説明

連続流反応器用ミキサー

連続流反応器(330)用のミキサー(100)、及びそのミキサーを形成する方法、及びその運転。ミキサーは、一次反応体流を、複数のポート(124)を通じて、ミキサーの流路内の二次反応体流に噴流として注入される多くのより小さい流れに分割することを可能とする。流路(126)は、一定の幅寸法を有して、一次及び二次の反応体流の均一な流量分布及び局所乱流を向上する。通常の運転条件で、流路に注入される一次反応体流が、注入点に向かい合う流路の表面(116)に直接衝突することを確保するように、流路の一定の幅寸法及びミキサーのポートの大きさ及び数を構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ミキサー、及び特に連続した流れの反応器のためのミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
乱流は多くの化学的方法における、化学反応、熱伝導作用、混合、及び燃焼プロセスを促進する。乱流の効果的な使用は、試薬の界面接触を増加させて、反応時間、及び多くの化学材料を製造するための費用と時間を低減することができる。
【0003】
多くの既存の化学的加工装置は管状反応器を用いて、乱流拡散条件(Re>2000)の下で2以上の試薬を連続的に混合及び反応させる。試薬を多くの様々な方法で管状反応器内に注入することができる。1つの方法は、試薬が交叉状(例えば90度)に接触するように試薬を導入することである。他の方法は同軸上に試薬を接触させる。しかしながら、同軸上の方法は、流体が交叉状に接触する場合と比較して、2つの流体の間に迅速混合をもたらすためには不十分である。
【0004】
そのような乱流反応器の例には、テトラブロモビスフェノール−Aを製造するための反応スキームに用いられる衝突混合器を例証するMitchelによる米国特許第4,909,997号明細書に示されたものが含まれる。乱流反応器の他の例は、Reedによる米国特許第3,332,442号明細書;Shirtumによる同第5,845,993号明細書;及びZabyによる同第5,117,048号明細書にみることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施態様には、最小限の逆混合を伴う迅速混合を提供する連続流反応器用ミキサー、ミキサーを形成する方法、及びその運転方法が含まれる。特に、本開示のミキサーの実施態様は、一次反応体流を、ミキサーの流路内の二次反応体流に噴流として注入される多くのより小さい流れに、複数のポート(孔)を通じて分割することを可能とする。
【0006】
様々な実施態様において、二次反応体流が移動し且つ一次反応体流が注入される流路は、一定の幅寸法を有して、均一な流量分布及び局所乱流を向上することができる。様々な実施態様において、通常の運転条件で、流路内に注入される一次反応体流が、注入点に向かい合う流路の表面に直接衝突することを確保するように、流路の一定の幅寸法並びにミキサーのポートの大きさ及び数が構成される。
【0007】
これを達成するために、ミキサーの相対寸法及びあらかじめ定められた比例関係によって、例えば少なくとも0.9、の噴流混合数(Jet Mixing Number)を提供するようにポートの数及び直径を構成することが可能となる。流路の向かい側の壁に相対するポートの数及びポートの位置を組み合わせて少なくとも0.9の噴流混合数を有することは、高速の噴流及び良好な局所的混合を維持しながら、噴流の高い割合の分割を可能とする。本開示のミキサーは、感受性(選択性)をもった高速反応性の流れを混合するために有益であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本開示による連続流反応器用ミキサーの一実施態様を示す。
【図2】本開示による連続流反応器用ミキサーの一実施態様を示す。
【図3】本開示による連続流反応器及びミキサーの一実施態様の断面図を示す。
【図4】本開示の一実施態様による連続流反応器及びミキサーの一部の断面図を示す。
【図5】本開示による連続流反応器用ミキサーの一実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施態様には、不所望の副生成物の生成を減らすことに役立つように、最小限の逆混合を伴う迅速混合を提供する連続流反応器用ミキサーが含まれる。迅速混合を達成するために、ミキサーは、一定の幅寸法を有する流路と流路に通じるポートとを含む。本開示のミキサーの実施態様は、ミキサーの流路内を移動する二次反応体流に、ミキサーのポートを通じて一次反応体流を分割して注入することができる。二次反応体流への一次反応体流の分割及び注入は、試薬の混合長を最小化するために役立つことができる(すなわち非常に短い範囲内で流れの混合を可能とする)。
【0010】
様々な実施態様では、一次及び二次の反応体流の相対流が、反応物の濃度と所望の反応物の化学量論とに依存し得る。そのような場合に、ポートの数及び大きさ(すなわち分割の割合)を決定して、通常の運転条件で、流路に注入される一次反応体流が、注入点に向かい合う流路の表面に直接衝突することを確保することができる。当該数及び大きさの複数のポートを通じて一次反応体流を注入することはまた、流体の任意の部分の平均滞留時間のばらつきがほとんどない試薬の滞留時間分布を提供する。
【0011】
一実施態様では、最小限の混合長は、一次反応体流が、二次反応体流への最大限の取り込み(entrainment)を有することと、ミキサーの流路内で反応体流の乱流混合を発生させるように流路の注入点に向かい合う流路の表面上へ衝突することと、の両方を有することができることを確保するように、ポート及び流路を形作ることに起因する。この種類の混合は、試薬の速い競争反応及び組成の迅速な均質化が求められる工程がある場合に、重要であることができる。
【0012】
本明細書で用いられるとき、「一次反応体流」は、ミキサーのポートを通じて流路に流れる少なくとも1種の試薬を含む。本明細書で用いられるとき、「二次反応体流」は、完全に流路を通って流れ(すなわち第1端部から第2端部へ)、かつ一次反応体流がその中に噴出する、少なくとも1種の試薬を含む。
【0013】
様々な実施態様では、一次反応体流の流量は二次反応体流の流量よりも多くあることができる。例えば一次反応体流が、ミキサーから流出する全体積流の大部分を含む流量を有することができる。一具体例では、一次反応体流が二次反応体流の体積流量の少なくとも2倍の流量を有することができる。他の実施態様では、一次反応体流の流量が二次反応体流の流量よりも少量であることができる。例えば、一次反応体流が、ミキサーから流出する全体積流の一部を含む流量を有することができる。
【0014】
本明細書中の数字は、上一桁が図面番号に対応し、そして残りの桁が図面の要素または部品を特定する、番号付け規則に従う。異なる図面の間の類似の要素または部品は、類似の数字を用いることによって特定され得る。例えば、110は図1の要素「10」のことを言い、そして類似の要素が図2の210として参照され得る。明らかなように、バルブの多数のさらなる実施態様を提供するために、本明細書に様々な実施態様で示される要素を追加、交換、及び/または除去することができる。さらに、1つの図面に関する要素の特徴及び/または属性についての記載は、1以上の他の図面に示される要素に適用することができる。図に示される実施態様は、必ずしも一定の縮尺ではない。
【0015】
本明細書で用いられるように、「a」、「an」、「the」、「one or more(1以上)」、及び「at least one(少なくとも1)」は互換性を有して用いられ、そして文脈が明確に他のものを示していなければ、複数の指示対象を含む。特に断りがなければ、全ての科学的技術的用語は、それらの用語が関連する技術分野で一般に用いられるものと同じ意味を有すると理解される。
【0016】
図1は、本開示の一実施態様によるミキサー100の例証を与える。様々な実施態様では、ミキサー100は細長い内側スリーブ102と細長い外側スリーブ104とを含む。示されるように、細長い内側スリーブ102と細長い外側スリーブ104とは、ミキサー100の第1端部108と第2端部110との間に延在する。
【0017】
様々な実施態様では、細長い内側スリーブ102が同軸孔114を規定する内面112を含む。本明細書に記載されるように、同軸孔114は、細長い内側スリーブ102の第1端部108及び第2端部110を貫通する、連続流反応器の取り付けシャフトを受け入れるように形作られる。細長い内側スリーブ102は、内面112に向かい合う外面116も含む。一実施態様では、外面及び内面112及び116が、ミキサー100の長手軸118の周りに同心円状に配置される。
【0018】
様々な実施態様では、細長い外側スリーブ104が、細長い内側スリーブ102と同心円状に配置される。細長い外側スリーブ104は、第1面120及び第1面120に向かい合う第2面122を含む。細長い外側スリーブ104はまた、細長い外側スリーブ104の第1及び第2面120及び122の間を貫通する複数のポート(孔)124を含む。
【0019】
ミキサー100はさらに、細長い内側及び外側スリーブ102、104の第1端部108及び第2端部110を貫通する流路126を含む。示されるように、流路126は、細長い内側スリーブ102の外面116の表面と、細長い外側スリーブ104の第1面120の表面とによって規定され得る。ポート124は、流路126と、細長い外側スリーブ104の第2面122の外側の領域との間に流体連通を提供する。
【0020】
様々な実施態様では、流路126は、ミキサー100の長手軸118に直交する環帯(annulus;すなわち環状流路)の断面形状を有することができる。他の断面形状が可能である。さらに、流路126は、外面116と第1面120との間に一定の幅寸法を有する。本明細書に記載されるように、一定の幅寸法はまた、ミキサー100の他の寸法に対して、あらかじめ定められた比例関係を有することができる。
【0021】
記載されるように、ポート124は、細長い外側スリーブ104を貫通して、流路126の方へ通じる。一実施態様では、ポート124は、流路126を規定するのに役立つ細長い外側スリーブ104の領域にわたって均一に分布している。他の実施態様では、ポート124は、流路126を規定するのに役立つ細長い外側スリーブ104の領域にわたって不均一に分布している。例えばポート124が、ミキサー100の第1端部108及び第2端部110の間に広がる勾配状の分布を有することができる。他の構成が可能である。
【0022】
様々な実施態様では、ポート124が、一次反応体流を、二次反応体流に噴流として注入される多数のより小さい流れに分割する。二次反応体流及び組み合わせられた反応体流は、一定の幅寸法の流路126に制約されて、均一な流量分布及び局所乱流を向上する。一次反応体流の噴流は、通常の運転条件で向かい側の壁上まで浸透するような大きさにされて、ミキサー100内において試薬の良好な混合及びターンダウン(turndown)を提供する。
【0023】
様々な実施態様では、ポート124を通じて直交流(すなわち流路126内の二次反応体流)に流入する噴流を特性化するために用いられる方法が、式I:
【数1】

によって計算される噴流混合数(JMN)によって規定され得る。
【0024】
本明細書に用いられたときに、JMNの値は、ポート124を通る噴流が直交流を通り抜けて向かい側の壁(例えば細長い内側スリーブ102の外面116)上まで浸透するかどうかの指標となる。例えば約0.07〜約1.0のJMN値の場合、噴流は直交流に浸透して、向かい側の壁にぶつかる前に向きを変える。約0.07未満のJMNの場合、噴流は発生元の壁に沿って留まり、直交流にほとんど浸透しない。1.0以上のJMN値の場合、噴流は直交流に浸透して向かい側の壁に接触する。
【0025】
本開示の様々な実施態様では、本明細書に記載するように、相対寸法及びあらかじめ定められた比例関係によって、ポート124の直径を、少なくとも0.07のJMNを提供するような大きさにすることができる。さらなる実施態様では、ポート124の直径を、0.07〜2.0の範囲のJMNを提供するような大きさとすることができる。特定の実施態様では、ポート124の直径を、少なくとも1.0〜2.0の範囲内のJMNを提供するような大きさとすることができる。JMNの他の値もまた可能である。そのようなJMN値は0.9及び1.0等を含む。
【0026】
少なくとも0.9のこれらのJMN値はまた、約0.5秒未満の均質化時間を提供する。本明細書に用いられるときに、「均質化時間(time to homogeneity)」は、一次及び二次反応体流の反応体流が流路内の平均濃度から約5%未満の濃度の相違に達する前に必要な滞留時間、という意味である。一実施態様では、約0.5秒未満の均質化時間は、大きな乱流及び迅速混合が有益な場合に、混合感受性反応及び他の系を有する速反応性の成分を混合するために、有益であることができる。
【0027】
図1の例が示すように、ポート124を、流路126の第1及び第2端部108、110の間に、行及び/または列の形で配置することができる。示されるように、図1に示されたミキサー100の実施態様は、4個のポートが6行ありそれぞれを有する各区分に分布された144個のポート124を有する。明らかなように、ポート124の数、大きさ、間隔、及び/または分布を、細長い外側スリーブ104の機械的完全性を確保するように、及び一次反応体流が細長い内側スリーブ102の外面116に衝突すること(すなわちJMNが0.9以上)を確保するように、構成することができる。様々な数と形状のポート124を有するミキサーが可能である。
【0028】
さらに、本明細書に記載するように、ポート124の数及び全断面積を、十分な分割と二次反応体流への一次反応体流の体積流とを提供するように、選択することができる。様々な実施態様では、ミキサー100に用いられるポート124の数、大きさ、及び形状が、通常の流動条件の下で、ポート124からの噴流流体が二次反応体流に浸透して向かい側の壁に衝突するように、流路126とともに構成される。
【0029】
様々な実施態様では、一次反応体流の噴流をポート124のそれぞれから供給して、一次反応体流が二次反応体流に取り込まれ、かつ細長い内側スリーブ102の外面116上に衝突することができるように、ポート124のそれぞれの断面形状及び大きさを選択することができる。様々な実施態様では、外面116は、一次反応体流が表面116上に衝突して2つの反応体流の乱流混合を提供することができる連続した弓形表面として形作られる。
【0030】
記載されるように、ミキサー100の流路126において迅速混合を最も良好に達成するように、ポート124の大きさと断面形状との両方を選択することができる。例えば、本開示のポート124は、多くの様々な断面形状を有することができる。これらには、限定されるものではないが、円形、楕円形(すなわち非円形)、及び多角形等が含まれる。さらに、開口部を規定する壁を先細りにすること、または先細りにしないことができる(すなわち、断面積が、第1面120から第2面122にかけて変化するか、または変化しない)。さらなる実施態様では、ポート124の断面形状及び/または大きさが一定である必要はない。例えば、ポート124が、所定のミキサー100用に、様々な断面形状、大きさ、及び外形を有することができる。
【0031】
様々な実施態様では、ミキサー100内の特徴が、特徴の1つの寸法を特定することに基づいて他の特徴の寸法を決定することを可能とする、あらかじめ定められた比例関係を有することができる。ミキサー100についてあらかじめ定められた比例関係を有することは同様に、ポートを通じてほぼ一定の圧力低下を維持しながら、ミキサー100の大きさを拡大または縮小することに対応することができる。
【0032】
つまり、例えば、細長い外側スリーブ104の内径(第1面120から長手軸118までの間を測定)を、他の値を決定することができる相対寸法とすることができる。細長い外側スリーブ104の内径が基準値1.00を有すると仮定すると、外面116において測定される細長い内側スリーブ102の直径は0.81の相対値を有することができる(すなわち細長い外側スリーブ104の内径の値の81%)。
【0033】
同様に、流路126の一定の幅寸法が、細長い外側スリーブ104の内径に対して0.01〜1.0の範囲の相対値を有することができる。1つの特定の実施態様では、流路の一定の幅寸法が、細長い外側スリーブ104の内径に対して0.09の相対値を有する。さらなる実施態様では、ポート124の直径が0.04の相対値を有することができる(すなわち細長い外側スリーブ104の内径の値の4%)。さらなる実施態様では、複数のポート124のそれぞれが、環状流路126の一定の幅寸法に対して0.4の比のそれぞれのポートの直径を有することができる。
【0034】
その結果、これらの相対値を用いることは、ミキサー100内の様々な特徴の寸法を、関連した特徴の1つの寸法値を特定することから決定することを可能とする。例えば、流路が約3.2cmの一定幅(すなわち細長い内側スリーブの外面と細長い外側スリーブの第1面との間の距離)を有する場合、第1面120の直径は約13.9cm、それぞれのポート124は約1.4cmの直径、そして細長い内側スリーブ102の直径は約11.3cmの値を有することになる。ひいては、これらの相対値は、使用者の要求に応じてミキサー100内の特徴を拡大または縮小するために用いられ得る。
【0035】
他の実施態様では、環状流路136の一定の幅寸法が、ミキサー100内の他の特徴に対してあらかじめ定められた比例関係と関係なく、一定値を有することができる。例えば、環状流路136は、連続流反応器130内の特徴の他の寸法に関係なく、約3.2cmの一定値を有することができる。
【0036】
本明細書に記載されるように、ミキサー100を、細長い内側スリーブ102と細長い外側スリーブ104とから形成することができる。一実施態様では、内側スリーブ102と外側スリーブ104との両方が、耐腐食性材料から形成される。本明細書に用いられるように、耐腐食性材料は、接触する試薬(例えば一次及び/または二次反応体流)及び/または試薬から生成される反応物質と耐反応性があるかまたは反応しない材料を含む。そのような試薬には、それらに限定されるものではないが、酸、塩基、ハロゲン、例えば臭素、ヨウ素、塩化亜鉛、及び次亜塩素酸ナトリウムのようなハロゲン塩、有機ハロゲン化物及び有機酸ハロゲン化物、並びに酸無水物等が含まれ得る。
【0037】
ミキサー100を形成するために用いられる好適な耐腐食性材料の例には、ポリオキシメチレン、例えばポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標))及びポリビニリデンフルオライド(例えばカイナー(登録商標))のようなフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルウレタン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、塩素化ポリ(塩化ビニル)、並びにエチレンクロロトリフルオロエチレンから選択されるポリマーが含まれ得る。
【0038】
ミキサー100用の好適な耐腐食性材料のさらなる例には、例えば、酸化物、アルミナ、ジルコニア;例えば炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物のような非酸化物;並びに酸化物及び非酸化物の複合材料、から選択される工業用セラミックスのようなセラミックスが含まれ得る。さらに、これらのポリマー及び/またはセラミックスを、最大30%またはそれ以上のガラス繊維及び/またはカーボンファイバーの強化を用いてまたは用いずに、使用することができる。
【0039】
図2は、本開示の一実施態様によるミキサー200を例証する。様々な実施態様では、ミキサー200は、図1に示された2部分品からなる構造に対して一体構造を有する。本明細書に用いられるとき、「一体構造」には、疲労及び/または腐食が生じる領域をもたらす結合部または継ぎ目(すなわち2つの部分が結合する箇所)を有さない、一体成形の材料から形成される構造が含まれる。
【0040】
様々な実施態様では、ミキサー200は細長い内側スリーブ202、細長い外側スリーブ204、並びに細長い内側及び外側スリーブ202及び204とつながっている支持壁206を含む。示されるように、細長い内側スリーブ202、細長い外側スリーブ204、及び支持壁206は、ミキサー200の第1端部208及び第2端部210の間に延在する。
【0041】
示されるように、細長い内側スリーブ202は、本明細書に記載される、連続流反応器の取り付けシャフトを受け入れるように形作られた同軸孔214を規定する内面212を含む。細長い内側スリーブ202はまた、内面212に向かい合う外面216も含む。一実施態様では、外面及び内面212及び216は、ミキサー200の長手軸218の周りに同心円状に配置される。
【0042】
様々な実施態様では、細長い外側スリーブ204は、細長い内側スリーブ202と同心円状に配置される。細長い外側スリーブ204は、細長い外側スリーブ204の第1及び第2面220及び222の間を貫通する複数のポート224を有する、第1面220及び第1面220に向かい合う第2面222を含む。
【0043】
ミキサー200はさらに、細長い内側及び外側スリーブ202、204並びに支持壁206の第1端部208及び第2端部210を貫通する流路226を含む。示されるように、それぞれの流路226を、支持壁206の表面、細長い内側スリーブ202の外面216、及び細長い外側スリーブ204の第1面220によって規定することができる。ポート224は、流路226と細長い外側スリーブ204の第2面222の外側の領域との間に、流体連通を提供する。
【0044】
様々な実施態様では、流路226が、ミキサー200の長手軸218に直交する環帯領域の断面形状を有することができる。他の断面形状が可能である。さらに、流路226は外面216と第1面220との間に一定の幅寸法を有する。明らかなように、一定の幅寸法を、外面216と第1面220との間に延在する支持壁206の長さによって決定することができる。本明細書に記載されるように、一定の幅寸法はまた、ミキサー200の他の寸法に対してあらかじめ定められた比例関係を有することができる。
【0045】
記載されるように、ポート224は細長い外側スリーブ204を貫通して流路226の方へ通じる。一実施態様では、本明細書に記載されるように、ポート224は、流路226を規定するのに役立つ細長い外側スリーブ204の領域にわたって、均一に及び/または不均一に分布することができる。例えば、ポート224は、ミキサー200の第1端部208と第2端部210との間に広がる勾配状の分布を有することができる。
【0046】
様々な実施態様では、ポート224が、流路226内を移動する二次反応体流に噴流として注入される多くのより小さい流れに、一次反応体流を分割する。二次反応体流及び組み合わせられた反応体流は、一定の幅寸法の流路226に制約されて、均一な流量分布及び局所乱流を向上する。一次反応体流の噴流は、通常の運転条件で向かい側の壁上まで浸透するような大きにされて、ミキサー200内において試薬の良好な混合及びターンダウンを提供する。
【0047】
様々な実施態様では、ポート224を通じて直交流(すなわち流路226内の二次反応体流)に流入する噴流を特性化するために用いられる方法が、本明細書に記載される式Iによって計算される噴流混合数(JMN)によって規定され得る。一実施態様では、本明細書に記載するように、相対寸法及びあらかじめ定められた比例関係によって、ポート224の直径を、少なくとも0.07のJMNを提供するような大きさにすることができる。さらなる実施態様では、ポート124の直径を、0.07〜2.0の範囲内のJMNを提供するような大きさにすることができる。特定の実施態様では、ポート124の直径を、少なくとも1.0〜2.0の範囲内のJMNを提供するような大きさにすることができる。本明細書に記載されるように、少なくとも0.9のこれらのJMN値はまた、約0.5秒未満の均質化時間を提供する。
【0048】
図2に示されるように、ポート224を、第1及び第2端部208,210、並びにそれぞれの流路226の支持壁206の間に、行及び/または列の形で配置することができる。本明細書に記載されるように、それぞれの領域は、一次反応体流の体積が二次反応体流内に導入されるのに十分となる全断面積を有するあらかじめ定められた数のポート224を含むことができる。
【0049】
例えば、図2に示されるように、ミキサー200は、流路226を規定するのに役立つ細長い外側スリーブ204のそれぞれの領域に、24個のポート224を含む。示されるように、ミキサー200には合計6つの流路226があり、ミキサー200には総数144個のポート224が与えられる。明らかなように、ポート224の総数、それらの形状、分布、及び全断面積を、本明細書に記載されるように、ミキサー200の一次反応体流の所要流量に見合うように調整することができる。
【0050】
様々な実施態様では、一次反応体流の噴流をポート224のそれぞれから供給して、一次反応体流が二次反応体流に取り込まれ、かつ細長い内側スリーブ202の外面216上に衝突することができるように、ポート224のそれぞれの断面形状及び大きさを選択することができる。様々な実施態様では、外面216は、一次反応体流が表面216上に衝突して2つの反応体流の乱流混合を提供することができる連続した弓形表面として形作られる。
【0051】
記載されるように、ミキサー200の流路226において迅速混合を最も良好に達成するように、ポート224の大きさと断面形状との両方を選択することができる。例えば、本開示のポート224は、本明細書に記載されるように、多くの様々な断面形状を有することができる。さらに、開口部を規定する壁を先細りにすること、または先細りにしないことができる(すなわち、断面積が、第1面220から第2面222にかけて変化するか、または変化しない)。さらなる実施態様では、ポート224の断面形状及び/または大きさが一定である必要はない。例えば、ポート224が、所定のミキサー200用に、様々な断面形状、大きさ、及び外形を有することができる。
【0052】
様々な実施態様では、ミキサー200内の特徴が、特徴の1つの寸法を特定することに基づいて他の特徴の寸法を決定することを可能とするあらかじめ定められた比例関係を有することができる。ミキサー200についてあらかじめ定められた比例関係を有することは同様に、ポートを通じてほぼ一定の圧力低下を維持しながら、ミキサー200の大きさを拡大または縮小することに対応することができる。
【0053】
つまり、例えば、細長い外側スリーブ204の内径(第1面220から長手軸218までの間を測定)を、他の値を決定することができる相対寸法とすることができる。細長い外側スリーブ204の内径が基準値1.00を有すると仮定すると、外面216において測定される細長い内側スリーブ202の直径は0.81の相対値を有する(すなわち細長い外側スリーブ204の内径の値の81%)。
【0054】
同様に、流路226の一定の幅寸法が、細長い外側スリーブ204の内径に対して0.01〜1.0の範囲の相対値を有することができる。1つの特定の実施態様では、流路の一定の幅寸法が、細長い外側スリーブ204の内径に対して0.09の相対値を有する。さらなる実施態様では、ポート224の直径が0.04の相対値を有することができる(すなわち細長い外側スリーブ204の内径の値の4%)。さらなる実施態様では、複数のポート224のそれぞれが、環状流路226の一定の幅寸法に対して0.4の比のそれぞれのポートの直径を有することができる。本明細書に記載されるように、その結果、これらの相対値を用いることは、ミキサー200内の様々な特徴の寸法を、関連した特徴の1つの寸法値を特定することから決定することを可能とする。
【0055】
他の実施態様では、環状流路236の一定の幅寸法が、ミキサー200内の他の特徴に対するあらかじめ定められた比例関係と関係なく、一定値を有することができる。例えば、環状流路236は、連続流反応器230内の特徴の他の寸法に関係なく、約3.2cmの一定値を有することができる。
【0056】
本明細書に記載されるように、ミキサー200を、一体成形プロセスで形成することができる。言い換えれば、ミキサー200を一体成形の材料から形成することができる。一体成形はミキサーの継ぎ目のない形成を可能とし、ミキサーを、結合部及び継ぎ目が腐食し得る腐食環境で用いることを可能とする。さらに、ミキサー200はまた、本明細書に記載するように、強化材を用いてまたは用いずに、多くの様々な耐腐食性材料から形成することができる。
【0057】
図3は、本開示によるミキサー300を有する連続流反応器330の断面図を示す。様々な実施態様では、連続流反応器330は、相隔たりそして環状流路336によってつなげられた流入口端部332及び流出口端部334を含む。連続流反応器330はまた、所望の位置に連続流反応器330を連結するために用いることができる第1の取り付けブラケット338及び第2の取り付けブラケット340を含む。
【0058】
様々な実施態様では、連続流反応器330はさらに、第1の外面344と取り付けシャフト346とを有する細長いコア342を含む。示されるように、ミキサー300は、ミキサー300の同軸孔314を貫通する取り付けシャフト346の周りに位置することができる。さらに、ミキサー300の流路326が、連続流反応器330を貫通する環状流路336の第1区分348を規定することができる。
【0059】
一実施態様では、細長いコア342の第1の外面344が、第1の円錐形端部350及び第1の円錐形端部350の反対側にある第2の円錐形端部352を規定することができる。これらの円錐形端部350、352は、流入口端部332にて環状流路336へ流入し、流出口端部334にて環状流路336から流出するように、連続流反応器330に入る反応体流を通過させるのに役立つことができる。明らかなように、円錐形に加えて、それらに限定されるものではないが、例えば半球形のような非円錐形のような他の形状を、端部350及び352に用いることができる。
【0060】
様々な実施態様では、第1及び第2の円錐形端部350、352、並びに細長いコア342を、円錐形端部350、352、及びそれらのそれぞれの取り付けブラケット338、340の間に延在する放射状の支持部材354を有する取り付けブラケット338、340に連結することができる。一実施態様では、放射状の支持部材354がそれぞれ、細長いコア342の長手軸356に対してらせんピッチを有することができる。一実施態様では、これは、ミキサー300に入る前に二次反応体流にらせん状のねじれを与えることができる。
【0061】
連続流反応器330はさらに、ミキサー300及び細長いコア342の少なくとも一部の周りに同心円状に配置された細長いハウジング360を含む。示されるように、細長いハウジング360は、細長いコア342の第1の外面344と一緒に、環状流路336の第2区分364を規定する、第1の内面362を含む。一実施態様では、環状流路336の第2区分364が、ミキサー300によって規定される第1区分348の両側に位置することができる。様々な実施態様では、本明細書に記載されるように、環状流路336の第1及び第2区分348、364の両方が、一定の幅寸法を有することができる。
【0062】
細長いハウジング360はさらに、細長いハウジング360の第1の内側面368と、細長い外側スリーブ304の第2の外面322と、によって規定される環状導管366を含む。環状導管366は、細長い外側スリーブ304の第2面322の周りに完全に延在することができる。環状導管366はさらに、圧力下の流体(例えば一次反応体流)が環状導管366に流入することができる注入口370を含む。一実施態様では、ポート124への適切な流体分布を確保するように、ポート124から長手方向に最小限のあらかじめ定められた距離をあけて注入口370を配置する。
【0063】
環状導管366はポート324と流体連通して、導管366内の流動流体を、ミキサー300のポート324を通じて環状流路336内に注入することを可能とする。明らかであるように、1以上のさらなる流体供給導管または注入口を、環状導管366に動作可能なようにつなげることができる。
【0064】
様々な実施態様では、環状導管366からポート324を通じて移動する流体の流量は、必ずしも均一ではない。例えば、一定の注入流圧及び同じ寸法のポート324において、注入口370に近いポート324と比べて、注入口370から離れているポート324にて体積流量が増加し得る。言い換えれば、注入口370から遠い下流にあるポート324は、注入口370に近い位置にあるポート324と比べて、より多い体積流量を有することができる。
【0065】
ミキサー300について本明細書に記載されるように、連続流反応器330内の様々な特徴は、特徴の1つの寸法を特定することに基づいて特定の特徴の寸法を決定することを可能とする、あらかじめ定められた比例関係を有することができる。つまり、例えば、第1面320の直径が基準値1.00を有すると仮定すると、外面316において測定される細長い内側スリーブ302の直径は0.81の相対値を有する(すなわち細長い外側スリーブ304の内径の値の81%)。細長いハウジング360の外面372は1.8の相対値を有する。同様に、環状流路336の一定の幅寸法は、細長い外側スリーブ304の内径に対して、0.01〜1.0の範囲の相対値を有することができる。1つの特定の実施態様では、流路の一定の幅寸法が、細長い外側スリーブ304の内径に対して、0.09の相対値を有する。さらなる実施態様では、ポート324の直径が0.04の相対値を有することができる(すなわち細長い外側スリーブ304の内径の値の4%)。さらなる実施態様では、複数のポート324のそれぞれが、環状流路326の一定の幅寸法に対して、0.4の比のそれぞれのポートの直径を有することができる。
【0066】
その結果、これらの相対値を用いることは、連続流反応器330内の様々な特徴の寸法を、関連した特徴の1つの寸法値を特定することから決定することを可能とする。例えば、流路336が約3.2cmの一定幅(すなわち細長い内側スリーブ302の外面316と細長い外側スリーブ304の第1面320との間の距離)を有する場合、第1面320の間で測定される直径は約35.3cm、それぞれのポート324は約1.4cmの直径、そして外面316において測定された細長い内側スリーブ302の直径は約28.6cmの値を有することになる。さらに、細長いハウジング360の外面372の間で測定される直径は約63.5cmになる。連続流反応器330の他の寸法の例は、約1.5〜約1.8mの長さ、及び約25.4〜約28.0cmの注入口370の直径を含む。
【0067】
他の実施態様では、環状流路336の一定の幅寸法が、ミキサー300及び/または連続流反応器330内の他の特徴に対してあらかじめ定められた比例関係と関係なく、一定値を有することができる。例えば、環状流路336は、連続流反応器330内の特徴の他の寸法に関係なく、約3.2cmの一定値を有することができる。
【0068】
様々な実施態様では、連続流反応器330の環状流路336が、細長い内側スリーブ302の第2端部310を通る、10〜19m3/minの液体体積流量に対応可能な断面積を有する。さらなる実施態様では、連続流反応器330の環状流路336が、細長い内側スリーブ302の第2端部310を通る10m3/min未満または19m3/minより多い液体流量を受け入れることができる。
【0069】
一実施態様では、ポート324は、細長い内側スリーブ302の第2端部310を通る全体積流の3分の2の一次反応体流の体積を受け入れるのに十分な全断面積を有することができる。この体積の一次反応体流を、ポート324を通じて噴流として、ミキサー300の流路326内を移動する全体積の残りの3分の1を構成する二次反応体流に注入することができる。言い換えれば、ミキサーに噴流として移動する主たる流れ(major flow)の量は、流路内を移動する従たる流れ(minor flow)の量の少なくとも2倍の流量であることができる。本明細書に記載されるように他の流量比が可能である。
【0070】
連続流反応器330及びミキサー300の実施態様は、様々な用途に有益である。説明に役立つが制限するものではない用途には、感受性(選択性)をもった高速反応体流の混合を改良することが含まれる。例えば、本開示の連続流反応器及びミキサーの商業的に重要な用途は、オレフィンクロロヒドリン(例えばプロピレンクロロヒドリン)を、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムのような塩基と反応させてエポキシドを作ることである。本開示の連続流反応器及びミキサーの一具体例には、プロピレンクロロヒドリンと水酸化ナトリウムとから酸化プロピレンを生成することが含まれる。本開示の連続流反応器及びミキサーの実施態様はまた、混和性の液−液反応物、沈殿剤を生成する試薬、溶解固形物、気液系、重合、及び非混和性の液−液系を混合するのに有益であることができる。
【0071】
本開示の連続流反応器及びミキサーに用いられる生成物及び/または試薬の多くは、とりわけ、用いられるそれらのpH、反応時間、及び/または流量に起因して、強い腐食性を有し得る。そのため、ミキサー及び/または連続流反応器の他の部品(例えば細長いコア及び細長いハウジング)は多くは耐腐食性材料で形成される必要があることが認識される。
【0072】
さらに、ミキサーが連続流反応器の残りの部分とは異なる材料から形成されることが好ましいことが分かっている。例えば、ミキサーを第1の材料で形成することができ、一方で、細長いコア及び細長いハウジングを第1の材料と異なる第2の材料で形成することができる。本明細書に記載されるように、ミキサーを形成するために好適な第1の材料には耐腐食性ポリマー及びセラミックスが含まれ得る。細長いコア及び細長いハウジングを形成するために用いられる第2の材料に好適な材料には、チタン、チタン合金(例えばグレード7のチタン)、オーステナイトステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、析出硬化ステンレス鋼等の群から選択される耐腐食性金属が含まれ得る。1つの特定の実施態様では、ミキサーをフルオロポリマーから形成することができ、そして連続流反応器の残りの部分をグレード7のチタンから形成することができる。他の組み合わせの材料も可能である。
【0073】
図4は、本開示のさらなる実施態様による連続流反応器430及びミキサー400の一部の断面図を示す。本明細書に記載されるように、ミキサー400を、連続流反応器430の残りの部分の形成に用いられる第2の材料とは異なる第1の材料から形成することができる。そのため、連続流反応器の運転条件が変化するので(例えば温度の変化)、ミキサー400及び連続流反応器430の残りの部分が、様々な割合で、様々な範囲に、拡大及び/または縮小し得る。
【0074】
図4は、細長い外側スリーブ404の第1端部408及び第2端部410のそれぞれ及び細長いハウジング460の間に位置されたOリング480を含むことによる、これらの問題に取り組む方法を示す。一実施態様では、細長い外側スリーブ404及び/または細長いハウジング460のいずれかまたは両方がさらに、Oリング480を受けるための環状溝を含むことができる。
【0075】
さらに、連続流反応器430及びミキサー400が、細長いコア442及びミキサー400の間に位置するプッシャー型シール482を含むことができる。プッシャー型シール482は、細長いコア442とミキサー400の細長い内側スリーブ402との間に位置するバイアス部材484を含み、ミキサー400と細長いコア442及び細長いハウジング460との間に圧縮力を付与することができる。一実施態様では、バイアス部材484は、ベルビルワッシャーであることができる。
【0076】
図5は、本開示によるミキサー500の他の実施態様の模式図を示す。ミキサー500は、ミキサー500の長手軸518に直交する長方形の断面形状を有する流路526を有することができる。本明細書に記載されるように、流路526は一定の幅寸法を有する。ミキサー500はまた、流路526と、流路526の外面580及びハウジング560によって形成された導管566との間に流体連通を提供する。
【0077】
様々な実施態様では、ポート524が、一次反応体流を、二次反応体流に噴流として注入される多数のより小さい流れに分割する。二次反応体流及び組み合わせられた反応体流は、一定の幅寸法の流路526に制約されて、均一な流量分布及び局所乱流を向上する。一次反応体流の噴流は、通常の運転条件で向かい側の壁上まで浸透するような大きさにされて、ミキサー500内において試薬の良好な混合及びターンダウンを提供する。
【0078】
さらに、導管566からポート554を通じて移動する流体の流量は、必ずしも均一ではない。例えば、一定の注入流圧及び同じ寸法のポート524において、ポート524を通じて分割された一次反応体流を注入することが、複数のポートの第2部分(例えば注入口570により近いポート524)と比べて、複数のポートの第1部分(例えば注入口570から最も離れたポート524)を通じて分割された一次反応体流のより多い体積流量を提供することができる。言い換えれば、注入口570から遠い下流にあるポート524は、注入口570に近い位置にあるポート524と比べて、より多い体積流量を有することができる。
【0079】
本明細書に記載されるように、本開示のミキサーの実施態様は一体構造を有することができる。様々な方法を、本開示による一体構造を有するミキサーを形成するために用いることができる。例えば、本明細書に記載されるように、ミキサーを、第1の材料の直円柱から形成することができる。第1の材料の直円柱をドリル加工及び/またはフライス加工することによって同軸孔を形成することができる。
【0080】
ドリル加工及び/またはフライス加工技術はまた、第1の材料の直円柱を貫通する一定幅を有する2以上の流路を形成するために用いられ得る。本明細書に記載されるように、2以上の流路を、第1の材料内に形成された同軸孔と同心円状に配置することができる。ポートをまた、ドリル加工及び/またはフライス加工技術によって直円柱を貫通させて形成して、2以上の流路を直円柱の外面につなぐことができる。他の実施態様では、ミキサーの実施態様が、成形加工、鋳造加工、及び/または焼成加工技術を用いて形成されて一体成形プロセスを提供することができる。
【0081】
上の記載は、説明に役立つ方法で構成されるが、制限するものではないことを理解すべきである。特定の実施態様が、本明細書に説明されそして記載されるが、当業者は、示された特定の実施態様について代替可能な他の構成も理解するだろう。特許請求の範囲は、従来技術によって制限される範囲を除いて、本開示の様々な実施態様のそのような適合または変更を対象とするように意図される。
【0082】
前述の詳細な説明では、様々な特徴が、本開示を整備する目的のための典型例に一緒に分類される。この開示の方法は、いずれの請求項の範囲も、特許請求の範囲に明確に示されるよりも多くの特徴を要求する意図を反映するとは解釈されるべきではない。むしろ、次の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された実施態様の全ての特徴よりも少ないところにある。したがって、次の特許請求の範囲は本明細書によって詳細な説明に導入され、それぞれの請求項がそれ自体で本発明の個々の実施態様として有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い内側スリーブであって、該スリーブの第1端部及び第2端部を貫通して延在する取り付けシャフトを受け入れる同軸孔を規定する内面と、該内面に向かい合う外面とを有する、細長い内側スリーブ;及び
該細長い内側スリーブと同心円状に配置された細長い外側スリーブであって、第1面と、該第1面に向かい合う第2面と、該細長い外側スリーブの該第1及び第2面を貫通して延在する複数のポートとを有する細長い外側スリーブ、
を含む連続流反応器用ミキサーであって、
該細長い内側スリーブの該外面及び該細長い外側スリーブの該第1面が、該細長い内側スリーブの該第1端部及び該第2端部を貫通して延在する環状流路を規定する、
連続流反応器用ミキサー。
【請求項2】
該流路が、該細長い外側スリーブの該第1面の直径に対して0.01〜1.0の範囲の比の一定の幅寸法を有する、請求項1に記載のミキサー。
【請求項3】
該流路が、約3.2cmの一定の幅寸法を有する、請求項1に記載のミキサー。
【請求項4】
該細長い内側スリーブの該外面が、弓形表面を有する切れ目のない連続壁を有する、請求項1に記載のミキサー。
【請求項5】
該複数のポートのそれぞれが、該環状流路の幅に対して0.4の比の直径を有する、請求項1に記載のミキサー。
【請求項6】
該細長い内側スリーブ、該細長い外側スリーブ、及びそれらの支持壁が、フルオロポリマーで形成された、請求項1に記載のミキサー。
【請求項7】
細長い内側スリーブであって、該スリーブの第1端部及び第2端部を貫通して延在する取り付けシャフトを受け入れる同軸孔を規定する内面と、該内面に向かい合う外面とを有する、細長い内側スリーブ;
該細長い内側スリーブと同心円状に配置された細長い外側スリーブであって、第1面と、該第1面に向かい合う第2面と、該細長い外側スリーブの該第1及び第2面を貫通して延在する複数のポートとを有する細長い外側スリーブ;及び
該細長い内側スリーブと該細長い外側スリーブとをつなぐ支持壁、
を含む連続流反応器用ミキサーであって、
該支持壁、該細長い内側スリーブの該外面、及び該細長い外側スリーブの該第1面が、該細長い内側スリーブの該第1端部及び該第2端部を貫通して延在する流路を規定する、
連続流反応器用ミキサー。
【請求項8】
該流路が、該細長い外側スリーブの該第1面の直径に対して0.01〜1.0の範囲の比の一定の幅寸法を有する、請求項7に記載のミキサー。
【請求項9】
該細長い内側スリーブの該外面が、弓形表面を有する切れ目のない連続壁を有する、請求項7に記載のミキサー。
【請求項10】
該流路が、該ミキサーの長手軸に直交する環帯領域の断面形状を有する、請求項9に記載のミキサー。
【請求項11】
該複数のポートのそれぞれが、該環状流路の幅に対して0.4の比の直径を有する、請求項7に記載のミキサー。
【請求項12】
該細長い内側スリーブ、該細長い外側スリーブ、及び該支持壁が、フルオロポリマーで形成された、請求項7に記載のミキサー。
【請求項13】
第1の外面及び取り付けシャフトを有する細長いコア;
該取り付けシャフトの周りに位置するミキサーであって、
該取り付けシャフトが貫通する同軸孔を規定する内面、及び該内面に向かい合う外面を有する細長い内側スリーブと、
該細長い内側スリーブと同心円状に配置された細長い外側スリーブであって、第1面、該第1面に向かい合う第2面、及び該細長い外側スリーブの該第1及び第2面を貫通して延在する複数のポート、を有する細長い外側スリーブと、
該細長い内側スリーブと該細長い外側スリーブとをつなぐ支持壁と、
を有し、
該支持壁、該細長い内側スリーブの該外面、及び該細長い外側スリーブの該第1面が、連続流反応器を貫通して延在する環状流路の第1区分を規定する、
ミキサー;並びに
該ミキサー及び該細長いコアの少なくとも一部の周りに同心円状に配置された細長いハウジング、
を含む連続流反応器であって
該細長いコアの該第1の外面と該細長いハウジングの第1の内面とが該環状流路の第2区分を規定し、且つ
該細長いハウジングの内側面と該細長い外側スリーブの該第2面とが注入口を有する該環状導管を規定し、該注入口を経て流体が環状導管に入って、該複数のポートを通って該環状流路に入ることができる、
連続流反応器。
【請求項14】
該環状流路の該第2区分が、該ミキサーによって規定された該第1区分の両側に位置する、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項15】
該流路が、0.07よりも大きい噴流混合数に対応する断面積を有する、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項16】
該ポートが、該流路内を移動する従たる流れの量の少なくとも2倍の体積の主たる流れに対応する全断面積を有する、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項17】
該流路が、該細長い外側スリーブの該第1面の直径に対して0.09の比の一定の幅寸法を有し、該複数のポートのそれぞれが、該環状流路の幅に対して0.4の比の直径を有する、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項18】
該細長いコアの該第1の外面が、第1の円錐形端部と該第1の円錐形端部の反対側にある第2の円錐形端部とを規定し、該第1の円錐形端部が第1の取り付けブラケットと連結して該環状流路用の流入口端部を提供し、該第2の円錐形端部が第2の取り付けブラケットと連結して該環状流路用の流出口端部を提供する、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項19】
該第1及び第2の取り付けブラケットが、該細長いコアの長手軸に対してそれぞれがらせんピッチを有する放射状の支持部材を含む、請求項18に記載の連続流反応器。
【請求項20】
該ミキサーが第1の材料で形成され、そして該細長いコア及び該細長いハウジングが該第1の材料とは異なる第2の材料で形成された、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項21】
該第1の材料がフルオロポリマーであり、該第2の材料がチタンである、請求項20に記載の連続流反応器。
【請求項22】
該細長い外側スリーブの第1端部及び第2端部のそれぞれ及び該細長いハウジングの間に位置するOリングを含む、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項23】
該細長いコア及び該ミキサーの間に位置するプッシャー型シールを含み、該ミキサーと該細長いコア及び該細長いハウジングとの間に圧縮力が付与される、請求項13に記載の連続流反応器。
【請求項24】
フルオロポリマー材料の直円柱を貫通する同軸孔を形成すること;
該フルオロポリマー材料の該直円柱を貫通する、一定幅を有し、かつ該同軸孔と同心円状に配置される、2以上の流路を形成すること;及び
該直円柱の外面に該2以上の流路をつなぐために該直円柱を貫通するポートを形成すること、
を含む、連続流反応器用ミキサーを形成する方法。
【請求項25】
ポートを形成することが、該流路の該一定幅に対して0.4の直径/幅比の直径を有するように該複数のポートのそれぞれを形成することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該ミキサーの直径に対して該2以上の流路の該一定幅を決定して、該ポートを、0.01〜1.0の範囲の該一定幅/直径比を有する該2以上の流路に開口させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
該ポートを形成することが、該ミキサーの該2以上の流路内への主たる流量の供給に対応するために十分な該ポートの断面積を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
連続流反応器を運転する方法であって、
複数のポートを用いて一次反応体流を分割して噴流とすること;並びに
該連続流反応器の流路内において、該分割された一次反応体流を二次反応体流に注入して、少なくとも0.9の噴流混合数と、該一次及び二次反応体流の0.5秒未満の均質化時間と、を提供すること、
を含む、連続流反応器を運転する方法。
【請求項29】
該分割された一次反応体流を該二次反応体流に注入することが、1.0〜2.0の該噴流混合数を提供することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該二次反応体流の流量の少なくとも2倍の流量にて該一次反応体流を供給することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
該分割された一次反応体流を注入することが、該複数のポートの第2部分と比べて、該複数のポートの第1部分を通じて該分割された一次反応体流のより多い体積流量を提供することを含む、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−521288(P2010−521288A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553554(P2009−553554)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/006641
【国際公開番号】WO2008/115173
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】