、両連結部3、12間の連結作業を圧縮ばね20による付勢力が作用していない状態で行うことができる。従って、テンプル2とヨロイ11の連結部3、12を相対的に回動自在に連結する際の組み立てに要する手間を削減することができ、組み立ての作業の効率を大幅に高めることができる。
【0043】
なお、上記の説明においては、本発明による連結部の構造及び連結部の組み立て方法をメガネフレーム1のテンプル2とヨロイ11との連結部3、12に適用したが、これに限定することなく、相対的に回動自在に連結される他の二つ部材の連結部に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による連結部の構造及び連結部の組み立て方法を適用したメガネフレームの部分斜視図である。
【図2】連結部の組み立て方法の第1段階を示した説明図であって、移動部材に圧縮ばねを配置した状態を示した説明図である。
【図3】連結部の組み立て方法の第2段階を示した説明図であって、移動部材をテンプルの案内溝内に取り付け、ストッパーピンをテンプルの挿通孔内に挿通させた状態を示した説明図である。
【図4】図3の状態からストッパーピンを更に押し込んで、移動部材の係合孔に一部が係合された状態を示した説明図である。
【図5】図4の状態からストッパーピンを更に押し込んで、移動部材の係合孔内に完全に係合させた状態を示した説明図である。
【図6】連結部の組み立て方法の第3段階を示した説明図であって、ヨロイとテンプルとを連結する直前の状態を示した説明図である。
【図7】ヨロイとテンプルとを連結した状態を示した説明図である。
【図8】連結部の組み立て方法の第4段階を示した説明図であって、ストッパーピンを取り外した状態を示した説明図である。
【図9】テンプルを所定の範囲内を超えて回動させた状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 メガネフレーム
2 一方の部材(テンプル)
3 連結部
4 案内溝
5 係止突起
6 挿通孔
7 駒部
8 ねじ挿通用の孔
9 駒部
10 ねじ孔
11 他方の部材(ヨロイ)
12 連結部
13 駒部
14 ねじ挿通用の孔
15 先端面
16 リム
18 ねじ
20 付勢部材(圧縮ばね)
25 移動部材
26 飾り板
27 第1案内突起
28 係合孔
29 先端面
30 第2案内突起
31 第3案内突起
32 係止溝
33 先端面
35 ストッパー部材(ストッパーピン)
36 小径部
37 大径部
38 リブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材を相対的に回動自在に連結する連結部の構造であって、
前記何れか一方の部材の連結部に設けられて、該何れか一方の部材の軸線方向に移動可能な移動部材と、該移動部材と前記何れか一方の部材との間に設けられて、該移動部材を前記何れか一方の部材の軸線方向に付勢し、該移動部材が前記何れか他方の部材の連結部に当接した状態に保持するとともに、前記二つの部材を所定の範囲を超えて回動させたときに、前記何れか一方の部材に所定の範囲内方向への分力を付与する付勢部材と、前記何れか一方の部材の連結部に着脱自在に設けられるとともに、前記移動部材を前記何れか他方の部材から離間した位置に固定するストッパー部材とを備えたことを特徴とする連結部の構造。
【請求項2】
前記何れか一方の部材の連結部には、前記ストッパー部材を挿通させる挿通孔が設けられ、前記移動部材には前記挿通孔を挿通させたストッパー部材を係合させる係合孔が設けられ、前記挿通孔と前記係合孔との間に前記ストッパー部材を取り付けることにより、前記移動部材が前記他方の部材から離間した位置に固定されることを特徴とする請求項1に記載の連結部の構造。
【請求項3】
前記何れか一方の部材の連結部には、前記移動部材を軸線方向に移動可能に案内する案内溝が設けられ、該案内溝の底部に前記挿通孔が設けられ、該案内溝内に位置する前記移動部材の部分に前記係合孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の連結部の構造。
【請求項4】
二つの部材を相対的に回動自在に連結する連結部の組み立て方法であって、
前記何れか一方の部材の連結部に設けられて、該何れか一方の部材の軸線方向に移動可能な移動部材と、該移動部材と前記何れか一方の部材との間に設けられて、該移動部材を前記何れか一方の部材の軸線方向に付勢し、該移動部材が前記何れか他方の部材の連結部に当接した状態に保持するとともに、前記二つの部材を所定の範囲を超えて回動させたときに、前記何れか一方の部材に所定の範囲内方向への分力を付与する付勢部材と、前記何れか一方の部材の連結部に着脱自在に設けられるとともに、前記移動部材を前記何れか他方の部材から離間した位置に固定するストッパー部材とを備え、
前記何れか一方の部材の連結部に前記移動部材と前記付勢部材とを取り付けるとともに、前記移動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して軸線方向に移動させ、この状態で前記ストッパー部材を前記何れか一方の部材の連結部に取り付けて、前記移動部材を前記テンプルの連結部の所定の位置に固定し、この後に、前記両部材の連結部間を相対的に回動自在に連結し、前記ストッパー部材を前記何れか一方の部材の連結部から取り外し、前記移動部材を前記付勢部材により軸線方向に付勢可能な状態とすることを特徴とする連結部の組み立て方法。
【請求項5】
前記何れか一方の部材の連結部には、前記ストッパー部材を挿通させる挿通孔が設けられ、前記移動部材には前記挿通孔を挿通させたストッパー部材を係合させる係合孔が設けられ、前記挿通孔と前記係合孔との間に前記ストッパー部材を取り付けることにより、前記移動部材が前記他方の部材から離間した位置に固定されることを特徴とする請求項4に記載の連結部の組み立て方法。
【請求項6】
前記何れか一方の部材の連結部には、前記移動部材を軸線方向に移動可能に案内する案内溝が設けられ、該案内溝の底部に前記挿通孔が設けられ、該案内溝内に位置する前記移動部材の部分に前記係合孔が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の連結部の組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−145604(P2008−145604A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330964(P2006−330964)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(596142579)有限会社ディーサインズ アンド カンパニー (7)
【Fターム(参考)】