説明

遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法

【課題】封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法を提供することを課題とする。
【解決手段】台間カード処理機10は、自動設定処理部10f5により、遊技客が所持するカードを受け付けた場合に、該カードに関連付けられたレート毎の持玉数、使用頻度、前回使用したレート並びに封入式遊技機20の遊技性能に基づいてレートを自動的に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店には、一般的に遊技機の機外にパチンコ玉等の遊技媒体を投出する遊技機(以下、「開放式遊技機」と言う)が配設されてきたが、最近になって、他店からの持込玉や異なる貸出レート間の持込玉の問題が顕在化してきたため、かかる持込玉が発生しない封入式遊技機が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、遊技客がパチンコ玉に触れない構造とし、パチンコ玉が入賞すると該入賞分のパチンコ玉数を持玉数に加算し、入賞しないアウト玉分のパチンコ玉数を持玉数から減算する封入式遊技機が開示されている。
【0004】
ところで、例えば1円コーナーや4円コーナーのように、複数の貸出レート(以下、単に「レート」と言う)で遊技媒体を貸し出す遊技店が増加してきたが、遊技店が遊技機のレートを設定するのではなく、遊技客自身が遊技機のレートを選択することで、遊技客のニーズに合った遊技を提供しようとするニーズが大きい。
【0005】
上記封入式遊技機の場合には、機外に遊技媒体を投出しない構成を採用するため、レート毎の物理的な遊技媒体(例えば1円レート用遊技媒体、4円レート用遊技媒体)が必要にならない。このため、上記封入式遊技機に併設される各台装置において遊技客自身に所望のレートを選択させようとする仕組みが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−233635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、遊技客は常に一台の遊技機のみで遊技するわけではなく、遊技店内の複数の遊技機を台移動しながら遊技することが多いため、遊技客が台移動する度にレート選択操作をしなければならないこととすると、遊技客によるレート選択操作の労力が大きくなり、結果的に遊技店の稼働率の低下に繋がるという問題がある。
【0008】
例えば、ある遊技客が4円レートで封入式遊技機Aの遊技を行い、4円レートの持玉数を獲得した状態で台移動を行おうとした場合は、獲得した4円レートの持玉数を用いて遊技を行いたいと考えるのが通常であるので、台移動先の封入式遊技機Bに4円レートの選択をしなければならない。したがって、遊技客は台移動する度にレート選択操作をしなければならず、その間封入式遊技機Bの稼働は停止する。
【0009】
これらのことから、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望のレートを選択させる場合に、重複するレート選択操作に係る遊技客の労力をいかに低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させるかが重要な課題となる。かかる課題は、レート選択を行う場合だけではなく、レートが同一であっても交換率やプレミアの付与率が異なる場合など、運営上遊技に用いる遊技媒体を相互に分別して扱うべきものと定められている種別(以下、「遊技種」と言う)を変更する場合にも同様に生ずる課題である。
【0010】
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであって、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記設定手段は、最後に使用した遊技種、複数の遊技種に各々対応付けられた遊技媒体の数及び/又は複数の遊技種の使用頻度を前記記憶媒体に関連付けられた情報として用いて前記優先的に選択対象となる遊技種を設定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、前記封入式遊技機の遊技性能を特定する遊技性能特定情報を記憶する遊技性能特定情報記憶手段と、前記遊技性能特定情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記設定手段により設定された前記優先的に選択対象となる遊技種を前記所定の選択操作の候補として表示する候補表示手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機に併設された各台装置であって、有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、有価価値関連情報を価値記憶部に格納する格納工程と、遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を遊技媒体数特定情報記憶部に格納する遊技媒体数特定情報格納工程と、複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を遊技種特定情報記憶部に格納する遊技種特定情報格納工程と、遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶部に記憶された遊技種特定情報を変更する変更工程と、所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶部に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶部に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出工程と遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更し、遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定するよう構成したので、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明によれば、封入式遊技機の遊技性能を特定する遊技性能特定情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定するよう構成したので、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】図2は、実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した台間カード処理機の外観構成を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した台間カード処理機の内部構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、カードから読取り可能な情報について説明するための説明図である。
【図6】図6は、図4に示した遊技性能と対応する貸出レートについて説明するための説明図である。
【図7】図7は、図4に示した台間カード処理機の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7に示したレート設定処理を詳細に説明するフローチャートである。
【図9】図9は、封入式遊技機においてレートを設定する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、台移動時にレートの候補を表示出力する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、候補表示部による表示出力について説明するための説明図である。
【図12】図12は、図10に示した台間カード処理機の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例1では、台移動時にレートを自動選択する構成を示し、実施例2では台移動時にレートの候補を表示出力する構成を示すこととする。
【実施例1】
【0021】
まず、本実施例1に係る遊技システムの概念について説明する。図1は、本実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。同図に示すように、本実施例に係る遊技システムは、封入式遊技機20a及び封入式遊技機20bを含む複数の遊技機を有する。また、封入式遊技機20aには台間カード処理機10aを併設し、封入式遊技機20bには台間カード処理機10bを併設している。台間カード処理機10a及び台間カード処理機10bは、複数の貸出レートからレートを選択する機能を有する。
【0022】
台間カード処理機10aに対して遊技客がカード返却操作を行うと、台間カード処理機10aは、持玉数を関連付けたカードを発行する(1)。台間カード処理機10aは、レート毎に持玉数を関連付ける。図1に示した例では、4円レートの1000玉及び1円レートの50玉がカードに関連付けられている。
【0023】
このカードを台間カード処理機10bに挿入すると(2)、台間カード処理機10bは、カードに関連付けられたデータに基づいて、レートを自動的に選択する。図1に示した例では、4円レートと1円レートの持玉数を比較し、持玉数の大きい4円レートが選択されている(3)。
【0024】
このように、台移動をした場合に、台間カード処理機10bがレートを自動的に選択することにより、遊技客はレートの選択操作を行うことなく封入式遊技機20bでの遊技を適切なレートで開始することができる。
【0025】
台間カード処理機10bが4円レートを自動的に選択して遊技を開始した後に4円レートの持玉が零になったならば(3)、台間カード処理機10bは、他のレートの玉があれば自動的にレート変更し(5a)、他のレートの玉が無ければ遊技客によるレート選択操作を受け付ける(5b)。
【0026】
なお、本実施例1では、説明の便宜上、「複数のレートの中からレートを選択する場合」について説明するが、本発明は、「複数の遊技種の中から遊技客が望む所望の遊技種を選択する場合」に適用することもできる。この「遊技種」とは、レートが同一であっても交換率やプレミアの付与率が異なる場合など、運営上遊技に用いる遊技媒体を相互に分別して扱うべきものと定められている種別である。つまり、たとえ同一レートであっても複数の遊技種が存在し得る。
【0027】
次に、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この遊技システムは、封入式遊技機20aと、封入式遊技機20aに対応して設けられた台間カード処理機10aと、封入式遊技機20bと、封入式遊技機20bに対応して設けられた台間カード処理機10bと、カード管理装置40と、会員管理装置50と、精算機60と、景品管理装置70とが通信回線80を介して接続されている。
【0028】
封入式遊技機20a及び20b(以下、「封入式遊技機20」と総称する)は、装置内部に封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行うパチンコ機等の装置である。この封入式遊技機20は、台間カード処理機10内に持玉が存在する範囲で、遊技領域にパチンコ玉を打ち込むことができる。当該遊技領域には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域パチンコ球が通過したことに基づいて所定個数のパチンコ玉を賞玉として付与するようになっている。また、遊技領域には、所定個数の始動領域(始動口)が設けられており、当該始動領域をパチンコ玉が通過したことに基づいて所定の抽選を行うこととなっている。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、前述の入賞領域あるいは他の始動領域へのパチンコ玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。なお、始動領域と入賞領域を兼ねた領域があってもよい。
【0029】
上記入賞領域には、当該入賞領域へのパチンコ玉の通過を検出するための所定の検出センサが設けられており、当該センサにより、入賞領域へ打ち込まれたパチンコ玉の通過(入賞)を検出するようになっている。また、遊技機の制御装置は、入賞領域ごとに何個のパチンコ玉を賞玉として付与するかを記憶する賞玉メモリを有している。
【0030】
したがって、打ち込んだパチンコ玉の特定の入賞領域への通過がセンサにより検出されると、賞玉メモリの記憶内容と、入賞領域を通過したパチンコ玉数から付与すべき賞玉を決定し、決定した賞玉数を台間カード処理機10に通知して、台間カード処理機10は持玉数データに入賞したパチンコ玉数を加算する。また、賞玉の台間カード処理機10への通知タイミングは、持玉数が所定個数以下(例えば、1分間に発射可能なパチンコ玉数以下)となるまでは、一定のパチンコ玉数(一定度数)ずつ通知してもよい。これにより、台間カード処理機10との信号の送受信回数を低減することができる。なお、ここでは持玉数データを台間カード処理機が管理する場合を例示して説明を行うが、持玉数データの管理を封入式遊技機20が行うように構成してもよい。封入式遊技機20が持玉数データの管理を行う構成では、封入式遊技機20は、台間カード処理機10a及び10bから通知された貸玉数を持玉数データに加算し、遊技領域に打ち込んだパチンコ玉の数を持玉数データから減算し、入賞時には賞玉数を持玉数データに加算することで、持玉数データの管理を行い、遊技終了時に持玉数データを台間カード処理機に通知する。
【0031】
持玉数データを台間カード処理機が管理する構成では、台間カード処理機10a及び10b(以下、「台間カード処理機10」と総称する)は、封入式遊技機20の遊技に用いる持玉数を管理し、封入式遊技機20においてパチンコ玉を発射する度に持玉数を減算し、封入式遊技機20においてパチンコ玉が入賞する度に持玉数を加算する。また、遊技客が投入した紙幣を受け付けたならば、この紙幣分のプリペイド価値を記憶するととともに、所定の玉貸し操作がなされたならば、所定数のプリペイド価値を減算しつつ、減算したプリペイド価値分に対応する持玉数を加算する。
【0032】
また、台間カード処理機10は、カードを受け付けたならば、該カードに関連付けられたプリペイド価値及び持玉数を記憶するとともに、カード返却操作を受け付けたならば、プリペイド価値及び持玉数をカードに関連付けて排出する処理を行う。
【0033】
さらに、この台間カード処理機10は、複数のレートの中から遊技客が所望するレートを選択することができる。台間カード処理機10は、遊技客によりレートの選択が行われたならば、レートの変更を実施する。また、台間カード処理機10は、カード返却操作を受け付けて持玉数をカードに関連付ける場合に、レート毎に持玉数を関連付ける。また、台間カード処理機10は、カードを受け付けた場合にはカードに関連付けられた情報に基づいてレートの自動選択を行う。
【0034】
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の封入式遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカードデータとして管理する管理装置である。
【0035】
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカードID及び持玉数を受信したならばカードデータを更新し、台間カード処理機10からカードIDを受信したならば、該カードIDに対応する持玉数を台間カード処理機10に通知する。また、カード管理装置40は、景品管理装置70からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応する持玉数を景品管理装置70に対して通知する。さらに、精算機60からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応するプリペイド価値を精算機60に対して通知する。また、このカード管理装置40は、台間カード処理機10において遊技客が選択できる複数のレートを選択可能レートとして台間カード処理機10に通知する。
【0036】
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードIDに対応づけて、貯玉、ポイント、来店回数、遊技履歴、暗証番号及び氏名等を管理する。
【0037】
精算機60は、プリペイド価値が対応付けられたカードが挿入されると、このカードのカードIDをカード管理装置40に送信し、該カードに対応するプリペイド価値を取得し、取得したプリペイド価値に相当する現金の払出を行う。
【0038】
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり貯玉及び持玉の景品交換処理を行う。この景品管理装置70には、カードのカードIDを読み取るリーダライタ及び特殊景品を払い出す装特殊景品払出装置が接続されている。景品管理装置70は、リーダライタが一般カード又は会員カードを受け付けた場合には、リーダライタで読み出したカードのカードIDをカード管理装置40に送信して、該カードの持玉数を要求する。また、貯玉を景品交換する場合は、会員管理装置50に対して貯玉数を要求する。
【0039】
次に、図2に示した台間カード処理機10の外観構成について説明する。図3は、図2に示した台間カード処理機10の外観構成を示す図である。同図には、台間カード処理機10が併設される封入式遊技機20が破線で図示されている。また、同図には紙幣のみを受け付ける台間カード処理機10を図示したが、硬貨受け付け用のユニットを設けることもできる。
【0040】
図3に示すように、台間カード処理機10は、台間カード処理機10の装置の状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部11と、パチンコ玉を貸し出す際の各種紙幣を受け付ける紙幣挿入口12とを有する。また、台間カード処理機10は、ディスプレイなどの表示部並びにテンキーや各種ボタンを含む操作部からなる表示操作部13と、カードID、プリペイド価値、貯玉データ及び持玉データが記憶されたカードを受け付けるカード挿入口14とが設けられている。
【0041】
また、封入式遊技機20には、封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込む際に使用するハンドル21と、プリペイド価値の残数を表示するプリペイド価値表示部15と、持玉数を表示する持玉数表示部16と、プリペイド価値から持玉への移行を指示するための玉貸しボタン17と、カード返却を指示するためのカード返却ボタン18とが設けられている。その詳細な説明は後述するが、このプリペイド価値表示部15、持玉数表示部16、玉貸しボタン17及びカード返却ボタン18は、封入式遊技機20の前面に設けられ、台間カード処理機10の制御部に直結されている。
【0042】
次に、図2に示した台間カード処理機10の内部構成について説明する。図4は、図2に示した台間カード処理機10の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、台間カード処理機10は、表示操作部13と、R/W部14aと、紙幣搬送部12aと、通信I/F部10cと、記憶部10eと、制御部10fとを有する。
【0043】
R/W部14aは、カード挿入口14に挿入されたカードに記憶されたカードID、持玉数データ及びプリペイド価値データを読み取る読取部である。なお、カード挿入口14に挿入されたカードは、このR/W部14aを経て図示しないカード収納部に収納される。
【0044】
紙幣搬送部12aは、紙幣挿入口12から挿入された紙幣の金種及び真偽を判別しつつ図示しない紙幣収納部に搬送する搬送部である。通信I/F部10cは、封入式遊技機20の制御部24及びカード管理装置40との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0045】
記憶部10eは、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、カードID10e1、持玉数データ10e2、プリペイド価値データ10e3、設定レートデータ10e4、使用頻度データ10e5及び遊技性能データ10e6を記憶する。
【0046】
カードID10e1は、R/W部14aで読み取られたカードIDである。図示しないカード収納部からカード挿入口14にカードが搬送され、該カードが排出される場合には、この搬送途中でR/W部14aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。また、カード挿入口14から図示しないカード収納部にカードが搬送される場合にも、この搬送途中でR/W部14aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。
【0047】
持玉数データ10e2は、遊技客の現時点の持玉数であり、プリペイド価値データ10e3は、遊技客の現時点のプリペイド価値の残数である。設定レートデータ10e5は、台間カード処理機10の現時点での設定レートに関する情報である。
【0048】
使用頻度データ10e5は、カード挿入口14に挿入されたカードが、どのレートで頻繁に使用されたかを示すデータである。遊技性能データ10e6は、封入式遊技機20の遊技性能(大当り確率、大当りに占める確率変動大当りの割合、時短確率、長時間演出の導出確率等)を示すデータである。また、遊技性能データ10e6は、遊技性能に対して選択可能若しくは選択を推奨するレートが定められているか、定められている場合にはそのレートの情報を含む。例えば、大当り確率が1/300であれば、4円レート又は3円レートから使用するレートを選択可能とし、大当り確率は1/80であれば2円レート又は1円レートから使用するレートを選択可能とする。
【0049】
制御部10fは、台間カード処理機10を全体制御する制御部であり、データ管理部10f1、紙幣処理部10f2、カード処理部10f3、レート設定処理部10f4、自動設定処理部10f5を有する。また、この制御部10fには、すでに説明したように、プリペイド価値表示部15、持玉数表示部16、玉貸しボタン17及びカード返却ボタン18が直結されている。
【0050】
データ管理部10f1は、記憶部10eに記憶した持玉数データ10e2、プリペイド価値データ10e3及び設定レートデータ10e4を用いて、持玉数、プリペイド価値及び設定レートを管理する管理部である。
【0051】
このデータ管理部10f1は、貸出ボタン17が押下操作されると、プリペイド価値データ10e3のうちの所定数に対応する持玉数を持玉数データ10e2に加算する。また、封入式遊技機20に封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込む度に、封入式遊技機20内の検出手段からの信号を受けて持玉数データ10e2を減算し、パチンコ玉が入賞したならば、封入式遊技機20からの信号を受けて所定数(例えば15玉)を持玉数データ10e2に加算する。なお、カード返却ボタン18が押下操作され、カードを排出する場合には、この持玉数データ10e2がカードに関連付けられた後に、該持玉数データ10e2を零にクリアする。さらに、カード挿入口14からカードが挿入された場合に、このカードに関連付けられた持玉数を持玉数データ10e2に加算する。なお、カードを排出する場合には、持玉数データ10e2及び設定レートデータ10e4を対応付けてカードに書き込むとともに、持玉数データ10e2、設定レートデータ10e4及びカードID10e1をカード管理装置40に送信してカードデータの更新指示を行うことで、持玉数データ10e2がカードに関連付けられることになる。
【0052】
また、データ管理部10f1は、紙幣挿入口12に紙幣が挿入されると、この紙幣分に相当するプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。また、玉貸しボタン17が押下操作されたならば、プリペイド価値データ10e3から設定レートデータ10e4により定まる所定数(例えば、10度数)を減算する。なお、カード返却ボタン18が押下操作され、カードを排出する場合には、このプリペイド価値データ10e3がカードに関連付けられた後に、該プリペイド価値データ10e3を零にクリアする。さらに、カード挿入口14からカードが挿入された場合に、このカードに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。なお、ここでは説明の便宜上、「加算」及び「減算」を行う場合を示しているが、例えばプリペイド価値データ10e3そのものに加算するのではなく、加算した値でプリペイド価値データ10e3を更新することも可能である。
【0053】
紙幣処理部10f2は、紙幣挿入口12から受け付けた紙幣を搬送制御しつつ該紙幣の金種識別及び真偽識別を行った後に、該紙幣を図示しない紙幣収納部に収納する処理部である。カード処理部10f3は、カード挿入口14からカードを受け付けたならば、R/W部14aによりカードID、持玉数及びプリペイド価値を読み取らせる。そして、このカードIDをカード管理装置40に送信して、該カードIDに対応する持玉数及びプリペイド価値をカード管理装置40から受け取り、持玉数データ10e2及びプリペイド価値データ10e3に記憶する。
【0054】
また、カード処理部10f3は、カード返却ボタン18の押下操作を受け付けたならば、図示しないカード収納部に収納したカードのカードIDをR/W部14aにより読み取らせる。そして、このカードIDと持玉数データ10e2及びプリペイド価値データ10e3をカード管理装置40に送信してカードデータを更新させる。その後、持玉数データ10e2及びプリペイド価値データ10e3をカードに書き込んでカード挿入口14から返却する。
【0055】
レート設定処理部10f4は、表示操作部13に対して設定レートデータ10e5に設定された現在のレートを表示するとともに、表示操作部13に対して選択可能なレートを表示する。遊技客が表示操作部13に表示されたレートから所望のレートを選択すると、レート設定処理部10f4は、遊技客により選択されたレートを設定レートデータ10e5に設定する。
【0056】
自動設定処理部10f5は、カード挿入口14にカードが挿入された場合に、該カードから読み取った情報、該カードのカードIDに基づいて会員管理装置50から取得した情報並びに遊技性能データ10e5を用いてレートを自動的に選択し、設定レートデータ10e4に設定する処理部である。
【0057】
図5は、カードから読取り可能な情報について説明するための説明図である。図5に示したように、カードにはカードID、プリペイド価値、貸出レート、持玉数、使用回数、最終使用フラグが格納される。カードIDは、該カードを一意に識別する識別情報である。プリペイド価値は、該カードが前回排出された時点でのプリペイド価値の残高を示す。図5に示した例では、カードIDは001、プリペイド価値は2000円である。
【0058】
持玉数、使用回数及び最終使用フラグは、貸出レート毎に管理される。すなわち、持玉数は対応するレートの持玉数であり、使用回数は対応するレートの使用回数である。そして、最終使用フラグは、該カードが前回排出された時点での設定レートで1の値をとり、その他のレートで0の値をとる。
【0059】
図5に示した例では、該カードが4円レートで10回使用され、4円レートの持玉が1000玉である。また、3円レートで1回使用され、3円レートの持玉は0玉である。2円レートでは使用されておらず、2円レートの持玉は0玉である。また、1円レートで4回使用され、持玉数は50玉である。そして、該カードを前回使用した際には4円レートが選択されていたことを示している。
【0060】
図6は、図4に示した遊技性能と対応する貸出レートについて説明するための説明図である。図6に示したように、遊技性能によるレートの指定がない場合には、台間カード処理機10は、4円レート、3円レート、2円レート又は1円レートを選択可能とする。また、遊技性能がHタイプである場合には、台間カード処理機10は、4円レートと3円レートを選択可能とする。そして、遊技性能がLタイプである場合には、台間カード処理機10は、2円レートと1円レートを選択可能とする。ここで、Hタイプは例えば大当り確率が1/300の場合であり、Lタイプは大当り確率が1/80の場合である。
【0061】
次に、図4に示した台間カード処理機10の処理手順について説明する。図7は、図4に示した台間カード処理機10の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、遊技客が台間カード処理機10のカード挿入口14にカードを挿入すると(ステップS101;Yes)、台間カード処理機10は、R/W部14aによりカードIDを読み出し、該カードが会員カードであるか否かを判定する(ステップS102)。
【0062】
挿入されたカードが会員カードであるならば(ステップS102;Yes)、台間カード処理機10は、会員管理装置50から会員データを取得する(ステップS103)。具体的には、該会員の遊技履歴に基づいて、各レートの使用頻度を会員データとして取得する。
【0063】
ステップS103の後若しくは挿入されたカードが会員カードではなく一般カードであったならば(ステップS102;No)、台間カード処理機10は、R/W部14aによりカードから貸出レート毎の持玉数、使用回数及び最終使用フラグを読み出す(ステップS104)。
【0064】
ステップS104の後、台間カード処理機10は、自動設定処理部10f5によるレート設定処理(ステップS105)を実行し、設定したレートを表示操作部13に表示する(ステップS106)。
【0065】
設定したレートを表示操作部13に表示した後、遊技客によるレート選択操作を受け付けたならば(ステップS107;Yes)、レート設定処理部10f4がレート選択操作により選択されたレートに設定レートを変更して(ステップS108)、処理を終了する。一方、遊技客によるレート選択操作を受け付けていなければ(ステップS107;No)、台間カード処理機10はそのまま処理を終了する。図7に示した処理動作の終了後、台間カード処理機10は、設定されたレートで封入式遊技機20に対する玉貸しを行うこととなる。
【0066】
図8は、図7に示したレート設定処理を詳細に説明するフローチャートである。レート設定処理が開始されると、自動設定処理部10f5は、遊技性能データ10e6を読み出して、遊技性能によるレートの指定があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0067】
遊技性能によるレートの指定があるならば(ステップS201;Yes)、自動設定処理部10f5は、遊技性能により定められた選択可能なレートを指定する(ステップS202)。
【0068】
ステップS202の後若しくは遊技性能によるレート指定が無い場合には(ステップS201;No)、自動設定処理部10f5は、最終使用フラグが1のレートを候補レートとして特定する(ステップS203)。
【0069】
ステップS203の後、自動設定処理部10f5は、候補レートが選択可能であるか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、遊技性能によるレートの指定がない、若しくは候補レートが遊技性能により指定された選択可能なレートに含まれる場合には、自動設定処理部10f5は、候補レートを選択可能であると判定し、候補レートが遊技性能により指定された選択可能なレートに含まれない場合には、候補レートは選択可能ではないと判定する。
【0070】
候補レートが選択可能と判定したならば(ステップS204;Yes)、自動設定処理部10f5は、候補レートの持玉数が所定数以上であるか否かを判定する(ステップS210)。候補レートの持玉数が所定数以上であるならば(ステップS210;Yes)、自動設定処理部10f5は、候補レートを設定レートとして設定レートデータ10e4に設定し(ステップS211)、レート設定処理を終了する。
【0071】
候補レートが選択可能ではないならば(ステップS204;No)、自動設定処理部10f5は、選択可能なレートのうち、持玉数が最大で、かつ持玉数が所定値以上のレートを候補レートとして特定する(ステップS206)。候補レートが特定可能である場合(ステップS206;Yes)には、自動設定処理部10f5は、候補レートを設定レートとして設定レートデータ10e4に設定し(ステップS211)、レート設定処理を終了する。
【0072】
選択可能なレートに所定以上の持玉数が無い若しくは持玉数が同一のレートが存在するために、候補レートが特定可能でないならば(ステップS206;No)、自動設定処理部10f5は、選択可能なレートの遊技頻度から候補レートを特定する。具体的には、選択可能なレートのうち、遊技頻度が最大で、且つ持玉数が所定値以上のレートを候補レートとして特定する(ステップS207)。遊技頻度は、挿入されたカードが会員カードである場合には、会員データに示された遊技履歴により求める。また、挿入されたカードが一般カードである場合には、カードから読み出した使用回数により遊技頻度を求める。一般カードの使用回数は当日のみ有効であり、その日の台移動の履歴を示す。
【0073】
候補レートが特定可能である場合(ステップS208;Yes)には、自動設定処理部10f5は、候補レートを設定レートとして設定レートデータ10e4に設定し(ステップS211)、レート設定処理を終了する。
【0074】
選択可能なレートに所定以上の持玉数が無い若しくは遊技頻度が同一のレートが存在するために、候補レートが特定可能でないならば(ステップS208;No)、自動設定処理部10f5は、デフォルトのレートを設定レートとして設定レートデータ10e4に設定し(ステップS209)、レート設定処理を終了する。
【0075】
上述してきたように、本実施例1では、台間カード処理機10は、遊技客が所持するカードを受け付けた場合に、該カードに関連付けられた情報に基づいてレートを自動的に設定するよう構成したので、封入式遊技機20に併設された台間カード処理機10で遊技客自身に所望のレートを選択させる場合に、重複するレート選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる。
【0076】
また、台間カード処理機10は、封入式遊技機20の遊技性能に基づいて優先的に選択対象となるレートを設定するので、封入式遊技機20の遊技性能に適合したレートの選択を効率よく行うことができる。
【0077】
ところで、図4では、台間カード処理機10においてレートを設定する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、封入式遊技機においてレートを設定する場合に適用することもできる。
【0078】
図9は、封入式遊技機においてレートを設定する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。ここでは台間カード処理機110側にプリペイド価値を管理させ、封入式遊技機120側に持玉数を管理させている。なお、図4に示す部位と同様の機能部については同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0079】
同図に示すように、台間カード処理機100の記憶部10eには、すでに説明したカードID10e1、プリペイド価値データ10e3及び使用頻度データ10e5のみが記憶されている。そして、遊技を終了する場合には、封入式遊技機120から受け取った持玉数を持玉数データ10e2として記憶部10eに記憶する。
【0080】
そして、制御部10f内には、データを管理するカードデータ管理部10f8が設けられる。このカードデータ管理部10f8は、記憶部10eに記憶したプリペイド価値データ10e3を管理する管理部である。カード処理部10f3は、持玉数を含むカード返却指示を封入式遊技機120から受け付けたならば、この持玉数を持玉数データ10e2として記憶部10eに記憶するとともに、プリペイド価値データ10e3及び持玉数データ10e2をカードに関連付けた後にカードを排出する。このように、この台間カード処理機110では、プリペイド価値の管理並びにカード処理を中心に行っている。
【0081】
封入式遊技機120は、通信I/F部22、持玉数表示部16、玉貸しボタン17、記憶部23、制御部24、記憶部25及び制御部26を有する。通信I/F部22は、台間カード処理機110との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0082】
持玉数表示部16及び玉貸しボタン17は、封入式遊技機120の制御部26と接続されている。玉貸しボタン17が押下操作されると、制御部26は台間カード処理機110に対して玉貸し要求を送信する。台間カード処理機110は、制御部23から玉貸し要求を受信したならば、プリペイド価値を減算して対応する数の持玉数を追加するよう封入式遊技機120に通知する。制御部26は、台間カード処理機10からの通知を受けて記憶部25に記憶された持玉数データ23bを加算する。持玉数表示部16は、記憶部25に記憶された持玉数データ23bが示す持玉数を表示する。
【0083】
封入式遊技機120の記憶部23及び記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部23は、遊技管理データ23aを記憶する。遊技管理データ23aは、遊技機120の遊技処理の管理に使用するデータである。記憶部25は、持玉数データ22b、設定レートデータ10e4及び遊技性能データ10e6を記憶する。
【0084】
制御部24は、遊技機120を全体制御する制御部であり、記憶部23及び制御部26と接続し、遊技制御部24aを有する。遊技制御部24aは、封入されたパチンコを用いた遊技を制御する。
【0085】
制御部26は、持玉管理部24b、レート設定処理部10f4及び自動設定処理部10f5を有する。持玉管理部24bは、持玉数データ23bを管理する。具体的には、持玉管理部24bは、台間カード処理機110から持玉に追加する玉数の通知を受けたならば、通知された玉数を加算して持玉数データ23bを更新する。また、持玉管理部24bは、遊技制御部24aが遊技領域にパチンコ玉を打ち出す度に持玉数を減算し、パチンコ玉が入賞した場合に入賞に応じた持玉数を加算して持玉数データ22aを更新する。
【0086】
このように封入式遊技機120側で持玉数データ23bを管理することにより、台間カード処理機110との通信を行わなくとも遊技に伴う持玉数を更新することができ、処理負荷を軽減することが可能となる。ただし、本発明に係るレート設定処理部10f4及び自動設定処理部10fの処理については、図4のものと同様になる。
【0087】
なお、上記実施例1では、遊技性能、最終使用フラグ、持玉数、遊技頻度の順に判定を行うよう構成したが、これらの使用順序は適宜変更してもよく、また、これらの1又は複数の任意の組み合わせにより設定レートを求めるようにしても良い。また、遊技性能、最終使用フラグ、持玉数、遊技頻度に限定されず、レート毎の遊技時間や投資金額など、任意の要素を用いて設定レートを求めることができる。
【実施例2】
【0088】
ところで、上記実施例1では、台移動時にレートを自動選択する構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、台移動時にレートの候補を表示出力する構成で実施することもできる。そこで、本実施例2では、台移動時にレートの候補を表示出力する構成について説明する。
【0089】
図10は、台移動時にレートの候補を表示出力する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、台間カード処理機210の制御部10fは、自動設定処理部10f5を有さず、優先度算定部10f6及び候補表示処理部10f7を有する。その他の構成及び動作については、図4と同様であるので、図4に示す部位と同様の機能部については同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0090】
優先度算定部10f6は、カード挿入口14にカードが挿入された場合に、該カードから読み取った情報、該カードのカードIDに基づいて会員管理装置50から取得した情報並びに遊技性能データ10e5を用いて各レートの優先度を算定する処理部である。候補表示部10f7は、優先度の高いレートを表示操作部13に表示出力し、遊技客によるレート選択操作を受け付けて、レートの設定を行う。
【0091】
図11は、候補表示部10f7による表示出力について説明するための説明図である。図11では、表示操作部13の表示画面13aに、「レートを選択してください」とのメッセージとともに、4円レートを選択するボタン、1円レートを選択するボタン並びにその他のレートを選択するボタンが表示されている。また、4円レートを選択するボタンには、持玉数が零であり、前回使用したレートであることが表示されている。そして、1円レートを選択するボタンには、持玉数が50であることが表示されている。
【0092】
次に、図10に示した台間カード処理機10の処理手順について説明する。図12は、図10に示した台間カード処理機210の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、遊技客が台間カード処理機210のカード挿入口14にカードを挿入すると(ステップS301;Yes)、台間カード処理機210は、R/W部14aによりカードIDを読み出し、該カードが会員カードであるか否かを判定する(ステップS302)。
【0093】
挿入されたカードが会員カードであるならば(ステップS302;Yes)、台間カード処理機210は、会員管理装置50から会員データを取得する(ステップS303)。具体的には、該会員の遊技履歴に基づいて、各レートの使用頻度を会員データとして取得する。
【0094】
ステップS303の後若しくは挿入されたカードが会員カードではなく一般カードであったならば(ステップS302;No)、台間カード処理機210は、R/W部14aによりカードから貸出レート毎の持玉数、使用回数及び最終使用フラグを読み出す(ステップS304)。
【0095】
ステップS304の後、台間カード処理機210は、優先度算定部10f6による優先度算定処理(ステップS305)を実行する。具体的には、優先度算定部10f6は、遊技性能によるレートの指定、最終使用フラグの値、持玉数、遊技頻度に対して重み付けを行って加算することで、各レートの優先度を求める。
【0096】
候補表示部10f7は、優先度が上位のレートについて表示操作部13に表示出力する(ステップS306)。その後、遊技客によるレート選択操作を受け付けたならば(ステップS307;Yes)、レート設定処理部10f4がレート選択操作により選択されたレートに設定レートを変更して(ステップS308)、処理を終了する。図12に示した処理動作の終了後、台間カード処理機10は、設定されたレートで封入式遊技機20に対する玉貸しを行うこととなる。
【0097】
上述してきたように、本実施例2では、台間カード処理機210は、遊技客が所持するカードを受け付けた場合に、該カードに関連付けられた情報並びに封入式遊技機220の遊技性能に基づいてレートの優先度を算定し、優先度の高いレートを候補として遊技客に選択させるよう構成したので、封入式遊技機220に併設された台間カード処理機210で遊技客自身に所望のレートを選択させる場合に、重複するレート選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることができる。
【0098】
なお、上記実施例2では、遊技性能、最終使用フラグ、持玉数、遊技頻度を用いて優先度算定を行う場合を例示したが、これらの1又は複数の任意の組み合わせを用いて優先度を算定することができる。また、遊技性能、最終使用フラグ、持玉数、遊技頻度に限定されず、レート毎の遊技時間や投資金額など任意の要素を用いて優先度を算定することができる。
【0099】
また、上記実施例1及び2では、台間カード処理機10又は封入式遊技機120で設定レートデータ10e5を記憶する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カード管理装置40において各台間カード処理機10又は封入式遊技機120と設定レートデータ10e5の対応関係を記憶し、カード管理装置40側で台間カード処理機10又は封入式遊技機120ごとの設定レートデータ10e5を管理するよう構成することもできる。このようにすれば、カード管理装置40側で台間カード処理機10又は封入式遊技機120ごとの設定レートデータ10e5を把握することが可能になる。この場合には、台間カード処理機10又は封入式遊技機120に設けられたレート設定処理部10f4等をカード管理装置40上に設け、台間カード処理機10又は封入式遊技機120からの情報を受信したカード管理装置40が設定レートデータ10e5を決定し、決定した設定レートデータ10e5を台間カード処理機10又は封入式遊技機200に通知することになる。
【0100】
また、上記実施例1及び2では、カードの形態についての詳細な説明を省略したが、かかるカードには、磁気カード、ICカード等が含まれる。また、ここでは説明の便宜上「カード」を例にとって説明したが、かかるカード以外に、チップ、スティック、携帯端末などを用いる場合に本発明を適用することもできる。特に、ICチップ付携帯端末を媒体として用いる場合は、台間カード処理機10に設けられたリーダライタ(R/W)に当該携帯端末を翳すことにより、ICチップとR/Wとの非接触通信により当該携帯端末と関連付けられたプリペイド価値及び持玉数を取得することができる。ここで、全てのレートの持玉数を取得することができず、特定のレートの持玉数のみを取得できる場合には、レートの変更操作を行ったならば、変更前のレートの持玉数を携帯端末に関連付け、また、変更後レートの持玉数を取得する必要が生ずるため、もう一度当該携帯端末の翳し操作を行わせることが望ましい。
【0101】
また、上述の実施例1及び2では、封入式遊技機として遊技球を用いるパチンコ遊技機を例にとって説明したが、本発明はこれに限らず、封入式遊技機が遊技球を用いる回胴式遊技機および遊技メダルを用いる回胴式遊技機であっても適用することができる。つまり、回胴式遊技機においては、上記実施例における特定の遊技領域を遊技球が通過したことによる「入賞」の信号に代えて、複数の回胴上の図柄組み合わせのうち、特定の図柄組み合わせがライン上に揃ったことによる「入賞」の信号を各台間カード処理機が受信して処理を行うことで構成が実現できる。
【0102】
さらに、上記実施例では、遊技球が入賞したことに基づく信号を台間カード処理機に送信して持玉数に加算することとしたが、遊技者による遊技球の外部への取り出しができない構造であれば、台間カード処理機に対応して設けられる計数装置にて遊技球を計数するものであってもよい。例えば、遊技機に設けられた貯留皿の下方に、台間カード処理機と通信可能に遊技球を計数する計数装置を接続し、貯留皿の遊技球及び貯留皿から計数装置までの経路を通る遊技球が外部から操作不能な構造にする。このうえで、当該計数装置にて、賞として払い出された遊技球を計数して持玉数に加算すればよい。
【0103】
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明に係る遊技システム、各台装置及び遊技媒体貸出方法は、封入式遊技機に併設された各台装置で遊技客自身に所望の遊技種を選択させる場合に、重複する遊技種選択操作に係る遊技客の労力を効率良く低減し、封入式遊技機の稼働率を向上させることに適している。
【符号の説明】
【0105】
10、10a、10b、110、210 台間カード処理機
10c 通信I/F部
10e 記憶部
10e1 カードID
10e2 持玉数データ
10e3 プリペイド価値データ
10e4 設定レートデータ
10e5 使用頻度データ
10e6 遊技性能データ
10f 制御部
10f1 データ管理部
10f2 紙幣処理部
10f3 カード処理部
10f4 レート設定処理部
10f5 自動設定処理部
10f6 優先度算定部
10f7 候補表示部
10f8 カードデータ処理部
11 状態表示部
12 紙幣挿入口
12a 紙幣搬送部
13 表示操作部
14 カード挿入口
14a R/W部
15 プリペイド価値表示部
16 持玉数表示部
17 玉貸しボタン
18 カード返却ボタン
20、20a、20b、120、220 封入式遊技機
21 ハンドル
22 通信I/F部
23、25 記憶部
23a 遊技管理データ
23b 持玉数データ
24、26 制御部
24a 遊技制御部
24b 持玉管理部
30 島コントローラ
40 カード管理装置
50 会員管理装置
60 精算機
70 景品管理装置
80 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、
有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、
遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、
複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、
遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、
所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、
遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段と
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記設定手段は、最後に使用した遊技種、複数の遊技種に各々対応付けられた遊技媒体の数及び/又は複数の遊技種の使用頻度を前記記憶媒体に関連付けられた情報として用いて前記優先的に選択対象となる遊技種を設定することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、
有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、
遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、
複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、
遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、
所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、
前記封入式遊技機の遊技性能を特定する遊技性能特定情報を記憶する遊技性能特定情報記憶手段と、
前記遊技性能特定情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段と
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【請求項4】
前記設定手段により設定された前記優先的に選択対象となる遊技種を前記所定の選択操作の候補として表示する候補表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の遊技システム。
【請求項5】
遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機に併設された各台装置であって、
有価価値関連情報を記憶する価値記憶手段と、
遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を記憶する遊技媒体数特定情報記憶手段と、
複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を記憶する遊技種特定情報記憶手段と、
遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定記憶手段に記憶された遊技種特定情報を変更する変更手段と、
所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶手段に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶手段に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出手段と、
遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定手段と
を備えたことを特徴とする各台装置。
【請求項6】
遊技媒体の取り出しが制限される封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設された各台装置とを有する遊技システムであって、
有価価値関連情報を価値記憶部に格納する格納工程と、
遊技に供することができる遊技媒体の数を特定する遊技媒体数特定情報を遊技媒体数特定情報記憶部に格納する遊技媒体数特定情報格納工程と、
複数の遊技種のうちの一の遊技種を特定する遊技種特定情報を遊技種特定情報記憶部に格納する遊技種特定情報格納工程と、
遊技者による所定の選択操作が行われた場合に、前記遊技種特定情報記憶部に記憶された遊技種特定情報を変更する変更工程と、
所定の貸出操作がなされた際に、前記遊技種特定情報記憶部に記憶された遊技種特定情報に基づいて前記価値記憶部に記憶された有価価値関連情報を更新しつつ、遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出工程と
遊技者が所持する所定の記憶媒体を受け付けた場合に、該記憶媒体に関連付けられた情報に基づいて優先的に選択対象となる遊技種を設定する設定工程と
を含んだことを特徴とする遊技媒体貸出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−59421(P2013−59421A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198863(P2011−198863)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】