連装ノズル
【課題】 放水射程が一様となり、望みの放水パターンを容易に得ること。
【解決手段】 給水パイプの先端部分に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットを有する連装ノズルにおいて、水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように連装ユニットに形成されている。そして、水噴射ノズルは、給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成される。
第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように連装ユニットに二次側の開口を設けて、放水パターンの端部散水領域に向けられる。
第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように連装ユニットに二次側の開口を設けて、放水パターンの中央散水領域に向けられる。
【解決手段】 給水パイプの先端部分に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットを有する連装ノズルにおいて、水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように連装ユニットに形成されている。そして、水噴射ノズルは、給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成される。
第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように連装ユニットに二次側の開口を設けて、放水パターンの端部散水領域に向けられる。
第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように連装ユニットに二次側の開口を設けて、放水パターンの中央散水領域に向けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は連装ノズルに関し、特に複数のノズルが連装ユニットとして放水設備の給水パイプに取付られる連装ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の連装ノズルとしては給水パイプに取り付けられるほぼ円筒状の本体から僅かに上に向けられて放射状に延びた多数の遠投用のノズルを備えているものがある。
【0003】
このように多数のノズルを持つ連装ノズルに於いては設置環境によってノズルの角度を調節しなければならぬことがしばしばあるため、各遠投用のノズルをそれぞれ角度調節機構を介してヘッド本体に取り付け、各遠投用のノズルが角度調節できるようにしてある。ノズルの角度調節は水平方向にも垂直方向にも行うことがあるが、特に重要なのは垂直方向即ち俯仰角度の調節である。
【0004】
図26および図27に示すものはこのようなノズルの角度調節機構の一例としてボールジョイントを用いたノズル51である。
【0005】
ノズル51の根本部にボール52である球状膨出部が設けられていて、このボール52が給水パイプ(図示してない)に接続されるアダプタ53のソケット部54内で回転自在に嵌められていて、ソケット部54に嵌合するキャップ55によって保持されている。このようなボールジョイントに於いては、あらゆる方向に角度調節ができる。
【0006】
このような連装ノズルはそれぞれ独立した角度調節機構を持った多数のノズルを備えているので、据付現場でノズルの向きを一つ一つ調節する作業を各々のノズルに対して行わねばならず、据付作業に時間が掛かる。
【0007】
また、ボールジョイントを用いた場合には俯仰調節だけをしようとしても誤って水平方向に回転させてしまうこともあり、作業が困難である。また、ヘッド本体から突出したノズルが多数あるために連装ノズルの全体寸法が大きくなってしまっている。
【0008】
【特許文献1】特公昭58−10111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、一般に、連装ノズルによる放水パターンは、その端部散水領域で、放水に対する空気の抵抗が大きいため、また給水配管内の管壁近くで流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下するために、射程が短くなりがちである。
【0010】
反対に放水パターンの中央散水領域では、放水に対する空気の抵抗が小さく、また給水配管内の中央部分では流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下しないために、射程が短くなりにくい。この結果、放水パターンが所望通りにならず、設計が困難であった。
【0011】
従って、この発明の課題は上述のような従来の連装ノズルの問題点を解消することであり、簡単な構造により、放水射程が一様となり望みの放水パターンが容易に得られる連装ノズルを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によれば、上述の課題を解決するための手段は次の通りである。
【0013】
給水パイプの先端部分に設けられたユニット基台と、前記給水パイプの開端を閉じるように、該ユニット基台に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットとを有する連装ノズルにおいて、水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように前記連装ユニットに形成され、連装ユニットの複数の水噴射ノズルは、前記給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、前記給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成され、第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けると共に、前記第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
連装ユニットの複数の水噴射ノズルのうち、給水配管断面の中央部分に開いた水噴射ノズルを、放水パターンの外周領域に向け、給水配管断面の管内壁寄り部の放水の流速の小さい部分に開いた水噴射ノズルを、放水パターンの内部領域に向けたものであるので、簡単な構造により、放水射程が一様となり望みの放水パターンが容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の一実施形態の連装ノズルを示してあり、この連装ノズルに於いては、放水設備の給水パイプ1に接続され得るヘッド本体2には複数の分岐した給水パイプ3が設けられている。これらの給水パイプ3の開端は後述する俯仰調節機構4によって給水パイプ3に俯仰調節可能に取り付けられた円形の端板5によって閉ざされていて、それぞれの端板5には複数の水噴射ノズル6を有する連装ユニット7が取り付けられている。
【0016】
このように、この発明の連装ノズルに於いては、複数のノズル6が給水パイプ3の開端を閉じるように取付られた端板5に設けられた連装ユニット7として形成されている。また、複数の水噴射ノズル6は、それぞれ複数の水噴射ノズル6を有する複数の連装ユニット7として纏められ、それぞれの連装ユニット7は後述する俯仰調節機構4を介してユニット基台である給水パイプ3に取り付けられている。
【0017】
図3および図4は連装ユニット7の詳細を示し、図3は図2のX−X断面(水平断面)を示す断面図、図4は図2のY−Y断面(垂直断面)を示す断面図である。これらの図ではユニット基台8が独立した部品として示してあるが、図1および図2の構造ではユニット基台8は分岐した給水パイプ3の一体的に連続した先端部分である。図3および図4に示すような独立したユニット基台8を持つ連装ノズルの場合、ユニット基台8はテーパーネジ(図示してない)等の連結手段によって封止連結して用いる。
【0018】
図示の連装ノズルは、放水設備の給水パイプに(図示してない)接続されるべき環状のユニット基台8の内部にノズルブロック9の円柱状部分10が緩く挿入され、ユニット基台8とノズルブロック9の円柱状部分10との間には給水圧がユニット基台にかかるとその水圧で弾力的に拡幅し、この隙間を封じるV−パッキング等の封止装置11が設けられており、ノズルブロック9の角柱状部分12は端板5を貫通している。ノズルブロック9はネジ13により端板5に固着されており、またそれぞれ所定の角度に設定された複数(図示の例では8個)の水噴射ノズル6が形成されている。
【0019】
図4に示すように、端板5の径方向つまりY−Y断面方向両端部には円筒面状の凹部14(図4の断面に垂直な軸のカマボコ状の凹部)の座面を持つ上下(図4では左右)に長い長穴15が設けられていて、この長穴15には凹部14と接触する部分が凹部14と同様な円筒面を持つ座金16を有する調節ボルト17が緩く通されていてユニット基台8にネジ係合により固定されている。長穴15は、この2本の調節ボルト17を結ぶ方向(図4中左右方向)に長く形成した穴である。なお、この調節ボルト17および上記の封止装置を備えた機構は俯仰調節機構である。また、端板5の調節ボルト17が設けられている径方向に対して直角な径方向(X−X断面方向)の両端部には、図3に示すように端板5のネジ穴18にネジ係合したジャッキネジである調節ネジ19が設けられている。調節ネジ19の球面又は円錐形状の先端は、図5に示すようにユニット基台8の両端面に形成された一対のU字形の切欠段部21のU字の底部に当接していて、端板5がこの先端を支点20としてユニット基台8に対して揺動できるように構成されている。次に、動作を説明すると、図4で右(図2の取付状態に於いて下)の調節ボルト17を緩めて、左(図2に於いて上)の調節ボルト17を締めると、連装ユニットは左側(図2に於いて上側)に傾くので、そのノズルブロック9に形成された全ての水噴霧ヘッド6の俯仰角度を一度の作業で調節できる。ところで、この上方への俯仰調節の際、実際の所は図2に於いて下の調節ボルト17を緩める際、端板5とノズルブロック9はその自重で支点20とともに下方に長穴15の遊び分だけ平行にずり落ちる虞があるため、下の調節ボルト17を緩めながら、支点20を中心に上向きに揺動するよう端板5を持ち上げ押さえるようにする。そのあと、上の調節ボルト17を、一対の調節ネジ19が適度に突っ張るまで締める。これを必要なだけ繰り返して俯仰調節をする。下方への俯仰調節をする場合は、上の調節ボルト17を緩めるが、その際、ノズルブロック9等の自重で自然に下がるので支点20がずれないように端板5の下端を押さえながら行い、次に下の調節ボルト17を一対の調節ネジ19が適度に突っ張るまで締める。以上の調節に於いて端板5は図5の支点20を中心に揺動するので、図4に於ける支点20を中心とする揺動は矢印A、Bのようになり、固定された調節ボルト17に対して長穴15の内壁が当接して揺動を制限することはない。また、U字形の切欠段部21の切欠幅は揺動方向に十分広く、段部21の底部の支点20を中心に揺動する調節ネジ19の揺動を制限することはない。この支点20はユニット基台8の上端面22よりも封止装置11に近い側に設けられているのが望ましく、図3に示すように2つの支点20が封止装置11の成す中心面上にあるのが良い。何故なら封止装置11が連装ユニットの揺動の中心近くにあれば揺動による変位がごく僅かで済むからである。即ち、図4に於ける支点20を中心とする揺動に於いて、封止装置近くの円柱部分の揺動は矢印C、Dに示すようであり、ほぼ上下(軸方向)だけの変位となり、封止装置が吸収する幅方向即ち左右の変位は少ししかないので、俯仰調節角度はより大きくとることができる。また、俯仰調節に余裕ができ、封止力の信頼性を高めることができる。
【0020】
このように、この発明の連装ノズルによれば、複数の水噴射ノズル6が1つのノズルブロック9に形成され、このノズルブロック9が給水パイプ3の開端を閉じるように取付られる端板11に設けられた連装ユニット7として形成されているので、調節機構の数が少なく、構造簡単、調節作業容易、連装ヘッド小型となり、複数ノズルの方向を一斉に変更調節することが容易であり、連装ノズルの小型化が容易にできる。なお、この実施形態1では角度調節を俯仰のみで行うものであるが、調節ネジ19の当接する切欠段部21の切欠幅(特に図3において左右)を大きめに形成し、かつ端板の長穴15を球面座面を持つ大穴とし、更にこの大穴よりも大径の球面を有する座金を持つ調節ボルト17を備えることにより、左右の調節も可能な連装ノズルとすることができる。すなわち、上下(俯仰)の調節をした後、図3に於いて、右の調節ネジ19を緩めて端板5から支点20までの長さ、即ち支点長さを短くし、左の調節ネジ19を締めて左の支点長さを長くさせていき、一対の調節ボルト17が端板5がユニット基台8から離れるのを適度に堅持するまで締めるようにする。こうするとノズルブロック9は右の方に向きが調節される。左の方への向きも同様に調節される。このときノズルブロック9とともに端板5および一対の調節ネジ19が右の方に傾くが、左の切欠段部21の切欠幅に左右揺動用の空間を形成しているので、切欠段部21が調節ネジ19の左右の揺動を制限することはない。このように調節ネジ19を調整、すなわち支点位置を調整可能なようにすると、散水が左右方向においても調節可能となり、簡単な構造で擬妙な調節も容易にできる。
【0021】
実施の形態2.
図6乃至図8はこの発明の連装ノズルの別の実施形態を示す図であり、左を上、右を下に設置される。この連装ノズルは、図1乃至図5に示す連装ノズルと同様の基本的構成を持っている。相違する部分は、第1に、ユニット基台8が給水パイプ3の一部ではなく独立した部品であって、給水パイプ3の端部に例えばねじ込まれて封止接続されるよう構成されていることである。第2に、ノズルブロック24はノズルブロック9のように別個の独立した端板5で支持されているのではなく、ノズルブロック24が全体として円柱状の部材であって、ノズルブロック24から一体に径方向に十字型に延びた2対の腕25および26が設けられている点である。第3にノズルブロック24の揺動支持のための支点27がユニット基台8の上端面22の左右端から円筒状のユニット基台8の軸方向に突出した一対の突起28の先端と腕26との当接部であることである。
【0022】
その他の点は図1乃至図5の連装ノズルと同様であって、俯仰調節をする場合、一方の例えば図7で右側(設置状態で下側)の調節ボルト17を緩めて他方の例えば左側(設置状態で上側)の調節ボルト17を締めれば、連装ユニット7は図6に破線で示すように設置状態で上向きに傾くのでそのノズルブロック24に形成された全ての水噴射ノズル6の角度を一度の作業で調節できる。封止装置11も設けられている。上述のように俯仰調節した場合、揺動の支点27はノズルブロック9の表面に近い位置あるいはノズルブロック9の後方に備えられ、前後に離れた位置にあるので封止装置11の辺りのノズルブロック9において、上側は封止の隙間が広がり、下側は封止の隙間が狭くなる。しかし、封止装置11であるVパッキングは隙間が広がっても給水圧により拡幅するため漏れることはなく、狭くなっても業務に潰れて封止を保つ。
【0023】
実施の形態3.
図9乃至図11にはこの発明の連装ノズルの別の実施形態を示す。この連装ノズルは、図6乃至図8に示す連装ノズルと同様の基本的構成を持っている。相違する部分は、第1に、本実施形態に於けるノズルブロック24aはノズルブロック24aから腕25および26が一体に2対延びているのではなく、径方向反対方向に延びた一対の調節用の腕25だけが設けられている点である。第2にノズルブロック24aの揺動支持のための支点30が、ユニット基台8の左右端から一体に上端面22の上方に向かって互いに平行にユニット基台8の軸方向に突出した一対の支持腕31の先端に径方向内側にねじ込まれた一対のピン32によって構成されている点である。このピン32はノズルブロック24aの円柱部の左右端(図11に於いては上下に示される。)に形成された穴33内に挿入されていて、ノズルブロック24aがピン32を中心に揺動できるようにしてある。
【0024】
その他の点は図1乃至図5の連装ノズルと同様であって、一方の例えば図10で下側の調節ボルト17を緩めて他方の例えば上側の調節ボルト17を締めれば、連装ユニット7は図10でピン32の回りに反時計方向に回動するので、そのノズルブロック24aに形成された全ての水噴射ノズル6の角度を一度の作業で調節できる。先の例と同様に封止装置11も設けられている。
【0025】
実施の形態4.
図12乃至図16には、この発明の連装ノズルの別の実施形態を示す。この連装ノズルに於いては、給水パイプ3の開端部分がユニット基台35となっており、このユニット基台35と図13に示す連装ユニット36との間に図14に示すように連装ユニット36の俯仰角度を調節する図15に示すような楔型スペーサ37が挿入され、連装ユニット36はユニット基台35に対してこの楔形スペーサ37と共に取付ボルト等の取付装置38により固定されている。
【0026】
取付ボルト38を通すために楔形スペーサ37および連装ユニット36に形成されている穴は、ユニット基台35に対して角度を持って取り付けられた場合でも強固に固定されるように、取付ボルト38の通し孔は長穴にされている(図13参照)。また図16に示すように、連装ユニット36のフランジ部39は通し孔の周囲で蒲鉾型の円筒面とされた膨出部40を持っている。この膨出部40の円筒面は連装ユニット36が傾いた位置でも取付ボルト38の頭部の底面にしっかりと接触して固着関係を確実なものにする。このように、この連装ノズルに於いては、俯仰調節機構は、連装ユニット36の俯仰角度を調節する楔型スペーサ37と、楔形スペーサ37を介して連装ユニット36をユニット基台35に固定する取付装置38とを備えている。
【0027】
楔形スペーサ37は比較的硬度の高いゴム、合成樹脂、金属等パッキング材料で作ることもできるが、図17に示すようにユニット基台35、楔形スペーサ37および連装ユニット36の間に”O”リング等の封止装置41を挿入して封止を完全なものとすることもできる。また、連装ユニット36をユニット基台35に取り付けるための取付ネジ(図示してない)が、楔形スペーサ37を貫通せずにその外側を通るように配置すれば、楔形スペーサ37に取付ネジを通すための穴を設ける必要が無く、取付ネジを取り外さずに緩めるだけで楔形スペーサ37を着脱できるようになる。
【0028】
実施の形態5.
図18乃至図25には、本発明の別の実施形態の連装ノズルに使用できる連装ユニット44を示す。この連装ユニット44は図18および図19に示すように平面形がほぼ矩形のノズルブロック45にほぼ矩形形状に沿って各辺につき3本ずつで合計8本の水噴射ノズル46が配置されている。これらの水噴射ノズルは図20乃至図22に示す断面図から理解されるようにそれぞれ方向が異なっている。即ち、この連装ユニット44を用いた連装ノズルにより得られる図23に示すような扇状の放水パターンの中央散水領域に向けられて、そこを受け持つ水噴射ノズルとしては、図20および図22に示すような、連装ユニット44の正面方向に対する傾斜角度が比較的小さいノズルとし、かつ、図24および図25に示すような給水配管断面の管内壁寄り部の放水の流速の小さい部分にノズル流入口が開いた水噴射ノズルとする。他方、図23の放水パターンの端部散水領域に向けられて、そこを受け持つ水噴射ノズルとしては、図21に示すような上記傾斜角度が比較的大きいノズルとし、かつ、図24および図25に示すような給水配管断面の給水配管断面の中央部分にノズル流入口が開いた水噴射ノズルとする。
【0029】
一般に、連装ノズルによる放水パターンは、その端部散水領域で、放水に対する空気の抵抗が大きいため、また給水配管内の管壁近くで流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下するために、射程が短くなりがちである。反対に放水パターンの中央散水領域では、放水に対する空気の抵抗が小さく、また給水配管内の中央部分では流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下しないために、射程が短くなりにくい。この結果、放水パターンが所望通りにならず、設計が困難であった。
【0030】
この発明の連装ノズルによれば、図24および図25に示すような強い流れは連装ユニットの中央に近い部分にノズル流入口を持つ水噴射ノズルから放水パターンの端部に向かって放水され、弱い流れは周辺部にノズル流入口を持つ水噴射ノズルから放水パターンの中央に向かって放水されるため、放水射程が一様となり望みの放水パターンを得るのが容易である。なお、上述の実施形態5では扇状の放水パターンの場合を説明したが、円錐状や他の放水パターンであってもよい。
【0031】
以上の如く本発明の連装ノズルによる効果は次の通りである。複数のノズルが放水設備の給水パイプの開端を閉じるように取付られ得る端板に設けられた連装ユニットに形成されているので、構造簡単となり、複数ノズルの方向を一斉に変更するのが容易である。
【0032】
複数のノズルが放水設備の給水パイプの開端を閉じるように取付られ得る端板に設けられた連装ユニットに形成されているので、構造簡単となり、複数ノズルの方向を一斉に変更するのが容易である。
【0033】
複数の水噴射ノズルを、それぞれ複数の水噴射ノズルを有する複数の連装ユニットに纏め、上記連装ユニットを俯仰調節機構を設けてユニット基台に取り付けたので、調節機構の数が少なく、構造が簡単で調節作業が容易であり、また連装ノズルの全体の寸法が小さくコンパクトになる。
【0034】
上記俯仰調節機構は、連装ユニットの俯仰を調節する調節ボルトと、上記連装ユニットと上記ユニット基台との間を封止する封止装置とを備えているので、構造が簡単で安価に製造でき、連装ノズルの小型化を図ることができる。
【0035】
上記ユニット基台に設けられて上記ユニットを揺動可能に支持する支点が設けられているので、構造が簡単で安価に製造でき、調節後の位置にしっかりと固定することが可能であり、調整作業が容易である。
【0036】
上記支点が上記ユニット基台端面よりも上記封止装置側に設けられているので、簡単な構造で封止の信頼性を高めることができ、また、揺動による変位が小さくて済むので俯仰調節角度を大きくとることができる。
【0037】
上記支点位置が調節可能であるので、簡単な構造で微妙な調節も容易にできる。
【0038】
上記俯仰調節機構は、上記ユニット基台と上記連装ユニットとの間に挿入されて、上記連装ユニットの俯仰角度を調節する楔型スペーサと、上記楔形スペーサを介して上記連装ユニットを上記ユニット基台に固定する取付装置とを備えているので、構造が簡単で安価に製造でき、調節後のずれの虞がなく、連装ノズルがコンパクトになり、美感も優れたものになる。
【0039】
上記俯仰調節機構は、上記ユニット基台および上記連装ユニットと上記楔形スペーサとの間に封止装置を更に備えているので、安価で簡単な構造で封止装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す正面図である。
【図2】図1の放水ヘッドを示す側面図である。
【図3】図2のX−X線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図4】図2のY−Y線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図5】図3の連装ノズルの支点を示す部分側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態の連装ノズルを示す図4に対応する側面図である。
【図7】図6の連装ノズルの断面図である。
【図8】図6の連装ノズルの正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す側面図である。
【図10】図9の連装ノズルの側面図である。
【図11】図10のZ−Z線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図12】本発明の更に別の実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す平面図である。
【図13】図12の連装ノズルの斜視図である。
【図14】図12の連装ノズルの部分側面図である。
【図15】図12の連装ノズルのスペーサの斜視図である。
【図16】図12の連装ノズルの長穴を説明する部分断面図である。
【図17】図12の連装ノズルの別の実施形態を示す部分側面図である。
【図18】本発明の別の実施形態の連装ノズルを示す正面図である。
【図19】図18の連装ノズルの平面図である。
【図20】図18のA−A線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図21】図18のB−B線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図22】図18のC−C線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図23】本発明の連装ノズルによる放水パターンを示す図である。
【図24】図21の連装ノズルの作用を曲がった給水配管の場合について説明する概略断面図である。
【図25】図21の連装ノズルの作用を径が急に広がる給水配管の場合について説明する概略断面図である。
【図26】従来の放水ヘッドに使用できるボールジョイントを角度調節機構として用いたノズルの斜視図である。
【図27】図26のボールジョイントの縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 給水パイプ、4 俯仰調節機構、5 端板、6 ノズル(水噴射ノズル)、7 連装ユニット、8 ユニット基台、11 封止装置、17 調節ボルト、20 支点、22 基台端面、37 楔型スペーサ、38 取付装置、41 封止装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は連装ノズルに関し、特に複数のノズルが連装ユニットとして放水設備の給水パイプに取付られる連装ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の連装ノズルとしては給水パイプに取り付けられるほぼ円筒状の本体から僅かに上に向けられて放射状に延びた多数の遠投用のノズルを備えているものがある。
【0003】
このように多数のノズルを持つ連装ノズルに於いては設置環境によってノズルの角度を調節しなければならぬことがしばしばあるため、各遠投用のノズルをそれぞれ角度調節機構を介してヘッド本体に取り付け、各遠投用のノズルが角度調節できるようにしてある。ノズルの角度調節は水平方向にも垂直方向にも行うことがあるが、特に重要なのは垂直方向即ち俯仰角度の調節である。
【0004】
図26および図27に示すものはこのようなノズルの角度調節機構の一例としてボールジョイントを用いたノズル51である。
【0005】
ノズル51の根本部にボール52である球状膨出部が設けられていて、このボール52が給水パイプ(図示してない)に接続されるアダプタ53のソケット部54内で回転自在に嵌められていて、ソケット部54に嵌合するキャップ55によって保持されている。このようなボールジョイントに於いては、あらゆる方向に角度調節ができる。
【0006】
このような連装ノズルはそれぞれ独立した角度調節機構を持った多数のノズルを備えているので、据付現場でノズルの向きを一つ一つ調節する作業を各々のノズルに対して行わねばならず、据付作業に時間が掛かる。
【0007】
また、ボールジョイントを用いた場合には俯仰調節だけをしようとしても誤って水平方向に回転させてしまうこともあり、作業が困難である。また、ヘッド本体から突出したノズルが多数あるために連装ノズルの全体寸法が大きくなってしまっている。
【0008】
【特許文献1】特公昭58−10111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、一般に、連装ノズルによる放水パターンは、その端部散水領域で、放水に対する空気の抵抗が大きいため、また給水配管内の管壁近くで流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下するために、射程が短くなりがちである。
【0010】
反対に放水パターンの中央散水領域では、放水に対する空気の抵抗が小さく、また給水配管内の中央部分では流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下しないために、射程が短くなりにくい。この結果、放水パターンが所望通りにならず、設計が困難であった。
【0011】
従って、この発明の課題は上述のような従来の連装ノズルの問題点を解消することであり、簡単な構造により、放水射程が一様となり望みの放水パターンが容易に得られる連装ノズルを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によれば、上述の課題を解決するための手段は次の通りである。
【0013】
給水パイプの先端部分に設けられたユニット基台と、前記給水パイプの開端を閉じるように、該ユニット基台に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットとを有する連装ノズルにおいて、水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように前記連装ユニットに形成され、連装ユニットの複数の水噴射ノズルは、前記給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、前記給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成され、第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けると共に、前記第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
連装ユニットの複数の水噴射ノズルのうち、給水配管断面の中央部分に開いた水噴射ノズルを、放水パターンの外周領域に向け、給水配管断面の管内壁寄り部の放水の流速の小さい部分に開いた水噴射ノズルを、放水パターンの内部領域に向けたものであるので、簡単な構造により、放水射程が一様となり望みの放水パターンが容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の一実施形態の連装ノズルを示してあり、この連装ノズルに於いては、放水設備の給水パイプ1に接続され得るヘッド本体2には複数の分岐した給水パイプ3が設けられている。これらの給水パイプ3の開端は後述する俯仰調節機構4によって給水パイプ3に俯仰調節可能に取り付けられた円形の端板5によって閉ざされていて、それぞれの端板5には複数の水噴射ノズル6を有する連装ユニット7が取り付けられている。
【0016】
このように、この発明の連装ノズルに於いては、複数のノズル6が給水パイプ3の開端を閉じるように取付られた端板5に設けられた連装ユニット7として形成されている。また、複数の水噴射ノズル6は、それぞれ複数の水噴射ノズル6を有する複数の連装ユニット7として纏められ、それぞれの連装ユニット7は後述する俯仰調節機構4を介してユニット基台である給水パイプ3に取り付けられている。
【0017】
図3および図4は連装ユニット7の詳細を示し、図3は図2のX−X断面(水平断面)を示す断面図、図4は図2のY−Y断面(垂直断面)を示す断面図である。これらの図ではユニット基台8が独立した部品として示してあるが、図1および図2の構造ではユニット基台8は分岐した給水パイプ3の一体的に連続した先端部分である。図3および図4に示すような独立したユニット基台8を持つ連装ノズルの場合、ユニット基台8はテーパーネジ(図示してない)等の連結手段によって封止連結して用いる。
【0018】
図示の連装ノズルは、放水設備の給水パイプに(図示してない)接続されるべき環状のユニット基台8の内部にノズルブロック9の円柱状部分10が緩く挿入され、ユニット基台8とノズルブロック9の円柱状部分10との間には給水圧がユニット基台にかかるとその水圧で弾力的に拡幅し、この隙間を封じるV−パッキング等の封止装置11が設けられており、ノズルブロック9の角柱状部分12は端板5を貫通している。ノズルブロック9はネジ13により端板5に固着されており、またそれぞれ所定の角度に設定された複数(図示の例では8個)の水噴射ノズル6が形成されている。
【0019】
図4に示すように、端板5の径方向つまりY−Y断面方向両端部には円筒面状の凹部14(図4の断面に垂直な軸のカマボコ状の凹部)の座面を持つ上下(図4では左右)に長い長穴15が設けられていて、この長穴15には凹部14と接触する部分が凹部14と同様な円筒面を持つ座金16を有する調節ボルト17が緩く通されていてユニット基台8にネジ係合により固定されている。長穴15は、この2本の調節ボルト17を結ぶ方向(図4中左右方向)に長く形成した穴である。なお、この調節ボルト17および上記の封止装置を備えた機構は俯仰調節機構である。また、端板5の調節ボルト17が設けられている径方向に対して直角な径方向(X−X断面方向)の両端部には、図3に示すように端板5のネジ穴18にネジ係合したジャッキネジである調節ネジ19が設けられている。調節ネジ19の球面又は円錐形状の先端は、図5に示すようにユニット基台8の両端面に形成された一対のU字形の切欠段部21のU字の底部に当接していて、端板5がこの先端を支点20としてユニット基台8に対して揺動できるように構成されている。次に、動作を説明すると、図4で右(図2の取付状態に於いて下)の調節ボルト17を緩めて、左(図2に於いて上)の調節ボルト17を締めると、連装ユニットは左側(図2に於いて上側)に傾くので、そのノズルブロック9に形成された全ての水噴霧ヘッド6の俯仰角度を一度の作業で調節できる。ところで、この上方への俯仰調節の際、実際の所は図2に於いて下の調節ボルト17を緩める際、端板5とノズルブロック9はその自重で支点20とともに下方に長穴15の遊び分だけ平行にずり落ちる虞があるため、下の調節ボルト17を緩めながら、支点20を中心に上向きに揺動するよう端板5を持ち上げ押さえるようにする。そのあと、上の調節ボルト17を、一対の調節ネジ19が適度に突っ張るまで締める。これを必要なだけ繰り返して俯仰調節をする。下方への俯仰調節をする場合は、上の調節ボルト17を緩めるが、その際、ノズルブロック9等の自重で自然に下がるので支点20がずれないように端板5の下端を押さえながら行い、次に下の調節ボルト17を一対の調節ネジ19が適度に突っ張るまで締める。以上の調節に於いて端板5は図5の支点20を中心に揺動するので、図4に於ける支点20を中心とする揺動は矢印A、Bのようになり、固定された調節ボルト17に対して長穴15の内壁が当接して揺動を制限することはない。また、U字形の切欠段部21の切欠幅は揺動方向に十分広く、段部21の底部の支点20を中心に揺動する調節ネジ19の揺動を制限することはない。この支点20はユニット基台8の上端面22よりも封止装置11に近い側に設けられているのが望ましく、図3に示すように2つの支点20が封止装置11の成す中心面上にあるのが良い。何故なら封止装置11が連装ユニットの揺動の中心近くにあれば揺動による変位がごく僅かで済むからである。即ち、図4に於ける支点20を中心とする揺動に於いて、封止装置近くの円柱部分の揺動は矢印C、Dに示すようであり、ほぼ上下(軸方向)だけの変位となり、封止装置が吸収する幅方向即ち左右の変位は少ししかないので、俯仰調節角度はより大きくとることができる。また、俯仰調節に余裕ができ、封止力の信頼性を高めることができる。
【0020】
このように、この発明の連装ノズルによれば、複数の水噴射ノズル6が1つのノズルブロック9に形成され、このノズルブロック9が給水パイプ3の開端を閉じるように取付られる端板11に設けられた連装ユニット7として形成されているので、調節機構の数が少なく、構造簡単、調節作業容易、連装ヘッド小型となり、複数ノズルの方向を一斉に変更調節することが容易であり、連装ノズルの小型化が容易にできる。なお、この実施形態1では角度調節を俯仰のみで行うものであるが、調節ネジ19の当接する切欠段部21の切欠幅(特に図3において左右)を大きめに形成し、かつ端板の長穴15を球面座面を持つ大穴とし、更にこの大穴よりも大径の球面を有する座金を持つ調節ボルト17を備えることにより、左右の調節も可能な連装ノズルとすることができる。すなわち、上下(俯仰)の調節をした後、図3に於いて、右の調節ネジ19を緩めて端板5から支点20までの長さ、即ち支点長さを短くし、左の調節ネジ19を締めて左の支点長さを長くさせていき、一対の調節ボルト17が端板5がユニット基台8から離れるのを適度に堅持するまで締めるようにする。こうするとノズルブロック9は右の方に向きが調節される。左の方への向きも同様に調節される。このときノズルブロック9とともに端板5および一対の調節ネジ19が右の方に傾くが、左の切欠段部21の切欠幅に左右揺動用の空間を形成しているので、切欠段部21が調節ネジ19の左右の揺動を制限することはない。このように調節ネジ19を調整、すなわち支点位置を調整可能なようにすると、散水が左右方向においても調節可能となり、簡単な構造で擬妙な調節も容易にできる。
【0021】
実施の形態2.
図6乃至図8はこの発明の連装ノズルの別の実施形態を示す図であり、左を上、右を下に設置される。この連装ノズルは、図1乃至図5に示す連装ノズルと同様の基本的構成を持っている。相違する部分は、第1に、ユニット基台8が給水パイプ3の一部ではなく独立した部品であって、給水パイプ3の端部に例えばねじ込まれて封止接続されるよう構成されていることである。第2に、ノズルブロック24はノズルブロック9のように別個の独立した端板5で支持されているのではなく、ノズルブロック24が全体として円柱状の部材であって、ノズルブロック24から一体に径方向に十字型に延びた2対の腕25および26が設けられている点である。第3にノズルブロック24の揺動支持のための支点27がユニット基台8の上端面22の左右端から円筒状のユニット基台8の軸方向に突出した一対の突起28の先端と腕26との当接部であることである。
【0022】
その他の点は図1乃至図5の連装ノズルと同様であって、俯仰調節をする場合、一方の例えば図7で右側(設置状態で下側)の調節ボルト17を緩めて他方の例えば左側(設置状態で上側)の調節ボルト17を締めれば、連装ユニット7は図6に破線で示すように設置状態で上向きに傾くのでそのノズルブロック24に形成された全ての水噴射ノズル6の角度を一度の作業で調節できる。封止装置11も設けられている。上述のように俯仰調節した場合、揺動の支点27はノズルブロック9の表面に近い位置あるいはノズルブロック9の後方に備えられ、前後に離れた位置にあるので封止装置11の辺りのノズルブロック9において、上側は封止の隙間が広がり、下側は封止の隙間が狭くなる。しかし、封止装置11であるVパッキングは隙間が広がっても給水圧により拡幅するため漏れることはなく、狭くなっても業務に潰れて封止を保つ。
【0023】
実施の形態3.
図9乃至図11にはこの発明の連装ノズルの別の実施形態を示す。この連装ノズルは、図6乃至図8に示す連装ノズルと同様の基本的構成を持っている。相違する部分は、第1に、本実施形態に於けるノズルブロック24aはノズルブロック24aから腕25および26が一体に2対延びているのではなく、径方向反対方向に延びた一対の調節用の腕25だけが設けられている点である。第2にノズルブロック24aの揺動支持のための支点30が、ユニット基台8の左右端から一体に上端面22の上方に向かって互いに平行にユニット基台8の軸方向に突出した一対の支持腕31の先端に径方向内側にねじ込まれた一対のピン32によって構成されている点である。このピン32はノズルブロック24aの円柱部の左右端(図11に於いては上下に示される。)に形成された穴33内に挿入されていて、ノズルブロック24aがピン32を中心に揺動できるようにしてある。
【0024】
その他の点は図1乃至図5の連装ノズルと同様であって、一方の例えば図10で下側の調節ボルト17を緩めて他方の例えば上側の調節ボルト17を締めれば、連装ユニット7は図10でピン32の回りに反時計方向に回動するので、そのノズルブロック24aに形成された全ての水噴射ノズル6の角度を一度の作業で調節できる。先の例と同様に封止装置11も設けられている。
【0025】
実施の形態4.
図12乃至図16には、この発明の連装ノズルの別の実施形態を示す。この連装ノズルに於いては、給水パイプ3の開端部分がユニット基台35となっており、このユニット基台35と図13に示す連装ユニット36との間に図14に示すように連装ユニット36の俯仰角度を調節する図15に示すような楔型スペーサ37が挿入され、連装ユニット36はユニット基台35に対してこの楔形スペーサ37と共に取付ボルト等の取付装置38により固定されている。
【0026】
取付ボルト38を通すために楔形スペーサ37および連装ユニット36に形成されている穴は、ユニット基台35に対して角度を持って取り付けられた場合でも強固に固定されるように、取付ボルト38の通し孔は長穴にされている(図13参照)。また図16に示すように、連装ユニット36のフランジ部39は通し孔の周囲で蒲鉾型の円筒面とされた膨出部40を持っている。この膨出部40の円筒面は連装ユニット36が傾いた位置でも取付ボルト38の頭部の底面にしっかりと接触して固着関係を確実なものにする。このように、この連装ノズルに於いては、俯仰調節機構は、連装ユニット36の俯仰角度を調節する楔型スペーサ37と、楔形スペーサ37を介して連装ユニット36をユニット基台35に固定する取付装置38とを備えている。
【0027】
楔形スペーサ37は比較的硬度の高いゴム、合成樹脂、金属等パッキング材料で作ることもできるが、図17に示すようにユニット基台35、楔形スペーサ37および連装ユニット36の間に”O”リング等の封止装置41を挿入して封止を完全なものとすることもできる。また、連装ユニット36をユニット基台35に取り付けるための取付ネジ(図示してない)が、楔形スペーサ37を貫通せずにその外側を通るように配置すれば、楔形スペーサ37に取付ネジを通すための穴を設ける必要が無く、取付ネジを取り外さずに緩めるだけで楔形スペーサ37を着脱できるようになる。
【0028】
実施の形態5.
図18乃至図25には、本発明の別の実施形態の連装ノズルに使用できる連装ユニット44を示す。この連装ユニット44は図18および図19に示すように平面形がほぼ矩形のノズルブロック45にほぼ矩形形状に沿って各辺につき3本ずつで合計8本の水噴射ノズル46が配置されている。これらの水噴射ノズルは図20乃至図22に示す断面図から理解されるようにそれぞれ方向が異なっている。即ち、この連装ユニット44を用いた連装ノズルにより得られる図23に示すような扇状の放水パターンの中央散水領域に向けられて、そこを受け持つ水噴射ノズルとしては、図20および図22に示すような、連装ユニット44の正面方向に対する傾斜角度が比較的小さいノズルとし、かつ、図24および図25に示すような給水配管断面の管内壁寄り部の放水の流速の小さい部分にノズル流入口が開いた水噴射ノズルとする。他方、図23の放水パターンの端部散水領域に向けられて、そこを受け持つ水噴射ノズルとしては、図21に示すような上記傾斜角度が比較的大きいノズルとし、かつ、図24および図25に示すような給水配管断面の給水配管断面の中央部分にノズル流入口が開いた水噴射ノズルとする。
【0029】
一般に、連装ノズルによる放水パターンは、その端部散水領域で、放水に対する空気の抵抗が大きいため、また給水配管内の管壁近くで流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下するために、射程が短くなりがちである。反対に放水パターンの中央散水領域では、放水に対する空気の抵抗が小さく、また給水配管内の中央部分では流れ抵抗や剥離、渦により流速が低下しないために、射程が短くなりにくい。この結果、放水パターンが所望通りにならず、設計が困難であった。
【0030】
この発明の連装ノズルによれば、図24および図25に示すような強い流れは連装ユニットの中央に近い部分にノズル流入口を持つ水噴射ノズルから放水パターンの端部に向かって放水され、弱い流れは周辺部にノズル流入口を持つ水噴射ノズルから放水パターンの中央に向かって放水されるため、放水射程が一様となり望みの放水パターンを得るのが容易である。なお、上述の実施形態5では扇状の放水パターンの場合を説明したが、円錐状や他の放水パターンであってもよい。
【0031】
以上の如く本発明の連装ノズルによる効果は次の通りである。複数のノズルが放水設備の給水パイプの開端を閉じるように取付られ得る端板に設けられた連装ユニットに形成されているので、構造簡単となり、複数ノズルの方向を一斉に変更するのが容易である。
【0032】
複数のノズルが放水設備の給水パイプの開端を閉じるように取付られ得る端板に設けられた連装ユニットに形成されているので、構造簡単となり、複数ノズルの方向を一斉に変更するのが容易である。
【0033】
複数の水噴射ノズルを、それぞれ複数の水噴射ノズルを有する複数の連装ユニットに纏め、上記連装ユニットを俯仰調節機構を設けてユニット基台に取り付けたので、調節機構の数が少なく、構造が簡単で調節作業が容易であり、また連装ノズルの全体の寸法が小さくコンパクトになる。
【0034】
上記俯仰調節機構は、連装ユニットの俯仰を調節する調節ボルトと、上記連装ユニットと上記ユニット基台との間を封止する封止装置とを備えているので、構造が簡単で安価に製造でき、連装ノズルの小型化を図ることができる。
【0035】
上記ユニット基台に設けられて上記ユニットを揺動可能に支持する支点が設けられているので、構造が簡単で安価に製造でき、調節後の位置にしっかりと固定することが可能であり、調整作業が容易である。
【0036】
上記支点が上記ユニット基台端面よりも上記封止装置側に設けられているので、簡単な構造で封止の信頼性を高めることができ、また、揺動による変位が小さくて済むので俯仰調節角度を大きくとることができる。
【0037】
上記支点位置が調節可能であるので、簡単な構造で微妙な調節も容易にできる。
【0038】
上記俯仰調節機構は、上記ユニット基台と上記連装ユニットとの間に挿入されて、上記連装ユニットの俯仰角度を調節する楔型スペーサと、上記楔形スペーサを介して上記連装ユニットを上記ユニット基台に固定する取付装置とを備えているので、構造が簡単で安価に製造でき、調節後のずれの虞がなく、連装ノズルがコンパクトになり、美感も優れたものになる。
【0039】
上記俯仰調節機構は、上記ユニット基台および上記連装ユニットと上記楔形スペーサとの間に封止装置を更に備えているので、安価で簡単な構造で封止装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す正面図である。
【図2】図1の放水ヘッドを示す側面図である。
【図3】図2のX−X線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図4】図2のY−Y線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図5】図3の連装ノズルの支点を示す部分側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態の連装ノズルを示す図4に対応する側面図である。
【図7】図6の連装ノズルの断面図である。
【図8】図6の連装ノズルの正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す側面図である。
【図10】図9の連装ノズルの側面図である。
【図11】図10のZ−Z線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図12】本発明の更に別の実施形態の連装ノズルを用いた放水ヘッドを示す平面図である。
【図13】図12の連装ノズルの斜視図である。
【図14】図12の連装ノズルの部分側面図である。
【図15】図12の連装ノズルのスペーサの斜視図である。
【図16】図12の連装ノズルの長穴を説明する部分断面図である。
【図17】図12の連装ノズルの別の実施形態を示す部分側面図である。
【図18】本発明の別の実施形態の連装ノズルを示す正面図である。
【図19】図18の連装ノズルの平面図である。
【図20】図18のA−A線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図21】図18のB−B線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図22】図18のC−C線に沿った連装ノズルの断面図である。
【図23】本発明の連装ノズルによる放水パターンを示す図である。
【図24】図21の連装ノズルの作用を曲がった給水配管の場合について説明する概略断面図である。
【図25】図21の連装ノズルの作用を径が急に広がる給水配管の場合について説明する概略断面図である。
【図26】従来の放水ヘッドに使用できるボールジョイントを角度調節機構として用いたノズルの斜視図である。
【図27】図26のボールジョイントの縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 給水パイプ、4 俯仰調節機構、5 端板、6 ノズル(水噴射ノズル)、7 連装ユニット、8 ユニット基台、11 封止装置、17 調節ボルト、20 支点、22 基台端面、37 楔型スペーサ、38 取付装置、41 封止装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水パイプの先端部分に設けられたユニット基台と、前記給水パイプの開端を閉じるように、該ユニット基台に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットとを有する連装ノズルにおいて、
前記水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように前記連装ユニットに形成され、
該連装ユニットの複数の水噴射ノズルは、前記給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、前記給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成され、
前記第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けると共に、前記第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けることを特徴とする連装ノズル。
【請求項2】
前記第1の水噴射ノズルは、放水パターンの端部散水領域に向けられ、前記第2の水噴射ノズルは、放水パターンの中央散水領域に向けられていることを特徴とする請求項1記載の連装ノズル。
【請求項3】
前記第1の水噴射ノズルには、流速の低下しない強い流れが供給されると共に、前記第2の水噴射ノズルには、前記給水パイプの管内壁による抵抗によって流速の低下した弱い流れが供給されることを特徴とする請求項2記載の連装ノズル。
【請求項4】
前記第1の水噴射ノズルは、前記連装ユニットの高さ方向の中央に設けられ、前記第2の水噴射ノズルは、前記第1の水噴射ノズルの上下方向にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の連装ノズル。
【請求項1】
給水パイプの先端部分に設けられたユニット基台と、前記給水パイプの開端を閉じるように、該ユニット基台に取り付けられ、複数の水噴射ノズルを纏めた連装ユニットとを有する連装ノズルにおいて、
前記水噴射ノズルは、一次側と二次側とを貫通するように前記連装ユニットに形成され、
該連装ユニットの複数の水噴射ノズルは、前記給水パイプ断面の中央部分に一次側が開いた第1の水噴射ノズルと、前記給水パイプ断面の管内壁寄り部分に一次側が開いた第2の水噴射ノズルとから構成され、
前記第1の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けると共に、前記第2の水噴射ノズルは、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように前記連装ユニットに二次側の開口を設けることを特徴とする連装ノズル。
【請求項2】
前記第1の水噴射ノズルは、放水パターンの端部散水領域に向けられ、前記第2の水噴射ノズルは、放水パターンの中央散水領域に向けられていることを特徴とする請求項1記載の連装ノズル。
【請求項3】
前記第1の水噴射ノズルには、流速の低下しない強い流れが供給されると共に、前記第2の水噴射ノズルには、前記給水パイプの管内壁による抵抗によって流速の低下した弱い流れが供給されることを特徴とする請求項2記載の連装ノズル。
【請求項4】
前記第1の水噴射ノズルは、前記連装ユニットの高さ方向の中央に設けられ、前記第2の水噴射ノズルは、前記第1の水噴射ノズルの上下方向にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の連装ノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−49344(P2008−49344A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292648(P2007−292648)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2001−34482(P2001−34482)の分割
【原出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2001−34482(P2001−34482)の分割
【原出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
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