説明

連続的装填のための供給ユニット

【課題】分析装置内へと複数の消耗品を連続的に装填する優れたシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、積層器600aから各分析モジュールへと、及び、各分析モジュール内において、及び/又は、各分析モジュール間にて消耗品を搬送する搬送システムから結合解除され得る積層器ユニット6を備えて成る分析器400内へと複数の消耗品を連続的に装填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置内への消耗品の連続的装填のためのシステム及び方法の分野に関する。分析装置は一般的に、分析プロセスを実施し得るために、試薬容器内の試薬、及び、消耗品の装填を必要とする。
【背景技術】
【0002】
概略的に、自動分析器には、分析を開始する前に、分析を実施するために必要な消耗品が装填される。装填が分析の間に実施されるべき場合、分析は中断されねばならない。
【0003】
特許文献1は、当該積層器が自身上に取付けられる可動台を引き出すと共に、当該積層器に消耗品を充填することにより、積層器に対して手動的に装填が為される積層器システムを開示している。手動的な装填は、供給用昇降機及び回収用昇降機の両方が、それらの最大下降位置にあるときにのみ可能である。故に、分析器が作動している間は、上記積層器に対する装填は為され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1275966号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、分析装置内へと複数の消耗品を連続的に装填する優れたシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、処理領域と、当該分析器内で消耗品を自動的に搬送する搬送システムとを備えて成る分析器内へと消耗品を連続的に装填するシステムに関する。該システムは、複数の消耗品を保持する少なくとも1つの積層器(stacker)を備えて成る積層器ユニットを備えて成る。該積層器ユニットは上記分析器内に一体化される。該積層器ユニットは、上記消耗品の手動的又は自動的な装填のために上記処理領域から結合解除され得る。上記積層器ユニットは、上記積層器内の消耗品に対して上記搬送システムによるアクセスが必要とされるときに、上記分析器内における繋止位置に在り、且つ、該積層器ユニットは、上記積層器内の消耗品に対して上記搬送システムによるアクセスが必要とされないときには消耗品の手動的な装填のための繋止解除位置に在る。上記積層器ユニットは、上記分析器の内部における第1終端位置と、上記分析器の外部における第2終端位置とを有する。上記第2終端位置において、上記積層器ユニット内に含まれた少なくとも1つの積層器は、該積層器内への消耗品の装填のためにアクセス可能であり、且つ、上記積層器ユニットは装填の間において繋止される。
【0007】
本発明は更に、分析器内へと複数の消耗品を連続的に装填する方法であって、
積層器ユニット内へと複数の消耗品を装填するための時間枠をディスプレイ上に表示する段階と、
複数の消耗品を受容するための積層器ユニットであって、上記分析器のハウジング内に一体的に取付けられた積層器ユニット内へと消耗品を装填するための時間枠が利用可能であれば、該積層器ユニットを、消耗品を積層器から上記分析器へと、且つ、消耗品を該分析器内の各ステーション間にて搬送する搬送システムから、結合解除する段階と、
上記積層器ユニットを開き位置へと摺動させる段階と、
上記積層器ユニットを上記開き位置において繋止する段階と、
上記分析器内で分析プロセスが実施されている間に、上記積層器ユニット内に含まれた消耗品ホルダ内へと複数の消耗品を装填する段階と、
上記積層器ユニット内へと複数の消耗品が完全に装填されたときに上記積層器ユニットを繋止解除する段階と、
上記積層器ユニットを閉じる段階であって、該積層器ユニットはその閉じ位置において繋止されることで、消耗品を搬送する搬送システムに対して作用的に結合される段階とを備えて成る、方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】複数の積層器ユニット用引出しを備えた分析システムの概略図である。
【図2】操作器を備えて成る搬送システムを備える積層器ユニットの詳細図である。
【図3】開かれた上記積層器ユニット用引出しを示す図である。
【図4】側方に旋回された枢動可能な積層器ユニット用引出しを示す図である。
【図5】消耗品及び対応積層器のハードウェア的コード化を伴うシステムを示す図である。
【図6】ハードウェア的コード化を伴う異なる形式の消耗品を示す図である。
【図7】1つの分析前置モジュールと幾つかの分析モジュールとを備える分析装置を備えて成るシステムを示す図であり、3つのモジュールの頂部上に取付けられたレールに対してはディスプレイが取付けられている。
【図8】最適なユーザの相互作用に対して上記ディスプレイの位置を調節するために該デバイスが第1及び第2アーム、及び、枢動部材に対して取付けられた上記装置の側面図である。
【図9】タッチスクリーンを備えると共に、上記分析システムに対するユーザの相互作用のために種々の特定項目が表示されたディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、処理領域と、当該分析器内で消耗品を自動的に搬送する搬送システムとを備えて成る分析器内へと消耗品を連続的に装填するシステムであって、該システムは、複数の消耗品を保持する少なくとも1つの積層器を備えて成る積層器ユニットであって、該積層器ユニットは上記分析器内に一体化され、且つ、該積層器ユニットは、上記消耗品の手動的又は自動的な装填のために上記処理領域から結合解除され得、該積層器ユニットは、上記積層器内の消耗品に対して上記搬送システムによるアクセスが必要とされるときに、上記分析器内における繋止位置に在り、且つ、該積層器ユニットは、上記積層器内の消耗品に対して上記搬送システムによるアクセスが必要とされないときには、消耗品の手動的な装填のための繋止解除位置に在る、という積層器ユニットを備えて成る、というシステムを提供する。
【0010】
本明細書中で用いられる「連続的装填」という語句は、上記分析器の動作を中断せずに、上記機器の積層器ユニットには複数の消耗品が装填され得ることを意味すると理解される。
【0011】
本明細書中で用いられる「消耗品」という語句は、分析プロセスにおいて使用され且つ引き続き廃棄されるデバイスであって、非限定的な例として、受容容器、マルチウェル・プレート、ピペット先端部ホルダなど、及び/又は、試薬容器、すなわち、反応混合物を保持する消耗品101、301、302であって、分析対象物の処理又は分析が内部で実施される消耗品のような、プラスチック製消耗品などのデバイスに関連している。実施形態は、本明細書中に記述されたとおりである。
【0012】
本明細書中で用いられる「分析器」という語句は、少なくとも一種類の分析対象物を検出及び/又は定量化する分析プロセスを実施し得る装置に関連している。
【0013】
本明細書中で用いられる「分析対象物」という語句は、検出に対して関心対象となる任意の種類の生体分子であり得ると共に、その検出は、生物の診断的状態を表す。上記生物は、微生物、動物、又は、人間であり得る。分析対象物は、タンパク質、ポリペプチド、抗体、又は、核酸であり得る。一実施形態において、上記分析対象物は核酸である。
【0014】
本明細書中で用いられる「処理領域」という語句は、上記分析器内の領域であって、其処で、分析されるべきサンプルが分析のために処理される領域に関連する。一実施形態において上記処理領域は、受容容器内のサンプルに対して試薬を分注する処理ステーションを備えて成る。更に詳細には、上記処理ステーションは、分離ステーション又は反応ステーションである。反応ステーションの一実施形態は、増幅ステーションである。
【0015】
本明細書中で用いられる「サンプルに対して試薬を分注する処理ステーション」という語句は、分析器内のステーションであって、分注器と、複数の受容容器を保持するホルダと、試薬容器を保持するホルダとを備えて成るステーションに関連している。
【0016】
「試薬容器」は消耗品である。一実施形態においてそれは、プラスチックで作成されると共に、分析プロセスを実施するために必要な試薬を保持する。
【0017】
「分注器」とは、使い捨て可能なピペット先端部に結合するか、又は、分注ニードルを備えて成るデバイスであって、分析プロセスを実施するために必要な試薬を吸引し且つ供与し得るデバイスである。
【0018】
「ホルダ」とは、分析プロセスにおいて当該ステーション上に複数の消耗品又は試薬カセットが載置、固定、且つ、保持されるステーションである。
【0019】
「分離ステーション」とは、固体支持体から分析対象物が分離されるステーションであると理解される。一実施形態において上記処理領域は、分析対象物を単離するステーションを備えて成る。
【0020】
「受容容器」とは、分析プロセスにおいてサンプルを保持し得る消耗品である。
【0021】
一実施形態において上記処理領域は、上記分析対象物を反応させて検出可能信号を獲得するステーションを備えて成る。
【0022】
本明細書中で用いられる「反応ステーション」とは、分析反応が行われるステーションである。上記分析反応は、分析対象物を検出又は測定するために必要である。一実施形態において上記分析反応は、サンプル中の分析対象物の存在及び/又は量と相関する測定可能信号を生成する反応である。一実施形態において上記反応ステーションは、測定可能信号を生成する保温器を備えて成る。一実施形態において上記反応ステーションは、増幅ステーションである。
【0023】
本明細書中で用いられる「搬送システム」という語句は、上記分析器内で消耗品を搬送するシステムに関連している。一実施形態において上記搬送システムは、上記分析器内で上記積層器ユニットから少なくとも1つの処理領域へと、及び、上記分析器内の各処理領域間にて、複数の消耗品を搬送する。一実施形態において、上記搬送システムは操作器を備えて成り、該操作器は、上記消耗品を把持する把持器フィンガを備えて成る。一実施形態において上記操作器は、上記積層器ユニットから処理領域へと、及び、1つの処理領域と第2の処理領域との間にて、1つの消耗品を搬送し得る。
【0024】
本明細書中で用いられる「積層器ユニット」という語句は、分析器の一体的部分であるユニットであって、該ユニット内へと複数の消耗品が装填されるユニットに関連する。一実施形態において上記積層器ユニットは、複数の消耗品を装填する1つ以上の積層器を備えて成る。上記分析器はまた、1つ以上の積層器ユニットを備えて成り得、その場合に各積層器ユニットは、相互に独立的であるか、又は、相互に対して結合される。
【0025】
本明細書中で用いられる「結合解除される」という語句は、上記積層器ユニットは結合解除されている間、上記分析器に対して機能的に結合されてはいないことを意味する。結合解除されたとき、上記分析器の上記搬送システムは、上記積層器ユニットに対してアクセスし得ない。
【0026】
「繋止位置における」という語句は、上記積層器ユニットが繋止されると共に、操作者又はユーザにより開かれ得ないことを意味すると理解される。
【0027】
分析器400は、分析プロセスを制御するコンピュータ制御器8を備えて成る。一実施形態においてコンピュータ制御器8は、積層器ユニット6を繋止解除又は繋止する機構を付加的に制御する。分析プロセスが、搬送システム7を介して消耗品を処理領域3a、b、cに移送するために積層器ユニット6に対するアクセスを必要とするとき、コンピュータ制御器8は繋止機構により積層器ユニット6を繋止する。積層器ユニット6に対するアクセスが分析プロセスにより必要とされないとき、コンピュータ制御器8は、上記積層器ユニットを繋止する上記機構を解除する。そのとき、上記積層器ユニットは「繋止解除位置」に在る。積層器ユニット6を繋止する上記機構が解除されたとき、ユーザ又は操作者は、積層器ユニット6を開いて消耗品を装填し得る。故に、上記積層器ユニットを開くこと及び消耗品の装填は、上記搬送システムが上記分析器内で消耗品を搬送すべく使用されている間に行われ得る。故に、上記積層器ユニットの上記少なくとも1つの積層器内へと消耗品を装填するために上記分析プロセスを中断することは、必要でない。寧ろユーザは、上記搬送システムによる積層器アクセスが必要とされたときの短い時間枠の間においてのみ、消耗品を装填することが妨げられる。これによりユーザは、上記機器内で単一又は複数の分析プロセスが進行している間に、上記積層器ユニット内へと消耗品を装填することが許容される。故に、本明細書中に記述された本発明の一実施形態においては、上記分析対象物が単離される間に、且つ/又は、上記分析対象物が反応して検出可能信号を獲得している間に、上記消耗品は上記積層器内へと装填される。
【0028】
上記積層器ユニットは、2つの終端位置を有している。第1の終端位置は、上記分析器の内側である図2を参照。この終端位置において、積層器ユニット6の積層器600a、bなどは、該積層器600a、b内に積層された消耗品を操作するための搬送システム7に対してアクセス可能である。第2の終端位置は、上記分析器の外側である図3を参照。この第2終端位置において、積層器ユニット6の各積層器600は、自動的又は手動的に、該積層器内へと消耗品を装填するためにアクセス可能である。一実施形態において、少なくとも一方の終端位置、更に詳細には両方の終端位置が繋止され得る。故に、内側の繋止及び/又は外側の繋止が在り得る。上記内側繋止の利点は、これによれば確実に、上記操作器は上記積層器内の消耗品にアクセス可能であり、且つ、上記積層器ユニットを突然開くことによりプロセスが中断されたり上記分析器が物理的に損傷されたりすることはない、ということである。また上記外側繋止によれば、上記積層器内への消耗品の完全で正しい装填により、該積層器及び上記分析器に対する物理的な損傷が確実に回避される。
【0029】
一実施形態において上記積層器ユニットは、上記分析器の内側の第1終端位置、及び、上記分析器の外側の第2終端位置を有する。上記第2終端位置において、上記積層器ユニット内に含まれた少なくとも1つの積層器は、該積層器内への消耗品の装填のためにアクセス可能であり、且つ、上記積層器ユニットは装填の間において繋止される。
【0030】
上記第2終端位置において上記積層器ユニットを繋止することの利点は、各消耗品が適切に完全に装填される以前にユーザは上記積層器ユニットを閉じ得ない、ということである。故に、上記第2終端位置において繋止すると、各消耗品が完全に装填される以前に積層器ユニットが閉じられたならば生ずるであろう消耗品に対する損傷が阻止される。
【0031】
また、上記分析器の内側における第1終端位置に在るときに且つ該位置において繋止されたときに上記分析プロセスに対して機能的に結合される引出しを、上記分析器の内側における上記積層器ユニットの繋止位置に該積層器ユニットを繋止する以前に上記分析器の内側における上記第1終端位置へと自動的に摺動するための自動機構を備えて成る分析システムも開示される。一実施形態において、上記引出しは、本明細書中に開示された上記積層器ユニットである。別実施形態において上記引出しは廃棄物容器を備えて成り、該廃棄物容器は、上記分析器内に装填されて繋止されたときに、当該吐出口を通して該廃棄物容器内へと廃棄物が放出される上記分析器からの吐出口と協働する。上記自動機構は、部分的に開かれた積層器ユニットに対してのみ有効であり得る。斯かる実施形態において、上記積層器ユニットは、上記自動摺動機構が有効となる位置に到達するまで、部分的に手動的に閉じられる。例えば、上記自動閉じ機構は、上記第1終端位置に到達する前の最後の1〜10cm、又は、1〜5cm又は2〜5cmに対してのみ、有効であり得る。一実施形態において、上記積層器ユニットの開閉は完全に自動化される。斯かる実施形態において、上記自動摺動機構は、上記積層器ユニットの第2終端位置と第1終端位置との間において有効である。上記自動摺動機構の利点は、上記引出しが、上記分析器内で傾斜し又は捻れる可能性なしで、上記分析器内において該引出しの第1終端位置に常に正確に載置されることである。上記分析器内で上記積層器ユニットが傾斜し又は捻れると、分析プロセスの間における該引出しの動作不良に繋がり得るか、又は、上記機器に対する損傷に繋がり得る。上記自動摺動機構は、斯かる動作不良及び/又は損傷を阻止する。引出しを第1終端位置へと摺動させる自動機構は、当業者には公知である。
【0032】
一実施形態において、上記積層器ユニットは上記搬送システムの正面に取付けられる。これにより、ユーザに対する容易なアクセスが許容される。上記積層器ユニットの一実施形態は、引出しである。結合解除段階は、上記積層器ユニットが繋止解除されたときに消耗品を装填するために上記引出しを開ける段階を備えて成る。積層器の一実施形態は、枢動可能ユニット、詳細には枢動可能な引出しである図4を参照。これにより、保守又は修理のために上記積層器に対する容易なアクセスが提供される。
【0033】
上記分析器は、ユーザが該分析器に対して消耗品を装填且つ装填解除することを助力する付加的な識別機構を備えて成り得る。斯かる機構としては、非限定的な例として、光バリヤ又はバーコード又はRFIDが挙げられる。一実施形態において、装填箇所及び装填解除箇所は常に、各積層器の頂端部上である。
【0034】
各積層器は、手動的又は自動的に装填され得る。消耗品による装填は、頂部から行われ得る。一実施形態において、任意の1つの積層器は、特定の消耗品を受容すべく構成且つ配置される。
【0035】
本明細書中に記述されるシステムの一実施形態において、消耗品はハードウェア的にコード化される。
【0036】
分析システム440は、1つの形式より多い形式の消耗品60、70、101、301、302を更に備えて成り、上記消耗品60、70、101、301、302は本質的に同一の設置面積を有し、且つ、任意の種類の消耗品60、70、101、301、302は一意的な表面幾何学形状601を備えて成る。更に、上記システムは、上記異なる消耗品を区別する特定の認識要素を備えて成るシステムも備えて成り、上記認識要素の内の任意の1つの認識要素は、特定形式の1つの消耗品の一意的な表面幾何学形状と相補的である一意的な表面幾何学形状を備えて成る。一実施形態において、上記異なる消耗品60、70、101、301、302を区別する上記システムは、上記一意的な表面幾何学形状601を特異的に認識すべく構成且つ配置される。
【0037】
本質的に同一的な設置面積を備える消耗品は、試薬及びサンプルを保持するピペット先端部又は単一管体のような他の消耗品を格納するプラスチック消耗品60、70、又は、分析対象物の処理若しくは分析が内部で実施される反応混合物を保持する消耗品101、301、302である。斯かる消耗品の特定実施形態は、ラック60、70又はマルチウェル・プレート101、301、302である。システム440においては、同一的な設置面積を備える異なる形式のマルチウェル・プレート101、301、302が使用され得る。斯かる形式のマルチウェル・プレート101、301、302は、サンプル又は試薬を格納するマルチウェル・プレート、分析対象物を単離且つ分析するマルチウェル・プレート、及び/又は、分析対象物を反応させて検出可能信号を獲得するマルチウェル・プレートである。特定実施形態において分析対象物が核酸であるなら、反応させる上記段階は、当業者に公知である任意の種類の核酸の増幅とされ得る。一実施形態において、消耗品60、70、101、301、302は、少なくとも1つの先端部用ラック60、70、及び、1つのマルチウェル・プレート101、301を備えて成る。一実施形態において、上記設置面積はANSI SBS設置面積フォーマットに対応する基部の長さ及び幅を備えて成る。一実施形態において、上記長さは127.76mm±0.25mmであり、且つ、上記幅は85.48mm±0.25mmである。
【0038】
「表面幾何学形状」という語句は、表面構造、更に詳細には消耗品60、70、101、301、302の側壁の表面構造に関連している。上記表面幾何学形状は、ハードウェア識別子39、7、6、117、118、116、102、119、115、125、305、更に詳細には、消耗品60、70、101、301、302の表面に一体的に形成された凹所及び/又は稜線部を備えて成る。一実施形態において、上記設置面積を備えて成る全ての形式の消耗品60、70、101、301、302の内の任意の1つの消耗品は、一意的な表面幾何学形状601を備えて成る。「一意的な表面幾何学形状」とは、本明細書において上記された表面幾何学形状601であって、消耗品60、70、101、301、302が分析システム440の認識システム450により特異的に認識されるように、所定形式の消耗品60、70、101、301、302に対しては一意的であると共に、他の消耗品60、70、101、301、302の表面幾何学形状601とは実質的に異なる表面幾何学形状601であると理解される。
【0039】
特定実施形態において、上記システムは、1つの種類の複数の消耗品60、70、101、301、302を積層する積層器600a、bを備えて成り、該積層器600a、bのいずれか一方は、1つの種類の消耗品60、70、101、301、302に対する認識要素を備えて成る。本明細書中で用いられる「積層器」という語句は、特定の消耗品60、70、101、301、302に対する上記分析システムにおける取り込み領域に関連する。特定形式の複数の消耗品60、70、101、301、302は、積層器600a、b内に積層される。1つの種類の個別的な消耗品60、70、101、301、302は次に、システム440内の積層器600a、bから取り出されると共に、それらが使用されるモジュール401、402、403へと、コンベアにより、又は、一実施形態においてはロボット式アーム502に接続された操作器500により、自動的に搬送される。故に、消耗品60、70、101、301、302の一意的な表面幾何学形状601の故に、特定の積層器600a、b内には、特定形式の消耗品60、70、101、301、302のみが装填され得る。これにより、消耗品60、70、101、301、302が同一の設置面積を有するとしても、ユーザが不適切な消耗品60、70、101、301、302が特定の積層器600a、bへと装填することが阻止される。
【0040】
特定実施形態においては、同一の設置面積を備える2種類より多い異なる種類の消耗品60、70、101、301、302がシステム440に含まれる。更なる特定実施形態においては、同一の設置面積を備える3種類より多い異なる種類の消耗品60、70、101、301、302がシステム440に含まれる。消耗品60、70、101、301、302は更に詳細に、先端部用ラック60、70、サンプル調製用のマルチウェル・プレート101、増幅及び/又は検出用のマルチウェル・プレート302、試薬カセット・ホルダ、管体ホルダなどから成る群から選択される。
【0041】
本明細書において上記された分析器400内で消耗品60、70、101、301、302の識別子を認識する方法も提供される。該方法は、1つの種類の消耗品60、70、101、301、302を配備する段階を備えて成り、上記1つの種類の消耗品60、70、101、301、302は一意的な表面幾何学形状601を備えて成る。上記方法は更に、一意的な表面幾何学形状601を備えて成る上記1つの種類の消耗品60、70、101、301、302を、上記一意的な表面幾何学形状601に対して特異的である認識要素602を備えて成る積層器600a、bと相互作用させる段階を備えて成る。その場合に消耗品60、70、101、301、302は、一意的な表面幾何学形状601が認識要素602により係合されたときに、特定される。本明細書中で用いられる「認識要素」という語句は、積層器600a、bの内側部上の案内部602であって、1つの種類の消耗品60、70、101、301、302の一意的な表面幾何学形状601に対して特異的に適合する案内部602のような要素に関連する。実施形態の分析器400、消耗品60、70、101、301、302及び積層器600a、bは、本明細書において定義される。
【0042】
最後に、積層器600a、bが上記形式の当該消耗品60、70、101、301、302を特異的に識別することを許容すべく構成且つ配置された一意的な表面幾何学形状601を備えて成る消耗品60、70、101、301、302も提供される。消耗品60、70、101、301、302、積層器600a、b、及び、表面幾何学形状601の実施形態は、本明細書において記述されたようなである。代表的な消耗品は、図6に示される。
【0043】
図5には、代表的な分析システム440の概略図が示される。図5には、積層器600a、bによる表面幾何学形状601の認識法が示される。積層器600a、bの内側面は、認識要素602を備えて成る。それは、消耗品60、70、101、301、302の表面幾何学形状601に係合すべく構成且つ配置され、これにより、消耗品60、70、101、301、302の形式は特異的に認識され、不適切な形式の消耗品60、70、101、301、302の装填が回避される。特定実施形態において、更に詳細には上記分析方法の種々の段階において、分析システム440においては1つの形式より多い形式のマルチウェル・プレートが用いられる。故に、異なる形式のマルチウェル・プレート101、301、302は、各形式のマルチウェル・プレート101、301、302に対して一意的である異なる表面幾何学形状を有する。各形式のマルチウェル・プレート101、301、302は、その一意的な表面幾何学形状601により特異的に認識される。
【0044】
本発明の特定実施形態において、分析器400はハウジング102を備えて成ると共に、積層器ユニット6は分析器400の該ハウジング102に一体化される。積層器ユニット6は、2つ以上の積層器600又は積層器モジュール600を備えて成る。積層器600a、bの各々は、本明細書中に記述されたようなハードウェア的コード化により、特定の消耗品を特異的に認識し得る。
【0045】
本発明の一実施形態において、積層器ユニット6に対する装填及び/又は装填解除のためのアクセスは、ディスプレイ105により案内される。
【0046】
本発明はまた、分析器内へと複数の消耗品を連続的に装填する方法であって、
複数の消耗品を受容するための積層器ユニットであって、上記分析器のハウジング内に一体的に取付けられた積層器ユニット内へと消耗品を装填するための時間枠が利用可能であれば、該積層器ユニットを、消耗品を積層器から上記分析器へと、且つ、消耗品を該分析器内の各ステーション間にて搬送する搬送システムから、結合解除する段階と、
上記積層器ユニットを開き位置へと摺動させる段階と、
上記積層器ユニットを上記開き位置において繋止する段階と、
上記分析器内で分析プロセスが実施されている間に、上記積層器ユニット内に含まれた消耗品ホルダ内へと複数の消耗品を装填する段階と、
上記積層器ユニット内へと複数の消耗品が完全に装填されたときに上記積層器ユニットを繋止解除する段階と、
上記積層器ユニットを閉じる段階であって、該積層器ユニットはその閉じ位置において繋止されることで、消耗品を搬送する搬送システムに対して作用的に結合される段階とを備えて成る方法も提供する。
【0047】
上記方法の利点は、連続的な装填のための上記システムに対して本明細書中に記述されたとおりである。
【0048】
一実施形態において上記分析プロセスは、上記分析器内における各ステーション間で上記搬送システムにより消耗品を操作する段階を備えて成る。故に上記搬送システムは、上記分析器内の各ステーションであって、其処で分析プロセスにおいて消耗品が使用される各ステーションまで上記積層器ユニットから消耗品を搬送すると共に、該搬送システムは付加的に、分析プロセスの間においても上記分析器内の各ステーション間で消耗品を搬送する。一実施形態において、上記積層器からの消耗品は、上記搬送システムの第1操作器により中間ステーションへと搬送される。次に、上記搬送システムの第2操作器が上記消耗品を、該消耗品が上記分析プロセスにおいて使用されるステーションへと搬送する。1つの代表的実施形態において、上記消耗品はマルチウェル・プレートであり、且つ、上記搬送システムは該マルチウェル・プレートを、上記積層器から中間ステーションへ、且つ、該中間ステーションから、上記マルチウェル・プレートの各ウェル内へとサンプルを分注するステーションへと搬送する。各サンプルが付加された上記マルチウェル・プレートは次に上記搬送システムにより、各サンプル内に含まれた分析対象物の単離が実施されるステーションへと搬送される。上記搬送システムは更に、単離された分析対象物を備えて成る第2マルチウェル・プレートを、一実施形態においては核酸を増幅する増幅ステーションである反応ステーションへと搬送する。
【0049】
本明細書中に開示された上記方法の一実施形態においては、積層器ユニット内への消耗品の装填のための時間枠が、ディスプレイ上に表示される。
【0050】
一実施形態において上記搬送システムは、上記分析システム内で消耗品を搬送する1つ以上の操作器、更に詳細には2つ以上の操作器を備えて成る。上記搬送システムは、一実施形態において、上記分析器内に一体的に取付けられる。上記分析器は、ハウジングを更に備えて成る。一実施形態において、各積層器ユニットは、上記分析器の上記ハウジング内に一体化される。これにより、上記積層器及び積層器用操作器は上記ハウジングにより覆われ、ユーザから遮断されることが確実とされる。
【0051】
一実施形態において、上記積層器ユニットは引出しである。上記結合解除段階は、上記引出しを開ける段階と、該引出しを開き位置に繋止する段階とを備えて成る。この位置において、上記搬送システムは依然として、上記分析器内の各ステーション間で消耗品を搬送し得る。故に、上記積層器ユニットの結合解除段階は、分析プロセスにより中断されない。上記分析プロセスの中断は、該分析プロセスが上記分析器内で上記積層器ユニットから各ステーションへの消耗品の搬送を必要としないときに、上記積層器ユニットの結合解除を許容することによってのみ、阻止される。上記分析器の上記ハウジング内への上記搬送システムの一体化、及び、各積層器ユニットの引出し形状は、各積層器は人間工学的であり且つユーザ・フレンドリである、という利点を有する。これにより上記分析器は、低減された設置面積を有する。上記搬送システム及び各積層器ユニットを上記ハウジング内に一体化すると、各消耗品の汚染も阻止される。
【0052】
一実施形態において上記分析器は、消耗品の装填のために該分析器から独立的に結合解除され得る少なくとも2つの積層器ユニットを備えて成り得る。この実施形態において、上記少なくとも2つの積層器ユニットは、同一形式の消耗品に対する積層器を備えて成る。上記搬送システムは、上記分析器内で各積層器ユニットから各ステーションへと消耗品を移送するときに、各積層器ユニットを選択し得る。
【0053】
故に本発明はユーザに対し、上記分析器に対する最小限度の不稼働時間を以て、分析プロセスの間に消耗品を装填及び装填解除すべく延長された時間枠を提供する。立ち去り時間及び融通性は最適化される。このことは、ユーザに対してコスト節約も提供する。本明細書中に記述されたハードウェア的コード化、及び、ディスプレイ支援式の装填の使用に依れば、消耗品を装填するときのエラー、及び、上記分析器に対する損傷も阻止される。
【0054】
本明細書中に記述されたような、自動分析装置の引出しを上記分析プロセスに対して機能的に結合する方法であって、上記引出しを本明細書中に記述されたような上記分析器内の第1終端位置へと自動的に摺動させる段階と、上記引出しを繋止することにより、該引出しを上記自動分析装置に対して機能的に結合する段階とを備えて成る、という方法も開示される。一実施形態において上記引出しは、手動的に部分的に閉じられると共に、自動的に完全に閉じられる。別実施形態において、上記引出しは自動的に完全に閉じられる。
【0055】
自動分析装置に対するユーザの相互作用
本開示内容は、少なくとも1つの分析モジュールにおいて分析プロセスを実施する自動分析装置とユーザとの間における相互作用の方法であって、該方法は上記分析プロセスを実施するために必要な全ての特定項目(feature)をディスプレイ上に表示する段階を備えて成り、上記ディスプレイは上記自動分析装置の正面に取付けられる、という方法に関している。上記ディスプレイの取付け要素は、上記各モジュールの内の少なくとも1つのモジュールに沿い横方向に上記ディスプレイを移動させるべく構成且つ配置される。上記ディスプレイをモジュールと重なり合う位置へと移動させると、該モジュールに対するアクセスが阻止される。上記ディスプレイをモジュールと重なり合わない位置へと移動させると、該モジュールに対するアクセスが可能とされる。
【0056】
このことは、上記分析プロセスの実施に関する全てのユーザ相互作用が上記ディスプレイにより全体的に案内され得る、という利点を有している。更なる利点は、上記分析装置の正面に取付けられ且つ該装置の少なくとも一部分に沿い横方向に移動され得る上記ディスプレイが、アクセスを阻害せずに、ユーザによりアクセスされる必要のあるモジュールの近傍の位置へともたらされ得る、ということである。アクセスとは、例えば、積層器を開いて消耗品を装填すること、又は、試薬容器を上記装置内へと装填することであり得る。上記ディスプレイは、それが上記装置の正面に位置決めされるように取付けられることから、当該モジュールの正面に上記ディスプレイが配置されるモジュールのアクセスは、正面からは行われ得ない。重なり合わない位置への上記ディスプレイの位置決めは、本明細書中に記述されたように行われ得る。移動の間において、且つ、上記装置の正面における任意の位置において、上記ディスプレイは常に、上記分析プロセスを実施するために必要な全ての特定項目を表示する。上記ディスプレイはまた、1つの終端位置において側方に移動されることで、モジュールに対するアクセスを可能とし得る。
【0057】
一実施形態において、上記分析装置は、サンプル小瓶を該分析装置上に装填するモジュールを備えて成る。このモジュールは分析前置モジュールと見做されると共に、サンプル小瓶を上記分析器内に装填する上記プロセスは、分析プロセスとは対照的に分析前置プロセスと見做され、これは、液体の移送、サンプルの処理、反応が内部で行われる受容器の移送などのようなプロセスに関している。任意の分析前置モジュールと上記分析装置との間の相互作用は上記ディスプレイを介して実施され得るか、又は、斯かる相互作用は独立的とされ得る。故に、「分析プロセスを実施するために必要な全ての特定項目」とは、分析前置プロセスではなく、本明細書中に記述された分析プロセスに関連している。但し、分析プロセスを実施するために必要な特定項目は、該分析プロセスを実施するために必要な試薬及び消耗品の装填のようなプロセスも備えて成る。
【0058】
本明細書中で用いられる「モジュール」という語句は、上記分析器内において空間的に画成される任意の箇所に関連する。2つのモジュール例えば8、9は、壁部により分離され得るか、又は、開放関係とされ得る。任意の1つのモジュール7、8、9、10、11が独立的に制御され得るか、又は、モジュール7、8、9、10、11の制御は他のモジュール7、8、9、10、11と共有され得る。一実施形態において、全てのモジュール7、8、9、10、11は集中的に制御される。モジュール7、8、9、10、11間の移動は、手動的又は自動的とされ得る。
【0059】
「上記自動分析装置の正面に」という語句は、上記分析装置の側部であって、該分析装置の動作の間においてユーザ相互作用が行われる側部を指すことが意味される。上記分析装置が動作していないとき、保守又は修理のための該分析装置に対する相互作用は、該自動分析装置の上記前側以外の側部にても行われ得る。
【0060】
当業界においては、複数種類のディスプレイが知られている。一実施形態において、ディスプレイ5はタッチスクリーン5aを備えて成る。
【0061】
1つの分析プロセスは、分析対象物を化合物と反応させる段階を備えて成る。本明細書中で用いられる「反応する段階」という語句は、試薬に対する上記分析対象物の任意の種類の化学反応であって、検出可能信号を獲得するために必要である化学反応に関連する。一実施形態において、上記反応段階は、増幅から成る。増幅は、信号に対する任意の種類の強化として理解され得る。故に、増幅は酵素による分子の変換であり得ると共に、その場合に上記酵素は上記分析対象物に対して連結又は結合されて検出可能信号に繋がり、分析対象物分子が存在するよりも多くの信号分子が形成される。1つの斯かる非限定的な例は、例えばECLを用いた化学発光色素の形成である。増幅という語句は更に、上記分析対象物が核酸ならば、核酸増幅に関連する。これは、線形の等温的な増幅、及び、指数的な増幅の両方を包含する。核酸増幅方法の非限定的な例は、TMA、SDA、NASBA、及び、リアルタイムPCRを含むPCRである。当業者であれば、斯かる方法は公知である。
【0062】
別の分析プロセスは、他の材料から分析対象物を単離して分離する段階を備えて成る。
【0063】
本明細書中に記述された上記方法の一実施形態において、上記ディスプレイの取付け要素は、各モジュールの内の少なくとも1つのモジュールに沿い該ディスプレイを横方向に移動させるべく構成且つ配置される。一実施形態において、ディスプレイ5は、少なくとも1つのモジュール7、8、9の頂部側の前側に沿い延在するレール3上に取付けられ、図1及び図2を参照されたい。ディスプレイ5はレール3に沿い移動されることで、上記少なくとも1つのモジュール7、8、9、10、11に沿う該ディスプレイ5の水平移動に帰着し得る。一実施形態において、レール3は少なくとも2つのモジュール7、8に沿い延在する。
【0064】
本明細書中に記述された上記方法の一実施形態において、該方法は例えば7などのモジュールにアクセスする段階を備え、その場合に上記ディスプレイは、上記モジュール7と重なり合わない位置へと移動される。一実施形態において、レール3が少なくとも2つのモジュール例えば、7及び8に沿い延在するとき、第1のモジュール7にアクセスするために、上記ディスプレイは第2のモジュール8へと移動される。
【0065】
詳細には、上記ディスプレイにより表示された特定項目15は、装置400の装填状況15、及び/又は、装填された消耗品の量、及び/又は、消耗品及び/又は試薬16の装填又は装填解除のために各モジュールがアクセス可能である時点に関する情報を備えて成る。図5には、複数の特定項目15を備えた代表的なディスプレイ5が示される。
【0066】
分析プロセスを実施するために必要な全ての特定項目を表示することの利点は、ユーザが該分析プロセスを上記ディスプレイから全体的に制御し得るということである。上記装置は、操作行為を必要としている該装置の部分の更に容易で更に迅速な特定のために選択的なライト又はインディケータを付加的に備えて成り得るが、上記ディスプレイによれば、上記分析装置において分析プロセスを実施するために必要な全てのモジュールを該ディスプレイから制御することが許容される。故にユーザは、1つの操作行為を実施する前に上記装置の種々の箇所において夫々の制御器をチェックする必要はない。これにより、ユーザが上記分析装置を安全に操作することが更に容易とされる。
【0067】
上記ディスプレイにより制御される特定の操作行為は、該ディスプレイ5を介して引出しの繋止解除を要求することにより引出しを繋止解除する段階を含む。引出しは、一実施形態において、消耗品を装填及び装填解除するための積層器ユニット66を備えて成る。ディスプレイ5上には、積層器ユニット66の装填段階の案内内容を表示するユーザ・インタフェース16も含まれ得る図3を参照。1つの積層器ユニットは、少なくとも1つの積層器600を備えて成り得る。更なる特定の操作行為は、ハウジング2を開くことであり、その場合には、ハウジング2を開くための要求及び開くための操作行為がディスプレイ5を介して入力且つ制御される。一実施形態においては、ディスプレイ5の側部にボタン17が存在し図5を参照、その場合に該ボタン17は、ディスプレイ5の上記タッチスクリーン上のボタン18と同時に操作されるべきである。このことは、ユーザ19が両手を使用することを必要とすることから、扉を偶発的に開く虞れが低減されると共に、ユーザが自動扉に近づくことが阻止される。
【0068】
本開示内容の方法に依れば、上記装置の少なくとも分析部分の制御及び操作は、上記ディスプレイを介して完全に管理される。一実施形態においては、付加的な制御デバイスは存在しない。別実施形態において、選択された部分上には補足的で選択的な制御ライト及び/又は光バリヤが存在する。
【0069】
上記ディスプレイにより表示される更なる詳細な特定項目は、上記装置の再装填までの立ち去り時間、及び/又は、異なるユーザ操作行為に対して異なる様に着色された時間枠を上記ディスプレイ上に示すことにより、次に必要とされるユーザ操作行為を表示することである。一実施形態において、上記分析プロセスは、上記装置に対する再装填の間において停止されない。故に、再装填のタイミングは、上記分析プロセスの状況によってではなく、新たな消耗品又は試薬に対する要件によってのみ定義される。
【0070】
上記ディスプレイ上には、上記自動分析装置の機能を制御するために必要とされるか、又は、立ち去り時間の最適化を許容する情報をユーザに対して提供する更なる特定項目が含まれ得る。
【0071】
本開示内容はまた、分析プロセスを実施する少なくとも1つのモジュール7、8、9と、制御ユニット14と、ディスプレイ5とを備えて成る完全に自動的な分析装置400であって、上記ディスプレイ5は該分析装置400の正面に取付けられ、且つ、ディスプレイ5の取付け要素は、装置400の少なくとも1つのモジュール7、8、9に沿い横方向に該ディスプレイ5を移動させるべく構成且つ配置される分析装置400にも関連する。上記ディスプレイ5の位置がモジュール7、8、9と重なり合うときに、該モジュール7、8、9に対するアクセスが禁止されると共に、ディスプレイ5がモジュール7、8、9と重なり合わない位置に配置されたときには、モジュール7、8、9に対するアクセスが可能とされる。ディスプレイ5上には、上記分析プロセスを実施するために必要な全ての特定項目15が表示される。
【0072】
一実施形態において、ディスプレイ5の取付け要素は、装置400の少なくとも1つのモジュール上の少なくとも一本の案内レール3又は複数本のレール3に対して結合される。一実施形態において、ディスプレイ5の取付け要素4は、二重レール3に対して結合される。
【0073】
一実施形態において、上記ディスプレイの上記取付け要素は、特にケーブル管路である案内のための上側軌道、及び、下側軌道に対して結合され得る。
【0074】
一実施形態において、上記上側軌道又はレール3は、上記少なくとも1つのモジュールの少なくとも一端における停止部13を備えて成る。この停止部13によれば、上記ディスプレイは上記終端位置において停止することが許容される。一実施形態において、上記ディスプレイ取付け要素は、各モジュールの側部へと回動可能である。これにより、アクセスされる必要がある扉を阻害しない側へと上記ディスプレイを回動することが許容される。
【0075】
上記ディスプレイの取付け要素の一実施形態において該取付け要素は、レール3に接続された第1アーム4と、該第1アーム4に対して接続された第2アーム6であって、ディスプレイ5が接続される枢動部材12を備えて成る第2アーム6とを備えて成る。枢動部材12は、ディスプレイ5の横方向の調節を許容する。枢動部材12とディスプレイ5との間の接続は、該ディスプレイ5の垂直/傾斜調節を許容すべく構成且つ配置される。このことは、ユーザ19による最適な到達のために、且つ、装填及び装填解除のために底部レベルに対する自由アクセスを提供するために、ディスプレイ5が垂直方向に調節され得る、という利点を有している。
【0076】
一実施形態において、上記分析装置は、付加的な分析前置モジュール1を備えて成り得る。分析前置モジュールとは、上記分析プロセスに関与しないモジュールである。斯かる分析前置モジュールは、サンプル管を分類し、分析されるべきサンプルを備えて成るサンプル管を各分析モジュールに対して提供するモジュールであり得る。レール3は、この実施形態において、全てのモジュール1、7、8、9、10、11に沿い延在し得るか、又は、該レールは、モジュール7、8、9、10、11の頂部に沿ってのみ、又は、分離ステーションを備えて成る1つ以上のモジュール7、8、9に沿ってのみ延在する。「分離ステーション」とは、固体支持体から分析対象物が分離されるステーションであると理解される。一実施形態において、上記処理領域は、分析対象物を単離するステーションを備えて成る。
【0077】
ディスプレイ5は、キーボードを備えても、備えなくても良い。一実施形態においてディスプレイ5は、分離不能である。
【0078】
一実施形態において、上記装置ユニットは、いずれの引出しが開かれているかを認識し、且つ、該装置の制御ユニット14は、操作行為が必要とされる位置へのディスプレイ5の自動的な移動を制御する。このことは、ユーザが最初にディスプレイ5まで行き且つそれを適切な位置へと移動させて作業を実施する必要はなく、直ちにディスプレイ5に到達して必要な操作行為に注意を払い得る、という利点を有している。ディスプレイ5はまた、システム440に沿う自身の位置、及び、該ディスプレイ5の前後関係及び/又は位置に関連する情報も認識し得る。ディスプレイ5はまた、操作行為が必要とされる箇所も自動的に認識し、夫々の位置へと自動的に移動もし得る。
【符号の説明】
【0079】
3a、b、c 処理領域
6 積層器ユニット
7 搬送システム
60、70 消耗品/先端部用ラック
101 消耗品/マルチウェル・プレート
105 ディスプレイ
301、302 消耗品/マルチウェル・プレート
400 分析器
600 積層器
600a、b 積層器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析器であって、処理領域と当該分析器内で消耗品を自動的に搬送する搬送システムとを有する分析器内へと複数の前記消耗品を連続的に装填するシステムであって、当該システムは、
複数の消耗品を保持する少なくとも1つの積層器を有する積層器ユニットであって、該積層器ユニットは前記分析器内に一体化され、且つ、該積層器ユニットは、前記消耗品の手動的又は自動的な装填のために前記処理領域から結合解除され得、該積層器ユニットは、前記少なくとも1つの積層器内の消耗品に対して前記搬送システムによるアクセスが必要とされるときに、前記分析器内における繋止位置に在り、且つ、該積層器ユニットは、前記積層器内の消耗品に対して前記搬送システムによるアクセスが必要とされないときには繋止解除位置に在る積層器ユニットを具備し、
前記積層器ユニットは、前記分析器の内部における第1終端位置と、前記分析器の外部における第2終端位置とを有し、且つ、前記第2終端位置において、前記積層器ユニット内に含まれた前記少なくとも1つの積層器は、該積層器内への消耗品の装填のためにアクセス可能であり、且つ、前記積層器ユニットは装填の間において繋止されるシステム。
【請求項2】
前記分析器の内側における前記積層器ユニットの繋止位置に該積層器ユニットを繋止する前に、開かれた該積層器ユニットを前記分析器内の前記第1終端位置へと自動的に摺動させる自動機構を具備する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記積層器ユニットは引出しであり、且つ、前記結合解除は、前記積層器ユニットが繋止解除されたときに消耗品を装填するために前記引出しを開けることを含む請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記積層器ユニットの開閉は完全に自動化される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
任意の1つの積層器は、特定の消耗品を受容すべく構成且つ配置される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記積層器は枢動可能ユニットである請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記消耗品はハードウェア的にコード化される請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記積層器ユニットに対する装填及び/又は装填解除のためのアクセスはディスプレイを介して案内される請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理領域は、分析対象物を単離するステーションを有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理領域は、前記分析対象物を反応させて検出可能信号を獲得するステーションを備えて成る請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記分析対象物が単離される間に、及び/又は、前記分析対象物が反応して検出可能信号を獲得している間に、前記消耗品は前記積層器内へと装填される請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
分析器内へと複数の消耗品を連続的に装填する方法であって、
前記複数の消耗品を受容するための積層器ユニットであって、前記分析器のハウジング内に一体的に取付けられた積層器ユニット内へと消耗品を装填するための時間枠が利用可能であれば、該積層器ユニットを、消耗品を積層器から前記分析器へと、且つ、消耗品を該分析器内の各ステーション間にて搬送する搬送システムから結合解除する段階と、
前記積層器ユニットを開き位置へと摺動させる段階と、
前記積層器ユニットを前記開き位置において繋止する段階と、
前記分析器内で分析プロセスが実施されている間に、前記積層器ユニット内に含まれた消耗品ホルダ内へと複数の消耗品を装填する段階と、
前記積層器ユニット内へと複数の消耗品が完全に装填されたときに前記積層器ユニットを繋止解除する段階と、
前記積層器ユニットを閉じる段階であって、該積層器ユニットはその閉じ位置において繋止されることで、消耗品を搬送する搬送システムに対して作用的に結合される段階と、を含む方法。
【請求項13】
前記積層器ユニットを閉じるときに、該積層器ユニットは前記分析器内の前記第1終端位置へと自動的に摺動する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1終端位置及び第2終端位置の間における前記積層器ユニットの摺動は完全に自動化される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1段階として、積層器ユニット内へと複数の消耗品を装填するための時間枠をディスプレイ上に表示する段階をさらに含む請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225903(P2012−225903A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−33109(P2012−33109)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】