説明

連続気泡ポリマーマトリックスと、その中に埋め込まれた顆粒とを含む複合材料

【課題】連続気泡ポリマーマトリックスと、その中に埋め込まれた顆粒とを含む複合材料を提供する。
【解決手段】本発明は、1種類以上のポリマーを含む連続気泡ポリマー発泡体マトリックスと、ポリマー発泡体マトリックス中に埋め込まれ開放孔隙を有する顆粒または形状物とを含む複合材料、そのような複合材料の製造方法、および断熱材料としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種類以上のポリマーを含む連続気泡ポリマー発泡体マトリックスと、ポリマー発泡体マトリックス中に埋め込まれた開放孔隙を有する顆粒または形状物とを含む複合材料、そのような複合材料の製造方法、および断熱材料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材の最先端は、多孔質コア材料(たとえば、圧縮されたヒュームドシリカ(Aerosil)、繊維マット、または連続気泡発泡体)を気密シート材料で覆い、次に排気を行うことによって製造された真空断熱パネル(VIP)である。これらのパネルにより、優れた断熱性(DIN 52 612に準拠して10℃で測定して熱伝導率<3.5×10−3W・m−1・K−1が実現可能である)が可能となるが、気密シートが損傷した場合には断熱効果は大きく低下する。したがってこれらのパネルは、特定の所望の寸法で製造し、保護された方法で取り付ける必要がある(http://www.va-q-tec.com/)。
【0003】
使用されるコア材料は、真空断熱パネルの性質に実質的な影響を与える。一方では、コア材料(ならびに排気されたパネル中の気体およびその残留圧力)によって、熱伝導率、したがって断熱性能が決定され、他方、圧縮強度、破壊感受性、および寸法安定性などの機械的性質はコア材料に実質的に依存する。
【0004】
熱伝導率に対するコア材料の影響は、2つの機構にさらに分割できる。第1は、コア材料の固相中の熱伝導による熱伝導率への直接的な寄与である。第2のより重要な機構は、気相熱伝導率に影響を与えることによる間接的な寄与である。すなわち、コア材料が非常に微細な構造の孔隙系を有する場合、特に低い気体圧力における気相熱伝導率が、気体組成物から予想される値よりも低下し得る。この効果はクヌーセン(Knudsen)効果と呼ばれる。これは、気体分子の自由行程長が、気体の存在する孔隙の直径よりも大きい場合に生じる。この場合、気体分子と孔隙の壁との衝突が、気体分子同士の衝突よりも起こりやすくなる。これは、気体分子同士の衝突が全体的に抑制される程度まで進行しうる。衝突が起こらなければ、熱エネルギーの移動が起こらず、気相の熱伝導が停止する。したがって、VIP中のコア材料の平均孔径が小さいほど、コア材料はより効率的となる。小さな孔径によって、比較的高い気体圧力においてさえもクヌーセン効果が生じ、ほぼ全体的に気相熱伝導率を抑制するために同じ程度まで圧力を低下させる必要はない。圧力と種々のコア材料の熱伝導率との間の関係の測定などのこれらの関係の総合的な議論は、www.ecbcs.org/docs/Annex_39_Report_Subtask-A.pdfに見られる。
【0005】
これらの測定は、板/形状物に成形されたシリカ、特にヒュームドシリカが、真空断熱パネルに特に有利なコア材料となることを示している。これらの粉末の非常に微細な構造によって、顕著なクヌーセン効果が得られる。対照的に、欠点は、このコア材料の機械的性質が良くないことである。圧縮粉末から製造される加圧成形物は、本来圧力の影響を受けやすく、容易に破壊される。
【0006】
同様に従来技術の一部である連続気泡ポリマー発泡体は、一般に実質的により良好な機械的性質を有し、任意の所望の形状に切断することができるが、孔径がはるかに大きいために、圧縮シリカから製造されたコアを有するパネルと同じ断熱特性を達成するためには、非常に低い残留圧力が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的の1つは、圧縮シリカの圧力と熱伝導率との間の優れた関係と連続気泡ポリマー発泡体材料の良好な機械的性質とを併せ持つ真空断熱用途(パネルまたはその他の形状物)のコア材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、開放孔隙を有する排気された顆粒または(一般に)形状物が中に埋め込まれた連続気泡ポリマー発泡体マトリックスを含む複合材料によってこの目的が達成されることが分かった。
【0009】
したがって、本発明は、1種類以上のポリマーを含む連続気泡ポリマー発泡体マトリックスと、ポリマー発泡体マトリックス中に埋め込まれた開放孔隙を有する顆粒および/または形状物とを含む複合材料を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、ポリマー発泡体マトリックスを製造するための材料が開放孔隙を有する顆粒および/または形状物と混合され、この混合物から、顆粒が中に埋め込まれた連続気泡ポリマー発泡体マトリックスが得られる、本発明の複合材料の製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明の複合材料または本発明により得ることができる複合材料の断熱材料、特に真空断熱パネルとしての使用、およびそれらの複合材料を含む物品を提供する。
【0012】
本発明の複合材料は、実質的に想定可能な任意の形状および大きさで製造可能であるという利点を有する。さらに、本発明の複合材料は、任意の所望の大きさおよび形状に切断することができる。したがって、本発明の複合材料は、真空断熱要素の製造よりも実質的に多岐にわたる方法で使用することができ、また、従来技術で既知の圧縮シリカよりも機械的に堅固であるが同時に連続気泡ポリマー発泡体材料のような低い残留圧力を必要としない最終製品を製造することができる。
【0013】
本発明の複合材料から製造された真空断熱パネルおよび本発明の複合材料自体は、さらに、18×10−3W・m−1・K−1未満の熱伝導率(DIN 52 612に準拠して10℃で測定)を有するという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の複合材料、その製造方法、およびその使用は、以下の例により説明されるが、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。以下に化合物の範囲、一般式、または種類が示される場合、明示される化合物の対応する範囲またはグループのみを含むのではなく、個別の値(範囲)または化合物を抽出することで得ることができる化合物のすべての部分的な範囲および部分的なグループをも含むべきことを意図している。本発明の説明の文脈中で文献が引用される場合、それらの内容、特に言及される実質的な主題に関する内容は、その全体が本発明の開示内容の一部を形成することを意図している。以下に平均値が示される場合、特に明記しない限り、問題となる平均は数値平均である。以下にパーセントの単位で数値が示される場合、特に明記しない限り、問題となるパーセント値は質量%である。
【0015】
本発明の複合材料は、1種類以上のポリマーを含むポリマー発泡体マトリックスと、ポリマー発泡体マトリックス中に埋め込まれた開放孔隙を有する顆粒または形状物とを含むことを特徴としている。複合材料中の顆粒の質量分率は、好ましくは20質量%〜99質量%、より好ましくは50質量%〜90質量%である。顆粒または形状物は、1種類以上の有機材料および/または1種類以上の無機材料から実質的になってもよい。本明細書において「実質的」という表現は、顆粒の全質量を基準として少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%の質量%の分率を意味することを意図している。顆粒は、好ましくは、無機材料、より具体的には酸素含有化合物または金属もしくは半金属の塩から実質的になる。好ましい酸素含有化合物は、酸化アルミニウムまたはアルミノケイ酸塩、または二酸化ケイ素もしくはシリカ、より具体的にはヒュームドシリカもしくは沈降シリカである。特に好ましい顆粒は、ヒュームドシリカおよび/または好ましくは沈降シリカの圧縮粉末から実質的になる。さらに、たとえば、SiC、カーボンブラック、黒鉛、酸化鉄、またはTiOなどの種々の不透明化剤を単独または組み合わせで、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは5質量%〜10質量%(顆粒または粉末の質量を基準とする)の比率で含んでもよい。不透明化剤が存在することで、場合により放射熱伝導の減少が達成されうる。さらに機械的安定化の目的で、顆粒または形状物は、たとえばガラス、セラミック、またはポリマー繊維などの繊維、ならびに造粒プロセスの助剤、たとえばバインダーも含んでもよい。
【0016】
顆粒は、好ましくは平均粒度d50が50μm〜100mm、好ましくは100μm〜50mm、より好ましくは0.5mm〜20mmである(DIN 66165-2に準拠して測定される)。最大充填量を得るためおよび/または加工性を改善するために、たとえば二峰または三峰分布などの特定の分布の粒度分布を使用すると有用となり得る。造粒プロセスに依存したある顆粒粒子形状およびサイズ分布を有する顆粒の代わりに、画定された形状、たとえば球形または立方体の形状物を使用することもできる。この場合、顆粒の平均粒度に関する対応する範囲が、空間の三方向での好ましい寸法に関して適用される。本明細書では以降、対応する形状物を同様に顆粒と記載する。
【0017】
顆粒の個別の粒子のそれぞれが開放孔隙を有することが本発明にとって重要である。形態的な観点から、これは開放孔隙および/またはチャネルの網目を含むことができる。顆粒粒子または形状物は、好ましくは圧縮粉末から実質的に成り、そのため個別の一次粒子の間で開放孔隙系が維持される。非常に細かく粉砕されるか、さらにはナノ構造を有する粉末を使用して、対応して微細な構造の孔隙系が得られることが特に好ましい。使用される好ましい粉末または材料は、BET表面積が5m/gを超え、より好ましくは50m/g〜1000m/g(ISO 9277に準拠する)である。
【0018】
ポリマーマトリックス中に存在する顆粒は、好ましくは多孔度Φ、すなわち顆粒粒子の全体積に対する閉鎖された空隙の体積の比が50%〜99.9%、より好ましくは75%〜99%である。閉鎖された空隙を有する顆粒または顆粒粒子もしくは形状物の全体積は、好適な非ぬれ性液体、たとえば水銀で置換される体積を求めることによって確かめることができる。孔隙(開放孔隙および密閉孔隙)の体積は、顆粒固体の体積を全体積から減じることによって求めることができる。固体の体積は、固体材料の密度が既知である場合には求めた質量から容易に計算することができ、あるいは全体積が求められた顆粒を平均粒度d50が20μmとなるまでミルまたは乳鉢を使用して粉砕し、得られた粉末の体積または密度を測定する。
【0019】
顆粒粒子または形状物が埋め込まれるポリマー発泡体マトリックスは、(主として)連続気泡を形成するものである。連続気泡の比率は、気体比重瓶法(gas-pycnometry)により、顆粒粒子の間の領域からポリマー発泡体マトリックスのサンプルを採取し、場合により顆粒を加えていないポリマー発泡体のサンプルを得ることによって、測定することができる。顆粒粒子または形状物が埋め込まれるポリマー発泡体マトリックスの連続気泡の比率は、好ましくは50%を超え、より好ましくは80%を超える(DIN 4590に準拠して測定される)。
【0020】
ポリマー発泡体マトリックスは、任意の周知の、特に発泡性のポリマーを個別にまたはブレンド中に含んでもよい。ポリマーマトリックス中に存在し得る特に好ましいポリマーは、たとえばポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)から選択される。特に好ましいポリマーマトリックスは、硬質PURまたはPIRの発泡体を含むマトリックスである。ポリマー発泡体マトリックスを製造するためには、RIM(反応射出成形)法または押出成形法などの一般的な製造方法を使用することができる。
【0021】
顆粒に関して既に記載しているように、ポリマーマトリックスは不透明化剤を含んでもよい。この種類の不透明化剤はまた、たとえばカーボンブラック、TiO、黒鉛、またはSiCから選択してもよく、ポリマーマトリックス中の不透明化剤の性質および比率は、顆粒中の不透明化剤とは異なっていてもよい。ポリマーマトリックスの全質量を基準とした不透明化剤の割合は、好ましくは0.5質量%〜30質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
【0022】
複合材料の個別の成分(いずれの場合も個別に考慮される)が開放孔隙を有するだけでなく、複合材料中で、顆粒粒子中の孔隙系が、ポリマー発泡体マトリックスの孔隙系と連絡していること、すなわち材料全体にわたって連続して開放した孔隙が存在することが本発明にとって重要である。外部真空が適用された場合にその体積全体にわたって材料を排気可能にするためには(真空断熱用途におけるコア材料として使用するための必須条件である)、これが唯一の方法である。これは、完成した複合材料のサンプルの連続気泡の比率の気体比重瓶測定によって測定可能である。連続気泡の比率は、好ましくは50%を超え、特に好ましくは連続気泡の比率は80%を超える(DIN 4590に準拠して測定される)。
【0023】
ポリマー発泡体マトリックスの開放孔隙中(ならびに顆粒の開放孔隙および利用可能な孔隙中)の圧力が大気圧(1bar)未満であると有利となりうる。ポリマー発泡体マトリックスの開放孔隙中の圧力は、好ましくは500mbar未満、より好ましくは0.001〜200mbarである。ポリマー発泡体マトリックス中の開放孔隙と周囲雰囲気との間の圧力が等しくなるのを防止するため、本発明の複合材料は、好ましくは、金属、ガラス、プラスチック、またはこれらの材料の複合体、たとえば金属化ポリマーフィルムの気密外皮中にポリマー発泡体マトリックスを含む。このような2種類以上の材料の複合体は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート外層(PET外層)、アルミニウム障壁層、およびポリエチレン内層を有する多層積層体であってよい。
【0024】
排気前および/または圧力を設定する前にポリマー発泡体マトリックスの孔隙中(ならびに顆粒の開放および利用可能な孔隙中)の気体雰囲気の組成を設定すると有利となり得る。気体の組成は、好ましくは低熱伝導率が実現されるように選択される。低気相熱伝導率を有する好ましい気体は、典型的な推進剤ガス、たとえばCO、3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−、およびn−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンである。しかし、低モル質量(21g/mol未満)の気体、たとえば、水素、ヘリウム、メタン、アンモニア、水、またはネオンが、ポリマー発泡体マトリックスおよび/または顆粒の孔隙中に断熱ガスとして存在する場合も有利となりうる。
【0025】
本発明の複合材料は、好ましくは真空断熱要素であり、あるいは真空断熱要素として、またはそのような要素の製造に使用される。
【0026】
本発明の複合材料は種々の方法で製造することができる。本発明の好ましい複合材料は、後述の本発明の方法によって得ることができる複合材料である。
【0027】
本発明の複合材料を製造するための本発明の方法は、ポリマー発泡体マトリックスを製造するための材料が、開放孔隙を有する顆粒と混合され、この混合物から顆粒または形状物が埋め込まれたポリマーマトリックスが得られることを特徴とする。
【0028】
使用される顆粒(または形状物)は、好ましくは、粉末形態であり、前述の組成および性質を有する前駆体から製造される。この目的のためには、任意の一般的な造粒および錠剤化の手順、例えば、流動床造粒、圧縮、および任意選択による粉砕、または適切な場合には分散用液体および/または追加のバインダーなどを使用して低圧押出成形などを使用することができる。これらの方法で得ることができる顆粒および形状物は、開放孔隙を有する。
【0029】
後にポリマー発泡体マトリックス中に埋め込む間に、顆粒粒子の表面上にポリマーの圧縮外皮が形成されることで顆粒が封入され、それによって顆粒粒子およびマトリックスの中の孔隙系の連絡が妨害されることを防止するため、表面改質によってポリマーと顆粒との間のぬれ性を調節する必要が生じうる。一方では、表面改質は、顆粒の粉末形態の出発物質段階で行ってもよいし、あるいはすでに表面改質されている市販の粉末を使用してもよいし、改質は造粒の過程で行われてもよいし、第3の選択肢として、造粒後の完成顆粒粒子に対して行われてもよい。表面改質に使用できる方法には、当業者に周知のあらゆる方法が含まれ、その例は、改質剤の蒸着、噴霧、もしくは含浸、または改質剤中への浸漬である。好適な改質剤には、表面に物理的に取り付けられるか、表面に化学的に結合するかのいずれかである非常に多種多様のあらゆる物質が含まれる。好ましい改質剤は、あらゆる種類のシロキサン類およびシラン類、より好ましくはクロロシラン類、たとえばジメチルジクロロシランまたはクロロトリメチルシラン、アルコキシシラン類、たとえばアルキルトリエトキシシラン類、シラザン類、たとえばヘキサメチルジシラザン、ならびに環状または線状のオリゴ−またはポリ−ジメチルシロキサン類である。たとえばプラズマ処理などの物理的方法も表面改質に使用してもよい。
【0030】
ポリマー発泡体マトリックスを製造するための材料として、ポリマーもしくはポリマー混合物、またはポリマーを生成するための反応物を使用することができる。使用される顆粒/形状物、および使用されるポリマー、および/またはそれらの出発物質の量は、好ましいものとしてと上述した顆粒/形状物の質量分率を得られる複合材料が有するように、選択されることが好ましい。
【0031】
本発明の方法が、ポリマー発泡体マトリックスまたはその一部を製造するための材料が少なくとも部分的に液体凝集状態にあり、かつ、この液相が顆粒と混合される、少なくとも1つの方法工程を、含む場合に有利となりうる。ポリマーと顆粒または形状物との混合作業を促進するために、好適な溶媒中に溶解させることによって、または溶融させることによって、ポリマーを液体または流体の状態に変化させると有利となりうる。混合作業後、溶融温度より低温まで冷却することによって、および/または溶媒を除去することによって、ポリマーマトリックスを固化させる。あるいは、顆粒との混合作業は、ポリマーマトリックスを生成する出発化合物の段階で行うこともでき、すなわちモノマーまたはプレポリマー化合物を使用して行うこともできる。その場合、ポリマーマトリックスは、重合反応または架橋反応によって直接複合材料になる。ポリマーマトリックスが熱硬化性樹脂のグループに属する場合に、この変形が好ましい。本発明の方法のさらなる一実施形態においては、顆粒または形状物は、同様に粒状のポリマーと混合される。その場合、一体となって複合材料を形成することは、一般に加熱によって行われ、それによりポリマーが溶融または少なくとも軟化し、顆粒と接着接合する。
【0032】
有利には、本発明の方法は、発泡の方法工程を含む。発泡は、機械的/物理的または化学的に行ってもよい。機械的/物理的発泡の場合、空気もしくはガス、またはガス混合物が気体の形態で粘稠ポリマー組成物中に導入され、この粘稠ポリマー組成物を続いて硬化させると、導入した気体またはガス/ガス混合物がポリマー組成物の気泡中に閉じ込められる。ポリマー発泡体は、ポリマー組成物を1種類以上の発泡剤と混合することによって物理的に得ることもでき、これらの発泡剤は、加熱すると液体または固体の凝集状態から気体に変化し、それによって同様に発泡体が形成される。好適で周知の発泡剤は、たとえば、ペンタンなどの室温で液体の炭化水素である。本発明の組成物が追加の発泡剤を含む場合、それらは物理発泡剤または化学発泡剤であってよい。本発明の目的に好適な物理発泡剤は、気体であり、たとえば液化CO、および揮発性液体、たとえば、3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−、およびn−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンである。発泡体を化学的に生成することが可能であり、たとえば、重合温度で気体となる化合物を重合中に形成することよって可能である。典型的な化学発泡剤の1つは、たとえば水であり、これは、縮合反応に基づく重合反応中に形成される。水以外に、他の化学発泡剤を使用してもよい。ポリウレタン発泡体を製造する場合、たとえば水またはギ酸などの、使用されるイソシアネートと反応し、そのときに気体を発生する発泡剤が使用される。
【0033】
本発明にとって重要である、ポリマー発泡体マトリックスの連続気泡の比率は、ポリマー発泡体マトリックスの主成分となる配合物の好適な選択、および/または気泡開放剤(cell opener)の使用によって、対応して調節された発泡方法によって達成することができる。この場合、当業者に既知の任意の気泡開放剤を使用することができ、その例は、固体充填剤、またはシリコーン類、有機変性シリコーン類、ポリアクリレート類、もしくはポリブタジエン類などの非相溶性液体である。
【0034】
発泡ポリウレタンマトリックスを有する複合材料の例を用いて、本発明の方法の種々の変形について、より詳細に議論する。発泡ポリウレタンは、一般に、高度に架橋した熱硬化性樹脂であり、水またはアセトンなどの一般的な溶媒に対して可溶性ではなく、分解せずに溶融することもない。したがって、顆粒との混合は、好ましくはモノマーおよび/またはプレポリマー化合物の段階で既に行われる。発泡体を製造するためのポリウレタン系は、一般に、2つの成分(A)および(B)を特徴とし、第1の成分は、ポリオール成分(A)と呼ばれる反応性水素原子を有する化合物で構成され、第2の成分(B)は1つ以上のイソシアネートを有する。従来の助剤および補助剤は、ポリオール成分(A)中に配合してもよいし、別に計量供給してもよい。顆粒または形状物は、好ましくはポリオール成分と、イソシアネート成分と、または特に好ましくはこれらの成分の新しい反応混合物と混合される。記載の最初の2つの場合は、顆粒および形状物を、成分(A)または(B)の中にあらかじめ分散させる必要があり、次にこの分散体を第2の成分と均質に混合する必要があるため、顆粒の充填量が少なく小さな粒径の場合にのみ好適である。(A)成分および(B)成分の新しい反応混合物中に顆粒/形状物を混入する好ましい場合では、大きな粒径を問題なく処理することができる。反応混合物中への顆粒/形状物の混入は鋳型に移す前に行ってもよく、そうでなければ顆粒/形状物は、中空の鋳型中に充填剤または充填物として投入され、液体の発泡性反応混合物によって、浸透させるか、または粒子の周囲を発泡させる。断熱板を製造する場合、二重輸送ベルト(double transport belt)法によるポリウレタン断熱板の製造と類似の連続方法も考えられる。その場合、顆粒/形状物は、ポリウレタン反応混合物の塗布の前または後のいずれかの下部の最上層の上に分散させて、個別の粒子の周囲を発泡させることができる。この場合、複合材料は、ポリウレタンを形成する架橋を伴う重付加反応によって硬化される。
【0035】
ポリウレタン系の典型的な組成物を以下により詳細に説明する。
【0036】
ポリオール成分(A)として、断熱発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができ、その例は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、多価アルコールまたはアミンをアルキレンオキシドと反応させることによって得ることができる。ポリエステルポリオールは、好ましくは多塩基カルボン酸(通常はフタル酸またはテレフタル酸)と多価アルコール(通常はグリコール)とのエステルを主成分とする。
【0037】
(ポリ)イソシアネート成分(B)として、絶縁発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができ、その例は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。MDIと、平均官能基数が2〜4である高度に縮合したMDI類似体との混合物が特に好適であり、この混合物は「ポリメリックMDI」(「クルードMDI」)と呼ばれる。
【0038】
配合物の指数として表されるイソシアネートとポリオールとの好適な比は、50〜500の範囲内、好ましくは100〜350の範囲内に定められる。本明細書においてはこの指数は、実際に使用されるイソシアネートと計算されるイソシアネート(ポリオールとの化学量論反応の場合)との比を表す。指数100は、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0039】
助剤および添加剤として、触媒、気泡安定剤(cell stabilizer)、発泡剤、難燃剤、充填剤、染料、および光安定剤などの断熱発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができる。
【0040】
本発明の目的に好適な触媒は、たとえば、ゲル反応(イソシアネート−ポリオール)、発泡反応(イソシアネート−水)、またはイソシアネートの二量体化または三量体化を触媒する物質である。典型的な例は、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテルなどのアミン類、ジブチルスズジラウレートなどのスズ化合物、ならびに酢酸カリウムおよび2−エチルヘキサン酸カリウムなどのカリウム塩である。使用に好適な量は、触媒の種類によって左右され、100重量部のポリオールを基準として、カリウム塩の場合で典型的には0.05〜5重量部、または0.1〜10重量部の範囲内に定められる。
【0041】
好適な気泡安定剤は、たとえば有機界面活性剤、または好ましくはシリコーン界面活性剤(ポリエーテル−ポリジメチルシロキサンコポリマー)などの界面活性物質などである。ポリエーテルシロキサン気泡安定剤の典型的な使用量は、100重量部のポリオール当たり0.5〜5重量部、好ましくは100重量部のポリオール当たり1〜3重量部である。
【0042】
好適な気泡開放剤は、たとえば、シリコーン油、有機変性シリコーン類、ポリアクリレート類、またはポリブタジエン類などの非相溶性液体である。使用される気泡開放剤の典型的な量は、100重量部のポリオール当たり0.01〜5重量部、好ましくは100重量部のポリオール当たり0.1〜3重量部である。好適な気泡開放剤は、たとえば、TEGOSTAB(登録商標)およびORTEGOL(登録商標)の商品名でEvonik Industries AGより販売されている。
【0043】
発泡性配合物は、化学発泡剤としての水と混合してもよいが、その理由は、水はイソシアネートと反応して、プロセス中に二酸化炭素ガスを発生するからである。本発明の目的では好適な水の量は、水に加えて、物理発泡剤も使用されるか否かに依存する。純粋に水で発泡させる場合、含水量は、好ましくは100重量部のポリオール当たり1〜20重量部であり;他の発泡剤が追加で使用される場合、使用量は、好ましくは100重量部のポリオール当たり0.1〜5重量部の水まで減少する。好適な物理発泡剤についてはすでに明記している。
【0044】
建物の断熱のための断熱発泡体は、防火基準の影響下にあり、好ましくは難燃性にする必要がある。原理上は、従来の任意の難燃剤が好適となる。難燃剤として好ましく使用されるものは、液体有機リン化合物、例えば、リン酸トリエチル(TEP)などのハロゲンを含有しない有機ホスフェート、リン酸トリス(1−クロロ−2−プロピル)(TCPP)およびリン酸トリス(2−クロロエチル)(TCEP)などのハロゲン化ホスフェート、もしくはメタンホスホン酸ジメチル(DMMP)、プロパンホスホン酸ジメチル(DMPP)などの有機ホスホネート、またはポリリン酸アンモニウム(APP)または赤リンなどの固体が好ましい。さらに、難燃剤として好適なものは、ハロゲン化ポリオールなどのハロゲン化化合物、ならびに膨張性黒鉛およびメラミンなどの固体である。
【0045】
本発明における典型的なポリウレタンまたはポリイソシアヌレート断熱発泡体配合物は、5〜50kg/mの密度が得られ、以下の組成を有する。
【0046】
【表1】

【0047】
本発明の配合物は、当業者に周知のあらゆる方法、たとえば手動混合手順、または好ましくは高圧発泡装置によって、硬質発泡体に処理することができる。
【0048】
使用される顆粒の量、ならびに使用されるポリマーおよび/またはその出発物質の量は、得られる複合材料が好ましいものとして前述した顆粒の質量を有するように、および/または好ましいとして前述した質量比を有するように、選択されることが好ましい。
【0049】
本発明の複合材料、より具体的にはポリマー発泡体マトリックスは、直接使用してもよいし、またはより大きなブロックから取り出してもよく、その場合には、切断、鋸引き(sawing)、または粉砕などの多種多様の任意の機械的方法を使用し得る。あるいは、ポリマー発泡体マトリックスは、所望の形状を有する中空の鋳型中で直接製造してもよい。
【0050】
複合材料が、周囲圧力(1barの大気圧)に対して減圧である連続気泡ポリマー発泡体マトリックスを有するものとする場合、これは、本発明のポリマー発泡体マトリックスを排気し、任意選択により気密封入することによって行うことができる。
【0051】
ポリマー発泡体マトリックスの孔隙系中(ならびに顆粒の開放および利用可能な孔隙中)に減圧を生じさせるために、複合材料は、好ましくは外部の減圧および/または高温に曝露され、好ましくはこれらの条件下で封入される。封入とは、気体不透過性障壁層が形成されることを意味する。室温以下で封入される場合、障壁層が形成されるときの圧力(減圧)は好ましくは500mbar未満、より好ましくは0.001〜200mbarである。障壁層が取り付けられるときに高温が使用される場合、冷却時に内圧がさらに低下するので、上記の程度まで圧力を低下させる必要はない。
【0052】
障壁層を形成するためには、種々の材料を使用することができる。金属、プラスチック、またはガラスなどの拡散が生じにくい材料を、単独または他の材料との組み合わせで使用することが好ましい。熱伝導率に対する障壁層の寄与を少なくするためには、高い拡散抵抗性を維持しつつ、壁の厚さを薄く、好ましくは1mm未満とすることを目的とする必要がある。障壁層の好ましい形成方法は、気密フィルムで複合成形品を覆うことである。このためには、好ましくは、1つ(または複数)の薄い金属層を拡散障壁として含む単層または多層、好ましくは多層のポリマーフィルムが使用される。このフィルムは、たとえば接着接合または溶接によって封止することができる。
【0053】
複合成形品を封入するためのさらなる方法の1つは、架橋を伴って硬化するポリマーを使用して成形品を封止することである。このためには、顆粒が埋め込まれたポリマー発泡体マトリックスでできた成形体を、カプセル材料の液体配合物中に浸漬することも、そのような配合物を成形体上に注いだり、そのような配合物の吹き付けまたはその他の方法で表面を濡らしたりすることもできる。化学反応性封入材料の代わりに、熱可塑性ポリマーの溶融物を使用することもできる。2段階または多段階の好適で前述の封入方法の組み合わせを使用すると有利となりうる。
【0054】
排気(圧力を調節するため)の前にポリマー発泡体マトリックス(および任意選択により連続気泡顆粒)の連続気泡孔隙中の気体雰囲気の組成を特定の組成に調節する場合に有利となりうる。気体の組成は、好ましくは熱伝導率ができるだけ低くなるように選択される。好ましくは、ここで観察すべき2つの異なるパラメーターが存在する。すなわち、第1は、気体組成物の気相熱伝導率であり、第2は気体分子の自由行程長である。低気相熱伝導率を有する好ましい気体は、たとえば、CO、3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−、およびn−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンなどの典型的な促進剤ガスである。しかし微細構造の孔隙系および低い気体圧力の場合には、気相熱伝導率が、気体の組成から予想される値よりも低下する場合がある。この効果はクヌーセン(Knudsen)効果と呼ばれる。これは、気体分子の自由行程長が、気体の存在する孔隙の直径よりも大きい場合に生じる。この場合、気体分子と孔隙の壁との衝突が、気体分子同士の衝突よりも起こりやすくなる。これにより、気体分子同士の衝突が全体的に抑制される程度まで進行しうる。衝突が起こらなければ、熱エネルギーの移動が起こらず、気相の熱伝導が停止する。熱伝導率とは対照的に、気体分子のモル質量が減少するとともに自由行程長は長くなる。したがって、これらの気体のクヌーセン効果が実際には高い熱伝導率よりも重要となる場合には、水素、ヘリウム、メタン、アンモニア、水、またはネオンなどのモル質量が小さい、好ましくは21g/mol未満の気体を、たとえば顆粒粒子または形状物の孔隙中の断熱ガスとして使用する場合に有利となりうる。ポリマー発泡体マトリックスの連続気泡孔隙中への気体組成物の設定は、たとえば、ポリマー発泡体マトリックスを1回以上減圧し、次に所望の気体組成物に曝露することによって行ってもよい。ポリマー発泡体マトリックスを過圧状態の気体雰囲気に1回以上曝露すること、またはそれぞれの場合で再び降下させることも可能である。どちらの方法でも、連続気泡孔隙中に所望の気体雰囲気が蓄積される。
【0055】
本発明の方法によって、本発明の複合材料および本発明の真空断熱要素を得ることができる。
【0056】
本発明の複合材料および本発明の真空断熱要素は、さまざまな断熱目的に使用することができる。これらは、好ましくは建物の断熱、空間、空中、開水面、および/または陸地の乗り物の断熱、または冷却もしくは加熱装置の部品、および組立体の断熱に使用される。本発明の複合材料または本発明の真空断熱要素は、たとえば、冷凍設備および温水貯蔵庫中の断熱材料として使用することも、パイプライン(たとえば局所および地域の加熱ライン)の断熱に使用することもできる。
【0057】
構成要素内の中空空間を断熱材料で充填される特定分野の用途においては、構成要素の外皮が気密カプセルの機能を果たし得る。これは、たとえば、建築用途の形材の充填に適用され、その例は、窓枠または戸枠、ローラーシャッター部品、組み立て式の門(sectional gate)などである。その場合、これらの形材も本発明の複合材料となる。この場合、本発明のこれらの複合材料には、連続気泡顆粒を埋め込まれた形態で含む連続気泡ポリマー発泡体マトリックスを充填される中空空間中に直接製造できるという利点がある。
【0058】
本発明の対応する物品の特有の特徴は、それらが本発明の複合材料を含むことである。
【0059】
以下に示す実施例では、本発明を例に基づいて説明するものであり、本発明(その範囲は、全体の説明および特許請求の範囲から明らかである)が、実施例において明記される実施形態に限定されることを意図するものでは全くない。
【実施例】
【0060】
実施例:
実施例1:顆粒の製造
80重量%のAEROSIL(登録商標)200(Evonik Industries AGのヒュームドシリカ、BET表面積200m/g)、15重量%のAROSPERSE 15(Orion Engineered Carbonsのサーマルカーボンブラック)、および5重量%のガラス繊維(ガラス繊維スライザー(slither)、約12mmの繊維長)を均質混合した。この混合物を0.6gずつ直径2cmの円筒形圧縮鋳型中に入れ、液圧プレスによって圧縮して、それぞれ高さ1cmの錠剤を形成した。錠剤の密度は約200kg/mであった。表面を疎水化するため、錠剤を、5重量部のジクロロメチルシランと1重量部のクロロトリメチルシランとの混合物中に5秒間浸漬し、空気中で2時間乾燥させた。さらなるコンディショニングのため、錠剤は、真空乾燥オーブン中50℃および1mbarにおいて2時間の後処理を行った。
【0061】
実施例2:硬質ポリウレタン発泡体で顆粒を覆うことによる複合材料の製造
使用したポリマーマトリックスは、表1による硬質ポリウレタン発泡体配合物であった。
【0062】
【表2】

【0063】
ポリウレタンの発泡作業は、手動混合手順で行った。ポリオール、アミン触媒、水、気泡安定剤(TEGOSTAB(登録商標)B 8444)、および気泡開放剤(ORTEGOL(登録商標)500)をビーカー中に量り取り、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。次にMDIを加え、反応混合物を3000rpmにおいて上記スターラーで5秒間撹拌し、次に直ちに、上部が開放され紙でライニングされた27cm×27cm×27cmの寸法の木枠に移した。反応混合物を注ぐのと同時に、反応混合物によって十分ぬれた高さ約10cmの層を形成するのに十分な量の実施例1で得た錠剤を木枠中に浸漬した。使用するための発泡体配合物の量は、錠剤の層の約5cm上に発泡体が依然として上昇するように計算した。10分後、複合材料を型から取り外した。帯鋸を使用して、底部から2.5cmの距離で水平方向にブロックから厚さ2.5cmの板を切り取った。各端部から3.5cmを鋸で切り落として、20cm×20cm×2.5cmの寸法の試験片を得た。
【0064】
実施例3:複合材料からの真空断熱パネルの製造
実施例2の複合材料から製造した板を真空室中で2時間排気して、残留圧力を約1mbarに到達させた。この圧力下で、板を金属化フィルム(PET外層、アルミニウム障壁層、およびポリエチレン内層を有するTOYOの多層積層体)の外皮中に溶接して、板の周囲に気密シールを形成した。フィルムの突出する周辺部を溶接線のところまで切り取った。得られた真空断熱パネルについて、Hesto HLC-A90熱伝導率計を使用して熱伝導率を測定した。測定値は8.9×10−3W・m−1・K−1であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上のポリマーを含む連続気泡ポリマー発泡体マトリックスと、前記ポリマー発泡体マトリックス中に埋め込まれた開放孔隙を有する顆粒とを含む、複合材料。
【請求項2】
気体比重瓶法による連続気泡の比率が50%を超え、好ましくは80%を超えることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記ポリマー発泡体マトリックスが、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記顆粒が、5m/gを超える、より好ましくは50m/g〜1000m/gのBET表面積(ISO 9277に準拠)を有する材料から実質的に製造されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記顆粒が、ヒュームドシリカまたは沈降シリカの圧縮粉末から実質的になることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
前記開放孔隙中の圧力が、500mbar未満、好ましくは0.001〜200mbarであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記ポリマー発泡体マトリックスが、金属、ガラス、プラスチック、またはこれらの材料の複合体、たとえば金属化ポリマーフィルムの気密外皮を有することを特徴とする、請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
真空断熱要素である、または真空断熱要素として使用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
ポリマー発泡体マトリックスを製造するための材料が、開放孔隙を有する顆粒と混合され、この混合物から、前記顆粒が中に埋め込まれた連続気泡ポリマー発泡体マトリックスが得られることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項10】
ポリマー発泡体マトリックスを製造するための前記材料が、ポリマーもしくはポリマー混合物、または前記ポリマーを生成するための反応物であり、発泡の工程が含まれることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー発泡体マトリックスが、排気され、気密的に封入されることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材料の断熱材料としての使用。
【請求項13】
前記断熱材料が、窓、扉、およびローラーシャッターボックスなどの建物の断熱、空間、空中、開水面、および/または陸地の乗り物の断熱、パイプラインの断熱、または冷却もしくは加熱装置の部品もしくは組立体、冷凍設備、温水/冷却材の貯蔵庫、水泳用プールのカバー、および水泳用プールの断熱システムの断熱に使用されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材料を含むことを特徴とする物品。

【公開番号】特開2013−67797(P2013−67797A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−205358(P2012−205358)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(512242985)エヴォニク インダストリーズ アーゲー (1)
【Fターム(参考)】