説明

連鎖球菌に対するワクチン

【課題】ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御するサブユニットワクチンの提供。
【解決手段】ストレプトコッカス・エクイの少なくとも1つのポリペプチドを含むことができるサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物、並びに前記ポリペプチドをコードする、ベクター中に挿入された少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含むワクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組入れ
本出願は、2006年3月29日に出願した特許文献1の利益を主張する。
【0002】
前記出願、並びにそこで又はその審査中に引用された全ての文書(「出願引用文書」)及び出願引用文書において引用又は参照された全ての文書、並びに本明細書において引用又は参照された全ての文書(「本明細書引用文書」)及び本明細書引用文書において引用又は参照された全ての文書は、本明細書に言及する又は参照によって本明細書に組み入れられているいずれかの文書中のいずれかの製品に関する製造業者の指示書、説明書、製品の仕様書及び製品シートのいずれかと併せて、参照によって本明細書に組み入れられており、本明細書の実施において利用することができる。
【0003】
本発明は、連鎖球菌の、より具体的には、ストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)のポリペプチドに関し、これを使用して、連鎖球菌感染を、予防、診断及び/又は治療することができる。
【背景技術】
【0004】
ストレプトコッカス・エクイ(ストレプトコッカス・エクイ亜種エクイ(S. equi subsp. equi))は、大きな莢膜を有するグラム陽性球菌である。ストレプトコッカス・エクイは、ウマ科、イヌ科及びラクダ科、とりわけ、ウマ、ロバ、ラバ、イヌ、ラクダ及びヒトコブラクダにおける腺疫の原因物質である。腺疫は、上気道及びそれに関連するリンパ節の、伝染性が高い感染症である。ウマ科動物の場合、この疾患は、発熱、粘液膿性の濃厚な鼻汁、腫脹、並びに下顎下、顎下及び咽頭後のリンパ節の膿瘍化によって特徴付けられる。重症例では、感染が、内部及び外部の膿瘍形成を伴って散在する場合があり、最終的には死に至る恐れがある。腺疫は、年齢に関わらず、感受性のウマであれば発生し得る。伝染は、直接的な接触を介して、又は気道の分泌物若しくは唾液によって汚染されている媒介物を介して間接的に起こる。稀ではあるが、ストレプトコッカス・エクイは、ラクダ科(非特許文献1)及びウマとの接触によって感染したヒト(非特許文献2)の人畜共通伝染病の非常に重大な病原体である。ヒトの場合、死亡率は、特に、高齢患者並びに心内膜炎、髄膜炎及び播種性感染を有する患者において高かった(非特許文献3及び非特許文献4)。
【0005】
感染後、ストレプトコッカス・エクイは、一般に、臨床的な徴候が現われるまでに、3〜14日の潜伏期間を有する。この生物体は、粘膜からリンパのチャネル内に迅速に移動し、そこから局所のリンパ節のうちの1つ又は複数へと移動して、炎症及び腫脹を起こす。
【0006】
腫脹するリンパ節は、間もなく、膿性の中心部に発達し、波動する液化を伴う。下顎下のリンパ節は、典型的には、皮膚を通して外部に破裂し、一方、咽頭後のリンパ節中に形成された膿瘍は、典型的には、喉嚢内に破裂する。これが生じるには、徴候が現われてから最長で2週間を要することがある。
【0007】
大部分(70%)の動物は、最初の感染から回復すると、腺疫のその後の攻撃に対しては免疫を有する。しかし、相当な割合の動物(30%)が、2回目の腺疫に罹患する恐れがあり、これらのうちの一部は、腺疫に3回以上罹患する可能性がある(非特許文献5)。発症した動物の最大10%が、臨床的な徴候が消散した後も長期間にわたり、ストレプトコッカス・エクイを断続的に発散し続ける。この保菌状態は、おそらく、咽頭後のリンパ節中に形成された膿瘍が破裂した後に、喉嚢(蓄膿)及び/又は副鼻腔からの浸出物が不完全にしか排液されなかったことが原因であろう(非特許文献6)。浸出物が乾燥して硬化すると、類軟骨と呼ばれる個別の物体が形成され、これは、喉嚢に数年間残留する場合がある。ストレプトコッカス・エクイは無症候状態で持続的に保菌されることが、この感染症が間欠的に大流行し続ける根本原因であるということを認識する傾向が世界的に強まりつつある(非特許文献7;非特許文献6;非特許文献8;非特許文献9)。最新のワクチンが登場しても、この状態は続いている(非特許文献10)。
【0008】
この疾患からの防御は、主として、上咽頭中で局所的に産生されるIgA及びIgGのサブクラスの抗体によって媒介される。
【0009】
ストレプトコッカス・エクイ(S. equi)に対する血清抗体を、ELISA(非特許文献11)、マウス防御試験(非特許文献12)、及びゲル拡散沈降素試験をはじめとする、多様なアッセイによって測定することができる。
【0010】
熱により不活性化したバクテリン又はMタンパク質が豊富な抽出物からなる市販のワクチンが、当技術分野で広範に使用されている。これらのワクチンは、血清の殺菌性抗体を刺激する効果があるものの、上咽頭の抗体を有用なレベルでは刺激しないらしく、したがって、ウマ集団において刺激された防御レベルは、極めて不十分である。最近になって、鼻腔内に投与したストレプトコッカス・エクイの非病原性の遺伝子改変株が、回復期の免疫を有するウマに見い出されるものに類似する、上咽頭の抗体を局所的に刺激することが示されている。ワクチン接種したウマは、病原性のストレプトコッカス・エクイを用いたその後の実験的な攻撃誘発に対して免疫を有した(非特許文献13)。したがって、有効な腺疫ワクチンは、上咽頭の免疫応答を刺激することができるはずであることが明らかである。
【0011】
バクテリン系のワクチンは、しばしば、浮腫、硬結、硬直、一過性の発熱及び好中球増多からなる望ましくない局所性及び全身性の反応を起こし、これは、おそらく細胞壁のペプチドグリカンによる作用であろう。さらに、連鎖球菌の抗体に以前に感作したウマにワクチン接種すると、出血性紫斑病を発症させる恐れがある。
【0012】
ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(ストレプトコッカス・エクイ亜種ズーエピデミカス)(Streptococcus zooepidemicus (S. equi subsp. Zooepidemicus))は、ウマ科動物における呼吸器疾患及び子宮炎の重要な原因である。ストレプトコッカス・ズーエピデミカスは、日和見病原性菌であり、乳離れしたばかりの子ウマ及び1歳ウマの膿性の呼吸器感染症、並びに高齢の雌ウマの子宮感染症を起こす。インフルエンザ感染と高熱又は輸送のストレスが同時に発生している状況では、ストレプトコッカス・ズーエピデミカスは、壊滅的であり且つ急速に命を奪う気道の病原体となる場合がある。稀ではあるが、ストレプトコッカス・ズーエピデミカスは、ラクダ科(非特許文献14)、ウマとの接触によって感染したヒト(非特許文献15及び非特許文献16)、及び呼吸器疾患を有する、とりわけ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)にすでに感染しているイヌ科動物(Chalker V J et al., Vet Microbiol, 2003, 95(1-2): 149-156)の人畜共通伝染病の非常に重大な病原体である。
【0013】
ストレプトコッカス・エクイに襲われた哺乳動物は、この細菌を、中でも、喉嚢中に数カ月にわたって寄生させ、したがって、ストレプトコッカス・エクイを放出したり、その保菌源として作用したりする場合がある。ストレプトコッカス・エクイは、ペニシリン及びその他の抗生物質に対して非常に感受性であるが、抗生物質による治療は、種々の理由から大部分の場合無効である。この疾患と闘い且つ重大な臨床における合併症を軽減するために、主として、効率的なワクチンの開発を目指して研究が進められている。
【0014】
ワクチンの開発は、思うようには進んでいない。これは、おそらく1つには、ワクチンは、顕著な免疫応答を引き起こすことなく、感染症を制御することができなければならないためであろう。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/786936号明細書
【非特許文献1】Sechi L A et al., New Microbiol, 1999, 22(4): 383-387
【非特許文献2】Elsayed S et al., Clin Microbiol Infect, 2003, 9(8): 869-872
【非特許文献3】Bradley S F et al., Rev Infect Dis, 1991, 13(2): 270-280
【非特許文献4】Popescu G A et al., South Med J, 2006, 99(2): 190-191
【非特許文献5】Todd A.G., J. Comp. Pathol. Ther., 1910, 23, 212-229
【非特許文献6】Newton J R et al., Vet Record, 1997, 140: 84-90
【非特許文献7】Fintl C et al., Vet Record, 2000, 147: 480-484
【非特許文献8】Newton J R et al., Equine Vet J, 2000, 32: 515-526
【非特許文献9】Timoney J F et al., Vet Record, 1998, 142: 648
【非特許文献10】Newton R et al., Vet Record, 2005, 156: 291-292
【非特許文献11】Reif et al., Proc. Am. Assoc. Equine Practitioners, 1982, 27, 33-40
【非特許文献12】Bazely P.L., Aust. Vet. J., 1943, 19, 62-85
【非特許文献13】Timoney and Galan, 1985, The protective response of the horse to an avirulent strain of Streptococcal equi. In Y. Kimura, S. Kotami and Y. Shokawa, eds., Recent Advances in Streptococci and Streptococcal disease. Reedbooks, Surrey, England, p. 294-295
【非特許文献14】Younan M et al., J Vet Med B Infect Dis Vet Public Health, 2005, 52(3): 142-146
【非特許文献15】Downar J et al., J Clin Microbiol, 2001, 39(6): 2358-2359
【非特許文献16】Ural O et al., Scand J Infect Dis, 2003, 35(3): 206-207
【非特許文献17】Chalker V J et al., Vet Microbiol, 2003, 95(1-2): 149-156
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、高度な免疫原性を有し、副作用が限定的であり、又は全くない良好な安全性プロフィールを示すワクチンを開発することが望ましい。
【0016】
いずれの場合も、本出願中に文書を引用又は特定することによって、そのような文書が、本発明の先行技術として利用可能であることを是認するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物に関し、これらの組成物は、少なくとも1つの本発明のポリペプチド、例えば、ストレプトコッカス・エクイのポリペプチドを含むことができる。したがって、本発明はさらに、そのような組成物を調製及び/又は製剤化する、例えば、ポリペプチドを、獣医学的又は薬学的に許容される適切な担体、賦形剤、希釈剤又は媒体、及び/又はアジュバント、及び/又は安定化剤と混合するための方法にも関する。また、本発明は、そのようなサブユニット組成物の使用、例えば、免疫原性応答又は防御免疫応答を惹起するための方法にも関し、この方法は、組成物を連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物に投与するステップを含むことができる。
【0018】
本発明は、組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物に関し、これらの組成物は、少なくとも1つの組換え発現ベクターを含むことができ、このベクターは、少なくとも1つの本発明のポリペプチドをコードし、このペプチドを、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物中で、インビボで発現することができる。本明細書では、少なくとも1つの組換え発現ベクターを含むことができる、そのような免疫原性組成物又はワクチン組成物を、組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物と名付ける。したがって、本発明はさらに、そのようなベクターを調製する、例えば、本発明によるポリペプチドをコードする、少なくとも1つのポリヌクレオチドを、プラスミドベクター又はウイルスベクター中に挿入するための方法にも関し、それによって、ベクターは、宿主中で、ポリヌクレオチドを含有し、発現する。したがって、本発明はさらに、そのような組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物を製剤化する、例えば、ベクターを、獣医学的又は薬学的に許容される適切な担体、賦形剤、希釈剤又は媒体、及び/又はアジュバント、及び/又は安定化剤と混合するための方法にも関する。また、本発明は、そのような組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物の使用、例えば、免疫原性応答又は防御免疫応答を惹起するための方法にも関し、この方法は、組成物を連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物に投与するステップを含むことができる。
【0019】
定義により、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物は、ウマ(すなわち、ウマ、雌ウマ、子ウマ、ロバ及びラバ)、ラクダ(すなわち、ラクダ、ヒトコブラクダ)、イヌ(すなわち、イヌ、雌イヌ、子イヌ)、ウシ(すなわち、ウシ、雌ウシ、子ウシ)、ヒツジ(すなわち、ヒツジ、雌ヒツジ、子ヒツジ)、ヤギ(すなわち、ヤギ)、ブタ(すなわち、ブタ、雌ブタ、子ブタ)、並びにヒトを包含する。ストレプトコッカス・エクイ感染に感受性の哺乳動物は、ウマ(すなわち、ウマ、雌ウマ、子ウマ、ロバ及びラバ)、ラクダ(すなわち、ラクダ、ヒトコブラクダ)、イヌ(すなわち、イヌ、雌イヌ、子イヌ)、並びにヒトを包含する。ストレプトコッカス・ズーエピデミカス感染に感受性の哺乳動物は、ウマ(すなわち、ウマ、雌ウマ、子ウマ、ロバ及びラバ)、イヌ(すなわち、イヌ、雌イヌ、子イヌ)、ラクダ(すなわち、ラクダ、ヒトコブラクダ)、並びにヒトを包含する。
【0020】
また、本発明は、組換え発現ベクターの使用、例えば、本発明のポリペプチドを産生するための方法にも関し、この方法は、組換え発現ベクターを含有し、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現に適した条件下で発現するように形質転換した原核細胞又は真核細胞を、培養、生育又は増殖するステップと、ポリペプチドを、それを発現するように形質転換した細胞から、収集又は単離又は分離するステップとを含むことができる。
【0021】
本発明はさらに、ウマ、すなわち、ウマ、ロバ及びラバにおいて、ストレプトコッカス・エクイ又はストレプトコッカス・ズーエピデミカス等の連鎖球菌に対する免疫原性応答又は防御免疫応答を誘導する方法にも関し、この方法は、本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物、或いは本発明の組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物を、ウマに投与するステップを含むことができる。
【0022】
本発明はさらに、イヌ、すなわち、イヌ、雌イヌ、子イヌにおいて、ストレプトコッカス・エクイ又はストレプトコッカス・ズーエピデミカス等の連鎖球菌に対する免疫原性応答又は防御免疫応答を誘導するための方法にも関し、この方法は、本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物、或いは本発明の組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物を、イヌに投与するステップを含むことができる。
【0023】
本発明はさらに、ラクダ、すなわち、ラクダ、ヒトコブラクダにおいて、ストレプトコッカス・エクイ又はストレプトコッカス・ズーエピデミカス等の連鎖球菌に対する免疫原性応答又は防御免疫応答を誘導するための方法にも関し、この方法は、本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物、或いは本発明の組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物を、ラクダに投与するステップを含むことができる。
【0024】
本発明はさらに、ヒトにおいて、ストレプトコッカス・エクイ又はストレプトコッカス・ズーエピデミカス等の連鎖球菌に対する免疫原性応答又は防御免疫応答を誘導するための方法にも関し、この方法は、本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物、或いは本発明の組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物を、ヒトに投与するステップを含むことができる。
【0025】
本発明は、配列番号17、19、21、23及び25として特定されるポリヌクレオチドからなる群から選択されたポリヌクレオチドがコードするアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。本発明はさらに、配列番号17、19、21、23及び25として特定されるポリヌクレオチドからなる群から選択されたポリヌクレオチドがコードするアミノ酸配列と、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の同一性を有するポリペプチドにも関する。本発明は、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52として特定されるポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチドに関する。本発明はさらに、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52として特定されるポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチドと、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の同一性を有するポリペプチドアナログにも関する。本発明はさらに、少なくとも1つのエピトープを含有するポリペプチド断片にも関し、この断片は、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52として特定されるポリペプチド、又はそのアナログからなる群から選択されたポリペプチドの一部であり、且つとりわけ、少なくとも1つのエピトープを含有し、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58として特定されるポリペプチドからなる群から選択された断片にも関する。さらに、本発明は、本明細書に記載するそのようなポリペプチド、そのアナログ又はその断片が関与する使用、組成物及び方法にも関する。
【0026】
したがって、本発明は、組換え発現ベクターに関し、当該ベクターは、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有し、このポリヌクレオチドは、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52、並びにそれらの組合せとして特定されるポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチドをコードする。本発明はさらに、組換え発現ベクターにも関し、当該ベクターは、少なくとも1つのポリヌクレオチドを有し、このポリヌクレオチドは、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52、並びにそれらの組合せとして特定されるポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチドと、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の同一性を有するポリペプチドアナログをコードする。本発明はさらに、組換え発現ベクターにも関し、当該ベクターは、少なくとも1つのポリヌクレオチドを有し、このポリヌクレオチドは、少なくとも1つのエピトープを含有し、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52として特定されるポリペプチド、又はそのアナログからなる群から選択されたポリペプチドの一部であるポリペプチド断片、並びにとりわけ、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58として特定されるポリペプチドからなる群から選択された断片をコードする。本発明は、組換え発現ベクターに関し、当該ベクターは、配列番号17、19、21、23、25、31、33、35、37、39、47、49、51、53、55及び57、並びにそれらの組合せとして特定されるポリヌクレオチドからなる群から選択された、少なくとも1つのポリヌクレオチドを有する。本発明はさらに、組換え発現ベクターにも関し、当該ベクターは、配列番号17、19、21、23、25、31、33、35、37、39、47、49、51、53、55及び57、並びにそれらの組合せとして特定されるポリヌクレオチドからなる群から選択されたポリヌクレオチドと、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の同一性を有する、少なくとも1つのポリヌクレオチドを有する。さらに、本発明は、本明細書に記載するそのようなベクターが関与する使用、組成物及び方法にも関する。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション反応(例えば、ノーザンブロット若しくはサザンブロット、又は核酸マイクロアレイ若しくは「遺伝子チップ」中)において、或いは増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応又はPCR)において使用することができる。
【0028】
本発明は、上記に記載した配列に相補的な配列を含むことができるポリヌクレオチドを提供することを理解されたい。
【0029】
本発明によるポリヌクレオチドは、多くの方法で(例えば、化学的合成によって、ゲノムライブラリー若しくはcDNAライブラリーから、連鎖球菌それ自体から等)調製することができ、種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、プライマー、プローブ等)をとることができる。
【0030】
本発明によるポリヌクレオチドは、例えば、放射性標識又は蛍光標識を用いて標識することができる。これは、特に、プライマー又はプローブとして有用である。
【0031】
さらに、「ポリヌクレオチド」という用語は、DNA及びRNAを含み、且つ修飾した骨格を含有するもの等、それらのアナログもまた含む。
【0032】
その上さらに、本発明は、抗体調製物(antibody preparations)も想定し、この調製物は、本発明のポリペプチドに特異的な、少なくとも1つの抗体を含むことができる。この抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。また、抗体調製物は、当該抗体の断片を含んでもよい。
【0033】
また、本発明は、連鎖球菌による感染を検出するための診断用キットも含み、このキットは、本発明による、少なくとも1つのポリペプチド、又は本発明のポリペプチドに特異的な、少なくとも1つの抗体を含むことができる抗体調製物を含む。また、本発明は、哺乳動物における連鎖球菌による感染を検出するための診断方法も含み、この方法は、本発明の診断用キットを使用するステップと、ポリペプチド又はそのポリペプチドに特異的な抗体を試料中に検出するステップとを含む。
【0034】
本発明はさらに、受動免疫の方法にも関し、この方法は、抗体調製物を、連鎖球菌による感染に感受性である、又は連鎖球菌に感染した哺乳動物に投与するステップを含む。特に、受動免疫の方法は、抗体調製物を、連鎖球菌による感染に感受性である、又は連鎖球菌に感染した、とりわけ、ストレプトコッカス・エクイによる感染に感受性である、又はストレプトコッカス・エクイに感染したウマに投与するステップを含む。
【0035】
本開示、特に、特許請求の範囲において、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」、「含んでいる(comprising)」等の用語は、米国特許法に基づく意味を有することができる、例えば、これらは、「含む(includes)」、「含んだ(included)」、「含んでいる(including)」等を意味することができること、並びに「から本質的になっている(consisting essentially of)」及び「から本質的になる(consists essentially of)」という用語は、米国特許法に基づく意味を有する、例えば、それらによって、明確には列挙されていない要素を許容するが、先行技術に見い出される又は本発明の基本的若しくは新規な特徴に影響を与える要素は排除することに留意されたい。
【0036】
これら及びその他の実施形態は、以下の詳細な説明(Detailed Description)によって開示されるか、又はそれによって、明らかであり、且つ包含される。
【0037】
以下の詳細な説明は、例示のために提供するのであって、本発明を、説明する特定の実施形態のみに限定する意図はなく、以下の付随する図面と併せると、最もよく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、哺乳動物に投与した場合に、免疫原性応答又は防御免疫応答を惹起することができるストレプトコッカス・エクイのポリペプチドの同定、及びこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの同定に関する。これらのポリペプチドは、サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンの産生のために有用である。これらのポリヌクレオチドは、DNA免疫原性組成物、DNAワクチン、組換えウイルスベクター免疫原性組成物又は組換えウイルスベクターワクチンの産生のために有用である。
【0039】
本発明は、ストレプトコッカス科の細菌によって引き起こされる、とりわけ、ストレプトコッカス・エクイによって引き起こされる感染症、例えば、ウマ科、ラクダ科、イヌ科及びヒトにおける腺疫、並びにウマ科、ラクダ科、イヌ科及びヒトにおける、ストレプトコッカス・ズーエピデミカスによって引き起こされる感染症に対する組成物、使用及び方法に関わる。
【0040】
本発明は、ストレプトコッカス・エクイから得た又はそれに由来するポリペプチド、ポリヌクレオチド及び遺伝子に関わる。また、その他の連鎖球菌、とりわけ、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pnuemoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)から得た又はそれらに由来するポリペプチド、ポリヌクレオチド及び遺伝子にも関することができる。
【0041】
本発明の特定の態様は、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52のアミノ酸配列から選択されたポリペプチドである。
【0042】
ストレプトコッカス・エクイの全ゲノムは、Sangerデータベースにおいて入手可能である(http://www.sanger.ac.uk/Projects/S_equi/)。
【0043】
ポリペプチドは、Se50、Se1459、Se595、Se528、Se358、Se1631、Se1681及びSlaについてはそれぞれ、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52として特定される。
【0044】
本発明の特定の態様は、配列番号17、19、21、23及び25のヌクレオチド配列から選択されたポリヌクレオチドである。
【0045】
ポリヌクレオチドは、Se50、Se1459、Se595、Se528及びSe358についてはそれぞれ、配列番号17、19、21、23及び25として特定される。
【0046】
本発明の実施にあたっては、別段の記載がない限り、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術及び免疫学の従来の技法を利用し、これらは、当技術分野に属している。そのような技法は、文献に十分に説明されている。例えば、Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring HarborPress;DNA Cloning, Vols. I and II (D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Animal Cell Culture (R. K. Freshney ed. 1986);Immobilized Cells and Enzymes (IRL press, 1986); Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);the series, Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);及びHandbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., 1986, Blackwell Scientific Publications)を参照されたい。
【0047】
本発明を詳細に説明する前に、この発明は、特定のDNA、ポリペプチド配列及び処理パラメータに限定されるわけではなく、当然ながら、それらは変動することができることを理解されたい。また、本明細書に使用する用語法は、特定の本発明の実施形態を説明することが唯一の目的であり、限定的な意図はないことも理解されたい。
【0048】
別段の定義がない限り、本明細書に使用する全ての科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同一の意味を有する。本明細書に記載するものと同様又は同等の、多くの方法及び材料を、本発明を実施するにあたって使用することができるが、好ましい材料及び方法を、本明細書に記載する。
【0049】
「相補性」又は「相補的な」という用語によって、本明細書又は本特許請求の範囲の目的では、オリゴヌクレオチドにおいて、その配列中の相補的な塩基対の数が、増幅又は検出する遺伝子多型性の標的核酸配列と特異的に相互作用する(ハイブリダイズする)のに十分であることを意味する。当業者に知られているように、100%である必要はないが、非常に高度の相補性が、ハイブリダイゼーションに関わる特異性及び感受性のために必要である。したがって、例えば、1つの塩基の変化又は置換以外は、本明細書に開示するオリゴヌクレオチドと、ヌクレオチド配列において同一であるオリゴヌクレオチドは、開示するオリゴヌクレオチドと同等に機能することができる。「相補DNA」又は「cDNA」の遺伝子は、メッセンジャーRNA(「mRNA,messenger RNA」)の逆転写によって合成した組換え遺伝子を含む。
【0050】
「ポリメラーゼ媒介サイクル反応」は、鋳型分子又は鋳型分子の集団を、定期的に繰り返しコピーして、相補的な鋳型分子又は相補的な鋳型分子の集団を生み出し、それによって、鋳型分子の数を、時間の経過と共に増加させる生化学反応を指す。
【0051】
「検出可能な部分」という用語によって、本明細書又は本特許請求の範囲の目的では、オリゴヌクレオチド中に間接的又は直接的に組み入れられている(同位体又は非同位体の)標識分子を意味し、例えば、オリゴヌクレオチドを、増幅した遺伝子多型配列とハイブリダイズさせる場合に、標識分子によって、その標識分子が組み入れられているオリゴヌクレオチドの検出が促進される。したがって、「検出可能な部分」は、「標識分子」の同意語として使用される。オリゴヌクレオチドの合成は、当業者に知られているいくつかの方法のうちのいずれか1つによって達成することができる。検出に有用であるとして当業者に知られている標識分子は、化学発光分子、蛍光分子又は発光分子を含む。種々の蛍光分子が、当技術分野で知られており、それらは、本発明の方法のために核酸を標識するための使用に適している。そのような組入れのためのプロトコールは、使用する蛍光分子によって異なる場合がある。そのようなプロトコールは、当技術分野では、それぞれの蛍光分子について知られている。
【0052】
本明細書で使用する場合、「DNA増幅」は、特異的なDNA配列のコピー数を、核酸配列を酵素的に増幅することによって増加させるいずれかの過程を指す。多様な過程が知られている。最も一般的に使用されているものの1つが、米国特許第4683195号明細書及び第4683202号明細書に記載されているMullisのポリメラーゼ連鎖反応(PCR,polymerase chain reaction)の過程である。また、米国特許第6951726号明細書;第6927024号明細書;第6924127号明細書;第6893863号明細書;第6887664号明細書;第6881559号明細書;第6855522号明細書;第6855521号明細書;第6849430号明細書;第6849404号明細書;第6846631号明細書;第6844158号明細書;第6844155号明細書;第6818437号明細書;第6818402号明細書;第6794177号明細書;第6794133号明細書;第6790952号明細書;第6783940号明細書;第6773901号明細書;第6770440号明細書;第6767724号明細書;第6750022号明細書;第6744789号明細書;第6733999号明細書;第6733972号明細書;第6703236号明細書;第6699713号明細書;第6696277号明細書;第6664080号明細書;第6664064号明細書;第6664044号明細書;第RE38352号明細書;第6650719号明細書;第6645758号明細書;第6645720号明細書;第6642000号明細書;第6638716号明細書;第6632653号明細書;第6617107号明細書;第6613560号明細書;第6610487号明細書;第6596492号明細書;第6586250号明細書;第6586233号明細書;第6569678号明細書;第6569627号明細書;第6566103号明細書;第6566067号明細書;第6566052号明細書;第6558929号明細書;第6558909号明細書;第6551783号明細書;第6544782号明細書;第6537752号明細書;第6524830号明細書;第6518020号明細書;第6514750号明細書;第6514706号明細書;第6503750号明細書;第6503705号明細書;第6493640号明細書;第6492114号明細書;第6485907号明細書;第6485903号明細書;第6482588号明細書;第6475729号明細書;第6468743号明細書;第6465638号明細書;第6465637号明細書;第6465171号明細書;第6448014号明細書;第6432646号明細書;第6428987号明細書;第6426215号明細書;第6423499号明細書;第6410223号明細書;第6403341号明細書;第6399320号明細書;第6395518号明細書;第6391559号明細書;第6383755号明細書;第6379932号明細書;第6372484号明細書;第6368834号明細書;第6365375号明細書;第6358680号明細書;第6355422号明細書;第6348336号明細書;第6346384号明細書;第6319673号明細書;第6316195号明細書;第6316192号明細書;第6312930号明細書;第6309840号明細書;第6309837号明細書;第6303343号明細書;第6300073号明細書;第6300072号明細書;第6287781号明細書;第6284455号明細書;第6277605号明細書;第6270977号明細書;第6270966号明細書;第6268153号明細書;第6268143号明細書;第D445907号明細書;第6261431号明細書;第6258570号明細書;第6258567号明細書;第6258537号明細書;第6258529号明細書;第6251607号明細書;第6248567号明細書;第6235468号明細書;第6232079号明細書;第6225093号明細書;第6221595号明細書;第D441091号明細書;第6218153号明細書;第6207425号明細書;第6183999号明細書;第6183963号明細書;第6180372号明細書;第6180349号明細書;第6174670号明細書;第6153412号明細書;第6146834号明細書;第6143496号明細書;第6140613号明細書;第6140110号明細書;第6103468号明細書;第6087097号明細書;第6072369号明細書;第6068974号明細書;第6063563号明細書;第6048688号明細書;第6046039号明細書;第6037129号明細書;第6033854号明細書;第6031960号明細書;第6017699号明細書;第6015664号明細書;第6015534号明細書;第6004747号明細書;第6001612号明細書;第6001572号明細書;第5985619号明細書;第5976842号明細書;第5972602号明細書;第5968730号明細書;第5958686号明細書;第5955274号明細書;第5952200号明細書;第5936968号明細書;第5909468号明細書;第5905732号明細書;第5888740号明細書;第5883924号明細書;第5876978号明細書;第5876977号明細書;第5874221号明細書;第5869318号明細書;第5863772号明細書;第5863731号明細書;第5861251号明細書;第5861245号明細書;第5858725号明細書;第5858718号明細書;第5856086号明細書;第5853991号明細書;第5849497号明細書;第5837468号明細書;第5830663号明細書;第5827695号明細書;第5827661号明細書;第5827657号明細書;第5824516号明細書;第5824479号明細書;第5817797号明細書;第5814489号明細書;第5814453号明細書;第5811296号明細書;第5804383号明細書;第5800997号明細書;第5780271号明細書;第5780222号明細書;第5776686号明細書;第5774497号明細書;第5766889号明細書;第5759822号明細書;第5750347号明細書;第5747251号明細書;第5741656号明細書;第5716784号明細書;第5712125号明細書;第5712090号明細書;第5710381号明細書;第5705627号明細書;第5702884号明細書;第5693467号明細書;第5691146号明細書;第5681741号明細書;第5674717号明細書;第5665572号明細書;第5665539号明細書;第5656493号明細書;第5656461号明細書;第5654144号明細書;第5652102号明細書;第5650268号明細書;第5643765号明細書;第5639871号明細書;第5639611号明細書;第5639606号明細書;第5631128号明細書;第5629178号明細書;第5627054号明細書;第5618703号明細書;第5618702号明細書;第5614388号明細書;第5610017号明細書;第5602756号明細書;第5599674号明細書;第5589333号明細書;第5585238号明細書;第5576197号明細書;第5565340号明細書;第5565339号明細書;第5556774号明細書;第5556773号明細書;第5538871号明細書;第5527898号明細書;第5527510号明細書;第5514568号明細書;第5512463号明細書;第5512462号明細書;第5501947号明細書;第5494795号明細書;第5491225号明細書;第5487993号明細書;第5487985号明細書;第5484699号明細書;第5476774号明細書;第5475610号明細書;第5447839号明細書;第5437975号明細書;第5436144号明細書;第5426026号明細書;第5420009号明細書;第5411876号明細書;第5393657号明細書;第5389512号明細書;第5364790号明細書;第5364758号明細書;第5340728号明細書;第5283171号明細書;第5279952号明細書;第5254469号明細書;第5241363号明細書;第5232829号明細書;第5231015号明細書;第5229297号明細書;第5224778号明細書;第5219727号明細書;第5213961号明細書;第5198337号明細書;第5187060号明細書;第5142033号明細書;第5091310号明細書;第5082780号明細書;第5066584号明細書;第5023171号明細書及び第5008182号明細書に記載されている、方法、装置及び試薬を、本発明の実施にあたって利用することができる。PCRは、熱安定性DNAポリメラーゼ、プライマーとしての既知の配列、及び加熱サイクルを使用することになる。これによって、複製するデオキシリボ核酸(DNA,deoxyribonucleic acid)鎖を分離し、対象の遺伝子を指数関数的に増幅する。定量的PCR、RT−PCR、ホットスタートPCR、LAPCR,マルチプレックスPCR、タッチダウンPCR等のいずれかの型のPCRを使用することができる。リアルタイムPCRを使用するのが有利である。一般に、PCR増幅過程は、指数関数的な量の特異的な核酸配列を調製するための酵素的連鎖反応サイクルが関わる。これには、連鎖反応を開始するための少量の配列、及びその配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーが必要である。PCRでは、プライマーを、変性させた核酸にアニールさせ、その後、誘導剤(酵素)及びヌクレオチドを用いて伸長させる。この結果、新たに合成した伸長産物を得る。これらの新たに合成した配列が、プライマーの鋳型になるので、変性、プライマーのアニーリング及び伸長のサイクルを繰り返すと、増幅された特異的な配列が指数関数的に蓄積する。連鎖反応の伸長産物は、利用した特異的なプライマーの末端部に対応する末端を有する、個別の核酸の二本鎖である。
【0053】
「酵素的に増幅する」又は「増幅する」という用語によって、本明細書又は本特許請求の範囲の目的では、DNA増幅、すなわち、核酸配列が数の上で増幅される過程を意味する。核酸配列を酵素的に増幅するためのいくつかの手段がある。現時点で最も一般的に使用されている方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。その他の増幅方法には、DNAリガーゼ、及び増幅すべきDNA配列に相補的であるDNAセグメントの2つの半分からなるプローブ、酵素QBレプリカーゼ、並びにコピーすべきDNAに相補的なプローブに結合しているリボ核酸(RNA,ribonucleic acid)配列鋳型を利用し、そのコピーすべきDNAを使用して相補的なRNAの指数関数的な産生用のDNA鋳型を作製するリガーゼ連鎖反応(LCR,ligase chain reaction);鎖置換増幅(SDA,strand displacement amplification);Qβレプリカーゼ増幅(QβRA,Qβ replicase amplification);自己維持複製(3SR,self-sustained replication);及び核酸配列に基づく増幅(NASBA,nucleic acid sequence-based amplification)があり、これらは、増幅すべき核酸配列であるRNA上又はDNA上で行うことができる。
【0054】
タンパク質又は核酸等の分子の「断片」は、アミノ酸又はヌクレオチド遺伝子配列のいずれかの部分を指すことを意味する。
【0055】
本明細書で使用する場合、「ゲノム」という用語は、特定の生物体の染色体中の全ての遺伝子物質を指す。その大きさは、一般的に、塩基対の総数として示される。ゲノム内では、「遺伝子」という用語は、特異的な機能性の産物(例えば、タンパク質分子又はRNA分子)をコードする、特定の染色体の特定の位置に位置するヌクレオチドの順序付けられた配列を指す。一般に、ゲノムのヌクレオチド配列によって定義される、動物の遺伝的な特徴は、「遺伝子型」として知られ、一方、動物の物理的な形質は、「表現型」として記載される。
【0056】
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」又は「ハイブリダイズする」によって、ポリヌクレオチドのセグメントの断片のヌクレオチド配列と、オリゴヌクレオチドの相補的なヌクレオチド配列との間のA−T塩基対及びC−G塩基対の形成を意味する。相補的なとは、断片配列中の各A、C、G又はT(若しくはリボヌクレオチドの場合はU)の遺伝子座位において、オリゴヌクレオチド配列がそれぞれ、T、G、C又はAを有することを意味する。ハイブリダイズした断片/オリゴヌクレオチドは、「二本鎖」と呼ばれる。
【0057】
サンドイッチアッセイ中等の「ハイブリダイゼーション複合体」は、少なくとも標的核酸とセンサープローブとを含む核酸分子の複合体を意味する。また、これは、アンカープローブも含むことができる。
【0058】
「融解温度」は、ハイブリダイズした二本鎖が、デハイブリダイズし、一本鎖状態に戻る温度を意味する。同様に、得られた二本鎖の融解温度を超える温度では、そもそも、2つのオリゴヌクレオチドの間、又は本明細書の場合には、オリゴヌクレオチドと断片との間では、ハイブリダイゼーションが起こらない。本発明の有利な点といえば、本発明のオリゴヌクレオチド−断片の二本鎖の融点温度の差は、約1℃〜約10℃であり、したがって、検出が容易であることである。
【0059】
本明細書で使用する場合、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して産生したDNA又はRNAのアナログ、並びにそれらの誘導体、断片及び相同体を含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよいが、二本鎖DNAが有利である。「DNA」は、デオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン又はシトシン)の一本鎖の形態又は二本鎖のらせんのいずれかの重合体を指す。この用語は、分子の一次構造及び二次構造のみを指し、分子を何らかの特定の三次の形態に限定することはない。したがって、この用語は、とりわけ、直鎖DNA分子(例えば、制限断片)、ウイルス、プラスミド及び染色体中に見い出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する場合に、本明細書では、DNAの未転写の鎖(すなわち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿う5’〜3’方向の配列のみを示す慣例に従って、配列を記載することができる。「単離された」核酸分子は、核酸の天然の源に存在するその他の核酸分子から分離した分子である。
【0060】
「ヌクレオシド」は、糖に連結している塩基を指す。塩基は、アデニン(A,adenine)、グアニン(G,guanine)(又はその代用物、イノシン(I,inosine))、シトシン(C,cytosine)、或いはチミン(T,thymine)(又はその代用物、ウラシル(U,uracil))でよい。糖は、リボース(RNA中の天然のヌクレオチドの糖)又は2−デオキシリボース(DNA中の天然のヌクレオチドの糖)でよい。「ヌクレオチド」は、単一のリン酸基に連結しているヌクレオシドを指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、一連の連結されたヌクレオチド残基を指し、このヌクレオチドは、PCR反応で使用するのに十分な数のヌクレオチド塩基を有する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列若しくはcDNA配列に基づく、又はそれから設計することができ、特定の細胞又は組織中の同一の、類似する若しくは相補的なDNA又はRNAの存在を、増幅、確認又は明らかにするために使用する。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成することができ、プライマー又はプローブとして使用することができる。オリゴヌクレオチドは、標的核酸の検出又は同定を促進するために使用する4塩基以上の長さのいずれかのヌクレオチドを意味し、これには、プローブ及びプライマーが含まれる。
【0062】
「ポリメラーゼ」は、単量体単位の重合体鎖への順次付加を触媒する、又は2つ以上の単量体単位を連結して重合体鎖を開始する酵素である。「ポリメラーゼ」が、単量体単位を付加することによって働き、この単量体単位の同一性は、特異的な配列の鋳型分子により決定され、この単量体単位は、特異的な配列の鋳型分子に相補的である。例えば、DNA pol 1ポリメラーゼ及びTaqポリメラーゼ等のDNAポリメラーゼは、鋳型に依存する様式で、デオキシヌクレオチドをポリヌクレオチド鎖の3’末端に付加し、それによって、鋳型分子に相補的である核酸を合成する。ポリメラーゼを使用して、プライマーを1回又は繰り返して伸長すること、或いは2つのプライマーを使用する、2本の相補鎖の繰り返しのプライミングによってポリヌクレオチドを増幅することのいずれもが可能である。「熱安定性ポリメラーゼ」は、100℃に近い温度等の極度の高温に耐えることができるDNAポリメラーゼ酵素又はRNAポリメラーゼ酵素を指す。しばしば、熱安定性ポリメラーゼは、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)等、極端な温度中に生存する生物体から得る。熱安定性ポリメラーゼの例として、Taq、Tth、Pfu、Vent、deep vent、UlTma、並びにそれらの変異体及び誘導体が挙げられる。
【0063】
「ポリヌクレオチド」は、1つのヌクレオシドの3’ヒドロキシル基と第2のヌクレオシドの5’ヒドロキシル基との間のホスホジエステル結合によって接続されているヌクレオチドの直鎖を指す。第2のヌクレオシドの5’ヒドロキシル基は、順に、3’ヒドロキシル基によって、第3のヌクレオシドの5’ヒドロキシル基に連結し、このようにして、ホスホジエステル骨格によって連結されるヌクレオシドからなる重合体を形成する。「修飾ポリヌクレオチド」は、1つ又は複数の天然のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドで、部分的に、相当な部分が又は完全に置換されているポリヌクレオチドを指す。
【0064】
「プライマー」は、オリゴヌクレオチド、すなわち、増幅又は複製する鋳型DNAのセグメントに相補的である配列の少なくとも一部の配列である。典型的には、プライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う場合に使用する。プライマーは、鋳型DNAとハイブリダイズし(鋳型DNAにアニールし)、ポリメラーゼ酵素によって、複製/増幅の過程のための出発点として使用される。本明細書では、プライマーは、特定の標的DNA配列の異なる鎖に「本質的に」相補的であるように選択する。これは、プライマーが、それぞれの鎖とハイブリダイズするように十分に相補的でなければならないことを意味する。したがって、プライマー配列は、鋳型の的確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的なヌクレオチド断片を、プライマーの5’末端に結合させ、プライマー配列の残りの部分は、鎖に相補的となすことができる。或いは、プライマー配列とハイブリダイズし、それによって、伸長産物の合成のための鋳型を形成する鎖の配列に対して、プライマー配列が十分な相補性を有するのであれば、非相補的な塩基又はより長い配列を、このプライマー内に散在させることができる。
【0065】
「プローブ」は、ハイブリダイゼーションによる、同一の、類似する又は相補的な核酸配列の検出に使用する、可変の長さのオリゴヌクレオチド核酸配列を指す。検出プローブとして使用するオリゴヌクレオチド配列は、検出可能な部分を用いて標識することができる。
【0066】
以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子若しくは遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離されたDNA、いずれかの配列の単離されたRNA、核酸のプローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチドアナログ等の修飾ヌクレオチド、ウラシル、フルオロリボース及びチオレート等のその他の糖及び連結基、並びにヌクレオチドの枝を含むことができる。ヌクレオチドの配列を、重合後に、標識成分との結合などによってさらに修飾してもよい。この定義に含まれるその他の型の修飾は、キャップ、天然に生じるヌクレオチドのうちの1つ又は複数の、アナログを用いた置換、及びポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識成分、その他のポリヌクレオチド又は固体の支持体に結合させるための手段の導入である。
【0067】
「単離された」ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、天然の環境においては付随している物質を本質的に含まないポリヌクレオチド又はポリペプチドである。本質的に含まないとは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、有利には、少なくとも70%、少なくとも75%、より有利には、少なくとも80%、少なくとも85%、さらにより有利には、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、最も有利には、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、これらの物質を含まないことを意味する。
【0068】
「単離された」核酸分子は、核酸分子が天然では一緒に存在する全体の生物体から分離しており、且つ個別である核酸分子;又は天然では通常は核酸分子と結合している配列の全部又は一部を欠く核酸分子;又は天然に存在する配列であるが、それと結合する異種性の配列(以下に定義する)を有する配列である。
【0069】
本明細書で使用する場合、「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」という用語は、タンパク質をコードするDNA断片又は単離されたDNA分子、或いはそれに相補的な鎖を指すが、RNAを排除するわけではない。これは、当技術分野では、DNA配列中のチミジン(T,thymidine)は、RNA配列中のウラシル(U)に等しいとみなされると理解されているからである。したがって、本発明における使用のため、例えば、RNAベクターにおける使用のためのRNA配列は、DNA配列中のチミジン(T)が、RNA配列中のウラシル(U)に等しいとみなすことによって、DNA配列から引き出すことができる。
【0070】
DNAの「コード配列」又は特定のタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」は、適切な調節エレメントの制御下に置いた場合、ポリペプチドにインビトロ又はインビボで転写及び翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列は、これらに限定されないが、原核生物の配列、真核生物のmRNAからのcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)のDNAからのゲノムDNA配列、及び合成DNA配列までをも含む。転写終止配列は、通常、コード配列の3’に位置する。
【0071】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド部分又は2つのポリペプチド部分のパーセント同一性を指す。配列が、分子の規定された長さにわたり、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、好ましくは、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、最も好ましくは、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%の配列同一性を示す場合に、2つのDNA又は2つのポリペプチド配列は、相互に「本質的に相同」である。本明細書で使用する場合、本質的に相同とは、特定のDNA配列又はポリペプチド配列に対して、完全な同一性(100%配列同一性)を示す配列もまた指す。
【0072】
相同性は、相同な領域の間で安定な二本鎖を形成する条件下でポリヌクレオチドをハイブリダイズさせ、その後、一本鎖に特異的なヌクレアーゼ(複数のヌクレアーゼ)を用いて消化し、消化した断片の大きさを決定することによって決定することができる。本質的に相同であるDNA配列は、サザンハイブリダイゼーション実験中で、例えば、特定の系について定義された厳密な条件下で同定することができる。適切なハイブリダイゼーションの条件を定義することは、当技術分野に属する。例えば、Sambrook et al.、上記;DNA Cloning、上記;Nucleic Acid Hybridization、上記を参照されたい。
【0073】
2つの核酸断片が、(i)例えば、Sambrook et al.、上記及びNucleic Acid Hybridization、上記に記載されているような、典型的なハイブリダイゼーション及び洗浄の条件下で、(ii)最大約25〜30%の塩基対のミスマッチを許す、厳密度の低下した洗浄条件、例えば、2×SSC、0.1%SDS、室温、各30分を2回;次いで、2×SSC、0.1%SDS、37℃、30分を1回;次いで、2×SSC、室温、各10分を2回を使用して、又は(iii)(例えば、Saiki, et al. (1988) Science 239:487-491に記載されている)標準的な条件下での典型的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における使用のためにプライマーを選択して:核酸又はその変異体に特異的にハイブリダイズし、或いはポリメラーゼ連鎖反応を特異的にプライミングすることができる場合には、これらは、ポリヌクレオチドに対して「選択的にハイブリダイズすることが可能である」とみなされる。
【0074】
本明細書で使用する場合、「厳密な条件下でハイブリダイズすることができる」という用語は、以下に定義する厳密な条件下で、第1の核酸を第2の核酸にアニールさせることを指す。厳密なハイブリダイゼーション条件は、典型的には、ハイブリダイゼーション反応中でプローブとして使用する核酸分子と、少なくとも70%の核酸配列同一性を有する核酸分子のハイブリダイゼーションを可能にする。例えば、第1の核酸は、試験試料又はプローブであることができ、第2の核酸は、核酸又はその断片のセンス鎖又はアンチセンス鎖であることができる。第1の核酸と第2の核酸とのハイブリダイゼーションを、異なるヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに不利になる傾向がある厳密な条件、例えば、高温及び/又は低塩含有量下で行うことができる。或いは、第1の核酸と第2の核酸とのハイブリダイゼーションを、異なるヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに有利になる傾向がある厳密度の低下した条件、例えば、低温及び/又は高塩含有量下で行うことができる。低厳密度のハイブリダイゼーション条件に、高厳密度の条件又は中間の厳密度の条件を続けて、第1の核酸と第2の核酸との結合の選択性を増加させてもよい。ハイブリダイゼーション条件は、異なるヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションにその上さらに不利になるように、これらに限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO,dimethyl sulfoxide)、又はホルムアミド等の試薬をさらに含むことができる。適切なハイブリダイゼーションのプロトコールでは、例えば、水溶液中、6×SSC(但し、1×SSCは、0.015Mクエン酸ナトリウム及び0.15M塩化ナトリウムを含む)、65℃でハイブリダイズさせ、その後、1×SSC、65℃で洗浄することになる。2つの核酸分子の間の30%以下のミスマッチを許すハイブリダイゼーションを達成するための適切なハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を計算する式は、例えば、Meinkoth et al. (1984) Anal. Biochem. 138: 267-284に開示されており、この全内容が、参照によって本明細書に組み入れられている。ハイブリダイゼーションの技法に関するプロトコールは、当業者にはよく知られており、標準的な分子生物学のマニュアルを参考にして、過度の実験をせずとも、適切なハイブリダイゼーションのプロトコールを選択することができる。例えば、全内容が、参照によって本明細書に組み入れられている、Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring HarborPressを参照されたい。
【0075】
典型的には、厳密な条件とは、塩濃度が、約1.5M未満のナトリウムイオン、典型的には、約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又はその他の塩)、約pH7.0〜約pH8.3であり、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50個のヌクレオチド)の場合には、少なくとも約30℃、及び長いプローブ(例えば、50個超のヌクレオチド)の場合には、少なくとも約60℃である条件である。また、厳密な条件は、ホルムアミド等の不安定化剤を添加して達成することもできる。例示的な低厳密度の条件として、37℃で、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS,sodium dodecyl sulphate)の緩衝液を用いるハイブリダイゼーション、及び50〜55℃で、1〜2×SSC中の洗浄が挙げられる。例示的な中等度の厳密度の条件として、37℃で、40〜45%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中のハイブリダイゼーション、及び55〜60℃で、0.5〜1×SSC中の洗浄が挙げられる。例示的な高厳密度の条件として、37℃で、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中のハイブリダイゼーション、及び60〜65℃で、0.1×SSC中の洗浄が挙げられる。
【0076】
また、本発明は、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52の配列から選択されたポリペプチドの断片も包含する。本発明の実施にあたっては、過度の実験をせずとも、ポリペプチドの断片及びエピトープを決定する手順、例として、重複ペプチドライブラリーの産生(Hemmer B. et al., Immunology Today, 1998, 19(4), 163-168)、Pepscan(Geysen H. M. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1984, 81(13), 3998-4002;Geysen H. M. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1985, 82(1), 178-182;Van der Zee R. et al., Eur. J. Immunol., 1989, 19(1), 43-47;Geysen H. M., Southeast Asian J. Trop. Med. Public Health, 1990, 21(4), 523-533;Multipinep(登録商標)Peptide Synthesis Kits de Chiron)、及びアルゴリズム(De Groot A. et al., Nature Biotechnology, 1999, 17, 533-561)を使用することができる。
【0077】
ポリペプチド又はその断片は、インビトロでの発現によって産生されると有利である。本発明の別の態様は、発現、及びペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質、又はより一般的には、発現産物、例えば、免疫原、抗原若しくはエピトープの産生のための、本発明によるポリヌクレオチドの使用である。ある実施形態では、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチド又はペプチド又はタンパク質を、免疫原性組成物又はワクチン中で、サブユニット免疫原又は抗原又はエピトープとして使用することができる。また、本発明は、鎖が、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも20個、例えば少なくとも30個、有利には少なくとも50個、より有利には少なくとも70個のアミノ酸のポリペプチドである、これらのポリペプチドの免疫原性断片、例えば、少なくとも8個の近接アミノ酸のポリペプチド、少なくとも10個の近接アミノ酸のポリペプチド、有利には、少なくとも20個、例えば少なくとも30個、より有利には少なくとも50個の近接アミノ酸のポリペプチド、さらにより有利には少なくとも70個の近接アミノ酸のポリペプチドを含有するポリペプチドの断片も包含する。もちろん、断片は、全ポリペプチドよりは小さい。断片を、その他のポリペプチドと、例えば、融合ポリペプチド中に組み合わせることができる。例を挙げると、本発明のポリペプチド又はその断片を、別の部分(別のポリペプチド)、例えば、免疫原性を増強する部分及び/又は分泌を増強する部分、例として、免疫原性を増強するリポタンパク質部分、具体的には、T細胞エピトープペプチド又はシグナル配列若しくはリーダー配列の部分を含む、融合ペプチドの一部とする(すなわち、グルタチオンSトランスフェラーゼ遺伝子(GST,glutathione S-transferase)(Chanter N et al., Microb. Pathog., 1999, 27(3): 133-143)、又はコレラ毒素(Sheoran A S et al., Vaccine, 2002, 20(11-12): 1653-1659)に融合させる)ことができる。したがって、本発明は、融合体として、例えば、融合ポリペプチド、例として、リポタンパク質等の免疫原性を増強する部分及び/又はシグナル配列若しくはリーダー配列の部分等の分泌を増強する部分を含むと有利である融合ポリペプチドの一部としての、本明細書に特定する配列若しくはその断片、又は本発明のベクターとは異種性であるもののいずれかの、ポリペプチド、タンパク質、抗原、免疫原又はエピトープの発現を想定する。
【0078】
本明細書で使用する場合、「抗原」又は「免疫原」という用語は、宿主動物において、特異的な免疫応答を誘導する物質を意味する。抗原は、死滅させた、弱毒化した又は生の全生物体;生物体のサブユニット又は一部;免疫原性を有する挿入断片を含有する組換えベクター;宿主動物への提示の際に免疫応答を誘導することができるDNAの小片又は断片;タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、エピトープ、ハプテン、或いはいずれかのそれらの組合せを含むことができる。或いは、免疫原又は抗原は、毒素又は抗毒素を含むこともできる。
【0079】
また、本明細書で使用する場合、「免疫原性のタンパク質又はペプチド」という用語は、宿主に投与すると、タンパク質に向けて、液性及び/又は細胞性の免疫応答を惹起することができるという意味において、免疫学的に活性であるペプチド及びポリペプチドも含む。好ましくは、タンパク質断片は、全タンパク質と本質的に同一の免疫学的な活性を有するようになされる。したがって、本発明によるタンパク質断片は、少なくとも1つのエピトープ又は抗原決定基を含む、或いは少なくとも1つのエピトープ又は抗原決定基から本質的になる、或いは少なくとも1つのエピトープ又は抗原決定基からなる。エピトープという用語は、液性(B細胞)及び/又は細胞性(T細胞)の免疫反応を誘導することができるタンパク質の部位を指す。
【0080】
「免疫原性のタンパク質又はペプチド」という用語は、ポリペプチドが、本明細書で定義する免疫学的応答を生じるように機能する限り、配列に対する欠失、付加及び置換もさらに意図する。この点に関しては、特に好ましい置換は、一般に、保存的な性質のものである、すなわち、所与のアミノ酸のファミリーの中で生じる置換である。例えば、アミノ酸は、一般に、4つのファミリー:(1)酸性―アスパラギン酸及びグルタミン酸;(2)塩基性―リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性―アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;並びに(4)無電荷、極性―グリシン、アスパラギン、グルタミン、シスチン、セリン、スレオニン、チロシンに分類される。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、時には、芳香族アミノ酸として分類される。ロイシンのイソロイシン若しくはバリンによる、又はその逆;アスパラギン酸のグルタミン酸による、又はその逆;スレオニンのセリンによる、又はその逆の単一置換、或いはアミノ酸の構造的に関連のあるアミノ酸による同様の保存的置換は、生物学的な活性に対して際立った効果を及ぼさないと合理的に予測できる。したがって、参照分子としては本質的に同一のアミノ酸配列を有するが、タンパク質の免疫原性に本質的に影響することはない軽微なアミノ酸置換を有するタンパク質は、参照ポリペプチドの定義の範囲内に入る。
【0081】
「エピトープ」という用語は、特異的なB細胞及び/又はT細胞が応答する抗原又はハプテンの上の部位を指す。また、この用語は、「抗原決定基」又は「抗原決定部位」と交換可能に使用される。同一のエピトープを認識する抗体を、1つの抗体の、別の抗体が標的抗原に結合するのを遮断する能力を示す簡単なイムノアッセイ中で同定することができる。
【0082】
組成物又はワクチンに対する「免疫学的応答」は、宿主において、対象の組成物又はワクチンに対して、細胞性の免疫応答及び/又は抗体が媒介する免疫応答が生じることである。通常、「免疫学的応答」は、これらに限定されないが、以下の作用のうちの1つ又は複数を含む:対象の組成物又はワクチンの中に含まれる抗原又は複数の抗原に特異的に向けられた、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞及び/又は細胞障害性T細胞の産生。好ましくは、宿主は、治療的又は防御的のいずれかの免疫学的応答を示し、それによって、新しい感染に対する抵抗性が増強され、且つ/又は疾患の臨床的な重症度が低減するであろう。そのような防御は、感染した宿主が通常示す症状の低減若しくは消散のいずれか、回復時間の短縮、及び/又は感染した宿主中のウイルス力価の減少によって実証されるであろう。
【0083】
また、本明細書で使用する場合、「免疫原性の」タンパク質又はポリペプチドという用語は、上記に記載した免疫学的応答を惹起するアミノ酸配列も指す。本明細書で使用する場合、「免疫原性の」タンパク質又はポリペプチドは、完全長配列のタンパク質、そのアナログ、又はその免疫原性断片を含む。「免疫原性断片」とは、1つ又は複数のエピトープを含み、したがって、上記に記載した免疫学的応答を惹起するタンパク質の断片を意味する。そのような断片は、当技術分野でよく知られている、エピトープのマッピングの多くの技法を使用して同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996) Humana Press, Totowa, N.J.を参照されたい。例えば、直鎖状のエピトープは、例えば、タンパク質分子の部分に対応する、多数のペプチドを、固体の支持体上で同時に合成し、ペプチドが支持体に結合しているままの状態で、それらのペプチドを抗体と反応させることによって決定することができる。そのような技法は、当技術分野では知られており、例えば、米国特許第4708871号明細書;Geysen et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002;Geysen et al. (1986) Malec. Immunol. 23:709-715に記載されている。それらはいずれも、全内容が参照によって本明細書に組み入れられている。同様に、立体構造的なエピトープも、例えば、X線結晶解析及び二次元核磁気共鳴によって等、アミノ酸の空間的な立体構造を決定することによって、容易に同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols、上記を参照されたい。
【0084】
また、合成抗原も、本定義の範囲内に含まれ、例えば、ポリエピトープ、隣接エピトープ及びその他の組換え抗原が挙げられる。例えば、Bergmann et al. (1993) Eur. J. Immunol. 23:2777-2781;Bergmann et al. (1996) J. Immunol. 157:3242-3249;Suhrbier, A. (1997) Immunol. and Cell Biol. 75:402-408;Gardner et al. (1998) 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, Jun. 28-Jul. 3, 1998を参照されたい。免疫原性の断片は、本発明の目的では、通常、少なくとも約3個のアミノ酸、好ましくは、少なくとも約5個のアミノ酸、より好ましくは、少なくとも約10〜15個のアミノ酸、最も好ましくは、25個以上のアミノ酸の分子を含む。断片の長さについては、決定的に重要な意味をもつ上限はなく、断片は、ほとんど完全長のタンパク質配列、又はタンパク質の少なくとも1つのエピトープを含む融合タンパク質でさえ含むことができるであろう。
【0085】
したがって、エピトープを発現させるポリヌクレオチドの最小限の構造は、対象のタンパク質又はポリタンパク質のエピトープ又は抗原決定基をコードするヌクレオチドを含む、或いは対象のタンパク質又はポリタンパク質のエピトープ又は抗原決定基をコードするヌクレオチドから本質的になる、或いは対象のタンパク質又はポリタンパク質のエピトープ又は抗原決定基をコードするヌクレオチドからなる。全タンパク質又はポリタンパク質の断片をコードするポリヌクレオチドは、より有利には、全タンパク質又はポリタンパク質をコードする配列のうちの最低21個のヌクレオチド、有利には、少なくとも42個のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも57個、87個若しくは150個の連続した若しくは隣接するヌクレオチドを含む、或いは全タンパク質又はポリタンパク質をコードする配列のうちの最低21個のヌクレオチド、有利には、少なくとも42個のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも57個、87個若しくは150個の連続した若しくは隣接するヌクレオチドから本質的になる、或いはタンパク質又はポリタンパク質をコードする配列のうちの最低21個のヌクレオチド、有利には、少なくとも42個のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも57個、87個若しくは150個の連続した若しくは隣接するヌクレオチドからなる。本発明の実施にあたっては、過度の実験をせずとも、いずれも全内容が参照によって本明細書に組み入れられている、重複ペプチドライブラリーの産生(Hemmer B. et al., Immunology Today, 1998, 19(4), 163-168)、Pepscan(Geysen. et al., (1984) Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 81, 3998-4002;Geysen. et al., (1985) Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 82, 178-182;Van der Zee R. et al., (1989) Eur. J. Immunol., 19, 43-47;Geysen H. M., (1990) Southeast Asian J. Trop. Med. Public Health, 21, 523-533;Multipin RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)、及びアルゴリズム(De Groot A. et al., (1999) Nature Biotechnology, 17, 533-561)、並びにPCT出願第PCT/US2004/022605号パンフレット等、エピトープを決定する手順を使用することができる。本明細書に引用されている又は組み入れられているその他の文書もまた、免疫原又は抗原のエピトープ、及びしたがって、そのようなエピトープをコードする核酸分子を決定するのに用いる方法のために参考にすることができる。
【0086】
一実施形態では、ポリペプチドの断片は、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列から選択される。これらはそれぞれ、配列番号31、33、35、37、39、53、55及び57のヌクレオチド配列がコードする。配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の、ポリペプチドの断片はそれぞれ、Se50、Se1459、Se595、Se528、Se358、Se1631、Se1681及びSlaの部分である。
【0087】
本発明によるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのアナログ又はその断片は、プロモーター、リボゾーム結合領域及びターミネーター等の調節エレメント、並びに開始コドン及び停止コドンに連結させて、ベクター中に挿入する。
【0088】
ポリペプチド、そのアナログ及びその断片は、宿主細胞中で、インビトロで産生することができる。インビトロ発現ベクターは、タンパク質を適切な細胞系中でインビトロで発現させるために使用する発現ベクターである。これは、原核生物の宿主細胞、すなわち、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)(Mahona F et al., Biochimie 1994, 46(1): 9-14;Watt M A et al., Cell Stress Chaperones 1997, 2(3): 180-90;Frey J Res. Microbiol. 1992, 143(3): 263-9)、又は乳酸桿菌(Seegers J F, Trends Biotechnol. 2002, 20(12): 508-515;Pouwels P H et al., Methods Enzymol. 2001, 336: 369-389)、或いは真核生物の宿主細胞、すなわち、酵母(Gerngross T U, Nat Biotechnol. 2004, 22(11): 1409-1414;Malissard M et al., Glycoconj J. 1999, 16(2): 125-139)、昆虫細胞(Oker-Blom C et al., Brief Funet Genomic Proteomic. 2003, 2(3), 244-253)、哺乳動物細胞又は鳥類細胞の中で産生することができる。
【0089】
エシェリキア・コリの場合、異なる菌株、とりわけ、BL21(DE3)株(Novagen社製又はInvitrogen社製;Hedayati M A et al., Protein Expr Purif, 2005, 43(2): 133-139を参照)、Origami2(DE3)株(Novagen社製又はInvitrogen社製)、Y1089(Galan J E et al., Infect Immun, 1987, 55(12): 3181-3187)を使用することができる。ベクターは、有利には、プラスミド、すなわち、pGEXプラスミド(GE Healthcare社製)、pETプラスミド(Novagen社製又はInvitrogen社製)(Jiang X Y et al., J Biochem Mol Biol. 2006, 39(1): 22-25;Hedayati M A et al., Protein Expr Purif, 2005, 43(2): 133-139;Jedrzejas M J et al., Protein Expr Purif, 1998, 13(1): 83-89)である。また、ベクターは、ウイルス、とりわけ、バクテリオファージ、すなわち、lambda-gt11ファージ(Galan J E et al., Infect Immun, 1987, 55(12): 3181-3187)であってもよい。別のアプローチとして、連鎖球菌のタンパク質とエシェリキア・コリのタンパク質、とりわけ、リポタンパク質との間のキメラのタンパク質(Cullen P A et al., Plasmid, 2003, 49(1): 18-29)、又はGSTとのキメラのタンパク質(Zhao G et al., Protein Expr Purif, 1999, 16(2): 331-339)を産生するための融合遺伝子の使用がある。連鎖球菌の挿入断片は、プロモーター、すなわち、バクテリオファージT7プロモーター(Yamamoto M et al., FEMS Microbiol Lett, 1995, 132(3): 209-213)、単一ペプチド配列、すなわち、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorgeri)の外表面プロテインAシグナルペプチド(De B K et al., Vaccine, 2000, 18(17): 1811-1821)、エシェリキア・コリの主要外膜リポタンパク質シグナル配列(Cullen P A et al., Plasrnid, 2003, 49(1): 18-29)に連結することができる。
【0090】
乳酸桿菌の場合、異なる菌株、とりわけ、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)を使用することができる(Seegers J F, Trends Biotechnol., 2002, 20(12): 508-515)。サカシンPの産生に関与するプロモーター及び調節遺伝子は、乳酸桿菌中での誘導性の、高レベルの遺伝子発現を確立するのに適している(Mathiesen G et al., Lett Appl Microbiol., 2004, 39(2): 137-143)。又は、ラクトースオペロンプロモーターもそうである(Oliveira M L et al., FEMS Microbiol Lett., 2003, 227(1): 25-31)。別のアプローチとして、乳酸桿菌のタンパク質と連鎖球菌のタンパク質との間のキメラのタンパク質を産生するための融合遺伝子の使用がある(Hung J et al., FEMS Microbial Lett., 2002, 211(1): 71-75)。
【0091】
昆虫細胞中でのインビトロ発現のためには、ベクターは、有利には、ウイルス、すなわち、バキュロウイルス(例えば、米国特許第4745051号明細書;Vialard J. et al., J. Virol., 1990 64(1), 37-50;Verne A., Virology, 1988, 167, 56-71;Oker-Blom C et al., Brief Funct Genomic Proteomic. 2003, 2(3), 244-253を参照)、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角病ウイルスAcNPV(Autographa californica Nuclear Polyhedrosis Virus)であり、昆虫細胞は、Sf9スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞(ATCC CRL 1711;また、米国特許第6228846号明細書、米国特許第6103526号明細書も参照)である。タンパク質の産生は、哺乳細胞へのプラスミドによる形質移入によって、哺乳動物細胞又は鳥類細胞の上でのウイルスベクターの増殖性の複製を伴わない複製又は発現によって起こすことができる。使用することができる哺乳動物細胞は、有利には、ハムスター細胞(例えば、CHO若しくはBHK−21)、又はサル細胞(例えば、COS若しくはVERO)、又はウシ細胞(例えば、MDBK)、すなわち、MDBK細胞中(Ibrahim el S M et al., Microbiol. Immunol., 2004, 48(11): 831-842)若しくはベロ細胞中(US-A-4,110,433)のEHV−1ベクターの培養物、又はBHK細胞中のVEEVレプリコンの培養物(Lee J S et al., Infect. Immun., 2001, 69(9): 5709-5715)である。
【0092】
宿主細胞をインビトロで培養するための条件は、特定の遺伝子によって変化すること、及び宿主細胞によっては、タンパク質を培養するための最適条件を決定するために、日常的な実験が時には必要であることを、当業者には理解されたい。「宿主細胞」は、遺伝子が改変されている、又は組換えプラスミド若しくは組換えベクター等の外因性のポリヌクレオチドの投与によって遺伝子を改変することができる原核細胞又は真核細胞を意味する。遺伝子を改変した細胞に言及する場合、この用語は、元々の改変された細胞及びその子孫の両方を指す。
【0093】
インビトロ発現ベクターは、複製及び増幅に適した宿主細胞中に導入することができる。対象のポリヌクレオチドを含有するベクターを、直接的な取込み、エンドサイトーシス、形質移入、f−接合、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン又はその他の物質を利用する形質移入;微粒子銃;リポフェクシン;及び感染(ベクターが感染性の場合、例えば、レトロウイルスベクター)をはじめとする、多くの適切な手段のうちのいずれかによって、宿主細胞中に導入することができる。導入するベクター又はポリヌクレオチドの選択は、しばしば、宿主細胞の特色によって決まる。
【0094】
発現したタンパク質は、分泌後の又は分泌後でない培養上清中で又はそこから(分泌が生じない場合には、典型的には、細胞溶解が生じるか、細胞溶解を行う)収集し、場合により、限外ろ過等の濃縮方法によって濃縮すること、及び/又はアフィニティー、イオン交換若しくはゲルろ過性のクロマトグラフィーの方法、とりわけ、アフィニティークロマトグラフィー、すなわち、Ni NTA Superflow(Qiagen社製)若しくはNi Sepharose fastflow(Amersham社製)、又はゲルろ過、すなわち、Sephacryl(登録商標)若しくはSuperdex(登録商標)(Amersham GE Healthcare社製)を使用する等の精製手段によって精製することができる。
【0095】
また、ポリペプチド及びその断片は、連鎖球菌、とりわけ、ストレプトコッカス・エクイの粗培養物からの、抽出、とりわけ、酸による抽出又はムタノリシンによる抽出(Boschwitz J S et al., Cornell Vet., 1991, 81(1): 25-36)、及び精製、とりわけ、免疫沈降(Erickson E D et al., Can J Comp Med., 1975, 39(2): 110-115)によって得ることもできる。
【0096】
また、ポリペプチド及びその断片は、化学的に合成することもできる(Luo Y et al., Vaccine 1999, 17(7-8): 821-31)。
【0097】
「サブユニットワクチン組成物」とは、少なくとも1つの免疫原性ポリペプチド、又は対象の病原体からの抗原に由来する、若しくは相同する、全部とは限らないが、少なくとも1つの抗原を発現することができるポリヌクレオチドを含有する組成物を意味する。そのような組成物は、無処置の病原体の細胞若しくは粒子も、そのような細胞又は粒子の溶菌液も本質的に含まない。したがって、「サブユニットワクチン組成物」は、少なくとも部分的に精製された(好ましくは、本質的に精製された)、病原体からの免疫原性ポリペプチド又はその組換えアナログから調製する。サブユニットワクチン組成物は、対象のサブユニット抗原又は複数のサブユニット抗原を含むことができ、これは、病原体からのその他の抗原及びポリペプチドを本質的に含まない。
【0098】
本発明の目的は、サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンであり、これは、本発明による、少なくとも1つのポリペプチド、そのアナログ又はその断片と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は媒体と、場合により、アジュバント及び/又は安定化剤とを含む。
【0099】
サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物は、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52の配列からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチ、若しくはそのアナログ、又はその断片ドを含むことができる。サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物は、有利には、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52の配列からなる群から選択された2つ若しくは3つ若しくは4つ若しくは5つのポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片を含むことができる。
【0100】
サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物は、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチド、又はそのアナログを含むことができる。
【0101】
サブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチン組成物は、有利には、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列からなる群から選択された2つ若しくは3つ若しくは4つ若しくは5つのポリペプチド、又はそのアナログを含むことができる。
【0102】
本発明の別の目的は、組換え免疫原性組成物又は組換えワクチンであり、これは、少なくとも1つの組換えインビボ発現ベクターと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は媒体と、場合により、アジュバント及び/又は安定化剤とを含む。組換えインビボ発現ベクターは、ポリヌクレオチド又はその断片を含むベクターであり、このポリヌクレオチド又はその断片は、ベクター中に挿入されており、このベクターは、このポリヌクレオチド又はその断片がコードするポリペプチドを、標的哺乳動物中でインビボで発現することができる。DNA免疫原性組成物及びDNAワクチンの場合は、ベクターは、ポリヌクレオチドベクターでもよく、プラスミドでもよい(EP-A2-1001025;Chaudhuri P Res. Vet. Sci. 2001, 70(3), 255-6)。或いは、組換えウイルスベクター免疫原性組成物及び組換えウイルスベクターワクチンの場合は、ベクターは、ウイルスでもよい(例えば、ヘルペスウイルス、例として、ウマヘルペスウイルス1型(Trapp S et al., J. Virol. 2005, 79(9): 5445-5454)、ウマヘルペスウイルス2型、ウマヘルペスウイルス4型;ポックスウイルス、例として、ワクシニアウイルス、又は鶏痘(US-A-5,174,993;US-A-5,505,941及びUS-A-5,766,599)若しくはカナリアポックス(US-A-5,756,103)のようなトリポックスウイルス;アデノウイルス、例として、ヒトアデノウイルス(Chroboczek J et al., Virol. 1992, 186: 280-285);脳炎ウイルス、例として、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Pushko P et al. Virol. 1997, 239: 389-401;Davis N L et al. J. Virol. 2000, 74: 371-378))。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチド又はその断片を、組換えインビボ発現細菌ベクター、とりわけ、サルモネラ属中に挿入して、生の細菌性の組換え免疫原性組成物又は組換えワクチンを産生することができる。
【0103】
プラスミドという用語は、いずれかのDNA転写単位を対象とし、これは、本発明によるポリヌクレオチドと、所望の宿主又は標的の細胞又は複数の細胞中でのインビボでの発現に必要なエレメントとを含む。この点に関しては、スーパーコイル又は非スーパーコイルの環状プラスミド、及び直鎖状の形態が、本発明の範囲内に入ることを意図することを留意されたい。特異的で、非限定的な例では、pVR1020又は1012のプラスミド(VICAL Inc.社製;Luke C. et al., Journal of Infectious Diseases, 1997, 175, 91-97;Hartikka J. et al., Human Gene Therapy, 1996, 7, 1205-1217)を、ポリヌクレオチド配列の挿入のためのベクターとして利用することができる。pVR1020プラスミドは、pVR1020に由来し、ヒトtPAシグナル配列を含有する。各プラスミドは、ポリヌクレオチド若しくはそのアナログ又はその断片を含み、或いはポリヌクレオチド若しくはそのアナログ又はその断片を含有し、或いはポリヌクレオチド若しくはそのアナログ又はその断片から本質的になり、このポリヌクレオチド若しくはそのアナログ又はその断片は、プロモーターに動作可能に連結しているか、プロモーターの制御下にあるか、プロモーターに依存性である。一般に、真核細胞において機能する強力なプロモーターを利用すると有利である。好ましい強力なプロモーターは、ヒト若しくはマウスを起源とする、又は場合により、ラット若しくはモルモット等の別の起源を有するサイトメガロウイルスの最初期(CMV−IE,immediate early cytomegalovirus)プロモーターである。CMV−IEプロモーターは、実際のプロモーター部分を含むことができ、このプロモーター部分は、エンハンサー部分と、結合していてもよいし、結合していなくてもよい。EP-A-260 148、EP-A-323 597、米国特許第5168062号明細書、米国特許第5385839号明細書、及び米国特許第4968615号明細書、並びにPCT出願第WO−A−87/03905号パンフレットを参照することができる。CMV−IEプロモーターは、有利には、ヒトCMV−IE(Boshart M. et al., Cell, 1985, 41, 521-530)、又はマウスCMV−IEである。より一般的な条件では、プロモーターは、ウイルス又は細胞のいずれかの起源を有する。本発明の実施にあたって有用に利用することができる、CMV−IE以外の強力なウイルス性のプロモーターは、SV40の初期/後期のプロモーター、又はラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実施にあたって有用に利用することができる、強力な細胞性のプロモーターは、例えば、デスミンプロモーター(Kwissa M. et at., Vaccine, 2000, 18, 2337-2344)、又はアクチンプロモーター(Miyazaki J. et al., Gene, 1989, 79, 269-277)等の細胞骨格の遺伝子のプロモーターである。これらのプロモーターの機能性のサブ断片、すなわち、適切な促進活性を維持する、これらのプロモーターの部分は、本発明の範囲内に含まれ、例えば、PCT出願第WO−A−98/00166パンフレット又は米国特許第6156567号明細書による切断したCMV−IEプロモーターを、本発明の実施にあたって使用することができる。ひいては、本発明を実施する場合のプロモーターは、適切な促進活性、好ましくは、誘導体又はサブ断片が由来する実際の又は完全長のプロモーターの活性に本質的に類似する促進活性を維持する完全長のプロモーターの誘導体及びサブ断片を含み、したがって、プロモーターとして機能する。例えば、米国特許第6156567号明細書の切断したCMV−IEプロモーターの活性は、完全長のCMV−IEプロモーターと同種である。したがって、本発明を実施する場合のCMV−IEプロモーターは、完全長のプロモーターのプロモーター部分及び/又は完全長のプロモーターのエンハンサー部分、並びに誘導体及びサブ断片を含む、或いは完全長のプロモーターのプロモーター部分及び/又は完全長のプロモーターのエンハンサー部分、並びに誘導体及びサブ断片から本質的になる、或いは完全長のプロモーターのプロモーター部分及び/又は完全長のプロモーターのエンハンサー部分、並びに誘導体及びサブ断片からなることができる。有利には、プラスミドは、その他の発現制御エレメントを含む、又は本質的にその他の発現制御エレメントからなる。安定化配列、例えば、イントロン配列(複数のイントロン配列)、好ましくは、hCMV−IEの第1イントロン(PCT出願第WO−A−89101036号パンフレット)、ウサギβグロブリン遺伝子のイントロンII(van Ooyen et al., Science, 1979, 206, 337-344)を組み入れると特に有利である。プラスミド及びポックスウイルス以外のウイルスベクターのためのポリアデニル化シグナル(ポリA)に関しては、ウシ成長ホルモン(bGH,bovine growth hormone)遺伝子のポリAシグナル(米国特許第5122458号明細書を参照)、又はウサギβグロブリン遺伝子のポリAシグナル、又はSV40ウイルスのポリAシグナルを、より使用することができる。
【0104】
ウマヘルペスウイルスに基づいた組換えベクターの場合、特に、弱毒化菌株(すなわち、EHV−1 KyA株(Zhang Y et al., Virology, 2000, 268(2): 482-492))、或いは病原性に関与する遺伝子の変異若しくは欠失によって(Kirisawa R et al., Vet. Microbiol., 2003, 95(3): 159-174)、又は連続継代培養によって(US-A-4,110,433)弱毒化したものを使用することができる。EHV−1の場合、ORF62とORF63との間の遺伝子間領域に、挿入を設けてもよいし(Ibrahim el S M et al., Microbiol. Immunol., 2004, 48(11): 831-842;Csellner H et al., Arch. Virol., 1998, 143(11): 2215-2231)、遺伝子、すなわち、チミジンキナーゼ(TK,thymidine kinase)遺伝子、遺伝子1若しくは71(Kirisawa R et al., Vet. Microbiol., 2003, 95(3): 159-174)、糖タンパク質I遺伝子及び糖タンパク質E遺伝子(Matsumura T. et al., Virology, 1998, 242(1): 68-79)、IR6タンパク質遺伝子(Osterrieder N et al., Virology, 1996, 217(2): 442-451)、遺伝子15(EP-B1-0,668,355)の中の部分的又は完全な欠失の後に、最終的に、遺伝子内に挿入を設けてもよい。EHV−4の場合、糖タンパク質I遺伝子及び糖タンパク質E遺伝子(Damiani A M et al., Virus Res., 2000, 67(2): 189-202)、US2又はTK又は糖タンパク質Eの遺伝子(US-A-5,741,696;US-A-5,731,188)中に、遺伝子の部分的又は完全な欠失の後に、最終的に、挿入を設けることができる。一実施形態では、発現させるポリヌクレオチドを、真核細胞において機能するプロモーター、有利には、CMV−IEプロモーター(ヒト又はマウス)の制御下に挿入する。ポリA配列及びターミネーター配列、例えば、ウシ成長ホルモン又はウサギβグロブリンの遺伝子のポリアデニル化シグナルを、発現させるポリヌクレオチドの下流に挿入することができる。
【0105】
ポックスウイルスに基づいた組換えベクターの場合、ワクシニアウイルス又は弱毒化ワクシニアウイルス(例えば、Ankaraワクチン株をトリ胚の線維芽細胞上で570回超継代後に得た修飾Ankara株であるMVA(modified Ankara strain);Stickl & Hochstein-Mintzel, Munch. Med. Wschr., 1971, 113, 1149-1153;Sutter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1992, 89, 10847-10851を参照;ATCC VR−1508として入手可能;又はNYVAC、米国特許第5494807号明細書を参照、例えば、米国特許第5494807号明細書の実施例1〜6及びそれ以降には、NYVACの構築、及びコペンハーゲン株ワクシニアウイルスゲノムから追加のORFを欠失したNYVACの変異体、及び異種性のコード核酸分子の、この組換え体の部位中への挿入、及び適合したプロモーターの使用も議論されている;国際公開第WO−A−96/40241号パンフレットもまた参照)、トリポックスウイルス又は弱毒化トリポックスウイルス(例えば、カナリアポックス、鶏痘ポックス、ハトポックス(dovepox)、ハトポックス(pigeonpox)、ウズラポックス、ALVAC又はTROVAC;例えば、米国特許第5505941号明細書、米国特許第5494807号明細書を参照)を使用することができる。弱毒化カナリアポックスウイルスは、米国特許第5756103号明細書(ALVAC)、及び国際公開第WO−A−01/05934号パンフレットに記載されている。また、弱毒化鶏痘株であるTROVACに関連する米国特許第5766599号明細書も参照されたい。ATCCから、アクセッション番号VR−111の下で入手可能なカナリアポックスを参照されたい。また、多数の鶏痘ウイルスワクチン接種株、例えば、MERIAL社が販売しているDIFTOSEC CT株、及びINTERVET社が販売しているNOBILIS VARIOLEワクチンも入手可能である。それらの組換え体を産生する方法及びそれらの組換え体の投与方法に関する情報については、当業者であれば、本明細書に引用する文書、及び国際公開第WO−A−90/12882号パンフレットを参照することができる。例えば、ワクシニアについては、とりわけ、米国特許第4769330号明細書、米国特許第4722848号明細書、米国特許第4603112号明細書、米国特許第5110587号明細書、米国特許第5494807号明細書及び米国特許第5762938号明細書で言及されている。鶏痘については、とりわけ、米国特許第5174993号明細書、米国特許第5505941号明細書及び米国特許第5,766,599号明細書で言及されている。カナリアポックスについては、とりわけ、米国特許第5756103号明細書で言及されている。発現ベクターがワクシニアウイルスである場合には、発現させるポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチドのための、1つ又は複数の挿入部位は、有利には、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子挿入部位、赤血球凝集素(HA,hemagglutinin)遺伝子挿入部位であり、その領域は、A型の封入体(ATI,inclusion body of the A type)をコードする。また、本明細書に引用する文書、特に、ワクシニアウイルスに関連する文書も参照されたい。カナリアポックスの場合、有利には、挿入の部位又は複数の部位は、C3、C5及び/又はC6のORF(複数のORF)である。また、本明細書に引用する文書、特に、カナリアポックスウイルスに関連する文書も参照されたい。鶏痘の場合、有利には、挿入の部位又は複数の部位は、F7及び/又はF8のORFである。また、本明細書に引用する文書、特に、鶏痘ウイルスに関連する文書も参照されたい。MVAウイルスの場合の挿入の部位又は複数の部位は、有利には、Carroll M. W. et al., Vaccine, 1997, 15(4), 387-394;Stittelaar K. J. et al., J. Virol., 2000, 74(9), 4236-4243;Sutter G. et al., 1994, Vaccine, 12 (11), 1032-1040をはじめとする、種々の刊行物中に示されている。この点に関しては、また、MVAの完全なゲノムが、Antoine G., Virology, 1998, 244, 365-396に記載されていることにも留意されたい。このおかげで、当業者であれば、その他の挿入部位又はその他のプロモーターを使用することができる。有利には、発現させるポリヌクレオチドは、特異的なポックスウイルスのプロモーター、例えば、とりわけ、ワクシニアプロモーター7.5kDa(Cochran et al., J. Virology, 1985, 54, 30-35)、ワクシニアプロモーターI3L(Riviere et al., J. Virology, 1992, 66, 3424-3434)、ワクシニアプロモーターHA(Shida, Virology, 1986, 150, 451-457)、牛痘プロモーターATI(Funahashi et al., J. Gen. Virol., 1988, 69, 35-47)、ワクシニアプロモーターH6(Taylor J. et al., Vaccine, 1988, 6, 504-508;Guo P. et al. J. Virol., 1989, 63, 4189-4198;Perkus M. et al., J. Virol., 1989, 63, 3829-3836)の制御下に挿入する。
【0106】
アデノウイルスベクターに基づいた組換えベクターの場合、ヒトアデノウイルス(HAV)、有利には、ヒトアデノウイルス血清型5(Ad5,adenovirus serotype 5)ベクター、E1が欠失した及び/又は破壊されたアデノウイルス、E3が欠失した及び/又は破壊されたアデノウイルス、或いはE1及びE3が欠失した及び/又は破壊されたアデノウイルスを使用することができる。場合により、上記のアデノウイルスのうちのいずれかから、E4を、欠失させる且つ/又は破壊することができる。例えば、Yarosh et al.及びLutze-Wallace et al.に記載されているヒトAd5ベクターを使用することができる(例えば、Yarosh et al., Vaccine. 1996 Sep;14(13):1257-64及びLutze-Wallace et al., Biologicals. 1995 Dec;23(4):271.7を参照)。一実施形態では、ウイルスベクターは、ウイルスゲノムのE1領域中の欠失によって複製できないようにしたヒトアデノウイルス、特に、血清型5アデノウイルスである。欠失型アデノウイルスを、E1を発現する293細胞又はPER細胞、特に、PER.C6(F. Falloux et al Human Gene Therapy 1998, 9, 1909-1917)中で増殖させる。ヒトアデノウイルスは、E1領域中の欠失と組み合わせて、最終的に、E3領域中に欠失を生じさせることができる(例えば、J. Shriver et at. Nature, 2002, 415, 331-335、F. Graham et al Methods in Molecular Biology Vol. 7: Gene Transfer and Expression Protocols Edited by E. Murray, The Human Press Inc, 1991, p 109-128;Y. Ilan et al Proc. Natl. Acad. Sci. 1997, 94, 2587-2592;S. Tripathy et al Proc. Natl. Acad. Sci. 1994, 91, 11557-11561;B. Tapnell Adv. Drug Deliv. Rev.1993, 12, 185-199;X. Danthinne et al Gene Thrapy 2000, 7, 1707-1714;K. Berkner Bio Techniques 1988, 6, 616-629;K. Berkner et al Nucl. Acid Res. 1983, 11, 6003-6020;C. Chavier et al J. Virol. 1996, 70, 4805-4810を参照)。E1領域及び/又はE3領域の部分的又は完全な欠失の後に、最終的に、挿入部位は、E1遺伝子座位及び/又はE3遺伝子座位であることができる。有利には、発現ベクターが、アデノウイルスである場合、発現させるポリヌクレオチドは、真核細胞において機能するプロモーター、例として、強力なプロモーター、好ましくは、サイトメガロウイルスの最初期遺伝子プロモーター(CMV−IE,cytomegalovirus immediate-early)の制御下に挿入する。CMV−IEプロモーターは、有利には、マウス又はヒトを起源とする。また、伸長因子1αのプロモーターも使用することができる。また、筋肉に特異的なプロモーターも使用することができる(X. Li et al Nat. Biotechnol. 1999, 17, 241-245)。また、プラスミドベクターに関する強力なプロモーターも、本明細書で議論する。ポリA配列及びターミネーター配列、例えば、ウシ成長ホルモン遺伝子又はウサギβグロブリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを、発現させるポリヌクレオチドの下流に挿入することができる。
【0107】
脳炎ウイルスに基づいた組換えベクターの場合、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV,venezuelean equine encephalitis virus)(Nelson E L et al., Breast Cancer Res. Treat., 2003, 82(3): 169-183)を、特に、レプリコンとして、すなわち、VEEVの非構造遺伝子の全部及びVEEVの構造遺伝子の代わりにマルチクローニングサイトを含有する自己複製性のRNAとして使用することができる(Lee J S et al., Infect. Immun., 2003, 71(3): 1491-1496;Velders M P et al., Cancer Res., 2001, 61(21): 7861-7867)。発現させるポリヌクレオチドを、このマルチクローニングサイトに挿入する。このマルチクローニングサイトは、場合により、分泌配列又は組織プラスミノーゲン活性化因子分泌配列をコードするヌクレオチド配列に連結している。また、発現させるポリヌクレオチドは、ウイルスVEEV構造遺伝子に代わるサブゲノム26Sプロモーターの下流に挿入することもできる(Lee J S et al., Infect. Immun., 2001, 69(9): 5709-5715;Pushko P et al., Vaccine, 2000, 19(1): 142-153)。
【0108】
細菌、すなわち、サルモネラ属に基づいた組換えベクターの場合、とりわけ、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)(Yang X L et al., Biomed. Environ. Sci., 2005, 18(6): 411-418;Dunstan S Jet al., FEMS Immunol. Med. Microbiol., 2003, 37(2-3): 111-119)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)(Santiago-Machuca A E et al., Plasmid., 2002, 47(2): 108-119)を使用することができる。発現させるポリヌクレオチドを、サルモネラのフラジェリン遺伝子内(Chauhan N et al., Mol Cell Biochem., 2005, 276(1-2): 1-6)、又はaroC遺伝子内(Santiago-Machuca A E et al., Plasmid., 2002, 47(2): 108-119)に挿入することができる。また、発現させるポリヌクレオチドを、嫌気的に誘導性のnirBプロモーターの制御下に挿入することもできる(Santiago-Machuca A E et al., Plasmid., 2002, 47(2): 108-119)。
【0109】
組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物は、少なくとも1つの組換え発現ベクターを含有することができ、この組換え発現ベクターは、少なくもと1つのポリヌクレオチドを含有し、このポリヌクレオチドは、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52の配列、若しくはそのアナログ又はその断片からなる群から選択されたポリペプチドをコードする。組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物は、少なくとも1つの組換え発現ベクターを含有することができ、この組換え発現ベクターは、少なくもと1つのポリヌクレオチドを含有し、このポリヌクレオチドは、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列、又はそのアナログからなる群から選択されたポリペプチドをコードする。組換え免疫原性組成物又は組換えワクチン組成物は、有利には、少なくとも1つの組換え発現ベクターを含有することができ、この組換え発現ベクターは、少なくもと1つのポリヌクレオチドを含有し、このポリヌクレオチドは、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列、又はそのアナログからなる群から選択された、2つ若しくは3つ若しくは4つ若しくは5つのポリペプチドをコードする。
【0110】
本発明のベクターは、少なくとも1つの異種性のヌクレオチドをさらに含むことができる。これは、インビボ又はインビトロのいずれかで、異種性のポリヌクレオチドを再生又は複製するため、及び/或いは異種性のポリヌクレオチドを発現させるために有用である。また、そのようなベクターは、多価の免疫原性組成物又はワクチン組成物、とりわけ、多価のDNA免疫組成物又はDNAワクチン、及び多価の組換えウイルスベクター免疫原性組成物又は組換えウイルスベクターワクチンを調製するためにも有用である。異種性の核酸配列は、有利には、病原性のあるウイルス性、寄生生物性又は細菌性因子由来の免疫原、抗原又はエピトープをコードする。そのような細菌生物は、連鎖球菌とは、本発明によるポリペプチドをコードするポリヌクリオチドの起源において異なる。この異種性の配列は、西部ウマ脳炎ウイルス(WEEV,western equine encephalitis)、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV,eastern equine encephalitis)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、ウマインフルエンザウイルス、ウマヘルペスウイルス1型(EHV−1,equine herpesvirus type 1)、ウマヘルペスウイルス2型(EHV−2,equine herpesvirus type 2)、ウマヘルペスウイルス4型(EHV−4,equine herpesvirus type 4)、ウマ関節炎ウイルス(EAV,equine arthritis virus)、ウエストナイルウイルス(WNV,West Nile virus)、破傷風、ロドコッカス由来の免疫原、抗原又はエピトープをコードすることができる。特定の実施形態では、異種性の配列は、ウマインフルエンザウイルスから、並びにEHV−1及び/又はEHV−4由来の免疫原、抗原又はエピトープをコードすることができる。免疫原又は抗原は、病原体又は病原体が分泌する抗原に対して免疫応答を誘導することができるタンパク質又はポリペプチドであり、1つ又は複数のエピトープを含有する。エピトープは、病原体又は病原体が分泌する抗原に対して免疫応答を誘導することができるペプチド又はポリペプチドである。
【0111】
場合により、本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンは、その他の病原性のある微生物又はウイルスから選択された、1つ又は複数の免疫原、抗原又はエピトープと組み合わせて、多価のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンを形成することができる。ウマ科動物では、そのような多価のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンは、少なくとも1つの本発明によるポリペプチドと、WEEV、EEEV、VEEV、ウマインフルエンザウイルス、EHV−1、EHV−4、EAV、WNV、破傷風、ロドコッカスからの、少なくとも1つの免疫原、抗原又はエピトープとを含むことができる。特定の実施形態では、そのような多価のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンは、少なくとも1つの本発明によるポリペプチドと、ウマインフルエンザウイルスから、並びにEHV−1及び/又はEHV−4からの、少なくとも1つの免疫原、抗原又はエピトープとを含むことができる。
【0112】
薬学的又は獣医学的に許容される賦形剤、希釈剤又は媒体は、水又は食塩水、緩衝液であることができるが、また、例えば、連鎖球菌の培養のための培地を含むこともできる。
【0113】
薬学的又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、当業者にはよく知られている。例えば、薬学的又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、0.9%NaCl(例えば、食塩水)溶液又はリン酸緩衝液であることができる。本発明の方法のために使用することができる、その他の薬学的又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤として、これらに限定されないが、ポリ(L−グルタミン酸)又はポリビニルピロリドンが挙げられる。薬学的又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、ベクター(又は考案のベクターからインビトロで発現させたタンパク質)の投与を促進する、いずれかの化合物又は化合物の組合せであることができる。有利には、担体、媒体又は賦形剤は、形質移入を促進すること、及び/又はベクター(若しくはタンパク質)の保存を改善することができる。投与量及び投与容量は、本明細書では、一般的な説明において議論し、また、当技術分野の知識と併せて本開示を読むことによっても、過度の実験をせずとも、当業者であれば決定することができる。
【0114】
四級アンモニウム塩を含むカチオン性の脂質は、必ずしもそうとは限らないが、有利には、プラスミドに適し、これらは、有利には、以下の式を有するものである。
【0115】
【化1】

【0116】
式中、Rは、12〜18個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の直鎖脂肪族ラジカルであり、Rは、2〜3個の炭素原子を含有する、別の脂肪族ラジカルであり、Xは、アミン基又はヒドロキシル基、例えば、DMRIEである。別の実施形態では、カチオン性の脂質は、中性の脂質、例えば、DOPEと会合させることができる。
【0117】
これらのカチオン性の脂質の間では、好ましいのは、DMRIE(N−メチル(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシロオキシ)−1−プロパンアンモニウム;国際公開第WO96/34109号パンフレット)であり、これは、有利には、中性の脂質、有利には、DOPE(ジオレオイル−ホスファチジル−エタノールアミン;Behr J. P., 1994, Bioconjugate Chemistry, 5, 382-389)と会合して、DMRIE−DOPEを形成する。
【0118】
有利には、プラスミドのアジュバントとの混合物を、用時に、有利には、調製物の投与に合わせて又は調製物の投与の直ぐ前に形成する。例えば、投与の直ぐ前又は前に、有利には、混合物が複合体を形成する十分な時間が投与の前にあるように、例えば、投与前約10分と約60分との間、例として、投与前約30分に、プラスミド−アジュバントの混合物を形成する。
【0119】
DOPEが存在する場合、DMRIE:DOPEのモル比は、有利には、約95:約5〜約5:約95、より有利には、約1:約1、例えば、1:1である。
【0120】
DMRIE又はDMRIE−DOPEのアジュバント:プラスミドの重量比は、約50:約1と約1:約10との間、例として、約10:約1及び約1:約5、有利には、約1:約1及び約1:約2、例えば、1:1及び1:2であることができる。
【0121】
本発明による免疫原性組成物及びワクチンは、1つ又は複数のアジュバントを含む、或いは1つ又は複数のアジュバントから本質的になることができる。本発明の実施にあたって使用に適したアジュバントは、(1)アクリル酸若しくはメタクリル酸、無水マレイン酸とアルケニル誘導体重合体との重合体、(2)免疫賦活性の配列(ISS,immunostimulating sequence)、例として、1つ若しくは複数の非メチル化CpG単位を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド配列(Klinman et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1996, 93, 2879-2883;国際公開第WO98/16247号パンフレット)、(3)水中油型乳濁液、例として、"Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach" published by M. Powell, M. Newman, Plenum Press 1995の147頁に記載されているSPT乳濁液、及び同上の183頁に記載されている乳濁液MF59、(4)四級アンモニア塩を含有するカチオン脂質、例えば、DDA、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウム若しくはリン酸アンモニウム、(7)サポニン、又は(8)本出願中に引用し参照によって組み入れたいずれかの文書中で議論されているその他のアジュバント、或いは(9)それらのいずれかの組合せ又は混合物である。
【0122】
(3)の水中油型乳濁液は、ウイルスベクターに特に適しており、軽流動パラフィン油(欧州薬局方のタイプ);イソプレノイド油、例として、スクアラン、スクアレン;アルケン、例えば、イソブテン又はデセンのオリゴマー化によって得られる油;直鎖アルキル基を有する酸又はアルコールのエステル、例として、植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、ジ(カプリル酸/カプリン酸)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセロール、及びジオレイン酸プロピレングリコール;或いは分枝の脂肪アルコール又は脂肪酸のエステル、特に、イソステアリン酸エステルを基剤とすることができる。
【0123】
油を、乳化剤と組み合わせて使用して、乳濁液を形成する。乳化剤は、非イオン性界面活性剤であることができる:例えば、一方が、ソルビタン、マンナイド(例えば、無水マンニトールオレイン酸エステル)、グリセロール、ポリグリセロール又はプロピレングリコールであり、他方が、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸又はヒドロキシステアリン酸であるエステルであり、当該エステルは、場合により、エトキシ化されているか、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体ブロック、例として、Pluronic、例えば、L121である。(1)型のアジュバント重合体の間では、好ましいのは、架橋されたアクリル酸又はメタクリル酸、特に、糖又はポリアルコールのポリアルケニルエーテルによって架橋されたものである。これらの化合物は、カルボマーの名の下で知られている(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)。また、当業者であれば、米国特許第2909462号明細書を参照することができ、これは、少なくとも3個のヒドロキシル基、好ましくは、7個以下のヒドロキシル基を有し、少なくとも3個のヒドロキシル基のうちの水素原子が、少なくも2個の炭素原子を有する不飽和の脂肪族ラジカルで置換されている、ポリヒドロキシル化合物によって架橋された、そのようなアクリル重合体を提供している。好ましいラジカルは、2〜4個の炭素原子を含有するラジカル、例えば、ビニル基、アリル基及びその他のエチレン系不飽和基である。また、不飽和ラジカルは、メチル等のその他の置換基を含有することもできる。Carbopolの名の下で販売されている製品(BF Goodrich社製、オハイオ州、米国)が、特に適する。それらは、アリルサッカロースによって、又はアリルペンタエリスリトールによって架橋されている。それの間で、Carbopol 974P、934P、及び971Pが参照される。無水マレイン酸−アルケニル誘導体の共重合体に関しては、EMA(Monsanto社製)が参照され、これらは、直鎖又は架橋されたエチレン−無水マレイン酸の共重合体であり、それらは、例えば、ジビニルエーテルによって架橋されている。また、J. Fields et al., Nature 186: 778-780, June 4, 1960も参照される。
【0124】
構造に関しては、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、及びEMAは、好ましくは、以下の式を有する基本単位によって形成される。
【0125】
【化2】

【0126】
式中、
*R及びRは、同一でもよく、又は異なってもよく、H又はCHであり、
*x=0又は1、好ましくは、x=1であり、
*y=1又は2であり、且つx+y=2である。
【0127】
EMAの場合は、x=0及びy=2であり、カルボマーの場合は、x=y=1である。
これらの重合体は、水又は生理的食塩溶液(20g/l NaCl)に可溶性であり、pHを、7.3〜7.4に、例えば、ソーダ(NaOH)によって調整して、発現ベクター(複数の発現ベクター)を組み入れることができるアジュバント溶液を得ることができる。最終的なワクチン組成物中の重合体濃度は、0.01%w/vと1.5%w/vとの間、有利には、0.05〜1%w/v、好ましくは、0.1〜0.4%w/vの範囲であることができる。
【0128】
(5)のサイトカイン又は複数のサイトカインは、免疫原性組成物又はワクチン組成物中のタンパク質の形態であってもよいし、宿主中で、免疫原若しくは複数の免疫原又はそのエピトープ(複数のエピトープ)と共に同時発現させてもよい。好ましいのは、サイトカイン又は複数のサイトカインの同時発現であり、これは、免疫原若しくは複数の免疫原又はそのエピトープ(複数のエピトープ)を発現させるベクターと同一のベクターによる、或いはそのための別々のベクターによるのいずれかで行う。
【0129】
本発明は、そのような組合せ組成物の調製を包含する。これは、例えば、活性成分を、有利には、アジュバント、担体、サイトカイン及び/又は希釈剤と一緒に混合することによって調製する。
【0130】
本発明において使用することができるサイトカインとして、これらに限定されないが、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF,granulocyte colony stimulating factor)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF,granulocyte/macrophage colony stimulating factor)、インターフェロンα(IFNα,interferon α)、インターフェロンβ(IFNβ,interferonβ)、インターフェロンγ(IFNγ,interferonγ)、インターロイキン−1α(IL−1α,interleukin-1α)、インターロイキン−1β(IL−1β,interleukin-1β)、インターロイキン−2(IL−2,interleukin-2)、インターロイキン−3(IL−3,interleukin-3)、インターロイキン−4(IL−4,interleukin-4)、インターロイキン−5(IL−5,interleukin-5)、インターロイキン−6(IL−6,interleukin-6)、インターロイキン−7(IL−7,interleukin-7)、インターロイキン−8(IL−8,interleukin-8)、インターロイキン−9(IL−9,interleukin-9)、インターロイキン−10(IL−10,interleukin-10)、インターロイキン−11(IL−11,interleukin-11)、インターロイキン−12(IL−12,interleukin-12)、腫瘍壊死因子α(TNFα,tumor necrosis factorα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ,tumor necrosis factorβ)、及び形質転換増殖因子β(TGFβ,transforming growth factorβ)が挙げられる。サイトカインは、本発明の免疫原性組成物又はワクチン組成物と、同時投与及び/又は逐次投与できることを理解されたい。したがって、また、例えば、本発明のワクチンは、適切なサイトカイン、例えば、ワクチン接種する又は免疫学的応答を惹起するこの宿主に適合したサイトカイン(例えば、イヌに投与する調製物のためのイヌのサイトカイン)をインビボにおいて発現する外因性の核酸分子を含むこともできる。
【0131】
有利には、本発明による薬学的及び/又は治療的な組成物並びに/或いは薬学的及び/又は治療的な製剤は、本明細書で議論する、1つ若しくは複数の発現ベクター及び/又は1つ若しくは複数のポリペプチドの治療的応答を惹起するのに有効な量を含む、或いは本明細書で議論する、1つ若しくは複数の発現ベクター及び/又は1つ若しくは複数のポリペプチドの治療的応答を惹起するのに有効な量から本質的になる、或いは本明細書で議論する、1つ若しくは複数の発現ベクター及び/又は1つ若しくは複数のポリペプチドの治療的応答を惹起するのに有効な量からなる。有効量は、本明細書に組み入れられている文書をはじめとする、本開示及び当技術分野の知識から、過度の実験をせずとも決定することができる。
【0132】
本発明による組換えウイルスベクター免疫原性組成物及び組換えウイルスベクターワクチンは、有利には、安定化剤と共に凍結乾燥することができる。凍結乾燥は、周知の標準的な凍結乾燥の手順に従って実施することができる。薬学的又は獣医学的に許容される安定化剤は、炭水化物(例えば、ソルビトール、マンニトール、ラクトース、スクロース、グルコース、デキストラン、トレハロース)、グルタミン酸ナトリウム(Tsvetkov T et al., Cryobiology 1983, 20(3): 318-23;Israeli E et al., Cryobiology 1993, 30(5): 519-23)、ペプトン、アルブミン、ラクトアルブミン又はカゼイン等のタンパク質、スキムミルク等のタンパク質含有物質(Mills C K et al., Cryobiology 1988, 25(2): 148-52;Wolff E et al., Cryobiology 1990, 27(5): 569-75)、及び緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤、リン酸アルカリ金属緩衝剤)であることができる。アジュバントを使用して、可溶性の凍結乾燥調製物を作製することができる。
【0133】
さらに、本発明は、連鎖球菌感染に対する、哺乳動物、とりわけ、ウマ科、イヌ科及びヒトの種の治療及び/又はワクチン接種のための、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片の使用にも関する。一実施形態では、これらの断片は、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列、又はそのアナログからなる群から選択される。特定の実施形態は、腺疫の疾患に対するウマの治療及び/又はワクチン接種のための、配列番号18、20、22、24、26、32、34、36、38、40、48、50、52、54、56及び58の配列からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチド、又はそのアナログの使用に関わる。好ましい実施形態は、腺疫の疾患に対するウマの治療及び/又はワクチン接種のための、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58の配列からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチド、又はそのアナログの使用に関わる。
【0134】
さらなる実施形態は、ウマ科動物をストレプトコッカス・エクイの感染から防御するサブユニットワクチンの製造(preparation)のための、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有する、若しくはそのアナログの、又はその断片の、少なくとも1つのポリペプチドの使用に関わる。このさらなる実施形態は、好ましくは、ウマ科動物をストレプトコッカス・エクイの感染から防御するサブユニットワクチンの製造のための、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58に示すアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド又はそのアナログの使用に関わる。
【0135】
別のさらなる実施形態は、ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御する組換えワクチンの製造のための、少なくとも1つの組換えベクターと、配列番号18、20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片をコードする、ベクター中に挿入された少なくとも1つのポリヌクレオチドとの使用に関し、当該ベクターは、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物中で、このポリペプチドをインビボで発現することができる。このさらなる実施形態は、好ましくは、ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御する組換えワクチンの製造のための、少なくとも1つの組換えベクターと、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、又はそのアナログをコードする、ベクター中に挿入された少なくとも1つのポリヌクレオチドとの使用に関し、当該ベクターは、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物中で、このポリペプチドをインビボで発現することができる。
【0136】
追加の実施形態は、ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御する組換えワクチンの製造のための、少なくとも1つの組換えベクターと、ベクター中に挿入する、少なくとも1つのポリヌクレオチドとの使用に関し、当該ポリヌクレオチドは、配列番号17、19、21、23、25、31、33、35、37、39、47、49、51、53、55及び57に示すヌクレオチド配列、又はそのアナログを有し、当該ベクターは、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物中で、当該ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドをインビボで発現することができる。
【0137】
特に、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号18、20、22、24、26、32、34、36、38、40、48、50、52、54、56及び58、若しくはそのアナログ、又はその組合せからなるポリペプチドの第1群から選択された、少なくとも1つのポリペプチドと、第1群中には存在しない、少なくとも1つの別のストレプトコッカス・エクイの免疫原、とりわけ、FNZタンパク質、EAGタンパク質、SFSタンパク質、SECタンパク質、SFSC1断片、FNZN断片、SEC2.16断片、SEC1.18断片、SclC1断片、(国際公開第WO−A−20041032957号パンフレット)、及び配列番号28、30若しくはそのアナログ又はその断片、或いはその組合せからなるポリペプチドの第2群から選択された、少なくとも1つの免疫原との組合せである。ポリペプチドの好ましい組合せの場合、この第1群は、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58若しくはそのアナログ又はその組合せである。さらに、また、本発明は、ストレプトコッカス・エクイの感染からウマを防御するサブユニットワクチンの製造のための、これらの組み合わせたペプチドの使用にも関する。これらの実施形態では、ポリペプチドの使用を、当該ポリペプチドをコードする、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本発明による組換え発現ベクターの使用で置き換えることができる。特に、配列番号18、20、22、24、26、32、34、36、38、40、48、50、52、54、56及び58、又はそのアナログからなるポリペプチドの第1群から選択された、少なくとも1つのポリペプチドをコードする、少なくとも1つのポリヌクレオチドと、第1群中には存在しない、少なくとも1つの別のストレプトコッカス・エクイの免疫原、とりわけ、FNZタンパク質、EAGタンパク質、SFSタンパク質、SECタンパク質、SFSC1断片、FNZN断片、SEC2.16断片、SEC1.18断片、SclC1断片(国際公開第WO−A−2004/032957号パンフレット)、及び配列番号28、30若しくはそのアナログ又はその断片、或いはその組合せからなるポリペプチドの第2群から選択された、少なくとも1つの免疫原をコードする、少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含む、少なくとも1つの組換え発現ベクターを、腺疫の疾患に対するウマの治療及び/又はワクチン接種のために使用する。好ましい実施形態では、この第1群は、配列番号32、34、36、38、40、54、56及び58若しくはそのアナログ又はその組合せからなる。さらに、また、本発明は、ストレプトコッカス・エクイの感染からウマを防御する組換えワクチンの製造のための、これらの組換え発現ベクターの使用にも関する。
【0138】
特定の実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号52、48、22及び26のポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片の組合せである。より好ましい実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号58、54、36及び40のポリペプチド又はそのアナログの組合せである。
【0139】
特定の実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号52、48、22、26及び50のポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片の組合せである。より好ましい実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号58、54、36、40及び56のポリペプチド又はそのアナログの組合せである。
【0140】
特定の実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号52、48、22、26及び20のポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片の組合せである。より好ましい実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号58、54、36、40及び34のポリペプチド又はそのアナログの組合せである。
【0141】
特定の実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号52、48、22、26及び18のポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片の組合せである。より好ましい実施形態では、腺疫の疾患に対するウマ科動物の治療及び/又はワクチン接種のために使用するポリペプチドの組合せは、配列番号58、54、36、40及び32のポリペプチド又はそのアナログの組合せである。
【0142】
さらに、本発明は、哺乳動物、好ましくは、ウマ科、イヌ科及びヒトの種において、連鎖球菌感染に対して免疫感作する、又は連鎖球菌感染を予防する方法にも関する。これらの方法に従って、(1)本発明のサブユニット免疫原性組成物若しくはサブユニットワクチン、又は(2)本発明の組換え免疫原性組成物若しくは組換えワクチン、或いはそれらの組合せを投与する。もちろん、本発明の実施形態を、本発明ではない、その他のワクチン又は免疫原性組成物と共に利用することができる。例えば、抗原刺激−追加免疫の過程において、例として、本発明のワクチン又は免疫原性組成物を、最初に投与し、その後、異なるワクチン又は免疫原性組成物を投与する、或いはその逆の場合がある。特定の抗原刺激−追加免疫の過程として、本発明のサブユニットワクチン又はサブユニット免疫原性組成物を、最初に投与し、その後、本発明の組換えワクチン又は組換え免疫原性組成物を投与する、或いはその逆の場合があり得る。
【0143】
投与は、とりわけ、筋肉内(IM,intramuscular)、皮内(ID,intradermal)、皮下(SC,subcutaneous)、又は経皮の注射によって、或いは鼻腔内、気管内、経口の投与によって、或いは耳又は唇を通して行うことができる。本発明による免疫原性組成物又はワクチンは、シリンジ、マイクロニードルを付けたシリンジ(すなわち、BDTM Intradermal Delivery System、Becton, Dickinson and Company社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州、米国)、無針装置(例えば、Pigjet、Avijet、Dermojet又はBiojector(Bioject社製、オレゴン州、米国)、US-A-2006/0034867を参照)、又はスプレーによって投与する。投与は、好ましくは、シリンジを用いたIM注射によって、又は無針装置を用いた若しくはマイクロニードルを付けたシリンジ(すなわち、BDTM Intradermal Delivery System)を用いた経皮注射によって、又はスプレーを用いた、すなわち、本発明のワクチンの液体噴霧による鼻腔内若しくは経口の投与によって、又は本発明による凍結乾燥ワクチンの微粒子化粉末の経口若しくは経鼻の投与によって行う。
【0144】
免疫原性組成物又はワクチンの量は、当業者であれば、本開示及び当技術分野の知識から、過度の実験をせずとも、決定及び最適化することができる。一般に、動物(ヒトを含む)には、本発明の組換えウイルス免疫原性組成物又は組換えウイルスワクチンを、単回用量単位として、約10〜10CFU、有利には、約10〜10CFU、より有利には、約10〜10CFUで;本発明の組換えDNA免疫原性組成物又は組換えDNAワクチンを、単回用量単位として、1つのプラスミドの型あたり、約10ng〜1mg、有利には、約100ng〜500μg、より有利には、約1μg〜250μgで;本発明のサブユニット免疫原性組成物又はサブユニットワクチンを、単回用量単位として、約5μg〜1mg、有利には、約50μg〜500μg、より有利には、100μg〜200μgで投与することができる。
【0145】
プラスミドベクターに基づいた治療的及び/又は薬学的な組成物の場合は、一般的には、1回投与量は、対象の抗原、エピトープ、免疫原、ペプチド又はポリペプチドを発現するプラスミドの、約1μg〜約2000μg、有利には、約50μg〜約1000μg、より有利には、約100μg〜約800μgを含み、それから本質的になり、又はそれからなることができる。プラスミドベクターに基づいた治療的及び/又は薬学的な組成物を、エレクトロポレーションを用いて投与する場合には、プラスミドの投与量は、一般に、約0.1μgと約1mgとの間、有利には、約1μgと約100μgとの間、有利には、約2μgと約50μgとの間である。投与容量は、約0.1mlと約2mlとの間、有利には、約0.2mlと約1mlとの間であることができる。これらの投与量及び投与容量は、治療する哺乳動物の標的の種に適している。
【0146】
シリンジによる単回用量単位の容量は、約0.2mlと約5.0mlとの間、有利には、約0.5mlと約2.0mlとの間、より有利には、約1.0mlであることができる。無針装置による単回用量単位の容量は、約0.1mlと約1.0mlとの間、有利には、約0.2mlと約0.5mlとの間であることができる。液体スプレーによる単回用量単位の容量は、約2.0mlと約10.0mlとの間、有利には、約5.0mlであることができる(粉末スプレーの場合には、投与する量は、同等の容量に対応する)。
【0147】
特定の方法では、子ウマ、すなわち、2〜6月齢、好ましくは、3〜4月齢のウマに、CTB及び/又はCTA及び/又はCarbopol(登録商標)のアジュバントを加えた、本発明のサブユニットワクチンを、鼻腔内又は経口の経路からワクチン接種する。
【0148】
別の特定の方法では、子ウマに、Carbopol(登録商標)のアジュバントを加えた、又は加えない、本発明の組換えウイルスワクチンを、経口経路から、スプレー及び液体噴霧を用いてワクチン接種する。好ましくは、これらの組換えウイルスワクチンのウイルスベクターは、EHV−4又はEHV−2又はEHV−1である。
【0149】
別の特定の方法では、子ウマに、本発明の組換えウイルスワクチンを、唇からシリンジを用いてワクチン接種する。好ましくは、これらの組換えウイルスワクチンのウイルスベクターは、EHV−4又はEHV−2又はEHV−1である。
【0150】
ウマ及び雌ウマのワクチン接種のためには、好ましくは、Carbopol(登録商標)及び/又はCpG、並びに/或いは乳濁液のアジュバントを加えた、本発明のサブユニットワクチンを、シリンジを用いてIM注射によって、2回投与する。追加免疫投与を、6カ月又は毎年注射で行うことができる。妊娠中の雌ウマの場合には、追加免疫投与を、子ウマを生む予定日前2〜4週に注射で行うことができる。
【0151】
また、本発明のポリペプチド及びその断片は、治療に使用することもできる。
【0152】
また、ポリペプチド及び断片は、抗体−抗原の反応における試薬として使用することもできる。したがって、本発明の別の態様は、連鎖球菌による感染を検出するための診断方法及び/又は診断キットである。キット、例えば、ELISAは、少なくとも1つの本発明によるポリペプチド又は断片(例えば、本明細書の配列によって特定された、少なくとも1つのポリペプチド、又は本明細書で議論する、その断片)を含むことができる。
【0153】
本明細書のポリペプチド又は断片(例えば、本明細書の配列によって特定されたポリペプチド、又は本明細書で議論する、その断片)に対する抗体を、診断用試薬として、或いは受動免疫若しくはワクチン接種又は治療において使用することができる。受動免疫において投与する抗体の量は、当技術分野の知識から等、当技術分野で使用する量と同一の又はそれに類似する量であることができ、当業者であれば、過度の実験をせずとも、受動免疫を実施することができる。
【0154】
本発明の新規ウイルスがコードするタンパク質又はそれらの断片を使用して、抗体、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を産生することができる。ポリクローナル抗体が望まれる場合には、選択された哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)を、本発明の抗原若しくはその断片又は変異させた抗原を用いて免疫感作する。免疫感作した動物からの血清を採取し、既知の手順に従って処理する。例えば、Jurgens et al. (1985) J. Chrom. 348:363-370を参照されたい。ポリクローナル抗体を含有する血清を使用する場合には、ポリクローナル抗体を、免疫親和性クロマトグラフィーによって、既知の手順を使用して精製することができる。
【0155】
本発明の別の態様は、本発明によるポリペプチド又は断片に特異的な抗体を含む抗体調製物、及びそれを使用する診断方法である。所与のポリペプチドに特異的な抗体とは、抗体が、当該ポリペプチドに優先的に結合する、例えば、抗体が、当該ポリペプチドに結合するが、その他のポリペプチドには結合しない、又は抗体が、当該ポリペプチドに対して特異性を有し、これは、当該ポリペプチドに関して満足に特有であり、その結果、抗体を使用して、当該ポリペプチドを試料から単離すること、或いは当該ポリペプチドが試料中に存在することを、当技術分野で知られている技法又はSambrook、下記をはじめとする、本明細書に引用した文書中に議論されている技法を使用して、5%以下の偽陽性で検出することができることを意味する。
【0156】
抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。
【0157】
ポリクローナル抗体が望まれる場合には、選択された動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)を、ポリペプチド又は断片を用いて免疫感作する。免疫感作した動物からの血清を採取し、既知の手順に従って処理し、場合により、精製する。例えば、Jurgens et al. J. Chrom., 1985, 348: 363-370を参照されたい。
【0158】
また、タンパク質及びその断片に対するモノクローナル抗体も、当業者であれば、容易に産生することができる。モノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を使用することによって作製するための一般的な方法は、よく知られている。不死の抗体産生細胞系を、細胞融合によって生み出すことができ、また、その他の技法、例として、Bリンパ球の癌遺伝子DNAを用いた直接的な形質転換、又はエプスタイン・バーウイルスを用いた形質移入によっても生み出すことができる。例えば、M. Schreier et al., Hybridoma Techniques (1980);Hammerling et at., Monoclonal Antibodies and T-cell Hybridomas (1981);Kennett et al., Monoclonal Antibodies (1980)を参照されたい。また、米国特許第4341761号明細書;米国特許第4399121号明細書;米国特許第4427783号明細書;米国特許第4444887号明細書;米国特許第4452570号明細書;米国特許第4466917号明細書;米国特許第4472500号明細書,米国特許第4491632号明細書;及び米国特許第4493890号明細書も参照されたい。所望のタンパク質又はその断片に対して産生したモノクローナル抗体のパネルを、種々の特性、すなわち、アイソタイプ、エピトープ、親和性等についてスクリーニングすることができる。モノクローナル抗体は、免疫親和性の技法を使用する、モノクローナル抗体がそれらに対して作られている個々の抗原の精製において有用である。また、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を、受動免疫のために使用してもよいし、サブユニットワクチン調製物と組み合わせて、免疫応答を増強してもよい。また、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、診断の目的でも有用である。
【0159】
本発明の一実施形態は、動物において、対象の抗原、エピトープ、免疫原、ペプチド又はポリペプチドに対する免疫応答を惹起する方法であり、この方法は、組換えワクチンを、免疫応答を惹起するのに有効な量で送達して、発現させるための製剤を投与するステップを含む。本発明のさらに別の実施形態は、動物において、免疫学的応答又は防御応答を誘導する方法であり、この方法は、対象の抗原、エピトープ、免疫原、ペプチド又はポリペプチドを送達して、発現させるのに有効な量の製剤を、動物に投与するステップを含み、当該製剤は、組換えワクチンと、薬学的又は獣医学的に許容される担体、媒体又は賦形剤とを含む。
【0160】
本発明は、動物、有利には、哺乳動物又は脊椎動物の免疫応答を惹起、誘導又は刺激する方法に関する。
【0161】
本発明の別の実施形態は、動物において、対象の抗原、エピトープ、免疫原、ペプチド又はポリペプチドに対する免疫学的応答又は防御応答を誘導する方法を実施するためのキットであり、このキットは、組換えワクチンと、動物において免疫応答を惹起するのに有効な量で送達する方法を実施するための指示書とを含む。
【0162】
以下に、本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
[実施例]
【実施例1】
【0163】
ストレプトコッカス・エクイのポリペプチドのELISA研究
ストレプトコッカス・エクイ株4047を鼻腔内から4回投与して攻撃誘発したポニーから得た血清中のストレプトコッカス・エクイの細胞表面タンパク質に対するIgG抗体の応答を、ELISAによって決定した。これらのストレプトコッカス・エクイのタンパク質を、エシェリキア・コリ中でインビトロで発現させることによって得た。3×10cfu及び3×10cfuのより高い用量を投与した6匹のポニーからの血清中の抗体の応答を、平均して、ストレプトコッカス・エクイ4047の3000cfu及び30cfuを用いて攻撃誘発したポニーからの血清中の抗体の応答と比較した。より高い用量を投与したポニーは、腺疫を発症した。低い用量を投与したポニーは、研究を通して、健康を維持した。この研究の結果に基づいて、ストレプトコッカス・エクイのポリペプチドを、エシェリキア・コリ中での発現のため、並びにマウス及びポニーにおける有効性を試験するために選択した。
【実施例2】
【0164】
組換えストレプトコッカス・エクイのポリペプチドのエシェリキア・コリ中での発現
Se50、Se1459及びSe358の断片をコードするポリヌクレオチドを、Vent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)を使用して、変性ステップ、5分に続く、50〜55℃でのアニーリング、30秒、72℃での伸長、1分、及び95℃での第2の変性、30秒を使用する35サイクルを用いる、製造業者が推奨する条件で産生した。72℃での伸長、4分を用いて、産物を完成させた。それぞれの場合の鋳型は、ストレプトコッカス・エクイ株4047の染色体DNAであった。Se50、Se1459及びSe358の断片はそれぞれ、配列番号32、34及び40と名付けた断片である。
【0165】
Se528及びSe595の断片をコードするポリヌクレオチドを、pfuポリメラーゼを使用して、72℃での伸長時間を2分に延長する以外は、上記と同一の条件を用いて産生した。Se528及びSe595の断片はそれぞれ、配列番号38及び36と名付けた断片である。
【0166】
【表1】

【0167】
全てのPCR産物を、Qiaquick PCR 精製キット(Qiagen社製)を使用して、32μlの溶出容量を用いて精製し、次いで、EcoRI用緩衝液(3.5μl)(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)、BamHI(0.75μl)、及びEcoRI(0.75μl)を添加して、37℃で2時間消化した。また、1μgのpGEX-3Xプラスミド(GE Healthcare社製)も、上記に従って、EcoRI及びBamHIを用いて消化した。pGEX-3Xプラスミドは、GST融合タンパク質の産生、並びにその単離及び精製のために、マルチクローニングサイト、tacプロモーター、グルタチオンSトランスフェラーゼ遺伝子(GST)、及び停止コドンを、全ての3つのフレームに有する。
【0168】
全ての消化産物は、0.7%TAEアガロースゲル上に流し、所望の制限産物を、Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen社製)を使用して、35μlの最終溶出量を用いて、切り取り、精製した。
【0169】
ライゲーション反応を、16.5μlの精製した消化PCR産物及び1μlのpGEX-3Xプラスミドを使用し、2μlのリガーゼ用緩衝液及び0.5μlのリガーゼを加えて始め、室温(rtp)で一晩インキュベートした。
【0170】
ライゲーション反応物を、エシェリキア・コリDH10B株中に形質転換し、50μg/mlアンピシリンを補充したL−寒天プレート上に蒔き、37℃で一晩インキュベートした。形質転換体を、挿入断片の存在について、コロニーPCRによって試験した。単一のコロニーを、4μlの水中に再懸濁し、この2μlを、対象のポリヌクレオチドのための適切なクローン化プライマーを含有する、Taq DNAポリメラーゼPCR反応に添加し、上記の記載に従って、35サイクルの伸長を行った(Se50、Se1459及びSe358の場合は、1分、並びにSe595及びSe528の場合は、2分)。所望の挿入断片の存在を、PCR反応物を0.7%TAEアガロースゲル上に流すことによって確認した。
【0171】
それぞれのクローンのプラスミドを調製し、クローンの全てについて、5’及び3’のpGEX-3X PCRプライマーを使用して配列決定した(表1)。また、サイズが理由であるが、Se595は、上記に列挙した追加のプライマー(表1)も使用して、配列決定した。クローン化したポリヌクレオチドの全てが、ストレプトコッカス・エクイ株4047の構築されたゲノム配列(http://www.sanger.ac.uk/Projects/S_equi/)と同一の配列を有することを確認した。
【0172】
Se1459、Se595、Se528、Se50及びSe358のクローンを、発現のために、以下のプロトコールを使用して誘導した。単一のコロニーを、50μg/mlアンピシリンを含有する、50mlの2×YT培地中に播種し、37℃で、220rpmで振とうしながら一晩増殖させた。次いで、この培養物を、500mlのあらかじめ加温し(37℃)、且つあらかじめガス処理した2×YT培地に添加して、37℃で1時間インキュベートした。
【0173】
全ての培養物について、1時間後、200μlを取り出し、細胞を、分析のために採取し(これを、誘導前の試料とする)、イソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG,isopropyl-beta-D-thiogalactopyranoside)を、0.1mMの最終濃度で添加して、温度を28℃まで下げた。培養物をさらに4時間誘導した後、100μlの試料を分析のために取り出し、続いて、細胞を遠心分離によって収集し、−70℃で保存した。
【0174】
全ての試料を、10%SDS-PAGEを使用して分析した。
【0175】
Se1459、Se595、Se528、Se50及びSe358について、ペレットを、20ml中の氷冷PBS(Oxoid Limited社製、カタログ番号BR0014G)中に再懸濁し、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF,phenylmethyl sulphonyl fluoride)を、0.1mMの最終濃度で添加した後、細胞を、氷上で、10秒間のパルスを用いる6回の超音波処理によって溶解させた。パルスとパルスとの間にはそれぞれ、10秒間の休止を設けた。Triton X-100を0.1%(v/v)まで添加し、不溶性及び未変化の細胞を、遠心分離(11,000g、5分、4℃)によって除去した。細菌の可溶性溶菌液及び不溶性物質の試料を、SDS-PAGEによって分析した。ジチオスレイトール(DTT、dithiothreitol;Cleland's reagent社製)(5mM)を添加し、1.3mlのグルタチオンセファロース4Bを添加した(1mlのビーズに相当する。これは、20mlのPBSで3回あらかじめ洗浄した)。混合物を、室温で1時間インキュベートし、次いで、ビーズを、遠心分離(800g、2分、rtp)によって収集した後、50mlの氷冷PBST(0.1%v/v Triton X-100を有するPBS)で3回洗浄した。各洗浄(洗浄1〜3)の試料を、ビーズに結合した融合タンパク質の試料として、SDS-PAGEによる分析のために得た。全ての試料を、10%SDS-PAGEを使用して分析した。
【0176】
GST担体の除去を、全ての融合タンパク質について、プロテアーゼによる切断によって行った。
【0177】
Se1459、Se595、Se528、Se50及びSe358について、切断反応を、グルタチオンセファロースビーズに結合した融合タンパク質を用いて行った。ビーズを、最初に、20mlの洗浄用緩衝液(Tris-HCL、50mM、pH7.5、NaCl、150mM)で1回、次いで、20mlの切断用緩衝液(CaCl2、1.0mMを有する洗浄用緩衝液)で2回平衡化し、最後に、1mlの切断用緩衝液中に再懸濁した。第Xa因子(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)(50単位)を添加して、回転式攪拌機上において、室温で16時間インキュベートした。放出されたタンパク質を、グルタチオンビーズをペレット化し(800g、2分、rtp)、上清を留保することによって回収した。ビーズを、1mlの洗浄用緩衝液で2回洗浄し、毎回、上清を留保した。各上清の一定分量及び残存するグルタチオンビーズを、SDS-PAGEによって分析した。ビーズを、洗浄用緩衝液2(Tris-HCL、50mM、pH8.0)で3回洗浄し、3mlの、5.0mM還元型グルタチオンを含有する洗浄用緩衝液2を用いて、室温で2分間溶出させ、その後、ビーズをペレット化し(800g、2分、rtp)、上清を留保した。この溶出を、2回繰り返し、各分画の純度をSDS-PAGEによって分析した。
【0178】
全部のタンパク質を、5リットルの20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中、4℃で一晩かけて、2回透析した。
【0179】
透析後、いずれの不溶性物質も、遠心分離(10000g、2分、4℃)によって取り出し、次いで、−70℃で保存した。
【実施例3】
【0180】
マウスにおける、サブユニットワクチン投与及びストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の防御
この研究の目的は、ストレプトコッカス・エクイのサブユニットワクチンを用いたワクチン接種が、それに続くストレプトコッカス・エクイの鼻腔内からの攻撃誘発から、マウスを防御するか否かを決定することであった。
【0181】
Se595、Se358、Se1459、Se50及びSe528の5種のストレプトコッカス・エクイのサブユニットワクチンを使用した。全てのこれらのワクチンは、実施例2で得たストレプトコッカス・エクイのタンパク質を使用した。Se595、Se358、Se1459、Se50及びSe528の組換えストレプトコッカス・エクイのタンパク質は、緩衝液を、20mMリン酸ナトリウム、pH7.4に交換した後、濃縮して、可能な場合には、10μg/lでのSe358のモル濃度と同等の濃度を得ることによって精製した。Se595及びSe528のタンパク質は、所望の濃度では、溶けなかった。実際に使用したタンパク質の濃度を、表2に示す。
【0182】
【表2】

【0183】
20mMリン酸ナトリウム、pH7.4中の精製したタンパク質を、投与前に、TS6アジュバント(US-A-2005/0079185の実施例1)中で、1:3に希釈した。
【0184】
BalbCマウス、3〜4週齢、雌の20匹を1群として、これらのマウスに、第0日(D0)に、5種のストレプトコッカス・エクイのサブユニットワクチンのそれぞれを用いてワクチン接種した。ワクチン接種は、大腿中及び鼻腔内への筋肉注射によって行った。これらのマウスは、4週間後(D28)には、追加免疫し、その2週間後(D42)に、ストレプトコッカス・エクイを用いて攻撃誘発した。また、ワクチンを接種しない追加の対照群も含め、これは、D42に攻撃誘発した。5匹の対照マウスからなる群には、ワクチン接種も、ストレプトコッカス・エクイを用いた攻撃誘発も施さなかった(表3を参照)。
【0185】
群の大きさは、ワクチン接種したマウスの50%の防御、及び対照の80%の感染を検出するのに十分であった。血液を、ワクチン接種の前、追加免疫の前、攻撃誘発の前、及び安楽死の際に得て、ワクチン接種及び攻撃誘発に対する抗体の応答レベルを決定した。
【0186】
ストレプトコッカス・エクイ株4047を、攻撃誘発のために、10%ウシ胎仔血清(FCS,foetal calf serum)を補充したTodd Hewittブロス(THB,Todd Hewitt broth)中で増殖させた。一晩経過した培養物を1:20で希釈して、新鮮な、あらかじめ加温及びガス処理したTHB+10%FCSに播種し、培養物を、OD600nmが0.3に達するまで増殖させた。この時点で、培養物を希釈した。ストレプトコッカス・エクイ株4047の必要とする用量の調製に続いて、マウスを、100mg/kgのKetasetを筋肉内注射して鎮静させた後、約1×10cfuのストレプトコッカス・エクイを含有する、10μlの攻撃誘発用接種菌液の鼻腔内投与によって攻撃誘発した。
【0187】
攻撃誘発の直後に、投与した用量を逆滴定によって定量化し、0.9×10cfuを含有することを見い出した。
【0188】
全てのマウスを、注意深くモニターして、確実に鎮静から回復させ、疾患の臨床的な徴候の出現を定期的に調べた。これらには、倦怠、振戦又は毛皮の凝視が含まれ、これらは、中等度の作用の徴候とみなされ、より重症の作用が出現する恐れがあった。最終的には、マウスを安楽死させた。
【0189】
臨床的な観察を、研究を通して毎日記録し、ワクチン接種前、追加免疫前、攻撃誘発前、次いで、攻撃誘発後は毎日、マウスの体重を測定した。攻撃誘発後のマウスから鼻の拭き取りを得て、ストレプトコッカス・エクイの脱落のレベルを定量化した。死後の観察を、全てのマウスについて行った。
【0190】
【表3】

【0191】
ワクチン接種段階は、何事もなく進行し、全ての群で、対照と同様に、体重が増加した。注射部位の有害反応は、特定されなかった。投与したワクチン接種に対して、全てのマウスで抗体陽転した。
【0192】
攻撃誘発後、Se595、Se358、Se1459、Se528及びSe50を用いてワクチン接種した群は、一般に、対照と比較して、疾患の臨床的な徴候が減少し、体重減少が低下し、その上体重が増加し、鼻の細菌叢が減少し、生存が改善した。各マウスを、攻撃誘発の日及びその後の7日間毎日、ストレプトコッカス・エクイに関連する症状(嗜眠、体重減少、くしゃみ、立毛、身を縮こめる、内耳不均衡)の発生について調べた。マウスは、少なくとも1日に4回調べた。以下の記録及びスコア化の方法を適用した(表4)。
【0193】
【表4】

【0194】
例えば、静かで、身を縮こめ、不動な、立毛を有するマウスのスコアは、3+3+5+10=21となるであろう。
【0195】
マウスの体重を、集計表上で毎日分析して、攻撃誘発の日に対するパーセント体重減少を決定した。
【0196】
攻撃誘発後は毎日、各マウスの鼻を、明確にラベルを付けた連鎖球菌選択性の寒天プレート(bioMerieux社製)上に触れされた。プレートに、画線して、生存ストレプトコッカス・エクイ菌が存在するか否かを決定した。ストレプトコッカス・エクイの脱落のレベルを、以下の4点スコア化システムに従って段階付けた;0=増殖無し、1=1〜10個のコロニーが存在する、2=11〜100個のコロニーが存在する、3=100個超のコロニーが存在する、及び4=コンフルエントな増殖。
【0197】
血液試料を、大腿静脈から得た。血清を調製して、−20℃以下で使用まで保存した。
【0198】
疾患の臨床的な徴候が、D44、すなわち、攻撃誘発の2日後から認められた。ワクチン接種群は、一般的に、対照群よりも低い臨床的な徴候を示した。Se50及びSe358を用いてワクチン接種したマウスは、最も低い、疾患の臨床的な徴候を示した。Se595を用いてワクチン接種したマウスは、疾患の臨床的な徴候を、対照と比較して、より短い期間示した(図1)。攻撃誘発後の体重のパーセント変化の平均を、攻撃誘発の日(D42)と比較して調べると、Se528、Se1459及びSe50を用いてワクチン接種した群では、体重減少がわずかに低下することが明らかであった。しかし、Se358及びSe595を用いてワクチン接種したマウスが、最も防御されるように見えた(図2)。
【0199】
予想されたように、鼻の拭き取りから単離したβ溶血性細菌の数の平均は、攻撃誘発後に増加し、D45(攻撃誘発の3日後)に頂点に達した。D45には、Se358、Se595、Se50及びSe1459を用いてワクチン接種した群において、鼻の拭き取りスコアが最低となった。ワクチン接種群は、一般に、対照群よりも低いスコアを有した。例外は、Se358を用いてワクチン接種したマウスであり、D46で、頂点に達した(図3)。
【0200】
【表5】

【実施例4】
【0201】
組換えストレプトコッカス・エクイのSe1631、Se1681及びSlaのポリペプチドのエシェリキア・コリ中での発現
Se1631、Se1681及びSlaの断片をコードするポリヌクレオチドを、Vent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)を使用して、変性ステップ、5分に続く、50〜55℃でのアニーリング、30秒、72℃での伸長、1分、及び95℃での第2の変性、30秒を使用する35サイクルを用いる、製造業者が推奨する条件で産生した。72℃での伸長、4分を用いて、産物を完成させた。それぞれの場合の鋳型は、ストレプトコッカス・エクイ株4047の染色体DNAであった。
【0202】
Se1631、Se1681及びSlaの断片はそれぞれ、配列番号53、55及び57と名付けた断片である。
【0203】
【表6】

【0204】
全てのPCR産物を、Qiaquick PCR 精製キット(Qiagen社製)を使用して、32μlの溶出容量を用いて精製し、次いで、EcoRI用緩衝液(3.5μl)(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)、BamHI(0.75μl)、及びEcoRI(0.75μl)を添加して、37℃で2時間消化した。また、1μgのpGEX-3Xプラスミド(GE Healthcare社製)も、上記に従って、EcoRI及びBamHIを用いて消化した。pGEX-3Xプラスミドは、GST融合タンパク質の産生、並びにその単離及び精製のために、マルチクローニングサイト、tacプロモーター、グルタチオンSトランスフェラーゼ遺伝子(GST)、及び停止コドンを、全ての3つのフレームに有する。
【0205】
全ての消化産物は、0.7%TAEアガロースゲル上に流し、所望の制限産物を、Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen社製)を使用して、35μlの最終溶出量を用いて、切り取り、精製した。
【0206】
ライゲーション反応を、16.5μlの精製した消化PCR産物及び1μlのpGEX-3Xプラスミドを使用し、2μlのリガーゼ用緩衝液及び0.5μlのリガーゼを加えて始め、室温(rtp)で一晩インキュベートした。
【0207】
ライゲーション反応物を、エシェリキア・コリDH10B株中に形質転換し、50μg/mlアンピシリンを補充したL−寒天プレート上に蒔き、37℃で一晩インキュベートした。形質転換体を、挿入断片の存在について、コロニーPCRによって試験した。単一のコロニーを、4μlの水中に再懸濁し、この2μlを、対象のポリヌクレオチドのための適切なクローン化プライマーを含有する、Taq DNAポリメラーゼPCR反応に添加し、上記の記載に従って、35サイクルの伸長を行った。所望の挿入断片の存在を、PCR反応物を0.7%TAEアガロースゲル上に流すことによって確認した。
【0208】
それぞれのクローンのプラスミドを調製し、クローンの全てについて、5’及び3’のpGEX-3X PCRプライマーを使用して配列決定した(表6)。クローン化したポリヌクレオチドの全てが、ストレプトコッカス・エクイ株4047の構築されたゲノム配列(http://www.sanger.ac.uk/Projects/S_equi/)と同一の配列を有することを確認した。
【0209】
全てのクローンを、発現のために、以下のプロトコールを使用して誘導した。単一のコロニーを、50μg/mlアンピシリンを含有する、50mlの2×YT培地中に播種し、37℃で、220rpmで振とうしながら一晩増殖させた。次いで、この培養物を、500mlのあらかじめ加温し(37℃)、且つあらかじめガス処理した2×YT培地に添加して、37℃で1時間インキュベートした。1時間後、200μlを取り出し、細胞を、分析のために採取し(これを、誘導前の試料とする)、IPTG(イソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド)を、0.1mMの最終濃度で添加して、温度を28℃まで下げた。培養物をさらに4時間誘導した後、100μlの試料を分析のために取り出し、続いて、細胞を遠心分離によって収集し、−70℃で保存した。
【0210】
全ての試料を、10%SDS-PAGEを使用して分析した。
【0211】
ペレットを、20ml中の氷冷PBS(Oxoid Limited社製、カタログ番号BR0014G)中に再懸濁し、PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)を、0.1mMの最終濃度で添加した後、細胞を、氷上で、10秒間のパルスを用いる6回の超音波処理によって溶解させた。パルスとパルスとの間にはそれぞれ、10秒間の休止を設けた。Triton X-100を0.1%(v/v)まで添加し、不溶性及び未変化の細胞を、遠心分離(11,000g、5分、4℃)によって除去した。細菌の可溶性溶菌液及び不溶性物質の試料を、SDS-PAGEによって分析した。DTT(ジチオスレイトール;Cleland's reagent社製)(5mM)を添加し、1.3mlのグルタチオンセファロース4Bを添加した(1mlのビーズに相当する。これは、20mlのPBSで3回あらかじめ洗浄した)。混合物を、室温で1時間インキュベートし、次いで、ビーズを、遠心分離(800g、2分、rtp)によって収集した後、50mlの氷冷PBST(0.1%v/v Triton X-100を有するPBS)で3回洗浄した。各洗浄(洗浄1〜3)の試料を、ビーズに結合した融合タンパク質の試料として、SDS-PAGEによる分析のために得た。全ての試料を、10%SDS-PAGEを使用して分析した。
【0212】
GST担体の除去を、全ての融合タンパク質について、プロテアーゼによる切断によって行った。
【0213】
切断反応を、グルタチオンセファロースビーズに結合した融合タンパク質を用いて行った。ビーズを、最初に、20mlの洗浄用緩衝液(Tris-HCL、50mM、pH7.5、NaCl、150mM)で1回、次いで、20mlの切断用緩衝液(CaCl2、1.0mMを有する洗浄用緩衝液)で2回平衡化し、最後に、1mlの切断用緩衝液中に再懸濁した。第Xa因子(New England Biolabs(登録商標)Inc.社製)(50単位)を添加して、回転式攪拌機上において、室温で16時間インキュベートした。放出されたタンパク質を、グルタチオンビーズをペレット化し(800g、2分、rtp)、上清を留保することによって回収した。ビーズを、1mlの洗浄用緩衝液で2回洗浄し、毎回、上清を留保した。各上清の一定分量及び残存するグルタチオンビーズを、SDS-PAGEによって分析した。ビーズを、洗浄用緩衝液2(Tris-HCL、50mM、pH8.0)で3回洗浄し、3mlの、5.0mM還元型グルタチオンを含有する洗浄用緩衝液2を用いて、室温で2分間溶出させ、その後、ビーズをペレット化し(800g、2分、rtp)、上清を留保した。この溶出を、2回繰り返し、各分画の純度をSDS-PAGEによって分析した。
【0214】
ビーズを、洗浄用緩衝液2(Tris-HCL、50mM、pH8.0)で3回洗浄し、3mlの、5.0mM還元型グルタチオンを含有する洗浄用緩衝液2を用いて、室温で2分間溶出させ、その後、ビーズをペレット化し(800g、2分、rtp)、上清を留保した。この溶出を、2回繰り返し、各分画の純度をSDS-PAGEによって分析した。
【0215】
全部のタンパク質を、5リットルの20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中、4℃で一晩かけて、2回透析した。
【0216】
透析後、いずれの不溶性物質も、遠心分離(10000g、2分、4℃)によって取り出し、次いで、−70℃で保存した。
【実施例5】
【0217】
マウスにおける、Se1631、Se1681又はSlaのサブユニットワクチン投与及びストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の防御
BalbCマウス、3/4週齢、雌の20匹を1群として、これらのマウスに、Se1631、Se1681及びSlaのストレプトコッカス・エクイのペプチドのそれぞれを用いてワクチン接種し、GST+アジュバントの対照群を含めた。この群の大きさは、マウスの50%の防御、及び対照の80%の感染を検出するのに十分であった。ワクチン接種も、攻撃誘発も施さない5匹のマウスの追加の対照群も含めた(表7を参照)。
【0218】
Se1631、Se1681358及びSlaの3種のストレプトコッカス・エクイのサブユニットワクチンを使用した。全てのこれらのワクチンは、実施例4で得たストレプトコッカス・エクイのタンパク質を使用した。
【0219】
組換えタンパク質を、ワクチン接種のために、0.02Mリン酸緩衝液、pH7.4中で1.5mg/mlにセントリコンによって濃縮し、TS6アジュバント(US-A-2005/0079185の実施例1)の2部を添加することによって調製した。
【0220】
マウスに、第0日にワクチン接種し、第28日には追加免疫した。IMワクチン接種は、以下の表に従って、第0日には左後肢に、第28日には右後肢に投与した。IMワクチン接種は、ピペットから、マウスの鼻孔上に投与するものとする。
【0221】
血液を、ワクチン接種の前、追加免疫の前、及び攻撃誘発の前に得て、ワクチン接種に対する抗体の応答レベルを決定した。
【0222】
マウスを、さらに2週間が経過してからストレプトコッカス・エクイを用いて攻撃誘発した。ストレプトコッカス・エクイ株4047は、実施例3の記載に従って調製した。必要な用量まで希釈した後、閉鎖環境中で、10μlを、鎮静させたマウスに鼻腔内経路から投与した。マウスを、注意深くモニターして、確実に鎮静から回復させ、疾患の臨床的な徴候の出現を定期的に調べた。これらには、倦怠、振戦又は毛皮の凝視が含まれ、これらは、中等度の作用の徴候とみなされ、より重症の作用が出現する恐れがあった。
【0223】
【表7】

【0224】
臨床的な観察を、研究を通して毎日記録し(スコア化の方法については、表4を参照)、ワクチン接種前、追加免疫前、攻撃誘発前、次いで、攻撃誘発後は毎日、マウスの体重を測定した。攻撃誘発後のマウスから鼻の拭き取りを得て、ストレプトコッカス・エクイの脱落のレベルを定量化した。
【0225】
疾患の臨床的な徴候が、D44、すなわち、攻撃誘発の2日後から認められた。ワクチン接種群は、一般的に、対照群よりも低い臨床的な徴候を示した。Se1631を用いてワクチン接種したマウスは、最も低い、疾患の臨床的な徴候を示した。Se1681及びSlaを用いてワクチン接種したマウスは、疾患の臨床的な徴候を、対照と比較して、より短い期間示した(図4)。
【0226】
攻撃誘発後の体重のパーセント変化の平均を、攻撃誘発の日(D42)と比較して調べると、Se1681、Se1631及びSlaを用いてワクチン接種した群では、体重減少がわずかに低下することが明らかであった。Slaを用いてワクチン接種したマウスは、防御の程度が低いように見えた(図5)。
【0227】
予想されたように、鼻の拭き取りから単離したβ溶血性細菌の数の平均は、攻撃誘発後に増加し、対照群の場合には、D49(攻撃誘発の7日後)に頂点に達した。D49には、Se1631及びSe1681を用いてワクチン接種した群において、鼻の拭き取りスコアが最低となった。ワクチン接種群は、一般に、対照群よりも低いスコアを有した。例外は、Slaを用いてワクチン接種したマウスであり、D48で、頂点に達した(図6)。生存しており、体重の減少が7%以下であるマウスの割合を調べると(図7)、対照群と比較して、Se1631、Se1681及びSlaを用いてワクチン接種した群の体重減少はより少なく、生存率はより高いことが明らかであった。
【0228】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、上記の段落によって定義される本発明は、上記の説明に記載する特定の詳細に限定されるわけではなく、多くのそれらの明らかな変形形態が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】ストレプトコッカス・エクイを用いて攻撃誘発した後の、ワクチン接種マウス及び対照マウスの臨床スコアの平均を示すグラフである。
【図2】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、ワクチン接種マウス及び対照マウスの体重のパーセント変化の平均を示すグラフである。
【図3】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、ワクチン接種マウス及び対照マウスの鼻の拭き取りスコアの平均を示すグラフである。
【図4】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、Se1631,Se1681、Slaによるワクチン接種マウス及び対照マウスの臨床スコアの平均を示すグラフである。
【図5】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、Se1631,Se1681、Slaによるワクチン接種マウス及び対照マウスの体重のパーセント変化の平均を示すグラフである。
【図6】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、Se1631,Se1681、Slaによるワクチン接種マウス及び対照マウスの鼻の拭き取りスコアの平均を示すグラフである(コロニー形成単位(cfu)で表す)。
【図7】ストレプトコッカス・エクイによる攻撃誘発後の、Se1631,Se1681、Slaによるワクチン接種マウス及び対照マウスについて、生存しており、体重の減少が7%以下であるマウスのパーセントを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片を含むワクチン。
【請求項2】
ポリペプチドが、配列番号34、36、38、40、54、56及び58に示すアミノ酸配列を有する断片、又はそのアナログである、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
少なくとも1つの組換えベクターと、
配列番号20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片をコードする、前記ベクター中に挿入された少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含むワクチンであって、前記ベクターが、連鎖球菌感染に感受性の哺乳動物中で、前記ポリペプチドをインビボで発現することができるワクチン。
【請求項4】
ポリペプチドが、配列番号34、36、38、40、54、56及び58に示すアミノ酸配列を有する断片、又はそのアナログである、請求項3に記載のワクチン。
【請求項5】
少なくとも1つの組換えベクターと、該ベクター中に挿入された少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含むワクチンであって、前記ポリヌクレオチドが、配列番号19、21、23、25、33、35、37、39、47、49、51、53、55及び57に示すヌクレオチド配列、又はそのアナログを有し、前記ベクターが、連鎖球菌感染に感受性の動物中で、前記ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドをインビボで発現することができるワクチン。
【請求項6】
ベクターが発現ベクターである、請求項3〜5のいずれかに記載のワクチン。
【請求項7】
ベクターが、プラスミド、ウイルス、とりわけポックスウイルス、ウマヘルペスウイルス(EHV)、ヒトアデノウイルス、ウマ脳炎ウイルスである、請求項6に記載のワクチン。
【請求項8】
ワクチンが、ストレプトコッカス・エクイの感染によって引き起こされる腺疫からウマ科動物を防御するワクチンである、請求項1〜7のいずれかに記載のワクチン。
【請求項9】
ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御するサブユニットワクチンの製造における、配列番号20、22、24、26、48、50及び52に示すアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、若しくはそのアナログ、又はその断片の使用。
【請求項10】
ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御するサブユニットワクチンの製造における、配列番号34、36、38、40、54、56及び58に示すアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、又はそのアナログの使用。
【請求項11】
ストレプトコッカス・エクイの感染からウマ科動物を防御する組換えワクチンの製造における、請求項3〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの組換えベクターの使用。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片に特異的な少なくとも1つの抗体を含む抗体調製物であって、前記抗体が、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体、又は前記抗体の断片である抗体調製物。
【請求項13】
連鎖球菌による感染を検出するための診断用キットであって、請求項1又は2に記載の少なくとも1つのポリペプチド若しくはそのアナログ又はその断片、或いは請求項12に記載の抗体調製物を含むキット。
【請求項14】
連鎖球菌による感染を検出するための診断方法であって、請求項13に記載の診断用キットを使用するステップと、ポリペプチド又は該ポリペプチドに特異的な抗体を試料中で検出するステップとを含む方法。
【請求項15】
請求項12に記載の抗体調製物を、連鎖球菌による感染に感受性である、又は連鎖球菌に感染した哺乳動物に投与するステップを含む受動免疫の方法。
【請求項16】
抗体調製物を、ストレプトコッカス・エクイによる感染に感受性である、又はストレプトコッカス・エクイに感染したウマに投与するステップを含む、請求項15に記載の受動免疫の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10764(P2013−10764A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173146(P2012−173146)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2009−503260(P2009−503260)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】