説明

遊技場用景品交換システム

【課題】前遊技者の余り玉を貯玉すべく前遊技者の交換処理中に会員カードを受付状態にしようとする遊技者への対応を、十分に考慮した遊技場用景品交換システムを提供する。
【解決手段】遊技場用景品交換システムのPOSは、遊技者が遊技機における遊技により獲得した遊技価値を記録したレシートを受付けた場合(A1:YES、A5、A6)、遊技場従業員による操作を待機する待機ループに入り、遊技場従業員によって交換釦が押下されると(A8:YES)、特殊景品を仮特定し(A9)、仮特定した特殊景品の対価玉数を交換可能から減算した後(A10)、仮終了フラグを1にする(A11)ことにより待機ループのステップA26の会員カード受付の処理をスキップさせ、特殊景品の仮特定後の会員カードの受付を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技により獲得した遊技価値を対価として景品の交換を行う遊技場用景品交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技により獲得した遊技価値を景品交換する場合、その遊技価値を示すレシート等の計数記録媒体を受付け、交換状況を管理する所謂POSを操作した上で交換対象となる景品を遊技者に渡している。この場合、例えば特許文献1のように、会員カードのような遊技場にて管理される遊技者の口座を特定可能なID記録媒体を受付けていれば、遊技により獲得した遊技価値を所謂特殊景品に交換した余りの遊技価値である所謂余り玉を指定して、その口座に預け入れる余り玉貯玉も可能である。この余り玉貯玉は、POSによっては景品交換の終了作業時に、会員カードが受付状態であれば自動で行うように設定することも可能である。
【0003】
さて、遊技場従業員の中には、POSにて遊技価値を特殊景品に交換する仮特定操作を行った後、交換する特殊景品を在庫から取り出し、その後、特殊景品の数を再度確認した上で遊技者に特殊景品を渡す、或いは特殊景品を渡してから余り玉について景品交換するかを確認するという流れで交換業務を行う遊技場従業員もいる。一方、遊技者の多くは特殊景品を交換することを目当てに景品交換を行うため、余り玉について関心を示さず余り玉分の景品交換を望まない遊技者も少なくない。
【0004】
このような事情に目を付け、次の交換処理のために並んでいるにも関わらず(前遊技者が交換処理中にも関わらず)、遊技場従業員が特殊景品を取り出している間に会員カードを受付け状態として、前遊技者の余り玉を自身の口座に余り玉貯玉しようとする遊技者がいるため、遊技場ではその対応に苦慮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−51458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、前遊技者の余り玉を貯玉すべく前遊技者の交換処理中に会員カードを受付状態にしようとする遊技者への対応を、十分に考慮した遊技場用景品交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、遊技者が遊技機における遊技により獲得した遊技価値を取込む価値取込手段と、遊技者の内、遊技場における会員を特定するための会員IDを受付けるID受付手段と、前記価値取込手段により取込まれた遊技価値である取込価値を対価として、交換可能な景品を選択する選択操作を行うための選択操作手段と、前記取込価値の全部、或いは一部を前記会員IDに対応付けて管理される遊技者が遊技場へと預入れた遊技価値である貯蓄価値に加算するための処理である貯蓄処理を行う貯蓄手段と、前記選択操作が行われた景品を少なくとも表示する景品交換表示を行う表示手段と、を備えた遊技場用景品交換システムであって、前記選択操作手段による選択操作であって、予め設定された景品である特定景品を選択する特定選択操作の実行後に、前記ID受付手段による会員IDの受付、或いは前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制する抑制手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記景品交換表示を終了する終了操作に応じて、前記景品交換表示を終了すると共に前記貯蓄手段による貯蓄処理を実行させる終了手段を備え、前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が、前記特定選択操作前である場合には、前記終了操作に応じた前記貯蓄処理の実行を許容する一方、前記特定選択操作後である場合には、前記終了操作に応じた前記貯蓄処理の実行を抑制することで、前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制する。
請求項3に記載した発明は、前記ID受付手段は、前記会員IDを特定可能なID記録媒体を受付けることで前記会員IDを受付け、前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が前記特定選択操作後である場合に、前記終了操作に応じて前記会員IDを特定可能なID記録媒体を排出させると共に、会員IDの受付状態をキャンセルさせることで前記貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記選択操作手段による選択操作による景品の選択をキャンセルする取消操作を行うための取消手段を備え、前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が、前記特定選択操作後である状態で前記取消操作が行われた場合に、前記景品の選択をキャンセルさせる代わりに、前記会員IDの受付状態をキャンセルさせることで、前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記表示手段は、前記ID受付手段により会員IDが受付けられた場合に、会員IDが受付状態にある旨を表示可能であり、前記抑制手段は、前記特定選択後に前記ID受付手段による会員IDの受付が行われた場合に、前記会員IDが受付状態にある旨を識別表示することで前記貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、特定景品(特殊景品)を選択する特定選択操作後に会員ID(会員カード)を受付けた場合に、会員IDの受付け又は貯蓄(貯玉)処理を抑制するので、上記したように遊技場従業員が前遊技者のための景品を準備する等、目を離した隙に会員IDを受付状態にして、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して適切な対応が可能となる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、終了操作に応じた貯蓄処理は所謂自動貯玉と呼ばれる遊技場従業員の交換操作処理を簡易にする機能であるが、この自動貯玉を特定選択操作後に会員IDを受付けた場合に抑制することで、遊技場従業員が遊技者の会員IDが受付状態であるにも関わらず終了操作を行っても自動貯玉が行われる虞がなくなり、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して適切に対応可能となる。
請求項3に記載した発明によれば、会員IDの受付状態をキャンセルすることで、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者がそのような行為を行った場合であっても無用な処理を行うこと無く会員IDをキャンセルできると共に、ID記録媒体(会員カード)を排出することによって、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対してそのような行為が許容されるものではない旨を知らしめることが可能となる。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、通常、遊技場従業員が操作する景品交換装置としてのPOSには会員IDをキャンセルする操作部は設けられておらず、会員IDを受付けて遊技者が操作するカードリーダ等の遊技者向けの端末(ID受付手段を有する端末)にのみ会員IDをキャンセルする操作部が設けられているが、POS側に設けられている景品の選択をキャンセルする取消操作を行うための取消手段を兼用することにより、無闇に操作部を増やすことなく適切に前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して対応可能となる。
請求項5に記載した発明によれば、特定選択操作後に会員IDが受付られた場合に識別表示するので、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者が会員IDを受付状態にしたことを的確に遊技場従業員に認識させることが出来、その後に遊技場従業員による適切な対応をサポート可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による遊技場用景品交換システムの構成を概略的に示す図
【図2】POSの構成を概略的に示す図
【図3】カードリーダの構成を概略的に示す図
【図4】POSが記憶する景品交換玉数設定を示す図
【図5】管理装置が記憶する会員DBを示す図
【図6】POSが実行する交換処理のフローチャート
【図7】交換中のPOSの画面表示の一例を示す図その1
【図8】交換中のPOSの画面表示の一例を示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態による遊技場用景品交換システムについて図1から図8を参照しながら説明する。
図1は、遊技場用景品交換システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場用景品交換システム1が設けられている遊技場内には複数台の遊技機2が設置されており、各遊技機2には貸出装置3がそれぞれ付設されている。これら遊技機2及び貸出装置3は、複数台が並設され遊技島4を形成している。この遊技島4には、計数装置5が設けられている。これら遊技機2、貸出装置3及び計数装置5はLAN6を介して管理装置7等に接続されている。このため、遊技機2側の機器から出力される後述する各種の遊技信号は管理装置7に送信され、管理装置7はそれらの遊技信号に基づいて後述する遊技情報を管理している。この管理装置7は、遊技場内の例えば事務所等に設置されている。このような遊技場内には、複数の遊技島4が設けられており、例えば数百台の遊技機2が管理装置7の管理対象となっている。また、遊技場用景品交換システム1は、遊技場用景品交換装置としてのPOS8及びカードリーダ9を備えている。
【0015】
遊技機2は、所謂パチンコ遊技機やスロットマシン等であり、遊技玉(所謂パチンコ玉)やメダル等の遊技価値による遊技を実行する。また、遊技機2は、例えば大当たりやボーナス状態の発生等により、遊技者に遊技価値を付与する。この遊技機2により付与された遊技価値が「遊技により獲得した遊技価値」に相当する。また、遊技機2に付設されている貸出装置3は、周知のように、遊技者が有価価値(例えば貨幣)を投入すると、対応する数の遊技玉やメダル等の遊技価値を遊技者に貸出す。これら遊技機2側の機器からは、例えば、使用された遊技価値を特定可能なアウト信号、付与された遊技価値を特定可能なセーフ信号、遊技機2の遊技状態を特定可能な状態信号、売上げを特定可能な売上信号などが出力される。
【0016】
計数装置5は、遊技玉やメダル等を計数する周知の構成であり、遊技玉の計数結果(即ち、遊技者が獲得した遊技価値)を特定可能な計数値を記録したレシート(計数記録媒体)を発行する。遊技者は、このレシートに記録されている計数値を示す遊技価値(例えば計数値)を特定可能な情報により特定される遊技価値を、後述するようにPOS8において景品に交換可能である。尚、計数装置5による計数結果は、管理装置7にも送信される。
【0017】
管理装置7は、図示しないCPU、ROM、RAM、信号を送受信するための入出力部、及びHDD等の記憶手段を備えたコンピュータで構成されており、ROMやHDD等に記憶されている制御プログラムに従って作動する。この管理装置7は、遊技機2側の機器から送信される遊技信号に基づいて周知のように遊技情報を集計する。管理装置7が集計する遊技情報は、例えば上記したアウト、セーフ、売上金額等、及び、差枚数(=セーフ−アウトで算出)、出玉率(=セーフ÷アウトで算出)、売上金額、所謂スタート回数等である。尚、管理装置7は、これらの全ての遊技情報を必ずしも集計しなくても良いし、他の遊技情報を集計しても良い。
【0018】
遊技場用景品交換装置としてのPOS8(価値取込手段、選択操作手段、貯蓄手段、表示手段、抑制手段、終了手段、取消手段に相当する)は、遊技場内の景品交換カウンタに設けられ、遊技場従業員によって操作される。このPOS8には価値取込手段としての図示しないスキャナが接続されており、計数装置5により発行されたレシートに記録されている計数値を読み取ることで、遊技者が獲得した遊技価値を取込む。POS8は、スキャナで取り込んだ遊技価値(取込価値に相当する)を対価として、交換可能な景品の選択や実際の交換等を行う。POS8で交換可能な景品としては、遊技場によって様々であるものの、たばこ等の一般景品、及び所謂特殊景品(予め定められている特定景品に相当する)がある。尚、POS8で交換可能な景品は、後述する図4に示す景品交換対価設定として設定されている。
【0019】
このPOS8は、図2に示すように、表示手段としての表示部81、操作手段としての各種の操作スイッチ、及びレシート発行口88等を備えている。これらの操作スイッチには、景品の入庫等を行うための入庫釦82、後述する貯蓄処理の実行を指示するための貯玉釦83、特殊景品を選択する特定景品操作を行うための交換釦84、景品交換表示を終了させると共に貯蓄処理を実行させるための終了釦85、景品の種類を選択するための選択操作手段としてのPLU釦86、処理を取り消すためのキャンセル釦87等が設けられている。また、操作スイッチには、選択操作手段として景品の数量を入力するテンキー等も設けられている。
【0020】
カードリーダ9(ID受付手段に相当する)は、図1に示すように、各POS8に通信可能に接続されており、遊技者が所有する会員カード10(「会員IDを特定可能なID記録媒体」に相当する)を受付ける。カードリーダ9は、図3に示すように、表示部91、会員カード挿入口92及びテンキーを有する暗証番号入力釦93を備えている。表示部91には、カードリーダ9の操作に関する情報等が表示される。会員カード挿入口92には、会員カード10が挿入される。暗証番号入力釦93は、遊技者による暗証番号の入力等の操作を受付ける。このカードリーダ9は、上記したように遊技者による会員カード10の挿入や暗証番号の入力等の操作を可能とするため、景品交換カウンタにおいて遊技者に向かって設置されている。
【0021】
遊技者は、会員カード10を挿入することにより、貯玉(遊技場への遊技価値の預入れ)及び貯玉の使用(遊技場へと預入れた遊技価値の使用)が可能となる。尚、貯玉を使用する場合には暗証番号の入力が必要となるが、貯玉する場合には暗証番号の入力は不要となる。即ち、会員カード10の挿入によって貯玉が可能となっている。また、貯玉を使用する場合、暗証番号の入力までは遊技者が行うが、遊技に使用するために貯玉を呼出す操作(貯玉呼出操作。後述するDB即ち遊技者の口座から遊技価値を取出す操作)についてはPOS8側即ち遊技場従業員が操作し、呼出した貯玉については後述するレシートの玉数と同様に総数(図7参照)に加算される。勿論、使用する貯玉数を指定して呼び出すことも可能である。
【0022】
次に、上記した遊技場用景品交換システム1の作用について説明する。
遊技場用景品交換システム1を構成するPOS8には、図4に示すように、交換対象となる景品の種類(景品名)とその対価となる遊技価値(交換対価)とを景品毎に複数段階に区分けした景品対価玉数設定が記憶されている。この景品対価玉数設定は、管理装置7を介してPOS8に設定される。景品対価玉数設定には、例えば「大」、「中」、「小」等の特殊景品の交換対価や、たばこA等の一般景品の交換対価が記憶されている。この場合、対価玉数は同じであるが、異なる複数の景品を1つの景品として登録することもある。ここで、特殊景品について説明する。周知のように特殊景品とは遊技場外の所謂「替場」にて買取可能な景品で、換言すると換金が前提となる景品である。
【0023】
また、POS8には、図示は省略するが、後述する交換可能(玉数。図7参照)に対する設定値であって、交換可能がその設定値未満であることを条件として後述する終了操作を許容するための終了可能数(本実施形態では50玉に設定している)等の周知の設定値も設定されている。尚、図4に示す対価玉数は、パチンコ遊技機を対象とした遊技玉数による設定値を示しているが、スロットマシンを対象としたメダル数による設定値も別途設定されている。
【0024】
一方、管理装置7には、図5に示す会員DB(データベース)が記憶されている。この会員DBには、遊技場の会員となった遊技者の会員IDに対応付けて、遊技者の氏名等の属性情報、及び、貯玉の数並びに貯玉を使用する場合の暗証番号等が遊技者毎に記憶されている。会員DBに記憶されている「貯玉」とは、遊技者が遊技により獲得した獲得玉の内、遊技場へと預け入れた獲得玉、即ち、獲得玉を計数装置5にて計数したとき或いは計数時に発行されるレシートをPOS8にて受付けたときに、会員カード10の受付けによって会員IDと獲得玉とを対応付けた獲得玉である。この貯玉は、従来と同様に、所謂再プレイ処理や景品交換の対価として貯玉が使用された場合に減算される。尚、貯玉以外に貯メダル等も記憶される。また、属性情報は、会員ID以外で遊技者を特定する必要が無い場合等には記憶しなくとも良い。
【0025】
さて、遊技にて遊技価値を獲得した遊技者は、獲得した遊技価値を計数装置5にて計数し、計数装置5から発行されたレシートを景品交換カウンタの遊技場従業員に渡して景品に交換してもらう。このため、POS8は、図6に示す交換処理を実行しており、レシートを受付けたか(A1)、会員カード10を受付中であるか(A2)、及び会員カード10を受付けたか(A3)を判定しており、いずれでもない場合には(A1:NO、A2:NO、A3:NO)、待機している。尚、会員カード10を受付中(A2:YES)、或いは会員カード10を受付けたとしても(A3:YES)、前述した貯玉呼出操作がなされなければ(A4:NO)、待機状態となっている。
【0026】
遊技者がレシートを遊技場従業員に渡し、遊技場従業員がスキャナにてレシートを読み取ると、POS8は、レシートを受付けたことから(A1:YES)、受付けたレシートから読取った(取込んだ)遊技価値(取込価値)に基づいて、交換可能な特殊景品数を特定し(A5)、交換景品表示を更新する(A6)。この景品交換表示は、図7に示すように、POS8の表示部81の特殊景品表示エリア81aに特殊景品の種類及びその数を表示すると共に、仮特定景品表示エリア81bに仮特定した一般景品の種類及びその数を表示する処理である。尚、図7の詳細については後述する。
【0027】
続いて、POS8は、新たなレシートを受付けたか(A7)、交換釦84が押下されたか(A8)、会員カード10を受付中であるか(A24)、仮終了フラグが0であるか(A25)、会員カード10を受付けたか(A26)、景品選択操作を受付けたか(A28)、キャンセル釦87が押下されたか(A21)、及び終了釦85が押下されたか(A12)を判定しており、いずれでもない場合には(A7:NO、A8:NO、A24:NO、A25:YES、A16:NO、A28:NO、A21:NO、A12:NO)、待機する。ここで、仮終了フラグとは、後述するように特殊景品を仮特定した場合に1になるフラグであり、通常は0である。以下、レシート挿入後(ステップA7以降)の待機状態を便宜的に待機ループと称する。
【0028】
遊技者は、複数のレシートを所持している場合がある。そのため、POS8は、待機ループにおいて再びレシートを受付けると(A7:YES)、新たに受付けたレシートにて特定した遊技価値を加算して交換可能な特殊景品数を再び特定し(A5)、交換景品表示を更新する(A6)。つまり、POS8は、遊技者が所持するレシートの受付に応じて、ステップA5及びA6を繰り返す。また、POS8は、読み込んだレシートに記録されている計数値を表示部81に表示する。例えば、3枚のレシートを受付けた場合には、図7に示すように、特殊景品表示エリア81aの総数にレシートを受付けた回数(「受付」=3回)、及びレシートの受付により取り込んだ計数値遊技価値(=13261玉。3枚のレシートの計数値の合計)が表示される。尚、3枚以外の枚数のレシートを受け付けた場合でも同様である。
【0029】
また、遊技者は、獲得した遊技価値の一部をたばこ等の一般景品と交換することがある。遊技場従業員は、遊技者から一般景品への交換を要求されると、POS8にてその景品を選択する景品選択操作を入力する。このとき、POS8は、景品選択操作を受付けると(A28:YES)、交換可能(交換可能な遊技価値。図7参照)が選択景品(交換対象の景品)に設定されている対価玉数以上であるかを判定する(A29)。ここで、交換可能とは、例えば図7に示すように、特殊景品表示エリア81aの「交換可能=」にて示される値であり、計数値遊技価値から仮特定された景品の合計対価玉数を減じた景品交換可能な遊技価値(玉数)を示している。
【0030】
POS8は、対価玉数以上であれば(A29:YES)、選択景品を仮特定し(A30)、交換可能=交換可能−交換対価とする(A31)。つまり、ステップA31では、選択された景品の交換対価を現在の交換可能から減算して、新たな交換可能を算出している。続いて、ステップA5及びA6にて、交換可能な特殊景品数を特定し、交換景品表示を更新する。このとき、選択された景品及びその対価玉数が、仮特定景品表示エリア81bに表示される。尚、交換可能が対価玉数未満の場合には(A29:NO)、実質的な処理を行うことなく待機ループに戻る。この場合、遊技場従業員は、交換出来ない旨を遊技者に伝える。
【0031】
図7は、景品選択操作が受付けられた時点における画面(交換中画面)を示しており、上記したように3回のレシートの受付によって13261玉の遊技価値が特定され、たばこAが景品として選択されたことにより75玉が減算された13186玉(=13261−75)が交換可能として算出されている。そして、交換可能な13186玉に基づいて、「大」が8個、「中」が3個、「小」が4個の特殊景品数が算出される。そして、算出した特殊景品の合計対価玉数を計数値遊技価値から減じた値が「残数」として表示される。図7であれば46玉(=13186−1500×8−300×3−60×4)となっている。尚、図7では特殊景品が未だ仮特定されていないので、上述した通り交換可能は13186玉となっている。
【0032】
さて、図7のような状態で交換釦84が押下(交換操作)されると、詳細は後述するが、表示中の景品が仮特定され、仮特定後に終了釦85が押下(終了操作)されると会員カード10が受付中であればその会員カード10に対応付けられている会員DB(口座)に交換可能(余り玉)が加算されて記憶(余り玉貯玉)される。このとき、上記したようにカードリーダ9が遊技者に向かって設置されていることから、他の遊技者(前遊技者)の交換処理中であるにも関わらず、次の交換処理を待機している遊技者が自身の会員カード10を挿入すると、前遊技者の余り玉が後者の遊技者の口座に余り玉貯玉されてしまう虞がある。
【0033】
そこで、本実施形態の遊技場用景品交換システム1は、以下のようにして、前遊技者の余り玉を自身の口座に余り玉貯玉しようとする遊技者への対応を行っている。
POS8は、待機ループ中に交換釦84が押下されると(A8:YES)、表示中の特殊景品を仮特定し(A9)、仮特定した特殊景品の交換玉数を交換可能から減算した後(A10)、仮終了フラグを1にする(A11)。このとき、POS8の表示部81には、図8に示すように、特殊景品表示エリア81aが反転表示され(景品交換表示が行われ)、仮特定したことが表示されると共に、残数と同数が交換可能として表示される。仮特定フラグが1になると、ステップA25において仮フラグが0であるかを判定していることから、待機ループの流れが変更される。具体的には、仮終了フラグが1であるので(A25:NO)、ステップA26の会員カード10の受付判定が行われなくなる。つまり、特殊景品を仮特定した状態(特定選択操作が行われた状態)においては、会員カード10の受付が禁止される。
【0034】
この場合、POS8は、ステップA3やステップA26のようにレシートの受付前や、待機ループ中に交換ボタン84が押下される前に会員カード10を受付けている場合(A2:YES、又は、A3:YES)、即ち、待機ループに入る前に予め会員カード10を受付けていた場合には、ステップA24において会員カード10を受付中と判定するので(A24:YES)、仮終了フラグを1にした場合であってもステップA27の貯玉呼出は実行可能となっている。貯玉呼出が実行された場合には(A27:YES)、ステップA5及びステップA6を経由した後、仮終了フラグ=1の状態で再び待機ループに戻る。このとき、POS8は、会員カード10を受付中であれば図8に示す通り特殊景品表示エリア81aに「暗証番号未」と表示することによりその旨を遊技場従業員に認識させる。そして、貯玉呼出時に正しい暗証番号が入力されれば、「暗証番号済」と表示することでその旨を遊技場従業員に認識させる。尚、貯玉呼出後にはステップA5において交換可能な特殊景品数の特定が再度行われることから、貯玉呼出後には仮終了フラグを0にするようにしても良い。この点、ステップA7にてレシートを受付けた場合も同様である。
【0035】
POS8は、仮特定した後に終了釦85が押下されると(A12:YES)、会員カード10を受付中かを判定し(A13)、受付中であれば(A13:YES)、仮特定中の景品を確定し(A19)、確定した交換景品の余り玉(交換可能)を貯玉(自動貯玉)する(A20)。景品交換を終了すると、交換した景品や貯玉に関する情報である交換情報を管理装置7に送信し(A17)、仮終了フラグを0にして(A18)、リターンする。このとき、図8に示す画面表示も終了する。つまり、交換釦84の押下操作後に、図8のような画面を見ながら交換する景品を準備し、遊技者へと手渡した後、終了釦85を押下する遊技場従業員が多い。つまり、POS8は、終了釦85の押下に応じて景品交換表示を終了すると共に貯玉処理を自動的に実行する自動貯玉の機能を有している。尚、フローには特に示していないが、待機ループ中に貯玉ボタン83を押下することにより貯玉処理を実行することも勿論可能である。
【0036】
一方、POS8は、会員カード10を受付中でなければ(A13:NO)、交換可能が上記した終了可能数(50玉)以下であるかを判定し(A14)、例えば図8に示すように余り玉(交換可能)が終了可能数以下であれば(A14:YES)、仮特定中の景品を確定し(A15)、確定した交換景品の余り玉を取込む(A16)。その後、交換情報を送信し(A17)、仮終了フラグを0にして(A18)、リターンする。
【0037】
尚、ステップA16にて取込んだ余り玉(貯玉されなかった遊技玉)は、いわば遊技場の売上げとして計上されることになる。このため、いずれかの景品への交換が可能な玉数以上に余り玉が残っているにも関わらず交換処理を終了すると、遊技者に不利益を与える虞がある。そこで、POS8は、交換可能が終了可能数よりも大きい場合には(A14:NO)、待機ループに戻ることにより、例えばステップA28の景品選択操作の受付け等を可能としている。また、待機ループ中において一般景品を追加したりする場合等、上記した操作をキャンセルしたいとき、遊技場従業員はキャンセル釦87を押下する。そして、POS8は、キャンセル釦87が押下されると(A21:YES)、仮特定中の全交換景品をキャンセルして(A22)、仮終了フラグを0にした後(A23)、待機ループに戻る。この場合、仮特定後であれば仮特定もキャンセルされる。
このように、遊技場用景品交換システム1は、特殊景品の仮特定後の会員カード10の受付を禁止している。
【0038】
以上説明した遊技場用景品交換システム1によれば、次のような効果を奏する。
POS8は、仮特定後(特殊景品を選択する特定選択操作後)にカードリーダ9に会員カード10が挿入された場合にはその会員カード10の受付を禁止している。これにより、POS8が自動貯玉機能を有する場合であっても、前遊技者の交換処理中にその余り玉を他の遊技者が自身の会員カード10で貯玉することが出来なくしている。従って、例えば遊技場従業員が景品を準備する等、景品交換カウンタから目を離した隙に自身の会員カード10を受付状態にして自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して、適切な対応をすることが可能となる。
【0039】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。
一実施形態では交換操作後に会員カード10の受付を禁止することで抑制したが、交換操作後でも会員カード10を受付可能とする一方、交換操作後に会員カード10を受付けた場合には終了操作による貯玉は行わずに貯玉釦83の押下(貯玉操作)によってのみ貯玉を可能とする等、会員カード10の受付時点が交換操作の前後のいずれかによって貯玉操作を異なる操作としても良い。
【0040】
また、貯玉操作を異なる操作とするのではなく、会員カード10の受付時点が交換操作の前後のいずれかによって貯玉を禁止しても良い。例えば終了操作に応じて行われる自動貯玉を交換操作後に会員カード10を受付けた場合に禁止(抑制)することで、遊技場従業員が遊技者の会員カード10が受付状態であるにも関わらず終了操作を行っても自動貯玉が行われる虞がなくなり、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して適切に対応することが出来る。
【0041】
この場合、終了操作に応じて会員カード10を排出することが望ましい。また、交換操作後に会員カード10を受付可能とした場合に、交換操作前に会員カード10を受付けていれば実施例同様の処理とする一方、交換操作後に会員カード10を受付けた場合にはキャンセル釦87の押下に応じて会員カード10の受付をキャンセルする等、キャンセル操作に応じた処理を異なる処理としても良い。このような構成によれば、会員カード10の受付状態をキャンセルすることで、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者がそのような行為を行った場合であっても無用な処理を行うこと無く会員カード10の受付状態をキャンセルできると共に、会員カード10を排出することによって、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対してそのような行為が許容されるものではない旨を知らしめることが出来る。
【0042】
一実施形態では会員カード10を受付けた状態を「暗証番号未」等により表示したが、会員カード10の受付が交換操作後である場合に、その表示を点滅させる等して識別表示し、会員カード10の受付が交換操作後に行われた旨を識別表示しても良い。これによれば、前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者が会員カード10を受付状態にしたことを的確に遊技場従業員に認識させることが出来、その後の遊技場従業員による適切な対応をサポート可能となる。
遊技機2にして使用する遊技媒体は、遊技玉に限らずメダル等の媒体としても良いし、所謂封入式のような点数管理される点数としても良い。この場合も考慮し、本発明では遊技媒体ではなく、遊技価値と表現している。また、POS8による取込対象となる計数記録媒体は、レシート以外の計数記録媒体であっても良い(例えばカードや携帯電話等)。また、会員IDの特定方法も会員カード10に限らず、生体認証等、どのように特定しても良い。
【0043】
終了操作に応じた貯玉処理を前提としたが、遊技場従業員が前客の会員カード10が受付状態にあると間違えて貯玉操作を行う可能性もあるので、例えば貯玉釦83の押下に応じた貯玉処理等、必ずしも終了操作に応じた貯玉処理を前提にしなくとも良い。
レシートに記録される計数値(遊技者が獲得した遊技価値)を管理装置7に記憶させ、その記録情報(計数値)を特定可能な情報(レシートID)を記憶させても良い。また、レシート受付時に管理装置7にレシートの記録情報を照合しても良い。また、レシート以外の計数記録媒体によって計数玉を取り込むことも勿論良いし、計数装置5等から計数記録媒体を介さずにデータ送信により遊技者が獲得した遊技価値(例えば計数玉)を取り込むようにしても良い。
【0044】
POS8の機能の一部を管理装置7に持たせたり、管理装置7の本発明に関連する機能の全てをPOS8に持たせても良い。即ち、本発明でいう遊技場用景品交換装置は、POS8単体で構成しても良いし、管理装置7とPOS8とにより構成しても良い。
また、通常、遊技場従業員が操作する景品交換装置としてのPOS8には会員カード10等の会員IDの受付等をキャンセルする操作部は設けられておらず、カードリーダ9等の遊技者向けの端末にのみ会員IDの受付等をキャンセルする操作部が設けられているが、POS8側に設けられている景品の選択をキャンセルする取消操作を行うための取消手段(キャンセル釦87)を兼用する構成としても良い。これにより、無闇に操作部を増やすことなく適切に前遊技者の余り玉を自身の貯玉に取り込もうとする遊技者に対して対応可能となる。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は遊技場用景品交換システム、2は遊技機、8はPOS(価値取込手段、選択操作手段、貯蓄手段、表示手段、抑制手段、終了手段、取消手段)、9はカードリーダ(ID受付手段)、10は会員カード(記録媒体)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が遊技機における遊技により獲得した遊技価値を取込む価値取込手段と、
遊技者の内、遊技場における会員を特定するための会員IDを受付けるID受付手段と、
前記価値取込手段により取込まれた遊技価値である取込価値を対価として、交換可能な景品を選択する選択操作を行うための選択操作手段と、
前記取込価値の全部、或いは一部を前記会員IDに対応付けて管理される遊技者が遊技場へと預入れた遊技価値である貯蓄価値に加算するための処理である貯蓄処理を行う貯蓄手段と、
前記選択操作が行われた景品を少なくとも表示する景品交換表示を行う表示手段と、を備えた遊技場用景品交換システムであって、
前記選択操作手段による選択操作であって、予め設定された景品である特定景品を選択する特定選択操作の実行後に、前記ID受付手段による会員IDの受付、或いは前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制する抑制手段を備えたことを特徴とする遊技場用景品交換システム。
【請求項2】
前記景品交換表示を終了する終了操作に応じて、前記景品交換表示を終了すると共に前記貯蓄手段による貯蓄処理を実行させる終了手段を備え、
前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が、前記特定選択操作前である場合には、前記終了操作に応じた前記貯蓄処理の実行を許容する一方、前記特定選択操作後である場合には、前記終了操作に応じた前記貯蓄処理の実行を抑制することで、前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用景品交換システム。
【請求項3】
前記ID受付手段は、前記会員IDを特定可能なID記録媒体を受付けることで前記会員IDを受付け、
前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が前記特定選択操作後である場合に、前記終了操作に応じて前記会員IDを特定可能なID記録媒体を排出させると共に、会員IDの受付状態をキャンセルさせることで前記貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする請求項2に記載の遊技場用景品交換システム。
【請求項4】
前記選択操作手段による選択操作による景品の選択をキャンセルする取消操作を行うための取消手段を備え、
前記抑制手段は、前記ID受付手段による会員IDの受付が、前記特定選択操作後である状態で前記取消操作が行われた場合に、前記景品の選択をキャンセルさせる代わりに、前記会員IDの受付状態をキャンセルさせることで、前記貯蓄手段による貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技場用景品交換システム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ID受付手段により会員IDが受付けられた場合に、会員IDが受付状態にある旨を表示可能であり、
前記抑制手段は、前記特定選択後に前記ID受付手段による会員IDの受付が行われた場合に、前記会員IDが受付状態にある旨を識別表示することで前記貯蓄処理の実行を抑制することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊技場用景品交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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