説明

進捗管理支援装置、進捗管理支援方法、及び進捗管理支援プログラム

【課題】生産活動におけるボトルネックを把握し、効率良い進捗管理を支援する。
【解決手段】進捗管理支援装置が、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表を予め記憶し、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程における残作業量と、工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表を記憶し、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表から読み出し、完了情報が、作業が完了したことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出さず、読み出した残作業量を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産活動における進捗管理を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア開発のような生産活動における開発モデルとして、いわゆるウォーターフォールモデルがある。ここでは、生産活動を要求定義、外部設計、内部設計、製造、テストなどの工程に分割し、原則的に前工程が完了しないと次工程に進まないような線表(ガントチャート)により生産活動の進捗を管理する。これに対し、迅速かつ適応的に生産活動を行うアジャイル開発手法などと呼ばれる開発モデルが提案されている。例えば、開発対象のソフトウェアを複数の小さな機能に分割し、イテレーションと呼ばれる短い期間単位で機能毎に開発し、1つずつ機能を追加していく。ここでは、イテレーションの期間をウォーターフォールモデルにおける各工程の作業期間よりも短く(例えば、1週間から4週間)することでリスクを最小化しようとしている。このような開発手法においては、図12に示すように、機能毎(イテレーション毎)の残作業量を記録するバーンダウンチャートにより生産活動の進捗を管理することがある。例えば、特許文献1には、残作業工数によりソフトウェア開発の進捗を把握することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−127020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような残作業による進捗管理においては、ソフトウェア開発の効率低下におけるボトルネックを把握することが難しい場合がある。例えば、従来のウォーターフォールモデルにおけるガントチャートは、前工程と次工程とのクリティカルパスが明確に示されるネットワーク形式の線表であるため、作業が滞っている場合にどの工程が滞っているのかが把握しやすい。これに対し、アジャイル開発手法におけるバーンダウンチャートでは、機能毎の残作業量の把握は可能であるものの、作業が滞っている場合にどの工程が滞っているか、どの作業がボトルネックとなっているかを把握することが難しい。これは、アジャイル開発においてはイテレーションの期間が短いために、ボトルネックが日々変更すること等にもよる。ここで、このような残作業量により進捗を管理する場合でも、効率低下のボトルネックを効率良く把握することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、残作業量により進捗を管理する場合にもボトルネックを把握し、生産活動における効率良い進捗管理を支援する進捗管理支援装置、進捗管理支援方法、及び進捗管理支援プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程における残作業量と、工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、残作業量と完了情報との入力を受付け、進捗表記憶部に記憶させる入力部と、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表から読み出し、完了情報が、作業が完了したことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出さない残作業量算出部と、複数のラベル毎に、残作業量算出部によって読み出された残作業量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、ラベル定義表に含まれる複数の工程と同様の工程を経て生産活動が行われる複数の機能が記憶される機能一覧表記憶部を備え、進捗表記憶部には、機能毎の進捗表が記憶され、入力部は、機能毎、工程毎に残作業量と完了情報との入力を受付け、残作業量算出部は、機能毎の同一工程における残作業量の合計値を算出し、出力部は、複数のラベル毎に、残作業量の合計値を出力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、生産活動に割り当てる要員の数が記憶される要員計画表記憶部を備え、残作業量算出部は、要員計画表記憶部から要員の数を読み出し、残作業量を要員の数で割った値を算出し、出力部は、複数のラベル毎に、残作業量算出部によって算出された値を出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程における残作業量と、工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、を備える進捗管理支援装置の進捗管理支援方法であって、残作業量と完了情報との入力を受付け、進捗表記憶部に記憶させるステップと、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表から読み出し、完了情報が、作業が完了したことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出さないステップと、複数のラベル毎に、読み出した残作業量を出力するステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程における残作業量と、工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、を備える進捗管理支援装置のコンピュータに、残作業量と完了情報との入力を受付け、進捗表記憶部に記憶させるステップと、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表から読み出し、完了情報が、作業が完了したことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出さないステップと、複数のラベル毎に、読み出した残作業量を出力するステップと、を実行させる進捗管理支援プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、進捗管理支援装置が、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表を予め記憶し、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程における残作業量と、工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表を記憶し、複数のラベル毎に、ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表から読み出し、完了情報が、作業が完了したことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、ラベルに対応する残作業量を読み出さず、読み出した残作業量を出力するようにしたので、滞留する残作業量を検出することができる。これにより、アジャイル開発手法などを用いて短い期間で機能を開発する場合においても、ボトルネックとなる作業を把握し、生産活動における効率良い進捗管理を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による進捗管理支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるラベル定義表のデータ例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるラベル定義表により定義される各工程の依存関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による機能一覧表のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による工数見積表のデータ例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による要員計画表のデータ例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による進捗表のデータ例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による残作業量(人日)のボトルネック表のデータ例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による残作業量(日)のボトルネック表のデータ例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による残作業量(日)と上限閾値と下限閾値との関係を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による進捗管理支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【図12】バーンダウンチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による進捗管理支援装置100の構成を示すブロック図である。進捗管理支援装置100は、残作業量による生産活動の進捗管理を支援するコンピュータ装置であり、入力部101と、出力部102と、ラベル定義表記憶部103と、機能一覧表記憶部104と、工数見積表生成部105と、工数見積表記憶部106と、要員計画表生成部107と、要員計画表記憶部108と、進捗表生成部109と、進捗表記憶部110と、ボトルネック表生成部111と、ボトルネック表記憶部112とを備えている。
【0014】
入力部101は、キーボードやマウス等の入力デバイスを有しており、ユーザであるプロジェクト管理者(以下、PM)や工程作業の担当者からの情報入力を受付ける。例えば、入力部101は、後述するように、開発対象となるソフトウェアの機能毎、工程毎の残作業量や完了情報の入力を受付け、進捗表記憶部110に記憶させる。
出力部102は、液晶ディスプレイ等の表示部であり、情報を表示して出力する。例えば、出力部102は、後述するように、ボトルネック表生成部111によって生成されたボトルネック表等を表示する。
【0015】
ラベル定義表記憶部103には、複数の工程における作業が含まれる生産活動において工程毎に対応するラベルと、そのラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶される。図2は、ラベル定義表記憶部103に記憶されるラベル定義表のデータ例を示す図である。ここでは、アジャイル開発手法におけるイテレーションにおいて機能を開発する工程を識別する工程IDと、その工程IDを示す文字列であるラベルと、その工程の前工程を識別する前工程IDとが対応付けられている。ラベルとしては、例えば、「外部設計」、「内部設計」、「レビュー」、「コーディング」、「単体テスト」、「システムテスト」などのラベルが適用できる。このような前工程IDによって、ラベルが示す工程毎の依存関係が定義される。図3は、図2に示した前工程IDによって形成される依存関係を示す図である。ここでは、ラベル「A」からラベル「G」までの工程が直列に行われた後、ラベル「H」と「K」と「N」との工程に分かれ、ラベル「U」と「M」との工程の後にラベル「V」の工程が行われ、ラベル「W」とラベル「P」との工程の後にラベル「X」の工程が行われることが示されている。
【0016】
機能一覧表記憶部104は、ラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル定義表に含まれる複数の工程と同様の工程を経て生産活動が行われる複数の機能の一覧表が記憶される。図4は、機能一覧表記憶部104に記憶されている機能一覧表のデータ例を示す図である。ここでは、機能を識別する機能IDと、その機能名「a」〜「j」とが対応付けられた例が示されている。
【0017】
工数見積表生成部105は、ラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル定義表と、機能一覧表記憶部104に記憶されている機能一覧表とに基づいて、機能開発のための工数見積を入力する欄が含まれる工数見積表を生成する。また、工数見積表生成部105は、生成した工数見積表に応じて入力部101に入力される各工数を、工数見積表において対応する各欄に入力した工数見積表を生成する。PMは、このような工数見積表の各欄に対応する工数を見積もって入力する。例えば、図5は、工数見積表生成部105によって生成される工数見積表のデータ例を示す図である。ここでは、機能名毎、ラベル毎に、見積工数が対応付けられている。ここで、見積工数の単位は、例えば人日である。人日とは、1人が1日で行うことのできる作業量を表す単位である。
工数見積表記憶部106には、工数見積表生成部105によって生成された工数見積表が記憶される。
【0018】
要員計画表生成部107は、ラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル定義表に基づいて、生産活動に割り当てる要員の数を入力する欄が含まれる要員計画表を生成する。また、要員計画表生成部107は、生成した要員計画表に応じて入力部101に入力される要員の数を、要員計画表において対応する各欄に入力した要員計画表を生成する。例えば、図6は、要員計画表生成部107によって生成される要員計画表のデータ例を示す図である。ここでは、ラベル毎、生産活動を行う日毎に、各ラベルに対応する工程の作業を行う要員の数が対応付けられている。要員の数の単位は、例えば人である。PMは、このような要員計画表に対し、作業を行う要員の数を日毎に入力する。例えば、ある日におけるPMのチームに10人の要員が存在する場合は、その日における10人の作業を各ラベルに割り振って入力する。
要員計画表記憶部108には、要員計画表生成部107によって生成された要員計画表が記憶される。
【0019】
進捗表生成部109は、ラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル表と、機能一覧表記憶部104に記憶されている機能一覧表とに基づいて、進捗状況を入力する欄が含まれる進捗表を生成する。進捗状況には、例えば、ラベル毎の工程における残作業量と、その工程における作業が完了したか否かを示す完了情報が含まれる。また、進捗表生成部109は、生成した進捗表に応じて入力部101に入力される進捗状況を、進捗表において対応する各欄に入力した進捗表を生成する。例えば、図7は、進捗表生成部109によって生成される進捗表のデータ例を示す図である。ここでは、ラベル毎にこのような進捗表が生成されるものとし、図の例はラベル「A」についての進捗状況を示す表である。開発作業の担当者は、このような進捗表に進捗状況を入力する。
【0020】
この図の例において、「start/end」と示される行には、作業開始日に「start」の文字列が、作業終了日に「end」の文字列が入力される。「実績」と示される行には、機能毎、ラベル毎の作業実績が入力される。作業実績の単位は、例えば人日である。「残作業量」と示される行には、機能毎、ラベル毎の残作業量が入力される。残作業量の単位は、例えば人日である。ここでは、残作業量の欄に0(ゼロ)が入力された場合には作業が完了しているものであると考えられるため、「start/end」の行を設けないようにしても良い。あるいは、残作業量の欄に0(ゼロ)が入力された場合には、自動的に「start/end」の欄に「end」が入力されるようにしても良い。
進捗表記憶部110には、進捗表生成部109によって生成された進捗表が記憶される。
【0021】
ボトルネック表生成部111は、複数のラベル毎に、そのラベルに対応する工程の前工程として対応付けられたラベルをラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル定義表から読み出し、読み出したラベルに対応する完了情報を進捗表記憶部110に記憶されている進捗表から読み出し、読み出した完了情報が、作業が完了したことを示す場合、そのラベルに対応する残作業量を読み出し、作業が完了していないことを示す場合、そのラベルに対応する残作業量を読み出さない。すなわち、生産活動において作業効率を低下させる要因であるボトルネックは、前工程の作業が完了しているにも関わらず作業が進んでいない作業であると考えられる。一方、作業が進んでいなくても、前工程の作業が完了していないために進んでいない作業は、作業効率を低下させるボトルネックではないと考えられる。そこで、このようにして、前作業が完了していながら滞留している残作業の量のみを読み出す。ここで、残作業量は、機能毎の同一工程における残作業量の合計値を算出するようにして良い。ボトルネック表生成部111は、このようにして算出した残作業量に基づいて、ラベル毎に残作業量を対応付けたボトルネック表を生成する。
【0022】
ここで、ボトルネック表生成部111は、このような残作業量をグラフ化したボトルネック表を生成するようにしても良い。例えば、図8は、ボトルネック表生成部111が生成するグラフ化したボトルネック表の例を示す図である。このようなボトルネック表によれば、どのラベルにおいて滞留している残作業量が多いかを把握することができる。また、ここで、各ラベルにおいては、作業に着手しているが完了していない残作業量の部分(例えば、棒グラフにおいて点で網掛けされた部分)と、作業に着手しておらず残作業量の部分(例えば、棒グラフにおいて斜線で網掛けされた部分)とを区別して表示するようにしても良い。
【0023】
ここでは、このように、前工程が完了しているにも関わらず滞留している部分がボトルネックであると考えることができるが、要員が十分に割り当てられている工程については、順調に残作業量が減っていくものがあると考えられる。そこで、残作業量(人日)を、その工程における要員の数で割ることによって、作業効率の低下に実質的な影響を与える、より実質的な残作業量(日)を算出することができると考えられる。そこで、ボトルネック表生成部111は、要員計画表記憶部108から要員の数を読み出し、残作業量(人日)を読み出した要員の数で割った結果値である残作業量(日)を算出するようにしても良い。図9は、このようにして算出した残作業量(日)を示すボトルネック表の例を示す図である。
【0024】
また、このような残作業量(日)が一定以上である場合、生産活動のボトルネックである要員が足りていない一方、残作業量(日)が一定以下である場合、そのラベルが示す工程においては過剰に要員が割り当てられており、やはり生産効率を低下させる要因であることが考えられる。そこで、このように、残作業量(日)が一定以上である場合、または残作業量(日)が一定以下であることを検出すると、警告を出力するようにしても良い。例えば、図10に示すように、上限の閾値と下限の閾値とを予め定めて記憶しておき、定期的にこの閾値と残作業量(日)とを比較して、閾値を超えた(下回った)と判定した場合には警告を出力するようにしても良い。
ボトルネック表記憶部112は、ボトルネック表生成部111によって生成されたボトルネック表が記憶される。
【0025】
次に、本実施形態による進捗管理支援装置100の動作例を説明する。図11は、進捗管理支援装置100がボトルネック表を生成する動作例を示すフローチャートである。
ここでは、ラベル定義表、機能一覧表、要員計画表、工数見積表、進捗表の各表が予め生成され、データが入力されて各記憶部に記憶されているものとする。まず、工程毎(ラベル定義表に定められるラベル毎)に、その工程を残作業量算出の対象工程として、ステップS1からステップS7までの処理を繰り返し行う。まず、ボトルネック表生成部111は、ラベル定義表記憶部103に記憶されているラベル定義表から、残作業量算出の対象工程に対する前工程の工程IDを読み出す(ステップS1)。
【0026】
ここで、前工程IDが存在しないと判定すると(最初の工程である場合、上述の例ではラベル「A」の場合)(ステップS2:NO)、進捗表記憶部110に記憶されたラベル毎の進捗表を読み出し、読み出した進捗表に含まれる全機能分の残作業量を加算した値を、そのラベルに対応する残作業量として算出する(ステップS3)。一方、前工程が存在すると判定すると(ステップS2:YES)、機能毎に、ステップS4からステップS7までの処理を繰り返し行う。まず、ボトルネック表生成部111は、進捗表記憶部110に記憶されている進捗表から、前工程の進捗状況を読み出す(ステップS4)。
【0027】
ボトルネック表生成部111は、読み出した進捗状況において前工程が完了していると判定すると(ステップS5:YES)、残作業量を加算する。一方、前工程が完了していないと判定すると(ステップS5:NO)、残作業量を加算しない。このように、機能ごとに前工程の作業が完了しているか否かを判定し、前工程が完了している場合のみ残作業量を加算することで、前工程が完了している残作業量(現時点でのボトルネックであると考えられる残作業量)を検出することができる。
【0028】
そして、ボトルネック表生成部111は、算出した残作業量に基づいてボトルネック表を生成する(ステップS8)。また、ボトルネック表生成部111は、要員計画表記憶部108に記憶されている要員計画表を読み出し、残作業量を読み出した要員の数で割ることにより、リソース制約を考慮したボトルネック表を生成する。ボトルネック表生成部111は、生成したボトルネック表をボトルネック表記憶部112に記憶させる。出力部102は、ボトルネック表生成部111が生成したボトルネック表を出力する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、アジャイル開発手法においてバーンダウンチャートを用いて進捗管理を行う場合にも、残作業量が多く開発効率低下のボトルネックとなる作業を効率良く特定し、把握することが可能となる。
なお、本実施形態では、アジャイル開発手法におけるイテレーション毎のボトルネックを検出する例を示したが、本実施形態の進捗管理支援装置100による進捗管理の支援はアジャイル開発手法における開発のみを対象とするものではなく、バーンダウンチャートを用いるような短期プロジェクトの生産活動に汎用的に適用できる。また、生産活動の対象は、ソフトウェア開発に限るものではなく、例えば建築物の生産活動における進捗管理に本実施形態の進捗管理支援装置100を適用しても良い。
【0030】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより進捗管理の支援を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0031】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
100 進捗管理支援装置
101 入力部
102 出力部
103 ラベル定義表記憶部
104 機能一覧表記憶部
105 工数見積表生成部
106 工数見積表記憶部
107 要員計画表生成部
108 要員計画表記憶部
109 進捗表生成部
110 進捗表記憶部
111 ボトルネック表生成部
112 ボトルネック表記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程における作業が含まれる生産活動において前記工程毎に対応するラベルと、当該ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、
複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する前記工程における残作業量と、当該工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、
前記残作業量と前記完了情報との入力を受付け、前記進捗表記憶部に記憶させる入力部と、
複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられた前記ラベルを前記ラベル定義表から読み出し、読み出した当該ラベルに対応する前記完了情報を前記進捗表から読み出し、当該完了情報が、前記作業が完了したことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出し、前記作業が完了していないことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出さない残作業量算出部と、
複数の前記ラベル毎に、前記残作業量算出部によって読み出された前記残作業量を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする進捗管理支援装置。
【請求項2】
前記ラベル定義表に含まれる前記複数の工程と同様の工程を経て生産活動が行われる複数の機能が記憶される機能一覧表記憶部を備え、
前記進捗表記憶部には、前記機能毎の進捗表が記憶され、
前記入力部は、前記機能毎、前記工程毎に前記残作業量と前記完了情報との入力を受付け、
前記残作業量算出部は、機能毎の同一工程における残作業量の合計値を算出し、
前記出力部は、複数の前記ラベル毎に、前記残作業量の合計値を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の進捗管理支援装置。
【請求項3】
前記生産活動に割り当てる要員の数が記憶される要員計画表記憶部を備え、
前記残作業量算出部は、前記要員計画表記憶部から前記要員の数を読み出し、前記残作業量を当該要員の数で割った値を算出し、
前記出力部は、複数の前記ラベル毎に、前記残作業量算出部によって算出された前記値を出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の進捗管理支援装置。
【請求項4】
複数の工程における作業が含まれる生産活動において前記工程毎に対応するラベルと、当該ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する前記工程における残作業量と、当該工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、を備える進捗管理支援装置の進捗管理支援方法であって、
前記残作業量と前記完了情報との入力を受付け、前記進捗表記憶部に記憶させるステップと、
複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられた前記ラベルを前記ラベル定義表から読み出し、読み出した当該ラベルに対応する前記完了情報を前記進捗表から読み出し、当該完了情報が、前記作業が完了したことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出し、前記作業が完了していないことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出さないステップと、
複数の前記ラベル毎に、読み出した前記残作業量を出力するステップと、
を備えることを特徴とする進捗管理支援方法。
【請求項5】
複数の工程における作業が含まれる生産活動において前記工程毎に対応するラベルと、当該ラベルに対応する工程の前工程に対応するラベルとが対応付けられたラベル定義表が予め記憶されるラベル定義表記憶部と、複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する前記工程における残作業量と、当該工程における作業が完了したか否かを示す完了情報とが対応付けられた進捗表が記憶される進捗表記憶部と、を備える進捗管理支援装置のコンピュータに、
前記残作業量と前記完了情報との入力を受付け、前記進捗表記憶部に記憶させるステップと、
複数の前記ラベル毎に、当該ラベルに対応する工程の前工程として対応付けられた前記ラベルを前記ラベル定義表から読み出し、読み出した当該ラベルに対応する前記完了情報を前記進捗表から読み出し、当該完了情報が、前記作業が完了したことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出し、前記作業が完了していないことを示す場合、当該ラベルに対応する前記残作業量を読み出さないステップと、
複数の前記ラベル毎に、読み出した前記残作業量を出力するステップと、
を実行させる進捗管理支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−146133(P2012−146133A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4086(P2011−4086)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】