連続流式高性能反応装置
【課題】 時間に応じた反復的な温度調節が必要な連続流式反応装置、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を遂行する高性能装置を提供する。
【解決手段】 本発明による高性能連続流式反応装置は、互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブを含み、前記キャピラリーチューブを互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させる。
【解決手段】 本発明による高性能連続流式反応装置は、互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブを含み、前記キャピラリーチューブを互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に流れる流体を反応させるための高性能装置に関し、より詳しくはポリメラーゼ連鎖反応のように時間に応じた反復的な温度調節及び繰り返し反応が求められる反応を遂行する、固体相の加熱ブロック及びキャピラリーチューブを含む連続流式高性能反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAは1983年にムリスら(Mullis et al.)によって開発されたポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCA)というDNA複製技術によってインビトロ(in vitro)で人為的に複製されることができる。PCRは酵素を用いた反応であって、酵素の種類によって2つ又は3つの温度範囲における反復的な温度調節が求められる。
【0003】
通常、PCRは次のような3段階からなる。即ち、複製される二本鎖鋳型DNA(double-stranded template DNA)を2つの一本鎖DNA(single-stranded DNA)に変性させる熱変性(melting)段階;変性された一本鎖DNAにプライマーを結合させて反応が開始される位置を指定し、酵素反応の開始を助けるアニーリング(annealing)段階;及びプライマーが結合された位置からDNAを複製して完全な二本鎖DNAを作り出す伸張(extension)段階;とからなる。前記PCRの3段階が終了すると、DNAの最終量は2倍となる。すなわち、PCRが繰り返してn回遂行されると、DNAの最終量は2n倍となる。従来のPCR反応器システムでは、温度調節が可能な加熱ブロック(heating block)が用いられ、この加熱ブロックはPCR容器を受容するようにデザインされている。PCRはPCR容器を加熱ブロックに挿入して一定の時間間隔で繰り返して温度を調節することにより遂行される。
【0004】
具体的に、PCRを成功的に遂行するための重要な要素のうち一つが温度調節である。特に、PCRの3段階の中でもアニーリング段階における温度調節が極めて重要であるが、これはアニーリング段階の温度が適切でなければ、増幅の効率や特異性が減少し、これによって、PCR収率が低下するからである。更に、PCRが終了するまで数時間がかかることを勘案するとき、PCR過程を実時間で迅速で且つ連続的にモニターリングすることは、DNAが増幅される間にPCR効率を向上させるに当たって極めて重要なことである。
【0005】
1990年代にPCRのためのラブ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)概念が導入されてから、PCRのための他の技術が開発されている(Northrup et al., Anal. Chem. 1998, 70, 918-922; Waters et al., Anal. Chem. 1998, 70, 5172-5176; Cheng et al., Nucleic Acids Res. 1996, 24, 380-385)。特に、連続的な流相でPCRを遂行することができる装置及び方法の開発が、一つのチップから多くの種類のDNAを効率的に分析するための重要な課題として台頭した。
【0006】
例えば、1998年にマンツらは連続的な流相でPCRを遂行することが可能な装置を開発した(Manz et al., Science, 1998, 280, 1046-1048)。マンツらはPCR過程の変性、アニーリング、及び伸張反応段階の一連の反応の調節のために温度調節可能な3つの銅ブロックを一列に配列し、生成されたPCR産物は前記銅ブロック上に搭載されたガラス基板上の微細チャンネルを介して流れるようにした。3つの相異なる反応領域の温度は95℃→72℃→60℃へとよどみなく調節できるようにした。しかし、このような配列に内在する問題点は、変性された一本鎖DNA試料がアニーリング反応チャンバー以前に伸張反応チャンバーを通過するので、反応の正確度をかなり減少させるということである。
【0007】
クェークらは一列配列の代わりに変性、アニーリング及び伸張の順序からなる加熱ブロックの円形配列を用いることで、前記の問題を解決しようとした(Quake et al., Electrophoresis, 2002, 23, 1531-1536)。
【0008】
ロエラード(Roeraade)らは互いに異なる温度に調節される円形の水槽を用いたキャピラリーチューブ内で連続流式PCRが可能な装置を製作した。前記装置は水槽の壁に複数の小さな孔を設け、この孔を介して水槽の回りにテフロン(登録商標)チューブを巻き付ける方法を利用して製作された(Roeraade et al., J. Anal. Chem, 2003, 75, 1-7)。しかし、前記装置は温度及び水の蒸発を調節するために一定した速度で水をポンプするための攪拌装置を必要とし、このため、小型化した携帯用PCR装置の開発が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的はポリメラーゼ連鎖反応のように時間に応じた反復的な温度調節及び繰り返し反応を遂行する、固体相の加熱ブロックとキャピラリーチューブとを含む高性能連続流式反応装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記高性能連続流式反応装置を用いた高性能連続流式核酸増幅方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0012】
また、本発明は前記反応装置において、前記複数の加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つ以上の断熱ブロックを更に含むことを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0013】
更に、本発明は(a)前記高性能連続流式反応装置のキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、(b)適切な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階を含むことを特徴とする高性能連続流式核酸増幅方法を提供する。
【0014】
本発明による装置において、それぞれの加熱ブロックはキャピラリーチューブの特定の部位を加熱する役割を果たし、これらの加熱ブロックの温度はヒーター及び温度センサーを用いて互いに異なる温度に調節できる。ヒーター及び温度センサーは加熱ブロックに取り付けられるか、加熱ブロックに形成された孔に挿入することも可能である。
【0015】
前記加熱ブロックの材質としては、熱伝導性に優れている物質であれば、いずれも制限なく使用可能であり、銅、鉄、アルミニウム、黄銅、金、銀、白金などの金属であることが好ましく、高い熱伝導性を有するポリマーも使用できる。
【0016】
前記断熱ブロックは、それぞれの加熱ブロック間の熱伝達を防止する役割をする。前記断熱ブロックの材質としては、高い絶縁特性を有する物質であれば制限なく使用することができ、ベークライト(bakelite)或いはアクリルポリマー樹脂を利用することが望ましい。
【0017】
前記加熱ブロック及び断熱ブロックは、必要によって円筒形、楕円形、四角形などの形状に製造され、その形状は特に限定されない。前記キャピラリーチューブは、流体注入口である第1末端及び流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを可能にして流体の移動通路及び反応空間としての役割を果たす。前記キャピラリーチューブは商業的に利用可能なキャピラリーチューブであれば、いずれも使用可能である。前記キャピラリーチューブは、ガラス、ポリマーなど多様な種類の材質からなり得るが、100℃以上の熱によく耐えられ、水溶液や有機溶媒などが浸透できないガラス、溶融シリカ、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene;PTFE、商品名:テフロン(登録商標))又はポリエチレンであることが好ましい。
【0018】
特に、前記キャピラリーチューブの材質がガラスである場合には、本発明による装置を製造する過程、例えば、キャピラリーチューブを加熱ブロックに円形に巻き付ける過程において、キャピラリーチューブが割れないようにキャピラリーチューブの外壁をポリイミド又はPTFEなどでコーティングすることが望ましい。一方、前記キャピラリーチューブを実時間反応検出のための装置に使用する場合は、光線が通過できるように透明なキャピラリーチューブを用いることが望ましい。キャピラリーチューブの外壁がポリイミドでコーティングされる場合、光線が照射されて蛍光が発生する部分のコーティングを取り除くことが好ましい。
【0019】
また、前記キャピラリーチューブの内壁は、DNAやタンパク質の吸着を防止するためにシラン化することが望ましい。シラン化(silanization)は、当該分野における公知の方法によって遂行できる。前記シラン化に用いられる物質としては、ガラス表面と反応して疎水性基をその表面に形成する物質が望ましく、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つ以上の物質が特に好ましい。
【0020】
前記キャピラリーチューブの直径及び長さは、キャピラリーチューブ内に流れる流体の種類及び遂行する反応の種類などを考慮して様々に調節できる。一般的にキャピラリーチューブの直径は、内径が10乃至300μm、外径が50乃至500μmの範囲であることが望ましく、キャピラリーチューブの長さは0.5m乃至5mの範囲を有することが好ましい。
【0021】
本発明による反応装置において、キャピラリーチューブの互いに異なる温度に調節される加熱ブロックとの接触は、加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブを巻き付けることで達成できる。加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブを巻き付ける一つの方法は、加熱ブロックの外面に一定の寸法及び一定の間隔を有する螺旋溝を形成した後、前記螺旋溝にキャピラリーチューブを固定することである。前記螺旋溝の寸法及び間隔は、固定するキャピラリーチューブの直径によって異なり、この螺旋溝の深さは大略100μm乃至500μm、幅は100μm乃至500μm、そして間隔は100μm乃至1000μmを有するように形成することが望ましい。
【0022】
前記キャピラリーチューブは互いに異なる温度に調節されている複数の加熱ブロックに順次に1回以上接触させる。加熱ブロックに巻きつけられるキャピラリーチューブの巻きつけ回数は、反応の種類、反応の正確度、要求される反応産物の量、反応試料の初期量などによって多様であるが、望ましくは10回乃至50回、より望ましくは20回乃至30回であることが好ましい。
【0023】
なお、前記高性能連続流式反応装置のそれぞれの加熱ブロックの温度をPCR遂行で要求される反応温度に設定し、流体としてPCR混合液をキャピラリーチューブに注入して、前記反応装置を用いてPCRを遂行することができる。
【0024】
従って、本発明は、(a)前記高性能連続流式反応装置のキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、(b)適正な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階と、を含む高性能連続流式核酸増幅方法を提供する。
【0025】
一般的に、PCRは(a)二本鎖鋳型DNA(dsDNA)を一本鎖DNA(ssDNA)に変性させる熱変性(melting)段階;(b)前記一本鎖DNAにプライマーを結合するアニーリング(annealing)段階;及び前記プライマーの結合位置からDNAを複製して二本鎖DNAを作り出す伸張(extension)段階;の3段階とからなる。また、各段階の反応遂行時に求められる適正温度及び時間条件が存在する。このような温度及び時間条件は鋳型DNAの塩基配列及びプライマー、そして使用されるポリメラーゼや触媒の種類など、個別PCR反応条件によって異なるが、熱変性段階は95〜100℃で1〜60秒、アニーリング段階は45〜65℃で1〜120秒、そして伸張段階は主に65〜72℃で30〜120秒遂行することが望ましい。
【0026】
前記核酸増幅方法において、高性能連続流式反応装置の各々の加熱ブロックの温度は前述した熱変性、アニーリング、及び伸張温度に設定されることが望ましく、最も望ましくはそれぞれ約95℃、60℃、及び72℃に設定されることが好適である。
【0027】
前記キャピラリーチューブは、熱変性、アニーリング、及び伸張温度に適するように設定された加熱ブロックを順次に繰り返して接触するので、キャピラリーチューブ内に注入されたDNA鋳型も増幅することになる。
【0028】
前記核酸増幅方法において、PCRサイクルは前記キャピラリーチューブが加熱ブロックに繰り返して接触する回数によって決められる。前記回数は場合によって異なるが、10回乃至50回、より望ましくは20内乃至30回であることが好適である。
【0029】
PCR混合液はPCRを遂行するために要求される反応物質を含み、具体的にMgCl2、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP)混合液、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ、耐熱性DNAポリメラーゼバッファー、及び鋳型DNAを含む。なお、実時間ポリメラーゼ連鎖反応(real-time PCR)における容易な検出のために、前記プライマーは分子指標(molecular beacon)であることができ、前記PCR混合液はインターカレーティング色素(intercalating dye)を更に含むことができる。
【0030】
前記分子指標はPCRにおけるアニーリング段階後に蛍光が検出されるように特別に工夫されたプライマーを指す。分子指標は、通常、数十個の塩基からなり、両末端には蛍光を発する蛍光物質と、その蛍光に対する消光物質(quencher)がそれぞれ存在する。前記分子指標はガラス状態でヘアピン構造(hair pin structure)を有するが、このときは蛍光物質と消光物質とが近接しているから、蛍光発生が抑制される。しかし、前記分子指標がPCRのアニーリング段階で鋳型DNAに結合されると、蛍光物質と消光物質間の距離が遠ざかり、消光物質による抑制が解消されるので、分子指標上の蛍光色素が蛍光を帯びることになる。PCRを遂行することによって、鋳型DNAの量が増加し、これに伴って鋳型DNAと結合される分子指標の量も増加するようになる。従って、分子指標を用いて蛍光度を測定することで、PCRの毎反応サイクルにおけるDNA増幅度を実時間で観察することができるようになる。
【0031】
前記インターカレーティング色素は、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を放出する。EtBr(Ethidium bromide)のように当該分野においてインターカレーティング色素として知られているものであれば制限なく使用することができ、SYBR GREEN(登録商標)のように商業的に利用可能な染料も使用できる。前記インターカレーティング色素はPCRで増幅された二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を発する。したがって、この蛍光信号の強度を測定することにより、増幅産物の量を測定することができる。
【0032】
本発明による核酸増幅方法において、キャピラリーチューブにPCR混合液を注入し、PCR混合液の流速を調節するためには、シリンジポンプを利用することが望ましい。シリンジポンプによってPCR混合液はキャピラリーチューブの第1末端から第2末端まで移動するようになる。PCR混合液の流速はPCR反応条件によって多様に調節でき、最適のPCR結果が得られるように反応毎に調節されることができる。具体的に、キャピラリーチューブ内に注入されたPCR混合液の流速は0.1μL/min乃至5μL/minの範囲であることが好ましい。
【0033】
前記PCR混合液はキャピラリーチューブに連続的又は断続的に注入される。互いに異なる組成を有するPCR混合液を断続的に注入する場合、‘キャリオーバ(carryover)’が問題になり得る。‘キャリオーバ’とは、以前の試料によって後続の試料が汚染されることを意味する。これを防止するためには、各々の試料注入後に空気層や、例えばブロモフェノールブルー(bromophenol blue)のように試料と混じらない有機溶媒などを注入して資料を分離するようにすることが望ましい。さらに、以前の試料によって後続の試料が汚染されることを防止するために、試料注入の合間に空気層や有機溶媒などとは別途に水又は緩衝溶液(buffer)のような溶媒を挿入することで、以前の試料の残留物を完全に除去することが好ましい
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明による連続流式反応装置の具体的な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
本発明の好適な第1実施形態によれば、高性能連続流式反応装置は、互いに異なる温度に調節される複数の加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13を巻き付けることで製造できる。図1a及び図1bに示したように、前記加熱ブロック11は並列又は直列に配置することができる。前記キャピラリーチューブ13は加熱ブロックの周りに巻き付けられて互いに異なる温度に調節される加熱ブロックと接触することになる。図1aに示したように、並列に並べられた加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13が巻き付けられた場合、前記キャピラリーチューブに注入される流体は互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に又は繰り返して2回以上通過しながら反応するようになる。これに対し、図1bに示したように、直列に配置された加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13が巻き付けられた場合、前記キャピラリーチューブ内の流体が互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に通過しながら反応することになる。
【0036】
そして、本発明の好適な第2実施形態によれば、前記高性能連続流式反応装置は、それぞれの加熱ブロックの温度調節をより容易にするために、加熱ブロック同士が互いに直接接触しないように配設された断熱ブロックを含むことができる。
【0037】
例えば、本発明は、互いに異なる温度に調節される3つの固体加熱ブロックと、2つの隣接した加熱ブロックと接触し、各々の加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つの断熱ブロックと、PCR混合液の注入口である第1末端とPCR混合液の排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つのキャピラリーチューブと、を含み、前記キャピラリーチューブが互いに異なる温度に調節された3つの加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することでPCRを遂行する高性能連続流式反応装置を提供する。
【0038】
前記高性能連続流式反応装置の好適な第2実施形態が図2a及び図2bに示されている。図2aには一つの断熱ブロック12に互いに異なる温度に調節された3つの加熱ブロック21、22、23が組み立てられ、前記加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブが巻きつけられている装置の概略図が示されている。図2bには実際に製造した装置の写真が示されている。
【0039】
前述したように、加熱ブロック21、22、23にはヒーターとセンサーがそれぞれ挿入されることができ、各々の温度が独立的に調節されてPCR反応の各段階における必要な温度に設定できる。断熱ブロック12は、加熱ブロック間の互いに異なる温度が容易に保たれるように、非常に低い熱伝導性を有する物質からなる。前記PCR混合液27がキャピラリーチューブ13に沿って熱変性、アニーリング及び伸張反応温度に設定された加熱ブロック21、22、23と順次に又は繰り返して接触する。その結果、鋳型DNA(核酸)が増幅されて多量のDNA28を生産する。
【0040】
一方、断熱ブロックを備える本発明の好適な第3実施形態によれば、本発明は複数の加熱ブロック断熱ブロック組立体が温度調節可能な複数の加熱ブロックと組み立てられて2つ以上の独立的な反応を遂行し、それぞれの組立体上に流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容するキャピラリーチューブが巻き付けられていることを特徴とする高性能多重連続流式反応装置が提供される。
【0041】
前記高性能多重連続流式反応装置において、前記温度調節可能な加熱ブロックは2つ以上であることができる。
【0042】
前記多重連続流式反応装置の好適な第3実施形態が図3a乃至図3eに示されている。図3aを参照して、多重連続流式反応装置を製造する方法について説明する。まず、一つの加熱ブロック11に一つの断熱ブロック12を組み立てて加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造した後、前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体にキャピラリーチューブ13を巻き付ける。キャピラリーチューブが巻き付けられた4つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を別途に存在する温度調節可能な3つの加熱ブロック31、32、33にそれぞれ組み立てて前記3つの加熱ブロック31、32、33が各々2つ以上の組立体と接触するように組み立てる。
【0043】
前述のような方法により製作された多重連続流式反応装置の平面図及び正面図がそれぞれ図3b及び図3cに示されている。また、前記多重連続流式反応装置の写真が図3d及び図3eに示されている。
【0044】
前記多重連続流式反応装置は4箇所で同時に反応を遂行することができる。前記多重反応装置に組み立てられた7つの加熱ブロック11、11、11、11、31、32、33は、4箇所における個別的な作動のために互いに異なる温度に調節されることができる。加熱ブロック−断熱ブロック組立体に巻きつけられているキャピラリーチューブ13は各々の位置によって接触する加熱ブロックが相異するようになる。図3bに示したように、各キャピラリーチューブ13は互いに異なる温度に調節される3つの加熱ブロック11、31、33又は11、32、33に繰り返して接触することになる。キャピラリーチューブの内部温度は加熱ブロックの温度によって調節され、キャピラリーチューブ内に流れる流体の温度に影響を及ぼし、これによって流体は互いに異なる3つの温度区間を繰り返して通過するようになる。
【0045】
前記多重連続流式反応装置を用いれば、一度に4つの独立的なキャピラリーチューブで反応を遂行することができるという利点がある。
【0046】
具体的に、前記キャピラリーチューブ内を流れる流体としてDNA増幅のためのPCR混合液を使用する場合、前記多重連続流式反応装置をPCRに利用することができる。PCRを遂行する方法は、前述したPCRを遂行する反応装置の方法と同様である(図3c参照)。つまり、PCR混合液27がキャピラリーチューブ13に沿って熱変性(加熱ブロック33に該当する)、アニーリング(加熱ブロック11に該当する)、及び伸張(加熱ブロック31、32に該当する)温度に適するように設定された加熱ブロックを繰り返して接触する。その結果、鋳型DNA(核酸)が増幅されて多量のDNA28を生産する。
【0047】
PCRのアニーリング段階を遂行する加熱ブロック11は、各々の試料に対する最適のアニーリング温度に設定されることが望ましい。最適のアニーリング温度はプライマーと鋳型DNAの塩基配列によってPCR遂行時ごとに異なるが、大略45℃から65℃の間で設定されることが望ましい。PCRの熱変性段階を遂行する加熱ブロック33はキャピラリーチューブが巻き付けられている4つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体に全部接触する。加熱ブロック33の温度は約95℃程度に設定されることが好ましい。PCRの伸張段階を遂行する加熱ブロック31、32は、それぞれキャピラリーチューブが巻きつけられている2つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体に接触する。加熱ブロック31、33の温度は、使用されるDNAポリメラーゼによって決められるが、Taqポリメラーゼを使用する場合、72℃に設定されることが望ましい。
【0048】
また、PCR遂行中にDNA増幅程度を実時間で調べるために、実時間検出装置が使用されることができる。
【0049】
具体的に本発明は、 前記高性能連続流式反応装置において、蛍光を誘発する光源、蛍光を検出する検出器、及び光線をキャピラリーチューブに照射した後、発生する蛍光を検出器に集束させる光学装置を含む蛍光誘導装置と、前記蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させることができる走査装置とを更に含み、実時間反応進行度を探知することを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0050】
前記蛍光を誘発する光源としては特定波長の光線を照射するレーザー又はランプなどが用いられ、蛍光を検出する検出器としてはPMT又はダイオードなどが用いられることができる。前記光学装置には、レーザー光線を通過させ蛍光光は反射させる役割をする二色鏡(dichromatic mirror)と、レーザー光線をキャピラリーチューブに集束させてキャピラリーチューブから発生する蛍光を集めて二色鏡に伝達する役割をする対物レンズとが含まれることができる。一方、前記走査装置は蛍光誘導装置が固定された状態で、キャピラリーチューブが巻きつけられている加熱ブロックを一定の速度で往復移動させるか、加熱ブロックが固定された状態で蛍光誘導装置を一定の速度で往復移動させることで、蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させる役割を果たす。
【0051】
次に、図4を参照して、DNA増幅に対する実時間検出方法について説明する。DNAが増幅されることにより、蛍光を発生する物質が添加されたPCR混合液27をキャピラリーチューブ13に注入する。その後、特定波長のレーザー光線41を二色鏡43と対物レンズ44を経てキャピラリーチューブ13に照射する。前記キャピラリーチューブから発生する蛍光42の量を検出器で測定すると、キャピラリーチューブ内におけるDNAの増幅程度を実時間で検出できる。
【0052】
本発明による連続流式反応装置は、連続的に流れる流体を反応させるが、特にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の遂行に有用できる。更に、本発明による多重連続流式反応装置の場合は、互いに異なる反応条件を有する反応を同時に2箇所以上で遂行することができるという長所がある。従って、本発明による装置はサイズが小さくて携帯可能なDNA多重増幅機器の製作などに応用することができる。巻き付けられたキャピラリーチューブのサイズがバイオチップ上の微細チャンネルと類似するので、前記装置はラブ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)と容易に一体化できる。また、実時間検出装置を結合することで、PCR中にDNAの増幅程度を実時間で確認することができる。
【0053】
次に、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれらに限定されるわけではない。
【0054】
<実施例1>連続流式反応装置の製作
(1−1)連続流式PCR装置の製作
図2aに示したように、本発明による連続流式PCR装置において、3つの加熱ブロック21、22、23は銅を用いて製作し、断熱ブロック12はベークライトを用いて製作した。
【0055】
前記3つの加熱ブロックを断熱ブロックの各側面に搭載して直径30mm、高さ65mmの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製作した(図2b参照)。前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体は、内部に断熱ブロックと該断熱ブロックを取り囲む同一の長さのアークを有する3つの加熱ブロックを有する。
【0056】
各々の加熱ブロックには、加熱のためのヒーターを挿入するための穴と、加熱ブロックの温度を測定して調節するための温度センサーを挿入するための穴とを穿孔した。具体的に、ヒーター(Firerod, Watlow, St. Louis, MO)を挿入するための穴は3.1mmの直径及び32mmの長さを有し、温度調節センサー(Watlow, St. Louis, MO)を挿入するための穴は1mmの直径及び27mmの長さを有するように製作した。
【0057】
前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体の外周に深さ250μm、幅250μmの螺旋溝をらせん回転(Turn of the helix)当たり1.5mmのピッチ(pitch)で形成した。前記螺旋溝は加熱ブロックの周りにキャピラリーチューブの位置を固定させ、反応時に熱伝達を容易にする。前記螺旋溝が加熱ブロック−断熱ブロック組立体の縦方向へ33回回転するように製作したが、これはDNA増幅反応に際してPCRサイクルの回数となる。また、前記キャピラリーチューブは、前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体の螺旋溝の全体を巻きつけるとともに、溶液注入及び溶液回収などに必要な全ての部分の周囲を取り囲むもので、総3.5メートルを使用した。
【0058】
熱変性段階を遂行する加熱ブロックの先頭部及び伸張段階を遂行する加熱ブロックの終端部を巻き付けるキャピラリーチューブは、最初の熱変性段階から最終の伸張段階までの完全なPCRが進行するように長く製作した。
【0059】
図2a及び図2bに示したように、加熱ブロック−断熱ブロック組立体において、加熱ブロックの両末端にキャピラリーチューブが長く突出している。
【0060】
キャピラリーチューブは、ポリイミドをコーティングした外径240μm、内径100μmの溶融シリカ材質のものを使用した(Polymicro Technologies, Phoenix, AZ)。DNAやタンパク質などの生体物質がキャピラリーチューブの内壁に吸着されることを防止するために、前記キャピラリーチューブの内壁をシラン化した。シラン化のためには、まず、キャピラリーチューブにメタノールを30分間流してから、40℃にて12時間乾燥させた後、0.02MのTMS(trimethylchlorosilane)と0.04Mのイミダゾールとを含むDMF(dimethylformamide)溶液を充たして常温で一日間放置した。シラン化反応が終了した後、キャピラリーチューブをメタノール及び減菌蒸留水で洗い流した(rinse)。
【0061】
前記キャピラリーチューブを加熱ブロック−断熱ブロック組立体の外面に形成された螺旋溝に嵌合させることで、連続流式PCR装置を製作した。
【0062】
(1−2)多重連続流式PCR装置の製作
図3b乃至図3eに示したように、多重連続流式PCR装置を製作した。前記装置において、加熱ブロック及び断熱ブロックの材質としては前記実施例(1−1)と同様にそれぞれ銅及びベークライトを用いた。
【0063】
まず、一つの加熱ブロック11に一つの断熱ブロック12を組み立てて直径20mm、高さ40mmの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造した。このような組立体を4つ製造した。各々の組立体の外周に深さ240μm、幅240μmの螺旋溝をらせん回転当たり1mmのピッチで形成した。前記螺旋溝が組立体の縦方向へ34回、回転するように製作した。また、前記キャピラリーチューブは、前記組立体の螺旋溝の全体を巻きつけるとともに、溶液注入及び溶液回収などに必要な全ての部分の周囲を取り囲むもので、約2メートルを使用した。
【0064】
前記組立体において、各々の加熱ブロックには、前記実施例(1−1)と同様にヒーター及び温度センサーを挿入するための穴を穿孔した。前記実施例(1−1)で使用した溶融シリカキャピラリーチューブやPTFEキャピラリーチューブ(Cole-Parmer Instrument, Co.)を使用した。
【0065】
キャピラリーチューブを巻き付けて完成された前記4つの組立体を別途 の3つの加熱ブロック31、32、33に各々組み立て、2つの加熱ブロック31、32は2つのキャピラリーチューブと接触し、一つの加熱ブロック33は4つのキャピラリーチューブと接触するように組み立てることにより、多重連続流式PCR装置を製作した(図3b、図3d、及び図3e参照)。
【0066】
<実施例2>連続流式PCR
前記実施例(1−1)で製造した装置を用いてキャピラリーチューブ内でのPCR混合液の連続流相でPCRを遂行した。
【0067】
鋳型DNAとしてはカナマイシン耐性遺伝子から分離したプラスミドDNA(promega)を使用し、配列番号1及び配列番号2に表示される塩基配列を有するプライマーを用いて前記プラスミドDNAのうち323bpの断片を増幅した。PCR混合液(総50μL)の組成を次のようであり、3μLの25mM MgCl2、5μLの10X耐熱性DNAポリメラーゼバッファー(500mM KCl、100mM Tris−HCl、1% Triton(登録商標) X−100)、1μLの10mM PCRヌクレオチド混合液(dATP、dCTP、dGTP及びdTTPがそれぞれ水に10mMずつ溶解されているもの)、3.3μLの12μM アップストリームプライマー、3.3μLの12mM ダウンストリームプライマー、0.25μLの5ユニット/μL Taq DNAポリメラーゼ、1μL(1ng)の鋳型DNA、そして33.15μLの減菌された3次蒸留水の組成を有する。
【0068】
キャピラリーチューブ内に0.3から5.0μL/分の流速で連続的にPCR混合液を注入するためにシリンジポンプ(22 Multiple Syringe Pump, Harvard Apparatus)を利用した。ガスタイトシリンジ(gas tight syringe)(250μL容量)にPCR混合液を充たしてこれをポンプに連結した。注射器の先端部をキャピラリーチューブの流体注入口の末端(熱変性反応を遂行する加熱ブロックの先頭部)側に連結した後ポンプすることにより、キャピラリーチューブにシリンジ内のPCR混合液が持続的に注入されて流れるようにした。
【0069】
前記装置において、各々の加熱ブロックの温度を95℃、60℃、及び72℃に保ち、前記PCR混合液が前記加熱ブロックを繰り返して接触するようにした。PCR混合液の移動速度をそれぞれ0.3、0.5、1.0、3.0、5.0μL/分に設定してPCRを行った。
【0070】
0.3μL/分の速度では溶液注入してから90分後に、5μL/分の速度では溶液注入してから約5分後に、キャピラリーチューブの流体排出口の末端(伸張反応を行う加熱ブロックの終端)からPCR産物を集めた。
【0071】
<実施例3>増幅されたDNAの確認
PCRが終了した試料のDNA増幅の有無を確認するために、ゲル電気泳動を施した。前記実施例2で収得した10μLのPCR産物をTBE緩衝溶液上で2%アガロースゲル電気泳動で分析した。DNA増幅水準を確認するために、既存の市販の機器(MBS 0.2G,Hybaid, U.K.)を用いて増幅した陽性対照区用試料及びサイズマーカーを一緒にロードした。市販の機器におけるPCR条件は95℃で2分、そして95℃で30秒、60℃で1分、72℃で2分であった。このようなサイクルを33回繰り返し、72℃にて5分間放置した。前記PCR産物を4℃に冷却してPCR反応を終了した。
【0072】
図5はPCR産物のゲル電気泳動結果を示す。図5において、レーン1(陽性対照区)は既存の市販の機器を用いてDNAを増幅した結果であり、レーン2乃至6は0.3μL/分乃至5.0μL/分範囲での異なる流速におけるDNA増幅程度の差を示したもので(左側から0.3、0.5、1.0、3.0及び5.0μL/分)、レーン7(陰性対照区)はPCRによって増幅されなかったDNAを、そしてレーン8は増幅されたDNAのサイズを測定するためのサイズマーカー(size marker)を示したものである。図5に示されたように、本発明による連続流式PCR装置を利用することで、高効率のDNA増幅が可能であった。特に、PCR混合液の移動速度が遅いほど、伸張反応が完全に進行するので、PCR混合液の低い移動速度で増幅効率が高いことが分かった。
【0073】
<実施例4>互いに異なるPCR混合液を用いた順次的DNA増幅
本発明者らは、本発明による連続流式PCR装置が互いに異なる組成を有するPCR混合液を順次に注入した場合でも各々の鋳型DNAに対する増幅反応を行うことができるか否かを調べた。
【0074】
前述のようなPCRを遂行するために、4つの鋳型DNA及び各々のDNAに対する一対のプライマーを含むPCR混合液を用意した。このとき、使用された鋳型DNA及びプライマーは下記の表1に示した。
【表1】
【0075】
各々の鋳型DNA及びプライマーを含むPCR混合液(試料1乃至試料4)を用意した。各PCR混合液の成分は前記実施例2で使用したもの同じであった。試料は次のような順序で繰り返して注入した。即ち、試料1(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料2(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料3(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料4(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)−試料1(2μL)の順に注入した。
【0076】
前述において、空気層とブロモフェノールブルー緩衝溶液(30% グリセロール、30mM EDTA、0.03% ブロモフェノールブルー、0.03% キシレンシアノール)(購入先:Takara)はキャリオーバ(carryover)現象を防止するために各々のPCR混合液の間に注入した。
【0077】
その後、キャピラリーチューブの流体排出口の末端において、各々のPCR産物をブロモフェノールブルー溶液の色と空気層の介在によって識別して集めた。
【0078】
なお、DNA増幅の効率において、内壁コーティング効果を確認するために、本発明者らはキャピラリーチューブの内壁がトリメチルクロロシラン(TMS)でコーティングされたキャピラリーチューブ及びコーティングされていないキャピラリーチューブをそれぞれ用いてPCRを行った。
【0079】
PCR産物のDNA増幅の有無を確認するために、実施例3と同様な方法で、ゲル電気泳動を行った。一方、DNA増幅の程度を確認するために、市販の機器(MBS 0.2G,Hybaid,U.K.)を用いて増幅した陽性対照区試料とサイズマーカーを一緒にロードした。市販の機器でのPCR条件は95℃で2分、それから95℃で30秒、60℃で1分、72℃で2分であった。このようなサイクルを33回繰り返し、72℃で5分間放置した。前記PCR産物を4℃に冷却してPCR反応を終了した。
【0080】
図6はPCR産物のゲル電気泳動結果を示す。図6において、レーン1は増幅されたDNAのサイズを測定するためのサイズマーカーであり、レーン2、4、6、8、10、12、14及び16は市販のPCR機器を用いて遂行した試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示す。そして、レーン3、5、7、及び9は内壁がコーティングされていないキャピラリーチューブを用いた試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示し、レーン11、13、15及び17は内壁がコーティングされたキャピラリーチューブを用いた試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示すものである。
【0081】
図6のレイン11、13及び15から分かるように、試料1乃至3に対するDNA増幅が効率的に行われたことを確認することができる。その結果、本発明による装置は互いに異なるPCR混合液を利用した順次的DNA増幅を行うことに適用可能である。
【0082】
以上、本発明の好適な実施例について詳述したが、本発明の範囲は前述した実施例に制限されることはなく、特許請求範囲によって定義された本発明のカテゴリ内で当業者によって多様に修正又は変更できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1a】本発明の好適な第1実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図1b】本発明の好適な第1実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図2a】本発明の好適な第2実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図2b】本発明の好適な第2実施形態による高性能連続流式反応装置を示す写真である。
【図3a】本発明による多重連続流式反応装置を製造するためにキャピラリーチューブが巻き付けられた加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造する過程を示す図である。
【図3b】本発明による多重連続流式反応装置の一例を示す平面図である。
【図3c】本発明による多重連続流式反応装置の一例を示す正面図である。
【図3d】本発明の好適な第3実施形態によって製造された多重連続流式反応装置を示す写真である。
【図3e】図3dの装置にキャピラリーチューブを巻き付け、ヒーター及びセンサーを装着した本発明による多重連続流式反応装置を示す写真である。
【図4】本発明による連続流式反応装置に実時間検出装置を連結した、実時間反応検出のための装置の一例を示す図である。
【図5】本発明による連続流式反応装置によりPCRを遂行した後、試料のDNA増幅の有無を確認したゲル写真である。
【図6】互いに異なる組成を有するPCR混合液を順次に注入してPCRを遂行した後、試料のDNA増幅の有無を確認したゲル写真である。
【符号の説明】
【0084】
11 加熱ブロック
12 断熱ブロック
13 キャピラリーチューブ
21、22、23 加熱ブロック
27 PCR混合液
28 DNA
31、32、33 加熱ブロック
41 レーザー光線
42 蛍光
43 二色鏡
44 対物レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に流れる流体を反応させるための高性能装置に関し、より詳しくはポリメラーゼ連鎖反応のように時間に応じた反復的な温度調節及び繰り返し反応が求められる反応を遂行する、固体相の加熱ブロック及びキャピラリーチューブを含む連続流式高性能反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAは1983年にムリスら(Mullis et al.)によって開発されたポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCA)というDNA複製技術によってインビトロ(in vitro)で人為的に複製されることができる。PCRは酵素を用いた反応であって、酵素の種類によって2つ又は3つの温度範囲における反復的な温度調節が求められる。
【0003】
通常、PCRは次のような3段階からなる。即ち、複製される二本鎖鋳型DNA(double-stranded template DNA)を2つの一本鎖DNA(single-stranded DNA)に変性させる熱変性(melting)段階;変性された一本鎖DNAにプライマーを結合させて反応が開始される位置を指定し、酵素反応の開始を助けるアニーリング(annealing)段階;及びプライマーが結合された位置からDNAを複製して完全な二本鎖DNAを作り出す伸張(extension)段階;とからなる。前記PCRの3段階が終了すると、DNAの最終量は2倍となる。すなわち、PCRが繰り返してn回遂行されると、DNAの最終量は2n倍となる。従来のPCR反応器システムでは、温度調節が可能な加熱ブロック(heating block)が用いられ、この加熱ブロックはPCR容器を受容するようにデザインされている。PCRはPCR容器を加熱ブロックに挿入して一定の時間間隔で繰り返して温度を調節することにより遂行される。
【0004】
具体的に、PCRを成功的に遂行するための重要な要素のうち一つが温度調節である。特に、PCRの3段階の中でもアニーリング段階における温度調節が極めて重要であるが、これはアニーリング段階の温度が適切でなければ、増幅の効率や特異性が減少し、これによって、PCR収率が低下するからである。更に、PCRが終了するまで数時間がかかることを勘案するとき、PCR過程を実時間で迅速で且つ連続的にモニターリングすることは、DNAが増幅される間にPCR効率を向上させるに当たって極めて重要なことである。
【0005】
1990年代にPCRのためのラブ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)概念が導入されてから、PCRのための他の技術が開発されている(Northrup et al., Anal. Chem. 1998, 70, 918-922; Waters et al., Anal. Chem. 1998, 70, 5172-5176; Cheng et al., Nucleic Acids Res. 1996, 24, 380-385)。特に、連続的な流相でPCRを遂行することができる装置及び方法の開発が、一つのチップから多くの種類のDNAを効率的に分析するための重要な課題として台頭した。
【0006】
例えば、1998年にマンツらは連続的な流相でPCRを遂行することが可能な装置を開発した(Manz et al., Science, 1998, 280, 1046-1048)。マンツらはPCR過程の変性、アニーリング、及び伸張反応段階の一連の反応の調節のために温度調節可能な3つの銅ブロックを一列に配列し、生成されたPCR産物は前記銅ブロック上に搭載されたガラス基板上の微細チャンネルを介して流れるようにした。3つの相異なる反応領域の温度は95℃→72℃→60℃へとよどみなく調節できるようにした。しかし、このような配列に内在する問題点は、変性された一本鎖DNA試料がアニーリング反応チャンバー以前に伸張反応チャンバーを通過するので、反応の正確度をかなり減少させるということである。
【0007】
クェークらは一列配列の代わりに変性、アニーリング及び伸張の順序からなる加熱ブロックの円形配列を用いることで、前記の問題を解決しようとした(Quake et al., Electrophoresis, 2002, 23, 1531-1536)。
【0008】
ロエラード(Roeraade)らは互いに異なる温度に調節される円形の水槽を用いたキャピラリーチューブ内で連続流式PCRが可能な装置を製作した。前記装置は水槽の壁に複数の小さな孔を設け、この孔を介して水槽の回りにテフロン(登録商標)チューブを巻き付ける方法を利用して製作された(Roeraade et al., J. Anal. Chem, 2003, 75, 1-7)。しかし、前記装置は温度及び水の蒸発を調節するために一定した速度で水をポンプするための攪拌装置を必要とし、このため、小型化した携帯用PCR装置の開発が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的はポリメラーゼ連鎖反応のように時間に応じた反復的な温度調節及び繰り返し反応を遂行する、固体相の加熱ブロックとキャピラリーチューブとを含む高性能連続流式反応装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記高性能連続流式反応装置を用いた高性能連続流式核酸増幅方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0012】
また、本発明は前記反応装置において、前記複数の加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つ以上の断熱ブロックを更に含むことを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0013】
更に、本発明は(a)前記高性能連続流式反応装置のキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、(b)適切な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階を含むことを特徴とする高性能連続流式核酸増幅方法を提供する。
【0014】
本発明による装置において、それぞれの加熱ブロックはキャピラリーチューブの特定の部位を加熱する役割を果たし、これらの加熱ブロックの温度はヒーター及び温度センサーを用いて互いに異なる温度に調節できる。ヒーター及び温度センサーは加熱ブロックに取り付けられるか、加熱ブロックに形成された孔に挿入することも可能である。
【0015】
前記加熱ブロックの材質としては、熱伝導性に優れている物質であれば、いずれも制限なく使用可能であり、銅、鉄、アルミニウム、黄銅、金、銀、白金などの金属であることが好ましく、高い熱伝導性を有するポリマーも使用できる。
【0016】
前記断熱ブロックは、それぞれの加熱ブロック間の熱伝達を防止する役割をする。前記断熱ブロックの材質としては、高い絶縁特性を有する物質であれば制限なく使用することができ、ベークライト(bakelite)或いはアクリルポリマー樹脂を利用することが望ましい。
【0017】
前記加熱ブロック及び断熱ブロックは、必要によって円筒形、楕円形、四角形などの形状に製造され、その形状は特に限定されない。前記キャピラリーチューブは、流体注入口である第1末端及び流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを可能にして流体の移動通路及び反応空間としての役割を果たす。前記キャピラリーチューブは商業的に利用可能なキャピラリーチューブであれば、いずれも使用可能である。前記キャピラリーチューブは、ガラス、ポリマーなど多様な種類の材質からなり得るが、100℃以上の熱によく耐えられ、水溶液や有機溶媒などが浸透できないガラス、溶融シリカ、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene;PTFE、商品名:テフロン(登録商標))又はポリエチレンであることが好ましい。
【0018】
特に、前記キャピラリーチューブの材質がガラスである場合には、本発明による装置を製造する過程、例えば、キャピラリーチューブを加熱ブロックに円形に巻き付ける過程において、キャピラリーチューブが割れないようにキャピラリーチューブの外壁をポリイミド又はPTFEなどでコーティングすることが望ましい。一方、前記キャピラリーチューブを実時間反応検出のための装置に使用する場合は、光線が通過できるように透明なキャピラリーチューブを用いることが望ましい。キャピラリーチューブの外壁がポリイミドでコーティングされる場合、光線が照射されて蛍光が発生する部分のコーティングを取り除くことが好ましい。
【0019】
また、前記キャピラリーチューブの内壁は、DNAやタンパク質の吸着を防止するためにシラン化することが望ましい。シラン化(silanization)は、当該分野における公知の方法によって遂行できる。前記シラン化に用いられる物質としては、ガラス表面と反応して疎水性基をその表面に形成する物質が望ましく、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つ以上の物質が特に好ましい。
【0020】
前記キャピラリーチューブの直径及び長さは、キャピラリーチューブ内に流れる流体の種類及び遂行する反応の種類などを考慮して様々に調節できる。一般的にキャピラリーチューブの直径は、内径が10乃至300μm、外径が50乃至500μmの範囲であることが望ましく、キャピラリーチューブの長さは0.5m乃至5mの範囲を有することが好ましい。
【0021】
本発明による反応装置において、キャピラリーチューブの互いに異なる温度に調節される加熱ブロックとの接触は、加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブを巻き付けることで達成できる。加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブを巻き付ける一つの方法は、加熱ブロックの外面に一定の寸法及び一定の間隔を有する螺旋溝を形成した後、前記螺旋溝にキャピラリーチューブを固定することである。前記螺旋溝の寸法及び間隔は、固定するキャピラリーチューブの直径によって異なり、この螺旋溝の深さは大略100μm乃至500μm、幅は100μm乃至500μm、そして間隔は100μm乃至1000μmを有するように形成することが望ましい。
【0022】
前記キャピラリーチューブは互いに異なる温度に調節されている複数の加熱ブロックに順次に1回以上接触させる。加熱ブロックに巻きつけられるキャピラリーチューブの巻きつけ回数は、反応の種類、反応の正確度、要求される反応産物の量、反応試料の初期量などによって多様であるが、望ましくは10回乃至50回、より望ましくは20回乃至30回であることが好ましい。
【0023】
なお、前記高性能連続流式反応装置のそれぞれの加熱ブロックの温度をPCR遂行で要求される反応温度に設定し、流体としてPCR混合液をキャピラリーチューブに注入して、前記反応装置を用いてPCRを遂行することができる。
【0024】
従って、本発明は、(a)前記高性能連続流式反応装置のキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、(b)適正な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階と、を含む高性能連続流式核酸増幅方法を提供する。
【0025】
一般的に、PCRは(a)二本鎖鋳型DNA(dsDNA)を一本鎖DNA(ssDNA)に変性させる熱変性(melting)段階;(b)前記一本鎖DNAにプライマーを結合するアニーリング(annealing)段階;及び前記プライマーの結合位置からDNAを複製して二本鎖DNAを作り出す伸張(extension)段階;の3段階とからなる。また、各段階の反応遂行時に求められる適正温度及び時間条件が存在する。このような温度及び時間条件は鋳型DNAの塩基配列及びプライマー、そして使用されるポリメラーゼや触媒の種類など、個別PCR反応条件によって異なるが、熱変性段階は95〜100℃で1〜60秒、アニーリング段階は45〜65℃で1〜120秒、そして伸張段階は主に65〜72℃で30〜120秒遂行することが望ましい。
【0026】
前記核酸増幅方法において、高性能連続流式反応装置の各々の加熱ブロックの温度は前述した熱変性、アニーリング、及び伸張温度に設定されることが望ましく、最も望ましくはそれぞれ約95℃、60℃、及び72℃に設定されることが好適である。
【0027】
前記キャピラリーチューブは、熱変性、アニーリング、及び伸張温度に適するように設定された加熱ブロックを順次に繰り返して接触するので、キャピラリーチューブ内に注入されたDNA鋳型も増幅することになる。
【0028】
前記核酸増幅方法において、PCRサイクルは前記キャピラリーチューブが加熱ブロックに繰り返して接触する回数によって決められる。前記回数は場合によって異なるが、10回乃至50回、より望ましくは20内乃至30回であることが好適である。
【0029】
PCR混合液はPCRを遂行するために要求される反応物質を含み、具体的にMgCl2、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP)混合液、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ、耐熱性DNAポリメラーゼバッファー、及び鋳型DNAを含む。なお、実時間ポリメラーゼ連鎖反応(real-time PCR)における容易な検出のために、前記プライマーは分子指標(molecular beacon)であることができ、前記PCR混合液はインターカレーティング色素(intercalating dye)を更に含むことができる。
【0030】
前記分子指標はPCRにおけるアニーリング段階後に蛍光が検出されるように特別に工夫されたプライマーを指す。分子指標は、通常、数十個の塩基からなり、両末端には蛍光を発する蛍光物質と、その蛍光に対する消光物質(quencher)がそれぞれ存在する。前記分子指標はガラス状態でヘアピン構造(hair pin structure)を有するが、このときは蛍光物質と消光物質とが近接しているから、蛍光発生が抑制される。しかし、前記分子指標がPCRのアニーリング段階で鋳型DNAに結合されると、蛍光物質と消光物質間の距離が遠ざかり、消光物質による抑制が解消されるので、分子指標上の蛍光色素が蛍光を帯びることになる。PCRを遂行することによって、鋳型DNAの量が増加し、これに伴って鋳型DNAと結合される分子指標の量も増加するようになる。従って、分子指標を用いて蛍光度を測定することで、PCRの毎反応サイクルにおけるDNA増幅度を実時間で観察することができるようになる。
【0031】
前記インターカレーティング色素は、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を放出する。EtBr(Ethidium bromide)のように当該分野においてインターカレーティング色素として知られているものであれば制限なく使用することができ、SYBR GREEN(登録商標)のように商業的に利用可能な染料も使用できる。前記インターカレーティング色素はPCRで増幅された二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を発する。したがって、この蛍光信号の強度を測定することにより、増幅産物の量を測定することができる。
【0032】
本発明による核酸増幅方法において、キャピラリーチューブにPCR混合液を注入し、PCR混合液の流速を調節するためには、シリンジポンプを利用することが望ましい。シリンジポンプによってPCR混合液はキャピラリーチューブの第1末端から第2末端まで移動するようになる。PCR混合液の流速はPCR反応条件によって多様に調節でき、最適のPCR結果が得られるように反応毎に調節されることができる。具体的に、キャピラリーチューブ内に注入されたPCR混合液の流速は0.1μL/min乃至5μL/minの範囲であることが好ましい。
【0033】
前記PCR混合液はキャピラリーチューブに連続的又は断続的に注入される。互いに異なる組成を有するPCR混合液を断続的に注入する場合、‘キャリオーバ(carryover)’が問題になり得る。‘キャリオーバ’とは、以前の試料によって後続の試料が汚染されることを意味する。これを防止するためには、各々の試料注入後に空気層や、例えばブロモフェノールブルー(bromophenol blue)のように試料と混じらない有機溶媒などを注入して資料を分離するようにすることが望ましい。さらに、以前の試料によって後続の試料が汚染されることを防止するために、試料注入の合間に空気層や有機溶媒などとは別途に水又は緩衝溶液(buffer)のような溶媒を挿入することで、以前の試料の残留物を完全に除去することが好ましい
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明による連続流式反応装置の具体的な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
本発明の好適な第1実施形態によれば、高性能連続流式反応装置は、互いに異なる温度に調節される複数の加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13を巻き付けることで製造できる。図1a及び図1bに示したように、前記加熱ブロック11は並列又は直列に配置することができる。前記キャピラリーチューブ13は加熱ブロックの周りに巻き付けられて互いに異なる温度に調節される加熱ブロックと接触することになる。図1aに示したように、並列に並べられた加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13が巻き付けられた場合、前記キャピラリーチューブに注入される流体は互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に又は繰り返して2回以上通過しながら反応するようになる。これに対し、図1bに示したように、直列に配置された加熱ブロック11の周りにキャピラリーチューブ13が巻き付けられた場合、前記キャピラリーチューブ内の流体が互いに異なる温度に調節される加熱ブロックを順次に通過しながら反応することになる。
【0036】
そして、本発明の好適な第2実施形態によれば、前記高性能連続流式反応装置は、それぞれの加熱ブロックの温度調節をより容易にするために、加熱ブロック同士が互いに直接接触しないように配設された断熱ブロックを含むことができる。
【0037】
例えば、本発明は、互いに異なる温度に調節される3つの固体加熱ブロックと、2つの隣接した加熱ブロックと接触し、各々の加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つの断熱ブロックと、PCR混合液の注入口である第1末端とPCR混合液の排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つのキャピラリーチューブと、を含み、前記キャピラリーチューブが互いに異なる温度に調節された3つの加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することでPCRを遂行する高性能連続流式反応装置を提供する。
【0038】
前記高性能連続流式反応装置の好適な第2実施形態が図2a及び図2bに示されている。図2aには一つの断熱ブロック12に互いに異なる温度に調節された3つの加熱ブロック21、22、23が組み立てられ、前記加熱ブロックの外面にキャピラリーチューブが巻きつけられている装置の概略図が示されている。図2bには実際に製造した装置の写真が示されている。
【0039】
前述したように、加熱ブロック21、22、23にはヒーターとセンサーがそれぞれ挿入されることができ、各々の温度が独立的に調節されてPCR反応の各段階における必要な温度に設定できる。断熱ブロック12は、加熱ブロック間の互いに異なる温度が容易に保たれるように、非常に低い熱伝導性を有する物質からなる。前記PCR混合液27がキャピラリーチューブ13に沿って熱変性、アニーリング及び伸張反応温度に設定された加熱ブロック21、22、23と順次に又は繰り返して接触する。その結果、鋳型DNA(核酸)が増幅されて多量のDNA28を生産する。
【0040】
一方、断熱ブロックを備える本発明の好適な第3実施形態によれば、本発明は複数の加熱ブロック断熱ブロック組立体が温度調節可能な複数の加熱ブロックと組み立てられて2つ以上の独立的な反応を遂行し、それぞれの組立体上に流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容するキャピラリーチューブが巻き付けられていることを特徴とする高性能多重連続流式反応装置が提供される。
【0041】
前記高性能多重連続流式反応装置において、前記温度調節可能な加熱ブロックは2つ以上であることができる。
【0042】
前記多重連続流式反応装置の好適な第3実施形態が図3a乃至図3eに示されている。図3aを参照して、多重連続流式反応装置を製造する方法について説明する。まず、一つの加熱ブロック11に一つの断熱ブロック12を組み立てて加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造した後、前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体にキャピラリーチューブ13を巻き付ける。キャピラリーチューブが巻き付けられた4つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を別途に存在する温度調節可能な3つの加熱ブロック31、32、33にそれぞれ組み立てて前記3つの加熱ブロック31、32、33が各々2つ以上の組立体と接触するように組み立てる。
【0043】
前述のような方法により製作された多重連続流式反応装置の平面図及び正面図がそれぞれ図3b及び図3cに示されている。また、前記多重連続流式反応装置の写真が図3d及び図3eに示されている。
【0044】
前記多重連続流式反応装置は4箇所で同時に反応を遂行することができる。前記多重反応装置に組み立てられた7つの加熱ブロック11、11、11、11、31、32、33は、4箇所における個別的な作動のために互いに異なる温度に調節されることができる。加熱ブロック−断熱ブロック組立体に巻きつけられているキャピラリーチューブ13は各々の位置によって接触する加熱ブロックが相異するようになる。図3bに示したように、各キャピラリーチューブ13は互いに異なる温度に調節される3つの加熱ブロック11、31、33又は11、32、33に繰り返して接触することになる。キャピラリーチューブの内部温度は加熱ブロックの温度によって調節され、キャピラリーチューブ内に流れる流体の温度に影響を及ぼし、これによって流体は互いに異なる3つの温度区間を繰り返して通過するようになる。
【0045】
前記多重連続流式反応装置を用いれば、一度に4つの独立的なキャピラリーチューブで反応を遂行することができるという利点がある。
【0046】
具体的に、前記キャピラリーチューブ内を流れる流体としてDNA増幅のためのPCR混合液を使用する場合、前記多重連続流式反応装置をPCRに利用することができる。PCRを遂行する方法は、前述したPCRを遂行する反応装置の方法と同様である(図3c参照)。つまり、PCR混合液27がキャピラリーチューブ13に沿って熱変性(加熱ブロック33に該当する)、アニーリング(加熱ブロック11に該当する)、及び伸張(加熱ブロック31、32に該当する)温度に適するように設定された加熱ブロックを繰り返して接触する。その結果、鋳型DNA(核酸)が増幅されて多量のDNA28を生産する。
【0047】
PCRのアニーリング段階を遂行する加熱ブロック11は、各々の試料に対する最適のアニーリング温度に設定されることが望ましい。最適のアニーリング温度はプライマーと鋳型DNAの塩基配列によってPCR遂行時ごとに異なるが、大略45℃から65℃の間で設定されることが望ましい。PCRの熱変性段階を遂行する加熱ブロック33はキャピラリーチューブが巻き付けられている4つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体に全部接触する。加熱ブロック33の温度は約95℃程度に設定されることが好ましい。PCRの伸張段階を遂行する加熱ブロック31、32は、それぞれキャピラリーチューブが巻きつけられている2つの加熱ブロック−断熱ブロック組立体に接触する。加熱ブロック31、33の温度は、使用されるDNAポリメラーゼによって決められるが、Taqポリメラーゼを使用する場合、72℃に設定されることが望ましい。
【0048】
また、PCR遂行中にDNA増幅程度を実時間で調べるために、実時間検出装置が使用されることができる。
【0049】
具体的に本発明は、 前記高性能連続流式反応装置において、蛍光を誘発する光源、蛍光を検出する検出器、及び光線をキャピラリーチューブに照射した後、発生する蛍光を検出器に集束させる光学装置を含む蛍光誘導装置と、前記蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させることができる走査装置とを更に含み、実時間反応進行度を探知することを特徴とする高性能連続流式反応装置を提供する。
【0050】
前記蛍光を誘発する光源としては特定波長の光線を照射するレーザー又はランプなどが用いられ、蛍光を検出する検出器としてはPMT又はダイオードなどが用いられることができる。前記光学装置には、レーザー光線を通過させ蛍光光は反射させる役割をする二色鏡(dichromatic mirror)と、レーザー光線をキャピラリーチューブに集束させてキャピラリーチューブから発生する蛍光を集めて二色鏡に伝達する役割をする対物レンズとが含まれることができる。一方、前記走査装置は蛍光誘導装置が固定された状態で、キャピラリーチューブが巻きつけられている加熱ブロックを一定の速度で往復移動させるか、加熱ブロックが固定された状態で蛍光誘導装置を一定の速度で往復移動させることで、蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させる役割を果たす。
【0051】
次に、図4を参照して、DNA増幅に対する実時間検出方法について説明する。DNAが増幅されることにより、蛍光を発生する物質が添加されたPCR混合液27をキャピラリーチューブ13に注入する。その後、特定波長のレーザー光線41を二色鏡43と対物レンズ44を経てキャピラリーチューブ13に照射する。前記キャピラリーチューブから発生する蛍光42の量を検出器で測定すると、キャピラリーチューブ内におけるDNAの増幅程度を実時間で検出できる。
【0052】
本発明による連続流式反応装置は、連続的に流れる流体を反応させるが、特にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の遂行に有用できる。更に、本発明による多重連続流式反応装置の場合は、互いに異なる反応条件を有する反応を同時に2箇所以上で遂行することができるという長所がある。従って、本発明による装置はサイズが小さくて携帯可能なDNA多重増幅機器の製作などに応用することができる。巻き付けられたキャピラリーチューブのサイズがバイオチップ上の微細チャンネルと類似するので、前記装置はラブ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)と容易に一体化できる。また、実時間検出装置を結合することで、PCR中にDNAの増幅程度を実時間で確認することができる。
【0053】
次に、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれらに限定されるわけではない。
【0054】
<実施例1>連続流式反応装置の製作
(1−1)連続流式PCR装置の製作
図2aに示したように、本発明による連続流式PCR装置において、3つの加熱ブロック21、22、23は銅を用いて製作し、断熱ブロック12はベークライトを用いて製作した。
【0055】
前記3つの加熱ブロックを断熱ブロックの各側面に搭載して直径30mm、高さ65mmの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製作した(図2b参照)。前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体は、内部に断熱ブロックと該断熱ブロックを取り囲む同一の長さのアークを有する3つの加熱ブロックを有する。
【0056】
各々の加熱ブロックには、加熱のためのヒーターを挿入するための穴と、加熱ブロックの温度を測定して調節するための温度センサーを挿入するための穴とを穿孔した。具体的に、ヒーター(Firerod, Watlow, St. Louis, MO)を挿入するための穴は3.1mmの直径及び32mmの長さを有し、温度調節センサー(Watlow, St. Louis, MO)を挿入するための穴は1mmの直径及び27mmの長さを有するように製作した。
【0057】
前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体の外周に深さ250μm、幅250μmの螺旋溝をらせん回転(Turn of the helix)当たり1.5mmのピッチ(pitch)で形成した。前記螺旋溝は加熱ブロックの周りにキャピラリーチューブの位置を固定させ、反応時に熱伝達を容易にする。前記螺旋溝が加熱ブロック−断熱ブロック組立体の縦方向へ33回回転するように製作したが、これはDNA増幅反応に際してPCRサイクルの回数となる。また、前記キャピラリーチューブは、前記加熱ブロック−断熱ブロック組立体の螺旋溝の全体を巻きつけるとともに、溶液注入及び溶液回収などに必要な全ての部分の周囲を取り囲むもので、総3.5メートルを使用した。
【0058】
熱変性段階を遂行する加熱ブロックの先頭部及び伸張段階を遂行する加熱ブロックの終端部を巻き付けるキャピラリーチューブは、最初の熱変性段階から最終の伸張段階までの完全なPCRが進行するように長く製作した。
【0059】
図2a及び図2bに示したように、加熱ブロック−断熱ブロック組立体において、加熱ブロックの両末端にキャピラリーチューブが長く突出している。
【0060】
キャピラリーチューブは、ポリイミドをコーティングした外径240μm、内径100μmの溶融シリカ材質のものを使用した(Polymicro Technologies, Phoenix, AZ)。DNAやタンパク質などの生体物質がキャピラリーチューブの内壁に吸着されることを防止するために、前記キャピラリーチューブの内壁をシラン化した。シラン化のためには、まず、キャピラリーチューブにメタノールを30分間流してから、40℃にて12時間乾燥させた後、0.02MのTMS(trimethylchlorosilane)と0.04Mのイミダゾールとを含むDMF(dimethylformamide)溶液を充たして常温で一日間放置した。シラン化反応が終了した後、キャピラリーチューブをメタノール及び減菌蒸留水で洗い流した(rinse)。
【0061】
前記キャピラリーチューブを加熱ブロック−断熱ブロック組立体の外面に形成された螺旋溝に嵌合させることで、連続流式PCR装置を製作した。
【0062】
(1−2)多重連続流式PCR装置の製作
図3b乃至図3eに示したように、多重連続流式PCR装置を製作した。前記装置において、加熱ブロック及び断熱ブロックの材質としては前記実施例(1−1)と同様にそれぞれ銅及びベークライトを用いた。
【0063】
まず、一つの加熱ブロック11に一つの断熱ブロック12を組み立てて直径20mm、高さ40mmの加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造した。このような組立体を4つ製造した。各々の組立体の外周に深さ240μm、幅240μmの螺旋溝をらせん回転当たり1mmのピッチで形成した。前記螺旋溝が組立体の縦方向へ34回、回転するように製作した。また、前記キャピラリーチューブは、前記組立体の螺旋溝の全体を巻きつけるとともに、溶液注入及び溶液回収などに必要な全ての部分の周囲を取り囲むもので、約2メートルを使用した。
【0064】
前記組立体において、各々の加熱ブロックには、前記実施例(1−1)と同様にヒーター及び温度センサーを挿入するための穴を穿孔した。前記実施例(1−1)で使用した溶融シリカキャピラリーチューブやPTFEキャピラリーチューブ(Cole-Parmer Instrument, Co.)を使用した。
【0065】
キャピラリーチューブを巻き付けて完成された前記4つの組立体を別途 の3つの加熱ブロック31、32、33に各々組み立て、2つの加熱ブロック31、32は2つのキャピラリーチューブと接触し、一つの加熱ブロック33は4つのキャピラリーチューブと接触するように組み立てることにより、多重連続流式PCR装置を製作した(図3b、図3d、及び図3e参照)。
【0066】
<実施例2>連続流式PCR
前記実施例(1−1)で製造した装置を用いてキャピラリーチューブ内でのPCR混合液の連続流相でPCRを遂行した。
【0067】
鋳型DNAとしてはカナマイシン耐性遺伝子から分離したプラスミドDNA(promega)を使用し、配列番号1及び配列番号2に表示される塩基配列を有するプライマーを用いて前記プラスミドDNAのうち323bpの断片を増幅した。PCR混合液(総50μL)の組成を次のようであり、3μLの25mM MgCl2、5μLの10X耐熱性DNAポリメラーゼバッファー(500mM KCl、100mM Tris−HCl、1% Triton(登録商標) X−100)、1μLの10mM PCRヌクレオチド混合液(dATP、dCTP、dGTP及びdTTPがそれぞれ水に10mMずつ溶解されているもの)、3.3μLの12μM アップストリームプライマー、3.3μLの12mM ダウンストリームプライマー、0.25μLの5ユニット/μL Taq DNAポリメラーゼ、1μL(1ng)の鋳型DNA、そして33.15μLの減菌された3次蒸留水の組成を有する。
【0068】
キャピラリーチューブ内に0.3から5.0μL/分の流速で連続的にPCR混合液を注入するためにシリンジポンプ(22 Multiple Syringe Pump, Harvard Apparatus)を利用した。ガスタイトシリンジ(gas tight syringe)(250μL容量)にPCR混合液を充たしてこれをポンプに連結した。注射器の先端部をキャピラリーチューブの流体注入口の末端(熱変性反応を遂行する加熱ブロックの先頭部)側に連結した後ポンプすることにより、キャピラリーチューブにシリンジ内のPCR混合液が持続的に注入されて流れるようにした。
【0069】
前記装置において、各々の加熱ブロックの温度を95℃、60℃、及び72℃に保ち、前記PCR混合液が前記加熱ブロックを繰り返して接触するようにした。PCR混合液の移動速度をそれぞれ0.3、0.5、1.0、3.0、5.0μL/分に設定してPCRを行った。
【0070】
0.3μL/分の速度では溶液注入してから90分後に、5μL/分の速度では溶液注入してから約5分後に、キャピラリーチューブの流体排出口の末端(伸張反応を行う加熱ブロックの終端)からPCR産物を集めた。
【0071】
<実施例3>増幅されたDNAの確認
PCRが終了した試料のDNA増幅の有無を確認するために、ゲル電気泳動を施した。前記実施例2で収得した10μLのPCR産物をTBE緩衝溶液上で2%アガロースゲル電気泳動で分析した。DNA増幅水準を確認するために、既存の市販の機器(MBS 0.2G,Hybaid, U.K.)を用いて増幅した陽性対照区用試料及びサイズマーカーを一緒にロードした。市販の機器におけるPCR条件は95℃で2分、そして95℃で30秒、60℃で1分、72℃で2分であった。このようなサイクルを33回繰り返し、72℃にて5分間放置した。前記PCR産物を4℃に冷却してPCR反応を終了した。
【0072】
図5はPCR産物のゲル電気泳動結果を示す。図5において、レーン1(陽性対照区)は既存の市販の機器を用いてDNAを増幅した結果であり、レーン2乃至6は0.3μL/分乃至5.0μL/分範囲での異なる流速におけるDNA増幅程度の差を示したもので(左側から0.3、0.5、1.0、3.0及び5.0μL/分)、レーン7(陰性対照区)はPCRによって増幅されなかったDNAを、そしてレーン8は増幅されたDNAのサイズを測定するためのサイズマーカー(size marker)を示したものである。図5に示されたように、本発明による連続流式PCR装置を利用することで、高効率のDNA増幅が可能であった。特に、PCR混合液の移動速度が遅いほど、伸張反応が完全に進行するので、PCR混合液の低い移動速度で増幅効率が高いことが分かった。
【0073】
<実施例4>互いに異なるPCR混合液を用いた順次的DNA増幅
本発明者らは、本発明による連続流式PCR装置が互いに異なる組成を有するPCR混合液を順次に注入した場合でも各々の鋳型DNAに対する増幅反応を行うことができるか否かを調べた。
【0074】
前述のようなPCRを遂行するために、4つの鋳型DNA及び各々のDNAに対する一対のプライマーを含むPCR混合液を用意した。このとき、使用された鋳型DNA及びプライマーは下記の表1に示した。
【表1】
【0075】
各々の鋳型DNA及びプライマーを含むPCR混合液(試料1乃至試料4)を用意した。各PCR混合液の成分は前記実施例2で使用したもの同じであった。試料は次のような順序で繰り返して注入した。即ち、試料1(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料2(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料3(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)− 試料4(2μL)−空気層(<1cm)−ブロモフェノールブルー(2μL)−空気層(<1cm)−試料1(2μL)の順に注入した。
【0076】
前述において、空気層とブロモフェノールブルー緩衝溶液(30% グリセロール、30mM EDTA、0.03% ブロモフェノールブルー、0.03% キシレンシアノール)(購入先:Takara)はキャリオーバ(carryover)現象を防止するために各々のPCR混合液の間に注入した。
【0077】
その後、キャピラリーチューブの流体排出口の末端において、各々のPCR産物をブロモフェノールブルー溶液の色と空気層の介在によって識別して集めた。
【0078】
なお、DNA増幅の効率において、内壁コーティング効果を確認するために、本発明者らはキャピラリーチューブの内壁がトリメチルクロロシラン(TMS)でコーティングされたキャピラリーチューブ及びコーティングされていないキャピラリーチューブをそれぞれ用いてPCRを行った。
【0079】
PCR産物のDNA増幅の有無を確認するために、実施例3と同様な方法で、ゲル電気泳動を行った。一方、DNA増幅の程度を確認するために、市販の機器(MBS 0.2G,Hybaid,U.K.)を用いて増幅した陽性対照区試料とサイズマーカーを一緒にロードした。市販の機器でのPCR条件は95℃で2分、それから95℃で30秒、60℃で1分、72℃で2分であった。このようなサイクルを33回繰り返し、72℃で5分間放置した。前記PCR産物を4℃に冷却してPCR反応を終了した。
【0080】
図6はPCR産物のゲル電気泳動結果を示す。図6において、レーン1は増幅されたDNAのサイズを測定するためのサイズマーカーであり、レーン2、4、6、8、10、12、14及び16は市販のPCR機器を用いて遂行した試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示す。そして、レーン3、5、7、及び9は内壁がコーティングされていないキャピラリーチューブを用いた試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示し、レーン11、13、15及び17は内壁がコーティングされたキャピラリーチューブを用いた試料1乃至4に対するDNA増幅結果を示すものである。
【0081】
図6のレイン11、13及び15から分かるように、試料1乃至3に対するDNA増幅が効率的に行われたことを確認することができる。その結果、本発明による装置は互いに異なるPCR混合液を利用した順次的DNA増幅を行うことに適用可能である。
【0082】
以上、本発明の好適な実施例について詳述したが、本発明の範囲は前述した実施例に制限されることはなく、特許請求範囲によって定義された本発明のカテゴリ内で当業者によって多様に修正又は変更できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1a】本発明の好適な第1実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図1b】本発明の好適な第1実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図2a】本発明の好適な第2実施形態による高性能連続流式反応装置を示す概略図である。
【図2b】本発明の好適な第2実施形態による高性能連続流式反応装置を示す写真である。
【図3a】本発明による多重連続流式反応装置を製造するためにキャピラリーチューブが巻き付けられた加熱ブロック−断熱ブロック組立体を製造する過程を示す図である。
【図3b】本発明による多重連続流式反応装置の一例を示す平面図である。
【図3c】本発明による多重連続流式反応装置の一例を示す正面図である。
【図3d】本発明の好適な第3実施形態によって製造された多重連続流式反応装置を示す写真である。
【図3e】図3dの装置にキャピラリーチューブを巻き付け、ヒーター及びセンサーを装着した本発明による多重連続流式反応装置を示す写真である。
【図4】本発明による連続流式反応装置に実時間検出装置を連結した、実時間反応検出のための装置の一例を示す図である。
【図5】本発明による連続流式反応装置によりPCRを遂行した後、試料のDNA増幅の有無を確認したゲル写真である。
【図6】互いに異なる組成を有するPCR混合液を順次に注入してPCRを遂行した後、試料のDNA増幅の有無を確認したゲル写真である。
【符号の説明】
【0084】
11 加熱ブロック
12 断熱ブロック
13 キャピラリーチューブ
21、22、23 加熱ブロック
27 PCR混合液
28 DNA
31、32、33 加熱ブロック
41 レーザー光線
42 蛍光
43 二色鏡
44 対物レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、
流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、
前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする高性能連続流式反応装置。
【請求項2】
互いに異なる温度に調節される複数の固体加熱ブロックと、
前記加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つ以上の断熱ブロックと、
流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、
前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することを特徴とする高性能連続流式反応装置。
【請求項3】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を遂行することを目的とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項4】
前記加熱ブロックが、ヒーター及び温度センサーを用いて互いに異なる温度に調節されることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項5】
前記加熱ブロックが、銅、鉄、アルミニウム、黄銅、金、銀及び白金からなる群から選択された熱伝導性金属を用いて製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項6】
前記断熱ブロックがベークライト又はアクリルポリマー樹脂を用いて製造されたことを特徴とする請求項2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項7】
前記キャピラリーチューブが、ガラス、溶融シリカ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエチレンからなる群から選択された材質で製造されたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項8】
前記キャピラリーチューブの外壁が、ポリイミド又はポリテトラフルオロエチレンでコーティングされたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項9】
前記キャピラリーチューブの内壁が、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランからなる群から選択された少なくとも1つ以上の物質でコーティングされたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項10】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面に巻き付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項11】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面に形成された螺旋溝に沿って固定されたことを特徴とする請求項10記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項12】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面周囲に10回乃至50回巻き付けられていることを特徴とする請求項10記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項13】
互いに異なる温度に調節される3つ以上の固体加熱ブロックと、
前記加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つの断熱ブロックと、
PCR混合液の注入口である第1末端とPCR混合液の排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つのキャピラリーチューブとを含み、
前記キャピラリーチューブが前記3つの加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することでPCRを遂行することを目的とする請求項2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項14】
蛍光を誘発する光源、蛍光を検出する検出器、及び光線をキャピラリーチューブに照射した後、発生する蛍光を検出器に集束させる光学装置を含む蛍光誘導装置と、
前記蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させることができる走査装置とを更に含み、実時間反応進行度を探知できることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項15】
前記反応が実時間ポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする請求項14記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項16】
複数の加熱ブロック−断熱ブロック組立体が温度調節可能な複数の加熱ブロックと組み立てられて2つ以上の独立的な反応の遂行を可能にし、それぞれの組立体上に流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容するキャピラリーチューブが巻き付けられていることを特徴とする高性能多重連続流式反応装置。
【請求項17】
(a)請求項1又は請求項2に記載の装置におけるキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、
(b)適切な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階を含むことを特徴とする高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項18】
請求項1又は請求項2に記載の装置における固体加熱ブロックの個数が3つであり、95〜100℃、45〜65℃及び65〜72℃に設定された前記3つの加熱ブロックに前記キャピラリーチューブを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項19】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックに10回乃至50回繰り返して接触することを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項20】
前記PCR混合液が、MgCl2、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP)混合液、1つ以上のプライマー、1つ以上の耐熱性DNAポリメラーゼ、耐熱性DNAポリメラーゼバッファー、及び1つ以上の鋳型DNAを含むことを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項21】
前記プライマーが分子指標(molecular beacon)であることを特徴とする請求項20記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項22】
前記PCR混合液が、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を放出することができる1つ以上のインターカレーティング色素(intercalating dye)を更に含むことを特徴とする請求項20記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項23】
前記PCR混合液が、ポンプによりキャピラリーチューブの第1末端から第2末端まで移動することを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項24】
前記段階(a)におけるPCR混合液が、連続的又は断続的に注入されることを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項25】
断続的に注入されるPCR混合液が互いに異なる組成を有する場合、1つの組成を有する組成物を注入した後、有機溶媒又は空気層を注入する段階を更に含むことを特徴とする請求項24記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項1】
互いに異なる温度に調節された複数の固体加熱ブロックと、
流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、
前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする高性能連続流式反応装置。
【請求項2】
互いに異なる温度に調節される複数の固体加熱ブロックと、
前記加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つ以上の断熱ブロックと、
流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つ以上のキャピラリーチューブと、を含み、
前記キャピラリーチューブが前記複数の加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することを特徴とする高性能連続流式反応装置。
【請求項3】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を遂行することを目的とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項4】
前記加熱ブロックが、ヒーター及び温度センサーを用いて互いに異なる温度に調節されることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項5】
前記加熱ブロックが、銅、鉄、アルミニウム、黄銅、金、銀及び白金からなる群から選択された熱伝導性金属を用いて製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項6】
前記断熱ブロックがベークライト又はアクリルポリマー樹脂を用いて製造されたことを特徴とする請求項2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項7】
前記キャピラリーチューブが、ガラス、溶融シリカ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエチレンからなる群から選択された材質で製造されたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項8】
前記キャピラリーチューブの外壁が、ポリイミド又はポリテトラフルオロエチレンでコーティングされたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項9】
前記キャピラリーチューブの内壁が、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランからなる群から選択された少なくとも1つ以上の物質でコーティングされたことを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項10】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面に巻き付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項11】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面に形成された螺旋溝に沿って固定されたことを特徴とする請求項10記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項12】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックの外面周囲に10回乃至50回巻き付けられていることを特徴とする請求項10記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項13】
互いに異なる温度に調節される3つ以上の固体加熱ブロックと、
前記加熱ブロック間に介在して接触し、それらの加熱ブロックが互いに接触しないように配設された1つの断熱ブロックと、
PCR混合液の注入口である第1末端とPCR混合液の排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容する1つのキャピラリーチューブとを含み、
前記キャピラリーチューブが前記3つの加熱ブロックを順次に又は繰り返して接触することでPCRを遂行することを目的とする請求項2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項14】
蛍光を誘発する光源、蛍光を検出する検出器、及び光線をキャピラリーチューブに照射した後、発生する蛍光を検出器に集束させる光学装置を含む蛍光誘導装置と、
前記蛍光誘導装置及びキャピラリーチューブの相対的な位置を変化させることができる走査装置とを更に含み、実時間反応進行度を探知できることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項15】
前記反応が実時間ポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする請求項14記載の高性能連続流式反応装置。
【請求項16】
複数の加熱ブロック−断熱ブロック組立体が温度調節可能な複数の加熱ブロックと組み立てられて2つ以上の独立的な反応の遂行を可能にし、それぞれの組立体上に流体注入口である第1末端と流体排出口である第2末端を有し、第1末端から第2末端への連続的な流体のフローを許容するキャピラリーチューブが巻き付けられていることを特徴とする高性能多重連続流式反応装置。
【請求項17】
(a)請求項1又は請求項2に記載の装置におけるキャピラリーチューブの第1末端に1つ以上のPCR混合液を注入する段階と、
(b)適切な速度でPCR混合液の流速を制御しながら第2末端から排出されるPCR産物を回収する段階を含むことを特徴とする高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項18】
請求項1又は請求項2に記載の装置における固体加熱ブロックの個数が3つであり、95〜100℃、45〜65℃及び65〜72℃に設定された前記3つの加熱ブロックに前記キャピラリーチューブを順次に又は繰り返して接触させることを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項19】
前記キャピラリーチューブが、前記加熱ブロックに10回乃至50回繰り返して接触することを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項20】
前記PCR混合液が、MgCl2、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP)混合液、1つ以上のプライマー、1つ以上の耐熱性DNAポリメラーゼ、耐熱性DNAポリメラーゼバッファー、及び1つ以上の鋳型DNAを含むことを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項21】
前記プライマーが分子指標(molecular beacon)であることを特徴とする請求項20記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項22】
前記PCR混合液が、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を放出することができる1つ以上のインターカレーティング色素(intercalating dye)を更に含むことを特徴とする請求項20記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項23】
前記PCR混合液が、ポンプによりキャピラリーチューブの第1末端から第2末端まで移動することを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項24】
前記段階(a)におけるPCR混合液が、連続的又は断続的に注入されることを特徴とする請求項17記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【請求項25】
断続的に注入されるPCR混合液が互いに異なる組成を有する場合、1つの組成を有する組成物を注入した後、有機溶媒又は空気層を注入する段階を更に含むことを特徴とする請求項24記載の高性能連続流式核酸増幅方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4】
【図5】
【図6】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2007−520229(P2007−520229A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552030(P2006−552030)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000194
【国際公開番号】WO2005/075683
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【出願人】(502235773)バイオニア コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000194
【国際公開番号】WO2005/075683
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【出願人】(502235773)バイオニア コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
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