説明

遊具装置及び、遊具システム

【課題】ブロア等の空気送入手段を常に動作させる必要なく、複雑な形状の遊具を構成可能な遊具装置の提供。
【解決手段】内部に空気を充填することで弾力を保持する弾性遊具と、当該弾性遊具が配置される基体装置とを備えた遊具装置を前提とする。そして、本発明の遊具装置の弾性遊具は、弾性シートで形成され、内部に空気が気密に充填可能な複数の弾性ユニット110同士が連結して構成された遊具であり、空気流路が連通可能な連通孔114が弾性ユニット110に形成される。そして、当該連通孔114を介して各弾性ユニット110同士が連結される。更に、弾性ユニット110に空気を送入するための弁体112を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊具装置及び、遊具システムに関し、特に充填した空気が長時間漏れることの少ない遊具装置及び、遊具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
柔らかい部材を所定の箇所に設けた遊具装置は、子供達の人気があり、遊具装置としての需要が高い。遊具装置の製造業者は、上記柔らかい部材をスポンジやウレタン等の弾性部材を加工して形成することや、弾性シートを袋状に形成し、当該袋内に空気を充填することで形成することが多い。例えば、下記特許文献1には、所定の形状の弾性部材を設置する場合に、弾性シートをミシン等で所定形状に縫い、その開口端から、ブロア等で空気を送入して、弾性部材を弾力性のある状態にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示の技術のように、弾性シートをミシン等で縫いつけ、開口部から空気を注入する手法は本発明の技術分野ではよく用いられている。単純な袋状の弾性シートであると、複雑な形状の遊具に対応できず、大量生産をする必要がある遊具装置に適用する際には、ウレタンや、スポンジを所定の形状に加工するよりも効率的だからである。しかし、上記のように、ミシン等により縫製加工を行うと、当該ミシン目より多少の空気が漏れることになる。したがって、上記縫製加工による遊具装置の場合、時間の経過とともに、空気が排出されるので、部材に一定の弾力性を保つためには、ブロア等で空気を常時送入し続けなければならない。
【0005】
すなわち、ブロア等の空気送入手段を常に設置する必要があることから、上記空気送入手段の設置場所を確保することが上記の遊具装置の課題であった。上記空気送入手段を遊具装置内に設置し、外部から視認できないようにすることも可能であるが、遊具装置内に空気送入手段を配置する場所を確保する必要があることから、上記空気送入手段が不要な遊具装置が要請されていた。本発明の目的は、ある程度複雑な形状の遊具装置であっても、ブロア等の空気送入手段を常時設置することなく、加工が可能な遊具装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するための本発明は、内部に空気を充填することで弾力を保持する弾性遊具と、当該弾性遊具が配置される基体装置とを備えた遊具装置を前提とする。そして、本発明の遊具装置の弾性遊具は、弾性シートで形成され、内部に空気が気密に充填可能な複数の弾性ユニット同士が連結して構成された遊具であり、空気流路が連通可能な連通孔が弾性ユニットに形成される。そして、当該連通孔を介して各弾性ユニット同士が連結される。更に、弾性ユニットに空気を送入するための弁体を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、内部に空気を気密に充填可能な弾性ユニットが複数連結した弾性遊具を基体に配置することで遊具装置を構成する。従って、上記弾性ユニットの連結により、複雑な形状の遊具を構成できるので、ブロア等の空気送入手段を常に動作させる必要がない。すなわち、弾性ユニットに空気を送入するためにブロア等の空気送入手段を必要とするが、空気漏れのために常にブロアを動作させる必要がない。
【0008】
上記の構成において、基体装置が、中心軸を揃えて下部回転体と、上部回転体が積層した構成(回転基体)を採用することができる。下部回転体は、下部基板と、駆動モータとを備える。駆動モータは、下部基板の上面中央に配置され、上部回転体を回転駆動可能なモータである。そして、上部回転体が中心軸周りに回転可能な位置に、上部回転体を支持するキャスタが設けられる。当該キャスタは下部回転体上の所定円周上に設けられることが望ましい。
【0009】
更に以下のように中心軸から偏心して回転する基体装置(回転基体)を構成できる。すなわち、基体装置が、中心軸を揃えて下部回転体と、上部回転体が積層した構成を採用することができる。下部回転体は、下部基板と、駆動モータとを備える。駆動モータは、下部基板の上面中央に配置され、上部回転体を回転駆動可能なモータである。そして、駆動モータにより回転される回転軸にクランクが軸支され、上部回転体が中心軸周りに回転可能な位置に、上部回転体を支持するキャスタが設けられる。すなわち、回転基体とともに、弾性遊具が偏心して回転することになる。キャスタは、下部回転体上の所定円周上に設けられることが望ましい。
【0010】
上記の構成において、弾性遊具が、傾斜した状態で前記基体装置に配置される構成を採用することができる。回転基体に傾斜した状態で弾性遊具が配置されることで、簡単な構成により、複雑な回転を生じさせることが可能となる。
【0011】
上記の構成において、遊具装置に電力を供給するスリップリングを備えることで、遊具装置が回転しているとしても、遊具装置に備えたLED等の電気装飾部材に電力を供給することが可能となる。更に、駆動モータの回転軸に装着されて、回転軸の駆動トルクが予め定められた値以内になるように制御するトルクリミッタを備えてもよい。なお、上記弾性遊具が、ヨットを模した遊具とすることも可能である。弾性ユニットの弾力を柔らかくした座部用弾性ユニットを設けてもよい。
【0012】
基体装置に配置される弾性遊具は、限定されない。例えば、登り棒及び、回転遊具や、鉄棒、滑り台、ぶらんこ、ジャングルジム、うんてい、シーソー、ジャングルジムのような遊具及び、当該遊具の組み合わせを上記弾性ユニットの連結により構成しても構わない。
【0013】
上記構成の遊具装置を複数備えた遊具システムを構成することもできる。当該遊具システムの各遊具装置は、ユーザを撮影可能なカメラと、映像を映写可能なモニタとを弾性遊具に備える。そして、一の遊具装置で撮影した映像を他の遊具装置に送信し、当該他の遊具装置に備えたモニタに映写可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、内部に空気を充填することで弾力を保持する弾性遊具と、当該弾性遊具が配置される基体装置とを備えた遊具装置を前提とする。そして、本発明の遊具装置の弾性遊具は、弾性シートで形成され、内部に空気が気密に充填可能な複数の弾性ユニット同士が連結して構成された遊具であり、空気流路が連通可能な連通孔が弾性ユニットに形成される。そして、当該連通孔を介して各弾性ユニット同士が連結される。更に、弾性ユニットに空気を送入するための弁体を設けたことを特徴とする。
【0015】
上記の構成であれば、内部に空気を気密に充填可能な弾性ユニットが複数連結した弾性遊具を基体に配置することで遊具装置を構成する。従って、上記弾性ユニットの連結により、複雑な形状の遊具を構成できるので、ブロア等の空気送入手段を常に動作させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る遊具装置を上方から見たときの全体構成を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図5】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る遊具装置を複数備えた遊具システムの全体構成を示す概念図である。
【図7】本発明の実施形態に係る遊具装置が備える回転基体の全体構成を示す概念図である。
【図8】本発明の実施形態に係る遊具装置が備える基体装置(回転基体)の全体構成を示す概念図である。
【図9】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図10】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下に、本発明の遊具装置100について図面を参照して説明する。図1は、本発明の遊具装置100の全体構成を示す概略模式図であり、図2は本発明の遊具装置を上方から見たときの概略模式図であり、図3は、側面から見た図である。図4、図5は、本発明の別の実施例に係る遊具装置100の全体構成を示す概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、図3及び図5に記載した回転基体200(基体装置に相当する)についての説明は後述する。
【0018】
すなわち、図1に示すように、本発明の遊具装置100は、弾性シート等で弾性ユニット110を複数形成し、当該複数の弾性ユニット110同士を連結することで組み立てられる。まず、以下のようにして、当該弾性ユニット110を形成する。例えば、所定の弾性シートを溶着して筒状に形成し、上下の開放端を円形の弾性シートで溶着することで弾性ユニット110が形成される。なお、内部に空気が気密に充填可能な構成であれば、弾性ユニット110の製造方法は任意である。
【0019】
そして、上記弾性ユニット110を連結する場合、連結しようとする各弾性ユニット110の所定の箇所に孔(本発明の連通孔114に相当する)を開ける。形成した連通孔114同士を接触させるようにして(空気流路が連通すればよく必ずしも連通孔114同士を接触させる必要はない。)上記両弾性ユニット110を連結する。すなわち、上記連通孔114を介して、弾性ユニット110内に空気流路(例えば図2に示す矢印に相当する)が連通されることになる。したがって、外部から一の弾性ユニット110に空気が送入されると、空気流路が連通された複数の弾性ユニット110に空気を充填させることが可能となる。上記弾性ユニット110の連結部材(図示しない)として、接着テープを用いてもよいし、複数の弾性ユニット110同士を溶着させる構成を採用しても構わない。複数の弾性ユニット110を連結することで複雑な形状の遊具部材120(本発明の弾性遊具に相当する)を上記弾性ユニット110の集合体として構成することが可能となる。
【0020】
さらに、上記複数の弾性ユニット110の内、いずれかの弾性ユニット110に、外部から空気を送入するための空気送入口が設けられる。例えば、選択された一の弾性ユニット110の所定箇所に孔を形成し、当該孔に、空気送入口として弁体112を取り付ける。上記弁体112は、所定の方法で上記空気送入口を開閉可能であればその形状材質は問わない。本発明では、所定の金型を用いてプラスチック等で一体成型した弁体112を使用した。
【0021】
上記のように構成した遊具部材120を複数形成し、当該複数の遊具部材120の集合体として複雑な形状の遊具部材120(本発明の弾性遊具に相当する)を構成することも可能である。例えば、上記遊具部材120間には空気流路が連通しないように連結または独立させることで、一の遊具部材120に設けた弁体112から空気を送入すると独立した他の遊具部材120には空気が充填しないように構成することができる。上記のように構成することで、例えば一の遊具部材120が破損等して、空気の漏れが生じたとしても、破損した遊具部材120のみを交換又は修理すればよく、遊具装置100に備えた全ての遊具部材120を交換又は修理する必要がない。
【0022】
次に、上記遊具部材120を適用した遊具装置100の例を説明する。後述の回転基体200(本発明の基体装置に相当する)上に基板(図示しない)を配置する。本実施例では、ヨットを模した形状の遊具装置100を構成するため回転基体200に配置される基板をヨットの甲板形状を模した形状に加工する。本実施例では、矩形板の先端をテーパー状に加工し甲板形状の基板を構成した。
【0023】
上記のように、基板を回転基体200上に配置すると、当該基板上に、上記弾性ユニット110で構成された遊具部材120を配置する。本実施例では、上記基板の外周に沿って円柱形状に形成した弾性ユニット110を並べ、各弾性ユニット110を空気流路が連通するように連結した。そして、いずれか一の弾性ユニット110に空気送入口(弁体112)を設けて遊具部材120を構成した。
【0024】
上記のように、基板の外周に沿って設けた遊具部材120の側面側弾性ユニット110間に、座部用弾性ユニット110を配置する構成を採用してもよい。更に、当該座部用弾性ユニット110に充填される空気の量を調整することで、基板の外周に配置される弾性ユニット110と比較して柔らかくなるように構成することが望ましい。座部として使用する部材(座部用弾性ユニット110)を基板外周に配置される部材(弾性ユニット110)より柔らかく構成することで、当該座部用弾性ユニット110に座ったユーザが安定して遊戯をすることが可能となる。上記ヨットを模した遊具装置100に実際のヨットと同じようにポール140や帆142を配置することで実際のヨットをさらに模した遊具装置100を提供することが可能となる。
【0025】
次に図4及び図5を用いて、上記弾性ユニット110を備えた別の実施例に係る遊具装置100を説明する。本実施例の遊具装置100は、基体装置(後述の回転基体200)と、制御部格納装置160と、カメラ167及びモニタ166とを備える。制御部格納装置160、カメラ167及びモニタ166は、上記弾性ユニット110で構成した遊具部材120で被覆される構成を採用してもよい。
【0026】
上記モニタ166上方に、装飾体150を配置してもよい。例えば、図3に示す本発明の遊具装置100には、その上方に、いわゆるUFO型の装飾体150を配置した。上記制御部格納装置160上方に装飾体150としてリングを配置し、全体としてUFO型の装飾体を構成する。上記リングは弾性ユニット110を連結させることで形成してもよいし、リング形状の弾性ユニット110を形成しても構わない。更に、上記リングを配置するために支持体155を形成する。
【0027】
支持体155は、金属製の円柱を屈曲させて形成し、回転基体200上に立設させて構成することができる。そして、支持体155が上記装飾体150を支持する構成を採用することになる。上記の場合支持体155は、ウレタン等の弾性体で被覆されることになる。若しくは、弾性ユニット110で形成した円柱を屈曲させた状態で連結することで、支持体155を形成し、当該支持体155の一方端を上記回転基体200上面に立設する構成を採用してもよい。上記支持体155の他端は、リング(装飾体150に相当する)と結合させて、支持体155がリングを支持するように形成する。
【0028】
更に、上記リング中央にボール(図示しない)を配置する構成を採用することもできる。当該ボールは上記弾性ユニット110と同じように、弾性シートで形成することが望ましい。ウレタン等の弾性体で上記ボールを構成しても構わない。更に、上記ボール内が照明装飾体(例えばLED)により装飾される構成を採用しても構わない。
【0029】
更に、本実施の形態の遊具装置100に備える制御部格納装置160、カメラ167及びモニタ166を図5に示した。上記制御部格納装置160に格納される制御部は、モニタ166及びカメラ167を制御し、モニタ166に映るユーザの映像を遠隔地の遊具装置100に送信することが可能である。上記のように、互いの遊具装置100に備えたカメラ167に撮像された映像が送受信されることで、遠隔地のユーザ同士がコミュニケーション可能となる。したがって、本実施例の遊具装置100を複数備える遊具システム300(後述する)として構成することが可能となる。上記制御部格納装置160は、上部にモニタ166を配置可能であればその形状は任意であり、本実施例では、中空の円筒体を上記制御部格納装置160として使用した。
【0030】
上記のように、回転基体200に制御部格納装置160が配置されると、当該制御部格納装置160の上部にモニタ166とカメラ167が配置される。例えば、本実施例では、映像表示部が外部から視認可能なように、モニタ166を被覆し、上記制御部格納装置160上部に当該モニタ166を配置した。モニタ166は、上記弾性ユニット110を連結した遊具部材120で被覆することができる。若しくは、ウレタン等の弾性体や、強化プラスチック等で被覆されてもよい。ウレタン等の弾性体で被覆する場合、上記モニタ166の映像表示部を外部に曝した状態で被覆することになる。弾性ユニット110で被覆する際にも、上記モニタ166の映像表示部を外部に曝した状態で、モニタ周囲を弾性ユニット110又は弾性ユニット110で構成した遊具部材120で被覆することができる。
【0031】
更に、図5に示す実施の形態の遊具装置100は、当該装置100で遊戯するユーザ(幼児等の年少者を想定している。)を撮影可能なカメラ167を備える。例えば、上記制御部格納装置160上部に当該カメラ167を設けることが可能である。このとき、カメラ167の向きを遊具装置100及び、装置100近傍で遊具するユーザを撮影可能な方向にした状態で、上記制御部格納装置160に設定されることになる。
【0032】
図6は、本発明の遊具装置100を用いた遊具システム300の制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。本発明の遊具システム300の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305を内部バス306によって接続している。上記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、上記ROM302、HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305のデータや指示を授受し、各駆動部等の動作を制御する。そして、上記カメラ167の映像を遊具装置100に送受信するためのサーバ360を備え、ネットワーク351を介して上記データを送受信する構成となっている。
【0033】
(回転基体)
次に、本発明の遊具装置100に備える基体装置としての回転基体200について、図面を参照して説明する。図7及び図8は、回転基体の概念模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。上記回転基体200は、上部回転体210と、下部回転体130とを備える。上部回転体210は、円形状の基板であるが、回転に支障がなければ矩形や多角形形状であっても構わない。
【0034】
図8(A)に示すように、下部回転体220は中央歯車227と、当該中央歯車227を駆動する駆動モータ226と、キャスタ224とを備える。まず、下部回転体220の下部基板221(本発明では円形形状を採用したがその形状は任意である)を上面視したとき、中心となる位置に、中央歯車227を配置する。もちろん上記中央歯車227の回転軸と上記下部基板221の中心軸を一致させるように両者を固定した状態で配置する。そして、上記中央歯車227を回転駆動可能な位置に駆動モータ226を配置する。中央歯車227が駆動モータ226によって回転可能なように、中央歯車227と駆動モータ226の回転軸とに対してローラーチェーンが巻き掛けられ、当該駆動モータ226の回転軸が回転すると、上記ローラーチェーンを介して上記中央歯車227が回転するように構成してもよい。
【0035】
更に、上記下部回転体220には、上記中央歯車227及び駆動モータ226と同一面上に、複数のキャスタ224が配置される。キャスタ224は、当該キャスタ224の車輪部分を上にして下部回転体に配置される。上記複数のキャスタ224は、対向するキャスタ224が、下部回転体220の中心に関して対称となる位置に配置され、隣接するキャスタ224間が等間隔になるように配置する。
後述のように、上部回転体210及び、下部回転体220を組み合わせた場合、キャスタ224が上部回転体210に接触する位置に円環形状のレール(図示しない)を設けてもよい。キャスタ224は当該レールに接触しながら回転することで、当該キャスタ224の回転に応じて上部回転体210が回転することになる。従って、本発明では下部回転体220の上記各キャスタ224の車輪が上部回転体210を支持する構成となる。
【0036】
次に、上部回転体210と下部回転体220を組み合わせる。まず、上記キャスタ224、中央歯車227、駆動モータ226が配置された面を上にした状態で、下部回転体220を床面に配置する。そして、下部基板221、上部回転体210の中心が重なるように、上記下部回転体220の上に、上部回転体210を積層する。このとき、下部回転体220の中央歯車227が回転すると、上部回転体210が回転するように、上記中央歯車227を上部回転体210に嵌合することで、本発明の遊具装置100を構成する。なお、メンテナンスのために、上記中央歯車227が、上部回転体210に取り外し可能に嵌合されることが望ましい。上記上部回転体210の形状は、上記弾性ユニット110で構成された弾性遊具を取り付けることができる形状であればよく、矩形状、多角形状、円形状等多種の形状の基板を取り付けることができる。
【0037】
なお、上記駆動モータ226は図示しない制御部によって回転数が制御されるように構成されてもよい。制御部には、予め最適な回転数を記憶しており、当該回転数に基づいて上記駆動モータ226が回転駆動される構成が採用できる。駆動モータ226の作動をさせるためのスイッチ(図示せず)を回転基体200に設け、当該スイッチにより駆動モータ226の回転速度を制御可能となるように構成しても構わない。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1に使用した回転基体200の構成を以下のように構成することにより偏心して回転する遊具装置100を構成することが可能となる。なお、後述の偏心軸以外については実施の形態説明した遊具装置100と同じ構成を採用する。従って偏心軸以外の構成については図示及び説明を省力する。
【0039】
図8(B)及び、図8(C)に示すように、駆動モータ226の回転軸に後述の偏心軸を用いる。すなわち、図8(B)に示すように、駆動モータ226の回転軸に対して所定距離ずれた軸とを結ぶ柄からなる偏心軸(例えば、クランク228)を上記駆動モータ226に備えることで、当該駆動モータの回転軸を所定の範囲ずらすように構成することができる。
【0040】
すなわち、クランク112の一方端は駆動モータ226の回転軸と同じ軸上で回転し、クランク228の他端は、当該回転軸に対して偏心して回転することになる(回転軸がずれた状態で回転することを意味する)。もちろん、駆動モータ226の作動をさせるためのスイッチ(図示せず)が回転基体200に設けられることは言うまでもない。当該スイッチにより駆動モータ226の回転速度を制御可能となるように構成しても構わない。もちろん図8(B)に示す回転基体200は、上部回転体210と、下部回転体220とを備える。そして、上部回転体210は、円形状の基板であり、下部回転体220は、中央歯車227と、当該中央歯車227を駆動する駆動モータ226と、複数のキャスタ224とを備え、各キャスタ224が上部回転体210を支持することは言うまでもない。
【0041】
上記上部回転体210の自転を規制するための規制手段229を設けることもできる。当該規制手段229は、駆動モータ226が配置された下部基板221と、上部回転体210とを連結する弾性体(ゴムやバネ等が好適に用いられる)である。規制手段229は、上部回転体210の自転を規制するように構成できれば、その配置方法は任意である。本実施例では、図8(C)に示すように、上記下部基板221に配置された駆動モータ226近傍から、上部回転体210の下面に上記規制手段229を配置する構成を採用する。上記下部基板221から、垂直方向に上記規制手段229を配置する構成を採用してもよく、斜めに配置しても構わない。上記規制手段229により、上部回転体210が自転を規制されるので、当該上部回転体210は、揺動しながら上記駆動モータ226の回転軸を中心として回転することになる。
【0042】
(実施の形態3)
実施の形態2では、クランク228の一方端(他端は駆動モータ226の回転軸に取り付けられる)に上部回転体210を水平に取り付ける構成を採用した。これに対して、クランク228の上記一方端に、上部回転体210を傾斜させた状態で取り付ける構成を採用することができる。上部回転体210を傾斜して取り付ける構成以外については、上記実施の形態1及び2と同じであるので、説明及び図示を省略する。
【0043】
図9(A)に示すように、上部回転体210を水平に載置可能な支持体400を形成する。支持体400の上部又は、側面で上部回転体210を水平に支持可能であればその形状は任意であり、例えば、円柱、四角柱、三角柱等の支持体400が形成可能である。本実施例では、円柱状の支持体400を形成し、円柱の上面に所定の遊具基体420を載置し、当該遊具基体420上に遊具部材120を配置する構成を採用した。
【0044】
上記支持体400の上部回転体210を載置する部分が、水平面に対して傾斜した状態で、当該支持体400を駆動モータ226の回転軸に固定することができる。本実施例では、支持体400を傾斜状態で回転軸に固定するための一対の固定具410を上記支持体400の側面に取り付けて、上記遊具基体420を当該支持体400に固定した。支持体400の他端は、所定の部材を介して上記回転軸に固定した。なお、上記支持体400が上記回転軸に固定される代わりに、上記上部回転体210のいずれか所望の位置に取り付けられる構成を採用しても構わない。
【0045】
上記支持体400が所定の遊具基体420を載置し、当該遊具基体420上に遊具部材120を配置する構成を採用することで、遊具部材120を傾斜した状態で、上部回転体210上に配置することが可能となる。なお、駆動モータ226の回転軸は実施の形態1で使用した回転軸を使用してもよいし、実施の形態2で使用したクランク228を使用しても構わない。
【0046】
図10には、上部回転体210に傾斜板500を設けて、遊具部材120を傾斜した状態で当該上部回転体210上に配置する構成を示した。この場合も、駆動モータ226の回転軸は実施の形態1で使用した回転軸を使用してもよいし(図10(A)参照)、実施の形態2で使用したクランク228を使用しても構わない(図10(B)参照)。
【0047】
(その他)
上記回転基体200(以下、クランク228を設けた場合及び設けない場合を含めて説明する。)に備えた駆動モータ226の過負荷を保護する過負荷保護手段(例えば、トルクリミッタ)を上記駆動モータ226の回転軸又は、上記クランク228に取り付けてもよい。上述のように、駆動モータ226の上方には、ヨット等を模した遊具部材120(弾性遊具)が配置されるため、遊戯を望むユーザの体重分の荷重が当該駆動モータ226にかかることになる。所定以上の荷重が駆動モータ226にかかると、上記過負荷保護手段が、当該荷重を検知し、駆動モータ226を空回りさせる構成が採用できる。
【0048】
すなわち、例えば、駆動モータ226の出力軸(回転軸)と中央歯車227との間には過剰なトルクから駆動モータ226を保護するトルクリミッタと、回転トルクを検出するトルクセンサとが設けられる。なお、トルクセンサとしては、接触式のトルクセンサを用いてもよく、あるいはまた非接触式のトルクセンサを用いるようにしてもよい。上記トルクセンサによって検出されるトルクが予想範囲を超えた場合には、トルクリミッタにより、駆動モータ226からの回転動力が中央歯車227に伝達されないようになっている。
【0049】
更に、遊具装置100にスリップリング(図示しない)を設け、このスリップリングによって遊具装置100の電飾部材(例えば、装置外面に設けられるLEDリボン)に電力を供給するようにしてもよい。電力供給手段としてスリップリングを使用することで、遊具装置が回転しても、配線のねじれ等がなく、給電が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、内部に空気を充填することで弾力を保持する弾性遊具と、当該弾性遊具が配置される基体装置とを備えた遊具装置を前提とする。そして、本発明の遊具装置の弾性遊具は、弾性シートで形成され、内部に空気が気密に充填可能な複数の弾性ユニット同士が連結して構成された遊具であり、空気流路が連通可能な連通孔が弾性ユニットに形成される。そして、当該連通孔を介して各弾性ユニット同士が連結される。更に、弾性ユニットに空気を送入するための弁体を設けたことを特徴とする。従って、上記弾性ユニットの連結により、複雑な形状の遊具を構成できるので、本発明の遊具装置で遊具を構成すると、ブロア等の空気送入手段を常に動作させる必要がない。よって、複雑な形状の遊具装置を構成する際に、ブロア等の空気送入手段を不要とすることが可能となるので、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0051】
100 遊具装置
110 弾性ユニット
112 空気送入口(弁体)
114 連通孔
120 遊具部材
130 座部用弾性ユニット
150 装飾体
155 支持体
160 制御部格納装置
166 モニタ
167 カメラ
200 回転基体(基体装置)
210 上部回転体
220 下部回転体
224 キャスタ
226 駆動モータ
227 中央歯車
228 クランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気を充填することで弾力を保持する弾性遊具と、当該弾性遊具が配置される基体装置とを備えた遊具装置において、
前記弾性遊具が、
弾性シートで形成され、内部に空気が気密に充填可能な複数の弾性ユニット同士が連結して構成された遊具であって、
前記弾性ユニットに形成された、空気流路が連通可能な連通孔を介して前記各弾性ユニット同士が連結され、
前記弾性ユニットに空気を送入するための弁体を設けたことを特徴とする遊具装置。
【請求項2】
前記基体装置が、中心軸を揃えて下部回転体と、上部回転体を積層して構成され、
前記下部回転体が、
下部基板と、
前記下部基板上に配置され、前記上部回転体を回転駆動可能な駆動モータと、
前記中心軸周りに前記上部回転体が回転可能な位置に設けられ、前記上部回転体を支持するキャスタとを備える、請求項1に記載の遊具装置。
【請求項3】
前記基体装置が、中心軸を揃えて下部回転体と、上部回転体を積層して構成され、
前記下部回転体が、
下部基板と、
前記下部基板の上面中央に配置された前記上部回転体を回転駆動可能な駆動モータと、
前記駆動モータにより回転される回転軸に軸支されたクランクと、
前記中心軸周りに前記上部回転体が回転可能な位置に設けられ、前記上部回転体を支持するキャスタとを備え、
前記回転基体とともに、前記弾性遊具が偏心して回転する請求項1に記載の遊具装置。
【請求項4】
前記弾性遊具が、傾斜した状態で前記基体装置に配置される、請求項1から3いずれか一項に記載の遊具装置。
【請求項5】
前記遊具装置に電力を供給するスリップリングを更に備える、請求項1から4いずれか一項に記載の遊具装置。
【請求項6】
前記駆動モータの回転軸に装着されて、回転軸の駆動トルクが予め定められた値以内になるように制御するトルクリミッタを更に備える、請求項1から5いずれか一項に記載の遊具装置。
【請求項7】
前記弾性ユニットの弾力を柔らかくした座部用弾性ユニットを更に設けた請求項1から6いずれか一項に記載の遊具装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれか一項に記載の遊具装置を複数備えた遊具システムであって、
前記弾性遊具に、ユーザを撮影可能なカメラと、映像を映写可能なモニタとを備え、
一の遊具装置で撮影した映像を他の遊具装置に送信し、当該他の遊具装置に備えたモニタに映写可能な遊具システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−24338(P2012−24338A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165834(P2010−165834)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(301033639)ビーエルデーオリエンタル株式会社 (40)