説明

連続鋳造設備内における、ローラーの冷却装置

【解決手段】右側の軸受ケーシング2、左側の軸受ケーシング3、および、軸受ジャーナル11、12を用いてこれら軸受ケーシング2、3内において回転軸受けされているローラー4、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置1を冷却するための、その方法の場合に、冷却媒体がこのローラー4内における軸線方向の穿孔を通って導かれる様式の方法において、冷却媒体が、付加的に、軸受ケーシング2、3内に収納された軸受13、14を冷却する。本発明は、更に、相応するローラー装置1に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置を冷却するための方法であって、この方法の場合に、冷却媒体がこのローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれる上記方法、並びに、ローラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第42 07 042号明細書(特許文献1)は、特に連続鋳造設備のための、バックアップロール、および移送ロールの冷却媒体を連結するための装置を記載しており、このロールが、軸受台内におけるジャーナルを介して、ころ軸受によって軸受けされており、且つ、軸線方向にこれらジャーナルを通って導かれた穿孔を介して、冷却媒体によって貫通流動される。
構造的に簡単な構造において、維持補修し易い方法で、冷却媒体の確実な供給、もしくは導出を保証する、冒頭に記載した様式の、長寿命の装置を提供するために、
それぞれの軸受台が、蓋によって閉鎖されていること、
この蓋が、冷却管路を有しており、この冷却管路が一端で冷却媒体供給、もしくは導出部と接続されており、且つ他端でジャーナル穿孔の領域内においてその終端を接していること、
この蓋の管路開口と、ロールの穿孔との間に、頭部状の封隙材を有している弾性的なスリーブが設けられていること、および、
この封隙材が、ロール軸線に対して同軸に設けられた封隙面に接触すること、
が提案される。
【0003】
ヨーロッパ特許第859 676号明細書(特許文献2)から、連続鋳造設備内における、案内ロールの冷却水供給および導出のための回転管継手が公知である。この発明の根底にある課題は、冒頭に記載した様式の回転管継手を提供することであり、この回転管継手の、カバー板と軸受ジャーナルとの間に作用的な封隙材が、公知の回転管継手における封隙材よりもより構造的に僅かの経費だけが必要である。この課題は、この発明により、リング形状の、フランジ状のメンブレンとしての封隙材の中心部分が、合成物質またはゴムから形成されており、
このメンブレンが、このメンブレンの内側の縁部でもって、ブッシュの外側面において、および、このメンブレンの外側の縁部でもってフランジにおいて、側面で加硫により付着されている、ことによって解決される。
この回転管継手は、この回転管継手の簡単な、構造的な、且つコンパクトな形状によって特徴付けられている。この回転管継手は、完全に、軸受ジャーナルの端面に組み付け可能である。従って、その内に封隙材を格納するために、冷却ローラー内における分配システムの軸線方向の管路を、軸受ジャーナルの端面側の前方の領域内において、直径において拡大することはもはや必要ではない。この中央の管路は、従って、一般に、同じ断面積を有することは可能である。
【0004】
回転管継手の実施形態は、例えば、ヨーロッパ特許出願公開第1 125 656号明細書(特許文献3)、および、国際公開第99/26745号パンフレット(特許文献4)
内において記載されている。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許第198 16 577号明細書(特許文献5)は、結合導管を介して冷却媒体供給装置に接続されているローラーを装着する、セグメントに分割された上側および下側のロールスタンドを有する、特に鋼から成る金属ストランドを製造するための、ストランド案内装置を記載している。
簡単な手段でもって、ローラーと冷却媒体供給装置との間の、メンテナンスのいらない、漏洩のない、現場で容易に解離可能および再び結合可能に、および、一目瞭然に所属して設けることが可能である、結合を提案するために、
この発明により、これらローラーに、スリーブが設けられており、これらスリーブの開口が、水平方向に整向されていること、
これらスリーブが結合導管と対応しており、これら結合導管が金属的な管体として構成されており、これら管体が、一端で、この冷却媒体供給装置に接続されており、且つ、他端で、封隙材との結合状態にあり、この封隙材が、漏洩無しに管体端部とスリーブとの間の軸線方向の、および側面からの移動を許容すること、
が提案される。
【0006】
このようなローラー装置の、公知の実施形態における欠点は、冷却媒体が、ただローラーの1つの側においてだけで、供給および導出されることである。この冷却媒体は、その際、ローラー内における軸線方向の穿孔を通って、相対して位置している側へと搬送され、そこで方向転換され、且つ、環状管路を通って、再び、出口側へと導かれ、この出口側から冷却および貯蔵槽への結合部が備えられている。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第42 07 042号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許第859 676号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願公開第1 125 656号明細書
【特許文献4】国際公開第99/26745号パンフレット
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許第198 16 577号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、
このようなローラー装置の冷却作用を高めること、および、個別の構造部材の組み付けおよび取り外しを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明に従い、
右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置を冷却するための方法であって、この方法の場合に、冷却媒体がこのローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれる上記方法において、
冷却媒体が、付加的に、軸受ケーシング内に収納された軸受を冷却することによって解決されることによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有利な実施形態により、冷却媒体は、一方の側で、ローラー装置の軸受ケーシング内へと流入し、この軸受ケーシング内において収納された軸受の周囲に導かれ、引き続いて、ローラー内における軸線方向の穿孔を通って他方の側へと流動し、そこで、他方の軸受ケーシング内において収納された軸受の周囲に導かれ、且つその後、このローラー装置から導出される。
【0010】
本発明の特別な実施形態において、冷却媒体は、軸受ケーシングから、端面にフランジを介して接合された、剛性のまたは可撓性の継手を通って、回転管継手内へと導かれる。
【0011】
本発明によるローラー装置において、軸受ケーシング内に収納された軸受の周囲に穿孔が設けられており、これら穿孔が、閉鎖された冷却管路を形成している。
【0012】
本発明の有利な実施形態では、冷却媒体のために、軸受ケーシングの端面に設けられた出口穿孔は、軸受蓋の外側に設けられている。
【0013】
中心で、軸受蓋内において設けられた回転管継手は、剛性のまたは可撓性の継手を介して、軸受ケーシングの端面における出口穿孔と結合されている。
【0014】
更に、本発明において、回転管継手は、解離可能に、軸受蓋内において固定されている。
【0015】
本発明の有利な実施形態において、軸受蓋内における回転管継手は、ローラーの長さ方向への伸張を補償可能である。
【0016】
次に、本発明の実施例を、概略的な図に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1内において、右側の軸受ケーシング2、および左側の軸受ケーシング3、およびローラー4から成る、ローラー装置1が図示されている。端面上に、継手5、6がフランジを介して接合されており、これら継手は、出口穿孔を、軸受蓋9、10内における回転管継手7、8と結合している。メンテナンスのために、または故障の際に、この継手5、6は解離される。引き続いて、この軸受蓋9、10は、この回転管継手7、8と共に、この軸受ケーシング3、4から取り外される。ただこの回転管継手7、8だけを解体することの可能性も同様にある。
【0018】
軸受13の周囲の、閉鎖された中空室のための穿孔15の配設は、図2に図示されている。この中空室は、多数の穿孔15によって形成されており、これら穿孔が、軸受ケーシング2の外側面から間隔をおいて設けられている。これら穿孔は、その際、ある角度のもとで互いの中に移行し、または、直角に互いに位置している。1つの閉鎖された中空室を得るために、個別の穿孔が、この軸受ケーシング2の表面において閉鎖される。冷却媒体は、下側面上で軸受ケーシング2内へと導入され、この軸受13の周囲に設けられている中空室を貫流し、且つ、この軸受ケーシング2の端面上の出口穿孔に到達する。
【0019】
図3内において、一方の軸受ケーシング2の端面が見て取れる。右側の側面の上で、軸受蓋9と並んで設けられた出口穿孔は、継手5によって、回転管継手7と結合されている。この回転管継手7は、中心で、軸受蓋9内において設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】透視図におけるローラー装置の図である。
【図2】縦断面図における軸受ケーシングの図である。
【図3】側面図(端面)における、図2の軸受ケーシングの図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ローラー装置
2 右側の軸受ケーシング
3 左側の軸受ケーシング
4 ローラー
5 右側の継手
6 左側の継手
7 右側の回転管継手
8 左側の回転管継手
9 右側の軸受蓋
10 左側の軸受蓋
11 右側の軸受ジャーナル
12 左側の軸受ジャーナル
13 右側の軸受
14 左側の軸受
15 穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置を冷却するための方法であって、この方法の場合に、冷却媒体がこのローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれる様式の上記方法において、
冷却媒体が、付加的に、軸受ケーシング(2、3)内に収納された軸受(13、14)を冷却することを特徴とする方法。
【請求項2】
冷却媒体は、一方の側で、ローラー装置(1)の軸受ケーシング(2、3)内へと流入し、この軸受ケーシング(2、3)内において収容された軸受(13、14)の周囲に導かれ、引き続いて、ローラー(4)内における軸線方向の穿孔を通って他方の側へと流動し、そこで、他方の軸受ケーシング(2、3)内において収納された軸受(13、14)の周囲に導かれ、且つその後、このローラー装置(1)から導出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
冷却媒体は、軸受ケーシング(2、3)から、端面にフランジを介して接合された、剛性のまたは可撓性の継手(5、6)を通って、回転管継手(7、8)内へと導かれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置であって、このローラー装置の場合に、冷却媒体がこのローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれる様式の、上記ローラー装置において、
軸受ケーシング(2、3)内に収納された軸受(13、14)の周囲に、穿孔(15)が設けられており、これら穿孔が、閉鎖された冷却管路を形成していることを特徴とするローラー装置。
【請求項5】
冷却媒体のために、軸受ケーシング(2、3)の端面に設けられた出口穿孔は、軸受蓋の傍らに設けられていることを特徴とする請求項4に記載のローラー装置。
【請求項6】
中心で、軸受蓋(9、10)内において設けられた回転管継手(7、8)は、剛性のまたは可撓性の継手(5、6)を介して、軸受ケーシング(2、3)の端面における出口穿孔と結合されていることを特徴とする請求項4または5に記載のローラー装置。
【請求項7】
回転管継手(7、8)は、解離可能に、軸受蓋(9、10)内において固定されていることを特徴とする請求項6に記載のローラー装置。
【請求項8】
軸受蓋(9、10)内における回転管継手(7、8)は、ローラー(4)の長さ方向への伸張を補償可能であるように構成されていることを特徴とする請求項4から7のいずれか一つに記載のローラー装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置を冷却するための方法であって、この方法の場合に、冷却媒体が、軸受ケーシング(2、3)内に収納された軸受(13、14)を冷却し、且つ、このローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれる様式の上記方法において、
冷却媒体が、一方の側で、ローラー装置(1)の軸受ケーシング(2、3)内へと流入し、この軸受ケーシング(2、3)内において収容された軸受(13、14)の周囲に導かれ、引き続いて、ローラー(4)内における軸線方向の穿孔を通って他方の側へと流動し、そこで、他方の軸受ケーシング(2、3)内において収納された軸受(13、14)の周囲に導かれ、且つその後、このローラー装置(1)から導出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
冷却媒体は、軸受ケーシング(2、3)から、端面にフランジを介して接合された、剛性のまたは可撓性の継手(5、6)を通って、回転管継手(7、8)内へと導かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
右側の軸受ケーシング、左側の軸受ケーシング、および、軸受ジャーナルを用いてこれら軸受ケーシング内において回転軸受けされているローラー、特に、連続鋳造設備内における、ストランド案内ローラー、ローラーテーブルのローラー、移送ローラー、支持ローラー、駆動機構ローラーから成る、ローラー装置であって、このローラー装置の場合に、冷却媒体がこのローラー内における軸線方向の穿孔を通って導かれ、且つ、
軸受ケーシング(2、3)内に収納された軸受(13、14)の周囲に、穿孔(15)が設けられており、これら穿孔が、閉鎖された冷却管路を形成している様式の、上記ローラー装置において、
冷却媒体のために、軸受ケーシング(2、3)の端面に設けられた出口穿孔は、軸受蓋の傍らに設けられていることを特徴とするローラー装置。
【請求項4】
中心で、軸受蓋(9、10)内において設けられた回転管継手(7、8)は、剛性のまたは可撓性の継手(5、6)を介して、軸受ケーシング(2、3)の端面における出口穿孔と結合されていることを特徴とする請求項3に記載のローラー装置。
【請求項5】
回転管継手(7、8)は、解離可能に、軸受蓋(9、10)内において固定されていることを特徴とする請求項4に記載のローラー装置。
【請求項6】
軸受蓋(9、10)内における回転管継手(7、8)は、ローラー(4)の長さ方向への伸張を補償可能であるように構成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一つに記載のローラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−515804(P2006−515804A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500575(P2006−500575)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000278
【国際公開番号】WO2004/065040
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】