説明

遊技場用椅子

【課題】内枠の開放を確実に制限できつつ、視認による不正行為の抑止力と、遊技機島におけるスペースの有効利用と、の双方を同時に満たす遊技場用椅子を提供することを目的とする。
【解決手段】
遊技者が腰掛ける着座部102と、着座部102を支持する脚部2と、着座部102に対して立設する背もたれ部103を有し、着座部102を遊技場の床面に対して相対的に傾倒させることによって、背もたれ部103が遊技機200のガラス枠206に近接又は当接する姿勢に拘持することによって、ガラス枠206の開放度を規制する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用の椅子に関するもので、特に遊技場におけるぱちんこ機やスロット機等の遊技機の内枠の不正開放を防止する機能を備えた遊技場用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
ぱちんこ機やスロット機等の遊技機が設置された遊技場では、閉店後に外部の者が不正に遊技機の内枠を開放し、当該遊技機に搭載された正規ロムを不正ロム(所謂裏ロム)にすり替える行為による不正行為が頻発している。
【0003】
一般的に、遊技機に不正ロムが取り付けられると、遊技媒体を規定量以上払い出したり、公正な抽選が制御できなくなったり等の不具合が発生する。即ち、この不具合によって、遊技場の経営者は、大きな損害を被るため、従来からこの不正行為を防止する対策が取られてきた。この対策の1つの方策として、遊技機の内枠の開放の制限を強化することが提案されている。例えば、近年では、遊技機島の内部側から遊技機の内枠の開放を制限するロック機構(以下、内部ロック機構ともいう)や遊技機島の外部側から遊技機の内枠の開放を制限するロック機構(以下、外部ロック機構ともいう)が普及している。
例えば、特許文献1,2にそれらの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3039772号公報
【特許文献2】特開2011−072579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術においては、いずれのロック機構であっても、内枠の開放を確実に制限できるが、視認による不正行為の抑止力と、遊技機島におけるスペースの有効利用と、の双方を同時に満足するものではなかった。即ち、内部ロック機構は、ロック機構が遊技機島の内部の空きスペースに設けられているため、ロック機構の設置が遊技機の設置スペースを圧迫することなく、遊技機島のスペースを有効利用できる。しかしながら、ロック機構自体が、外部から視認できないため、視認による不正行為の抑止力はほとんどない。
一方、外部ロック機構は、ロック機構自体が外部から視認できるため、視認による不正行為の抑止力が有効に働く反面、各遊技機に隣接する1つの機器として設置するため、遊技機島に当該ロック機構を設置するスペースが必要となっている。即ち、ロック機構自体が遊技機島の遊技機の設置スペースを圧迫し、遊技機島のスペースを有効利用できない。
このように、従来技術において、いずれのロック機構であっても、内枠の開放を確実に制限できるが、不正行為の抑止力と、遊技機島におけるスペースの有効利用と、の双方を同時に満足するものではないため、遊技場経営者からは、不正行為の抑止力と、スペースの有効利用の双方を備えたロック機構の開発の要望があった。
【0006】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、内枠の開放を確実に制限できつつ、視認による不正行為の抑止力と、遊技機島におけるスペースの有効利用と、の双方を同時に満たす遊技場用椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した課題を解決すべく、遊技機と一対となって備えられており、かつ、遊技機島外に設置されている部材にロック機構を設けることを試みた。
【0008】
一般的に、遊技場における椅子は、遊技者が着座する着座部と、着座部を支持する脚部と、着座部に対して立設する背もたれ部と、が備えられており、当該脚部が遊技場の床面に固定されている。
【0009】
本発明者は、この椅子の背もたれ部を遊技場の床面に対して相対的に傾倒させることにより、遊技機に当接又は、近接させ、遊技機の内枠の開放を防止することを考えた。
【0010】
上記の発想をもとに試行錯誤を繰り返して導き出された請求項1に記載の発明は、多数の遊技機が並べられた遊技場において、各遊技機に対応するように遊技機の正面に設置される遊技場用椅子であって、遊技者が腰掛ける着座部と、着座部を支持する脚部と、着座部に対して立設する背もたれ部と、を有し、着座部は、遊技場の床面に対して相対的に傾倒可能であり、着座部は、遊技機に対して近接方向に傾倒した固定姿勢と、遊技者が着座可能な腰掛け姿勢と、をとるものであり、少なくとも、着座部の姿勢を固定姿勢に拘持可能であることを特徴とする遊技場用椅子である。
【0011】
かかる構成によれば、着座部は、遊技場の床面に対して相対的に傾倒可能であり、着座部は、遊技機に対して近接方向に傾倒した固定姿勢と、遊技者が着座可能な腰掛け姿勢と、をとるものであり、少なくとも、着座部の姿勢を固定姿勢に拘持可能である。即ち、固定姿勢においては、着座部が、遊技場の床面に対して相対的に傾倒した姿勢を取る。言い換えれば、着座部に立設した背もたれ部は、遊技機に近づき、遊技機に対して近接又は当接した姿勢を取る。そして、当該固定姿勢に拘持可能であり、所定の距離(0も含む)を開けて遊技機のガラス枠に近接した状態で維持することが可能である。そのため、例え、不正者が、遊技機の内枠を開放し、遊技機に不正ロムを取り付けようとしても、背もたれ部がガラス枠に当接され、開度が規制される。それ故に、不正者は、遊技機の内枠を開けることができない。
【0012】
また、固定姿勢において、着座部は遊技機に対して近接方向に傾倒した姿勢をとるため、遊技場管理者は、遊技場用椅子が固定姿勢であるのかどうかを視認することが可能であり、ロック状態にし忘れることがない。
また、遊技機島にロック機構を設けないため、遊技機島にスペースを設ける必要がない。即ち、遊技機島のスペースを演出等に用いることができ、有効利用することが可能である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記脚部は、遊技場床面固定部と着座固定部と姿勢維持部とを有し、着座固定部は、遊技場床面固定部に対して相対的に傾倒可能であり、姿勢維持部は、少なくとも着座部の姿勢を固定姿勢に拘持することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子である。
【0014】
かかる構成によれば、前記脚部は、遊技場床面固定部と着座固定部と姿勢維持部とを有し、着座固定部は、遊技場床面固定部に対して相対的に傾倒可能であり、姿勢維持部は、少なくとも着座部の姿勢を固定姿勢に拘持する。即ち、脚部から傾倒する。脚部から傾倒するため、腰掛け姿勢において、例え、背もたれ部の天地方向の長さが短い場合であっても、背もたれ部を遊技機に近接させることが可能である。
【0015】
また、前記固定姿勢と前記腰掛け姿勢の切り替えは、自動的に行われることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0016】
着座部を遊技場の床面に対して相対的に傾倒させることによって、遊技機の外枠の開放を防止する。それ故に、不正者は遊技機の外枠を開放することができず、不正を行うことができない。また、遊技機島にロック機構を設ける必要がないので、遊技機島のスペースが圧迫されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遊技場の状況を示す説明図である。
【図2】遊技者が遊技機で遊技している状況を示す説明図である。
【図3】遊技機のガラス枠と内枠を外枠から開放した際の概念図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る遊技場用椅子の斜視図である。
【図5】図4の要部の分解斜視図である。
【図6】図5の軸受け部を表す斜視図である。
【図7】図5の蓋部を別視野から視た斜視図である。
【図8】図4の遊技場用椅子の姿勢を制御する制御手段のブロック図である。
【図9】図5の遊技場用椅子の要部の姿勢の変化を表す説明図であり、(a)から(c)は所定時間での位置関係を表す。
【図10】図4の遊技場用椅子の姿勢の変化を表す説明図であり、(a)から(c)は所定時間での位置関係を表す。
【図11】図5の要部の一部を組み立てた分解斜視図である。
【図12】図4の遊技場用椅子の固定姿勢における説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る遊技場用椅子の要部の分解斜視図である。
【図14】図13の姿勢維持部を表すA−A断面図である。
【図15】図13の遊技場用椅子の要部の姿勢の変化を表す説明図であり、(a)から(c)は所定時間での位置関係を表す。
【図16】本発明の第3実施形態に係る遊技場用椅子の斜視図である。
【図17】図16の要部を拡大した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、図4の通常の設置位置(腰掛け姿勢)を基準に説明する。
【0019】
本実施形態の遊技場用椅子1は、主に遊技場の床面に設置されるものである。本実施形態の遊技場用椅子1の構成に先立って、遊技場の構造について説明する。
遊技場は、主に複数の遊技機(ぱちんこ機やスロット機等)200を1つの群とした所謂遊技機島201が複数配されている。そこで、以下の説明においては、理解を容易にするために、1つの遊技機島201に注目して説明する。なお、本実施形態においては、遊技機200の具体例として、ぱちんこ機の場合について述べる。
【0020】
即ち、図1に示すように、遊技機島201においては、所定台数分(図1では5台分×2)の遊技機取り付け部202が設けられており、その各遊技機取り付け部202に1台ずつ遊技機200が設置されている。具体的には、遊技機島201においては、所定の台数の遊技機200が2列(図1の正面側に1列、後面側に1列)に配され、各列に遊技機200が並設されている。そして、各遊技機200に対向する位置に遊技者が着座可能な遊技場用椅子1(図2)が1脚ずつ配置されている。
遊技機200は、図3のように外枠203と内枠205とガラス枠206の3つの枠で骨組みされている。外枠203は、遊技機島201の遊技機取り付け部202に固定される枠であり、その内部に内枠205を挿入可能となっている。内枠205には、遊技機200を構成する基板等の制御部材が内蔵されており、その前面には、ガラス板を備えたガラス枠206が設けられている。内枠205は外枠203に対して、鍵等の固定部材によって開閉自在となっている。
ところで、上記したように、不正者は、遊技機200の内枠205を外枠203から開放し、不正ロムを正規ロムに取り替えて不正行為を行うことがある。そのため、遊技場の経営者らは、不正行為によって、莫大な損失を受けたり、遊技の公平性が損なわれたりするおそれがあった。
【0021】
そこで、本発明の遊技場用椅子1は、本発明の特徴たる遊技機200の内枠205の開放を防止する機能を有している。以下、遊技場用椅子1について説明する。
まず、遊技場用椅子1の構成について説明する。
本実施形態にかかる遊技場用椅子1は、着座部102が遊技機200に対して近接方向に傾倒した固定姿勢(図12)と、遊技者が着座可能な腰掛け姿勢(図4)をとる。
【0022】
遊技場用椅子1は、図4のように遊技者が着座する着座部102と、着座部102を支持する脚部2と、着座部102に対して立設する背もたれ部103を有している。
【0023】
着座部102は、遊技者が着座時に殿部が載置される部位である。着座部102は、腰掛け姿勢において、遊技場の床面に対して水平に配されている。
【0024】
背もたれ部103は、着座部102に対してほぼ垂直に設けられるもので、金属又は樹脂等で構成された略L字状の基材104で着座部102と連結されている。
背もたれ部103の長さHは、固定姿勢(図12)において、背もたれ部103の先端が遊技機200の膳板の先端よりも遊技機200側に進入可能な長さとなっている。
【0025】
本実施形態にかかる遊技場用椅子1は、脚部2に特徴的な構造を有する。
以下、脚部2について詳説する。
脚部2は、腰掛け姿勢において、着座部102及び背もたれ部103を遊技場の床面から所定の高さに維持できる支持部材である。
脚部2は、遊技場床面固定部3と着座固定部5と姿勢維持部6を有している。遊技場床面固定部3は、遊技場の床面に垂直に立設される部位であり、筒状の形状をしている。内部には図示しない電気配線が挿通されている。
着座固定部5は、着座部102の下面に接続されており、着座部102を支持している。
姿勢維持部6は、図5のように筐体部7と、蓋部8と、筐体部7の内部に配されるモーター部10と、モーター部10に接続され蓋部8の姿勢を変形する姿勢形成部11とを有する。
筐体部7は、略長方形状の筐体であり、底面部12と底面部12の四辺から上方へ立設した側壁部15とによって形成されている。即ち、筐体部7は、底面部12と側壁部15に囲まれた設置空間16を有している。設置空間16は、上方に開放した空間であり、仕切り板13と、モーター部10と、姿勢形成部11を内蔵可能となっている。
底面部12の下面は、遊技場床面固定部3の上端面と接続されている。
筐体部7の短辺に接続される側壁部15bの上端面には、固定穴32が複数設けられている。
【0026】
また、側壁部15bの内側面には、略中央位置にモーター軸部21を挿入可能な軸受け穴33が設けられている。軸受け穴33は、有底穴であることが好ましい。そして、側壁部15bの軸受け穴33近傍には、スイッチ部25が設けられている。スイッチ部25は側壁部15bの軸受け穴33の下方位置に設けられている。
スイッチ部25は、公知のリミットスイッチである。即ち、スイッチ部25が押圧されると、所定の信号を後述する制御基板45に送信する。
【0027】
筐体部7の内部に目を移すと、モーター部10は、モーター18と、モーター18の回転軸(図示しない)と一体となって回転するモーター軸部21とによって形成されている。
モーター18は、公知のモーターが用いられている。具体的にはサーボロック機能を有した交流モーターを採用できる。モーター軸部21は、公知のねじと同様の軸であり、周方向に螺旋状の溝22が形成されている。モーター18の回転軸(図示しない)と連続しており、一体となっている。
【0028】
仕切り板13は、正面視逆「U」字状の板状体であり、下面から中央に向かって切り欠き部24を有している。切り欠き部24内には、モーター軸部21を挿通可能となっている。
仕切り板13の側壁部15b側側面には、スイッチ部39が設けられている。
スイッチ部39は、公知のリミットスイッチである。即ち、スイッチ部25と同様、スイッチ部39が押圧されると、所定の信号を後述する制御基板45に送信する。
【0029】
姿勢形成部11は、モーター軸部21と接続される軸受け部26と、軸受け部26の上端面に接続された突っ張り部27、から形成される。
軸受け部26は、図6のように長方形状の板材であり、中央に部材厚方向(モーター軸部21の軸芯方向)に貫通した係合孔28を有している。係合孔28は、内壁面に螺旋状の溝30を有しており、モーター軸部21の溝22と係合可能となっている。
また、軸受け部26は、部材厚方向に延伸した固定穴38を有している。固定穴38は有底穴であることが好ましい。固定穴38は、公知の締結要素を挿通可能であり、ヒンジ部31を固定可能となっている。
【0030】
突っ張り部27は、図5のように長尺状の長板であり、長手方向両端部にはそれぞれ、複数の固定穴41,42を有している。固定穴41,42は、公知の締結要素を挿通可能であり、ヒンジ部29,31を固定可能となっている。
【0031】
蓋部8に目を移すと、蓋部8は、長方形状の板状体であり、筐体部7の開口を覆うことが可能となっている。蓋部8は、腰掛け姿勢において、図5,7のように側壁部15bの固定穴32に対応する位置及び後述する突っ張り部27の固定穴41に対応する位置にそれぞれ固定穴36,固定穴37が設けられている。固定穴36は、それぞれ公知の締結要素を挿通可能であり、ヒンジ部20を固定可能となっている。即ち、筐体部7と蓋部8は、ヒンジ部20を介して接続されており、ヒンジ部20を支点として回動可能となっている。また、突っ張り部27と蓋部8は、ヒンジ部29を介して接続されており、ヒンジ部29を支点として回動可能となっている。
【0032】
ここで、本発明の遊技場用椅子1は、ホールコンピューター34やリモコン40から発せられる信号によってモーター18を駆動し、腰掛け姿勢と固定姿勢を切り替えることが可能である。
そこで、遊技場用椅子1に接続される制御手段43について説明する。
遊技場用椅子1に接続される制御手段43は、図8のようにリモコン40又はホールコンピューター34やモーター18から送られる信号を受信することによって制御している。
ホールコンピューター34は、遊技機200の稼働状況、並びに、貸出機に投入された紙幣の有価価値や、有価媒体からの遊技球の貸し出しに伴って消費された有価価値の有価情報等に基づいて遊技場における売り上げ等を管理するコンピューターである。
リモコン40は、公知のリモコン40と同様のものである。所定の信号を受信部44に送り、制御基板45に指令を送ることが可能である。
【0033】
以下、制御手段43の各構成部材について説明する。
インターフェース35は、インターフェース機能を果たす中継基板であり、制御基板45と外部の機器とを電気的に接続されている。
受信部44は、リモコン40から発信される電波や光、赤外線等の信号を受信するセンサーである。
【0034】
続いて、各姿勢における遊技場用椅子1の各部材の位置関係、特に姿勢維持部6の位置関係について、主に図9,10を参照しながら説明する。
説明の都合上、まず腰掛け姿勢について説明する(図9(a),図10(a))。
腰掛け姿勢において、設置空間16内にモーター部10が設置されている。
このとき、モーター18の回転軸は、底面部12に平行となっている。モーター18は、図11のように側壁部15a,15cによって挟持されている。また、側壁部15a,15cは、軸受け部26の幅方向wの動きを規制している。即ち、軸受け部26は、モーター軸部21の回転方向にずれることなく、長手方向lに移動可能となっている。
突っ張り部27は、仕切り板13上に載置されており、底面部12とほぼ平行となっている。突っ張り部27は、ヒンジ部31を介して、軸受け部26と接続されている。軸受け部26の係合孔28の溝30(図5参照)とモーター軸部21の溝22(図5参照)が螺合している。突っ張り部27は、ヒンジ部29を介して、蓋部8と接続されている。突っ張り部27に接続されるヒンジ部29の接続部位は、筐体部7に接続されるヒンジ部31の接続部位に対して長手方向lに対向する位置となっている。
【0035】
モーター軸部21の先端(モーター18と対向する側)は、側壁部15bの軸受け穴33内に挿入されている。即ち、軸受け穴33は、モーター軸部21の周方向のズレを規制している。
【0036】
また、仕切り板13の切り欠き部24の内部には、モーター軸部21が挿通されている。モーター軸部21は、仕切り板13の切り欠き部24に接触していない。スイッチ部39は、仕切り板13を介してモーター18に対向する側に配されている。
【0037】
次に、固定姿勢への変更動作について、一般的な使用手順に沿って説明する。
遊技場管理者は、ホールコンピューター34又はリモコン40を操作する。ホールコンピューター34又はリモコン40から、固定姿勢への変更の指令が発せられると、モーター18が駆動し、モーター軸部21が回転する。
そして、軸受け部26は、その回転に合わせて、モーター軸部21の溝22に沿ってモーター18と近接する方向に移動する(図9(a)→図9(b)→図9(c))。このとき、幅方向wの動きを規制されているため、軸受け部26の姿勢は変わらず、底面部12に立設した姿勢のまま、平行移動する。そして、軸受け部26の移動に伴って、突っ張り部27の水平面に対する角度αが大きくなっていく。即ち、軸受け部26の移動に伴い、突っ張り部27が徐々に垂直方向に立って行く(図10(a)→図10(b)→図10(c))。
そして、軸受け部26が仕切り板13に近づき、スイッチ部39に接触すると、ホールコンピューター34に信号が送信され、モーター18の駆動を停止する。このとき、遊技場用椅子1は、固定姿勢をとる(図9(c),図10(c),図12)。
このときの突っ張り部27の水平面に対する角度αは、30度〜90度であることが好ましく、45度〜90度であることがより好ましく、60度〜90度であることが特に好ましい。突っ張り部27の水平面に対する角度αが90度を超えると、着座部102の傾倒角度が低下してしまい、背もたれ部103の先端部分と遊技機200のガラス枠206との間の隙間が拡大してしまう。突っ張り部27の水平面に対する角度αが30度より小さくなると、背もたれ部103の長さを長くしないと、背もたれ部103の先端が遊技機200の膳板の先端よりも遊技機200側に進入できない場合がある。
【0038】
このとき、図12のように背もたれ部103が遊技機200のガラス枠206に近接又は当接する。具体的には、遊技場用椅子1の背もたれ部103の先端部分は、遊技機200のガラス枠206との間に隙間が形成されているか、当接されている。隙間の大きさは、内枠205を開けて作業できない程度の大きさとなっており、具体的には、ガラス枠206の前面からの距離Lは、15cm〜0cmとなっており、10cm以下であることが好ましく、当接していることが特に好ましい。
また、固定姿勢から腰掛け姿勢に変更する際には、ホールコンピューター34又はリモコン40を操作し、モーター18を逆回転させ、姿勢を変更する。
【0039】
具体的には、ホールコンピューター34又はリモコン40を操作する。ホールコンピューター34又はリモコン40から、腰掛け姿勢への変更の指令が発せられると、モーター18が駆動し、モーター軸部21が逆回転する。
そして、軸受け部26は、その回転に合わせて、モーター軸部21の溝22に沿ってモーター18と離反する方向に移動する(図9(c)→図9(b)→図9(a))。このとき、幅方向wの動きを規制されているため、軸受け部26の姿勢は変わらず、底面部12に立設した姿勢のまま、平行移動する。そして、軸受け部26の移動に伴って、突っ張り部27の水平面に対する角度αが小さくなっていく。即ち、軸受け部26の移動に伴い、突っ張り部27が徐々に水平方向に倒れていく(図10(c)→図10(b)→図10(a))。
そして、軸受け部26が側壁部15bに近づき、スイッチ部25に接触すると、ホールコンピューター34に信号が送信され、モーター18の駆動を停止する。このとき、遊技場用椅子1は、腰掛け姿勢をとる(図4)。
【0040】
本発明の遊技場用椅子1によれば、軸受け部26の係合孔28の溝30とモーター軸部21の溝22が螺合しているため、自止まりにより、軸受け部26の位置が拘持可能となっている。即ち、モーター18の回転によって、遊技場用椅子1を各姿勢に拘持できる。
【0041】
また、本発明の遊技場用椅子1によれば、背もたれ部103の上面が、遊技機200に近接し、ガラス枠206の開閉を規制するため、不正者が不正ロムを取り付け作業することを防止することができる。また、遊技場用椅子1が傾倒しているため、ロック状態であることを視認できる。
【0042】
以下に、第2実施形態にかかる遊技場用椅子50について説明する。
第2実施形態にかかる遊技場用椅子50は、所謂ラックアンドピニオン機構を採用している。具体的には、遊技場用椅子50の姿勢維持部56は、図13のように筐体部57と、蓋部58と、筐体部57の内部に配されるモーター部60と、ラック部52とを有する。
筐体部57の底面部62には、部材厚方向に貫通した貫通孔55を有している。貫通孔55は略長方形状に開口を有しており、内部にラック部52を挿通可能となっている。
ピニオン部51は、円板状の部材であり、中心から外側方向に向かって突出した歯部53を有しており、歯部53は、周方向全体に亘って設けられている。モーター部60は、モーター18、ピニオン部51、回転軸59によって構成されている。
ラック部52は、長尺状の棒状体であり、側面に歯部54を有している。歯部54は、図14のようにラック部52の長手方向L1に直交する方向に突出した部位であり、長手方向全体に亘って設けられている。
【0043】
続いて、各姿勢における遊技場用椅子50の各部材の位置関係、特に姿勢維持部56の位置関係について、主に図15を参照しながら説明する。
説明の都合上、まず腰掛け姿勢について説明する。
腰掛け姿勢において、ラック部52の歯部54とピニオン部51の歯部53が係合している。
モーター18の回転軸59は、遊技場床面固定部3に対して直交する方向に向いている。筐体部57と蓋部58はヒンジ部20を介して接続されている。
【0044】
次に、固定姿勢について、一般的な使用手順に沿って説明する。
ホールコンピューター34又はリモコン40を操作する。ホールコンピューター34又はリモコン40から、固定姿勢への変更の指令が発せられると、モーター18が駆動し、回転軸59が回転する。それに伴い、ピニオン部51も回転する。そして、ラック部52は、ピニオン部51の回転に合わせて、上昇する。
このとき、ラック部52は、蓋部58と一体化しているため、蓋部58は、ラック部52によって押し上げられ、ヒンジ部20を支点として周方向に回動する。即ち、着座部102は、遊技場の床面に対して相対的に傾倒する。
【0045】
本発明の遊技場用椅子50によれば、モーター18のサーボロックによって、遊技場用椅子1を各姿勢に拘持できる。
【0046】
以下に第3実施形態にかかる遊技場用椅子80について説明する。
第3実施形態にかかる遊技場用椅子80は、所謂ウォームギア機構を採用している。具体的には、遊技場用椅子80の姿勢維持部86は、図17のように筐体部85と、筐体部85の内部に配されるモーター部90と、着座固定部5と接続される斜歯歯車状のウォームホイール部82を有する。
モーター部90は、モーター18と、モーター18の回転軸59に接続されたウォーム部81によって構成されている。
ウォーム部81は、ねじ歯車状の部材である。
ウォームホイール部82の中心にはウォームホイール部82の回転軸方向に突出した接続部83を有している。接続部83は、着座固定部5と連続して一体となっている。
【0047】
続いて、各姿勢における遊技場用椅子80の各部材の位置関係、特に姿勢維持部6の位置関係について、主に図16,17を参照しながら説明する。
説明の都合上、まず腰掛け姿勢について説明する。
モーター18の回転軸59は、水平面に対して垂直方向に向いている。
ホールコンピューター34又はリモコン40から固定姿勢に変更する指令が発信されると、モーター18が駆動し、モーター18の回転軸59と一体となって、ウォーム部81が回転する。そして、ウォーム部81が回転すると、ウォーム部81と係合しているウォームホイール部82も回転する。また、それに付随して、接続部83が回転し、着座固定部5が図17の矢印の方向に傾倒する。即ち、モーター18の回転に伴い、着座部102が遊技場の床面に対して、傾倒する。言い換えるとモーター18の回転に伴い、背もたれ部103は、遊技機200のガラス枠206に近接又は当接する。
【0048】
上記した実施形態では、遊技場床面固定部3に対して、着座固定部5を傾倒させることによって、背もたれ部103を遊技機200のガラス枠206に近接又は当接させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、脚部2に対して着座部102を傾倒させることによって背もたれ部103を遊技機200のガラス枠206に近接又は当接させてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 遊技場用椅子
2 脚部
3 遊技場床面固定部
5 着座固定部
6,56,86 姿勢維持部
200 遊技機
102 着座部
103 背もたれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の遊技機が並べられた遊技場において、
各遊技機に対応するように遊技機の正面に設置される遊技場用椅子であって、
遊技者が腰掛ける着座部と、着座部を支持する脚部と、着座部に対して立設する背もたれ部と、を有し、
着座部は、遊技場の床面に対して相対的に傾倒可能であり、
着座部は、遊技機に対して近接方向に傾倒した固定姿勢と、
遊技者が着座可能な腰掛け姿勢と、をとるものであり、
少なくとも、着座部の姿勢を固定姿勢に拘持可能であることを特徴とする遊技場用椅子。
【請求項2】
前記脚部は、遊技場床面固定部と着座固定部と姿勢維持部とを有し、
着座固定部は、遊技場床面固定部に対して相対的に傾倒可能であり、
姿勢維持部は、少なくとも着座部の姿勢を固定姿勢に拘持することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用椅子。
【請求項3】
前記固定姿勢と前記腰掛け姿勢の切り替えは、自動的に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技場用椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−111101(P2013−111101A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257269(P2011−257269)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】