説明

連続状分析物監視用のシステムおよび方法

【課題】生物から抽出される生体液の特性を監視するためのシステムおよび方法に関し、生物から生体液を抽出しその特性を連続的に監視することを目的とする。
【解決手段】生物から抽出される生体液の特性を監視するためのシステムは、生物体の生物学的膜の表面またはその近傍に位置させるに適合する組織界面装置100および組織界面装置100に結合される監視および制御ユニット200を具備する。組織界面装置100は、流体の流路に位置する検知器115であって生物学的流体が生物学的膜に形成される1つまたは複数の人工的開口から流出するに際し当該生物学的流体の特性を連続的に検知するものを具備する。検知器115は、上記特性を表す検知器信号を発生する。監視および制御ユニット200は、検知器115を電気的または光学的に読取り、生物学的流体の特性の測定値、例えば特定の分析物の濃度を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物監視システムに関するものであり、さらに明確に言うと分析物測定など体液の特性の測定値を得るために生物から体液を抽出し生物の外部でこれを監視する連続分析物監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願は、1998年7月21日に提出された米国仮出願第60/093,534号、1999年6月18日に提出された米国仮出願第60/140,285号および1999年6月18日に提出された米国仮出願第60/140,252号に対する優先権を主張する。
【0003】
人間など生物から体液の標本を採取しその特性を測定する監視システムは周知である。この種のシステムの多くは、標本を採取しこの標本を測定するために生物(例えば皮膚の下など)へのセンサおよび関連装置の移植を伴う。短期間の移植でも、移植後最初の数時間内に線維芽細胞の急速な沈着、大食細胞プラク、線維成長およびその他の自然な生理学的被包プロセスが移植物を取り囲んで、移植された装置の能動的感知領域への分析対象物の自由な流れを阻み、制限し、変更することが立証されている。この被包効果を補正するための一般的方法は、最初の数日間従来の試験管内分析方法の数倍にセンサを目盛り合わせすることを伴う。さらに、移植後、センサを頻繁に目盛り合わせしなければならないので移植部位に外傷を生じ、目盛り合わせのための血液を採取するために付加的なフィンガー・スティックが必要になる。複数回目盛り合わせを行う必要があるため、移植される連続監視システムの多くにとって利点のほとんどを失う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移植可能センサの性能をさらに制限するのは、内部環境が一般に酸素が少ない事実である。このことは、分析物固有の反応を呼び起こす(そのために酸素を必要とする)多くの種類の反応性バイオセンサの性能を制限する可能性がある。開発されている一部の移植物に採用される解決法は、検定エレメントに達することのできる分析対象物の比例的量を制限する制限拡散膜を使用して、貧酸素内部環境における移植センサの使用寿命を延ばすものである。この妥協的解決法は、反応時間、分析物における漿液レベルの変化に対する反応の比例性および基本的検定信号-雑音比(SNR)に有害な影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、生物から生体液を抽出しその特性を連続的に監視することを可能にするためのシステムおよび方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡略に言うと、1つの態様に従えば、本発明は、生物から生体液を抽出しその特性を連続的に監視するためのシステムおよび方法に関するものである。このシステムは、生物の生物膜の表面にまたはその周りに配置するのに適する組織界面装置および前記組織界面装置に結合される監視および制御ユニットを備える。組織界面装置は、組織および流路に形成される1つまたはそれ以上の人工的開口から生じる生体液の特性を連続的に感知するために体液の流路に配置されるセンサを備え、前記特性を表すセンサ信号を発生する。監視および制御ユニットは組織界面装置に結合され、センサ信号を受信して、生体液の特性の測定値を連続的に導き出す。
【0007】
本発明は、センサを生体外、生物の表面または程度離して流体伝導部材を通じて生物に結合して配置することを伴う。従って、センサの反応をサポートするための酸素が(必要な場合)、簡単に入手できるので、より単純な基本的検定設計、より高いSNR、より速い反応、分析対象物の生理学的変化のより直線的追跡、およびセンサのより長い寿命が可能となる。センサ・システムの異質物質を全て体外に置くことにより、あらゆる移植装置に当然生じる自己免疫による被包および拒絶反応が決して起きない。
【0008】
さらに、センサを挿入するために身体の実際の貫入を避けることにより、移植システムの大きな不利点は、本発明に従ったシステムおよび方法により除去される。移植システムを使用することを考慮しようとしない多くの人が、このシステムの有力な候補者になる。また、センサ移植も膜を破壊する移植センサへの接続も伴わないので、先行技術のシステムに存在する感染の危険は本発明に関しては大幅に減少する。
【0009】
上記のおよびその他の本発明の目的および利点は、下記の添付図面に関連して以下の説明を参照すれば、さらに容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従った連続分析物監視システムを全体的に示すブロック図である。
【図2】本発明のシステムおよび方法に使用するための組織界面装置の略図である。
【図3】これを通じて組織において微小孔を形成し体液を収集して分析するための適切な組織界面装置の側面図である。
【図4】図3と同様な図である。
【図5】組織界面装置に対する電流測定センサ装置の位置を示す側面図である。
【図6】複数の使い捨てセンサ装置を収めるカートリッジを特徴とする組織界面装置の斜視図である。
【図7】監視および制御ユニットのブロック図である。
【図8】本発明に従った基本監視プロセスを示すフロー・チャートである。
【図9】図7に示される監視および制御ユニットに含まれるディスプレイ装置の図である。
【図10】本発明に従った連続監視システムを使って得られるグルコース測定データを示すグラフである。
【図11】図10と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
定義
本文書において使用される場合、「生物膜」という用語は、毛細管壁など生物の1つの領域を生物の別の領域から分離する構造、または皮膚、頬粘膜またはその他の粘膜など生物をその外部環境から分離する生物の外層を意味する。「上皮組織」という用語は、本文書において使用される場合、皮膚、粘膜および生物の体腔の内層を意味するものとする。
【0012】
本文書において使用される場合、「角質層」という用語は、約15層から約20層の細胞から成る最も外側の皮膚の層を意味する。角質層は、体内から外部環境への水分の損失および外部環境から体内への攻撃に対するバリアとなる。「表皮」という用語は、代謝の活発な皮膚領域を意味する。これは角質層のすぐ下にあり、角質層の約10倍の厚みである。表皮は、血液輸送構造すなわち毛細管を含まない。「真皮」という用語は、表皮の約10倍の厚みを持ち、表皮のすぐ下にある皮膚領域を意味する。真皮は、大量のコラーゲンを含有し、皮膚に構造的完全性を与える。真皮は、酸素および養分を皮膚の残りの層に与える小さい毛細血管の層を含んでいる。
【0013】
本文書において使用される場合、「組織」という用語は、構造的物質を形成する特定の種類の細胞並びにその細胞間物質の集合体を意味する。本発明の1つの実施態様が実施できるように、組織の少なくとも1つの表面は、電磁放射に接触可能であることが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。望ましい組織は皮膚である。本発明に使用するのに適するその他の組織には、粘膜組織および柔らかい器官が含まれる。
【0014】
本文書において使用される場合、「吸引(suction)」または「圧力(pressure)」は、システムが境界を接する生物の内圧に比較した場合の相対的圧力を意味する。「真空」は、「吸引」と同義に使用される。
【0015】
本文書において使用される場合、「剥離(ablation)」は、選択された領域における気化可能な物質の温度が気化点以上に急速に上がって前記の選択された組織の一部を急速に気化させるときに放出される力学的エネルギーにより、組織の選択された領域を周囲の組織から制御された方法で取り除くプロセスを意味する。
【0016】
本文書において使用される場合、「生体流体(biological fluid)」という用語は、血清、全血、間質液、リンパ液、脊髄液、血漿またはこれらの体液の組み合わせを意味する。「間質流体(interstitial fluid)」は、体内の細胞間の空間を占める澄んだ体液を意味する。
【0017】
本文書において使用される場合、「穿孔(poration)」、「微小穿孔(microporation)」またはこれに類する用語は、選択される目的のためまたは特定の医学的または外科的処置のために生物膜内からの分析物など生体液の通過または生物膜外から体内への浸透物または薬剤の通過に対する生物膜のバリア特性を減ずるために、皮膚または粘膜など生物膜または生物の外層に所望の深さまでまたはこれを貫通する小さい穴、開口または孔を人工的に形成することを意味する。上記の通り形成される穴または「微小孔」のサイズは、直径約1−1000μmである。「微小孔」という用語は、単純化するために単数形で使用されているが、本発明に従った統合的装置により複数の開口または孔を形成できることが理解されるはずである。
【0018】
本文書において使用される場合、「人工的開口」とは、微小孔を含めて、これを通じて流体を送るまたは抽出するために適したサイズの生物膜の物理的破壊を意味する。
【0019】
本文書において使用される場合、「統合的装置」という用語は、組織に小さい穴または微小孔を形成し、組織から生体液を収集し(好適にはそのように作成された微小穿孔を通して)、生体液の特性を判定するためにこれを分析するのに適する装置を意味する。
【0020】
本文書において使用される場合、「音波エネルギー」とは、10Hzから1000MHzまでの周波数を持つ機械的圧力波を意味する。
【0021】
「穿孔エレメント」という用語は、熱剥離、ランセットまたは針による組織の機械的破壊およびその他の既知の技法によるものを含めて、上に説明される微小孔、穴または開口を形成するためのあらゆる手段を含むものとする。機械的穿孔エレメントの一例は、共同譲渡され公示されたPCT出願WO9800193号「皮膚または粘膜の複数の機械的微小穿孔」において開示されている。このシステムに関連して使用するのに適する別の穿孔技法は、1999年7月14日に提出された共同譲渡された米国特許出願第09/353,130号「膜内外輸送のための火花電荷による生物膜の制御された除去」、弁理士事件整理番号第19141,0034号において開示されている。
【0022】
「加熱された探査子」または「伝熱性の要素」という用語は、組織の熱剥離を行うために電気、機械、音波、磁気、電磁または光エネルギーを加えられるとこれに反応して加熱可能な探査子(固相が望ましい)を意味する。単純化のために、探査子は加熱された状態または加熱されていない状態であるが加熱可能である探査子を含めて「加熱された探査子」または「加熱可能な探査子」と呼ぶ。
【0023】
連続分析物監視システムに関連して使用される場合、「連続」という用語は、システムの特定の用途に応じて変動する周期でまたは発生率で継続的に動作することを意味する。例えば、センサの出力は1分ごと、数分ごと、1時間ごと、数時間ごとなど、周期的に読み取ることができる。さらに、各読み取りごとに、時間的に比較的密に複数回読み取り値を得るように、任意にセンサ出力を複数回サンプリングして、表示または記録される最終読み取り値を決定するために前記の複数の読み取り値の平均またはその他の調整が行われる。
【0024】
まず図1を参照すると、本発明に従った連続分析物監視システムが全体として10で示されている。前記のシステム10は、基本的に3つのエレメント、すなわち組織界面装置100、監視および制御ユニット200および前記の2つのエレメントを接続するコネクタ300、を備える。下に任意の付加的エレメントについても言及されている。一般的に言って、組織界面装置100の機能は、組織の表面に付着し、そこに1つまたはそれ以上の人工的開口を作り、組織から体液を収集して、この体液の特性の測定値を得ることである。コネクタ300は、監視および制御ユニット200と組織界面装置100の間の機械的、電気的、および任意に光学的連絡となる。その代わりとして、コネクタ300を監視および制御ユニット200と組織界面装置100をリンクするワイヤレスのリンクに変えることができる。この場合、監視および制御ユニット200および組織界面装置100は、各々ワイヤレスのリンクを通じて通信するために適するトランスシーバを持つ。
【0025】
監視および制御ユニット200は、連続的に(または周期的に)測定された体液の特性を表す信号を読み取り、用途によっては体液収集および管理プロセスを助けるために組織界面装置100に対する吸引力を制御する。組織に人工的開口が形成される方法に応じて、任意の光学起動穿孔ユニット400を配備することができる。また、監視および制御ユニット200は、任意に、人工的開口を圧してまたは圧迫して組織からの体液の抽出を助けるために、組織界面装置100が付着される生物膜にプラスの圧力を加える能力も含む。組織界面装置100は、最終的に、分析物の凝縮の存在を示す電気信号を生成する。前記の電気信号は、いくつかの場所において生成できる。
【0026】
1つの実施態様においては、電気信号は、体液生成部位のまたはその付近のセンサによって生成される。別の実施態様においては、分析対象物の存在など生体液の特性に応じてその光学的特性(例えば、色または反射度)を変える体液と接するセンサに光学的に応答指令信号を発するために、監視および制御ユニット200に光学的読み取り手段が配備される。その代わりとして、光学的に読み取られた信号を電気リード線により監視および制御ユニット200に結合される電気センサ信号に変換するために、光学的読み取り手段が組織界面装置100に組み込まれる。
【0027】
図2を見ると、組織界面装置100について説明される。組織界面装置100は、基本的に、穿孔エレメント105およびセンサ110を備える。穿孔エレメント105は、感光物質(光学熱的材料)の層、1つまたはそれ以上の電気加熱エレメント、組織界面装置100と一体のまたは別個の機械的穿孔エレメント(ランセットまたはミクロランセット等)、または充分な量の組織を融解する(マスクにより幾何形状的に限定される)弱酸など一定量の化学物質を放出する薬品放出メカニズムを含めて、いくつかのタイプのうち1つとすることができる。特定の穿孔エレメントのタイプは本発明の中心的部分ではない。共同譲渡された米国特許第5,885,211号は、電気的に加熱されるおよび光学的に加熱される穿孔エレメントの例を開示している。
【0028】
組織界面装置100は、生物膜(BM)に当てられる(汗をかきにくい領域が望ましい)。その代わりとして、組織界面装置100が当てられるBMの部位(またはBMと接する組織界面装置100の表面)が、制汗薬または局部的に発汗を抑えるその他の薬剤化合物で処理される。この種の化合物は、神経伝達物質アセチルコリンが汗腺に達するのを制限する微量のボツリヌス毒素を含有する。この例としてはBotoxTM(登録商標)として市販される薬剤がある。
【0029】
センサ110は、電気化学バイオセンサ、反応酵素ベース、反射率、比色分析、吸光度、蛍光度または蛍光寿命ベースを含めた既知の形式の分析物センサの1つとすることができる。
【0030】
センサ110が電気的に読み取られるバイオセンサである場合、コネクタ300は、技術上周知のとおり電気的にセンサ110に接続するセンサのリード線310を備える。センサ110が光学的に読み取られるタイプのものである場合、センサのリード線310の代わりに、コネクタは、光ファイバーを含み、これを通じて監視および制御ユニット200の光学的読み取り手段から読み取りが行われる。その代わりとして、上に説明した通り、光源およびディテクタを備える光学的読み取り手段が組織界面装置100内に配置され、コネクタ300の電気リード線を通じて監視および制御ユニット200から遠隔的に制御され読み取られる。さらに、コネクタ300は、吸引または正の圧力を組織界面装置100に接続するチューブ320を備える。生物膜の人工的開口に加えられる吸引は、組織から開口を通ってセンサ10に接するように体液を連続的に引き寄せるために有益である。生物膜の周囲表面に加えられるプラスの圧力は、組織から組織界面装置100への体液の流れを誘導するために有益である。
【0031】
周囲組織において正の圧力勾配を発生するための方法は、組織構造の機械的圧縮、上に言及される米国特許第5,885,211号に開示される音波エネルギーの選択的応用、または局部的浮腫反応を生じるために選択される作用薬の周囲組織への導入により達成される任意の特徴である。
【0032】
その後の体液の標本が生物のその時点の分析物レベルを正確に反映するようにするために、組織界面装置の構成によっては、センサから体液標本を取り除くために任意に廃棄体液貯蔵エレメント115を配備することができる。廃棄体液貯蔵エレメントについてさらに詳しくは、同日に提出され共同譲渡された同時係属の米国特許出願第09/357,452号「連続体液収集およびセンサ装置における体液管理のためのシステムおよび方法」に記述されている。
【0033】
図3を見ると、組織界面層130の下面に配置される複数の電気加熱穿孔エレメント105Aを備える組織界面装置100が示されている。センサ110は、穿孔エレメント105Aの上に配置される。組織界面層130の一部は、装置100が生物膜に付着しやすくするために接着剤132を含むことができる。接着剤132は、生物膜上にニューマティックのシールを形成して、人工的開口付近の領域において圧力レベルを調節できるようにするためにも有益である。既知の技術を使ってコネクタ300と結合する酸素透過物質で形成される最上層が配備される。
【0034】
図3は、穿孔エレメント105Aとして光熱物質の層を持つ組織界面装置100を示している。穿孔エレメント105Aは、コネクタ300に含まれる光ファイバー、光学起動穿孔機400(図1)の別個の光源または組織界面装置100自体の中に含まれる光源から与えられる光エネルギーに反応する。いずれにしても、光熱物質は、加熱し、生物膜を剥離して1つまたはそれ以上の人工的開口を生物膜に形成するのに充分なエネルギーを伝導により生物膜の表面に送ることにより、光エネルギーに反応する。
【0035】
図3および4に示されるような統合的組織穿孔および体液採取装置に関する詳細は、1999年3月5日に提出され共同譲渡されたPCT出願第09/263,464号「統合的組織穿孔、体液採取および分析装置および方法」に開示されている。光熱物質に適した化合物については、1999年3月5日に提出され共同譲渡されたPCT出願第PCT/US99/04990号「生物医学用の光熱構造およびそのための方法」に開示されている。
【0036】
図5は、参照番号110Aで示される電流測定電気化学バイオセンサを特徴とする組織界面装置100を図解している。この構成は、任意のすすぎの集合体(rinse assembly) 116およびセンサへの洗浄液送り出しを制御するためのバルブ114も含む。洗浄液は、センサ110Aの劣化を防ぎ、センサから他の体液標本を取り除くために有益である。洗浄液をセンサに送り出すためのメカニズムについての詳細は、同日に提出される上記出願に示されている。
【0037】
図6は、カートリッジ150に配列される複数の使い捨てセンサ110Bを特徴とする組織界面装置10の別の形態を図解している。未使用のセンサ110Bを体液標本採取のための所定の位置に進めるためにカートリッジインデクシングのメカニズム160が配備される。新たな読み取りが行われる予定のとき、新しい未使用のセンサがジカートリッジインデクシングのメカニズム160により所定の位置を指示され、これに次の体液標本が充填される。この設計は、多様なパーソナルのグルコースの監視装置に現在使用されている電気化学および比色分析の形式、並びにグルコースなどの分析物の試験管内臨床実験用に使用される多くの検定システムを含めて、あらゆる形式のセンサと両立する。
【0038】
組織界面装置100の任意の修正は、表面張力効果の修正に基づきセンサ110への体液の流れを増強するものが含まれる。例えば、センサ110に体液の流れを向けるために、界面活性化合物が、組織界面装置100の選択されたコンポーネントに任意に塗布される。さらに、間質液をセンサ110に向けて運ぶために、メッシュを組織界面装置100に配することができる。メッシュは、装置100の最上層と最下層の間に配置されて、クランプで止められるか、小さいな熱溶接、糊または機械的スペーサにより所定の位置に維持される。メッシュは、表面張力により生体液をセンサの方向に動かすよう作用する。さらに、装置100の最上層と最下層の間に毛細管を形成して、体液をセンサ110の方向に動かすための表面張力効果を発生させることができる。表面張力の修正は全て、気泡のない体液標本をセンサに送り易くして、センサが示す読み取り値の信頼性および正確性を増すために有益である。
【0039】
メッシュは界面活性化合物で処理することもできる。さらに、体液が流れないことが望ましい装置100の表面を疎水性化合物で処理することができる。メッシュは、また、装置100の中の容積を排除するので、適切な検定測定のために必要な体液の体積を減少する。体液を検定センサまで輸送するために界面活性剤でウィッキングメッシュ(wicking mesh)の層を処理する技法は、技術上既知である。例えば、McCroskeyその他に対する米国特許第5,271,895号を参照のこと。界面活性剤処理層の既知の使用のその他の例は、Przybylowiczその他に対する米国特許第3,992,158号、故Goffeその他に対する第4,050,898号、Ogawaその他に対する第3,912,457号、Hamlbenその他に対する第4,053,381号、Terminielloその他に対する第4,774,192号、およびKennedyその他に対する第4,839,296号において開示されている。
【0040】
同日に提出される同時係属出願は、組織界面装置100において体液の流れを制御するための複数の技法を開示している。
【0041】
検定材料(例えば酵素等)がいつ消費されいつセンサを交換すべきかまたはいつ新しい組織界面装置100を設置すべきかを判定するためにセンサ内にインディケータを配備することができる。これは、被験者、監視対象である分析物、前記の被験者の時間経過による分析物のレベル、使用される特定の形式のセンサおよびその他の条件に応じて可変的である。
【0042】
組織界面装置100は、これが被験者の体の選択された部位に付着されるとき、被験者の自然な筋肉活動の作用が収集された体液がセンサを動きつづけるのを助けるように、柔軟であることが望ましい。
【0043】
組織界面装置100を組織のBMに当てる前に、人工的開口が形成される予定のBMの部位を、この部位と接する毛細管または毛管路を形成する領域を除いて、リング状の疎水性物質で処理することができる。生体液は、毛管路に向かい、毛細管、毛管作用または真空によりセンサと接する。
【0044】
別の可能性は、組織界面層130をBMに非常に接近させ、物理的にはBMに触れないがこれがBMの人工的開口から出てくる体液の滴に接するのに充分な近さに配置されるように組織界面装置100の位置を定めることである。上記の通り配置されるカバーが毛管路または毛細管を持つ場合、滴が結合し、検定のために引き出される前にカバーの表面に溜まる。その代わりとして、センサがカバーの両面に配置される。
【0045】
さらに高いレベルの保護として、穿孔部位の水または汗の汚染を検出するために組織界面層130にセンサを配備することが可能である。例えば、汗汚染を示すナトリウムおよび/またはカリウムイオンの濃度の特性変動を検出するために、イオン固有電極が有益である。前記の汚染を検出するための別の方法は、水など外部汚染物質が収集された体液と混合する状況を示すpHの変動を感知するセンサを使用することである。体液の中の多くの分析物レベルは非常に安定していて予測可能なので、「汚染テスト分析物」の監視は、分析対象物が正確に測定され報告されるようにするために有益である。汚染監視のために有益なセンサ技術は、センサ110について上に説明した技術と本質的に同じである。さらに、図に示され上に説明されるセンサ110は、複数の分析物を測定するために任意に修正され、前記の分析物の全てまたはその一部が、特定の分析物測定値の妥当性を確認するために使用される出力を生成するために選択される。
【0046】
組織界面装置を製造するために使用される材料は、使用中損傷修復メカニズムが遅延するように、BMの水分損失特性に一致するよう選択されることが望ましい。接着剤処理領域、真空(または圧力)シールのリング(または領域)および穿孔/真空(または圧力)領域は、この特性を持つように設計することが可能である。GoreTexTM(登録商標)またはその他の通気可能防水繊維は、水分損失を制御するように組織界面装置100を製造するのに適している。
【0047】
図7を見ると、監視および制御ユニットがさらに詳細に示されている。監視および制御ユニット200は、組織界面装置100から連続的(または周期的)に読み取り値を得るために組織界面装置100と通信し、組織界面装置100への加圧(負または正)を制御する。監視および制御ユニット200の中心はシステムの動作全体を制御する制御装置210である。制御装置210は、低電力マイクロプロセッサまたはプログラム可能であることが望ましいその他の適切な処理装置により体現することができる。一例は、日立H8/3437およびH8/2148制御装置であり、後者は、これに記憶されるプログラムを受信することができるオンボードのフラッシュメモリを備えている。
【0048】
監視および制御ユニット200は、ポンプ220、真空センサ222および真空制御装置224を備える。ポンプ220は、チューブ320(コネクタ300内部に収められるまたはこれに隣接する)により組織界面装置100に接続される。コントローラ210は、真空センサ222および真空制御装置224の両方に接続する。真空センサ222は、ポンプ220によって与えられるマイナスの圧力のレベルを監視し、信号を発し、これが制御装置210にフィードバックされる。制御装置210は、ポンプ220により与えられる負の圧力のレベルを周期的に監視して、制御信号を発し、真空コントローラ224はこの制御信号を受信して、ポンプ220によって発生される圧力のレベルを制御する。真空センサ222は、組織界面装置においてチューブ320の端近くあるいはチューブ320においてポンプ220近くに配置される。その代わりとして、真空センサは、システムの両端に配置され、この2つの真空センサにより得られる読み取り値の間の測定可能な差によりシール漏出を検出するように目盛り合わせされる。
【0049】
組織界面装置100において穿孔エレメントを制御するためのエレクトロニクスを、監視および制御ユニット200内部に含めるか、これと別個のものとすることができる。穿孔制御回路は参照番号230で示されており、電界効果トランジスタ(FET)238など電子的に制御可能なスウィッチの配列、FET制御回路234、1つまたはそれ以上のコンデンサ236および電流センサ(抵抗器など)238を備えている。穿孔制御回路230は、電気加熱される1本またはそれ以上のワイヤのエレメントあるいはレーザーなどの光源に送られる電流の量およびパルス長さを制御する。光源は、図7において参照番号239で表されている。
【0050】
制御装置210は、組織界面装置上のセンサが入力/出力(I/O)インターフェイス240および参照番号310で示されるリード線を通じて発するセンサ信号を読み取る。I/Oインターフェイス240は、ポテンシオスタット242に結合する。ポテンシオスタット242は、本質的に電流センサである。これは、電気信号の電流の量を感知するために、電源回路258および259の出力および組織界面装置のセンサ(測定値を表す電気信号を出力として発生する種々のセンサ)によって発せられるセンサ信号に結合される。制御装置210は、この電流信号を対応する(デジタルの)数値に変換し、これが記憶されおよび/または表示される。測定値の補正または調整は、制御装置210によって1つまたはそれ以上の調整アルゴリズム(技術として知られているもの)を使って行われる。
【0051】
監視および制御ユニット200に対する電力供給はバッテリー250により行われる。ON/OFF制御はスウィッチ252によって行われる。バッテリー250の電圧は制御装置210に結合されるバッテリー監視回路253によって監視される。バッテリー電圧は、2つの電源回路254および256に結合される。電源回路254は、監視および制御ユニット200のその他のコンポーネントの多くに電力を供給するために使用される第1の電圧を発生する。電源回路256は、制御装置210に電力を供給するために使用される第2の電圧を発生する。
【0052】
さらに、電気的にセンサ105を読み取る目的でリード線310を通じてセンサ105に結合される基準電圧を発生するために電源回路258および259が配備される。光学的に読み取られる反射率または比色分析センサが採用される場合、センサを光学的に読み取り、制御装置210により処理するために光信号を電気センサ信号に変換するために、光学的読み取り手段が配備される。このために、光学的読み取り手段は、光源(例えばLED等)、および組織界面装置100のセンサに光学的に結合されるディテクタ(例えばフォトダイオード等)を備える。その代わりとして、光学的読み取り手段は、光信号を電気センサ信号に変換するために組織界面装置200に組み込まれる。レンズおよびミラーなどその他の光学装置も、上記の通り得られる光学的読み取り値を最適化するために任意に採用される。その代わりとして、監視および制御ユニット200内での光源およびディテクタの要素の配置に配慮するが光ファイバーによりセンサにリンクされる光ファイバーのシステムを採用することができる。
【0053】
監視および制御ユニット200のその他のコンポーネントは、ディスプレイ260、リアルタイムクロック(RTC)270およびバックアップのバッテリー272、電気的消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)274、およびフラッシュ制御回路276である。EEPROM274は、制御装置210により生成されるデジタル測定データ値を記憶する。これは、下に説明する通り測定データが記録されるメモリ素子である。フラッシュ制御回路276は、更新されたまたは新しいソフトウェア制御および/または分析の手順を使って制御装置210を再プログラムするために使用される。
【0054】
ユーザーが監視および制御ユニット200の中の情報を制御しアクセスすることができるようにするために、ボタン280および282、並びに発光ダイオード(LED)284およびブザーなど可聴アラーム装置286が配備される。ブザーに加えてまたはその代わりに、従来の無線ページング受信器に使用されるような振動警告装置を配備することができる。
【0055】
プログラミングおよびその他の情報など情報の通信を可能にするために、監視および制御ユニット200は、シリアルI/Oポート290、赤外線復調器(IRDA)292およびインターロック回路294を備える。インターロック回路294は、組織界面装置100が人工的開口を形成しそこから体液を採取するのに適切な位置にあることを確認する。
【0056】
上で説明した通り、コントローラ210は、コントローラ内のメモリあるいはEEPROM 274など別個のメモリに記憶されるソフトウェアのプログラムにより(望ましい態様においては)システムの動作全体を制御する。組織の人工的開口の情報を制御する他に、コントローラ210の動作には、(1)連続的または周期的にまたは要求に応じてセンサ測定値を捕捉し、処理し、表示し、記録(記憶)すること、(2)基本機能およびデータにユーザーがアクセスできるようにすること、(3)バッテリー状態を監視すること、および(4)システムに対する診断インターフェイスとなること、が含まれる。
【0057】
或る場合には、読み取りは、組織界面装置100のセンサから行われ、測定値は、既知のプロセスに従って(使用されるセンサの形式に応じて)計算される。測定値はディスプレイ260に表示され、データはEEPROM274に記録される。他のケースにおいては、測定データは記録されるが表示されない。さらに他のケースにおいては、測定データは、外部で使用するためにまたはシステムの動作を診断するために、シリアルI/O290にダンプされる。システムの任意の特徴は、展開するまたは存在する危機的条件について遠隔サイトに警告するために無線インターフェイスを起動する制御コードを生成することである。無線インターフェイスは、携帯電話のリンク、ページングシステムのリンクまたはその他の無線リンク通信システムである。これは、特に、患者が気が付かない低血糖症状が発現したとき救助を求めて警告を発するためにユーザが連続的に監視される病院環境において有益である。
【0058】
一般的に、このシステムに関連する連続監視方法は、次のとおりである。まず、組織界面装置100が、生物膜の上またはその周りの所定の位置に配置される。次に、生体液への迅速な接近を容易にするために、上におよび参照特許、PCT公報および同時係属出願において説明される各種穿孔技法の1つを使って、生物膜に1つまたはそれ以上の人工的開口が形成される。次に、体液が生物から出て組織界面装置100に入るように体液が誘導される。
【0059】
この体液流出の誘導は、受動拡散または漏出プロセス、監視および制御ユニット200から与えられるマイナスの圧力による吸引強化プロセス、監視および制御ユニットから与えられるプラスの圧力による正圧力強化プロセス、共同譲渡された米国特許第5,885,211号に記述される音波エネルギー技法を使用する音波強化プロセス、電界または磁界強化プロセス、生物膜の体液バリア機能をさらに減ずるために1つまたはそれ以上の人工的開口の中に一定量の化学的流出エンハンサーを送り込む化学的強化プロセス、収集される体液の粘度を低下させることにより所与の時間内により多く流れるようにする化合物の人工的開口への導入、採取装置内での体液の収集および操作を容易にするために選択的に収集される体液の表面張力を変化させる化合物の人工的開口への導入、または上記の各種流出強化技法の組み合わせ、によって行うことができる。組織界面装置100の周りの組織へのプラスの圧力の励起は、縦方向にも横方向にも調節できる。
【0060】
図8を見ると、コントローラ210のソフトウェアのプログラムの論理的流れがさらに詳細に説明されている。電源が入ると、制御装置210は、ステップ510において初期化および自己試験ルーチンを実行する。次に、ステップ520で、プログラム可能イベントおよびタイミングのパラメータおよびその他の割り込みに基づいて次にとるべき動作を決定するために、イベント・ハンドラのルーチンが実行される。例えば、センサが読み取られる周期は、イベント・ハンドラのルーチンにおけるプログラム可能なパラメータである。イベント・ハンドラのルーチンがセンサを読み取るべきと判定する場合、ステップ530において、センサが読み取られ、このイベントにおけるセンサ出力に基づいて測定値が計算される。次に、ステップ540において、記録が行われることになっている場合にはメモリに測定データが記録または記憶される。ステップ520において制御がイベント・ハンドラのルーチンに戻り、ここで、例えば、センサ問い合わせイベントから得られたばかりの測定データを表示すべきかどうかが決定される。表示が行われる場合には、ステップ550においてディスプレイを更新するために測定データがディスプレイに結合される。イベント・ハンドラ520がエラーが生じたと判定する場合、エラーを処理するためにエラーハンドラのルーチン560が呼び出され、ステップ570においてエラーイベントが記録される。
【0061】
ステップ530においてセンサに問い合わせるプロセスについてさらに詳しく説明する。コントローラ210は、センサのリード線3110に対して適切な電圧バイアスを維持し、複数の測定値を得るために一定の標本採取周期で多数回センサ出力を読み取る。例えば、センサ出力は1Hzで10回読み取られる。その後、複数の読み取りに関する測定データが、最大の偏差または「範囲外」の特性についてコントローラ210によってチェックされる。次に、複数の読み取りが平均化される。次に、コントローラ210は、計算の関数(例えば記憶されたルックアップテーブルから導出されるもの等)を平均読み取り値に適用し、記録されおよび/または表示される対応する測定値を決定する。
【0062】
各センサ読み取りイベントごとに、バッテリー250の電圧が監視される。バッテリー電圧が第1のプログラム可能閾値より低いと判定される場合には低蓄電状態を示すためにLED284を通電することができる。さらに、バッテリー電圧が第2のプログラム可能閾値より低いと判定される場合、ブザー286など可聴アラームを起動して、システムを運転停止することができる。バッテリー性能を特徴付けるために、各センサ読み取りイベントと一緒に任意にバッテリー電圧が記録される。記録されたバッテリーのデータは、システムにおけるバッテリーの予測可能な挙動に基づいて、交換が必要となるまでの推定時間をユーザに警告するために有益である。例えば、システムは、任意に、各組織界面装置ごとに予め決められた連続使用期間作動するよう構成される。新しい組織界面装置が設置されると、予測バッテリー寿命計算が行われ、その後12時間のサイクルを完了できる確率が低いことが明らかである場合、ユーザはその時点でバッテリーを交換または充電するよう警告を受けることが可能である。
【0063】
制御装置の診断的側面には、基本的コンポーネント起動およびソフトウェア検査を伴うパワーアップ診断が含まれる。この診断には、RTC270、ポンプ220、バッテリー250およびディスプレイ260のチェックが含まれる。
【0064】
エラーハンドラのルーチン560を起動させるエラーイベントには、圧力がプログラム可能な範囲から一定時間以上外れることによって判定されるポンプの故障、低バッテリー電圧、不活動のRTC270および無効のセンサ測定(不連続、範囲外、雑音)が含まれる。
【0065】
特定の用途にとって有益になり得る監視および制御ユニットのその他の特徴には、遠隔無線受信器に送信するための測定データを含む信号を発する無線または赤外線送信機が含まれる。この信号は、双方向ページングまたはメッセージング標準または携帯電話標準に従ってフォーマットされる発信メッセージング信号の形態をとることができる。この信号は、医者、看護婦、両親など特定の受け手のアドレスと対応付けることができる。後者の特徴は、重大なあるいはもっと危険な状態になる前に適切な者が予防措置を取れるようにするので、低血糖状態になりそうな若い糖尿病の被験者に特に有益となる可能性がある。
【0066】
適切なディスプレイ260の例は、図9に示されている。ディスプレイ260は、LCDまたはLEDディスプレイとすることができ、mg/dlおよびμm/Lを単位とするグルコース読み取り値など分析物読み取り値、読み取り時刻および読み取り日付(月日)を示すためのディスプレイのセグメントを持つ。さらに、ディスプレイ260は、読み取り値がある閾値より低いと判定されるとき通電されるディスプレイのセグメント(“LOW”)を含む。可聴アラームが起動されるとき通電されるディスプレイのセグメントも配備される。その代わりとして、視力障害者またはまだ読み書きできない小さい子供のために合成音声出力を配備することができる。
【0067】
マイナスの圧力供給および別個の圧力ラインを提供する代わりとして、穿孔部位に圧力を与えて体液を押し出すために、ユーザが組織界面装置100を下に圧すると膨張する(膨張調整シューズ/ブーツと多くの点で同じ態様で)膨張式ベローまたは圧力リングを配備することができる。こうすることにより、別個の真空ポンプおよび真空ホースの必要がなくなる。
【0068】
監視および制御ユニット200は、一度に数時間、数日間または数週間ユーザが携帯して運べるように設計された小さい軽量のハウジングに収めることができる。このユニットは、次に、穿孔エレメント、センサの能動的エレメント、および体液採取および管理システムの一部または全てを配備するシステムの使い捨て部分を含んでいる組織界面装置に接続する。制御、ディスプレイ、メータ、電源およびその他の機能は非使い捨て監視および制御ユニット200内に含められる。
【0069】
その代わりとして、組織界面装置100および制御および監視ユニット200の全ての機能を、完全な使い捨て監視システムに統合することができる。この場合、サイズ及びコストの制約のため、高度な特徴の一部を省略したほうがいいかも知れない。この種のシステムは、手術後数日間特定の分析物を監視する必要のある術後患者など、比較的短い期間選択された分析物だけを厳密に監視する必要のある被験者にとって、特に有益である可能性がある。
【0070】
測定動作を開始させる信号は、任意に予めプログラムされるか、病院環境においてはナースステーションからの問い合わせなど外部コマンド信号によりまたは監視および制御ユニット200の手動「検定開始」ボタンを押すことにより被験者自身の要求に応じて誘発される。同様に、このトリガ信号は、インシュリンのポンプなど被験者とインターフェイスする別のシステムからも送ることができ、この場合、グルコースのセンサとしてセットアップされるセンサのシステムとの間の対話をインシュリン導出を調節するための擬似リアルタイム制御入力として使用できる。この同じ閉ループの概念を、導出される物質のレベルあるいはグルコースなど導出される物質の影響を受ける別個の分析物のレベルを監視するためにセンサのシステムを使用して、ジランティン、抗精神病薬、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなど多くの化合物および分析物に応用することができる。インシュリンまたはカルシウムイオンの活性は甲状腺ホルモンの導出により加減することができる。
【0071】
制御装置210は、任意に、センサから得られる測定値が特定の範囲から外れるとアラーム信号を発するようにプログラムされる。例えば、グルコース読み取り値がある範囲外である場合、読み取り値の低すぎまたは高すぎを示すアラームの性質を持つ可視または可聴アラームを起動するためにアラーム信号が誘発される。その代わりとして、制御装置210を、一定期間動向を監視するか、アラーム信号を発する前に一定期間閾値の上下の読み取り値を監視するようプログラムすることができる。さらに、制御装置210を、アラームまたは緊急アラーム条件が検出された場合追加読み取りを行うようプログラムすることができる。例えば、ユーザのグルコースのレベルは70mg/dlであるが、1時間前の読み取り値が120であったら、システムは、動向を検定してその状況および今後10から30分以内に低血糖症を起こす可能性を意味することをユーザに知らせるために、自動的に、5分ごとに追跡読み取りまたは一連のフォローアップを誘発することができる。同様に、制御装置210を、読み取り値が以前の読み取り値と比べて上昇しているか、安定しているか、低下しているかを示すために動向を表示するようプログラムすることができる。さらに、制御装置210は、任意に、時間の経過と共に読み取られる一連の値から読み取り値の第1および/または第2の導関数を計算するようにプログラムされる。
【0072】
図10および11は、毛細血管フィンガー・スティックにより得られる血液について精密のQIDTM(登録商標)血液グルコースのメータを使って行った測定と比較した場合の、連続監視システムによる休息する糖尿病患者について行われたグルコース測定の例を示すグラフである。図の中の実線は、連続監視システムにより得られた代表的データであり、図の中のデータのポイントは精密のQIDTM(登録商標)血液グルコースのメータを使った離散的メータ読み取りに対応する。図10において、グルコース負荷が経過時間20分のときに与えられた。図11において、皮下インシュリンがデータ収集直前に投与され、グルコース負荷は経過時間2時間40分の時点で投与された。これらの図は、コントローラにおいてどのように警報の条件が或るグルコースのレベル(プログラム可能な最大値の上方またはプログラム可能な最小値の下方)にプログラムされることができるかをも示す。
【0073】
本発明のシステムおよび方法は、先行技術の離散的および連続的監視システムに比べて多くの利点を持つ。移植可能連続監視センサのシステムの利点および便利さを全て維持しながら、生体外に設置されるシステムの能動的センサのエレメントを生物の外部の生物膜の表面にパッチ状に配置することにより、生体外パッチを必要に応じて数時間、数日または数週間持続するように設計することが可能である。
【0074】
さらに、体液を連続的に収集することにより、微小穿孔技術は、離散的使い捨て検定システムに課せられる標本流出速度の制限を簡単に克服することができる。調査の結果、特に間質液の収集のために長い時間開放体液生成条件で一定数の微小孔を維持できることが明らかになっている。部位を故意に空気にさらして放置して、孔が乾燥しないよう何も手を打たなかった調査において、孔の形成から14時間後も、孔は吸引力を与えられることにより体液の流出を誘発され得ることが明らかになった。この調査において、14時間の時点で最初の45秒の吸引は一般的に少量の体液を生じ、その後の45秒の吸引は、急速に体液流出速度を増して以前に示したピークのレベルに達したことが分かった。
【0075】
組織に形成された人工的開口は、たとえ体液が開口からまだ抽出されていても数日以内に結局閉じることが分かっている。例えば、皮膚に関しては、空気にさらされると、主にISFで得られるアルブミンおよびその他のタンパク質により形成される澄んだタンパク質様のフィルムが凝集して変性する。これが、表皮の結局は落屑となる第1の段階であり、その結果、その後の7日か14日で、新たに角質化した表皮細胞が平らになり下から孔の部位に角質層を形成するに連れて、開口は完全に無くなる。このバリアが形成された後孔の部位のタンパク質様フィルムに水分を与えると、このタンパク質層は速やかに融解して、再び孔を開けることができ、最初にテストしたときと同じ体液流出速度を示すことが明らかになっている。上記の結果に基づき、穿孔部位の使用寿命は、完全に空気にさらさないように保護し水分を維持すれば伸ばすことができるので、同じ開口を、何時間でも、何日間でも、たぶん何週間でも体液特に間質液を体内から得るために使用することが可能である。局所作用薬として日常的に使用されるある種の化合物は、表皮の穿孔部分を再構築する作用のある体の自然の修復/治癒プロセスをブロックまたは遮断するのに有益であることが確認されている。孔の部位を覆う組織界面装置100にこの種の化合物を1つまたはそれ以上組み入れることにより、孔からの長期的流出をさらに強化することができ、或る場合には局部的過敏症および水腫等、穿孔のプロセスに対する体の反応の負の美容的観点の幾つかを低減させる付加的な利点がある。
【0076】
上記の説明は例示のためのみに意図されたものであり、特許請求の範囲に明示される場合を除き本発明を制限することが意図されたものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物から抽出される生体液の特性を連続的に監視するためのシステムであって、
前記生物の生物膜の表面にまたはその周りに配置するのに適し、前記生体液が組織および前記生体液の流路に形成される1つまたはそれ以上の人工的開口から流れ出るとき前記生体液の特性を連続的に感知するために前記流路に配置されるセンサを備える組織界面装置と、
連続的に前記生体液の特性の測定値を導出するためにセンサを読み取る、前記組織界面装置に結合される監視および制御ユニットと、を備えるシステム。
【請求項2】
該システムにおいて、前記センサが分析物センサを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットがセンサから読み取りが行われるときを制御するコントローラを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに、前記センサを前記監視および制御ユニットに結合する電気リード線を備え、該システムにおいて、前記組織界面装置の前記センサが前記生体液の特性を表す電気センサ信号を発し、前記電気リード線が前記電気センサ信号を前記監視および制御ユニットに結合する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
該システムにおいて、前記センサが前記生体液の特性に反応してその光学的特性を変える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが前記センサを光学的に読み取るための手段を備える請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、前記光学的に読み取るための手段と前記センサの間に結合される少なくとも1つの光ファイバーを備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
さらに、前記センサを前記監視および制御ユニットに結合する電気リード線を備え、該システムにおいて、前記組織界面装置が前記センサを光学的に読み取るための手段を備え、それを表す電気センサ信号を発し、前記電気リード線が前記電気センサ信号を前記監視および制御ユニットに結合する請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、前記監視および制御ユニットを前記組織界面装置に接続するコネクタを備え、該システムにおいて、前記コネクタがその長さ全体に伸びるチューブを含み、前記監視および制御ユニットが、前記チューブに結合される吸引源を備えて、前記体液収集およびセンサ装置を通じて前記1つまたはそれ以上の人工的開口から生体液を引き出すように前記組織界面装置に吸引力を与える請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが吸引のレベルを制御するコントローラを備える請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
さらに、前記組織界面装置に与えられる吸引力を測定するための圧力センサを備え、前記圧力センサが前記吸引力をあらわす圧力信号を出力として発し、該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが前記圧力信号を読み取る請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
該システムにおいて、前記コントローラが前記センサから得られるデータを記憶される値と比較して、記憶される値から逸脱すると判定する場合にはアラーム信号を発する請求項3に記載のシステム。
【請求項13】
さらに、聴覚および(または)視覚的アラームを発するために前記アラーム信号に反応するアラーム装置を備える請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
該システムにおいて、前記組織界面装置が生物膜に1つまたはそれ以上の人工的開口を形成するための1つまたはそれ以上のエレメントを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
該システムにおいて、前記組織界面装置が組織界面層を備え、かつ該システムにおいて、前記1つまたはそれ以上の人工的開口を形成するためのエレメントが、組織表面を熱剥離してこれに前記1つまたはそれ以上の人工的開口を形成するために前記組織界面層に露出する1つまたはそれ以上の電気加熱可能なワイヤ・エレメントを備え、該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが前記電気加熱可能なワイヤ・エレメントに通電するために信号を発する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
該システムにおいて、前記組織界面装置がその表面に配置される光学的吸収材料の層を持つ組織界面層を備え、該システムにおいて、前記光学的吸収物質がこれに焦点が当てられる光エネルギーのビームに反応して加熱し、前記生物膜の表面を熱剥離してこれに前記1つまたはそれ以上の人工的開口を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
さらに光エネルギーのビームを発生する光エネルギー源を備える請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
該システムにおいて、前記光エネルギー源が前記監視および制御ユニット内に収められ、該システムがさらに光エネルギーのビームを前記組織界面装置上の前記光学的吸収物質に結合する光ファイバーを備える請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
該システムにおいて、前記組織界面装置が連続的に生体液を収集しある期間その特性を感知するために前記期間前記生物膜の表面に付着される請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
さらに、前記組織界面装置と前記監視および制御ユニットの間で信号を通信するためにこの間で接続される1つまたはそれ以上の導電体を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが身体に着用可能または付着可能なハウジングに収められる請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットがプログラム可能な周期で前記センサから得られるデータを記憶するために前記コントローラに結合されるメモリを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
該システムにおいて、前記監視および制御ユニットが測定データを表示する前記コントローラに結合されるディスプレイを備える請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
生物の生物膜から生体液を抽出し、その特性を連続的に監視するための方法であって、
前記生物膜に1つまたはそれ以上の人工的開口を形成するステップと、
前記1つまたはそれ以上の開口から収集される生体液の特性を表すセンサ信号を導くために前記特性を連続的に感知するステップと、
前記生体液の前記特性の測定値を連続的に得るために前記センサ信号をモニタに結合するステップと、を含む方法。
【請求項25】
さらに、前記生物膜から生体液を引き出して前記センサに接触させるために、前記1つまたはそれ以上の人工的開口に吸引力を与えるステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記センサから得られる測定データを連続的にメモリに記憶するステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
さらに、前記センサから得られるデータを記憶される値と比較し、記憶される値からの逸脱があると判定されると聴覚または視覚的アラームを生成するステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
該方法において、前記結合のステップが前記センサ信号を前記モニタに電気的に結合することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項29】
該方法において、前記結合のステップが前記センサ信号を前記モニタに光学的に結合することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項30】
該方法において、前記結合のステップが無線高周波信号を前記モニタに送信することを含む請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−9992(P2013−9992A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201710(P2012−201710)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【分割の表示】特願2011−207879(P2011−207879)の分割
【原出願日】平成11年7月20日(1999.7.20)
【出願人】(501074696)ガイデッド セラピューティクス,インコーポレイティド (3)
【出願人】(500415759)アルテア セラピューティクス コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】