説明

連続式流動床中でのカルシウム組成物の製造方法

【課題】カルシウム含有化合物を含む微粒子状物質の製造方法の提供。
【解決手段】炭酸カルシウムを任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに含む流動化された組成物を連続式流動床装置中で流動条件下に造粒し、そして/または被覆することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医薬の製剤科学分野に関するものであり、より詳細にはカルシウム含有微粒子状物質の製造方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微粒子状物質あるいは顆粒状物質は、医薬品の製造において、高速撹拌、乾式造粒、圧密、押出および流動床法を含む種々の製法により製造することができる。
【0003】
医薬品の製造において最もありふれた造粒方法は、高速撹拌または高剪断撹拌およびそれに続く湿った顆粒の流動床中での乾燥による方法である。この方法によれば、高密度を有する小さな錠剤を製造するのに適した密度の高い顆粒を製造することができる。流動床造粒法は、より複雑な方法であり、投資、方法の有効性および運転経費の面でより高価につくため、あまり採用されていない。流動床造粒法によると、密度の低い顆粒が製造され、飲み込まれる通常の錠剤を製造するには望ましくないかもしれない。
【0004】
カルシウム・チュアブル製品用には、きわめて特殊な原材料が要求され、きわめてデリケートな製造方法が最も重要となる。カルシウム・チュアブル錠について、原材料の厳密な特性と注意深く選択された製造方法との組み合わせの重要性が、Nycomed Pharma AS のEP-A-1 128 815に示されている。
【0005】
この文献は、炭酸カルシウムを含有するチュアブル錠の好ましくない嵩高さが軽減される方法を記述している。錠剤の小型化は、炭酸カルシウム原材料の物性ならびに流動床造粒方法および乾燥方法の注意深い選択により達成された。好ましい特性を有する炭酸カルシウムの平均粒子径および比表面積の最適範囲は、それぞれ3 〜 40 μmおよび0.1〜 1.2
m2/g であることがわかった。比表面積は流動床における造粒および乾燥中の効率的で短い加工時間を達成するために重要であったのに対して、粒子径範囲の選択は口腔中での満足できる噛み砕きやすさと分散性を達成するために特に重要であった。
【0006】
流動床造粒工程は、結合剤の極めて均一な分布をもたらし、このことが次いで噛み砕かれたときの錠剤の迅速な分散および打錠工程中のきわめて良好な結合性をもたらす。この最後の性質は、打錠機の成果を最大限にし、かつ打錠機のクリーニングおよびメインテナンスの必要性を最小限にすることを可能ならしめ、高速打錠機の生産性にとってきわめて重要である。
【0007】
しかしながら、流動床造粒および乾燥の採用は、未解決のまま残るいくつかの問題を引き起こす。これらの問題は、バッチ式流動床設備自体の設計だけでなく、バッチ式流動床方法の制御およびバッチ処方の作成にも関係している。
経験されたバッチ式関連の流動床の問題は以下のとおりである。
【0008】
通常の問題は、粉末または顆粒が流動床装置内の部品、スプレーノズルおよびエアーフィルターに固着することである。もう一つの問題は、流入空気が流動床中へ通過する下段の高圧室中の製品スクリーンの下に止まる微細な粉末粒子であった。拡大チャンバー中に徐々に堆積する粉末の層に加えて、このことは定期的なクリーニングの必要性を引き起こす。
【0009】
カルシウム顆粒のバッチ処方の過程において、造粒工程の終わりと乾燥工程の始まりの間の満足できる流動性を確保するという問題があった。特に、除湿機能が限界にきている
夏の間は、乾燥が不十分となり、製品コンテナ中に塊が形成されるという問題があった。このことは顆粒のバッチに深刻な問題を引き起こし、高すぎる湿気に対する仕様によるものではない。このことを補償するために、造粒液中の結合剤の濃度を調整し、排気フィルターの余分な擦り切れおよび引き裂きを引き起こす通風能力を高める必要があった。
【0010】
したがって、吸入される空気の湿度および絶対湿度に対して雰囲気の状態が定常的であっても、バッチ式プロセスでは顆粒の水分含量および粒子径/分布に関して不十分な再現性が経験された。それゆえ、特に吸入される空気の湿度が変動したときに、この方法の健全さを増す必要があった。
【0011】
バッチ式流動床にとってプロセス中のサンプリングのやり方は、製品コンテナへ出てくるカルシウム顆粒の水分含量および粒子径分布が均質でないという事実のために、問題が多い。このことは、流動床中の湿度が高すぎて乾燥が不十分になり、塊が形成されるという問題があったときに、特に顕著である。
【0012】
バッチ式方法は、固まらせるカルシウム含有化合物の比表面積、粒子径および形状に関してきわめて鋭敏であるということが分かった。炭酸カルシウムの比表面積の増大または異なった粒子形は、しばしば再形成作業および製造されるべき品質および有効性の新たなセットを必要とする。
【0013】
さらに、この方法は、原材料が充填され、各バッチの後で除かれなければならず、生産速度を相当に低下させるバッチ式の方法である。
【0014】
連続式の流動床造粒および乾燥は、化学および食品産業における大量生産または単品生産に主に利用されてきた方法である。医薬品の生産は通常速いバッチや処方の変更、製品が代わったときの厳密な洗浄、およびバッチ・サイズの定義における困難な規制を要するという事実のために、医薬品産業はこの技術をあまり利用してこなかった。
【発明の概要】
【0015】
発明の概要
連続式流動床装置を使用して、驚くべきことに、流動床装置内の部品への顆粒の固着、製品コンテナ中の高い相対湿度における制御不能な塊の形成、水分含量および粒子径/分布に関する満足できない再現性、およびプロセス・サンプリングにおけるサンプルの不均一性に関する問題といったような問題をほとんど解決できることが見出された。この方法は、装置への充填/排出工程の時間を短縮し、特に装置の洗浄の必要性を最小限にできる。
【0016】
また、驚くべきことに、粉末混合物が曝される湿気を注意深く調整することにより、連続式流動床方法において、平均粒子径を広い粒子径範囲にわたって効果的に変動させ得ることが見出された。
【0017】
さらに、驚くべきことに、比表面積、粒子径/分布および粒子形のような異なった物理的性質を有する異なったカルシウム源が用いられたときに、連続式流動床方法が方法の困難さ、ならびに顆粒の水分含量および粒子径/分布の変動に対してそれほどセンシティブでないことが見出された。特に、連続式流動床を含む方法を用いることにより、バッチ式流動床を用いる方法よりも、一層狭い粒子径分布の得られることが見出された。このように狭い粒子径分布は、均一な粉末混合物を得るのに特に有利である。
【0018】
かくして、本発明はカルシウム含有化合物を含む粒状物質を製造する方法に関するものであり、該方法はカルシウム含有化合物を任意の一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と
ともに含む流動性混合物を連続式流動床装置中で流動条件下に顆粒化することを含む。
【0019】
本方法は、調整可能な水分含量を有し、調整可能な粒子径および粒子径分布を有する粒状物質を製造できるという利点を有し、効果的で経費的にも効率の良い方法であることが見出された。
【0020】
さらに、本方法は、頑健な方法であり、流動床方法のプロセス・パラメーターが一旦見出されて、流動床方法が開始されたならば、調整は不要であるか、必要であるとしてもごく僅かである。
【0021】
本発明の方法は、次の工程:
i)連続式流動床装置のゾーンへ一定の供給割合(kg/時間)で組成物を連続的に供給する、
ii)流動化された組成物を流動床装置の一つ以上のゾーンを通して供給割合に応じた割合で連続的に移動させる、
iii)造粒液を流動化された組成物に一定の噴霧割合(溶媒kg/時間)で噴霧すること
により、上記の組成物を連続的に湿潤させる、
iv)湿潤した組成物を連続的に乾燥する、そして
v)このようにして得られる微粒子状物質を上記の供給割合に応じた排出割合で連続的に収集する。
【0022】
上記の微粒子状物質は通常、少なくとも約40重量%のカルシウム化合物の含量、少なくとも約70w/w%、少なくとも約80w/w%、少なくとも約90w/w%あるいは少なくとも約95w/w%のような、少なくとも約60w/w%のカルシウム化合物の含量を有する。
【0023】
さらに、上記の方法は、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤および/または一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な任意成分とともに、得られた微粒子状物質を圧縮して錠剤を形成する工程を含み得る。
【0024】
もう一つの観点によれば、本発明は、カルシウム含有化合物および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む微粒子状物質に関するものであり、ここでSPAN値(SPAN value)は例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1、多くとも約2、あるいは多くとも約1.9のような、多くとも約2.3である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】連続式流動床の模式図である。
【図2】連続式流動床パイロットモデルWT4/13の写真である。
【図3−6】連続式およびバッチ式流動床からの顆粒および結合構造を示すSEM写真である。
【図7】統計分析からの平均粒子径に対する主な影響を示すグラフである。
【図8】実施例3からのバッチの圧縮プロフィールについての工程中で測定された圧縮強度および対応砕け易さの値を示すグラフである。
【図9】噴霧割合、PVP濃度、入口顆粒温度および入口空気湿度の平均粒子径に対する影響を示すグラフである。
【図10】実施例4からのカルシウム顆粒についてのMalvern分析による粒子径分布を示すグラフである。
【図11】実施例5からの各バッチからの10錠の含量均一性データを示すグラフである。
【0026】
以下の実施例に見られるように、同じ組成物を有してはいるが、バッチ式の流動床方法を用いると、微粒子状物質の製造に関連して得られるスパン値は約2.6〜2.7となるのに対して、本発明の方法によれば、約1.7〜1.9の範囲のスパン値が得られる。したがって、バッチ式流動床から連続式流動床への変更は、スパン値を約30%低減させる。
【0027】
スパン値は、
[D(v, 0.9) - D(v, 0.1)]/D(v, 0.5)
として計算される。
【0028】
粒子径の分析は、Malvern Mastersizer S ロング・ベンチ装置により行なわれる。ここで、 D(v, 0.1)、D(v, 0.5)および D(v, 0.9)は、微粒子の10容量%、50容量%およ
び90容量%が与えられた数値より下の大きさを有する粒子径を与える。D(v, 0.5) は平均の粒子径である。
【0029】
ここで説明されるように、本発明による連続式流動床方法は、スパン値により証明されるように、きわめて狭い粒子径分布を有する微粒子状物質をもたらす。
さらなる観点によれば、本発明は、ここに記載された微粒子状物質またはここに記載された方法により得られる微粒子状物質の、投与形態を製造するための使用にも関する。
【0030】
さらなる観点によれば、本発明は、カルシウム含有化合物を含む固体投与形態の製造方法にも関する。該方法は、
i)ここに記載されたようにして得られる微粒子状物質を、任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して、カルシウム含有化合物の含量が少なくとも60重量%の粉末混合物を製造し、そして
ii)上記の微粒子状物質または粉末混合物を固体投与形態に加工する。
【0031】
発明の詳細な記述
前記のとおり、バッチ式流動床技術の方法を改良する必要があった。
バッチ式流動床では、4つの異なったユニット・プロセス、すなわち予熱/混合、造粒、乾燥および冷却が、原則として一つの同じ区画の中で行なわれる。
【0032】
したがって、バッチ処方を実施するために、同じプロセッシング区画の中で臨界的プロセス・パラメータのために設定されたポイントが頻繁に変更されなければならない。概して、バッチ式方法では、臨界的プロセス・パラメータが常に有効なプロセス範囲内にあることを確実にするために、プロセスの完全なコントロールおよびモニタリングが必要となる。
【0033】
このことは、バッチ式方法ではバッチ処方が行なわれるたびに臨界的プロセス・パラメータの頻繁な段階ごとの調整が必要になるという事実による。換言すると、予熱/混合工程の間に採用されるプロセス・パラメータは、造粒工程で採用されるものと異なっており、造粒工程のパラメータは乾燥工程や冷却工程で採用されるものと異なっている。プロセス・パラメータの変更は通常自動的に行なわれるけれども、わずかな変更でも方法の成功にとって好ましくない。
【0034】
連続式流動床方法では、個々のゾーンが相互に厳密に分離されていないので、各工程はその工程自体の空気吸入区画またはゾーンで行なわれ、このことはより好ましい条件である。これは、4つの空気吸入区画を有する連続式流動床装置を示す図1に表されている。この場合には、2つの造粒ゾーンと一つの乾燥ゾーンと一つの冷却ゾーンが示されている。
【0035】
各ゾーンの入口空気は、空気の量、絶対的水分含量および温度に関して個々に調整することができる。このことは、これらの臨界的プロセス・パラメータがプロセスの終了までいかなる変更にも付されないことを確実にする。すなわち、一つの同じゾーンは同じ機能を有しており、プロセスの終了まで特定のユニット・プロセスを実行し、したがってどのプロセス・パラメータも他のユニット・プロセスに合わせる必要がない。それゆえに、すべての臨界的プロセス・パラメータが連続方法の間中、変更されないで維持される。
【0036】
連続式流動床方法は、安定した状態の方法である。このことは、流動床の水平方向のどのポイントでも条件が変動しないことを意味する。そのため、各区画で臨界的プロセス・パラメータを調整する必要がないので、バッチ式の方法よりもプロセス・コントロールに一層優れている。このことは、臨界的プロセス・パラメータの変動を最小にし、より良いプロセス・コントロールをもたらす。
【0037】
さらに、連続式流動床は、バッチ式の方法に比べて、きわめて低い床高さ、および生産
スクリーンのm2当たりより少ない量の生産物の両方を有する。このことは、生産物のk
g当たりより多くの流動空気を許容し、水分負荷および乾燥条件の調整に関してより多くの自由度を与える。その結果は、制御されない凝固および粉末床の不均一な湿潤の発生がより一層少ない、より良く制御された流動性である。
【0038】
本発明者らは、連続式流動床装置を使用することにより、流動床装置内の部品への顆粒の固着、製品コンテナ中の高い相対湿度での制御不能な塊の発生、および微粒子状物質の不均一なサンプリングといったような問題をほとんど解決できることを見出した。
【0039】
連続式流動床装置の使用は、時間のかかる充填/排出工程を低減させ、特にクリーニングの必要性を最小限にする。
連続式流動床装置を用いるもう一つの利点は、連続式流動床方法において粉末混合物が曝される水分負荷を注意深く制御することにより、連続式流動床方法において広範な粒子径にわたって平均粒子径を効果的に変動させることができるということである。
【0040】
プロセス中のサンプリングは、連続式方法では、サンプルが出口側の連続した均一な製品の流れから取り出されるので、より良くコントロールされる。
かくして、連続式流動床方法は、バッチ式の方法に比べて、嵩密度、粒子径/分布および水分含量のような製品の特性がほとんど変動しない、より良いプロセス・コントロールおよび再現性のより良い方法を提供する。
【0041】
かくして、本発明は、カルシウム含有化合物を含む微粒子状物質の製造方法に関するものであり、この方法はカルシウム含有化合物を任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに含む流動化された組成物を連続式流動床装置中で流動条件下に造粒することを含む。
【0042】
図1は、連続式流動床装置の模式図を示す。この図から分かるように、組成物は装置中に供給され、個々のユニット・プロセスは連続式流動床中のゾーンで行なわれる。
【0043】
したがって、本発明による方法は、次の工程を含む。
i)連続式流動床装置のゾーンへ一定の供給割合(kg/時間)で組成物を連続的に供給する、
ii)流動化された組成物を流動床装置の一つ以上のゾーンを通して供給速度に応じた速さで連続的に移動させる、
iii)造粒液を流動化された組成物に一定のスプレー割合(溶媒kg/時間)で噴霧する
ことにより、上記の組成物を連続的に湿潤させる、
iv)湿潤した組成物を連続的に乾燥する、そして
v)このようにして得られた微粒子状物質を上記の供給速度に応じた排出割合で連続的に収集する。
ある場合には、冷却は、乾燥組成物が集められる前に、該組成物に適用されてもよい。
【0044】
装置によっても異なるが、一般に、上記の工程は連続式流動床装置中の2つ以上のゾー
ンで行なわれる。そのような場合、2つ以上のゾーンが用いられるときには、工程i)とiv)および/または工程iii)とiv)は、連続式流動床装置の異なったゾーンで行なわれる。
【0045】
かくして、一つの観点からすれば、本発明は上記のような方法を開示するものであり、該方法によって半製品が連続式流動床装置内の部品に固着するのを実質的に回避することができる。
【0046】
さらに他の態様では、本発明は上記のような方法を開示するものであり、得られる微粒子状物質は易流動性で、かつ非付着性の微粒子状物質である。
【0047】
本発明の一つの態様では、上記の低い水分含量は、例えば約0.12w/w%〜約0.3w/w%のような、約0.1w/w%〜約0.54w/w%の範囲に相当する。
【0048】
以下は、連続式流動床方法にとって臨界的プロセス・パラメータ、特に異なった能力またはアウトプットを有する連続式流動床モデルの範囲におけるカルシウム含有化合物の造粒のための臨界的プロセス・パラメータの典型的なプロセッシング・ウィンドウである。
【0049】
本方法に適用されるカルシウム含有化合物の供給割合は、次の表に示された特定の装置に依存する。以下に記述された個々の数値は、以下の実施例に記載された特定の微粒子状物質の製造に基づいている。一般に、用いられる個々の装置、製造される特定の微粒子状物質の組成物および所望の平均粒子径によって、例えば供給割合、噴霧量、空気流量および床の負荷は、例えば±50%、±40%、±30%、±20%または±10%のようなある限度内で変動し得る。
【0050】
【表1】

【0051】
上の表に示された生産スケール設備はハイネン(Heinen)からのものであり、同じ製造条件および関係が、GlattおよびNiro/Aeromaticのような供給業者からの他のタイプの連
続式流動床造粒および乾燥設備にも適用できるということが理解されなければならない。上の表は、連続式流動床における特定の製品についての臨界的プロセス・パラメータと次の定義との関係を示す。
【0052】
製品スクリーン面積(m2):それは特定の流動床の面積であり、連続式流動床におい
てスケールアップまたはスケールダウンするときに重要である。この値は、個々のプロセッシング・セクション(固化、乾燥および冷却)について一定であるべきである。
【0053】
供給割合(kg/時間):これはアウトプットに比例しており、与えられた生産スケー
ルの設備に対する生産能力を表す。
【0054】
ベッド負荷(kg):これはいずれかの時の設備内の物質の実際の量を表す。
噴霧量(水g/分/溶媒):これは加えられた結合剤中の乾燥物質について補正されたときの移動床上へ噴霧された純粋な水(または溶媒)の量である。
空気流量(m3/時間):これは加工設備中のプロセス区画の全体を通過する空気の総量
である。
直線空気速度(m/秒):これは流動粉末床が底面スクリーン近くの製品コンテナーの底で経験する空気の速度である。
【0055】
供給割合(kg/時間)/噴霧量(kg/時間):これは指数であり、特定の製品組成物と用いられる設備独自の生産スケールについての定数である。噴霧量は、粒子径/分布、嵩密度および水分含量に関する顆粒の最適特性を有する顆粒を与えるように選定される。
滞留時間(時間):これは供給割合を超えたベッドの負荷として定義される。
【0056】
さらに、ここでは次の定義も用いられる。
「連続式流動床方法」という用語は、各ユニット・プロセスの相がそれ自体の空気入口区画で行なわれる方法を意味する。これは、図1において、1つまたは2つの造粒区画、1つの乾燥区画および1つの冷却区画により表されている。各区画の入口空気の絶対水分含量および温度は、それぞれ独立して調整され得るので、連続方法の間中、これらの最適プロセス・パラメータを変えないで維持することができる。
【0057】
「微粒子状物質」という用語は、粒状物質または単なる顆粒と同義語である。
「製剤化」という用語は、上記の組成物を用いて医薬を製造する際の賦形剤、担体、賦形薬、溶媒、補助溶剤、保存剤、着色剤、着香剤などの選択に関することを意図している。
【0058】
本明細書において、「医薬的に許容される賦形剤」という用語は、それ自体が治療的および/または予防的な効果を実質的に有さないという意味で不活性である物質を意味する。医薬的に許容される賦形剤は、許容される技術的な性質を有する医薬製剤の製造を可能ならしめる目的で活性医薬物質に添加され得る。
【0059】
次のセットポイントのプロセス・パラメータは、例えば、製造されるべき微粒子状物質の組成物を変更するとき、または例えば異なった連続式流動床設備の規模の間でのスケールアップまたはスケールダウンに関連して、適当に調整されることが重要である。
i)空気速度、
ii)入口空気温度、
iii)入口空気湿度、
iv)床の高さ、
v)供給割合(kg/時間)/噴霧量(溶媒kg/時間)、
vi)用いられるノズルについての噴霧圧、
vii)ノズルの数/製品スクリーン面積
【0060】
本発明者らは、これらのパラメータの少なくとも1つはスケールアップまたはスケール
ダウンの間一定に保たれなければならないということを見出した。(本明細書において、「スケールアップおよびスケールダウン」という用語は、装置の規模における変動を意味し、特定の装置のベッド負荷における増加または減少を意味しない。)
【0061】
一般に、一定に保たれるべき最も重要なパラメータは、供給割合(kg/時間)と噴霧
量(溶媒kg/時間)の比である。
本発明のさらなる態様において、例えば3つ以上、または4つ以上、または5つ以上、6
つ以上、あるいはすべてのプロセス・パラメータのセットポイントがスケールアップまたはスケールダウンの間、一定に保たれる。
【0062】
臨界的プロセス・パラメータの最適のセットが一つの生産規模について見出されたならば、上記のプロセス・パラメータが一定に保たれるという事実により、スケールアップまたはスケールダウンは簡単である。
【0063】
スケールアップまたはスケールダウンの可能性のほかに、本発明による方法は、用いられる特定のカルシウム含有化合物の平均粒子径の変更に対するプロセス・パラメータのセットポイントに関して比較的たくましい。
【0064】
このことは、カルシウム含有化合物として炭酸カルシウムが用いられる場合、プロセス・パラメータのセットポイントをそれほど変更しないでも、例えば異なった平均粒子径を有する性質のような異なった性質の選択が可能であることを意味する。同じことが異なった嵩密度を有する性質についても言える。
【0065】
特別の態様において、ハイネン(Heinen)の連続式流動床WT 4/13パイロット・モデル
で一連の試験が行なわれた。WT4/13連続式流動床装置は、約0.52m2で、空気量、温
度および湿度に関して別々に調整できる3つの空気入口セクションを有する篩の底板からなっている。この設備は、1時間当たり固化製品100kgまで、最大1800m3/時
間の通気、および最大70kg/時間の水分蒸発割合の範囲の能力を有している。
【0066】
3つの噴霧ノズルは、床の中央において流動床の上に順次設けられており(トップ・スプレー)、最初のノズルは移動床の方向に対抗する角度で噴霧され、それに続く2つのノズルは移動床に沿う角度で噴霧される。2つのノズルは最初の区画内に位置しており、3番目のノズルは2番目の区画内に位置している。図2はWT4/13の写真を示す。
【0067】
上記の試験は、例えば約5〜約40、約5〜約35、約5〜約30、約5〜約25、約6〜約20、約6〜約15、約6〜約10または約7〜約8のような供給割合/噴霧量の指数を示した。好ましくは6.8〜約22.5であり、最も好ましくは約7.9である。
【0068】
造粒工程
最初のゾーンへ供給される成分は、通常、一つ以上のカルシウム含有化合物を含む組成物の形態にある。組成物は一つ以上のカルシウム含有化合物、特に一つのカルシウム含有化合物だけを含んでいてもよく、あるいはそれはカルシウム含有化合物と、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、そしてもし適切であれば例えば以下に記述されるような治療的、予防的または診断的に活性な物質一つ以上との混合物を含んでいてもよい。医薬的に許容される賦形剤は、例えば充填剤、希釈剤などのような、普通に用いられる物質である。個々の例は、「医薬的に許容される賦形剤」というタイトルの下に、そして以下の実施例中に見出される。
【0069】
特別な観点において、本発明の方法により得られる微粒子状物質は、
i)一つ以上のカルシウム含有化合物、
ii)一つ以上の結合剤、
iii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、
iv)任意に一つ以上の甘味剤
を含む。
【0070】
通常、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤および/または甘味剤が存在するときには、それらは連続式流動床中で造粒されるカルシウム含有化合物を含む組成物中に含まれる。
上記のように、結合剤は組成物中に存在していてもよい。
【0071】
より具体的には、微粒子状物質は、全体の含量が100%を超えないという条件で、
i)約40%〜約99.9%w/wの一つ以上のカルシウム含有化合物、
ii)約0.1%〜約30%w/wの一つ以上の結合剤、
iii)もし存在するならば、約0.1%〜約15%w/wの一つ以上の医薬的に許容され
る賦形剤、および
iv)もし存在するならば、約5%〜約50%w/wの一つ以上の甘味剤
を含む。
【0072】
供給割合は連続式流動床装置の製品スクリーンの面積の大きさに依存する。供給割合は、通常、例えば50〜100kg/時間、特に60〜80kg/時間のような25〜200kg/時間の範囲であり、床の負荷が約75kgである装置にとって好ましいのは約75kg/時間である。滞留時間は、床の負荷が75kgである場合、1時間である。上記の表から明らかなように、供給割合はより一層大きくてよく、より大きなサイズの設備が用いられるとき、例えば約500〜約1000kg/時間である。
【0073】
前記のように、カルシウム含有化合物を含む組成物の供給レート(kg/時間)と造粒液の噴霧量(溶媒kg/時間)との比は、所期の製品を得るために重要である。
【0074】
特定の態様において、その比は、例えば約6〜約23、約6〜約12、約6〜約10、約6.5〜約8.5または約7〜約8の範囲のような、約4〜約45の範囲である。
【0075】
造粒は、上記のようにノズルが配置された最初の2つのゾーンで行なわれる。ノズルの数は変動し得る。上記参照。特別な態様において、3つのノズルが用いられ、それらは造粒液(特別な態様においては溶解した結合剤を含む)の微細な霧を噴霧するように、脈打つ粉末床の上に配置されており、粒子を凝集固化させてより大きな顆粒または固化物を形成する。
【0076】
造粒液
流動化された組成物の造粒は、カルシウム含有化合物を含む流動化された組成物に適用される造粒液の手段により行なわれる。
連続式流動床装置へ供給された粉末混合物の固化物を形成するため、通常、結合剤の使用を必要とする。一つの観点において、以下の実施例で示されるように、造粒液は医薬的に許容される結合剤を含む。しかしながら、好適な凝集固化は、医薬的に許容される結合剤を含む流動化された組成物に造粒液を適用することによっても達成される。
後者の場合は、組成物が例えば結合性を有する糖アルコールを含むときに特に興味深い。結合剤を造粒液中に含む場合も、流動化された組成物中に含む場合も、本発明の範囲内である。
【0077】
造粒液は、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、または例えば溶解し得るもしくは高甘味剤のような添加剤をさらに含んでいてもよい。
造粒液は、例えばアルコール(例えば、エタノール、プロパノールもしくはイソプロパノール)のような有機溶媒が加えられてもよいが、通常、水をベースとしている。
【0078】
特別な態様において、結合剤は水溶性の結合剤から選択される。
好ましい結合剤の例は、デキストリン、マルトデキストリン、(例えば、ロデックス(登
録商標)5およびロデックス(登録商標)10)、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、ラクトース(例えば、噴霧乾燥ラクトース、α−ラクトース、
【0079】
β−ラクトース、テーブルトース(登録商標)、種々のグレードのファルマトース(登録商標)、マイクロトースまたはファスト−フロック(登録商標))、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、タガトース、トレハロース、キシリトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学株式会社から入手可能な LH 11, LH 20, LH 21, LH 22, LH 30, LH 31, LH 32)、
【0080】
微結晶性セルロース(例えば、アビセル(登録商標)PH101、アビセル(登録商標)PH102またはアビセル(登録商標)PH105のような種々のグレードのアビセル(登録商標)、エ
ルセマ(登録商標)P100、エムコセル(登録商標)、ビバセル(登録商標)、ミングタイ(登録商標)およびソルカフロック(登録商標))、澱粉、変性澱粉(例えば、バレイショ澱粉、トウモロコシ澱粉、
【0081】
米澱粉、予め顆粒化された澱粉)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体、寒天、(例えば、アルギン酸ナトリウム)、カルボキシアルキルセルロース、デキストレート、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、例えばデキストラン、大豆ポリサッカライドである。
【0082】
好ましくは、造粒液は水性媒体である。結合剤が造粒液に含まれている場合、造粒液は該結合剤を水に溶解または分散させることにより調製される。あるいは、結合剤は乾燥形態で粉末に混合され得る。
【0083】
本発明者らは、入口温度および結合剤の濃度は粒子径に対して小さな影響を有しているが、造粒液の噴霧レートすなわちより正確には噴霧量は平均粒子径に対して大きなインパクトを有している。その後に続く乾燥工程、そして必要ならば冷却工程は、平均粒子径に対してほとんど影響を与えない。
【0084】
したがって、特別な態様において、本発明は、噴霧量および/または入口空気の水分含量を適当に調整することにより、本発明の方法により得られる微粒子状物質の平均粒子径を調整する方法を提供する。一般に、(水性媒体が造粒液で用いられていると)粒子径は噴霧量の増大に伴って大きくなり、あるいは入口空気の水分含量の増大に伴って大きくなる(例えば、以下の実施例参照)。
【0085】
通常、本発明の方法により得られる微粒子状物質は、医薬分野で用いられるのに適した、特に微粒子状物質をさらに固形の投与形態へ加工するのに適した平均粒子径を有している。より詳細には、本発明により得られる微粒子状物質の平均粒子径は、通常、例えば約100〜400μm、約100〜350μmまたは約100〜300μmのような、約100〜500μmの範囲にある。
【0086】
一つの態様において、本発明は、きわめて狭い粒子径分布を有する微粒子状物質が得られる製造法に関する。狭い粒子径分布は、例えば固形の投与形態を製造するために、微粒子状物質が他の固体の医薬的に許容される賦形剤と混合されるときに許容される均一性を確保するために重要である。
【0087】
好ましい均一性は、正確な投与量が各投与形態中に確実に含まれるので、例えば投与量
の変動に関する公的な要請を満たすことができる。さらに、ビタミンD3の平均粒子径お
よび粒子径分布に一致した平均粒子径が、微粒子状物質または打錠用の最終混合物におけるビタミンD3の満足できる均一性を確保するために重要であることが分かった。粒子径
の狭い分布は、以下に定義されるように、スパン値の低い値によって特徴づけられる。
スパン値は、
[D(v, 0.9) - D(v, 0.1)]/D(v, 0.5)
として計算される。
【0088】
粒子径の分析は、Malvern Mastersizer S ロング・ベンチ装置により行なわれる。ここで、 D(v, 0.1)、D(v, 0.5)および D(v, 0.9)は、微粒子の10容量%、50容量%およ
び90容量%が与えられた数値より下の大きさを有する粒子径を与える。D(v, 0.5) は平均の粒子径である。
【0089】
本発明の一つの観点によれば、スパン値は、例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1、多くとも約2、あるいは多くとも1.9のような、多くとも約2.3である。
さらに、狭い粒子径分布は、用いられる連続式流動床装置の種類および規模、および/または用いられる特定の炭酸カルシウムに関係なく得られる。
【0090】
したがって、特定の微粒子状物質の組成が同じであり、供給割合(kg/時間)と噴霧量(kg/時間)との比が実質的に一定に保たれれば、用いられる連続式流動床装置の床の大きさに関係なく、得られる微粒子状物質は、通常、例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1、多くとも約2のような、多くとも約2.3のスパン値を有する。
【0091】
そして、プロセス・パラメータのセットポイントを含むその他の条件が実質的に同じであれば、用いられる特定のカルシウム含有化合物の粒子径に関係なく、得られる微粒子状物質は、例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1または多くとも約2のような、多くとも約2.3のスパン値を有する。
【0092】
そして、プロセス・パラメータのセットポイントを含むその他の条件が実質的に同じであれば、用いられる特定のカルシウム含有化合物の嵩密度に関係なく、得られる微粒子状物質は、例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1または多くとも約2のような、多くとも約2.3のスパン値を有する。
【0093】
上記のように、また実施例で示されているように、本発明の方法により得られる顆粒化された組成物は、バッチ式流動床装置中で同じ組成物を同じ造粒液で顆粒化して得られるものより小さいスパン値を有する。
【0094】
一般に、得られるスパン値は、バッチ式流動床装置を用いて得られるものより、例えば約15%以上、約20%以上あるいは約30%以上のように、約10%以上低い。
【0095】
カルシウム含有組成物の効果的で速やかな顆粒化(すなわち凝集固化)を達成するためには、許容される結合剤を任意に含む造粒液がノズルから噴霧されて粉末混合物が曝される水分の量が臨界的パラメータであることを、本発明者らは見出した。
【0096】
以下の実施例において、本発明の方法はカルシウム含有化合物を含む微粒子状物質の製造により示されており、そこでは一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合されたカルシウム含有化合物が、結合剤の一例としてのポリビニルピロリドンの水溶液で顆粒化されている。
【0097】
このような状況で、結合剤の水溶液が用いられる場合、粉末混合物上に噴霧される分散
液、好ましくは溶液中の医薬的に許容される結合剤の濃度は、多くとも約33%w/wのような、多くとも約50%w/wである。
【0098】
乾燥および冷却工程
乾燥は、通常、造粒液を適用するために用いられるゾーンとは別のゾーンで行なわれる。乾燥の間、顆粒内部の水分は空気の拡散によって蒸発する。出口において水分含量が0.5%より低い顆粒物質を迅速な乾燥工程により確実に得るために、高い入口温度で乾燥を行なうのが好ましい。入口の乾燥空気は45〜100℃であり、より好ましくは70〜100℃である。
【0099】
WT 4/13のようなパイロットモデルの連続式流動床には、分離した冷却区画はない。し
かしながら、生産モデルには、乾燥用の第4の区画があり、そこでは顆粒状物質の温度が40〜50℃の間の製品温度まで下げられる。
実施例4および5で行なわれたように、臨界的なプロセス変動の最も好ましいセットポイントは、次のとおりである。
【0100】
・入口空気量: 1000m3/時間(およそ35℃)
・入口空気の絶対水分含量: 4g/kg
・造粒液中のPVPの濃度: 15%
・粉末混合物の供給割合: 75kg/時間
・滞留時間: 1時間
・3つのノズルでの噴霧量: 187.5g/分
・全3つの空気入口区画の入口空気温度: 80℃
【0101】
本発明のその他の観点
本発明は、カルシウム含有化合物および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含み、例えば多くとも約2.25、多くとも約2.1または多くとも約2のような、多くとも約2.3のスパン値を有する微粒子状物質に関するものでもある。該微粒子状物質はここで特許請求されている方法により製造することができ、この方法により製造されるのが好ましい。
【0102】
通常、上記の微粒子状物質は、例えば約100〜400μm、約100〜350μmまたは約100〜300μmのような、約100〜約500μmの範囲の平均粒子径を有する。
【0103】
本発明の微粒子状物質は、
i)一つ以上のカルシウム含有化合物、
ii)一つ以上の結合剤、
iii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、
iv)任意に一つ以上の甘味剤
を含む。
【0104】
より具体的には、微粒子状物質は、全体の含量が100%を超えないという条件で、
i)約40%〜約99.9%w/wの一つ以上のカルシウム含有化合物、
ii)約0.1%〜約30%w/wの一つ以上の結合剤、
iii)もし存在するならば、約0.1%〜約15%w/wの一つ以上の医薬的に許容され
る賦形剤、および
iv)もし存在するならば、約5%〜約50%w/wの一つ以上の甘味剤
を含む。
【0105】
さらに、本発明は、ここに記載されているかまたはここに記載された方法により得られる微粒子状物質の、投与形態を製造するための使用に関するものである。特に興味深いのは、投与形態を製造するための、ビタミンD組成物と一緒になった微粒子状物質の使用である。
【0106】
さらなる観点において、本発明はカルシウム含有化合物を含む固形の投与形態の製造方法に関するものであり、この方法は、
i)ここで得られる微粒子状物質を任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して、カルシウム含有化合物の含量が少なくとも60重量%である粉末混合物を製造する工程;および
ii)上記の微粒子状物質または粉末混合物を固形の投与形態に加工する工程
を含む。
【0107】
より具体的には、本発明は医薬的に許容される投与形態の製造法を提供するものであり、該方法は
i)本発明による連続式流動床方法を用いて得られる微粒子状物質を、任意に一つ以上のさらなる成分、すなわち1つ以上のさらなる活性物質および/または一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して、好ましくはカルシウム化合物の含量が少なくとも60重量%である第2の微粒子状物質を製造する工程;および
ii)任意に該第1または第2の微粒子状物質を圧縮して錠剤を形成する工程
を含む。
【0108】
本発明の一つの態様において、連続式流動床方法から得られる微粒子状物質と混合されるさらなる成分は、治療的、予防的または診断的に活性な物質である。
本発明の好ましい態様において、連続式流動床方法から得られる微粒子状物質と混合される上記のさらなる成分は、ビタミンDである。
【0109】
本発明の特別な態様において、連続式流動床方法から得られる微粒子状物質と混合される上記のさらなる成分は、ビタミンD3もしくはビタミンD2またはそれらの誘導体あるいはそれらの混合物である。
【0110】
一つの態様において、本発明は、圧縮錠剤に用いられる微粒子状物質中(すなわち、連続式流動床方法から得られる微粒子状物質と1つ以上のさらなる成分との混合物中)および得られる錠剤中の両方において、ビタミンD3のようなさらなる成分の均一性がきわめ
て高い、上記のような方法を開示する。
【0111】
得られる微粒子状物質(すなわち、圧縮に用いられる物質)に含まれる粗悪なフラクションは、バッチ式方法により得られる顆粒に比べてきわめて少なく、したがってブレンド効率およびその後の分離の防止という点に関してより好適である。
【0112】
好適な固形の投与形態は、錠剤、カプセル剤、またはサシェットであり、噛み砕くことができる、舐めることができる、または飲み込むことができる錠剤を含む。
特別な態様において、固形の投与形態は、錠剤の形態にあり、任意にコーティングされていてもよい。
本発明(微粒子状物質の製造方法)の主な観点という下に詳細かつ具体的に記載されたすべての事項は、本発明のその他の観点にも準用される。
【0113】
カルシウム含有化合物
本発明の方法において用いられるカルシウム含有化合物は、治療的および/または予防的に活性な、生理学的に許容されるカルシウム含有化合物である。
カルシウムは、イオン化されたカルシウムとして、またカルシウム複合体として、人体における多くの基本的な機能のために必須である(Campell AK.Clin Sci 1987; 72:1-10
)。細胞の働きおよび成長は、カルシウムによって規制されている。トロポニンと組み合わさって、カルシウムは筋肉の収縮および弛緩を調整している(Ebashi S. Proc R Soc Lond 1980; 207:259-86)。
【0114】
カルシウム選択チャンネルは、細胞膜の全般的な特徴および神経組織の電気的な作用に係わっており、神経分泌顆粒の放出は細胞内と細胞外との間のカルシウム・レベルを調整する機能を有している(Burgoyne RD. Biochim Biophys Acta 1984;779:201-16)。
ホルモンの分泌および重要な酵素および蛋白質の作用は、カルシウムに依存している。
【0115】
最後に、燐酸カルシウム複合体としてのカルシウムは、骨格の硬さおよび強さに関与している(Boskey AL. Springer, 1988:171-26)。骨は身体全体のカルシウムの99%以上を含んでいるので、骨格のカルシウムは主要なカルシウム長期保存所としても寄与している。
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は、特に骨粗しょう症に罹っているかその恐れのある患者にとってカルシウム源として用いられている。
さらに、炭酸カルシウムは制酸剤における酸中和剤としても用いられている。
【0116】
上記のように、カルシウムは哺乳動物、特にヒトの身体において多くの重要な機能を有している。さらに、多くの動物モデルにおいて、慢性のカルシウム低摂取は骨粗しょう症を引き起こす。骨粗しょう症は皮質性の骨よりも海綿骨のような格子構造の骨を冒し、カルシウムを補給しても完全に元にもどることはない。もし動物が成長しているときであると、少ないカルシウム摂取は発育不良となる。早産のヒト新生児において、カルシウム摂取量が高ければ、骨格カルシウムの増加がより大きくなり、十分に高ければ妊娠中のカルシウム貯留に等しくなり得る。
【0117】
成長期にカルシウムが慢性的に欠乏すると、くる病を引き起こす。思春期前後の健康な子供におけるカルシウムの補給は、骨量の増加をもたらす。青年期にカルシウムの摂取が多ければ、それだけカルシウムの貯留が多くなり、初潮直後に貯留は最高となる。
【0118】
綜合すると、これらのデータは、少年期や青年期に十分なカルシウム摂取が考慮されれば、カルシウムで食生活を補完することにより、骨質量のピークを最適にすることができる。成長期に骨格中のカルシウムの貯留を最適にすることに関与するメカニズムは知られていない。それらは、多分、カルシウムの供給が高ければ、類骨の最適な石灰化を保証するミネラル化工程の本来の性質である。カルシウム欠乏の状態での成長の発育阻害に応答する因子は知られていないが、骨格の大きさを調節する成長因子を明らかに含む。
【0119】
大人において、カルシウムの補給は、年齢に関する骨損失の速度を減少させる(Dawson-Hughes B. Am J Clin Nut 1991;54:S274-80)。カルシウムの補給は、食物から最適なカルシウム摂取を達成することができないか、またはできないであろう個体にとって重要である。さらに、カルシウムの補給は、骨粗鬆症等の予防および治療において重要である。
【0120】
その上、カルシウムは大腸内で抗癌作用を有し得る。いくつかの予備的な研究は、高カルシウム食またはカルシウム補給の摂取は、大腸・直腸癌の減少に関係することを示している。アセチルサリチル酸(ASA)および他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)と組み合わせたカルシウムが、直腸結腸癌の危険性を減少させる証拠が増えている。
【0121】
最近の調査研究は、カルシウムが月経前症候群(PMS)を緩和し得ることを提案している
。ある研究者は、カルシウム調節の乱れが、PMS症候群の進展における根本的な要因であ
ると信じている。ある研究において、米国全体の月経前の女性446人からなるグループの半分が3回の月経周期について追跡され、周期を通して、毎日1200mgのカルシウムが補給された。最終結果は、プラセボを摂取した女性の48%がPMS関連症状を示した。カルシウム錠剤を摂取した人では30%にすぎなかった。
【0122】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は錠剤で用いられ、高用量のカルシウムを必要とするため、そのような錠剤は、たいていチュアブル錠の形態である。独特の優勢な味またはチョーク(chalk)のフィーリングなしに、快適な味と許容される口腔内触感を
有するカルシウム塩を含むチュアブル錠に製剤化することは難問である。
【0123】
本発明に用いられるカルシウム含有化合物は、例えばビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マレイン酸カルシウム、カルシウムコーネート(cornate)、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオ
ネート(glubionate)、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート(lactobionate)、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カル
シウムピドレート(pidolate)、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムであり得る。
【0124】
その他のカルシウム源は、水溶性カルシウム塩、または例えばアルギン酸カルシウム、カルシウム-EDTA等のような複合体、または例えば有機リン酸カルシウムのようなカルシ
ウムを含む有機化合物であり得る。骨粉、ドロマイトおよびその他の粗製カルシウム源の使用は、それらが鉛および他の毒性汚染物質を含み得るので、思いとどまらされる。しかしながら、そのような供給源は、もしそれらが所望の度合に精製されれば、適切であり得る。
【0125】
カルシウム含有化合物は、単独で、または他のカルシウム含有化合物と組み合わせて用いられ得る。
ビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マレイン酸カルシウム、カルシウムコーネート、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムが、特に興味深い。異なるカルシウム含有化合物の混合物も用いられ得る。
以下の実施例に示すように、炭酸カルシウムがカルシウム含有化合物としての使用に特に適しており、炭酸カルシウムは高いカルシウム含有量を有する。
【0126】
炭酸カルシウムが特に興味深い。
通常、本発明により製造される投与形態は、例えば約150〜約800mg、約200〜約700mg、約200〜約600mgまたは約200〜約500mgのCaのような、約100〜約1000mgのCaに相当する量のカルシウム含有化合物を含む。
【0127】
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは、三つの異なる結晶構造:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し得る。鉱物学的に、これらは結晶構造中のカルシウム、炭素および酸素原子の明確な配列に関する特異なミネラルの様相である。これらの明確な様相は、結晶形の形状および対称性に影響を及ぼす。
【0128】
例えば、カルサイトは四つの異なる形状:偏三角状、プリズム状、球状および菱面体状
で入手可能であり、アラゴナイト結晶は例えば別々かまたは房になった針状形として得られる。例えば立方体形(Scoraからのスコラライト1A+B)のような他の形状も入手可能である。
【0129】
炭酸カルシウムの好適な品質は、例えば50μm以下または40μm以下のような、60μm以下の平均粒子径を有する炭酸カルシウムである。
さらに、炭酸カルシウムの興味ある品質は、2g/mLより小さい嵩密度を有する。
【0130】
10〜30μmの平均粒子径、0.4〜0.7g/mLの見掛け嵩密度、および0.3
2/gの比表面積を有する、炭酸カルシウム2064メルク(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);約3.9μmの平均粒子径および0.4〜0.7g/mLの見掛け嵩密度を有する炭酸カルシウム2069メルク(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入
手可能);
【0131】
スコラライト(Scoralite)1A(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、5〜
20μmの平均粒子径、0.7〜1.0g/mLの見掛け嵩密度、および0.6m2/gの比表面積を有する;スコラライト1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、10〜25μmの平均粒子径、0.9〜1.2g/mLの見掛け嵩密度、および0.4
〜0.6m2/gの比表面積を有する;
スコラライト1A+1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、7〜25μmの
平均粒子径、0.7〜1.2g/mLの見掛け嵩密度、および0.35〜0.8m2/g
の比表面積を有する;
【0132】
ファーマカーブ(Pharmacarb) LL(Mahawah New Jersie、Chr. Hansenから入手可能)Lは、12〜16μmの平均粒子径、1.0〜1.5g/mLの見掛け嵩密度、および0.
7m2/gの比表面積を有する;
スツールカル(Sturcal)L、スツールカルH、スツールカルFおよびスツールカルM (ペ
ンシルベニア、ベスレヘム、Specialty Mineralsから入手可能); スツールカルLは、約
7μmの平均粒子径、0.78〜0.96g/mLの見掛け嵩密度を有する。スツールカ
ルLは偏三角形状結晶よりなる;
【0133】
スツールカルHは、約4μmの平均粒子径、0.48〜0.61g/mLの見掛け嵩密度を有する;スツールカルFは、約2.5μmの平均粒子径、0.32〜0.43g/mLの見掛け嵩密度を有する;
【0134】
スツールカル(Sturcal)Mは、7μmの平均粒子径、0.7〜1.0g/mLの見掛け嵩密
度および1.0 m2/gの比表面積を有する;
ミクハート(Mikhart)10、SPL、15、40および65 (フランス、Provencale、Provencaleから入手可能);
ミクハート10は10μmの平均粒子径を有する、
ミクハートSPLは20μmの平均粒子径を有する、
ミクハート15は17μmの平均粒子径を有する、
ミクハート40は30μmの平均粒子径、1.1〜1.5g/mLの見掛け嵩密度を有する

ミクハート65は60μmの平均粒子径、1.25〜1.7g/mLの見掛け嵩密度を有す
る;
【0135】
オムヤピュア(Omyapure)35 (フランス、パリ、Omya S.A.Sから入手可能) は、5〜30μmの平均粒子径、および2.9m2/gの比表面積を有する;
ソカル(Socal) P2PHV (ベルギー、ブリュッセル、Solvayから入手可能) は、1.5μmの
平均粒子径、0.28g/mLの見掛け嵩密度、および7.0m2/gの比表面積を有す
る;
【0136】
10〜30μmの平均粒子径、0.9〜1.2g/mlの見掛け嵩密度、および0.7m2/gの比表面積を有する、カルシ ピュア(Calci Pure) 250 ヘビー、カルシ ピュア250
エクストラヘビーおよびカルシ ピュア GCC HD 212 (セントルイス モンタナ、Particle Dynamic Inc.から入手可能)。
【0137】
本発明により製造される錠剤中のカルシウム含有化合物の含量は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%のような、約40重量%〜約100重量%の範囲、あるいは少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%もしくは少なくとも約75重量%である。
【0138】
通常、治療または予防目的のためのカルシウムの用量は、1日、約350 mg(例え
ば新生児)〜約1200mg(授乳婦)である。錠剤中のカルシウム含有化合物の量は、錠剤が1日1〜4回、好ましくは1日1または2回の投与に適するように調整され得る。
具体的な態様において、本発明の方法で用いられるカルシウム含有化合物は、上記の炭酸カルシウムのような炭酸カルシウムである。
【0139】
ビタミンDまたは他の活性物質
本発明により製造される顆粒または錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得るか、またはそれは例えば一つ以上のビタミンまたはミネラルのような一つ以上の栄養剤を含み得る。例えば、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDおよび/またはビタミンK、ならびに例えば亜鉛、マグネシウム、セレン等のようなミネラルが特に興味深い。
【0140】
例えば、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ならびにロシュから入手可能な乾燥
ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPを含むビタミ
ンD3(コレカルシフェロール)のような、一つ以上のビタミンD化合物が特に興味がある。
【0141】
カルシウムおよび骨格の恒常性への作用に加えて、ビタミンDは、身体のいくつかの主なシステムの調節に関与する。ビタミンDの作用は、主に腎臓で作られる1,25-(OH)2 ビタミンDとビタミンD受容体(VDR)との複合体によるゲノムでメディケートされる。ビタミンD受容体は多くのセルタイプ中に広く分布している。1,25-(OH)2 ビタミ
ンD/VDR複合体は、細胞分化および免疫系において重要な調節の役割を有している。これらの作用のいくつかは、多分、腎臓よりも他のある組織の、局所的に1,25-(OH)2 ビタミンDを作り、傍分泌として作用する能力に依存する(Adams JSら、Endocrinology 1996;137:4514-7)。
【0142】
ヒトにおけるビタミンDの欠乏は、小児においてくる病および大人において骨軟化症をもたらす。
基本的な異常は、石灰化は骨芽細胞により行なわれるので、類骨から離れる石灰化速度の遅れである(Peacock M. London Livingstone, 1993:83-118)。この遅れが骨芽細胞における1,25-(OH)2 ビタミンD-依存メカニズムの破綻によるのか、もしくは吸収不良に
続くカルシウムおよびホスフェートの供給の減少によるのか、または二つの組み合わせによるのかは明らかでない。石灰化の遅れに伴い、カルシウムおよびホスフェートの供給減少、低カルシム血症および低リン酸塩血症を伴う重篤な2次性の上皮小体機能亢進症および骨交替(turnover)の増加がある。
【0143】
ビタミンDの不足、ビタミンD欠乏の前臨床段階も、欠乏で見られるより緩和な度合ではあるが、カルシウム供給の減少および2次性の上皮小体機能亢進症を引き起こす。もし、この状態が慢性になれば骨粗しょう症を引き起こす。このカルシウムの不足状態の根底にある生化学的プロセスは、多分、その基質の25-OHDの還元による1,25-(OH)2 ビタミンDの不適切なレベルである(Francis RMら、Eur J Clin Invest 1983; 13:391-6)。
【0144】
ビタミンD不足の状態は、高齢者において、最も一般的に見られる。年齢に伴い、日光曝露の減少および起こり得る皮膚合成の減少により、血清25-OHビタミンDにおける
減少がある。さらに、高齢者において、カルシウム取り込みの減少および逆説的なカルシウム吸収の減少により、この状態は悪化させられる。腎の1,25-(OH)2 ビタミンD
産生の減少を生じる、年齢に伴う腎機能の低下が要因となり得る。
【0145】
高齢者の骨損失における、ビタミンD補完の効果の多くの研究がある。あるヒトはカルシウムの補給なしに、他のヒトはカルシウムの補給を伴う。その研究から、ビタミンDの補給は可逆的な欠乏および不足に必要ではあるが、主な骨格の異常はカルシウム欠乏にあるので、骨格に関する限りは、カルシウムを補給することがなおさら重要であることが分かる。
【0146】
臨床試験に基づく文献において、最近の発見は、高齢の患者に対して、より高用量のビタミンDの必要性の傾向を提案している(Compston JE. BMJ 1998;317:1466-67)。ビタミ
ンD 150.000〜300.000 IUの1年間注射(約400〜800 IU/日に相当)のオープン準ランダム研究は、治療患者において、身体全体の骨折率の有意な減少を示したが、股関節骨折の率には有意な減少を示さなかった(Heikinheimo RJら、Calcif Tissue Int 1992; 51:105-110)。
【0147】
前記から分かるように、カルシウムとビタミンDの組合せに興味がある。カルシウムとビタミンD3の推奨される1日許容量(RDA)は次のとおりである(欧州委員会、欧州共同体中の骨粗鬆症の報告、予防のための処置、欧州共同体の公報局、ルクセンブルグ 1988
):
【0148】
グループ年齢(歳) カルシウム (mg)* ビタミンD3 (μg)
新生児 0-0.5 400 10-25
0.5-1.0 360-400 10-25
小児 1.0-3.0 400-600 10
4.0-7.0 450-600 0-10
8.0-10 550-700 0-10
男性 11-17 900-1000 0-10
18-24 900-1000 0-15
25-65 700-800 0-10
65+ 700-800 10
女性 11-17 900-1000 0-15
18-24 900-1000 0-10
25-50 700-800 0-10
51-65 800 0-10
65+ 700-800 10
妊婦 700-900 10
授乳婦 1200 10
* カルシウムのRDAは国によって変わり、多くの国で再評価中である。
【0149】
ビタミンDは湿気に非常に感受性であり、分解される。それゆえ、ビタミンDは保護マトリックスの状態でしばしば投与される。したがって、ビタミンDを含んで、錠剤が製造されるとき、錠剤化工程の間に適用される圧縮力が、マトリックスの保護効果を減少させず、それによりビタミンDの安定性を損なわないことが、最も重要である。
【0150】
このために、本発明により製造される顆粒または錠剤中の種々の成分の組み合わせは、錠剤化の間に比較的低い圧縮力を用い、適当な機械的強度(破砕強度、破砕性等)を有する錠剤を達成することができるので、ビタミンDもその組成物中に組み込まれる場合に、非常に適していることが証明された。
【0151】
その他の活性成分
その例は、イソフラボン、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB6、ならびにイヌリン
およびオリゴフルクトースのようなオリゴサッカライドである。
イソフラボンは弱いエストロゲン効果を示し、したがって閉経期後の女性の骨密度を増すことができる。イソフラボンは、Novasoy 400という商品名でADM Nutraceutical, Illinois, USAから入手可能である。Novasoy 400は、イソフラボンを40%含んでおり、典型的には1投与当たり25〜100mgのイソフラボンを供給するのに十分な量で用いられる。イソフラボンは第2の顆粒中に含まれていてもよい。しかしながら、Novasoy 400は比較的凝集しやすい粉末であるので、その均一な分布を確実にするために、それを第1の顆粒中に含むのが好ましい。
【0152】
ビタミンK(特にビタミンK1)は、骨形成および骨密度の生化学的なマーカーを改善
することができ、ビタミンKの低い濃度は低い骨ミネラル密度および骨折を伴う。ビタミンKは、ビタミンK1を5%含む乾燥物質、乾燥ビタミンK 5% SDとしてロシュから入手可能である。典型的には、1投与当たり0.05〜5mgのビタミンK1を供給するのに十分な量で用いられる。
【0153】
ビタミンCおよびビタミンB6(ロシュ、武田薬品、BASFなどから入手可能)は、
骨の有機的なマトリックスの主要な成分であるコラーゲンを形成する補助因子として機能する。ビタミンCおよびビタミンB6は、典型的には、1投与当たり60〜200mgのビタミンC、および1投与当たり1.6〜4.8mgのビタミンB6を供給するのに十分な量で、それぞれ用いられる。
【0154】
オリゴサッカライドは、カルシウムの吸収を促進し増加することが示されており、典型的には1投与当たり0.3〜5gのオリゴサッカライドを供給するのに十分な量で用いら
れる。カルシウムの吸収を促進し、生命発生以前の効果を得るために、一般に、1日当た
り少なくとも5gのオリゴサッカライドを投与するのが望ましい。
【0155】
顆粒全体の小部分を形成する活性成分、例えばビタミンDが用いられるとき、プレミックスと第1の顆粒の残りの量を混合する前に、そのような成分と第1の顆粒とのプレミックスを調製するのが一般に好ましい。このようにすることにより、第2の顆粒中における少
量成分の均一な分布を確実にすることができる。
【0156】
特別な態様において、本発明は、
i)活性物質としてのカルシウム含有化合物、
ii)ビタミンD、および
iii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤
を含む錠剤を提供する。
【0157】
より詳細には、上記の錠剤は、
i)少なくとも200mgのカルシウム含有化合物(通常200〜1500mgの範囲)、
ii)少なくとも5μgのビタミンD(通常5〜100μg、1μg=40IU)、およびiii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤
を含む。
【0158】
一つの特別な態様において、本発明は、成分の総量が約100%w/wに相当するという条件で、
i)約50%〜約90%w/wのカルシウム含有化合物、
ii)約0.00029%〜約0.0122%w/wのビタミンD、および
iii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤
を含む錠剤を提供する。
【0159】
具体的には、上記の錠剤は、成分の総量が約100%w/wに相当するという条件で、i)約50%〜約90%w/wのカルシウム含有化合物、
ii)約5%〜約30%w/wの甘味剤、および
iii)約0.12%〜約4.9%w/wの、供給者により供給されているような保護マト
リックスを含むビタミンD、
iv)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤
を含むことができる。
【0160】
本発明による錠剤の製造
本発明による方法は、ここに記載されているようにして得られる微粒子状物質を任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して圧縮することも含む。
【0161】
一般に、錠剤は当業者に知られた適当な方法で製造され得る。当業者は、RemingtonのThe Science and Practice of Pharmacy (2003)を任意に参考にして、異なった技術をどのように適用するかを知っているだろう。
【0162】
通常、錠剤中のカルシウム含有化合物の量は、例えば約150〜約800mg、約200〜約700mg、約200〜約600mgまたは約200〜約500mgのカルシウムのように、約100〜約1000mgのカルシウムに相当する。
【0163】
医薬的に許容される賦形剤
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」という用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味する。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬組成物を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。
【0164】
通常、カルシウム含有化合物は、錠剤への圧縮前に、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合される。そのような賦形剤は、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、芳香剤、着色剤のような固形剤の製剤化に通常用いられるものを含み、甘味剤、pH調整剤、安定化剤などを含む。
【0165】
本発明による錠剤における使用に適した賦形剤の例は次のとおりである。
【表2】

【0166】
甘味剤
好適な甘味剤の例は、デキストロース、エリスリトール、フルクトース、グリセリン、グルコース、イノシトール、イソマルト、ラクチトール、乳糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトールなど、ソルビトール類、例えば、Roquette Freres, CerestarおよびSPI Polyols Inc.から
それぞれ入手可能なネオソルブ(Neosorb)P100T、ソルビデックス(Sorbidex)P1666B0およ
びソルボゲム(Sorbogem)微細結晶性ソルビトール、Roquette Freresから入手可能なマル
チソルブ(Maltisorb)P90、(マルチトール)、Danisco Sweetenersから入手可能なキシリトールCM50、フルクトフィン(Fructofin)CM (フルクトース)およびラクチトールCM50、Palatinit, Arla FoodsおよびRoquette, Freresからそれぞれ入手可能なイソマルトST-PF、ガイオ(Gaio)タガトースおよびマンニトールを含む。
【0167】
ソルビトールは(ショ糖と比較して)0.55の甘味効果を有し;マンニトールは≦1の甘味
効果を有し;キシリトールは1の甘味効果を有し;イソマルトは<0.5の甘味効果を有する。甘味効果は、個々の甘味剤の選択と関連して価値があり得る。したがって、もし錠剤の減少した重量と用量を望むなら、高い甘味効果を有する甘味剤を選択することが好適である。
【0168】
人口甘味剤
アセスルファムカリウム、アリテーム、アスパルテーム、シクラミン酸、シクラミン酸塩(例えばシクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ネオヘスペリジン塩酸塩、サッカリン、サッカリン塩(例えばサッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンカリウム、サッカリンナトリウム)、スクラロース(sucralose)、タウマチンおよびそれらの混合物。
【0169】
芳香剤
アプロコット(Aprocot)、レモン、レモン/ライム、マンダリン、例えば、Firmenich, Kerpen, Germanyから入手可能なアプロコット501.110 AP0551、レモン501.051 TP0551、
レモン501.162 AP0551、レモン/ライム501.053 TP0551、ライム501.054 TP0551、オレン
ジ501.071 AP0551、オレンジTP0551、オレンジ501.434 P0551、マンダリン501.AP0551、
レモン デュラローム(Durarome)501.282 TDI1091、またはTasteTech, Bristol, England
から入手可能なジューシー レモン フレバリング(Juicy Lemon Flavouring)T3602、
【0170】
またはGivaudan Schweiz AG, Kemptthal, Schweizから入手可能なレモン ライム フレー
バー パームシール(Lemon Lime Flavour Permseal)11029-31、レモン フレーバー パーマシール(Lemon Flavour Permaseal)12028-31、レモン フレーバー ウルトラドシール(Lemon Flavour Ultradseal)96918-71、またはFrey + Lau Gmbh, Henstedt-Ulzburg, Germanyから入手可能なレモン フレーバー パウダー(Lemon Flavour Powder)605786、レモン フレーバー パウダー605897。
【0171】
崩壊剤
アルギン酸−アルギネート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越
化学から入手可能なLH 11、LH 20、LH 21、LH 22、LH 30、LH 31、LH 32)のようなセルロース誘導体および微結晶性セルロース、ポラクリリン カリウムまたはナトリウム、ポリアクリル酸、ポリカーボフィル、ポリエチレングリコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリドン(例えばポリビドン(登録商標)CL、ポリビドン(登録商標)CL-M、コリドン(登録商標)CL、ポリプラスドン(登録商標)XL、ポリプラスドン(登録商標)XL-10);カルボキシメチル澱粉ナトリウム(例えばプリモゲル(登録商標)およびエクスプロタブ(登録商標)、クロスカルメロースナトリウム(すなわち、架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、例えばアク-ジ-ソル(登録商標)、ナトリウム澱粉グリコレート、澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉)、前もってゼラチン化された澱粉。
【0172】
当業者は、圧縮性錠剤が30分以内、より望ましくは15分以内、最も望ましくは5分以内に崩壊することが好ましいことを理解するであろう。それゆえ、好ましくは、用いられる崩壊剤は、30分以内、より好ましくは15分以内、最も好ましくは5分以内に錠剤の崩壊をもたらす。しかしながら、錠剤単独では噛むものも意味し、いくらか長い崩壊時間も許容される。
【0173】
発泡剤(例えば炭酸水素ナトリウム(炭酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属)とクエン酸(酒石酸、フマル酸等)との混合物)。
【0174】
グリダントおよび滑沢剤
ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、タルク、高融点を有するワックスおよびグリセリド、水素化植物油、コロイドシリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールおよびアルキルサルフェートのようなグリダントおよび滑沢剤が組み込まれ得る。
好適な滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油等を含む。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
【0175】
充填剤/希釈剤/結合剤
デキストリン、マルトデキストリン(例えばロデックス(登録商標)5およびロデック
ス(登録商標)10)、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、乳糖(例えば噴霧乾燥乳糖、α-乳糖、β-乳糖
、タブレトース(登録商標)、種々のグレードのファーマトース(登録商標)、ミクロトースまたはファスト-フロック(登録商標)、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば信越化学から入手可能なLH 11、LH 20、LH 21、LH 22、LH 30、LH 31、LH 32)、
【0176】
微結晶性セルロース(例えば、アビセル(登録商標)PH101、アビセル(登録商標)PH102またはアビセル(登録商標)PH105のような種々のアビセル(登録商標)、エルセマ(登
録商標)P100、エムコセル(登録商標)、ビバセル(登録商標)、ミン タイ(登録商標
)およびソルカ-フロック(登録商標))、澱粉または加工澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、ト
ウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化-澱粉)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリド
ン/酢酸ビニル コポリマー、寒天(例えばアルギン酸ナトリウム)、リン酸水素カルシ
ウム、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)、
【0177】
硫酸カルシウム、カルボキシアルキルセルロース、デキストレート、二塩基性リン酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド(例えばデキストラン、大豆ポリサッカライド)、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム。
【0178】
界面活性剤/エンハンサー
次のような界面活性剤が用いられ得る:
非イオン性(例えばポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、ソルビタン モノイソ
ステアレート、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、グリセリルモノオレエートおよびポリビニルアルコール)、
【0179】
アニオン性(例えばドキュセートナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム)
カチオン性(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド)
脂肪酸、脂肪族アルコールおよび脂肪族エステル、例えば:
オレイン酸エチル、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸、ラウリル酸メチル、オレイン酸、カプリン酸ナトリウム
【0180】
ジオクチル カルシウムスルホスクシネート、ジオクチルカリウム スルホスクシネート、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロマイド、ポリオキシエチレンエーテル(ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル)、ドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウムジオ
クチル スルホスクシネート、ラウリル酸ナトリウム、5-メトキシサリチル酸ナトリウム
、サリチル酸ナトリウム;
【0181】
胆汁酸塩、例えば:
デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸、コール酸、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム;
細胞粘着剤、例えば:
レクチン(例えばトマト凝集素(Lycopersicon Esculentum Agglutinin)、小麦胚凝集素(Wheat Germ Agglutinin)、ウルチカ ジオイカ凝集素(Urtica Dioica Agglutinin))。
【0182】
N-アシル化アミノ酸(特に、N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプ
リル酸(4-MOAC)、4-[4-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]酪酸、N-[8-(2-ヒドロキ
シベンゾイル)アミノ]-カプリル酸ナトリウム);
【0183】
リン脂質、例えば:
ヘキサデシルホスホコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、1,2-ジ(2,4-オクタデカジエノイル)-sn-グリセロール-3-ホスホリルコリンおよびホスファチジルコリン(例えばジデカノイル-L-ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン)、リゾホスファチジルコリンが特に興味がある;
【0184】
シクロデキストリン、例えば:
β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル β-シクロデキストリン、メチル シクロデキストリン;ジメチル-β-
シクロデキストリンが特に興味がある;
フシジン酸誘導体、例えば:
タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、ホスフェート-ジヒドロフシジン酸ナトリウム;タウロジヒドロフシジン酸ナトリウムが特に興味がある。
【0185】
その他:
例えばグリシルリジン酸、カプリン酸のナトリウム塩、アルカン(例えばアザシクロアルカン)、アミンおよびアミド(例えばN-メチル-ピロリドン、アゾン(Azone))、アミノ酸およびアミノ酸誘導体(例えばアセチル-L-システイン)、ポリオール(例えばプロピ
レングリコール、ヒドロゲル)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、テルペン(例えばカルボン)、アンモニウムグリシルリジネート(ammonium glycyrrizinate)、
ヒアルロン酸、イソプロピルミリステート、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシド、サポニン、DL-オクタノイルカルニチン クロライド、パルミトイル-DL-カルニチンクロライド、DL-ステアロイルカルニチン クロライド、
【0186】
アシルカルニチン、エチレンジアミンジヒドロ-クロライド、ホスフェート-ジヒドロフシデート、ナトリウム CAP);特に、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシドが特に興味がある
、α 1000 ペプチド、少なくとも6モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸を含むMW<1000 ペプチド、分解されたロイヤルゼリー、プレビオチカ(prebiotica)、ブチレート、酪酸、ビタミンD2、ビタミンD3、ヒドロキシ-ビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3、スピルリナ、プロテオグリカン、大豆加水分解物、リジン、乳酸、ジ-フルクトース-無水物、ビリトール(vylitol)Ca-(ラクテート)、カゼインの加水分解物、特にカゼイノグリコマクロペプチド、CaCO3の陰イオン化、アセチルサリチル酸、ビタミンK、クレアチン。
【0187】
フィルム形成剤
投与形態はコーティングして提供され得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えばHPMC E5、HPMC E15)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリデキシトロースおよびマルトデキストリン、Seppic S.A.から入手可能なセピフィルム(商標)およびセピフィルム(商標)LP、信越化学から入手可能なファーマコート(登録商標)、Colorconから入手可能なオパドライ(Opadry)(登録商標)およびオパグロス(Opagloss)(登録商標)、ならびにBASF AGから入手可能なKolicoat(登録商標)のような親水性フィルム形成剤。
【0188】
フィルム添加剤
アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、ひまし油、セタノール、クロレブタノール、コロイドシリカ、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フマル
酸ジエチル、フタル酸ジエチル、
【0189】
セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセロトリブチレート、グリセロトリアセテート、グリセリル ベハネート、
モノステアリン酸グリセリル、水素化植物油、レシチン、ロイシン、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン グリコール、プロピレン グリコール、ポリソルベート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸亜鉛、ワックス。
次の非限定的な実施例は、本発明を説明することを意味している。
【実施例】
【0190】
本発明の実施例に記載された試験は、ドイツ、ヴァレルのHeinenテクノロジー・センターにおいてパイロットモデル連続式流動床WT4/13で、またドイツ、ワイマーのGlatt試験施設においてパイロットモデル連続式流動床GF 20で、2003年〜2004年にかけて5つの分かれた試験期間に行なわれた。
【0191】
材料および方法
予めブレンドされた、炭酸カルシウム74.5%およびソルビトール23.3%を含む炭酸カルシウムとソルビトールの混合物が、以下の実施例において記載されたすべての試験のために用いられた。ポリビニルピロリドン(PVP)を含む組成物が、バッチ式の最初
のシリーズにおけるいくつかの実施例を除いて、試験を通してコンスタントに保たれた。カルシウム含有顆粒中のPVPの名目的なあるいは正しい量は2.2%であり、その狙いは
製品の組成の変更に伴う調整の困難性によりこれを一定に保つことであった。
造粒液を調製するために、バクテリアを含まない脱イオン水が用いられた。ポリビニルピロリドン(PVP)を10%、15%、20%、26%および33%含む造粒液が、試験
のために用いられた。
【0192】
実施例1(バッチ1−15)
試験は次の目的を有していた:
・バッチ式流動床で製造される微粒子状物質と同じ物性を必然的に有するカルシウム含有化合物の顆粒を製造することが可能かどうかを調べること。
・連続式流動床WT 4/13における臨界的なプロセス・パラメータのためのプロセス・ウ
ィンドウを調べること。
【0193】
2つの中心点(H2901-1および -2)を有する23要因配置実験が、以下の表に従って採
用された。そこでは、要因配置実験における10の個々の試験が表中の暗くした部分として示されている。数値の3つの追加セットモデルに含まれている(H2801-1, -2および -3):
【0194】
【表3】

【0195】
*) 入口空気温度および3つのゾーンにおいて観察された製品温度のための3つのセット
ポイントが与えられている。
表1:要因配置実験における顆粒中のPVP濃度、空気流入量および臨界的変数のため
のセットポイント
【0196】
実験に従って高い値および低い値に変えられる3つのプロセス・パラメータは、PVP濃度、顆粒温度(すなわち最初の2つの空気流入区画における温度)および噴霧割合であった。
【0197】
応答変数のために検出可能な差異を達成するために、比較的広いプロセッシング・ウィンドウが選ばれた。応答変数は、水分含量、粒子径/分布および嵩密度であった。これらは後に続くブレンド性および打錠性にとって重要な顆粒の特性である。
【0198】
その狙いは、次の限界を有する微粒子状物質を得ることである。
粒子径分布: > 420 μm: 最大 30%
< 125 μm: 最大 50%
嵩密度: 0.6 - 1.0 g/ml
乾燥減量: 最大 0.5%
【0199】
水分含量のインプロセス要件は、流動床においてしばしば起こる部分的な過湿という問題のために、最大0.35%にセットされている。この問題は、多分、製品コンテナの壁への顆粒の付着をもたらすバッチ式流動床における乏しい流動性によるものであろう。
【0200】
臨界的なプロセス・パラメータのために選ばれた広いプロセッシング・ウィンドウにもかかわらず、実験は全般的に非常にうまくいった。満足できる流動性が、きわめてたくましい方法を示すほとんど全ての実験で見られた。
【0201】
粒子径/分布、嵩密度および水分含量は、各実験の後で測定された。一般に、直立した流動床からのより丸い形の顆粒に対立するものとして、キイチゴの実のような形の表面を有する微細な顆粒が製造された。したがって、水平の流動床からの顆粒は、嵩密度の低下をもたらすより拡大された床を作る。
【0202】
実施例1のバッチ1〜15で、噴霧割合が増えたとき、あるいは空気の流通量が減ったときに、過湿顆粒および湿ったかたまりの繰り返し経験が見られた。
この観察は、顆粒の部分的な過湿を増す造粒液の不十分な分布によるものと思われた。
【0203】
水平流動床のプロセス列の内側を肉眼で検査したところ、壁、底スクリーンあるいはノズル上にいかなる堆積も見られなかった。蝶番で付けられたスクリーンを開けたところ、スクリーンの下に粉末の異常な蓄積はなかった。かくして、現在ある直立バッチ式流動床の内側における顆粒の付着および詰まり、ならびに製品スクリーンの下の顆粒の堆積という問題は、水平連続式流動床ではより一層に少なくなった。
【0204】
結果
上記の実験で得られた顆粒のサンプル5〜6kgを集め、その顆粒を2mmの篩で篩過し、重量を記録した。大きすぎるフラクションの水分含量、および篩を通過した2mmより小さいフラクションの水分含量を測定した。篩を通過したフラクションの嵩密度を測定し、篩分析による粒子径/分布の測定を繰り返した。粒子径および分布は、Malvern分析
によっても測定された。
結果を次の表に示す。
【0205】
【表4】

【0206】
表2:実施例1およびバッチ1〜15で得られた顆粒の特性
水分含量:水分含量の結果は、インプロセス要件の最大0.35%を十分に下回る数値を示す。一つの顆粒(H3001-2)だけが過湿であり、その理由はこのバッチが造粒液中のP
VP濃度33%で、もっとも低い温度で、最も高い噴霧量を受けたからである。
【0207】
嵩密度:嵩密度の平均値は0.71g/mlであった。これは2つのケースで顆粒用に同じ組成物を用いたバッチ式流動床から得られたものより15%小さい。その理由は、連続式流動床からの顆粒がより小さい摩擦力を受け、したがって嵩密度の低い値をもたらすより拡大された構造を示すからである。
粒子径/分布:篩分析からの結果は、8つのバッチで一般に微細すぎる顆粒が125μmより小さい微細なサイズのフラクションに関する仕様の範囲外であることを示している。
【0208】
Malvernの結果もこのことを確認しており、15の顆粒において平均粒子径は136μ
mである。
これは、200〜250μmであるバッチ式流動床からの平均粒子径と比べていくらか低い。
SEM写真:HeinenバッチH2901-2およびバッチ式流動床に基づく流動床顆粒についての
走査型電子顕微鏡写真を図3〜6に示す。
【0209】
連続式流動床方法からの顆粒は、バッチ式方法で存在するのと同じ摩擦力および重力にさらされないので、その形状が特徴的により不規則的である。最大倍率の2つの写真は、2つの技術の間で結合メカニズムが同じであることを示している。ここで、PVPの微細な連なりが炭酸カルシウムの立方体形の結晶を絡み合った網目中に結び付けているのが見られる。この結合剤の均一な分布は、錠剤に圧縮中の顆粒の優れた凝固性をも説明している。
【0210】
統計的分析ならびに噴霧割合およびPVP濃度の意義は、図7に描写されている。この図は平均粒子径に対する主な影響を示している。要因配置実験で調査された3つの変数は、PVP濃度、入口空気温度および噴霧割合であった。粒子径に対する最も重要なパラメータは噴霧割合であることが分かる。PVP濃度は、粒子径に対してポジティブな効果を有しているが、それは噴霧割合の効果よりもはるかに少ない。温度は粒子径に対して効果を有していない。
【0211】
入口温度の上昇は蒸発割合の増加を引き起こし、凝固キャパシティの低下をもたらすと予測されていたので、後者の観察は驚くべきことである。それは、連続的方法の乾燥能力を最適化するためには、入口温度が高いレベルに設定され得ることを意味している。
したがって、2.2%の量のPVPを有するバッチを考慮すると、最も好ましい平均粒子径を与えるのはPVP濃度20%であるということが分かる。
【0212】
上記の結果から、より希釈されたPVP濃度またはPVP2.2%という正しい量でのより多い噴霧量は、多分平均粒子径のさらなる増大に導くだろうし、多分より高い入口造粒温度が用いられ得るだろうと結論づけられた。以下のテキストにおける実施例3の実験を通してこのことが調べられた。
実施例1の実験から分かる主な効果は、噴霧量の重要性であり、噴霧量が増えると平均粒子径が増大する。
【0213】
感覚評価
感覚評価が資格を有する7人のパネルにより行なわれた。Heinenカルシウム顆粒で構成された低い嵩密度を有するバッチPU30305および高い嵩密度を有するバッチPU30306が、カルシウム顆粒の流動床バッチ(PU30307)をベースとするものを対照として試験された。Heinen顆粒に基づく2つのバッチがオレンジの香りおよび硬さに関して一対となった試験を対照として試験された。
各ケースにおいて、感覚パネルは、5%レベルではサンプル間に著しい差異を認めなかった。
【0214】
実施例2(バッチ16〜21)
ドレスデンのGlatt 施設で行なわれた実験は次の目的をもっていた。
・底面スプレーを有するGlatt 連続式流動床GF 20における凝固および乾燥を調べるこ
と。
【0215】
結果
サンプリングおよび分析方法は、実施例1と同様に行なわれた。
製造された顆粒についての結果を次の表に示す。
【0216】
【表5】

【0217】
表3:Glatt GF 20で製造された顆粒の特性
【0218】
水分含量および嵩密度:水分含量および嵩密度の両方についての結果は、きわめて良好な再現性を示し、規定された要件の十分内側の値を示す。嵩密度についての値は、Heinen実験からの結果より高い。これは、Glatt実験からの顆粒の粒子径がより微細であり、よ
り密な充填性をもたらすことによるものと思われる。
【0219】
粒子径/分布:Malvernの結果と篩分析との間に良い相関性がある。平均粒子径の値は、
平均値がおよそ125 μm から143 μm に上がる最後のバッチを除いて、変動が極めて小さい。450〜125 μmの粒子径フラクションは少なすぎ、125 μmより小さい粒子径フラクシ
ョンは多すぎる。平均粒子径について比較的小さい値の理由は、その方法が好ましい「乾燥条件」というプロセス条件で行なわれたからである。噴霧量の増加を含むさらなる最適化は、平均粒子径の値を増大させるために必要だったであろう。
底面スプレー:実験は、底面スプレーがこの実験の狙いであった顆粒を製造するのに効果的に用いられたことを示した。
【0220】
実施例3(バッチ22〜27)
これらの実験は次の目的を有していた:
・噴霧割合の調整とともに造粒液中のPVPの濃度(15および20%)。
・ノズルの数および型:2つから3つのノズルに変えた。3つのノズルは床の中間に順次配置された。最初のノズルは移動床の方向に対抗した角度で噴霧し、次の2つのノズルは移動床に沿った角度であった。2つのノズルは第1のゾーンに配置され、3番目のノズルは第2のゾーンに配置された。
・入口空気温度
【0221】
【表6】

【0222】
表4:造粒液中のPVP濃度、およびHeinen WT4/13で行なわれた実験についての臨界的
プロセス変数
【0223】
実験は、実施例1のバッチのための入口空気湿度(水4g/空気kg)に対抗して、入口空気湿度(水8g/空気kg)で行われた。この違いは造粒プロセス区画の内部相対湿度の増加を引き起こした。このことは、実施例1で報告された実験における条件と比べると、凝固能力を再び増大させた。
【0224】
WT 4/13における短すぎる乾燥ゾーンを補償するために、5つのバッチはすべて実験室
バッチ式流動床(mobatch)中、80℃でさらに10分間乾燥された。
PVP20%および入口顆粒温度60℃での最初の2つの実験は、高すぎる水分含量という結果になった。したがって、その後の実験ではPVP15%で、入口温度が80℃に高められた。
【0225】
結果
第5週で行なわれた実験と同じ手順に従って顆粒が分析された。結果を次の表に示す。
【0226】
【表7】

【0227】
表5:実施例3からの実験のための顆粒の特性
水分含量および嵩密度:水分含量および嵩密度の結果はすべて要件の範囲内であり、実施例1における実験により達せられた結果と非常に近似していた。
【0228】
粒子径/分布:バッチ1Aおよび2Aは、H2901-1およびH2901-2 (表1および2)と同じプロセス・パラメータのセットポイントで製造されたが、2対のバッチの間には粒子径において著しい差異がある。D10、D50およびD90と示された粒子径は、バッチH2901-1/H2901-2についての26、130、312 μmおよびバッチ1A/2Aについての44、180、417μmである。実施例3で製造されたバッチの粒子径の増大に加えて、粒子径分布についても変化があり、実施例3で得られたバッチではその分布がより狭くなっている。
【0229】
入口空気の水分含量における大きな差異は、2つの試験期間の間に製造された顆粒の間の粒子径の差異を説明している。
バッチについての製品温度は実施例1では60/60/80℃であり、本実施例ではそれぞれ45.8および40.8℃である。これはプロセス・チャンバー中の相対的な水分含量16%および29%に等しい。
【0230】
したがって、相対湿度においてほぼ2倍の増加があり、これは凝固キャパシティに明らかに影響している。
バッチ式流動床方法と連続式流動床方法との比較が、粒子径分布に関して行なわれた。
Malvern分析からの結果を次の表に示す。
【0231】
【表8】

【0232】
(連続式流動床はCFBで表され、一方バッチ式流動床はFBで表されている)
表6:Heinenバッチの3シリーズからの同じ特性と比較した、バッチ式流動床からの顆粒についての平均粒子径、分布およびスパン値
【0233】
Heinen CFB顆粒は、各実施例の下に特定されたのと同じプロセス条件のセットで、3つの異なった機会に製造された。バッチ式流動床からの結果と比べて、CFB顆粒の粒子径分
布はより狭いことが、表から分かる。CFB顆粒についての狭い粒子径分布は、スパン値に
ついての低い結果により示されている。CFBバッチについてのより狭い粒子径分布は、ほ
ぼ同じ平均粒子径を有するバッチのシリーズと比べると、フラクションのほぼ20〜25%という減少を有するD90のより低い値により例証されている。
【0234】
水分量の最適化による平均粒子径の調整
ここで水分量とは、入り口空気湿度と噴霧量(PVPの所定濃度での噴霧割合)とを組み合わせた水分効果として定義される。図9において、PVP濃度はMalvern分析からの
平均粒子径に対してプロットされている。2つのループの内側にプロットされた結果はすべて名目的な量のまたは2.2%のPVPを含むのに対して、その他のバッチについてのPVP濃度はこの値より高いか低い。実験は異なった2つの時期、2003年の第5週および2003年の第32週に行なわれた。その際の入口空気中の絶対水分含量はそれぞれ2.9および7.5g/m3であった。
【0235】
噴霧割合83g/分、PVP10%バッチで始めて(H2901-3および -5)、造粒温度4
5℃と75℃との間にほとんど差異のないことが分かる。噴霧割合を205g/分に増すと(H2901-4 および -6)、2つの入口顆粒温度の間により大きな差があり、最も高い入
口温度は平均粒子径の最高値を生じた。
【0236】
第32週に、PVP含量15%、入口空気水分含量7.5g/m3で、3つのバッチが
製造された。これら3つのバッチは、平均粒子径227μmを有しており、図8に描かれているように、これらのバッチの中で最大の平均粒子径を有する集団を構成している。これは、これら3つのバッチが最大の水分量を経験したという事実によるものである。
【0237】
5つのバッチ(H2801-1、-2、-3およびH2901-1および-2)は、第5週に、造粒液中のPVP濃度20%、入口空気中の水分含量2.9g/m3で製造された。これらのバッチは
、造粒フェイズの間の入口空気温度に関して5℃異なるだけで、噴霧割合136g/分で製造された。グラフに見られるように、5つのバッチについての平均粒子径は130〜155μmの範囲によく集まっており、このことは満足できる再現性を示している。
【0238】
2つのバッチは、第32週に、同じ組成の造粒液で、しかし入口空気の水分含量7.5g/m3で製造された。表2および5から、PVPを20%含み、第5週および第32週
にそれぞれ製造されたバッチについて、平均粒子径が140μmから180μmに増大していることが分かる。第32週に2つのバッチについて平均粒子径が増大している理由は、これら2つのバッチがさらされた水分量の増加にある。
【0239】
2つのバッチ(H3001-5および -6)造粒液中のPVP濃度26%、噴霧割合106g/分で製造された。ここで、2つのバッチの間では、入口顆粒温度が10℃だけ異なっていた。平均粒子径はおよそ120μmに小さくなっていた。
噴霧量の減少による平均粒子径のさらなる低下は、PVP濃度が33%に増加し、PVPの含量が2.2%の理論値に維持されたときに見られた(H3001-1 および -3)。
【0240】
ここで噴霧量は、噴霧割合中の水分の量として定義される。噴霧割合83g/分およびPVP含量33%は、実験の中で最も低い噴霧量を与えた。このPVP濃度および噴霧割合では、満足できる凝固を達成するためには、噴霧量が不十分であるように見える。
【0241】
最大の粒子径は、最も高い噴霧割合205g/分について見られた。しかし、これは顆粒中にPVPを5.5%も含んでいた。この噴霧割合で、噴霧量は十分であり、増加したPVP含量と組み合わさって、これは確実に凝固キャパシティを増大させた。
【0242】
図9に描かれた結果は、それが入口空気水分含量と噴霧量との組み合わさった結果であることを示しており、それは得られるカルシウム顆粒の平均粒子径を左右する。グラフから、平均粒子径は87〜227μmの間で、調整されたファッションで変動させ得ることが分かる。
【0243】
実施例4(バッチ28-30)
プロセスの安定性を調べるため、また同時に生産スケールでのスケールアップのために十分な顆粒を製造するために、臨界的プロセス変数についての最も好ましいセットポイントで長期実験が行なわれた。
【0244】
臨界的プロセス変数についてのセットポイントは次のとおりであった。
・入口空気量:1000 m3/時間(およそ35℃で)
・入口空気の絶対水分含量:4 g/kg
・造粒液中のPVP濃度:15%
・粉末混合物の供給割合:75kg/時間
・滞留時間:1時間
・3つのノズルでの噴霧割合:187.5g/分
・3つの全区画における入口空気温度:80℃
バッチ10206383(連続式流動床顆粒)の混合前および混合後(バッチ10206906)の粒子径分布、嵩密度および乾燥減量の結果を以下に示す。
【0245】
【表9】

【0246】
表7:連続式流動床カルシウム顆粒の6つのサンプルの粒子径分布、嵩密度および水分含量
嵩密度および水分含量:連続式造粒方法の間に大きな袋(big-bags)から採取されたサンプルについての嵩密度は、典型的に低い値である。混合プロセスの間に、嵩密度は、バッチ式方法に基づく顆粒についての嵩密度に比較できるほどのレベルまで増大する。
水分含量についての結果は、低くて、方法で要求される0.35%の十分範囲内である。
【0247】
粒子径/分布:顆粒の主な部分は、サイズ画分425〜125μmの範囲内であり、125μmより小さいサイズ画分はほんの少しである。平均粒子径は混合プロセスの終了後で246から234μmに減少したにすぎない。このことは、顆粒混合物が満足できる程度で混合プロセスに耐え得ることを示している。連続式造粒方法からの顆粒の6つのサンプルについての粒子径および分布の再現性は、それらのサンプルについてのMalvern分析を示す図7に描かれている。
【0248】
スケールアップ実験:次のバッチ処方に従って、Vriecoコニカル・スクリュウ・ミキサーで1288kgの錠剤用最終混合物を製造し、Fette 3090打錠機を用い1分当たり6000錠の打錠スピードで16mmの両方が凸面の錠剤を製造した。
連続式Heinen流動床からのカルシウム顆粒: 1242 kg
芳香顆粒レモン: 37.5 kg
コレカルシフェロール100 CWS-250μm篩過: 3.26 kg
アスパルテーム: 0.741 kg
ステアリン酸マグネシウム: 4.45 kg
【0249】
錠剤は自動的に包装機へ移され、275mlの錠剤容器に充填された。
打錠工程は、1分当たり6000錠に設定された打錠スピードで、何の問題もなく、満足で
きるやり方で行なわれた。同様に、錠剤の包装機への自動輸送および包装工程自体も、錠剤の破損を伴わず通常の程度で進行した。
【0250】
実施例5(バッチ31〜42)
実験のセットは次の目的を有していた。
・長期間の実験で顆粒の特性に関して再現できる結果を示すこと。
・異なった物性を有する炭酸カルシウムについて品質の変更に関して方法の頑健さを示すこと。
・造粒噴霧量を変えることにより平均粒子径の調整を示すこと。
・チュアブル・カルシウム錠中のビタミンD3の均一性について満足できる再現性を示
すこと。
【0251】
実施例4に記載されたのと同じ連続式造粒方法のためのプロセス・パラメータのセットが採用された。造粒方法は、混合実験のために十分な量のカルシウム顆粒を製造し、次の表に示されるような再現性を示すために、13時間行なわれた。
結果
【0252】
【表10】

【0253】
表8:連続式流動床カルシウム顆粒の7つのサンプルについての粒子径分布および嵩密度再現性:嵩密度ならびに粒子径およびその分布に関する顆粒の特性は、非常に再現性良く
、一定の値であることを示した。狭い粒子径分布は、篩分析からの425〜125μmの顆粒の大部分により、またMalvern分析からのスパン値についての低い結果から再び例証
された。
噴霧量を変えることによる粒子径の調整
【0254】
【表11】

【0255】
表9:2つの異なった入口空気顆粒温度においての高い噴霧量および低い噴霧量
造粒噴霧割合187.5 g/分で4つのバッチが製造された。上に示されたような2つの入口顆粒温度で、高い噴霧量および低い噴霧量でそれぞれ2つの実験が行なわれた。以下に示す特性を有するカルシウム顆粒を生じる4つの実験が首尾よく進行した。
【0256】
【表12】

【0257】
表10:低い噴霧量および高い噴霧量での顆粒についての粒子径分布および嵩密度
上記の結果から、噴霧量により粒子径を調整でき、この調整は入口顆粒温度80℃で最も効果的に行なわれることが分かる。結果は、100〜300μmの範囲の平均粒子径の調整を示している。
【0258】
頑健さ:異なった物理的特性を有する品質の炭酸カルシウムの加工性に関して頑健さを示すために実験が行なわれた。実施例からの一連の実験はすべて、滑らかで規則正しい表面を有する立方体状または擬似立方体状のモノサイズ結晶からなるScoralite 1A+1Bで行な
われた。
その結晶は、およそ10〜20μmの平均粒子径、0.3〜0.6m2/gの比表面積
および0.9〜1.2g/mlの範囲の嵩密度を有する。
【0259】
示された炭酸カルシウムの新しい品質:Merckからの「沈降炭酸カルシウムエクストラ
ピュア 102064」は、10〜16μmの範囲の粒子径、0.3〜0.6m2/gの比表面積および0.4〜0.7g/mlの範囲の嵩密度を有する。走査型電子顕微鏡写真は、結晶の表面が不規則であることを示しており、そこでは1つの粒子が互いにくっついた3つか4つの結晶からなっている。250kgバッチの流動床における製造実験は、バッチ式流動床用のプロセス・パラメータのセットポイントの存在するセットはこの品質には採用できないことを実証した。骨の折れるスケールアップ試験がこの品質のための臨界的プロセス・パラメータのセットポイントの新たなセットの定義で始められなければならなかった。このことは以下の参考実施例に記載されている。
【0260】
かくして、Heinen連続式流動床WF 4/13中での炭酸カルシウムのこの新しい品質での試
験の狙いは、既存のScoralite 1A+1Bから新しいMerck品質に変えたときに、加工性に関連する困難性あるいは満足できない顆粒特性を伴わないで、プロセス・パラメータのセットポイントの同じセットを使用できるということを示すことであった。
【0261】
原材料の品質の変更は、供給とかプロセス・パラメータを中断しないで、行なわれた。Merck品質の減少した嵩密度により、供給割合のわずかな低下が見られた。嵩密度の減少は、予めブレンドされた原材料の投与量に影響を与えた。
Merckでの実験はどのプロセス・パラメータも変えないで、4.5時間行なわれた。
次の表に示すように、顆粒の特性は十分に要件の範囲内であった。
【0262】
【表13】

【0263】
表11:Merck 102064でのカルシウム顆粒についての顆粒特性
工程がプロセス・パラメータを何ら変更しないで行なわれ、しかも顆粒の特性が十分に要件の範囲内であったという事実は、連続式流動床方法が原材料の物理的特性における変化に満足できる程度で耐え得る頑健な方法であることを示している。このことは、参考実施例に記載されているように、新しい品質の炭酸カルシウムで行なうために相当な実験のセットを必要とするバッチ式流動床方法と対照的である。
【0264】
ビタミンD3の均一性:それぞれ230kgの顆粒を含む3つの混合バッチを製造する
ために、カルシウム顆粒が用いられた。3つのバッチについて混合前の平均粒子径は、それぞれ217、203および252μmであった。
ビタミンD310μg(400 I.U.)をレモン・フレーバーとともに含む3バッ
チのカルシウム・チュアブル錠が、実施例4と同じ組成物で製造された。
【0265】
Ruberg 400 ミキサーは、強制的な対流を伴い、有効混合量320リットル(80%)
を有するツインシャフトの縦型低剪断ミキサーである。3つのバッチのバッチサイズは238.52kgであった。ステアリン酸マグネシウム以外のすべての成分をミキサー中へ充填し、50rpmで4分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに1分間混合した。ミキサーから排出するとき、排出の最初に、中間で、そして最後に、サンプルとして3つのサンプル3kgを採取した。各バッチについて3つの別々のサンプルを16mmの普通の凸形状の錠剤に成形し、ビタミンD3の含量を分析するために、錠剤の3つのロットについて、代表的なサンプル10錠を取り出した。カルシウム・チュアブル錠の3つのバッチについて、ビタミンD3の含量均一性についての結果をIU(国際単位)として、次の表に示す。
【0266】
【表14】

【0267】
表12:ビタミンD320μg含有カルシウム・チュアブル錠の3つのバッチについての
ビタミンD3の含量の均一性
結果は、錠剤中のビタミンD3のきわめて良好な均一性を示しており、すべての値がビ
タミンD3の平均含量の±15%という要件の十分内側にある。このことは図11に描か
れており、そこではコレカルシフェロールの含量が3つのバッチについてプロットされている。良好な均一性は、3.1〜3.4%の範囲内にある相対標準偏差の低い値によっても特徴づけられている。
カルシウム顆粒の粒子径および分布に関する2つの最も重要な考慮すべき問題は、ビタミンD3の分布の均一性および最終的な打錠用混合物の打錠性に関連している。
【0268】
現在のところ、篩にかけられたビタミンD3の平均粒子径は180〜200μmの範囲
にあり、狙いとするところは、ビタミンD3の均一性をさらに一層改善するために、およ
そ150〜180μmに減少した平均粒子径を得ることである。ビタミンD3についての
粒子径の減少は、単位投与当たりのビタミンD3の粒子数の増加をもたらし、ビタミンD3
のより均一な分布を確実にするので、有利である。
この点において、Heinen顆粒は、ビタミンD3の粒子径および分布を適合させるのに十
分適している。
【0269】
打錠用混合物中の粗いサイズのフラクションが増大すると、最終的な打錠用混合物における分離の問題が起こり得る。このことは、取扱い中の振動の機能として、または打錠工程中のIBCコンテナにおける不均一な流れとして起こり得る。この点に関して、FBバッチ様の顆粒における粗いフラクションを減少させるのが望ましい。
【0270】
Heinen顆粒は、バッチ式方法からの顆粒に比べて、粗いフラクションをきわめて少なく含んでおり、したがってブレンド効果およびそれに続く分離の防止という点でより適している。
【0271】
参考実施例1
「材料最終方法」の下に記載された、予めブレンドされた炭酸カルシウムとソルビトールと同じ組成物が、炭酸カルシウムMerck 102064での次の品質実験で用いられた。
品質実験は、250kgのバッチサイズで、Aeromatic サイズ 6 バッチ式流動床で行
なわれた。
【0272】
バッチ式流動床において凝固プロセスを調整する最も重要なプロセス・パラメータは、入口空気の温度、噴霧割合および入口空気の湿度である。入口空気顆粒温度および噴霧割合について、Scoralite 1A+1B の造粒に基づいて存在するセットポイントは、それぞれ50℃および720g/分であった。入口空気湿度は、外気からの気象条件のままの雰囲気であった。入口空気湿度における変動は、PVP濃度を調整することにより補償され、したがって実験のあいだ水分量は一定に保たれた。
【0273】
入口空気温度および噴霧割合の存在するセットポイントが満足できる顆粒特性を備えたカルシウム顆粒を製造しないということがすぐに分かった。得られた顆粒は、125μmより小さい微細な顆粒の割合が50%を超え、きわめて高かった。平均粒子径を増大させるための噴霧割合、したがって水分量の増加は、微粒子の量を顕著に減少させないで、大きな粒子の割合を大きくしすぎるという結果をもたらした。このことは、これらのプロセス条件では、造粒液の分布が均一でないことを示した。
【0274】
全部で24バッチがプロセス条件の新しいセットを定めるために行なわれ、入口空気顆粒温度を50℃から38℃に下げる必要があるということが分かった。このことは、造粒中の製品温度が24〜26℃から20〜24℃に下がるという結果をもたらした。水分量を一定に保ち製品温度が低下したとき、造粒工程中の製品コンテナ内部の相対湿度は増大した。
【0275】
このことは、顆粒の付着しやすさ、ならびに製品コンテナ中での湿りすぎおよびかたまりの形成の危険性をもたらした。それは、入口空気の絶対湿度をきわめて注意深くモニターすることの重要性、およびこれらの変動を補償するために造粒液中のPVP濃度を頻繁に調整することの必要性も強調している。
【0276】
全体として、炭酸カルシウムMerck 102064 は、バッチ式流動床で操作するには難しい
品質を備えている。加工の困難性は、一次粒子の形状および表面が臨界的プロセス・パラメータのセットポイントの異なったセットを要求するという、炭酸カルシウム粒子の物理的性質に関連しているに違いない。
本発明による方法に関する実験からの結論
プロセス・パラメータ:Heinen 連続式流動床プラントWT 4/13における臨界的プロセス変
数の最も好ましいセットポイントは、次のとおりであった:
【0277】
・入口空気の量:1000 m3/時間 (およそ35℃で)
・入口空気の絶対水分含量:4 g/kg
・造粒液中のPVP濃度:15%
・粉末混合物の供給割合:75 kg/時間
・滞留時間:1時間
・3つのノズルでの噴霧割合:187. 5 g/分
・3つの空気入口区画すべての入口空気温度:80℃
【0278】
平均粒子径および分布の調整:平均粒子径は100〜300μmの範囲の粒子径ウィンドウで効果的に調整することができ、狭い粒子径分布は低いスパン値により付与されることが、実験により示された。この平均粒子径の調整と同時に狭い粒子径分布の保持は、カルシウム顆粒の平均粒子径と2次顆粒中における少量のビタミンD3の分布とが完全に釣り
合うのを助長する。ブレンド工程中の2成分の完全な釣合いは、得られるカルシウム・チュアブル錠におけるビタミンD3の良好な均一性により証明される。
頑健さ:連続式流動床方法は、カルシウム顆粒の造粒および乾燥に関連したいくつかの点において、バッチ式方法よりもはるかに頑健であることが示された。
【0279】
連続式流動床方法は、製品コンテナのスクリーン、製品コンテナ中の壁および拡張チャンバーへの粉末の付着、ならびに空気排出フィルターの詰まりといったような、工程の困難性に関してより頑健である。
連続式方法は、バッチ式方法に比べて、臨界的プロセス・パラメータのセットポイントにおける頻繁な変更に起因したバッチ間の変動に対して敏感でなく、入口空気水分の変更に対しても敏感でない。
さらに、連続式方法は、カルシウム含有化合物の物性における変更に対してはるかに頑健であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウムを任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに含む流動化された組成物を連続式流動床装置中で流動条件下に造粒することを含む、炭酸カルシウムを少なくとも40%含む粒状物の製造方法。
【請求項2】
造粒が、炭酸カルシウムを含む流動化された組成物に適用される造粒液の手段によりなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
造粒液が医薬的に許容される結合剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炭酸カルシウムを含む組成物が医薬的に許容される結合剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
造粒液が医薬的に許容される溶媒を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
溶媒が水である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
次の工程:
i)連続式流動床装置のゾーンへ一定の供給割合(kg/時間)で組成物を連続的に供給する、
ii)流動化された組成物を流動床装置の一つ以上のゾーンを通して供給割合に応じた割合で連続的に移動させる、
iii)造粒液を流動化された組成物に一定の噴霧割合(溶媒kg/時間)で噴霧すること
により、上記の組成物を連続的に湿潤させる、
iv)湿潤した組成物を連続的に乾燥する、そして
v)このようにして得られる微粒子状物質を上記の供給割合に応じた排出割合で連続的に収集する
ことを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
上記の工程が連続式流動床装置の二つ以上のゾーンで行なわれる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程i)およびiv)が連続式流動床装置の異なったゾーンの中で行なわれる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程iii)およびiv)が連続式流動床装置の異なったゾーンの中で行なわれる、請求項7
〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
得られる微粒子状物質が、多くとも2.3のスパン値を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
方法が、用いられる炭酸カルシウムの平均粒子径における変化に向けられたプロセス・パラメータのセットポイントに関して頑健である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
方法が、用いられる炭酸カルシウムの嵩密度における変化に向けられたプロセス・パラメータのセットポイントに関して頑健である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
特定の微粒子状物質の組成物が同じであり、供給割合(kg/時間)と噴霧量(kg/時間)との比が一定に保たれるという条件の下に、用いられる連続式流動床装置のベッドサイズに関わらず、得られる微粒子状物質が、多くとも2.3のスパン値を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
異なった連続式流動床設備の規模の間でのスケールアップまたはスケールダウンが、次のプロセス・パラメータ:
i)空気速度、
ii)入口空気温度、
iii)入口空気湿度、
iv)床の高さ、
v)供給割合(kg/時間)/噴霧量(溶媒kg/時間)、
vi)用いられるノズルについての噴霧圧、
vii)ノズルの数/製品スクリーン面積
の一つ以上のセットポイントを一定に保つことにより行なわれる、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
スケールアップまたはスケールダウンの間、上記の二つ以上のプロセス・パラメータのセットポイントが一定に保たれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スケールアップまたはスケールダウンの間、上記のプロセス・パラメータのすべてのセットポイントの3つ以上が一定に保たれる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スケールアップまたはスケールダウンの間、上記のプロセス・パラメータのすべてのセットポイントが一定に保たれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
プロセス・パラメータのセットポイントを含むその他のすべての条件が実質的に同じであるという条件の下に、用いられる炭酸カルシウムの粒子径に関わらず、得られる微粒子状物質が多くとも2.3のスパン値を有する、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
プロセス・パラメータのセットポイントを含むその他のすべての条件が実質的に同じであ
るという条件の下に、用いられる炭酸カルシウムの嵩密度に関わらず、得られる微粒子状物質が多くとも2.3のスパン値を有する、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
安定した条件の下に得られる顆粒化された組成物が、同じ組成物を同じ造粒液で、ただしバッチ式流動床装置で得られるスパン値より小さいスパン値を有する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
得られるスパン値が、バッチ式流動床装置を用いて得られるスパン値より10%以上小さい請求項21に記載の方法。
【請求項23】
炭酸カルシウムの嵩密度が1.5g/mlより小さい請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
用いられる炭酸カルシウムの平均粒子径が60μmより小さい、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
炭酸カルシウムを含む組成物の供給割合(kg/時間)と造粒液の噴霧量(溶媒kg/時間)の比が4.5〜45の範囲にある、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
得られる微粒子状物質の平均粒子径が噴霧量および/または入口空気の水分含量により調整される、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
得られる微粒子状物質の平均粒子径が噴霧量および入口空気の水分含量が一定であることにより調整される、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
得られる微粒子状物質の平均粒子径が噴霧量を増すことにより増大する、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
得られる微粒子状物質の平均粒子径が100〜500μmの範囲にある、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
微粒子状物質が、
i)炭酸カルシウム、
ii)一つ以上の結合剤、
iii)任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、
iv)任意に一つ以上の甘味剤
を含む、請求項3〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
微粒子状物質が、全体の濃度が100%を超えないという条件で、
i)40%〜99.9%w/wの炭酸カルシウム、
ii)0.1%〜30%w/wの一つ以上の結合剤、
iii)もし存在するならば、0.1%〜15%w/wの一つ以上の医薬的に許容される賦
形剤、および
iv)もし存在するならば、5%〜50%w/wの一つ以上の甘味剤
を含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−82688(P2013−82688A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196275(P2012−196275)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2007−557620(P2007−557620)の分割
【原出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(506390753)ニコメド ファーマ エイエス (9)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED PHARMA AS
【住所又は居所原語表記】Drammensveien 852,NO−1385 Asker,Norway
【出願人】(505164003)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED DANMARK APS
【住所又は居所原語表記】Langebjerg 1,DK−4000 Roskilde,DENMARK
【Fターム(参考)】