遅延ロックループ位相混合回路
例えば遅延ロックループ(DLL)回路において、位相を微調整するための技術および回路構成を提供する。1つまたは複数の遅延素子を電流源の出力ノードと選択的に接続することにより、複数の位相信号を、単一の電流源から生成するようにすることができる。遅延素子は、電流源を切り替えることによって生成される信号のタイミングを変更するようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、概して、集積回路デバイスに関するものである。また、より具体的には、本発明は、集積回路デバイスにおいて用いられる遅延ロックループに関するものである。
【0002】
[従来技術の説明]
遅延ロックループ(DLL)は、出力信号を周期的な入力信号に同期させるための様々な集積回路(IC)デバイスにおいて用いられている。言い換えれば、DLLの目的は、入力信号と出力信号との間の位相差を、ほぼ0に調整することである。図1に、出力クロック信号CKOUTを入力クロック信号CKINに同期させるように構成されているDLL回路100の一例を示す。
【0003】
図1のDLL回路100は、一般に、遅延線102と、位相検出器104と、制御論理回路106と、位相混合回路108とを備えている。位相検出器104は、CKOUTの位相をCKINの位相と比較し、検出した位相差に基づいて、制御論理回路106に対する信号を生成する。制御論理回路106は、遅延線102と位相混合回路108とを調整する。制御論理回路106は、遅延線102および位相混合回路108を制御することによりCKINを充分に遅延させてCKOUTに同期させるため、任意の適切な回路(例えば、シフトレジスタまたは任意の他の型式のレジスタ)を含んでいてもよい。言い換えれば、制御論理回路106は、CKINとCKOUTとの間の遅延がこれらのクロック周期の倍数にほぼ等しくなるように、遅延線102と位相混合回路108とを制御してもよい。
【0004】
図2に示すように、遅延線102は、それぞれ単一の単位遅延を表す複数の遅延ブロック110を備えていてもよい。各遅延ブロック110の間に、タップ112が備えられていてもよい。これにより、遅延の異なるCKINを選択できる。例えば、タップ1121の信号V1は、1単位遅延分だけ遅延されたCKINに相当するものである。したがって、遅延線102による全体的な遅延は、遅延線102からの出力のための適切な1つまたは複数のタップ112を選択することによって制御されてもよい。単位遅延は、典型的には、遅延ブロック110において使用される1つまたは2つのインバータの伝播遅延に等しい。
【0005】
残念ながら、この単位遅延の時間は、おおまか(大き)すぎて、高速アプリケーション用のCKINとCKOUTとを充分に同期させるのに必要な位相分解能が得られない。したがって、位相混合回路108は、遅延線102の単位遅延が行える調整よりも細かく位相を調整するように構成されていてもよい。図に示すとおり、位相混合回路108は、典型的には1単位遅延分離れている、早期位相遅れ信号VEおよび後期位相遅れ信号VLを入力として取得してもよい。例えば、VEおよびVLは、遅延線102の隣接するタップ112i・112i+1からそれぞれ取得されることもある。次に、位相混合回路108は、出力信号(例えば、この場合はCKOUT)を生成する。この出力信号は、信号VEの位相と信号VLの位相との中間の(すなわち「混合された」)位相を有している。
【0006】
図3Aに、位相混合回路108の回路構成の一例を示す。位相混合回路108は、位相が約90°離れている4つの信号を生成するように構成されている。言い換えれば、図3Bに示すように、信号はT/4ずつ均等に分割されている。ここで、Tは、VEとVLとを分離する遅延線102で行われる単位遅延である。例えば図1に示す制御論理回路106によって制御されるスイッチ150を介して、出力として所望の信号が選択される。図に示すように、信号VBL1・VBL2・VBL3は、対応する混合インバータ130の対を介してVEとVLとを混合することによって生成されてもよい。なお、各対は、早期位相信号VEを受け取るためのインバータ130E(早期インバータと称する)と、後期位相信号VLを受け取るためのインバータ130L(後期インバータと称する)とからなる。これらの混合インバータ130の出力が、比較器1401-3の閾値レベルに達すると、出力信号VBL1・VBL2・VBL3が生成される。
【0007】
混合位相信号の生成について、図4Aに示す一対の混合インバータ130を示すトランジスタと、図4Bの対応するタイミンググラフとを参照して説明する。T1では、VEとVLとは双方とも低く、インバータ130E・130LのPMOSトランジスタPE・PLは双方ともオンされ、一方、インバータ130E・130LのNMOSトランジスタNE・NLはオフされている。その結果、反転された出力VBLIは、最初は論理的ハイである。
【0008】
T2では、早期位相信号VEがアクティブ(ハイ)になり、PEはオフされ、NEはオンされ、PLはオンのままである。したがって、VBLIの電圧レベルは、PLおよびNEのトランジスタのオン抵抗(電流駆動)によって決定される。T3では、VEの後の1単位遅延がアクティブになり、VLがアクティブになり、PLはオフされ、NLはオンされる。その結果、VBLIは、完全な論理的ローレベルへと駆動される。図示していないが、VEおよびVLがインアクティブになるときにも、同様の切り替えが生じる。例えば、VEがインアクティブになると、PEはオンされ、NEはオフされ、NLはオンのままである。したがって、VBLIの電圧レベルは、PEおよびNLのトランジスタのオン抵抗(電流駆動)によって決定される。最後に、VLはインアクティブになり、PLはオンされ、NLはオフされ、その結果、VBLIは、完全な論理的ハイレベルへ戻る。
【0009】
一般に、後期インバータ130Lよりも早期インバータ130Eに対する駆動電流が強ければ強いほど、VBLIとVEとの間の遅延はよりいっそう小さくなる。したがって、位相信号を異ならせるために、混合インバータ130の各対の相対的な駆動電流を、(例えば、デバイス幅の比率を変更することによって)変更してもよい。例えば、VEよりもT/4だけ遅いVBL1を生成するには、早期インバータ130Eのデバイス幅は、後期インバータ130Lのデバイス幅よりも大きくすべきである。VEよりもT/2だけ遅いVBL2を生成するには、早期インバータのデバイス幅と後期インバータのデバイス幅とをほぼ同じにすべきである。VEよりも3T/4だけ遅いVBL3を生成するには、後期インバータ130Lのデバイス幅は、早期インバータ130Eのデバイス幅よりも大きくすべきである。
【0010】
このタイプの混合回路は、遅延線102からの信号の位相を微調整するが、この回路には多数の問題がある。例えば、所望の解像度を有する位相信号を生成するために、充分な精度を有する混合インバータのサイズを決定することは困難なタスクである可能性がある。さらに、図3Aに示すように、位相混合インバータ130の各対は、1つまたは複数の電流源(例えば、PEおよびPL)と、独自の比較器140を備えている。図示した例では出力部は4つだけでであるが、実際のアプリケーションは、数個の出力部をさらに有していることもあるし、数個のカスケード段を有していることもある。その結果、多数のインバータおよび比較器は、かなりの量の電流を消費する可能性がある。
【0011】
したがって、DLL回路によって生成される信号を微調整するための改良した技術と回路構成とが必要である。
【0012】
[発明の概要]
本発明の実施形態は、一般に、DLL回路によって生成される信号を微調整するための改良した技術と回路構成とを提供する。
【0013】
一実施形態は、早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路を提供する。上記位相混合回路は、一般に、共通出力ノードを有する電流源と、1つまたは複数の遅延素子と、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続する1つまたは複数のスイッチとを備えている。そして、上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。
【0014】
他の実施形態は、早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路を提供する。上記位相混合回路は、一般に、共通出力ノードおよび制御入力部を有する電流源と、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力部を有する比較器と、複数の遅延素子と、上記早期位相信号がアクティブになったときに上記共通出力ノードからの電流の経路と、複数のスイッチとを備えている。そして、上記制御入力部は、上記早期位相信号に後続して後期位相信号がアクティブになったときに、電流源を停止するためのものであり、上記複数のスイッチは、上記電流の経路を通る電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間を変更するため、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続するためのものである。
【0015】
さらに他の実施形態は、入力信号に一致した出力信号を生成するための遅延ロックループ回路を提供する。上記遅延ロックループ回路は、一般に、上記入力信号よりも1つまたは複数の単位遅延分だけ遅延された位相信号を提供するための遅延線と、上記遅延線によって提供される早期位相信号と後期位相信号との間の位相を有する混合位相信号を生成するための位相混合回路と、制御論理回路とを備えている。そして、上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。そして、上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている。
【0016】
さらに他の実施形態は、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスを提供する。上記DRAMデバイスは、一般に、1つまたは複数のメモリー素子と、上記1つまたは複数のメモリー素子から出力されるデータをクロック信号に同期させるための遅延ロックループ回路とを備えている。上記遅延ロックループ回路は、一般に、(i)遅延線と、(ii)位相混合回路と、(iii)制御論理回路とを備えている。そして、上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。そして、上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている。
【0017】
さらに他の実施形態は、早期位相信号および後期位相信号の位相の中間の位相を有する位相信号の生成方法を提供する。上記方法は、一般に、上記早期位相信号がアクティブになったときに、上記早期位相信号を1つまたは複数のスイッチの制御入力部と接続することで、電流源の共通出力ノードから該1つまたは複数のスイッチを通る電流の経路を提供するステップと、上記電流源の上記共通出力ノードに1つまたは複数の遅延素子を選択的に接続するため、1つまたは複数のスイッチを閉じるステップとを含み、上記電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数のスイッチのどれが閉じられているかに依存している。
【0018】
さて、本発明の上記特徴、利点および目的を、達成するとともに、詳しく理解できるための方法、すなわち、上記で要約した本発明のより具体的な説明は、添付の図に記載されている一部の実施形態を参照することにより得られるであろう。
【0019】
ただし、添付の図は、単に、本発明の典型的な実施形態を示すものである。したがって、添付の図は、本発明の範囲を制限するものとして捉えられるべきではない。なぜなら、本発明は、他の同じように効果的な実施形態も包含するものだからである。
【0020】
図1は、遅延ロックループ(DLL)回路の一例を示す。
【0021】
図2は、従来技術の遅延線の一例を示す。
【0022】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、従来技術のDLL位相混合回路の一例と対応するタイミングダイアグラムとを示す図である。
【0023】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、図3のDLL位相混合回路のインバータ対の一例の概略図と対応するタイミングダイアグラムとを示す図である。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスの一例を示す図である。
【0025】
図6は、図5のDLL回路を用いて入力信号を出力信号に同期させる動作の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図7Aおよび図7Bは、本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【0027】
図7Cは、図7A〜図7BのDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムの一例を示す図である。
【0028】
図8は、本発明の他の実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【0029】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本発明の実施形態は、概括すれば、例えば遅延ロックループ(DLL)回路で位相を微調整するための改良した技術および回路構成を提供するものである。従来技術では、各微調整位相信号を生成するために1つまたは複数の異なる電流源(例えば、図1の各対の混合インバータにおけるトランジスタPE・PL)を用いていたが、本発明の実施形態では、単一の電流源から複数の位相信号を生成できる。位相の異なる信号を生成するために、電流源を切り替えることにより生成される信号のタイミングを変更する異なる遅延素子を電流源に選択的に接続するようにしてもよい。その結果、本発明の回路構成は、設計および製造が簡単であり、製造に必要な土地面積および電流消費が少ない。
【0030】
ここで、電流源という用語は、一般に、信号生成に必要な電流を供給するために使用される任意のタイプのデバイスを指す。例えば、供給電力供給線(例えばVDD)と接続されたスイッチングトランジスタ(例えばPFETまたはNFET)である。本願に記載の技術および回路構成は、生成される信号の位相を調整するための種々のアプリケーションにおいて利用できる。しかしながら、理解しやくするため、以下の説明は、具体例として、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)のDLL回路における技術および回路構成を用いる実施形態について述べる。しかしながら、これは、応用例を制限するものではない。
【0031】
[DRAMデバイスの一例]
図5に、本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路510を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイス500の一例を示す。DRAM仕様書の典型的な条件は、外部から供給されるクロック信号(CLK)の立ち上りエッジのときに(ダブルデータレートデバイスでは立ち下がりエッジのときにも)出力線DQ[0:N]上でメモリーアレイ540からのデータを利用できることである。DRAMが、データが利用可能であることを示すデータストローブ信号DQSを出力する場合もある。このデータストローブ信号も、CLKに同期すべきである。
【0032】
DQまたはDQSをCLKに同期させるための方法としては、ドライバ回路530をCLKでクロックすることが挙げられる。しかしながら、さまざまな要素(例えば、入力バッファ502や、CLKをデバイス500全体に伝播させるために使用される相互接続線など)が、デバイスの入力部のCLKとドライバ回路530に到達するCLKとの間で位相を遅延させてしまう可能性がある。製造プロセス、温度および動作クロック周波数の変化により、さらに遅延が生じることもある。したがって、CLKをドライバ回路530用の直接のクロック信号として用いれば、CLKとDQまたはDQS信号との間に望ましく無い歪みが生じ、有効な出力データ窓が縮小されてしまうかもしれない。
【0033】
しかしながら、DLL回路510を使用すれば、CLKを人為的に遅延させることにより、DQS信号およびDQ信号をCLK信号に同期させることができる。このように、DLL回路510を使用すれば、データの出力を、駆動回路530をクロックするために使用される出力クロックCKOUTの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの双方に同期させる(CLKと同相にする)ことにより、有効出力データ窓を拡大できる。図に示すように、DLL回路510は、遅延線512と、位相検出器504と、制御論理回路506とを備えていてもよい。従来のDLL回路と同様に、遅延線512は、比較的おおまかな一連の単位遅延を備えていてもよく、位相を大まかに調整するために使用されてもよい。一方、位相混合回路520は、位相をより細かく調整するために使用されてもよい。
【0034】
図6を参照してDLL回路510および位相混合回路530の動作を説明する。図6は、入力信号と出力信号とを同期させる一例である動作600を示すフローチャートである。例えば、動作600は、DLLの初期化手順(例えば、電源オン動作や自己リフレッシュモード終了動作)中に、遅延線512と位相混合回路530とを制御するための制御論理回路506を介して実行してもよい。また、例えば、温度変化による、CLKに対する周波数の変化やCLKの遅延の変化を補償するため、動作600を連続的に実行して、CKOUTに対して「実行時」調整するようにしてもよい。
【0035】
いずれの場合にも、動作600は、CKINとCKOUTとの間の歪み(位相差)を監視するステップ602から始まる。例えば、制御論理回路506は、位相検出器504によって生成される、CKINとCKOUTとの間の位相差を示す1つまたは複数の信号を監視してもよい。ステップ604では、位相遅れを大まかに調整し、CKINよりも早い早期位相信号およびCKINよりも遅い後期位相信号を生成する。例えば、制御論理回路506は、1つまたは複数の制御信号を生成して遅延線512の隣接するタップを選択し、早期位相信号VEと後期位相信号VLと(例えば、1遅延単位分だけ位相が異なる)を位相混合回路530に供給するようにしてもよい。
【0036】
ステップ606では、早期位相信号または後期位相信号またはそれらの間の位相を有するCKOUTを生成するため、1つまたは複数の遅延素子を電流源の共通出力ノードと選択的に接続する。例えば、位相混合回路520は、1つまたは複数の遅延素子524を備えていてもよい。遅延素子524は、電流源522の共通出力ノード526と選択的に接続される。以下でより詳しく説明するように、遅延素子524は、早期位相信号VEがアクティブになった後、共通出力ノード526の電圧レベルを比較器528の閾値スイッチング電圧レベルにするのに要する時間を変更するために使用されてもよい。
【0037】
CKINとCKOUTとが一致していれば、ステップ608において決定されたように(例えば、位相検出器504からのフィードバックに基づいて)DLLは、ステップ610で固定されると考えられる。そうでなければ、動作600は、電流源520の共通出力ノード526と接続される1つまたは複数の遅延素子524を変更するため、ステップ606に戻る。動作606〜608を、CKINとCKOUTとが一致するまで繰り返してもよい。微調整のやり方として、初めは、遅延が最小になるように共通出力ノード526に1つまたは複数の遅延素子524を接続しておき(例えば、早期位相信号VEと同位相のCKOUT)、次いで、各経路において接続される遅延素子524を変更して、CKINとCKOUTとが一致するまで遅延を増加させるような形態としてもよい。
【0038】
[DLL位相混合回路の一例]
遅延素子524は、早期位相信号VEがアクティブになってから比較器140が切り替わるまでの時間に影響を与える任意の適切な回路素子を備えていてもよい。例えば、図7Aに示すように、位相混合回路720に、遅延素子としての1つまたは複数のトランジスタ150が備えられていてもよい。トランジスタ150は、1つまたは複数のスイッチ160を介して、電流源722(PMOSトランジスタPL)の共通出力ノード726と接続されてもよい。例えば、1つまたは複数のスイッチ160は、CKOUTの位相を微調整する(例えば図6のステップ606から608)間に、DLLの制御論理回路によって生成された信号に応じて開閉されてもよい。トランジスタ150は、早期位相信号VEがアクティブのとき、共通出力ノード726からの電流の経路の有効抵抗を変化させることにより、比較器140の切り替え時間を変更してもよい。
【0039】
例えば、図7Bに示す位相混合回路720では、早期位相信号VEがアクティブのとき、トランジスタNEを通る電流の経路ができるようにスイッチSEが閉じられている。図7Cに、スイッチSEが閉じられているときの早期位相信号VE(702)、後期位相信号VL(704)、および(反転された)混合信号VBLI(706)のタイミングダイアグラムの一例を示す。図示されている通り、T1の時点では、VEおよびVLの双方がインアクティブであり、グラウンドまでの電流の経路は存在せず、共通出力ノード726はVDDへと予備充電されている。T2の時点で、早期位相信号VEがアクティブのとき(線702)、NEは共通出力ノード726からグラウンドまでの電流の経路を形成する。したがって、T3の時点で後期位相信号VLがアクティブになる前は、VBLIの電圧レベルは、PLおよびNEの有効オン抵抗の関数になっている。後期位相信号が一旦アクティブになった後、PLはオフされ、NLはオンされ、共通出力ノード72はNEとNLとの双方を通して放電する。
【0040】
したがって、PL・NL・NEの寸法(および、共通出力ノード726における出力容量)により、VBLIが比較器140の切り替え閾値電圧と一致する時点が決定される。したがって、PL・NL・NEの寸法は、スイッチSEが閉じられているときに、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相に、確実に一致させられるようにとの努力のなかで選択されてもよい。トランジスタ150の寸法は、均等に(例えば、図3Bに示す混合電圧信号に対応する90°ごとに)分割された位相を有するCKOUTを生成するとの努力のなかで、各トランジスタの実効抵抗を変更するように選択する形態としてもよい。
【0041】
言い換えれば、N1〜N3の寸法は、スイッチS1が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも90°遅延させ、スイッチS2が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも180°遅延させ、スイッチS3が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも270°遅延させるとの努力のなかで選択してもよい。図に示すように、トランジスタの実効抵抗は、一般に、チャネル幅に反比例するので、トランジスタの幅は、NEからN3へと短くなっている(例えば、NE=2×N1=4×N2=8×N3)。もちろん、与えられた任意の位相遅れに対する所望のタイミングを達成するために、複数のトランジスタ150が共通出力ノードに同時接続された形態としてもよい。言い換えれば、トランジスタの寸法は、並列のトランジスタの実効抵抗により比較器140の所望の切り替え時間が得られるように選択されていてもよい。
【0042】
比較すると、DLL位相混合回路720の回路構成は、図3AのDLL位相混合回路120の回路構成よりも構成素子の数が少なく、より簡素である。その結果、同じまたはより少ない回路面積で、より細かい調整(例えば、4つ以上の混合位相信号)が可能である。付加的なトランジスタ150をさらに付け加えたり、例えばより細かい位相分解能を提供する各連続的な段を有するDLL位相混合回路720の複数の段をカスケード接続したりすることにより、混合位相信号を追加することも可能である。さらに、単一の電流源722と単一の比較器140とを用いることにより、DLL位相混合回路720の消費する電流は、従来のDLL位相混合回路120の消費する電流よりも著しく少なくなる。
【0043】
既述のように、電流源722の共通出力ノード726の切り替え時間は、その出力容量によって決定されてもよい。出力容量は、一般に、比較器140の入力容量と、共通出力ノード726上の任意の他の容量とを含んでいる。したがって、共通出力ノード726の容量を変更することによりCKOUTの位相を変更することもできる。
【0044】
図8に、DLL位相混合回路820の一例を示す。図8の例では、電流源822の共通出力ノード826における容量は、1つまたは複数のコンデンサ170を共通出力ノード826に選択的に接続することにより変更される。言い換えれば、早期位相信号VEがアクティブのときはNEによって、および、後期位相信号VLが後からアクティブになったときはNEおよびNLによって、共通出力ノード826の放電率を変更するように、1つまたは複数のコンデンサ170を選択的に接続してもよい。
【0045】
したがって、コンデンサ170(CEおよびC1〜C3)のサイズは、VBLIが、所望の位相信号に対応する比較器140の切り替え閾値と一致する時点が確実となるとの努力のなかで選択されていてもよい(例えば図3BのVBLEとVBL1〜VBL3)。図に示すように、スイッチSEが閉じられているときに、最も早期の混合信号VBLE(例えば、早期位相信号VEと同相)を生成するために、CEは最小のコンデンサ170としてもよい。同様に、C1〜C3のサイズは、スイッチS1が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より90°遅延させ、スイッチS2が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より180°遅延させ、スイッチS3が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より270°遅延させることが確実となるようにとの努力のなかで、徐々に大きくなるようにしてもよい。もちろん、与えられた任意の位相遅れに対する所望のタイミングを達成するために、複数のコンデンサ170を共通出力ノードに同時に接続してもよい。言い換えれば、(付加的な)実効的な並列の容量により比較器140の所望の切り替え時間となるようにコンデンサ170の値を選択してもよい。
【0046】
コンデンサ170としては、任意の適切な型式のコンデンサが用いうるが、厳密にいえば、位相混合回路820を用いるデバイス上の他の部位で使用される型式による。例えば、デバイスがDRAMデバイスであれば、コンデンサは、メモリセルのコンデンサと同じ型式のプロセスを使用して製造するようにすることができ(例えば、ディープトレンチコンデンサまたはスタックコンデンサ)、それにより、システム全体のコストを低減することができる。さらに、位相混合回路の遅延素子は、上記のように複数の位相混合信号を生成するために、任意の適切な組み合わせで、共通の電流源に接続されるコンデンサとトランジスタとの組み合わせを含んでいてもよい。
【0047】
[結論]
1つまたは複数の遅延素子を位相混合回路の共通出力ノードと選択的に接続することにより、本発明の実施形態は、単一の電流源を使用して、1つまたは複数の基準信号とは位相の異なる複数の混合信号を生成できる。したがって、本発明の実施形態の位相混合回路は、各位相混合信号に対する1つまたは複数の別々の電流源を使用する従来の位相混合回路よりも設計および実施がしやすく、所要の回路面積も少なく、消費電流も少ない。
【0048】
上記説明は、本発明の実施形態についてのものであるが、本発明のほかのまたは更なる実施形態は、本発明の基本的範囲に反することなく作成されてもよい。本発明の範囲は、以下の請求項によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】遅延ロックループ(DLL)回路の一例を示す。
【図2】従来技術の遅延線の一例を示す。
【図3A】従来技術のDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図3B】図3Aに示すDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムを示す図である。
【図4A】
【0050】
図3のDLL位相混合回路のインバータ対の一例を示す概略図である。
【図4B】図4Aに示す対応するインバータ対のタイミングダイアグラムを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスの一例を示す図である。
【図6】図5のDLL回路を用いて入力信号を出力信号に同期させる動作の一例を示すフローチャートである。
【図7A】本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図7C】図7A〜図7BのDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムの一例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、概して、集積回路デバイスに関するものである。また、より具体的には、本発明は、集積回路デバイスにおいて用いられる遅延ロックループに関するものである。
【0002】
[従来技術の説明]
遅延ロックループ(DLL)は、出力信号を周期的な入力信号に同期させるための様々な集積回路(IC)デバイスにおいて用いられている。言い換えれば、DLLの目的は、入力信号と出力信号との間の位相差を、ほぼ0に調整することである。図1に、出力クロック信号CKOUTを入力クロック信号CKINに同期させるように構成されているDLL回路100の一例を示す。
【0003】
図1のDLL回路100は、一般に、遅延線102と、位相検出器104と、制御論理回路106と、位相混合回路108とを備えている。位相検出器104は、CKOUTの位相をCKINの位相と比較し、検出した位相差に基づいて、制御論理回路106に対する信号を生成する。制御論理回路106は、遅延線102と位相混合回路108とを調整する。制御論理回路106は、遅延線102および位相混合回路108を制御することによりCKINを充分に遅延させてCKOUTに同期させるため、任意の適切な回路(例えば、シフトレジスタまたは任意の他の型式のレジスタ)を含んでいてもよい。言い換えれば、制御論理回路106は、CKINとCKOUTとの間の遅延がこれらのクロック周期の倍数にほぼ等しくなるように、遅延線102と位相混合回路108とを制御してもよい。
【0004】
図2に示すように、遅延線102は、それぞれ単一の単位遅延を表す複数の遅延ブロック110を備えていてもよい。各遅延ブロック110の間に、タップ112が備えられていてもよい。これにより、遅延の異なるCKINを選択できる。例えば、タップ1121の信号V1は、1単位遅延分だけ遅延されたCKINに相当するものである。したがって、遅延線102による全体的な遅延は、遅延線102からの出力のための適切な1つまたは複数のタップ112を選択することによって制御されてもよい。単位遅延は、典型的には、遅延ブロック110において使用される1つまたは2つのインバータの伝播遅延に等しい。
【0005】
残念ながら、この単位遅延の時間は、おおまか(大き)すぎて、高速アプリケーション用のCKINとCKOUTとを充分に同期させるのに必要な位相分解能が得られない。したがって、位相混合回路108は、遅延線102の単位遅延が行える調整よりも細かく位相を調整するように構成されていてもよい。図に示すとおり、位相混合回路108は、典型的には1単位遅延分離れている、早期位相遅れ信号VEおよび後期位相遅れ信号VLを入力として取得してもよい。例えば、VEおよびVLは、遅延線102の隣接するタップ112i・112i+1からそれぞれ取得されることもある。次に、位相混合回路108は、出力信号(例えば、この場合はCKOUT)を生成する。この出力信号は、信号VEの位相と信号VLの位相との中間の(すなわち「混合された」)位相を有している。
【0006】
図3Aに、位相混合回路108の回路構成の一例を示す。位相混合回路108は、位相が約90°離れている4つの信号を生成するように構成されている。言い換えれば、図3Bに示すように、信号はT/4ずつ均等に分割されている。ここで、Tは、VEとVLとを分離する遅延線102で行われる単位遅延である。例えば図1に示す制御論理回路106によって制御されるスイッチ150を介して、出力として所望の信号が選択される。図に示すように、信号VBL1・VBL2・VBL3は、対応する混合インバータ130の対を介してVEとVLとを混合することによって生成されてもよい。なお、各対は、早期位相信号VEを受け取るためのインバータ130E(早期インバータと称する)と、後期位相信号VLを受け取るためのインバータ130L(後期インバータと称する)とからなる。これらの混合インバータ130の出力が、比較器1401-3の閾値レベルに達すると、出力信号VBL1・VBL2・VBL3が生成される。
【0007】
混合位相信号の生成について、図4Aに示す一対の混合インバータ130を示すトランジスタと、図4Bの対応するタイミンググラフとを参照して説明する。T1では、VEとVLとは双方とも低く、インバータ130E・130LのPMOSトランジスタPE・PLは双方ともオンされ、一方、インバータ130E・130LのNMOSトランジスタNE・NLはオフされている。その結果、反転された出力VBLIは、最初は論理的ハイである。
【0008】
T2では、早期位相信号VEがアクティブ(ハイ)になり、PEはオフされ、NEはオンされ、PLはオンのままである。したがって、VBLIの電圧レベルは、PLおよびNEのトランジスタのオン抵抗(電流駆動)によって決定される。T3では、VEの後の1単位遅延がアクティブになり、VLがアクティブになり、PLはオフされ、NLはオンされる。その結果、VBLIは、完全な論理的ローレベルへと駆動される。図示していないが、VEおよびVLがインアクティブになるときにも、同様の切り替えが生じる。例えば、VEがインアクティブになると、PEはオンされ、NEはオフされ、NLはオンのままである。したがって、VBLIの電圧レベルは、PEおよびNLのトランジスタのオン抵抗(電流駆動)によって決定される。最後に、VLはインアクティブになり、PLはオンされ、NLはオフされ、その結果、VBLIは、完全な論理的ハイレベルへ戻る。
【0009】
一般に、後期インバータ130Lよりも早期インバータ130Eに対する駆動電流が強ければ強いほど、VBLIとVEとの間の遅延はよりいっそう小さくなる。したがって、位相信号を異ならせるために、混合インバータ130の各対の相対的な駆動電流を、(例えば、デバイス幅の比率を変更することによって)変更してもよい。例えば、VEよりもT/4だけ遅いVBL1を生成するには、早期インバータ130Eのデバイス幅は、後期インバータ130Lのデバイス幅よりも大きくすべきである。VEよりもT/2だけ遅いVBL2を生成するには、早期インバータのデバイス幅と後期インバータのデバイス幅とをほぼ同じにすべきである。VEよりも3T/4だけ遅いVBL3を生成するには、後期インバータ130Lのデバイス幅は、早期インバータ130Eのデバイス幅よりも大きくすべきである。
【0010】
このタイプの混合回路は、遅延線102からの信号の位相を微調整するが、この回路には多数の問題がある。例えば、所望の解像度を有する位相信号を生成するために、充分な精度を有する混合インバータのサイズを決定することは困難なタスクである可能性がある。さらに、図3Aに示すように、位相混合インバータ130の各対は、1つまたは複数の電流源(例えば、PEおよびPL)と、独自の比較器140を備えている。図示した例では出力部は4つだけでであるが、実際のアプリケーションは、数個の出力部をさらに有していることもあるし、数個のカスケード段を有していることもある。その結果、多数のインバータおよび比較器は、かなりの量の電流を消費する可能性がある。
【0011】
したがって、DLL回路によって生成される信号を微調整するための改良した技術と回路構成とが必要である。
【0012】
[発明の概要]
本発明の実施形態は、一般に、DLL回路によって生成される信号を微調整するための改良した技術と回路構成とを提供する。
【0013】
一実施形態は、早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路を提供する。上記位相混合回路は、一般に、共通出力ノードを有する電流源と、1つまたは複数の遅延素子と、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続する1つまたは複数のスイッチとを備えている。そして、上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。
【0014】
他の実施形態は、早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路を提供する。上記位相混合回路は、一般に、共通出力ノードおよび制御入力部を有する電流源と、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力部を有する比較器と、複数の遅延素子と、上記早期位相信号がアクティブになったときに上記共通出力ノードからの電流の経路と、複数のスイッチとを備えている。そして、上記制御入力部は、上記早期位相信号に後続して後期位相信号がアクティブになったときに、電流源を停止するためのものであり、上記複数のスイッチは、上記電流の経路を通る電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間を変更するため、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続するためのものである。
【0015】
さらに他の実施形態は、入力信号に一致した出力信号を生成するための遅延ロックループ回路を提供する。上記遅延ロックループ回路は、一般に、上記入力信号よりも1つまたは複数の単位遅延分だけ遅延された位相信号を提供するための遅延線と、上記遅延線によって提供される早期位相信号と後期位相信号との間の位相を有する混合位相信号を生成するための位相混合回路と、制御論理回路とを備えている。そして、上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。そして、上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている。
【0016】
さらに他の実施形態は、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスを提供する。上記DRAMデバイスは、一般に、1つまたは複数のメモリー素子と、上記1つまたは複数のメモリー素子から出力されるデータをクロック信号に同期させるための遅延ロックループ回路とを備えている。上記遅延ロックループ回路は、一般に、(i)遅延線と、(ii)位相混合回路と、(iii)制御論理回路とを備えている。そして、上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存している。そして、上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている。
【0017】
さらに他の実施形態は、早期位相信号および後期位相信号の位相の中間の位相を有する位相信号の生成方法を提供する。上記方法は、一般に、上記早期位相信号がアクティブになったときに、上記早期位相信号を1つまたは複数のスイッチの制御入力部と接続することで、電流源の共通出力ノードから該1つまたは複数のスイッチを通る電流の経路を提供するステップと、上記電流源の上記共通出力ノードに1つまたは複数の遅延素子を選択的に接続するため、1つまたは複数のスイッチを閉じるステップとを含み、上記電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数のスイッチのどれが閉じられているかに依存している。
【0018】
さて、本発明の上記特徴、利点および目的を、達成するとともに、詳しく理解できるための方法、すなわち、上記で要約した本発明のより具体的な説明は、添付の図に記載されている一部の実施形態を参照することにより得られるであろう。
【0019】
ただし、添付の図は、単に、本発明の典型的な実施形態を示すものである。したがって、添付の図は、本発明の範囲を制限するものとして捉えられるべきではない。なぜなら、本発明は、他の同じように効果的な実施形態も包含するものだからである。
【0020】
図1は、遅延ロックループ(DLL)回路の一例を示す。
【0021】
図2は、従来技術の遅延線の一例を示す。
【0022】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、従来技術のDLL位相混合回路の一例と対応するタイミングダイアグラムとを示す図である。
【0023】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、図3のDLL位相混合回路のインバータ対の一例の概略図と対応するタイミングダイアグラムとを示す図である。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスの一例を示す図である。
【0025】
図6は、図5のDLL回路を用いて入力信号を出力信号に同期させる動作の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図7Aおよび図7Bは、本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【0027】
図7Cは、図7A〜図7BのDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムの一例を示す図である。
【0028】
図8は、本発明の他の実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【0029】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本発明の実施形態は、概括すれば、例えば遅延ロックループ(DLL)回路で位相を微調整するための改良した技術および回路構成を提供するものである。従来技術では、各微調整位相信号を生成するために1つまたは複数の異なる電流源(例えば、図1の各対の混合インバータにおけるトランジスタPE・PL)を用いていたが、本発明の実施形態では、単一の電流源から複数の位相信号を生成できる。位相の異なる信号を生成するために、電流源を切り替えることにより生成される信号のタイミングを変更する異なる遅延素子を電流源に選択的に接続するようにしてもよい。その結果、本発明の回路構成は、設計および製造が簡単であり、製造に必要な土地面積および電流消費が少ない。
【0030】
ここで、電流源という用語は、一般に、信号生成に必要な電流を供給するために使用される任意のタイプのデバイスを指す。例えば、供給電力供給線(例えばVDD)と接続されたスイッチングトランジスタ(例えばPFETまたはNFET)である。本願に記載の技術および回路構成は、生成される信号の位相を調整するための種々のアプリケーションにおいて利用できる。しかしながら、理解しやくするため、以下の説明は、具体例として、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)のDLL回路における技術および回路構成を用いる実施形態について述べる。しかしながら、これは、応用例を制限するものではない。
【0031】
[DRAMデバイスの一例]
図5に、本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路510を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイス500の一例を示す。DRAM仕様書の典型的な条件は、外部から供給されるクロック信号(CLK)の立ち上りエッジのときに(ダブルデータレートデバイスでは立ち下がりエッジのときにも)出力線DQ[0:N]上でメモリーアレイ540からのデータを利用できることである。DRAMが、データが利用可能であることを示すデータストローブ信号DQSを出力する場合もある。このデータストローブ信号も、CLKに同期すべきである。
【0032】
DQまたはDQSをCLKに同期させるための方法としては、ドライバ回路530をCLKでクロックすることが挙げられる。しかしながら、さまざまな要素(例えば、入力バッファ502や、CLKをデバイス500全体に伝播させるために使用される相互接続線など)が、デバイスの入力部のCLKとドライバ回路530に到達するCLKとの間で位相を遅延させてしまう可能性がある。製造プロセス、温度および動作クロック周波数の変化により、さらに遅延が生じることもある。したがって、CLKをドライバ回路530用の直接のクロック信号として用いれば、CLKとDQまたはDQS信号との間に望ましく無い歪みが生じ、有効な出力データ窓が縮小されてしまうかもしれない。
【0033】
しかしながら、DLL回路510を使用すれば、CLKを人為的に遅延させることにより、DQS信号およびDQ信号をCLK信号に同期させることができる。このように、DLL回路510を使用すれば、データの出力を、駆動回路530をクロックするために使用される出力クロックCKOUTの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの双方に同期させる(CLKと同相にする)ことにより、有効出力データ窓を拡大できる。図に示すように、DLL回路510は、遅延線512と、位相検出器504と、制御論理回路506とを備えていてもよい。従来のDLL回路と同様に、遅延線512は、比較的おおまかな一連の単位遅延を備えていてもよく、位相を大まかに調整するために使用されてもよい。一方、位相混合回路520は、位相をより細かく調整するために使用されてもよい。
【0034】
図6を参照してDLL回路510および位相混合回路530の動作を説明する。図6は、入力信号と出力信号とを同期させる一例である動作600を示すフローチャートである。例えば、動作600は、DLLの初期化手順(例えば、電源オン動作や自己リフレッシュモード終了動作)中に、遅延線512と位相混合回路530とを制御するための制御論理回路506を介して実行してもよい。また、例えば、温度変化による、CLKに対する周波数の変化やCLKの遅延の変化を補償するため、動作600を連続的に実行して、CKOUTに対して「実行時」調整するようにしてもよい。
【0035】
いずれの場合にも、動作600は、CKINとCKOUTとの間の歪み(位相差)を監視するステップ602から始まる。例えば、制御論理回路506は、位相検出器504によって生成される、CKINとCKOUTとの間の位相差を示す1つまたは複数の信号を監視してもよい。ステップ604では、位相遅れを大まかに調整し、CKINよりも早い早期位相信号およびCKINよりも遅い後期位相信号を生成する。例えば、制御論理回路506は、1つまたは複数の制御信号を生成して遅延線512の隣接するタップを選択し、早期位相信号VEと後期位相信号VLと(例えば、1遅延単位分だけ位相が異なる)を位相混合回路530に供給するようにしてもよい。
【0036】
ステップ606では、早期位相信号または後期位相信号またはそれらの間の位相を有するCKOUTを生成するため、1つまたは複数の遅延素子を電流源の共通出力ノードと選択的に接続する。例えば、位相混合回路520は、1つまたは複数の遅延素子524を備えていてもよい。遅延素子524は、電流源522の共通出力ノード526と選択的に接続される。以下でより詳しく説明するように、遅延素子524は、早期位相信号VEがアクティブになった後、共通出力ノード526の電圧レベルを比較器528の閾値スイッチング電圧レベルにするのに要する時間を変更するために使用されてもよい。
【0037】
CKINとCKOUTとが一致していれば、ステップ608において決定されたように(例えば、位相検出器504からのフィードバックに基づいて)DLLは、ステップ610で固定されると考えられる。そうでなければ、動作600は、電流源520の共通出力ノード526と接続される1つまたは複数の遅延素子524を変更するため、ステップ606に戻る。動作606〜608を、CKINとCKOUTとが一致するまで繰り返してもよい。微調整のやり方として、初めは、遅延が最小になるように共通出力ノード526に1つまたは複数の遅延素子524を接続しておき(例えば、早期位相信号VEと同位相のCKOUT)、次いで、各経路において接続される遅延素子524を変更して、CKINとCKOUTとが一致するまで遅延を増加させるような形態としてもよい。
【0038】
[DLL位相混合回路の一例]
遅延素子524は、早期位相信号VEがアクティブになってから比較器140が切り替わるまでの時間に影響を与える任意の適切な回路素子を備えていてもよい。例えば、図7Aに示すように、位相混合回路720に、遅延素子としての1つまたは複数のトランジスタ150が備えられていてもよい。トランジスタ150は、1つまたは複数のスイッチ160を介して、電流源722(PMOSトランジスタPL)の共通出力ノード726と接続されてもよい。例えば、1つまたは複数のスイッチ160は、CKOUTの位相を微調整する(例えば図6のステップ606から608)間に、DLLの制御論理回路によって生成された信号に応じて開閉されてもよい。トランジスタ150は、早期位相信号VEがアクティブのとき、共通出力ノード726からの電流の経路の有効抵抗を変化させることにより、比較器140の切り替え時間を変更してもよい。
【0039】
例えば、図7Bに示す位相混合回路720では、早期位相信号VEがアクティブのとき、トランジスタNEを通る電流の経路ができるようにスイッチSEが閉じられている。図7Cに、スイッチSEが閉じられているときの早期位相信号VE(702)、後期位相信号VL(704)、および(反転された)混合信号VBLI(706)のタイミングダイアグラムの一例を示す。図示されている通り、T1の時点では、VEおよびVLの双方がインアクティブであり、グラウンドまでの電流の経路は存在せず、共通出力ノード726はVDDへと予備充電されている。T2の時点で、早期位相信号VEがアクティブのとき(線702)、NEは共通出力ノード726からグラウンドまでの電流の経路を形成する。したがって、T3の時点で後期位相信号VLがアクティブになる前は、VBLIの電圧レベルは、PLおよびNEの有効オン抵抗の関数になっている。後期位相信号が一旦アクティブになった後、PLはオフされ、NLはオンされ、共通出力ノード72はNEとNLとの双方を通して放電する。
【0040】
したがって、PL・NL・NEの寸法(および、共通出力ノード726における出力容量)により、VBLIが比較器140の切り替え閾値電圧と一致する時点が決定される。したがって、PL・NL・NEの寸法は、スイッチSEが閉じられているときに、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相に、確実に一致させられるようにとの努力のなかで選択されてもよい。トランジスタ150の寸法は、均等に(例えば、図3Bに示す混合電圧信号に対応する90°ごとに)分割された位相を有するCKOUTを生成するとの努力のなかで、各トランジスタの実効抵抗を変更するように選択する形態としてもよい。
【0041】
言い換えれば、N1〜N3の寸法は、スイッチS1が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも90°遅延させ、スイッチS2が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも180°遅延させ、スイッチS3が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号VEの位相よりも270°遅延させるとの努力のなかで選択してもよい。図に示すように、トランジスタの実効抵抗は、一般に、チャネル幅に反比例するので、トランジスタの幅は、NEからN3へと短くなっている(例えば、NE=2×N1=4×N2=8×N3)。もちろん、与えられた任意の位相遅れに対する所望のタイミングを達成するために、複数のトランジスタ150が共通出力ノードに同時接続された形態としてもよい。言い換えれば、トランジスタの寸法は、並列のトランジスタの実効抵抗により比較器140の所望の切り替え時間が得られるように選択されていてもよい。
【0042】
比較すると、DLL位相混合回路720の回路構成は、図3AのDLL位相混合回路120の回路構成よりも構成素子の数が少なく、より簡素である。その結果、同じまたはより少ない回路面積で、より細かい調整(例えば、4つ以上の混合位相信号)が可能である。付加的なトランジスタ150をさらに付け加えたり、例えばより細かい位相分解能を提供する各連続的な段を有するDLL位相混合回路720の複数の段をカスケード接続したりすることにより、混合位相信号を追加することも可能である。さらに、単一の電流源722と単一の比較器140とを用いることにより、DLL位相混合回路720の消費する電流は、従来のDLL位相混合回路120の消費する電流よりも著しく少なくなる。
【0043】
既述のように、電流源722の共通出力ノード726の切り替え時間は、その出力容量によって決定されてもよい。出力容量は、一般に、比較器140の入力容量と、共通出力ノード726上の任意の他の容量とを含んでいる。したがって、共通出力ノード726の容量を変更することによりCKOUTの位相を変更することもできる。
【0044】
図8に、DLL位相混合回路820の一例を示す。図8の例では、電流源822の共通出力ノード826における容量は、1つまたは複数のコンデンサ170を共通出力ノード826に選択的に接続することにより変更される。言い換えれば、早期位相信号VEがアクティブのときはNEによって、および、後期位相信号VLが後からアクティブになったときはNEおよびNLによって、共通出力ノード826の放電率を変更するように、1つまたは複数のコンデンサ170を選択的に接続してもよい。
【0045】
したがって、コンデンサ170(CEおよびC1〜C3)のサイズは、VBLIが、所望の位相信号に対応する比較器140の切り替え閾値と一致する時点が確実となるとの努力のなかで選択されていてもよい(例えば図3BのVBLEとVBL1〜VBL3)。図に示すように、スイッチSEが閉じられているときに、最も早期の混合信号VBLE(例えば、早期位相信号VEと同相)を生成するために、CEは最小のコンデンサ170としてもよい。同様に、C1〜C3のサイズは、スイッチS1が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より90°遅延させ、スイッチS2が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より180°遅延させ、スイッチS3が閉じられているとき、CKOUTの位相を早期位相信号早期位相信号VEの位相より270°遅延させることが確実となるようにとの努力のなかで、徐々に大きくなるようにしてもよい。もちろん、与えられた任意の位相遅れに対する所望のタイミングを達成するために、複数のコンデンサ170を共通出力ノードに同時に接続してもよい。言い換えれば、(付加的な)実効的な並列の容量により比較器140の所望の切り替え時間となるようにコンデンサ170の値を選択してもよい。
【0046】
コンデンサ170としては、任意の適切な型式のコンデンサが用いうるが、厳密にいえば、位相混合回路820を用いるデバイス上の他の部位で使用される型式による。例えば、デバイスがDRAMデバイスであれば、コンデンサは、メモリセルのコンデンサと同じ型式のプロセスを使用して製造するようにすることができ(例えば、ディープトレンチコンデンサまたはスタックコンデンサ)、それにより、システム全体のコストを低減することができる。さらに、位相混合回路の遅延素子は、上記のように複数の位相混合信号を生成するために、任意の適切な組み合わせで、共通の電流源に接続されるコンデンサとトランジスタとの組み合わせを含んでいてもよい。
【0047】
[結論]
1つまたは複数の遅延素子を位相混合回路の共通出力ノードと選択的に接続することにより、本発明の実施形態は、単一の電流源を使用して、1つまたは複数の基準信号とは位相の異なる複数の混合信号を生成できる。したがって、本発明の実施形態の位相混合回路は、各位相混合信号に対する1つまたは複数の別々の電流源を使用する従来の位相混合回路よりも設計および実施がしやすく、所要の回路面積も少なく、消費電流も少ない。
【0048】
上記説明は、本発明の実施形態についてのものであるが、本発明のほかのまたは更なる実施形態は、本発明の基本的範囲に反することなく作成されてもよい。本発明の範囲は、以下の請求項によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】遅延ロックループ(DLL)回路の一例を示す。
【図2】従来技術の遅延線の一例を示す。
【図3A】従来技術のDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図3B】図3Aに示すDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムを示す図である。
【図4A】
【0050】
図3のDLL位相混合回路のインバータ対の一例を示す概略図である。
【図4B】図4Aに示す対応するインバータ対のタイミングダイアグラムを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るダイナミックロックループ(DLL)回路を用いるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスの一例を示す図である。
【図6】図5のDLL回路を用いて入力信号を出力信号に同期させる動作の一例を示すフローチャートである。
【図7A】本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【図7C】図7A〜図7BのDLL位相混合回路に対応するタイミングダイアグラムの一例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るDLL位相混合回路の一例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路であって、
共通出力ノードを有する電流源と、
1つまたは複数の遅延素子と、
上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続する1つまたは複数のスイッチとを備え、
上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されるかに依存している位相混合回路。
【請求項2】
上記1つまたは複数の遅延素子は、上記早期位相信号がアクティブになるのに応答して、上記電流源の上記共通出力ノードからの電流の経路を提供するための少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項1に記載の位相混合回路。
【請求項3】
上記少なくとも1つのトランジスタは、寸法の異なる複数のトランジスタを備えている請求項2に記載の位相混合回路。
【請求項4】
上記複数のトランジスタの寸法は、上記複数の信号の上記位相がほぼ等間隔となるように選択されている請求項3に記載の位相混合回路。
【請求項5】
上記1つまたは複数の遅延素子は、上記電流源の上記共通出力ノードと接続された少なくとも1つのコンデンサを備えている請求項1に記載の位相混合回路。
【請求項6】
上記少なくとも1つのコンデンサは、異なる容量を有する複数のコンデンサを備えている請求項5に記載の位相混合回路。
【請求項7】
上記コンデンサの容量は、上記複数の信号の上記位相がほぼ等間隔となるように選択されている請求項6に記載の位相混合回路。
【請求項8】
早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路であって、
共通出力ノードおよび、上記早期位相信号に後続して後期位相信号がアクティブになったときに上記電流源を停止するための制御入力部を有する電流源と、
上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力部を有する比較器と、
複数の遅延素子と、
上記早期位相信号がアクティブのときに上記共通出力ノードから出力される電流の経路と、
上記電流の経路を通る電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間を変更するため、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続するための複数のスイッチとを備えている位相混合回路。
【請求項9】
上記電流の経路は、入力として上記早期位相信号を受け取る少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項8に記載の位相混合回路。
【請求項10】
上記少なくとも1つのトランジスタは、上記スイッチの1つを介して、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている上記遅延素子の1つである請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項11】
上記少なくとも1つのトランジスタは、NMOSトランジスタを備え、
上記電流源は、PMOSトランジスタを備えている請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項12】
上記電流の経路は、入力として上記後期位相信号を受け取るための少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項13】
上記1つまたは複数の遅延素子は、ほぼ等間隔の位相を有する複数の信号を生成するように構成されている請求項8に記載の位相混合回路。
【請求項14】
入力信号に一致した出力信号を生成するための遅延ロックループ回路であって、
上記入力信号よりも1つまたは複数の単位遅延分だけ遅延された位相信号を提供するための遅延線と、
上記遅延線によって提供される早期位相信号と後期位相信号との間の位相を有する混合位相信号を生成するための位相混合回路と、
制御論理回路とを備え、
上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、
上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存しており、
上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている遅延ロックループ回路。
【請求項15】
上記制御論理回路が、
(a)上記入力信号および上記出力信号が許容範囲内の誤差で一致しているかどうかを判断し、
(b)一致していなければ、上記共通出力ノードに上記遅延素子の別の1つまたは複数を接続するように上記1つまたは複数の制御信号を修正し、
(c)上記入力信号および上記出力信号が上記許容範囲内の誤差で一致するまでステップ(a)〜(b)を繰り返すように設計されている請求項14に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項16】
上記位相混合回路が、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力ノードを有する比較器をさらに備え、
上記共通出力ノードの電圧レベルの閾値レベルが、上記比較器の閾値レベルである請求項14に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項17】
上記出力信号は、上記比較器の出力ノードにて生成される請求項16に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項18】
1つまたは複数のメモリー素子と、上記1つまたは複数のメモリー素子から出力されるデータをクロック信号に同期させるための遅延ロックループ回路とを備えるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスであって、
上記遅延ロックループ回路は、
(i)遅延線と、
(ii)位相混合回路と、
(iii)制御論理回路とを備え、
上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、
早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存しており、
上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されているダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項19】
上記1つまたは複数の遅延素子は、寸法の異なる複数のトランジスタを備えている請求項18に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項20】
上記1つまたは複数の遅延素子は、複数のコンデンサを備えている請求項18に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項21】
上記複数のコンデンサは、上記メモリー素子において使用されるコンデンサと同じ型式である請求項20に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項22】
早期位相信号および後期位相信号の位相の中間の位相を有する位相信号の生成方法であって、
上記早期位相信号がアクティブになったときに、上記早期位相信号を1つまたは複数のスイッチの制御入力部と接続することで、電流源の共通出力ノードから該1つまたは複数のスイッチを通る電流の経路を提供するステップと、
上記電流源の上記共通出力ノードに1つまたは複数の遅延素子を選択的に接続するため、1つまたは複数のスイッチを閉じるステップとを含み、
上記電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数のスイッチのどれが閉じられているかに依存している位相信号の生成方法。
【請求項23】
上記後期位相信号がアクティブになったときに、上記電流源を停止するために、上記電流源の制御入力部に上記後期位相信号を接続するステップをさらに含む請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項24】
上記1つまたは複数の遅延素子は、1つまたは複数のトランジスタを備えている請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項25】
上記1つまたは複数のスイッチは、上記1つまたは複数のトランジスタを備えている請求項24に記載の位相信号の生成方法。
【請求項26】
上記1つまたは複数の遅延素子は、1つまたは複数のコンデンサを備えている請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項27】
上記後期位相信号は、単位遅延を介して上記早期位相信号に後続し、
上記スイッチおよび遅延素子は、上記単位遅延の所定割合分だけ上記早期位相信号とは位相の異なる遅延信号を提供するように構成されており、
どのような割合とするかは、上記スイッチのどれが閉じられているかによって決まる請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項1】
早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路であって、
共通出力ノードを有する電流源と、
1つまたは複数の遅延素子と、
上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続する1つまたは複数のスイッチとを備え、
上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されるかに依存している位相混合回路。
【請求項2】
上記1つまたは複数の遅延素子は、上記早期位相信号がアクティブになるのに応答して、上記電流源の上記共通出力ノードからの電流の経路を提供するための少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項1に記載の位相混合回路。
【請求項3】
上記少なくとも1つのトランジスタは、寸法の異なる複数のトランジスタを備えている請求項2に記載の位相混合回路。
【請求項4】
上記複数のトランジスタの寸法は、上記複数の信号の上記位相がほぼ等間隔となるように選択されている請求項3に記載の位相混合回路。
【請求項5】
上記1つまたは複数の遅延素子は、上記電流源の上記共通出力ノードと接続された少なくとも1つのコンデンサを備えている請求項1に記載の位相混合回路。
【請求項6】
上記少なくとも1つのコンデンサは、異なる容量を有する複数のコンデンサを備えている請求項5に記載の位相混合回路。
【請求項7】
上記コンデンサの容量は、上記複数の信号の上記位相がほぼ等間隔となるように選択されている請求項6に記載の位相混合回路。
【請求項8】
早期位相信号とは位相の異なる複数の信号を生成するための位相混合回路であって、
共通出力ノードおよび、上記早期位相信号に後続して後期位相信号がアクティブになったときに上記電流源を停止するための制御入力部を有する電流源と、
上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力部を有する比較器と、
複数の遅延素子と、
上記早期位相信号がアクティブのときに上記共通出力ノードから出力される電流の経路と、
上記電流の経路を通る電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間を変更するため、上記遅延素子の1つまたは複数を、上記電流源の上記共通出力ノードに選択的に接続するための複数のスイッチとを備えている位相混合回路。
【請求項9】
上記電流の経路は、入力として上記早期位相信号を受け取る少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項8に記載の位相混合回路。
【請求項10】
上記少なくとも1つのトランジスタは、上記スイッチの1つを介して、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている上記遅延素子の1つである請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項11】
上記少なくとも1つのトランジスタは、NMOSトランジスタを備え、
上記電流源は、PMOSトランジスタを備えている請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項12】
上記電流の経路は、入力として上記後期位相信号を受け取るための少なくとも1つのトランジスタを備えている請求項9に記載の位相混合回路。
【請求項13】
上記1つまたは複数の遅延素子は、ほぼ等間隔の位相を有する複数の信号を生成するように構成されている請求項8に記載の位相混合回路。
【請求項14】
入力信号に一致した出力信号を生成するための遅延ロックループ回路であって、
上記入力信号よりも1つまたは複数の単位遅延分だけ遅延された位相信号を提供するための遅延線と、
上記遅延線によって提供される早期位相信号と後期位相信号との間の位相を有する混合位相信号を生成するための位相混合回路と、
制御論理回路とを備え、
上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、
上記早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存しており、
上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されている遅延ロックループ回路。
【請求項15】
上記制御論理回路が、
(a)上記入力信号および上記出力信号が許容範囲内の誤差で一致しているかどうかを判断し、
(b)一致していなければ、上記共通出力ノードに上記遅延素子の別の1つまたは複数を接続するように上記1つまたは複数の制御信号を修正し、
(c)上記入力信号および上記出力信号が上記許容範囲内の誤差で一致するまでステップ(a)〜(b)を繰り返すように設計されている請求項14に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項16】
上記位相混合回路が、上記電流源の上記共通出力ノードと接続されている入力ノードを有する比較器をさらに備え、
上記共通出力ノードの電圧レベルの閾値レベルが、上記比較器の閾値レベルである請求項14に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項17】
上記出力信号は、上記比較器の出力ノードにて生成される請求項16に記載の遅延ロックループ回路。
【請求項18】
1つまたは複数のメモリー素子と、上記1つまたは複数のメモリー素子から出力されるデータをクロック信号に同期させるための遅延ロックループ回路とを備えるダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)デバイスであって、
上記遅延ロックループ回路は、
(i)遅延線と、
(ii)位相混合回路と、
(iii)制御論理回路とを備え、
上記位相混合回路は、電流源と、上記電流源の共通出力ノードに選択的に接続される1つまたは複数の遅延素子とを有しており、
早期位相信号がアクティブになった後、上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数の遅延素子のどれが上記共通出力ノードと接続されているかに依存しており、
上記制御論理回路は、上記入力信号と上記出力信号との間の歪みを監視し、上記歪みに基づいて、上記位相混合回路へ提供された上記早期位相信号および上記後期位相信号を選択するための、および、上記遅延素子の1つまたは複数を上記共通出力ノードに選択的に接続するための、1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されているダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項19】
上記1つまたは複数の遅延素子は、寸法の異なる複数のトランジスタを備えている請求項18に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項20】
上記1つまたは複数の遅延素子は、複数のコンデンサを備えている請求項18に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項21】
上記複数のコンデンサは、上記メモリー素子において使用されるコンデンサと同じ型式である請求項20に記載のダイナミックランダムアクセスメモリーデバイス。
【請求項22】
早期位相信号および後期位相信号の位相の中間の位相を有する位相信号の生成方法であって、
上記早期位相信号がアクティブになったときに、上記早期位相信号を1つまたは複数のスイッチの制御入力部と接続することで、電流源の共通出力ノードから該1つまたは複数のスイッチを通る電流の経路を提供するステップと、
上記電流源の上記共通出力ノードに1つまたは複数の遅延素子を選択的に接続するため、1つまたは複数のスイッチを閉じるステップとを含み、
上記電流により上記共通出力ノードの電圧レベルが閾値レベル未満に下がるのに要する時間は、上記1つまたは複数のスイッチのどれが閉じられているかに依存している位相信号の生成方法。
【請求項23】
上記後期位相信号がアクティブになったときに、上記電流源を停止するために、上記電流源の制御入力部に上記後期位相信号を接続するステップをさらに含む請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項24】
上記1つまたは複数の遅延素子は、1つまたは複数のトランジスタを備えている請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項25】
上記1つまたは複数のスイッチは、上記1つまたは複数のトランジスタを備えている請求項24に記載の位相信号の生成方法。
【請求項26】
上記1つまたは複数の遅延素子は、1つまたは複数のコンデンサを備えている請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【請求項27】
上記後期位相信号は、単位遅延を介して上記早期位相信号に後続し、
上記スイッチおよび遅延素子は、上記単位遅延の所定割合分だけ上記早期位相信号とは位相の異なる遅延信号を提供するように構成されており、
どのような割合とするかは、上記スイッチのどれが閉じられているかによって決まる請求項22に記載の位相信号の生成方法。
【図1】
【図2】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図3A】
【図5】
【図2】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図3A】
【図5】
【公表番号】特表2007−502067(P2007−502067A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523003(P2006−523003)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010941
【国際公開番号】WO2005/048455
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010941
【国際公開番号】WO2005/048455
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
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