説明

連続乾式バイオマス・ガス化プラント

【課題】人口密集地に立地可能なバイオマス・ガス化プラントの実現。
【解決手段】バイオマスを粉砕混合し嫌気発酵槽へ投入する投入装置(1)と、胴部を回転自在に支持され機械的に外気から密封されかつ撹拌手段を備えた横置円筒形回転胴体より成る嫌気発酵槽(6)と、基本部分が嫌気発酵槽と同一構造でかつ通気手段を備えた好気発酵槽(13)と、嫌気・好気両発酵槽を縦列に結合し嫌気発酵残渣を好気発酵槽へ移送する中間移送装置(10)と、好気発酵槽残渣を排出する排出装置(16)とを備え、嫌気発酵槽内で原料バイオマスを分解してメタンガスを発生させ、発生ガスを外部と所内へ供給し、嫌気発酵残渣を好気発酵槽で堆肥化して外部へ供給する連続乾式バイオマス・ガス化プラントであって、好気発酵槽内部に嫌気性発酵を持続する部分塊を形成させないため、前記中間移送装置が嫌気発酵残渣を好気発酵槽内へ一定の時間的割合で連続的に移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ・有機性廃棄物等バイオマスを嫌気性メタン発酵させるプロセスと、嫌気発酵残渣を直接大気に触れさせない環境下で好気発酵させて堆肥化するプロセスとを、コンパクトに直結してなる連続乾式バイオマス・ガス化プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家畜排泄物等流動状の生物系廃棄物の処理は、メタン菌の力を借りる嫌気発酵により行われ、発生ガスは燃料に、発酵残渣は肥料として用いられてきた。メタン発酵には嫌気性環境が必要であるが、その環境は素材を大量の水に浸漬して酸素を遮断する湿式(または水封式)で実現される。この場合は発酵残渣と水の混合物が得られるから、これをそのまま液肥として消費できる条件があれば好都合である。しかし液肥の用途がない環境では、固液分離操作と水処理が必要になる。
【0003】
これに対して、乾式発酵法と呼ばれる方法が近年開発されつつある(非特許文献1参照)。これは廃棄物を水封することなく、含水率60〜80wt%程度の湿った状態のまま嫌気発酵処理するものである。湿式と比較した乾式の長所は:ソリッドのバイオマスをスラリー化する必要がなく、前処理としての細破砕が不要;残液の需要確保要求から解放され、そのための処理からも解放される;ソリッド残渣をコンポストに用いる際の後処理が簡単;湿式では1,000ppm以上ある硫化水素の発生が10〜30ppmと極めて少ない;悪臭の発生が少なく、人口密集地での設置に耐える等々多岐に渉る(非特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、非特許文献1に紹介されているBioFerm社の実証プラントは、2個の箱型発酵槽を交互に切り替え使用するバッチ方式を採用しており、原料バイオマスの搬入と仕込み・メタン発酵を終了したバイオマスの取出し・堆肥化等のプロセスは人手に多く頼る形態であり、臭気管理上の問題があると思われる。
【0005】
他の例として、株式会社タクマその他の企業が共同で、農林水産省の食品リサイクルモデル緊急整備事業の補助金を得て京都市において実施中の、食品廃棄物を主対象にした乾式固形処理法によるリサイクル設備「バイオガスリサイクル施設」(平成16年3月完成、50t/日)がある(非特許文献3及び4を参照)。
【0006】
この例では、機械的に外気から遮断された横型プラグフロー(押出し流れ)方式の発酵槽を用い、高い固形分濃度(含水率60〜85wt%)で嫌気発酵させ、発酵残渣を脱水機で脱水後、残渣ヤードで2次発酵させて完熟コンポストにする。一方、脱水ろ液は遠心分離後、排水処理槽を経て再利用に供される。
【0007】
上の幾つかの例に見られるように、従来のバイオマス・ガス化プラントの殆どは嫌気発酵残渣の廃液処理を必要とし、そのために広い敷地を要するフィールド処理を採用している。また、嫌気発酵残渣の2次発酵(堆肥化のための好気発酵)を大気接触状態で行うため、臭気問題から人工密集地での立地が制約される。
【0008】
近時、この種の生ゴミ処理機に関する安全問題が浮上した。さる食品スーパーの生ゴミ処理施設で起きた爆発火災事故である。原因は、撹拌機停止中の熱風吹込みによる処理物等の過熱と、これに起因する水素、一酸化炭素、メタン等の可燃性ガスの発生・蓄積・燃焼とされる(非特許文献5)。したがってこの事故は、装置の欠陥というよりは運転上の不手際が原因であった可能性が高い。
【0009】
しかし可燃性ガスの発生原因に関しては、上記原因以外にも、好気性発酵領域中に何らかの原因で嫌気性発酵菌が活動中の部分塊が入り交じることの危険性が考えられる。嫌気発酵部分ではメタンガスが発生し好気発酵領域には酸素が存在し、爆発濃度のメタン/酸素混合気が生じる危険があるからである。事故機は好気発酵式であったので、撹拌機停止中はこのような危険も併存したかも知れない。そのような危険が予見されるならば、本発明においてそれを避ける工夫をすることは当然である。
【0010】
下記特許文献1は、嫌気・好気両発酵槽を隣接して設け、両槽間での内容物の移し換えを簡便に行うようにした生ゴミ処理機について開示し、特許文献2は、単一の攪拌機付き処理槽において、嫌気的な環境下での有機物の分解処理と好気的な環境下での堆肥熟成とを切り替えて行わせる技術を開示している。しかし、上記の可燃性ガス発生の危険については、いずれの文献でも言及されておらず、当該文献の成立時点では、まだ気づかれていない潜在的課題であったと考えられる。
【0011】
【非特許文献1】BioFerm GmbH「固形有機廃棄物 乾式バイオガス・プラント」(日本語による紹介パンフレット)
【非特許文献2】神力達夫「ドイツにおける、水離れの新ドライ・バイオガス・システム」月刊廃棄物2002−7, pp70-76
【非特許文献3】カンポリサイクルプラザ紹介資料 カンポリサイクルプラザ株式会社
【非特許文献4】カンポリサイクルプラザ「バイオガスリサイクル施設」完成に伴う配布資料
【非特許文献5】大和市消防本部「イオン大和ショッピングセンター爆発火災に係る火災原因調査の概要について」(平成17年3月2日)
【特許文献1】特開2003−275718号公報
【特許文献2】特開平10−36186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、人工密集地に立地可能な都市型バイオマス・ガス化プラントを実現し、これにより、バイオマス・エネルギープラントの広域展開を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、特に安全性に留意しつつ、生ゴミ等のバイオマスを嫌気発酵させてメタンガスを回収するプロセスと、嫌気発酵残渣を直接大気に触れさせない環境下でさらに好気発酵させて堆肥化するプロセスとをコンパクトに直結した、下記連続乾式バイオマス・ガス化プラントを提供する。すなわち、
【0014】
原料バイオマスを粉砕混合して嫌気発酵槽へ連続投入する投入装置1と、胴部を両端の支持チャンバー18に回転自在に支持されて機械的に外気から密封されかつ撹拌手段を備えた横置円筒形回転胴体19より成る嫌気発酵槽6と、基本部分が嫌気発酵槽と同一構造でありかつ強制通気手段を備えた横置円筒形回転胴体19より成る好気発酵槽13と、嫌気・好気両発酵槽を縦列に結合し嫌気発酵残渣を好気発酵槽へ移送する中間移送装置10と、好気発酵槽から発酵残渣を連続的に排出する排出装置16とを備え、嫌気発酵槽内で原料バイオマスを分解してメタンガスを発生させ、発生ガスを外部及び所内へ供給し、嫌気発酵残渣を好気発酵槽内でさらに熟成させて堆肥化し、堆肥を外部へ供給する連続乾式バイオマス・ガス化プラントであって、好気発酵槽13内部に嫌気性発酵を持続する部分塊を形成させないため、前記中間移送装置10が嫌気性発酵残渣を好気発酵槽13内へ一定の時間的割合で連続的に移送することを特徴とする前記ガス化プラント(請求項1)である。
【0015】
なお、メタンガスによる発電用設備は、このガス化プラントの重要な付属設備ではあるが本発明外とし、請求項1には記載していない。
【0016】
前記プラントは、嫌気・好気両発酵槽における機械的密封が、支持チャンバー18の円筒形内壁面と横置円筒形回転胴体19の端部表面との間に挿入されたゴム状弾性体からなる摺動パッキン20により達成されるように構成することができる(請求項2)。
【0017】
前記プラントは、嫌気・好気両発酵槽6、13が、それぞれ横置円筒形回転胴体19内にその軸線に沿って両端の支持チャンバー18間に横架される中空固定軸を備え、該中空固定軸表面及び回転胴体内壁面に設けられた撹拌翼により、槽内容物が撹拌されつつ全体として槽の上流から下流へ搬送されるように構成することができる(請求項3)。
【0018】
前記プラントは、前記好気発酵槽13が、強制通気用ブロワー装置14及びガス燃焼式熱風発生装置15を備え、該ブロワー装置14又は熱風発生装置15からの通風により、槽内への酸素供給と共に余剰水分の蒸発を促し、必要な場合、好気発酵槽13の内容物の温度を調節することができ、好気発酵槽13内で発酵熱で暖められた空気及び水蒸気を集め、この空気等を嫌気発酵槽6の中空固定軸内へ供給し、必要な場合、該中空固定軸及び固定撹拌翼群の表面を伝熱面として嫌気発酵槽6の内容物を間接的に加温できるように構成されてもよい(請求項4)。
【0019】
前記プラントは、前記嫌気発酵槽6の中空固定軸内へ供給された空気等が、中空固定軸の末端から脱臭装置3を経て大気へ放出されるように構成されてもよい(請求項5)。
【0020】
前記プラントは、投入装置1が、原料バイオマスに含まれる空気を脱気する機能を有するように構成することができる(請求項6)。
【0021】
前記プラントは、中間移送装置10が嫌気発酵残渣からドレンを回収する機能を有し、回収されたドレンは、嫌気発酵槽内に散布されるように構成されてもよい(請求項7)。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、原料バイオマスはいったん嫌気発酵槽へ投入された後は、機械的に密封された横置円筒形回転胴体の効果により酸素を遮断された状態で長時間(約20日間)槽内に留まってメタンガスを発生しつつ分解され、さらに好気発酵槽へ移された後は強制通気と撹拌の下で約13日間好気発酵されて完熟堆肥となる。その間、プラント周辺に対する大気・水・騒音の各面での影響を最少限に留めることができる。
【0023】
また、嫌気発酵残渣は中間移送装置により嫌気発酵槽から好気発酵槽へ、極力少ない時間的変動の下で連続的に移送され、強制通気と撹拌を受けて好気発酵槽内でまとまった部分塊を形成することなく、直ちに圧倒的多量の好気性菌に晒され、短時間で嫌気性発酵を停止し好気性発酵に馴化する。したがって、好気発酵槽内に嫌気発酵を持続した部分塊が入り交じる危険が防止され、安全性が確保される。
【0024】
請求項1の発明におけるこれらの作用効果により、人工密集地をも含め、バイオマス・ガス化プラントの広域展開を図ることが可能になる。
【0025】
請求項2の発明によれば、嫌気・好気両発酵槽における機械的密封が、支持チャンバーの円筒形内壁面と横置円筒形回転胴体の端部表面との間に挿入されたゴム状弾性体からなる摺動パッキンにより達成されるので、原料バイオマスを水封する必要がなく、その結果、嫌気発酵残渣の脱水・廃液処理は不要であり、またそのための広い敷地を要するフィールド処理も不要となる。
【0026】
請求項3の発明によれば、嫌気・好気両発酵槽が、それぞれの横置円筒形回転胴体内に有する中空固定軸の表面と回転胴体内壁に列設されている送り撹拌翼群の作用により、槽胴体の回転に伴って内容物が撹拌されつつゆっくり前進移動し、所要の槽内滞留時間が達成される。
【0027】
請求項4の発明によれば、好気発酵槽が強制通気用ブロワー及びガス燃焼式熱風発生装置を備えるので、該ブロワー装置又は熱風発生装置からの通風により、槽内への酸素供給と同時に余剰水分の蒸発を促し、必要に応じて好気発酵槽の内容物の温度を調節することができる。また、好気発酵槽内で発酵熱で暖められた空気及び水蒸気を集め、この空気等を嫌気発酵槽の中空固定軸内へ導き、該中空固定軸及び固定撹拌翼群の表面を伝熱面として嫌気発酵槽の内容物を間接的に加温することができるので、嫌気性環境を維持しつつ、好気発酵槽から与えられる廃熱を利用して嫌気発酵槽の内容物の温度を適温に調節することができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、嫌気・好気両発酵槽間に設置される中間移送装置が嫌気発酵残渣からドレンを回収する機能を有し、回収されたドレン中には活性の高いメタン菌が豊富に含まれ、これが嫌気発酵槽内に設けた配管を通じて槽内へ返されるので、嫌気発酵槽内の発酵活性が高水準に保たれ、発酵促進に役立つ。なお中間移送機内でのドレン回収に際しては、その目的からろ液の沈降分離等は必要がないので行っていない。
【0029】
請求項6の発明によれば、投入装置が、原料バイオマスに含まれる空気を脱気する機能を有するので、嫌気発酵槽への原料投入に伴う空気の随伴が抑制され、良好な嫌気発酵環境が実現される。
【0030】
請求項7の発明によれば、前記好気発酵槽を経て嫌気発酵槽の中空固定軸内へ供給された空気及び水蒸気が、中空固定軸の末端から脱臭装置3を経て大気へ放出されるので、好気発酵槽の内容物が直接外気に触れることがなく、臭気問題を最小限に留めることができる。
【実施例】
【0031】
以下に、生ゴミ処理能力20t/日の、本発明に係る連続乾式バイオマス・ガス化プラントの設計計算例を示す。なお、以下の数値は本プラントの定常運転状態を想定しており、運転開始当初の非定常状態を含まない。
【0032】
生ゴミの含水率70wt%、嫌気発酵期間20日、好気発酵期間13日とすると、嫌気発酵残渣発生量=16.15t/日(うち固形分2.15t/日、水分14t/日:含水率86.7wt%)、好気発酵残渣(コンポスト)発生量=2.52t/日(うち固形分1.89t/日、水分0.63t/日:含水率25wt%)の結果を得る。上記の16.15t/日が、請求項1において「一定の時間的割合」と記した嫌気発酵残渣量に当たる。この量を極力均等に連続して移送することが安全上肝要である。
【0033】
原料バイオマスから持ち込まれる固形分6t/日と水分14t/日のうち、水分は嫌気発酵槽6をそのまま通過し、固形分はガスに転換されて約2.15t/日に減量される。中間移送装置10による移送の途上で少量の水がドレンとして分離されるが、これはドレンタンク11に回収し嫌気発酵槽6へ還流されるから、総水分量は変わらない。
【0034】
嫌気発酵槽6を通過する上記の14t/日の水分はそのまま好気発酵槽13へ移送され、その中で強制通気用ブロワー14による強制通気(熱風発生装置15による熱風を含む)と、好気性高温菌(50〜65℃)の発酵熱とにより、投入水分のほぼ全量が蒸発し、2.15t/日の固形分も好気性発酵により若干の減量を受ける。その結果、固形分1.89t/日、残存水分0.63t/日(含水率25wt%)の好気発酵残渣(コンポスト)が得られる。なお、原料バイオマスの含水率変動に対応して、コンポストの一部が投入装置1へ還流される場合がある。
【0035】
好気発酵槽13内で生じた水蒸気は空気と共に集められ、嫌気発酵槽6の中空固定軸内へ送入されるが、ほとんど結露することなくそこを通過し、脱臭装置3を経て大気へ放散される。
【0036】
メタンガス発生原単位を110m3/tとすれば、ガス発生量は2,200m3/日。このうち、好気発酵槽13内での水分蒸発用燃料に自家消費されるガス量は熱量計算から137m3/日であるから、余剰ガス量は2,063m3/日である。発電原単位を1.8kwh/m3として、余剰ガスによる発電量は3,713kwh/日。プラント内設備の消費電力は約1,130kwhと見積もられるから、差し引き約2,582kwh/日の外部売電が可能である。
【0037】
主要設備の仕様・寸法・台数は次のようである。このプラントは主要設備を3台づつ備え、3台が並列に運転される。
(1)投入装置容量=5t/h×3台
(2)嫌気発酵槽容量=678m3=φ3m×L32m×3台
(3)好気発酵槽容量=103m3=φ2.5m×L7m×3台
(4)熱風発生器容量=60,000kcal/h×3台
(5)高圧ブロワー容量=5.5kw×3台
(6)密閉中間移送装置=φ300mm×L1.5m×3台
(7)ガスホルダ容量=10m3
(8)製品排出装置=φ300mm×L1m×3台
(9)計量袋詰装置ホッパ容量=3m3
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、生ゴミ・有機性廃棄物等を嫌気メタン発酵させる連続乾式バイオマス・ガス化プラントに関するものであるから、有機性廃棄物を排出するあらゆる産業、特に農漁業・畜産・食品加工・同販売流通等多くの産業の発達に寄与すると共に、生ごみ処理に当たる自治体等の活動に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る連続乾式バイオマス・ガス化プラントの構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る連続乾式バイオマス・ガス化プラントのプロセスフローを示すブロック図である。
【図3】嫌気・好気両発酵槽における摺動パッキンを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1:投入装置
2:抜気槽
3:脱臭装置
4:真空ポンプ
5:誘引ファン
6:嫌気発酵槽
7:ガスホルダ
8:ガス吸引ブロワ
9:ガスタンク
10:中間移送装置
11:ドレンタンク
12:ドレンポンプ
13:好気発酵槽
14:強制通気用ブロワー
15:熱風発生装置
16:分離排出装置
17:計量袋詰装置
18:支持チャンバ
19:回転円筒
20:摺動パッキン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料バイオマスを粉砕混合して嫌気発酵槽へ連続投入する投入装置と、胴部を両端の支持チャンバーに回転自在に支持されて機械的に外気から密封されかつ撹拌手段を備えた横置円筒形回転胴体より成る嫌気発酵槽と、基本部分が嫌気発酵槽と同一構造でありかつ強制通気手段を備えた横置円筒形回転胴体より成る好気発酵槽と、嫌気・好気両発酵槽を縦列に結合し嫌気発酵残渣を好気発酵槽へ移送する中間移送装置と、好気発酵槽から発酵残渣を連続的に排出する排出装置とを備え、
嫌気発酵槽内で原料バイオマスを分解してメタン等可燃性ガスを発生させ、発生ガスを外部及び所内へ供給し、嫌気発酵残渣をさらに好気発酵槽内で熟成させて堆肥化し、堆肥を外部へ供給する連続乾式バイオマス・ガス化プラントであって、
好気発酵槽内部に嫌気性発酵を持続する部分塊を形成させないため、前記中間移送装置が嫌気発酵残渣を好気発酵槽内へ一定の時間的割合で連続的に移送することを特徴とする前記ガス化プラント。
【請求項2】
前記嫌気・好気両発酵槽における機械的密封が、支持チャンバーの円筒内壁面と横置円筒形回転胴体端部表面との間に挿入されたゴム状弾性体からなる摺動パッキンにより達成されることを特徴とする請求項1記載のガス化プラント。
【請求項3】
前記嫌気・好気両発酵槽が、それぞれその軸線に沿って両端の支持チャンバー間に横架された中空固定軸を備え、該中空固定軸表面及び回転胴体内壁面に設けられた撹拌翼により、槽内容物が撹拌されつつ全体として槽の上流から下流へ搬送されることを特徴とする請求項1記載のガス化プラント。
【請求項4】
前記好気発酵槽が、強制通気用ブロワー装置及びガス燃焼式熱風発生装置を備え、該ブロワー装置又は熱風発生装置からの空気により、槽内への酸素供給と同時に余剰水分の蒸発を促し、必要に応じて好気発酵槽内容物の温度を調節することができ、
好気発酵槽内で発酵熱により暖められた空気及び水蒸気を集め、この空気等を嫌気発酵槽の中空固定軸内へ供給し、必要に応じて、該中空固定軸及び固定撹拌翼群の表面を伝熱面として嫌気発酵槽の内容物を間接的に加温できることを特徴とする請求項3記載のガス化プラント。
【請求項5】
前記嫌気発酵槽の中空固定軸内へ供給された空気及び水蒸気が、その末端から脱臭装置を経て大気へ放出されることを特徴とする請求項4記載のガス化プラント。
【請求項6】
前記投入装置が、原料バイオマスに含まれる空気を脱気する機能を有することを特徴とする請求項1記載のガス化プラント。
【請求項7】
前記中間移送装置が、嫌気発酵残渣からドレンを回収する機能を有し、回収されたドレンが嫌気発酵槽内へ散布されることを特徴とする請求項1記載のガス化プラント。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−54764(P2007−54764A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245131(P2005−245131)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(598052632)協和化工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】