説明

連鎖球菌性莢膜糖の複合

【課題】連鎖球菌性莢膜糖の複合の提供。
【解決手段】ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)の莢膜糖を用いて使用される3つの複合方法。第1の方法では、酸化されたシアル酸残基側鎖の還元アミノ化を使用するが、そのアルデヒド基を最初にアミノ化し、次いで得られたアミンを担体にリンカーによって連結する。第2の方法では、シアル酸残基及び/又はN−アセチル−グルコサミン残基を脱−N−アセチル化してアミン基を得、該アミン基を担体タンパク質にリンカーによって連結する。第3の方法では、結合は、シアル酸残基よりもむしろ莢膜糖のガラクトース残基によるものであって、ガラクトースオキシダーゼを使用して都合よく達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で引用した全ての文献は、その全体を参照することにより援用する。
【0002】
本発明は、複合糖質を形成するために細菌性莢膜糖を担体に複合させる分野に入る。複合糖質は、免疫処置に有用である。
【背景技術】
【0003】
細菌の莢膜糖は、莢膜を有する細菌に対するワクチンに長年使用されている。しかし、糖質はT細胞非依存性抗原であるので、免疫原性が低い。担体への複合は、T細胞非依存性抗原をT細胞依存性抗原に転化させることができ、それによって記憶応答を高め且つ防御免疫を発達させる。従って、最も有効な糖質ワクチンは、複合糖質に基づくものであり、始原型複合ワクチンはヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型(「Hib」)に対するものであった[例えば、非特許文献1(参考文献78)の第14章参照]。
【0004】
複合ワクチン用に記載されている別の細菌は、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)であり、「B群連鎖球菌」として、又は単に「GBS」としても知られている。この研究の多くは、Dennis Kasperとその同僚達によって行われており、参考文献1〜9などの文献に記載されている。GBS糖の複合のためのKasper法は、典型的には、精製された糖を破傷風トキソイド(TT)又はCRM197などの担体タンパク質に還元アミノ化することを含む[非特許文献2(参考文献2)]。この還元アミノ化は、担体のアミノ酸の側鎖のアミン基及び糖のアルデヒド基を含む。GBS莢膜糖類はこれらの天然型にアルデヒド基を含有していないので、この場合にはアルデヒド基は、図1に示すように、複合の前に糖のシアル酸残基の一部の過ヨウ素酸酸化によって生成する[非特許文献2(参考文献2)、特許文献1(参考文献10)]。
【0005】
GBS血清型Ia、Ib、II、III、及びVのそれぞれについてこのよう方法で調製された複合ワクチンは、ヒトにおいて安全であり、免疫原性であることが明らかにされている[非特許文献3(参考文献11)]が、GBS莢膜糖の複合体を調製する別のより良い方法に対する要求が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4356170号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】PlotkinおよびOrensteinら編、Vaccines(2004年)ISBN 0−7216−9688−0
【非特許文献2】Wesselsら、J Clin Invest(1990)86:1428〜33
【非特許文献3】PaolettiおよびKasper Expert Opin Biol Ther 3:975〜84
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の開示)
本発明は、従来技術に開示されている直接還元アミノ化の代わりに使用できる3つの複合方法に基づく。これらの方法は全て、(a)シアル酸残基を従来技術よりも天然多糖に見られる型に近い型で保持すること、及び(b)担体に対する結合を向上させるために、複合化反応においてリンカーの使用を可能にすることを目的とする:
・ 第1の方法では、酸化されたシアル酸残基側鎖の還元アミノ化を使用するが、アルデヒド基を最初にアミノ化し、次いで得られたアミンを担体にリンカーによって結合する。この方法は、図2の「経路A」に示される。
・ 第2の方法では、シアル酸残基及び/又はN−アセチル−グルコサミン残基を脱−N−アセチル化してアミン基を得、アミン基を担体タンパク質にリンカーによって結合する。この方法は、図2の「経路B」に示される。
・ 第3の方法では、結合は、シアル酸残基よりもむしろ莢膜糖のガラクトース残基による。この方法は、シアル酸残基によって形成されるキーエピトープを分解することを回避する。
【0009】
従って、第1の態様において、本発明は、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S.
agalactiae)莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、(a)ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖を酸化して、糖の少なくとも1個の末端シアル酸残基にアルデヒド基を導入し;(b)該アルデヒド基を、アンモニア又は第1級アミンを用いて還元アミノ化に供して−CH−結合アミンを得;(c)該−CH−結合アミンを二官能性リンカーと反応させて、活性化糖を得;そして(d)活性化糖を担体分子と反応させ、それによって複合体を得る工程を含む方法を提供する。本発明はまた、リンカー部分によって担体に結合されたストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖部分を含み、リンカー部分が莢膜糖部分のシアル酸残基に結合されている複合体を提供する。
【0010】
第2の態様において、本発明は、ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、(a)莢膜糖を脱−N−アセチル化して、脱−N−アセチル化糖を得;(b)脱−N−アセチル化された糖を二官能性リンカーと反応させて、活性化糖を得;そして(c)該活性化糖を担体分子と反応させて、それによって複合体を得る工程を含む方法を提供する。該方法は、工程(a)と(b)との間に、糖の部分的再N−アセチル化の工程を含んでいてもよい。
【0011】
第3の態様において、本発明は、莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、(a)莢膜糖を酸化して該糖の少なくとも1個のガラクトース残基にアルデヒド基を導入して、修飾されたガラクトース残基を得;そして(b)修飾されたガラクトース残基を担体分子に連結させる工程を含む方法を提供する。工程(b)での連結は、直接であってもよいし、又はリンカー分子によるものであってもよい。本発明はまた、担体にリンカー部分を介して結合された莢膜糖部分を含み、リンカー部分が莢膜糖部分のガラクトース残基に結合されている複合体を提供する。ガラクトース残基の酸化は、ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖の複合に特に有用であるが、この方法はまた、例えば髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(血清群W135)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(例えば、0139)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(例えば、K21)、大腸菌(例えば、K52)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(例えば、型18C)などにおいてガラクトース含有莢膜糖を有するその他の細菌と共に使用するのにも適している。この方法は、ガラクトース含有リポ多糖及びリポオリゴ糖と共に使用することもできる。ガラクトースが糖の末端残基である場合に特に有用である。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、該方法は、
(a)ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖を酸化して、該糖の少なくとも1個の末端シアル酸残基にアルデヒド基を導入する工程;
(b)該アルデヒド基を、アンモニア又は第1級アミンを用いて還元アミノ化に供して、−CH−結合アミンを得る工程;
(c)該−CH−結合アミンを二官能性リンカーと反応させて、活性化糖を得る工程;そして
(d)該活性化糖を担体分子と反応させ、それによって該複合体を得る工程、
を包含する、方法。
(項目2)
リンカー部分によって担体に結合されたストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖部分を含む複合体であって、該リンカー部分が該莢膜糖部分のシアル酸残基に結合されている、複合体。
(項目3)
項目1に記載の方法によって得ることができる、項目2に記載の複合体。
(項目4)
前記糖がGBS血清型Ia、Ib、II、III又はVの1つに由来する、項目1〜3のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目5)
前記糖がその天然型を有する、項目1〜4のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目6)
前記糖がその天然莢膜糖よりも短い、項目1〜4のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目7)
前記糖が天然莢膜糖に関して化学的に修飾される、項目1〜4のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目8)
前記糖が脱−O−アセチル化される(部分的又は完全に)、項目7に記載の複合体又は方法。
(項目9)
前記糖が脱−N−アセチル化される(部分的又は完全に)、項目7に記載の複合体又は方法。
(項目10)
前記担体がジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、CRM197、ヒト血清アルブミン、種々の病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインD、又はストレプトコッカス・アガラクティエタンパク質である、項目1〜9のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目11)
前記担体が前記糖に該担体の−NH基によって結合される、項目1〜10のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目12)
前記複合体が1:5〜5:1の糖:タンパク質比(w/w)を有する、項目1〜11のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目13)
アルデヒド基が全シアル酸単糖単位の5%〜50%に導入される、項目1〜12のいずれか1項に記載の複合体又は方法。
(項目14)
複合後に、遊離糖及び複合糖を分離する、項目1〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
工程(a)が前記アルデヒドを化学的に導入する、項目1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
工程(a)が近接ヒドロキシドを酸化するために過ヨウ素酸塩の使用を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
還元アミノ化がアンモニア又は第1級アミン(NHR)のいずれかを含む、項目1〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
還元アミノ化がアンモニウム塩を還元剤と共に含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記二官能性リンカーがヘテロ二官能性である、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記二官能性リンカーがホモ二官能性である、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記糖及び前記担体の両方との反応がアミンを含み、且つ該リンカーが式X−L−Xを有し、ここで、2つの基Xは相互に同じであり且つ該アミンと反応することができ;そしてLは該リンカーの結合性部分である、項目20に記載の方法。
(項目22)
XがN−オキシスクシンイミドである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記リンカーがアジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステルである、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記糖を、必要ならば、還元アミノ化に先立って実質的に全部再−N−アセチル化する、項目1〜23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
個々の糖が多数の担体に結合される、項目1〜24のいずれか1項に記載の方法又は複合体。
(項目26)
ストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、該方法は、
(a)該莢膜糖を脱−N−アセチル化して、脱−N−アセチル化された糖を得る工程;
(b)該脱−N−アセチル化された糖を二官能性リンカーと反応させて、活性化糖を得る工程;そして
(c)該活性化糖を担体分子と反応させ、それによって該複合体を得る工程、
を包含する、方法。
(項目27)
莢膜糖と担体分子との複合体の製造方法であって、該方法は、
(a)該莢膜糖の少なくとも1個のガラクトース残基にアルデヒド基を導入するために、該莢膜糖を酸化して、修飾されたガラクトース残基を得る工程;そして
(b)該修飾されたガラクトース残基を担体分子に連結する工程、
を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、末端シアル酸残基の過ヨウ素酸酸化を表す。
【図2】図2は、本発明の第1の態様及び第2の態様を図解する。
【図3】図3は、GBS血清型Ia、Ib、II、III及びVの莢膜糖の反復構造を表す。
【図4】図4は、GBS血清型Iaの反復構造とGBS血清型IIIの反復構造との間の相違を表す。
【図5】図5は、製造することができる2種類の複合体を表す。
【図6】図6は、本発明の第1の態様の、アジピン酸のスクシンイミジルジエステルを使用する好ましい複合化反応を表す。
【図7】図7は、本発明の第2の態様の、アジピン酸のスクシンイミジルジエステルを使用する好ましい複合化反応を表す。
【図8】図8は、末端シアル酸残基の酸化によって形成されるアルデヒドの還元アミノ化の後の、複合体を調製するためのアクリロイル化の使用を表す。
【図9】図9は、末端シアル酸残基の酸化によって形成されるアルデヒドの還元アミノ化の後の、複合体を調製するためのハロアシルハライドの使用を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
莢膜糖
本発明は、ストレプトコッカス・アガラクティエの莢膜糖に基づく。莢膜多糖は、GBSのペプチドグリカン主鎖に共有結合しており、ペプチドグリカン主鎖に結合している別の糖であるB群抗原と異なる。
【0014】
GBS莢膜多糖は、化学的には関連があるが、抗原的には極めて異なる。全てのGBS莢膜多糖は、次の三糖コア:
β−D−GlcpNAc(1→3)β−D−Galp(1→4)β−D−Glcp
を共有する。
【0015】
種々のGBS血清型は、このコアが修飾される方法によって異なる。血清型IaとIIIとの間の違いは、例えば、連続した三糖コアを結合するためのこのコアにGlcNAc(Ia)又はGal(III)のいずれかを使用することに起因する(図4)。血清型Ia及びIbは両方共に、コアのGlcNAcに結合された[α−D−NeupNAc(2→3)β−D−Galp(1→]二糖を有するが、その結合は1→4(Ia)又は1→3(Ib)である。
【0016】
GBS関連疾患は、主として血清型Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIに起因し、その90%を超える疾患は、5つの血清型:Ia、Ib、II、III及びVによって引き起こされる。本発明は、好ましくはこれら5つの血清型の1つからの糖を使用する。図3に示すように、これらの5つの血清型のそれぞれの莢膜糖は、(a)全ての場合においてガラクトース残基に2→3で結合されている末端N−アセチル−ノイラミン酸(NeuNAc)残基(一般にシアル酸と呼ばれる);及び(b)三糖コア内にN−アセチル−グルコサミン残基(GlcNAc)を含む。
【0017】
5つの糖は全て、三糖コア内にガラクトース残基を含むが、血清型Ia、Ib、II及びIIIもまたそれぞれの反復単位に追加のガラクトース残基を含有し、血清型IIの糖は反復単位当たり3個のガラクトース残基を含有する。本発明の第3の態様において、複合化反応に関与するガラクトース残基は、三糖コア内の残基であってもよいし又は三糖コア外の残基であってもよい。単一の糖分子が多数の担体分子に結合される場合には、結合は種々の結合された反復単位に同様に配置されたガラクトースを含むことが好ましいが、異なる反復単位に種々に別々に配置されたガラクトース残基に結合することもできる。
【0018】
本発明に従って使用される糖類は、その天然型であってもよいし、又は修飾されていてもよい。例えば、糖は、天然の莢膜糖よりも短くてもよいし、又は化学修飾されていてもよい。
【0019】
従って、本発明に従って使用される糖は、天然に見出されるように実質的に完全な長さの莢膜多糖であってもよいし、又は天然の長さよりも短くてもよい。完全な長さの多糖は、本発明で使用される短い断片を得るために、例えば弱酸中での加水分解によって、加熱によって、サイズクロマトグラフィーなどによって解重合させてもよい。鎖長はウサギにおいてGBS糖の免疫原性に影響を及ぼすことが報告されている[4]。
【0020】
エンド−β−ガラクトシダーゼによる血清型III莢膜糖の解重合が、例えば破傷風トキソイド担体と複合体を形成するために、解重合された物質を使用することを含めて、報告されている[参考文献1及び4〜6]。GBS血清型II、III及びVIII由来の莢膜多糖のオゾン分解も解重合に使用されている[12]。>30kDaのMWをもつ糖を使用することが好ましく、実質的に完全な長さの莢膜多糖を使用することができる。血清型Iaについては、〜145kDaまでのMWをもつ多糖を使用することが好ましい。血清型Ibについては、〜50kDaまでのMWをもつ多糖を使用することが好ましい。血清型IIIについては、〜50kDaまでのMWをもつ多糖を使用することが好ましい。これらの分子量は、デキストラン標準、例えばPolymer Standard Serviceから入手できるデキストラン標準に対してゲル濾過によって測定することができる[13]。
【0021】
糖は、天然に見出されるように莢膜糖に関して化学修飾されていてもよい。例えば、糖は脱−O−アセチル化されていてもよく(部分的に又は完全に)、脱−N−アセチル化等されていてもよく(部分的又は完全に)、N−プロピオン化されていてもよい(部分的又は完全に)。脱アセチル化は、複合化の前に、間に又は後に生じてもよいが、複合化の前に生じることが好ましい。具体的な糖に応じて、脱アセチル化は、免疫原性に影響を及ぼしてもよいし又は及ぼさなくてもよく、例えばNeisVac−C(商標)ワクチンは脱−O−アセチル化された糖を使用し、これに対してMenjugate(商標)は、アセチル化されるが、両方のワクチンが有効である。種々の血清型におけるGBS糖に対するO−アセチル化の関連性が参考文献14で論じられており、複合化の前に、間に又は後に、例えば保護/脱保護によって、再アセチル化などによって7位、8位及び/又は9位のシアル酸残基のO−アセチル化を保持することが好ましい。脱アセチル化などの効果は、常用のアッセイで評価することができる。
【0022】
莢膜糖は、本明細書における参考文献に記載されるように、公知の方法で精製することができる。典型的な方法としては、塩基抽出、遠心分離、濾過、RNアーゼ/DNアーゼ処理、プロテアーゼ処理、濃縮、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過、陰イオン交換クロマトグラフィー、及び別の限外濾過が挙げられる。酵素ムタノリシン(これは、細菌細胞壁を切断して細胞壁成分を取り除く)を用いたGBS細胞の処理も有用である。
【0023】
別法として、参考文献15に記載された精製方法を使用することができる。これは、塩基抽出、エタノール/CaCl処理、CTAB沈降、及び再可溶化を含む。
【0024】
本発明は、天然源から精製された糖類に限定されないが、糖類は他の方法、例えば全合成又は部分合成によって得てもよい。
【0025】
担体
本発明は、担体分子(これは典型的にはタンパク質である)の使用を含む。一般的に、担体に対する糖類の共有結合による複合は、それが糖類をT細胞非依存性抗原からT細胞依存性抗原に転化させることから、糖類の免疫原性を高め、従って免疫記憶を与える(priming)ことを可能にする。複合は、小児用ワクチンに特に有用であり[例えば、参考文献16]、周知の技術である[例えば、参考文献17〜25に記載されている]。
【0026】
好ましい担体タンパク質は、細菌毒素又はトキソイド、例えばジフテリアトキソイド又は破傷風トキソイドである。ジフテリア毒素のCRMl97突然変異体[26〜28]は、ジフテリアトキソイドであるので、特に好ましい担体である。他の適当な担体タンパク質としては、髄膜炎菌外膜タンパク質[29]、合成ペプチド[30、31]、熱ショックタンパク質[32、33]、百日咳タンパク質[34、35]、サイトカイン類[36]、リンホカイン類[36]、ホルモン類[36]、増殖因子類[36]、ヒト血清アルブミン(好ましくは、組換え体)、種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含有する人工タンパク質[37]、例えばN19[38]、ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)由来のタンパク質D[39、40]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[41]、肺炎球菌溶血素[42]、鉄取り込みタンパク質[43]、クロストリジウム・デフィシレ(C. difficile)由来の毒素A又はB[44]、GBSタンパク質(以下を参照;特にGBS67)[195]などが挙げられる。
【0027】
担体に対する付着は、例えば担体タンパク質のリシン残基又はアルギニン残基の側鎖の−NH基によることが好ましい。糖が遊離アルデヒド基を有する場合には、これは担体のアミンと反応して還元アミノ化によって複合体を形成することができる。本発明の第3の態様は、糖における酸化されたガラクトース(それからアルデヒドが形成される)及び担体又はリンカーにおけるアミンを必要とする還元アミノ化に基づくものであり得る。付着はまた、例えばシステイン残基の側鎖の−SH基によるものであってもよい。
【0028】
例えば担体抑制の恐れを減らすために2個以上の担体タンパク質を使用することができる。従って、種々の担体タンパク質を種々のGBS血清型に使用することができ、例えば血清型Ia糖はCRM197に複合させ得、一方で血清型Ib糖は破傷風トキソイドに複合させ得る。特定の糖抗原に2種以上の担体タンパク質を使用することもでき、例えば血清型III糖は2つの群にあり得、そのあるものはCRM197に複合し、他方は破傷風トキソイドに複合する。しかし、一般的に、全ての糖に同じ担体タンパク質を使用することが好ましい。
【0029】
単一の担体タンパク質は、2以上の糖抗原を担持し得る[45、46]。例えば、単一の担体タンパク質は、それを血清型Ia及びIb由来の糖を複合していてもよい。この目的を達成するために、種々の糖を複合化反応に先立って混合することができる。しかし、一般的に、それぞれの血清群について別々の複合体を有することが好ましく、種々の糖が複合後に混合される。別々の複合体は、同じ担体に基づくものであり得る。
【0030】
1:5(すなわち、過剰のタンパク質)〜5:1(すなわち、過剰の糖)の間の糖:タンパク質比(w/w)を有する複合体が好ましい。1:2〜5:1の間の比が、1:1.25〜1:2.5の間の比であるので、好ましい。1:1〜4:1の間の比も好ましい。より長い糖鎖について、過剰量の糖が典型的である。実施例に示すように、1:1〜4:1、特に1:1〜3:1の間の重量比が、容易に達成できる。一般的に、本発明は、担体に結合されたストレプトコッカス・アガラクティエ莢膜糖部分を含み、糖質:担体の重量比が少なくとも2:1である複合体を提供する。
【0031】
組成物は、少量の遊離の担体を含有していてもよい[47]。所定の担体タンパク質が本発明の組成物に遊離形及び複合形の両方で存在する場合には、未複合形は、好ましくは全体として組成物中の担体タンパク質の全体量の5%以下であり、さらに好ましくは2重量%未満で存在する。
【0032】
複合後に、遊離糖及び複合糖は分離することができる。多数の適当な方法、例えば疎水性クロマトグラフィー、接線限外濾過、膜分離法などがある[参考文献48及び49なども参照]。
【0033】
本発明の組成物が解重合オリゴ糖を含有する場合には、解重合は複合に先立つことが好ましい。
【0034】
アルデヒド基の導入
本発明の第1の態様は、アルデヒドを形成するためのシアル酸の酸化を包含し、第3の態様はアルデヒドを形成するためのガラクトースの酸化を包含する。次いで、アルデヒドは、還元アミノ化などの反応に使用することができる。
【0035】
アルデヒドを得るためのヒドロキシルの酸化は、化学的に又は酵素的に達成することができる。これらの反応は、典型的には水性条件で行われるであろう。
【0036】
還元アミノ化のためのアルデヒド基を導入することを目的とした、GBS糖におけるシアル酸の酸化方法は、当該技術では公知である[例えば、参考文献50]。シアル酸中にアルデヒドを生成させる典型的な反応は、隣接ヒドロキシドを酸化するために、過ヨウ素酸塩、特にメタ過ヨウ素酸塩(例えば、メタ過ヨウ素酸ナトリウム又はカリウム、例えばNaIO)の使用を包含する[10]。過ヨウ素酸塩酸化は、少なくとも血清群II[3、50]、III[2]及びV[50]について報告されている。その他の酸化条件、例えば四酸化オスミウムなどの使用が使用できる。
【0037】
本発明の第3の態様では、酸化される−OHは、C−6に結合されている第1級−OH(すなわち、第2級又は芳香族性−OH基ではない)であることが好ましい。従って、ガラクトースをガラクトヘキソジアロースに転化させることが好ましい。これは、ガラクトースオキシダーゼを使用して、適当な供給源から〔例えば、フザリウム(Fusarium)菌、又はダクチリウム・デンドロイデス(Dactylium dendroides)から〕都合よく達成することができる。酵素は、組換え体で使用できるし、又はその天然源から精製することができる。ガラクトースオキシダーゼはEC番号1.1.3.9を有し、D−ガラクトース:酸素6−オキシドレダクターゼとしても知られている。この酵素は、銅イオン補因子を使用し、シアン化物、ジエチルジチオカーバメート、アジド及びヒドロキシルアミンで阻害することができ、それゆえに酸化に先立つこれらの試薬の使用は回避されることが好ましい。ダクチリウム・デンドロイデス(D. dendroides)について最適なpHは、中性近辺であり、従って酸化に好ましいpHである。酵素反応の生成物はH(還元酸素)であり、この生成物の濃度は、例えばその存在が糖に被害を与える場合には、制御することができる。
【0038】
従って、シアル酸及びガラクトースの両方について、好ましい酸化反応は、単糖中に末端炭素原子、すなわち標準命名法による最も高い番号を付与された炭素を含有する。
【0039】
アルデヒド基を含有させるために転化される糖鎖の単糖サブユニットの割合は、種々の反応条件により制御することができる。例えば、参考文献50は、血清型IIのGBS多糖の制御された過ヨウ素酸塩酸化がガスクロマトグラフィー−質量分光分析により測定されるようにシアル酸残基の7%の修飾をもたらし、さらに高い割合が血清型VのGBS多糖について認められることを報告している。参考文献2は、血清型IIIについて25%の転化率を報告している。反応条件(例えば、時間、温度、濃度など)の予備的調査は、所望の最終結果について最適な条件を見出すために行うことができる。
【0040】
一般的に、糖内の全シアル酸又はガラクトース単糖単位の5%〜50%(例えば10〜40%、好ましくは15%〜30%;又は5%〜20%)にアルデヒド基を導入することが好ましい。さらに高い割合は、対応する免疫原性の増大なしに、取り扱うことがより困難である糖類をもたらす。
【0041】
還元アミノ化
本発明の第1の態様では、新しいアルデヒド基の還元アミノ化は、リンカーの結合用の基を得るのに使用される。還元アミノ化はまた、リンカーを結合するために又は担体に直接結合させるために、アルデヒド基が生成した後に本発明の第3の態様で使用することもできる。還元アミノ化は、有機化学での標準的な技術であり、ワクチン用途の莢膜糖の複合体の製造に広く使用されている。
【0042】
第1の態様では、還元アミノ化は、アンモニア又は第1級アミン(NHR)を含む。これは、アンモニウム塩(例えば塩化アンモニウム)を適当な還元剤(例えば、水素化シアノホウ素ナトリウムNaBHCNなどの水素化シアノホウ素;ボラン−ピリジン;トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム;水素化ホウ素交換樹脂;など)と組み合わせて使用することによって都合よく達成することができる。還元アミノ化の結果は、シアル酸のC−8が=Oよりもむしろ−NHRを有することである。次いで、この基は、複合のために二官能性リンカーの結合に使用することができる。
【0043】
第3の態様では、酸化されたガラクトースはC−6上にアルデヒド基を有する。この基は、上記の方法と同じ方法で、すなわちアンモニア又は第1級アミンを含む還元アミノ化で二官能性リンカーに連結することができる。別法として、還元アミノ化は、アルデヒドを担体に、リンカーを使用せずに、担体上のアミン基を利用することによって直接結合するのに使用することができる。
【0044】
還元アミノ化は、一般に極性プロトン性溶媒、例えば水又はアルコール中で行われる。
【0045】
二官能性リンカー
本発明の第1及び第2の態様(並びに、場合によっては、第3の態様)は、二官能性リンカーの使用を含む。二官能性リンカーは、修飾された莢膜糖のアミン基に連結するための第1の基及び担体に連結するための(典型的には、担体のアミンに連結するための)第2の基を提供するのに使用される。
【0046】
二官能性リンカーの第1の基は、従って、修飾されたシアル酸(又はガラクトース)残基のアミン基(−NHR)と反応することができる。この反応は、典型的にはアミンの水素の求電子置換を伴う。二官能性リンカーの第2の基は、担体上のアミン基と反応することができる。この反応もまた、典型的にはアミンの求電子置換を含む。本発明は、異種二官能性リンカー及び同種二官能性リンカーの両方を使用することができる。
【0047】
糖及び担体の両方との反応がアミン類を含む場合には、式X−L−X(式中:2つの基Xは互いに同一であり且つアミン類と反応することができ;かつLはリンカーの結合部分である)の二官能性リンカーを使用することが好ましい。好ましい基XはN−オキシスクシンイミドである。Lは、好ましくは式−L’−L−L’−(式中、L’はカルボニルである)を有する。好ましい基Lは、1〜10個の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10)を有する直鎖アルキル、例えば−(CH−である。従って、好ましいリンカーは、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル(SIDEA):
【0048】
【化1】

である。
【0049】
他の基Xは、HO−L−OHと組み合わせた場合にエステルを形成する基、例えばノルボラン、p−ニトロ安息香酸、及びスルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドである。
【0050】
本発明で使用するアミン類と反応する別の二官能性リンカーとしては、アクリロイルハライド(例えばクロリド)[54]、ハロアシルハライド[55]、ジスクシンイミジルグルタレート、ジスクシンイミジルスベレート、エチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシネート]などが挙げられる。
【0051】
リンカーは、一般に修飾された糖にモル過剰で加えられるであろう。
【0052】
リンカー/糖の反応は、リンカーが典型的には水に不溶性であるので、一般に非プロトン性溶媒(例えば、DMSO、エタノールアセテートなど)中で行うであろう。しかし、水溶性リンカーを使用する場合には、さらに広い範囲の溶媒、例えば水などのプロトン性溶媒が利用可能である。適当なリンカーとしては、スルホン化体、例えばスルホン化されたSIDEA:
【0053】
【化2】

が挙げられる。
【0054】
脱−N−アセチル化及び再−N−アセチル化
GBS莢膜糖のシアル酸残基は、三糖コア内のグルコサミン残基であるので、N−アセチル化される。本発明の第1の態様がシアル酸のC−8にアルデヒド中間体を介してアミン基を導入するのに対して、本発明の第2の態様は、シアル酸及び/又はN−アセチル−グルコサミン残基の脱−N−アセチル化によって製造されるアミン基を使用する。この方法で製造されるアミンの反応スキームは、概して本発明の第1の態様について記載の反応スキームと同じである。
【0055】
GBS糖の脱−N−アセチル化は、糖を塩基で処理することによって都合よく達成することができる。GBS糖は塩基抽出を伴う方法[51]で精製することができるので、この場合には脱−N−アセチル化は精製中の副反応であり得る。
【0056】
N−アセチル基はGBS糖の重要なエピトープの一部であり得るので、完全な脱−N−アセチル化は望ましくない場合があるが、この方法は制御することが困難である。従って、脱−N−アセチル化の程度が所望の程度よりも大きい場合には、本発明は、制御された再−N−アセチル化の工程を含み得る。再−N−アセチル化は、無水酢酸(CHCO)Oなどの試薬を使用して、例えば5%炭酸水素アンモニウム中で都合よく行なうことができる[52]。しかし、本発明者らは、再−N−アセチル化を使用するよりもむしろ、細菌由来の糖の塩基抽出は、糖を長期保存せずに十分に迅速に行われる場合には、25%未満の脱−N−アセチル化を有する糖を与えることができることを見出した。
【0057】
脱−N−アセチル化及び任意の再−N−アセチル化の結果は、少なくとも1個のシアル酸残基又はグルコサミンが脱−N−アセチル化されている糖である。典型的には、GBS糖のシアル酸残基及びグルコサミン残基の少なくとも60%がN−アセチル化され、例えば≧70%、≧75%、≧80%、≧85%、≧90%などがN−アセチル化される。残っている脱−N−アセチル化された基(すなわち−NH基)は、最終複合体における−NH−が、複合化反応中に添加される糖よりもむしろ元の糖から誘導されるであろうということ以外は、本発明の第1の態様について記載の方法と同じ方法で複合化に使用することができる。
【0058】
これらの脱−アセチル化反応及び再−アセチル化反応は、水性条件中で行なうことができる。
【0059】
アルデヒドを還元アミノ化する本発明の第1及び第3の実施形態では、糖は、アミノ化されたアルデヒドに別の方法で別の結合基を提供するであろうシアル酸上の遊離アミン基の存在を避けるために、還元アミノ化に先立って(好ましくは、第3の態様のガラクトースの酸化に先立って)実質的に完全に再−N−アセチル化されることが好ましい。
【0060】
複合体
本発明の複合体は、修飾されたGBS糖類を担体と適当な反応条件下で混合することによって形成される。一般的に、図5に示すように2種類の複合体:すなわち(a)個々の糖が例えばその還元末端によって単一の担体に結合されている複合体;及び(b)個々の糖が、例えば数個の単糖サブユニットが反応性であるという理由で多数の担体に結合されている複合体を調製することができる。両方の状況において、単一の担体タンパク質は、多数の露出したリシン側鎖を有することができることから、多数の糖分子に結合することができる。
【0061】
タイプ(b)の複合体は、本発明ではより典型的である。その理由は、本発明の修飾されたシアル酸又はガラクトース残基が単一の糖に沿って多数の部位で生じるからである[50]。従って、本発明の好ましい複合体では、単一の糖分子が、平均して2個以上の担体分子に結合される。
【0062】
酸化された糖を複合に使用する本発明の第1及び第3の方法では、糖に結合される担体分子の数は、存在する遊離アルデヒド基の数に依るであろう。上述のように、糖のシアル酸(第1の方法)又はガラクトース(第3の方法)残基の5〜50%が酸化されることが好ましい。
【0063】
本発明の第1及び第2の態様では(場合によっては第3の態様では)、複合体はリンカー部分を含有するであろう。このリンカー部分は、糖にも担体にも由来しないが、複合体調製中に使用される第3の分子であり、最終複合体生成物中の糖及び担体の両方と容易に識別することができる。
【0064】
リンカー部分は、種々の原子、例えば炭素、水素、酸素及び/又は窒素を含有し得る。炭素及び水素を含むリンカーが好ましく、さらに酸素及び/又は窒素を含むリンカーも好ましい。窒素原子を含有するリンカーは、窒素原子に結合された炭素原子を含有し得、これは言い換えると第2の炭素原子に結合されている(−C−N−C−)。酸素原子を含有するリンカーは、酸素原子をカルボニル基の一部として含有することが好ましい。30〜500Daの分子量を有するリンカー部分が好ましい。2個のカルボニル基を含有するリンカーが好ましい。
【0065】
特に好ましいリンカー部分は、−NH−C(O)−(CH−C(O)−(式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である)である。nの値は4であることが好ましい。このリンカーの末端−NH−は、糖部分由来の炭素原子に結合されることが好ましい。末端−C(O)−は、担体のアミノ酸側鎖の窒素原子に結合されることが好ましい。好ましいリンカー部分は、酸化されたシアル酸のアルデヒドの還元アミノ化;得られる−NH基と、二酸〔例えば、アジピン酸、HOOC−(CH−COOH〕のジエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル)である二官能性リンカーとの反応;及び生成物の還元アミノ化を伴う方法で都合よく導入することができる(図6[53]参照)。
【0066】
(本発明の第1の態様の場合のように)導入されていてもよいし又は(本発明の第2の態様の場合のように)脱−N−アセチル化された単糖残基の一部であってもよい糖末端−NHにリンカーを結合するのに使用できる他の化学反応は、
− アクロリル化(例えば、アクリロイルクロリドとの反応による)、次いでアミノ酸側鎖のε−NH又はシステイン側鎖の−SHのいずれかに対するマイケル型の付加[54]。得られるリンカーは、図8に示すような−NH−C(O)−(CH−(プロピオンアミド)であるか、又は存在する−NHが反応に関与する場合には−C(O)−(CH−である。
− ハロアシルハライドとの反応、次いでアミノ酸側鎖のε−NH又はシステイン側鎖の−SHとの反応[55]。このリンカーは、存在するか又は添加された−NHが反応に関与するか否かに応じて、−NH−C(O)−CH−(図9に示す)又は−C(O)−CH−である。
【0067】
別の好ましいリンカー部分は、−C(O)−(CH−C(O)−(式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である)。nの値は4であることが好ましい。このリンカーの一方の末端−C(O)−は、糖部分の窒素炭素原子に結合されることが好ましく、他方の末端−C(O)−は、担体のアミノ酸側鎖の窒素原子に結合されることが好ましい。好ましいリンカー部分は、脱−N−アセチル化された単糖単位の−NH基と、二酸〔例えば、アジピン酸、HOOC−(CH−COOH〕のジエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル)である二官能性リンカーとの反応;及び生成物の還元アミノ化を伴う方法で都合よく導入することができる(図7)。
【0068】
別の選択は、糖のヒドロキシル基による複合化を含む。ヒドロキシルは、活性化させ(例えば、CNBr又はCDAPで)、次いで複合化に供することができる。
【0069】
複合体と他の抗原との組み合わせ
同様に、上記の個々の複合体を提供するとともに、本発明は、本発明の複合体及び1種又はそれ以上の別の抗原を含有してなる組成物を提供する。
【0070】
別の抗原(1種又はそれ以上)は、本発明の別の複合体を含有し得、従って本発明は本発明の2種以上の複合体を含有する組成物を提供する。別の抗原(1種又はそれ以上)は、本発明の方法以外の方法で調製されるGBS糖であってもよく、従って本発明は、第1のGBS糖複合体と第2のGBS糖複合体とを含有してなる組成物であって、第1の複合体が本発明の複合体であり且つ第2の複合体が本発明の複合体ではない組成物を提供する。
【0071】
異なるGBS複合体は、同じGBS血清型由来の種々の型の複合体及び/又は異なるGBS血清型由来の複合体の異なる種類を含有していてもよい。例えば、本発明は、血清型Ia、Ib及びIIIの2種類又は3種類由来の複合体を含有する組成物を提供する。該組成物は、別々の複合体(例えば、それぞれの血清型について異なる複合体)を調製し、次いでこれらの複合体を組み合わせることによって製造されるであろう。
【0072】
別の抗原(1種又は複数)は、以下に挙げるGBSアミノ酸配列を含有し得る。
【0073】
別の抗原(1種又は複数)は、非GBS病原体由来の抗原を含有し得る。従って、本発明の組成物は、1種又はそれ以上の非GBS抗原、例えば追加の細菌性抗原、ウイルス性抗原又は寄生虫抗原を含有する。これらは、以下から選択し得る:
− 髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群B由来のタンパク質抗原、例えば参考文献56〜62に記載のタンパク質抗原。タンパク質「287」(以下を参照)及び誘導体(例えば「ΔG287」)が特に好ましい。
− 髄膜炎菌血清群B由来の外膜小胞(OMV)調製物、例えば参考文献63、64、65、66などに記載のもの。
− 血清群C由来の参考文献67に記載のオリゴ糖又は参考文献68のオリゴ糖等の、髄膜炎菌血清群A、C、W135及び/又はY由来の糖抗原。
− 肺炎連鎖球菌由来の糖抗原[例えば、参考文献69〜71;参考文献78の第22及び23章参照]。
− A型肝炎ウイルス、例えば不活化ウイルス由来の抗原[例えば、参考文献72、73;参考文献78の第15章参照]。
− B型肝炎ウイルス由来の抗原、例えば表面抗原及び/又はコア抗原[例えば、参考文献73、74;参考文献78の第16章参照]。
− C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、参考文献75参照]。
− 百日咳菌(Bordetella perutussis)由来の抗原、例えば百日咳菌由来の百日咳ホロトキシン(PT)及び繊維状赤血球凝集素(FHA)、場合によってはまた、ペルタクチン並びに/又は凝集原2及び3の組み合わせ[例えば、参考文献76及び77;参考文献78の第21章参照]。
− ジフテリア抗原、例えばジフテリアトキソイド[例えば、参考文献78の第13章参照]。
− 破傷風抗原、例えば破傷風トキソイド[例えば、参考文献78の第27章参照]。
− ヘモフィルス・インフルエンザB由来の糖抗原[例えば、参考文献78の第14章参照]。
− 淋菌(N.gonorrhoeae)由来の抗原[例えば、56、57、58]。
− クラミジア肺炎菌(Chlamydia pneumoniae)由来の抗原[例えば、79、80、81、82、83、84、85]。
− クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)由来の抗原[例えば、86]。
− ポルフィロモナス・ジンジバリステン(Porphyromonas gingivalis)由来の抗原[例えば、87]。
− IPVなどのポリオ抗原(1種又はそれ以上)[例えば、88、89;参考文献78の第24章]。
− 凍結乾燥不活化ウイルス[例えば、9l、RabAvert(商標)]などの狂犬病抗原(1種又はそれ以上)[例えば、90]。
− はしか、おたふく風邪及び/又は風疹抗原[例えば、文献78の第19、20及び26章]。
− 赤血球凝集素及び/又はノイラミニダーゼ表面タンパク質などのインフルエンザ抗原(1種又はそれ以上)[例えば、文献78の第17及び18章]。
− モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)由来の抗原[例えば、92]。
− 化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)(A群連鎖球菌)由来の抗原[例えば、93、94、95]。
− 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来の抗原[例えば、96]。
【0074】
糖又は糖抗原を使用する場合には、免疫原性を高めるために担体に複合させることが好ましい。ヘモフィルス・インフルエンザ、髄膜炎菌及び肺炎球菌糖抗原の複合は周知である。
【0075】
毒性タンパク質抗原は、必要ならば解毒し得る(例えば、化学的手段及び/又は遺伝的手段による百日咳毒素の解毒[77])。
【0076】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合には、破傷風抗原及び百日咳抗原を含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合には、ジフテリア及び百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合には、ジフテリア及び破傷風抗原も含むことが好ましい。
【0077】
抗原は、アルミニウム塩に吸着させてもよい。
【0078】
1つの型の好ましい組成物は、性感染病原体、例えば:ヘルペスウイルス;淋菌;パピローマウイルス;クラミジア・トラコマチス(C.trachomatis);などに由来する抗原をさらに含有する。別の型の好ましい組成物は、高齢者及び/又は免疫不全者に影響を及ぼす別の抗原を含有し、従って本発明のGBS抗原は、次の非GBS病原体:インフルエンザウイルス、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus
faecalis)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionellaled pneumophila)、リステリア・モノサイトゲネンス(Listeria monocytogenes)、髄膜炎菌及びパラインフルエンザウイルス由来の1種又はそれ以上の抗原と組み合わせることができる。
【0079】
組成物中の抗原は、典型的にはそれぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在させるであろう。一般的に、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を誘発するのに十分であろう。
【0080】
本発明の組成物にタンパク質抗原を使用する代替として、抗原をコードする核酸を使用してもよい[例えば、参考文献97〜105]。従って、本発明の組成物のタンパク質成分は、該タンパク質をコードする核酸(好ましくは、例えばプラスミドの形のDNA)で置換し得る。
【0081】
実際面で、本発明の組成物に含有させる抗原の数には上限があり得る。本発明の組成物中の抗原(例えばGBS抗原)の数は、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満、12未満、11未満、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、又は3未満であり得る。本発明の組成物中のGBS抗原の数は、6未満、5未満、又は4未満であり得る。
【0082】
医薬組成物及び方法
本発明は、(a)本発明の複合体と(b)製薬学的に許容し得る担体とを含有する医薬組成物を提供する。典型的な「製薬学的に許容し得る担体」としては、組成物を受け入れる個人に有害な抗体の産生をそれ自体誘発しない担体が挙げられる。適当な担体は、典型的には大きくて、徐々に代謝される巨大分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸類、ポリグリコール酸類、高分子アミノ酸、アミノ酸共重合体、スクロース[106]、トレハロース[107]、ラクトース、及び脂質凝集体(例えば油滴又はリポソーム)である。このような担体は、当業者には周知である。ワクチンはまた、希釈剤、例えば水、食塩水、グリセロールなどを含有していてもよい。さらに、補助物質、例えば湿潤又は乳化剤、pH緩衝物質などを存在させてもよい。滅菌発熱物質無含有のリン酸緩衝食塩水が典型的な担体である。製薬学的に許容し得る賦形剤に関する詳細な考察は参考文献108において利用できる。
【0083】
本発明の組成物は、水性形態(すなわち、溶液又は懸濁液)又は乾燥形態(例えば、凍結乾燥体)であり得る。乾燥ワクチンを使用する場合には、注射に先立って、液状媒体中に再構成されるであろう。複合体ワクチンの凍結乾燥は、当該技術において公知であり、例えばMenjugate(商標)製品は凍結乾燥体で提供され、一方でNeisVac−C(商標)及びMeningitec(商標)は水性形態で提供される。複合体を凍結乾燥中に安定化させるために、糖アルコール(例えば、マンニトール)又は二糖(例えば、スクロース又はトレハロース)を、例えば1mg/ml〜30mg/ml(例えば、約25mg/ml)で組成物に含有させることが好ましいものであり得る。
【0084】
組成物は、バイアルで提供してもよいし、又は充填容易な注射器で提供してもよい。注射器は、針をつけて又は針なしで供給し得る。注射器は、単回用量の組成物を含有し、一方でバイアルは単回投与量又は複数回投与量を含有し得る。
【0085】
本発明の水性組成物はまた、凍結乾燥体から別のワクチンを再構成するのにも適している。本発明の組成物がこのような即時再構成に使用されるべきである場合には、本発明は、2個のバイアルから構成又は充填容易な注射器と1個のバイアルとから構成され得るキットを提供する。注射器の内容物は、注射に先立ってバイアルの内容物を再活性化させるのに使用される。
【0086】
本発明の組成物は、単位投与形態又は複数回投与形態で包装し得る。複数回投与形態については、バイアルが予備充填された注射器には好ましい。有効投与用量は、日常的に定めることができるが、組成物の典型的なヒト用量は、例えば筋肉内注射については0.5mlの容量を有する。
【0087】
組成物のpHは、好ましくは6〜8、好ましくは約7である。安定なpHは、緩衝液の使用によって保持し得る。組成物が水酸化アルミニウム塩を含有する場合には、ヒスチジン緩衝液を使用することが好ましい[109]。組成物は、滅菌及び/又は発熱物質無含有であり得る。本発明の組成物は、ヒトに関して等張性であり得る。
【0088】
本発明の組成物は、免疫原性であり、さらに好ましくはワクチン組成物である。本発明のワクチンは、予防のため(すなわち、感染症を予防するため)のものであってもよいし又は治療のため(すなわち、感染症を治療するため)のものであってもよいが、典型的には予防のためのものである。ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(1種又はそれ以上)と、必要ならば任意のその他の成分を含有する。「免疫学的有効量」とは、単回投与で又は一連の一部としてのその量の個人への投与が、治療又は予防に有効であることを意味する。この量は、治療すべき個人の健康及び肉体条件、年齢、治療すべき個人の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個人の免疫系の抗体を合成する能力、所望の保護の程度、ワクチンの製剤、治療医の医学的状況の評価、及びその他の関連因子に応じて変化する。その量は、日常試験によって決定することができる比較的幅広い範囲内にあることが予期される。
【0089】
それぞれの用量内で、個々の糖抗原の量は、一般に1〜50μg(糖の量として測定される)、例えば約1μg、約2.5μg、約4μg、約5μg、又は約10μgであろう。
【0090】
GBSは、体の種々の領域に影響を及ぼし、従って本発明の組成物は種々の形態で調製し得る。例えば、組成物は、注射剤として、溶液又は懸濁液として調製してもよい。組成物は、肺投与のために、微細粉末又は噴霧液を使用する吸入器として調製してもよい。組成物は、坐薬又はペッサリーとして調製してもよい。組成物は、鼻、耳又は眼への投与のために、例えば噴霧液、点滴剤、ゲル又は粉末として調製してもよい[例えば、参考文献110及び111]。肺炎球菌糖類[112、113]、Hib糖類[114]、MenC糖類[115]、並びにHib複合体及びMenC糖複合体の混合物[116]の鼻内投与を用いた成功が報告されている。
【0091】
本発明の組成物は、特に複数回投与形式で包装された場合には抗菌剤を含有してもよい。
【0092】
本発明の組成物は、洗浄剤、例えばTween(ポリソルベート)、例えばTween80を含有してもよい。洗浄剤は、一般に、少量で、例えば<0.01%で存在させる。
【0093】
本発明の組成物は、緊張性を与えるためにナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含有し得る。10±2mg/ml NaClの濃度が典型的である。
【0094】
本発明の組成物は、一般に緩衝液を含有する。リン酸緩衝液が典型的である。
【0095】
本発明の組成物、一般に他の免疫調節剤と共に投与される。特に、組成物は、通常、1種又はそれ以上のアジュバント(adjuvant)を含有する。このようなアジュバントとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
A.無機物含有組成物
本発明でアジュバントとして使用するのに適した無機物含有組成物としては、無機塩、例えばアルミニウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。本発明は、無機塩、例えば水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など[例えば、参考文献117の第8及び9章参照]、又は種々の無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩と水酸化物アジュバントと、場合によっては過剰のリン酸塩との混合物)を含有し、化合物は適当な形態(例えば、ゲル、結晶質、無定形など)をとり、塩(1種又はそれ以上)に対する吸着が好ましい。無機物含有組成物は、金属塩の粒子として製剤してもよい[118]。
【0096】
アルミニウム塩は、本発明のワクチンにAl3+の用量が用量当たり0.2〜1.0mgであるように含有させ得る。
【0097】
典型的なリン酸アルミニウムアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含有させた0.84〜0.92のPO/Alモル比を有する無定形ヒドロキシリン酸アルミニウムである。低用量のリン酸アルミニウム、例えば用量当たりの複合体当たり50〜100μgのAl3+を用いた吸着を使用し得る。リン酸アルミニウムを使用し且つ抗原をアジュバントに吸着させないことが望ましい場合には、これは遊離のリン酸イオンを溶液に(例えば、リン酸緩衝液を使用することによって)含有させることによることが好都合である。
【0098】
B.オイルエマルジョン
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したオイルエマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン、例えばMF59(5%スクアレン、0.5%Tween80、及び0.5%Span85、ミクロ流動化装置を使用してサブミクロン粒子に製剤される)が挙げられる[参考文献117の第10章;参考文献119〜121も参照]。MF59は、FLUAD(商標)インフルエンザウイルス三価サブユニットワクチンにおいてアジュバントとして使用される。
【0099】
組成物に使用するのに特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油エマルジョンである。本明細書で使用するための好ましいサブミクロン水中油エマルジョンは、場合によって種々の量のMTP−PEを含有していてもよいスクアレン/水エマルジョン、例えば4〜5%(w/v)スクアレン、0.25〜1.0%(w/v)Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、及び/又は0.25〜1.0%Span85(ソルビタントリオレエート)、及び場合によって、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含有するサブミクロン水中油エマルジョンである。組成物に使用するための、サブミクロン水中油エマルジョン、それを製造する方法及び免疫賦活剤、例えばムラミルペプチドは、参考文献119及び122〜123に詳細に記載されている。
【0100】
完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロイントアジュバントもまた、本発明においてアジュバントとして使用し得る。
【0101】
C.サポニン製剤[参考文献の第22章]
サポニン製剤もまた、本発明でアジュバントとして使用し得る。サポニンは、種々様々な植物種の樹皮、葉、茎、根及び花に見出される異種群のステロールグリコシド及びトリテルペノイドグリコシドである。Quillaia saponaria Molinaと呼ばれる木の樹皮から単離されるサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、サルサバリラ(Smilax ornata)、シュッコンカスミソウ(Gypsophilla paniculata)、及びシャボンソウ(Saponaria officianalis)から商業的に得ることもできる。サポニンアジュバント製剤としては、QS21などの精製製剤、及びISCOM類などの脂質製剤が挙げられる。
【0102】
サポニン組成物は、HPLC及びRP−HPLCを使用して精製されている。これらの方法を使用して特定の精製画分、例えばQS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B及びQH−Cが確認されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の製造方法は、参考文献124に開示されている。サポニン製剤はまた、コレステロールなどのステロールを含有していてもよい[125]。
【0103】
サポニンとコレステロール類との組み合わせは、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特な粒子を形成するのに使用することができる[参考文献117の第23章]。ISCOMはまた、典型的にはリン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンを含有する。任意の公知のサポニンをISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA及びQHCの1種又はそれ以上を含有する。ISCOMはまた、参考文献125〜127に記載されている。場合によっては、ISCOMは追加の洗浄剤(1種又はそれ以上)を欠いていてもよい[128]。
【0104】
サポニン基剤のアジュバントの開発についての概説は、参考文献129及び130に見出すことができる。
【0105】
D.ビロゾーム及びウイルス様粒子
ビロゾーム及びウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明においてアジュバントとして使用することができる。これらの構造は、一般に、場合によりリン脂質と組み合わせられていてもよいし又は製剤されていてもよいウイルス由来の1種又はそれ以上のタンパク質を含有する。これらは、一般に非病原性、非複製性であり、しかも一般に天然ウイルスゲノムを含有していない。ウイルスタンパク質は、ウイルス全体から組換え技術によって製造又は単離し得る。ビロゾーム又はVLPに使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えば、HA又はNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コア又はタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(例えば、コートタンパク質)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、及びTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)由来のタンパク質が挙げられる。VLPは、さらに参考文献131〜136で論じられている。ビロゾームは、さらに参考文献137で論じられている。
【0106】
E.細菌又は微生物誘導体
本発明で使用するのに適したアジュバントとしては、細菌又は微生物誘導体、例えば腸内細菌リポ多糖(LPS)の無毒誘導体、脂質A誘導体、免疫賦活オリゴヌクレオチド及びADP−リボシル化毒素及びその解毒誘導体が挙げられる。LPSの無毒誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)及び3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと、4、5又は6アシル化鎖との混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、参考文献138に記載されている。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μm膜を通して滅菌濾過するのに十分に小さい[138]。他の無毒LPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣体(mimics)、例えばアミノアルキルグルコサミンリン酸誘導体、例えばRC−529が挙げられる[139、140]。
【0107】
脂質A誘導体としては、OM−174などの大腸菌由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば参考文献141及び142に記載されている。
【0108】
本発明においてアジュバントして使用するのに適した免疫賦活オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(グアノシンに対するリン酸結合によって結合されたメチル化されていないシトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含有するヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム又はポリ(dG)配列を含有する二本鎖RNA及びオリゴヌクレオチドが免疫賦活性であることも明らかにされている。
【0109】
CpG類は、ヌクレオチド修飾体/類似体、例えばホスホロチオエート修飾体を包含することができ、二本鎖又は一本鎖であることができる。参考文献143、144及び145には、可能な類似置換、例えばグアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによる置換が開示されている。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、さらに参考文献146〜151で論じられている。
【0110】
CpG配列は、TLR9、例えばモチーフGTCGTT又はTTCGTTを対象とし得る[152]。CpG配列は、Th1免疫応答、例えばCpG−A ODNを誘発するのに特異的であり得るし、又はB細胞応答、例えばCpG−B ODNを誘発するのにより特異的であり得る。CpG−A及びCpG−B ODNは、参考文献153〜155で論じられている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0111】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識に利用できるように組み立てられる。場合によっては、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、これらの3’末端で「イムノマー(immunomer)」を形成するために結合されていてもよい。例えば、参考文献152及び156〜158参照。
【0112】
細菌ADP−リボシル化毒素及びその解毒誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用し得る。好ましくは、該タンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、又は百日咳(「PT」)から誘導される。解毒ADP−リボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は、参考文献159に記載されており、非経口アジュバントとしては参考文献160に記載されている。毒素又はトキソイドは、Aサブユニット及びBサブユニットの両方を含有するホロトキシンの形態であることが好ましい。好ましくは、Aサブユニットは解毒突然変異を含有し;好ましくは、Bサブユニットは突然変異していない。好ましくは、アジュバントは、解毒LT突然変異体、例えばLT−K63、LT−R72、及びLT−G192である。ADP−リボシル化毒素及びその解毒誘導体、特にLT−K63及びLT−R72のアジュバントとしての使用は、参考文献161〜168に見出し得る。アミノ酸置換についての番号参照は、好ましくは参考文献169に挙げたADP−リボシル化毒素のA及びBサブユニットの配置に基づいており、具体的には本明細書においてその全体を参照することにより組み込まれる。
【0113】
F.ヒト免疫調節剤
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したヒト免疫調節剤としては、サイトカイン類、例えばインターロイキン類(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[170]、など)[171]、インターフェロン類(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、及び腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0114】
G.生体接着剤及び粘膜接着剤
生体接着剤及び粘膜接着剤もまた、本発明においてアジュバントとして使用し得る。適当な生体接着剤としては、エステル化ヒアルロン酸微小球[172]又は粘膜接着剤、例えばポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。キトサン及びその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用し得る[173]。
【0115】
H.微粒子
微粒子もまた、本発明においてアジュバントとして使用し得る。ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を用いて、生分解性であり且つ無毒である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成される微粒子(すなわち、〜100nmから〜150nmの直径、さらに好ましく〜200nmから〜30μmの直径、最も好ましくは〜500nmから〜10μmの直径を有する粒子)が好ましくは、場合によって(例えば、SDSを用いて)負に帯電させた表面を有するか又は(例えば、陽イオン性洗浄剤、例えばCTABを用いて)正に帯電させた表面を有するために処理される。
【0116】
I.リポソーム(参考文献117の第13及び14章)
アジュバントとして使用するのに適したリポソーム製剤は、参考文献174〜176に記載されている。
【0117】
J.ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステル製剤
本発明で使用するのに適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステル類が挙げられる[177]。このような製剤としてはまた、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[178]及び少なくとも1種の追加の非イオン性界面活性剤、例えばオクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル又はエステル界面活性剤[179]が挙げられる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、次の群:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテルから選択される。
【0118】
K.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP製剤は、例えば参考文献180及び181に記載されている。
【0119】
L.ムラミルペプチド
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、及びN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0120】
M.イミダゾキノロン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したイミダゾキノロン化合物としては、参考文献182及び183に記載されているImiquamod及びその同族体(例えば、「Resiquimod 3M」)が挙げられる。
【0121】
N.チオセミカルバゾン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したチオセミカルバゾン化合物、並びに化合物全てを製剤し、製造し、選別する方法の例としては、参考文献184に記載の化合物及び方法が挙げられる。チオセミカルバゾン類は、サイトカイン、例えばTNF−αの製造用のヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0122】
O.トリプタントリン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したトリンプタントリン化合物、並びに化合物全てを製剤し、製造し、選別する方法の例としては、参考文献185に記載の化合物及び方法が挙げられる。トリンプタントリン化合物は、サイトカイン、例えばTNF−αの製造用のヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0123】
本発明はまた、上記のアジュバントの1種又はそれ以上の態様の組み合わせを含み得る。例えば、次の組み合わせ:(1)サポニン及び水中油エマルジョン[186];(2)サポニン(例えば、QS21)+無毒LPS誘導体(例えば、3dMPL)[187];(3)サポニン(例えば、QS21)+無毒LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(場合によっては+ステロール)[188];(5)3dMPLと、例えばQS21及び/又は水中油エマルジョンとの組み合わせ[189];(6)サブミクロンエマルジョンにミクロ流動化されるか又はより大きい粒子サイズのエマルジョンを生成させるためにボルテックスされた、10%スクアラン、0.4%Tween80(商標)、5%プルロニック(pluronic)ブロック重合体L121及びthr−MDPを含有するSAF;(7)2%スクアレン、0.2%Tween80、並びにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群から選択される1種又はそれ以上の細菌細胞壁成分を含有するRibi(商標)アジュバント系(RAS)、(Ribi Immunochem);並びに(8)1種又はそれ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPS(例えば、3dMPL)の無毒誘導体;を本発明においてアジュバント組成物として使用し得る。
【0124】
免疫賦活剤として作用するその他の物質は、参考文献117の第7章に開示されている。
【0125】
アルミニウム塩アジュバントの使用が特に好ましく、抗原は一般にこのような塩に吸着される。Menjugate(商標)及びNeisVac(商標)複合体は水酸化物アジュバントを使用し、一方でMeningitec(商標)はリン酸塩アジュバントを使用する。本発明の組成物においてある種の抗原を水酸化アルミニウムに吸着させることが可能であるが、他の抗原をリン酸アルミニウムと共に有することが可能である。しかし、一般的に、1種の塩だけ、例えば水酸化物又はリン酸塩(両方ではない)を使用することが好ましい。必ずしも全ての複合体を吸着させる必要はない、すなわち幾つか又は全部が溶解していなくてよい。
【0126】
治療の方法
本発明はまた、医薬本発明の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を高める方法も提供する。免疫応答は、好ましくは保護的であり、好ましくは抗体を伴う。本発明の方法は追加免疫応答を高め得る。
【0127】
哺乳動物はヒトであるのが好ましい。ワクチンが予防用である場合には、ヒトは子供(例えば、歩き初めの子供又は乳児)又はティーンエージャーであることが好ましく;ワクチンが治療用である場合には、ヒトは成人であることが好ましい。子供を目的としたワクチンはまた、例えば安全性、用量、免疫原性などを評価するために成人に投与してもよい。治療するためのヒトの好ましい分類は、出産年齢(例えば、ティーンエージャー及びそれ以上)の女性である。別の好ましい分類は、妊婦である。
【0128】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明の組成物を提供する。この医薬は、好ましくは哺乳動物において免疫応答を高めることができる(すなわち、それは免疫原性組成物である)ことが好ましく、ワクチンであることがさらに好ましい。
【0129】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を高めるための医薬の製造における本発明の複合体の使用も提供する。
【0130】
これらの使用及び方法は、好ましくはストレプトコッカス・アガラクティエによって引き起こされる病気、例えば新生児の敗血症又は菌血症、新生児肺炎、新生児髄膜炎、子宮内膜炎、骨髄炎、化膿性関節炎などの予防及び/又は治療のためのものである。
【0131】
病気を予防する対象は、本発明の複合体を受け入れる対象と同じでなくてもよい。例えば、複合体は、子孫を守るために(妊娠前又は妊娠中の)女性に投与し得る(いわゆる、「母体免疫」[190〜192])。
【0132】
治療処置の効果を調べる1つの方法は、本発明の組成物の投与後にGBS感染を監視することを伴う。予防処置の効果を調べる1つの方法は、組成物の投与後にGBS抗原に対する免疫応答を監視することを伴う。
【0133】
本発明の好ましい組成物は、被験者の許容し得る割合についてそれぞれの抗原成分についての血清防御(seroprotection)の基準よりも優れている患者において抗体価を与えることができる。宿主が抗原に対してセロコンバートされると考えられる抗体価を上回る関連抗体価を有する抗原は周知であり、このような抗体価はWHO等の機関によって公表されている。被験者の統計学的に有意な試料の好ましくは80%を越える試料、さらに好ましくは90%を越える試料、よりさらに好ましくは93%を越える試料、最も好ましくは96〜100%がセロコンバートされる。
【0134】
本発明の組成物は、一般に患者に直接に投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内に、又は組織の間質腔に)によって、あるいは直腸、口腔、膣内、局所、経皮、鼻腔内、眼内、耳内、肺又はその他の粘膜投与によって達成し得る。大腿又は上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針(例えば、皮下針)によるものであり得るが、その代わりに無針注射を使用してもよい。典型的な筋肉内用量は0.5mlである。
【0135】
本発明は、全身性免疫及び/又は粘膜免疫を誘発させるのに使用してもよい。
【0136】
投薬処置は、単回投与スケジュール又は反復投与スケジュールであり得る。反復投与は、一次免疫処置スケジュール及び/又は追加免疫処置スケジュールで使用し得る。一次投与スケジュールの後に追加投与スケジュールが続いてもよい。初回投与の間(例えば、4〜16週)、及び初回投与と追加免疫処置との間の適当な時期は、日常的に決定することができる。
【0137】
GBSタンパク質抗原
上述のように、GBSタンパク質は、本発明の組成物に含有させることができる。これらのタンパク質は、本発明の複合体用の担体タンパク質、その他の複合体用の担体タンパク質、又は非複合タンパク質抗原として使用し得る。
【0138】
本発明で使用するためのGBSタンパク質抗原としては、参考文献93及び193〜195に記載のものが挙げられる。本発明で使用するための5つの好ましいGBSタンパク質抗原が、GBS67;GBS80;GBS104;GBS276;及びGBS322として知られている[参考文献93参照]。さらに、これらの5つの抗原の詳細を以下に示す。
【0139】
これらの5つのGBSタンパク質の完全配列は、本明細書の配列番号1〜5である。従って、本発明の組成物は、(a)配列番号1〜5から選択されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、及び/又は(b)ポリペプチドであって、(i)配列番号1〜5の1つ又はそれ以上と配列同一性を有するアミノ酸配列及び/又は(ii)配列番号1〜5の断片からなるポリペプチドを含有し得る。
【0140】
具体的な配列番号に応じて、(i)の配列同一性の程度は、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上)ことが好ましい。これらのポリペプチドは、同族体、相同分子種、対立遺伝子多型体及び機能変異体を包含する。典型的には、2つのポリペプチド配列の間の50%又はそれ以上の同一性は、機能的同義性の指標であると考えられる。ポリペプチド間の同一性は、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって、パラメーター ギャップ開始ペナルティ=12及びギャップ伸長ペナルティ=1を用いてアフィンギャップ検索を使用して調べることが好ましい。
【0141】
具体的な配列番号に応じて、(ii)の断片は、配列由来の少なくともn個の連続したアミノ酸を含むべきであり、具体的な配列番号に応じて、nは7又はそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100又はそれ以上)である。断片は、配列の少なくとも1個のT細胞、又は好ましくはB細胞のエピトープを含み得る。T細胞エピトープ及びB細胞エピトープは、実験的に(例えば、PEPSCAN[196、197]又は同様の方法を使用して)確認することができるか、又はこれらは(例えば、Jameson−Wolf抗原指数[198]、マトリックスに基づいたアプローチ[199]、TEPITOPE[200]、神経ネットワーク[201]、OptiMer & EpiMer[202、203]、ADEPT[204]、Tsites[205]、親水性[206]、抗原指数[207]又は参考文献208に記載の方法などを使用して)予測することができる。他の好ましい断片は、N末端アミノ酸残基がないか又はN末端シグナルペプチドがない配列番号1〜5である。1つ又はそれ以上のドメイン、例えばリーダー又はシグナル配列領域、貫膜領域、細胞質領域又は細胞壁係留モチーフの除去を使用することができる。好ましい断片を以下に示す(配列番号6から19)。
【0142】
これらのポリペプチドは、配列番号1〜5と比べて、1個又はそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)連続したアミノ酸置換、すなわち関連側鎖を有する別のアミノ酸による1個のアミノ酸の置換を含有していてもよい。遺伝子コードアミノ酸は、一般に4つのファミリー:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、シスチン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、一緒に芳香族アミノ酸として分類される場合がある。一般的に、これらのファミリー内の単一アミノ酸の置換は、生物活性に大きな影響を及ぼさない。ポリペプチドはまた、配列番号1〜5に対して1個又はそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)単一アミノ酸の欠失を含有していてもよい。ポリペプチドはまた、配列番号1〜5に対して1個又はそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)挿入(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸のそれぞれ)を含有していてもよい。
【0143】
本発明のポリペプチドは、多くの方法で、例えば化学合成(全部又は一部において)によって、さらに長いポリペプチドをプロテアーゼを使用して消化することによって、RNAから翻訳によって、細胞培養から(例えば、組換え体発現から)の精製によって、生物それ自体から(例えば、細菌培養後に、又は患者から直接に)などによって調製することができる。<40個のアミノ酸の長さのペプチドの好ましい製造方法は、インビトロ化学合成を伴う[209、210]。固相ペプチド合成法、例えばtBoc又はFmoc[211]化学反応に基づいた方法が、特に好ましい。酵素合成法[212]もまた、一部又は全部を使用し得る。化学合成の代替として、生物学的合成を使用してもよく、例えばポリペプチドは翻訳によって製造し得る。これは、インビトロ又はインビボで実施し得る。生物学的方法は、一般的にL−アミノ酸に基づくポリペプチドの製造に限定されるが、翻訳機械装置(例えば、アミノアシルtRNA分子の)の操作が、D−アミノ酸(あるいは他の非天然アミノ酸、例えばヨドチロシン又はメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなど)の導入を可能にするために使用することができる[213]。しかし、D−アミノ酸が含まれる場合には、化学合成を使用することが好ましい。本発明のポリペプチドは、C末端及び/又はN末端に共有結合修飾を有する。
【0144】
これらのGBSタンパク質が本発明の組成物に含まれる場合には、これらのタンパク質は種々の形(例えば、天然型、融合型、グリコシル化された形、グリコシル化されていない形、脂質化された形、脂質化されていない形、ホスホリル化された形、ホスホリル化されていない形、ミリスチル化された形、ミリスチル化されていない形、モノマー、多量体、粒状、変性された形など)を取り得る。これらは、好ましくは精製された形又は実質的に精製された形で使用される、すなわち実質的に他のポリペプチドを含まない(例えば、天然産ポリペプチドを含まない、特に他のGBS又は宿主細胞ポリペプチドを含まない)。
【0145】
GBS67
血清型V菌株2603V/Rから配列決定されたGBS67のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、参考文献93に配列番号3745及び3746として示される。アミノ酸配列は、本明細書では配列番号1:
【0146】
【化3】

である。
【0147】
GBS67は、上記の配列番号1のC末端に最も近い下線を付した領域によって示されるC末端貫膜領域を含む。貫膜領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよいし、又はアミノ酸が貫膜領域の前で切断されていてもよい。このようなGBS67断片の例を以下に配列番号18として示す。
【0148】
【化4】

GBS67は、上記の配列番号1においてイタリック体で示される細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフを含む。幾つかの組換え宿主細胞系において、宿主細胞から組換えGBS67タンパク質の分泌を促進するためにこのモチーフを除去することが好ましいものであり得る。従って、本発明で使用するためのGBS67の1つの好ましい断片において、貫膜及び細胞壁アンカーモチーフがGBS67から除去される。このようなGBS67断片の例を、以下に配列番号19として示す。
【0149】
【化5】

GBS80
GBS80とは、推定される細胞壁表面アンカーファミリータンパク質を指す。血清型V分離株2603V/Rから配列決定されたGBS80のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、参考文献93に配列番号8779及び8780として示される。アミノ酸配列は、本明細書では配列番号2として以下に示す:
【0150】
【化6】

GBS80は、上記の下線を付した配列によって示されるN末端リーダー又はシグナル配列領域を含む。GBS80のリーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸を除去することができる。このようなGBS80断片の例を、以下に配列番号6として示す:
【0151】
【化7】

GBS80は、上記の配列番号2の末端の近くに下線を付した配列によって示されるC末端貫膜領域を含む。貫膜領域及び/又は細胞質領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このような断片の例を、以下に配列番号7として示す:
【0152】
【化8】

GBS80は、上記の配列番号2においてイタリック体で示される細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフを含む。幾つかの組換え宿主細胞系において、宿主細胞から組換えGBS80タンパク質の分泌を促進するためにこのモチーフを除去することが好ましいものであり得る。従って、貫膜及び/又は細胞質領域並びに細胞壁アンカーモチーフは、GBS80から除去し得る。このような断片の例を、以下に配列番号8として示す:
【0153】
【化9】

あるいは、幾つかの組換え宿主細胞系において、組換え発現タンパク質を細胞壁に係留させるために細胞壁アンカーモチーフを使用することが好ましいものであり得る。発現タンパク質の細胞外ドメインは精製中に切断されていてもよし、又は組換えタンパク質は、最終組成物の不活化宿主細胞又は細胞膜のいずれかに結合された状態にしておいてもよい。
【0154】
1つの実施形態において、リーダー又はシグナル配列領域、貫膜及び細胞質領域並びに細胞壁アンカーモチーフは、GBS80配列から除去される。このようなGBS80断片の例を、以下に配列番号9として示す:
【0155】
【化10】

GBS80の特に免疫原性の断片は、タンパク質のN末端方向に配置され、本明細書において配列番号10として示される:
【0156】
【化11】

GBS104
GBS104とは、推定される細胞壁表面アンカーファミリータンパク質を指す。それはemaAと呼ばれている。血清型V分離株2603V/Rから配列決定されたGB104のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、参考文献93に配列番号8777及び8778として示される。アミノ酸配列を、本明細書では配列番号3として以下に示す:
【0157】
【化12】

GBS104は、上記の配列番号3の先頭に下線を付した配列によって示されるN末端リーダー及びシグナル配列領域を含む。GBS104のリーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このようなGB104断片の例を、以下に配列番号11として示す。
【0158】
【化13】

GBS104は、上記の配列番号3の末端の近くに下線を付した配列によって示されるC末端貫膜及び/又は細胞質領域を含む。貫膜又は細胞質領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このようなGBS104の断片の例を、以下に配列番号12として示す:
【0159】
【化14】

リーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸を、及び貫膜又は細胞質領域から1個又はそれ以上のアミノ酸を除去し得る。このようなGBS104の断片の例を、以下に配列番号13として示す:
【0160】
【化15】

GBS104の別の断片としては、アミノ酸28−858(配列番号3で付された番号)のGBS104の830アミノ酸断片、アミノ酸28−387のGBS104の359アミノ酸断片、アミノ酸28−609のGBS104の581アミノ酸断片、又はアミノ酸28−768のGBS104の740アミノ酸断片が挙げられる。
【0161】
GBS276
GBS276とは、C5aペプチダーゼを指す。GBS276の別の説明は、参考文献214〜217に見出すことができる。血清型V分離株2603V/Rから配列決定されたGBS276のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、参考文献93に配列番号8941及び8942として示される。アミノ酸配列を、本明細書では配列番号4として以下に示す:
【0162】
【化16】

GBS276は、上記の配列番号4の先頭に下線を付した配列によって示されるN末端リーダー及びシグナル配列領域を含む。GBS276のリーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このようなGB276断片の例を、以下に配列番号14として示す:
【0163】
【化17】

GBS276は、上記の配列番号2の末端の近くに下線を付した配列によって示されるC末端貫膜及び/又は細胞質領域を含む。GBS276の貫膜領域又は細胞質領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このようなGBS276断片の例を、以下に配列番号15として示す:
【0164】
【化18】

リーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸及び貫膜又は細胞質領域から1個又はそれ以上のアミノ酸を除去し得る。このようなGBS276断片の例を、以下に配列番号16として示す:
【0165】
【化19】

GBS322
GBS322は、表面免疫原性タンパク質を指し、「sip」とも呼ばれる。血清型V分離株2603V/Rから配列決定されたGBS322のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、参考文献93に配列番号8539及び8540として示される。アミノ酸配列を、本明細書では配列番号5として以下に示す:
【0166】
【化20】

GBS322は、配列番号5の先頭の近くに下線を付した配列によって示されるN末端リーダー及びシグナル配列領域を含む。GBS322のリーダー又はシグナル配列領域から1個又はそれ以上のアミノ酸が除去されていてもよい。このようなGB322断片の例を、以下に配列番号17として示す:
【0167】
【化21】

総則
「含む」という用語は、「含有する」及び「のみからなる」を包含し、例えばX「からなる」組成物は、Xのみからなっていてもよいし又は何か追加成分を例えばX+Yとして含有していてもよい。
【0168】
数値xに関連して「約」という用語は、例えば、x±10%を意味する。
【0169】
「実質的に」という単語は、「完全に」を除外しない、例えばYを「実質的に含有しない」組成物は、Yを完全に含有していなくてもよい。必要ならば、「実質的に」という単語は、本発明の定義から除外してもよい。
【0170】
本発明が多数の連続する工程を含む方法を提供する場合には、本発明はまた、工程の総数よりも少ない工程を含む方法を提供することもできる。例えば、本発明の第1の態様において、本発明は、(a)GBS莢膜糖を酸化してアルデヒド基を末端シアル酸残基に導入し;(b)該アルデヒド基を還元アミノ化に供する工程を含む方法を提供する。さらなる工程(c)及び(d)は、工程(a)及び(b)の生成物が複合体製造において中間体として有用性を有し、例えば工程(c)及び(d)において別々に及び後で使用するために使用、保存、輸出などされてもよいので、本発明の範囲内に入るために行う必要はない。
【0171】
同様に、出発糖原料が既に部分的に処理されている場合には、本発明は方法の後の工程のみを含む方法を包含する。例えば、本発明の第3の態様において、本発明は、修飾されたガラクトース残基を担体分子に連結する工程を含む方法であって、該方法用の出発原料がアルデヒド基をガラクトース残基に導入するために既に酸化されている糖である方法を包含する。
【0172】
これらの種々の工程を、極めて異なる時間で、種々の場所で(例えば、種々の国で)種々の人々によって実施することができる。
【0173】
糖環が開いた状態で及び閉じた状態で存在することができること及び閉じた状態は本明細書の構造式で示されるが、開いた状態もまた本発明に包含されることが認識されるであろう。同様に、糖類がピラノース型及びフラノース型で存在することができること及びピラノース型が本明細書の構造式で表すが、フラノース型もまた本発明に包含されることが認識されるであろう。糖の種々のアノマー型も包含される。
【0174】
第1級アミンは、式NHRで表すことができる。基Rは、電気供与性であることが好ましく、基RとしてはC1−8ヒドロカルビル、さらに好ましくはC1−8アルキル、特にメチルが挙げられる。Rは、好ましくは−CH、−C又は−Cである。ヒドロカルビルは、1個又はそれ以上の基、例えば:ハロゲン(例えば、Cl、Br、F、I)、トリハロメチル、−NO、−CN、N(C1−6アルキル)、−SOH、−SOC1−6アルキル、−SO1−6アルキル、−SO1−6アルキル、−OC(=O)OC1−6アルキル、−C(=O)H、−C(=O)C1−6アルキル、−OC(=O)C1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、C1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)C(=O)O(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)C(=O)N(C1−6アルキル)、−COH、−OC(=O)N(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)C(=O)C1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)C(=S)C1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)SON(C1−6アルキル)、−CO1−6アルキル、−SON(C1−6アルキル)、−C(=O)NH、−C(=S)N(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)SO1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)C(=S)N(C1−6アルキル)、−NH−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル又は−O−C1−6アルキルで置換されていてもよい。「ヒドロカルビル」という用語は、炭素と水素とからなる線状、分岐又は環状の一価の基を包含する。従って、ヒドロカルビル基は、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、シクロアルキル基(ポリシクロアルキル基を含む)、シクロアルケニル基及びアリール基並びにこれらの組み合わせ、例えばアルキルシクロアルキル基、アルキルポリシクロアルキル基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基、シクロアルキルアリール基、シクロアルケニルアリール基、シクロアルキルアルキル基、ポリシクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールシクロアルキル基及びアリールシクロアルケニル基を包含する。好ましいヒドロカルビルは、C1−4ヒドロカルビルであり、さらに好ましくはC1−8ヒドロカルビルである。
【実施例】
【0175】
(発明を実施するための様式)
複合体の製造及び特定
GBS血清型Ib由来の莢膜糖は、参考文献15に記載のようにして精製し、次いで上記のように再アセチル化した。この糖を脱−N−アセチル化して、結合用のアミン基を得た。これらのアミン基を使用して、糖をモノマー破傷風トキソイド(TT)に、直接還元アミノ化(シアル酸のC−8上で、従来技術に記載のようにして)によるか又はSIDEAスペーサーによる(参考文献218に髄膜炎菌糖について記載のようにして)かいずれかで共有結合により複合させた。
【0176】
得られた複合体のシアル酸含有量を、参考文献219の比色法に従って測定した。全糖量を、シアル酸含有量から推定した(シアル酸は重合体の平均31重量%である)。複合体中のタンパク質濃度を、Micro BCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を用いて調べた。1〜4の多糖:タンパク質重量比が目標であり、結果は次のとおりであった:
【0177】
【化22】

どのように複合体の架橋比が影響を及ぼし得るかを調べるために、精製したGBSIa及びIb糖を、種々の酸化の度合いに供し、次いでCRM197に複合させた。結果は次のとおりであった:
【0178】
【化23】

同様の実験を使用して種々のタンパク質担体を調べた。CRM197及び破傷風トキソイドの両方を、GBSIII型糖用の担体として使用した、結果は下記の通りであった:
【0179】
【化24】

3種類の担体をGBSII型及びV型糖:破傷風トキソイド;CRM197;及びヒト血清アルブミンについて比較した。酸化の程度は、型V糖については15.3%であり、II型糖については6.9%であった。結果は下記の通りであった:
【0180】
【化25】

ヒト血清アルブミンを、Ia型糖(6.7%酸化された)、Ib型糖(8.2%酸化された)及びIII型(4.1%酸化された)糖用の担体として別々に試験した:
【0181】
【化26】

Ia型、Ib型及びIII型の複合体を、4種類の担体:破傷風トキソイド;CRM197;GBS80;及びGBS67を使用して調製した。破傷風及びCRM担体の場合は、酸化率%は、Iaについては9.1%であり、Ibについては14.2%であり、IIIについては13%であった;GBS担体の場合は、酸化率%は、8.2%、9.0%及び7.9%であった。次いで、複合体を用いて免疫化した動物を、それぞれのGBS型(すなわち、同種の攻撃(challenge))に対する防御について試験した、結果は次の通りであり、致死的攻撃に生き残る動物の%として表した:
【0182】
【化27】

並列実験において、GBS V型株による感染であるが、V型糖を用いて免疫処置していない場合について、結果は次の通りであった:
【0183】
【化28】

従って、GBS担体は、V型株に対してある防御を提供することができ、従ってGBSタンパク質は担体として、タンパク質に複合された糖で補足することができるタンパク質介在防御のバックグラウンドレベルを提供する。
【0184】
遊離の糖の濃度を、種々の複合体ロットについて試験した。結果は次の通りであった:
【0185】
【化29】

本発明は、単なる例として説明したこと及び変更をなし得るが本発明の範囲及び精神内にあることが理解されるであろう。
【0186】
(参考文献(これらの内容は、参考として本明細書に援用される))
【0187】
【化30】

【0188】
【化31】

【0189】
【化32】

【0190】
【化33】

【0191】
【化34】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−79285(P2013−79285A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−11819(P2013−11819)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2007−553744(P2007−553744)の分割
【原出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(507238285)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (35)
【Fターム(参考)】