説明

遅延放出の固体医薬製剤

本発明は、特に動物での使用に適する、活性物質の遅延放出を伴う固体医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に動物での使用に適する、有効成分の遅延放出を伴う固体医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技法に基づく多数の徐放医薬がヒトでの使用には利用可能であるが、遅延放出の医薬(制御放出製剤、徐放製剤)は、獣医学では、特にネコおよびイヌでは、通例ではない。これの主な理由の一つは、動物、特にネコおよびイヌは、胃腸管の通過時間(胃腸通過時間[GITT])、食物の影響、食習慣の影響、種、大きさ、胃のpH、腸の酵素、胃腸管の透過性および有効成分が吸収される領域に関して、ヒトとは異なることである[S.C. Sutton, Adv. Drug delivery reviews, 56 (2004) 1383 - 1398]。イヌとヒトの生理的差異は、文献に詳細に記載されている [Dressman, Pharm Res., 3 (1986) 123 - 131; Schneider et al., J. Med. Chem., 42 (1999) 5072]。もし、動物による従来の徐放錠剤の経口摂取の際に、それが咀嚼されるか、他の方法で大きさが減じられれば、有効成分は非常に急速に放出され、徐放錠剤の真の目的は達成されない。有効成分の吸収は、換言すれば、薬物動態プロフィールは、動物による錠剤の咀嚼により、相当に変更され得る。目標は、そのような場合のために、サイズの減少が有効成分の吸収に最小限の影響を有する製剤を開発することである。従って、動物での使用のためのそのような製剤の開発は、当業者にとって困難な技術的課題である。これに関して、例えばイヌの胃における機械的ストレスは、ヒトでのものよりかなり大きいことも考慮しなければならない。
【0003】
WO2004/014346は、親水性ポリマーの Methocel (ヒドロキシプロピルメチルセルロース「HPMC」)、Polyox および Carbopol を用いる、遅延放出のカプロフェン錠剤を記載している。これらの錠剤は、微粒子を含み、それら自体が制御放出特性を有するという原理を基礎とする。そのような製剤は、製造が複雑であり、さらに、バイオアベイラビリティーを失わずに、動物の胃腸管において、適する放出プロフィールを達成できるか否かが不明である。
【0004】
医薬の技術者にとってのさらなる難点は、胃および消化管の通過時間が相当に変動し得ることである。空腹と満腹のビーグル犬では、胃腸管の通過時間は相当に異なる [例えば、Sutton(既出)の図7および8参照]。Sutton は、錠剤の約80%が、24時間を超える長い消化管の通過時間であったことを示している。彼は、このことから、インビトロの放出時間が24時間未満の徐放製剤では、完全な用量がイヌにより吸収されることが通常可能であり、それは、早まって排出されることはないと結論付けている。胃の通過時間は、また、医薬の大きさ、関連する動物の種および品種に依存する[例えば、Fix et al., Pharm. Res., 10 (1993) 1087 -1089参照]。目標は、動物の様々な種および品種での使用に適する製剤を開発することである。
【0005】
医薬の技術者にとってのさらなる難点は、有効成分は、しばしば、胃腸管の一定の限られた領域でしか吸収され得ないという事実に由来する。例えば、有効成分が小腸でのみ吸収されるならば、製剤は、また、できるだけ完全に小腸で有効成分を放出するべきである。胃腸管における製剤の通過時間の変動は、バイオアベイラビリティーに影響を与え得る。蠕動運動は、例えばイヌの消化管を特定の間隔で伝わり、「ハウスキーパーウェーブ(housekeeper wave)」とも呼ばれる; このハウスキーパーウェーブは、胃腸管における製剤の通過時間に影響を与える。なぜなら、通過時間は、ハウスキーパーウェーブが始まったばかりであるか、後で開始されるのみであるのかに左右されるからである。胃の通過距離時間は、また、消費される食物の性質および量にも、そして、幽門が開く大きさにさえ、相当に左右される。
【0006】
これらの難点は、我々の知る限り、イヌ用の制御放出の経口医薬はまだ市場にないという事実の一因であり得る。いずれにせよ、例えばネコおよび/またはイヌに適する制御放出製剤の開発は、その解決を文献から直接推測することができない、困難な課題である。
【0007】
遅延放出を達成するための多くの可能性が知られている。当業者は、通常、例えば、セルロースエーテル(ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)などの親水性ゲルを形成するポリマーを含むマトリックス錠剤を選ぶ。なぜなら、そのような錠剤は、医薬工業で常套の機械で製造でき、また、製造条件に対して敏感ではないからである。例えば、たとえイヌがそのような錠剤を咀嚼しても、ゲル形成ポリマーのために断片が膨潤し、それにより有効成分の直接的な即時放出は遅延される。
【0008】
例えばイヌなどの動物は、種によって大きさが異なり得、体重が異なり得る。従って、各々の大きさに正確に適合した投与量は、製造および販売が複雑になりすぎるので、市場では殆ど入手できない。このことが、小型動物用と意図された錠剤が、大型の動物にも普通に投与される理由である。そのような場合、大型の動物には2個またはそれ以上の錠剤を投与する必要がある。セルロースエーテルなどのゲル形成ポリマーを含む親水性マトリックス錠剤の上記の常套の技法を使用する場合、錠剤は胃腸管の水性媒体中で膨潤し、ゲルの被覆を形成する。我々は、研究中に、そのような製剤のゲル層が一体となって貼り付き、胃腸管内で大きい凝集物を形成することを見出した。そのような凝集物の表面は、個々の膨潤した錠剤の表面の合計よりもかなり小さい。このことは、凝集物の放出速度が個々の錠剤のものより実質的に遅いことをもたらす。そして、ゲルマトリックスからのインビボの有効成分放出は、もはや再現不能である。
【0009】
先行技術の推奨に従い、イヌ用の徐放錠剤には、24時間までの放出時間が許容し得るべきである。なぜなら、錠剤の約80%について、胃腸管の通過時間(GITT)は少なくとも24時間であるからである。しかしながら、我々は、予想外なことに、以下のことを見出した:たとえ、インビトロで有効成分の>80%を約12時間の間に放出するセルロースエーテルをベースとする錠剤を空腹のイヌに投与しても、部分的にしか膨潤せず、乾燥したコアを有する錠剤が、糞便中に見られる。このことは、バイオアベイラビリティーの減少を導く。この問題は、さらに、大型の動物には正しい投与量を達成するために通常の実務である、複数の錠剤の投与時に増強される。この場合、粘着性の錠剤の凝集物も糞便中に見られる。
【0010】
McInnes ら (Pharm Res., Oct 2007) は、満腹および空腹のイヌで、異なるインビトロの放出速度の、2種の異なるマトリックス錠剤を調べた。彼らは、彼らの研究において、インビトロとインビボの放出の間に単純な相関を見出すことができなかった。このことは、一方で、すべての有効成分を糞便での排出の前に放出し、他方で、不利益を伴わずに1個より多い錠剤の投与を可能にする遅延放出錠剤を開発するのは容易ではないという事実を強調する。
【0011】
従って、本発明は、動物が満腹であるか空腹であるかに拘わらず、胃腸管でできるだけ完全に溶解し、特定の時間内にできるだけ完全に有効成分を放出する遅延放出錠剤の開発を目的とする。このことは、また、動物の所有者または獣医師が錠剤の未溶解部分を糞便中に見出すと、製品への信頼を失うかもしれないので、重要である。目的は、特に、好ましくは全有効成分の少なくとも80%を、1ないし6時間の内に放出し、2個またはそれ以上の錠剤が投与されても、胃腸管の水性媒体中で凝集が起こらないマトリックス系を見出すことであった。最後に、可能であれば、製造が医薬工業の常套の機械で容易に可能であることが企図された。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、
a.少なくとも1種の医薬有効成分
b.少なくとも17のK値のポリビニルピロリドン
c.少なくとも1種の賦形剤
を含む、遅延放出の固体医薬製剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(該当する記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0014】
適する医薬有効成分は、原則として、すべての適当な医薬的に活性な化合物である。
好ましい実施態様では、これらは、駆虫性有効成分である。
言及し得る好ましい駆虫性有効成分の群は、デプシペプチドである:
デプシペプチドは、ペプチドと類似し、1個またはそれ以上のα−アミノ酸ユニットがα−ヒドロキシカルボン酸ユニットで置き換えられている点で、後者とは異なる。本発明により好ましく用いられるのは、18個ないし24個の環内原子、特に24個の環内原子を有する環状デプシペプチドである。
【0015】
18個の環内原子を有するデプシペプチドは、一般式(I):
【化1】

[式中、
、RおよびRは、相互に独立して、水素、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、ヒドロキシアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、グアニジノアルキル(1個または2個のベンジルオキシカルボニルラジカルにより、または、1個、2個、3個または4個のアルキルラジカルにより置換されていてもよい)、アルコキシカルボニルアミノアルキル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたは置換されていることもあるアリールアルキル(ここで、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルおよびアルコキシが、置換基として言及し得る)であり、
、RおよびRは、相互に独立して、水素、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換されていることもあるアリールまたはアリールアルキル(ここで、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシが、置換基として言及し得る)]
の化合物、それらの光学異性体およびラセミ体を含む。
【0016】
好ましいのは、式(I)
【化2】

[式中、
、RおよびRは、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、グアニド−C−C−アルキル、特にグアニドプロピル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特にtert−ブトキシカルボニルアミノプロピル、tert−ブトキシカルボニルアミノブチル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノ−C−C−アルキル、特に9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノプロピル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、特にメトキシまたはエトキシ、C−C−アルキル、特にメチルの群からのラジカルにより置換されていてもよい)であり、
、RおよびRは、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、特にメトキシまたはエトキシ、C−C−アルキル、特にメチルの群からのラジカルにより置換されていてもよい)である]
の化合物、並びに、それらの光学異性体およびラセミ体である。
【0017】
特に好ましいのは、式中、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特にtert−ブトキシカルボニルアミノプロピル、tert−ブトキシカルボニルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(1個またはそれ以上の同一かまたは異なる上記のラジカルにより置換されていてもよい)であり、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチル−メチル、フェニル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(1個またはそれ以上の同一かまたは異なる上記のラジカルにより置換されていてもよい)である、
式(I)の化合物、並びに、それらの光学異性体およびラセミ体である。
【0018】
ことさら特に好ましいのは、式中、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、C−C−アルケニル、特にアリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルであり、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(1個またはそれ以上の同一かまたは異なる上記のラジカルにより置換されていてもよい)である、
式(I)の化合物、並びに、それらの光学異性体およびラセミ体である。
【0019】
特に言及し得るのは、ラジカルRないしRが以下の意味を有する、以下の一般式(I)の化合物である:
【化3】

【表1】

Me=メチル;Phe=フェニル
【0020】
さらに、EP0382173にデプシペプチドとして開示された以下の式(IIa)の化合物PF1022に言及し得る:
【化4】

【0021】
加えて、PCT出願WO93/19053にデプシペプチドとして開示された化合物に言及し得る。
特に、WO93/19053から、以下の式(IIb)の化合物に言及し得る:
【化5】

(式中、Zは、N−モルホリニル、アミノ、モノ−またはジメチルアミノである)。
【0022】
さらに、以下の式(IIc)の化合物に言及し得る:
【化6】

[式中、
、R、R、Rは、相互に独立して、水素、C−C10−アルキルまたはアリール、特にフェニル(これらは、ヒドロキシ、C−C10−アルコキシまたはハロゲンにより置換されていることもある)である]。
【0023】
一般式(I)並びに(IIa)、(IIb)および(IIc)の化合物は、公知であり、EP−A−382173、DE−A4317432、DE−A4317457、DE−A4317458、EP−A−634408、EP−A−718293、EP−A−872481、EP−A−685469、EP−A−626375、EP−A−664297、EP−A−669343、EP−A−787141、EP−A−865498、EP−A−903347に記載の方法により、または、それらと同様に、得ることができる。
【0024】
24個の環内原子を有する環状デプシペプチドは、また、一般式(IId)
【化7】

[式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aは、相互に独立して、C1−8−アルキル、C1−8−ハロアルキル、C3−6−シクロアルキル、アラルキル、アリールであり、
3a、R5a、R7a、R9aは、相互に独立して、水素、または、直鎖または分枝鎖のC1−8−アルキル(ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、カルボキシ、
【化8】

、カルボキサミド、
【化9】

、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、SHまたはC1−4−アルキルチオにより置換されていてもよい)であり、さらに、アリールまたはアラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシにより置換されていてもよい)であり、
4a、R6a、R8a、R10aは、相互に独立して、水素、直鎖C1−5−アルキル、C2−6−アルケニル、C3−7−シクロアルキル(これらの各々は、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、カルボキシ、カルボキサミド、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、SHまたはC1−4−アルキルチオにより置換されていてもよい)であり、アリールまたはアラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシにより置換されていてもよい)である]
の化合物、並びに、それらの光学異性体およびラセミ体を含む。
【0025】
好ましいのは、式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aが、相互に独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、s−、t−ブチルまたはフェニル(これは、ハロゲン、C1−4−アルキル、OH、C1−4−アルコキシにより置換されていることもある)であり、ベンジルまたはフェニルエチル(フェニルについて記載したラジカルにより置換されていてもよい)であり;
3aないしR10aが、上記の意味を有する、
式(IId)の化合物の使用である。
【0026】
特に好ましいのは、式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aが、相互に独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはn−、s−、t−ブチルであり、
3a、R5a、R7a、R9aが、水素、直鎖または分枝鎖のC1−8−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、s−、t−ブチル(これらの各々は、C1−4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリルまたはC1−4−アルキルチオ、特にメチルチオ、エチルチオにより置換されていてもよい)であり、さらに、フェニル、ベンジルまたはフェネチル(これらの各々は、ハロゲン、特に塩素により置換されていてもよい)であり、
4a、R6a、R8a、R10aが、相互に独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ビニル、シクロヘキシル(これらの各々は、メトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリル、メチルチオ、エチルチオにより置換されていてもよい)であり、イソプロピル、s−ブチルであり、さらに、ハロゲンで置換されていることもあるフェニル、ベンジルまたはフェニルエチルである、
式(IId)の化合物の使用である。
【0027】
式(IId)の化合物は、同様に、EP−A−382173、DE−A4317432、DE−A4317457、DE−A4317458、EP−A−634408、EP−A−718293、EP−A−872481、EP−A−685469、EP−A−626375、EP−A−664297、EP−A−669343、EP−A−787141、EP−A−865498、EP−A−903347に記載の方法により得ることができる。
【0028】
本発明によりことさら特に好ましいデプシペプチドは、PF1022A(式(IIa)参照)およびエモデプシド(emodepside)(PF1022−221、両方のZラジカルがモルホリニルラジカルである式(IIb)の化合物)である。INNエモデプシドは、系統名:シクロ[(R)−ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−3−(p−モルホリノフェニル)ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−3−(p−モルホリノフェニル)ラクトイル−N−メチル−L−ロイシルを有する化合物である。
【0029】
さらなる適する駆虫性有効成分は、プラジカンテルまたはエプシプランテル(epsiprantel)である。両者は、抗内寄生虫(anti-endoparasite)有効成分として長く知られてきた(例えば、エプシプランテルについてUS4661489、プラジカンテルについてUS4001411を参照)。プラジカンテルを含有する製品は、例えば、Droncit(登録商標)の名称で購入できる。プラジカンテルの使用は、本発明に関して好ましい。
【0030】
特に好ましい実施態様では、デプシペプチドを、プラジカンテルまたはエプシプランテルと組み合わせて用いることができ、プラジカンテルが組合せのパートナーとして好ましい。
上記で好ましいものとして挙げたデプシペプチドは、組合せにおいても対応して好ましいか、または特に好ましい。
ことさら特に好ましい実施態様では、本発明の固体医薬製剤は、プラジカンテルとPF1022Aの組合せを含む。
さらにことさら特に好ましい実施態様では、本発明の固体医薬製剤は、プラジカンテルとエモデプシドの組合せを含む。
【0031】
さらなる適する有効成分は、大環状ラクトン、特に、エバーメクチン類、ジヒドロエバーメクチン類(イベルメクチン類)またはミルベマイシン(milbemycin)類である。これらは、駆虫効果を有するが、多かれ少なかれ、外寄生生物、例えば、昆虫またはダニに対する明白な効果も示す。
【0032】
エバーメクチン類は、狭義には、特に、8種のエバーメクチン成分A1a、A1b、A2a、A2b、B1a、B1b、B2aおよびB2bである。実際には、例えば、本質的にエバーメクチンBを含む、エバーメクチンと呼ばれる混合物を用いる。加えて、例えば、ドラメクチンおよびセラメクチン(selamectin)がエバーメクチン類に含まれる。
【0033】
アバメクチン(abamectin)の水素化生成物は、イベルメクチンと呼ばれ、対応して、22,23−ジヒドロエバーメクチンBである。
言及し得るミルベマイシン類は、ミルベマイシンB41D、ネマデクチン(nemadectin)、モキシデクチン(moxidectin)である。
【0034】
さらなることさら特に好ましい実施態様では、本発明の固体医薬製剤は、プラジカンテル、エモデプシド、および、上述の大環状ラクトンの1種の組合せを含む。これらの中で、イベルメクチンがこの実施態様でことさら特に好ましい。
【0035】
さらなる適する有効成分の群は、例えば、非オピオイド鎮痛薬またはオピオイド鎮痛薬などの鎮痛薬である。言及し得る非オピオイド鎮痛薬の例は、メロキシカム、カプロフェンおよびメタミゾールである。言及し得るオピオイド鎮痛薬の例は、ブプレノルフィンおよびフェンタニルである。
【0036】
通常はナトリウム塩の形態で用いられるメタミゾール(N−メチル−N−(2,3−ジメチル−5−オキソ−1−フェニル−3−ピラゾリン−4−イル)アミノメタンスルホン酸、ジピロンとも呼ばれる)は、好ましい例として言及し得る。他の医薬的に許容し得る塩を、同様に使用できる。メタミゾールは、より正確には、4種の主要な代謝物を有するプロドラッグとして認識されるべきものである。これらの2種、特に4−N−メチルアミノアンチピリン(4−MAA)およびアミノアンチピリン(4−AA)は、活性を有する。
【0037】
用い得るさらなる有効医薬成分は、薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体であり、これらは、通常、特に、生産用動物および家畜のために、代謝刺激剤および強壮剤として適する有機化合物である。言及し得る好ましい例は、長く知られてきた化合物、トルジムホス(toldimfos)、および、特にブタホスファン(butaphosphan)(例えば、製品 Catosal(登録商標)中で使用されている)であり、これらは、とりわけ、ミネラル(リン)補給に役立つ。
【0038】
有効成分は、それらの構造に応じて、立体異性体または立体異性体の混合物として、例えば、エナンチオマーまたはラセミ体として、存在し得る。立体異性体の混合物および純粋な立体異性体の両方を、本発明に従い使用できる。
さらに、必要に応じて、医薬的に許容し得る酸または塩基と有効成分の塩、並びに、有効成分またはその塩の溶媒和物、特に、水和物を使用することが可能である。
【0039】
好ましい実施態様では、本発明の製剤は錠剤である。
これらの製剤は、放出を遅らせるポリマーを含み、これは、水で膨潤可能なポリマーである。水で膨潤可能なポリマーは、水の存在下でゲルを形成するので、それらは、「ゲル形成ポリマー」とも呼ばれ得る。言及し得る例は、キトサン、グアーガムおよびポリビニルアセテートである。本発明により好ましく用いられる水で膨潤可能なポリマーは、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体であるが、ポリビニルピロリドンとポリビニルピロリドン誘導体の混合物の使用も考えられる。しかしながら、ポリビニルピロリドンの使用が特に好ましい。
【0040】
ポリビニルピロリドンを、他の適するポリマーと組み合わせて用いることも考えられ、例として、BASF のKollidon(登録商標) SR を挙げる。これは、噴霧乾燥させたポリビニルアセテート(平均分子量約450000の重量を有する)および可溶性ポリビニルピロリドン(Povidone K 30)を8:2の比で含有する混合物を含む。
【0041】
言及し得る適するポリビニルピロリドン誘導体の例は、コポビドン(copovidone)(例えば、BASF のKollidon VA 64)である。これは、ビニルピロリドンとビニルアセテートの比6:4のコポリマーである。
【0042】
ポリビニルピロリドン類(ポビドン類、PVP)は、遅延放出の固体医薬製剤における使用に適する、購入できる親水性ポリマーである。様々なタイプのPVPが購入できる。比較的低分子量のPVPを、通常は錠剤の結合剤として用いる。PVPは、水性媒体中で膨潤し、侵食される。しかしながら、PVPを含有する錠剤は、例えばセルロースエーテルのような、粘着性のゲル層を形成しないことが判明した。我々のインビトロ実験によると、PVPを含有する錠剤は、水性媒体中でさえ接着しない。複数の錠剤の投与時の胃腸管における凝集のリスクは低い。異なる分子量のPVPを使用することにより、一定の範囲内で放出の動態を変動させることが可能である。
【0043】
用いるポリビニルピロリドン類またはポリビニルピロリドン誘導体は、好ましくは、水溶性である。この場合、ポリビニルピロリドン類またはポリビニルピロリドン誘導体は、通常、線状であり、架橋していない。
【0044】
ポリビニルピロリドン類またはポリビニルピロリドン誘導体は、通常、少なくとも17のK値を有する。
ポリビニルピロリドン類またはポリビニルピロリドン誘導体のK値は、粘度および分子量に関連し、それ自体既知の方法により測定できる。不確かであれば、欧州薬局方 (Ph. Eur.) のK値のデータを使用する。
好ましいのは、17ないし90、特に好ましくは25ないし90のK値のポリビニルピロリドン類および/またはポリビニルピロリドン誘導体の使用である。
【0045】
完成した製剤は、通常、10ないし50重量%、好ましくは15ないし40重量%、特に好ましくは25ないし35重量%のポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体またはそれらの混合物を含む。
【0046】
好ましい実施態様では、短い鎖長のポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルピロリドン誘導体と、長い鎖長のものを用いる。比較的迅速な放出が短鎖ポリビニルピロリドン類またはポリビニルピロリドン誘導体により達成され、一方で、長鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体はより遅い放出を導くので、この方法で特に良好に放出特徴を調節できる。長鎖と短鎖のポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体の比は、通常、重量で1:10の範囲から、長鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体の過剰使用まで、多様であり得る。正確な比は、使用する有効成分の拡散挙動によって調節すべきである。容易に水に溶解する有効成分、例えば、メタミゾールは、ゲルから容易に拡散する。この場合、適する放出の動態は、短鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を使用せずに、または、比較的少量のそれらを用いて、達成できる。従って、長鎖と短鎖のポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体の比は、好ましい実施態様では、重量で少なくとも5:1から、長鎖ポリビニルピロリドンの過剰使用までの範囲にあり、その比は、好ましくは重量で少なくとも10:1である。
【0047】
あまり容易に水に溶解しない有効成分、例えば、エモデプシドまたはプラジカンテルは、より遅くゲルから拡散し、本質的には、ゲルの侵食の際に放出される。従って、この場合、所望の放出動態を達成するために、高い割合の短鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体が望ましい。従って、さらなる好ましい実施態様では、長鎖と短鎖のポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体の比は、重量で1:1ないし5:1、好ましくは2:1ないし4:1の範囲にある。
【0048】
短鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体は、通常、17ないし40、好ましくは17ないし30、特に好ましくは約25のK値を有する。
長鎖ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体は、通常、40を超える、好ましくは60ないし120、特に好ましくは約90のK値を有する。
【0049】
上述のポリビニルピロリドン類、ポリビニルピロリドン誘導体および特定の混合物に関する詳細は、以下の書籍に見出すことができる: V. Buehler, "Kollidon, Polyvinylpyrrolidone for the pharmaceutical industry,", 9th revised edition, BASF Pharma Ingredients, Germany, 2008。
【0050】
水溶性補助剤、例えば、ポリエチレングリコール、ラクトース(特にラクトース一水和物として)または多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたは上述の補助剤の混合物を用いることにより、本発明の製剤の放出速度を調節することが可能である;これらの賦形剤は、必要に応じて、通常、1ないし20%(m/m)、好ましくは5ないし15%(m/m)の量で存在する。
【0051】
本発明の製剤の放出特徴は、さらに好ましくは、崩壊剤、例えば、デンプン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン、例えば、(登録商標)Kollidon CL)を組み込むことにより、変動させることができる。この場合、上述の水溶性補助剤の使用は絶対に必要というわけではない。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムであり、さらに好ましい崩壊剤は、クロスポビドンである。崩壊剤を使用する場合、それらは、通常、5%(m/m)まで、好ましくは0.1ないし3%(m/m)、特に好ましくは0.5ないし1.5%(m/m)の量で存在する。
【0052】
包括的に、上記の手段により、非常に再現性のあるバイオアベイラビリティーを達成することが可能であり、未崩壊または部分的崩壊の錠剤を糞便中に見出すリスクは非常に低い。
【0053】
固体製剤(例えば錠剤)に適する賦形剤は、常套の賦形剤、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、塩化ナトリウム、酸化アルミニウム、シリカ類、アルミナ類、リン酸塩(特に、リン酸カルシウム)、または、有機賦形剤、例えば、ラクトースまたは結晶セルロースである。無水リン酸水素カルシウムを好ましくは用いる。結晶セルロースは、同様に好ましい。異なる賦形剤を共に組み合わせることも可能である。賦形剤の総量は、通常、5ないし80%(m/m)、好ましくは10ないし70%(m/m)、特に好ましくは20ないし60%(m/m)である。
【0054】
本発明の固体医薬製剤は、さらに、有効成分および他の上述の成分に加えて、補助剤も含み得、例えば、流動剤(glidant)、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、例えば Aerosil(登録商標)、硬化植物油(hydrogenated vegetable oil)、ステアリン酸、タルクまたはそれらの混合物は、必要に応じて、通常、0.1ないし2%(m/m)、好ましくは0.5ないし1%(m/m)の量で存在する。滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムは、必要に応じて、通常0.3ないし2%(m/m)、好ましくは0.5ないし1.5%(m/m)の量で存在する。
【0055】
嗜好性を改善するために、好ましい実施態様では、香料および/または香味料を添加する。
肉香料として適するのは、ウシ、家禽、ヒツジまたはブタ、好ましくは家禽およびブタ由来の乾燥肝臓粉末、並びに、他の香料調製物である。好ましい実施態様では、適する香味料および香料は、特別に加工されたタンパク質、脂肪および炭水化物の混合物である;Pharma Chemie (Syracuse, Nebraska, USA) の Artificial Beef Flavor(登録商標)に、特に言及し得る。Artificial Beef Flavor(登録商標)は、さらなるタンパク質を添加したブタ肝臓抽出物である。さらに好ましい実施態様では、乾燥肝臓粉末を用いることも可能である。香味料または香料は、本発明の医薬製剤中、完成した製剤の総重量を基準として、1−40重量%、好ましくは5−30重量%、特に10−25重量%の量で用いる。この場合、百分率のデータは、完成した製剤の重量による百分率である。
【0056】
本発明の製剤は、例えば、成分を混合または造粒し、次いで、錠剤に圧縮することにより製造できる。湿式造粒法が好ましい。香料または香味料、崩壊剤、流動剤および滑沢剤を、好ましくは、造粒後に混合し、次いで、混合物を打錠する。
【0057】
本発明の製剤のインビトロでの放出は、常套の放出器具、特に、米国薬局方(USP)のパドル試験で、シンク条件(sink conditions)下で測定できる。「シンク条件」は、薬学で常套の用語であり、使用する放出媒体の性質および量を、関連する有効成分の量の3倍がその中に溶解するように選択することを意味する。放出媒体の最大量は、900mlである。媒体は、水を必須成分として含み、それに、溶解性を改善するために、必要に応じて界面活性剤を添加する。常套のバッファーを使用して、関連する有効成分が最も安定であるpHに調節する。本発明の製剤の目標は、1ないし6時間以内、好ましくは1ないし5時間以内、特に好ましくは1.5ないし5時間以内で、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%の有効成分のインビトロ放出を達成することである。測定は、37℃で、75rpmで行う。デプシペプチドを含有する製剤からの、デプシペプチド、例えばエモデプシドの放出の場合、放出媒体は、pH3.0(リン酸水素二ナトリウム二水和物/クエン酸一水和物バッファー)であり、0.5%ラウリル硫酸ナトリウムを添加した。単位当たり10mgまでのエモデプシドを含有する製剤のために、その量は500mlである。シンク条件は、より高いエモデプシド含有量の単位(例えば錠剤)に合わせなければならない。従って、30mgの単位には、900mlの媒体が必要とされる。
【0058】
メタミゾールを含む製剤の場合、インビトロ放出の測定条件は、以下の通りである:pH6.8(リン酸バッファー、USP標準放出媒体)、900ml。
【0059】
本発明の製剤は、ヒトでの使用に、そして、生産用および育種用家畜、動物園、研究室、実験用および愛玩用の動物のための、動物管理および動物育種における使用に適する。
【0060】
生産用および育種用家畜には、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、毛皮を有する動物、例えば、ミンク、チンチラ、アライグマ、鳥類、例えば、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、ダチョウが含まれる。
研究室および実験用の動物には、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、イヌおよびネコが含まれる。
愛玩用動物には、イヌおよびネコが含まれる。ネコおよび特にイヌにおける使用が特に好ましい。
【0061】
好ましい実施態様では、製剤は、既述の駆虫性有効成分を含む。それらは、ヒトにおいて、そして、動物管理および動物育種において、生産用および育種用家畜、動物園、研究室、実験用および愛玩用の動物に生じる病原性の内寄生生物の制御に適する。用いる有効成分に応じて、それらは、これに関して、有害生物の全てまたはいくつかの発生段階に対して、そして、耐性および通常の感受性のタイプに対して有効である。病原性寄生生物の制御の意図は、有効成分の使用がより経済的かつ簡潔な家畜の管理を可能にするように、疾病、死亡および性能の低下(例えば、食肉、乳、羊毛、皮、卵、蜂蜜などの製造において)を低減させることである。病原性内寄生生物には、以下の群からの、条虫類、吸虫類、線虫類、鈎頭虫類が含まれる:
【0062】
擬葉目、例えば:ジフィロボツリウム属(Diphyllobothrium spp.)、スピロメトラ属(spirometra spp.)、シストセファルス属(Schistocephalus spp.)、リグラ属(Ligula spp.)、ボツリジウム属(Bothridium spp.)、ジフロゴノポラス属(Diphlogonoporus spp.)。
【0063】
円葉目、例えば:メソセストイデス属(Mesocestoides spp.)、アノプロセファラ属(Anoplocephala spp.)、パラノプロセファラ属(Paranoplocephala spp.)、モニエジア属(Moniezia spp.)、チサノソムサ属(Thysanosomsa spp.)、チサニエジア属(Thysaniezia spp.)、アビテリナ属(Avitellina spp.)、スチレシア属(Stilesia spp.)、シットタエニア属(Cittotaenia spp.)、アンジラ属(Andyra spp.)、ベルチエラ属(Bertiella spp.)、タエニア属(Taenia spp.)、エチノコッカス属(Echinococcus spp.)、ハイダチゲラ属(Hydatigera spp.)、ダベイネア属(Davainea spp.)、ライリエチナ属(Raillietina spp.)、ハイメノレピス属(Hymenolepis spp.)、エチノレピス属(Echinolepis spp.)、エチノコチレ属(Echinocotyle spp.)、ジオルチス属(Diorchis spp.)、ジフリジウム属(Dipylidium spp.)、ジョエキシエラ属(Joyeuxiella spp.)、ジプロピリジウム属(Diplopylidium spp.)。
【0064】
単生綱、例えば:ジャイロダクチラス属(Gyrodactylus spp.)、ダクチロジラス属(Dactylogyrus spp.)、ポリストマ属(Polystoma spp.)。
【0065】
二生亜綱、例えば:ジプロストマム属(Diplostomum spp.)、ポストジプロストマム属(Posthodiplostomum spp.)、シストソーマ属(Schistosoma spp.)、トリコビルハルジア属(Trichobilharzia spp.)、オルニトビルハルジア属(Ornithobilharzia spp.)、オストロビルハルジア属(Austrobilharzia spp.)、ギガンドビルハルジア属(Gigantobilharzia spp.)、ロイコクロリジウム属(Leucochloridium spp.)、ブラチライマ属(Brachylaima spp.)、エチノストーマ属(Echinostoma spp.)、エチノパリフィウム属(Echinoparyphium spp.)、エチノチャスマス属(Echinochasmus spp.)、ヒポデラエウム属(Hypoderaeum spp.)、ファシオラ属(Fasciola spp.)、ファシオリデス属(Fasciolides spp.)、ファシオロプシス属(Fasciolopsis spp.)、シクロケラム属(cyclocoelum spp.)、チフロケラム属(Typhlocoelum spp.)、パラムフィストマム属(Paramphistomum spp.)、カリコホロン属(Calicophoron spp)、コチロホロン属(Cotylophoron spp.)、ギガントコチレ属(Gigantocotyle spp.)、フィソエデリウス属(Fischoederius spp.)、ガストロチラクス属(Gastrothylacus spp.)、ノトコチラス属(Notocotylus spp.)、カタトロピス属(Catatropis spp.)、プラジオルチス属(Plagiorchis spp.)、プロストゴニマス属(Prosthogonimus spp.)、ジクロコエリウム属(Dicrocoelium spp.)、ユーリトレマ属(Eurytrema spp.)、トログトトレマ属(Troglotrema spp.)、パラゴニマス属(Paragonimus spp.)、コリリクラム属(Collyriclum spp.)、ナノフィエタス属(Nanophyetus spp.)、オピストルチス属(Opisthorchis spp.)、クロノルチス属(Clonorchis spp.)、メトルチス属(Metorchis spp.)、ヘテロフィエス属(Heterophyes spp.)、メタゴニマス属(Metagonimus spp.)。
【0066】
エノプルス目、例えば:トリクリス属(Trichuris spp.)、カピラリア属(Capillaria spp.)、トリコモソイデス属(Trichomosoides spp.)、トリチネラ属(Trichinella spp.)。
桿線虫目、例えば:ミクロネマ属(Micronema spp.)、ストロンギロイデス属(Strongyloides spp.)。
【0067】
円虫目、例えば:ストロギラス属(Strogylus spp.)、トリオドントホラス属(Triodontophorus spp.)、オエソファゴドンタス属(Oesophagodontus spp.)、トリコネマ属(Trichonema spp.)、ギアロセファルス属(Gyalocephalus spp.)、シリンドロファリンクス属(Cylindropharynx spp.)、ポテリオストマム属(Poteriostomum spp.)、シクロコセルカス属(cyclococercus spp.)、シリコステファナス属(Cylicostephanus spp.)、オエソファゴストマム属(Oesophagostomum spp.)、チャベルチア属(Chabertia spp.)、ステファヌラス属(Stephanurus spp.)、アンシロストマ属(Ancylostoma spp.)、アンシナリア属(Uncinaria spp.)、ブノストマム属(Bunostomum spp.)。
グロボセファラス属(Globocephalus spp.)、シンガマス属(Syngamus spp.)、シアトストマ属(Cyathostoma spp.)、メタストロンギラス属(Metastrongylus spp.)、ジクチオカウラス属(Dictyocaulus spp.)、ムエレリウス属(Muellerius spp.)、プロトストロンギラス属(protostrongylus spp.)、ネオストロンギラス属(Neostrongylus spp.)、シストカウラス属(Cystocaulus spp.)、ニューモストロンギラス属(Pneumostrongylus spp.)、スピコカウラス属(Spicocaulus spp.)、エラホストロンギラス属(Elaphostrongylus spp.)、パレラホストロンギラス属(Parelaphostrongylus spp.)、クレノソーマ属(Crenosoma spp.)、パラクレノソーマ属(Paracrenosoma spp.)、アンギオストロンギラス属(Angiostrongylus spp.)、アエルロストロンギラス属(Aelurostrongylus spp.)、フィラロイデス属(Filaroides spp.)、パラフィラロイデス属(Parafilaroides spp.)、トリコストロンギラス属(Trichostrongylus spp.)、ヘモンカス属(Haemonchus spp.)、オステルタジア属(Ostertagia spp.)、マルシャラジア属(Marshallagia spp.)、クーペリア属(Cooperia spp.)、ネマトジラス属(Nematodirus spp.)、ホストロンギラス属(Hyostrongylus spp.)、オベリスコイデス属(Obeliscoides spp.)、アミドストマム属(Amidostomum spp.)、オルラナス属(Ollulanus spp.)。
【0068】
蟯虫(Oxyurida)目、例えば:オキシウリス属(oxyuris spp.)、エンテロビウス属(Enterobius spp.)、パッサルラス属(Passalurus spp.)、シファシア属(Syphacia spp.)、アスピクルリス属(Aspiculuris spp.)、ヘテラキス属(Heterakis spp.)。
【0069】
鶏回虫(Ascaridia)目、例えば:アスカリス属(Ascaris spp.)、トキサスカリス属(Toxascaris spp.)、トキソカラ属(Toxocara spp.)、パラスカリス属(Parascaris spp.)、アニサキス属(Anisakis spp.)、アスカリジア属(Ascaridia spp.)。
【0070】
旋尾線虫目、例えば:グナトストーマ属(Gnathostoma spp.)、フィサロプテラ属(Physaloptera spp.)、テラジア属(Thelazia spp.)、ゴンジロネマ属(Gongylonema spp.)、ハブロネマ属(Habronema spp.)、パラブロネマ属(Parabronema spp.)、ドラシア属(Draschia spp.)、ドラクンクラス属(Dracunculus spp.)。
【0071】
フィラリア(Filariida)目、例えば:ステファノフィラリア属(Stephanofilaria spp.)、パラフィラリア属(Parafilaria spp.)、セタリア属(Setaria spp.)、ロア属(Loa spp.)、ジロフィラリア属(Dirofilaria spp.)、リトモソイデス属(Litomosoides spp.)、ブルジア属(Brugia spp.)、ウケレリア属(Wuchereria spp.)、オンコセルカ属(Onchocerca spp.)。
【0072】
ギガントリンクス(Gigantorhynchida)目、例えば:フィリコリス属(Filicollis spp.)、モニリホルミス属(Moniliformis spp.)、マクラカントルヒンクス属(Macracanthorhynchus spp.)、プロステノルキス属(Prosthenorchis spp.)。
【0073】
本発明の組成物は、特に好ましくは、トキソカラ・カチ(Toxocara cati)、トキサスカリス・レオニア(Toxascaris leonina)、アンシロストマ・チュバエフォルメ(Ancylostoma tubaeforme)、ジフリジウム・カニナム(Dipylidium caninum)、タエニア・タエニアエフォルミス(Taenia taeniaeformis)およびエチノコッカス・ムルティロクラリス(Echinococcus multilocularis)に使用する。
【0074】
これらの製剤は、また、原則として、他の有効成分で、各有効成分が適すると知られている適応症の処置にも適する。
メタミゾールなどの鎮痛薬は、例えば、軽度および中等度ないし重度の疼痛、例えば:外傷後の疼痛(例えば、鈍的外傷、捻挫)、手術前後の疼痛、手術後の疼痛、腫瘍疼痛、骨関節炎の疼痛、テンドパシー(tendopathies)、腹部軟部組織疼痛、老齢期の歯痛の処置に用いることができる。
予防的および治療的使用の両方が可能である。
【実施例】
【0075】
実施例
A. 製剤の実施例
以下の実施例は、無水リン酸水素カルシウム、ポビドン90(および、必要に応じて、コポビドン(copovidone)64)および全量の一部のポビドン25および結晶セルロースを混合し、次いで、エモデプシドおよびプラジカンテルを混合することにより製造する。混合物を第2の分量のポビドン25の水溶液で造粒し、流動層造粒機中で、110℃より低い温度で乾燥させる。顆粒を篩過し、Artificial Beef Flavor、クロスカルメロースナトリウム、無水コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムと混合する。
かくして得られる物質を、錠剤に圧縮できる。
【0076】
実施例1
エモデプシド3.00mg
プラジカンテル15.00mg
無水リン酸水素カルシウム19.20mg
結晶セルロース37.80mg
Artificial Beef Flavour (PC 0125, Pharma Chemie Inc., Syracuse/USA) 31.50mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)36.00mg
ポビドン25(K値25のポリビニルピロリドン)12.90mg
無水コロイド状二酸化ケイ素0.90mg
架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム)1.20mg
ステアリン酸マグネシウム1.50mg
【0077】
実施例2
エモデプシド10.00mg
プラジカンテル50.00mg
無水リン酸水素カルシウム64.00mg
結晶セルロース126.00mg
Artificial Beef Flavour (PC 0125, Pharma Chemie Inc., Syracuse/USA) 105.00mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)120.00mg
ポビドン25(K値25のポリビニルピロリドン)43.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素3.00mg
架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム)4.00mg
ステアリン酸マグネシウム5.00mg
【0078】
実施例3
エモデプシド10.00mg
プラジカンテル50.00mg
無水リン酸水素カルシウム64.00mg
結晶セルロース126.00mg
Artificial Beef Flavour (PC 0125, Pharma Chemie Inc., Syracuse/USA)37.50mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)40.00mg
ポビドン25(K値25のポリビニルピロリドン)42.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素2.00mg
架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム(登録商標))4.00mg
ステアリン酸マグネシウム3.75mg
【0079】
実施例4
メタミゾールナトリウム500.00mg
結晶セルロース300.00mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)300.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素10.00mg
ステアリン酸マグネシウム10.00mg
【0080】
実施例5
メタミゾールナトリウム1000.00mg
結晶セルロース600.00mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)600.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素20.00mg
ステアリン酸マグネシウム20.00mg
乾燥肝臓粉末278.00mg
【0081】
実施例6
エモデプシド10.00mg
プラジカンテル50.00mg
無水リン酸水素カルシウム64.00mg
結晶セルロース126.00mg
Artificial Beef Flavour (PC 0125, Pharma Chemie Inc., Syracuse/USA)105.00mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)90.00mg
コポビドン64(BASF の Kollidon(登録商標) VA 64、ビニルピロリドンとビニルアセテートの比6:4のコポリマー)30.00mg
ポビドン25(K値25のポリビニルピロリドン)43.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素3.00mg
架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム)4.00mg
ステアリン酸マグネシウム5.00mg
【0082】
実施例7
エモデプシド10.00mg
プラジカンテル50.00mg
無水リン酸水素カルシウム64.00mg
結晶セルロース126.00mg
Artificial Beef Flavour (PC 0125, Pharma Chemie Inc., Syracuse/USA) 105.00mg
ポビドン90(K値90のポリビニルピロリドン)30.00mg
コポビドン64(BASF の Kollidon(登録商標) VA 64、ビニルピロリドンとビニルアセテートの比6:4のコポリマー)90.00mg
ポビドン25(K値25のポリビニルピロリドン)43.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素3.00mg
架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロースナトリウム)4.00mg
ステアリン酸マグネシウム5.00mg
【0083】
比較例(本発明によらない製剤)
エモデプシド5.00mg
プラジカンテル50.00mg
無水リン酸水素カルシウム30.00mg
結晶セルロース63.00mg
Artificial Beef Flavour 35.00mg
ヒドロキシプロピルセルロースM(HPC-M, Nissoより, 日本)92.00mg
無水コロイド状二酸化ケイ素1.00mg
ステアリン酸マグネシウム3.00mg
【0084】
比較例の製剤で製造した錠剤は、USPの放出試験で、12時間以内に有効成分の>80%の放出に達した。イヌでの実験では、不完全に溶解した錠剤および錠剤の残渣が糞便中に見られた。複数の錠剤の投与時に、接着および凝集があった。
【0085】
インビトロでの放出
本発明の製剤のインビトロでの放出を、米国薬局方(USP)のパドル試験で、シンク条件下で測定した。
図1は、様々なエモデプシド/プラジカンテル錠剤の結果を示す:
「小型」は、実施例1の錠剤を表す。
「中間」は、実施例2の錠剤を表す。
「大型」は、錠剤1個につきエモデプシド30mgおよびプラジカンテル150mgを含む大型の錠剤を表す。これらの錠剤は、実施例1および2のものと同じ割合の組成を有する。
測定条件:37℃、75rpm、pH3.0の水性媒体(リン酸水素二ナトリウム二水和物/クエン酸一水和物バッファー)、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム。放出媒体500mlを、小型および中間の錠剤に使用し、900mlを大型のものに使用した。
図1は、すべての錠剤で、1ないし5時間後に90%より多い放出に達することを示す。
【0086】
A. 生物学的サンプル
I. 薬物動態の研究
試験すべき医薬を、空腹のイヌに投与した。有効成分の血漿レベルを、様々な時点で測定した。
図2は、実施例2の錠剤の投与後の結果を示す。プラジカンテルとエモデプシドの両方で、特にエモデプシドで、顕著に遅延した血漿濃度の低下が見られる。
【0087】
II. メタミゾール錠剤製剤と、購入できる静脈内投与用液剤の比較
6匹のイヌ(体重9.9−11.1kg)を、3匹ずつの2つの群に分けた。1つの群は、購入できる注射製剤 Metapyrin(登録商標)の形態で、500mg/イヌの用量で、メタミゾール静脈内投与を受けた。第2の群は、実施例4の製剤の形態で、同様に500mg/イヌの投与量で、メタミゾールの経口投与を受けた。これらのイヌは、投与時に空腹であった。
図3は、投与後のメタミゾールの血漿レベルを示し、示したメタミゾール濃度[4−MAA+4−AA]は、2種の活性な主要な代謝物4−MAAおよび4−AAの血清濃度の合計から、これらの2種の代謝物の分子量を考慮して決定した計算値である。
【0088】
III. 1個または2個のメタミゾール錠剤の経口投与後の血漿濃度
図4は、1個または2個の実施例4のメタミゾール錠剤の経口投与後の、空腹のイヌの血清中の平均メタミゾール濃度[4−MAA+4−AA]を示す。血漿レベルは非常に良好に投与量と相関することが明らかである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1種の医薬有効成分
b.少なくとも17のK値のポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルピロリドン誘導体
c.少なくとも1種の賦形剤
を含む、遅延放出の固体医薬製剤。
【請求項2】
10ないし50重量%のポリビニルピロリドンを含む、請求項1に記載の固体医薬製剤。
【請求項3】
さらに崩壊剤を含む、請求項1または請求項2に記載の固体医薬製剤。
【請求項4】
崩壊剤を5%(m/m)までの量で含む、請求項3に記載の固体医薬製剤。
【請求項5】
デプシペプチドを含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の固体医薬製剤。
【請求項6】
エモデプシドを含む、請求項5に記載の固体医薬製剤。
【請求項7】
エモデプシドおよびプラジカンテルを含む、請求項6に記載の固体医薬製剤。
【請求項8】
鎮痛薬を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の固体医薬製剤。
【請求項9】
メタミゾールを含む、請求項8に記載の固体医薬製剤。
【請求項10】
大環状ラクトンを含む、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の固体医薬製剤。
【請求項11】
イベルメクチンを含む、請求項10に記載の固体医薬製剤。
【請求項12】
薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の固体医薬製剤。
【請求項13】
ブタホスファンを含む、請求項12に記載の固体医薬製剤。
【請求項14】
米国薬局方のパドル試験において、37℃および毎分75回転で、シンク条件下で、1ないし6時間以内に、有効成分の80%を放出することを特徴とする、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の固体医薬製剤。

【公表番号】特表2011−519878(P2011−519878A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507811(P2011−507811)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002951
【国際公開番号】WO2009/135593
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】