説明

遊技チップを使用するゲームマシンとゲームシステム

【課題】不正な遊技チップの検出精度の向上が可能なゲームマシンとゲームシステムを提供すること。
【解決手段】遊技チップ30には、ICタグ34が埋め込まれるとともに、肉眼では見ることができない特殊バーコード101を印刷する。サーバは、遊技チップ30の枚数について、リーダ38で読み取られたICタグ34の個別情報に基づいて算出し、バーコードスキャナ102で読み取られた特殊バーコード101の個別情報に基づいて算出し、計量装置40で計られた重量データに基づいて算出し、カメラ103で撮像された画像データに基づいて算出し、さらに、それぞれ算出された遊技チップ30の枚数の一部又は全部を照合し、その照合結果を、ディスプレイやスピーカから出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技チップを使用するゲームマシンとゲームシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技チップを使用するゲームマシンとゲームシステムには、トランスポンダーを埋め込んだ遊技チップを使用し、ゲームテーブルの下に備えたアンテナによって、そのゲームテーブルに搭載された遊技チップからの無線信号を検知すると、当該無線信号が生じている領域にカメラを向けて、その遊技チップを監視員が追跡できるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第5735742号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したゲームマシンやゲームシステムのように単一の読取装置しか備えられていない場合にあっては、無線信号を遮断する条件が遊技チップとアンテナの間で成立すると、その遊技チップからの無線信号をアンテナが検知できなくなってしまい、その遊技チップを追跡できない場合が発生する。従って、その遊技チップを追跡できなくなるだけでなく、不正な遊技チップが容易に使用されてしまうおそれがあった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、不正な遊技チップの検出精度の向上が可能なゲームマシンとゲームシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、ゲームマシンであって、識別コードを設けた遊技チップが載置されるゲーム用ボードと、前記ゲーム用ボード上の遊技チップの重量データを取得するメータと、前記ゲーム用ボード上の遊技チップの識別コードに表された個別情報を読み取るリーダと、前記メータからの重量データと前記リーダからの個別情報が入力されるプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、以下(a)〜(b)の処理を実行する:(a−1)前記メータからの重量データに基づいて前記ゲーム用ボード上の遊技チップの枚数を第1検出枚数として算出し、(a−2)前記リーダからの個別情報に基づいて前記ゲーム用ボード上の遊技チップの枚数を第2検出枚数として算出し、(b)前記第1検出枚数と前記第2検出枚数を照合する、ことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載のゲームマシンでは、上述のような構成を備えることにより、メータからの重量データとリーダからの個別情報に基づいて検出された遊技チップの枚数を照合することにより、不正な遊技チップの検出精度を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するゲームマシンであって、前記プロセッサに制御される出力装置を備え、前記プロセッサは、さらに以下(c)の処理を実行する:(c)前記(b)での照合結果に基づいた出力を前記出力装置に行わせる、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のゲームマシンでは、上述のような構成を備えることにより、不正が行われていること(例えば、照合結果が一致しない場合、不正な遊技チップが使用されている等)をリアルタイムで外部に報知することができる。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、ゲームマシンを管理するサーバを備えたゲームシステムであって、前記ゲームマシンは、識別コードを設けた遊技チップが載置されるゲーム用ボードと、前記ゲーム用ボード上の遊技チップの重量データを取得するメータと、前記ゲーム用ボード上の遊技チップの識別コードに表された個別情報を読み取るリーダと、前記メータからの重量データと前記リーダからの個別情報を当該ゲームマシンの個別情報とともに前記サーバに入力する通信装置と、を備え、前記サーバは、以下(a)〜(b)の処理を実行する:(a−1)前記メータからの重量データに基づいて当該ゲームマシンのゲーム用ボード上の遊技チップの枚数を第1検出枚数として算出し、(a−2)前記リーダからの個別情報に基づいて当該ゲームマシンのゲーム用ボード上の遊技チップの枚数を第2検出枚数として算出し、(b)前記第1検出枚数と前記第2検出枚数を照合する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のゲームシステムでは、上述のような構成を備えることにより、メータからの重量データとリーダからの個別情報に基づいて検出された当該ゲームマシンのゲーム用ボード上の遊技チップの枚数を照合することにより、不正な遊技チップの検出精度を向上させることができる。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載するゲームシステムであって、前記サーバに制御される出力装置を備え、前記サーバは、さらに以下(c)の処理を実行する:(c)前記(b)での照合結果に基づいた出力を前記出力装置に行わせる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載のゲームシステムでは、上述のような構成を備えることにより、不正が行われていること(例えば、照合結果が一致しない場合、不正な遊技チップが使用されている等)をリアルタイムで外部に報知することができる。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明では、不正な遊技チップの検出精度の向上が可能なゲームマシンとゲームシステムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態のゲームシステムは、ルーレットのベット用ボード上に載置された遊技チップが不正なものであるか否かを検出するものである。図1は、本発明の一実施形態であるゲームシステムの特徴を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態のゲームシステムでは、ルーレットに使用される遊技チップ30にICタグ34が埋め込まれている。また、ルーレットに使用されるベット用ボードには、遊技チップ30が載置されたベット部位を特定し、さらに、当該遊技チップ30のICタグ34に保存された個別情報を読み取るリーダ38が設けられている。そのリーダ38は、X側スキャンドライバ42から互いに平行に延出したX側送信アンテナ44及びX側受信アンテナ46と、Y側スキャンドライバ48から互いに平行に延出したY側送信アンテナ50及びY側受信アンテナ52とを、ベット用ボードの各ベット部位で直交配置することにより構成されている。
【0016】
遊技チップ30の側面の周囲には、肉眼では見ることができない特殊バーコード101が印刷されている。また、ベット用ボードの周辺には、特殊バーコード101に表された個別情報を読み取るバーコードスキャナ102が設けられている。
【0017】
また、ベット用ボードの各ベット部位には、当該ベット部位に載置された遊技チップ30の重量を計る計量装置40がそれぞれ設けられている。さらに、ベット用ボードの周辺には、各ベット部位に載置された遊技チップ30の外観を撮像するカメラ103が設けられている。
【0018】
そして、本実施の形態のゲームシステムのサーバは、ベット用ボードの各ベット部位に載置された遊技チップ30の枚数について、リーダ38で読み取られた個別情報に基づいて算出し、バーコードスキャナ102で読み取られた個別情報に基づいて算出し、計量装置40で計られた重量データに基づいて算出し、カメラ103で撮像された画像データに基づいて算出する。さらに、そのサーバは、それぞれ算出された遊技チップ30の枚数の一部又は全部を照合し、その照合結果を、そのサーバによって制御されるディスプレイやスピーカから出力する。
【0019】
図2は、本実施の形態のゲームシステムや遊技管理システムが構築されているカジノ/ホテルシステムの構成図が示されている。
ホテルサーバ2には、フロント4の端末4a、レストラン6やバー8のレジ6a,8a等の総合管理を行うための各種機能が構築されており、サービスサーバ10には、ホテル内で行われる各種のショーやイベントの予約・発券を行うための各種機能が構築されている。また、イントラサービスサーバ12には、ホテル内のイントラネットを管理する機能が構築されており、マルチメディアサーバ14には、客室16のセットトップボックス16aにおけるビデオオンデマンドやゲームオンデマンドに応じた機能が構築されている。
【0020】
ハウスカードサーバ18は、ハウスカードと称する証明カード20(ホテルに滞在する客を特定することが可能なカード)の管理や個人口座の管理などを行うための各種機能が構築されている。カジノ/ホテルにチェックインした客には、フロント4のカード発券機4bによって、その客を特定するための証明カード(ハウスカード)20が発券され、それ以降カジノ/ホテル内において、証明カード20を提示してチェックを受けることにより全ての施設の利用が可能となる。例えばホテル内のレストラン6やバー8のレジ6a,8aでは、証明カード20がカードリーダ6b,8bで読み取られることによって支払請求金額がホテルサーバ2に蓄積され、チェックアウト時に全ての支払請求金額がフロント4の端末4aに表示される。即ち、証明カード20は、後述する遊技管理システム以外の各種管理システムとリンク可能であり、少なくとも商品購入時や飲食代の支払時におけるクレジットカードとしての機能を有している。
【0021】
このようなカジノ/ホテルシステムの遊技管理システムには、カジノ22における各種遊技を管理するための各種機能が構築されている。なお、以下の説明において、各ルーレット24では、ルーレット盤26に投入されたルーレット球28の出目位置を予想して、その出目位置に対応するベット部位に遊技チップ30をベットする各種遊技が行われるものとする(図3乃至図5)。
【0022】
このような遊技管理システムは、図1や図3や図4に示すように、ルーレット盤26の出目位置に対応する複数のベット部位(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポット)が割り当てられ、遊技チップ30をベットするためのベット用ボード32と、遊技チップ30に設けられ、当該遊技チップ30に関する個別情報が記録されたICタグ34と、ルーレット盤26に設けられ、当該ルーレット盤26上におけるルーレット球28の出目位置や出目種類を検出する出目検出装置36と、ベット用ボード32に設けられ、ベット部位に遊技チップ30がベットされた際に、ICタグ34に記録された遊技チップ30に関する個別情報を読み取ることによって、当該遊技チップ30のベット位置及び価値を検出するリーダ38と、ルーレット盤26上におけるルーレット球28の位置と遊技チップ30のベット位置及び価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金を算出する配当金算出装置(図示しない)とを備えている。
【0023】
ICタグ34は、超小型無線タグとして各遊技チップ30に埋め込まれており、遊技チップ30に関する個別情報には、当該遊技チップ30を特定する固有番号(遊技チップを識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ30を使用可能な場所(カジノ22)等に関する情報が含まれる。
【0024】
リーダ38は、上記図1に示すように、X側スキャンドライバ42から互いに平行に延出したX側送信アンテナ44及びX側受信アンテナ46と、Y側スキャンドライバ48から互いに平行に延出したY側送信アンテナ50及びY側受信アンテナ52とを、ベット用ボード32の各ベット部位で直交配置することにより構成されている。
尚、出目検出装置36の基本構成も、リーダ38と同じである。
【0025】
このリーダ38によれば、例えば遊技チップ30がベット用ボード32のベット部位にベットされた状態において、X側送信アンテナ44及びY側送信アンテナ50からスキャン電波を発信させると、アンテナ相互のクロスポイント付近に読取用電波が立ち上がる。この読取用電波は、X側受信アンテナ46及びY側受信アンテナ52で受信されるが、クロスポイント付近に遊技チップ30がベットされていると、遊技チップ30の誘電体化に伴うインピーダンスの変化によって、受信状態に変化が生じる。この変化状態を検出することによって、遊技チップ30の有無が判断される。同時に、ICタグ(超小型無線タグ)34からの信号がX側受信アンテナ46及びY側受信アンテナ52で受信されることによって、遊技チップ30の価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や固有番号(遊技チップを識別する番号)などが読み出される。
【0026】
ここで、この基本構成のリーダ38を出目検出装置36に適用する場合について説明する。図3に示すように、ルーレット盤26は、円形の回転体構造を成しており、その中心軸26aに対して同心円状に合計38個のポケット54(図では一部のみを示す)が形成されている。各ポケット54には、ベット用ボード32に割り当てられた複数のベット部位(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポット)に対応した数字が印刷されている。
出目検出装置36は、38個のポケット54にそれぞれ設けられており、ポケット54にルーレット球28が入ったとき、そのルーレット球28は、上述したリーダ38でいうクロスポイント上に位置付けられる。上述した読取用電波は、遊技中常時立ち上がった状態にあるため、クロスポイント上にルーレット球28が位置付けられると、そのポケット54の受信状態のみが変化する。この結果、ルーレット盤26の何処の位置(何処のポケット54)にルーレット球28が入ったのかを検出することができる。このとき検出されたデータは、PTS(プレーヤートラッキングシステム)サーバ56に送られ、その履歴が一括管理される(図5)。
【0027】
一方、図4に示すように、ベット用ボード32には、複数のベット部位が構成されており、リーダ38のX側送信アンテナ44及びX側受信アンテナ46と、Y側送信アンテナ50及びY側受信アンテナ52とは、各々のベット部位でクロスポイントを形成するように敷設されている。このようなベット用ボード32のベット部位(例えば、9:ストレート)に遊技チップ30がベットされたとき、その遊技チップ30は、上述したクロスポイント上に位置付けられる。上述した読取用電波は、遊技中常時立ち上がった状態にあるため、クロスポイント上に遊技チップ30が位置付けられると、そのベット部位の受信状態のみが変化する。この結果、ベット用ボード32の何処のベット位置に遊技チップ30がベットされたのかを検出することができる。このとき検出されたデータは、PTSサーバ56に送られ、その履歴が一括管理される(図5)。
【0028】
計量装置40は、ベット用ボード32のベット領域を覆うようにベット部位毎に配置されており、例えば半導体圧力センサ等の電子計量計を適用することが可能である。計量装置40には、遊技チップ30の一枚当たりのチップ重量が記録されており、ベット用ボード32にベットされた遊技チップ30の総計量値を1チップ重量で割ることによってベットされた遊技チップ30の枚数を算出することができる。
【0029】
なお、ルーレット球28には、当該ルーレット球28を識別するルーレット球識別情報が記録されたICタグ(図示しない)が設けられている。このICタグは、超小型無線タグとしてルーレット球28に埋め込まれており、ルーレット球識別情報には、当該ルーレット球28の出所や使用可能な場所(カジノ22)、球の種類等の情報が含まれている。
ICタグに記録されたルーレット球識別情報は、出目検出装置36によって読み取ることができる。そして、読み取られた情報に基づいて、使用できるルーレット球28と、そうでないものとの判別を行うことができる。このため、偽造されたルーレット球28を持ち込んで使用するといった不正行為や侵害行為などの発生を完全に防止することが可能となる。
【0030】
このような遊技管理システムにおいて、カジノ22(図2)でのルーレット24を希望する者P1,P2,P3は、上述した証明カード20を持ってカジノ22に入場した際、遊技チップ発行/精算機58で所望枚数の遊技チップ30を入手し、ベット用ボード32の読取装置60に証明カード20をセットする。このとき、読取装置60が証明カード20の内容を読み取って、その者P1,P2,P3を特定し、参加者として認識する。読取装置60による認識データは、PTSサーバ56に送られ、現在のゲームにおける参加者P1,P2,P3として登録される(図5)。なお、読取方法は、証明カード20の記録方式(磁気記録、光記録)に応じて任意に設定(磁気的な読取方法、光学的な読取方法)することが可能である。
【0031】
そして、ルーレットゲームにおいて、まず、ディーラーがルーレット盤26を廻してルーレット球28を投入する。この間、参加者P1,P2,P3は、手持ちの遊技チップ30をベット用ボード32のベット部位にベットする。ここでは、その一例として、参加者P1がコーナー(4,5,7,8)にベットし、参加者P2がストレート(9)にベットし、参加者P3がコラム(2to1)にベットする(図5)。このとき、リーダ38によって各参加者P1,P2,P3のベット位置と価値(1ドル、5ドル、10ドル等:掛け金)が検出され、その検出結果がPTSサーバ56に送られ、その履歴が一括管理される。
【0032】
ルーレット盤26の回転が緩やかになって、ルーレット球28が入ったポケット54の出目が“8”である場合、出目検出装置36によってルーレット球28の出目位置である“8”が検出され、その検出結果がPTSサーバ56に送られ、その履歴が一括管理される。
集計・分析サーバ62には、配当金算出装置(図示しない)が構築されており、ルーレット盤26上におけるルーレット球28の位置(出目8)と遊技チップ30のベット位置及び価値(掛け金)とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金が算出される(図5)。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、遊技チップ30を直接ベットさせているが、証明カード20には、利用者が預けた預託金の額を照会することが可能な預託金照会部64(図2)が設けられているため、遊技チップ30の代わりに預託金照会部64の照会結果に応じて、ルーレットを楽しむことができる。この場合、参加者P1,P2,P3は、各人の手元にある図示しない掛け金入力装置(テンキー等)によって任意の金額をベットすることができる。そして、ベットした掛け金は、上記の遊技チップ30の場合と同様に、全てPTSサーバ56に順次登録され、集計・分析サーバ62で一元管理されることになる。なお、カジノ内のデポジットの管理は、カジノデポジットサーバ66(図2)で一括管理されており、ゲーム結果の得点に従ったデポジット残高の更新処理や、新規にデポジットを希望する場合の支払い処理などもキャッシュレスで行うことができる。
【0034】
以上、この遊技管理システムによれば、遊技開始から終了に至るまでの全ての履歴を管理することができるため、従来発生したような不正遊技や不正操作を無くすることができる。具体的に説明すると、ルーレット球28の位置と遊技チップ30のベット位置は、出目検出装置36とリーダ38によって常時監視されているため、遊技中に偽造ルーレット球や偽造チップが混入した場合には、即座に偽造物混入が判明できるため、不正遊技を無くすることができる。また、ディーラーと参加者P1,P2,P3が共謀して不正を働いた場合でも、PTSサーバ56に一括管理されている履歴に基づいて、不正操作の時間とその時のルーレット球28や遊技チップ30の流れを正確に把握することができる。このため不正操作を無くすることができる。
【0035】
また、カジノ22に設けられた遊技テーブル68やスロット70等の各遊技機において、ディーラー等の手動により、遊技チップ30を発行及び管理させる構成としてもよい。さらに、また、遊技チップ発行/精算機58を、それら各遊技機と一体に配設されるように構成してもよい。この場合、ディーラー等が各遊技機で待機しているので、遊技チップ発行/精算機58でトラブルが発生しても、店員を呼んで到着する迄の時間を省略することが可能となるし、遊技チップ発行/精算機58専用のメンテナンス店員を削減することも可能となる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、ホテルチェックイン時に渡される証明カード(ハウスカード)20で全ての施設を利用できるため、従来ではできなかった決め細やかなサービスを展開することができる。特に、従来ではカジノの遊技料は別会計であったため、カジノ利用者は資金を自己管理しなければならず煩に耐えなかったが、証明カード20によりチェックアウト時の一括精算が可能となり、カジノ利用者の負担を軽減することができる。
更に、証明カード20のデポジット機能を利用することによって、遊技の際限がなくなるといったような事態を回避することが可能となり、度を越えた負け越しを無くし、安心してゲームに興じることができる。
【0037】
なお、特に説明は省略したが、カジノ22に設けられた遊技テーブル68やスロット70等の遊技機も証明カード20で利用可能であると共に、それらの遊技履歴も例えば図5に示すような形式でPTSサーバ56に登録して一元管理することが可能である。
【0038】
次に、本実施の形態のゲームシステムについて説明する。本実施の形態のゲームシステムは、上述した遊技管理システムと同様にして、上記図2に示したカジノ/ホテルシステムを構成している。
【0039】
上記図1に示したように、各ルーレット24に使用される遊技チップ30の側面の周囲には、肉眼では見ることができない特殊バーコード101が印刷されている(図1参照)。特殊バーコード101には、例えば、赤外線発光蛍光体を使用したバーコードがあり、遊技チップ30に関する個別情報が表されている。遊技チップ30に関する個別情報には、当該遊技チップ30を特定する固有番号(遊技チップを識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ30を使用可能な場所(カジノ22)等に関する情報が含まれる。この点は、遊技チップ30に埋め込まれたICタグ34と同様である。
【0040】
また、ベット用ボード32の周辺には、上記図1に示したように、特殊バーコード101に表された個別情報を読み取るバーコードスキャナ102が設けられている。さらに、ベット用ボード32の周辺には、上記図1に示したように、各ベット部位に載置された遊技チップ30の外観を撮像するカメラ103が設けられている。
【0041】
尚、特殊バーコード101は、肉眼では見ることができないが、バーコードスキャナ102で読み取れるものであればよい。従って、特殊バーコード101は、赤外線発光蛍光体で印刷されたものに限定されるものでなく、例えば、紫外線などの不可視光線を使用することによりバーコードスキャナ102で読み取れる特殊インクで印刷されたものであってもよい。
【0042】
図6は、本実施の形態のゲームシステム1の内部構成を示したブロック図である。図6に示すように、本実施の形態のゲームシステム1は、各ルーレット24とホテルサーバ2から構成されている。
【0043】
この点、各ルーレット24には、CPU111と、ROM112と、RAM113とを有している。CPU111は、ROM112に記憶されているプログラムに従って作動し、I/Oインターフェース110を介して他の構成要素との信号の入出力を行って、当該ルーレット24全体の動作制御を行う。ROM112には、CPU111が実行するプログラムと、恒久的なデータが記憶されている。RAM113には、CPU111が作動する際に用いるデータやプログラムが記憶される。
【0044】
また、I/Oインターフェース110に対しては、ルーレット盤26の出目検出装置36と、ベット用ボード32のリーダ38や計量装置40と、バーコードスキャナ102と、カメラ103と、各読取装置60と、通信装置114などが接続されている。通信装置114は、I/Oインターフェース110を介して入力された各種信号を当該ルーレット24の個別情報とともに、ホテルサーバ2に送信する。
【0045】
また、ホテルサーバ2は、キーボード201やディスプレイ202やスピーカ203などの各入出力装置を有したコンピュータである。
【0046】
続いて、本実施の形態のゲームシステム1において実行されるメイン制御プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7は、メイン制御プログラムのフローチャートである。このメイン制御プログラムが実行されることよって、各ルーレット24のベット用ボード32上に載置された遊技チップ30が不正なものであるか否かを検出する。
【0047】
図7に示すように、各ルーレット24では、先ず、S101において、CPU111が、受信状態に変化があるか否かを判定する。この判定は、リーダ38の読取用電波に対する受信状態に基づいて行われる。ここで、受信状態に変化がない場合(S101:NO)には、このメイン制御プログラムを再び実行する。一方、受信状態に変化がある場合(S101:YES)には、S102に進む。
【0048】
S102では、CPU111は、ICタグ読取処理を行う。このICタグ読取処理では、CPU111は、リーダ38によって、遊技チップ30のICタグ34に保存された個別情報を読み取るとともに、その遊技チップ30が載置されたベット用ボード32のベット部位を特定し、送信用データに加工する。その後は、S103に進む。
【0049】
S103では、CPU111は、重量データ取得処理を行う。この重量データ取得処理では、CPU111は、上記S102で特定されたベット用ボード32の各ベット部位について、載置されている遊技チップ30の総計量値(重量データ)を計量装置40によって取得し、送信用データに加工する。その後は、S104に進む。
【0050】
S104では、CPU111は、バーコード読取処理を行う。このバーコード読取処理では、CPU111は、上記S102で特定されたベット用ボード32の各ベット部位について、載置されている遊技チップ30の特殊バーコード101に表された個別情報をバーコードスキャナ102によって読み取り、送信用データに加工する。その後は、S105に進む。
【0051】
S105では、CPU111は、画像データ取得処理を行う。この画像データ取得処理では、CPU111は、上記S102で特定されたベット用ボード32の各ベット部位について、載置されている遊技チップ30の画像データをカメラ103によって取得し、送信用データに加工する。その後は、S106に進む。
【0052】
S106では、CPU111は、送信処理を行う。この送信処理では、CPU111は、上記各S102,S103,S104,S105で加工した送信用データを、当該ルーレット24やベット用ボード32のベット部位を特定するデータと一緒にして、通信装置114によってホテルサーバ2に送信する。その後は、このメイン制御プログラムを再び実行する。
【0053】
一方、ホテルサーバ2は、S201において、設定変更の指示があるか否かを判定する。この判定は、キーボード201からの入力信号に基づいて行われる。ここで、設定変更の指示がある場合(S201:YES)には、後述するS202の照合条件設定処理を経由して、S203に進む。一方、設定変更の指示がない場合(S201:NO)にも、S203に進む。
【0054】
S203では、ホテルサーバ2は、データを受信したか否かを判定する。この判定は、ルーレット24からの各送信データを受信した否かによって行われる。ここで、データを受信していない場合(S203:NO)には、このメイン制御プログラムを再び実行する。一方、データを受信している場合(S203:YES)には、S204に進む。
【0055】
S204では、ホテルサーバ2は、算出処理を行う。この算出処理では、ホテルサーバ2は、ルーレット24からの各送信データに基づいて、ルーレット24とそのベット用ボード32のベット部位を特定し、その特定されたベット部位に載置された遊技チップ30の枚数をそれぞれ算出する。
【0056】
遊技チップ30の枚数の算出について、具体的に説明する。先ず、リーダ38によって読み取られ、遊技チップ30のICタグ34に保存された個別情報をホテルサーバ2が解析処理することにより、遊技チップ30の枚数が算出される。また、計量装置40によって取得された総計量値(重量データ)をホテルサーバ2が解析処理することにより、遊技チップ30の枚数が算出される。この点、ホテルサーバ2には、遊技チップ30の一枚当たりのチップ重量が記録されており、ベット用ボード32にベットされた遊技チップ30の総計量値を1チップ重量で割ることによってベットされた遊技チップ30の枚数を算出することができる。
【0057】
また、カメラ103によって取得された画像データをホテルサーバ2が画像処理することにより、遊技チップ30の枚数が算出される。この点、ホテルサーバ2には、画像処理に必要な遊技チップ30に関する情報が記録されており、この情報を用いて画像処理すれば、遊技チップ30の枚数の算出を可能にするほか、当該遊技チップ30の価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色等を解析することも可能にする。また、バーコードスキャナ102によって読み取られ、遊技チップ30の特殊バーコード101に表された個別情報をホテルサーバ2が解析処理することにより、遊技チップ30の枚数が算出される。
【0058】
その後、S205に進むと、ホテルサーバ2は照合処理を行う。この照合処理では、ホテルサーバ2は、上記S204でそれぞれ算出した遊技チップ30の枚数を比べ合わせることにより、遊技チップ30の枚数が一致したか否かの照合結果を計算する。その後は、S206に進む。
【0059】
S206では、ホテルサーバ2は、出力処理を行った後、このメイン制御プログラムを再び実行する。この出力処理では、ホテルサーバ2は、上記S205の照合結果をディスプレイ202とスピーカ203に出力する。具体的には、ディスプレイ202には、遊技チップ30の枚数が一致したか否かの照合結果に加え、その照合結果に対応するルーレット24とそのベット用ボード32のベット部位が明確になるように表示される。また、スピーカ203からは、遊技チップ30の枚数が一致しない場合に警告音が鳴らされる。
【0060】
尚、この警告音は、キーボード201を介したオペレータの解除指示があるまで継続される。また、上記S205の照合結果の出力先は、ホテルサーバ2を構成するディスプレイ202とスピーカ203に限るものではなく、上記図2に示したカジノ/ホテルシステムに接続された出力装置であってもよい。
【0061】
ところで、上記S205の照合処理における照合対象は4つある。すなわち、遊技チップ30のICタグ34に保存された個別情報から算出された遊技チップ30の枚数(以下、「第1枚数」という。)と、計量装置40によって取得された総計量値(重量データ)から算出された遊技チップ30の枚数(以下、「第2枚数」という。)と、カメラ103によって取得された画像データから算出された遊技チップ30の枚数(以下、「第3枚数」という。)と、遊技チップ30の特殊バーコード101に表された個別情報から算出された遊技チップ30の枚数(以下、「第4枚数」という。)の4つである。そして、どの算出枚数を照合対象にするかは、上記S202の照合条件設定処理の設定結果に基づく。
【0062】
そこで、上記S202の照合条件設定処理では、ホテルサーバ2は、キーボード201を介したオペレータの設定指示により、上記S205の照合処理における照合対象を少なくとも2つ設定する。従って、照合対象の組合せは、「第1枚数」と「第2枚数」と「第3枚数」と「第4枚数」を少なくとも2つ組み合わせた11通りあり、システム上の誤差や精度を考慮してオペレータによって設定される。
【0063】
以上詳細に説明したように、本実施の形態のゲームシステム1では、上記S205の照合処理の照合結果が不一致の場合には、不正な遊技チップを検出したとする。この点、上記S202の照合条件設定処理によって、その照合処理の照合対象の組合せとして、「第1枚数」と「第2枚数」と「第3枚数」と「第4枚数」が少なくとも2つ以上オペレータにより選択されて組み合わせられているので、不正な遊技チップの検出精度を向上させることができる。
【0064】
そして、その照合処理の照合結果は、上記S206の出力処理によって、ディスプレイ202とスピーカ203に出力するので、不正が行われていること(例えば、照合結果が一致しない場合、不正な遊技チップが使用されている等)をリアルタイムで外部に報知することができる。
【0065】
また、「第4枚数」を算出するための個別情報は、遊技チップ30に印刷された特殊バーコード101に表されているが、その特殊バーコード101は、例えば、赤外線発光蛍光体を使用したバーコードであり、肉眼では見ることはできないので、不正な遊技チップの検出を秘密裏に行うことができる。
【0066】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、ルーレット24においては、S102,S103,S104,S105の各処理で遊技チップ30の枚数をそれぞれ算出して送信用データに加工し、それらの送信用データをS106の送信処理でホテルサーバ2に送信してもよい。この場合には、ホテルサーバ2で行われるS204の算出処理を省略することができる。
【0067】
また、ルーレット24においては、キーボード201やディスプレイ202やスピーカ203などの各入出力装置を備えることによって、S201〜S206の各処理をホテルサーバ2に代わって行ってもよい。この場合には、ルーレット24の単独で、不正な遊技チップを検出することが可能となる。
【0068】
また、本発明は、カードゲームやダイスゲームなどの他のゲームで使用されるベット用ボードに対して適用することが可能である。
【0069】
さらに、カードゲームやダイスゲームなどがディーラーによって進行する遊技テーブル68に対して適用することも可能である。この点、遊技テーブル68には、図8に示すように、各個別ベット部位301がゲームの参加者毎に設けられている。そこで、この場合には、遊技テーブル68の各個別ベット部位301に対して、上記リーダ38や上記計量装置40を遊技テーブル68に設ける。さらに、上記バーコードスキャナ102や上記カメラ103を遊技テーブル68の周辺に設置する。
尚、上記バーコードスキャナ102や上記カメラ103は、遊技テーブル68の各個別ベット部位301毎に設けてもよい。また、遊技テーブル68全体に対して一つのリーダ38を設けるような構成であってもよい。
【0070】
また、上記バーコードスキャナ102や上記カメラ103や上記リーダ38や上記計量装置40などの各設置数についても、限定はなく、多ければ多い程、不正な遊技チップの検出精度の向上が見込まれることは言うまでもない。
【0071】
また、上記バーコードスキャナ102や上記カメラ103や上記リーダ38や上記計量装置40などの取得装置の種類についても、限定はなく、多ければ多い程、不正な遊技チップの検出精度の向上が見込まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ゲームマシン又はゲームシステムでの不正な遊技チップの検出技術に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態であるゲームシステムの特徴を示す図であって、リーダの基本構成を示す図である。
【図2】同ゲームシステムが構築されているカジノ/ホテルシステムの構成図である。
【図3】ルーレット盤の構成を示す平面図である。
【図4】ベット用ボードの構成を示す平面図である。
【図5】ルーレット遊技の履歴を示す図である。
【図6】同ゲームシステムの内部構成を示すブロック図である。
【図7】メイン制御プログラムのフローチャートである。
【図8】本発明が適用される遊技テーブルを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1 ゲームシステム
2 ホテルサーバ
24 ルーレット
30 遊技チップ
32 ベット用ボード
34 ICタグ
38 リーダ
40 計量装置
101 特殊バーコード
102 バーコードスキャナ
103 カメラ
114 通信装置
202 ディスプレイ
203 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別コードを設けた遊技チップが載置されるゲーム用ボードと、
前記ゲーム用ボード上の遊技チップの重量データを取得するメータと、
前記ゲーム用ボード上の遊技チップの識別コードに表された個別情報を読み取るリーダと、
前記メータからの重量データと前記リーダからの個別情報が入力されるプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、以下(a)〜(b)の処理を実行する:
(a−1)前記メータからの重量データに基づいて前記ゲーム用ボード上の遊技チップ の枚数を第1検出枚数として算出し、
(a−2)前記リーダからの個別情報に基づいて前記ゲーム用ボード上の遊技チップの 枚数を第2検出枚数として算出し、
(b)前記第1検出枚数と前記第2検出枚数を照合する、
ことを特徴とするゲームマシン。
【請求項2】
請求項1に記載するゲームマシンであって、
前記プロセッサに制御される出力装置を備え、
前記プロセッサは、さらに以下(c)の処理を実行する:
(c)前記(b)での照合結果に基づいた出力を前記出力装置に行わせる、
ことを特徴とするゲームマシン。
【請求項3】
ゲームマシンを管理するサーバを備えたゲームシステムであって、
前記ゲームマシンは、
識別コードを設けた遊技チップが載置されるゲーム用ボードと、
前記ゲーム用ボード上の遊技チップの重量データを取得するメータと、
前記ゲーム用ボード上の遊技チップの識別コードに表された個別情報を読み取るリー ダと、
前記メータからの重量データと前記リーダからの個別情報を当該ゲームマシンの個別 情報とともに前記サーバに入力する通信装置と、を備え、
前記サーバは、以下(a)〜(b)の処理を実行する:
(a−1)前記メータからの重量データに基づいて当該ゲームマシンのゲーム用ボード 上の遊技チップの枚数を第1検出枚数として算出し、
(a−2)前記リーダからの個別情報に基づいて当該ゲームマシンのゲーム用ボード上 の遊技チップの枚数を第2検出枚数として算出し、
(b)前記第1検出枚数と前記第2検出枚数を照合する、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項4】
請求項3に記載するゲームシステムであって、
前記サーバに制御される出力装置を備え、
前記サーバは、さらに以下(c)の処理を実行する:
(c)前記(b)での照合結果に基づいた出力を前記出力装置に行わせる、
ことを特徴とするゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−66172(P2009−66172A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237459(P2007−237459)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】