説明

遊技システム及び遊技方法

【課題】封入式遊技機における遊技媒体の貸し過ぎに対する対策を行うこと。
【解決手段】台間カード処理機10は、レートを変更可能な封入式遊技機20よりレートを取得して設定レートデータ10e5として記憶する。台間カード処理機10は、遊技客による玉貸しボタン17bの押下操作を検知した場合には、設定レートデータ10e5に示されたレートに基づいてプリペイド価値から減算する値を特定し、プリペイド価値から減算する値に対応する数のパチンコ玉を貸し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技媒体の取出しが制限される遊技システム及び遊技方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店には、一般的に遊技機の機外にパチンコ玉等の遊技媒体を投出する遊技機(以下、「開放式遊技機」と言う)が配設されてきたが、最近になって、他店からの持込玉や異なる貸出レート間の持込玉の問題が顕在化してきたため、かかる持込玉が発生しない封入式遊技機が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、遊技客がパチンコ玉に触れない構造とし、パチンコ玉が入賞すると該入賞分のパチンコ玉数を持玉数に加算し、入賞しない打込玉分のパチンコ玉数を持玉数から減算する封入式遊技機が開示されている。
【0004】
ところで、最近になって、複数の貸出レート(以下、単に「レート」と言う)で遊技媒体を貸し出す遊技店が増加してきたため、上記封入式遊技機に併設される各台装置において遊技客自らが複数のレートのうちの所望のレートを選択できるようにする仕組みが考えられる。
【0005】
このため、投資額を減らしたい遊技客は、かかる封入式遊技機において低レート(例えば、1玉1円)を選択し、より多くの獲得景品を取得したい遊技客は、かかる封入式遊技機において高レート(例えば、1玉4円)を選択することになる。従来、1回の玉貸し操作で減算されるプリペイド価値が固定であり、例えば1回の玉貸し操作で1000円分のプリペイド価値が減算されるため、1玉1円のレートが選択された場合には1000玉の持玉数が得られ、1玉4円のレートが選択された場合には250玉の持玉数が得られることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−233635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、低レートが選択されたとはいえ、1回の玉貸し操作によって1000玉もの持玉数を貸出処理するのは遊技客にとって望ましくない。大当たりが早期に発生すると、残りの持玉数が未使用であるにもかかわらず、遊技客は、該未使用の持玉数を景品交換するしかないからである。
【0008】
特に、低レートを選択する遊技客は、大当たり確率の低い機種を選択して投資額を抑制しようとする傾向があるため、1回の玉貸し操作で多量の玉貸処理を行うと、未使用の持玉数が発生する可能性が高くなる。
【0009】
これらのことから、封入式遊技機においてパチンコ玉の貸し過ぎに対する対策を講じることが重要な課題となっている。かかる課題は、レート選択を行う場合だけではなく、レートが同一であっても交換率やプレミアの付与率が異なる場合など、運営上遊技に用いる遊技媒体を相互に分別して扱うべきものと定められている種別(以下、「遊技種」と言う)を変更する場合にも同様に生ずる課題である。また、パチンコ玉を遊技媒体として使用する場合だけでなく、メダルを遊技媒体として使用する場合にも同様に生ずる課題である。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の課題を解消するためになされたものであって、封入式遊技機における遊技媒体の貸し過ぎに対する対策が可能な遊技システム及び遊技方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機と、前記封入式遊技機に対して前記遊技媒体の貸出処理を行う各台装置とを含む遊技システムであって、前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された遊技種に基づいて、遊技客による貸出操作1回当りに有価価値残数から減算する有価価値減算値を設定する有価価値減算値設定手段と、前記貸出操作を受け付けた場合に、前記有価価値減算値設定手段により設定された有価価値減算値を前記有価価値残数から減算し、前記有価価値減算値に対応する数の遊技媒体を貸出処理する貸出処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機と、前記封入式遊技機に対して前記遊技媒体の貸出処理を行う各台装置とを含む遊技システムであって、前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定手段と、前記封入式遊技機による遊技に供される第1の遊技媒体数を管理する第1の遊技媒体数管理手段と、前記特定手段により特定された遊技種に基づいて、前記第1の遊技媒体数の上限値を設定する上限値設定手段と、遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技媒体数管理手段により管理される第1の遊技媒体数と前記上限値設定手段により設定された上限値とに基づいて前記第1の遊技媒体数に加算する加算遊技媒体数を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、第2の遊技媒体数を管理する第2の遊技媒体数管理手段をさらに備え、前記制御手段は、遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、所定の遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に加算し、該加算の結果が前記上限値を超過する場合には該超過分を前記第2の遊技媒体数管理手段が管理する第2の遊技媒体数に加算し、前記第1の遊技媒体数が管理する第1の遊技媒体数を前記上限値とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記第2の遊技媒体数管理手段は、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を下回った場合に、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を超えない範囲で前記第2の遊技媒体数を前記遊技媒体数に移行することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記封入式遊技機の遊技により獲得された遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に加算し、該加算の結果が前記上限値を超過する場合には該超過分を第3の遊技媒体数として管理する第3の遊技媒体数管理手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記第3の遊技媒体数管理手段は、遊技客による所定の操作を受け付けたことを条件に、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を超えない範囲で前記第3の遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に移行することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機を用いる遊技方法であって、前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定工程と、前記特定工程により特定された遊技種に基づいて、遊技客による貸出操作1回当りに有価価値残数から減算する有価価値減算値を設定する有価価値減算値設定工程と、前記貸出操作を受け付けた場合に、前記有価価値減算値設定工程により設定された有価価値減算値を前記有価価値残数から減算し、前記有価価値減算値に対応する数の遊技媒体を貸出処理する貸出処理工程とを含んだことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機を用いる遊技方法であって、前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定工程と、前記封入式遊技機による遊技に供される第1の遊技媒体数を管理する第1の遊技媒体数管理工程と、前記特定工程により特定された遊技種に基づいて、前記第1の遊技媒体数の上限値を設定する上限値設定工程と、遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技媒体数管理工程により管理される第1の遊技媒体数と前記上限値設定工程により設定された上限値とに基づいて前記第1の遊技媒体数に加算する加算遊技媒体数を制御する制御工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、封入式遊技機の遊技種を特定し、特定された遊技種に基づいて、遊技客による貸出操作1回当りに有価価値残数から減算する有価価値減算値を設定し、貸出操作を受け付けた場合に、設定された有価価値減算値を有価価値残数から減算し、有価価値減算値に対応する数の遊技媒体を貸出処理するよう構成したので、封入式遊技機における遊技媒体の貸し過ぎを防止することができる。
【0020】
また、本発明によれば、封入式遊技機の遊技種を特定し、封入式遊技機による遊技に供される第1の遊技媒体数を管理し、特定された遊技種に基づいて第1の遊技媒体数の上限値を設定し、遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、第1の遊技媒体数と上限値とに基づいて第1の遊技媒体数に加算する加算遊技媒体数を制御するよう構成したので、封入式遊技機において遊技媒体を貸し過ぎた場合に、遊技客を効率良く救済することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】図2は、実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した台間カード処理機及び封入式遊技機の外観構成を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示した玉貸しテーブルについて説明するための説明図である。
【図6】図6は、プリペイド価値の残数と持玉数の表示について説明するための説明図である。
【図7】図7は、台間カード処理機の電源投入時の処理手順について説明するフローチャートである。
【図8】図8は、台間カード処理機による玉貸し処理について説明するフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る持玉の管理について説明するための説明図である。
【図10】図10は、実施例2に係る台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、図10に示した発射可能持玉テーブルについて説明するための説明図である。
【図12】図12は、台間カード処理機による発射可能持玉上限の設定処理について説明するフローチャートである。
【図13】図13は、台間カード処理機及び封入式遊技機による玉貸し処理について説明するフローチャートである。
【図14】図14は、台間カード処理機による玉数管理処理について説明するフローチャートである。
【図15】図15は、一体型の封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る遊技システム及び遊技方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【0023】
本明細書中にあって持玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体または当該遊技媒体数を示すデータであって、その当日中(閉店より前の時間)のみ遊技に再度供することができるものを言う。貯玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体また当該遊技媒体数を示すデータであって、翌日以降(閉店より後の時間)も遊技に再度供することができるものを言う。持玉は、一般遊技客および会員遊技客の双方が使用可能であり、遊技台を移動した場合等に使用する。貯玉は通常、会員遊技客のみが使用可能であり、獲得した遊技媒体を翌日以降の遊技に用いる場合に使用する。貯玉の使用には所定の手数料が課される(手数料は遊技媒体数を減算することで徴収される)ことが通常であるが、時間帯や会員種別によって徴収しないこととしてもよい。
【実施例1】
【0024】
まず、本実施例1に係る遊技システムの概念について説明する。図1は、本実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。封入式遊技機20は、複数のレートの中からレートを選択して設定可能である。このレートの選択は、遊技客や店員により行われる。封入式遊技機20は、遊技客や店員により選択されたレートを設定レートデータとして記憶する。
【0025】
遊技客が封入式遊技機20の前面に設けられた玉貸しボタンを押下操作すると、封入式遊技機20に併設された台間カード処理機10は、プリペイド価値を減算して、封入式遊技機20の持玉を加算させる。ここで、台間カード処理機10は、封入式遊技機20より取得した設定レートデータに基づいて、プリペイド価値から減算する値を決定する。
【0026】
図1に示すように、設定レートデータに4円レートが設定されていたならば、台間カード処理機10は、プリペイド価値を1000円分減算し、封入式遊技機20の持玉を250玉加算する。また、設定レートデータに1円レートが設定されていたならば、台間カード処理機10は、プリペイド価値を250円分減算し、封入式遊技機20の持玉を250玉加算する。
【0027】
このように、台間カード処理機10が玉貸しボタンの操作に基づいてパチンコ玉の貸し出しを行う場合に、プリペイド価値から減算する値を設定レートデータに基づいて変更することで、パチンコ玉の貸し過ぎを防止することができる。
【0028】
次に、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この遊技システムは、複数の封入式遊技機20と、各封入式遊技機20にそれぞれ対応して設けられた台間カード処理機10と、カード管理装置40と、会員管理装置50と、ホールコンピュータ60と、景品管理装置70と、精算機80とが通信回線90を介して接続されている。
【0029】
封入式遊技機20は、装置内部に封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行うパチンコ機等の装置である。この封入式遊技機20は、持玉数の範囲内で、遊技領域にパチンコ玉を打ち込むことができる。当該遊技領域には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域をパチンコ玉が通過したことに基づいて所定個数のパチンコ玉を賞玉として付与するようになっている。また、遊技領域には、所定個数の始動領域(始動口)が設けられており、当該始動領域をパチンコ玉が通過したことに基づいて所定の抽選を行うこととなっている。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、前述の入賞領域あるいは他の始動領域へのパチンコ玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。なお、始動領域と入賞領域を兼ねた領域があってもよい。
【0030】
上記入賞領域には、当該入賞領域へのパチンコ玉の通過を検出するための所定の検出センサが設けられており、当該センサにより、入賞領域へ打ち込まれたパチンコ玉の通過(入賞)を検出するようになっている。また、封入式遊技機20は、入賞領域ごとに何個のパチンコ玉を賞玉として付与するかを記憶する賞玉メモリを有する。また、封入式遊技機20は、遊技客が遊技に使用できる持玉数を記憶する持玉データを記憶部に記憶させている。
【0031】
したがって、打ち込んだパチンコ玉の特定の入賞領域への通過がセンサにより検出されると、賞玉メモリの記憶内容と、入賞領域を通過したパチンコ玉数から付与すべき賞玉数を決定し、決定した賞玉数を持玉データが示す持玉数に加算して記憶内容を更新する。また、台間カード処理機10からカード排出操作に基づく持玉数の通知要求があったなら、持玉データが示す持玉数を台間カード処理機10に通知して、持玉データを「0」にクリアする。さらに、台間カード処理機10から玉貸し操作に基づく持玉数の通知を受けた場合には、通知された持玉数を持玉データに示された持玉数に加算して記憶内容を更新する。
【0032】
封入式遊技機20は、所定数のパチンコ玉を遊技領域に打ち込む度にパルス信号をホールコンピュータ60に対して送信する。また、封入式遊技機20は、所定数のパチンコ玉を賞出玉として付与する度にパルス信号をホールコンピュータ60に対して送信する。なお、所定数のパチンコ玉を遊技領域に打ち込む度に送信するパルス信号と、所定数のパチンコ玉を賞出玉として付与する度に送信するパルス信号とは信号線を個別に設けることで識別可能とする。
【0033】
台間カード処理機10は、封入式遊技機20に対するパチンコ玉の貸し出しを行う装置である。台間カード処理機10は、遊技客が投入した紙幣を受け付けたならば、この紙幣分のプリペイド価値を記憶する。また、台間カード処理機10は、封入式遊技機20から設定レートデータを取得する。
【0034】
台間カード処理機10は、遊技客により玉貸しボタンが操作されたならば、設定レートデータに対応付けられた値をプリペイド価値から減算し、減算したプリペイド価値及び設定レートデータに対応する持玉数を封入式遊技機20の持玉数に加算させることでパチンコ玉の貸し出しを行う。また、台間カード処理機10は、所定数のパチンコ玉を貸し出す度にパルス信号をホールコンピュータ60に対して送信する。
【0035】
また、台間カード処理機10は、カードを受け付けたならば、該カードに関連付けられたプリペイド価値及び持玉数を記憶するとともに、カード返却操作を受け付けたならば、プリペイド価値及び持玉数をカードに関連付けて排出する処理を行う。
【0036】
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の封入式遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカードデータとして管理する管理装置である。
【0037】
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカードID及び持玉数を受信したならばカードデータを更新し、台間カード処理機10からカードIDを受信したならば、該カードIDに関連付けられた持玉数を台間カード処理機10に通知する。また、カード管理装置40は、景品管理装置70からカードIDを受信したならば、このカードIDに関連付けられた持玉数を景品管理装置70に対して通知する。
【0038】
また、カード管理装置40は、レート変更に係る運用モードを管理し、運用モードが「遊技客操作によるレート変更が可能なモード」であれば、設定レートデータを台間カード処理機10から取得する。
【0039】
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードのカードIDに関連づけて、貯玉、ポイント、来店回数、遊技履歴、暗証番号及び氏名等を管理する。
【0040】
ホールコンピュータ60は、封入式遊技機20から打込玉数を示すパルス信号及び賞出玉数を示すパルス信号を受信し、台間カード処理機10から貸出玉数を示すパルス信号を受信して、遊技機毎に貸出玉数、打込玉数、賞出玉数を管理する。
【0041】
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり貯玉及び持玉の景品交換処理を行う。景品管理装置70には、カードからカードIDを読み取るリーダライタ並びに特殊景品を払い出す装特殊景品払出装置が接続されている。景品管理装置70は、リーダライタがカードを受け付けた場合には、リーダライタで読み出したカードのカードIDをカード管理装置40に送信して、該カードの持玉数を要求する。また、貯玉を景品交換する場合は、会員管理装置50に対して貯玉数を要求する。
【0042】
精算機80は、プリペイド価値が関連付けられたカードを挿入されたならば、カードからプリペイド価値を読み取って対応する貨幣を払い出し、プリペイド価値を零にクリアする処理を行う。
【0043】
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成について説明する。図3は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成を示す図である。同図には紙幣のみを受け付ける台間カード処理機10を図示したが、硬貨受け付け用のユニットを設けることもできる。
【0044】
図3に示すように、台間カード処理機10は、台間カード処理機10の装置の状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部11と、パチンコ玉を貸し出す際の各種紙幣を受け付ける紙幣挿入口12とを有する。また、台間カード処理機10は、ディスプレイなどの表示部並びにテンキーや各種ボタンを含む操作部からなる表示操作部13と、カードID、プリペイド価値、貯玉データ及び持玉データが記憶されたカードを受け付けるカード挿入口14とが設けられている。
【0045】
また、封入式遊技機20には、封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込む際に使用するハンドル21と、プリペイド価値の残数を表示するプリペイド価値表示部15と、持玉数を表示する持玉数表示部16と、カード返却を指示するためのカード返却ボタン17aと、プリペイド価値から持玉への移行を指示するための玉貸しボタン17bと、レートの変更を指示するためのレート変更ボタン17cとが設けられている。その詳細な説明は後述するが、このプリペイド価値表示部15、カード返却ボタン17a及び玉貸しボタン17bは、封入式遊技機20の前面に設けられているものの、台間カード処理機10の制御部に直結されている。
【0046】
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成について説明する。図4は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、台間カード処理機10は、表示操作部13と、カードリーダライタ10aと、紙幣搬送部10bと、通信部10cと、パルス送信部10dと、記憶部10eと、制御部10fとを有する。
【0047】
カードリーダライタ10aは、カード挿入口14に挿入されたカードに記憶されたカードID及びプリペイド価値データを読み取る読取部である。なお、カード挿入口14に挿入されたカードは、このカードリーダライタ10aを経て図示しないカード収納部に収納される。
【0048】
紙幣搬送部10bは、紙幣挿入口12から挿入された紙幣の金種及び真偽を判別しつつ図示しない紙幣収納部に搬送する搬送部である。通信部10cは、封入式遊技機20の制御部及びカード管理装置40との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0049】
通信部10cは、セキュリティチップ部を有している。セキュリティチップは、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、封入式遊技機20及びカード管理装置40のセキュリティチップとの間で通信を行うためのものである。セキュリティチップは、通信部10cから入出力するデータが予め定められたセキュリティ性を要するデータ種別に該当するかどうかを判別し、該当しない場合はそのままデータの入出力を行う。一方、セキュリティ性を要するデータ種別に該当する場合は、データの入出力に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、封入式遊技機20又はカード管理装置40のセキュリティチップとの間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、出力の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを出力し、入力の場合は、相手方からのデータの入力待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。封入式遊技機20及びカード管理装置40のセキュリティチップとの間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。ここで、セキュリティ性を要しないデータとは、返却ボタン等の入力信号等、不正に入力されても実質的に損害のないものが含まれる。セキュリティ性を要するデータとは、持玉データ、遊技機における不正検出信号、貸玉の通知、貸玉の使用通知、レート情報など、遊技客・遊技店の利益に直接かかわるものが含まれる。また、セキュリティ性を要するデータ種別かどうかの判断は、制御部10fで行っても良い。また、相互認証にてNGとなった場合には、相互認証NGを検知した機器(遊技機あるいは台間カード処理機)は上位装置および自機の表示部に異常を出力した上で、エラーダウンする。
【0050】
パルス送信部10dは、制御部10fがプリペイド価値を減算してパチンコ玉を貸し出した場合に、所定数(例えば、10玉)毎に1パルスの貸玉信号を生成し、ホールコンピュータ60に送信する。
【0051】
記憶部10eは、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、カードID10e1、プリペイド価値データ10e3、玉貸しテーブル10e4及び設定レートデータ10e5を記憶する。
【0052】
カードID10e1は、カードリーダライタ10aで読み取られたカードIDである。図示しないカード収納部からカード挿入口14にカードが搬送され、該カードが排出される場合には、この搬送途中でカードリーダライタ10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。また、カード挿入口14から図示しないカード収納部にカードが搬送される場合にも、この搬送途中でカードリーダライタ10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。
【0053】
プリペイド価値データ10e3は、遊技客の現時点のプリペイド価値の残数を示す。プリペイド価値は、入金若しくはプリペイド価値が関連付けられたカードの挿入により加算され、玉貸しボタン17bの押下操作により減算される。
【0054】
玉貸しテーブル10e4は、レートと、玉貸しボタン17bの操作1回につき減算するプリペイド価値の値を示すプリペイド価値減算値と、玉貸しボタン17bの操作1回につき貸し出すパチンコ玉の玉数を示す貸出玉数とを対応付けたテーブルである。
【0055】
設定レートデータ10e5は、パチンコ玉を貸し出す際のレートを示す。封入式遊技機20は、パチンコ玉1玉を何円で貸し出すかを遊技客又は店員の操作により変更することができる。台間カード処理機10は、封入式遊技機20より取得したレートを設定レートデータ10e5として記憶部10eに記憶させる。
【0056】
制御部10fは、台間カード処理機10を全体制御する制御部であり、データ管理部10f1、紙幣処理部10f2、カード処理部10f3、レート取得部10f4及び玉貸しテーブル管理部10f5を有する。また、この制御部10fには、すでに説明したように、プリペイド価値表示部15、カード返却ボタン17a及び玉貸しボタン17bが直結されている。
【0057】
データ管理部10f1は、記憶部10eに記憶したプリペイド価値データ10e3及び設定レートデータ10e5を用いて、プリペイド価値を管理する管理部である。データ管理部10f1は、玉貸しボタン17bが押下操作されると、設定レートデータ10e5を読み出す。データ管理部10f1は、設定レートデータ10e5に示されたレートに対応するプリペイド価値減算値及び貸出玉数を玉貸しテーブル10e4から読み出す。
【0058】
データ管理部10f1は、読み出したプリペイド価値減算値をプリペイド価値データ10e3から減算し、読み出した貸出玉数を貸し出すよう封入式遊技機20に通知する。また、データ管理部10f1は、紙幣挿入口12に紙幣が挿入されると、この紙幣分に相当するプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。また、データ管理部10f1は、カード挿入口14からカードが挿入された場合に、このカードに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。なお、ここでは説明の便宜上、「加算」及び「減算」を行う場合を示しているが、例えばプリペイド価値データ10e3そのものに加算するのではなく、加算した値でプリペイド価値データ10e3を更新することも可能である。
【0059】
紙幣処理部10f2は、紙幣挿入口12から受け付けた紙幣を搬送制御しつつ該紙幣の金種識別及び真偽識別を行った後に、該紙幣を図示しない紙幣収納部に収納する処理部である。
【0060】
カード処理部10f3は、カード挿入口14からカードを受け付けたならば、カードリーダライタ10aによりカードID及びプリペイド価値を読み取らせ、カードID10e1及びプリペイド価値データ10e3として記憶部10eに記憶させる。
【0061】
また、カード処理部10f3は、カードID10e1をカード管理装置40に送信して、該カードIDに関連付けられた持玉数をカード管理装置40から受け取り、封入式遊技機20の持玉数に加算させる。
【0062】
さらに、カード処理部10f3は、カード返却ボタン17aの押下操作を受け付けたならば、封入式遊技20より持玉数を取得し、取得した持玉数と、カードID10e1と、設定レートデータ10e5とをカード管理装置40に送信してカードデータを更新させる。その後、プリペイド価値データ10e3をカードに書き込んでカード挿入口14から返却する。なお、プリペイド価値データ10e3をカードに書き込んだ後、プリペイド価値データ10e3は零にクリアされる。
【0063】
レート取得部10f4は、封入式遊技機20からレートを取得し、設定レートデータ10e5として記憶部10eに記憶させる処理を行う。封入式遊技機20からのレートの取得は、開店時や封入式遊技機20によるレート変更時に行う。
【0064】
玉貸しテーブル管理部10f5は、玉貸しテーブル10e4を管理する処理部である。玉貸しテーブル管理部10f5は、カード管理装置40等の上位装置から玉貸しテーブル10e4を受信し、記憶部10eに記憶させる。
【0065】
プリペイド価値表示部15は、封入式遊技機20の前面に設けられており、台間カード処理機10の制御部10fに直結している。プリペイド価値表示部15は、台間カード処理機10の記憶部10eに記憶されたプリペイド価値データ10e3の残度数を表示する。
【0066】
封入式遊技機20は、持玉数表示部16、レート変更ボタン17c、通信部22、記憶部23、遊技制御部24、記憶部25、制御部26及びパルス送信部27を有する。持玉数表示部16は、封入式遊技機20の前面に設けられており、後述する持玉データ23bが示す持玉数を表示する。
【0067】
通信部22は、台間カード処理機10との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。通信部22は、セキュリティチップを有している。セキュリティチップは、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間で通信を行うためのものである。セキュリティチップは、通信部22から入出力するデータが予め定められたセキュリティ性を要するデータ種別に該当するかどうかを判別し、該当しない場合はそのままデータの入出力を行う。一方、セキュリティ性を要するデータ種別に該当する場合は、データの入出力に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、台間カード処理機10のセキュリティチップとの間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、出力の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを出力し、入力の場合は、相手方からのデータの入力待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。台間カード処理機10のセキュリティチップとの間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。ここで、セキュリティ性を要しないデータとは、返却ボタン等の入力信号等、不正に入力されても実質的に損害のないものが含まれる。セキュリティ性を要するデータとは、持玉データ、遊技機における不正検出信号など、遊技客・遊技店の利益に直接かかわるものが含まれる。また、セキュリティ性を要するデータ種別かどうかの判断は、制御部26で行っても良い。
【0068】
台間カード処理機10は、カード返却時に、封入式遊技機20からの持玉データを受信するが、この際に台間カード処理機10と封入式遊技機20との間の通信がオフラインであれば、封入式遊技機20に持玉データを保持し、封入式遊技機20の上位装置(例えばホールコンピュータ60)とカード管理装置との間でデータの受け渡しを行っても良い。
【0069】
封入式遊技機20の記憶部23及び記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部23は、遊技管理データ23aを記憶する。遊技管理データ23aは、封入式遊技機20の遊技処理の管理に使用するデータである。記憶部25は、持玉データ23b及び設定レートデータ23dを記憶する。
【0070】
遊技制御部24は、記憶部23及び制御部26と接続し、封入されたパチンコを用いた遊技を制御する制御部である。遊技制御部24は、遊技領域に打ち込んだ玉数が所定数、例えば10玉となる度に、パルス送信部27に打込玉を示すパルス信号を送信させる。また、遊技制御部24は、賞出玉が発生した場合には、所定数、例えば10玉毎にパルス送信部27に賞出玉を示すパルス信号を送信させる。なお、所定数毎のパルス送信に代えて、1玉単位で個数を示す情報を送信してもよい。
【0071】
制御部26は、通信制御部26a、持玉管理部26b、レート変更部26c及び動作モード設定部26dを有する。通信制御部26aは、台間カード処理機10との通信並びに遊技制御部24との通信を制御する制御部である。持玉管理部26bは、持玉データ23bを管理する処理部である。
【0072】
具体的には、持玉管理部26bは、台間カード処理機10から持玉に追加する玉数の通知を受けたならば、通知された玉数を加算して持玉データ23bを更新する。また、持玉管理部26bは、遊技制御部24が遊技領域にパチンコ玉を打ち出す度に持玉数を減算し、パチンコ玉が入賞した場合に入賞に応じた持玉数を加算して持玉データ23bを更新する。
【0073】
また、持玉管理部26bは、カード返却ボタン17aが押下操作された場合は、持玉データ23bが示す持玉数とともに、カード返却指示を台間カード処理機10に送信し、持玉データ23bを零にクリアする。
【0074】
レート変更部26cは、遊技客の操作によるレート変更を許可する動作モードであれば、レート変更ボタン17cの押下操作に基づいてレートを変更する処理を行う処理部である。レート変更部26cは、遊技客の操作によるレート変更を許可する動作モードである場合には、レート変更ボタン17cが遊技客により押下操作される度にレートを切替えて設定レートデータ23dを更新し、切替後のレートを持玉数表示部16等に表示する。また、レートが変更されたならば、持玉数表示部16への持玉の表示もレートに合わせて変更する。
【0075】
具体的には、持玉データ23bが示す値を設定レートデータ23dが示す値で除算して表示する。除算に余がでる場合には、端数があることを合わせて表示する。また、持玉数表示部16に、持玉数とともに貸出玉数の合計を貸玉数として表示してもよい。
【0076】
動作モード設定部26dは、封入式遊技機20の動作モードを設定する処理部である。動作モード設定部26dは、レート変更に係る動作モードとして、「遊技客の操作によりレート変更を許可する動作モード」、「店員の操作によりレート変更を許可するモード」及び「レート変更を許可しない動作モード」を有する。動作モードの変更は、上位装置からの制御や、スイッチ操作により行う。店員の操作によりレート変更を許可する場合には、店員が携行する店員リモコン等の店員携帯端末(以下、店員端末)と赤外線通信などの非接触通信で通信し、該店員端末から受信した端末識別情報をもとに、上位装置に当該店員端末が正当なものであるかどうかの問い合わせを行うことにより、店員端末の認証を行う。また、認証に際しては端末識別情報だけでなく、店員を特定する識別情報をも店員端末から受信し、通信を行った店員をこれにより特定することが好ましい。なお、店員操作によるレート変更は、開店時や閉店時に行う場合と、営業中に遊技客の要望で行う場合とを含む。
【0077】
店員の操作によりレート変更を許可するモードを使用し、開店や閉店時、すなわち営業時間外にレート変更を行う場合には、レート変更部26cは、開店による電源投入時に設定されたレートを読み込んで、その後の動作に用いる。
【0078】
次に、図4に示した玉貸しテーブル10e4について説明する。図5は、図4に示した玉貸しテーブル10e4について説明するための説明図である。図5に示すように、玉貸しテーブル10e4は、レートにプリペイド価値減算値及び貸出玉数を対応付けたテーブルである。具体的には、レート「4」に対してプリペイド価値減算値「1000」及び貸出玉数「250」を対応付けている。また、レート「2」に対してプリペイド価値減算値「500」及び貸出玉数「250」を対応付けている。また、レート「1」に対してプリペイド価値減算値「250」及び貸出玉数「250」を対応付けている。
【0079】
すなわち、レートが「4」である場合には、玉貸しボタン17bが1回押下操作される度にプリペイド価値が「1000」減算され、「250」玉が貸し出されることになる。また、レートが「2」である場合には、玉貸しボタン17bが1回押下操作される度にプリペイド価値が「500」減算され、「250」玉が貸し出されることになる。また、レートが「1」である場合には、玉貸しボタン17bが1回押下操作される度にプリペイド価値が「250」減算され、「250」玉が貸し出されることになる。
【0080】
このように、玉貸しテーブル10e4は、いずれのレートであっても玉貸しボタン17bが1回押下操作される度に「250」玉が貸し出されるように設定されている。なお、ここでは、全てのレートで貸出玉数を一致させる場合を例示したが、レートによって貸出玉数が異なるように設定することもできる。また、ここではレートにプリペイド価値減算値及び貸出玉数を対応付けたテーブルを例示したが、プリペイド価値減算値又は貸出玉数の一方をレートに対応付けるテーブルとしてもよい。
【0081】
次に、プリペイド価値の残数と持玉数の表示について説明する。既に説明したように、プリペイド価値の残数はプリペイド価値表示部15に表示され、持玉数は持玉数表示部16に表示される。このとき、プリペイド価値の所定の単位毎に記号を表示することで、プリペイド価値の残数と持玉数とを把握しやすくすることができる。図6は、プリペイド価値の残数と持玉数の表示について説明するための説明図である。図6は、プリペイド価値の250円毎に1個の記号を表示する場合を示す。4円レートでプリペイド価値の残数が「1000円」、持玉が「500玉」である場合には、プリペイド価値の残数に合わせて記号が4個表示され、持玉に合わせて記号が8個表示される。一方、1円レートでプリペイド価値の残数が「1000円」、持玉が「500玉」である場合には、プリペイド価値の残数に合わせて記号が4個表示され、持玉に合わせて記号が2個表示される。
【0082】
次に、台間カード処理機10の電源投入時の処理手順について説明する。図7は、台間カード処理機の電源投入時の処理手順について説明するフローチャートである。台間カード処理機10は、電源が投入されると、カード管理装置40からの開店処理の信号待ちを行う(ステップS101)。カード管理装置40からの開店処理の信号を受信したならば(ステップS102;Yes)、台間カード処理機10は、封入式遊技機20と通信可能であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0083】
封入式遊技機20と通信可能でないならば(ステップS103;No)、台間カード処理機10は、エラー出力を行って(ステップS107)、処理を終了する。封入式遊技機20と通信可能であるならば(ステップS103;Yes)、台間カード処理機10は、封入式遊技機20が開店処理済であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0084】
封入式遊技機20が開店処理済でないならば(ステップS104;No)、台間カード処理機10は、ステップS104に戻って封入式遊技機20の開店処理の終了を待機する。封入式遊技機20が開店処理済となったならば(ステップS104;Yes)、台間カード処理機10は封入式遊技機20に対して動作モードの問い合わせを行う(ステップS105)。また、台間カード処理機10は、封入式遊技機20より設定レートを取得し(ステップS106)、設定レートデータ10e5として記憶部10eに格納して、処理を終了する。
【0085】
次に、台間カード処理機10による玉貸し処理について説明する。図8は、台間カード処理機10による玉貸し処理について説明するフローチャートである。
【0086】
同図に示すように、台間カード処理機10は、玉貸しボタン17bの押下操作を検知すると(ステップS201;Yes)、記憶部10eより設定レートデータ10e5を読み出す(ステップS202)。玉貸しテーブル管理部10f5は、設定レートデータ10e5に示されたレートに対応付けられたプリペイド価値減算値及び貸出玉数を特定する(ステップS203)。
【0087】
データ管理部10f1は、特定された貸出玉数を含む玉貸し信号を封入式遊技機20に送信する(ステップS204)。封入式遊技機20は、玉貸し信号を受信したならば、貸出玉数を持玉数に加算し、玉貸し完了通知を台間カード処理機10に送信する。
【0088】
データ管理部10f1は、封入式遊技機20より玉貸し完了通知を受信すると(ステップS205;Yes)、ステップS203で特定されたプリペイド価値減算値をプリペイド価値データ10e3から減算し(ステップS206)、玉貸し処理を終了する。
【0089】
上述してきたように、本実施例1では、台間カード処理機10は、レートを変更可能な封入式遊技機20よりレートを取得して設定レートデータ10e5として記憶し、玉貸しボタン17bの押下操作を検知した場合には、設定レートデータ10e5に示されたレートに基づいてプリペイド価値から減算する値を特定し、プリペイド価値から減算する値に対応する数のパチンコ玉を貸し出すよう構成したので、パチンコ玉の貸し過ぎを防止することができる。
【0090】
また、プリペイド価値の残数と持玉数の表示する際に、プリペイド価値の所定の単位毎に記号を表示することで、プリペイド価値の残数と持玉数とを把握しやすくすることができる。
【実施例2】
【0091】
本実施例2では、従来の開放式遊技機の上皿に所在するパチンコ玉に対応する発射可能持玉をデータとして管理し、該発射可能持玉に上限を設定し、貸し出したパチンコ玉を発射可能持玉に加算する際に発射可能持玉の上限を超える場合には貸出待機玉として発射可能持玉とは別に管理する構成について説明する。
【0092】
図9は、実施例2に係る持玉の管理について説明するための説明図である。本実施例2では、持玉を発射可能持玉、貸出待機玉、賞出持玉に区別して管理する。発射可能持玉は、従来の遊技機の上皿に所在するパチンコ玉に対応する持玉であり、パチンコ玉を打ち出した場合にはこの発射可能持玉を減算する。
【0093】
パチンコ玉を貸し出す際には、貸玉の数を発射可能持玉に加算する。この加算により、発射可能持玉が上限を超えた場合には、上限との差分を貸玉オーバーフロー分として貸出待機玉に加算する。貸出待機玉は、パチンコ玉の発射により発射可能持玉が上限値を下回った場合には、該上限を超えない範囲で自動的に発射可能持玉に移行する。
【0094】
発射したパチンコ玉が当りとなり、賞出玉が得られた場合には、賞出玉を発射可能持玉に加算する。この加算により、発射可能持玉が上限を超えた場合には、上限との差分を賞出玉オーバーフロー分として賞出持玉に加算する。遊技客により持玉払出操作を受け付けたならば、所定数の賞出持玉を発射可能持玉に移行する。すなわち、賞出持玉は、従来の開放式遊技機において各台計数機により計数された持玉に相当する。
【0095】
このように、貸し出したパチンコ玉のうち、発射可能持玉の上限を超える分については、貸出待機玉として別管理したならば、貸出待機玉についてはプリペイド価値への払い戻しや、精算機80による精算が可能となるので、パチンコ玉の貸し過ぎを防止することができる。
【0096】
次に、本実施例2に係る台間カード処理機110及び封入式遊技機120の内部構成について説明する。図10は、実施例2に係る台間カード処理機110及び封入式遊技機120の内部構成を示すブロック図である。
【0097】
図10に示す台間カード処理機110は、記憶部10eに玉貸しテーブル10e4に代えて発射可能持玉テーブル10e6を記憶し、制御部10fに玉貸しテーブル管理部10f5に代えて発射可能持玉設定部10f6を有する点が実施例1に示した台間カード処理機10と異なる。その他の構成及び動作については実施例1に示した台間カード処理機10と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0098】
また、図10に示す封入式遊技機120の記憶部25は、持玉データ23bではなく発射可能持玉データ23f、貸出待機玉データ23g及び賞出持玉データ23hを記憶する。また、記憶部25は、発射可能持玉上限23eを記憶する。制御部26の持玉管理部121は、実施例1に示した持玉管理部26bと動作が異なる。その他の構成及び動作については実施例1に示した封入式遊技機120と同様のであるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
台間カード処理機10の記憶部10eが記憶する発射可能持玉テーブル10e6は、レートと、発射可能持玉上限値とを対応付けたテーブルである。台間カード処理機10の制御部10fが有する発射可能持玉設定部10f6は、カード管理装置40等の上位装置から発射可能持玉テーブル10e6を受信し、記憶部10eに記憶させる。
【0100】
発射可能持玉設定部10f6は、設定レートデータ10e5に示されたレートに対応する発射可能持玉上限を発射可能持玉テーブル10e6から読み出して、封入式遊技機120に送信する。
【0101】
封入式遊技機120の制御部26が有する持玉管理部121は、台間カード処理機10より受信した発射可能持玉上限を発射可能持玉上限23eとして記憶部25に記憶させる。
【0102】
持玉管理部26bは、発射可能持玉データ23f、貸出待機玉データ23g及び賞出持玉データ23hを管理する処理部である。具体的には、持玉管理部121は、台間カード処理機10から持玉に追加する玉数の通知を受けたならば、通知された玉数を発射可能持玉データ23fに加算して更新する。この加算により、発射可能持玉データ23fに示された発射可能持玉数が発射可能持玉上限23eを超えた場合には、その差分を貸玉オーバーフロー分として貸出待機玉データ23gに加算する。
【0103】
また、持玉管理部121は、遊技制御部24が遊技領域にパチンコ玉を打ち出す度に発射可能持玉データ23fを減算する。この減算により発射可能持玉データ23fに示された発射可能持玉が発射可能持玉上限23eを下回り、貸出待機玉データ23gに示された貸出待機玉数が0より大きければ、発射可能持玉上限23eを超えない範囲で貸出待機玉を発射可能持玉に移行する。
【0104】
発射したパチンコ玉が当りとなり、賞出玉が得られた場合には、持玉管理部121は、賞出玉を発射可能持玉データ23fに加算して更新する。この加算により、発射可能持玉データ23fに示された発射可能持玉が発射可能持玉上限23eを超えた場合には、その差分を賞出玉オーバーフロー分として賞出持玉データ23hに加算する。遊技客により持玉払出操作を受け付けたならば、持玉管理部121は、所定数の賞出持玉データ23hを所定数減算し、発射可能持玉データ23fを所定数加算する。
【0105】
また、持玉管理部121は、カード返却ボタン17aが押下操作された場合は、発射可能持玉データ23fと賞出持玉データ23hとを加算して持玉として台間カード処理機110に送信し、発射可能持玉データ23f及び賞出持玉データ23hを零にクリアする。貸出待機玉データ23gは、持玉に合算してもよいが、持玉とは別に台間カード処理機110に送信することで、プリペイド価値への払い戻しや精算を可能とすることが望ましい。
【0106】
次に、図10に示した発射可能持玉テーブル10e6について説明する。図11は、図10に示した発射可能持玉テーブル10e6について説明するための説明図である。図11に示すように、発射可能持玉テーブル10e6は、レートに発射可能持玉上限を対応付けたテーブルである。具体的には、レート「4」に対して発射可能持玉上限「300」を対応付けている。また、レート「2」に対して発射可能持玉上限「200」を対応付けている。また、レート「1」に対して発射可能持玉上限「150」を対応付けている。
【0107】
次に、台間カード処理機110による発射可能持玉上限の設定処理について説明する。図12は、台間カード処理機110による発射可能持玉上限の設定処理について説明するフローチャートである。
【0108】
同図に示すように、台間カード処理機110は、遊技店の店員により封入式遊技機120のレートが変更されたならば(ステップS301;Yes)、封入式遊技機120より変更後のレートを取得し、設定レートデータ10e5として記憶部10eに記憶する(ステップS302)。
【0109】
ステップS302の後、発射可能持玉設定部10f6は、設定レートデータ10e5に示されたレートに対応する発射可能持玉上限を発射可能持玉テーブル10e6により特定する(ステップS303)。発射可能持玉設定部10f6は、特定した発射可能持玉上限値を封入式遊技機120に送信して(ステップS304)、処理を終了する。封入式遊技機120は、台間カード処理機110より受信した発射可能持玉上限を発射可能持玉上限23eとして記憶部25に記憶する。
【0110】
次に、台間カード処理機110及び封入式遊技機120による玉貸し処理について説明する。図13は、台間カード処理機110及び封入式遊技機120による玉貸し処理について説明するフローチャートである。台間カード処理機110は、玉貸しボタン17bの押下操作を検知すると(ステップS401;Yes)、玉貸し信号を封入式遊技機120に送信する(ステップS402)。玉貸し信号の送信後、封入式遊技機120より玉貸し完了通知を受信すると(ステップS403;Yes)、台間カード処理機110は、プリペイド価値データ10e3から予め定められた所定値を減算し(ステップS404)、玉貸し処理を終了する。
【0111】
封入式遊技機120は、台間カード処理機110より玉貸し信号を受信すると(ステップS501;Yes)、発射可能持玉に予め定められた所定数を加算し(ステップS502)、台間カード処理機110に玉貸し完了通知を送信する(ステップS503)。
【0112】
また、封入式遊技機120は、所定数を加算した後の発射可能持玉が発射可能持玉上限を超えるか否かを判定する(ステップS504)。所定数を加算した後の発射可能持玉が発射可能持玉上限以下であるならば(ステップS504;No)、封入式遊技機120は、玉貸し処理を終了する。所定数を加算した後の発射可能持玉が発射可能持玉上限を超えるならば(ステップS504;Yes)、封入式遊技機120は、発射可能持玉上限を超える分(オーバーフロー分)を発射可能持玉から貸出待機玉に移行して(ステップS505)、玉貸し処理を終了する。
【0113】
次に、封入式遊技機120による玉数管理処理について説明する。図14は、台間カード処理機10による玉数管理処理について説明するフローチャートである。封入式遊技機120は、遊技客の操作によりパチンコ玉が発射されると(ステップS601;Yes)、発射可能持玉データ23fに示された発射可能持玉数を減算する(ステップS602)。
【0114】
ステップS602の後、貸出待機玉データ23gにより示される貸出待機玉数が0より大きければ(ステップS603;Yes)、持玉管理部121は、発射可能持玉上限23eを超えない範囲で貸出待機玉を発射可能持玉に移行する(ステップS604)。
【0115】
パチンコ玉を発射していない場合(ステップS601;No)、貸出待機玉数が0である場合(ステップS603;No)若しくはステップS604の後、封入式遊技機120は、賞出玉が発生したか否かを判定する(ステップS605)。
【0116】
賞出玉が発生した場合(ステップS605;Yes)、封入式遊技機120は、賞出玉数を発射可能持玉数に加算する(ステップS606)。封入式遊技機120は、賞出玉数を加算した後の発射可能持玉数が発射可能持玉上限を超えるか否かを判定する(ステップS607)。賞出玉数を加算した後の発射可能持玉数が発射可能持玉上限を超えるならば(ステップS607;Yes)、封入式遊技機120は、発射可能持玉上限を超える分(オーバーフロー分)を発射可能持玉から賞出持玉に移行する(ステップS608)。
【0117】
賞出玉が発生していない場合(ステップS605;No)、賞出玉数を加算した後の発射可能持玉数が発射可能持玉上限以下である場合(ステップS607;No)若しくはステップS608の終了後、封入式遊技機120は、遊技客による持玉再プレイ操作がなされたか否かを判定する(ステップS609)。
【0118】
遊技客により持玉再プレイ操作がなされたならば(ステップS609;Yes)、所定数の賞出持玉を発射可能持玉に移行する(ステップS610)。ここで、所定数の賞出持玉を発射可能持玉に加算すると発射可能持玉上限を超える場合には、所定数ではなく発射可能持玉上限までの差分だけを賞出持玉から発射可能持玉に移行させる。
【0119】
持玉再プレイ操作がなされていない場合(ステップS609;No)若しくはステップS610の後、封入式遊技機120は玉数管理処理を終了する。なお、この玉数管理処理は、遊技中に繰り返し実行される。
【0120】
次に、台間カード処理機の機能を内蔵した一体型の封入式遊技機について説明する。図15は、一体型の封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。図示していないが、封入式遊技機は、遊技機の種類ごとに異なる障害釘配置・演出表示装置を備える遊技盤面部と、遊技機の種類を問わず共通の機能を有する共通枠体部とを含んでなる。
【0121】
遊技盤面部は、遊技機の機種を変更する場合に交換の対象となるが、共通枠体部は交換の対象とならず、遊技機の複数の機種で共通に用いられる。遊技盤面部には、前述の封入式遊技機20、封入式遊技機120が有していた構成のうち、遊技制御部が有している機能のみが搭載され、その他の構成および台間カード処理機が有していた構成は共通枠体部に設けられ、遊技盤面部を共通枠体部に接続した際にこれらの制御部同士が通信可能となることにより、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0122】
図15に示した封入式遊技機220は、カードリーダライタ10aと、紙幣搬送部10bと、表示操作部13と、通信部10cと、プリペイド価値表示部15と、持玉数表示部16とカード返却ボタン17aと、玉貸しボタン17bと、レート変更ボタン17cと、記憶部221と、制御部222とを有する。
【0123】
記憶部221は、台間カード処理機10の記憶部10eが記憶していたカードID10e1プリペイド価値データ10e3、玉貸しテーブル10e4及び設定レートデータ10e5を記憶する。また、記憶部221は、台間カード処理機110の記憶部10eが記憶していた発射可能持玉テーブル10e6を記憶する。また、記憶部221は、封入式遊技機120の記憶部23が記憶していた遊技管理データ23aを記憶する。また、記憶部221は、封入式遊技機120の記憶部25が記憶していた発射可能持玉上限23e、発射可能持玉データ23f、貸出待機玉データ23g及び賞出持玉データ23hを記憶する。
【0124】
制御部222は、台間カード処理機10の制御部10fが有していたデータ管理部10f1、紙幣処理部10f2、カード処理部10f3及び玉貸しテーブル管理部10f5を有する。また、制御部222は、台間カード処理機10の制御部10fが有していた発射可能持玉設定部10f6を有する。また、制御部222は、封入式遊技機20の遊技制御部24に対応する遊技制御部222aと、封入式遊技機120の持玉管理部121に対応する持玉管理部222bと、レート変更部26cと、動作モード設定部26dとを有する。
【0125】
その他の構成及び動作は、台間カード処理機10、台間カード処理機110、封入式遊技機20及び封入式遊技機120と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。このように、封入式遊技機220に台間カード処理機の機能を持たせた場合であっても、レートに基づくプリペイド価値減算値の変更制御並びにレートに基づく発射可能玉数上限の変更制御を行うことができる。
【0126】
上述してきたように、本実施例2では、従来の開放式遊技機の上皿に所在するパチンコ玉に対応する発射可能持玉をデータとして管理し、該発射可能持玉に上限を設定し、貸し出したパチンコ玉を発射可能持玉に加算する際に発射可能持玉の上限を超える場合には貸出待機玉として発射可能持玉とは別に管理するよう構成したので、貸出待機玉についてはプリペイド価値への払い戻しや、精算機80による精算が可能となり、パチンコ玉の貸し過ぎが発生した場合に遊技客を救済することができる。
【0127】
なお、上述の実施例1及び2では、遊技機としてパチンコ玉を用いるパチンコ遊技機を例にとって説明したが、本発明はこれに限らず、遊技機がパチンコ玉を用いる回胴式遊技機および遊技メダルを用いる回胴式遊技機であっても適用することができる。つまり、回胴式遊技機においては、上記実施例における特定の遊技領域を遊技球が通過したことによる「入賞」の信号に代えて、複数の回胴上の図柄組み合わせのうち、特定の図柄組み合わせがライン上に揃ったことによる「入賞」の信号を各台間カード処理機10が受信して処理を行うことで構成が実現できる。
【0128】
また、上述の実施例1及び2では、説明の便宜上、「複数のレートの中からレートを選択する場合」について説明したが、本発明は、「複数の遊技種の中から遊技種を選択する場合」に適用することもできる。この「遊技種」とは、レートが同一であっても交換率やプレミアの付与率が異なる場合など、運営上遊技に用いる遊技媒体を相互に分別して扱うべきものと定められている種別である。つまり、たとえ同一レートであっても複数の遊技種が存在し得る。
【0129】
また、上述の実施例1及び2では、遊技店の店員がレートを設定する場合について説明を行ったが、「遊技客の操作によりレート変更を許可する動作モード」においても適用可能である。かかる動作モードでは、遊技客がレートを変更する度にプリペイド価値減算値、貸出玉数及び発射可能玉数の上限値を変更することとなる。なお、遊技客が発射可能持玉の上限を変更可能としてもよい。また、例えば、レート情報から「500」が上限として設定されたなら、300玉から700玉の範囲で遊技者による設定を受け付ける。
【0130】
また、上述の実施例1及び2では、台間カード処理機の起動時に設定レートを取得し、貸出の度にプリペイド価値減算値、貸出玉数及び発射可能玉数を決定する構成を例示したが、台間カード処理機の起動時にプリペイド価値減算値、貸出玉数及び発射可能玉数を決定して記憶部に記憶し、貸出の際には記憶部からプリペイド価値減算値、貸出玉数及び発射可能玉数を読み出して使用するように構成してもよい。
【0131】
また、上述の実施例2では、1回の貸出操作により貸し出される貸出玉数を固定値とし、貸出により発射可能玉数が上限を超過する場合には、該超過分を貸出待機玉として管理する構成について説明を行ったが、貸出待機玉を設けるのではなく、貸出により発射可能玉数が上限を超えないよう貸出玉数自体を制御するよう構成してもよい。
【0132】
また、貸出単位のレートごとの設定に加えて、単位時間当りのプリペイド価値の換算数(例えば1000)を持玉に変える時間に最小値を設けて、これを超える速度のプリペイド価値の換算を制限しても良い。これにより、持玉の過度の消費を抑制することができる。
【0133】
また、発射可能持玉の上限は、台間カード処理機が記憶するのではなく、封入式遊技機で設定しておき、台間カード処理機10からレート情報を受信して封入式遊技機が設定する構成としてもよい。また、上位の装置(例えばカード管理装置)からの指示により設定してもよい。
【0134】
貸出単位数は、レートごとに封入式遊技機で記憶しておき、台間カード処理機からレート情報を受信して封入式遊技機が設定し、これを台間カード処理機に送信して設定してもよい。また、上位の装置(例えばカード管理装置)からの指示により設定してもよい。
【0135】
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0136】
例えば、台間カード処理機がレートに基づくプリペイド価値減算値の変更制御を行いつつ、封入式遊技機がレートに基づく発射可能玉数上限の変更制御を行うよう構成してもよい。また、レートに基づくプリペイド価値減算値の変更制御とレートに基づく発射可能玉数上限の変更制御のいずれかのみを行う一体型の封入式遊技機を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明に係る遊技システム及び遊技方法は、封入式遊技機における遊技媒体の貸し過ぎに対する対策に適している。
【符号の説明】
【0138】
10、110 台間カード処理機
10a カードリーダライタ
10b 紙幣搬送部
10c、22 通信部
10d パルス送信部
10e、23、25、221 記憶部
10e1 カードID
10e3 プリペイド価値データ
10e4 玉貸しテーブル
10e5、23d 設定レートデータ
10e6 発射可能持玉テーブル
10f、26、222 制御部
10f1 データ管理部
10f2 紙幣処理部
10f3 カード処理部
10f4 レート取得部
10f5 玉貸しテーブル管理部
10f6 発射可能持玉設定部
11 状態表示部
12 紙幣挿入口
13 表示操作部
14 カード挿入口
15 プリペイド価値表示部
16 持玉数表示部
17a カード返却ボタン
17b 玉貸しボタン
17c レート変更ボタン
20、120、220 封入式遊技機
21 ハンドル
23、222a 遊技制御部
23a 遊技管理データ
23b 持玉データ
23e 発射可能持玉上限
23f 発射可能持玉データ
23g 貸出待機玉データ
23h 賞出持玉データ
24、222a 遊技制御部
26a 通信制御部
26b、121、222b 持玉管理部
26c レート変更部
26d 動作モード設定部
27 パルス送信部
30 島コントローラ
40 カード管理装置
50 会員管理装置
60 ホールコンピュータ
70 景品管理装置
80 精算機
90 通信回線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機と、前記封入式遊技機に対して前記遊技媒体の貸出処理を行う各台装置とを含む遊技システムであって、
前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された遊技種に基づいて、遊技客による貸出操作1回当りに有価価値残数から減算する有価価値減算値を設定する有価価値減算値設定手段と、
前記貸出操作を受け付けた場合に、前記有価価値減算値設定手段により設定された有価価値減算値を前記有価価値残数から減算し、前記有価価値減算値に対応する数の遊技媒体を貸出処理する貸出処理手段と
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機と、前記封入式遊技機に対して前記遊技媒体の貸出処理を行う各台装置とを含む遊技システムであって、
前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定手段と、
前記封入式遊技機による遊技に供される第1の遊技媒体数を管理する第1の遊技媒体数管理手段と、
前記特定手段により特定された遊技種に基づいて、前記第1の遊技媒体数の上限値を設定する上限値設定手段と、
遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技媒体数管理手段により管理される第1の遊技媒体数と前記上限値設定手段により設定された上限値とに基づいて前記第1の遊技媒体数に加算する加算遊技媒体数を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【請求項3】
第2の遊技媒体数を管理する第2の遊技媒体数管理手段をさらに備え、
前記制御手段は、遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、所定の遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に加算し、該加算の結果が前記上限値を超過する場合には該超過分を前記第2の遊技媒体数管理手段が管理する第2の遊技媒体数に加算し、前記第1の遊技媒体数が管理する第1の遊技媒体数を前記上限値とすることを特徴とする請求項2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記第2の遊技媒体数管理手段は、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を下回った場合に、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を超えない範囲で前記第2の遊技媒体数を前記遊技媒体数に移行することを特徴とする請求項3に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記封入式遊技機の遊技により獲得された遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に加算し、該加算の結果が前記上限値を超過する場合には該超過分を第3の遊技媒体数として管理する第3の遊技媒体数管理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2、3又は4に記載の遊技システム。
【請求項6】
前記第3の遊技媒体数管理手段は、遊技客による所定の操作を受け付けたことを条件に、前記第1の遊技媒体数が前記上限値を超えない範囲で前記第3の遊技媒体数を前記第1の遊技媒体数に移行することを特徴とする請求項5に記載の遊技システム。
【請求項7】
遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機を用いる遊技方法であって、
前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定工程と、
前記特定工程により特定された遊技種に基づいて、遊技客による貸出操作1回当りに有価価値残数から減算する有価価値減算値を設定する有価価値減算値設定工程と、
前記貸出操作を受け付けた場合に、前記有価価値減算値設定工程により設定された有価価値減算値を前記有価価値残数から減算し、前記有価価値減算値に対応する数の遊技媒体を貸出処理する貸出処理工程と
を含んだことを特徴とする遊技方法。
【請求項8】
遊技媒体の取出しが制限される封入式遊技機を用いる遊技方法であって、
前記封入式遊技機の遊技種を特定する特定工程と、
前記封入式遊技機による遊技に供される第1の遊技媒体数を管理する第1の遊技媒体数管理工程と、
前記特定工程により特定された遊技種に基づいて、前記第1の遊技媒体数の上限値を設定する上限値設定工程と、
遊技客による貸出操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技媒体数管理工程により管理される第1の遊技媒体数と前記上限値設定工程により設定された上限値とに基づいて前記第1の遊技媒体数に加算する加算遊技媒体数を制御する制御工程と
を含んだことを特徴とする遊技方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−111409(P2013−111409A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263046(P2011−263046)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】