説明

遅延性結晶化ポリエステル樹脂

本発明は、慣用的なアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂のそれらと比較して、有意に高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する遅延性結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂に関する。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、非常に優れた透明度を有するホットフィルボトルを製造するために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共通譲渡された出願に対するクロスリファレンス
本出願は、ここで、以下の共通譲渡された予備特許出願:2003年5月21日に出願されたTitanium-Catalyzed Polyester Resins,Preforms,and Bottlesと題するU.S.予備特許出願シリアルNo.60/472,309;2004年4月6日に出願されたTitanium-Catalyzed Polyester Resins,Preforms,and Bottlesと題するU.S.予備特許出願シリアルNo.60/559,983;および、2004年5月20日に出願されたSlow-Crystallizing Polyester Resins and Polyester Preforms Having Improved Reheating Profilesと題するU.S.シリアルNo.60/ の優先権を主張する。本出願は、これら予備出願を参考とすることによって全体を組み込む。
【0002】
本出願は、さらに、以下の共通譲渡された特許および特許出願を参考とすることによって全体を組み込む:2000年12月15日に出願され、現在U.S.特許No.6,599,596であるMethods of Post-Polymerization Injection in Continuous Polyethylene Terephtalate Productionと題するシリアルNo.09/738,150;2001年8月17日に出願され、現在U.S.特許No.6,569,991であるMethods of Post-Polymerization Extruder Injection in Polyethylene Telephthalate Productionと題するシリアルNo.09/932,150;2001年12月14日に出願され、現在、U.S.特許No.6,573,359であるMethods of Post-Polymerization Injection in Condensation Polymer Productionと題するシリアルNo.10/017,612;2001年12月14日に出願され、現在、U.S.特許No.6,590,069であるMethods of Post-Polymerization Extruder Injection in Condennsation Polymer Productionと題するシリアルNo.10/017,400;2003年7月25日に出願されたMethods for the Late Introduction of Additives into Polyethylene Terephthalateと題するシリアルNo.10/628,077;2000年12月15日に出願され、現在、U.S.特許No.6,500,890であるPolyester Bottle Resins Having Reduced Frictional Propeties and Methods for Making the Sameと題するシリアルNo.09/738,619;2002年6月21日に出願され、現在、U.S.特許No.6,727,306であるPolymer Resins Having Reduced Frictional Propertiesと題するシリアルNo.10/176,737;および、2004年5月20日に出願されたMethods of Making Titanium-Catalyzed Polyester Resins と題するU.S.特許出願シリアルNo / 。
【0003】
発明の背景
それらの強度、熱抵抗性および耐薬品性ゆえに、ポリエステル容器、フィルムおよび繊維は、世界中で製造されている数多くの消費者製品における一体成分である。これに関して、ポリエステル容器、フィルムおよび繊維に使用される最も市販されているポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートポリエステルである。
【0004】
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレートおよびそのコポリマーは、また、硬質の包装、例えば、2リットルのソフトドリンク容器を製造するために広く使用されている。延伸吹込成形法によって製造されるポリエステル包装は、優れた強度と耐破砕性とを有し、同様に、優れた気体遮断性と官能的特性とを有する。したがって、このような軽量プラスチックは、数多くの消費者製品(例えば、炭酸ソフトドリンク、フルーツジュースおよびピーナッツバター)を包装するのにガラスから実質的に取り替わっている。
【0005】
ボトル樹脂を製造するための慣用的な方法にて、改質されたポリエチレンテレフタレート樹脂は、溶融相で重合されて、固有粘度約0.6デシリットル/グラム(dl/g)となり、その結果、それは、さらに、固相で重合されて、ボトル形成をより良好に促進する固有粘度を達成する。その後、ポリエチレンテレフタレートは、プリフォームに射出成形することができ、これにより、ボトルに吹込成形することができる。
【0006】
遺憾ながら、通常の製造速度で、大部分のポリエステル樹脂は、ホットフィル(hot-fill)用途に適したプリフォームおよびボトルに効率的に形成することができない。大部分の高透明度(high-clarity)ポリエステルボトルは、約180°F〜205°Fの間の温度、特に、約195°F〜205°Fの温度で、製品をホットフィルさせるのに必要な寸法安定性を有しない。とりわけ、このような高温にて、慣用的なポリエステルボトルは、許容不能な収縮と曇り度とを示す
したがって、約180°F〜205°Fの温度で製品を充填することのできる高透明度ホットフィルボトルを製造するのに適したポリエチレンテレフタレート樹脂についての要求が存在する。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、製品をホットフィルする際に許容可能な寸法安定性を保持する高透明度のポリエステルボトルを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、ホットフィルポリエステルボトルに効率的に形成しうる高透明度なプリフォームを提供することである。
本発明のさらなる目的は、高透明度ホットフィルポリエステルプリフォームおよびボトルに効率的に形成しうるポリエチレンテレフタレート樹脂を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、炭酸ソフトドリンクに適した高透明度ポリエステルボトルに効率的に形成しうるポリエチレンテレフタレート樹脂を提供することである。
本発明のさらなる目的は、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂、プリフォームおよびボトルを効率的に形成するための方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、繊維、ヤーンおよび布帛を製造するために使用することのできるポリエチレンテレフタレート樹脂を提供することである。
本発明の前述およびその他の目的および利点ならびにそれらが達成されうる方法は、以下の詳細な説明およびその添付の図面内にて、さらに、詳述する。
【0011】
詳細な説明
本発明は、遅延性-結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂である。本明細書にて開示するように、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、慣用的なアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂のそれらと比較して、有意に高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する。この高温加熱結晶化発熱温度は、結晶化の開始を遅延する。したがって、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、優れた透明度と収縮特性とを有するホットフィルボトルを製造するために特に有用である。
【0012】
1つの側面にて、本発明は、約140℃より高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH);波長1100nmかまたは波長1280nmに少なくとも約0.18cm-1の吸光度(A);および、CIE Lab色空間にて分類して、70より高いL透過値を有するポリエチレンテレフタレート樹脂である。
【0013】
もう1つの側面にて、本発明は、少なくとも2パーツパーミリオン(ppm)、好ましくは、50ppm未満の元素状チタンと約6モル%未満のコモノマー置換とを含むポリエチレンテレフタレート樹脂である。このチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、容器、フィルムおよび包装にて特に有用であるが、同様に、繊維、ヤーンおよび布帛にも使用することができる。
【0014】
なおもう1つの側面にて、本発明は、強化させた熱硬化性ボトルに有用なポリエチレンテレフタレートプリフォームである。約140℃より高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH);波長1100nmかまたは波長1280nmに少なくとも約0.18cm-1の吸光度(A);および、CIE Lab色空間にて分類して、約70より高いL透過値を有するポリエチレンテレフタレートプリフォーム。
【0015】
なおもう1つの側面にて、本発明は、優れた低収縮特性を有する高透明度のボトルに形成することのできるポリエステルプリフォームである。このプリフォームは、約6モル%未満のコモノマー置換を含み、固有粘度約0.86dl/g未満を有する。関連する側面にて、本発明は、プリフォームから形成される高透明度ホットフィルボトルである。
【0016】
なおもう1つの側面にて、本発明は、優れた熱膨張特性を有する高透明度ボトルに形成することのできるポリエステルプリフォームである。プリフォームは、約6モル%未満のコモノマー置換を含み、固有粘度約0.78〜0.86dl/gを有する。関連する側面にて、本発明は、プリフォームから形成される高透明度炭酸ソフトドリンクボトルである。炭酸ソフトドリンクボトルは、内部圧力約60psigに耐えることができる。
【0017】
なおもう1つの側面にて、本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の溶融相重合を促進するチタン-基体の触媒システムである。
なおもう1つの側面にて、本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂のソリッドステート重合(SSP)を促進するI族およびII族金属の触媒システムである。SSP触媒システムは、好ましくは、アルカリ土類金属(すなわち、I族金属)、アルカリ性土類金属(すなわち、II族金属)またはその両方を含む。
【0018】
なおもう1つの側面にて、本発明は、このようなポリエステル樹脂、プリフォームおよびボトルを製造するための方法を包含する。これに関し、これら方法は、概して、テレフタレート成分とジオール成分と(すなわち、テレフタレート部分とジオール部分)を、チタン触媒の存在で反応させて、ポリエチレンテレフタレート前駆体を形成させ、これら前駆体が、ついで、溶融相重縮合により重合されて、所望される分子量のポリエチレンテレフタレートのポリマーを形成する。重縮合は、通常、触媒によって速められるが、この重縮合の間に、エチレングリコールが、連続的に除去されて、有利な反応動力学を生ずる。
【0019】
当業者であれば、大部分の市販のポリエチレンテレフタレートポリマーは、事実、改質されたポリエチレンテレフタレートポリエステルである。実際、本明細書に記載するポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、改質されたポリエチレンテレフタレートポリエステルである。これに関し、テレフタレート成分とジオール成分とにおける改質剤は、典型的には、生ずるポリエステル組成物にてランダムに置換されている。
【0020】
上記したように、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、低いコモノマー置換を有する。ポリエチレンテレフタレートは、概して、約6モル%未満のコモノマー置換を含む。ポリエチレンテレフタレートは、典型的には、5モル%未満のコモノマー置換かまたは2モル%未満のコモノマー置換かあるいはその両方を含む。
【0021】
コモノマー置換が高いほど、結晶化を中断させ、それによって、透明度を改善するが、熱硬化性は、コモノマー置換が低いほど高められる。かくして、ホットフィルボトルを製造するのに使用される樹脂について、ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、約3〜4モル%のコモノマー置換を含む。例えば、1つのこのような実施態様にて、改質されたポリエチレンテレフタレートは、約1:1のモル比の(1) 2.4モル%のイソフタル酸と残りテレフタル酸の二酸成分と、(2) 1.6モル%のジエチレングリコールと残りエチレングリコールのジオール成分とによって構成される。
【0022】
本明細書で使用する場合、“ジオール成分”という用語は、主として、エチレングリコールを指すが、その他のジオール(例えば、ジエチレングリコール)も、同様に、使用することができる。
【0023】
“テレフタレート成分”という用語は、広範には、ポリエチレンテレフタレートを製造するために使用することのできる二酸およびジエステルを指す。特に、テレフタレート成分は、大部分、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートのいずれかを含むが、同様に、二酸およびジエステルコモノマーを含んでもよい。換言すれば、“テレフタレート成分”とは、“二酸成分”または“ジエステル成分”のいずれかである。
【0024】
“二酸成分”という用語は、いささかさらに詳しくは、直接エステル化により、ポリエチレンテレフタレートを製造するために使用することのできる二酸(例えば、テレフタル酸)を指す。“二酸成分”という用語は、しかし、比較的少量のジエステルコモノマーをも包含することを意図する(例えば、大部分テレフタル酸と1つ以上の二酸改質剤であるが、任意に、若干のジエステル改質剤も含む)。
【0025】
同様に、“ジエステル成分”という用語は、いささかさらに詳しくは、エステル交換により、ポリエチレンテレフタレートを製造するために使用することのできるジエステル(例えば、ジメチルテレフタレート)を指す。“ジエステル成分”という用語は、しかし、比較的少量の二酸コモノマーをも包含することを意図する(例えば、大部分ジメチルテレフタレートと1つ以上のジエステル改質剤であるが、任意に、若干の二酸改質剤も含む)。
【0026】
さらに、本明細書で使用する場合、“コモノマー”という用語は、モノマーおよびオリゴマー改質剤(例えば、ポリエチレングリコール)を含むことを意図する。
ジオール成分としては、エチレングリコール以外のジオール(例えば、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールおよびイソソルビド)を挙げることもでき、または、テレフタレート成分としては、テレフタル酸またはそのジアルキルエステル(すなわち、ジメチルイソフタレート)以外に、例えば、イソフタル酸またはそのジアルキルエステル(すなわち、ジメチルイソフタレート)、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはそのジアルキルエステル(すなわち、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、アジピン酸またはそのジアルキルエステル(すなわち、ジメチルアジペート)、コハク酸、そのジアルキルエステル(すなわち、ジメチルスクシネート)またはその無水物(すなわち、無水コハク酸);あるいは、テレフタル酸の1つ以上の官能性誘導体のような改質剤を挙げることができる。
【0027】
本発明に従うポリエチレンテレフタレートボトル樹脂については、イソフタル酸およびジエチレングリコールが好ましい改質剤である。当業者であれば、改質剤として、シクロヘキサンジメタノールが、効率的に、ポリマー結晶度を抑制するが、酸素透過性に乏しいことが理解されるであろう。
【0028】
本発明に従うポリエチレンテレフタレート繊維樹脂については、コモノマー置換は、必要ないが、使用される場合、好ましくは、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールが挙げられる。
【0029】
テレフタレート成分が大部分テレフタル酸(すなわち、二酸成分)である時に、二酸コモノマーが使用されるべきであり、テレフタレート成分が大部分ジメチルテレフタレート(すなわち、ジエステル成分)である時に、ジエステルコモノマーが使用されるべきであることが理解されるであろう。
【0030】
当業者であれば、本発明のポリエステル組成物を得るために、1モル過剰のジオール成分をテレフタレート成分と反応させる(すなわち、ジオール成分が、化学量論比より過剰に存在する)ことがさらに理解されるであろう。
【0031】
直接エステル化反応により二酸成分とジオール成分とを反応させるには、二酸成分とジオール成分とのモル比は、典型的には、約1.0:1.0〜1.0:1.6である。あるいは、エステル交換反応により、ジエステル成分とジオール成分とを反応させるには、ジエステル成分とジオール成分とのモル比は、典型的には、約1.0:2.0より大である。
【0032】
ジオール成分は、通常、ポリマー鎖の大半の末端を形成し、かくして、生ずるポリエステル組成物中に幾分大きい部分存在する。これは、“約1:1のモル比のテレフタレート成分とジオール成分”、“約1:1のモル比の二酸成分とジオール成分”および“約1:1のモル比のジエステル成分とジオール成分”という語句によって意味されるものであり、その各々は、本発明のポリエステル組成物を記載するために使用することができる。
【0033】
チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、約1:1モル比の二酸成分とジオール成分とによって構成される。二酸成分は、少なくとも94モル%のテレフタル酸(例えば、テレフタル酸とイソフタル酸)を含み、ジオール成分は、少なくとも94モル%のエチレングリコール(例えば、エチレングリコールとジエチレングリコール)を含む。
【0034】
本発明に従うチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、概して、固有粘度約0.86dl/g未満を有する。当業者であれば、しかし、射出成形操作の間に、ポリエステル樹脂は、固有粘度を喪失する傾向にある(例えば、チップからプリフォームまで、固有粘度喪失約0.02〜0.06dl/g)ことが理解されるであろう。
【0035】
本発明に従い高透明度ホットフィルボトルを形成しうるポリエステルプリフォームについて、ポリエチレンテレフタレートは、概して、固有粘度約0.86dl/g未満、例えば、約0.72dl/g〜0.84dl/gを有する。さらに典型的には、ポリエチレンテレフタレートは、固有粘度約0.68dl/gより大または約0.80dl/g未満、あるいは、その両方(すなわち、約0.68dl/g〜0.80dl/gの間)を有する。ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、固有粘度約0.72dl/gより大または約0.78dl/g未満、あるいは、その両方(すなわち、約0.72dl/g〜0.78dl/g)を有する。最も好ましくは、ポリエチレンテレフタレートは、十分に、固有粘度約0.75dl/gより大(すなわち、約0.75dl/g〜0.78dl/g)を有する。ホットフィルボトルを製造するために使用されるプリフォームについて、熱硬化特性は、固有粘度レベルが高いほど減少し、機械的特性(例えば、応力亀裂、落下衝撃およびクリープ)は、固有粘度レベルが低いほど(例えば、0.6dl/g未満)低下する。
【0036】
本発明に従う高透明度炭酸ソフトドリンクボトルを形成しうるポリエステルプリフォームについて、ポリエチレンテレフタレートは、典型的には、固有粘度約0.72dl/gより大または約0.84dl/g未満、あるいは、その両方(すなわち、約0.72dl/g〜0.84dl/g)を有する。ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、固有粘度約0.78dl/gより大、最も好ましくは、固有粘度約0.80dl/g〜0.84dl/gを有する。
【0037】
本発明に従うポリエステル繊維について、ポリエチレンテレフタレートは、典型的には、固有粘度約0.50dl/g〜0.70dl/g、好ましくは、固有粘度約0.60dl/g〜0.65dl/g(例えば、0.62dl/g)を有する。ポリエチレンテレフタレート繊維樹脂は、典型的には、溶融相にてのみ重合される(すなわち、繊維樹脂は、通常、ソリッドステート重合を受けない)。
【0038】
本明細書で使用する場合、“固有粘度”という用語は、公知濃度のポリマー溶液の比粘度対ゼロ濃度に外挿した溶質の濃度の比である。固有粘度は、ポリマー特性の標準測定値として広く認められているものの、固有粘度は、平均ポリマー分子量に正比例する。例えば、Dictionary of Fiber and Textile Technology,Hoechst Celanese Corporation(1990);Tortora & Merkel,Fairchild’s Dictionary of Textiles(7thEdition1996)参照。
【0039】
固有粘度は、当業者であれば、過度の実験をすることなく、測定および決定することができる。本明細書にて記載する固有粘度値については、コポリエステルをオルトクロロフェノール(OCP)に溶解させ、Schott Autoviscometer(AVS Schott and AVS 500 Viscosystem)を使用して溶液の相対粘度を測定し、ついで、相対粘度に基づいて、固有粘度を計算することによって、固有粘度は決定される。例えば、Dictionary of Fiber and Textille Technology(“固有粘度”)参照。
【0040】
特に、乾燥されたポリマー試料の0.6-グラム試料(+/-0.005g)を約105℃の温度でオルトクロロフェノールの約50ml(61.0-63.5グラム)に溶解させる。繊維およびヤーン試料は、典型的には、小片に切断され、他方、チップ試料は、粉砕される。室温まで冷却後、溶液を制御された一定温度(例えば、約20°〜25℃)で粘度計に位置決めし、相対粘度を測定する。上記したように、固有粘度は、相対粘度から計算される。
【0041】
記載したように、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、典型的には、約2ppm〜50ppmの元素状チタンを含む。好ましくは、樹脂は、25ppm未満の元素状チタン(例えば、約2〜20ppm)を含む。さらに好ましくは、樹脂は、少なくとも約5ppmの元素状チタン〜約15ppm未満の元素状チタンまたはその両方(すなわち、約5〜15ppm、例えば、約10ppm)を含む。チタン触媒は、典型的には、チタネート、例えば、チタンジイソプロポキシドビス(アセチル-アセトナート)またはテトラブチルチタネートである。
【0042】
当業者であれば、ゲルマニウムが優れたポリエチレンテレフタレート触媒であることが理解されるであろう。ゲルマニウムは、しかし、法外に高価であり、かくして、商業的なポリエステルの製造に不利である。
【0043】
したがって、本樹脂は、約20ppm未満の元素状ゲルマニウム、典型的には、約15ppm未満の元素状ゲルマニウム、さらに典型的には、約10ppm未満の元素状ゲルマニウムを含むことによってコストを低下させる。好ましくは、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、5ppm未満の元素状ゲルマニウム、さらに好ましくは、約2ppm未満の元素状ゲルマニウムを含む。多くの例にて、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、本質的に、元素状のゲルマニウムを含まない。その他の例にて、しかし、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、少なくとも約2ppmの元素状ゲルマニウムを含む。
【0044】
当業者であれば、チタン-触媒ポリエステル樹脂は、慣用的なアンチモン-触媒ポリエステル樹脂と比較して、より遅い結晶化速度を有することがさらに理解されるであろう。本発明のチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、かくして、同等のアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂よりも遅い結晶度を有する。特定の理論と結び付けようとする意図はないが、チタンは、アンチモンと比較して、核となりにくい。したがって、本発明のチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、アンチモン-触媒ポリエステルと比較して、遅い結晶化速度を有する。当業者であれば、理解されうるように、これにより、本発明に従いプリフォームを高透明度ボトルに吹込成形することを可能とする。
【0045】
したがって、本樹脂は、約100ppm未満の元素状アンチモン、典型的には、約75ppm未満の元素状アンチモン、さらに典型的には、約50ppm未満の元素状アンチモンを含む。好ましくは、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、25ppm未満の元素状アンチモン、さらに好ましくは、約10ppm未満の元素状アンチモンを含む。多くの例にて、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、本質的に、元素状のアンチモンを含まない。アンチモンを含まないポリエチレンテレフタレート樹脂は、アンチモンが重金属であることを考慮すると望ましい。その他の例にて、しかし、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、少なくとも約10ppmの元素状アンチモンを含む。
【0046】
図1-8は、固有粘度約0.78dl/gでチタン-触媒およびアンチモン-触媒ポリエステル樹脂について行った示差走査熱量法(DSC)熱分析を示す。図1-4は、約3モル%のコモノマー置換を有するチタン-触媒およびアンチモン触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂を比較する。図5-8は、約4モル%のコモノマー置換を含むチタン-触媒およびアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂を比較する。
【0047】
示差走査熱量法分析は、(1) 改質されたポリエチレンテレフタレート試料を30℃に1分間保持し;(2) 試料を30℃〜280℃まで10℃/分で加熱し;(3) 試料を280℃に2分間保持し;(4)試料を280℃〜30℃まで10℃/分で冷却することによって行った。図1、3、5および7は、非晶質ポリマーの加熱に対応し、図2、4、6および8は、同ポリマーの溶融相からの冷却に対応する。
【0048】
図1-2は、約3%(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび1.5モル%イソフタル酸置換)のコモノマー置換にて、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレートポリエステルが加熱結晶化期間ピーク温度(TCH)144.2℃;結晶溶融ピーク温度(TM)253.2℃;および、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)186.8℃を有することを示す。
【0049】
図3-4は、約3%(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび1.5モル%イソフタル酸置換)のコモノマー置換にて、アンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレートポリエステルが加熱結晶化期間ピーク温度(TCH)130.6℃;結晶溶融ピーク温度(TM)251.3℃;および、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)191.0℃を有することを示す。
【0050】
図5-6は、約4%(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび2.4モル%イソフタル酸置換)のコモノマー置換にて、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレートポリエステルが加熱結晶化期間ピーク温度(TCH)146.3℃;結晶溶融ピーク温度(TM)250.0℃;および、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)181.3℃を有することを示す。
【0051】
図7-8は、約4%(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび2.4モル%イソフタル酸置換)のコモノマー置換にて、アンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレートポリエステルが加熱結晶化期間ピーク温度(TCH)131.5℃;結晶溶融ピーク温度(TM)250.9℃;および、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)187.8℃を有することを示す。
【0052】
図1-8に例示するように、本発明のチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、アンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレートと比較して、有意に高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する。当業者であれば、この高い加熱結晶化発熱温度は、それが結晶化の開始を遅延させ、それによって高透明度ボトルの形成を促進するので、吹込成形操作にて特に望ましいことが理解されるであろう。
【0053】
したがって、示差走査熱量法によって測定した加熱速度10℃/分にて、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、約140℃より高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有し、好ましくは、約142℃より高い(例えば、143℃〜153℃)加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する。実際に、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、155℃以上の結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する。当業者であれば、加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)は、非結晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂について測定されることが理解されるであろう。
【0054】
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、また、結晶溶融ピーク温度(TM)少なくとも約240℃、典型的には、少なくとも約245℃、さらに典型的には、少なくとも約250℃を有する。当業者であれば、融点がコモノマー含量に大きく依存することが理解されるであろう。
【0055】
さらに、示差走査熱量法により測定される冷却速度10℃/分にて、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)約190℃未満、典型的には、約185℃未満を有する。幾つかの例にて、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)約180℃未満を有する。
【0056】
本発明のチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂は、同等のアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂と比較して高透明度を有する。これに関し、図9は、固有粘度約0.78dl/gおよび3モル%のコモノマー置換(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび1.5モル%イソフタル酸置換)または4モル%コモノマー置換(すなわち、1.6モル%ジエチレングリコールおよび2.4モル%イソフタル酸置換)のいずれかで、チタン-触媒およびアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂についてのステップパリソンにて測定したパーセント曇り度(ヘイズ)対プリフォーム厚さを示す。図9は、所定のコモノマー置換で、チタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂がその対応するアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂と比較して、実質的により低い曇り度を有する。当業者であれば、概して、より高いコモノマー置換ほど、ポリマー結晶度を混乱させ、それによって、プリフォームおよびボトルの曇り度を低下することが理解されるであろう。
【0057】
ステップパリソンにて測定して、本発明のポリエチレンテレフタレートは、約6mmより厚い厚さで、典型的には、約20%未満の曇り度、好ましくは、約15%未満の曇り度を;および、約4mmより厚い厚さで、約5%未満の曇り度を有する。さらに、ステップパリソンにて測定して、ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、約4.5mmより厚い厚さで、および、場合によっては、5.5mmより厚い厚さで、例えば、4.5〜6.0mmの厚さで、例えば、約10%未満の曇り度を有する。幾つかの配合物にて、ポリエチレンテレフタレートは、ステップパリソンにて測定して5.5mm〜6.5mmの厚さで、約20%未満の曇り度を有する。図9に示したように、ポリエチレンテレフタレートは、約7mmより大の厚さで、約50%未満の曇り度を有することができる。
【0058】
当業者であれば、ポリエチレンテレフタレートプリフォームおよびボトルが優れた色(すなわち、黄色すぎない)を有する必要があることが理解されよう。これに関し、過剰のチタン触媒レベルは、ポリエチレンテレフタレート樹脂の概観を黄色に見せる。
【0059】
色差は、Commission Internationale I’ Eclairage(CIE)のLab色空間に従い一般に分類される。このシステムの3つの成分は、L(スケール0〜100で明るさを記載する)、a(赤色-緑色軸(すなわち、正の値が、赤色であり、負の値が緑色である)およびb(黄色-青色軸(すなわち、正の値が黄色であり、負の値が青色である)からなる。
【0060】
ソリッドステート重合の後、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、(CIE)のLab色空間にて分類して、L透過値(すなわち、明るさ)約70より大、好ましくは、約75より大(例えば、77)、最も好ましくは、約80より大を有する。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、(CIE)のLab色空間にて分類して、好ましくは、b明度約2未満、さらに好ましくは、約0未満を有する。最も好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、(CIE)のLab色空間により分類して、b明度約-3〜2の値を有する。
【0061】
このような色は、本発明に従い、約10〜50ppmの元素状コバルト、好ましくは、約15〜40ppmの元素状コバルト、最も好ましくは、20〜30ppmの元素状コバルトを含ませることによって達成された。コバルト不在では、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、黄色味の概観を呈する傾向がある。本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、コバルト触媒とは別に、着色剤を包含せずとも優れた色を有する。(当業者であれば、コバルトは、触媒活性を提供するのみならず、ポリエチレンテレフタレート樹脂に青色の着色を生ずることが理解されるであろう。)
最後に、色は、プリフォームおよびボトルにて測定することができるが、ソリッドステート重合の後であるがポリマー加工(例えば、射出成形)の前に、ポリエチレンテレフタレート樹脂にて測定するのがさらに便利な場合が多い。これに関し、L透過値およびb明度は、結晶ポリエチレンテレフタレート樹脂に関して本明細書にて報告した。
【0062】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が包装を意図する(例えば、ポリエステルプリフォームおよびボトルの)場合、それは、好ましくは、昇温速度添加剤を含む。これに関し、昇温速度添加剤は、樹脂の再加熱特性を改善するのに十分な量、樹脂中に存在する。当業者であれば理解されるように、昇温速度添加剤は、プリフォーム再加熱プロセスの間にプリフォームのアネルギー吸収を補助する。プリフォーム再加熱にて、プリフォームの内側は、吹込成形の間に、内側がさらに延伸を受けるので、少なくともプリフォームの外側と同等の温かさである必要がある。
【0063】
当業者であっても、熱硬化性ボトルの製造にて、遅延性結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用することは、直観では思いつかないであろう。例えば、U.S.特許No.6,699,546(Tseng)は、熱硬化性ボトルの改良のために樹脂結晶化速度を促進するために核剤を接種することを教示している。
【0064】
上記説明したように、遅延性結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂は、アンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂のそれらと比較して、有意に高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する。熱硬化プロセスの目的は、透明度を維持しつつ、ボトルの結晶度および応力緩和を最大とすることである。遅延性結晶化樹脂は、熱硬化能が劣っているようである。したがって、より高いプリフォーム温度を達成するために昇温速度添加剤を包含させ、かくして、遅延性結晶化樹脂にて結晶度を促進することは、実用的な利点がないようである。このような状況下、当業者であれば、ボトルの特性(透明度および収縮)の改善が達成されるとは予想しないであろう。
【0065】
例えば、さらに、昇温速度添加剤を含む遅延性結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂(例えば、本明細書に開示したチタン-触媒ポリエステル樹脂)から製造されるボトルプリフォームを考えてみるとする。上記したように、アンチモンと比較して、チタンは、プリフォームが加熱されるにつれて、プリフォームにて熱結晶化の開始を遅延させる。昇温速度添加剤は、しかし、プリフォームにさらなるエネルギーを吸収させ、したがって、結晶化開始前に有意に高温に到達させる。かくして、良好なプリフォーム透明度は、なお高温のプリフォーム温度でも維持される。
【0066】
驚くべきことに、本発明者らは、樹脂の再加熱特性を高めるために十分な昇温速度添加剤を含ませるための遅延性結晶化ポリエステル樹脂の改質は、吹込成形性能;および、ボトルの特性、例えば、収縮を改善する。吹込成形および熱硬化プロセスにおけるプリフォーム温度の上昇は、アンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂のそれらに優る透明度を有するボトルを生成しつつ、ボトル結晶化および応力緩和を促進する。
【0067】
1つの実施態様にて、昇温速度添加剤は、炭素-基体の昇温速度添加剤である。炭素-基体の昇温速度添加剤は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に約25ppm未満の量存在する。さらに好ましくは、炭素-基体昇温速度添加剤は、ポリエチレンテレフタレート樹脂中に、約4〜16ppmの量(例えば、8-12ppm)の量存在し、最も好ましくは、約6〜10ppmの量存在する。適当な炭素-基体の添加剤としては、カーボンブラック、活性炭およびグラファイトが挙げられる。例えば、満足するカーボンブラック昇温速度添加剤は、U.S.特許No.4,408,004(Pengilly)に開示されており、この特許は、参考とすることによって、ここで、全体を組み込む。
【0068】
もう1つの実施態様にて、昇温速度添加剤は、金属-含有昇温速度添加剤である。金属-含有昇温速度添加剤は、典型的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂に約10〜300ppmの量存在し、さらに典型的には、約75ppmより大なる量(例えば、約150〜250ppm)の量存在する。適した金属含有昇温速度添加剤としては、金属、金属酸化物、鉱物(例えば、同クロマイトスピネル)および染料が挙げられる。例えば、満足する無機黒色含量および粒子は、U.S.特許No.6,503,586(Wu)に開示されており、この特許は、参考とすることによって、ここで、全体を組み込む。
【0069】
好ましい金属-含有昇温速度添加剤は、タングステン-基体の添加剤、例えば、タングステン金属またはタングステンカーバイドである。これに関し、タングステン-含有昇温速度添加剤粉末は、好ましくは、平均粒径約0.7〜5.0ミクロン、さらに好ましくは、約0.9〜2.0ミクロンを有する。
【0070】
当業者であれば、理解されるであろうが、粒径は、典型的には、光散乱に基づく技術によって測定される。粒径および分布は、ASTM B330-2(“Standard Test Method for Fisher Number of Metal Powders and Related Compounds”)に従い特性決定されることが多い。
【0071】
その他の好ましい金属-含有昇温速度添加剤は、モリブデン-基体の添加剤、特に、モリブデンスルフィド(MoS2)である。これに関し、モリブデンスルフィドは、優れた熱吸収特性を有し、かくして、その他の金属-含有昇温速度添加剤と比較して、幾分少ない量(例えば、5〜100ppm)含めさせることができる。
【0072】
最も好ましい昇温速度添加剤は、天然スピネルおよび合成スピネルである。スピネルは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂中に、約10〜100ppmの量(例えば、約15〜25ppm)の量含める。特に優れたスピネル顔料は、銅クロマイトブラックスピネルおよびクロム鉄ニッケルブラックスピネルである。
【0073】
これらスピネルは、1999年2月10日に出願され、現在、放棄された出願およびその分割出願のThermoplastic Polymers with Improved Infrared Reheat Propertiesと題する共通譲渡されたU.S.特許出願シリアルNo.09/247,355;2002年1月31日にU.S.特許公報2002/0011694 A1として公開されたU.S.特許出願シリアルNo.09/973,499;2002年3月7日にU.S.特許公報2002-0027314 A1として公開されたU.S.特許出願シリアルNo.09/973,520;および、2002年3月21日にU.S.特許公報2002-0033560 A1として公開されたU.S.特許出願シリアルNo.09/973,436に開示されている。これら特許出願および特許公報の各々は、ここで、参考とすることによって全体を組み込む。
【0074】
ポリエチレンテレフタレートプリフォームの昇温速度は、個々のボトル製造速度についてプリフォーム上の固定された位置での表面温度測定値によって示すことができる。
ポリエチレンテレフタレートボトル製造にて、ポリエチレンテレフタレートボトルプリフォームは、吹込成形機の再加熱オーブンにプリフォームを通すことによって再加熱される。再加熱オーブンは、大部分赤外領域に放射線を放出する1列のクオーツランプ(3,000および2,500ワットのランプ)からなる。この放射線を吸収し、それを熱に変換し、それによって、吹込成形のための延伸温度にプリフォームを到達させるための能力は、最適ボトル性能および効率的な製造のために重要である。ボトル性能についての重要なボトル特性は、材料分布、延伸および側壁結晶度である。
【0075】
プリフォーム再加熱温度は、これらの特性を制御するために重要である。製造されるボトルの種類に依存して、プリフォーム再加熱温度は、典型的には、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度(Tg)より上30〜50℃の範囲である。再加熱温度は、用途(例えば、ホットフィル飲料ボトルまたは炭酸ソフト飲料ボトル)に依存する。プリフォームを延伸温度に再加熱することのできる速度は、高速ポリエチレンテレフタレート吹込成形機、例えば、Sidel,Inc.(Lehavre,France)によって製造されている吹込成形機における最適ボトル性能にとって重要である。これは、185°Fを上回る高温液体で満たすことを意図する熱硬化性ボトルについて、本質的に、真である。熱硬化性ボトル製造にて、プリフォームは、迅速に、可能な限り高い温度に再加熱される。これにより、吹込成形の際の結晶化を最大とし、プリフォームでの熱結晶化を回避する。当業者であれば、このような熱結晶化が球晶析出の結果として許容不能な曇り度を生じさせることが理解されるであろう。
【0076】
プリフォーム再加熱の重要性に照らし、ポリエチレンテレフタレートプリフォームの再加熱特性を確認するために、以下の方法を使用した。第1に、この試験方法は、1つ以上のポリエチレンテレフタレート樹脂配合物から試験パリソンを形成することによって、ポリエチレンテレフタレートプリフォーム(または樹脂)の再加熱特性を分析する。実際に試験されるのは、試験パリソンであって、商業的なプリフォームではない。
【0077】
最初に、被験樹脂は、47gの重量、全径1.125インチおよび0.75インチのネックフィニッシュ(neck finish)を有する5.25インチ試験パリソンに形成する。このような試験パリソンを形成するために、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、デシケータ内350°Fで4時間乾燥される。乾燥した樹脂は、4オンスNewbury射出成形機に導入される。樹脂は、混練および溶融されて、500°F〜520°Fの範囲の温度で溶融された樹脂を生ずる。ついで、溶融された樹脂は、2リットルの炭酸ソフト飲料ボトル用に設計されたプリフォーム型に射出される。合計サイクル時間は、射出、パックおよび冷却時間を含め60秒である。型は、継続して、45°Fまで冷却する。これらの射出成形条件は、顕著な非晶質(すなわち、約4%未満の結晶度)の透明な試験パリソンを与えた。
【0078】
5.25インチ試験パリソンの再加熱性能は、Sidel SBO1実験室用吹込成形機を使用して試験する。この機械は、10個までの1列の独立に調節可能なクオーツランプを有する1つの再加熱オーブン;プリフォーム表面温度を測定するための赤外線カメラ;オーブンから吹込成形用金型までのトラスファーアーム;1つの吹込成形用金型;および、吹込成形用金型から機械出口まで伸びるボトルトランスファーアームを有する。
【0079】
この試験方法にて、SBO1実験室用吹込成形機は、8個のクオーツランプを使用して、1,000ボトル/時間の速度でポリエチレンテレフタレートボトルを連続的に製造する。オーブンは、全体のオーブンパワー出力のパーセンテージとして調節することのできるパワーコントロールを有する。同様に、各ランプは、個々のパワー出力のパーセンテージとして調節することができる。
【0080】
5.25-インチパリソンの再加熱特性を測定するためには、機械は、ボトル製造速度1,000ボトル/時間に設定する。標準樹脂は、試験パリソンを製造するために選択される。ついで、この試験パリスンについての再加熱特性を達成する。再加熱特性は、全体のパワー出力80%で商業的に許容可能なボトルを製造するために使用される。その後、全体のパワーのパーセンテージは、65〜90%で変化させ、表面温度は、試験パリソン上の固定位置にて、繰返し測定される。
【0081】
5.25-インチの試験パリソンの再加熱性能は、ネックフィニッシュの支持環下1.4-インチで一貫して測定される。この位置(すなわち、支持環下1.4インチ)にて、試験パリソンは、壁厚さ0.157-インチを有する。
【0082】
実施例1
2リットルのポリエチレンテレフタレートボトル試験パリソンは、標準樹脂(すなわち、Wellman’s PermaClear R(上付きRは、登録商標を意味する)HP806ポリエステル樹脂)から製造した。この試験パリソンは、直壁2リットルボトルを製造するための8つの再加熱域を必要とした。全体のオーブン出力パーセンテージ80%にて、このPermaClear RHP806試験パリソンについての再加熱特性を表1に示す:
【0083】
【表1】

【0084】
この再加熱特性を達成した後、約6モル%未満のコモノマー置換を有するアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂から2つの試料を作成した。1つの試料は、約11ppmの炭素-基体の昇温速度添加剤(樹脂A)を含み、その他の試料、対照は、昇温速度添加剤(樹脂B)を含んでいなかった。昇温速度添加剤以外では、樹脂Aおよび樹脂Bは、同等であった。ついで、(すなわち、樹脂Aと樹脂Bとの両方についての表面温度測定値より) 再加熱性能は、全体のオーブンパワー出力65〜90%にて、(5%増分で)測定した。
【0085】
【表2】

【0086】
表2は、プリフォーム再加熱性能の改善が昇温速度添加剤の包含の結果として達成されることを立証する。
したがって、プリフォーム再加熱性能を改善するために、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、製造速度1,000ボトル/時間で操作し、それぞれ、合計出力レベル65%、70%、75%、80%、85%および90%で8個のランプを使用してSidel SB01実験室用吹込成形機で測定して、それとは別の同等な5.25-インチ試験パリソン(すなわち、昇温速度添加剤なし)により達成されうる対応する再加熱温度よりも、壁厚さが0.157インチであるネックフィニッシュの支持環の下1.4インチで測定して、少なくとも約4℃高い再加熱表面温度を達成するために前述の5.25-インチ試験パリソンについて十分な濃度で昇温速度添加剤を含む。それぞれの再加熱表面温度における差は、さらに好ましくは、少なくとも約7℃であり、最も好ましくは、少なくとも約10℃である。
【0087】
もう1つの実施態様にて、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、壁厚さが0.157インチであるネックフィニッシュの支持環より下1.4インチで測定して、製造速度1,000ボトル/時間で操作し、約65〜90%の全体のパワーレベルで8個のランプを使用し、Sidel SB01実験室用吹込成形機上で測定して、これとは別の同等の5.25-インチ試験パリソン(すなわち、昇温速度添加剤なし)により達成されうる平均再加熱温度より少なくとも約5℃高い、好ましくは、10℃高い平均再加熱表面温度を達成するために前述の5.25-インチ試験パリソンについて十分な濃度にて昇温速度添加剤を含む。
【0088】
あるいは、ポリエステル樹脂の固有な昇温速度は、そのエネルギー特性吸収によって示すことができる。これに関し、電磁放射線は、数種のスペクトルを横切って存在する。例えば、電磁放射線は、紫外、可視、近赤外および赤外領域で測定することができる。可視光スペクトルは、約430nm〜690nmに入る。このスペクトルは、それぞれ、紫外線と赤外線によって結合される。ポリエステルの再加熱特性に関しては、近赤外線(NIR)が特に興味深い。
【0089】
ポリエステル樹脂の固有昇温速度は、電磁線のその吸光度を特徴とすることができる。吸光度は、Beerの法則によって示され、これは、式1:
式1 A=ε・l・c
[式中、Aは、試料による電磁線の吸光度であり;
ε=試料の比例定数(すなわち、“モル吸光度”)であり;
lは、電磁放射線が通過する必要のある試料の経路であり;
cは、試料の濃度(典型的には、モル/リットルで測定した)である。]
として表される。
【0090】
ポリエステル樹脂に関しては、しかし、式1は、単純化することができる。特定のポリエステル樹脂について、モル吸光度および試料濃度は、無視されうる。さらに、吸光度と経路(すなわち、試料厚さ)との間には、直線関係が存在する。かくして、ポリマー樹脂について、吸光度(A)は、以下のように:
式2 A=log(100)-log(%T)
透過率から計算することができる。
【0091】
式2は、式3:
式3 A=2-log(%T)
にて表されるように、さらに単純化される。
【0092】
つまり、透過率は、ポリマー樹脂を通過する電磁線の強度対ポリマー樹脂に入る電磁線の強度の比である。本明細書で報告する場合、吸光度は、式3にて表される関係から計算され、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂が透過しえない電磁線を示す。
【0093】
先に記載したように、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、概して、波長1100nmかまたは波長1280nmに少なくとも約0.18cm-1の吸光度(A)を有する。さらに、本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、典型的には、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.20cm-1を有し、好ましくは、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.24cm-1を有し、さらに好ましくは、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.28cm-1を有する。
【0094】
当業者であれば、本明細書で使用する場合、選言的(すなわち、“or”)は、結合的(すなわち、“and”)を含む。さらに、本開示に関して、吸光度は、非晶質ポリエステルについて報告する。
【0095】
その最も好ましい実施態様にて、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.25cm-1、好ましくは、波長1100nmまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.30cm-1を有する。幾つかの実施態様にて、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.30cm-1、特定の実施態様にて、波長1100nmかまたは波長1280nmにて、吸光度(A)少なくとも約0.40cm-1を有する。これらのポリエチレンテレフタレート樹脂は、約10〜100ppmの銅クロマイトブラックスピネルを含ませることによって達成することができる。
【0096】
これに関し、吸光度は、非晶質未強化ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET);および、それとは別の同等なポリエチレンテレフタレート樹脂であろうが、にもかかわらず、22ppmの銅クロマイトブラックスピネル昇温速度添加剤で強化されたポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/スピネル)の両方について、可視およびNIRスペクトル内で測定した。表3は、550nm、700nm、1100nmおよび1280nmでのこれらポリエステル樹脂についての吸光度を報告する。
【0097】
【表3】

【0098】
表3にて報告した波長は、重要である。特に、550nmは、可視光の中点の近くに当り、700nmは、可視光の上端近くに当る。さらに、図12〜13にて示すように、未強化PETの吸光度は、1100nm〜1280nmでほぼフラットであり(すなわち、傾斜が約0である)、それによって、NIRスペクトル内のこれら波長で繰返し可能な測定を促進する。
【0099】
色を一層よくするためには、昇温速度添加剤がより多くのNIR線およびより少ない量の可視線の吸収を促進するのが好ましい。これは、本明細書にて定義するように、吸収比によって示すことができる。つまり、ポリエステル樹脂について、吸収比は、単に、第1の波長での吸光度の真数(antilog)÷第2の波長での吸光度の真数である。これは、式4:
式4 吸収比=(antilogA1)/(antilogA2)
[式中、A1は、第1の波長での吸光度であり;
A2は、第2の波長での吸光度である。]
で表される。
【0100】
吸収比に関して、第1の波長は、典型的には、NIRスペクトル(例えば、1280nm)内に入り、第2の波長は、典型的には、可視スペクトル(例えば、550nm)内に入る。表4は、22ppmの銅クロマイトスピネルで強化されたポリエチレンテレフタレートが有意に高い吸光度(例えば、1100nmおよび1280nmの両方で0.30cm-1より大きい吸光度)を有するにもかかわらず、未強化ポリエチレンテレフタレートの吸収選択性と同等の吸収選択性を有することを示す。
【0101】
【表4】

【0102】
本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、1100:550の吸収比少なくとも約70%かまたは1280:550の吸収比少なくとも約70%を有する。さらに好ましくは、本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、1100:550の吸収比少なくとも約75%または1280:550の吸収比少なくとも約75%を有する。幾つかの実施態様にて、本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、1100:550の吸収比少なくとも約80%かまたは1280:550の吸収比少なくとも約80%を有する。
【0103】
同様に、本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは、1100:700の吸収比少なくとも約85%かまたは1280:700の吸収比少なくとも約85%を有する。幾つかの実施態様にて、本ポリエチレンテレフタレート樹脂は、1100:700の吸収比少なくとも約90%かまたは1280:700の吸収比少なくとも約90%を有する。
【0104】
本開示に関して、吸光度は、Foss Series 6500トランスポートアナライザー(Transport Analyzer)を使用して、3ミリメートル(3mm)非晶質ポリエステルプラクーについて測定した。この機器は、吸光度測定値に影響を及ぼすことのできるその計測因子(例えば、ランプ、検出器、振動およびエアフィルトレーション)にて可視およびNIRスペクトルにおける透過率を測定しうる典型的な機器である。当然のことながら、適当な標準の使用および検量線の作成は、当業者の承知するところである。
【0105】
試験変動について制御するためには、吸光度データは、対応する吸光度が0.473mm-1(すなわち、4.73cm-1)となるように、入射波長2132nmで正規化する必要がある。この波長にて、添加剤は、非晶質ポリエチレンテレフタレートについての吸光度に適度の影響しか及ぼさない。
【0106】
本発明者らは、また、試料反射率の影響も考慮したが、ポリエステル樹脂の吸光度を測定する時、無視しうることを決定した。つまり、反射率は、固体、液体またはガスの表面から散乱した放射線である。反射される電磁エネルギーは、吸収されるエネルギーと透過されるエネルギーに関して、式5:
式5 IO=IA+IT+IR
[式中、IOは、入射エネルギーであり;
IAは、吸収されるエネルギーであり;
ITは、透過されるエネルギーであり;
IRは、反射されるエネルギーである。]
で表される。
【0107】
前述したように、吸光度は、透過率から誘導される。式3参照。反射率は、概して、測定されず、かくして、本発明者らは、吸光度の測定にて、実質的にエラーをもたらす反射率を無視しうるか否かを考慮した。
【0108】
これに関し、研磨された表面を有するポリエステルプラクーは、“艶消し”またはその他の非反射性仕上げを有するポリエステルプラクーよりも高い反射率を有するであろう。反射率を考慮しない場合は、反射率が増加するほど、透過率を減少させるようである。式3に従えば、これは、計算した吸光度の正確でない増加効果を有する。
【0109】
したがって、絶対反射率を低下させかつ反射率変動を制御するためには、ポリエステルプラクーは、バッチを横切るむらのない仕上げ(すなわち、半光沢)を有する必要がある。このように、ポリエステルプラクーの物理的特性を制御することによって、反射率は、吸光度と吸収比との評価にて無視しうることとなると考えられる。
【0110】
当業者であれば、ポリエチレンテレフタレートを形成するために2つの慣用的な方法があることを承知しているであろう。これらの方法は、当業者周知である。
1つの方法は、テレフタル酸と過剰のエチレングリコールとを使用する直接的なエステル化反応を使用する。この技術にて、テレフタレート成分とジオール成分とを反応させる前述の工程は、加熱エステル化反応にてテレフタル酸とエチレングリコールとを反応させて、テレフタル酸とエチレングリコールとのモノマーおよびオリゴマーならびに水副生物を形成させる工程を含む。エステル化反応を本質的に完了するまで進行させうるには、水は、それが形成されるとともに連続的に取り除く必要がある。モノマーおよびオリゴマーは、重縮合により、逐次、触媒的に重合させて、ポリエチレンテレフタレートポリエステルを形成する。上記したように、エチレングリコールは、重縮合の間に連続的に除去して、有利な反応動力学を生じさせる。
【0111】
その他の方法は、ジメチルテレフタレートと過剰のエチレングリコールとを使用する2工程のエステル交換反応および重合を含む。この技術にて、テレフタレート成分とジオール成分とを反応させる前述の工程は、加熱触媒されるエステル交換反応(すなわち、エステル交換)にて、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを反応させて、ビス(2-ヒドロキシエチル)-テレフタレートモノマーおよび副生物としてメタノールを形成する工程を含む。
【0112】
エステル交換反応を本質的に完了するまで進行させうるには、メタノールは、それが形成されるにつれて、連続的に取り除く必要がある。ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートモノマー生成物は、ついで、重縮合により触媒的に重合されて、ポリエチレンテレフタレートポリマーを生成する。生ずるポリエチレンテレフタレートポリマーは、幾分かの少量の化学的な差(例えば、末端基の違い)があるかもしれないが、テレフタル酸を使用する直接的なエステル化により生ずるポリエチレンテレフタレートポリマーと実質的に同等である。
【0113】
ポリエチレンテレフタレートポリエステルは、バッチ法で製造することができ、エステル交換またはエステル化反応の生成物は、1つの容器内で形成され、ついで、重合のための第2の容器に移される。概して、第2の容器は、攪拌され、攪拌機によって使用されるパワーがポリエステル溶融物が所望される固有粘度、および、かくして、所望される分子量を達成したことを示すレベルに到達するまで、重合反応は、継続される。さらに商業的に実施可能とするには、しかし、連続法として、エステル化またはエステル交換反応を行い、ついで、重合反応を行う。ポリエチレンテレフタレートの連続的な製造は、さらに大量の処理量を生じ、かくして、大規模製造設備にてさらに典型的である。
【0114】
本発明にて、直接エステル化反応が旧式の2工程エステル交換反応に優って好ましく、旧式のエステル交換反応は、不経済であり、それは、着色の乏しいポリエチレンテレフタレート樹脂を生成することが多い。
【0115】
これに関し、かつ、記載したように、直接的なエステル化技術は、6モル%以下の二酸とジオール改質剤とともに、テレフタル酸とエチレングリコールとを反応させて、低分子量のモノマー、オリゴマーおよび水を形成する。特に、チタンおよびコバルト触媒は、両方とも、好ましくは、エステル化の間に添加され、これによって、生ずるポリエチレンテレフタレート樹脂の着色を改善することが見出された。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、場合によっては、その他の触媒を含み、例えば、アルミニウム-基体の触媒、マンガン-基体の触媒または亜鉛-基体の触媒が挙げられる。
【0116】
さらに詳しくは、チタン触媒は、最終ポリエチレンテレフタレート樹脂が約2〜50ppmの元素状チタンを含むのに十分な量導入される。同様に、コバルト触媒は、最終ポリエチレンテレフタレート樹脂が約10〜50ppmの元素状コバルトを含むのに十分な量導入される。プロセスの中断(例えば、パイプの目詰まり)を防止するためには、チタンおよびコバルト触媒は、異なる供給手段によりエステル化容器に導入される。
【0117】
チタンまたはコバルト触媒を含むと、エステル化および重縮合の速度が速まり、したがって、ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造速度が速まる。これら触媒は、しかし、結局、ポリエチレンテレフタレートポリマーを分解するであろう。例えば、分解としては、ポリマー変色(例えば、黄変)、アセトアルデヒド形成または分子量低下を挙げることができる。これらの望ましくない悪影響を低下させるためには、安定化化合物を使用して、触媒を金属イオン封鎖(“冷却”)する。最も一般的に使用されている安定剤は、リンを、典型的には、ホスフェートおよびホスファイトの形で、含有する。
【0118】
したがって、本樹脂は、典型的には、リン安定剤を含む。これに関し、リン安定剤は、好ましくは、リンが、生ずる樹脂中に元素基準で、約60ppm未満の量、典型的には、約2〜40ppmの量、好ましくは、約15ppm未満の量(例えば、約5〜15ppm)、さらに好ましくは、約10未満の量(すなわち、約2〜10ppm)存在するように、ポリエチレンテレフタレートポリマー中に導入される。リン安定剤は、エステル化後いずれかの時間に溶融相に導入することができるが、リン安定剤を重縮合が本質的に完了した後、溶融物に添加するのが好ましい。
【0119】
リン安定剤をバッチ反応器内のポリマー溶融物に加えるのは、比較的単純な方法であるが、安定剤をポリエチレンテレフタレートの連続製造にて加える場合、数々の問題が生ずる。例えば、安定剤の早期添加は、ポリエステルの変色および分解を防止するものの、それは、また、製造処理量を低下させる(すなわち、重縮合反応速度を減少させる)。さらに、リン安定剤は、典型的には、エチレングリコールに溶解させ、その添加は、さらに、重合プロセスを遅延させる。したがって、重合プロセスにおける安定剤の早期添加は、ポリマーの製造処理と熱安定性との間の望ましくない選択を必要とする。本明細書で使用する場合、“熱安定性”は、アセトアルデヒド発生の低い速度、低い変色および後続の熱処理またはその他の加工における分子量の保持をいう。
【0120】
リン安定剤の添加が遅いと、ポリマーと十分にブレンドするための安定剤の機会が不十分となる。したがって、リン安定剤は、ポリエステルの分解および変色を防止することができない。また、ポリマー加工の間にリン安定剤を加えると不都合なことが多く、スケールが経済的ではない。
【0121】
Process and Apparatus for the Direct and Continuous Modification of Melts と題するU.S.特許No.5,376,702は、ポリマー溶融物流を未改質流と添加剤を含む分岐流とに分割することを開示している。特に、側流は、分岐流の一部を押出機に取り、ここで、添加剤を導入する。このような技術は、しかし、複雑なばかりではなく、また、コストがかかり、添加剤を処理するためにスクリュー押出機とメルトパイピング(melt piping)を必要とする。したがって、このような配置は、不都合であり、合計の添加剤濃度が低い(例えば、1重量%未満の)場合、実用的ではない。
【0122】
安定剤の遅い添加に伴うある種の問題は、a Method of Post-Polimerization Stabilization of High Activity Catalyst in Continuous Polyethylene Terephthalate Productionと題するU.S.特許No.5,898,058に記載されており、この特許は、連続的なポリエチレンテレフタレート製造における高活性重合触媒を安定化させる方法を開示している。この特許は、本出願とともに共通譲渡され、ここで、参考とすることによって全体を本明細書に組み込む。
【0123】
特に、U.S.特許No.5,898,058は、安定剤を加えることを開示しており、安定剤は、好ましくは、重合反応時または後かつポリマー加工の前に、リンを含有する。これは、重合触媒を失活させ、ポリエチレンテレフタレートポリエステルの熱安定性に悪影響を与えることなく、ポリエステルの処理量を増加させる。慣用的な技術に優る改良にもかかわらず、U.S.特許No.5,898,058は、キャリヤーなしで安定剤を添加することを教示している。したがって、固体のポリマーへの添加は、コスト的に、押出機の使用を必要とする。
【0124】
Methods of Post-Polymerization Injection in Continuous Polyethylene Terephthalate Productionと題する前述のU.S.出願シリアルNo.09/738,150であり、現在、U.S.特許No.6,599,596は、共通譲渡されたU.S.特許No.5,898,058により開示されている安定剤添加技術について改善する高品質ポリエチレンテレフタレートポリエステルを製造するための方法を開示している。
【0125】
さらに詳しくは、U.S.特許出願シリアルNo.09/738,150は、ポリエチレンテレフタレートを製造するためのプロセスに添加剤を後から導入するための方法を開示している。添加剤は、ポリエチレンテレフタレートポリマーの重縮合の間、好ましくは、後に、導入される。特に、この方法は、1つ以上の添加剤についての供給ビヒクルとして機能するだけではなく、ポリエチレンテレフタレートと反応し、それによって、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のキャリヤーと結合する反応性キャリヤーを使用する。さらに、U.S.出願シリアルNo.09/738,150は、押出機の使用を必要としない単純化された添加剤供給システムを使用して、これが達成されうることを開示している。(Methods of Post-polymerization Exruder Injection in Polyethylene Terephthalate Productionと題するU.S.出願シリアルNo.09/932/150であり、現在、U.S.特許No.6,569,991であり、これは、U.S.出願シリアルNo.09/738,150の一部継続であり、ポリエチレンテレフタレートを製造するためのプロセスの間に押出機で添加剤を後から導入するための方法を開示している。)
ここで開示するリン安定剤は、ポリエチレンテレフタレートにおける濃縮物として、または、液体キャリヤーの濃縮物として、直接、ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入することができる。ポリエチレンテレフタレート重合プロセスにおける好ましい添加点は、重縮合の完了後である(すなわち、最終重合容器後の溶融ポリマー流と混合される)。
【0126】
リン安定剤は、好ましくは、不活性キャリヤーまたはキャリヤー全くなしにおけるよりも、むしろ、反応性キャリヤーにより、ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入される。反応性キャリヤーは、好ましくは、約200g/molより大きく、かつ、10,000g/mol未満の分子量を有し、重縮合の間に導入することができ、さらに好ましくは、重縮合が完了した後に導入することができる。いずれにしても、反応性キャリヤーは、嵩高いポリマー特性が有意に影響を受けないような量、ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入する必要がある。
【0127】
一般的な事項として、反応性キャリヤーは、ポリエチレンテレフタレート樹脂の約1重量%以下とする必要がある。好ましくは、反応性キャリヤーは、ポリマー樹脂における濃度が約1,000ppm(すなわち、0.1重量%)未満となるような量、ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入される。反応性キャリヤーのポリマー樹脂中における濃度が500ppm(すなわち、0.05重量%)未満となるような量に反応性キャリヤーを低下させると、嵩高いポリマーの特性への潜在的な悪影響をさらに低下させるであろう。
【0128】
最も好ましくは、反応性キャリヤーは、周囲温度近傍でそれが確実に液体かまたはスラリーとなるような融点を有する。周囲近傍温度は、ユニット操作(例えば、押出機、ヒーターおよび配管)を単純化するのみならず、不活性な粒状添加剤の分解を最小とする。本明細書で使用する場合、“周囲近傍”という用語は、約20℃〜60℃の温度を含む。
【0129】
概して、カルボキシル、ヒドロキシルまたはアミン官能基を有する反応性キャリヤーが好ましい。ポリオールがポリエチレンテレフタレートポリマーの固有粘度を実質的に低下させないように十分に高い分子量とポリオールのポンプ輸送を促進する粘度とを有するポリオール、特にポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエチレングリコールが好ましいポリオールである。その他のポリオールの例としては、例えば、プロピレンオキシドから製造されるポリプロピレングリコール;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムおよびブロックコポリマー;および、テトラヒドロフランの重合により誘導されるポリテトラメチレングリコールのような官能性ポリエーテルが挙げられる。
【0130】
あるいは、反応性キャリヤーとしては、ダイマーまたはトリマー酸および酸無水物が挙げられる。もう1つの実施態様にて、反応性キャリヤーは、末端官能基以外または代わりに、ポリエチレンテレフタレートポリマーと反応する内部官能基(例えば、エステル、アミドおよび酸無水物)を有する。なおもう1つの実施態様にて、反応性キャリヤーとしては、ソリッドステート重合の間にポリエチレンテレフタレートポリマー内と反応して組み込まれ、ポリエチレンテレフタレートポリマーが射出成形プロセスの間に固有粘度喪失の欠点を生ずることのないであろう非官能性エステル、アミドまたは酸無水物を挙げることができる。
【0131】
前述の記載に照らし、本発明のチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造する好ましい方法は、加熱エステル化反応にて、少なくとも94モル%のテレフタル酸を含む二酸成分と、少なくとも94モル%のエチレングリコールを含むジオール成分とを反応させる工程を含む。二酸およびジオール改質剤は、生ずるポリエチレンテレフタレートポリマーが約6モル%未満のコモノマー置換を有するように含ませる必要がある。例えば、二酸成分は、好ましくは、約1.6および2.4モル%のイソフタル酸と残りテレフタル酸とを含み、ジオール成分としては、1.6モル%のジエチレングリコールと残りエチレンブリコールとを含む。
【0132】
エステル化反応は、チタンおよびコバルトの両方により触媒されて、テレフタル酸および二酸改質剤とグリコールおよびジオール改質剤とののモノマーおよびオリゴマーと、水とを形成し、水は、それが形成されると、連続的に除去されて、エステル化反応を本質的に完了するまで進行可能とする。チタン触媒およびコバルト触媒は、ポリエチレンテレフタレート樹脂が約2〜50ppm(例えば、5〜15ppm)の元素状チタンおよび約10〜50ppmの元素状コバルト(例えば、20〜30ppm)を含むのに十分な量、同時に、導入される。
【0133】
モノマーおよびオリゴマーは、ついで、溶融相重縮合により重合されて、ポリエチレンテレフタレートポリマーを形成する。ついで、リン安定剤が、ポリエチレンテレフタレートポリマーに、好ましくは、反応性キャリヤーを使用して、導入される。上記したように、反応性キャリヤーは、ポリマー溶融物内での均一なブレンドを促進する。リン安定剤は、典型的には、生ずる樹脂中にリンが元素基準で約2〜60ppmの量、好ましくは、約10未満または15ppm未満存在するように、ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入される。その後、ポリエチレンテレフタレートポリマーは、ペレットに形成され、ペレットは、ついで、ソリッドステートで、固有粘度0.86dl/g未満(例えば、0.75〜0.78dl/g)に重合される。
【0134】
好ましくは、反応性キャリヤーは、ポリオールを近傍温度(例えば、60℃未満)でポンプ輸送し、ポリエチレンテレフタレートポリマーの嵩高い特性に有意に影響を及ぼさない量(例えば、そのポリマー中の濃度が約1重量%未満となる)ポリエチレンテレフタレートポリマーに導入される分子量を有するポリオール(例えば、ポリエチレングリコール)である。ポリエチレンテレフタレートポリマーは、ついで、チップ(またはポリマーカッターによりペレット)に形成されてからソリッドステート重合される。重要なことに、ポリオール反応性キャリヤーは、続く加工作業(例えば、ポリエステルプリフォームまたは飲料容器形成)の間に抽出されえないように、ポリエチレンテレフタレートポリマーと合わされる。
【0135】
その他の添加剤は、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂中に反応性キャリヤーにより配合することができる。このような添加剤としては、プリフォーム昇温速度増強剤、摩擦低下添加剤、UV吸収剤、不活性粒状添加剤(例えば、粘度またはシリカ)、着色剤、抗酸化剤、分岐剤、酸素遮断剤、二酸化炭素遮断剤、酸素捕捉剤、難燃剤、結晶化制御剤、アセトアルデヒド還元剤、耐衝撃性改良剤、触媒失活剤、溶融強度増強剤、帯電防止剤、滑剤、鎖延長剤、核剤、溶剤、充填剤および可塑剤が挙げられる。
【0136】
後からの添加は、添加剤が揮発性かまたは熱分解を受けやすい場合に特に望ましい。重縮合前の慣用的な添加剤注入、例えば、ポリエステルの合成におけるエステル化工程の間または重縮合工程の間の早期に、添加剤を高温(260℃より高い)および低圧(10torr未満)の条件に数時間賦す。したがって、これら条件で有意な蒸気圧を有する添加剤は、そのプロセスから失われる。有益なことに、反応性キャリヤーによる後からの添加は、添加剤が高い重縮合温度に暴露される時間を有意に短くする。
【0137】
当業者であれば、理解されるであろうが、巨大分子は、固有粘度約0.45dl/gでポリマーであると考えられる。これは、おおよそ、分子量少なくとも約13,000g/molと解釈される。対照的に、本発明に従う反応性キャリヤーは、約200g/molより大かつ約10,000g/mol未満である分子量を有する。反応性キャリヤーの分子量は、典型的には、6000g/mol未満、好ましくは、4000g/mol未満、さらに好ましくは、約300〜2000g/mol、最も好ましくは、約400〜1,000g/molである。本明細書で使用する場合、分子量は、重量平均分子量というよりも、むしろ、数平均分子量をいう。
【0138】
図10および11は、固有粘度の理論的喪失を幾つかの分子量で反応性キャリヤー濃度の関数として示す。図10は、ポリエチレンテレフタレートが固有粘度0.63dl/gを有する際に及ぼす反応性キャリヤーの衝撃を示す。同様に、図11は、ポリエチレンテレフタレートが固有粘度0.45dl/gを有する際に及ぼす反応性キャリヤーの衝撃を示す。いずれの濃度にても、より高い分子量を有する反応性キャリヤーほど、ポリマー樹脂の固有粘度に及ぼす悪影響が少ないことに注目。
【0139】
典型的なプロセスの例にて、連続した供給物は、約240℃〜約290℃の温度および約5〜85psiaの圧力で、約1〜5時間操作される直接的なエステル化容器内に入る。エステル化反応は、好ましくは、チタンおよびコバルト触媒の両方を使用して触媒され、低分子量のモノマー、オリゴマーおよび水を形成する。水は、反応が進行するにつれて除去されて、有利なように反応平衡を推進する。
【0140】
その後、低分子量のモノマーおよびオリゴマーは、重縮合により重合されて、ポリエチレンテレフタレートポリエステルを形成する。この重縮合工程は、概して、2つ以上の一連の容器を使用し、約250℃〜305℃の温度で約1〜4時間運転される。重縮合反応は、通常、低重合機と称される第1の容器内で始まる。低重合機は、約0〜70torrの圧力範囲で運転される。モノマーおよびオリゴマーは、重縮合して、ポリエチレンテレフタレートとエチレングリコールとを形成する。
【0141】
エチレングリコールは、反応を完了させるために印加される減圧を使用し、ポリマー溶融物から除去される。これに関し、ポリマー溶融物は、典型的には、攪拌して、ポリマー溶融物からのエチレングリコールの流出を促進し、高粘度ポリマー溶融物が重合容器を通って移動するのを補助する。
【0142】
ポリマー溶融物が連続容器に供給されるにつれ、ポリマー溶融物の分子量、および、かくして、粘度は、増加する。各容器の温度は、概して、高くなり、圧力は、低下して、各連続容器内でより多く重合する。
【0143】
最終の容器は、概して、“高重合機”と称され、約0〜40torrの圧力で運転される。低重合機と同様に、各重合容器は、凝縮器を有する減圧システムに連結され、各々は、典型的には、攪拌して、エチレングリコールの除去を促進する。重合容器内の滞留時間およびエチレングリコールおよびテレフタル酸の連続プロセス内への供給速度は、一部、ポリエチレンテレフタレートポリエステルの標的分子量に基づいて決定される。分子量は、ポリマー溶融物の固有粘度に基づき容易に測定されるので、ポリマー溶融物の固有粘度は、概して、重合条件、例えば、温度、圧力、反応体の供給速度および重合容器内の滞留時間を測定するために使用される。
【0144】
ポリエチレンテレフタレートポリマーの形成以外に、望ましくない副生物を生成する副反応が生ずることに注意。例えば、エチレングリコールのエステル化は、ジエチレングリコールを形成し、これは、ポリマー鎖に組み込まれる。当業者公知のように、ジエチレングリコールは、ポリマーの軟化点を低下させる。さらに、環式オリゴマー(例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとのトリマーおよびテトラマー)が少量生ずるかもしれない。エチレングリコールをそれが重縮合反応にて形成するにつれ、連続して除去すると、概して、これら副生物の形成を低下させる。
【0145】
ポリマー溶融物が重縮合工程を、典型的には、高重合機から出た後、リン安定剤が反応キャリヤーより導入される。その後、ポリマー溶融物は、概して、濾過および押出される。押出後、ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、水を噴霧することによりクエンチされ、それは、凝固される。凝固されたポリエチレンテレフタレートポリエステルは、貯蔵および取り扱い易いように、チップまたはペレットに裁断される。ポリエステルペレットは、好ましくは、平均質量約15〜20mgを有する。本明細書で使用する場合、“ペレット”という用語は、概して、チップ、ペレット等を指すために使用する。
【0146】
上記の考察は、連続的な製造プロセスを想定したが、本発明は、かく限定されるものではないことが理解されるであろう。本明細書に開示した教示は、半連続プロセスおよびさらにはバッチプロセスにも適用されうる。
【0147】
当業者公知のように、ポリエチレンテレフタレートポリマーから形成されるペレットは、結晶化に賦し、続いて、ソリッドステート重合により、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量を増大させる。アンチモンと比較して、例えば、チタンは、SSP触媒として、それほど実質的に低活性ではない。かくして、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固相重合を促進するために、補体SSP触媒が、固相重合に先立ち、好ましくは、重縮合の間に、ポリマー溶融物に導入される。
【0148】
好ましいSSP触媒としては、I族およびII族の金属が挙げられる。I族およびII族の金属の酢酸塩(例えば、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸マンガン、酢酸カリウムまたは酢酸ナトリウム);または、テレフタル酸塩、例えば、リン酸一カリウム(MKP)は、ソリッドステート重合速度を速めることができる。SSP触媒は、典型的には、最終ポリエチレンテレフタレート樹脂が約10〜70ppmの元素状金属を含むのに十分な量導入される。
【0149】
ソリッドステート重合後、ポリエステルチップは、ついで、再溶融および再押出されてボトルプリフォームを形成し、これは、その後、ポリエステル容器(例えば、飲料ボトル)に形成することができる。本明細書に記載の樹脂およびプリフォームから形成されるボトルは、好ましくは、側壁曇り度約15%未満、さらに好ましくは、約10%未満を有する。
【0150】
典型的には、本発明に従うホットフィルボトルは、195°Fで充填する時、ボトルショルダーからボトル基底まで測定して、平均環境寸法変化約3%未満、205°Fで充填する時、約5%未満を示す。さらに、本発明に従うホットフィルボトルは、ボトルを195°Fで充填した時、ボトルショルダーからボトル基底までの最高環境寸法変化約5%未満、好ましくは、4%未満を示す。(このような収縮特性は、24時間熟成したボトルについて測定される。)
【0151】
当業者であれば、理解されるであろうが、ポリエチレンテレフタレートは、典型的には、2工程プロセスにより、容器に変換される。最初に、押出機内で樹脂を溶融し、溶融ポリエステルをプリフォームに射出成形することによって、非晶質ボトルプリフォーム(例えば、約4%未満の結晶度、および、典型的には、約4〜7mmの厚さ)をボトル樹脂から製造する。このようなプリフォームは、通常、最終容器の外表面積より少なくともマグニチュードオーダーの小さい外表面積を有する。プリフォームは、ガラス転移温度(Tg)より、典型的には、30℃高い延伸温度に再加熱する。
【0152】
再加熱したプリフォームは、ついで、ボトル吹込成形用金型内に入れ、高圧空気で延伸および高温空気で膨張させることにより、加熱ボトルに形成する。吹込成形用金型を温度約115℃〜200℃の温度、通常、約120℃〜160℃の温度に維持する。当業者であれば、圧縮した空気の加熱したプリフォームへの導入は、加熱したボトルの形成に影響を及ぼすことが理解されるであろう。かくして、1つの変形例にて、圧縮された空気は、バレイエージ技術(balayage technique)により乱流でボトルから放出されて、加熱されたボトルの冷却を促進する。本発明に従うプリフォームは、慣用的な圧力より低い圧縮された空気を使用し、低収縮ボトルに吹込成形することができる。
【0153】
本発明の高透明度ホットフィルポリエステルボトルプリフォームに関しては、再加熱工程後、プリフォームは、サイクル時間約6秒未満(すなわち、正規化された製造速度)以内で、低収縮ボトルに吹込成形される。
【0154】
当業者であれば、プリフォームにおけるいずれかの欠陥も、典型的には、ボトルに転写されることを理解することができるであろう。したがって、射出成形されたプリフォームを形成するために使用されるボトル樹脂の品質は、商業的に許容可能なボトルを得るために重要である。射出成形プリフォームおよび延伸-吹込成形ボトルの態様は、Large Polyester Containers and Method for Making the Sameと題するU.S.特許No.6,309,718に考察されており、この特許は、参考とすることによって全体を本明細書に組み込む。
【0155】
当業者であれば、分岐剤を少量(例えば、約2,000ppm未満)含ませて、重合速度を速め、ボトル製造プロセスが改善されることがさらに理解されるであろう。鎖分岐剤は、例えば、エステル化または溶融相重合の間に、導入することができる。典型的には、0.1モル%未満の分岐剤を本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂に含まさせる。
【0156】
本明細書で使用する場合、“分岐剤“という用語は、ポリマー主鎖に沿って結合されたモノマー分子の側鎖分岐の形成を促進する製造モノマーをいう。Odian,Principles of Polymerization,pp.18-20(Second Edition 1981)参照。鎖分岐剤は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートと共重合するであろう三官能性、四官能性、五官能性および六官能性アルコールまたは酸からなる群より選択される。当業者であれば理解されるであろうが、三官能性分岐剤は、分岐用に利用可能な1つの反応性部位を有し、四官能性分岐剤は、分岐に利用可能な2つの反応性部位を有し、五官能性分岐剤は、分岐に利用可能な3つの反応性部位を有し、六官能性分岐剤は、分岐に利用可能な4つの反応性部位を有する。
【0157】
許容可能な鎖分岐剤としては、トリメシン酸(C6H3(COOH)3)、ピロメリット酸(C6H2(COOH)4)、二無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメチロールプロパン(C2H5(CH2OH)3)、ジトリメチロールプロパン(C2H5C(CH2OH)2C2H4OC(CH2OH)2C2H5)、ジペンタエリスリトール(CH2OHC(CH2OH)2C2H4OC(CH2OH)2CH2OH)、ペンタエリスリトール(C(CH2H)4)、エトキシル化されたグリセロール、エトキシル化されたペンタエリスリトール(Aldrich Chemicalsからの3EO/4OHおよび15EO/4OH)、エトキシル化されたトリメチロールプロパン(Aldrich Chemicalsからの2.5EO/OHおよび20EO/3OH)およびLutrol HF-1(BASFからのエトキシル化されたグリセロール)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0158】
好ましい芳香族鎖分岐剤は、芳香環が溝きず応力核形成のようであるが、その好ましい芳香族鎖分岐剤としては、トリメリット酸(TMLA)、無水トリメリット酸(TMA)、ピロメリット酸(PMLA)、二無水ポリメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、二無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸および二無水ナフタレンテトラカルボン酸ならびにそれらの誘導体が挙げられる:
【0159】
【化1】

【0160】
【化2】

【0161】
本出願は、以下の共通譲渡された特許を参考とすることによって全体を組み込むが、それらの各々は、反応性末端基に関しての化学量論的モル比(すなわち、“モル当量分岐”)を考察している:Polyethylene Glycol Modified Polyester Fibers and Method for Making the Sameと題するU.S.特許No.6,623,853;Nonwoven Fabrics Formed from Polyethylene Glycol Modified Polyester Fibers and Method for Making the Sameと題するU.S.特許No.6,582,817;Polyethylene Glycol Modified Polyester Fibersと題するU.S.特許No.6,509,091;Method of Preparing Polyethylene Glycol Modified Polyester Filamentsと題するU.S.特許No.6,454,982;Method of Preparing Polyethylene Glycol Modified Polyester Filamentsと題するU.S.特許No.6,399,705;Nonwoven Fabrics Formed from Polyethylene Glycol Modified Polyester Fibers and Method for the Sameと題するU.S.特許No.6,322,886;Method of Preparing Polyethylene Glycol Modified Polyester Filamentsと題するU.S.特許No.6,303,739;および、Polyethylene Glycol Modified Polyester Fibers and Method for Making the Sameと題するU.S.特許No.6,291,066.
【0162】
明細書および図面にて、本発明の典型的な実施態様を開示した。個々の用語は、一般的かつ説明する意味にてのみ使用し、限定する目的には使用しなかった。本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項に記載した。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび1.5モル%のイソフタル酸で改質したチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図2】図2は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび1.5モル%のイソフタル酸で改質したチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図3】図3は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび1.5モル%のイソフタル酸で改質したアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図4】図4は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび1.5モル%のイソフタル酸で改質したアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図5】図5は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび2.4モル%のイソフタル酸で改質したチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図6】図6は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび2.4モル%のイソフタル酸で改質したチタン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図7】図7は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび2.4モル%のイソフタル酸で改質したアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図8】図8は、固有粘度0.78dl/gを有し、1.6モル%のジエチレングリコールおよび2.4モル%のイソフタル酸で改質したアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂について行った示差走査熱量法熱分析を示す。
【図9】図9は、チタン-触媒およびアンチモン-触媒ポリエチレンテレフタレート樹脂についてステップパリソンにて測定したパーセント曇り度対プリフォーム厚さを示す。
【図10】図10は、固有粘度0.63dl/gを有するポリエチレンテレフタレートの固有粘度の理論的喪失を種々の分子量における反応性キャリヤーの濃度の関数として示す。
【図11】図11は、固有粘度0.45dl/gを有するポリエチレンテレフタレートの固有粘度の理論的喪失を種々の分子量における反応性キャリヤーの濃度の関数として示す。
【図12】図12は、昇温速度添加剤によって高められない典型的なポリエチレンテレフタレートの吸光度(cm-1)を示す。
【図13】図13は、昇温速度添加剤によって高められない典型的なポリエチレンテレフタレートの吸光度(cm-1)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート樹脂であり、
そのポリエチレンテレフタレート樹脂が、示差走査熱量法により測定して、加熱速度10℃/分で140℃より高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有し;
そのポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmかまたは波長1280nmにて少なくとも0.18cm-1の吸光度(A)を有し;
そのポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間にて分類して、70より高いL透過値を有するポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項2】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmと波長1280nmとに少なくとも0.20cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項3】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmと波長1280nmとに少なくとも0.24cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項4】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmかまたは波長1280nmにて少なくとも0.28cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項5】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、1100:550の吸光度比少なくとも75%、1280:550の吸光度比少なくとも75%、1100:700の吸光度比少なくとも85%および1280:700の吸光度比少なくとも85%を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項6】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間にて分類して、80より高いL透過値を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項7】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間により分類して、-3と2との間のb明度を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項8】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、固有粘度0.86dl/g未満を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項9】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、固有粘度0.68dl/gより上を有する、請求項8に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項10】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、結晶溶融ピーク温度(TM)少なくとも240℃を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項11】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、結晶溶融ピーク温度(TM)少なくとも250℃を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項12】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、示差走査熱量法により測定して、冷却速度10℃/分で190℃未満の冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項13】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、ステップパリソンで測定して、厚さ4.5〜6.0mmで10%未満の曇り度を有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項14】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、6モル%未満の置換を含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項15】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、3〜4モル%のコモノマー置換を含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項16】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、樹脂中に、10〜300ppmの量で存在する金属含有昇温速度添加剤を含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項17】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、樹脂中に、0ppmより大〜25ppm未満の量存在する炭素-基体の昇温速度添加剤を含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項18】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜50ppmの元素状チタンを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項19】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、5〜15ppmの元素状チタンを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項20】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、10〜50ppmの元素状コバルトを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項21】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、15〜40ppmの元素状コバルトを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項22】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜60ppmの元素状リンを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項23】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜10ppmの元素状リンを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項24】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、100ppm未満の元素状アンチモンと20ppm未満の元素状ゲルマニウムとを含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項25】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜50ppmの元素状チタンと10〜50ppmの元素状コバルトを含み;
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間にて分類して、2未満のb明度と75より高いL透過値とを有する、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項26】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、示差走査熱量法により測定して、加熱速度10℃/分で143℃より高い加熱結晶化発熱ピーク温度(TCH)を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項27】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmかまたは波長1280nmにて少なくとも0.25cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1〜3または請求項5〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項28】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmかまたは波長1280nmにて少なくとも0.30cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項29】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、波長1100nmかまたは波長1280nmにて少なくとも0.40cm-1の吸光度(A)を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項30】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、1100:700の吸光度比少なくとも70%と1280:550の吸光度比少なくとも70%とを有する、請求項1〜4または請求項6〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項31】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、1100:700の吸光度比少なくとも85%と1280:700の吸光度比少なくとも85%とを有する、請求項1〜4または請求項6〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項32】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間にて分類して、75より高いL透過値を有する、請求項1〜5または請求項7〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項33】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間により分類して、0未満のb明度を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項34】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、CIE Lab色空間により分類して、2未満のb明度を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項35】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、固有粘度0.72dl/g〜0.84dl/gを有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項36】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、結晶溶融ピーク温度(TM)少なくとも245℃を有する、請求項1〜9または請求項11〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項37】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、示差走査熱量法により測定して、10℃/分の冷却速度で180℃未満の冷却結晶化発熱ピーク温度(TCC)を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項38】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、ステップパリソンにて測定して、6mmより厚い厚さで15%未満の曇り度を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項39】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、1:1モル比の二酸成分とジオール成分とによって構成され、二酸成分が、少なくとも94モル%のテレフタル酸を含み、ジオール成分が、少なくとも94モル%のエチレングリコールを含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項40】
二酸成分が、本質的に、テレフタル酸とイソフタル酸とからなり、ジオール成分が、本質的に、エチレングリコールとジエチレングリコールとからなる、請求項39に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項41】
二酸成分が、テレフタル酸と;ジメチルイソフタレート、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、コハク酸、ジメチルスクシネートおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1つの改質剤とを含み;
ジオール成分が、エチレングリコールと;1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビドからなる群より選択される少なくとも1つの改質剤とを含む、請求項39に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項42】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、1:1モル比のジエステル成分とジオール成分とによって構成され、ジエステル成分が、少なくとも94モル%のジメチルテレフタレートを含み、ジオール成分が、少なくとも94モル%のエチレングリコールを含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項43】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜5モル%のコモノマー置換を含む、請求項1〜14または請求項16〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項44】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、樹脂の再加熱特性を改善するために十分な量樹脂中に存在する昇温速度添加剤を含む、請求項1〜25に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項45】
昇温速度添加剤が、樹脂中に、10〜100ppmの量存在するスピネルを含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項46】
昇温速度添加剤が、樹脂中に、15〜25ppmの量存在するスピネルを含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項47】
昇温速度添加剤が、モルブデン-基体またはタングステン-含有昇温速度添加剤を含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項48】
昇温速度添加剤が、カーボンブラック、活性炭およびグラファイトからなる群より選択される炭素-基体の添加剤を含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項49】
昇温速度添加剤が、樹脂中に、4〜16ppmの量存在する炭素-基体の添加剤を含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項50】
昇温速度添加剤が、樹脂中に、6〜10ppmの量存在する炭素-基体の添加剤を含む、請求項44に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項51】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、25ppm未満の元素状チタンを含む、請求項1〜18または請求項20〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項52】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、20〜30ppmの元素状コバルトを含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項53】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜20ppmの元素状チタンと15〜40ppmの元素状コバルトとを含む、請求項1〜18または請求項20〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項54】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、2〜40ppmの元素状リンを含む、請求項1〜22または請求項24〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項55】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、5〜15ppmの元素状チタンと2〜10ppmの元素状リンとを含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項56】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、15〜40ppmの元素状コバルトと2〜15ppmの元素状リンとを含む、請求項1〜22または請求項24〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項57】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、25ppm未満の元素状アンチモンと5ppm未満の元素状ゲルマニウムとを含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項58】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、本質的に、アンチモンを含まない、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項59】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、本質的に、ゲルマニウムを含まない、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項60】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、ソリッドステート重合速度を速めるSSP触媒を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項61】
SSP触媒が、アルカリ土類金属またはアルカリ性土類金属を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項62】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、芳香族鎖分岐剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項63】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、樹脂中に、0より大きく0.1モル%未満の量存在する分岐剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項64】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、ポリエステルプリフォームである、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項65】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、ポリエステル容器またはフィルムである、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項66】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、側壁曇り度15%未満を有するポリエステルボトルである、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【請求項67】
ポリエチレンテレフタレート樹脂が、195°Fで充填した時、ボトルショルダーからボトル基底まで測定して、平均環境寸法変化3%未満と最高環境寸法5%未満とを示すポリエステルボトルである、請求項1〜25のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2007−504352(P2007−504352A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533388(P2006−533388)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016375
【国際公開番号】WO2004/104080
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500086098)ウェルマン・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】