遊戯装置及びこれに用いられるエアホッケー用パック
【課題】本発明の課題は、ゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すエアホッケーゲーム用遊戯装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲーム用遊戯装置であって、本体筐体部と、本体筐体部の内部に設けられた制御装置と、本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、プレイフィールド盤の長手方向両端部にパックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、本体筐体部から立設する支持体に支持され、プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタとを備え遊戯装置である。制御装置は、エアホッケーゲームの内容に応じて、ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する。
【解決手段】本発明は、パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲーム用遊戯装置であって、本体筐体部と、本体筐体部の内部に設けられた制御装置と、本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、プレイフィールド盤の長手方向両端部にパックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、本体筐体部から立設する支持体に支持され、プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタとを備え遊戯装置である。制御装置は、エアホッケーゲームの内容に応じて、ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯装置に関し、特に、遊戯者がエアホッケーゲームを行うための遊戯装置及び当該遊戯装置において使用するパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊戯者がマレットと呼ばれる打撃用の器具を用い、プレイフィールド盤上でプラスチック円盤のパックを打ち合い、相手のゴールに入れて得点を競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置が知られている。このような遊戯装置は、卓球台ほどの大きさのプレイフィールド盤を備え、このプレイフィールド盤に設けられた多数の小孔からエアーを噴出させて薄い空気の層を形成して、パックを浮上滑走させる。ゴール部分にはセンサが設けられ、遊戯装置は、センサによって滑走するパックが一方の遊戯者のゴールに入ったことを検知する。
【0003】
近年では、エアホッケーゲームに際してさまざまな演出効果を付与し、ゲームの興趣性を高めた遊戯装置も提案されている。
【0004】
下記特許文献1は、エアホッケー等の遊戯台装置でゲーム内容に即した演出を行う遊戯台装置を開示する。かかる遊戯台装置は、透明部材で構成された遊戯盤と、移動体の位置を検出する位置検出器と、遊戯盤を通して映像を表示する液晶ディスプレイ装置とを備え、位置検出器により検出された移動体の位置に応じてディスプレイ装置に所望の映像を表示する。ここで、位置検出器は、遊戯盤上に赤外線センサの光を格子状に配置し、これによってパック等の位置を追跡する。
【0005】
また、下記特許文献2は、エアホッケーゲームの演出効果に意外性を与えるテーブル型遊技装置を開示する。かかるテーブル型遊技装置は、プレイフィールド上方に透過型のフラットディスプレイ装置を配置し、このフラットディスプレイ装置に適宜画像を表示することによって、プレイフィールドを移動する移動体に対する視認性を変化させる。
【0006】
さらに、下記特許文献3は、エアホッケーゲーム機に使用されるパックを開示する。かかるパックは、中心にボス部が形成され、ボス部の外周面より半径方向に岐出して渦巻き状に湾曲したスポーク部と、スポーク部の外端部に一体的に結合されたリンク部とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-321554号公報
【特許文献2】特開2007-89608号公報
【特許文献3】特開2005-74120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エアホッケーゲームは、ルール及び遊戯動作が単純明快なため、子供から大人まで広く受け入れられている。しかしながら、エアホッケーゲーム用の遊戯装置の登場から長年が経過し、マーケットも成熟していることから、ユーザの興味を惹き付ける新たな遊戯装置が望まれる。このため、上述したように、エアホッケーゲーム用の遊戯装置のプレイフィールド盤に、演出効果を高めるための映像を表示させる種々の試みがなされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1のように、エアホッケー用のプレイフィールド盤の大きさに相当する大画面の液晶ディスプレイを用意することは、コスト高を招き、実用的ではない。また、いくつかの小型液晶ディスプレイを組み合わせて大画面を構成する場合には、ディスプレイ制御が複雑になり、やはりコスト高になる。
【0010】
また、特許文献2のように、プレイフィールド盤上に対向するようにディスプレイ装置を配置した場合、遊戯者の遊戯動作(即ち、マレットによる打撃動作)の邪魔になりかねない。また、エアホッケーゲームでは、中央のネット付近にパックが停止してしまうこともあるが、プレイフィールド盤上のディスプレイ装置は、そのような場合のパックの取り出しを困難にする。
【0011】
そこで、本発明は、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供し、また、プレイフィールド盤の表面近くに無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することを目的の一つとする。
【0012】
また、従来のエアホッケーゲーム用の遊戯装置おいて使用されるパックは、通常、不透過性の、特に、白色系のものが採用される。一方で、プロジェクタによって映像が投影されるスクリーンもまた、スクリーンゲインの比較的高い白色系のものが採用される。これらを考慮して、プロジェクタによってスクリーンとしてのプレイフィールド盤上に映像を投影することを想定した場合、従来のパックでは視認性が極端に低下する恐れがある。特に、パックはプレイフィールド盤上を高速滑走するので、視認性の低下は、映像による演出効果を期待する以前に、エアホッケーゲームへの興味を消失させる恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、プロジェクタによりプレイフィールド盤上に映像を投影する遊戯装置において、視認性の高いエアホッケーゲーム用パックを提供することを目的の一つとする。
【0014】
また、プロジェクタを用いた遊戯装置において、エアホッケーゲームの演出効果を高めるためには、プレイフィールド盤全体に投影される映像が、さまざまに変化することに加え、パックの挙動に連動させて変化することが望まれる。
【0015】
しかしながら、特許文献1のようにプレイフィールド盤上に格子状にセンサ光を配置したのでは、プロジェクタの照射光がセンサの感度に影響を与える恐れがある。加えて、このような方法によるパックの位置の追跡は、処理能力の高い制御装置が要求され、コスト高の要因となる。
【0016】
そこで、本発明は、プロジェクタによりプレイフィールド盤上に映像を投影する遊戯装置において、プレイフィールド盤上を滑走するパックの挙動を確実に検出し、これを映像に反映させることで、エアホッケーゲームの演出効果をさらに高めた遊戯装置を実用的なコストで提供することを目的の一つとする。
【0017】
加えて、本発明は、エアホッケーゲームの成熟したマーケットを活性化するため、新たな機構を取り入れた遊戯装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、以下の技術的特徴を含む。
【0019】
即ち、第1の観点に従う本発明は、パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置であって、本体筐体部と、前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、前記プレイフィールド盤の長手方向両端部に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、前記本体筐体部から立設する支持体と、前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え遊戯装置である。前記制御装置は、前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する。
【0020】
これにより、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができるようになる。また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材が配置されず、従って、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることがない。
【0021】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備えることが好ましい。
【0022】
これにより、側壁部分に衝突するパックの挙動検出することができるようになる。
【0023】
また、前記周壁部は、前記パックの衝突を受ける反発壁部と、前記反発壁部から前記プレイフィールド盤に沿って延出するフランジ部と、からなり、前記複数の光センサのそれぞれは、前記フランジ部に設けられることが好ましい。
【0024】
これにより、衝突検出センサに入り込むプロジェクタからの光を効果的に遮ることができ、従って、衝突検出センサの誤動作を防止することができるようになる。
【0025】
また、前記制御装置は、前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御することが好ましい。
【0026】
これにより、パックの挙動に応じたゲーム内容及びゲーム映像を提供することができ、さらなる演出効果によりエアホッケーゲームの興趣性が向上することになる。
【0027】
さらに、前記遊戯装置は、少なくとも1つのブロックを含むブロックゲーム機構をさらに備えることもできる。前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を塞ぐように配置され、かつ、前記パックが前記少なくとも1つのブロックの一部分に衝突することにより落下するように設置され、前記ブロックゲーム機構は、落下した前記少なくとも1つのブロックを元の位置に配置するためのブロック配置機構を含む。
【0028】
これにより、ブロックゲーム要素を取り入れた新たなエアホッケーゲームを提供することができるようになる。
【0029】
また、第2の観点に従う本発明は、エアホッケーゲームを行うための遊戯装置で使用されるエアホッケーゲーム用パックである。前記パックは、光透過性樹脂材料で円盤状に成型される。また、前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料であることが好ましい。さらに、前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成されることが好ましい。
【0030】
これにより、遊戯者は、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを、確実に認識できるようになる。
【0031】
また、前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合されることが好ましい。これにより、パックの挙動は光センサにより確実に捕捉されることになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、遊戯装置のプレイフィールド盤上にプロジェクタを設けているので、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供できるようになり、また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することができるようになる。
【0033】
また、本発明によれば、エアホッケーゲーム用パックの主要部分に光透過性着色蛍光材料が用いられているため、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、遊戯者は、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを認識することができるようになる。
【0034】
さらに、本発明によれば、プレイフィールド盤上を移動するパックの挙動に応じて、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与えるので、エアホッケーゲームの演出効果を高めることができるようになる。
【0035】
さらにまた、本発明は、ブロックゲーム要素とプロジェクタからプレイフィールド盤に投影されるゲーム映像とを融合させた新たなエアホッケーゲーム用遊戯装置を提供することができるようになる。
【0036】
本発明の他の技術的特徴及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の外観を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の部分断面図であって、ゴール部の内部機構を説明している。
【図5】図2に示した本体筐体部のV−V断面図である。
【図6】図5に示した本体筐体部の囲みVIーVIの拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る遊戯装置において使用されるパックの平面図である。
【図8】図7に示したパックの正面図である。
【図9】図7に示したパックのIX−IX断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。
【図11】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるメイン制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるステージ処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示された「BLACK」オブジェクトの一例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたパックオブジェクトの一例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたゲーム映像に対する映像エフェクト処理の一例を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の外観を示す全体斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のゴール部を説明するための部分断面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。
【図21】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の背面断面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の変形例を説明するための図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図27】本発明の第2の実施形態に係る遊戯装置のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。
【図28】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたゴールオブジェクトの一例を示す図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるブロック落下処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施形態]
【0039】
第1の実施形態では、プレイフィールド盤上にプロジェクタが設けられ、プロジェクタからゲームに関する映像をプレイフィールド盤に投影するように構成されたエアホッケーゲーム用遊戯装置が説明される。加えて、本実施形態では、このようなプロジェクタを備えたエアホッケーゲーム用遊戯装置において使用に好適なパックが説明される。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の外観を示す全体斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の平面図である。
【0041】
図1に示すように、遊戯装置1は、遊戯者がマレットと呼ばれる打撃用の器具を用い、プレイフィールド盤上でプラスチック円盤のパックを打ち合い、相手ゴールに入れて得点を競うエアホッケーゲーム(単に、「ゲーム」ということもある。)をプレイするためのものである。かかる遊戯装置1は、本体筐体部2と、本体筐体部2の上面に設けられたプレイフィールド盤3と、本体筐体部2上に組み上げられた支持体4と、支持体4に支持されたプロジェクタ5と、プロジェクタ5から出射される光を反射させて、その反射光をプレイフィール盤3上に投影するミラー6とを含んで構成される。また、同図では、プレイフィールド盤3上に、円盤状のパック11及びマレット12が示されている。なお、同図に示されていないが、本体筐体部2の長手方向、フィールド盤3の中央部には、防護ネットが横断して設けられる。
【0042】
本体筐体部2は、その内部に、エアホッケーゲーム全体の制御を司る制御装置100や吸入した空気をプレイフィールド盤3上に形成された多数の小孔31に送り込むための送風装置7、ゲームを行うために必要なコインが投入されたか否かを検出するコイン検出機構8等を収容する(図示せず)。制御装置100の構成及び処理については、図10以降で説明される。
【0043】
本体筐体部2上には、プレイフィールド盤3の外周部を取り囲む周壁部21が設けられ、長手方向両端部にゴール部22が相対向するように形成されている。周壁部21は、ゴール部22以外の部分に、衝突するパック11を跳ね返す反発壁部211(図6参照)を有する。
【0044】
ゴール部22は、プレイフィールド盤3上を滑走するパック11が進入する開口部22aを有する。パック11が開口部22aに進入すると、制御装置100は、そのゴール部22を守る遊戯者の相手方に得点が加算されるように、制御を行う。ゴール部22の下方には、開口部22aに進入したパックを取り出すための取り出し口22bが形成されている。
【0045】
本体筐体部2の長手方向、両側端部に沿って設けられた周壁部21の側壁部23には、複数の衝突検出センサ233(図2参照)が等間隔で設けられている。衝突検出センサ233間の距離は、パック11の直径及び反発壁部211から衝突検出センサ233のそれぞれまでの距離との関係で規定される。即ち、パック11が反発壁部211に接触した状態で、少なくとも1個で最大2個の衝突検出センサ233がパック11を検出するように、衝突検出センサ233は配置されている。例えば、パック11が2個の衝突検出センサ233のちょうど真ん中に位置する場合、それらの衝突検出センサ233がパック11の周縁部を検出する。センサ231は、典型的には、赤外線発光部及び受光部を有する光センサである。衝突検出センサ233が出力する検出信号は、制御装置100に出力される。
【0046】
本体筐体部2はまた、制御装置100の制御の下、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための音楽や音声、効果音等を出力するためのスピーカ9を内蔵する(図示せず)。
【0047】
プレイフィールド盤3は、パック11を浮上滑走させるためのフィールドであり、本体筐体部2の内部に設けられた送風装置8(図示せず)から空気を噴出させるための多数の小孔31を有する。ゲーム中、プレイフィールド盤3に形成された多数の小孔31から空気が噴出し、プレイフィールド盤3上に薄い空気の層が形成され、これによって、パック11とプレイフィールド盤3の表面との摩擦抵抗が低減するので、遊戯者は、パック11をマレット12で打撃することで、プレイフィールド盤3上を高速に滑走させることができる。
【0048】
また、プレイフィールド盤3は、プロジェクタ5から投影されるゲームに関する映像(以下、単に「映像」ということもある。)を映し出すプロジェクタスクリーンとしての役割も担う。このため、プレイフィールド盤3の表面色は、スクリーンゲインが高い白色系又はそれに近いものが採用される、これに限るものではない。
【0049】
支持体4は、プレイフィールド盤3の上方で、プロジェクタ5及びミラー6を支持するための構造体である。具体的には、支持体4は、本体筐体部2の両側部から立設する立設部41と、立設部41によって本体筐体部2の上方に支持される上枠42とからなる。
【0050】
プロジェクタ5は、制御装置100の制御の下、ゲームに関する映像をプレイフィールド盤3に投影するためのものである。本実施形態では、プロジェクタ5は、液晶型プロジェクタが採用されるが、これに限るものではなく、各種のものが採用されうる。プロジェクタ5は、その投影レンズ51からの光がミラー6に向くように、上枠42に略水平に固定されている。従って、プロジェクタ5から投影されるゲーム映像は、反転像である。このように、本実施形態では、プロジェクタ5から出射された光をプレイフィールド盤3に直接投影するのではなく、図3に示すように、ミラー6に反射させて、その反射光をプレイフィールド盤3に投影する。これにより、プロジェクタ5の投射距離を確保することができ、支持体4の高さを低く抑えることができ、遊戯装置1の大型化を回避できる。ミラー6は、角度調整機構61を介して支持されており、プロジェクタ5から投影されるゲーム映像が精確にプレイフィールド盤3に投影されるように調整可能に構成されている。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。
【0052】
即ち、同図に示されるように、ゴール部22は、プレイフィールド盤3とカバー221とによって形成された開口部22aを有している。開口部22aの幅は、周壁部21の反発壁211によって規定される。
【0053】
ゴール部22の内部には、開口部22aに連通し、開口部22aから取り込まれたパック11を下方の取り出し口22bに落下誘導するシュート222が形成されている。シュート222の途中には、ゴールセンサ223及びゲート224が形成されている。
【0054】
ゴールセンサ223は、シュート222を落下するパック11を検出するセンサであり、例えば、光センサが用いられる。ゴールセンサ223により出力された検出信号は、制御装置100に出力される。
【0055】
ゲート224は、パック11の排出を制御する電磁弁であり、制御棒224aが伸縮制御される。即ち、ゲート224は、ゲーム開始前は、制御装置100の制御の下、制御棒224aを伸張させて、パック11を掛止しておき、ゲームが開始されると、制御棒224aを後退させて、パック11の掛止を解除し、パック11を取り出し口22bに落下させる。また、ゲーム中は、ゲート224の制御棒224aは、後退しており、例えば、マッチポイントになった時点、又は所定の時間が経過した時点のように、次のゴールでゲームを終了させる場合には、伸張して、パック11の排出を阻止する。
【0056】
図5は、図2に示した本体筐体部2のV−V断面図であり、また、図6は、囲みVI−VIの拡大図である。
【0057】
これらの図に示されるように、側壁部23は、プレイフィールド盤3の両側端部に形成されている。側壁部23は、パック11の衝突を跳ね返す反発壁部211を含む。反発壁部211は、パック11との反発係数を考慮して、例えば、アルミ鋼材が用いられる。側壁部23における反射壁部211の上部には、プレイフィールド盤3に沿って平行に延出するフランジ231が反射壁部211と同様にアルミ鋼材等で形成され、セットバック空間232を形成している。プレイフィールド盤3とフランジ211aとの間隙長は、パック11の厚みより僅かに大きい。
【0058】
フランジ231には、本体筐体部2の長手方向、図2に示されたように、等間隔に衝突検出センサ233が埋め込まれている。衝突検出センサ233の受光面は、プレイフィールド盤3に対向しており、これにより、衝突検出センサ233は、パック11のセットバック空間232への進入(即ち、反発壁部211への衝突)を検出する。
【0059】
上述したように、本実施形態では、プロジェクタ5からのゲーム映像は、プレイフィールド盤3上に投影される。このような環境において、フランジ231は、セットバック空間232を形成することにより、衝突検出センサ233に入り込むプロジェクタ5からの光を効果的に遮ることができ、従って、プロジェクタ5からの光の影響による衝突検出センサ233の誤動作を防止することができるようになる。
【0060】
次に、以上のように構成された遊戯装置1において使用に適したパック11について、図7乃至図9を参照して、説明する。
【0061】
図7は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1において使用されるパック11の平面図であり、また、図8は、図7に示したパック11の正面図である。さらに、図9は、図7に示したパック11のIX−IX断面図である。
【0062】
これらの図を参照して、本実施形態のパック11は、円盤部111と、円盤部111の外周に嵌合された円環状の第1円環部112と、さらに、第1円環部の外周に嵌合された円環状の第2円環部113とからなり、これらが一体となって円盤形状を有している。
【0063】
円盤部111は、例えば、ポリカーボネートのような硬質熱可塑性樹脂材料からなり、パック11の主要な部分を占める構成要素である。円盤部111の材質はまた、光透過性材料が選択される。本実施形態では、円盤部11は、透明の樹脂材料に着色蛍光染料を固溶化させた着色蛍光樹脂材料からなる。着色蛍光樹脂材料としては、例えば、クリアーオレンジのものが選択される。これにより、本実施形態のパック11は、プロジェクタ5の光を受けて、鮮やかに蛍光発色することになり、遊戯者は、プレイフィールド盤3上で高速滑走するパック11を確実に視認できるようになる。
【0064】
円盤部111の中心部には、円環状の突出部114が形成され、外縁部にはリム部115が形成されている。また、突出部114とリム部115との間には、円盤部111の面から延出する複数の隆起部116が形成されている。隆起部116は、突出部114の外周面からリム部115に至るまで、半径方向に渦巻き状に放射するように形成されている。隆起部116は、プロジェクタ5から受ける光を適度に拡散させつつ反射するので、円盤部11の平坦部分と比較して、目立つようになる。特に、エアホッケーゲームでは、遊戯者は、自陣のゴール部22側に立ち、プレイフィールド盤3を見下ろすようにプレイするので、プレイフィールド盤3上方に配置されたプロジェクタ5からの光は、パック11に形成された隆起部116によって有効に拡散反射され遊戯者に届けられ、従って、パック11の視認性の向上に大きく寄与することになる。本実施形態では、隆起部116は、渦巻き状に形成されているが、特に、こだわるものではない。例えば、隆起部116は、突出部114から半径方向に直線的に放射するように形成されても良い。また、隆起部116は、円形や四角形などの形状物が、突出部114とリム部115との間に、配置されるものであっても良い。さらに、隆起部116の表面には、テーパ面等が設けられてもいても良い。
【0065】
第1円環部112もまた、例えば、ポリカーボネートのような硬質熱可塑性樹脂材料からなる。ただし、第1円環部112は、円盤部111とは異なり、光不透過性材料が選択される。これは、本実施形態では、ゴールセンサ223や衝突検出センサ233に光センサを採用しているため、パック11全体が光透過性材料で形成されると、これらのセンサによってパック11の挙動を検出しにくくなることを防止するためである。本実施形態では、第1円環部112は、黒色の樹脂材料が選択されているが、これに限るものではなく、表面を黒色の塗料で着色したものであっても良いし、また、黒以外の材料であっても良い。また、第1円環部の表面は、より高いコントラストを得るため、シボ加工されていることが好ましい。
【0066】
第2円環部113は、例えば、エラストマーのような軟質熱可塑性樹脂材料からなる。第2円環部113は、パック11の衝突時の衝撃に対して、硬質熱可塑性樹脂材料からなる円環部111及び第1円環部112を保護する役目を担っている。
【0067】
このように、本実施形態のパック11は、その大部分を占める円盤部111が光透過性の着色蛍光樹脂材料で形成されているので、プロジェクタ5の光を受けて、鮮やかに蛍光発色することになり、プレイフィールド盤3上でパック11がくっきりと目立つようになるとともに、装飾的・審美的効果も期待できる。特に、隆起部116がプロジェクタ5の光を適度に拡散するので、遊戯者は、プレイフィールド盤3上で高速滑走するパック11を確実に視認できるようになる。また、パック11は、光不透過性材料からなる第1円環部を有しているので、パック11の挙動を光センサ223及び233により確実に検出することができるようになる。
【0068】
次に、かかる遊戯装置1のハードウェア構成について説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。同図に示されるように、遊戯装置1の制御装置100には、プロジェクタ5等の各種のハードウェア機器やセンサ223等の電子部品が接続されている。
【0069】
制御装置100は、例えば、プロセッサ101、RAM102、ROM103、外部インターフェース104、バスアービタ105、グラフィックボード106、及びサウンドボード107等を含むシステム制御回路である。また、制御装置100は、プロセッサ101にクロック情報を供給するタイマーを含む(図示せず)。
【0070】
プロセッサ101は、RAM102上にロードされたプログラムに従って、所定の演算、制御を行うチップである。RAM102は、SRAM等の揮発性メモリであり、プロセッサ101のメインメモリとして機能する。RAM102はまた、例えば、ゲーム処理中、得点やタイマーカウンタ等のゲームに必要な各種のパラメータを記憶する。ROM103は、不揮発性メモリであり、本実施形態の遊戯装置1においてエアホッケーゲームを実現するために必要な各種のプログラム及び各種のデータを格納する。各種のデータは、例えば、音楽や音声、効果音等を再生するための音源データ及びプレイフィールド盤3上に表示される背景画やオブジェクト等からなるゲーム映像を作り出すための画像データである。画像データは、動画像(映像)及び静止画像(テキスト及びアイコン)を含む。ROM103に格納されたこれらのゲームプログラム及びデータは、プロセッサ101の制御の下、適宜、RAM102にロードされ、プロセッサ101による処理に供される。なお、ROM103に加えて、又はROM103に代えて、ハードディスク装置や書き換え可能な不揮発性メモリが用いられても良い。
【0071】
外部インターフェース104は、各種のハードウェア機器乃至は電子部品等を接続するためのインターフェース回路である。ここでは、送風装置7、コイン検出機構8、位置検出センサ223、ゴールセンサ233、及びゲート234が外部インターフェース104に接続されている。本実施形態では、プロジェクタ5及びスピーカ9は、既存のインターフェース規格を採用しているため、外部インターフェース104とは別の専用インターフェース(図示せず)に接続される。
【0072】
バスアービタ105は、制御装置100内のコンポーネントを接続するバスインターフェースを提供するチップ回路であり、コンポーネント間のデータ転送を調停する。
【0073】
グラフィックボード106は、3次元CG映像データを処理し、プロジェクタ5に出力するための映像信号を生成するチップである。グラフィックボード106は、プロセッサ101の制御の下、映像データに対して、所定の映像エフェクト処理を施す。例えば、グラフィックボード106は、映像画面の所定の位置に波紋アニメーションが表示されるように、映像データを処理する。また、グラフィックボード106は、映像画面上に、ゲームで使用される各種のオブジェクトが重畳表示されるように、映像データを処理する。グラフィックボード106によって生成された映像信号は、図示しないビデオインターフェースを介して、プロジェクタ5に出力される。プロジェクタ5は、入力された映像信号に基づいて、映像として出力する。
【0074】
オーディオボード107は、音楽や音声、効果音等を再生するための音源データを処理するチップである。オーディオボード107は、プロセッサ101の制御の下、オーディオデータにさまざまなオーディオエフェクトが施されるように、各種の演算も行うことができる。
【0075】
図11は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるメイン制御処理を説明するためのフローチャートである。かかる処理は、制御装置100のプロセッサ101がゲーム制御プログラムを実行することにより、実現される。
【0076】
制御装置100は、電源が投入されると、同図に示されるように、コインが投入されたか否かを判断する待機モードになる(STEP1101)。待機モードでは、制御装置100は、潜在遊戯者の興味を喚起するため、デモ映像及びオーディオを再生するための制御を行う。
【0077】
遊戯装置100は、コイン検知機構14によりコインが投入されたことを示す信号を受けると(STEP1101のYes)、ゲームを開始するために必要な初期化処理を行う(STEP1102)。例えば、制御装置100は、タイマーカウンタ及び得点カウンタをリセットする。また、制御装置100は、送風を開始するよう、送風装置7の電源をオンにするとともに、ゲート224を開いて、パック11を排出する。さらに、制御装置100は、ゲームのルール説明等を映像及び音声で案内するための制御を行う。また、第2の実施形態で説明されるように、遊戯装置1にブロックゲーム機構13が組み込まれているときには、当該ブロックゲーム機構13を初期化する。
【0078】
制御装置100は、初期化処理が終了すると、ゲーム処理を開始する(STEP1103)。ゲーム処理では、制御装置100は、ゲーム映像を表示するための制御を行う。また、制御装置100は、パック11がゴール部22に入ったか否かを監視するとともに、パック11の挙動に合わせて、ゲームの内容及びゲーム映像に変化を与えるための処理を行う。
【0079】
制御装置100は、得点が規定値に達してゲームセットになる等によりゲーム処理が終了すると、遊戯装置1を待機モードに移行させるための終了処理を行う(STEP1104)。終了処理では、制御装置100は、例えば、送風装置7の電源をオフにする。
【0080】
本実施形態の遊戯装置1は、ゲーム処理を実行中、エアホッケーゲームの演出効果を高めるため、ゲームの進行状況やパック11の挙動に応じて、プロジェクタ5からプレイフィールド盤3上に投影されるゲーム映像にさまざまな変化を与える制御を行う。例えば、ゲームの経過時間ごとにステージが予め定義され、各ステージが開始するごとに出現するギミックオブジェクトと呼ばれるゲーム内容やプレイに影響を与えるような「仕掛け」が用意される。ギミックオブジェクトは、プレイフィールド盤3上のゲーム映像内に重畳表示される。制御装置100は、プレイフィールド盤3上に表示されたギミックオブジェクトの位置と移動するパック11の位置との関係から、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与える。
【0081】
図12は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるステージ処理を説明するためのフローチャートである。
【0082】
即ち、同図に示されるように、制御装置100は、タイマーを監視し、ステージの開始時間に到達したか否かを監視する(STEP1201)。ステージは、ゲーム開始からの経過時間によって、いくつかに分かれている。例えば、ゲーム開始後30秒経過時から30秒ごとのタイムピリオドが第1ステージから第4ステージとして定義される。
【0083】
制御装置100は、いずれかのステージの開始時間に到達したと判断する場合には(STEP1202のYes)、当該ステージで使用するギミックオブジェクトを選択する(STEP1202)。選択可能なギミックオブジェクトは、例えば、ステージごとに異なっている。例えば、ステージが進むごとに選択可能なギミックオブジェクトの種類が増えるように、ギミックオブジェクトが用意されている。制御装置100は、選択可能なギミックオブジェクトを、例えば、ランダムに選択する。ただし、これに限るものではなく、制御装置100は、ギミックオブジェクトを順番に選択しても良い。また、ギミックオブジェクトは、1種類であっても良い。
【0084】
制御装置100は、ギミックオブジェクトを選択した後、選択したギミックオブジェクトをゲーム映像に重畳表示するための処理を行う(STEP1203)。制御装置100は、ギミックオブジェクトが、例えば、プレイフィールド盤3上(ゲーム画面上)を動き回るように、そのXY座標を算出し、表示処理を行う。
【0085】
制御装置100は、ギミックオブジェクトの表示処理の間、当該ステージの終了時間に到達したか否かを監視する(STEP1204)。制御装置100は、当該ステージの終了時間に到達したと判断する場合には(STEP1204のYes)、次のステージの開始時間に到達したか否かを監視するため、STEP1201に戻る。
【0086】
このようにして、制御装置100は、ステージの開始とともに、所定のギミックオブジェクトをプレイフィールド盤3上に表示する。本実施形態では、制御装置100は、ギミックオブジェクトを、側壁部23に沿って、移動表示するように制御する。側壁部23には、衝突検出センサ233が配列されており、制御装置100は、ギミックオブジェクトが表示された位置に対応する衝突検出センサ233から検出信号を受信すると、パック11がギミックオブジェクトにヒットしたと判断する。
【0087】
ギミックオブジェクトは、本実施形態では、例えば、「BLACK」、「DUMMY」、「POINT」、及び「TIME」の4種類が用意される。
【0088】
「BLACK」は、ゲーム映像の一部に黒色領域を生成するトリガとなるオブジェクトである。図13は、プレイフィールド盤3上に表示された「BLACK」オブジェクト201の一例を示す図である。プレイフィールド盤3上に表示された「BLACK」オブジェクト201にパック11がヒットすると、即ち、「BLACK」オブジェクト201の位置と、パック11の位置とが合わさると、制御装置100は、ゲーム映像に黒色領域が含まれるように、表示処理を行う。黒色領域は、例えば、物体のシルエットとして表現し、ゲーム画面内(プレイフィールド盤3上)を移動しても良い。図14は、プレイフィールド盤3上に表示された物体のシルエットの一例を示す図である。同図は、プレイフィールド盤3全体に表現された海中から水面を望む映像の中に、海中を泳ぐマンタのシルエット202を表現した様子を示している。パック11がシルエットを通過202すると、遊戯者にとって、パック11が見えにくくなる。このように、ゲーム映像内の黒色領域は、ゲーム映像の表現力を高めながら、プレイフィールド盤3上のパック11の視認性を低下させるため、ゲームの難易度を上げることができる。
【0089】
「DUMMY」は、ゲーム映像上にダミーのパックオブジェクトを生成するトリガとなるオブジェクトである。制御装置100は、「DUMMY」オブジェクトにパック11がヒットしたと判断すると、図15に示されるように、プレイフィールド盤3上にパックオブジェクト203を出現させ、あたかも本物のパック11がプレイフィールド盤3上を滑走するように、表示処理を行う。これによって、遊戯者は、ダミーのパックオブジェクト203によって、惑わされることになる。このように、ダミーのパックオブジェクト203は、本物のパック11の見極めを困難にするため、ゲームの難易度を上げることができる。
【0090】
「POINT」は、ゴール時の得点を増加させる処理のトリガとなるオブジェクトである。通常、エアホッケーゲームでは1ゴールにつき1得点が計上されるが、遊戯者間で大きく点数差が離れている場合などには、負けている遊戯者が追いつくには連続して得点をする必要があり、負けているプレイヤのやる気を削ぎかねない。制御装置100は「POINT」オブジェクトにパック11がヒットしたと判断したときに、所定の時間、「×2」という表示を行って、遊戯者に得点が倍増される旨を知らせるとともに、その間にゴールを検出した場合に、1ゴールにつき2得点を計上する。このように1ゴールにつき得られるポイント数を変化させることで、点数差が生じた場合であっても最後までゲームに伴う興奮を維持することができる。
【0091】
「TIME」は、ボーナスタイムを与えることでゲームのタイムアウト時間を延長するトリガとなるオブジェクトである。エアホッケーゲームでは、ゴールが決まらなければ、遊戯者は、延々と、遊戯装置1でゲームを続けることができてしまう。従って、通常、遊戯装置1は、いずれかの遊戯者の得点が規定値に到達してゲームセットにならなくても、所定の時間が経過した時点でタイムアウトとして、ゲームを強制終了させる。「TIME」オブジェクトは、遊戯者にボーナスタイムを期待させることができる。
【0092】
図16は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【0093】
同図に示されるように、制御装置100は、衝突検出センサ233のいずれかから検出信号を受信したか否かを判断する(STEP1601)。制御装置100は、衝突検出センサ233のいずれかから検出信号を受信したと判断すると(STEP1601のYes)、当該検出信号に基づいて該当する衝突検出センサ233を特定し、プレイフィールド盤3上の位置を算出する(STEP1602)。
【0094】
次に、制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在するか否かを判断する(STEP1603)。算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在する場合、パック11がギミックオブジェクトにヒットしたと判断されることになる。
【0095】
制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在しないと判断する場合(STEP1603のNo)、プレイフィールド盤3上の当該位置の映像に対して映像エフェクトが与えられるように表示処理する。例えば、制御装置100は、プレイフィールド盤3上の当該位置を中心に波紋アニメーションを表示するように処理する。これにより、パック11の挙動に応じて、プレイフィールド盤3上のゲーム映像が動的に変化し、遊戯者をより一層楽しませることができるようになる。
【0096】
一方、制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在すると判断する場合(STEP1603のNo)、ギミックオブジェクト及びプレイフィールド盤3上の当該位置の映像に対して映像エフェクトが与えられるように表示処理する。例えば、制御装置100は、図17に示すように、背景映像に波紋アニメーションを施しながら、ギミックオブジェクトについては、プレイフィールド盤3の外に追い出されるようなアニメーションを表示する。
【0097】
制御装置100は、続いて、ヒットしたギミックオブジェクトに応じた処理を行うシーケンスを起動(STEP1604)する。これにより、制御装置100は、起動したシーケンスに従って処理を行うことになる。
【0098】
即ち、上述したように、制御装置100は、パック11が「BLACK」オブジェクトにヒットしたと判断する場合、図14に示されるように、ゲーム画面内を物体のシルエットが移動するゲーム映像を、所定の時間、表示するように処理を行う。
【0099】
また、制御装置100は、パック11が「DUMMY」オブジェクトにヒットしたと判断する場合、図14に示されるように、ゲーム画面内をパックオブジェクトが移動するゲーム映像を、所定の時間、表示するように処理を行う。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、遊戯装置のプレイフィールド盤上にプロジェクタを設けているので、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供でき、また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することができるようになる。
【0101】
また、本実施形態によれば、エアホッケーゲーム用パックの主要部分に光透過性着色蛍光材料が用いられているため、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、遊戯者は、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを認識することができるようになる。
【0102】
さらに、本実施形態によれば、プレイフィールド盤上を移動するパックの挙動に応じて、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与えるので、エアホッケーゲームの演出効果を高めることができるようになる。
[第2の実施形態]
【0103】
第2の実施形態では、ブロックゲーム要素を取り入れたエアホッケーゲーム用遊戯装置が説明される。特に、本実施形態では、ブロックゲーム要素とプロジェクタからプレイフィールド盤に投影されるゲーム映像とを融合させた新たなエアホッケーゲーム用遊戯装置を提案している。
【0104】
図18は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の外観を示す全体斜視図である。本実施形態の遊戯装置1は、ゴール部22の内部にブロックゲーム機構13を備える。同図では、ゴール部22の開口部22aに整列配置されたブロックゲーム機構13のブロック131の一部が示されている。本実施形態の遊戯装置1の外観的構成は、ブロック上述した第1の実施形態の遊戯装置のものと同じであるため、説明を省略する。
【0105】
図19は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のゴール部22を説明するための部分断面図である。
【0106】
同図(A)は、ゲーム開始直後のゴール部22の開口部22a内の様子を示している。即ち、ゲーム開始直後は、開口部22a内には、10個のブロック131が、開口部22aを横断的に塞ぐように、整列配置されている。ブロック131は、パック11が衝突すると、その衝撃力で後方に押し出され、ゴール部22の内部に落下するように、設置されている。ブロック131の耐衝撃力は、例えば、滑走するパック11の1回の衝突により落下するように、ブロック131の重量等を勘案して、設定されることが好ましい。ただし、複数回の衝突に耐えるように、耐衝撃力が設定されても良い。
【0107】
同図(B)は、パック11の衝突により、いくつかのブロック131が落下したときの開口部22a内の様子を示している。この状態において、パック11が、ブロック131が配置されていない領域に進入すると、ゴール部22内のシュート222に取り込まれ、ゴール(相手方の得点)になる。
【0108】
図20は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。同図に示されるように、本実施形態のゴール部22は、開口部22aの近傍で、かつ、カバー221によって覆われる位置にブロックゲーム機構13が設けられている。カバー221の下方にブロック機構を設けることで、遊戯者の指がブロックゲーム機構に接触することを防ぐことができる。なお、図中、2点鎖線で示されるブロック131は、パック11の衝突により落下したブロックのポジションを表している。その他の構成については、第1の実施形態のものと同じであるため、説明を省略する。
【0109】
図21は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の背面断面図である。同図は、ブロックゲーム機構13内に設けられた複数のブロック131が、対応するカム135によって順番に押し上げられながら、再配置されている様子を示している。また、同図下方には、便宜上、そのときのカム135の回転角が示されている。
【0110】
即ち、同図に示されるように、ブロックゲーム機構13は、その筐体130の内部に、横断方向に配列された複数のブロック131を含み、これらは、上下方向に移動自在に設けられている。本実施形態では、10個のブロック131が設けられている。
【0111】
ブロックゲーム機構13の筐体130の一方端部には、制御装置100によって制御されるDCモータ132が取り付けられ、DCモータ132のモータ軸132aには、カップリング133を介して、シャフト134の一端部が連結されている。カップリング133は、シャフト軸134の軸ぶれを緩衝する既知のコンポーネントである。シャフト134は、軸方向に所定の間隔で配置されたベアリング軸受け(図示せず)により、軸支されている。DCモータ132は、トルクリミット機構を備えており、ブロック131の押し上げ時に、異物の挟み込み等を原因とする異状動作(エラー)を検出し、トルクを遮断する。
【0112】
シャフト134には、ブロック131のそれぞれを押動するためのカム135が、軸回りに角度的にオフセットされて、固着されている。これは、一度に全てのブロック131を押し上げると、ブロック131の重みによりモータ132に過度の負荷がかかるため、持ち上げられるブロック131をいくつかに制限するためである。本実施形態では、カム135間のオフセット角は、10度である。従って、10個のカム135は、0〜180まで10度ごとにオフセットされて設けられている。カム135の先端部には、ブロック131の底面に当接した際の摩擦力を軽減するためのローラ136が軸支されている。シャフト134の反対端には、リセット機構を構成するリセットカム137が固着されている。
【0113】
また、ブロックゲーム機構13の筐体130の内部床板には、位置決めセンサ138が設けられている。位置決めセンサ138は、シャフト134の回転位置を検出する光センサである。即ち、シャフト134の軸回転に伴って、カム135の先端部に設けられたローラ136は回動し、位置決めセンサ138の光軸を横断する。これにより、制御装置100は、シャフト136の回転位置を検出することができる。本実施形態では、位置決めセンサ138は、図中、右端に示されたブロック131のカム135の位置を監視する。
【0114】
さらに、ブロックゲーム機構13の筐体130の側壁間には、係止軸139が軸架されている。係止軸139は、カム135によって押し上げられたブロック131を係止する働きを有する。後述するように、係止軸139は、シャフト134の回転によるリセットカム136のカム動作に従って、0〜90度の範囲で回動するように、構成されている。
【0115】
図22及び図23は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の側断面図であり、これらの図は、ブロックゲーム機構13におけるブロック配列機構を説明している。
【0116】
同図に示されるように、ブロック131は、筐体130の背面壁から水平方向に延出する掛止ピン140により、上下方向に移動自在に、掛止されている。即ち、ブロック131の背面には、溝(図示せず)が形成されており、掛止ピン140は、当該溝に緩挿されている。ブロック131が最低位に位置する場合に、掛止ピン140は、ブロック131を掛止する。
【0117】
ブロック131は、ヘッド部1311と、ヘッド部1311に一体的に連結されたボディ部1312とからなる。ヘッド部1311は、筐体130の上部から突出することで、プレイフィールド盤3の面上から突出し、パック11の衝突を受ける部分である。ヘッド部1311の前面下端部には、係止面1311aが形成され、また、背面上端部には、第1テーパ面1311bが形成されている。ボディ部1312は、ローラ136に当接され、ヘッド部1311を持ち上げるための部分である。ボディ部1312背面のヘッド部1311と連結された部分には、第2テーパ面1312aが形成されている。また、ボディ部1312の前面には、凹部1312bが形成されている。
【0118】
筐体130の上部には、筐体130の側壁間に軸架された係止軸139が設けられている。係止軸139の円周方向の一部には、軸方向に沿って、面取りされた逃げ面139aが形成されており、当該逃げ面139aに対して直角に係止面139bが形成されている。係止軸139が90度回動した状態で、係止面139bは上方を向き、図23に示されるように、押し上げられたブロック131の係止面1311aを係止する。このとき、ブロック131のヘッド部1311は、開口部22aの一部を塞ぐことになる。
【0119】
筐体130には、また、落下検出センサ141が取り付けられている。落下検出センサ141は、ブロック131の落下を検出する光センサである。即ち、ブロック131が係止軸139の係止面139aに係止された状態では、落下検出センサ141は、ブロック131の凹部1312bに進入し、この結果、落下検出センサ141の光軸は、ブロック131の凹部1312bの壁に遮られている(図23参照)。そして、パック11の衝突により係止面139a及び係止面1311aとの係止が解除されると、ブロック131は落下し、落下検出センサ141の光軸は遮蔽されないので、これによって、ブロック131の落下が検出されることになる。
【0120】
上述したように、シャフト134の回転によりカム135が回転すると、ローラ136は、ボディ部1312の下面に当接しながら、ブロック131を押し上げる。カム135の回転に伴い、ブロック131が押し上げられると、ヘッド部1311の第2テーパ面1312aが、筐体130のガイド130aに当接し、これによって、前方(図中、左側)に押し出される。カム135のさらなる回転により、ブロック131が完全に押し上げられると、ブロック131は、完全に前方に押し出される。このとき、係止軸139は、90度回動した位置まで回動して停止しており、前方に押し出されてきたブロック131の係止面1311aは、係止軸139の係止面139aに係止される(図23参照)。この結果、ゴール部22の開口部22aには、ブロック131が配置されることになる。
【0121】
また、ブロック131は、パック11の衝突により、ゴール部22の内部に落下する。しかしながら、パック11からの衝撃力が大きい場合、ブロック131は、ガイド130aに衝突、反射して落下しないことも想定される。このような意図しないブロック131の動作を抑制するために、図24(A)乃至(C)に示されるように、掛止ピン140にバネ142が緩挿されており、ブロック131が、バネ押え143を介して、前方に弾性的に支持されても良い。バネ押え143は、ブロック131の上下動に合わせて、ブロック131背面を摺動する。これにより、パック11が、ブロック131のヘッド部1311に強く衝突した場合であっても、バネ142の付勢力によって、ガイド130aへの衝突が緩和され、ブロック131は、確実に落下するようになる。
【0122】
図25及び図26は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の側断面図であり、同図は、ブロックゲーム機構13のリセット機構を説明している。
【0123】
即ち、同図には、シャフト134の他端部に取り付けられたリセットカム137が示されている。リセットカム137は、上下動自在に支持されたリンクロッド144を介して、アッパーカム145に連結されている。
【0124】
リセットカム137は、切欠部137aを有する。切欠部137aは、リセットカム137の全円周の1/4に相当する。また、切欠部1371の一端部は、ガイドローラ146の転動を容易にするため、面取りされている。リセットカム137の外周面には、リンクロッド144の一端部に軸支されたガイドローラ146が当接している。ガイドローラ146は、リセットカム137の回転により、リセットカム137の外周面に沿って転動する。また、リンクロッド144の一端部にはまた、弾性部材147が設けられ、リンクロッド144に対して下方への引張弾性力を与えている。従って、リセットカム137の回転に伴って、ガイドローラ146は、リセットカム137の外周面上を確実に接触しながら転動し、これにより、リンクロッド144は上下動することになる。
【0125】
アッパーカム145は、リンクロッド144の上下動に対応して0〜90度の範囲で回動する。アッパーカム145は、係止軸139に、軸を同じにして取り付けられている。従って、リンクロッド144の上下動に対応するアッパーカム145の回動運動は、係止軸139に伝達されることになる。これにより、係止軸139は、アッパーカム145の回動運動に合わせて、係止面139aが0〜90度の範囲で回動する。
【0126】
リンクロッド144のガイドローラ146が、図25に示されるように、リセットカム137の切欠部137a内にある場合、リンクロッド144の作動端は、最低地点にある。このときのシャフト134の回転角を0度とし、リセット位置とする。リセット位置では、後述するように、全てのブロック131は落下した状態にある。リセットカム137が矢印の方向に回転し始めると、リセットカム137の切欠部137aの面に沿ってリンクロッド144が徐々に押し上げられ、90度回転した時点で、図26に示すされるように、リンクロッド144の作動端は最高地点に到達する。この状態は、リセットカム137がさらに270度回転するまで維持される。リセットカム137がさらに270度回転すると、ガイドローラ146が切欠部137aに到達するため、弾性部材147の引張弾性力により、リンクロッド144は、下降する。
【0127】
本実施形態では、シャフト134の1回転の間において、上述したカム135によるブロック131の押し上げ動作に同期して、リセットカム137による係止軸139の回動動作が行われる。即ち、シャフト134の回転角が0度(リセット位置)のとき、係止軸139の係止面139aは、全てのブロック131の係止を解除し、また、いずれのカム135のローラ136もブロック131から離れた位置にある。
【0128】
シャフト134の回転によりカム135が回転すると、ローラ136は、ボディ部1312の下面に当接しながら、ブロック131を押し上げる。また、これに同期して、リセットカム137は回転するので、係止軸139は回動し、係止面139aが水平状態に近づいてくる。シャフト134が略90度回転したとき、係止面139aは水平状態になり、ローラ136によって押し上げられてきた1個目のブロック131は、係止面139aに係止される。シャフト134が、この状態からさらに略180度回転する間、係止面139aは水平状態を保つ一方、残りの9個のブロック131はローラ136によってそれぞれ押し上げられ、順次、係止面139aに係止されることになる。また、シャフト134が360度回転すると、リセット位置に戻るので、係止面139aに係止されているブロック131は、係止面139aの係止が解除され、落下する。
【0129】
図27は、本発明の第2の実施形態に係る遊戯装置1のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。本実施形態の遊戯装置1のハードウェア構成は、ブロックゲーム機構13が追加されている点を除いて、第1の実施形態のものと同じである。
【0130】
制御装置100は、プロセッサ101の制御の下、ブロックゲーム機構13を駆動して、ゴール部22にブロック131を整列配置するとともに、ブロック131の配置状態をゲーム映像に重畳表示するための処理を行う。特に、制御装置100は、ブロックゲーム機構13に設けられた落下検出センサ141から出力される検出信号に基づいて、ブロック131の落下を検出し、落下したブロック131に対応するブロックオブジェクトをゲーム映像から消滅させる処理を行う。このように、本実施形態では、ゴール部22内のブロック131のそれぞれの配置状況と、プレイフィールド盤3上のブロックオブジェクトのそれぞれの表示とを連動させている。遊戯者は、自身のゴール部22内に配置されたブロック131を直接的に視認することはできないが、ブロック131が落下した位置を、プレイフィールド盤3上に表示されたブロックオブジェクトの有無で、容易に把握することができる。
【0131】
ゲーム開始時、制御装置100は、初期化処理において(図11参照)、ブロック131を全て落下させるために、ブロックゲーム機構13のDCモータ132を制御して、シャフト134をリセット位置まで回転させる。続いて、制御装置100は、全てのブロック131をゴール部22の開口部22a内に配置するために、ブロックゲーム機構13を制御して、シャフト134を回転させる。制御装置100は、全てのブロック131をゴール部22の開口部22a内に配置すると、図28に示されるように、ブロック131のそれぞれに対応するブロックオブジェクト204をゴール部22の前に表示する。ブロックオブジェクト204は、自陣ゴールと敵陣ゴールとで、色分けしてもよい。
【0132】
図29は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるブロック落下処理を説明するためのフローチャートである。
【0133】
同図に示されるように、制御装置100は、落下検出センサ141のいずれかから検出信号を受信したか否かを判断する(STEP2901)。制御装置100は、落下検出センサ241のいずれかから検出信号を受信したと判断すると(STEP2901のYes)、当該検出信号に基づいて該当する落下検出センサ233を特定し、落下したブロック131の配列位置を特定する(STEP2902)。制御装置100は、続いて、落下したブロック131の配列位置に対応してプレイフィールド盤3上に表示されているブロックオブジェクト204を消去する(STEP2903)。
【0134】
このように、ブロック131が落下するごとに、プレイフィールド盤3上に表示されている対応するブロックオブジェクト204は消滅していくことになる。遊戯者は、敵陣のゴール部22にあるブロック131は、直接視認することができるが、自陣のゴール部22にあるブロック131は、直接視認することができない。従って、プレイフィールド盤3上には、ゴール部22内に残っているブロック131に対応したブロックオブジェクト204が表示されているので、遊戯者は、自陣のゴール部22に残っているブロック131を認識することができるようになる。
【0135】
また、遊戯装置1は、制御装置100の制御の下、ブロックゲーム機構13を用いて、遊戯者にハンディキャップを与えることもできる。例えば、一方の遊戯者側のゴール部22内にブロック131を配置し、他方の遊戯者側のゴール部22にはブロック131を配置しない。具体的には、制御装置1は、一方の遊戯者側のブロックゲーム機構13を制御して、ゴール部22内にブロック131を配置する一方、他方の遊戯者側のブロックゲーム機構13については、ブロックのリセットをした後、停止するように制御する。これにより、ゲーム開始時、他方の遊戯者側のゴール部22には、ブロック131が配置されないので、一方の遊戯者は、得点しやすくなる。
【0136】
さらに、遊戯装置1は、制御装置100の制御の下、ブロックオブジェクト204の表示に加えて、第1の実施形態で説明されたギミックオブジェクトを表示してもよい。これにより、多彩なエアホッケーゲームが提供されることになる。
【0137】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、エアホッケーゲームを行うための遊戯装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1…遊戯装置;
2…本体筐体部;
21…周壁部、211…反発壁部;
22…ゴール部、22a…開口部、22b…取り出し口;
221…カバー、222…シュート、223…ゴールセンサ、224…ゲート(電磁弁);
23…側壁部、231…フランジ、232…セットバック空間、233…衝突検出センサ、234…カバー;
3…プレイフィールド盤;
31…小孔;
4…支持体;
41…立設部、42…上枠;
5…プロジェクタ;
51…投影レンズ;
6…ミラー;
61…角度調整機構;
11…パック;
111…円盤部、112…第1円環部、113…第2円環部、114…突出部、115…リム部、116…隆起部;
12…マレット;
100…制御装置100;
101…プロセッサ、102…RAM、103…ROM、104…外部インターフェース、105…バスアービタ、106…グラフィックボード、107…サウンドボード;
13…ブロックゲーム機構
130…筐体、131…ブロック、132…DCモータ、133…カップリング、134…シャフト、135…カム、136…ローラ、137…リセットカム、138…位置決めセンサ、139…係止軸、140…掛止ピン、141…落下検出センサ、142…バネ、143…バネ押え、144…リンクロッド、145…アッパーカム、146…ガイドローラ、147…弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯装置に関し、特に、遊戯者がエアホッケーゲームを行うための遊戯装置及び当該遊戯装置において使用するパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊戯者がマレットと呼ばれる打撃用の器具を用い、プレイフィールド盤上でプラスチック円盤のパックを打ち合い、相手のゴールに入れて得点を競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置が知られている。このような遊戯装置は、卓球台ほどの大きさのプレイフィールド盤を備え、このプレイフィールド盤に設けられた多数の小孔からエアーを噴出させて薄い空気の層を形成して、パックを浮上滑走させる。ゴール部分にはセンサが設けられ、遊戯装置は、センサによって滑走するパックが一方の遊戯者のゴールに入ったことを検知する。
【0003】
近年では、エアホッケーゲームに際してさまざまな演出効果を付与し、ゲームの興趣性を高めた遊戯装置も提案されている。
【0004】
下記特許文献1は、エアホッケー等の遊戯台装置でゲーム内容に即した演出を行う遊戯台装置を開示する。かかる遊戯台装置は、透明部材で構成された遊戯盤と、移動体の位置を検出する位置検出器と、遊戯盤を通して映像を表示する液晶ディスプレイ装置とを備え、位置検出器により検出された移動体の位置に応じてディスプレイ装置に所望の映像を表示する。ここで、位置検出器は、遊戯盤上に赤外線センサの光を格子状に配置し、これによってパック等の位置を追跡する。
【0005】
また、下記特許文献2は、エアホッケーゲームの演出効果に意外性を与えるテーブル型遊技装置を開示する。かかるテーブル型遊技装置は、プレイフィールド上方に透過型のフラットディスプレイ装置を配置し、このフラットディスプレイ装置に適宜画像を表示することによって、プレイフィールドを移動する移動体に対する視認性を変化させる。
【0006】
さらに、下記特許文献3は、エアホッケーゲーム機に使用されるパックを開示する。かかるパックは、中心にボス部が形成され、ボス部の外周面より半径方向に岐出して渦巻き状に湾曲したスポーク部と、スポーク部の外端部に一体的に結合されたリンク部とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-321554号公報
【特許文献2】特開2007-89608号公報
【特許文献3】特開2005-74120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エアホッケーゲームは、ルール及び遊戯動作が単純明快なため、子供から大人まで広く受け入れられている。しかしながら、エアホッケーゲーム用の遊戯装置の登場から長年が経過し、マーケットも成熟していることから、ユーザの興味を惹き付ける新たな遊戯装置が望まれる。このため、上述したように、エアホッケーゲーム用の遊戯装置のプレイフィールド盤に、演出効果を高めるための映像を表示させる種々の試みがなされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1のように、エアホッケー用のプレイフィールド盤の大きさに相当する大画面の液晶ディスプレイを用意することは、コスト高を招き、実用的ではない。また、いくつかの小型液晶ディスプレイを組み合わせて大画面を構成する場合には、ディスプレイ制御が複雑になり、やはりコスト高になる。
【0010】
また、特許文献2のように、プレイフィールド盤上に対向するようにディスプレイ装置を配置した場合、遊戯者の遊戯動作(即ち、マレットによる打撃動作)の邪魔になりかねない。また、エアホッケーゲームでは、中央のネット付近にパックが停止してしまうこともあるが、プレイフィールド盤上のディスプレイ装置は、そのような場合のパックの取り出しを困難にする。
【0011】
そこで、本発明は、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供し、また、プレイフィールド盤の表面近くに無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することを目的の一つとする。
【0012】
また、従来のエアホッケーゲーム用の遊戯装置おいて使用されるパックは、通常、不透過性の、特に、白色系のものが採用される。一方で、プロジェクタによって映像が投影されるスクリーンもまた、スクリーンゲインの比較的高い白色系のものが採用される。これらを考慮して、プロジェクタによってスクリーンとしてのプレイフィールド盤上に映像を投影することを想定した場合、従来のパックでは視認性が極端に低下する恐れがある。特に、パックはプレイフィールド盤上を高速滑走するので、視認性の低下は、映像による演出効果を期待する以前に、エアホッケーゲームへの興味を消失させる恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、プロジェクタによりプレイフィールド盤上に映像を投影する遊戯装置において、視認性の高いエアホッケーゲーム用パックを提供することを目的の一つとする。
【0014】
また、プロジェクタを用いた遊戯装置において、エアホッケーゲームの演出効果を高めるためには、プレイフィールド盤全体に投影される映像が、さまざまに変化することに加え、パックの挙動に連動させて変化することが望まれる。
【0015】
しかしながら、特許文献1のようにプレイフィールド盤上に格子状にセンサ光を配置したのでは、プロジェクタの照射光がセンサの感度に影響を与える恐れがある。加えて、このような方法によるパックの位置の追跡は、処理能力の高い制御装置が要求され、コスト高の要因となる。
【0016】
そこで、本発明は、プロジェクタによりプレイフィールド盤上に映像を投影する遊戯装置において、プレイフィールド盤上を滑走するパックの挙動を確実に検出し、これを映像に反映させることで、エアホッケーゲームの演出効果をさらに高めた遊戯装置を実用的なコストで提供することを目的の一つとする。
【0017】
加えて、本発明は、エアホッケーゲームの成熟したマーケットを活性化するため、新たな機構を取り入れた遊戯装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、以下の技術的特徴を含む。
【0019】
即ち、第1の観点に従う本発明は、パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置であって、本体筐体部と、前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、前記プレイフィールド盤の長手方向両端部に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、前記本体筐体部から立設する支持体と、前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え遊戯装置である。前記制御装置は、前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する。
【0020】
これにより、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができるようになる。また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材が配置されず、従って、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることがない。
【0021】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備えることが好ましい。
【0022】
これにより、側壁部分に衝突するパックの挙動検出することができるようになる。
【0023】
また、前記周壁部は、前記パックの衝突を受ける反発壁部と、前記反発壁部から前記プレイフィールド盤に沿って延出するフランジ部と、からなり、前記複数の光センサのそれぞれは、前記フランジ部に設けられることが好ましい。
【0024】
これにより、衝突検出センサに入り込むプロジェクタからの光を効果的に遮ることができ、従って、衝突検出センサの誤動作を防止することができるようになる。
【0025】
また、前記制御装置は、前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御することが好ましい。
【0026】
これにより、パックの挙動に応じたゲーム内容及びゲーム映像を提供することができ、さらなる演出効果によりエアホッケーゲームの興趣性が向上することになる。
【0027】
さらに、前記遊戯装置は、少なくとも1つのブロックを含むブロックゲーム機構をさらに備えることもできる。前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を塞ぐように配置され、かつ、前記パックが前記少なくとも1つのブロックの一部分に衝突することにより落下するように設置され、前記ブロックゲーム機構は、落下した前記少なくとも1つのブロックを元の位置に配置するためのブロック配置機構を含む。
【0028】
これにより、ブロックゲーム要素を取り入れた新たなエアホッケーゲームを提供することができるようになる。
【0029】
また、第2の観点に従う本発明は、エアホッケーゲームを行うための遊戯装置で使用されるエアホッケーゲーム用パックである。前記パックは、光透過性樹脂材料で円盤状に成型される。また、前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料であることが好ましい。さらに、前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成されることが好ましい。
【0030】
これにより、遊戯者は、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを、確実に認識できるようになる。
【0031】
また、前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合されることが好ましい。これにより、パックの挙動は光センサにより確実に捕捉されることになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、遊戯装置のプレイフィールド盤上にプロジェクタを設けているので、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供できるようになり、また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することができるようになる。
【0033】
また、本発明によれば、エアホッケーゲーム用パックの主要部分に光透過性着色蛍光材料が用いられているため、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、遊戯者は、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを認識することができるようになる。
【0034】
さらに、本発明によれば、プレイフィールド盤上を移動するパックの挙動に応じて、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与えるので、エアホッケーゲームの演出効果を高めることができるようになる。
【0035】
さらにまた、本発明は、ブロックゲーム要素とプロジェクタからプレイフィールド盤に投影されるゲーム映像とを融合させた新たなエアホッケーゲーム用遊戯装置を提供することができるようになる。
【0036】
本発明の他の技術的特徴及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の外観を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の部分断面図であって、ゴール部の内部機構を説明している。
【図5】図2に示した本体筐体部のV−V断面図である。
【図6】図5に示した本体筐体部の囲みVIーVIの拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る遊戯装置において使用されるパックの平面図である。
【図8】図7に示したパックの正面図である。
【図9】図7に示したパックのIX−IX断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。
【図11】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるメイン制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるステージ処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示された「BLACK」オブジェクトの一例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたパックオブジェクトの一例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたゲーム映像に対する映像エフェクト処理の一例を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の外観を示す全体斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のゴール部を説明するための部分断面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の本体筐体部の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。
【図21】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の背面断面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の変形例を説明するための図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のブロックゲーム機構の側断面図である。
【図27】本発明の第2の実施形態に係る遊戯装置のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。
【図28】本発明の一実施形態に係る遊戯装置のプレイフィールド盤上に表示されたゴールオブジェクトの一例を示す図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る遊戯装置の制御装置によるブロック落下処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施形態]
【0039】
第1の実施形態では、プレイフィールド盤上にプロジェクタが設けられ、プロジェクタからゲームに関する映像をプレイフィールド盤に投影するように構成されたエアホッケーゲーム用遊戯装置が説明される。加えて、本実施形態では、このようなプロジェクタを備えたエアホッケーゲーム用遊戯装置において使用に好適なパックが説明される。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の外観を示す全体斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の平面図である。
【0041】
図1に示すように、遊戯装置1は、遊戯者がマレットと呼ばれる打撃用の器具を用い、プレイフィールド盤上でプラスチック円盤のパックを打ち合い、相手ゴールに入れて得点を競うエアホッケーゲーム(単に、「ゲーム」ということもある。)をプレイするためのものである。かかる遊戯装置1は、本体筐体部2と、本体筐体部2の上面に設けられたプレイフィールド盤3と、本体筐体部2上に組み上げられた支持体4と、支持体4に支持されたプロジェクタ5と、プロジェクタ5から出射される光を反射させて、その反射光をプレイフィール盤3上に投影するミラー6とを含んで構成される。また、同図では、プレイフィールド盤3上に、円盤状のパック11及びマレット12が示されている。なお、同図に示されていないが、本体筐体部2の長手方向、フィールド盤3の中央部には、防護ネットが横断して設けられる。
【0042】
本体筐体部2は、その内部に、エアホッケーゲーム全体の制御を司る制御装置100や吸入した空気をプレイフィールド盤3上に形成された多数の小孔31に送り込むための送風装置7、ゲームを行うために必要なコインが投入されたか否かを検出するコイン検出機構8等を収容する(図示せず)。制御装置100の構成及び処理については、図10以降で説明される。
【0043】
本体筐体部2上には、プレイフィールド盤3の外周部を取り囲む周壁部21が設けられ、長手方向両端部にゴール部22が相対向するように形成されている。周壁部21は、ゴール部22以外の部分に、衝突するパック11を跳ね返す反発壁部211(図6参照)を有する。
【0044】
ゴール部22は、プレイフィールド盤3上を滑走するパック11が進入する開口部22aを有する。パック11が開口部22aに進入すると、制御装置100は、そのゴール部22を守る遊戯者の相手方に得点が加算されるように、制御を行う。ゴール部22の下方には、開口部22aに進入したパックを取り出すための取り出し口22bが形成されている。
【0045】
本体筐体部2の長手方向、両側端部に沿って設けられた周壁部21の側壁部23には、複数の衝突検出センサ233(図2参照)が等間隔で設けられている。衝突検出センサ233間の距離は、パック11の直径及び反発壁部211から衝突検出センサ233のそれぞれまでの距離との関係で規定される。即ち、パック11が反発壁部211に接触した状態で、少なくとも1個で最大2個の衝突検出センサ233がパック11を検出するように、衝突検出センサ233は配置されている。例えば、パック11が2個の衝突検出センサ233のちょうど真ん中に位置する場合、それらの衝突検出センサ233がパック11の周縁部を検出する。センサ231は、典型的には、赤外線発光部及び受光部を有する光センサである。衝突検出センサ233が出力する検出信号は、制御装置100に出力される。
【0046】
本体筐体部2はまた、制御装置100の制御の下、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための音楽や音声、効果音等を出力するためのスピーカ9を内蔵する(図示せず)。
【0047】
プレイフィールド盤3は、パック11を浮上滑走させるためのフィールドであり、本体筐体部2の内部に設けられた送風装置8(図示せず)から空気を噴出させるための多数の小孔31を有する。ゲーム中、プレイフィールド盤3に形成された多数の小孔31から空気が噴出し、プレイフィールド盤3上に薄い空気の層が形成され、これによって、パック11とプレイフィールド盤3の表面との摩擦抵抗が低減するので、遊戯者は、パック11をマレット12で打撃することで、プレイフィールド盤3上を高速に滑走させることができる。
【0048】
また、プレイフィールド盤3は、プロジェクタ5から投影されるゲームに関する映像(以下、単に「映像」ということもある。)を映し出すプロジェクタスクリーンとしての役割も担う。このため、プレイフィールド盤3の表面色は、スクリーンゲインが高い白色系又はそれに近いものが採用される、これに限るものではない。
【0049】
支持体4は、プレイフィールド盤3の上方で、プロジェクタ5及びミラー6を支持するための構造体である。具体的には、支持体4は、本体筐体部2の両側部から立設する立設部41と、立設部41によって本体筐体部2の上方に支持される上枠42とからなる。
【0050】
プロジェクタ5は、制御装置100の制御の下、ゲームに関する映像をプレイフィールド盤3に投影するためのものである。本実施形態では、プロジェクタ5は、液晶型プロジェクタが採用されるが、これに限るものではなく、各種のものが採用されうる。プロジェクタ5は、その投影レンズ51からの光がミラー6に向くように、上枠42に略水平に固定されている。従って、プロジェクタ5から投影されるゲーム映像は、反転像である。このように、本実施形態では、プロジェクタ5から出射された光をプレイフィールド盤3に直接投影するのではなく、図3に示すように、ミラー6に反射させて、その反射光をプレイフィールド盤3に投影する。これにより、プロジェクタ5の投射距離を確保することができ、支持体4の高さを低く抑えることができ、遊戯装置1の大型化を回避できる。ミラー6は、角度調整機構61を介して支持されており、プロジェクタ5から投影されるゲーム映像が精確にプレイフィールド盤3に投影されるように調整可能に構成されている。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。
【0052】
即ち、同図に示されるように、ゴール部22は、プレイフィールド盤3とカバー221とによって形成された開口部22aを有している。開口部22aの幅は、周壁部21の反発壁211によって規定される。
【0053】
ゴール部22の内部には、開口部22aに連通し、開口部22aから取り込まれたパック11を下方の取り出し口22bに落下誘導するシュート222が形成されている。シュート222の途中には、ゴールセンサ223及びゲート224が形成されている。
【0054】
ゴールセンサ223は、シュート222を落下するパック11を検出するセンサであり、例えば、光センサが用いられる。ゴールセンサ223により出力された検出信号は、制御装置100に出力される。
【0055】
ゲート224は、パック11の排出を制御する電磁弁であり、制御棒224aが伸縮制御される。即ち、ゲート224は、ゲーム開始前は、制御装置100の制御の下、制御棒224aを伸張させて、パック11を掛止しておき、ゲームが開始されると、制御棒224aを後退させて、パック11の掛止を解除し、パック11を取り出し口22bに落下させる。また、ゲーム中は、ゲート224の制御棒224aは、後退しており、例えば、マッチポイントになった時点、又は所定の時間が経過した時点のように、次のゴールでゲームを終了させる場合には、伸張して、パック11の排出を阻止する。
【0056】
図5は、図2に示した本体筐体部2のV−V断面図であり、また、図6は、囲みVI−VIの拡大図である。
【0057】
これらの図に示されるように、側壁部23は、プレイフィールド盤3の両側端部に形成されている。側壁部23は、パック11の衝突を跳ね返す反発壁部211を含む。反発壁部211は、パック11との反発係数を考慮して、例えば、アルミ鋼材が用いられる。側壁部23における反射壁部211の上部には、プレイフィールド盤3に沿って平行に延出するフランジ231が反射壁部211と同様にアルミ鋼材等で形成され、セットバック空間232を形成している。プレイフィールド盤3とフランジ211aとの間隙長は、パック11の厚みより僅かに大きい。
【0058】
フランジ231には、本体筐体部2の長手方向、図2に示されたように、等間隔に衝突検出センサ233が埋め込まれている。衝突検出センサ233の受光面は、プレイフィールド盤3に対向しており、これにより、衝突検出センサ233は、パック11のセットバック空間232への進入(即ち、反発壁部211への衝突)を検出する。
【0059】
上述したように、本実施形態では、プロジェクタ5からのゲーム映像は、プレイフィールド盤3上に投影される。このような環境において、フランジ231は、セットバック空間232を形成することにより、衝突検出センサ233に入り込むプロジェクタ5からの光を効果的に遮ることができ、従って、プロジェクタ5からの光の影響による衝突検出センサ233の誤動作を防止することができるようになる。
【0060】
次に、以上のように構成された遊戯装置1において使用に適したパック11について、図7乃至図9を参照して、説明する。
【0061】
図7は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1において使用されるパック11の平面図であり、また、図8は、図7に示したパック11の正面図である。さらに、図9は、図7に示したパック11のIX−IX断面図である。
【0062】
これらの図を参照して、本実施形態のパック11は、円盤部111と、円盤部111の外周に嵌合された円環状の第1円環部112と、さらに、第1円環部の外周に嵌合された円環状の第2円環部113とからなり、これらが一体となって円盤形状を有している。
【0063】
円盤部111は、例えば、ポリカーボネートのような硬質熱可塑性樹脂材料からなり、パック11の主要な部分を占める構成要素である。円盤部111の材質はまた、光透過性材料が選択される。本実施形態では、円盤部11は、透明の樹脂材料に着色蛍光染料を固溶化させた着色蛍光樹脂材料からなる。着色蛍光樹脂材料としては、例えば、クリアーオレンジのものが選択される。これにより、本実施形態のパック11は、プロジェクタ5の光を受けて、鮮やかに蛍光発色することになり、遊戯者は、プレイフィールド盤3上で高速滑走するパック11を確実に視認できるようになる。
【0064】
円盤部111の中心部には、円環状の突出部114が形成され、外縁部にはリム部115が形成されている。また、突出部114とリム部115との間には、円盤部111の面から延出する複数の隆起部116が形成されている。隆起部116は、突出部114の外周面からリム部115に至るまで、半径方向に渦巻き状に放射するように形成されている。隆起部116は、プロジェクタ5から受ける光を適度に拡散させつつ反射するので、円盤部11の平坦部分と比較して、目立つようになる。特に、エアホッケーゲームでは、遊戯者は、自陣のゴール部22側に立ち、プレイフィールド盤3を見下ろすようにプレイするので、プレイフィールド盤3上方に配置されたプロジェクタ5からの光は、パック11に形成された隆起部116によって有効に拡散反射され遊戯者に届けられ、従って、パック11の視認性の向上に大きく寄与することになる。本実施形態では、隆起部116は、渦巻き状に形成されているが、特に、こだわるものではない。例えば、隆起部116は、突出部114から半径方向に直線的に放射するように形成されても良い。また、隆起部116は、円形や四角形などの形状物が、突出部114とリム部115との間に、配置されるものであっても良い。さらに、隆起部116の表面には、テーパ面等が設けられてもいても良い。
【0065】
第1円環部112もまた、例えば、ポリカーボネートのような硬質熱可塑性樹脂材料からなる。ただし、第1円環部112は、円盤部111とは異なり、光不透過性材料が選択される。これは、本実施形態では、ゴールセンサ223や衝突検出センサ233に光センサを採用しているため、パック11全体が光透過性材料で形成されると、これらのセンサによってパック11の挙動を検出しにくくなることを防止するためである。本実施形態では、第1円環部112は、黒色の樹脂材料が選択されているが、これに限るものではなく、表面を黒色の塗料で着色したものであっても良いし、また、黒以外の材料であっても良い。また、第1円環部の表面は、より高いコントラストを得るため、シボ加工されていることが好ましい。
【0066】
第2円環部113は、例えば、エラストマーのような軟質熱可塑性樹脂材料からなる。第2円環部113は、パック11の衝突時の衝撃に対して、硬質熱可塑性樹脂材料からなる円環部111及び第1円環部112を保護する役目を担っている。
【0067】
このように、本実施形態のパック11は、その大部分を占める円盤部111が光透過性の着色蛍光樹脂材料で形成されているので、プロジェクタ5の光を受けて、鮮やかに蛍光発色することになり、プレイフィールド盤3上でパック11がくっきりと目立つようになるとともに、装飾的・審美的効果も期待できる。特に、隆起部116がプロジェクタ5の光を適度に拡散するので、遊戯者は、プレイフィールド盤3上で高速滑走するパック11を確実に視認できるようになる。また、パック11は、光不透過性材料からなる第1円環部を有しているので、パック11の挙動を光センサ223及び233により確実に検出することができるようになる。
【0068】
次に、かかる遊戯装置1のハードウェア構成について説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。同図に示されるように、遊戯装置1の制御装置100には、プロジェクタ5等の各種のハードウェア機器やセンサ223等の電子部品が接続されている。
【0069】
制御装置100は、例えば、プロセッサ101、RAM102、ROM103、外部インターフェース104、バスアービタ105、グラフィックボード106、及びサウンドボード107等を含むシステム制御回路である。また、制御装置100は、プロセッサ101にクロック情報を供給するタイマーを含む(図示せず)。
【0070】
プロセッサ101は、RAM102上にロードされたプログラムに従って、所定の演算、制御を行うチップである。RAM102は、SRAM等の揮発性メモリであり、プロセッサ101のメインメモリとして機能する。RAM102はまた、例えば、ゲーム処理中、得点やタイマーカウンタ等のゲームに必要な各種のパラメータを記憶する。ROM103は、不揮発性メモリであり、本実施形態の遊戯装置1においてエアホッケーゲームを実現するために必要な各種のプログラム及び各種のデータを格納する。各種のデータは、例えば、音楽や音声、効果音等を再生するための音源データ及びプレイフィールド盤3上に表示される背景画やオブジェクト等からなるゲーム映像を作り出すための画像データである。画像データは、動画像(映像)及び静止画像(テキスト及びアイコン)を含む。ROM103に格納されたこれらのゲームプログラム及びデータは、プロセッサ101の制御の下、適宜、RAM102にロードされ、プロセッサ101による処理に供される。なお、ROM103に加えて、又はROM103に代えて、ハードディスク装置や書き換え可能な不揮発性メモリが用いられても良い。
【0071】
外部インターフェース104は、各種のハードウェア機器乃至は電子部品等を接続するためのインターフェース回路である。ここでは、送風装置7、コイン検出機構8、位置検出センサ223、ゴールセンサ233、及びゲート234が外部インターフェース104に接続されている。本実施形態では、プロジェクタ5及びスピーカ9は、既存のインターフェース規格を採用しているため、外部インターフェース104とは別の専用インターフェース(図示せず)に接続される。
【0072】
バスアービタ105は、制御装置100内のコンポーネントを接続するバスインターフェースを提供するチップ回路であり、コンポーネント間のデータ転送を調停する。
【0073】
グラフィックボード106は、3次元CG映像データを処理し、プロジェクタ5に出力するための映像信号を生成するチップである。グラフィックボード106は、プロセッサ101の制御の下、映像データに対して、所定の映像エフェクト処理を施す。例えば、グラフィックボード106は、映像画面の所定の位置に波紋アニメーションが表示されるように、映像データを処理する。また、グラフィックボード106は、映像画面上に、ゲームで使用される各種のオブジェクトが重畳表示されるように、映像データを処理する。グラフィックボード106によって生成された映像信号は、図示しないビデオインターフェースを介して、プロジェクタ5に出力される。プロジェクタ5は、入力された映像信号に基づいて、映像として出力する。
【0074】
オーディオボード107は、音楽や音声、効果音等を再生するための音源データを処理するチップである。オーディオボード107は、プロセッサ101の制御の下、オーディオデータにさまざまなオーディオエフェクトが施されるように、各種の演算も行うことができる。
【0075】
図11は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるメイン制御処理を説明するためのフローチャートである。かかる処理は、制御装置100のプロセッサ101がゲーム制御プログラムを実行することにより、実現される。
【0076】
制御装置100は、電源が投入されると、同図に示されるように、コインが投入されたか否かを判断する待機モードになる(STEP1101)。待機モードでは、制御装置100は、潜在遊戯者の興味を喚起するため、デモ映像及びオーディオを再生するための制御を行う。
【0077】
遊戯装置100は、コイン検知機構14によりコインが投入されたことを示す信号を受けると(STEP1101のYes)、ゲームを開始するために必要な初期化処理を行う(STEP1102)。例えば、制御装置100は、タイマーカウンタ及び得点カウンタをリセットする。また、制御装置100は、送風を開始するよう、送風装置7の電源をオンにするとともに、ゲート224を開いて、パック11を排出する。さらに、制御装置100は、ゲームのルール説明等を映像及び音声で案内するための制御を行う。また、第2の実施形態で説明されるように、遊戯装置1にブロックゲーム機構13が組み込まれているときには、当該ブロックゲーム機構13を初期化する。
【0078】
制御装置100は、初期化処理が終了すると、ゲーム処理を開始する(STEP1103)。ゲーム処理では、制御装置100は、ゲーム映像を表示するための制御を行う。また、制御装置100は、パック11がゴール部22に入ったか否かを監視するとともに、パック11の挙動に合わせて、ゲームの内容及びゲーム映像に変化を与えるための処理を行う。
【0079】
制御装置100は、得点が規定値に達してゲームセットになる等によりゲーム処理が終了すると、遊戯装置1を待機モードに移行させるための終了処理を行う(STEP1104)。終了処理では、制御装置100は、例えば、送風装置7の電源をオフにする。
【0080】
本実施形態の遊戯装置1は、ゲーム処理を実行中、エアホッケーゲームの演出効果を高めるため、ゲームの進行状況やパック11の挙動に応じて、プロジェクタ5からプレイフィールド盤3上に投影されるゲーム映像にさまざまな変化を与える制御を行う。例えば、ゲームの経過時間ごとにステージが予め定義され、各ステージが開始するごとに出現するギミックオブジェクトと呼ばれるゲーム内容やプレイに影響を与えるような「仕掛け」が用意される。ギミックオブジェクトは、プレイフィールド盤3上のゲーム映像内に重畳表示される。制御装置100は、プレイフィールド盤3上に表示されたギミックオブジェクトの位置と移動するパック11の位置との関係から、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与える。
【0081】
図12は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるステージ処理を説明するためのフローチャートである。
【0082】
即ち、同図に示されるように、制御装置100は、タイマーを監視し、ステージの開始時間に到達したか否かを監視する(STEP1201)。ステージは、ゲーム開始からの経過時間によって、いくつかに分かれている。例えば、ゲーム開始後30秒経過時から30秒ごとのタイムピリオドが第1ステージから第4ステージとして定義される。
【0083】
制御装置100は、いずれかのステージの開始時間に到達したと判断する場合には(STEP1202のYes)、当該ステージで使用するギミックオブジェクトを選択する(STEP1202)。選択可能なギミックオブジェクトは、例えば、ステージごとに異なっている。例えば、ステージが進むごとに選択可能なギミックオブジェクトの種類が増えるように、ギミックオブジェクトが用意されている。制御装置100は、選択可能なギミックオブジェクトを、例えば、ランダムに選択する。ただし、これに限るものではなく、制御装置100は、ギミックオブジェクトを順番に選択しても良い。また、ギミックオブジェクトは、1種類であっても良い。
【0084】
制御装置100は、ギミックオブジェクトを選択した後、選択したギミックオブジェクトをゲーム映像に重畳表示するための処理を行う(STEP1203)。制御装置100は、ギミックオブジェクトが、例えば、プレイフィールド盤3上(ゲーム画面上)を動き回るように、そのXY座標を算出し、表示処理を行う。
【0085】
制御装置100は、ギミックオブジェクトの表示処理の間、当該ステージの終了時間に到達したか否かを監視する(STEP1204)。制御装置100は、当該ステージの終了時間に到達したと判断する場合には(STEP1204のYes)、次のステージの開始時間に到達したか否かを監視するため、STEP1201に戻る。
【0086】
このようにして、制御装置100は、ステージの開始とともに、所定のギミックオブジェクトをプレイフィールド盤3上に表示する。本実施形態では、制御装置100は、ギミックオブジェクトを、側壁部23に沿って、移動表示するように制御する。側壁部23には、衝突検出センサ233が配列されており、制御装置100は、ギミックオブジェクトが表示された位置に対応する衝突検出センサ233から検出信号を受信すると、パック11がギミックオブジェクトにヒットしたと判断する。
【0087】
ギミックオブジェクトは、本実施形態では、例えば、「BLACK」、「DUMMY」、「POINT」、及び「TIME」の4種類が用意される。
【0088】
「BLACK」は、ゲーム映像の一部に黒色領域を生成するトリガとなるオブジェクトである。図13は、プレイフィールド盤3上に表示された「BLACK」オブジェクト201の一例を示す図である。プレイフィールド盤3上に表示された「BLACK」オブジェクト201にパック11がヒットすると、即ち、「BLACK」オブジェクト201の位置と、パック11の位置とが合わさると、制御装置100は、ゲーム映像に黒色領域が含まれるように、表示処理を行う。黒色領域は、例えば、物体のシルエットとして表現し、ゲーム画面内(プレイフィールド盤3上)を移動しても良い。図14は、プレイフィールド盤3上に表示された物体のシルエットの一例を示す図である。同図は、プレイフィールド盤3全体に表現された海中から水面を望む映像の中に、海中を泳ぐマンタのシルエット202を表現した様子を示している。パック11がシルエットを通過202すると、遊戯者にとって、パック11が見えにくくなる。このように、ゲーム映像内の黒色領域は、ゲーム映像の表現力を高めながら、プレイフィールド盤3上のパック11の視認性を低下させるため、ゲームの難易度を上げることができる。
【0089】
「DUMMY」は、ゲーム映像上にダミーのパックオブジェクトを生成するトリガとなるオブジェクトである。制御装置100は、「DUMMY」オブジェクトにパック11がヒットしたと判断すると、図15に示されるように、プレイフィールド盤3上にパックオブジェクト203を出現させ、あたかも本物のパック11がプレイフィールド盤3上を滑走するように、表示処理を行う。これによって、遊戯者は、ダミーのパックオブジェクト203によって、惑わされることになる。このように、ダミーのパックオブジェクト203は、本物のパック11の見極めを困難にするため、ゲームの難易度を上げることができる。
【0090】
「POINT」は、ゴール時の得点を増加させる処理のトリガとなるオブジェクトである。通常、エアホッケーゲームでは1ゴールにつき1得点が計上されるが、遊戯者間で大きく点数差が離れている場合などには、負けている遊戯者が追いつくには連続して得点をする必要があり、負けているプレイヤのやる気を削ぎかねない。制御装置100は「POINT」オブジェクトにパック11がヒットしたと判断したときに、所定の時間、「×2」という表示を行って、遊戯者に得点が倍増される旨を知らせるとともに、その間にゴールを検出した場合に、1ゴールにつき2得点を計上する。このように1ゴールにつき得られるポイント数を変化させることで、点数差が生じた場合であっても最後までゲームに伴う興奮を維持することができる。
【0091】
「TIME」は、ボーナスタイムを与えることでゲームのタイムアウト時間を延長するトリガとなるオブジェクトである。エアホッケーゲームでは、ゴールが決まらなければ、遊戯者は、延々と、遊戯装置1でゲームを続けることができてしまう。従って、通常、遊戯装置1は、いずれかの遊戯者の得点が規定値に到達してゲームセットにならなくても、所定の時間が経過した時点でタイムアウトとして、ゲームを強制終了させる。「TIME」オブジェクトは、遊戯者にボーナスタイムを期待させることができる。
【0092】
図16は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるパック衝突処理を説明するためのフローチャートである。
【0093】
同図に示されるように、制御装置100は、衝突検出センサ233のいずれかから検出信号を受信したか否かを判断する(STEP1601)。制御装置100は、衝突検出センサ233のいずれかから検出信号を受信したと判断すると(STEP1601のYes)、当該検出信号に基づいて該当する衝突検出センサ233を特定し、プレイフィールド盤3上の位置を算出する(STEP1602)。
【0094】
次に、制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在するか否かを判断する(STEP1603)。算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在する場合、パック11がギミックオブジェクトにヒットしたと判断されることになる。
【0095】
制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在しないと判断する場合(STEP1603のNo)、プレイフィールド盤3上の当該位置の映像に対して映像エフェクトが与えられるように表示処理する。例えば、制御装置100は、プレイフィールド盤3上の当該位置を中心に波紋アニメーションを表示するように処理する。これにより、パック11の挙動に応じて、プレイフィールド盤3上のゲーム映像が動的に変化し、遊戯者をより一層楽しませることができるようになる。
【0096】
一方、制御装置100は、算出したプレイフィールド盤3上の位置に、ギミックオブジェクトが存在すると判断する場合(STEP1603のNo)、ギミックオブジェクト及びプレイフィールド盤3上の当該位置の映像に対して映像エフェクトが与えられるように表示処理する。例えば、制御装置100は、図17に示すように、背景映像に波紋アニメーションを施しながら、ギミックオブジェクトについては、プレイフィールド盤3の外に追い出されるようなアニメーションを表示する。
【0097】
制御装置100は、続いて、ヒットしたギミックオブジェクトに応じた処理を行うシーケンスを起動(STEP1604)する。これにより、制御装置100は、起動したシーケンスに従って処理を行うことになる。
【0098】
即ち、上述したように、制御装置100は、パック11が「BLACK」オブジェクトにヒットしたと判断する場合、図14に示されるように、ゲーム画面内を物体のシルエットが移動するゲーム映像を、所定の時間、表示するように処理を行う。
【0099】
また、制御装置100は、パック11が「DUMMY」オブジェクトにヒットしたと判断する場合、図14に示されるように、ゲーム画面内をパックオブジェクトが移動するゲーム映像を、所定の時間、表示するように処理を行う。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、遊戯装置のプレイフィールド盤上にプロジェクタを設けているので、エアホッケーゲームの演出効果を高めるための所定の映像をプレイフィールド盤全体に映し出すことができる機構を備えた遊戯装置を実用的なコストで提供でき、また、プレイフィールド盤の表面近傍に無用な機材を配置することなく、遊戯者の遊戯動作に支障を与えることのない遊戯装置を提供することができるようになる。
【0101】
また、本実施形態によれば、エアホッケーゲーム用パックの主要部分に光透過性着色蛍光材料が用いられているため、プロジェクタにより投影されるゲーム映像の中でも、遊戯者は、プレイフィールド盤上を高速移動するパックを認識することができるようになる。
【0102】
さらに、本実施形態によれば、プレイフィールド盤上を移動するパックの挙動に応じて、ゲーム内容及び/又はゲーム映像に変化を与えるので、エアホッケーゲームの演出効果を高めることができるようになる。
[第2の実施形態]
【0103】
第2の実施形態では、ブロックゲーム要素を取り入れたエアホッケーゲーム用遊戯装置が説明される。特に、本実施形態では、ブロックゲーム要素とプロジェクタからプレイフィールド盤に投影されるゲーム映像とを融合させた新たなエアホッケーゲーム用遊戯装置を提案している。
【0104】
図18は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の外観を示す全体斜視図である。本実施形態の遊戯装置1は、ゴール部22の内部にブロックゲーム機構13を備える。同図では、ゴール部22の開口部22aに整列配置されたブロックゲーム機構13のブロック131の一部が示されている。本実施形態の遊戯装置1の外観的構成は、ブロック上述した第1の実施形態の遊戯装置のものと同じであるため、説明を省略する。
【0105】
図19は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のゴール部22を説明するための部分断面図である。
【0106】
同図(A)は、ゲーム開始直後のゴール部22の開口部22a内の様子を示している。即ち、ゲーム開始直後は、開口部22a内には、10個のブロック131が、開口部22aを横断的に塞ぐように、整列配置されている。ブロック131は、パック11が衝突すると、その衝撃力で後方に押し出され、ゴール部22の内部に落下するように、設置されている。ブロック131の耐衝撃力は、例えば、滑走するパック11の1回の衝突により落下するように、ブロック131の重量等を勘案して、設定されることが好ましい。ただし、複数回の衝突に耐えるように、耐衝撃力が設定されても良い。
【0107】
同図(B)は、パック11の衝突により、いくつかのブロック131が落下したときの開口部22a内の様子を示している。この状態において、パック11が、ブロック131が配置されていない領域に進入すると、ゴール部22内のシュート222に取り込まれ、ゴール(相手方の得点)になる。
【0108】
図20は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の本体筐体部2の部分断面図であって、ゴール部22の内部機構を説明している。同図に示されるように、本実施形態のゴール部22は、開口部22aの近傍で、かつ、カバー221によって覆われる位置にブロックゲーム機構13が設けられている。カバー221の下方にブロック機構を設けることで、遊戯者の指がブロックゲーム機構に接触することを防ぐことができる。なお、図中、2点鎖線で示されるブロック131は、パック11の衝突により落下したブロックのポジションを表している。その他の構成については、第1の実施形態のものと同じであるため、説明を省略する。
【0109】
図21は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の背面断面図である。同図は、ブロックゲーム機構13内に設けられた複数のブロック131が、対応するカム135によって順番に押し上げられながら、再配置されている様子を示している。また、同図下方には、便宜上、そのときのカム135の回転角が示されている。
【0110】
即ち、同図に示されるように、ブロックゲーム機構13は、その筐体130の内部に、横断方向に配列された複数のブロック131を含み、これらは、上下方向に移動自在に設けられている。本実施形態では、10個のブロック131が設けられている。
【0111】
ブロックゲーム機構13の筐体130の一方端部には、制御装置100によって制御されるDCモータ132が取り付けられ、DCモータ132のモータ軸132aには、カップリング133を介して、シャフト134の一端部が連結されている。カップリング133は、シャフト軸134の軸ぶれを緩衝する既知のコンポーネントである。シャフト134は、軸方向に所定の間隔で配置されたベアリング軸受け(図示せず)により、軸支されている。DCモータ132は、トルクリミット機構を備えており、ブロック131の押し上げ時に、異物の挟み込み等を原因とする異状動作(エラー)を検出し、トルクを遮断する。
【0112】
シャフト134には、ブロック131のそれぞれを押動するためのカム135が、軸回りに角度的にオフセットされて、固着されている。これは、一度に全てのブロック131を押し上げると、ブロック131の重みによりモータ132に過度の負荷がかかるため、持ち上げられるブロック131をいくつかに制限するためである。本実施形態では、カム135間のオフセット角は、10度である。従って、10個のカム135は、0〜180まで10度ごとにオフセットされて設けられている。カム135の先端部には、ブロック131の底面に当接した際の摩擦力を軽減するためのローラ136が軸支されている。シャフト134の反対端には、リセット機構を構成するリセットカム137が固着されている。
【0113】
また、ブロックゲーム機構13の筐体130の内部床板には、位置決めセンサ138が設けられている。位置決めセンサ138は、シャフト134の回転位置を検出する光センサである。即ち、シャフト134の軸回転に伴って、カム135の先端部に設けられたローラ136は回動し、位置決めセンサ138の光軸を横断する。これにより、制御装置100は、シャフト136の回転位置を検出することができる。本実施形態では、位置決めセンサ138は、図中、右端に示されたブロック131のカム135の位置を監視する。
【0114】
さらに、ブロックゲーム機構13の筐体130の側壁間には、係止軸139が軸架されている。係止軸139は、カム135によって押し上げられたブロック131を係止する働きを有する。後述するように、係止軸139は、シャフト134の回転によるリセットカム136のカム動作に従って、0〜90度の範囲で回動するように、構成されている。
【0115】
図22及び図23は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の側断面図であり、これらの図は、ブロックゲーム機構13におけるブロック配列機構を説明している。
【0116】
同図に示されるように、ブロック131は、筐体130の背面壁から水平方向に延出する掛止ピン140により、上下方向に移動自在に、掛止されている。即ち、ブロック131の背面には、溝(図示せず)が形成されており、掛止ピン140は、当該溝に緩挿されている。ブロック131が最低位に位置する場合に、掛止ピン140は、ブロック131を掛止する。
【0117】
ブロック131は、ヘッド部1311と、ヘッド部1311に一体的に連結されたボディ部1312とからなる。ヘッド部1311は、筐体130の上部から突出することで、プレイフィールド盤3の面上から突出し、パック11の衝突を受ける部分である。ヘッド部1311の前面下端部には、係止面1311aが形成され、また、背面上端部には、第1テーパ面1311bが形成されている。ボディ部1312は、ローラ136に当接され、ヘッド部1311を持ち上げるための部分である。ボディ部1312背面のヘッド部1311と連結された部分には、第2テーパ面1312aが形成されている。また、ボディ部1312の前面には、凹部1312bが形成されている。
【0118】
筐体130の上部には、筐体130の側壁間に軸架された係止軸139が設けられている。係止軸139の円周方向の一部には、軸方向に沿って、面取りされた逃げ面139aが形成されており、当該逃げ面139aに対して直角に係止面139bが形成されている。係止軸139が90度回動した状態で、係止面139bは上方を向き、図23に示されるように、押し上げられたブロック131の係止面1311aを係止する。このとき、ブロック131のヘッド部1311は、開口部22aの一部を塞ぐことになる。
【0119】
筐体130には、また、落下検出センサ141が取り付けられている。落下検出センサ141は、ブロック131の落下を検出する光センサである。即ち、ブロック131が係止軸139の係止面139aに係止された状態では、落下検出センサ141は、ブロック131の凹部1312bに進入し、この結果、落下検出センサ141の光軸は、ブロック131の凹部1312bの壁に遮られている(図23参照)。そして、パック11の衝突により係止面139a及び係止面1311aとの係止が解除されると、ブロック131は落下し、落下検出センサ141の光軸は遮蔽されないので、これによって、ブロック131の落下が検出されることになる。
【0120】
上述したように、シャフト134の回転によりカム135が回転すると、ローラ136は、ボディ部1312の下面に当接しながら、ブロック131を押し上げる。カム135の回転に伴い、ブロック131が押し上げられると、ヘッド部1311の第2テーパ面1312aが、筐体130のガイド130aに当接し、これによって、前方(図中、左側)に押し出される。カム135のさらなる回転により、ブロック131が完全に押し上げられると、ブロック131は、完全に前方に押し出される。このとき、係止軸139は、90度回動した位置まで回動して停止しており、前方に押し出されてきたブロック131の係止面1311aは、係止軸139の係止面139aに係止される(図23参照)。この結果、ゴール部22の開口部22aには、ブロック131が配置されることになる。
【0121】
また、ブロック131は、パック11の衝突により、ゴール部22の内部に落下する。しかしながら、パック11からの衝撃力が大きい場合、ブロック131は、ガイド130aに衝突、反射して落下しないことも想定される。このような意図しないブロック131の動作を抑制するために、図24(A)乃至(C)に示されるように、掛止ピン140にバネ142が緩挿されており、ブロック131が、バネ押え143を介して、前方に弾性的に支持されても良い。バネ押え143は、ブロック131の上下動に合わせて、ブロック131背面を摺動する。これにより、パック11が、ブロック131のヘッド部1311に強く衝突した場合であっても、バネ142の付勢力によって、ガイド130aへの衝突が緩和され、ブロック131は、確実に落下するようになる。
【0122】
図25及び図26は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1のブロックゲーム機構13の側断面図であり、同図は、ブロックゲーム機構13のリセット機構を説明している。
【0123】
即ち、同図には、シャフト134の他端部に取り付けられたリセットカム137が示されている。リセットカム137は、上下動自在に支持されたリンクロッド144を介して、アッパーカム145に連結されている。
【0124】
リセットカム137は、切欠部137aを有する。切欠部137aは、リセットカム137の全円周の1/4に相当する。また、切欠部1371の一端部は、ガイドローラ146の転動を容易にするため、面取りされている。リセットカム137の外周面には、リンクロッド144の一端部に軸支されたガイドローラ146が当接している。ガイドローラ146は、リセットカム137の回転により、リセットカム137の外周面に沿って転動する。また、リンクロッド144の一端部にはまた、弾性部材147が設けられ、リンクロッド144に対して下方への引張弾性力を与えている。従って、リセットカム137の回転に伴って、ガイドローラ146は、リセットカム137の外周面上を確実に接触しながら転動し、これにより、リンクロッド144は上下動することになる。
【0125】
アッパーカム145は、リンクロッド144の上下動に対応して0〜90度の範囲で回動する。アッパーカム145は、係止軸139に、軸を同じにして取り付けられている。従って、リンクロッド144の上下動に対応するアッパーカム145の回動運動は、係止軸139に伝達されることになる。これにより、係止軸139は、アッパーカム145の回動運動に合わせて、係止面139aが0〜90度の範囲で回動する。
【0126】
リンクロッド144のガイドローラ146が、図25に示されるように、リセットカム137の切欠部137a内にある場合、リンクロッド144の作動端は、最低地点にある。このときのシャフト134の回転角を0度とし、リセット位置とする。リセット位置では、後述するように、全てのブロック131は落下した状態にある。リセットカム137が矢印の方向に回転し始めると、リセットカム137の切欠部137aの面に沿ってリンクロッド144が徐々に押し上げられ、90度回転した時点で、図26に示すされるように、リンクロッド144の作動端は最高地点に到達する。この状態は、リセットカム137がさらに270度回転するまで維持される。リセットカム137がさらに270度回転すると、ガイドローラ146が切欠部137aに到達するため、弾性部材147の引張弾性力により、リンクロッド144は、下降する。
【0127】
本実施形態では、シャフト134の1回転の間において、上述したカム135によるブロック131の押し上げ動作に同期して、リセットカム137による係止軸139の回動動作が行われる。即ち、シャフト134の回転角が0度(リセット位置)のとき、係止軸139の係止面139aは、全てのブロック131の係止を解除し、また、いずれのカム135のローラ136もブロック131から離れた位置にある。
【0128】
シャフト134の回転によりカム135が回転すると、ローラ136は、ボディ部1312の下面に当接しながら、ブロック131を押し上げる。また、これに同期して、リセットカム137は回転するので、係止軸139は回動し、係止面139aが水平状態に近づいてくる。シャフト134が略90度回転したとき、係止面139aは水平状態になり、ローラ136によって押し上げられてきた1個目のブロック131は、係止面139aに係止される。シャフト134が、この状態からさらに略180度回転する間、係止面139aは水平状態を保つ一方、残りの9個のブロック131はローラ136によってそれぞれ押し上げられ、順次、係止面139aに係止されることになる。また、シャフト134が360度回転すると、リセット位置に戻るので、係止面139aに係止されているブロック131は、係止面139aの係止が解除され、落下する。
【0129】
図27は、本発明の第2の実施形態に係る遊戯装置1のハードウェア構成を示すブロックダイアグラムである。本実施形態の遊戯装置1のハードウェア構成は、ブロックゲーム機構13が追加されている点を除いて、第1の実施形態のものと同じである。
【0130】
制御装置100は、プロセッサ101の制御の下、ブロックゲーム機構13を駆動して、ゴール部22にブロック131を整列配置するとともに、ブロック131の配置状態をゲーム映像に重畳表示するための処理を行う。特に、制御装置100は、ブロックゲーム機構13に設けられた落下検出センサ141から出力される検出信号に基づいて、ブロック131の落下を検出し、落下したブロック131に対応するブロックオブジェクトをゲーム映像から消滅させる処理を行う。このように、本実施形態では、ゴール部22内のブロック131のそれぞれの配置状況と、プレイフィールド盤3上のブロックオブジェクトのそれぞれの表示とを連動させている。遊戯者は、自身のゴール部22内に配置されたブロック131を直接的に視認することはできないが、ブロック131が落下した位置を、プレイフィールド盤3上に表示されたブロックオブジェクトの有無で、容易に把握することができる。
【0131】
ゲーム開始時、制御装置100は、初期化処理において(図11参照)、ブロック131を全て落下させるために、ブロックゲーム機構13のDCモータ132を制御して、シャフト134をリセット位置まで回転させる。続いて、制御装置100は、全てのブロック131をゴール部22の開口部22a内に配置するために、ブロックゲーム機構13を制御して、シャフト134を回転させる。制御装置100は、全てのブロック131をゴール部22の開口部22a内に配置すると、図28に示されるように、ブロック131のそれぞれに対応するブロックオブジェクト204をゴール部22の前に表示する。ブロックオブジェクト204は、自陣ゴールと敵陣ゴールとで、色分けしてもよい。
【0132】
図29は、本発明の一実施形態に係る遊戯装置1の制御装置100によるブロック落下処理を説明するためのフローチャートである。
【0133】
同図に示されるように、制御装置100は、落下検出センサ141のいずれかから検出信号を受信したか否かを判断する(STEP2901)。制御装置100は、落下検出センサ241のいずれかから検出信号を受信したと判断すると(STEP2901のYes)、当該検出信号に基づいて該当する落下検出センサ233を特定し、落下したブロック131の配列位置を特定する(STEP2902)。制御装置100は、続いて、落下したブロック131の配列位置に対応してプレイフィールド盤3上に表示されているブロックオブジェクト204を消去する(STEP2903)。
【0134】
このように、ブロック131が落下するごとに、プレイフィールド盤3上に表示されている対応するブロックオブジェクト204は消滅していくことになる。遊戯者は、敵陣のゴール部22にあるブロック131は、直接視認することができるが、自陣のゴール部22にあるブロック131は、直接視認することができない。従って、プレイフィールド盤3上には、ゴール部22内に残っているブロック131に対応したブロックオブジェクト204が表示されているので、遊戯者は、自陣のゴール部22に残っているブロック131を認識することができるようになる。
【0135】
また、遊戯装置1は、制御装置100の制御の下、ブロックゲーム機構13を用いて、遊戯者にハンディキャップを与えることもできる。例えば、一方の遊戯者側のゴール部22内にブロック131を配置し、他方の遊戯者側のゴール部22にはブロック131を配置しない。具体的には、制御装置1は、一方の遊戯者側のブロックゲーム機構13を制御して、ゴール部22内にブロック131を配置する一方、他方の遊戯者側のブロックゲーム機構13については、ブロックのリセットをした後、停止するように制御する。これにより、ゲーム開始時、他方の遊戯者側のゴール部22には、ブロック131が配置されないので、一方の遊戯者は、得点しやすくなる。
【0136】
さらに、遊戯装置1は、制御装置100の制御の下、ブロックオブジェクト204の表示に加えて、第1の実施形態で説明されたギミックオブジェクトを表示してもよい。これにより、多彩なエアホッケーゲームが提供されることになる。
【0137】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、エアホッケーゲームを行うための遊戯装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1…遊戯装置;
2…本体筐体部;
21…周壁部、211…反発壁部;
22…ゴール部、22a…開口部、22b…取り出し口;
221…カバー、222…シュート、223…ゴールセンサ、224…ゲート(電磁弁);
23…側壁部、231…フランジ、232…セットバック空間、233…衝突検出センサ、234…カバー;
3…プレイフィールド盤;
31…小孔;
4…支持体;
41…立設部、42…上枠;
5…プロジェクタ;
51…投影レンズ;
6…ミラー;
61…角度調整機構;
11…パック;
111…円盤部、112…第1円環部、113…第2円環部、114…突出部、115…リム部、116…隆起部;
12…マレット;
100…制御装置100;
101…プロセッサ、102…RAM、103…ROM、104…外部インターフェース、105…バスアービタ、106…グラフィックボード、107…サウンドボード;
13…ブロックゲーム機構
130…筐体、131…ブロック、132…DCモータ、133…カップリング、134…シャフト、135…カム、136…ローラ、137…リセットカム、138…位置決めセンサ、139…係止軸、140…掛止ピン、141…落下検出センサ、142…バネ、143…バネ押え、144…リンクロッド、145…アッパーカム、146…ガイドローラ、147…弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置であって、
本体筐体部と、
前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、
前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、
前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、前記プレイフィールド盤の長手方向両端部に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、
前記本体筐体部から立設する支持体と、
前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え、
前記制御装置は、
前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する、
遊戯装置。
【請求項2】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備え、
前記制御装置は、
前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御する、
請求項1記載の遊戯装置。
【請求項3】
前記周壁部は、
前記パックの衝突を受ける反発壁部と、
前記反発壁部から前記プレイフィールド盤に沿って延出するフランジ部と、からなり、
前記複数の光センサのそれぞれは、前記フランジ部に設けられた、
請求項2記載の遊戯装置。
【請求項4】
前記パックは、
光透過性樹脂材料で円盤状に成型され、前記プレイフィールド盤上を滑動可能であり、
前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料である、
請求項1乃至3記載の遊戯装置。
【請求項5】
前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成された、請求項4記載の遊戯装置。
【請求項6】
前記パックの前記複数の隆起部は、中心から半径方向に放射状に延伸する、
請求項5記載の遊戯装置。
【請求項7】
前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合された、請求項6記載の遊戯装置。
【請求項8】
前記遊戯装置は、
少なくとも1つのブロックを含むブロックゲーム機構をさらに備え、
前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を塞ぐように配置され、かつ、前記パックが前記少なくとも1つのブロックの一部分に衝突することにより落下するように設置され、
前記ブロックゲーム機構は、前記少なくとも1つのブロックの落下を検出するブロック落下検出センサと、
落下した前記少なくとも1つのブロックを元の位置に配置するためのブロック配置機構を含む、
請求項1記載の遊戯装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を形成する上部カバーの下に配置され、
前記制御装置は、
前記ブロック落下検出センサによって出力される検出信号に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって、前記プレイフィールド盤上に前記少なくとも一つのブロックオブジェクトが表示されるようにゲーム映像を制御する、
請求項8記載の遊戯装置。
【請求項10】
エアホッケーゲームを行うための遊戯装置で使用されるエアホッケーゲーム用パックであって、
前記遊戯装置は、
本体筐体部と、
前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、
前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、
前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、相対向する位置に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、
前記本体筐体部から立設する支持体と、
前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え、
前記制御装置は、
前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力し、
前記パックは、光透過性樹脂材料で円盤状に成型され、前記プレイフィールド盤上を滑動可能であり、
前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料である、
エアホッケーゲーム用遊戯装置で使用されるパック。
【請求項11】
前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成された、請求項10記載のエアホッケーゲーム用パック。
【請求項12】
前記複数の隆起部は、中心から半径方向に放射状に延伸する、請求項11記載のエアホッケーゲーム用パック。
【請求項13】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備え、
前記制御装置は、
前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御し、
前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合された、
請求項12記載のエアホッケーゲーム用パック。
【請求項1】
パックを打撃してゴールを競うエアホッケーゲームを行うための遊戯装置であって、
本体筐体部と、
前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、
前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、
前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、前記プレイフィールド盤の長手方向両端部に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、
前記本体筐体部から立設する支持体と、
前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え、
前記制御装置は、
前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力する、
遊戯装置。
【請求項2】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備え、
前記制御装置は、
前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御する、
請求項1記載の遊戯装置。
【請求項3】
前記周壁部は、
前記パックの衝突を受ける反発壁部と、
前記反発壁部から前記プレイフィールド盤に沿って延出するフランジ部と、からなり、
前記複数の光センサのそれぞれは、前記フランジ部に設けられた、
請求項2記載の遊戯装置。
【請求項4】
前記パックは、
光透過性樹脂材料で円盤状に成型され、前記プレイフィールド盤上を滑動可能であり、
前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料である、
請求項1乃至3記載の遊戯装置。
【請求項5】
前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成された、請求項4記載の遊戯装置。
【請求項6】
前記パックの前記複数の隆起部は、中心から半径方向に放射状に延伸する、
請求項5記載の遊戯装置。
【請求項7】
前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合された、請求項6記載の遊戯装置。
【請求項8】
前記遊戯装置は、
少なくとも1つのブロックを含むブロックゲーム機構をさらに備え、
前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を塞ぐように配置され、かつ、前記パックが前記少なくとも1つのブロックの一部分に衝突することにより落下するように設置され、
前記ブロックゲーム機構は、前記少なくとも1つのブロックの落下を検出するブロック落下検出センサと、
落下した前記少なくとも1つのブロックを元の位置に配置するためのブロック配置機構を含む、
請求項1記載の遊戯装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのブロックは、前記ゴール部の開口部を形成する上部カバーの下に配置され、
前記制御装置は、
前記ブロック落下検出センサによって出力される検出信号に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって、前記プレイフィールド盤上に前記少なくとも一つのブロックオブジェクトが表示されるようにゲーム映像を制御する、
請求項8記載の遊戯装置。
【請求項10】
エアホッケーゲームを行うための遊戯装置で使用されるエアホッケーゲーム用パックであって、
前記遊戯装置は、
本体筐体部と、
前記本体筐体部の内部に設けられ、前記エアホッケーゲームを制御する制御装置と、
前記本体筐体部の上面に設けられ、空気が噴出する多数の小孔が形成されたプレイフィールド盤と、
前記プレイフィールド盤の外周部を囲むように形成され、相対向する位置に前記パックが受け入れるゴール部が形成された周壁部と、
前記本体筐体部から立設する支持体と、
前記支持体に支持され、前記プレイフィールド盤上に所定のゲーム映像を投影可能に配置されたプロジェクタと、を備え、
前記制御装置は、
前記エアホッケーゲームの内容に応じて、前記ゲーム映像を表示させるための映像信号を生成し、前記プロジェクタに出力し、
前記パックは、光透過性樹脂材料で円盤状に成型され、前記プレイフィールド盤上を滑動可能であり、
前記パックの光透過性樹脂材料は、着色蛍光樹脂材料である、
エアホッケーゲーム用遊戯装置で使用されるパック。
【請求項11】
前記パックの第1面に、複数の隆起部が形成された、請求項10記載のエアホッケーゲーム用パック。
【請求項12】
前記複数の隆起部は、中心から半径方向に放射状に延伸する、請求項11記載のエアホッケーゲーム用パック。
【請求項13】
前記周壁部は、前記周壁部を構成する少なくとも側壁部分に沿って配列され、前記パックの通過を検出する複数の光センサを備え、
前記制御装置は、
前記検出したパックの位置に基づいて、前記エアホッケーゲームの内容を制御し、これによって、前記プロジェクタによって投影されるゲーム映像を制御し、
前記パックは、外周部に光不透過性樹脂材料が嵌合された、
請求項12記載のエアホッケーゲーム用パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図29】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図29】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図28】
【公開番号】特開2011−30605(P2011−30605A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177068(P2009−177068)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
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