連鎖引き出し防止および落下防止の特徴を有する拭き取りシートディスペンサ
【課題】落下防止機能とローピング防止機能の両方を十分に提供する拭き取りシートディスペンサの提供。
【解決手段】拭き取りシートディスペンサ10は、内部に複数の拭き取りシート14を保持する容器12を備えている。掴み開口部18が、容器12の内部と外部とを連通させており、この掴み開口部18は、拭き取りシート14が内部に抜け落ちるのを防ぐ。さらに、引きちぎり用柵部24も備えており、容器12内の複数の湿潤拭き取りシート14の先頭の拭き取りシート28の先端部が掴み開口部18を通り、それから引きちぎり用柵部24を通って延在している。先端部が引きちぎり用柵部24に抗して引き出されるにつれ、複数の拭き取りシート14のうちの次の拭き取りシートが掴み開口部18を通って引き出され、その先端部が容器12の内部から外に出る。そして、掴み開口部18が次の拭き取りシート14の先端部が容器12内に抜け落ちるのを防止する。
【解決手段】拭き取りシートディスペンサ10は、内部に複数の拭き取りシート14を保持する容器12を備えている。掴み開口部18が、容器12の内部と外部とを連通させており、この掴み開口部18は、拭き取りシート14が内部に抜け落ちるのを防ぐ。さらに、引きちぎり用柵部24も備えており、容器12内の複数の湿潤拭き取りシート14の先頭の拭き取りシート28の先端部が掴み開口部18を通り、それから引きちぎり用柵部24を通って延在している。先端部が引きちぎり用柵部24に抗して引き出されるにつれ、複数の拭き取りシート14のうちの次の拭き取りシートが掴み開口部18を通って引き出され、その先端部が容器12の内部から外に出る。そして、掴み開口部18が次の拭き取りシート14の先端部が容器12内に抜け落ちるのを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、拭き取りシートディスペンサに関する。より詳細には、本発明は、シートの落下と連鎖引き出しを防止する特徴を備えた拭き取りシートディスペンサに関する。また、特定の実施形態において、本発明は、ディスペンサ内に保持されている湿潤拭き取りシートの乾燥を防ぐ蓋を特徴とする拭き取りシートディスペンサを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
拭き取りシートディスペンサは、様々な用途のために拭き取りシートを個別に取り出すのに今や広く用いられている。拭き取りシートディスペンサは、一般的に、複数の拭き取りシートを入れた容器を備えており、この容器の開口を通って拭き取りシートが取り出される。容器は、硬いプラスチック容器であったり、例えばフォイル材から作られた可撓性容器であったりする。複数の拭き取りシートは、ちょうど一巻きのペーパータオルのように、互いにミシン目で区別されたロール状で用意されることがある。また、ちょうど普通の箱ティッシュのように、個別の複数枚の拭き取りシートが互いに畳み合わされた状態で用意されることもある。このようなミシン目入りロールや畳み込み構造は、容器の取り出し口を通して先頭の拭き取りシートを引き出せば後続の拭き取りシートがついてきて、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離した後も、後続の拭き取りシートが容器の外側から取れる状態に保たれ、その後必要に応じて取り出せるようになっている点で便利である。これらは、すべて非常によく知られていることである。
【0003】
先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離すためには、後続の拭き取りシートにある種の抵抗が加わって、先頭の拭き取りシートを(ミシン目入りロール状の拭き取りシートの場合)残りの部分からミシン目の所で引きちぎることができるか、あるいは(折り重ねられた拭き取りシートの場合)後続の拭き取りシートとの畳合わせ部分が解けるようにすることが大切である。このため、先行技術には、拭き取りシートを容器から切り離すための抵抗を与える多様な種類の取り出し口が存在する。いくつかの先行技術の実施形態では、星形またはその他の特殊な形の開口が提供されており、その開口を通して先頭の拭き取りシートを引き出すと、特に垂直でない角度で引き出すと、その開口の特殊な形によって、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離すのに十分な抵抗が後続の拭き取りシートに加わるようになっている。別の実施形態では、開口は、弾性要素に設けられたスリットとされ、このスリットが、容器から拭き取りシートを引き出す際の抵抗となるようになっている。なお、本発明によれば、現在採用されているものであれ、今後開発されるものであれ、いかなる種類の掴み開口でも本発明を実施するのに適するといえよう。
【0004】
これらの先行技術の掴み開口は、(a)ミシン目入りの1本のウェブまたは折り重ねられた複数枚の拭き取りシートから個々の拭き取りシートを分離し、(b)先頭の拭き取りシートを、取り出したいときに簡単に取り出せるように保持するようになっている。つまり、掴み開口は、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから引き離す役割だけでなく、先頭の拭き取りシートが容器内に抜け落ちて、拭き取りシートを取り出すのにユーザーが容器の中まで手を入れなければならなくなるのを防止する役割も担っている。しかし、よく知られているように、先行技術の取り出し口では、先頭の拭き取りシートが後続の拭き取りシートから上手く離れず、複数の拭き取りシートが連なって出てきてしまうことがよくある。本明細書では、これを「ローピング」と呼ぶ。このローピングは、分離が上手くいかず、複数の拭き取りシートが芋づる式につまりロープのように引き出されることで起こる。これは無駄につながり、末端のユーザーにとっては実に受け入れられないことである。取り出し口で先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから上手く引き離せた場合を、本明細書では、取り出し口が「ローピング防止」機能を果たしたという。
【0005】
また、これもよく知られていることだが、先行技術の取り出し口では、先頭の拭き取りシートが、後続の拭き取りシートから離れるのが早すぎて、つまり後続の拭き取りシートの先端が容器の中から取り出し口を通って外に出る前に離れて、後続の拭き取りシートが容器内に戻ってしまうということがよくある。この場合、後続の拭き取りシートが容器内にとどまるので、拭き取りシートを取るには容器を開けなければならない。これを、本明細書では、取り出し口が「落下防止」機能を果たせなかったという。
【0006】
このように、先行技術をよく知るものであれば、先行技術の掴み開口が、落下防止とローピング防止の機能を常に果たしているわけではないことが容易に分かるであろう。それどころか、平均的なユーザーにとっても、掴み開口でミシン目を上手く切り離せず、あるいは拭き取りシート同士の折り合せ部すら上手く解けず、複数の拭き取りシートが容器の中から引き出されることは、極めてよくあることである。また、後続の拭き取りシートが掴み開口より下にあって容器の外に出ていない状態で拭き取りシートが切り離され、このためユーザーが容器の中に手を入れて拭き取りシートを取らなければならなくなるということもよく起こる。つまり、先行技術の掴み開口の性能は、求められているローピング防止特性および落下防止特性のいずれについても十分ではないということである。本発明は、落下防止機能とローピング防止機能の両方を十分に提供する構造を有する拭き取りシートディスペンサを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、本発明は、内部に複数の拭き取りシートを保持する容器を備えた拭き取りシートディスペンサを提供する。ディスペンサは、容器の内部と外部との間を連絡している掴み開口部を備え、この掴み開口部は、拭き取りシートが内部に抜け落ちるのを防ぐ役割をする。ディスペンサは、引きちぎり用柵部も備えており、容器内の複数の湿潤拭き取りシートのうちの先頭の拭き取りシートの先端部が掴み開口部を通り、それから引きちぎり用柵部を通って延在している。これによって、この先端部を持って先頭の拭き取りシートを引きちぎり用柵部に抗して引っ張ると、先頭の拭き取りシートの残りの部分が容器から取り出され、複数の拭き取りシートのうちの残りのシートとの連係が解かれるようになっている。先端部が引きちぎり用柵部に抗して引き出されるにつれ、複数の拭き取りシートのうちの次の拭き取りシートが掴み開口部を通って引き出され、その先端部が容器の内部から外に出る。そして、掴み開口部が、次の拭き取りシートの先端部が容器内部に落下するのを防止する。
【0008】
このように、本発明は、ローピング防止機能のための構造と落下防止機能のための構造とを別個に設けることにより、技術を向上させている。掴み開口部が落下防止機能を担い、柵部がローピング防止機能を担っている。特定の実施形態においては、掴み開口部と引きちぎり用柵部の構成要素を開閉可能に覆う蓋が設けられる。拭き取りシートが何らかの種類の液体を含浸させた湿潤拭き取りシートである場合、蓋が閉められて掴み開口部を覆ったとき、掴み開口部に保持されて容器の内部から出ている先端部を雰囲気から遮断して乾燥を最小限にするような密閉部材を蓋に設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
【0010】
【図2】図1の拭き取りシートディスペンサの、先頭の拭き取りシートが取り出されているところを示す側面図である。
【0011】
【図3】枢動型の引きちぎり用柵部を設けた、本発明の第2の実施形態の斜視図である。
【0012】
【図4】第2の実施形態の引きちぎり用柵部の正面図である。
【0013】
【図5】図3の第2の実施形態の掴み開口部と引きちぎり用柵部と蓋部の構成要素の側面図である。
【0014】
【図6】可撓性フィンガーから成るシンブルを備えた引きちぎり用柵部を有する、本発明の第3の実施形態の斜視図である。
【0015】
【図7】拭き取りシートを通しやすい位置に引きちぎり用柵部が枢動された状態を示す、図5の第3の実施形態の側面図である。
【0016】
【図8】可撓性壁部を有する小袋型容器の部材として掴み開口部と引きちぎり用柵部が用いられていることを示す、本発明の第4の実施形態の側面図である。
【0017】
【図9】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【0018】
【図10】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【0019】
【図11】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2に、本発明の第1の実施形態の湿潤拭き取りシートディスペンサを符号10で示す。拭き取りシートディスペンサ10は、一巻きのロール状拭き取りシート14を保持した容器12を備えている。容器12はバケツ形の容器として示したが、容器は実質的にどのような形でもよく、後述する図7の実施形態で例示するように、可撓性容器ですらあってもよいことは、容易に推察できるはずである。同様に、複数の拭き取りシートは、ロール状拭き取りシート14の代わりに、先頭の拭き取りシートが容器から引き出されるときに後続の拭き取りシートが先頭の拭き取りシートについてくるように個々の拭き取りシートが互いに連係されたものであれば実質的にどのようなものであってもよい。
【0021】
ロール状拭き取りシート14は、容器12の内部16に保持されており、容器12は、この実施形態では、側壁部13と側壁部13に取り外し可能に連結された蓋部15とによって画定される。蓋部15の掴み開口部18は、容器12の内部16と外部とを連通させる。掴み開口部18は実質的に、公知の、あるいは今後開発されるいかなる掴み開口部でもよく、当業者であれば、本発明に適しうるタイプの掴み開口部が多数あることは容易に分かるであろう。本発明にとって、掴み開口部18は、そこを通過する拭き取りシートに、拭き取りシートを保持し、手を離しても拭き取りシートが容器の中に抜け落ちないようにするのに十分な抵抗を加えるべきものである。また掴み開口部18は、それが加える抵抗が、拭き取りシートを引き裂いたり、ロール状拭き取りシート14の残りの拭き取りシート(あるいは、複数の拭き取りシートが折り重ねられた束を採用する場合は、その束の残りの拭き取りシート)から分断したりする程強くないように設計すべきである。
【0022】
特に望ましい掴み開口部18を図9に示す。この開口部は、十文字スリット22が設けられた弾性ボディ20から成る。弾性ボディ20に適した材料の非限定的例としては、熱可塑性エラストマー(TPE)およびシリコンが挙げられる。このようなボディの弾性によって、十文字スリット22により画定される狭い通路に拭き取りシートが挟まれる。この掴み開口部18は、拭き取りシートが液体を含んだ湿潤拭き取りシートとされた場合に、弾性掴み開口部が容器12の内部18に保持されたロール状湿潤拭き取りシートの乾燥を防ぐ役割を果たすので特に好ましい。図10および図11に示す、符号18’および18”を付した、それぞれスリット22’および22”が設けられた特殊なボディ20’および20”の構造を有する他の掴み開口部を用いることもできるが、これらは単に一例として示すものであり、本発明の概念に沿うならば、現在公知の、または今後開発されるどのような種類の掴み開口を採用してもよい。図9および図10の実施形態は、より硬い材料、例えば、ポリプロピレンまたは低密度ポリエチレンまたはその他のポリオレフィン類、から形成され、且つスリット付近が非常に薄く形成されている。これにより、硬いにも関わらず、スリット22’、22”のところで弾力的に曲がるようになっている。いくつかの実施形態において、ボディ20’、20”の構造は、各々そのスリット22’、22”付近で厚さ0.008インチ未満であり、別の実施形態においては、厚さ0.006インチ未満であり、さらに別の実施形態においては、厚さ0.004インチ未満である。
【0023】
図1の実施形態において、引きちぎり用柵部24が掴み開口部18の近傍に設置されている。引きちぎり用柵部24は、使用のため先頭の拭き取りシートが容器12から引き出される際に、先頭の拭き取りシートを次の拭き取りシートから切り離すために設けられている。図1に示すように、先頭の拭き取りシート28の先端部26が掴み開口部18を通り、それから引きちぎり用柵部24を通って延在している。先端部26を持って先頭の拭き取りシート28を引きちぎり用柵部24の構造に抗して引っ張ると、先頭の拭き取りシート28の残りの部分が容器12から引き出され、後続の拭き取りシート30との連係が解かれる。より詳しくは、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30との間の連係箇所が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、その連係が解けて、先頭の拭き取りシート28が後続の拭き取りシート30から切り離される。この特定の実施形態において、連係箇所は、ウェブ状つまり長尺の拭き取りシートに設けられたミシン目32によって特徴づけられており、このミシン目が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、ミシン目に沿って先頭の拭き取りシート28が後続の拭き取りシート30から切り離される。なお、連係箇所が、折り合わせて一束に重ねられた拭き取りシート同士の重なり部分であってもよいし、一束に折り重ねられた一繋がりの拭き取りシートのミシン目であってもよいことは当然理解できよう。引きちぎり用柵部24が掴み開口部18から離れて設けられており、且つ掴み開口部18は先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシート30から切り離すには適さないので、ユーザーが摘みやすい適当な長さの後続の拭き取りシート30が後に残る。より詳しくは、後続の拭き取りシート30は、先頭の拭き取りシート28が、ロール状拭き取りシート14の形で提供される複数の拭き取りシートから切り離されると、新たな先頭の拭き取りシートとなる。
【0024】
なお、先頭の拭き取りシート28の先端部26は、引きちぎり用柵部24の構造を通って掻き出されるようにして引っ張られることである。ミシン目または折り合わされた連結部が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから分離するのに十分な抵抗が加わる。ここで、引きちぎり用柵部24は、狭い引き裂き用形状部52に通ずる送り用スロット56を有するボディ48を備えている。先頭の拭き取りシート28を容器12から引き出し、ロール状拭き取りシート14から切り離すためには、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30が引きちぎり用柵部24の引き裂き用形状部52に抗して引っ張られる方向に先頭の拭き取りシート28を引けばよい。図1および図2に示す引き裂き用形状部構造を用いる場合、上部が送り用スロット56の所で開いているので、先頭の拭き取りシート28を水平もしくはやや下向きに引っ張るようにする。先頭の拭き取りシート28の先端部26を他の方向に引っ張ると、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30を引き裂き用形状部52に抗して掻き出すことが難くなるので、引きちぎり用柵部24は、先頭の拭き取りシート28を後続の拭き取りシート30から分離させるのに十分な抵抗を加えることがあまり出来なくなる。つまり、拭き取りシートは、引き裂き用形状部52に抗して掻き出すように引っ張らなければならない。さもないと、複数の拭き取りシートが容器12の内部16から引き出され、所望のローピング防止機能が果たせないことがある。なお、掴み開口部18は、容器12から拭き取りシートを引き出すための固定位置を画定している。この固定点と先頭の拭き取りシート28が引きちぎり用柵部24を貫通する位置との関係、および先端部26が引っ張られる方向によって、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られるようになる。参照符号36で示す加圧点が、拭き取りシートと引きちぎり用柵部24との間の接点で作り出される。
【0025】
必ずしも必要ではないが、蓋キャップ38を容器12の蓋部15に設けて、掴み開口部18を覆うようにすることが好ましい。これは、拭き取りシートが液体を含浸された湿潤拭き取りシートの場合に特に好ましい。蓋38は、掴み開口部18と掴み開口部18に保持されたある程度の長さの拭き取りシートを覆うように閉じられたとき、湿潤拭き取りシートが直ぐに乾いてしまわないようにする。また、蓋38は、残りのロール状拭き取りシート14が乾いてしまうのを防止する。したがって、蓋38はヒンジ40に取り付けられ、図1に示す開放位置と、図示してはいないが図1から容易に推察できる閉じ位置との間で枢動可能となっていることが好ましい。なお、蓋38は、閉じたとき引きちぎり用柵部も覆うことになるが、それは必須事項ではなく、主に重要なのは、蓋38が掴み開口部18を覆って容器12の内部16と雰囲気との連通を遮断することである。特に好ましい実施形態において、蓋38は、バネ42またはその他の付勢要素によって、蓋38の通常の休止位置が閉じ位置であるように付勢されている。このような付勢機構を設ければ、ユーザーが使用後に容器12を閉めて乾燥を防ぐという能動的手順を踏む必要がなくなる。蓋38は、乾燥が問題となる場合は、容器12を密閉するシール材43を蓋38に設けることが好ましい。
【0026】
次に図3から図5に、本発明の第2の実施形態の拭き取りシートディスペンサを符号110で示す。この拭き取りシートディスペンサ110は、側壁部113と取り外し可能な蓋部115とによって画定される容器112を備えている。ロール状拭き取りシート114が、容器112の内部116に保持されている。掴み開口部118は、内部116と雰囲気とを連通させる。蓋キャップ138は、実質的に図1の実施形態に関して上述した通りに設けられており、引きちぎり用柵部124が蓋キャップ138と掴み開口部118との間に配置されている。引きちぎり用柵部124は、ヒンジ144で容器112に枢着されている。このような構造がなくとも拭き取りシートディスペンサ110が十分機能するであろうことは推察できるであろうが、引きちぎり用柵部124は、枢動して掴み開口部118の上に被さるように、ヒンジ144で容器112に枢着されている。必ずしも必要ではないが、いくつかの実施形態において、引きちぎり用柵部124は、バネ(例えば、図示していないが図1および図2のバネ42で示すのと同様なねじりバネ)または同様の付勢機構によって、引きちぎり用柵部124に別の位置に動かす圧力が加わらない限り、図2に示す角度に保たれるように付勢されている。例えば、容器112にヒンジ140で枢着されている蓋キャップ138は、下方に圧力を加えれば、引きちぎり用柵部124と掴み開口部118を覆うように閉じることができるが、そのとき蓋キャップ138が引きちぎり用柵部124に接すると、蓋キャップ138は、バネ144の付勢力に抗して引きちぎり用柵部124を押すことになる。ヒンジ140にも、図1および図2の実施形態に関して既に図示説明したようにバネを設けてもよい。
【0027】
先頭の拭き取りシート128の先端部126は掴み開口部118と引きちぎり用柵部124を貫通しており、拭き取りシートディスペンサ110は、実質的に図1の実施形態に関して既に説明したような機能を果たす。ただし、この実施形態では、引きちぎり用柵部124が枢動する。掴み開口部118は拭き取りシートを容器112から引き出すための固定位置を提供しているが、引きちぎり用柵部124の引き裂き用形状部は、ヒンジ144で画定される支点を中心とする円弧で表される角度範囲のどの位置でも、前記固定位置に対する引きちぎり用の配向となりうる。より詳しくは、図4に示すように、引きちぎり用柵部124は、開口150を有するボディ148を備えている。この開口150が、符号152で総体的に指し示される引き裂き用形状部を画定している。この実施形態において、引き裂き用形状部152は、拭き取りシート用の狭窄スロット154であり、この拭き取りシート用スロット154に通ずる送りスロット156が、開口150の傾斜辺158によって形成されている。この構造では、開口150に差し込まれた拭き取りシートが、送りスロット156に抗して引く方向に引っ張られると、自動的に拭き取りシート用スロット154に押し込まれる。
【0028】
図5に示すように、先頭の拭き取りシート128の先端部126は、円弧Aの範囲のどの方向に引っ張っても、送りスロット156に抗して引っ張られることになる。拭き取りシートを、この円弧の範囲外の方向に引っ張った場合、拭き取りシートは拭き取りシート用スロット154に送り込まれないことが多い。この図3から図5の実施例において、引きちぎり用柵部124は、掴み開口部118と蓋キャップ138のヒンジ140との間に配置されたヒンジ144を支点に枢動し、蓋キャップ138は、水平面から135度未満の最大角度で開くように設計されている。別の実施形態において、蓋キャップ138の最大開放角度は、90度未満であり、さらに別の実施形態においては80度未満、さらに別の実施形態においては70度未満である。蓋キャップ138の開放角度をこのように制限すれば、ユーザーは、拭き取りシートを円弧Aの範囲の方向に引っ張らざるを得ない。なぜなら、蓋キャップ138が邪魔になって拭き取りシートを別の方向に引っ張るのが難しいからである。このようにして、蓋キャップ138は、その開放位置で、引き裂き用形状部152が有効に作用しない方向に拭き取りシートが引っ張られないようにする働きをする。先の実施形態同様に、乾燥が問題になる場合は、蓋キャップ138にシール材を設けるのが好ましい。
【0029】
図3および図5を参照すれば、先頭の拭き取りシート128が引きちぎり用柵部124の引き裂き用形状部152に押し込まれて引き裂き用形状部152に抗して引っ張られるように先端部126を引っ張ると、先頭の拭き取りシート128の残りの部分が容器112から引き出され、後続の拭き取りシート130との連係が解かれることが分かるであろう。より詳しくは、先頭の拭き取りシート128と後続の拭き取りシート130との間の連係箇所が引き裂き用形状部152に抗して引っ張られると、その連係箇所が壊れ、先頭の拭き取りシート128が後続の拭き取りシート130から切り離される。この特定の実施形態においては、連係箇所はウェブ状の拭き取りシートに設けられたミシン目132によって特徴づけられており、このミシン目が引き裂き用形状部152に抗して引っ張られると、ミシン目に沿って先頭の拭き取りシート128が後続の拭き取りシート130から切り離される。しかし、連係箇所は、折り合わせて一束に重ねられた拭き取りシート同士の重なり部分であってもよいし、一束に折り重ねられた一繋がりの拭き取りシートのミシン目であってもよいことは容易に分かるはずである。引きちぎり用柵部124が掴み開口部118から離れて設けられ、且つ掴み開口部118は先頭の拭き取りシート128を後続の拭き取りシート130から切り離すには不向きとなっているので、ユーザーが摘むのに適当な長さの後続の拭き取りシート30が後に残る。より詳しくは、後続の拭き取りシート130は、先頭の拭き取りシート128が、ロール状拭き取りシート114により提供される複数の拭き取りシートから切り離されると、新たな先頭の拭き取りシートとなる。
【0030】
なお、図5に関して、掴み開口部118は、容器112から拭き取りシートを引き出すための固定位置を画定していることである。この固定点と先頭の拭き取りシート128が引きちぎり用柵部124を貫通する位置との関係、および先端部が引っ張られる方向によって、先頭の拭き取りシート128と後続の拭き取りシート130が引き裂き用形状部152内に引き込まれ、その引き裂き用形状部に抗して引き出されるようになる。このようにして、引き裂き用形状部152は、支点144を中心とする円弧の範囲で、掴み開口部118によって設定される固定位置に対して引きちぎり用の配向となりうる。図5に例示するように、先頭の拭き取りシート128の先端部126を矢印Bの方向に引っ張ると、引きちぎり用柵部124が枢動して、引き裂き用形状部152を加圧点136が設定される引きちぎり用の配向にする。他方、先頭の拭き取りシート128の先端部126を矢印Cの方向に引っ張ると、引きちぎり用柵部124が、引き裂き用形状部152を加圧点136’が設定される引きちぎり用配向にする位置まで枢動する。
【0031】
次に図6および図7に、本発明による拭き取りシートディスペンサのさらに別の実施形態を符号210で示す。この拭き取りシートディスペンサ210は、容器212を備え、容器212の内部216にロール状拭き取りシート214を保持している。掴み開口部218は、内部216と雰囲気との間を連通させる。引きちぎり用柵部224は、掴み開口部218の近傍に配置され、ヒンジ244で容器212に枢着されている。この引きちぎり用柵部224は、複数の可撓性フィンガー262から形成されたシンブル260を備えており、このシンブルに、先頭の拭き取りシート228の先端部226を通すことができる。上記の実施形態と同様に、掴み開口部218は、拭き取りシートが容器212の内部216に落下しないように保持するには十分だが、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から、その連係部、この実施形態ではミシン目232、に沿って分離するには不十分である。先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から分離させる役割を行うのは引きちぎり用柵部224、より詳細には、可撓性フィンガー262から成るシンブル260である。図7に示すように、引きちぎり用柵部224はヒンジ244で枢動するので、シンブル260は掴み開口部218から離れる方に移動することができる。これにより空間ができ、必要なときは、引きちぎり用柵部224に先頭の拭き取りシート228の先端部226を通すことができる。複数の可撓性フィンガー262が、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から分断するのに十分制限された開口を提供するので、またさらに、これらのフィンガー262が、制限された開口から引き出された拭き取りシートを取り囲むので、この引きちぎり用柵部224は、拭き取りシートが引き出される方向に関係なく、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から確実に分離させることができる。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態を図8に符号310で概略的に示す。この拭き取りシートディスペンサ310は容器312を備え、容器312の内部316に、折り合わされて一束に重ねられた拭き取りシート314を保持している。容器312は、周縁319に沿って密封された可撓性壁部317を有するフォイルパッケージである。隆起部321が引きちぎり用柵部324を成しており、この引きちぎり用柵部324は、本明細書に記載の様々な教示によるいずれの形態を取ってもよい。隆起部321には、さらに、掴み開口部318を設けてもよい。あるいは、掴み開口部318を、壁部317の隆起部321の下の領域に設けてもよい。他の実施形態に関して上述した様々な変形例のどれでも、図8の実施形態に関して選択的に実施することができる。図8の実施形態は、主として、本発明の概念をどのようにして拭き取りシートの可撓性容器に適用するかを説明するために示したものである。拭き取りシートが湿潤拭き取りシートである場合、可撓性容器は一般的にフォイルパッケージとして公知の技術による容器となる。
【0033】
以上の記載から、本発明が、掴み開口部と引きちぎり用柵部とを別個に設けることによって拭き取りシートディスペンサの技術を著しく進歩させるものであることが明らかになったはずである。これらの構成要素により、先行技術の取り出し口において起きていたシートの落下やローピングつまり連鎖引き出しという不具合の発生が大幅に低減されることになる。なお本明細書では本発明の概念を説明するために本発明の特定の実施形態を示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載が本発明の範囲を限定するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、拭き取りシートディスペンサに関する。より詳細には、本発明は、シートの落下と連鎖引き出しを防止する特徴を備えた拭き取りシートディスペンサに関する。また、特定の実施形態において、本発明は、ディスペンサ内に保持されている湿潤拭き取りシートの乾燥を防ぐ蓋を特徴とする拭き取りシートディスペンサを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
拭き取りシートディスペンサは、様々な用途のために拭き取りシートを個別に取り出すのに今や広く用いられている。拭き取りシートディスペンサは、一般的に、複数の拭き取りシートを入れた容器を備えており、この容器の開口を通って拭き取りシートが取り出される。容器は、硬いプラスチック容器であったり、例えばフォイル材から作られた可撓性容器であったりする。複数の拭き取りシートは、ちょうど一巻きのペーパータオルのように、互いにミシン目で区別されたロール状で用意されることがある。また、ちょうど普通の箱ティッシュのように、個別の複数枚の拭き取りシートが互いに畳み合わされた状態で用意されることもある。このようなミシン目入りロールや畳み込み構造は、容器の取り出し口を通して先頭の拭き取りシートを引き出せば後続の拭き取りシートがついてきて、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離した後も、後続の拭き取りシートが容器の外側から取れる状態に保たれ、その後必要に応じて取り出せるようになっている点で便利である。これらは、すべて非常によく知られていることである。
【0003】
先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離すためには、後続の拭き取りシートにある種の抵抗が加わって、先頭の拭き取りシートを(ミシン目入りロール状の拭き取りシートの場合)残りの部分からミシン目の所で引きちぎることができるか、あるいは(折り重ねられた拭き取りシートの場合)後続の拭き取りシートとの畳合わせ部分が解けるようにすることが大切である。このため、先行技術には、拭き取りシートを容器から切り離すための抵抗を与える多様な種類の取り出し口が存在する。いくつかの先行技術の実施形態では、星形またはその他の特殊な形の開口が提供されており、その開口を通して先頭の拭き取りシートを引き出すと、特に垂直でない角度で引き出すと、その開口の特殊な形によって、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから切り離すのに十分な抵抗が後続の拭き取りシートに加わるようになっている。別の実施形態では、開口は、弾性要素に設けられたスリットとされ、このスリットが、容器から拭き取りシートを引き出す際の抵抗となるようになっている。なお、本発明によれば、現在採用されているものであれ、今後開発されるものであれ、いかなる種類の掴み開口でも本発明を実施するのに適するといえよう。
【0004】
これらの先行技術の掴み開口は、(a)ミシン目入りの1本のウェブまたは折り重ねられた複数枚の拭き取りシートから個々の拭き取りシートを分離し、(b)先頭の拭き取りシートを、取り出したいときに簡単に取り出せるように保持するようになっている。つまり、掴み開口は、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから引き離す役割だけでなく、先頭の拭き取りシートが容器内に抜け落ちて、拭き取りシートを取り出すのにユーザーが容器の中まで手を入れなければならなくなるのを防止する役割も担っている。しかし、よく知られているように、先行技術の取り出し口では、先頭の拭き取りシートが後続の拭き取りシートから上手く離れず、複数の拭き取りシートが連なって出てきてしまうことがよくある。本明細書では、これを「ローピング」と呼ぶ。このローピングは、分離が上手くいかず、複数の拭き取りシートが芋づる式につまりロープのように引き出されることで起こる。これは無駄につながり、末端のユーザーにとっては実に受け入れられないことである。取り出し口で先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから上手く引き離せた場合を、本明細書では、取り出し口が「ローピング防止」機能を果たしたという。
【0005】
また、これもよく知られていることだが、先行技術の取り出し口では、先頭の拭き取りシートが、後続の拭き取りシートから離れるのが早すぎて、つまり後続の拭き取りシートの先端が容器の中から取り出し口を通って外に出る前に離れて、後続の拭き取りシートが容器内に戻ってしまうということがよくある。この場合、後続の拭き取りシートが容器内にとどまるので、拭き取りシートを取るには容器を開けなければならない。これを、本明細書では、取り出し口が「落下防止」機能を果たせなかったという。
【0006】
このように、先行技術をよく知るものであれば、先行技術の掴み開口が、落下防止とローピング防止の機能を常に果たしているわけではないことが容易に分かるであろう。それどころか、平均的なユーザーにとっても、掴み開口でミシン目を上手く切り離せず、あるいは拭き取りシート同士の折り合せ部すら上手く解けず、複数の拭き取りシートが容器の中から引き出されることは、極めてよくあることである。また、後続の拭き取りシートが掴み開口より下にあって容器の外に出ていない状態で拭き取りシートが切り離され、このためユーザーが容器の中に手を入れて拭き取りシートを取らなければならなくなるということもよく起こる。つまり、先行技術の掴み開口の性能は、求められているローピング防止特性および落下防止特性のいずれについても十分ではないということである。本発明は、落下防止機能とローピング防止機能の両方を十分に提供する構造を有する拭き取りシートディスペンサを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、本発明は、内部に複数の拭き取りシートを保持する容器を備えた拭き取りシートディスペンサを提供する。ディスペンサは、容器の内部と外部との間を連絡している掴み開口部を備え、この掴み開口部は、拭き取りシートが内部に抜け落ちるのを防ぐ役割をする。ディスペンサは、引きちぎり用柵部も備えており、容器内の複数の湿潤拭き取りシートのうちの先頭の拭き取りシートの先端部が掴み開口部を通り、それから引きちぎり用柵部を通って延在している。これによって、この先端部を持って先頭の拭き取りシートを引きちぎり用柵部に抗して引っ張ると、先頭の拭き取りシートの残りの部分が容器から取り出され、複数の拭き取りシートのうちの残りのシートとの連係が解かれるようになっている。先端部が引きちぎり用柵部に抗して引き出されるにつれ、複数の拭き取りシートのうちの次の拭き取りシートが掴み開口部を通って引き出され、その先端部が容器の内部から外に出る。そして、掴み開口部が、次の拭き取りシートの先端部が容器内部に落下するのを防止する。
【0008】
このように、本発明は、ローピング防止機能のための構造と落下防止機能のための構造とを別個に設けることにより、技術を向上させている。掴み開口部が落下防止機能を担い、柵部がローピング防止機能を担っている。特定の実施形態においては、掴み開口部と引きちぎり用柵部の構成要素を開閉可能に覆う蓋が設けられる。拭き取りシートが何らかの種類の液体を含浸させた湿潤拭き取りシートである場合、蓋が閉められて掴み開口部を覆ったとき、掴み開口部に保持されて容器の内部から出ている先端部を雰囲気から遮断して乾燥を最小限にするような密閉部材を蓋に設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
【0010】
【図2】図1の拭き取りシートディスペンサの、先頭の拭き取りシートが取り出されているところを示す側面図である。
【0011】
【図3】枢動型の引きちぎり用柵部を設けた、本発明の第2の実施形態の斜視図である。
【0012】
【図4】第2の実施形態の引きちぎり用柵部の正面図である。
【0013】
【図5】図3の第2の実施形態の掴み開口部と引きちぎり用柵部と蓋部の構成要素の側面図である。
【0014】
【図6】可撓性フィンガーから成るシンブルを備えた引きちぎり用柵部を有する、本発明の第3の実施形態の斜視図である。
【0015】
【図7】拭き取りシートを通しやすい位置に引きちぎり用柵部が枢動された状態を示す、図5の第3の実施形態の側面図である。
【0016】
【図8】可撓性壁部を有する小袋型容器の部材として掴み開口部と引きちぎり用柵部が用いられていることを示す、本発明の第4の実施形態の側面図である。
【0017】
【図9】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【0018】
【図10】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【0019】
【図11】異なる掴み開口部の平面図および斜視図であるが、これらは例として示すものであって、本発明をこのような開口部に限定するためのものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2に、本発明の第1の実施形態の湿潤拭き取りシートディスペンサを符号10で示す。拭き取りシートディスペンサ10は、一巻きのロール状拭き取りシート14を保持した容器12を備えている。容器12はバケツ形の容器として示したが、容器は実質的にどのような形でもよく、後述する図7の実施形態で例示するように、可撓性容器ですらあってもよいことは、容易に推察できるはずである。同様に、複数の拭き取りシートは、ロール状拭き取りシート14の代わりに、先頭の拭き取りシートが容器から引き出されるときに後続の拭き取りシートが先頭の拭き取りシートについてくるように個々の拭き取りシートが互いに連係されたものであれば実質的にどのようなものであってもよい。
【0021】
ロール状拭き取りシート14は、容器12の内部16に保持されており、容器12は、この実施形態では、側壁部13と側壁部13に取り外し可能に連結された蓋部15とによって画定される。蓋部15の掴み開口部18は、容器12の内部16と外部とを連通させる。掴み開口部18は実質的に、公知の、あるいは今後開発されるいかなる掴み開口部でもよく、当業者であれば、本発明に適しうるタイプの掴み開口部が多数あることは容易に分かるであろう。本発明にとって、掴み開口部18は、そこを通過する拭き取りシートに、拭き取りシートを保持し、手を離しても拭き取りシートが容器の中に抜け落ちないようにするのに十分な抵抗を加えるべきものである。また掴み開口部18は、それが加える抵抗が、拭き取りシートを引き裂いたり、ロール状拭き取りシート14の残りの拭き取りシート(あるいは、複数の拭き取りシートが折り重ねられた束を採用する場合は、その束の残りの拭き取りシート)から分断したりする程強くないように設計すべきである。
【0022】
特に望ましい掴み開口部18を図9に示す。この開口部は、十文字スリット22が設けられた弾性ボディ20から成る。弾性ボディ20に適した材料の非限定的例としては、熱可塑性エラストマー(TPE)およびシリコンが挙げられる。このようなボディの弾性によって、十文字スリット22により画定される狭い通路に拭き取りシートが挟まれる。この掴み開口部18は、拭き取りシートが液体を含んだ湿潤拭き取りシートとされた場合に、弾性掴み開口部が容器12の内部18に保持されたロール状湿潤拭き取りシートの乾燥を防ぐ役割を果たすので特に好ましい。図10および図11に示す、符号18’および18”を付した、それぞれスリット22’および22”が設けられた特殊なボディ20’および20”の構造を有する他の掴み開口部を用いることもできるが、これらは単に一例として示すものであり、本発明の概念に沿うならば、現在公知の、または今後開発されるどのような種類の掴み開口を採用してもよい。図9および図10の実施形態は、より硬い材料、例えば、ポリプロピレンまたは低密度ポリエチレンまたはその他のポリオレフィン類、から形成され、且つスリット付近が非常に薄く形成されている。これにより、硬いにも関わらず、スリット22’、22”のところで弾力的に曲がるようになっている。いくつかの実施形態において、ボディ20’、20”の構造は、各々そのスリット22’、22”付近で厚さ0.008インチ未満であり、別の実施形態においては、厚さ0.006インチ未満であり、さらに別の実施形態においては、厚さ0.004インチ未満である。
【0023】
図1の実施形態において、引きちぎり用柵部24が掴み開口部18の近傍に設置されている。引きちぎり用柵部24は、使用のため先頭の拭き取りシートが容器12から引き出される際に、先頭の拭き取りシートを次の拭き取りシートから切り離すために設けられている。図1に示すように、先頭の拭き取りシート28の先端部26が掴み開口部18を通り、それから引きちぎり用柵部24を通って延在している。先端部26を持って先頭の拭き取りシート28を引きちぎり用柵部24の構造に抗して引っ張ると、先頭の拭き取りシート28の残りの部分が容器12から引き出され、後続の拭き取りシート30との連係が解かれる。より詳しくは、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30との間の連係箇所が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、その連係が解けて、先頭の拭き取りシート28が後続の拭き取りシート30から切り離される。この特定の実施形態において、連係箇所は、ウェブ状つまり長尺の拭き取りシートに設けられたミシン目32によって特徴づけられており、このミシン目が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、ミシン目に沿って先頭の拭き取りシート28が後続の拭き取りシート30から切り離される。なお、連係箇所が、折り合わせて一束に重ねられた拭き取りシート同士の重なり部分であってもよいし、一束に折り重ねられた一繋がりの拭き取りシートのミシン目であってもよいことは当然理解できよう。引きちぎり用柵部24が掴み開口部18から離れて設けられており、且つ掴み開口部18は先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシート30から切り離すには適さないので、ユーザーが摘みやすい適当な長さの後続の拭き取りシート30が後に残る。より詳しくは、後続の拭き取りシート30は、先頭の拭き取りシート28が、ロール状拭き取りシート14の形で提供される複数の拭き取りシートから切り離されると、新たな先頭の拭き取りシートとなる。
【0024】
なお、先頭の拭き取りシート28の先端部26は、引きちぎり用柵部24の構造を通って掻き出されるようにして引っ張られることである。ミシン目または折り合わされた連結部が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られると、先頭の拭き取りシートを後続の拭き取りシートから分離するのに十分な抵抗が加わる。ここで、引きちぎり用柵部24は、狭い引き裂き用形状部52に通ずる送り用スロット56を有するボディ48を備えている。先頭の拭き取りシート28を容器12から引き出し、ロール状拭き取りシート14から切り離すためには、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30が引きちぎり用柵部24の引き裂き用形状部52に抗して引っ張られる方向に先頭の拭き取りシート28を引けばよい。図1および図2に示す引き裂き用形状部構造を用いる場合、上部が送り用スロット56の所で開いているので、先頭の拭き取りシート28を水平もしくはやや下向きに引っ張るようにする。先頭の拭き取りシート28の先端部26を他の方向に引っ張ると、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30を引き裂き用形状部52に抗して掻き出すことが難くなるので、引きちぎり用柵部24は、先頭の拭き取りシート28を後続の拭き取りシート30から分離させるのに十分な抵抗を加えることがあまり出来なくなる。つまり、拭き取りシートは、引き裂き用形状部52に抗して掻き出すように引っ張らなければならない。さもないと、複数の拭き取りシートが容器12の内部16から引き出され、所望のローピング防止機能が果たせないことがある。なお、掴み開口部18は、容器12から拭き取りシートを引き出すための固定位置を画定している。この固定点と先頭の拭き取りシート28が引きちぎり用柵部24を貫通する位置との関係、および先端部26が引っ張られる方向によって、先頭の拭き取りシート28と後続の拭き取りシート30が引きちぎり用柵部24に抗して引っ張られるようになる。参照符号36で示す加圧点が、拭き取りシートと引きちぎり用柵部24との間の接点で作り出される。
【0025】
必ずしも必要ではないが、蓋キャップ38を容器12の蓋部15に設けて、掴み開口部18を覆うようにすることが好ましい。これは、拭き取りシートが液体を含浸された湿潤拭き取りシートの場合に特に好ましい。蓋38は、掴み開口部18と掴み開口部18に保持されたある程度の長さの拭き取りシートを覆うように閉じられたとき、湿潤拭き取りシートが直ぐに乾いてしまわないようにする。また、蓋38は、残りのロール状拭き取りシート14が乾いてしまうのを防止する。したがって、蓋38はヒンジ40に取り付けられ、図1に示す開放位置と、図示してはいないが図1から容易に推察できる閉じ位置との間で枢動可能となっていることが好ましい。なお、蓋38は、閉じたとき引きちぎり用柵部も覆うことになるが、それは必須事項ではなく、主に重要なのは、蓋38が掴み開口部18を覆って容器12の内部16と雰囲気との連通を遮断することである。特に好ましい実施形態において、蓋38は、バネ42またはその他の付勢要素によって、蓋38の通常の休止位置が閉じ位置であるように付勢されている。このような付勢機構を設ければ、ユーザーが使用後に容器12を閉めて乾燥を防ぐという能動的手順を踏む必要がなくなる。蓋38は、乾燥が問題となる場合は、容器12を密閉するシール材43を蓋38に設けることが好ましい。
【0026】
次に図3から図5に、本発明の第2の実施形態の拭き取りシートディスペンサを符号110で示す。この拭き取りシートディスペンサ110は、側壁部113と取り外し可能な蓋部115とによって画定される容器112を備えている。ロール状拭き取りシート114が、容器112の内部116に保持されている。掴み開口部118は、内部116と雰囲気とを連通させる。蓋キャップ138は、実質的に図1の実施形態に関して上述した通りに設けられており、引きちぎり用柵部124が蓋キャップ138と掴み開口部118との間に配置されている。引きちぎり用柵部124は、ヒンジ144で容器112に枢着されている。このような構造がなくとも拭き取りシートディスペンサ110が十分機能するであろうことは推察できるであろうが、引きちぎり用柵部124は、枢動して掴み開口部118の上に被さるように、ヒンジ144で容器112に枢着されている。必ずしも必要ではないが、いくつかの実施形態において、引きちぎり用柵部124は、バネ(例えば、図示していないが図1および図2のバネ42で示すのと同様なねじりバネ)または同様の付勢機構によって、引きちぎり用柵部124に別の位置に動かす圧力が加わらない限り、図2に示す角度に保たれるように付勢されている。例えば、容器112にヒンジ140で枢着されている蓋キャップ138は、下方に圧力を加えれば、引きちぎり用柵部124と掴み開口部118を覆うように閉じることができるが、そのとき蓋キャップ138が引きちぎり用柵部124に接すると、蓋キャップ138は、バネ144の付勢力に抗して引きちぎり用柵部124を押すことになる。ヒンジ140にも、図1および図2の実施形態に関して既に図示説明したようにバネを設けてもよい。
【0027】
先頭の拭き取りシート128の先端部126は掴み開口部118と引きちぎり用柵部124を貫通しており、拭き取りシートディスペンサ110は、実質的に図1の実施形態に関して既に説明したような機能を果たす。ただし、この実施形態では、引きちぎり用柵部124が枢動する。掴み開口部118は拭き取りシートを容器112から引き出すための固定位置を提供しているが、引きちぎり用柵部124の引き裂き用形状部は、ヒンジ144で画定される支点を中心とする円弧で表される角度範囲のどの位置でも、前記固定位置に対する引きちぎり用の配向となりうる。より詳しくは、図4に示すように、引きちぎり用柵部124は、開口150を有するボディ148を備えている。この開口150が、符号152で総体的に指し示される引き裂き用形状部を画定している。この実施形態において、引き裂き用形状部152は、拭き取りシート用の狭窄スロット154であり、この拭き取りシート用スロット154に通ずる送りスロット156が、開口150の傾斜辺158によって形成されている。この構造では、開口150に差し込まれた拭き取りシートが、送りスロット156に抗して引く方向に引っ張られると、自動的に拭き取りシート用スロット154に押し込まれる。
【0028】
図5に示すように、先頭の拭き取りシート128の先端部126は、円弧Aの範囲のどの方向に引っ張っても、送りスロット156に抗して引っ張られることになる。拭き取りシートを、この円弧の範囲外の方向に引っ張った場合、拭き取りシートは拭き取りシート用スロット154に送り込まれないことが多い。この図3から図5の実施例において、引きちぎり用柵部124は、掴み開口部118と蓋キャップ138のヒンジ140との間に配置されたヒンジ144を支点に枢動し、蓋キャップ138は、水平面から135度未満の最大角度で開くように設計されている。別の実施形態において、蓋キャップ138の最大開放角度は、90度未満であり、さらに別の実施形態においては80度未満、さらに別の実施形態においては70度未満である。蓋キャップ138の開放角度をこのように制限すれば、ユーザーは、拭き取りシートを円弧Aの範囲の方向に引っ張らざるを得ない。なぜなら、蓋キャップ138が邪魔になって拭き取りシートを別の方向に引っ張るのが難しいからである。このようにして、蓋キャップ138は、その開放位置で、引き裂き用形状部152が有効に作用しない方向に拭き取りシートが引っ張られないようにする働きをする。先の実施形態同様に、乾燥が問題になる場合は、蓋キャップ138にシール材を設けるのが好ましい。
【0029】
図3および図5を参照すれば、先頭の拭き取りシート128が引きちぎり用柵部124の引き裂き用形状部152に押し込まれて引き裂き用形状部152に抗して引っ張られるように先端部126を引っ張ると、先頭の拭き取りシート128の残りの部分が容器112から引き出され、後続の拭き取りシート130との連係が解かれることが分かるであろう。より詳しくは、先頭の拭き取りシート128と後続の拭き取りシート130との間の連係箇所が引き裂き用形状部152に抗して引っ張られると、その連係箇所が壊れ、先頭の拭き取りシート128が後続の拭き取りシート130から切り離される。この特定の実施形態においては、連係箇所はウェブ状の拭き取りシートに設けられたミシン目132によって特徴づけられており、このミシン目が引き裂き用形状部152に抗して引っ張られると、ミシン目に沿って先頭の拭き取りシート128が後続の拭き取りシート130から切り離される。しかし、連係箇所は、折り合わせて一束に重ねられた拭き取りシート同士の重なり部分であってもよいし、一束に折り重ねられた一繋がりの拭き取りシートのミシン目であってもよいことは容易に分かるはずである。引きちぎり用柵部124が掴み開口部118から離れて設けられ、且つ掴み開口部118は先頭の拭き取りシート128を後続の拭き取りシート130から切り離すには不向きとなっているので、ユーザーが摘むのに適当な長さの後続の拭き取りシート30が後に残る。より詳しくは、後続の拭き取りシート130は、先頭の拭き取りシート128が、ロール状拭き取りシート114により提供される複数の拭き取りシートから切り離されると、新たな先頭の拭き取りシートとなる。
【0030】
なお、図5に関して、掴み開口部118は、容器112から拭き取りシートを引き出すための固定位置を画定していることである。この固定点と先頭の拭き取りシート128が引きちぎり用柵部124を貫通する位置との関係、および先端部が引っ張られる方向によって、先頭の拭き取りシート128と後続の拭き取りシート130が引き裂き用形状部152内に引き込まれ、その引き裂き用形状部に抗して引き出されるようになる。このようにして、引き裂き用形状部152は、支点144を中心とする円弧の範囲で、掴み開口部118によって設定される固定位置に対して引きちぎり用の配向となりうる。図5に例示するように、先頭の拭き取りシート128の先端部126を矢印Bの方向に引っ張ると、引きちぎり用柵部124が枢動して、引き裂き用形状部152を加圧点136が設定される引きちぎり用の配向にする。他方、先頭の拭き取りシート128の先端部126を矢印Cの方向に引っ張ると、引きちぎり用柵部124が、引き裂き用形状部152を加圧点136’が設定される引きちぎり用配向にする位置まで枢動する。
【0031】
次に図6および図7に、本発明による拭き取りシートディスペンサのさらに別の実施形態を符号210で示す。この拭き取りシートディスペンサ210は、容器212を備え、容器212の内部216にロール状拭き取りシート214を保持している。掴み開口部218は、内部216と雰囲気との間を連通させる。引きちぎり用柵部224は、掴み開口部218の近傍に配置され、ヒンジ244で容器212に枢着されている。この引きちぎり用柵部224は、複数の可撓性フィンガー262から形成されたシンブル260を備えており、このシンブルに、先頭の拭き取りシート228の先端部226を通すことができる。上記の実施形態と同様に、掴み開口部218は、拭き取りシートが容器212の内部216に落下しないように保持するには十分だが、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から、その連係部、この実施形態ではミシン目232、に沿って分離するには不十分である。先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から分離させる役割を行うのは引きちぎり用柵部224、より詳細には、可撓性フィンガー262から成るシンブル260である。図7に示すように、引きちぎり用柵部224はヒンジ244で枢動するので、シンブル260は掴み開口部218から離れる方に移動することができる。これにより空間ができ、必要なときは、引きちぎり用柵部224に先頭の拭き取りシート228の先端部226を通すことができる。複数の可撓性フィンガー262が、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から分断するのに十分制限された開口を提供するので、またさらに、これらのフィンガー262が、制限された開口から引き出された拭き取りシートを取り囲むので、この引きちぎり用柵部224は、拭き取りシートが引き出される方向に関係なく、先頭の拭き取りシート228を後続の拭き取りシート230から確実に分離させることができる。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態を図8に符号310で概略的に示す。この拭き取りシートディスペンサ310は容器312を備え、容器312の内部316に、折り合わされて一束に重ねられた拭き取りシート314を保持している。容器312は、周縁319に沿って密封された可撓性壁部317を有するフォイルパッケージである。隆起部321が引きちぎり用柵部324を成しており、この引きちぎり用柵部324は、本明細書に記載の様々な教示によるいずれの形態を取ってもよい。隆起部321には、さらに、掴み開口部318を設けてもよい。あるいは、掴み開口部318を、壁部317の隆起部321の下の領域に設けてもよい。他の実施形態に関して上述した様々な変形例のどれでも、図8の実施形態に関して選択的に実施することができる。図8の実施形態は、主として、本発明の概念をどのようにして拭き取りシートの可撓性容器に適用するかを説明するために示したものである。拭き取りシートが湿潤拭き取りシートである場合、可撓性容器は一般的にフォイルパッケージとして公知の技術による容器となる。
【0033】
以上の記載から、本発明が、掴み開口部と引きちぎり用柵部とを別個に設けることによって拭き取りシートディスペンサの技術を著しく進歩させるものであることが明らかになったはずである。これらの構成要素により、先行技術の取り出し口において起きていたシートの落下やローピングつまり連鎖引き出しという不具合の発生が大幅に低減されることになる。なお本明細書では本発明の概念を説明するために本発明の特定の実施形態を示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載が本発明の範囲を限定するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拭き取りシートディスペンサであって、
複数の拭き取りシートを保持した内部を有する容器と、
前記容器の前記内部と外部との間を連通させる掴み開口部と、
引きちぎり用柵部と、
を備え、
前記複数の拭き取りシートの先頭の拭き取りシートの先端部が、前記掴み開口部を通り、それから前記引きちぎり用柵部を通って延在しており、これによって、前記先端部を持って前記先頭の拭き取りシートを前記引きちぎり用柵部に抗して引っ張ると、前記先頭の拭き取りシートの残りの部分が前記容器から取り出され、前記複数の拭き取りシートの残りの拭き取りシートとの連係が解かれるようになっており、その間に、前記複数の拭き取りシートのうちの次の拭き取りシートが前記掴み開口部を通って引き出され、その先端部が前記容器の前記内部から外に出るものであって、前記掴み開口部は、前記次の拭き取りシートの前記先端部が前記内部に落下するのを防止する役割をする、拭き取りシートディスペンサ。
【請求項2】
前記先頭の拭き取りシートの前記先端部が、前記引きちぎり用柵部により形成される開口を通って延在する、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項3】
前記引きちぎり用柵部が、前記掴み開口部を通った拭き取りシートの先端部を各人が指で摘んで前記引きちぎり用柵部の前記開口に通すことができるように、前記掴み開口部から間隔をあけて設けられている、請求項2に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項4】
前記引きちぎり用柵部が引き裂き用形状部を形成しており、前記先頭の拭き取りシートの前記先端部を持って前記先頭の拭き取りシートを前記引きちぎり用柵部に抗して引っ張って、前記先頭の拭き取りシートを前記容器から取り出すことは、前記先頭の拭き取りシートを、前記引き裂き用形状部を通して引っ張ることを包含する、請求項3に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項5】
さらに、蓋部を備えており、前記掴み開口部が、前記蓋部に設けられ、前記容器の前記内部と外部との間を連通させる、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項6】
さらに、開放位置と閉じ位置との間で枢動可能な蓋キャップを備えており、前記蓋キャップが、前記閉じ位置で前記掴み開口部を覆って、前記容器の前記内部と外部と間の連通を封鎖する、請求項5に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項7】
前記蓋キャップが、前記開放位置において、前記先頭の拭き取りシートを前記後続の拭き取りシートから分離するという前記引き裂き用形状部の作用が無効になる方向に前記先頭の拭き取りシートが引っ張られるのを妨げる、請求項6に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項8】
前記蓋キャップが、前記閉じ位置において前記引きちぎり用柵部を覆う、請求項7に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項9】
前記引きちぎり用柵部が、前記掴み開口部の一方の側に配置された支点を中心に前記掴み開口部に対して枢動する、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項10】
前記掴み開口部が、前記先頭の拭き取りシートの前記残りの部分を前記容器から引き出すための固定位置を形成しており、前記引き裂き用形状部が、前記支点を中心とした円弧の範囲で、前記固定位置に対して引きちぎり用の配向となることができる、請求項9に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項11】
前記先頭の拭き取りシートの前記先端部を前記引き裂き用形状部に通して引っ張ると、前記引きちぎり用柵部が、前記先頭の拭き取りシートと前記引き裂き用形状部との間の接点により作られる加圧点と前記先端部が引っ張られた方向とに応じて決まる位置に枢動する、請求項9に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項12】
前記引き裂き用形状部が可撓性シンブルを包含し、前記引きちぎり用柵部の前記開口が前記可撓性フィンガーによって形成されている、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項13】
前記引き裂き用形状部が、前記引きちぎり用柵部の前記開口の少なくとも一部を形成する拭き取りシート用スロットを包含する、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項14】
前記引き裂き用形状部が、前記拭き取りシート用スロットに合流する角度の傾斜辺を有する送り開口を包含する、請求項13に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項15】
前記容器が、複数の硬質容器と複数の可撓性容器で構成される容器群から選択される、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項16】
前記容器が、可撓性壁部を有する可撓性容器であり、前記拭き取りシートディスペンサが、さらに、前記可撓性壁部に固定された隆起部を包含する、請求項15に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項17】
前記掴み開口部と前記引きちぎり用柵部とが前記隆起部に設けられている、請求項16に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項18】
前記複数の拭き取りシートが、ウェブ状拭き取りシートの部分として用意され、前記複数の拭き取りシートの個々の拭き取りシートが、前記ウェブ状拭き取りシートにおいてミシン目で区画されている、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項19】
前記複数の拭き取りシートが、折り合わされた複数枚の拭き取りシートとして用意される、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項1】
拭き取りシートディスペンサであって、
複数の拭き取りシートを保持した内部を有する容器と、
前記容器の前記内部と外部との間を連通させる掴み開口部と、
引きちぎり用柵部と、
を備え、
前記複数の拭き取りシートの先頭の拭き取りシートの先端部が、前記掴み開口部を通り、それから前記引きちぎり用柵部を通って延在しており、これによって、前記先端部を持って前記先頭の拭き取りシートを前記引きちぎり用柵部に抗して引っ張ると、前記先頭の拭き取りシートの残りの部分が前記容器から取り出され、前記複数の拭き取りシートの残りの拭き取りシートとの連係が解かれるようになっており、その間に、前記複数の拭き取りシートのうちの次の拭き取りシートが前記掴み開口部を通って引き出され、その先端部が前記容器の前記内部から外に出るものであって、前記掴み開口部は、前記次の拭き取りシートの前記先端部が前記内部に落下するのを防止する役割をする、拭き取りシートディスペンサ。
【請求項2】
前記先頭の拭き取りシートの前記先端部が、前記引きちぎり用柵部により形成される開口を通って延在する、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項3】
前記引きちぎり用柵部が、前記掴み開口部を通った拭き取りシートの先端部を各人が指で摘んで前記引きちぎり用柵部の前記開口に通すことができるように、前記掴み開口部から間隔をあけて設けられている、請求項2に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項4】
前記引きちぎり用柵部が引き裂き用形状部を形成しており、前記先頭の拭き取りシートの前記先端部を持って前記先頭の拭き取りシートを前記引きちぎり用柵部に抗して引っ張って、前記先頭の拭き取りシートを前記容器から取り出すことは、前記先頭の拭き取りシートを、前記引き裂き用形状部を通して引っ張ることを包含する、請求項3に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項5】
さらに、蓋部を備えており、前記掴み開口部が、前記蓋部に設けられ、前記容器の前記内部と外部との間を連通させる、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項6】
さらに、開放位置と閉じ位置との間で枢動可能な蓋キャップを備えており、前記蓋キャップが、前記閉じ位置で前記掴み開口部を覆って、前記容器の前記内部と外部と間の連通を封鎖する、請求項5に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項7】
前記蓋キャップが、前記開放位置において、前記先頭の拭き取りシートを前記後続の拭き取りシートから分離するという前記引き裂き用形状部の作用が無効になる方向に前記先頭の拭き取りシートが引っ張られるのを妨げる、請求項6に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項8】
前記蓋キャップが、前記閉じ位置において前記引きちぎり用柵部を覆う、請求項7に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項9】
前記引きちぎり用柵部が、前記掴み開口部の一方の側に配置された支点を中心に前記掴み開口部に対して枢動する、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項10】
前記掴み開口部が、前記先頭の拭き取りシートの前記残りの部分を前記容器から引き出すための固定位置を形成しており、前記引き裂き用形状部が、前記支点を中心とした円弧の範囲で、前記固定位置に対して引きちぎり用の配向となることができる、請求項9に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項11】
前記先頭の拭き取りシートの前記先端部を前記引き裂き用形状部に通して引っ張ると、前記引きちぎり用柵部が、前記先頭の拭き取りシートと前記引き裂き用形状部との間の接点により作られる加圧点と前記先端部が引っ張られた方向とに応じて決まる位置に枢動する、請求項9に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項12】
前記引き裂き用形状部が可撓性シンブルを包含し、前記引きちぎり用柵部の前記開口が前記可撓性フィンガーによって形成されている、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項13】
前記引き裂き用形状部が、前記引きちぎり用柵部の前記開口の少なくとも一部を形成する拭き取りシート用スロットを包含する、請求項4に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項14】
前記引き裂き用形状部が、前記拭き取りシート用スロットに合流する角度の傾斜辺を有する送り開口を包含する、請求項13に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項15】
前記容器が、複数の硬質容器と複数の可撓性容器で構成される容器群から選択される、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項16】
前記容器が、可撓性壁部を有する可撓性容器であり、前記拭き取りシートディスペンサが、さらに、前記可撓性壁部に固定された隆起部を包含する、請求項15に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項17】
前記掴み開口部と前記引きちぎり用柵部とが前記隆起部に設けられている、請求項16に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項18】
前記複数の拭き取りシートが、ウェブ状拭き取りシートの部分として用意され、前記複数の拭き取りシートの個々の拭き取りシートが、前記ウェブ状拭き取りシートにおいてミシン目で区画されている、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【請求項19】
前記複数の拭き取りシートが、折り合わされた複数枚の拭き取りシートとして用意される、請求項1に記載の拭き取りシートディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−195488(P2010−195488A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−34445(P2010−34445)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34445(P2010−34445)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]