説明

連続的で、溶媒を使わない樹脂乳化のためのスクリュ式押出機

【課題】効率がよく、所要時間が短く、その結果、品質が一貫したトナー製品が得られ、環境に優しいような、トナー製品で用いるのに適したラテックス樹脂を調製するスクリュ式押出装置を提供する。
【解決手段】材料を入れる供給ホッパと、少なくとも1つの供給口および少なくとも1つの出口を備える本体部分とを備えたスクリュ式押出機で、長軸方向に規定されている経路に沿って移動可能なスクリュも備え、経路に沿ってスクリュを回転するように動かすためのドライブシャフトをさらに備えている。スクリュ式押出機は、1個以上の一連の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材を備えた供給ホッパから入った材料を混合する構成になっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラテックスエマルションおよびトナーを調製するためのスクリュ式押出装置に関する。より特定的には、重縮合反応を利用してポリエステル重合を行うための連続プロセス、および、ポリエステルの乳化、コロイドの懸濁、中和反応を利用する連続プロセスが記載されている。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の印刷または複写デバイスで使用するためのトナー組成物を作るプロセスは、すでに開示されている。
【0003】
上述のように、EA型トナーを作るのに利用されるラテックスポリマーは、バッチ式または半連続式の乳化重合によって作られてもよい。樹脂を製造するためのバッチ式プロセスでは、バッチ反応器内で、高温で塊状重縮合による重合が行われる場合がある。重縮合反応に必要な時間は、塊状の材料での熱移動、粘度が高いこと、物質移動が制限されることによって、長くかかる。次いで、得られた樹脂を冷却し、砕き、粉砕した後に溶媒に溶解させる。次いで、溶解した樹脂に転相プロセスを行い、ポリエステル樹脂を水相に分散させてポリエステルラテックスを調製する。次いで、蒸留法によって、水相から溶媒を除去する。
【0004】
このプロセスでは溶媒を用いるので、環境的な問題が生じる場合がある。
【0005】
それに加え、バッチプロセスを利用する場合、個々のバッチプロセスが、大量の材料を取り扱うことを含むため、トナーを作るときに、それぞれのプロセスを終了して次のプロセス(すなわち、凝集および/または融着)へと移動するまでに多くの時間がかかってしまう。それに加え、バッチごとに変動が生じ得るため、バッチ間で品質を一貫させるのは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
効率がよく、所要時間が短く、その結果、品質が一貫したトナー製品が得られ、環境に優しいような、トナー製品で用いるのに適したラテックス樹脂を調製するスクリュ式押出装置が得られることは利点であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によって、スクリュ式押出機が得られる。このスクリュ式押出機は、材料を入れる供給ホッパと、少なくとも1つの供給口および少なくとも1つの出口を備える本体部分と、本体部分内部に配置され、長軸方向に規定されている経路に沿って移動可能なスクリュとを備えている。また、スクリュ式押出機は、この経路に沿ってスクリュを回転するように動かすためのドライブシャフトを備えている。スクリュ式押出機は、1個以上の一連の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材を備えた供給ホッパから入った材料を混合する構成になっている。
【0008】
さらなる実施形態では、結晶性樹脂を乳化させるためにスクリュ式押出機を使用する。しかし、他の実施形態では、アモルファス樹脂を乳化させるためにスクリュ式押出機を使用する。
【0009】
スクリュ式押出機は、2枚葉機械または3枚葉機械と機械的に連動していてもよい。スクリュ式押出機は、連続した無溶媒乳化プロセスでラテックスエマルションを製造してもよい。さらに、スクリュ式押出機は、連続した重縮合反応段階の後、樹脂を水相に乳化させることによってラテックスを製造してもよく、それぞれの段階が、別個の混練部材を含んでいる。
【0010】
さらなる実施形態では、混練部材が、スクリュ式押出機内にコロイド状分散物が滞留する時間を長くし、混練部材は、激しい分散混合を促進し、滞留時間を長くして、材料間の反応を促進する。
【0011】
少なくとも、重縮合プロセス、中和プロセス、乳化プロセスのためにスクリュ式押出機が提供されてもよい。例示的な実施形態では、スクリュが回転することによって、重縮合段階で材料の混合を容易にし、経路に沿って材料が移動するのを容易にする。
【0012】
少なくとも1つの供給口は、制御された速度で材料が入るような構成になっている。少なくとも1つの出口は、経路から出た水蒸気および窒素を除去するためのコンデンサに接続される。ドライブシャフトは、モータに接続されており、押出機は、約50rpm〜約1500rpmの速度で回転する。
【0013】
本開示によって、樹脂を乳化するような構成のスクリュ式押出機が得られる。スクリュ式押出機は、少なくともNaOHおよび樹脂を入れる供給ホッパと、少なくとも1つの供給口および少なくとも1つの出口を備え、少なくとも1つの供給口が、制御された速度でNaOHおよび樹脂が入るような構成になっており、少なくとも1つの出口が、コンデンサに接続されるような構成になっている、可とう性で細長い本体部分とを備えている。また、スクリュ式押出機は、本体部分内に配置され、長軸方向に規定されている経路に沿って移動可能であり、回転することによって重縮合段階でNaOHと樹脂の混合を容易にするスクリュと、スクリュを前記経路に沿って回転するように動かすためのモータとを備えている。スクリュ式押出機は、1個以上の一連の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材を備えた供給ホッパから入ったNaOHと樹脂を混合する構成になっている。
【0014】
実施形態では、本開示の方法は、連続した無溶媒乳化プロセスでラテックスエマルションを製造することを含んでいてもよい。この方法は、ドライブシャフトによって、経路に沿って回転するように動かされるスクリュを備えたスクリュ式押出機の供給ホッパに、制御された速度で材料を供給することと;スクリュ式押出機の経路内で、上述の材料を放散混合によって溶融することと;上述の溶融し、混合した材料に、第1の量の水を注入することと;上述の材料を、第1の一連の1以上の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材で混合することと;第2の量の水を注入することと;第2の一連の混練部材を適用することと;上述のスクリュ式押出機の出口から、コロイド状分散物を回収することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乳化のための3枚葉機械のスクリュ式押出装置を模式的に示す。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る、乳化のための3枚葉機械のスクリュ式押出装置を模式的に示す。
【図3】本開示に係る、結晶性ポリエステル乳化のためのプロセスフローを示すフローチャートである。
【図4】乳化のための2枚葉機械のスクリュ式押出装置を模式的に示す。
【図5】本開示の第2の実施形態に係る、乳化のための2枚葉機械のスクリュ式押出装置を模式的に示す。
【図6】本開示に係る、アモルファスポリエステル乳化のためのプロセスフローを示すフローチャートである。
【図7】本開示にしたがって、図4および図5のスクリュ式押出装置を用いて得られたラテックス粒子の比較結果を示す。
【図8】本開示にしたがって、図4および図5のスクリュ式押出装置を用いて得られたラテックス粗大粒子の比較結果を示す。
【図9】本開示の第3の実施形態に係る、乳化のための2枚葉機械のスクリュ式押出装置を模式的に示す。
【図10】本開示のスクリュ式押出機を用いて製造されたラテックスのコロイド状分散物および概算した粘度プロフィールを示す。
【図11】本開示の1枚葉(らせん開始点が1箇所)、2枚葉、3枚葉のスクリュの違いを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示によって、トナー組成物を作るときに使用するのに適した樹脂を製造するためのプロセスが得られる。このプロセスは、連続であり、溶媒を使わない。実施形態では、連続した縮重合から製造されるポリエステルの乳化を促進するプロセスで中和剤を利用してもよく、次いで、これを利用してポリエステルエマルションを作ってもよい。得られた樹脂は、実施形態では、トナーを作るのに適している場合がある。
【0017】
本開示にしたがってトナー組成物を製造するプロセスは、1つの連続したプロセスでラテックスエマルションを得るために、連続した乳化重合プロセスと、連続した無溶媒乳化プロセスとを含み(図10に模式的に示されている)、次いで、このラテックスエマルションを利用してトナーを製造してもよい。このプロセスは、溶媒を用いることなく行われてもよい。
【0018】
ラテックスを作るために、少なくとも1つのスクリュ式押出機を利用してもよい。
【0019】
実施形態では、このプロセスは、重縮合、中和、乳化の3つの異なる段階を含んでいてもよい。他の実施形態では、あらかじめ製造したポリエステルを利用する場合、重縮合工程を省くことができ、このプロセスは、中和と乳化を含む。
【0020】
実施形態では、本開示のプロセスは、1つの連続したプロセスでラテックスエマルションを製造するために、少なくとも1つのスクリュ式押出機を利用していてもよい。ラテックスエマルションを作るためにスクリュ式押出機を利用したシステムの模式図を図10に示している。このようなシステムを任意のポリマーラテックス(均質なラテックスまたは構造化したポリマー粒子を含むラテックスを含む)を製造するために使用してもよい。
【0021】
実施形態では、連続した塊状重縮合反応の後、調製したポリエステル樹脂を、なんら溶媒を使うことなく水相に乳化させることによってラテックスエマルションを製造するために、図10のシステムを利用してもよい。
【0022】
図10に戻ると、あらかじめ加熱した液体試薬または試薬混合物を、反応性試薬および基質を混合させることが可能なように、1個または複数個の供給口150、160を介してスクリュ式押出機100に供給してもよい。実施形態では、この反応は、不活性ガス(例えば、窒素)下で行われてもよく、アクセス口160を介してスクリュ式押出機100に導入され、出口180を介してスクリュ式押出機100を出てもよい。受入槽185は、出口180の内容物を受け入れてもよい。また、反応剤へと逆流する水蒸気および窒素を除去するために、コンデンサ(示されていない)がスクリュ式押出機100に接続されていてもよい。また、スクリュ式押出機100は、樹脂およびNaOHを経路190に供給するための樹脂フィーダ130とNaOHフィーダ140とを備えていてもよい。
【0023】
図10からわかるように、スクリュ式押出機100は、スクリュ120と、スクリュ式押出経路190と、出口180と、ポンプ170と、加熱/冷却システム、熱電対、他の材料供給口を含む任意の構成要素(示されていない)とを備えていてもよい。スクリュ120は、シャフト110によって動かされてもよく、シャフト110は、スクリュ120を毎分約50回転(「rpm」)〜約1500rpm、実施形態では、約250rpm〜約1000rpmで回転させるのを可能にする従来の様式で、駆動モータ(示されていない)に接続していてもよい。
【0024】
液体試薬、場合により、約80℃〜約140℃、実施形態では、約90℃〜約120℃の温度にあらかじめ加熱した液体試薬を用いてラテックスを作ってもよく、1つまたは複数の供給流によって押出機100に供給し、次いで、押出機100中で混合してもよい。スクリュ120の回転は、重縮合段階での反応剤の混合と、スクリュ式押出機100への材料の移動の両方を促進する。この反応は、約200℃を超える適切な温度、実施形態では、約200℃〜約360℃、実施形態では、約210℃〜約325℃、他の実施形態では、約225℃〜約275℃で行われてもよい。反応剤の望ましい滞留時間は、液体の供給速度およびスクリュの速度を含む、押出機の設計および操作によって達成されてもよい。実施形態では、反応剤が、重縮合反応中に、約1分〜約100分、実施形態では、約5〜約30分残っていてもよい。
【0025】
液体試薬は、あらかじめ作っておいたポリエステルを含んでいてもよく、実施形態では、ポリエステル自体を作るのに利用される試薬、例えば、所望のポリエステルを作るのに有用な任意の酸、アルコール、二塩基酸、ジオールなどを含んでいてもよい。したがって、エステル自体がスクリュ式押出機100内で作られる場合、重縮合反応段階を、エステル化と重縮合の2つの副工程に分けてもよい。このような場合には、エステル化工程で、試薬をスクリュ式押出機100に入れ、スクリュ式押出機100のうち供給口150に近い部分でエステル化が起こり、スクリュ式押出機100のうち出口180に近い部分で重縮合が起こる。
【0026】
重縮合の速度は、部分的に、溶融物から水蒸気を除去する速度を制御することによって制御されてもよく、水蒸気を除去することによって、重縮合の速度が大きくなる場合がある。所望な場合、システムをわずかに減圧にして、実施形態では、重縮合反応の速度が大きくなる場合がある。
【0027】
上述のように、ある実施形態では、酸化反応および他の副反応を防ぐために、反応系に窒素ガスを流してもよい。
【0028】
重縮合反応の終点は、望ましい分子量によって決定してもよく、この分子量は、材料の溶融粘度または酸価と相関関係がある。
【0029】
上述のように、これらのパラメータは、プロセス中の温度を制御し、水を除去して重縮合の速度を調整することによって一致した結果を得てもよい。
【0030】
さらに、図2からわかるように、乳化のための3枚葉機械で用いるスクリュ式押出装置20が示されている。用語「2枚葉」および「3枚葉」は、スクリュのらせんの開始点の数を指している。言いかえると、2枚葉は、スクリュに沿って2箇所のらせん開始点があり、3枚葉は、スクリュに沿って3箇所のらせん開始点がある。図11は、1枚葉(らせん開始点が1箇所)、2枚葉、3枚葉のスクリュの違いを示す。外形300は、開始点1箇所のスクリュ310、開始点2箇所のスクリュ320、開始点3箇所のスクリュ330を示す。葉の数(開始点)が増えるにつれて、システムは大きな剪断力および剪断応力を作りだし、同じスクリュ速度および処理条件で、システム内での材料の滞留時間が長くなる。また、3枚葉機械は、剪断応力および剪断速度が大きいため、高い粘度によって放散する。3枚葉機械は、押出システムの溶融混合物を放散させるのに有効である。しかし、3枚葉機械は、自由体積が少なく、出力量も少なくなり、2枚葉機械と比較して生産性も落ちる。したがって、2枚葉機械は、これよりも自由体積が大きく、生産性も大きい。また、2枚葉機械は、生産性を失うことなく、処理条件を変えることによって3枚葉機械に匹敵するものとして有効に使用することもできる。
【0031】
樹脂、NaOH、界面活性剤の混合物をスクリュ式押出機100の供給ホッパ130、140に入れ、制御された速度でスクリュ式押出機100へと供給してもよい。入り込んだ材料を、スクリュ式押出機100の最初のセクションである固体コンベアゾーン(セクション1および2)のコンベアスクリュ120によって運んでもよい。
【0032】
入り込んだ材料を溶融し、第1の水注入口(セクション5)に到達する前に、樹脂と添加剤を十分に混合しておくために、放散混合(セクション2から4)によって混合してもよい。この混合物が、水と出会い/水と相互作用し、中和反応を活性化させ、NaOHがこの樹脂を中和し、界面活性剤および樹脂を濡らし、「油中水」分散物を作る。
【0033】
これらの材料を、押出機100のセクション6〜9で十分に混合してもよく、ここで、一連の移動しない翼をもつ混練部材、送り翼と戻し翼をもつ混練部材が、材料を混合し、スクリュ式押出経路190へと運ぶ役割を担っていてもよい。混練部材の数は、約30%〜約95%、実施形態では、約50%〜約85%で変動してもよい。混練部材は、スクリュ式押出機100に固定されていてもよく、または、スクリュ式押出機100は、押出機から突起した混練部材を有するように作られていてもよい。混練部材は、任意の適切な形状、大きさ、構造を有していてもよく、右向きおよび左向きの混練部材、移動しない翼をもつ混練部材を含み、混練部材のらせん角度は、約45°〜約90°、これらの組み合わせなどである。混練部材は、送り翼、移動しない翼、および/または戻し翼をもつ混練部材であってもよく、つまり、混練部材は、樹脂および他の材料を、押出機を通って出口の方へ押し出してもよく(送り翼)、樹脂および他の材料を、押出機を通って注入口の方へ押し戻してもよく(戻し翼)、または、成分を能動的に押出機の中で送ることも戻すこともなく、成分を混練してもよい(移動しない翼)。
【0034】
セクション9で、さらなる水の注入によって、W/O(水/油)分散物からO/W(油/水)分散物への転移が始まる場合がある。また、セクション9と10の間でこれらの材料を十分に混合するために、移動しない翼をもつ混練帯を用いてもよい。
【0035】
セクション11および12で、O/W分散物への転移を完了させるために、さらに水を注入してもよい。送り方向に動くスクリュ部材をセクション11および13に追加し、スクリュ式押出機100からコロイド状分散物を押し出してもよい。
【0036】
本発明のプロセスで、ラテックスを調製するのに適した任意のモノマーを用いてもよい。使用される任意のモノマーは、利用されるべき特定のラテックスポリマーによって選択されてもよい。実施形態では、製造されるべきラテックス樹脂を含む種樹脂をさらなるモノマーとともに導入し、重縮合中に望ましいラテックス樹脂を作ってもよい。
【0037】
実施形態では、ラテックスの樹脂は、少なくとも1つのポリマーを含んでいてもよい。実施形態では、少なくとも1つは、約1〜約20であり、実施形態では、約3〜約10である。
【0038】
実施形態では、上述のように、樹脂は、場合により、触媒存在下でジオールと二塩基酸とを反応させる重縮合プロセスによって作られるポリエステル樹脂であってもよい。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%の量で選択されてもよく、アルカリスルホ脂肪族ジオールは、樹脂の約1〜約10モル%の量で選択されてもよい。
【0039】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5〜約30重量%、実施形態では、約15〜約25重量%の量で存在してもよい。
【0040】
それに加え、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはプロピレンカーボネートとの反応から得られるポリエステル樹脂、特に、このようなポリエステルを、得られた生成物とフマル酸と反応させたもの、テレフタル酸ジメチルと1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、ペンタエリスリトールとの反応から得られる分枝型ポリエステル樹脂を使用してもよい。
【0041】
実施形態では、アモルファスポリエステル樹脂、例えば、ポリプロポキシル化ビスフェノールAフマレートポリエステルは、本開示の連続プロセスで調製され、次いで、これを利用してトナー組成物を作ってもよい。
【0042】
さらに、上述の重縮合工程が必要ではない場合、あらかじめ製造した任意のポリエステルに対し、残りの工程(すなわち、中和および乳化)を行い、本開示の連続した無溶媒乳化プロセスを用いて樹脂を製造してもよい。
【0043】
重縮合の後に、得られたポリエステルは、樹脂の末端に酸基を有していてもよい。存在する可能性がある酸基としては、カルボン酸、無水カルボン酸、カルボン酸塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。カルボン酸基の数は、優れたエマルション特性を有し、得られるトナーが環境的に耐え得るような樹脂を得るための出発物質および反応条件を調節することによって制御することができる。
【0044】
上述の重縮合プロセスが終了した後、材料を、約90℃〜約105℃、実施形態では、約94℃〜約100℃、実施形態では、約96℃の温度まで冷却し、次の段階に移してもよい。
【0045】
重縮合が終了しても、このプロセスの材料は、中和、乳化のためにスクリュ式押出機100内に留まっている。図10は、重縮合反応が終わったポリエステルが、中和および乳化のためにスクリュ式押出機100に移されるのを示している。実施形態では、あらかじめ製造したポリエステルを得ておき、中和および乳化のためにスクリュ式押出機100に入れてもよい。このように、あらかじめ製造したポリエステルを利用してもよい場合、本開示のプロセスのうち、上述の重縮合部分を省いてもよい。
【0046】
任意のあらかじめ製造した樹脂(例えば、水相中のポリエステル)について、本開示の残りのプロセスを行ってもよい。実施形態では、本開示の残りのプロセスは、溶媒の使用を必要としない転相プロセスを含んでいてもよい。
【0047】
実施形態では、上述の重縮合プロセスで製造したポリエステル、または上述のようにあらかじめ製造したポリエステルについて、以下のように中和および乳化を行ってもよい。図10に示されているように、中和および乳化に適切なシステムは、重縮合生成物、または、上述のように、処理された任意のあらかじめ製造したポリエステルを入れるために、実施形態では、溶融混合、中和、乳化、安定化、これらの組み合わせなどによって、トナー粒子を作るために本開示にしたがって処理されてもよい十分に小さな粒子を得るために、1個または複数個の供給口150、160を有するスクリュ式押出機100を含んでいてもよい。樹脂およびNaOHを供給および溶融混合のプロセス200に流し、次いで、中和反応および分散のプロセス210に流し、次いで、乳化および安定化のプロセス220に流してもよい。
【0048】
連続した無溶媒乳化プロセスのためのスクリュ式押出機100を必要とするような任意の種類の特殊化学品産業、塗料産業、食品産業で、本開示のスクリュ式押出機100を使用し、スクリュ式押出機100において、混合力を制御し、反応を有効に促進し、乳化の影響を高めてもよい。
【0049】
本開示のスクリュ式押出装置は、供給速度、温度、混合力を制御した連続プロセスを可能にする。結晶性樹脂および/またはアモルファス樹脂を乳化するためにスクリュ式押出機100を使用してもよい。スクリュ式押出機100は、2枚葉機械または3枚葉機械と機械的に連動していてもよい。
【0050】
図1および図4は、アモルファス樹脂の乳化はうまくいかなかったが、結晶性樹脂の乳化はうまくいった、以前のスクリュ設計10、40を示している。このような課題を克服するために、動力学的に混合している間に、中和剤および界面活性剤を樹脂と有効に溶融混合し、次いで、水および混練部材と接触させ、高品質のアモルファスラテックスを製造するために、スクリュ設計20、50(図2および図5に示されている)が開発された。
【0051】
図2および図5は、スクリュ式押出機100内で有効にコロイド分散物を得るために、混合力を強化し、滞留時間が長くなった本開示のスクリュ設計を示している。スクリュ式押出機100は、図2および図10に示されているように、注入口150を通って注入された界面活性剤溶液と出会う前に、短い滞留時間で有効にNaOHおよび樹脂を一緒に混合することができるように、放散混合によって材料を同時に溶融し、混合するように設計されていてもよい。
【0052】
図1および図4のスクリュ10、40のスクリュ設計で使用されるコンベアスクリュ部材を、移動しない翼をもつ混練部材22、52(図2および図5を参照)と置き換え、強力な分散混合を促進し、反応器内の滞留時間を長くした。これにより、界面活性剤溶液中で水と出会った場合、NaOHと樹脂混合物との反応が促進され、油中水分散物の形成が促進されるであろう(反応剤が、経路190の下流で水と出会うまで)。また、有効に乳化(水中油)させてコロイド状懸濁物を製造するための分散混合を最大にするために、経路190の下流で、水の注入(注入口160)を変えてもよい。図1および図2は3枚葉機械を指しており、一方、図4および図5は、2枚葉機械を指していることを注記しておく。
【0053】
本開示のスクリュの構造20、50(図2、図5、図10を参照)は、図1および図4のスクリュ構造10、40と比べ、少なくとも以下の利点を与える。(1)結晶性樹脂について、プロセス収率が36%から95%まで約59%増える(粗大粒子の含有量減少を基準として);(2)低Mwアモルファス樹脂について、プロセス収率が約86%からほぼ100%まで約13%増える(粗大粒子の含有量減少を基準として);(3)固形分が増えたラテックスの製造を可能にする滞留時間が約67%増加。
【0054】
本開示のある態様では、スクリュ式押出機100の混練帯部材の割合は、約46%〜約85%、実施形態では、約50%〜約77%増えてもよい。これにより、スクリュ式押出機100内での反応剤の滞留時間が長くなり、もっと良好なエマルションが得られる場合がある。
【0055】
上述のように、実施形態では、重縮合段階で製造した樹脂、または任意のあらかじめ製造したポリマー(例えば、アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂)にカルボン酸基が存在してもよい。このようなカルボン酸基を、中和段階中、中和剤、実施形態では、塩基性溶液を入れることによって部分的に中和してもよい。
【0056】
中和した後、このような中和プロセスを受けていない樹脂と比較した場合、樹脂の親水性、これにより樹脂の乳化性が向上する場合がある。実施形態では、加えた塩基性溶液の濃度、塩基性溶液の供給速度によって中和度を制御してもよい。実施形態では、塩基性溶液は、約1重量%〜約20重量%、実施形態では、約2重量%〜約10重量%の濃度であってもよく、押出機100への塩基性溶液の添加速度は、約10g/分〜約50g/分、実施形態では、約11.25g/分〜約22.5g/分である。部分的に中和した得られた溶融樹脂は、pHが約8〜約13、実施形態では、約11〜約12であってもよい。
【0057】
部分的に中和した得られた溶融樹脂を、スクリュ式押出機100の中で乳化ゾーンに進めてもよく、あらかじめ加熱した乳化剤、実施形態では、安定化剤水溶液を制御された速度で加えてもよい。上述のように、中和した樹脂が、本明細書に記載した安定化剤中で優れた乳化性を有しているため、本開示のプロセスは、溶媒の使用を必要としない。実施形態では、窒素ガスで加圧した状態で、あらかじめ加熱した安定化剤水溶液を加え、プロセスのサイクル時間を減らし、ポリエステルのいかなる結晶化も最低限にする。乳化が進行する温度が、ポリエステルの融点よりも少なくとも約20℃高いことによって、押出機100を通る樹脂を適切に流動化させることが可能になり、粒子を十分に乳化させることができる。乳化に適した温度は、利用するポリエステル樹脂によるが、約80℃〜約180℃、実施形態では、約90℃〜約110℃であってもよい。
【0058】
この乳化段階に乳化剤として加えてもよい適切な安定化剤としては、ラテックス樹脂を作るときに使用するのに適した任意の界面活性剤が挙げられる。本開示のプロセスを用いてラテックスを調製するときの乳化段階で利用可能な界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、および/または非イオン系の界面活性剤が挙げられる。
【0059】
乳化に望ましい時間は、押出機の設計、上述のようなスクリュ120の回転速度、上述のようなバレル温度、スクリュ式押出機100への樹脂供給速度を含み、本開示のシステムのこのような態様を改変することによって得てもよい。スクリュ式押出機100への樹脂供給速度は、毎時約1ポンド(lb/hr)〜約70lb/hr、実施形態では、約5lb/hr〜約10lb/hrであってもよい。実施形態では、樹脂は、中和段階中および乳化段階中に、約30秒間〜約180秒間、実施形態では、約40秒間〜約150秒間、スクリュ式押出機100内に留まっていてもよい。
【0060】
このようにして製造した最終的なポリエステル粒子の粒径、この粒子の粒度分布を、カルボキシル基の中和度、加える安定化剤の量、中和段階および乳化段階中の樹脂の滞留時間を調節することによって制御してもよい。実際に、本開示にしたがって製造した樹脂は、粒径が、約30nm〜約500nm、実施形態では、約40nm〜約300nmであってもよい。
【0061】
連続したポリエステル乳化の場合、上述のプロセスの種々の段階中の滞留時間は、ポリマーを乳化し、懸濁物を安定にすることを確実にするのに十分長くすべきである。
【0062】
得られたエマルションは、ポリエステル出口180によってスクリュ式押出機100から出てもよい。エマルションに対し、場合により、当業者が利用可能な均質化のための別のスクリュ式押出機または任意の適切な混合デバイスまたはブレンドデバイス(示されていない)で、約−10℃〜約100℃、実施形態では、約80℃〜約95℃で均質化工程を行ってもよい。この場合によって行われる均質化工程中、このエマルションにさらなる安定化剤水溶液を加え、ポリエステル粒子を安定化してもよい。安定化剤の量は、最終的なエマルション組成物の約0.1〜約10重量%、実施形態では、約2〜約8重量%であってもよい。
【0063】
上の記載は、図10に示されているような1個のスクリュ式押出機を備えるスクリュ設計を記載しているが、複数のゾーン(エステル化ゾーン、重縮合ゾーン、中和ゾーン、エマルションゾーンを含む)を有する複数のスクリュ式押出機を利用してもよい。または、複数のスクリュ式押出機を、重縮合、および場合によりエステル化が1個の押出機中で起こり、中和が別の押出機中で起こり、乳化が別の押出機で起こるような構成にしてもよい。
【0064】
上述のように、乳化中に中和剤および界面活性剤を加えた後、本開示のプロセスの中和部分および乳化部分を完成させてもよく、上述のようなラテックス樹脂を得てもよい。
【0065】
本開示のラテックスが得られたら、これを着色剤、場合により任意の原料と組み合わせ、当業者が利用可能なプロセスによってトナーを製造してもよい。
【0066】
また、本開示のトナーを得るために、ラテックスおよび着色剤にワックス分散物を加えてもよい。
【0067】
本開示の実施形態のワックス分散物は、ワックス、例えば、天然の植物ワックス、天然の動物ワックス、鉱物ワックスおよび/または合成ワックスを含む。
【0068】
実施形態では、ワックスを官能基化してもよい。
【0069】
ワックスは、トナーの約1〜約30重量%、実施形態では、約2〜約20重量%の量で存在してもよい。
【0070】
ラテックスと、着色剤と、場合によりワックスの混合物を、その後に融着する。融着は、約90℃〜約99℃の温度で、約0.5〜約6時間、実施形態では、約2〜約5時間撹拌し、加熱することを含んでいてもよい。さらに撹拌することによって、融着を促進してもよい。
【0071】
次いで、混合物のpHを、例えば、トナー凝集物を融着するための酸を用い、約3.5〜約6、実施形態では、約3.7〜約5.5まで下げる。
【0072】
混合物を冷却し、洗浄し、乾燥する。約20℃〜約40℃、実施形態では、約22℃〜約30℃の温度で、約1時間〜約8時間、実施形態では、約1.5時間〜約5時間、冷却してもよい。
【0073】
実施形態では、融着したトナースラリーを冷却することは、冷媒(例えば、氷、ドライアイスなど)を加えることによってクエンチし、約20℃〜約40℃、実施形態では、約22℃〜約30℃の温度まで迅速に冷却することを含む。クエンチは、少量のトナー(例えば、約2リットル未満、実施形態では、約0.1リットル〜約1.5リットル)で実行可能な場合がある。もっと大きなスケールのプロセス(例えば、大きさが約10リットルを超える)の場合、トナー混合物を迅速に冷却するのは、冷媒をトナー混合物に入れることによっても、またはジャケット付反応器での冷却によっても実現可能でもなく、現実的でもない。
【0074】
次いで、融着したトナーを洗浄してもよい。洗浄は、約7〜約12のpH、実施形態では、約9〜約11のpHで行ってもよい。洗浄は、約45℃〜約70℃、実施形態では、約50℃〜約67℃の温度である。洗浄は、濾過し、脱イオン水中にトナー粒子を含む濾過ケーキを再びスラリー化することを含んでいてもよい。濾過ケーキを脱イオン水で1回以上洗浄してもよく、または、約4のpHで、脱イオン水で1回洗浄してもよく、スラリーのpHを酸で調節し、次いで、場合により、脱イオン水で1回以上洗浄してもよい。
【0075】
次いで、洗浄したスラリーを乾燥してもよい。約35℃〜約75℃、実施形態では、約45℃〜約60℃の温度で乾燥を行ってもよい。粒子の水分濃度が、目標設定値である約1重量%以下、実施形態では、約0.7重量%以下になるまで乾燥を続けてもよい。
【0076】
実施形態では、本開示のトナー粒子を作るときに、凝集剤が含まれていてもよい。本開示のトナーを作るときに、錯化させることが可能な任意の凝集剤を用いてもよい。アルカリ土類金属または遷移金属の塩を凝集剤として利用してもよい。実施形態では、アルカリ(II)塩は、スルホン酸ナトリウム化したポリエステルコロイドを着色剤とともに凝集させ、トナーコンポジットを作ることが可能なように選択されてもよい。
【0077】
トナー組成物の処理を補助するために、ラテックス中の任意のイオン系界面活性剤と反対の極性を有するイオン系凝集剤(すなわち、対イオン凝集剤)を、場合により、トナー組成物で使用してもよい。所定量の凝集剤は、例えば、最終スラリーの微粉の発生を予防にする/最低限にするために存在する。微粉は、実施形態では、例えば、体積平均径が約6マイクロメートル未満、実施形態では、約2マイクロメートル〜約5マイクロメートルの小さな粒子を指し、微粉は、トナー収率に悪影響を与える場合がある。対イオン凝集剤は、有機部分または無機部分であってもよい。凝集剤が存在する場合、凝集剤を、トナー組成物全体の約0.02〜約2重量%、実施形態では、約0.1〜約1.5重量%の量で使用する。
【0078】
また、トナーは、トナーの約0.1〜約10重量%、実施形態では、約0.5〜約7重量%の量で任意の既知の電荷添加剤を含んでいてもよい。洗浄または乾燥を行った後、表面添加剤をトナーに加えてもよい。このような表面添加剤の例としては、例えば、金属塩、脂肪酸金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、これらの混合物などが挙げられる。表面添加剤は、トナーの約0.1〜約10重量%、実施形態では、約0.5〜約7重量%の量で存在してもよい。
【0079】
本開示のラテックスを利用して製造するトナー粒子は、粒径が、約1マイクロメートル〜約20マイクロメートル、実施形態では、約2マイクロメートル〜約15マイクロメートル、実施形態では、約3マイクロメートル〜約7マイクロメートルであってもよい。
【0080】
本開示のトナーを、プリンタ、コピー機などを含む種々の画像処理デバイスで用いてもよい。本開示にしたがって作成したトナーは、画像処理プロセス、特に、ゼログラフィー式プロセスで優れており、優れた画像解像度、許容範囲の信号対雑音比、画像均一性を有する高品質カラー画像を提供することができる。さらに、本開示のトナーは、電子写真式画像処理プロセスおよび印刷プロセス(例えば、デジタル画像処理システムおよびプロセス)用に選択されてもよい。
【0081】
本明細書で開示したプロセスを用いて得られたトナーと、コーティングしたキャリア(例えば、鋼、フェライトなど)を含む既知のキャリア粒子とを混合することによって、現像剤組成物を調製してもよい。キャリアは、トナーの約2重量%〜約8重量%、実施形態では、約4重量%〜約6重量%の量で存在していてもよい。また、キャリア粒子は、ポリマーコーティングを表面に有するコア(例えば、導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散したポリメチルメタクリレート(PMMA))を含んでいてもよい。
【0082】
また、画像処理方法は、本明細書に開示したトナーを用いることを想定している。画像処理プロセスは、電子印刷の磁気画像文字認識装置を用いて画像を作ること、その後、その画像を本開示のトナー組成物を用いて現像することを含む。静電手段によって光導電性材料の表面に画像を作成し、現像することはよく知られている。基本的なゼログラフィー式プロセスは、光導電性絶縁層に均一な静電電荷を配置することと、この層に明暗画像を当て、露光した層の領域上の電荷を消散させることと、微粉化検電材料(例えば、トナー)を画像上に蓄積させることによって、静電潜像が得られ、これを現像することとを含む。トナーは、通常は、この層の電荷を保持している上述の領域に引きつけられ、それにより、静電潜像に対応するトナー画像が作られてもよい。次いで、この粉末画像を紙のような支持体表面に転写してもよい。その後、転写した画像を、熱によって支持体表面に永久的に固着させてもよい。光導電層を均一に帯電させ、次いでその層を明暗画像にさらすことによる画像作成の代わりに、この層を画像構造で直接帯電させることによって潜像を作ってもよい。その後、この粉末画像を光導電層に固着させ、粉末画像が転写しないようにする。
【0083】
本開示の連続プロセスがバッチプロセスを上回る利点は、(1)バッチプロセスで必要とするほど大量の材料を必要としないこと;(2)プロセス制御が良好であり(それぞれの成分材料の正確な供給制御、処理温度、剪断力、滞留時間などの良好な制御など)、生成物の品質の一貫性が優れていること;(3)溶媒を含まないので、エネルギー効率がよく、環境に優しい;(4)製造時間が顕著に短くなる場合があること;(5)溶媒および材料を取り扱う必要性が排除されていることにより、プロセスの安全性が改良される場合があること(バッチプロセスとは異なる);(6)ちょうどよいときに行えるプロセスであるという事実によって、在庫が減ること;(7)系中での無溶媒ポリエステル乳化が可能であること;(8)分散物の粒径および粒度分布を制御することが可能であること;(9)生産性が増し、単位製造コスト(UMC)が下がること。
【0084】
さらに、上述のようなポリエステル樹脂上のカルボン酸基を中和する中和剤の使用は、乳化を促進するために上述のアニオン系界面活性剤と組み合わせて利用してもよく、非イオン系界面活性剤を使用すると、溶媒を必要としない優れた安定性を有するエマルションを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュ式押出機であって、
材料を入れる供給ホッパと;
少なくとも1つの供給口および少なくとも1つの出口を備える本体部分と;
前記本体部分内部に配置され、長軸方向に規定されている経路に沿って移動可能なスクリュと;
前記経路に沿ってスクリュを回転するように動かすためのドライブシャフトとを備え、
このスクリュ式押出機が、1個以上の一連の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材を備えた供給ホッパから入った材料を混合する構成になっている、スクリュ式押出機。
【請求項2】
前記スクリュ式押出機が、結晶性樹脂を乳化させるために使用され、前記スクリュ式押出機が、アモルファス樹脂を乳化させるために使用され、前記スクリュ式押出機が、連続した無溶媒乳化プロセスでラテックスエマルションを製造し、前記スクリュ式押出機が、連続した重縮合反応段階の後、樹脂を水相に乳化させることによってラテックスを製造し、それぞれの段階が、別個の混練部材を含み、この混練部材が、前記スクリュ式押出機内にコロイド状分散物が滞留する時間を長くし、前記混練部材が、激しい分散混合を促進し、滞留時間を長くして、材料間の反応を促進する、請求項1に記載のスクリュ式押出機。
【請求項3】
樹脂を乳化するような構成のスクリュ式押出機であって、
少なくともNaOHおよび樹脂を入れる供給ホッパと;
少なくとも1つの供給口および少なくとも1つの出口を備え、少なくとも1つの供給口が、制御された速度でNaOHおよび樹脂が入るような構成になっており、少なくとも1つの出口が、コンデンサに接続されるような構成になっている、可とう性で細長い本体部分と;
前記本体部分内に配置され、長軸方向に規定されている経路に沿って移動可能であり、回転することによって重縮合段階でNaOHと樹脂の混合を容易にするスクリュと;
前記スクリュを前記経路に沿って回転するように動かすためのモータとを備え、
このスクリュ式押出機が、1個以上の一連の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材を備えた供給ホッパから入ったNaOHと樹脂を混合する構成になっている、スクリュ式押出機。
【請求項4】
連続した無溶媒乳化プロセスでラテックスエマルションを製造する方法であって、
ドライブシャフトによって、経路に沿って回転するように動かされるスクリュを備えたスクリュ式押出機の供給ホッパに、制御された速度で材料を供給することと;
前記スクリュ式押出機の経路内で、前記材料を放散混合によって溶融することと;
前記溶融し、混合した材料に、第1の量の水を注入することと;
前記材料を、第1の一連の1個以上の送り翼、移動しない翼、戻し翼をもつ混練部材で混合することと;
第2の量の水を注入することと;
第2の一連の混練部材を適用することと;
前記スクリュ式押出機の出口から、コロイド状分散物を回収することとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−240334(P2011−240334A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106398(P2011−106398)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】