遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材
【課題】本発明は、遊技機の搬出・搬入作業における作業者の負担を軽減することができ、さらに業界内に普及し得る遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材を提供することを目的とした。
【解決手段】遊技場用椅子1は、遊技場に設置された遊技機30の正面の位置に配されるもので、遊技者が着座する腰掛け部2と、その遊技者が着座した際に背中と対面する背もたれ部3と、少なくとも背もたれ部3を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転装置6と、回転装置6によって変更された背もたれ部3の回転後の位置を固定できる回転固定部材9とを有している。これにより、遊技場用椅子1の背もたれ部3を搬送可能位置の状態として維持することができるため、遊技機の搬出・搬入作業の際の作業者の負担を軽減することができる。
【解決手段】遊技場用椅子1は、遊技場に設置された遊技機30の正面の位置に配されるもので、遊技者が着座する腰掛け部2と、その遊技者が着座した際に背中と対面する背もたれ部3と、少なくとも背もたれ部3を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転装置6と、回転装置6によって変更された背もたれ部3の回転後の位置を固定できる回転固定部材9とを有している。これにより、遊技場用椅子1の背もたれ部3を搬送可能位置の状態として維持することができるため、遊技機の搬出・搬入作業の際の作業者の負担を軽減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材に関するものであり、特に遊技機の取り付け・取り外し作業の前後の障害になることがない遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技場においては、一般的に、椅子に着座してパチンコ機やスロット機等を遊技するため、隙間なく並べられた複数の遊技機に対して、遊技者が所望の遊技機に向き合って遊技できるように、各遊技機の正面の位置に椅子が床面に固定して並べられている。そして、遊技場用の椅子は、椅子同士の狭い間隔を通じて、遊技者が着座したり、席を離れたりするため、利便性向上の目的で、床面に対して垂直な回転軸を基準に相対回転する機能が備えられている。
【0003】
即ち、この種の遊技場用の椅子は、遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が腰掛け部に着座した際にもたれることを可能とする背もたれ部と、床面に固定され腰掛け部の床面からの高さを所望の位置に維持する脚部を有し、腰掛け部と背もたれ部が脚部の軸の周方向に回転する構成とされている。
また、最近の遊技場は、遊技者に対して快適な遊技空間を提供する努力の1つとして、従来より背もたれ部が比較的高いハイバック型のものが採用される傾向がある。
【0004】
ところで、遊技場においては、遊技者の興味を引くため、新しい遊技機の導入(所謂新台入れ替え)や、既設の遊技機の配置換え等の作業が頻繁に行われる。この作業には、既に島に設置された遊技機を取り外す搬出作業と、島に新たに設置する搬入作業とがある。そして、この搬出作業と搬入作業においては、遊技場に設けられたハイバック型の椅子により、作業効率の低下を強いられていた。
【0005】
即ち、遊技場の椅子は、床に一体的に固定されていることから、遊技機の正面の位置から逸した別の場所に移動させることができない上、背もたれ部の上部側が島に設置された遊技機の下部側と向き合う高さに配されているため、遊技機の搬出や搬入作業を行う際に、椅子の背もたれ部を避けるように遊技機を運ばなければならない。従って、パチンコ機やスロット機等の搬出・搬入作業の際には、重量が25〜35kg程ある遊技機を椅子の背もたれ部を越える高さの位置まで持ち上げる手間があるため、作業者にかなりの負担を与えていた。
そこで、特許文献1には、背もたれ部を腰掛け部側に折りたたむことができる遊技場用椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−23143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、遊技場において、背もたれ部を折りたたむ機能を備えた椅子は、従来の遊技場用椅子より設備投資費が増加してしまうという懸念があり、わざわざ遊技機の搬出・搬入作業のためだけに導入することは考えづらい。実際、遊技場において、その種の椅子は普及していない。
【0008】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、遊技機の搬出・搬入作業における作業者の負担を軽減することができ、さらに業界内に普及し得る遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、遊技機が設置された遊技場で使用され、前記遊技機の正面の位置に設置されて遊技者が着座する遊技場用椅子において、遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が前記腰掛け部に着座した際に当該遊技者の背中と対面する背もたれ部と、少なくとも背もたれ部を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転手段と、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段とを有することを特徴とする遊技場用椅子である。
【0010】
本発明の遊技場用椅子は、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段を有しているため、先に説明したように、島に対して新たな遊技機を取り付ける際の搬入作業や、島から既存の遊技機を取り外す際の搬出作業を行う場合に、遊技場用椅子の背もたれ部が障害となって、作業の妨げとなることがない。即ち、通常、遊技者が腰掛け部に着座していない場合、背もたれ部における遊技者の背中と対面する側の面(以下、正面と言う)が遊技機に対面した姿勢を取っており、この状態における搬出・搬入作業が重労働とされていたが、本発明によれば、固定手段によって、背もたれ部の正面を遊技機と対面する向きから逸した状態に維持することができる。これにより、遊技機の搬出・搬入作業の際に、固定手段によって、遊技機を通過させる搬出・搬入通路が確保されるため、従来のように、背もたれ部を越える高さの位置までわざわざ遊技機を持ち上げるという手間がなく、重労働とならない。即ち、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0011】
また、本発明では、背もたれ部の回転後の位置を固定する固定手段として、例えば、回転手段に係合部等を設け、所定の回転角度となればその係合部が係合されて背もたれ部の回転後の位置を固定する構成であったり、隣接する遊技場用椅子同士を接続可能な接続部材等を用いて、背もたれ部の回転後の位置を固定する構成等が挙げられる。特に、後者のような構成であれば、既存製品の椅子あるいは既設の椅子に対して接続部材が接続される被接続部(例えば、ビス孔等)を付加すれば成り立つため、製造コストの増加を招かない。即ち、遊技場において、設備投資を増加させることがないため、業界内に普及する可能性がある。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記固定手段は、互いに異なる対象部に直接的又は間接的に接続される2以上の接続部を有し、1つの接続部が回転手段により回転するいずれかの部位に接続され、別の1つの接続部が回転手段による回転の影響が及ばない当該遊技場用椅子のいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に接続されるものであって、前記固定手段における少なくとも2つの接続部が互いに異なる対象部に接続されると、背もたれ部の回転位置が固定されることを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子である。
ここで言う「間接的」とは、対象部に別の固定手段を接続して固定手段同士を接続する場合や、他の部材を介する場合を意味している。
【0013】
かかる構成によれば、容易に背もたれ部の回転位置を固定することができる。即ち、遊技場におけるいずれか1脚の遊技場用椅子を回転手段の機能によって回転させ、その回転した状態の背もたれ部と、例えば当該遊技場用椅子における回転手段の影響がない脚部との双方を、固定手段で接続すれば、たとえ回転手段の機能によって背もたれ部が回転させる前の状態に戻ろうとしても、回転しない脚部に接続された固定手段が背もたれ部の回転を阻止するため、背もたれ部の回転位置を固定することができる。
また、隣接した遊技場用椅子を背もたれ部が互いに近接するように回転し、その状態の背もたれ部同士を、固定手段で接続すれば、たとえ回転手段の機能によって双方の背もたれ部が回転させる前の状態に戻ろうとしても、双方の戻ろうとする回転方向は相反するため、対象部に接続された固定手段は接続部同士の間で引っ張られた状態となり、双方の背もたれ部は互いに回転することが阻止される。これにより、背もたれ部の回転位置を固定することが可能となる。
従って、本発明によれば、固定手段の接続部を互いに異なる対象部に接続することで、容易に遊技場用椅子の回転位置を固定できるため、作業手間が殆どない。これにより、業界内に普及する可能性をより高くすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記固定手段は、長尺状部材で、2以上の接続部のうち少なくとも1つが長手方向一方の端部側に設けられ、残りの接続部が長手方向他方の端部側に設けられたものであって、隣り合った椅子同士の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態で、双方の背もたれ部又は腰掛け部に固定手段の接続部を接続可能としたことを特徴とする請求項2に記載の遊技場用椅子である。
【0015】
本発明の遊技場用椅子によれば、固定手段は長尺状部材の両端部に接続部を設けた構成であるため、固定手段を製造することが容易であり、固定手段の導入による費用の増加の影響は小さい。即ち、固定手段としては、例えば、長尺状部材の一方の端部をリング状の部材を取り付け可能な構造(以下、リング接続部と言う)とし、他方の端部をフック状の構造(以下、フック接続部と言う)とする。そして、その固定手段のリング接続部を1脚の遊技場用椅子の背もたれ部に取り付け、フック接続部をフリーの状態にしておき、固定手段が取り付けられた遊技場用椅子の背もたれ部の背面側と、その椅子に隣りあった椅子の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態にして、固定手段のフック接続部を隣りあった側の椅子に係合させることで、同時に2脚の椅子の回転位置を固定することができる。これにより、遊技場における遊技場用椅子の数が多い程、固定手段の導入に伴って増加し得る費用を抑制させることが可能となる。
なお、本発明の固定手段においては、長尺状部材の接続部には、2つのフック接続部を設けた構成としても、2つのリング状接続部を設けた構成としても構わない。
【0016】
請求項4に記載の発明は、1脚の回転式の遊技場用椅子又は2脚以上の異なる回転式の遊技場用椅子における異なる対象部に接続される2つ以上の接続部を有し、1つの接続部は、遊技場用椅子の回転する部位のいずれかに接続され、残りの接続部のうちの1つは当該遊技場用椅子における回転の影響が及ばないいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に直接的又は間接的に接続されるものであって、前記2つの接続部を異なる対象部に接続すると、遊技場用椅子の回転位置が固定されることを特徴とした遊技場用椅子の回転固定部材である。
ここで言う「間接的」とは、対象部に別の固定手段を接続して固定手段同士を接続する場合や、他の部材を介する場合を意味している。
【0017】
本発明の遊技場用椅子の回転固定部材は、回転式の遊技場用椅子を回転させた状態で維持させることができるため、先に説明したように、遊技機の搬出・搬入作業の際に、椅子に備えられた背もたれ部を、作業の障害とならない姿勢に固定しておくことができる。具体的には、2以上設けられた接続部のうち、1つを遊技場用椅子の回転する部位に接続し、別の1つをその遊技場用椅子の回転の影響がない部位あるいは他の遊技場用椅子に接続することで、固定部材を回転する部位に接続した椅子(1脚又はそれ以上)は、たとえ回転前の状態に戻ろうとしても、その回転が阻止される。即ち、本発明によれば、1又はそれ以上の回転式の遊技場用椅子の回転させた後の回転位置を固定することができる。
これにより、遊技機の搬出・搬入作業の際に、遊技機を通過させる搬出・搬入通路が確保されるため、従来のように、背もたれ部を越える高さの位置までわざわざ遊技機を持ち上げるという手間がなく、当該作業が重労働とならない。即ち、作業者の作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材では、椅子を回転させてその椅子の背もたれ部を遊技機と向き合った状態から逸した姿勢を維持させることができるため、遊技機の搬出・搬入作業の際に、背もたれ部が作業の邪魔になることがなく、作業者の負担が軽減される。
また、本発明は、椅子の回転後の姿勢を固定する構造が簡単であり、既存製品に対しても付加できるため、製造コストが大幅に増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技場用椅子を示す斜視図である。
【図2】図1の遊技場用椅子の分解斜視図である。
【図3】図2に示す背部側ベース部を別の角度から見た図である。
【図4】遊技機を基準に正面視した遊技場用椅子を示す説明図で、もたれ可能位置の姿勢を維持した背もたれ部を示す図である。
【図5】遊技場用椅子の背もたれ部を回転装置を介して回転させた状態を示す説明図である。
【図6】遊技機を正面視した際の遊技場用椅子を示す説明図で、搬送可能位置の姿勢を維持した背もたれ部を示す図である。
【図7】回転固定部材を腰掛け部の底面側に露出するように保持させた遊技場用椅子を示す概念図で、(a)は遊技場の床面側から見上げた際の図で、(b)は遊技機を基準に正面視した図である。(破線:不使用状態、実線:使用状態)
【図8】遊技機を正面視した際の回転固定部材を背もたれ部の側面側に露出するように保持させた遊技場用椅子を示す概念図である。(破線:不使用状態、実線:使用状態)
【図9】回転固定部材の変形例を示す斜視図である。
【図10】図8の回転固定部材を使用して遊技場用椅子の背もたれ部の搬送可能位置を維持した状態を示す概念図で、(a)、(b)はそれぞれ係合側接続部の係合位置が異なる。
【図11】回転固定部材を背もたれ部と脚部に接続可能とした遊技場用椅子を示す概念図である。
【図12】回転固定部材を腰掛け部と脚部に接続可能とした遊技場用椅子を示す概念図である。
【図13】隣接する遊技場用椅子の回転固定部材を互いに係合して背もたれ部を搬送可能位置の姿勢に維持した状態を示す説明図である。
【図14】背もたれ部と腰掛け部が互いに相対的に回転可能な構成を有した遊技場用椅子を示す概念図であり、(a)は遊技機を基準に側面視した図で、(b)は遊技機を基準に上部から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施形態に係る遊技場用椅子1について説明する。
なお、特に断りがない限り、上下左右、前後方向の表現に関しては図1を基準とする。
【0021】
本実施形態の遊技場用椅子1は、図1に示すように、パチンコ機やスロット機等の遊技機30を遊技できる遊技場に設けられるもので、各遊技機30に対向する位置に1脚ずつ配されるものである。即ち、遊技場用椅子1は、所望の遊技機30を遊技する際に着座できるような配置とされている。
【0022】
遊技場用椅子1は、図1に示すように、腰掛け部2と、背もたれ部3と、脚部5と、腰掛け部2と脚部5の間に設けられ腰掛け部2及び背もたれ部3を脚部5に対して相対的な回転を可能とする回転装置(回転手段)6(図2)と、回転装置6の回転位置を固定可能な回転固定部材(固定手段)9により構成されている。
【0023】
腰掛け部2は、平面視した形状がほぼ正方形で、遊技者が着座した際に当該遊技者の尻部が当接する部分である。即ち、腰掛け部2は、図2に示すように、実際に遊技者の尻部が当接するクッション部15と、そのクッション部15を保持する底部側ベース部16とにより構成されている。
クッション部15は、衝撃を緩和するクッション性の高いスポンジ等の図示しない緩衝材を有し、その緩衝材を布地、革、又は合皮等の被覆部材で覆った構成とされている。なお、クッション部15の大きさは、後述する底部側ベース部16の底部側ベース空間17に嵌り込む程度の大きさとされている。
【0024】
底部側ベース部材16は、樹脂の射出成形によって作られた部材である。具体的には、底部側ベース部16は、平面視した形状がほぼ正方形で、一面が開放された筐体である。より具体的には、底部側ベース部16は、腰掛け部2の底面側に位置する底面壁18と、その底面壁18を囲繞するように一体的に接合された側面壁20を有し、底面壁18と側面壁20とによって底部側ベース空間17が形成されている。即ち、底部側ベース部16は、底面壁18に対向する天面側の一面が開放されており、この開放された一面側から底部側ベース空間17にクッション部15が嵌め込まれる。なお、底部側ベース空間17に嵌め込まれたクッション部15は、接着剤等によって底部側ベース部材16に固定される。
【0025】
また、底面壁18には、部材の厚み方向に貫通した4つの貫通孔33及び4つの貫通孔35が設けられている。具体的には、貫通孔33は、底面壁18の中心から外れた位置に四角形の頂点を形成するように配されており、後述する背もたれ部3を接続する際に用いられるものであり、貫通孔35は、底面壁18の中心近傍且つその中心を囲むように配され、後述する回転装置6を接続する際に用いられるものである。
【0026】
背もたれ部3は、遊技者が着座した際に当該遊技者の背中をもたせかけることを可能とする部分であり、外観が、1つの大長方形部3aと、屈曲した1つの小長方形部3bを組み合わせた形状とされている。具体的には、1つの小長方形部3bは、大長方形部3aの短手側縁部の中央に配され、大長方形部3aに一体的に接合された構成とされている。
【0027】
背もたれ部3は、図2に示すように、大長方形部3aを形成するクッション部21と、クッション部21を保持する背部側ベース部22と、さらに小長方形部3bを形成する連結部24とによって形成されている。
クッション部21は、前記した腰掛け部2におけるクッション部15とほぼ同じ構成を有しており、大きさは後述する背部側ベース部22に設けられた背部側ベース空間27に嵌り込む程度の大きさとされている。
【0028】
背部側ベース部22は、後述する連結部24と共に、樹脂の射出成形によって作られた部材である。具体的には、背部側ベース部22は、平面視した形状がほぼ正方形で、図3に示すように、一面が大きく開放された筐体である。より具体的には、背部側ベース部22は、背もたれ部3の背面側に位置する背面壁23と、その背面壁23を囲繞するように一体的に接合された側面壁25を有し、背面壁23と側面壁25とによって背部側ベース空間27が形成されている。即ち、背部側ベース部22は、背面壁23に対向する正面側の一面が開放されており、この開放された一面側から背部側ベース空間27にクッション部21が嵌め込まれる。なお、背部側ベース空間27に嵌め込まれたクッション部21は、接着剤等によって背部側ベース部材22に固定される。
【0029】
また、背面壁23のほぼ中央には、背部側ベース空間27側に直方体状に盛り上がった収納空間形成部7が設けられている。換言すると、収納空間形成部7は、背部側ベース空間27と反対側(背もたれ部3の背面側)に凹み状の収納空間8を形成している。本実施形態では、収納空間8は、回転固定部材(固定手段)9が収納される部位で、スライド式の蓋部材13によって閉塞状態にすることができる。
【0030】
本実施形態で採用される回転固定部材9は、一定の径を備え、且つ全体の長さが収納空間8の長手方向長さとほぼ同じあるいは若干短くされたた針金状の部材であり、回転固定部材9の両端部において、一方の端部側にリング状に加工した固定側端部(接続部)32が設けられ、他方の端部側にフック状に加工した係合側端部(接続部)31が設けられている。
【0031】
また、収納空間8内では、回転固定部材9は、固定側端部32が予め鎖状に接続されており、係合側端部31がフリーな状態とされている。換言すれば、回転固定部材9は、固定側端部32を基準として、係合側端部31側を収納空間8から露出させたり、再び収納させたりすることが可能に接続されている。
また、本実施形態では、蓋部材13に、係合側端部31が係合される被係合部34が設けられており、その被係合部34は、収納空間8を閉塞した際に、背もたれ部3の背面側に位置するように配されている。
【0032】
連結部24は、背もたれ部3を側面視した際の形状がほぼ「L」字型とされた部分であり、一方の端部側(基端側)が背部側ベース部22に一体的に形成された構成とされている。そして、連結部24は、L字の屈曲部を境に、他方の端部側(突端側)が腰掛け部2を接続可能な構成とされている。即ち、連結部24は、突端側に部材の厚み方向に貫通した4つの貫通孔36が設けられおり、その貫通孔36は、底部側ベース部16に設けられた4つの貫通孔33と連通する配置とされている。
【0033】
脚部5は、腰掛け部2を遊技場の床面から所定の高さに維持できるパイプ状の支持材であって、一方の端部側が床に固定され、他方の端部側が後述する回転装置6に軸支されている。
【0034】
回転装置6は、公知の回転機構を備えたものが採用されており、脚部5の軸の周方向に脚部5に対して相対的に回転可能であり、さらに回転方向に外力がない状態においては図示しない付勢手段によって所定の位置(待機位置)に姿勢が戻される又は維持されるものである。即ち、回転装置6は、脚部5が挿通されて軸支可能な図示しない被挿通部と、腰掛け部2に当接し固定されるフランジ部47とを備えている。そして、フランジ部47には、腰掛け部2のボルト等の固定手段が挿通される4つの貫通孔48が設けられており、その4つの回転装置6の貫通孔48は、腰掛け部2の貫通孔35とそれぞれ連通する配置にされている。
【0035】
次に、本実施形態に係る遊技場用椅子1の組み立て構造について説明する。
本実施形態に係る遊技場用椅子1は、図1に示すように、遊技機30の真正面に対向する位置に配されて、遊技場の床に脚部5の一方の端部側が固定されて設置されている。そして、脚部5の他方の端部側は、図5に示すように、回転装置6に軸支されており、その回転装置6のフランジ部47が腰掛け部2に固定されている。具体的には、回転装置6と腰掛け部2は、回転装置6の貫通孔48と腰掛け部2の貫通孔35を連通した状態にして、固定手段により接続されている。即ち、腰掛け部2は、回転装置6によって、脚部5に対して相対的に回転することができる。
【0036】
また、腰掛け部2には、背もたれ部3が一体的に接続されている。具体的には、背もたれ部3は、腰掛け部2と接続された回転装置6が前記した待機位置の状態において、図4に示すように、クッション部21側の面が遊技機30と向き合うように配され、背もたれ部3の貫通孔36と腰掛け部2の貫通孔33を連通した状態にして、固定手段により接続されている。即ち、背もたれ部3は、腰掛け部2の回転と一体となって回転する。
そして、背もたれ部3の収納空間8においては、回転固定部材9が収納されており、その回転固定部材9の固定側接続部32が背部側ベース部22に対して、鎖状に接続され、係合側接続部31側を外部に取り出せるように配されている。そして、その収納空間8は、回転固定部材9が使用されない間は蓋部材13によって閉塞されている。
【0037】
次に、本実施形態に係る遊技場用椅子1の使用方法について説明する。
本実施形態の遊技場用椅子1は、遊技場に新たな遊技機を搬入して遊技機の設置箇所たる開口状の遊技機取付部50に取り付けたり(以下、搬入作業と称す)、既存の遊技機を遊技機取付部50から取り外したり(以下、搬出作業と称す)する際に、特徴的機能を発揮し、それ以外の際には、通常の椅子としての機能を発揮する。換言すれば、本実施形態では、背もたれ部3をもたれ可能位置にするか、搬送可能位置にするかで使用方法が異なる。
【0038】
即ち、通常の椅子として機能させる場合は、図1、4に示すように、背もたれ部3を遊技機30に対向させて、もたれ可能位置にした状態で使用する。換言すれば、背もたれ部3を遊技機30に対向させた状態においては、回転装置6は待機位置に維持された状態である。即ち、この状態において、遊技者が遊技機30と向き合って腰掛け部2に着座すると、その遊技者の背中と背もたれ部3の正面側(クッション部21側)が向き合った状態となり、遊技者が背もたれ部3にもたれた状態で遊技を行うことが可能となる。
なお、本実施形態の遊技場用椅子1では、公知の遊技場用椅子と同様、遊技者が着座した状態で、腰掛け部2及び背もたれ部3を回転させることができる。
【0039】
一方、本実施形態の特徴的機能を発揮させる場合は、回転装置6を介して腰掛け部2を回転させる。ここで、本実施形態における回転固定部材9は、隣接する2脚の遊技場用椅子1の回転位置を同時に固定できる構成であるため、図4に示す2脚の遊技場用椅子1a、1bを用いて説明する。
【0040】
即ち、遊技場用椅子1aの腰掛け部2を回転させて、背もたれ部3の正面側を遊技機に対して、ほぼ直交する姿勢にする。このとき、同時又は別々に隣接する遊技場用椅子1bの背もたれ部3も同様の姿勢になるように腰掛け部2を回転させる。具体的には、図5に示すように、遊技場用椅子1aと遊技場用椅子1bの双方の背もたれ部3の背面側(収納空間8が配置された側)が最も近接し且つ向き合うような姿勢にする。そして、いずれか一方の遊技場用椅子1(以下の説明では遊技場用椅子1a)の背もたれ部3の収納空間8に配置された回転固定部材9を、固定側接続部32が背もたれ部3に接続された状態で取り出して、図6に示すように、係合側接続部31を他方の遊技場用椅子1(以下の説明では遊技場用椅子1b)の背もたれ部3の被係合部34に係合する。これにより、隣接する遊技場用椅子1a、1bの双方における回転装置6の回転が阻止される。
【0041】
即ち、本実施形態の遊技場用椅子1a、1bにおいては、それぞれの背もたれ部3の背面側を互いに向かい合わせた状態で、回転固定部材9を介して、双方の遊技場用椅子1a、1bを接続することができるため、背もたれ部3の回転姿勢を遊技機30と向き合った状態から逸した搬送可能位置に維持させることができる。これにより、遊技機30の正面の位置から背もたれ部3が外れるため、遊技機の搬出・搬入作業の際に、背もたれ部3を越える高さの位置まで搬送物たる遊技機30を持ち上げる手間がない。即ち、遊技機30の搬出・搬入作業の際に、無駄な労力が省かれるため、作業者の負担を軽減することができる。結果的に、遊技機の搬出・搬入作業時の作業効率を向上させることができる。
【0042】
上記実施形態では、回転固定部材9の一方の端部にリング状の固定側接続部32を設け、他方の端部にフック状の係合側接続部31を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、回転固定部材の両端部をリング状の接続部としたり、フック状の接続部としても構わない。なお、回転固定部材の端部の双方をリング状とした場合、被係合部の形状をフック状等に変更して、接続部と被係合部が互いに係合可能な形状にする必要がある。
【0043】
また、上記実施形態では、回転固定部材9を背もたれ部3の収納空間8に収納して保管する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、回転固定部材9を遊技場に露出した位置に保管する構成であっても構わない。例えば、図7に示すように、回転固定部材9を腰掛け部2の底面側に保持させて保管したり、図8に示すように、背もたれ部3の側面側に保持させて保管する構成であってもよい。この構成によれば、既製品の椅子あるいは遊技場に設置された既存の椅子に対して付加できるため、導入コストを抑えることができる。
また、この構成を採用した場合であっても、上記実施形態と同様、回転固定部材9の一方の端部を予め遊技場用椅子に対して、鎖状に接続しておくことが好ましい。これにより、遊技場用椅子から不意に脱落して、紛失してしまう不具合を阻止することができる。そして、この構成を採用した場合は、隣接する遊技場用椅子における回転固定部材9の他方の端部が係合される被係合部を、適宜の位置に設けることが好ましい。
【0044】
上記実施形態では、回転固定部材9を針金状部材とした構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示すように、長尺状の板部材を採用した回転固定部材40を採用した構成としても構わない。この構成によれば、1つの回転固定部材40に必要に応じて複数の係合側接続部49を設けることができる。即ち、係合側接続部49を切り欠き状とし、回転固定部材40の長手方向に異なる位置に複数設けることで、図10(a)、(b)に示すように、遊技場における島(列)に設置された遊技場用椅子1同士の間隔がそれぞれ異なる場合であっても対応することが可能となる。これにより、新たに長さの異なる回転固定部材を用意することなく、各遊技場用椅子1の回転位置を搬送可能位置に確実に固定できるため、汎用性が高い回転固定部材40を提供することができる。
【0045】
上記実施形態では、隣接する遊技場用椅子1a、1b同士を回転固定部材9で接続して、双方の回転位置を同時に固定する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、遊技場用椅子の回転位置を隣接する遊技場用椅子と同時に固定しない構成であっても構わない。即ち、1脚の遊技場用椅子41における回転装置6によって回転する部位と、回転しない部位とを回転固定部材9で接続すれば、回転装置6の回転位置を固定することができる。具体的には、図11(遊技場用椅子41a)、図12(遊技場用椅子41b)に示すように、腰掛け部2あるいは背もたれ部3と、脚部5とを回転固定部材9で接続すれば、回転装置6によって回転した背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定することができる。これにより、上記実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
また、この構成によれば、隣接する遊技場用椅子に依存することなく各遊技場用椅子41の回転位置を単独で固定できるため、遊技場の島(列)構成がいかなるものであっても融通を利かせることが可能である。即ち、隣接する遊技場用椅子41同士の間隔が変化する場合であっても、遊技場における島(列)に設置された遊技場用椅子41の数が奇数であっても、確実に各遊技場用椅子41の回転位置を搬送可能位置に固定することができる。
【0046】
上記実施形態では、回転固定部材9の係合側接続部31を直接的に対象部たる隣接する遊技場用椅子1に対して接続して双方の背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図13に示すように、隣接する遊技場用椅子1同士の回転固定部材9の係合側接続部31を互いに係合して接続(間接的に隣接する遊技場用椅子1に接続)することで、双方の背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定しても構わない。
【0047】
また、上記実施形態では、回転装置6による回転動作に連動して、背もたれ部3と腰掛け部2が回転する椅子を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図14に示すように、2つの軸受け(回転手段)51、52を脚部5の軸方向に重ねて、背もたれ部43と腰掛け部44に対してそれぞれ異なる軸受け51,52を接続する構成を備えた椅子39であっても、回転固定部材9、40を用いることで同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、39、41 遊技場用椅子
2、44 腰掛け部
3、43 背もたれ部
6 回転装置(回転手段)
9、40 回転固定部材
31 係合側接続部(接続部)
32 固定側接続部(接続部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材に関するものであり、特に遊技機の取り付け・取り外し作業の前後の障害になることがない遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技場においては、一般的に、椅子に着座してパチンコ機やスロット機等を遊技するため、隙間なく並べられた複数の遊技機に対して、遊技者が所望の遊技機に向き合って遊技できるように、各遊技機の正面の位置に椅子が床面に固定して並べられている。そして、遊技場用の椅子は、椅子同士の狭い間隔を通じて、遊技者が着座したり、席を離れたりするため、利便性向上の目的で、床面に対して垂直な回転軸を基準に相対回転する機能が備えられている。
【0003】
即ち、この種の遊技場用の椅子は、遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が腰掛け部に着座した際にもたれることを可能とする背もたれ部と、床面に固定され腰掛け部の床面からの高さを所望の位置に維持する脚部を有し、腰掛け部と背もたれ部が脚部の軸の周方向に回転する構成とされている。
また、最近の遊技場は、遊技者に対して快適な遊技空間を提供する努力の1つとして、従来より背もたれ部が比較的高いハイバック型のものが採用される傾向がある。
【0004】
ところで、遊技場においては、遊技者の興味を引くため、新しい遊技機の導入(所謂新台入れ替え)や、既設の遊技機の配置換え等の作業が頻繁に行われる。この作業には、既に島に設置された遊技機を取り外す搬出作業と、島に新たに設置する搬入作業とがある。そして、この搬出作業と搬入作業においては、遊技場に設けられたハイバック型の椅子により、作業効率の低下を強いられていた。
【0005】
即ち、遊技場の椅子は、床に一体的に固定されていることから、遊技機の正面の位置から逸した別の場所に移動させることができない上、背もたれ部の上部側が島に設置された遊技機の下部側と向き合う高さに配されているため、遊技機の搬出や搬入作業を行う際に、椅子の背もたれ部を避けるように遊技機を運ばなければならない。従って、パチンコ機やスロット機等の搬出・搬入作業の際には、重量が25〜35kg程ある遊技機を椅子の背もたれ部を越える高さの位置まで持ち上げる手間があるため、作業者にかなりの負担を与えていた。
そこで、特許文献1には、背もたれ部を腰掛け部側に折りたたむことができる遊技場用椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−23143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、遊技場において、背もたれ部を折りたたむ機能を備えた椅子は、従来の遊技場用椅子より設備投資費が増加してしまうという懸念があり、わざわざ遊技機の搬出・搬入作業のためだけに導入することは考えづらい。実際、遊技場において、その種の椅子は普及していない。
【0008】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、遊技機の搬出・搬入作業における作業者の負担を軽減することができ、さらに業界内に普及し得る遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、遊技機が設置された遊技場で使用され、前記遊技機の正面の位置に設置されて遊技者が着座する遊技場用椅子において、遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が前記腰掛け部に着座した際に当該遊技者の背中と対面する背もたれ部と、少なくとも背もたれ部を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転手段と、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段とを有することを特徴とする遊技場用椅子である。
【0010】
本発明の遊技場用椅子は、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段を有しているため、先に説明したように、島に対して新たな遊技機を取り付ける際の搬入作業や、島から既存の遊技機を取り外す際の搬出作業を行う場合に、遊技場用椅子の背もたれ部が障害となって、作業の妨げとなることがない。即ち、通常、遊技者が腰掛け部に着座していない場合、背もたれ部における遊技者の背中と対面する側の面(以下、正面と言う)が遊技機に対面した姿勢を取っており、この状態における搬出・搬入作業が重労働とされていたが、本発明によれば、固定手段によって、背もたれ部の正面を遊技機と対面する向きから逸した状態に維持することができる。これにより、遊技機の搬出・搬入作業の際に、固定手段によって、遊技機を通過させる搬出・搬入通路が確保されるため、従来のように、背もたれ部を越える高さの位置までわざわざ遊技機を持ち上げるという手間がなく、重労働とならない。即ち、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0011】
また、本発明では、背もたれ部の回転後の位置を固定する固定手段として、例えば、回転手段に係合部等を設け、所定の回転角度となればその係合部が係合されて背もたれ部の回転後の位置を固定する構成であったり、隣接する遊技場用椅子同士を接続可能な接続部材等を用いて、背もたれ部の回転後の位置を固定する構成等が挙げられる。特に、後者のような構成であれば、既存製品の椅子あるいは既設の椅子に対して接続部材が接続される被接続部(例えば、ビス孔等)を付加すれば成り立つため、製造コストの増加を招かない。即ち、遊技場において、設備投資を増加させることがないため、業界内に普及する可能性がある。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記固定手段は、互いに異なる対象部に直接的又は間接的に接続される2以上の接続部を有し、1つの接続部が回転手段により回転するいずれかの部位に接続され、別の1つの接続部が回転手段による回転の影響が及ばない当該遊技場用椅子のいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に接続されるものであって、前記固定手段における少なくとも2つの接続部が互いに異なる対象部に接続されると、背もたれ部の回転位置が固定されることを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子である。
ここで言う「間接的」とは、対象部に別の固定手段を接続して固定手段同士を接続する場合や、他の部材を介する場合を意味している。
【0013】
かかる構成によれば、容易に背もたれ部の回転位置を固定することができる。即ち、遊技場におけるいずれか1脚の遊技場用椅子を回転手段の機能によって回転させ、その回転した状態の背もたれ部と、例えば当該遊技場用椅子における回転手段の影響がない脚部との双方を、固定手段で接続すれば、たとえ回転手段の機能によって背もたれ部が回転させる前の状態に戻ろうとしても、回転しない脚部に接続された固定手段が背もたれ部の回転を阻止するため、背もたれ部の回転位置を固定することができる。
また、隣接した遊技場用椅子を背もたれ部が互いに近接するように回転し、その状態の背もたれ部同士を、固定手段で接続すれば、たとえ回転手段の機能によって双方の背もたれ部が回転させる前の状態に戻ろうとしても、双方の戻ろうとする回転方向は相反するため、対象部に接続された固定手段は接続部同士の間で引っ張られた状態となり、双方の背もたれ部は互いに回転することが阻止される。これにより、背もたれ部の回転位置を固定することが可能となる。
従って、本発明によれば、固定手段の接続部を互いに異なる対象部に接続することで、容易に遊技場用椅子の回転位置を固定できるため、作業手間が殆どない。これにより、業界内に普及する可能性をより高くすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記固定手段は、長尺状部材で、2以上の接続部のうち少なくとも1つが長手方向一方の端部側に設けられ、残りの接続部が長手方向他方の端部側に設けられたものであって、隣り合った椅子同士の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態で、双方の背もたれ部又は腰掛け部に固定手段の接続部を接続可能としたことを特徴とする請求項2に記載の遊技場用椅子である。
【0015】
本発明の遊技場用椅子によれば、固定手段は長尺状部材の両端部に接続部を設けた構成であるため、固定手段を製造することが容易であり、固定手段の導入による費用の増加の影響は小さい。即ち、固定手段としては、例えば、長尺状部材の一方の端部をリング状の部材を取り付け可能な構造(以下、リング接続部と言う)とし、他方の端部をフック状の構造(以下、フック接続部と言う)とする。そして、その固定手段のリング接続部を1脚の遊技場用椅子の背もたれ部に取り付け、フック接続部をフリーの状態にしておき、固定手段が取り付けられた遊技場用椅子の背もたれ部の背面側と、その椅子に隣りあった椅子の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態にして、固定手段のフック接続部を隣りあった側の椅子に係合させることで、同時に2脚の椅子の回転位置を固定することができる。これにより、遊技場における遊技場用椅子の数が多い程、固定手段の導入に伴って増加し得る費用を抑制させることが可能となる。
なお、本発明の固定手段においては、長尺状部材の接続部には、2つのフック接続部を設けた構成としても、2つのリング状接続部を設けた構成としても構わない。
【0016】
請求項4に記載の発明は、1脚の回転式の遊技場用椅子又は2脚以上の異なる回転式の遊技場用椅子における異なる対象部に接続される2つ以上の接続部を有し、1つの接続部は、遊技場用椅子の回転する部位のいずれかに接続され、残りの接続部のうちの1つは当該遊技場用椅子における回転の影響が及ばないいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に直接的又は間接的に接続されるものであって、前記2つの接続部を異なる対象部に接続すると、遊技場用椅子の回転位置が固定されることを特徴とした遊技場用椅子の回転固定部材である。
ここで言う「間接的」とは、対象部に別の固定手段を接続して固定手段同士を接続する場合や、他の部材を介する場合を意味している。
【0017】
本発明の遊技場用椅子の回転固定部材は、回転式の遊技場用椅子を回転させた状態で維持させることができるため、先に説明したように、遊技機の搬出・搬入作業の際に、椅子に備えられた背もたれ部を、作業の障害とならない姿勢に固定しておくことができる。具体的には、2以上設けられた接続部のうち、1つを遊技場用椅子の回転する部位に接続し、別の1つをその遊技場用椅子の回転の影響がない部位あるいは他の遊技場用椅子に接続することで、固定部材を回転する部位に接続した椅子(1脚又はそれ以上)は、たとえ回転前の状態に戻ろうとしても、その回転が阻止される。即ち、本発明によれば、1又はそれ以上の回転式の遊技場用椅子の回転させた後の回転位置を固定することができる。
これにより、遊技機の搬出・搬入作業の際に、遊技機を通過させる搬出・搬入通路が確保されるため、従来のように、背もたれ部を越える高さの位置までわざわざ遊技機を持ち上げるという手間がなく、当該作業が重労働とならない。即ち、作業者の作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遊技場用椅子、並びに、遊技場用椅子の回転固定部材では、椅子を回転させてその椅子の背もたれ部を遊技機と向き合った状態から逸した姿勢を維持させることができるため、遊技機の搬出・搬入作業の際に、背もたれ部が作業の邪魔になることがなく、作業者の負担が軽減される。
また、本発明は、椅子の回転後の姿勢を固定する構造が簡単であり、既存製品に対しても付加できるため、製造コストが大幅に増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技場用椅子を示す斜視図である。
【図2】図1の遊技場用椅子の分解斜視図である。
【図3】図2に示す背部側ベース部を別の角度から見た図である。
【図4】遊技機を基準に正面視した遊技場用椅子を示す説明図で、もたれ可能位置の姿勢を維持した背もたれ部を示す図である。
【図5】遊技場用椅子の背もたれ部を回転装置を介して回転させた状態を示す説明図である。
【図6】遊技機を正面視した際の遊技場用椅子を示す説明図で、搬送可能位置の姿勢を維持した背もたれ部を示す図である。
【図7】回転固定部材を腰掛け部の底面側に露出するように保持させた遊技場用椅子を示す概念図で、(a)は遊技場の床面側から見上げた際の図で、(b)は遊技機を基準に正面視した図である。(破線:不使用状態、実線:使用状態)
【図8】遊技機を正面視した際の回転固定部材を背もたれ部の側面側に露出するように保持させた遊技場用椅子を示す概念図である。(破線:不使用状態、実線:使用状態)
【図9】回転固定部材の変形例を示す斜視図である。
【図10】図8の回転固定部材を使用して遊技場用椅子の背もたれ部の搬送可能位置を維持した状態を示す概念図で、(a)、(b)はそれぞれ係合側接続部の係合位置が異なる。
【図11】回転固定部材を背もたれ部と脚部に接続可能とした遊技場用椅子を示す概念図である。
【図12】回転固定部材を腰掛け部と脚部に接続可能とした遊技場用椅子を示す概念図である。
【図13】隣接する遊技場用椅子の回転固定部材を互いに係合して背もたれ部を搬送可能位置の姿勢に維持した状態を示す説明図である。
【図14】背もたれ部と腰掛け部が互いに相対的に回転可能な構成を有した遊技場用椅子を示す概念図であり、(a)は遊技機を基準に側面視した図で、(b)は遊技機を基準に上部から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施形態に係る遊技場用椅子1について説明する。
なお、特に断りがない限り、上下左右、前後方向の表現に関しては図1を基準とする。
【0021】
本実施形態の遊技場用椅子1は、図1に示すように、パチンコ機やスロット機等の遊技機30を遊技できる遊技場に設けられるもので、各遊技機30に対向する位置に1脚ずつ配されるものである。即ち、遊技場用椅子1は、所望の遊技機30を遊技する際に着座できるような配置とされている。
【0022】
遊技場用椅子1は、図1に示すように、腰掛け部2と、背もたれ部3と、脚部5と、腰掛け部2と脚部5の間に設けられ腰掛け部2及び背もたれ部3を脚部5に対して相対的な回転を可能とする回転装置(回転手段)6(図2)と、回転装置6の回転位置を固定可能な回転固定部材(固定手段)9により構成されている。
【0023】
腰掛け部2は、平面視した形状がほぼ正方形で、遊技者が着座した際に当該遊技者の尻部が当接する部分である。即ち、腰掛け部2は、図2に示すように、実際に遊技者の尻部が当接するクッション部15と、そのクッション部15を保持する底部側ベース部16とにより構成されている。
クッション部15は、衝撃を緩和するクッション性の高いスポンジ等の図示しない緩衝材を有し、その緩衝材を布地、革、又は合皮等の被覆部材で覆った構成とされている。なお、クッション部15の大きさは、後述する底部側ベース部16の底部側ベース空間17に嵌り込む程度の大きさとされている。
【0024】
底部側ベース部材16は、樹脂の射出成形によって作られた部材である。具体的には、底部側ベース部16は、平面視した形状がほぼ正方形で、一面が開放された筐体である。より具体的には、底部側ベース部16は、腰掛け部2の底面側に位置する底面壁18と、その底面壁18を囲繞するように一体的に接合された側面壁20を有し、底面壁18と側面壁20とによって底部側ベース空間17が形成されている。即ち、底部側ベース部16は、底面壁18に対向する天面側の一面が開放されており、この開放された一面側から底部側ベース空間17にクッション部15が嵌め込まれる。なお、底部側ベース空間17に嵌め込まれたクッション部15は、接着剤等によって底部側ベース部材16に固定される。
【0025】
また、底面壁18には、部材の厚み方向に貫通した4つの貫通孔33及び4つの貫通孔35が設けられている。具体的には、貫通孔33は、底面壁18の中心から外れた位置に四角形の頂点を形成するように配されており、後述する背もたれ部3を接続する際に用いられるものであり、貫通孔35は、底面壁18の中心近傍且つその中心を囲むように配され、後述する回転装置6を接続する際に用いられるものである。
【0026】
背もたれ部3は、遊技者が着座した際に当該遊技者の背中をもたせかけることを可能とする部分であり、外観が、1つの大長方形部3aと、屈曲した1つの小長方形部3bを組み合わせた形状とされている。具体的には、1つの小長方形部3bは、大長方形部3aの短手側縁部の中央に配され、大長方形部3aに一体的に接合された構成とされている。
【0027】
背もたれ部3は、図2に示すように、大長方形部3aを形成するクッション部21と、クッション部21を保持する背部側ベース部22と、さらに小長方形部3bを形成する連結部24とによって形成されている。
クッション部21は、前記した腰掛け部2におけるクッション部15とほぼ同じ構成を有しており、大きさは後述する背部側ベース部22に設けられた背部側ベース空間27に嵌り込む程度の大きさとされている。
【0028】
背部側ベース部22は、後述する連結部24と共に、樹脂の射出成形によって作られた部材である。具体的には、背部側ベース部22は、平面視した形状がほぼ正方形で、図3に示すように、一面が大きく開放された筐体である。より具体的には、背部側ベース部22は、背もたれ部3の背面側に位置する背面壁23と、その背面壁23を囲繞するように一体的に接合された側面壁25を有し、背面壁23と側面壁25とによって背部側ベース空間27が形成されている。即ち、背部側ベース部22は、背面壁23に対向する正面側の一面が開放されており、この開放された一面側から背部側ベース空間27にクッション部21が嵌め込まれる。なお、背部側ベース空間27に嵌め込まれたクッション部21は、接着剤等によって背部側ベース部材22に固定される。
【0029】
また、背面壁23のほぼ中央には、背部側ベース空間27側に直方体状に盛り上がった収納空間形成部7が設けられている。換言すると、収納空間形成部7は、背部側ベース空間27と反対側(背もたれ部3の背面側)に凹み状の収納空間8を形成している。本実施形態では、収納空間8は、回転固定部材(固定手段)9が収納される部位で、スライド式の蓋部材13によって閉塞状態にすることができる。
【0030】
本実施形態で採用される回転固定部材9は、一定の径を備え、且つ全体の長さが収納空間8の長手方向長さとほぼ同じあるいは若干短くされたた針金状の部材であり、回転固定部材9の両端部において、一方の端部側にリング状に加工した固定側端部(接続部)32が設けられ、他方の端部側にフック状に加工した係合側端部(接続部)31が設けられている。
【0031】
また、収納空間8内では、回転固定部材9は、固定側端部32が予め鎖状に接続されており、係合側端部31がフリーな状態とされている。換言すれば、回転固定部材9は、固定側端部32を基準として、係合側端部31側を収納空間8から露出させたり、再び収納させたりすることが可能に接続されている。
また、本実施形態では、蓋部材13に、係合側端部31が係合される被係合部34が設けられており、その被係合部34は、収納空間8を閉塞した際に、背もたれ部3の背面側に位置するように配されている。
【0032】
連結部24は、背もたれ部3を側面視した際の形状がほぼ「L」字型とされた部分であり、一方の端部側(基端側)が背部側ベース部22に一体的に形成された構成とされている。そして、連結部24は、L字の屈曲部を境に、他方の端部側(突端側)が腰掛け部2を接続可能な構成とされている。即ち、連結部24は、突端側に部材の厚み方向に貫通した4つの貫通孔36が設けられおり、その貫通孔36は、底部側ベース部16に設けられた4つの貫通孔33と連通する配置とされている。
【0033】
脚部5は、腰掛け部2を遊技場の床面から所定の高さに維持できるパイプ状の支持材であって、一方の端部側が床に固定され、他方の端部側が後述する回転装置6に軸支されている。
【0034】
回転装置6は、公知の回転機構を備えたものが採用されており、脚部5の軸の周方向に脚部5に対して相対的に回転可能であり、さらに回転方向に外力がない状態においては図示しない付勢手段によって所定の位置(待機位置)に姿勢が戻される又は維持されるものである。即ち、回転装置6は、脚部5が挿通されて軸支可能な図示しない被挿通部と、腰掛け部2に当接し固定されるフランジ部47とを備えている。そして、フランジ部47には、腰掛け部2のボルト等の固定手段が挿通される4つの貫通孔48が設けられており、その4つの回転装置6の貫通孔48は、腰掛け部2の貫通孔35とそれぞれ連通する配置にされている。
【0035】
次に、本実施形態に係る遊技場用椅子1の組み立て構造について説明する。
本実施形態に係る遊技場用椅子1は、図1に示すように、遊技機30の真正面に対向する位置に配されて、遊技場の床に脚部5の一方の端部側が固定されて設置されている。そして、脚部5の他方の端部側は、図5に示すように、回転装置6に軸支されており、その回転装置6のフランジ部47が腰掛け部2に固定されている。具体的には、回転装置6と腰掛け部2は、回転装置6の貫通孔48と腰掛け部2の貫通孔35を連通した状態にして、固定手段により接続されている。即ち、腰掛け部2は、回転装置6によって、脚部5に対して相対的に回転することができる。
【0036】
また、腰掛け部2には、背もたれ部3が一体的に接続されている。具体的には、背もたれ部3は、腰掛け部2と接続された回転装置6が前記した待機位置の状態において、図4に示すように、クッション部21側の面が遊技機30と向き合うように配され、背もたれ部3の貫通孔36と腰掛け部2の貫通孔33を連通した状態にして、固定手段により接続されている。即ち、背もたれ部3は、腰掛け部2の回転と一体となって回転する。
そして、背もたれ部3の収納空間8においては、回転固定部材9が収納されており、その回転固定部材9の固定側接続部32が背部側ベース部22に対して、鎖状に接続され、係合側接続部31側を外部に取り出せるように配されている。そして、その収納空間8は、回転固定部材9が使用されない間は蓋部材13によって閉塞されている。
【0037】
次に、本実施形態に係る遊技場用椅子1の使用方法について説明する。
本実施形態の遊技場用椅子1は、遊技場に新たな遊技機を搬入して遊技機の設置箇所たる開口状の遊技機取付部50に取り付けたり(以下、搬入作業と称す)、既存の遊技機を遊技機取付部50から取り外したり(以下、搬出作業と称す)する際に、特徴的機能を発揮し、それ以外の際には、通常の椅子としての機能を発揮する。換言すれば、本実施形態では、背もたれ部3をもたれ可能位置にするか、搬送可能位置にするかで使用方法が異なる。
【0038】
即ち、通常の椅子として機能させる場合は、図1、4に示すように、背もたれ部3を遊技機30に対向させて、もたれ可能位置にした状態で使用する。換言すれば、背もたれ部3を遊技機30に対向させた状態においては、回転装置6は待機位置に維持された状態である。即ち、この状態において、遊技者が遊技機30と向き合って腰掛け部2に着座すると、その遊技者の背中と背もたれ部3の正面側(クッション部21側)が向き合った状態となり、遊技者が背もたれ部3にもたれた状態で遊技を行うことが可能となる。
なお、本実施形態の遊技場用椅子1では、公知の遊技場用椅子と同様、遊技者が着座した状態で、腰掛け部2及び背もたれ部3を回転させることができる。
【0039】
一方、本実施形態の特徴的機能を発揮させる場合は、回転装置6を介して腰掛け部2を回転させる。ここで、本実施形態における回転固定部材9は、隣接する2脚の遊技場用椅子1の回転位置を同時に固定できる構成であるため、図4に示す2脚の遊技場用椅子1a、1bを用いて説明する。
【0040】
即ち、遊技場用椅子1aの腰掛け部2を回転させて、背もたれ部3の正面側を遊技機に対して、ほぼ直交する姿勢にする。このとき、同時又は別々に隣接する遊技場用椅子1bの背もたれ部3も同様の姿勢になるように腰掛け部2を回転させる。具体的には、図5に示すように、遊技場用椅子1aと遊技場用椅子1bの双方の背もたれ部3の背面側(収納空間8が配置された側)が最も近接し且つ向き合うような姿勢にする。そして、いずれか一方の遊技場用椅子1(以下の説明では遊技場用椅子1a)の背もたれ部3の収納空間8に配置された回転固定部材9を、固定側接続部32が背もたれ部3に接続された状態で取り出して、図6に示すように、係合側接続部31を他方の遊技場用椅子1(以下の説明では遊技場用椅子1b)の背もたれ部3の被係合部34に係合する。これにより、隣接する遊技場用椅子1a、1bの双方における回転装置6の回転が阻止される。
【0041】
即ち、本実施形態の遊技場用椅子1a、1bにおいては、それぞれの背もたれ部3の背面側を互いに向かい合わせた状態で、回転固定部材9を介して、双方の遊技場用椅子1a、1bを接続することができるため、背もたれ部3の回転姿勢を遊技機30と向き合った状態から逸した搬送可能位置に維持させることができる。これにより、遊技機30の正面の位置から背もたれ部3が外れるため、遊技機の搬出・搬入作業の際に、背もたれ部3を越える高さの位置まで搬送物たる遊技機30を持ち上げる手間がない。即ち、遊技機30の搬出・搬入作業の際に、無駄な労力が省かれるため、作業者の負担を軽減することができる。結果的に、遊技機の搬出・搬入作業時の作業効率を向上させることができる。
【0042】
上記実施形態では、回転固定部材9の一方の端部にリング状の固定側接続部32を設け、他方の端部にフック状の係合側接続部31を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、回転固定部材の両端部をリング状の接続部としたり、フック状の接続部としても構わない。なお、回転固定部材の端部の双方をリング状とした場合、被係合部の形状をフック状等に変更して、接続部と被係合部が互いに係合可能な形状にする必要がある。
【0043】
また、上記実施形態では、回転固定部材9を背もたれ部3の収納空間8に収納して保管する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、回転固定部材9を遊技場に露出した位置に保管する構成であっても構わない。例えば、図7に示すように、回転固定部材9を腰掛け部2の底面側に保持させて保管したり、図8に示すように、背もたれ部3の側面側に保持させて保管する構成であってもよい。この構成によれば、既製品の椅子あるいは遊技場に設置された既存の椅子に対して付加できるため、導入コストを抑えることができる。
また、この構成を採用した場合であっても、上記実施形態と同様、回転固定部材9の一方の端部を予め遊技場用椅子に対して、鎖状に接続しておくことが好ましい。これにより、遊技場用椅子から不意に脱落して、紛失してしまう不具合を阻止することができる。そして、この構成を採用した場合は、隣接する遊技場用椅子における回転固定部材9の他方の端部が係合される被係合部を、適宜の位置に設けることが好ましい。
【0044】
上記実施形態では、回転固定部材9を針金状部材とした構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示すように、長尺状の板部材を採用した回転固定部材40を採用した構成としても構わない。この構成によれば、1つの回転固定部材40に必要に応じて複数の係合側接続部49を設けることができる。即ち、係合側接続部49を切り欠き状とし、回転固定部材40の長手方向に異なる位置に複数設けることで、図10(a)、(b)に示すように、遊技場における島(列)に設置された遊技場用椅子1同士の間隔がそれぞれ異なる場合であっても対応することが可能となる。これにより、新たに長さの異なる回転固定部材を用意することなく、各遊技場用椅子1の回転位置を搬送可能位置に確実に固定できるため、汎用性が高い回転固定部材40を提供することができる。
【0045】
上記実施形態では、隣接する遊技場用椅子1a、1b同士を回転固定部材9で接続して、双方の回転位置を同時に固定する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、遊技場用椅子の回転位置を隣接する遊技場用椅子と同時に固定しない構成であっても構わない。即ち、1脚の遊技場用椅子41における回転装置6によって回転する部位と、回転しない部位とを回転固定部材9で接続すれば、回転装置6の回転位置を固定することができる。具体的には、図11(遊技場用椅子41a)、図12(遊技場用椅子41b)に示すように、腰掛け部2あるいは背もたれ部3と、脚部5とを回転固定部材9で接続すれば、回転装置6によって回転した背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定することができる。これにより、上記実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
また、この構成によれば、隣接する遊技場用椅子に依存することなく各遊技場用椅子41の回転位置を単独で固定できるため、遊技場の島(列)構成がいかなるものであっても融通を利かせることが可能である。即ち、隣接する遊技場用椅子41同士の間隔が変化する場合であっても、遊技場における島(列)に設置された遊技場用椅子41の数が奇数であっても、確実に各遊技場用椅子41の回転位置を搬送可能位置に固定することができる。
【0046】
上記実施形態では、回転固定部材9の係合側接続部31を直接的に対象部たる隣接する遊技場用椅子1に対して接続して双方の背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図13に示すように、隣接する遊技場用椅子1同士の回転固定部材9の係合側接続部31を互いに係合して接続(間接的に隣接する遊技場用椅子1に接続)することで、双方の背もたれ部3の回転位置を搬送可能位置に固定しても構わない。
【0047】
また、上記実施形態では、回転装置6による回転動作に連動して、背もたれ部3と腰掛け部2が回転する椅子を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図14に示すように、2つの軸受け(回転手段)51、52を脚部5の軸方向に重ねて、背もたれ部43と腰掛け部44に対してそれぞれ異なる軸受け51,52を接続する構成を備えた椅子39であっても、回転固定部材9、40を用いることで同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、39、41 遊技場用椅子
2、44 腰掛け部
3、43 背もたれ部
6 回転装置(回転手段)
9、40 回転固定部材
31 係合側接続部(接続部)
32 固定側接続部(接続部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機が設置された遊技場で使用され、前記遊技機の正面の位置に設置されて遊技者が着座する遊技場用椅子において、
遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が前記腰掛け部に着座した際に当該遊技者の背中と対面する背もたれ部と、少なくとも背もたれ部を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転手段と、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段とを有することを特徴とする遊技場用椅子。
【請求項2】
前記固定手段は、互いに異なる対象部に直接的又は間接的に接続される2以上の接続部を有し、
1つの接続部が回転手段により回転するいずれかの部位に接続され、別の1つの接続部が回転手段による回転の影響が及ばない当該遊技場用椅子のいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に接続されるものであって、
前記固定手段における少なくとも2つの接続部が互いに異なる対象部に接続されると、背もたれ部の回転位置が固定されることを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子。
【請求項3】
前記固定手段は、長尺状部材で、2以上の接続部のうち少なくとも1つが長手方向一方の端部側に設けられ、残りの接続部が長手方向他方の端部側に設けられたものであって、
隣り合った椅子同士の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態で、双方の背もたれ部又は腰掛け部に固定手段の接続部を接続可能としたことを特徴とする請求項2に記載の遊技場用椅子。
【請求項4】
1脚の回転式の遊技場用椅子又は2脚以上の異なる回転式の遊技場用椅子における異なる対象部に接続される2つ以上の接続部を有し、1つの接続部は、遊技場用椅子の回転する部位のいずれかに接続され、残りの接続部のうちの1つは当該遊技場用椅子における回転の影響が及ばないいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に直接的又は間接的に接続されるものであって、
前記2つの接続部を異なる対象部に接続すると、遊技場用椅子の回転位置が固定されることを特徴とした遊技場用椅子の回転固定部材。
【請求項1】
遊技機が設置された遊技場で使用され、前記遊技機の正面の位置に設置されて遊技者が着座する遊技場用椅子において、
遊技者が着座する腰掛け部と、遊技者が前記腰掛け部に着座した際に当該遊技者の背中と対面する背もたれ部と、少なくとも背もたれ部を遊技場の床面に対して垂直な回転軸を基準に相対的に回転させる回転手段と、回転手段によって変更された背もたれ部の回転後の位置を固定できる固定手段とを有することを特徴とする遊技場用椅子。
【請求項2】
前記固定手段は、互いに異なる対象部に直接的又は間接的に接続される2以上の接続部を有し、
1つの接続部が回転手段により回転するいずれかの部位に接続され、別の1つの接続部が回転手段による回転の影響が及ばない当該遊技場用椅子のいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に接続されるものであって、
前記固定手段における少なくとも2つの接続部が互いに異なる対象部に接続されると、背もたれ部の回転位置が固定されることを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子。
【請求項3】
前記固定手段は、長尺状部材で、2以上の接続部のうち少なくとも1つが長手方向一方の端部側に設けられ、残りの接続部が長手方向他方の端部側に設けられたものであって、
隣り合った椅子同士の背もたれ部の背面側を向かい合わせた状態で、双方の背もたれ部又は腰掛け部に固定手段の接続部を接続可能としたことを特徴とする請求項2に記載の遊技場用椅子。
【請求項4】
1脚の回転式の遊技場用椅子又は2脚以上の異なる回転式の遊技場用椅子における異なる対象部に接続される2つ以上の接続部を有し、1つの接続部は、遊技場用椅子の回転する部位のいずれかに接続され、残りの接続部のうちの1つは当該遊技場用椅子における回転の影響が及ばないいずれかの部位又は他の遊技場用椅子に直接的又は間接的に接続されるものであって、
前記2つの接続部を異なる対象部に接続すると、遊技場用椅子の回転位置が固定されることを特徴とした遊技場用椅子の回転固定部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−105764(P2012−105764A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255783(P2010−255783)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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