説明

遊技場用システム

【課題】交換情報を変更した場合であっても、円滑に対応することを可能とする遊技場用システムを提供する。
【解決手段】口座に貯玉が記憶されている状態で交換率が設定変更された場合に、当該口座の使用を禁止し、使用が禁止された口座について、口座の貯玉が終了可能数以下となった場合に当該口座の使用禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が獲得した遊技媒体を口座に記憶可能とした遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、遊技者が遊技によって獲得した遊技媒体を貯玉として記憶し、その貯玉を景品交換や再プレイに利用させるシステムが一般的に導入されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−235004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技場では遊技者が獲得した遊技媒体と交換可能な景品として、第三者に買取を前提とした特殊景品を扱っている。また、営業方針の変更により1単位(例えば100円分)に相当する特殊景品との交換に必要な遊技媒体数である単位交換数(交換情報)を高く設定(交換率の変更)する代わりに出玉率を上げたり、逆に低く設定(交換率の変更)して出玉率を下げたりすることが行われている。
【0005】
しかしながら、単位交換数を変更すると貯玉の価値が変動するため、変更後の貯玉を変更前の貯玉に加算すると、変更後の単位交換数によって遊技場側か遊技者側の何れかが不利益を被ってしまう。よって、単位交換数を変更した場合には、貯玉した時期に応じた単位交換数で景品交換を行う必要が生じるので、その管理が複雑になる。尚、単位交換数の変更に応じて貯玉数自体を増減させることも想定されるが、監督官庁の指導もあり、貯玉数を変更することは難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、交換情報を変更した場合であっても、円滑に対応することを可能とする遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技場用システムは、遊技者を特定可能な識別情報を記録する識別情報記録手段と、遊技者が獲得した遊技媒体を前記識別情報に対応する一又は複数の口座に記憶する遊技媒体記憶手段と、前記口座の遊技媒体に基づいて景品交換を行う景品交換手段と、景品交換に必要な遊技媒体の数を特定するための交換情報を記憶する交換情報記憶手段と、前記景品交換手段により景品交換された場合に、交換された景品及び前記交換情報に応じて前記口座の遊技媒体数を更新する更新手段と、前記交換情報を設定する交換情報設定手段と、前記口座に遊技媒体が記憶されている状態で前記交換情報が設定変更された場合に、当該口座への遊技媒体の加算記憶を禁止する加算記憶禁止手段と、加算記憶が禁止された口座について、口座の遊技媒体が予め規定した基準値以下となった場合に当該口座への加算記憶の禁止を解除する解除手段と、を備えたものである(請求項1)。
【0007】
請求項1記載の遊技場用システムにおいて、
前記口座は複数存在し、少なくとも遊技媒体が記憶されている口座と遊技媒体が記憶されていない口座が1つずつ存在する状態で前記交換情報が設定変更された場合に、前記遊技媒体が記憶されている口座を現口座、前記遊技媒体が記憶されていない口座を保留口座とし、当該現口座の遊技媒体を同一の前記識別情報に対応する当該保留口座に移管する移管手段を備え、前記遊技媒体記憶手段は、前記移管手段による移管がされた場合に、前記保留口座と前記交換情報とを対応付けて記憶し、前記加算記憶禁止手段は、前記現口座及び前記保留口座に遊技媒体が記憶されている状態で前記交換情報が設定変更された場合に、全ての口座への遊技媒体の加算記憶を禁止するようにしてもよい(請求項2)。
【0008】
請求項2記載の遊技場用システムにおいて、
前記現口座の遊技媒体に基づいて遊技媒体を払い出すことを可能とする一方、前記保留口座の遊技媒体に基づいて遊技媒体を払い出すことが不可能な払出手段を備え、前記移管手段は、前記交換情報が設定変更前の状態に戻された場合に、前記保留口座の遊技媒体を同一の識別情報に対応する現口座に移管するようにしてもよい(請求項3)。
【0009】
請求項1ないし3の何れかに記載の遊技場用システムにおいて、
遊技媒体が記憶されている口座の数を集計する集計手段と、前記集計手段の集計結果を表示する表示手段と、を備えるようにしてもよい(請求項4)。
請求項2ないし4の何れかに記載の遊技場用システムにおいて、
口座への遊技媒体の加算記憶が禁止された期間が予め規定された有効期間を経過すると口座の遊技媒体を消去する消去手段を備えるようにしてもよい(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、口座に遊技媒体が残った状態で交換単価が変更されると、その遊技媒体がなくなるまで新たな遊技媒体の受付を禁止するので、交換単価(交換率)を変更した場合であっても、円滑に対応することができる。
請求項2の発明によれば、現口座に遊技媒体が記憶され且つ保留口座に遊技媒体が記憶されていない状態では、現口座の遊技媒体を保留口座に移管可能としたので、遊技者に対して保留口座に記憶されている旧交換単価での遊技媒体の景品交換期間を猶予しつつ、新たな交換単価で遊技媒体を管理することができる。また、現口座及び保留口座に遊技媒体が記憶された状態で交換単価が変更された場合は、全ての口座への遊技媒体の加算記憶が禁止されるので、請求項1の発明と同様な効果を奏することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、口座の遊技媒体を利用して再プレイを可能とする場合、保留口座の遊技媒体は利用不可とする。しかし、遊技場側としては再度元の交換単価に戻したくなる場合もあるので、戻した場合には保留口座の遊技媒体を現口座に移管して再プレイに利用可能とすることができる。
請求項4の発明によれば、口座の管理は交換単価変更の移行措置であるから、遊技場側としては口座の遊技媒体を使用させたい。遊技媒体が記憶されている口座数を集計し、その口座数が多い場合は、口座の遊技媒体を使用することを促すことで口座の整理に対応できる。
請求項5の発明によれば、口座の遊技媒体での景品交換期間の有効期間を設定できるので、遊技者に対して口座の遊技媒体を自発的に使用することを促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態におけるシステムの全体構成を概略的に示す図
【図2】会員DBを示す図
【図3】特殊景品設定画面を示す図
【図4】交換装置において景品交換時に使用する操作ボタンを示す図
【図5】景品交換画面を示す図
【図6】交換率変更画面を示す図
【図7】種別設定画面の一例を示す図
【図8】世代別会員数データを示す図
【図9】本発明の第2実施形態を示す図2相当図
【図10】移管処理選択画面を示す図
【図11】(a)は移管処理選択前、(b)は移管処理選択直後の画面を示す図
【図12】口座選択画面を示す図
【図13】図8相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。
図1はシステムの全体構成を概略的に示している。遊技場には遊技機1及び貸出装置2が設置されており、2台の遊技機1及び貸出装置2に対して中継装置3が設置されている。遊技島毎に計数装置4が設置され、景品交換カウンタには交換装置5が設置され、事務所には管理装置6(識別情報記録手段、遊技媒体記憶手段、交換情報記憶手段、更新手段、交換情報設定手段、加算記憶禁止手段、解除手段、移管手段、払出手段、集計手段、消去手段に相当)が設置されている。管理装置6は、LAN7を介して中継装置3、計数装置4、交換装置5(景品交換手段に相当)等の各種端末装置と接続されており、各種情報(稼動情報、設定情報等)の送受信を可能としている。
【0014】
遊技者が獲得した遊技媒体(以下「玉」)は、計数装置4又は交換装置5にて会員カードを受付することで貯玉或いは貯メダル(以下「貯玉」)することが可能であり、貸出装置2又は交換装置5にて貯玉を対価とした貯玉サービス(景品交換や再プレイ玉の払出)等が可能となっている。単位交換数や再プレイ時における手数料玉数は、種別設定画面で設定された値による。
【0015】
管理装置6は、会員DB(データベース)を備え、新たな貯玉や貯玉サービスに応じて貯玉数(口座の玉数)を更新する。また、特殊景品を交換する場合は、単位交換数に基づいて特殊景品の対価を特定し、手数料に基づいて再プレイ処理の対価貯玉を特定する。
図2は管理装置6の会員DBを示している。会員DBには、「会員ID」(識別情報に相当)、「氏名」、「口座」の各項目が設定されている。口座とは、銀行の口座と同様に玉の預入、払戻しを行うためのものである。口座には、「4パチ」、「1パチ」、「20スロ」、「交換条件」の各項目が設定されており、各項目の意味は次の通りである。
【0016】
4パチ、1パチ、20スロ……4パチ、1パチは貸出単価が4円、1円のパチンコ遊技機で使用される玉の貸出単価を示し、20スロは貸出単価が20円のスロットマシンで使用されるメダルの貸出単価を示している。
交換条件……後述する種別設定画面にて世代毎に設定した種別設定を交換条件として、その種別設定が新しい順に交換条件とする。つまり、1が現世代(現在、貯玉及び再プレイに使用可能な口座)、2が1世代前(現世代に対して1つ前の口座)を示している。尚、交換条件2の場合は、使用可能な口座に対して交換率変更が行われた状態を示しており、口座の使用(貯玉及び再プレイ)が禁止されている。但し、貯玉サービスのうち景品交換は可能となっている。
【0017】
交換装置5に対して玉の種別毎に特殊景品を予め設定する。
図3は、交換装置5による特殊景品設定画面を示している。特殊景品設定画面には、設定対象となる玉の種別を表示する玉種別表示部8、景品名表示部9、金額表示部10、交換玉数表示部11が設けられている。図3に示す例では、4円パチンコについて、特殊景品大は金額が5000円であって交換玉数は1500玉、特殊景品中は金額が1000円であって交換玉数は300玉、特殊景品小は金額が100円であって交換玉数は30玉であることを示している。尚、交換単価は3.3円である。
図4は交換装置5にて景品交換時に使用する操作ボタンを示している。操作ボタンとしては、テンキー12、景品キー13、「終了」ボタン14が設けられている。景品キー13としては、タバコ選択キー13a、チョコレート選択キー13b、端玉選択キー13cが設けられている。
【0018】
次に上記構成の作用について説明する。
遊技者が会員登録すると、管理装置6の会員DBに会員ID及び氏名が登録される。この時点では、会員DBにおける口座が現世代(使用可能な口座という意味)となり、交換条件に1が記憶されて使用可能となる。遊技者が計数装置4で会員カードを用いて貯玉処理すると、遊技者に対応した会員DBにおける該当種別に対応して貯玉が加算される。貯玉は再プレイ用として払い戻しが可能であり、払い戻す場合は、貸出装置2のカード挿入口2a(図1参照)に会員カードを差し込んだ状態で再プレイボタン2bを押し下げる。貸出装置2は、再プレイボタン2bの押し下げに応じて管理装置6に会員の貯玉を問い合わせ、該当する種別の貯玉が払い出しの1単位である500円分に相当する玉数と手数料玉数とを合算した値以上である場合には、500円分の貯玉を払い戻す。このとき、管理装置6は、会員DBにおいて該当する貯玉数から500円分に相当する玉数と手数料玉数とを合算した値を減算する。
【0019】
一方、口座に記憶されている貯玉は景品交換可能であり、景品交換する場合は、景品交換カウンタに会員カードを提出して景品交換を申し出る。担当係員は、受取った会員カードを交換装置5に読取らせ、景品交換処理を実行する。この景品交換処理では、担当係員が会員カードを交換装置5に読取らせた状態で図示しない貯玉呼出ボタン押下げると、景品交換画面表示が表示される。
【0020】
図5は景品交換画面を示している。景品交換画面の表示時には、口座に記憶されている貯玉を最大数交換可能な特殊景品数が自動的に演算されて表示される。図5に示す例では、貯玉の総数が5674玉、一般景品が選択されていないことから交換可能数も5674玉であり、その場合の景品として、特殊景品大が3個、特殊景品中が3個、特殊景品小が9個交換可能であり、端数が4個であることを示している。この景品交換画面において、一般景品が選択された場合は、下段の空欄に選択された景品名、単価、個数が表示されると共に、これに合わせて、交換可能数、特殊景品の数、端数が修正される。そして、「終了」ボタンを押下げると、景品交換処理が完了となり、その時点の端数は取り込まれる。
【0021】
さて、管理装置6に設定されている単位交換数(交換率)は基本的には一定であるが、営業方針によって変更可能となっている。管理者は、単位交換数を変更する場合は管理装置6に対して交換率変更処理を指示する。管理装置6は、交換率変更指示が行われた場合は、交換率変更画面を表示する。
図6は交換率変更画面を示している。交換率変更画面には「交換率変更」ボタン15が表示されており、管理者は、交換率を変更する場合は「交換率変更」ボタン15をタッチ操作する。すると、管理装置6は、新規口座の種別設定画面を表示する。
【0022】
図7は種別設定画面の一例を示している。種別設定画面には、「種別名」、「貸出単価」、「貸出数」、「貸出金額」、「交換数」、「終了可能数」、「手数料玉数」の各項目が設定されており、それらの意味は次の通りである。
貸出単価……玉1個(枚)当たりの貸出単価。
単位貸出数……1単位(100円分)の貸出数、貸出は1回に5単位(125個)の玉を払出す。
単位交換数(交換情報に相当)……最少額の特殊景品との交換に必要な玉数。
終了可能数……景品交換を終了することが可能な残り玉数の上限値。尚、この上限値は4パチの交換可能な端玉が5玉(等価交換で20円相当)であることから、1パチは交換金額が20円未満となる19個となる。20スロの上限値は、1枚のメダルの交換単価が20円であり端数がないことから、0に設定されている。
手数料玉数……1回の貸出で500円分の玉を貸し出すが、その貸出の際に手数料として貯玉から差引く玉数。
【0023】
管理者は種別設定画面に所望の各値を入力してから、図示しない「確定」ボタンを押下げることにより交換率変更処理を完了することができ、以後においては、設定された交換情報に基づいて貯玉、再プレイ、景品交換が行われる。図7に示す例では、4円パチンコ遊技機の貸出単価が1個4円、貸出金額100円の貸出数が25個、100円相当の特殊景品との交換玉数が30個、景品交換を終了することが可能な玉数が4個、500円分の玉を貸出す際の手数料が25個であることを示している。このように交換率を変更可能な遊技者は口座に貯玉が記憶されていない遊技者だけであり、現在の口座に変更後の貯玉変更率が適用されて使用され、交換条件は1のままとなる。
【0024】
一方、交換率を変更した場合に口座に貯玉が記憶されている遊技者については、図2の会員DBにおける口座の交換条件が2となり、図中に破線で示すように識別表示されて口座の使用が禁止される。この場合、口座の使用(貯玉、再プレイ)は、口座の貯玉が図6の種別設定に設定された終了可能数以下となるまで禁止されるが、貯玉サービスのうち景品交換は許可されている。従って、交換率を変更した場合は、口座の使用を可能とするために景品交換することを促すように通知する必要がある。このような通知方法としては、定期的に店内放送したり、該当する会員に対してメールで通知したり、該当する会員が貯玉や再プレイしようとした場合に通知することが考えられる。
口座の使用が禁止された会員が、口座の全ての種別の貯玉を交換装置5で終了可能数以下となるように景品交換した場合は口座の使用が許可され、口座に対して上述のようにして変更された交換率が適用されるようになる。これにより、交換率変更後の交換率でもって口座に貯玉したり、口座から再プレイ玉(メダル)を払出したりすることが可能となる。
【0025】
さて、管理装置6は、管理者による操作に応じて世代毎に貯玉所有者の人数を集計してディスプレイ6a(図1参照、表示手段に相当)に表示可能となっている。
図8は世代別会員数データを示している。図8に示す例では、現世代、つまり口座の交換条件1の総数が847、1世代前、つまり交換条件2の総数が221であることを示している。この世代別会員数データにより、交換率変更のために口座の使用が禁止されている1世代前である交換条件2の会員数を把握することができるので、その会員数が多くなった場合は、1世代前の会員に対して積極的に景品交換を促すことが必要となる。
尚、口座の使用禁止状態が例えば1年間継続した場合、口座の貯玉を0にするが、遊技場側が手動で0にすることもできる。これにより、遊技者が貯玉を自発的に使用することを促すことができる。
【0026】
このような実施形態によれば、口座に貯玉が記憶されている状態で交換率が変更された場合に、当該口座の使用を禁止し、使用が禁止された口座について、口座の貯玉が終了可能数以下となった場合に使用禁止を解除するようにしたので、交換率を変更した場合であっても、円滑に対応することができる。
貯玉が記憶されている口座の数を集計し、その集計結果を表示するようにしたので、貯玉が記憶されている口座数が多くなった場合、口座の貯玉を使用することを促すことで口座の整理に対応できる。
口座の使用が禁止された場合、その禁止期間が予め規定された有効期間を経過すると口座の遊技媒体を消去するようにしたので、遊技者に対して口座の貯玉を景品交換することを促すことができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図9ないし図13を参照して説明するに、第1実施形態と異なる部分について説明する。この第2実施形態は、口座を移管するための保留口座を設けたことを特徴とする。
図9は管理装置6の会員DBを示している。会員DBには、「会員ID」、「氏名」、「現口座」、「保留口座」の各項目が設定されている。更に現口座には「4パチ」、「1パチ」、「20スロ」、「交換条件」が設定され、保留口座には「旧4パチ」、「旧1パチ」、「旧20スロ」、「交換条件」が設定されている。
交換条件としては、1が現世代(現在使用可能な口座)、2が1世代前(現世代の口座に対して1つ前の口座)、3が2世代前(現世代の口座に対して2つ前の口座)を示している。尚、保留口座の交換条件が3(現口座の交換条件が2)の場合は、現口座が保留口座に移管された状態以後、現口座に貯玉が記憶された状態で交換率変更が行われて移管待ちとなっている状態を示しており、現口座の使用(貯玉及び再プレイ)が禁止されている。
【0028】
次に上記構成の作用について説明する。
管理装置6は、第1実施形態の口座に相当する現口座に貯玉が記憶された状態で交換率が変更された場合、第1実施形態では、現口座の使用が直ちに禁止されたが、本実施形態では、現口座の貯玉を保留口座へ移管する移管処理を行うことにより現口座の使用を許可するようにした。
管理装置6は、交換率変更が指示された場合は、移管処理選択画面を表示する。
図10は移管処理選択画面を示している。移管処理選択画面には「移管(現口座)⇒(保留口座)」ボタン16、「移管(保留口座)⇔(現口座)」ボタン17が表示されている。「移管(現口座)⇒(保留口座)」ボタン16がタッチ操作された場合は、現口座の貯玉を保留口座に移管してから、現口座の種別設定画面を表示する。
【0029】
図11(a)は移管処理選択前の画面を示し、同図(b)は移管処理選択直後の画面を示している。管理者は、種別設定画面における各値を入力してから「確定」ボタン押下げることにより移管処理を完了することができ、移管処理後は、交換率変更後の交換率でもって現口座の使用が許可される。尚、図11(b)の現世代における手数料玉数の全てを0に設定しているのは、現口座に新規に設定された設定種別は単位貸出数と単位交換数とが同一である等価交換であり、遊技者にとって景品交換が有利であることから、再プレイが不利とならないように0に設定しているのである。
【0030】
さて、現口座及び保留口座に貯玉が記憶された状態でさらに交換率を変更した場合、管理装置6は、交換条件2の遊技者の会員DBの交換条件を3とする。この交換条件3は移管待ちの状態を示しており、図9中に破線で示すように識別表示されて現口座及び保留口座の何れも使用禁止となる。この使用禁止状態を解除するには、第1実施形態と同様に両方の口座の貯玉が図7の種別設定に設定された終了可能数以下となるまで貯玉を景品交換するか、現口座のみの貯玉を景品交換するか、保留口座のみの貯玉を景品交換した後に移管処理する必要がある。そこで、担当係員は、何れの口座の貯玉を景品交換するかを管理装置6の口座選択画面で選択する。
【0031】
図12は口座選択画面を示している。この口座選択画面は保留口座に貯玉が記憶されている場合に表示されるもので、「現口座」ボタン18と「保留口座」ボタン19が表示されており、景品交換する口座を選択する。両方の口座とも景品交換する場合は、一方の口座を選択して貯玉を景品交換してから他方の口座を選択して貯玉を景品交換する。現口座の貯玉のみを景品交換した場合は交換率変更後の交換率でもって現口座の使用が可能となる。保留口座のみの貯玉を景品交換した場合は、現口座の貯玉を保留口座に移管する移管処理後に交換率変更後の交換率でもって現口座の使用が可能となる。
一方、「移管(保留口座)⇔(現口座)」ボタン17をタッチ操作することにより現口座と保留口座の貯玉を入れ替えることができるので、保留口座の貯玉は現口座の貯玉となることで2世代前の交換率でもって貯玉及び再プレイ可能となる。この機能により、遊技場側は一度交換率を変更したが失敗したと感じた場合に交換率を容易に戻すことが出来る。
【0032】
管理装置6は、口座(世代)毎に貯玉所有者の人数を集計して出力可能となっている。
図13は世代別会員数データを示しており、現世代は現口座のみの貯玉を有する会員数、1世代前は保留口座に貯玉を有し現口座が使用可能な会員数、2世代前は移管処理待ちの会員数を示している。従って、2世代前の会員が多い場合は、2世代前の会員に対して景品交換を積極的に促す必要がある。そして、移管処理待ち状態が例えば1年間継続した場合、保留口座の貯玉数を0にするが、遊技場側が手動で0にすることもできる。
【0033】
このような実施形態によれば、第1実施形態の口座に相当する現口座に加えて貯玉が記憶されていない口座である保留口座を設け、移管処理により現口座の貯玉を保留口座に移管すると共に保留口座と交換情報とを対応付けて記憶し、現口座及び保留口座に貯玉が記憶されている状態で交換率が変更された場合に、全ての口座の使用を禁止するようにしたので、遊技者に対して保留口座の貯玉での景品交換期間を猶予しつつ、新たな貯玉を管理することができる。
【0034】
現口座の貯玉に基づいて貯玉を払い出すことが可能な一方、保留口座の貯玉に基づいて貯玉を払い出すことが不可能であると共に、交換率が設定変更前の状態に戻された場合に、保留口座の貯玉を現口座に移管するようにしたので、遊技場側としては再度元の交換率に容易に戻すことができる。
貯玉が記憶されている保留口座の数を集計し、その集計結果を表示するようにしたので、保留口座の整理に対応できる。
移管処理した場合に、移管後の期間が予め規定された有効期間を経過すると保留口座の貯玉を消去するようにしたので、遊技者に対して保留口座の貯玉を景品交換することを促すことができる。
【0035】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
上記各実施形態では、交換率を変更した場合は、第1実施形態では口座、第2実施形態では現口座及び保留口座の使用を禁止するようにしたが、口座に設定された手数料玉数を採用することにより再プレイを許可するようにしてもよい。つまり、遊技場としては、交換率を変更した場合は、口座の貯玉を早く減らす方が望ましいことから、再プレイを許可するものであり、その場合の手数料としては交換率変更後の手数料ではなく、貯玉された際の手数料を採用することにより遊技者間の不公平感を回避することができる。
第2実施形態では、保留口座を1つ設けたが、保留口座を2つ以上設け、移管処理により順に口座を移管可能としてもよい。
交換情報は、単位交換数に限らず、例えば、遊技媒体1個当たりの特殊景品相当額である交換単価であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
図面中、5は交換装置(景品交換手段)、6は管理装置(識別情報記録手段、遊技媒体記憶手段、交換情報記憶手段、更新手段、交換情報設定手段、加算記憶禁止手段、解除手段、移管手段、払出手段、集計手段、消去手段)、6aはディスプレイ(表示手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者を特定可能な識別情報を記録する識別情報記録手段と、
遊技者が獲得した遊技媒体を前記識別情報に対応する一又は複数の口座に記憶する遊技媒体記憶手段と、
前記口座の遊技媒体に基づいて景品交換を行う景品交換手段と、
景品交換に必要な遊技媒体の数を特定するための交換情報を記憶する交換情報記憶手段と、
前記景品交換手段により景品交換された場合に、交換された景品及び前記交換情報に応じて前記口座の遊技媒体数を更新する更新手段と、
前記交換情報を設定する交換情報設定手段と、
前記口座に遊技媒体が記憶されている状態で前記交換情報が設定変更された場合に、当該口座への遊技媒体の加算記憶を禁止する加算記憶禁止手段と、
加算記憶が禁止された口座について、口座の遊技媒体が予め規定した基準値以下となった場合に当該口座への加算記憶の禁止を解除する解除手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記口座は複数存在し、少なくとも遊技媒体が記憶されている口座と遊技媒体が記憶されていない口座が1つずつ存在する状態で前記交換情報が設定変更された場合に、前記遊技媒体が記憶されている口座を現口座、前記遊技媒体が記憶されていない口座を保留口座とし、当該現口座の遊技媒体を同一の前記識別情報に対応する当該保留口座に移管する移管手段を備え、
前記遊技媒体記憶手段は、前記移管手段による移管がされた場合に、前記保留口座と前記交換情報とを対応付けて記憶し、
前記加算記憶禁止手段は、前記現口座及び前記保留口座に遊技媒体が記憶されている状態で前記交換情報が設定変更された場合に、全ての口座への遊技媒体の加算記憶を禁止することを特徴とする請求項1記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記現口座の遊技媒体に基づいて遊技媒体を払い出すことを可能とする一方、前記保留口座の遊技媒体に基づいて遊技媒体を払い出すことが不可能な払出手段を備え、
前記移管手段は、前記交換情報が設定変更前の状態に戻された場合に、前記保留口座の遊技媒体を同一の識別情報に対応する現口座に移管することを特徴とする請求項2記載の遊技場用システム。
【請求項4】
遊技媒体が記憶されている口座の数を集計する集計手段と、
前記集計手段の集計結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の遊技場用システム。
【請求項5】
口座への遊技媒体の加算記憶が禁止された期間が予め規定された有効期間を経過すると口座の遊技媒体を消去する消去手段を備えたことを特徴とする請求項2ないし4の何れかに記載の遊技場用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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